JPH1167260A - 燃料電池装置 - Google Patents

燃料電池装置

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JPH1167260A
JPH1167260A JP9244687A JP24468797A JPH1167260A JP H1167260 A JPH1167260 A JP H1167260A JP 9244687 A JP9244687 A JP 9244687A JP 24468797 A JP24468797 A JP 24468797A JP H1167260 A JPH1167260 A JP H1167260A
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JP
Japan
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gas
fuel cell
oxidizing gas
fuel
flow path
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JP9244687A
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English (en)
Inventor
Yoshikazu Toohata
良和 遠畑
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Publication of JPH1167260A publication Critical patent/JPH1167260A/ja
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

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  • Fuel Cell (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 各単セル内流路に供給されるガス量がばらつ
いて燃料電池の性能が低下するのを抑え、凝縮水が燃料
電池内のガス流路を閉塞してしまうのを防止する。 【解決手段】 ガス分配装置20は、穴部23を有する
円盤部24と羽部25とを有するロータリーシャッタ2
2を備えている。所定の酸化ガス供給装置から酸化ガス
流路70を介して酸化ガスが供給されると、酸化ガスが
羽部25に当接して円盤部24が回転する。この酸化ガ
スは、円盤部24と酸化ガス流路70との間に設けられ
た空間と、穴部23とを通過して、分岐ガス流路71〜
74に導入され、この分岐ガス流路を介して、燃料電池
を構成する各燃料電池スタックに供給される。このと
き、その流路断面が穴部23と重なる分岐ガス流路に
は、他の分岐ガス流路よりも多くの酸化ガスが供給さ
れ、対応する燃料電池スタックが有する酸化ガス流路内
に滞留する凝縮水を吹き飛ばして取り除く。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料電池装置に関
し、詳しくは、水素を含有する燃料ガスと酸素を含有す
る酸化ガスの供給を受け、電気化学反応により起電力を
得る燃料電池を複数接続してなる燃料電池装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】燃料電池は、燃料が有する化学エネルギ
を、熱エネルギや機械エネルギを経由することなく直接
電気エネルギに変換するため、高いエネルギ変換効率が
実現可能な方法として知られている。燃料電池は、陽極
側には酸素を含有する酸化ガスの供給を受け、陰極側に
は水素を含有する燃料ガスの供給を受けて、その電極部
において以下に示す電気化学反応を進行する。
【0003】 H2 → 2H++2e- …(1) (1/2)O2+2H++2e- → H2O …(2) H2+(1/2)O2 → H2O …(3)
【0004】(1)式は陰極側における反応、(2)式
は陽極側における反応を示し、燃料電池全体では(3)
式に示す反応が進行する。上記したように、燃料電池に
おける電気化学反応では、陽極側において水を生じる。
また、燃料電池が備える電解質層の乾燥を防ぐ目的で上
記燃料ガスや酸化ガスには水蒸気が加えられることがあ
る。したがって、燃料電池内部の所定の領域では、上記
した生成水やガス中の水蒸気が凝縮して水滴を成し、ガ
スの流路を塞いでしまうという不都合を生じることがあ
る。
【0005】凝縮水によるガス流路の閉塞の説明に先立
って、まず、燃料電池(特に固体高分子型燃料電池)の
構造について説明する。燃料電池は、通常は、単セルを
複数積層したスタック構造をなしている。図6は、燃料
電池を構成する基本単位である上記単セル32の構成を
示す断面模式図である。単セル32は、電解質膜41
と、アノード42およびカソード43と、セパレータ4
4,45とから構成されている。電解質膜41は、湿潤
状態で良好な導電性を示す固体高分子膜からなる。アノ
ード42およびカソード43は、電解質膜41を両側か
ら挟んでサンドイッチ構造を成すガス拡散電極である。
セパレータ44,45は、このサンドイッチ構造をさら
に両側から挟みつつ、アノード42およびカソード43
との間に、燃料ガスおよび酸化ガスの流路を形成する。
アノード42とセパレータ44との間には燃料ガス流路
44Pが形成されており、カソード43とセパレータ4
5との間には酸化ガス流路45Pが形成されている。実
際に燃料電池を組み立てるときには、上記単セル32を
所定の枚数積層してスタック構造を形成する。このよう
なスタック構造を備えた固体高分子型燃料電池の内部に
は、スタック構造を貫通してガスの流路が設けられてい
る。このガス流路とは、各単セルに燃料ガスまたは酸化
ガスを供給するための燃料ガス供給マニホールドまたは
酸化ガス供給マニホールド、あるいは、各単セルにおけ
る電池反応に供された後の燃料ガスまたは酸化ガスが集
