JPH1164492A - 周状超音波振動子、超音波走査装置およびスキャニングソナー - Google Patents
周状超音波振動子、超音波走査装置およびスキャニングソナーInfo
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- JPH1164492A JPH1164492A JP9224730A JP22473097A JPH1164492A JP H1164492 A JPH1164492 A JP H1164492A JP 9224730 A JP9224730 A JP 9224730A JP 22473097 A JP22473097 A JP 22473097A JP H1164492 A JPH1164492 A JP H1164492A
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Abstract
ができる周状超音波振動子を用いたスキャニングソナー
を提供する。 【解決手段】棒状超音波振動子エレメント1を円筒の周
状に斜めに配列した超音波振動子10を用いる。各エレ
メント1間に所定の移相差を持たせて超音波信号を供給
することにより、全周に放出される超音波ビームは円板
状から上または下に開いた傘状のビームになり、この移
相差によりビームにティルト角を与えることができる。
そして、受信時にも各エレメントが受信した信号に上記
と同じ位相差を与えて垂直方向のビームを同じティルト
角に絞り込み、一部のエレメントを選択して適当な遅延
を与えて合成することによって水平方向のビームを絞り
込む。この水平方向のビームを回転させることによって
全周の信号を受信する。
Description
ト数で全周・上下方向に走査をすることのできる周状超
音波振動子に関し、さらに、この周状超音波振動子を用
いた超音波走査装置、スキャニングソナーに関する。
床分野においては、周状または扇形に展開されるリアル
タイム2次元又は3次元画像を得ることが要求されてい
る。周状の3次元画像を得るための装置として超音波診
断装置が実用化されており、この超音波診断装置に用い
られる超音波振動子として、円筒形の筒状超音波振動子
が実用化されている。この従来の超音波診断装置および
超音波振動子の例を図18に示す。図示の超音波振動子
は、円筒形の基体上に水平60個×垂直16段、合計9
60個の超音波振動素子エレメントを取り付けたもので
ある。この超音波振動子では、各エレメントに対して個
別に送信信号を供給し各エレメントから個別に受信信号
を取り出すため、各エレメント毎に個別のリード線が接
続され、このリード線はリード端子に集められて1本の
ケーブルで送受信装置に接続される。
来の周状超音波振動子は960個など多数のエレメント
からなるため、送受信装置の回路規模が大きくコスト高
になる問題点があった。また、このような円筒の多段構
造の超音波振動子を製作するためには高い技術が必要で
あることからさらにコスト高になり、エレメント数が多
くケーブル数も多くなるため配線・接続が面倒であると
いう問題点もあった。
の超音波信号を送受信する高周波用の円筒形超音波振動
子を製作しようとすると、各エレメントを5mm角程度
の大きさにする必要があり、このエレメントを5〜6m
mピッチで配列すると1000個以上のエレメント数に
なり、製作が極めて困難になるという問題点があった。
3次元の画像を得ることができる周状超音波振動子、お
よび、この周状超音波振動子を用いた超音波走査装置、
スキャニングソナー、超音波診断装置を提供することを
目的とする。
明である周状超音波振動子は、棒状の複数の超音波振動
子エレメントを、円周状に、該円周方向に傾斜させて配
置したことを特徴とする。
波振動子は、前記複数の超音波振動子エレメントの一方
の端部が形成する円周の半径と、他方の端部が形成する
円周の半径とが異なることを特徴とする。
査装置は、円周状に、該円周方向に傾斜させ且つほぼ等
間隔に配置した棒状の複数の超音波振動子エレメント
と、前記各超音波振動子エレメントに対して、隣接する
超音波振動子エレメントと所定の位相差を有する超音波
信号を供給し全周に送信ビームを形成する超音波信号供
給手段と、前記超音波信号の位相差を制御することによ
り、前記全周方向に形成される送信ビームの指向方向を
上下方向に動かす位相差制御手段と、を備えたことを特
徴とする。
査装置は、前記位相差制御手段は、(前記周状超音波振
