JP3264885B2 - 移動通信機器用アンテナおよびその製造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、携帯電話，ＰＨＳ
等の移動通信機器に代表される携帯無線機に備えられる
アンテナであって、携帯無線機の筐体に対して引き出し
又は収納自在に設けられる携帯無線機用アンテナおよび
その製造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】最近になって携帯電話の普及が著しく進
んでいるが、この種の携帯無線機には、携帯に便利なよ
うに使用時に引き出し、さらに非使用時に無線機の筐体
内に収納が可能なロッドアンテナ部を備えたアンテナが
用いられている。このような収納自在なアンテナでは、
ロッドアンテナ部の収納時であっても電波の受信が可能
なようにロッドアンテナ部の先端部分にコイルアンテナ
部を設けて、ロッドアンテナ部の収納時にはこのコイル
アンテナ部のみを無線機筐体の外に突出させておく。そ
して、ロッドアンテナ部を無線機筐体内に収納している
ときにはコイルアンテナ部が作用して受信を行い、ロッ
ドアンテナ部の引き出し時にはこのロッドアンテナ部が
作用して送受信を行うようになっている。

【０００３】上述のような移動通信機器用アンテナの基
本構造を図１１によって説明する。図１１（Ａ）におい
てこのアンテナは、コイルアンテナ部２とロッドアンテ
ナ部６とを備えている。アンテナの先端部に設けられる
コイルアンテナ部２は、トップ１内に設けられたボビン
３にコイルエレメント２ａを巻回することによって構成
され、このコイルエレメント２ａがトップ１の基端部に
結合される導電性スリーブ４に接続されている。

【０００４】一方、ロッドアンテナ部６は、アンテナ導
体６ａを弾性を有する可撓性のアンテナチューブ７によ
って被覆して構成されており、アンテナの基端部に設け
られる導電性を有するストッパ８にアンテナ導体６ａの
基端部が接続されている。そして、上記のロッドアンテ
ナ部６の先端部分はコイルアンテナ部２の基端部をなす
導電性スリーブ４にジョイント部５を介して電気的に絶
縁された状態で固着されている。ジョイント部５は絶縁
性の樹脂材からなり、基端側にロッドアンテナ部６の先
端部分が一体に結合され、先端側が導電性スリーブ４内
に一体に結合されている。９はアンテナを筐体に装着す
るホルダである。

【０００５】図１１（Ｂ）、（Ｃ）によって上述した移
動通信機器用アンテナの形成方法を説明する。図１１
（Ｃ）において、まず、ロッドアンテナ部６の先端にジ
ョイント部５を一体成形する。ジョイント部５は、ロッ
ドアンテナ部６の先端を覆い先端に延びるロッド状の樹
脂材であって、その先端部分に結合部が形成される。そ
して、図１１（Ｂ）に示すように、コイルアンテナ部２
に装着された導電性スリーブ４の結合部にジョイント部
５の結合部を結合して、ロッドアンテナ部６とコイルア
ンテナ部２とを連結させる。上記結合部は、ジョイント
部５の外周面に形成されているネジで構成されており、
導電性スリーブ４側に形成されているねじ部に締結結合
される。また、この結合部では、ネジ結合に加えてある
いはその結合に代えて接着剤を塗布して結合することも
行われている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上述のように形成され
る従来の携帯無線機用アンテナでは、以下のような問題
がある。

【０００７】図１１に示したように、ロッドアンテナ部
６の先端にジョイント部５を一体成形して、その先端部
分に形成した結合部をコイルアンテナ部２に装着された
導電性スリーブ４の結合部に結合するものでは、第１
に、ジョイント部５と導電性スリーブ４とを連結するた
めの組立工程でねじ込みや接着といった煩雑な工程が入
るため、この工程が量産時のネックとなって高い生産性
を得られないという問題がある。また第２に、導電性ス
リーブ４にねじ加工等の加工を施す必要があり、部品の
コストが高くなるという問題がある。更には、導電性ス
リーブ４に形成されるねじ部の加工精度のバラツキや接
着材の塗布状態のバラツキによって、アンテナ全体の引
張り強度にバラツキが生じるといった品質面での問題も
ある。また、ジョイント部５と導電性スリーブ４とを結
合しているので、この結合部で横荷重や衝撃により折れ
やすいといった問題もあった。

