JPH1164184A - 温超純水の水質評価における試料水採取方法 - Google Patents

温超純水の水質評価における試料水採取方法

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JPH1164184A
JPH1164184A JP23649197A JP23649197A JPH1164184A JP H1164184 A JPH1164184 A JP H1164184A JP 23649197 A JP23649197 A JP 23649197A JP 23649197 A JP23649197 A JP 23649197A JP H1164184 A JPH1164184 A JP H1164184A
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ultrapure water
warm
cooling
ultrapure
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JP23649197A
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Mari Kametani
真理 亀谷
Daijiro Kobori
大二郎 小堀
Akiko Umeka
明子 梅香
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Organo Corp
Japan Organo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 温超純水の採水に当たり、少なくとも採水分
の温超純水を冷却した後、採取することにより、各種部
材からの溶出物の発生を実質的に回避して、温超純水の
正確な水質評価を可能とする試料水採取方法を提供す
る。 【解決手段】 温超純水の採水に当たり、少なくとも採
水分の温超純水を冷却した後、試料水として採取して、
微粒子捕捉濾過膜、膜取付けホルダー、サンプリングボ
トル等からの溶出物の発生を実質的に回避して、超純水
の正確な水質評価を可能とする。冷却方法としては、ユ
ースポイント近辺からサンプリングポイントまで、弗素
樹脂製等のチューブを数メートル延ばし、該チューブで
温超純水の熱を奪い且つ放熱するか、または、更に水等
の冷却媒体で該チューブの外側から急速に冷却する方法
が、簡便で外部からの超純水試料の汚染の影響を受けな
いので、好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、温超純水の水質評
価における試料水採取方法に関する。特に、本発明は、
温超純水の試料水中の微粒子を微粒子測定用微粒子捕捉
濾過膜(以下、単に「濾過膜」と言うことがある)上に
捕捉する時に問題となる溶出物の発生を実質的に回避し
たり、また、高温の温超純水を直接採水する場合には極
微量域では問題になると思われるサンプリングボトルか
らの溶出物の発生を実質的に回避する試料水採取方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、超純水を多用している半導体製
造、薬品製造等の分野において、更に高い水質が要求さ
れている。超純水の水質管理項目の一つである超純水中
の微粒子についても同様で、高度の水質が要求されてい
る。これは、例えば、半導体製造分野では、半導体製造
過程の露光−エッチング工程で、微粒子がパターンの欠
陥原因となるためである。このような超純水は、一般的
には、一次純水製造装置で、有機性、無機性の微粒子、
イオン等を除去して一次純水を製造し、更に、一次純水
中に僅かに残存する微粒子、イオン等を二次純水製造装
置で極限まで除去するようにした設備で製造された水で
あり、要求される水質基準にもよるが、例えば、微粒子
について言えば、粒径0.1μm以上のものが1ml当
たり1個以下というレベルの水質が要求される。
【0003】しかし、水質評価しなければならない超純
水は水質レベルのみでなく、用途においても多様化され
ている。例えば、半導体関連設備において、ウェハー等
の洗浄の効率化のために用いられる温超純水系もその一
つであり、使用温度は80℃に近いこともある。
【0004】超純水製造設備においては、製造される超
純水の水質が目的レベルに維持されていることの確認が
必要である。上述した超純水の水質管理項目の一つであ
る超純水中の微粒子についての水質評価方法は、レーザ
ー光散乱や音波を利用したオンライン法の他に、採水
(サンプリング)した超純水を微粒子捕捉濾過膜で濾過
し、この濾過膜上に捕捉された微粒子を光学顕微鏡や走
査型電子顕微鏡等を用いて測定(計数、観察等)する直
接検鏡法(例えば、特開昭59−83036号公報)等
が一般的な方法として用いられている。