動子を構成する超音波振動子エレメントの個数)×(隣
接する超音波振動子エレメント間の位相差)=2nπ
(nは整数)となるように、隣接する超音波振動子エレ
メントとの位相差を決定する手段であることを特徴とす
る。
査装置は、請求項1または請求項2に記載の周状超音波
振動子と、該周状超音波振動子の隣接する超音波振動子
エレメント間の位相差が所定値になるように各超音波振
動子エレメントが受信した信号を移相する移相手段と、
前記複数の超音波振動子エレメントから一部を選択し、
該選択された超音波振動子エレメントが受信し前記移相
手段によって移相された信号を合成することにより受波
ビームを形成する合成手段と、前記移相手段が信号を移
相する位相差を制御することにより、前記受波ビームを
上下方向に動かす位相差制御手段と、を備えたことを特
徴とする。
査装置は、前記位相差制御手段は、(前記周状超音波振
動子を構成する超音波振動子エレメントの個数)×(隣
接する超音波振動子エレメント間の位相差)=2nπ
(nは整数)となるように、隣接する超音波振動子エレ
メントとの位相差を決定する手段であることを特徴とす
る。
査装置は、前記合成手段は、超音波振動子エレメントの
選択を切り換えることによって前記受波ビームを旋回さ
せる手段であることを特徴とする。
ングソナーは、請求項3ないし請求項7のいずれかに記
載された超音波走査装置を用い、前記周状超音波振動子
を水中に設置したことを特徴とする。
ングソナーは、請求項1または請求項2に記載の周状超
音波振動子と、該周状超音波振動子の複数の振動子エレ
メントを円周方向に順次切り換えて受波信号の搬送周波
数がドップラ周波数偏位を生じるように到来信号を受信
する受信手段と、該受信手段の出力信号をパルス圧縮す
るマッチドフィルタと、を備えたことを特徴とする。
波振動子が形成する超音波ビームについて説明する。図
1は1本の棒状超音波振動子エレメントの指向性を説明
する図である。棒状超音波振動子エレメントは、図1
(A)に示すように長手方向軸と直交する方向に強い指
向性を有しており、1本の棒状超音波振動子エレメント
で超音波信号を送受信すると、同図(B)に示すように
前記長手方向軸に直交する平面状の薄いビームパターン
が形成される。この棒状超音波振動子エレメントを円周
方向に一定角度傾けて円筒状に配列した場合にどのよう
なビームが形成されるかを図2,図3を参照しながら説
明する。1本の棒状超音波振動子エレメントを傾ける
と、形成されるビームパターンも同様に棒状超音波振動
子エレメントの長手方向軸に直交するように傾く(図2
(A))。図1に示した棒状超音波振動子エレメントの
指向特性を長手方向(Y軸)および短辺方向(X軸)に
展開すると図2(B),(C)のようになる。この棒状
超音波振動子エレメントが傾けて設置されている空間の
水平方向(x軸),垂直方向(y軸)のビーム特性は、
各エレメントのビームが斜めに横切るため図2(D),
(E)に示すようなものになる。なお、上記座標軸(X
軸,Y軸,x軸,y軸)は全てエレメント中心の正面方
向を原点とする角度軸である。
うに、上記傾けられた棒状超音波振動子エレメントを均
等な間隔で円筒の周状に配列すると、各棒状超音波振動
子エレメントによって形成されるビームパターンは図3
(B),(C)のように重なり合う。図3におけるx軸
は、正面のエレメントE0 の中心を原点とする周状超音
波振動子の中心角を表す軸であり、y軸は棒状超音波振
動子エレメントE0 の中心を原点とする上下方向の角度
軸である。同図において、水平方向(x軸)には、各棒
状超音波振動子エレメントのビームパターンが各エレメ
ントの間隔(中心角(図8参照))ずつシフトして現れ
る。また、垂直方向(y軸)には、棒状超音波振動子エ
レメントE0 が形成するビームパターンを中心とし、左
右に配列されている棒状超音波振動子エレメントE-2,
E-1およびE1 ,E2 が形成するそれぞれのビームパタ
ーンが、その左右に現れる。そして、各棒状超音波振動
子エレメントに同相の超音波信号を印加してビームを合
成すると、同図(D),(E)に示すようにx軸方向に
は全周にわたってほぼ均等なビームパターンが形成さ
れ、y軸方向は原点付近にビームが絞られる。これは、
y軸方向で原点から外れた場所では、隣接する棒状超音
波振動子エレメントのビームが位相がずれた状態で重な
り合うため、ビームを打ち消し合うからである。したが
って、各棒状超音波振動子エレメントに同相の超音波信
号を印加した場合には、円筒状の周状超音波振動子の軸