【０００８】本発明は、上述した従来の移動通信機器用
アンテナおよびその製造方法から生じる問題点を解消す
るために提案されたものであって、量産に適してコスト
を低減させて、しかも安定した高品質の製品が得られる
移動通信機器用アンテナおよびその製造方法を提供する
ことを目的としている。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項１記載の発明は、ロッドアンテナ部と、該ロ
ッドアンテナ部の先端に設けられている絶縁性ジョイン
ト部を介して装着され、上記ロッドアンテナ部の収納時
に上記筐体から突出した状態で作用するコイルアンテナ
部とからなる移動通信機器用アンテナにおいて、上記ジ
ョイント部の一部は上記ロッドアンテナ部が一体成形さ
れ、上記ジョイント部の他の部分に導電性スリーブが挿
着されるとともにかしめ部材が装着され、そのかしめ部
材を含めて上記コイルアンテナ部のボビンと一体成形さ
れることにより導電性スリーブが固着されていることを
特徴とする。

【００１０】請求項２記載の発明は、ロッドアンテナ部
と、該ロッドアンテナ部の先端に設けられている絶縁性
ジョイント部を介して装着され、上記ロッドアンテナ部
の収納時に上記筐体から突出した状態で作用するコイル
アンテナ部とからなる移動通信機器用アンテナの製造方
法であって、上記ジョイント部の一部に上記ロッドアン
テナ部の先端を一体成形してジョイントアッセンブリを
構成し、上記ジョイントアッセンブリにおける上記ジョ
イント部の他の部分に上記導電性スリーブを挿着し、上
記ジョイント部の他の部分をボビン成形用金型内に配置
し、樹脂成形により上記コイルアンテナ部のボビンを成
形することにより、上記ジョイント部の他の部分と上記
ボビンとを一体成形して上記導電性スリーブを固着する
ことを特徴とする。

【００１１】請求項３記載の発明は、ロッドアンテナ部
と、該ロッドアンテナ部の先端に設けられている絶縁性
ジョイント部を介して装着され、上記ロッドアンテナ部
の収納時に上記筐体から突出した状態で作用するコイル
アンテナ部とからなる移動通信機器用アンテナの製造方
法であって、上記ジョイント部の一部に上記ロッドアン
テナ部の先端が一体成形され、ジョイント部の他の部分
にはかしめ部を有する導電性スリーブを挿着してそのか
しめ部が固定されたジョイント・スリーブアッセンブリ
を構成し、上記ジョイント・スリーブアッセンブリにお
ける上記ジョイント部の他の部分をボビン成形用金型内
に配置し、樹脂成形により上記コイルアンテナ部のボビ
ンを成形することにより、上記ジョイント部の他の部分
とボビンとを一体成形して上記導電性スリーブを固着す
ることを特徴とする。

【００１２】請求項４記載の発明は、ロッドアンテナ部
と、該ロッドアンテナ部の先端に設けられている絶縁性
ジョイント部を介して装着され、上記ロッドアンテナ部
の収納時に上記筐体から突出した状態で作用するコイル
アンテナ部とからなる移動通信機器用アンテナの製造方
法であって、上記ジョイント部の一部に上記ロッドアン
テナ部が一体成形され、ジョイント部の他の部分には上
記導電性スリーブを挿着するとともにかしめ部材を装着
してジョイント・スリーブアッセンブリを構成し、上記
ジョイント・スリーブアッセンブリにおけるジョイント
部の他の部分を上記かしめ部材を含めてボビン成形用金
型内に配置し、樹脂成形により上記ボビンを成形するこ
とにより、上記ジョイント部の他の部分と上記コイルア
ンテナ部のボビンとを一体成形して上記導電性スリーブ
を固着することを特徴とする。