められる燃料ガス排出ガスマニホールドまたは酸化ガス
排出ガスマニホールドである。これらの流路はそれぞ
れ、燃料電池の外部に設けられた所定の燃料ガス供給装
置や酸化ガス供給装置、あるいは燃料ガス排出装置や酸
化ガス排出装置に接続されている。
【0006】このような構造の燃料電池において、既述
した生成水やガス中の水蒸気は、例えば、ガス拡散電
極、各単セル内部の流路(単セル内流路)、燃料電池内
部を貫通して各単セルにガスの給排を行なう流路(ガス
マニホールド)等において凝縮して水滴を形成し、ガス
の流路を塞いでしまう。ガス拡散電極において、凝縮水
によって水の膜が生成されると、電極内でガスの拡散が
阻害され、ガス拡散電極においてガスの供給を受けられ
ない領域が生じる。また、上記電池反応によって生じた
生成水や電解質膜31内を移動してきた水が、各単セル
22内部の流路において凝縮してしまう場合には、水滴
によって単セル内流路が塞がれるため、やはりガス拡散
電極においてガスの供給を受けられない領域が生じる。
あるいは、このような凝縮水からなる水滴がガスマニホ
ールド内で生じた場合には、この生じた水滴が各単セル
内流路との接続部を塞いでしまうおそれがある。上記し
たように、ガス拡散電極、単セル内流路、ガスマニホー
ルド等、燃料電池内のどこにおいて凝縮が起こった場合
にも、燃料電池内部での水の凝縮は電池性能を悪化させ
る原因となっていた。
【0007】また、上記した単セル内流路等において生
成水が凝縮してしまうと、凝縮水によって流路が塞がれ
てしまう前に、燃料電池を構成する各単セル間で、供給
されるガス量にばらつきが生じ、これによって燃料電池
の発電性能が低下してしまうという問題を生じる。すな
わち、単セル内流路で生成水が凝縮すると、このような
単セル内流路ではガスの流れに対する抵抗が増すため、
供給されるガス量が他の単セルに比べて少なくなる。供
給されるガス量が少なくなれば、単セル内で進行する電
気化学反応の量も少なくなり、これによって燃料電池内
において単セル間で発電量にばらつきが生じ、燃料電池
全体の性能が低下してしまう。特に、燃料電池からの出
力の量を充分に確保するために、複数のスタックを接続
して燃料電池を構成する場合には、燃料電池全体で多く
の分岐したガス流路を有することになり、上記凝縮水か
らなる水滴が滞留してガスの流れに対しうる抵抗が増す
おそれのある場所が増加してしまうという問題を生じ
る。
【0008】そこで従来は、燃料電池内部の各所で水蒸
気が凝縮して上記した不都合が生じてしまうのを防止す
るために、燃料電池に供給するガスの流量および圧力を
一時的に上昇させ、凝縮した水を吹き飛ばして水滴の除
去を行なう方法が提案されていた(例えば特開昭54−
144934号公報等)。このように、燃料電池に供給
するガスの流量および圧力を一時的に上昇させることに
よって、凝縮水がガス流路を閉塞してしまうという前者
の不都合が生じるのを妨げることができる。さらに、ガ
スの圧力を一時的に上昇させて単セル内に滞留する凝縮
水を取り除き、各単セル内流路に供給されるガス量およ
び各単セルごとの発電量がばらつくのを抑えることによ
って、燃料電池の性能が低下してしまうという後者の不
都合を防ぐことができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
たように燃料電池に供給するガスの流量や圧力を一時的
に増加させることによって凝縮水を吹き飛ばす構成とす
る場合には、上記ガスマニホールド内の水滴は容易に吹
き飛ばすことができても、上記ガス拡散電極内や単セル
内流路などで凝縮した水に対しては効果を得にくいとい
う問題があった。これは、燃料電池に供給するガスの流
量や圧力をガスの供給装置側で増加させても、実際に水
滴が生じている箇所に達するガスの流量や圧力はさほど
増加しないことに起因している。燃料電池は既述したよ
うに単セルを複数積層したスタック構造をとっているた
め、各単セルにガスが分配される時には、燃料電池が備
える単セル数に応じて、ガス供給量の増加分もまた分割
されてしまう。また、既述したように、複数のスタック
を接続して燃料電池を構成した場合には、ガスの供給装
置側でガスの流量や圧力を増加させることによる効果
が、さらに少なくなってしまう。そのため、水滴が生じ
ている箇所に供給されるガスの流量や圧力の増加量は不
十分となってしまい、燃料電池に供給するガスの流量や
圧力を増加させても結果的に水滴の除去が行なわれない
ことがあった。
【0010】逆に、水滴が生じている箇所に供給するガ
スの流量や圧力を充分に増加させて水滴の除去を効果的
に行なおうとすると、流量や圧力の増加量を大過剰にす
る必要があり、採用し難い場合がある。特に、燃料ガス
の流量または圧力を増加させて水滴の除去を行なおうと
する場合には、燃料ガスの供給量を過剰にすることによ
って、電池反応に関わることなく排出される水素量が増
加してしまうという不都合を生じる。電池反応で利用さ
れない水素量の増大は、この燃料電池を備える燃料電池
システム全体でのエネルギ効率の低下を引き起こす。特
に、燃料電池を車両駆動用の電源として車載する場合の
ように、準備可能な燃料の量に限りがある場合には不利
となる。車両駆動用の電源として燃料電池を用いる場合
には、供給するガス量を増加することによって水滴を吹
き飛ばす上記した構成は、車載された所定量の燃料で走
行可能な距離を短縮させてしまうことになる。また、燃
料電池に供給するガスの流量および圧力を増加させるた
めには、より多くのエネルギを消費することになり、装
置全体のエネルギ効率の低下を引き起こしてしまう。さ
らに、供給するガスの増加量を大過剰にする場合には、
燃料電池にガスを供給する配管などの設備もまた大過剰
の流量や圧力に耐えるものとし、ガス供給装置も大過剰
の流量や圧力のガスを供給可能にする必要が生じ、装置
全体の大型化などの問題を新たに引き起こすおそれがあ
る。
【0011】なお、単セル内流路に生じた凝縮水によっ
て、各単セルに供給されるガス量がばらついて、単セル