に垂直な円板状の超音波ビームが形成される。
印加する超音波信号に位相差を与えた場合、各棒状超音
波振動子エレメントが形成するビームパターンの位相が
一致して強め合う角度がy軸の原点からずれ、同図
(E)の二点鎖線に示すようにy軸の正または負方向、
すなわち、上下方向にビームパターンがシフトされる。
このように各エレメントに印加する超音波信号に位相差
を与えた場合、周状超音波振動子全体が形成するビーム
パターンは図4に示すように上または下に開く傘状にな
る。このように、隣り合った棒状超音波振動子エレメン
ト間の信号に位相差(遅延)を与えることにより、上下
方向の角度(ティルト角)を付与することができる。
音波振動子エレメント間に信号位相差を与えた場合を考
えてみる。位相差を与えることにより、一部区間が形成
するビームの水平面における方向は、正面方向Vから斜
め方向VVに移動する。このとき、該ビームの垂直面に
おける方向は、傾斜して設けられている棒状超音波振動
子エレメントの指向特性平面Oにそって移動し、ビーム
方向にティルト角が与えられる。一部区間を抽出して図
示すれば、図6(B),(C)や図7(B),(C)の
ようになり、棒状超音波振動子エレメントの傾斜した指
向特性と超音波振動子アレイによるビームの合成により
ティルト角(上下角)を持ったビームが形成され、この
ティルト角の大きさは前記信号位相差に比例する。
ルト角を一定にするためには、隣接するエレメント間の
信号位相差を全周にわたって同じにする必要がある。こ
のためには、全周の信号位相差の合計が360°×nに
なっていることが条件となる。この条件が満たされない
と、最後のエレメントと最初のエレメントとの間に切れ
目ができ、この信号位相差が端数値となるため、このエ
レメント付近のビームパターンが変形してしまうからで
ある。このため、1周のエレメント数をN個とすると、
隣接するエレメントに加える信号の位相差αをNα=3
60°×n(n:整数)となるように決定する。これに
より、全周のエレメント間の位相差が全て同じαとな
り、全周にわたって形成されるビームパターンを合成す
るとティルト角だけ閉じた傘状のビームパターンとな
る。ただし、n=0の場合は各エレメントに同相の信号
が印加されビームパターンは円板状となる。
間の中心角=6°)とすると、図9(A)のテーブルの
ような関係になる。そして、上記条件のうち位相制御α
の最小単位を6°とした場合、6×60=360でn=
1であるため、全エレメント毎に独立した信号位相の制
御が必要となるが、αの最小単位を18°とすると、1
8×60=1080でn=3となり、120°間隔のエ
レメントは必ず同位相となるため、同図(B)のように
3組ずつを1つの送信機でドライブすることができ、送
信部の構成を1/3に簡略化することができる。また、
αの最小単位を12°とすると、12×60=720で
n=2となり、180°間隔のエレメントは必ず同位相
となるため、2組ずつを1つの送信機でドライブするこ
とができ、送信部の構成を1/2に簡略化することがで
きる。
kHz,6°ピッチ,エレメントの傾き(φ)=15
°,エレメント寸法100mm×4mmの場合、α=1
8°のときθ≒8°であり、ティルト角θを8°ステッ
プで制御することができる。より細かいステップのティ
ルト角が要求される場合には、3チャンネル1組を2チ
ャンネル1組に変更するか、または、各エレメントを独
立制御すればよい。また、エレメント数を増やしてもよ
い。
を受信する場合には、図6,図7に示すように、全周の
超音波振動子エレメントのうち一部のエレメントが受信
した信号を所定時間ずつ遅延させて合成することによ
り、水平方向(x軸方向)のビームを絞ることができ、
この水平方向のビームの絞り込みと、上述した隣り合っ
たエレメント間の信号位相差の制御による垂直方向のビ
ームの絞り込みを合成することにより、ピン状のビーム
を形成することができる。そして、図8に示すように上
記一部区間を1エレメントずつシフトしていくことによ
り、ピン状のビームを旋回させることができる。これを
反射波信号の受信に適用することにより、垂直方向・水
平方向の2次元の探査が可能になり、これを時間的に繰
り返すことにより反射波の到来時間による3次元の探査
が可能になる。
相差によってビームにティルト角を持たせた場合、棒状
超音波振動子エレメントの指向性ビームの傾きに合わせ
てx軸方向の角度も同時に変化する。したがって、同じ
エレメントの組み合わせで信号を受信してもティルト角