【００１３】

【作用】前述の請求項１に記載の発明では、一部がロッ
ドアンテナ部と一体成形されているジョイント部の他の
部分は、導電性スリーブに挿着したうえでボビンの成形
用金型内に配置されてボビンが樹脂成形されることによ
り導電性スリーブが固着されるので、導電性スリーブを
固着するためにネジ結合したり接着剤による結合処理を
行う必要がない。これによると、上記結合部が不要にな
るばかりでなく、導電性スリーブに有するかしめ部を設
けることでボビンとジョイント部とを一体成形する際の
導電スリーブの位置ずれを規定することができ、また、
ジョイント部の他の部分に装着されるかしめ部材により
ジョイント部とボビンとの結合性を向上させることもで
きる。

【００１４】請求項２〜４に係る製造方法の発明では、
ジョイント部の他の部分に導電性スリーブを挿着してお
き、その部分をボビンの成形用金型内に配置してボビン
を樹脂成形することで導電スリーブをジョイント部に固
着することができるので、導電性スリーブを後加工によ
りネジ結合や接着によって固着する必要がない。しか
も、ボビンの樹脂成形時にジョイント部に対して導電性
スリーブを固着することができるので、導電性スリーブ
を新たに固着する場合に比べて作業時間を短縮すること
ができる。

【００１５】

【実施例】以下、図示実施例により本発明の詳細を説明
する。図１は、本発明の一実施例による移動通信機器用
アンテナの構成を示す断面図であり、図２乃至図４は、
図１に示した移動通信機器用アンテナの製造過程を説明
するための図である。図１において、移動通信機器用ア
ンテナ１０は、可撓性チューブ１１により外周を覆われ
たアンテナエレメント１２を備えたロッドアンテナ部１
３と、導電性スリーブ４０と接続されるコイルエレメン
ト２０が外周に捲装されたボビン２１と一体化されてい
るキャップ２２を備えたコイルアンテナ部２３と、ロッ
ドアンテナ部１３とコイルアンテナ部２３とを電気的に
絶縁した状態で連結するジョイント部３０とを備えて構
成されている。ロッドアンテナ部１３は、移動通信機器
の一つである携帯無線機の筐体Ｓに対して引き出しおよ
び収納方向に摺動可能であり、摺動方向の一端にはアン
テナエレメント１２と接続される金属製のストッパ１４
が一体化されている。また、ロッドアンテナ部１３に
は、筐体Ｓへの取付用部材１５が挿嵌されており、取付
用部材１５によって摺動自在に支持されている。

【００１６】ロッドアンテナ部１３とコイルアンテナ部
２３とを連結するジョイント部３０は、その構成が図３
に示されている。図３において、ジョイント部３０は、
樹脂製ロッド部材で構成され、ロッドアンテナ部１３の
摺動方向に平行する軸方向の一端側に相当するジョイン
ト部３０の一部にはロッドアンテナ部１３が、そのアン
テナエレメント１２および可撓性チューブ１１を一体成
形されて設けられている。ロッドアンテナ部１３は、そ
の先端部にインサート金具３１が予め圧入あるいはかし
められてジョイント部３０の成形用金型内に配置され、
ジョイント部３０が成形されるとジョイント部３０内に
インサート金具３１が埋設されてジョイント部３０から
抜け出ないようにされている。ジョイント部３０の一部
以外の他の部分には、軸方向末端近傍に軸方向に沿って
複数箇所に形成された凹部３０Ａが設けられており、凹
部３０Ａが存在しない凸部と合わせて凹凸状の係合部
（以下の説明では、凹部３０Ａの並設部と表現する）が
形成されている。ジョイント部３０は、軸方向両端部の
途中でジョイント部３０の他の部分に相当する箇所に段
部３０Ｂが形成されており、この段部３０Ｂには後述す
る導電性スリーブ４０の端部が突き当たるようになって
いる。

【００１７】導電性スリーブ４０は、図１、図２および
図４に示すように、コイルアンテナ部２３のコイルエレ
メント２０に接合される電極部をなし、図２に示すよう
に、ジョイント部３０の他の部分に挿入可能なように同
一内径を有した挿通孔４０Ａが軸方向に沿って貫通形成
されており、軸方向一部の外周面には、鍔部４０Ｂが形
成されている。この鍔部４０Ｂは、図１に示すように、
コイルアンテナ部２３のボビン２１と一体成形されるキ
ャップ２２の一部が迂回する箇所とされ、キャップ２２
はこの鍔部４０Ｂに一部が迂回した状態で成形されるこ
とで抜け止めされるようになっている。導電性スリーブ
４０は、ジョイント部３０の軸方向他端側から挿着、つ
まり挿入されて取り付けられ、端部がジョイント部３０
の段部３０Ｂに突き当たることで挿入位置に位置決めさ
れる。