毎に発電量がばらついてしまうという弊害は、燃料電池
に供給するガス量を上記したように一時的に充分に増加
させる代わりに、燃料電池に供給するガス量を恒常的に
所定量だけ増加させることによっても防ぐことが可能で
ある。すなわち、ガスの流量および圧力をある程度増加
させることによって、凝縮水がより滞留しにくい環境に
して、各単セルに供給されるガス量のばらつきを抑える
ことができる。
【0012】燃料電池に供給すべきガスの量は、燃料電
池の発電量、すなわち燃料電池に接続される負荷の大き
さによって定まる。負荷の大きさに対応する所定の電力
を得るために要するガス量は、既述した(1)式および
(2)式に基づいて、理論的に求めることができる。以
下、このように理論的に求められる水素のモル数および
酸素のモル数、あるいは、これらの値に対応する燃料ガ
スの量および酸化ガスの量をストイキ1と呼ぶことにす
る。このストイキ1を充分に超える量のガスを燃料電池
に常に供給することによって、上記したように、各単セ
ル内の流路に凝縮水が滞留し、燃料電池の性能が低下し
てしまうのを防止することができる。しかしながら、こ
のような場合にも、燃料電池に供給するガス量をより多
くすることによって、ガスの供給のためにより多くのエ
ネルギを消費して、装置全体のエネルギ効率の低下を引
き起こしてしまう。
【0013】本発明の燃料電池装置は、こうした問題を
解決し、電池反応に関わることなく排出される水素量の
増加と燃料電池の大型化とを抑え、燃料電池を構成する
各単セル内流路に供給されるガス量がばらついて燃料電
池の性能が低下してしまうのを抑えると共に、凝縮水が
燃料電池内のガス流路を閉塞してしまうのを防止するこ
とを目的としてなされ、次の構成を採った。
【0014】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】本
発明の燃料電池装置は、単セルを複数積層した燃料電池
積層体を複数備え、前記燃料電池積層体にガスを供給
し、前記燃料電池積層体内の前記各単セル内にガスを行
き渡らせて、前記各単セル内で前記ガス中の所定の成分
を用いた電気化学反応を進行させて起電力を得る燃料電
池装置であって、前記複数の燃料電池積層体の各々に対
して前記ガスを供給するガス供給手段と、前記ガス供給
手段と前記複数の燃料電池積層体の各々とを接続し、前
記ガス供給手段から供給される前記ガスを、前記複数の
燃料電池積層体の各々に分配して導くガス流路とを備
え、前記ガス流路は、前記各燃料電池積層体に対する前
記ガスの分配の割合を変化させる分配制御手段を備える
ことを要旨とする。
【0015】以上のように構成された本発明の燃料電池
装置は、単セルを複数積層した燃料電池積層体の各々
と、ガス供給手段とを、ガス流路によって接続する。こ
のガス流路は、ガス供給手段から供給されるガスを、前
記複数の燃料電池積層体の各々に分配して導く。その
際、前記ガス流路が備える分配制御手段によって、前記
各燃料電池積層体に対する前記ガスの分配の割合が変化
される。燃料電池積層体内では単セル内に供給された前
記ガスが行き渡り、単セル内では前記ガス中の所定の成
分を用いた電気化学反応を進行させて起電力を得る。
【0016】このような燃料電池装置によれば、各燃料
電池積層体に対するガスの分配の割合が変化するため、
それぞれの燃料電池積層体が供給されるガスの量が増減
する。したがって、一時的に流量が増加するガスの流れ
を利用して、燃料電池積層体内のガス流路に生じた凝縮
水を吹き飛ばすことができる。これによって、単セル内
流路に凝縮水が滞留して単セル毎に供給されるガス量が
ばらついて、前記各燃料電池積層体における発電の性能
が低下してしまうのを防ぐことができると共に、前記各
燃料電池積層体内のガス流路が凝縮水によって閉塞して
しまうのを防ぐことができる。
【0017】ここで、前記各燃料電池積層体に対する前
記ガスの分配の割合を変化させることによって、それぞ
れの燃料電池積層体が供給されるガスの量を増減させて
いるため、それぞれの燃料電池積層体に供給するガスの
量を増減させる際に、前記ガス供給手段から供給される
前記ガスの総量が影響されることがない。したがって、
それぞれの燃料電池積層体に供給するガスの量を増減さ
せるために、前記ガス供給手段において過剰のエネルギ
を消費してしまうことがなく、燃料電池内のガス流路か
ら凝縮水を取り除くために、燃料電池装置全体のエネル
ギ効率が低下してしまうことがない。
【0018】本発明の燃料電池装置において、前記分配
制御手段は、前記複数の燃料電池積層体のうち、所定の
燃料電池積層体に対し、所定量の前記ガスの供給は確保
しつつ前記ガスの流れを妨げるガス流制限部を備え、該
ガス流制限部が前記ガスの流れを妨げる対象となる前記
燃料電池積層体を順次切り替えることによって、前記各
燃料電池積層体に対する前記ガスの分配の割合を変化さ
せることとしてもよい。
【0019】このような構成の燃料電池装置によれば、
すべての前記単セルにおいて所定量の前記ガスの供給が
確保されるため、燃料電池装置全体で充分な発電量を確
保することができる。すなわち、本発明の燃料電池装置
では、前記分配制御手段の働きによって、前記各燃料電
池積層体の流路内の凝縮水が取り除かれるため、凝縮水
の影響で前記各単セルに供給される前記ガス量がばらつ
いてしまうことがない。したがって、所定量の前記ガス
として、各単セルにおいて充分な効率で電気化学反応が
進行可能となる最低量のガスを確保すれば、すべての前
記単セルに充分量の前記ガスを供給することができ、燃
料電池装置全体で充分な発電量を確保することができ
る。各単セルにおいて充分な効率で電気化学反応が進行
可能となる最低量のガスを確保すればよいことから、前
記ガス供給手段から供給すべき前記ガスの総量をより少
なく抑えることができる。
【0020】ここで、前記ガス流制限部は、前記ガス流
路内を通過する前記ガスの流れを利用して駆動されるこ
とによって、前記各燃料電池積層体に対する前記ガスの