【0005】一般に、上記直接検鏡法は、超純水製造設
備の出口水、一般的には二次純水装置の出口水が流れる
配管からサンプリング配管を分岐して超純水の一部を流
し、途中に配置した濾過膜(微粒子測定用微粒子捕捉濾
過膜)で一定水量の超純水を濾過して、該超純水中に含
まれる微粒子を捕捉する操作と、この微粒子捕捉操作を
行った濾過膜について上記走査型電子顕微鏡等による濾
過膜表面の撮影、画像処理などを行って微粒子を計数す
る計数操作とにより行われるものである。
【0006】なお、微粒子測定用の上記濾過膜は、例え
ば、直径25mm程度の大きさのものであって、走査型
電子顕微鏡等により全膜面を直接観察することは実際上
は困難であることから、通常は、視野を移動させて有効
濾過面積の0.01%前後を実観察し、全有効濾過面積
による捕捉微粒子数は計算で求める。
【0007】しかし、上記のように高温にまで加熱され
た温超純水中の微粒子数を測定する場合、濾過膜上に捕
捉された微粒子を直接検鏡法を用いて評価するに当たっ
て、通水温度、通水時間、濾過膜等の耐久性によって
は、濾過膜取付けホルダー(以下、単に「膜取付けホル
ダー」または「ホルダー」と言う)、配管、濾過膜等か
ら溶出物が発生して濾過膜上に析出、付着する場合があ
り、この場合は微粒子数が増加して、温超純水中の微粒
子数を正確に測定できないだけでなく、膜孔を塞ぎ、通
水効率にも影響を及ぼす等の問題が生じる。
【0008】また、この加熱された温超純水は、微粒子
についての評価だけでなく、同じく高度のレベルの水質
評価を求められている極微量金属類、極微量非金属類等
についての評価においても、従来は現在ほど高度の水質
レベルでは無かったために問題視されなかったサンプリ
ングボトルからの溶出物により影響を受けるということ
が懸念される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、超純水
の要求水質は近年益々高度化しており、それは超純水中
に含まれる微粒子についても同様である。超純水の用途
も多様化しており、半導体関連設備で用いられる温超純
水もその一例である。しかし、上述のように、直接検鏡
法で温超純水中の微粒子数を評価する場合、通水温度、
通水時間、濾過膜の耐久性によっては、膜取付けホルダ
ー、配管、濾過膜等から溶出物が発生する場合がある。
一般に、加温された高温超純水は室温超純水に比べ、部
材に対する洗浄性が高く、多くの溶出物を発生するのが
通常であると考えられる。しかし、かかる溶出物は極微
量であるため従来は問題にならず、近年においてもレー
ザー光散乱や音波を利用した方法等によるオンライン測
定時には然したる問題にはならなかった。しかし、濾過
膜を用いた微粒子数測定の場合は、試料水である温超純
水を例えば数十〜数百リットル、場合によってはそれ以
上通水せねばならず、その通水日数は濾過膜の濾過能
力、試料水通水時の通水圧力等によって異なるが、数日
から数週間に及ぶ場合もあり、このように長期間温超純
水が通水されたホルダー内では、濾過膜上に少しずつ溶
出物が析出、蓄積し、微粒子数が増加するだけでなく、
数μmの大きさの付着物となって膜孔を塞ぎ、通水効率
に影響を及ぼす。
【0010】この加温による影響は、微粒子についての
水質評価の場合だけでなく、同じく高度の水質評価を求
められている超純水中の微量金属、微量非金属類等につ
いての測定評価の場合にも同様に現れ、従来は現在ほど
高度の水質レベルでは無かったために問題視されなかっ
た高温超純水の直接採水時のサンプリングボトルからの
極微量の溶出物により評価結果が影響されることが懸念
される。この影響は、高水質の超純水中の微量金属、微
量非金属類等を測定する時に必要不可欠な前処理である
濃縮操作によって、更に顕著に現れてくると考えられ
る。
【0011】上述のような問題点に鑑み、本発明は、温
超純水を水質評価する場合に、膜取付けホルダー、配
管、濾過膜、サンプリングボトル等からの溶出物の水質
評価への影響を実質的に回避することができる温超純水
の水質評価における試料水採取方法を提供せんとするも
のである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述のよ
うな問題を解決すべく鋭意検討した結果、温超純水を水
質評価する際に温超純水を採水するに当たり、一旦冷却
した後に試料水を採取することにより、膜取付けホルダ
ー、配管、濾過膜、サンプリングボトル等からの溶出物
の発生を実質的に回避することができることを見出し、
本発明を完成した。
【0013】即ち、本発明は、加温した温超純水を採水
するに当たり、少なくとも採水分の温超純水を冷却した
後に試料水として採取することにより、溶出物の発生を
実質的に回避することを特徴とする温超純水の水質評価
における試料水の採取方法を提供するものである。