【００１８】このような移動通信機器用アンテナ１０は
次の手順で製造される。まず、図３に示すように、ジョ
イント部３０の一部にロッドアンテナ部１３が一体成形
されてジョイントアッセンブリが構成される。この場合
には、上述したように、インサート金具３１が予め圧入
あるいはかしめられたアンテナエレメント１２及び可撓
性チューブ１１をジョイント部３０の成形用金型内（図
示されず）に配置し、成形用金型内に樹脂を充填するこ
とによりジョイント部３０とロッドアンテナ部１３とを
一体成形してジョイントアッセンブリが得られる。

【００１９】ジョイントアッセンブリは、ジョイント部
３０の他の部分に導電性スリーブ４０が挿着される。こ
の場合には、ジョイント部３０の軸方向他端側から導電
性スリーブ４０を挿入して取付け、段部３０Ｂに導電性
スリーブ４０を突き当てて挿入位置に位置決めする。ジ
ョイントアッセンブリにおけるジョイント部３０の他の
部分は、導電性スリーブ４０が挿入位置に位置決めされ
た状態でコイルアンテナ部２３のボビン２１を成形する
ための成形用金型（図示されず）内に配置される。本実
施例では、ボビン２１の成形に際し、予め導電性スリー
ブ４０の端部に一部が挿嵌されて接合されたコイルエレ
メント２１もボビン２０の成形用金型内に配置される。
ボビン２１の成形用金型内に樹脂が充填されると、図４
に示すようにボビン２１が成形されるとともにジョイン
ト部３０に有する係合部（凹部３０Ａの並設部）内にも
樹脂が充填されてジョイント部３０の他の部分がボビン
２１と一体化され、さらにボビン２１の外周にコイルエ
レメント２０が一体成形される。ボビン２１の成形が終
了すると、ボビン２１の部分をキャップ２２の成形用金
型（図示されず）内に配置し、キャップ２２をボビン２
１と一体成形することで図１に示す移動通信機器用アン
テナ１０が得られる。

【００２０】ボビン２１が成形されると、ジョイント部
３０の凹凸状の係合部（凹部３０Ａの並設部）によって
ボビン２１がジョイント部３０からずれないようにされ
るとともにボビン２１に一体成形されて位置ずれしない
状態とされているコイルエレメント２０の端部が導電性
スリーブ４０に接合されていることにより導電性スリー
ブ４０はジョイント部３０の軸方向で位置ずれしない状
態とされて固着される。

【００２１】このような実施例によれば、導電性スリー
ブ４０は、ジョイント部３０に挿着された後、接合され
ているコイルエレメント２１と同時にボビン２１の成形
が行われるだけでボビン２１およびこれと一体のコイル
エレメント２０とジョイント部３０の段部３０Ｂとで不
動状態に維持されることになる。

【００２２】次ぎに、本発明の別実施例を図５乃至図７
において説明する。本実施例は、導電性スリーブ（便宜
上符号４０’で示す）にかしめ部を設け、このかしめ部
をジョイント部３０にかしめたうえでジョイント部とボ
ビンとを一体成形することを特徴としている。なお、図
５乃至図７において図１乃至図４に示したものと同じ構
成部材については同符号により示してある。図５におい
て、移動通信機器用アンテナ１０は、図１に示した実施
例と同様に、アンテナエレメント１２を備えたロッドア
ンテナ部１３と、後述する構成を備えた導電性スリーブ
４０’と接続されるコイルエレメント２０が外周に捲装
されているボビン２１と一体化されているキャップ２２
を備えたコイルアンテナ部２３と、ロッドアンテナ部１
３とコイルアンテナ部２３とを電気的に絶縁した状態で
連結するジョイント部３０とを備えている。上記各部材
のうち、導電性スリーブ４０’を除いて他の部材は図１
に示した実施例と同様な構成であるので、詳細な構成の
説明は省き、以下に導電性スリーブ４０’の構成につい
て説明する。