(y軸方向)が変化すると水平角度(x軸方向)も変化
する。各エレメントの組み合わせによる受信方向のティ
ルト各とx軸方向,y軸方向の関係を図示すると図10
のようになる。これを遅延回路またはメモリ上に展開す
ることによって、直交座標系に補正する。
態である周状超音波振動子の外観図(斜視図)である。
この周状超音波振動子1は30本の棒状超音波振動子エ
レメント10を12°の中心角の間隔で円周上に等間隔
に配列したものである。各棒状超音波振動子エレメント
10は、反時計回りの円周方向に15°傾けられてい
る。30本の棒状超音波振動子エレメントの下端部が形
成する円周と上端部が形成する円周は同一半径であり、
上下対象の1次双曲面を形成している。各棒状超音波振
動子エレメント10からはそれぞれ個別のリード線13
が引き出されている。
音波走査装置の一種であるスキャニングソナーのブロッ
ク図である。前記周状超音波振動子1の30本の棒状超
音波振動子エレメント10は、各エレメント毎に個別に
設けられたリード線13およびトラップ23を介して送
信部Sおよび受信部Rに接続されている。送信部Sは送
信信号発生回路21および送信アンプ22からなってい
る。また、受信部Rは前段アンプ25,移相器ブロック
26,水平ビーム形成・スキャン回路30,遅延回路3
1,表示装置32,垂直ビームコントロール回路27,
位相制御部28からなっている。また、上記送信部Sお
よび受信部Rの動作は送受信コントローラ20によって
制御される。
御して超音波ビームを発射したのち、受信部Rを制御し
て該超音波ビームの反射波を受信し、周囲の物標の存在
を検出する。
号発生回路21に対してビームのティルト角を制御する
垂直ビーム設定信号を出力するとともに送信トリガを出
力する。送信信号発生回路21は、前記図9(A)に示
すティルト角/位相差対応テーブルを内蔵しており、こ
のテーブルを参照して探知する角度(ティルト角)に対
応する位相差を割り出し、割り出された値を垂直ビーム
設定信号として出力する。なお、図9(A)のテーブル
は60個のエレメントを6°間隔で配列した場合のもの
であるが、この実施形態の場合には30個のエレメント
を12°間隔で配列した場合のテーブルを用いればよ
い。
じて、各棒状超音波振動子エレメント10間の位相差
が、前記垂直ビーム設定信号で指示された位相差になる
ように超音波信号を発生する。発生した超音波信号は送
信アンプ22に出力される。送信アンプ22は入力され
た超音波信号を棒状超音波振動子エレメント10を駆動
できるパワーまで増幅しトラップ23およびリード線1
3を介して各棒状超音波振動子エレメント10に供給す
る。これにより、周状超音波振動子1からは、上記位相
差に応じたティルト角を有する平面状または図4に示す
傘状の超音波ビームが全周にわたって送波される。
に入り、送受信コントローラ20は受信部に指示を出し
て超音波振動子1が受信した反射波信号から物標の映像
を再現する。各棒状超音波振動子エレメント10が受信
した反射波信号はリード線13,トラップ23を介して
前段アンプ25に入力される。前段アンプ25は反射波
信号を後段の回路で処理可能なレベルまで増幅し、この
信号を移相器ブロック26に入力する。移相器ブロック
26は、各棒状超音波振動子エレメント10が受信した
反射波信号に対して上記送信ビーム形成時の位相差と同
じ位相差を与えることにより、送信ビームと同じティル
ト角の受信指向性を得る回路である。移相器ブロック2
6は図13(A)に示すように、各エレメントに対応す
る30個の乗算器26aおよびフィルタ26bを備えて
おり、各乗算器26aは対応する棒状超音波振動子エレ
メント10から入力された受信信号とキャリア信号発生
回路26cが発生した位相変換用のキャリア信号とを乗
算する。そしてフィルタ26bは乗算器から出力される
2つの波形信号のうち一方を取り出して位相変換された
信号として次の水平ビーム形成・スキャン回路30に出
力する。
0が受信した反射波信号をcos(ω0 t+φ)、キャ
リア信号発生回路26cが発生する位相変換用のキャリ
ア信号をcos(ωl t+α)とすると、乗算器26a
における乗算は、
る信号は上式の第1項と第2項の合成信号となる。フィ
ルタ26bは、このうち一方の項(たとえば第1項)を
選択し、後段の水平ビーム形成・スキャン回路30に出
力する。キャリア信号発生回路26cは、初期位相αを
前記送信信号発生回路21に入力した位相差信号と同じ
