JPH1161281A - 焼結原料の造粒方法 - Google Patents

焼結原料の造粒方法

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JPH1161281A
JPH1161281A JP21311297A JP21311297A JPH1161281A JP H1161281 A JPH1161281 A JP H1161281A JP 21311297 A JP21311297 A JP 21311297A JP 21311297 A JP21311297 A JP 21311297A JP H1161281 A JPH1161281 A JP H1161281A
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concentration
sintering raw
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JP21311297A
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English (en)
Inventor
Masaru Matsumura
勝 松村
Masahide Yoshikawa
政秀 吉川
Koji Sasaki
浩二 佐々木
Hideo Aoki
秀生 青木
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の焼結鉱の造粒では、焼結原料条件の変
化に正確に対応して最適な水分量を決定して造粒ミキサ
ーにおける水分量を制御できなかった。 【解決手段】 粗粒および微粉を含有する焼結原料の1
種または2種以上の配合物に水分を添加する前に、焼結
原料の吸水率および造粒前粒度分布から水分添加後の焼
結原料が付着力を有する水分濃度の下限値である臨界水
分濃度を算出しておき、擬似粒子の水分濃度が臨界水分
濃度以上となるように、造粒ミキサーにおける水分の添
加量を制御しながら焼結原料を転動することにより、擬
似粒子へ造粒する。これにより、粗粒へ付着しない微粉
の量を最小にでき、粒度上昇および通気性に起因して、
焼成速度が最大となり、焼結鉱の生産性が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高炉装入原料であ
る焼結鉱の原料となる焼結原料の造粒方法に関する。さ
らに具体的には、本発明は、例えばDL(ドワイトロイ
ド)式焼結機へ装入する焼結原料に添加する水分量を最
適に制御することにより、高生産性および高歩留りで焼
結原料を擬似粒子へ造粒することができる焼結原料の造
粒方法に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、焼結鉱は、高炉操業成績
の向上に大きく寄与することから、高炉装入原料として
大量に使用されている。この焼結鉱の生産設備も、大量
生産性を勘案して、連続式のDL(ドワイトロイド)式
焼結機が使用される。
【0003】図1は、このDL式焼結機を用いた焼結鉱
の製造工程を模式的に示す説明図である。焼結鉱の原料
となる焼結原料は、一般的に、高炉装入鉱石の予備処理
で発生する粉鉱、および粉鉱として存在する鉄鉱石と工
場内で発生する含鉄原料 (ミルスケール、高炉ダスト、
転炉ダスト等) とを主原料とするとともに粉石灰石等の
造滓剤を副原料としており、多くの場合、鉄鉱石、石灰
粉、SiO2系副原料および粉コークスにより構成される。
【0004】この焼結原料は各国から輸入されるために
銘柄毎に化学成分が種々異なっている。そこで、図1に
示すように、ヤード1においてヤード散水を経てから供
給される焼結原料は、各銘柄毎に原料槽2a〜2nに分けて
装入される。原料槽2a〜2nに分けて装入された焼結原料
は、配合設定に基づいて、各銘柄毎に定量ずつ切り出さ
れて配合され、造粒ミキサー3へ送られる。
【0005】造粒ミキサー3において、焼成時における
充填層の通気性を高めるために、焼結原料はブロッキン
グ材である水分を添加されながら転動されることによ
り、粒径が1mm以上の粒子 (本明細書においては「粗
粒」という。) を核としてその周囲に粒径が1mm未満の
粒子 (本明細書においては「微粉」という。) が多数付
着してなる擬似粒子へ混合造粒される。これにより、焼
結原料の粒度分布、すなわち擬似粒子粒度分布は粗粒側
へシフトし、粒径が拡大される。
【0006】擬似粒子へ混合造粒された焼結原料は、サ
ージホッパー4へ装入され、次いで焼結機5の移動型パ
レットへ装入される。この際に、擬似粒子は充填層を形
成して焼結機5上を移送される。充填層を形成した焼結
原料は、点火炉6において点火され、上部から下部へ焼
成されることにより、高炉装入原料として適した強度を
付与される。この焼成は、送風機7により、大気を上部
から下部へ流すことによる連続反応である。
【0007】このようにして焼成された焼結原料は、ク
ラッシャー8で適当な粒度に破砕され、引き続いてクー
ラー9により冷却される。そして、スクリーン10によ