【００２３】図６は、ジョイント部３０の一部にロッド
アンテナ部１３のアンテナエレメント１２が一体成形さ
れ、ジョイント部３０の他の部分に導電スリーブ４０’
が挿着されて構成されたジョイント・スリーブアッセン
ブリを示しており、同図において導電性スリーブ４０’
は、ジョイント部３０に有する段部３０Ｂに突き当たる
端部と反対側の端部にかしめ部４０Ａ’が設けられてい
る。かしめ部４０Ａ’はジョイント部３０の他の部分に
位置しており、ジョイント部３０に挿入された導電性ス
リーブ４０’を段部３０Ｂに突き当てて位置決めした状
態でかしめられるようになっている。

【００２４】このような構成の移動通信機器用アンテナ
１０は、次の手順により製造される。まず、図１に示し
た実施例と同様に、ジョイント部３０の一部にロッドア
ンテナ部１３が一体成形されてから、導電性スリーブ４
０’がジョイント部３０の他の部分に挿着され、段部３
０Ｂによって位置決めされた状態でかしめ部４０Ａ’が
かしめられて、図６に示すようなジョイント・スリーブ
アッセンブリが構成される。かしめ部４０Ａ’がかしめ
られることにより、導電性スリーブ４０’は、段部３０
Ｂとかしめ位置とにより位置ずれを阻止される。

【００２５】ジョイントアッセンブリにおけるジョイン
ト部３０の他の部分は、コイルアンテナ部２３のボビン
２１を成形するための成形用金型（図示されず）内に配
置される。この場合には、導電性スリーブ４０’に接合
されているコイルエレメント２０も同じように成形用金
型内に配置される。ボビン２１が成形されると、図７に
示すように、図１に示した実施例と同じように、ジョイ
ント部３０の凹凸状係合部（凹部３０Ａの並設部）がボ
ビン２１と係合して互いにずれないようにされるととも
にコイルエレメント２０がボビン２１と一体成形されて
ずれないことにより、導電性スリーブ４０’がジョイン
ト部３０の軸方向での位置ずれを防止されて固着され
る。

【００２６】本実施例によれば、ボビン２１と一体成形
されるジョイント部３０に対して導電性スリーブ４０’
のかしめ部４０Ａ’がかしめられているので、ボビン２
１の成形時に導電性スリーブ４０’が充填される樹脂の
流動圧によって位置ずれを起こすことがない。しかも、
このようなかしめによっても導電性スリーブ４０’の位
置ずれを規定することが可能になる。

【００２７】次ぎに、本発明の他の実施例を図８および
図９において説明する。本実施例は、ジョイント部３０
におけるボビン２１と一体化される位置にかしめ部材４
１を装着してボビン２１を抜け止めするようにしたこと
を特徴としている。なお、図８および図９において、か
しめ部材４１以外の部材に関する構成は図１乃至図７に
示した構成と同じであるので説明を省いてかしめ部材４
１に関する構成を以下に説明する。図８は、ジョイント
部３０の一部にロッドアンテナ部１３が一体成形され、
ジョイント部３０の他の部分に、図１に示したものと同
じ構成の導電性スリーブ４０が挿着されて構成されたジ
ョイント・スリーブアッセンブリを示しており、同図に
おいて、ジョイント部３０の他の部分には金属製あるい
は樹脂製のかしめ部材４１がかしめられて装着されてい
る。

【００２８】このような構成の移動通信機器用アンテナ
１０は、次の手順により製造される。まず、図１に示し
た実施例と同様に、ジョイント部３０の一部にロッドア
ンテナ部１３が一体成形されてから、ジョイント部３０
の他の部分に導電性スリーブ４０が挿着され、段部３０
Ｂによってその導電スリーブ４０が位置決めされるとと
もに、かしめ部材４１がかしめられて装着される。ジョ
イント・スリーブアッセンブリのジョイント部は、他の
部分がボビン２１を成形するための成形用金型内に配置
される。この場合には、かしめ部材４１を含めたジョイ
ント部３０の他の部分が成形用金型内に配置されてボビ
ン２１が成形される。ボビン２１の成型時には、上述し
た実施例と同様に、コイルエレメント２０も同時に一体
成形される。ボビン２１が成形されると、図９に示すよ
うに、図１に示した実施例と同様に、導電性スリーブ４
０がボビン２１，コイルエレメント２０および段部３０
Ｂによって位置ずれしない状態に維持される。一方、か
しめ部材４１を内包しているボビン２１は、かしめ部材
４１が、いわゆる、成形時でのインサート金具として機
能するので、ジョイント部３０との結合が堅固に維持さ
れる。