分配の割合を変化させることとしてもよい。
【0021】このような燃料電池装置によれば、前記ガ
ス流路内を通過する前記ガスの流れを利用して、前記ガ
ス流路制限部を駆動するため、前記各燃料電池積層体に
対する前記ガスの分配の割合を変化させるために特別に
エネルギを消費してしまうことがない。したがって、燃
料電池内の流路から凝縮水を取り除くための前記分配制
御手段を設けることによって、燃料電池装置全体のエネ
ルギ効率が低下してしまうことがない。
【0022】
【発明の実施の形態】以上説明した本発明の構成・作用
を一層明らかにするために、以下本発明の実施の形態を
実施例に基づき説明する。図1は、本発明の好適な一実
施例である燃料電池装置10が備えるガス分配装置20
の構成の概略を表わす説明図、図2は、燃料電池装置1
0が備える燃料電池30を構成する4個の燃料電池スタ
ック34a〜dと、各燃料電池スタック34に酸化ガス
を供給する上記ガス分配装置20との接続の様子を表わ
す説明図である。また、図3は、燃料電池30を構成す
る燃料電池スタック34の構成を表わす分解斜視図、図
4は、燃料電池スタック34の外観を表わす斜視図であ
る。
【0023】本実施例の燃料電池装置10は、4個の燃
料電池スタック34によって構成された燃料電池30を
備えており、この燃料電池30は、水素を含有する燃料
ガスと酸素を含有する酸化ガスとの供給を受けて起電力
を得る。さらに燃料電池装置10は、ガス分配装置20
を備えており、このガス分配装置20によって、各燃料
電池スタック34に供給する酸化ガスの量を調節可能と
なっている。ここでは、まず最初に、図3および図4に
基づいて、燃料電池30を構成する燃料電池スタック3
4について説明し、次に、燃料電池30内部でのガスの
流れについて説明し、続いて、本発明の要部に対応する
ガス分配装置20について説明する。
【0024】燃料電池30は固体高分子型燃料電池であ
って、この燃料電池30を構成する基本単位である単セ
ル32の構成は図6に基づいて既述した通りである。実
際に燃料電池を組み立てる時には、図3に示す形状の各
部材を順次重ねて、単セル32を複数組積層したスタッ
ク構造を形成する。図6では、各セパレータ44,45
の片面においてだけガス流路を成すリブが形成されてい
るように表わされているが、実際の燃料電池30では、
図3に示すように、両面にリブを形成したセパレータ4
0を用いている。セパレータ40の片面に形成されたリ
ブ54は隣接するアノード42との間で燃料ガス流路4
4Pを形成し、セパレータ40の他面に形成されたリブ
55は隣接する単セルが備えるカソード43との間で酸
化ガス流路45Pを形成する。このようにセパレータ4
0は、ガス拡散電極との間でガスの流路を形成すると共
に、隣接する単セル間で燃料ガスと酸化ガスとの流れを
分離する役割を果たしている。
【0025】ここで、電解質膜41は、固体高分子材
料、例えばフッ素系樹脂により形成されたプロトン伝導
性のイオン交換膜であり、湿潤状態で良好な電気伝導性
を示す。本実施例では、ナフィオン膜(デュポン社製)
を使用した。電解質膜41の表面には、触媒としての白
金または白金と他の金属からなる合金が塗布されてい
る。触媒を塗布する方法としては、白金または白金と他
の金属からなる合金を担持したカーボン粉を作製し、こ
の触媒を担持したカーボン粉を適当な有機溶剤に分散さ
せ、電解質溶液(例えば、Aldrich Chemi
cal社、Nafion Solution)を適量添
加してペースト化し、電解質膜41上にスクリーン印刷
するという方法をとった。あるいは、上記触媒を担持し
たカーボン粉を含有するペーストを膜成形してシートを
作製し、このシートを電解質膜41上にプレスする構成
も好適である。
【0026】アノード42およびカソード43は、共に
炭素繊維からなる糸で織成したカーボンクロスにより形
成されている。なお、本実施例では、アノード42およ
びカソード43をカーボンクロスにより形成したが、炭
素繊維からなるカーボンペーパまたはカーボンフエルト
により形成する構成も好適である。
【0027】セパレータ40は、ガス不透過の導電性部
材、例えば、カーボンを圧縮してガス不透過とした緻密
質カーボンにより形成されている。セパレータ40はそ
の両面にリブ54,55を形成しており、既述したよう
に、アノード42の表面とで燃料ガス流路44Pを形成
し、隣接する単セルのカソード43の表面とで酸化ガス
流路45Pを形成する。本実施例の燃料電池30では、
各セパレータの表面に形成されたリブ54,55は平行
に形成された複数の溝状の構造とし、セパレータの両面
で、それぞれ直交する方向にリブ54とリブ55とを形
成した。
【0028】また、セパレータ40の周辺部には、4つ
の穴構造が設けられている。燃料ガス流路44Pを形成
するリブ54を連絡する燃料ガス孔50,51と、酸化
ガス流路45Pを形成するリブ55連絡する酸化ガス孔
52,53である。燃料電池30を組み立てたときに
は、各セパレータ40が備える燃料ガス孔50,51
は、燃料電池30内部をその積層方向に貫通する燃料ガ
ス供給マニホールド56および燃料ガス排出マニホール
ド57を形成する。また、各セパレータ40が備える酸
化ガス孔52,53は、同じく燃料電池30内部をその
積層方向に貫通する酸化ガス供給マニホールド58およ
び酸化ガス排出マニホールド59を形成する。
【0029】以上説明した各部材を備える燃料電池30
を組み立てるときには、セパレータ40、アノード4
2、電解質膜41、カソード43、セパレータ40の順
序で順次重ね合わせ、その両端にさらに集電板46,4
7、絶縁板48,49、エンドプレート60,61を配
置して図4に示す燃料電池スタック34を完成する。こ
こで、集電板46,47は緻密質カーボンや銅板などに
より形成され、絶縁板48,49はゴムや樹脂等の絶縁
性部材によって形成され、エンドプレート60,61は
剛性を備えた鋼等の金属によって形成されている。ま
た、集電板46,47にはそれぞれ出力端子46A,4