【0014】本発明の方法は、例えば、温超純水製造装
置で製造された温超純水の水質評価を正確に行うため
に、温超純水のサンプリング(採水)時に行うものであ
る。微粒子についての水質評価を行う場合には、本発明
の方法によれば、例えば上記したようなサンプリング配
管に分岐した温超純水を一旦冷却して得られる冷超純水
を試料水として微粒子捕捉濾過膜に通水し、該濾過膜上
に捕捉された微粒子を直接検鏡法により評価し、これに
より温超純水中に含まれる微粒子を正確に評価するとい
うものである。この場合、温超純水を直接濾過膜に通水
したら生ずるであろう温超純水の熱によるホルダーや濾
過膜等からの溶出物の微粒子評価への影響を、温超純水
の冷却後に濾過膜に通水することにより殆ど無くすこと
ができ、温超純水中の微粒子についての水質評価を正確
なものとすることができる。なお、本発明では、温超純
水を一旦冷却して得られる冷超純水を試料水として微粒
子捕捉濾過膜に通水する場合も、通水の段階で試料水を
採取していることになるから、試料水の採取と言う概念
に含めるものとする。
【0015】また、温超純水中に含まれる極微量元素の
分析を行う場合も同様で、本発明の方法によれば、例え
ば上記したようなサンプリング配管に分岐した温超純水
を一旦冷却して得られる冷超純水を試料水としてサンプ
リングボトルに直接採取して、極微量元素の分析を行
い、これにより温超純水中に含まれる極微量元素の分析
評価を行うというものである。この場合、温超純水を直
接サンプリングボトルに採取したら生ずるであろう温超
純水の熱によるサンプリングボトル等からの溶出物の極
微量元素の分析への影響を温超純水の冷却後にサンプリ
ングボトルに採取することにより殆ど無くすことがで
き、温超純水中の極微量元素についての水質評価を正確
なものとすることができる。
【0016】上述した問題の解決方法としては、温超純
水でも溶出物の実質的に無い材質のホルダー、濾過膜、
サンプリングボトル等の器具類の使用も考えられるが、
価格やこれらの器具類の接続性の問題等の観点から好ま
しくない。これに対し、本発明の温超純水冷却を伴う試
料水採取法は、上記のような器具類の材質やそれらの接
続部の材質などを特に選ばず、従って、例えば、既設の
温超純水製造装置においても即座に対応することができ
る。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
するが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるもの
では無い。
【0018】本発明の方法において、温超純水を冷却す
る方法は特に限定されるものでは無い。例えば、各種の
通常の熱交換器を用いる方法でもよい。但し、これらの
熱交換器は高価であり、また、これらの熱交換器そのも
のからの超純水の汚染の可能性も否めない。
【0019】そこで、温超純水のユースポイント近辺か
らサンプリングポイントまで、例えば、弗素樹脂やポリ
エーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂等の超純水汚
染性の実質的に無い材料製のチューブ(例えば、上記し
たようなサンプリング配管として)を例えば数メートル
延ばして、温超純水の熱を該チューブで奪い且つ放熱す
ることにより温超純水の冷却を行うか、または、更に、
水等の冷却媒体を用いて該チューブの外側から温超純水
を急速に冷却する方法が、外部からの超純水の汚染が殆
ど無く且つ簡便に行えるので好ましい。
【0020】また、冷却後の超純水の温度も特に限定さ
れるものでは無いが、上記溶出物の問題の観点から高く
ても約40℃まで冷却するのが好ましい。一方、例え
ば、微粒子数測定を目的として、濾過膜で濾過する場
合、冷却された超純水の温度が低すぎると、濾過流速が
低下することから、その下限は約20℃とすることが好
ましいが、濾過を行わず元素分析等により他の水質評価
を行う場合は、更に低温でも良い。
【0021】
【実施例】以下の実施例により本発明を更に具体的に説
明するが、本発明はこれに限定されるものでは無い。
【0022】実施例では、同じ超純水製造装置システム
の同じライン出口において、一定期間微粒子捕捉濾過膜
への常温通水と高温通水を行い、濾過膜上を走査型電子
顕微鏡で観察し、比較を行った。認識された溶出物の元
素分析の比較も行った。
【0023】超純水製造装置としては、図2のシステム
フロー図に示す実験装置を用いた。工業用水を、ろ過器
→カーボンフィルター(CF)→2床3塔式イオン交換
装置(2B3T)→非再生型混床ポリッシャー(非再生
MB−P)→タンク→膜脱気装置→逆浸透装置(RO)
→紫外線酸化装置(UVOX)→カートリッジポリッシャ
ー(CP)→限外ろ過装置(UF)の順で通水し、得ら
れた超純水のサンプリング分をヒートホースを通して、