値の位相差α1 ずつ変化させた(0,α1 ,2α1 ,3
α1 ,……,29α1)キャリア信号を30個の乗算器
26aのそれぞれに供給するため、位相変換された受信
信号を合成したとき、前記送信された超音波信号と同じ
ティルト角に垂直方向のビームを絞ることができる。
ビームコントロール回路27に対して、前記送信信号発
生回路21に出力した値と同じ垂直ビーム設定信号およ
び受信トリガを出力する。垂直ビームコントロール回路
27はこれに基づいて位相制御部28および遅延回路3
1を制御する。位相制御部28は、入力された垂直ビー
ム設定信号に基づいて各エレメントに対応するキャリア
信号の初期位相(位相シフト値)αを生成し、移相器ブ
ロック26のキャリア信号発生回路26cに入力する。
また、遅延回路31は、この位相差によって決定される
ティルト角に応じた水平方向のずれ(図10参照)をキ
ャンセルするために信号を遅らせ(または進ませ)て、
直交座標系の映像信号に変換したのち表示装置32に入
力する。
信ビームを水平方向に絞り込む回路である。この回路
は、図13(B)に示すように30チャンネルの水平ビ
ーム形成回路30aを有している。各水平ビーム形成回
路30aはそれぞれ連続する11個の棒状超音波振動子
エレメント10から、すなわち120°の角度幅から信
号を入力し、前記対応するエレメントの正面方向にビー
ムが集中するように各信号を遅延させている。遅延した
信号を加算合成することにより、中心となるエレメント
の正面にビームが集中し、その方向からの反射波信号を
取り出すことができる。なお、前記移相器ブロック26
で各エレメントの信号に位相差が与えられている場合に
は、その位相差(遅延量)がこの水平ビーム形成回路3
0aの遅延量に加算され、ビーム方向が図7(B),
(C)のように左右に振られ、棒状超音波振動子エレメ
ント10の指向性ビームに傾きによりティルト角が発生
する。そして、スキャン回路30bは30チャンネルの
水平ビーム形成回路30aを高速に走査し、各チャンネ
ルから出力された信号を遅延回路31に入力する。上述
したように、各チャンネルから出力された信号はティル
ト角による水平角度のシフトが発生しているため、遅延
回路は垂直ビームコントロール回路27から入力された
ティルト角(位相差信号)に応じて、入力された信号を
遅延または進めて水平方向のずれをキャンセルして直交
座標系に補正したのち、表示装置32に入力する。
らt秒後に行うと、(1500/2)×tメートルの距
離の物標を全周(水平方向)にわたって探査することが
できる。送受信コントローラ20は、一定時間毎に上記
受信動作を繰り返し実行し、超音波信号を送信してから
の時間に応じて距離方向の探査を行う。そして、上記送
信動作および受信動作をティルト角(各エレメント間の
信号位相差)を順次切り換えながら繰り返すことによ
り、垂直方向の探査を行うことができる。このように、
水平方向,距離方向,垂直方向の探査により3次元のデ
ータを得ることができる。
メモリを有しており、遅延回路31から入力された探査
信号をその座標に対応するメモリに蓄積するとともに、
CRT等のモニタに表示する。
スキャン回路30から出力された信号を遅延回路31で
水平方向のずれを補正したのち表示装置32に入力する
ようにしたが、画像メモリに書き込むときにメモリアド
レスを制御することによってずれを補正するようにして
もよい。
ントを傾けて円筒に配列した周状超音波振動子を用いた
スキャニングソナーの原理的な構成を示したものである
が、水平ビーム形成・スキャン回路30はマッチドフィ
ルタを用いることによって簡略化することができる。
タを用いた水平ビーム形成・スキャン回路について説明
する。なお、ここで説明する水平ビーム形成・スキャン
回路の前後の構成は図12に示したスキャニングソナー
と同様でよい。
キャン回路の原理について説明する。ある方向から音波
が到来しているときに受信素子である超音波振動子を回
転させた場合(図14(A)参照)、この超音波振動子
の音波到来方向に対する成分速度(rωsinθ)によ
りドップラ効果が生じ、超音波振動子が受信する到来音
波の周波数が遷移する。超音波振動子の回転と到来音波
の周波数遷移の関係を図示すると同図(B)のようにな
り、そのときの波形は、到来音波が正弦波の場合、同図
(C)のように表される。この波形をチャープ信号とい
い、到来音波の周波数と超音波振動子の回転角速度が分
かっていれば事前に波形を決定することができる。そこ