7Aが設けられており、燃料電池30で生じた電力を出
力可能となっている。
【0030】燃料電池スタック34を構成するときの各
部材の積層順序は上述した通りであるが、電解質膜41
の周辺部には、セパレータ40と接する領域において所
定のシール部材が設けられる。このシール部材は、各単
セル内部から燃料ガスおよび酸化ガスが漏れ出すのを防
ぐと共に、燃料電池スタック34内において燃料ガスと
酸化ガスとが混合してしまうのを防止する役割を果た
す。
【0031】エンドプレート60は、図4に示すように
2つの穴構造を備えている。一つは燃料ガス孔62、も
う一つは酸化ガス孔64である。エンドプレート60と
隣接する絶縁板48および集電板46は、エンドプレー
ト60が備える2つの穴構造と対応する位置に同様の2
つの穴構造を形成している。この燃料ガス孔62は、セ
パレータ40の備える燃料ガス孔50の中央部に開口し
ている。なお、燃料電池30を動作させるときには、燃
料ガス孔62と図示しない燃料供給装置とを接続し、上
記燃料供給装置から燃料電池30内部に水素リッチな燃
料ガスを供給する。同様に、酸化ガス孔64は前記セパ
レータ40の備える酸化ガス孔52の中央部に対応する
位置に形成されている。燃料電池30を動作させるとき
には、酸化ガス孔64と後述するガス分配装置20とを
接続し、このガス分配装置20を介して、図示しない酸
化ガス供給装置から酸素を含有する酸化ガスを燃料電池
30内部に供給する。
【0032】ここで、燃料ガス供給装置と酸化ガス供給
装置は、それぞれのガスに対して所定量の加圧および必
要に応じた加湿を行なって燃料電池30に供給する装置
である。燃料ガス供給装置としては、メタノール等の炭
化水素を原燃料として用いてこれを改質し、改質反応に
よって生成した水素リッチガスを燃料電池30に供給す
る装置としてもよいし、水素吸蔵合金を備えた水素貯蔵
装置や水素ボンベなど、純度の高い水素ガスを燃料電池
30に対して供給可能に準備する装置としてもよい。ま
た、酸化ガス供給装置としては、空気を取り込んでこれ
を加圧し、加圧空気を燃料電池30に供給するブロワか
らなる装置を用いた。これらの燃料ガス供給装置および
酸化ガス供給装置は、燃料電池30における出力、すな
わち燃料電池30で進行する電気化学反応の量に応じ
て、充分な量の燃料ガスおよび酸化ガスを燃料電池30
に対して供給するよう制御される。実際には、燃料ガス
供給装置では、改質反応によって上記原燃料から水素リ
ッチガスを生成する量を調節したり、上記水素貯蔵装置
における加熱量を制御して水素吸蔵合金から取り出す水
素量を調節したりする。また、酸化ガス供給装置では、
上記ブロワの駆動量を制御することによって、ブロワに
よって取り込む空気量を調節する。
【0033】また、エンドプレート61は、エンドプレ
ート60とは異なる位置に2つの穴構造を備えている。
絶縁板49、集電板47もまたエンドプレート61と同
様の位置に、それぞれ2つの穴構造を形成している。エ
ンドプレート61が備える穴構造の一つ燃料ガス孔63
はセパレータ40の備える燃料ガス孔51の中央部に対
応する位置に開口している。もう一つの穴構造である酸
化ガス孔65はセパレータ40の備える酸化ガス孔53
の中央部に対応する位置に開口している。燃料電池30
を動作させるときには、燃料ガス孔63には図示しない
燃料ガス排出装置が接続され、酸化ガス孔65には図示
しない酸化ガス排出装置が接続される。
【0034】以上説明した各部材からなる燃料電池スタ
ック34は、その積層方向に所定の押圧力がかかった状
態で保持され、燃料電池30が完成する。燃料電池スタ
ック34を押圧する構成については、図示は省略した。
燃料電池スタック34を押圧しながら保持するには、燃
料電池スタック34をボルトとナットを用いて締め付け
る構成としても良いし、あるいは所定の形状のスタック
収納部材を用意して、このスタック収納部材の内部に燃
料電池スタック34を収納した上でスタック収納部材の
両端部を折り曲げて、燃料電池スタック34に押圧力を
作用させる構成としても良い。
【0035】なお、上記した燃料電池スタック34の構
成に関する説明では記載を省略したが、燃料電池スタッ
ク34には、燃料ガスの流路と酸化ガスの流路の他に、
冷却水の流路が設けられている。燃料電池において電気
化学反応が進行するときには、生じたエネルギのすべて
が電気エネルギに変換されるわけではなく、所定量のエ
ネルギは熱エネルギとして外部に放出される。したがっ
て、燃料電池スタック34内に冷却水の流路を設け、燃
料電池30と所定の熱交換部との間で冷却水を循環させ
ることによって、電気化学反応の進行と共に生じた熱を
取り除き、燃料電池30の運転温度を所望の温度範囲に
保っている。
【0036】次に、以上のような構成を備えた燃料電池
30における燃料ガスおよび酸化ガスの流れについて説
明する。燃料ガスは、上記した所定の燃料ガス供給装置
から、エンドプレート60に形成された燃料ガス孔62
を経て燃料電池30内部に導入される。燃料電池30内
部で燃料ガスは、燃料ガス供給マニホールド56を介し
て各単セル32が備える燃料ガス流路44Pに供給さ
れ、各単セル32の陰極側で進行する電気化学反応に供
される。燃料ガス流路44Pから排出された燃料ガス
は、燃料ガス排出マニホールド57に集合してエンドプ
レート61の燃料ガス孔63に達し、この燃料ガス孔6
3から燃料電池30の外部へ排出されて上記所定の燃料
ガス排出装置に導かれる。
【0037】同様に酸化ガスは、上記した所定の酸化ガ
ス供給装置から、エンドプレート60に形成された酸化
ガス孔64を経て燃料電池30内部に導入される。燃料
電池30内部で酸化ガスは、酸化ガス供給マニホールド
58を介して各単セル32が備える酸化ガス流路45P
に供給され、各単セル32の陽極側で進行する電気化学
反応に供される。酸化ガス流路45Pから排出された酸
化ガスは、酸化ガス排出マニホールド59に集合してエ
ンドプレート61の酸化ガス孔65に達し、この酸化ガ