サンプリングポイントへと送り、残りの超純水はリター
ン水として非再生型混床ポリッシャー(非再生MB−
P)とタンクとの間の配管に戻す。なお、この超純水製
造装置は実験装置なので、ユースポイントは図2に示さ
れていないが、温超純水を使用するのであるから、実装
置ではユースポイントはヒートホースの後に設ける。ま
た、常温通水の場合は、上記ヒートホースを作動させ
ず、高温通水の場合はヒートホースを作動させた。
【0024】また、上記超純水製造装置のライン出口に
おいて、ヒートホースで加熱して得られた温超純水を温
超純水冷却装置により冷却した後、同様に濾過膜への通
水を行った。
【0025】温超純水冷却装置としては、図1のシステ
ムフロー図に示す装置を用いた。上記超純水製造装置の
ヒートホースを作動させて得た温超純水を、図2のサン
プリングポイントから冷却水槽を通して延ばした弗素樹
脂製のチューブを通して、新たなサンプリングポイント
としての微粒子捕捉膜取付け位置で微粒子捕捉濾過膜に
通水する。冷却媒体としての純水は、冷却循環装置で冷
却され、冷却された純水は、冷却水槽に送られ、上記チ
ューブの外側から温超純水を冷却し、その後冷却循環装
置に返送される。純水は、このように循環される。
【0026】 <加熱装置、濾過膜、分析装置> 加熱装置:ヒートホース〔(株)フロウエル製〕 微粒子捕捉濾過膜:アノポアメンブレン〔ワットマンジャパン(株)社製〕 孔径:0.02μm 電子顕微鏡:走査型電子顕微鏡S−4000〔(株)日立製作所製〕 加速電圧:10KV 元素分析器:EPMA(電子線マイクロアナライザー)、EMAX− 2700〔(株)堀場製作所製〕 加速電圧:5KV
【0027】実験例1 上記超純水製造装置のサンプリングポイントにおいて常
温サンプリング(常温通水)と高温サンプリング(高温
通水)を行い、高温によって発生する溶出物の発生状況
を走査型電子顕微鏡にて検鏡した。溶出物が析出してい
く様子を検鏡写真と元素分析の両方により確認し、常温
サンプリングと高温サンプリングの比較を行った。
【0028】具体的な試験法は次の通りである。超純水
製造装置の出口に、微粒子捕捉濾過膜をセットしたホル
ダーを設置し、サンプリングポイントとした。常温(2
5℃)で超純水を168時間濾過膜に通水した。一方、
同じサンプリングポイントにて高温(70℃)の温超純
水を72〜168時間濾過膜に通水した。走査型電子顕
微鏡で微粒子を捕捉した濾過膜上の表面観察を行った。
【0029】走査型電子顕微鏡で濾過膜上の表面観察を
行った結果を示す検鏡写真を図3〜7に示す。図3は、
常温(25℃)通水168時間の場合の検鏡写真であ
り、図4〜7は、それぞれ高温(70℃)通水72時
間、120時間、144時間、168時間の場合の検鏡
写真である。常温(25℃)通水では認められなかった
溶出物の析出、付着物が、高温(70℃)通水では所々
濾過膜面を数μmの大きさで覆っていることが判明し
た。
【0030】また、各濾過膜の元素分析の結果から、高
温(70℃)通水で発生した溶出物は、図4→図5→図
6→図7の順に徐々に析出、蓄積されたことが分かっ
た。元素分析の結果を表1に示す。なお、表1中の元素
のデータは、微粒子捕捉濾過膜の素材であるアルミナの
アルミニウム分を100%とした時の元素重量比率であ
る。
【0031】
【表1】 ────────────────────────────────── 元素 測定元素の重量比率(%) ────────────────────────────────── 図3 図4 図5 図6 図7 ────────────────────────────────── 通水温度(℃) 25 70 70 70 70 ────────────────────────────────── 通水時間(hr) 168 72 120 144 168 ────────────────────────────────── Si 6.9 7.8 10.3 18.5 19.9 P 8.8 7.1 12.8 17.3 25.3 S 3.5 0.0 7.0 11.1 16.4 Cl 2.5 0.8 3.1 6.0 6.4 ──────────────────────────────────
【0032】表1に示すように、図4〜7の順に、溶出
物が析出、蓄積、結晶化していくことが分かる。常温
(25℃)通水では、これらの析出物の付着が認められ
ないことから、超純水を加温することにより溶出物が発
生していることが分かる。
【0033】実施例1 図2の超純水製造装置によりそのヒートホースを作動さ
せて得た温超純水(70℃)を図1の温超純水冷却装置
で冷却して微粒子捕捉濾過膜に168時間通水した時の
溶出物発生の有無を調べた。
【0034】温超純水冷却装置の冷却循環装置での冷却
水温度を5℃、15℃、20℃に設定した場合の温超純
水の冷却効率を図9に示す。この温超純水冷却装置は即