で、マッチドフィルタのリファレンスパターンレジスタ
にこの波形を記憶しておき、超音波振動子が受信した信
号を時系列に入力することにより、マッチドフィルタが
高い出力値を示したとき、その入力波形に対応する方向
から信号が到来していると判断することができる。
ン回路の例を図15に示す。図12のスキャニングソナ
ーでは、回転する超音波振動子ではなく周状超音波振動
子1を用いているため、各棒状超音波振動子エレメント
10をオーバーラップさせながら切り換えることによ
り、回転する超音波振動子から入力される信号と同様の
信号を得ている。選択回路40は移相器ブロック26
(図12参照)から入力される30チャンネルの信号か
ら1または2を選択してマッチドフィルタ42のシフト
レジスタ44に入力する。
三角波の窓関数で隣接する棒状超音波振動子エレメント
の信号をオーバーラップさせ、この信号を加算合成して
シフトレジスタ44に出力する。選択回路40の動作は
選択制御回路41によって制御される。選択制御回路4
1は選択回路40の信号の切換タイミングを制御すると
ともに、この制御信号をチャンネル情報として次段に出
力する。リファレンスパターンレジスタ43にはパター
ンメモリ48からリファレンスパターンとして前記チャ
ープ信号波形が読み出される。パターンメモリ48には
受信ビームのティルト角に応じて複数種類のチャープ信
号波形が記憶されている。すなわち、移相器ブロック2
6により各エレメントが受信した信号に対して位相差が
与えられていると、シフトレジスタ44に入力したとき
のチャープ波形も変化する。このため、上記位相差(テ
ィルト角)合わせて複数種類のチャープ波形をパターン
メモリ48に記憶し、垂直ビームコントロール回路27
が出力する垂直ビーム設定信号に応じて選択を切り換え
るようにしている。
波形がどのように変化するかを説明する。図16のよう
に、周状超音波振動子の中心Oを交点とし、この周面を
含む水平面U上に位置するx軸,y軸の直交座標系を設
定し、y軸を超音波エコーの到来方向の水平方向ベクト
ル成分に一致させる。そして、周速Vのy軸方向のベク
トル成分をVy,ティルト角αの方向のベクトル成分を
Vαとすると、ドップラ効果を受けたことによる受信信
号の周波数fは、次式で与えられる。
体のB点から直線AEに対して垂線を降ろしたときの交
点位置Pと超音波振動子Tの現在位置Aとを結ぶスカラ
量をもち、且つ、P点とD点とを結ぶ直線DPは直線A
Eに直交する。したがって、 Vα=Vy・cosα (2) よって、(1),(2)式から、 f=f0 −(Vy・cosα/c)・f0 (3) となる。
間のなす角度をθtとすると、 θt=ωs・t V=r・ωs であるから、前記のベクトル成分Vyは、 Vy=V・sinθt=r・ωs・sin(ωs・t) ≒r・ωs(ωs・t)=rωs2 t (4) 周波数偏移量をΔfとすれば、(3),(4)式から、 Δf=f−f0 =−rωs2 tf0 cosα/c (5) となるから、位相は、 ∫2πΔfdt=−πrωs2 t2 f0 cosα/c+ψ (6) ここに、ψは定数である。
れる受信信号S(t)は、 S(t)=A・cos{2πf0 t−πrωs2 t2 f0 cosα/c +ψ} (7) ここに、Aは超音波振動子の指向特性による決まる振幅
項である。(7)式により、受信信号S(t)が形成す
るチャープ信号波形がティルト角αによって決定される
ことが分かる。(7)式を用いてティルト角α毎にチャ
ープ信号波形を決定し、これをパターンメモリ48に記
憶しておけばよい。また、ティルト角αを入力してその
場でチャープ信号波形を算出するようにしてもよい。
力される受信信号とリファレンスパターンレジスタ43
に読み出されたリファレンスパターンは各サンプルデー
タ毎に乗算器45によって乗算される。乗算結果は加算
器46によって加算合成される。この加算合成された値
がそのとき選択制御回路41が出力している方位信号の
方位における探査結果となる。該加算器46の出力値は
増幅器47によって増幅され、前記方位信号とともに後
段の回路(遅延回路31または表示装置32の画像メモ
リ)に出力される。
場合、超音波振動子が受信する信号はこれらの信号を加
算合成した波形となり、それぞれの方向で加算器45の
出力値が大きくなるため、それぞれの方向から信号が到
来していることを検出することができる。
に上端部と下端部の半径が同じになるように棒状超音波
振動子エレメント10を配列した周状超音波振動子を用