ス孔65から上記所定の酸化ガス排出装置に排出され
る。
【0038】次に、本発明の要部に対応するガス分配装
置20について説明する。ガス分配装置20は、既述し
た酸化ガス供給装置から燃料電池30に酸化ガスを供給
するための流路に備えられた装置であり、図1に示すよ
うに、酸化ガス供給装置から延びる酸化ガス流路70
が、燃料電池スタック34a〜34dのそれぞれに向か
う分岐ガス流路71〜74に分岐する分岐点の付近に設
けられている。ガス分配装置20はロータリーシャッタ
22を備えており、酸化ガス流路70を介して酸化ガス
供給装置から供給される酸化ガスによってロータリーシ
ャッタ22が回転駆動されると、このロータリーシャッ
タ22の回転の動作に伴って、各燃料電池スタック34
に供給される酸化ガス量が調節される。ロータリーシャ
ッタ22は、円盤状に形成されて穴部23を有する円盤
部24と、上記酸化ガス流路70側に面した上記円盤部
24上に所定の角度を成して形成された複数の羽部25
とを備えている。円盤部24は、上記分岐点付近におい
て、酸化ガス流路70から分岐ガス流路71〜74に分
岐するガスの流れを妨げ、円盤部24の中心を回転の中
心として回転可能に配設されている。円盤部24に設け
られた穴部23は、円盤部24の回転と共に、分岐ガス
流路71〜74のそれぞれの流路の断面と順次重なるこ
とができる。
【0039】酸化ガス流路70を介して酸化ガス供給装
置から酸化ガスが供給されて、酸化ガスが上記羽部25
に当接すると、酸化ガスが羽部25に加える圧力によっ
て、円盤部24は羽部25の形状に応じた所定の方向に
回転する。円盤部24の回転と共に、既述したように、
分岐ガス流路71〜74のそれぞれの流路の断面と穴部
23とが順次重なる。ここで、円盤部24は、その直径
が、酸化ガス流路70の内径よりも一回り小さく形成さ
れているため、円盤部24の外周部において、酸化ガス
流路70側から分岐ガス流路71〜74側にガスが流入
可能となっている。また、酸化ガス流路70内を通過す
る酸化ガスは、円盤部24を経由すると、円盤部24と
所定の間隔をおいて開口する分岐ガス流路71〜74の
端部断面に至り、ここで酸化ガスは分配されて、それぞ
れの分岐ガス流路を経由して所定量の酸化ガスが各燃料
電池スタック34に供給される。このとき、穴部23と
流路の断面が重なる分岐ガス流路は、酸化ガスの流入を
円盤部24によって妨げられることが少ないため、より
多くの酸化ガスの供給を受けるが、上述したように酸化
ガスは、円盤部24の外周部からも分岐ガス流路側に流
入するため、穴部23とガス流路断面が重なっていない
分岐ガス流路に対しても、所定量の酸化ガスが供給され
る。
【0040】本実施例のガス分配装置20では、そのガ
ス流路断面が穴部23と重なる位置にある分岐ガス流路
には、酸化ガス流路70を介して酸化ガス供給装置から
供給される酸化ガスの10分の7が供給され、その流路
断面が円盤部24によって塞がれている分岐ガス流路に
は、それぞれ、同じく酸化ガス供給装置から供給される
酸化ガスの10分の1が供給される。円盤部24の回転
速度は、羽部25に当接する酸化ガスの圧力、すなわ
ち、酸化ガス供給装置から供給される酸化ガス量によっ
て決まるが、本実施例のガス分配装置20を備える燃料
電池装置10の通常の運転条件では、円盤部24は略1
秒間に1回の周期で回転する。分岐ガス流路71〜74
は、図2に示すように、燃料電池30を構成する4個の
燃料電池スタック34の各々に接続しているため、上記
したガス分配装置20を設けることによって、それぞれ
の燃料電池スタック34に供給される酸化ガスの流量が
周期的に増減する。
【0041】ここで、円盤部24に設けられた穴部23
とガス流路断面が重ならない分岐ガス流路に供給される
酸化ガスの流量(酸化ガス供給装置から供給される酸化
ガス量の10分の1の量)は、ストイキ1以上の所定量
とする。特に、本実施例のように、酸素以外の成分を多
く含む空気を酸化ガスとして用いる場合には、各燃料電
池スタック34に供給する酸化ガス量は、ストイキ1を
超える量にして、電気化学反応の効率を充分に確保する
ことが望ましい。穴部23とガス流路断面が重ならない
分岐ガス流路に供給されるべき酸化ガスの流量は、各単
セル32内に形成された酸化ガス流路の形状や、各燃料
電池スタックが備える積層された単セル32の数など、
燃料電池30における電気化学反応が進行する際のガス
の利用効率に影響する要因の状態を考慮して、燃料電池
30内の酸化ガス流路内で凝縮水が滞留してしまうのを
防止できたときに、充分に電気化学反応が進行可能とな
る量として定めればよい。実際には、酸化ガス流路70
の内径と円盤部24の直径との大きさの違いや、各分岐
ガス流路の端部断面と円盤部24との間の距離などによ
って、上記分配の割合を調節することが出来る。
【0042】以上のように構成されたガス分配装置20
によれば、各燃料電池スタック34に供給される酸化ガ
スの流量が周期的に増減するため、酸化ガスの流路の各
所に生じる凝縮水を取り除き、ガスの流路を確保するこ
とができる。すなわち、酸化ガスの流路においては、既
述したように、ガス拡散電極、単セル内流路、ガスマニ
ホールド等において、電気化学反応によって生じる生成
水などが凝縮してガスの流路を塞いでしまうおそれがあ
るが、酸化ガスの流量を増減させることによってこれら
の凝縮水を吹き飛ばし、流路が塞がれることによる既述
した不都合を防ぐことができる。さらに、酸化ガスの流
量を増減させて凝縮水を取り除くことによって、各単セ
ル32に供給される酸化ガス量がばらつく状態を改善
し、燃料電池30を構成する各単セル32における発電
量がばらついて燃料電池30の性能が低下してしまうの
を防ぐことができる。
【0043】特に、本実施例のガス分配装置20は、酸
化ガス供給装置から供給される酸化ガスの流路が、各燃
料電池スタック34に向かって分岐する部位に設けられ
ているため、燃料電池30を複数の燃料電池スタック3
4で構成することによってガス流路の分岐箇所が増えて