【００２９】次ぎに、本発明のさらに別の実施例を図１
０において説明する。図１０は、図１乃至図９に示した
ジョイント部３０に挿着される導電性スリーブ４０を示
しており、同図において導電性スリーブ４０は、内部に
貫通形成されている挿通孔４０Ａの軸方向でジョイント
部３０の一部が挿入される側の内部がジョイント部３０
の他の部分を挿入される部分よりも内径が大きくされて
大径部４０Ｃと小径部とを備えている。このため、ジョ
イント部３０は、導電性スリーブ４０の軸方向で大径部
４０Ｃに挿入される一部側が他の部分側に比べて大径に
形成されて大径部４０Ｃの開口縁から外方に延長されて
いる。このような構成により、大径部４０Ｃの開口縁を
支点とするジョイント部３０への曲げ力が作用した場合
には、開口縁でのジョイント部３０の外径が太くされて
曲げ剛性が高められているので、例えば、ロッドアンテ
ナ部１３に衝撃力が作用したような場合でもロッドアン
テナ部１３が折れにくくされる。また、挿通孔４０Ａの
開口縁に位置するジョイント部３０は、挿通孔４０Ａ内
に入り込んだ位置からストレートシャンク状とされて段
部を生じないので、ロッドアンテナ部１３に横方向の力
が働いても折損しにくい。つまり、図１１に示すよう
に、導電性スリーブ（図１１中、符号４で示す部材）が
挿入されるジョイント部（同、符号５で示す部材）に段
部があると、横方向の力が作用した場合に導電性スリー
ブ４の開口端面と接触するジョイント部の段部端面に負
荷が集中して作用することになり、端面から亀裂が生じ
やすくなり折損しやすいが、図１０に示すような構成と
することで開口端面にはジョイント部３０が対向してい
ないので上記した負荷の集中を生じることがない。

【００３０】上記実施例では、コイルエレメント２０が
ボビン２１の成形時に同時成形される例を挙げたが、ボ
ビン２１の成形後、コイルエレメント２０をボビン２１
に巻回するようにしてもよいこと勿論である。

【００３１】

【発明の効果】以上のように、本発明は、ロッドアンテ
ナ部と、該ロッドアンテナ部の先端に設けられている絶
縁性ジョイント部を介して装着され、上記ロッドアンテ
ナ部の収納時に上記筐体から突出した状態で作用するコ
イルアンテナ部とからなる移動通信機器用アンテナ及び
その製造方法において、上記ジョイント部の一部を上記
コイルアンテナ部のボビンと一体に成形することができ
るので、量産に適してコストを低減させて、しかも安定
した高品質の製品が得られるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示す説明図である。

【図２】本発明の実施例を示す説明図である。

【図３】本発明の実施例を示す説明図である。

【図４】本発明の実施例を示す説明図である。

【図５】本発明の実施例を示す説明図である。

【図６】本発明の実施例を示す説明図である。

【図７】本発明の実施例を示す説明図である。

【図８】本発明の実施例を示す説明図である。

【図９】本発明の実施例を示す説明図である。

【図１０】本発明の実施例における構成の一部変形例を
示す説明図である。

【図１１】従来例を示す説明図である。

【符号の説明】

１０ 移動通信機器用アンテナ １２ アンテナエレメント １３ ロッドアンテナ部 ２０ コイルエレメント ２１ ボビン ２３ コイルアンテナ部 ３０ ジョイント部 ４０、４０’導電性スリーブ ４０Ａ’ かしめ部 ４０Ｃ ジョイント部の一部が挿入される側に相当する
部分 ４１ かしめ部材 Ｓ 筐体