効性があり、冷却水槽から出たチューブ中の超純水の出
口水温度はいずれの場合も冷却開始後5分前後で安定し
た(このような短時間内に冷却しないと、冷却用器具か
らの溶出物発生が問題となる可能性あり)。また、上記
の冷却水温度を15℃に設定した場合の168時間通水
後の微粒子捕捉濾過膜面上の表面観察結果を図8の検鏡
写真に示す。
【0035】図8に示すように、温超純水(70℃)の
場合でも、サンプリング直前に常温に近い温度になって
いれば、溶出物は発生しないことが分かる。従って、実
験例1の結果と実施例1の結果から、直接検鏡法によっ
て微粒子数を測定する場合、冷却してからサンプリング
を行うことが必要であることが分かる。
【0036】このように、実施例1で用いた方法によれ
ば、サンプリングポイントからチューブを延ばしてチュ
ーブの周囲を冷却するだけで温超純水の冷却を行うこと
ができ、冷却媒体として常温の水を用いてもその冷却の
役割を充分に果たすことができる。その上、通常の熱交
換器等の高価な装置を用いる必要も無く、超純水の外部
汚染の可能性も殆ど無いので、簡易にクリーンなサンプ
リングを行うことができるという利点もある。
【0037】
【発明の効果】本発明の試料水採取方法によれば、温超
純水の少なくとも採水分を一旦冷却した後、試料水とし
て採取するので、膜取付けホルダー、配管、濾過膜、サ
ンプリングボトル等からの溶出物の発生を実質的に回避
することができ、温超純水をそのままサンプリングした
場合に温超純水の熱により上記溶出物が発生し、それが
水質評価に与えるであろう影響を回避することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例で用いた温超純水冷却装置のシ
ステムフロー図である。
【図2】図2は、実施例で用いた超純水製造装置のシス
テムフロー図である。
【図3】図3は、常温超純水(25℃)を微粒子捕捉濾
過膜に168時間通水した場合の該濾過膜面の検鏡写真
を表す図である。
【図4】図4は、温超純水(70℃)を微粒子捕捉濾過
膜に72時間通水した場合の該濾過膜面の検鏡写真を表
す図である。
【図5】図5は、温超純水(70℃)を微粒子捕捉濾過
膜に120時間通水した場合の該濾過膜面の検鏡写真を
表す図である。
【図6】図6は、温超純水(70℃)を微粒子捕捉濾過
膜に144時間通水した場合の該濾過膜面の検鏡写真を
表す図である。
【図7】図7は、温超純水(70℃)を微粒子捕捉濾過
膜に168時間通水した場合の該濾過膜面の検鏡写真を
表す図である。
【図8】図8は、温超純水(70℃)を冷却した後、微
粒子捕捉濾過膜に168時間通水した場合の該濾過膜面
の検鏡写真を表す図である。
【図9】図9は、実施例1において温超純水冷却装置の
冷却循環装置での冷却水温度を5℃、15℃、20℃に
設定した場合の温超純水の冷却効率を表す図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加温した温超純水を採水するに当たり、
    少なくとも採水分の温超純水を冷却した後に試料水とし
    て採取することにより、溶出物の発生を実質的に回避す
    ることを特徴とする温超純水の水質評価における試料水
    の採取方法。
  2. 【請求項2】 冷却した前記試料水を微粒子測定用微粒
    子捕捉濾過膜に通水して微粒子の捕捉を行うことを特徴
    とする請求項1に記載の温超純水の水質評価における試
    料水採取方法。
  3. 【請求項3】 前記温超純水中の極微量元素を評価する
    ために、冷却した前記試料水を直接サンプリングボトル
    に採取することを特徴とする請求項1に記載の温超純水
    の水質評価における試料水採取方法。
  4. 【請求項4】 温超純水のユースポイント近辺からサン
    プリングポイントまで超純水汚染性の実質的に無い材料
    製のチューブを延ばして、温超純水の熱を該チューブで
    奪い且つ放熱することにより少なくとも採水分の温超純
    水の冷却を行うか、または、更に、水等の冷却媒体を用
    いて該チューブの外側から少なくとも採水分の温超純水
    を急速に冷却することを特徴とする請求項1から3のい
    ずれかに記載の温超純水の水質評価における試料水採取
    方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100849386B1 (ko) 2007-07-26 2008-07-31 주식회사 하이드로넷 일체형 수질원격감시장치
JP2011153848A (ja) * 2010-01-26 2011-08-11 Sysmex Corp 試薬調製装置

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