凝縮水が滞留しやすい構造であるにもかかわらず、酸化
ガスの流路から効果的に凝縮水を取り除くことができ
る。
【0044】また、本実施例のガス分配装置20は、円
盤部24を備えるガス分配装置20を用いて、各燃料電
池スタック34に供給される酸化ガスの流量を周期的に
増減させ、これによって凝縮水を吹き飛ばし、流路の閉
塞を防いだり、各単セルに供給される酸化ガス量がばら
ついたりするのを防止している。したがって、酸化ガス
の流路を確保するために、酸化ガス供給装置から供給さ
れる酸化ガスの総量を増加させる必要がない。そのた
め、酸化ガス供給装置から供給する酸化ガスの流量を増
加させるために特別にエネルギを消費してしまうことが
ない。すなわち、酸化ガス供給装置として、空気を取り
込んでこれを圧縮するブロワを用いる場合には、ブロワ
が消費するエネルギ量を増加させる必要がなく、装置全
体のエネルギ効率が低下してしまうことがない。さら
に、各燃料電池スタック34に供給する酸化ガスの流量
を増加する際に、酸化ガス供給装置から供給する酸化ガ
スの総量を増加させる必要がないため、酸化ガス供給装
置は、各燃料電池スタック34に供給する酸化ガスの流
量の増加に対応する性能を有する大型の装置とする必要
がない。また、酸化ガス供給装置から既述した分岐点
(酸化ガス流路70が分岐ガス流路71〜74に分岐す
る箇所)に至る流路は、各燃料電池スタック34に供給
する酸化ガスの流量の増加に対応する充分な耐圧性を持
たせる必要がない。
【0045】さらに、各燃料電池スタック34に供給す
る酸化ガスの流量および圧力が増減することによって、
各単セルにおいて常に電極周辺の酸化ガスが置き換わ
り、電極周辺で酸化ガス中の酸素分圧を充分な状態に維
持することができる。したがって、電気化学反応の効率
が向上し、酸化ガス供給装置から燃料電池30に供給さ
れる酸化ガスの総量をより少なくすることが可能とな
る。
【0046】また、本実施例のガス分配装置20では、
円盤部24と羽部25とが一体で形成されているため、
ガス分配装置20を設けることによって装置全体が大型
化してしまうことがない。また、ガス分配装置20の円
盤部24によって酸化ガスの供給が妨げられている燃料
電池スタック34においても、ストイキが値1以上とな
る酸化ガス量が供給されるため、所定量の電気化学反応
が進行するよう確保されており、所望量の電力を安定し
て得ることができる。
【0047】上記した実施例のガス分配装置20では、
羽部25は、円盤部24の表面上に一体で形成されてい
ることとしたが、酸化ガス供給装置から供給される酸化
ガスによって、所定の周期で回転駆動されることが可能
であれば、ガス分配装置は異なる形状であっても構わな
い。図1のガス分配装置20とは異なる形状のガス分配
装置の例を図5に示す。図5に示したガス分配装置12
0は、上記実施例のガス分配装置20と同様に、穴部1
23を有する円盤部124を備えるが、円盤部124は
平板状に形成されており、円盤部124の表面から垂直
な方向に軸部126が設けられ、さらに軸部126の先
端部に羽部125が設けられている。このようなガス分
配装置120を、既述したガス分配装置20と同様に、
羽部125が円盤部124よりも酸化ガス供給装置側に
くるように配置すれば、酸化ガス供給装置から供給され
る酸化ガスによって羽部125が回転され、それと共に
羽部125に接続した円盤部124も回転し、各燃料電
池スタック34に供給される酸化ガスの流量および圧力
が増減する。
【0048】したがって、ガス分配装置120によっ
て、既述したガス分配装置20と同様の効果を得ること
ができる。さらに、ガス分配装置120によれば、ガス
分配装置20のように円盤部24上に羽部25を設ける
場合に比べて、羽部125の形状に関する自由度が増す
と共に、羽部125を構成する材質に関する選択の自由
度も増す。羽部125の形状によって、円盤部124の
回転の周期を調節することができ、また、羽部125の
材質によって、羽部125が酸化ガスによって回転する
際の抵抗が変わり、やはり円盤部124の回転の周期を
調節することができる。したがって、羽部125の形状
や材質によって、ガス分配装置120が駆動される際の
回転の周期等の条件を最適化することが可能となる。
【0049】また、既述したガス分配装置20および1
20では、酸化ガス供給装置から供給される酸化ガスに
よって羽部25,125を駆動し、円盤部24,124
を回転させることとしたが、モータなど外部から供給さ
れる動力によって円盤部を回転駆動させることとしても
よい。この場合には、ガス分配装置に羽部を設ける必要
はない。
【0050】このような、モータから駆動力を得るガス
分配装置によれば、既述したガス分配装置20および1
20と同様の効果に加えて、さらに以下の様な効果を奏
することができる。すなわち、円盤部をモータによって
回転駆動するため、酸化ガス供給装置から供給される酸
化ガスの流量とは独立して、円盤部の回転数を制御する
ことができる。既述した実施例のように、酸化ガスによ
って円盤部を回転駆動する場合には、酸化ガス供給装置
から供給される酸化ガスの流量が少ないときには円盤部
の回転数が小さくなり、酸化ガス供給装置から供給され
る酸化ガスの流量が多いときには円盤部の回転数が大き
くなる。このように、酸化ガス供給装置から供給される
酸化ガスの流量によって定まる円盤部の回転数は、必ず
しも最適な回転数とはならないが、モータによってガス
分配装置を駆動することによって、円盤部の回転数を最
適値により近づける制御を行なうことができる。円盤部
の回転数によって、各燃料電池スタック、ひいては各単
セルに供給される酸化ガスの状態が変わるが、この円盤
部の回転数の最適値は、ガス分配装置から酸化ガスの供
給を受ける燃料電池スタックの数、燃料電池を構成する
単セルの数、燃料電池における出力応答性(供給するガ
ス量を増減することによって実際に燃料電池における出
力が増減する反応性)などによって定まる。これらの条
件にしたがってモータの回転数を制御することによっ