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平10−13137（ＪＰ，Ａ) 特開 平７−99404（ＪＰ，Ａ) 特開 平９−275309（ＪＰ，Ａ) 特開 平７−235820（ＪＰ，Ａ) 特開 平８−32332（ＪＰ，Ａ) 特開 平11−68436（ＪＰ，Ａ) 特開 平11−205020（ＪＰ，Ａ) 特開 平11−340717（ＪＰ，Ａ) 特開 平11−261327（ＪＰ，Ａ) 特開 平11−88021（ＪＰ，Ａ) 特開 平11−122016（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) H01Q 1/24 H01Q 1/10

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ロッドアンテナ部と、該ロッドアンテナ
   部の先端に設けられている絶縁性ジョイント部を介して
   装着され、上記ロッドアンテナ部の収納時に上記筐体か
   ら突出した状態で作用するコイルアンテナ部とからなる
   移動通信機器用アンテナにおいて、 上記ジョイント部の一部は上記ロッドアンテナ部が一体
   成形され、上記ジョイント部の他の部分に導電性スリー
   ブが挿着されるとともにかしめ部材が装着され、そのか
   しめ部材を含めて上記コイルアンテナ部のボビンと一体
   成形されることにより導電性スリーブが固着されている
   ことを特徴とする移動通信機器用アンテナ。
2. 【請求項２】 ロッドアンテナ部と、該ロッドアンテナ
   部の先端に設けられている絶縁性ジョイント部を介して
   装着され、上記ロッドアンテナ部の収納時に上記筐体か
   ら突出した状態で作用するコイルアンテナ部とからなる
   移動通信機器用アンテナの製造方法であって、 上記ジョイント部の一部に上記ロッドアンテナ部の先端
   を一体成形してジョイントアッセンブリを構成し、 上記ジョイントアッセンブリにおける上記ジョイント部
   の他の部分に上記導電性スリーブを挿着し、 上記ジョイント部の他の部分をボビン成形用金型内に配
   置し、樹脂成形により上記コイルアンテナ部のボビンを
   成形することにより、上記ジョイント部の他の部分と上
   記ボビンとを一体成形して上記導電性スリーブを固着す
   ることを特徴とする移動通信機器用アンテナの製造方
   法。
3. 【請求項３】 ロッドアンテナ部と、該ロッドアンテナ
   部の先端に設けられている絶縁性ジョイント部を介して
   装着され、上記ロッドアンテナ部の収納時に上記筐体か
   ら突出した状態で作用するコイルアンテナ部とからなる
   移動通信機器用アンテナの製造方法であって、 上記ジョイント部の一部に上記ロッドアンテナ部の先端
   が一体成形され、ジョイント部の他の部分にはかしめ部
   を有する導電性スリーブを挿着してそのかしめ部が固定
   されたジョイント・スリーブアッセンブリを構成し、 上記ジョイント・スリーブアッセンブリにおける上記ジ
   ョイント部の他の部分をボビン成形用金型内に配置し、
   樹脂成形により上記コイルアンテナ部のボビンを成形す
   ることにより、上記ジョイント部の他の部分とボビンと
   を一体成形して上記導電性スリーブを固着することを特
   徴とする移動通信機器用アンテナの製造方法。
4. 【請求項４】 ロッドアンテナ部と、該ロッドアンテナ
   部の先端に設けられている絶縁性ジョイント部を介して
   装着され、上記ロッドアンテナ部の収納時に上記筐体か
   ら突出した状態で作用するコイルアンテナ部とからなる
   移動通信機器用アンテナの製造方法であって、 上記ジョイント部の一部に上記ロッドアンテナ部が一体
   成形され、ジョイント部の他の部分には上記導電性スリ
   ーブを挿着するとともにかしめ部材を装着してジョイン
   ト・スリーブアッセンブリを構成し、 上記ジョイント・スリーブアッセンブリにおけるジョイ
   ント部の他の部分を上記かしめ部材を含めてボビン成形
   用金型内に配置し、樹脂成形により上記コイルアンテナ
   部のボビンを成形することにより、上記ジョイント部の
   他の部分と上記ボビンとを一体成形して上記導電性スリ
   ーブを固着することを特徴とする移動通信機器用アンテ
   ナの製造方法。