いているが、専ら上方または下方を探査する目的で用い
るのであれば、図17に示すように周状に配列されたエ
レメント10の上端の半径と下端の半径とを異ならせて
もよい。また、このように上端と下端の半径が異なる周
状超音波振動子および上端と下端の半径が同じ周状超音
波振動子とを組み合わせて多段の周状超音波振動子を構
成してもよい。
を用いたスキャニングソナーについて説明したが、この
発明は、これ以外に超音波診断装置など種々の超音波走
査装置に適用することができる。
動子エレメントを傾斜させて配置したことにより、各棒
状超音波振動子エレメントに印加する超音波信号または
各棒状超音波振動子エレメントが受信した超音波信号に
所定の位相差を与えることにより送受信ビームを上下に
揺動させることができ、少ないエレメント数で上下方向
に信号を送受信することができる。
棒状超音波振動子エレメントの上下の配置半径を変えた
ことにより、上方向または下方向の送受信範囲を広げる
ことができる。
音波振動子エレメント間で所定の位相差を有する超音波
信号を供給することにより、その位相差に対応するティ
ルト角で全周に超音波ビームを送出することができ、前
記位相差を制御することにより、前記ティルト角を調節
することができ任意の角度に超音波ビームを送出するこ
とができる。
相差の合計が2nπすなわち360°の倍数になるよう
にしたことにより、全周の超音波ビームが均一になり、
また、nを±2以上にすることにより、送信系統を簡略
化することができる。
音波振動子エレメント間の受信信号を所定の位相差で位
相変換することにより、その位相差に対応するティルト
角の信号を受信することができ、前記位相差を制御する
ことにより、前記ティルト角を調節することができ任意
の角度の信号を受信することができる。
相差の合計が360°の倍数になるようにしたことによ
り、全周にわたる受信角度が均一になり、また、nを±
2以上にすることにより、受信系統を簡略化することが
できる。
子エレメントの選択を切り換えることにより、受信ビー
ムを旋回させることができ、全周にわたって信号を受信
することができる。
子を水中に設置したことにより、簡略な構成で2次元ま
たは3次元の探査を行うことができる。
タを用いて受信信号の方向を検出するようにしたことに
より、各エレメント毎にディレイ回路を設けてビームを
集中する必要がなくなり、装置の構成を簡略化すること
ができる。
図
指向特性を説明する図
る図
シフトを説明する図
明する図
説明する図
メントの中心角を説明する図
メント間の信号位相差とビームのティルト角の関係を示
す図
ト角と方位との関係を示す図
ーの構成を示す図
キャン回路の構成を示す図
キャン回路の他の方式を説明する図
を示す図
するビームとチャープ信号波形の関係を説明するための
図
Claims (9)
- 【請求項1】 棒状の複数の超音波振動子エレメント
を、円周状に、該円周方向に傾斜させて配置したことを
特徴とする周状超音波振動子。 - 【請求項2】 前記複数の超音波振動子エレメントの一
方の端部が形成する円周の半径と、他方の端部が形成す
る円周の半径とが異なることを特徴とする請求項1に記
載の周状超音波振動子。 - 【請求項3】 円周状に、該円周方向に傾斜させ且つほ
ぼ等間隔に配置した棒状の複数の超音波振動子エレメン
トと、 前記各超音波振動子エレメントに対して、隣接する超音
波振動子エレメントと所定の位相差を有する超音波信号
を供給し全周に送信ビームを形成する超音波信号供給手
段と、 前記超音波信号の位相差を制御することにより、前記全
周方向に形成される送信ビームの指向方向を上下方向に
動かす位相差制御手段と、 を備えたことを特徴とする送信ビーム形成装置。 - 【請求項4】 前記位相差制御手段は、(前記周状超音
波振動子を構成する超音波振動子エレメントの個数)×
(隣接する超音波振動子エレメント間の位相差)=2n
π(nは整数)となるように、隣接する超音波振動子エ
レメントとの位相差を決定する手段である請求項3に記
載の超音波走査装置。 - 【請求項5】 請求項1または請求項2に記載の周状超
音波振動子と、 該周状超音波振動子の隣接する超音波振動子エレメント
間の位相差が所定値になるように各超音波振動子エレメ
ントが受信した信号を移相する移相手段と、 前記複数の超音波振動子エレメントから一部を選択し、
該選択された超音波振動子エレメントが受信し前記移相
手段によって移相された信号を合成することにより受波