て、ガス分配装置の駆動状態を最適化することができ
る。また、このようにモータの回転数によって円盤部の
回転数を最適化できるため、円盤部の回転数を制御する
ために羽部の形状や材質を考慮する必要がなく、設計上
の制約を少なくすることができる。
【0051】なお、既述した実施例では、ガス分配装置
20は燃料電池30に酸化ガスを供給する流路に設ける
こととしたが、燃料電池30に燃料ガスを供給する流路
においても、ガス分配装置20と同様のガス分配装置を
設けることとしてもよい。すなわち、燃料ガス供給装置
から供給される燃料ガスを導く流路が、それぞれの燃料
電池スタック34に向かって分岐する位置に、ガス分配
装置20と同様のガス分配装置を設け、各燃料電池スタ
ック34に供給される燃料ガスの流量を周期的に増減さ
せる。このような構成とすれば、燃料ガスを供給する流
路において、既述した酸化ガスを供給する流路の場合と
同様の効果を得ることができる。特に燃料ガスの流路に
ガス分配装置20と同様のガス分配装置を設ける場合に
は、各燃料電池スタック34に供給する燃料ガスの流量
を増加させる際に、燃料ガス供給装置から供給される燃
料ガスの総量が影響を受けることがなく、燃料電池に供
給する燃料ガスの総量をより少なくすることが可能とな
るため、燃料ガスを無駄に消費してしまうことがないと
いう効果を奏する。このことは、燃料電池を移動用電源
として用いる場合のように、準備可能な燃料の量が限ら
れている場合には特に有利である。もとより、酸化ガス
を供給する流路と燃料ガスを供給する流路のうち、どち
らか一方の流路にだけガス分配装置20を設ける場合に
も、ガス分配装置20を設けた側の流路において既述し
た所定の効果を得ることができる。
【0052】なお、図1および図5では、ガス分配装置
20,120は、酸化ガス供給装置から酸化ガスの供給
を受ける酸化ガス流路70が、各燃料電池スタックに接
続する分岐ガス流路71〜74に分岐する分岐点付近に
設けることとしたが、所定のガス供給装置から各燃料電
池スタックにガスを供給する流路の形状は、異なる構成
としてもよい。ガス供給装置に接続するガス流路にこの
ようなガス分配装置を設けることによって、各燃料電池
スタックに供給されるガス量が周期的に増減可能となれ
ばよい。
【0053】以上本発明の実施例について説明したが、
本発明はこうした実施例に何等限定されるものではな
く、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々なる
様態で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な一実施例である燃料電池装置1
0が備えるガス分配装置20の構成の概略を表わす説明
図である。
【図2】燃料電池30を構成する4個の燃料電池スタッ
ク34と、ガス分配装置20との接続の様子を表わす説
明図である。
【図3】燃料電池30を構成する燃料電池スタック34
の構成を表わす分解斜視図である。
【図4】燃料電池スタック34の外観を表わす斜視図で
ある。
【図5】ガス分配装置120の構成の概略を表わす説明
図である。
【図6】単セル32の構成を例示する説明図である。
【符号の説明】
10…燃料電池装置 20,120…ガス分配装置 22…ロータリーシャッタ 22…単セル 23,123…穴部 24,124…円盤部 25,125…羽部 30…燃料電池 31…電解質膜 32…単セル 34a〜34d…燃料電池スタック 40…セパレータ 41…電解質膜 42…アノード 43…カソード 44,45…セパレータ 44P…燃料ガス流路 45P…酸化ガス流路 46,47…集電板 46A,47A…出力端子 48,49…絶縁板 50,51…燃料ガス孔 52,53…酸化ガス孔 54,55…リブ 56…燃料ガス供給マニホールド 57…燃料ガス排出マニホールド 58…酸化ガス供給マニホールド 59…酸化ガス排出マニホールド 60,61…エンドプレート 62…燃料ガス孔 63…燃料ガス孔 64…酸化ガス孔 65…酸化ガス孔 70…酸化ガス流路 71〜74…分岐ガス流路 126…軸部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単セルを複数積層した燃料電池積層体を
    複数備え、前記燃料電池積層体にガスを供給し、前記燃
    料電池積層体内の前記各単セル内にガスを行き渡らせ
    て、前記各単セル内で前記ガス中の所定の成分を用いた
    電気化学反応を進行させて起電力を得る燃料電池装置で
    あって、 前記複数の燃料電池積層体の各々に対して前記ガスを供
    給するガス供給手段と、 前記ガス供給手段と前記複数の燃料電池積層体の各々と
    を接続し、前記ガス供給手段から供給される前記ガス
    を、前記複数の燃料電池積層体の各々に分配して導くガ
    ス流路とを備え、 前記ガス流路は、前記各燃料電池積層体に対する前記ガ
    スの分配の割合を変化させる分配制御手段を備える燃料
    電池装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の燃料電池装置であって、 前記分配制御手段は、前記複数の燃料電池積層体のう
    ち、所定の燃料電池積層体に対し、所定量の前記ガスの
    供給は確保しつつ前記ガスの流れを妨げるガス流制限部
    を備え、該ガス流制限部が前記ガスの流れを妨げる対象
    となる前記燃料電池積層体を順次切り替えることによっ
    て、前記各燃料電池積層体に対する前記ガスの分配の割
    合を変化させる燃料電池装置。
  3. 【請求項3】 前記ガス流制限部は、前記ガス流路内を
    通過する前記ガスの流れを利用して駆動されることによ
    って、前記各燃料電池積層体に対する前記ガスの分配の
    割合を変化させる請求項2記載の燃料電池装置。
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