ビームを形成する合成手段と、 前記移相手段が信号を移相する位相差を制御することに
より、前記受波ビームを上下方向に動かす位相差制御手
段と、 を備えたことを特徴とする超音波走査装置。 - 【請求項6】 前記位相差制御手段は、(前記周状超音
波振動子を構成する超音波振動子エレメントの個数)×
(隣接する超音波振動子エレメント間の位相差)=2n
π(nは整数)となるように、隣接する超音波振動子エ
レメントとの位相差を決定する手段である請求項5に記
載の超音波走査装置。 - 【請求項7】 前記合成手段は、超音波振動子エレメン
トの選択を切り換えることによって前記受波ビームを旋
回させる手段である請求項5に記載の超音波走査装置。 - 【請求項8】 請求項3ないし請求項7のいずれかに記
載された超音波走査装置を用い、前記周状超音波振動子
を水中に設置したことを特徴とするスキャニングソナ
ー。 - 【請求項9】 請求項1または請求項2に記載の周状超
音波振動子と、 該周状超音波振動子の複数の振動子エレメントを円周方
向に順次切り換えて受波信号の搬送周波数がドップラ周
波数偏位を生じるように到来信号を受信する受信手段
と、 該受信手段の出力信号をパルス圧縮するマッチドフィル
タと、 を備えたことを特徴とするスキャニングソナー。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9224730A JPH1164492A (ja) | 1997-08-21 | 1997-08-21 | 周状超音波振動子、超音波走査装置およびスキャニングソナー |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9224730A JPH1164492A (ja) | 1997-08-21 | 1997-08-21 | 周状超音波振動子、超音波走査装置およびスキャニングソナー |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1164492A true JPH1164492A (ja) | 1999-03-05 |
Family
ID=16818351
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9224730A Pending JPH1164492A (ja) | 1997-08-21 | 1997-08-21 | 周状超音波振動子、超音波走査装置およびスキャニングソナー |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1164492A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010060480A (ja) * | 2008-09-05 | 2010-03-18 | Japan Radio Co Ltd | 超音波送受波器 |
EP3273264A2 (en) | 2016-07-20 | 2018-01-24 | Furuno Electric Company Limited | Underwater detection apparatus |
-
1997
- 1997-08-21 JP JP9224730A patent/JPH1164492A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010060480A (ja) * | 2008-09-05 | 2010-03-18 | Japan Radio Co Ltd | 超音波送受波器 |
EP3273264A2 (en) | 2016-07-20 | 2018-01-24 | Furuno Electric Company Limited | Underwater detection apparatus |
US20180024240A1 (en) * | 2016-07-20 | 2018-01-25 | Furuno Electronic Co., Ltd. | Underwater detection apparatus |
EP3273264A3 (en) * | 2016-07-20 | 2018-04-18 | Furuno Electric Company Limited | Underwater detection apparatus |
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