り、篩上が成品として高炉へ高炉装入原料として供給さ
れ、篩下は再度焼結機5に送られて原料として再焼結さ
れる。
【0008】このようなDL式焼結機を用いた焼結鉱の
製造においては、擬似粒子の造粒状況が、焼成時におけ
る充填層の通気性に影響し、焼結鉱の生産性や歩留りを
大きく左右する。造粒に際して、微粉が粗粒へ付着する
際のバインダーとなるのは水分であるため、擬似粒子の
造粒状況を適正にするためには、この水分量を適正に制
御することが極めて重要である。
【0009】そこで、従来より、微粉に付着力を有させ
て擬似粒子への造粒を適正に行うことを目的として、造
粒時における焼結原料の水分濃度を制御する発明が種々
提案されている。
【0010】例えば、特開昭63−118020号公報には、目
標水分濃度からの偏差を補償するフィードバック制御
と、造粒ミキサー内の水分添加位置へ入る原料輸送量お
よび原料持込水分量に基づき造粒ミキサーによる添加水
量を決定するフィードフォワード制御とを組み合わせて
行うことにより、焼結原料の水分濃度を一定値に制御す
る発明が、特開昭62−56535 号公報には、造粒ミキサー
の上流側および下流側の双方に赤外線水分計を配置し
て、これらの測定値に基づいて、造粒ミキサーによる添
加水量をフィードフォワード制御およびフィードバック
制御することにより、焼結原料の水分濃度を一定値に制
御する発明が、特開平5−222463号公報には、造粒ミキ
サーの出口から点火炉までの間で混合造粒後の擬似粒子
の一部を採取して複数に分割し、複数の同一仕様の鍋焼
成工程に層高および水分量の一方または双方を変更して
装入焼成し、得られた最適な層高および水分量の一方ま
たは双方に基づいて、焼結における層高および水分量の
一方または双方を調整することが、さらに、特開昭59−
222538号公報には、個々の焼結原料の吸水率、付着率、
粒度分布およびこれら焼結原料の配合比と混合水分とか
ら混合造粒後の擬似粒子の粒度分布を、一定の実験式を
用いて推定し、この推定値に基づいて、原料配合および
焼結操業条件を調整することが、それぞれ記載されてい
る。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開昭63−11
8020号公報および特開昭62−56535 号公報に記載された
技術は、ともに、各銘柄の配合比率に関係なく目標水分
濃度をある一定値に定め、この目標値に焼結原料の水分
量の一定値化を図るものであるため、各銘柄の配合比率
の変動により目標水分濃度が変動した場合には、制御精
度の低下を免れないという課題がある。
【0012】また、特開平5−222463号公報に記載され
た技術は、最適水分を評価するために鍋焼成工程が必要
になり、工数を多く要してコスト増となるおそれがある
という課題がある。
【0013】さらに、特開昭59−222538号公報に記載さ
れた技術は、粗粒への微粉への付着率に実験値を用いて
擬似粒子の粒度分布を推定するために誤差が不可避的に
含まれてしまい、制御精度の低下を免れないという課題
がある。
【0014】ここに、本発明の目的は、例えば連続式D
L(ドワイトロイド)式焼結機へ装入する焼結原料に添
加する水分量を最適に制御することにより、高生産性お
よび高歩留りで焼結原料を擬似粒子へ造粒することがで
きる焼結原料の造粒方法を提供することにあり、より具
体的には、焼結鉱の造粒工程において、焼結原料条件
(粒度、吸水性) の変化に的確に対応しながら、添加す
る水分量の目標値を決定し、この目標値に基づいて造粒
ミキサーにおける水分の添加量を制御することにより、
コスト増を伴うことなく、焼結鉱の生産性や歩留りの向
上を図ることができる焼結原料の造粒方法を提供するこ
とにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために、擬似粒子の造粒過程について、詳細
な検討を行った。その結果、以下に列記する新規な知見
を得た。
【0016】(I) 微粉が粗粒への付着力を有する水分濃
度の下限値 (本明細書においては、「臨界水分濃度」と
いう。) Wlmc (wt%) とその焼結原料が吸水することが
できる水分濃度の最大値である吸水率Wab(wt%) との間
には、全ての銘柄の焼結原料(図2では、鉱石C、I、
N、H、RおよびFを例にとって示す。)に対して、図
2にグラフにより示す相関関係が成立する。
【0017】
【数1】Wlmc =Wab+4.0 ・・・・・(1) (II)図3は、擬似粒子の造粒過程を示すモデル図であ
る。同図に示すように、ヤード散水や造粒ミキサーによ
り水分添加を行っていくと、粗粒11は、それ以上吸水す
ることができなくなる吸水飽和状態 (水分量:吸水率W
ab) までは全ての粗粒11の水分濃度は同一濃度で上昇
し、吸水飽和状態を超えて水分添加を行っても水分濃度
は吸水率Wabのままで増加しない。
【0018】これに対し、図3の造粒モデル図に示すよ
うに、微粉12は、それ以上吸水することができなくなる
吸水飽和状態 (水分量:吸水率Wab) までは、粗粒11と
同様に、全ての微粉12の水分濃度は同一濃度で上昇する
が、吸水飽和状態を超えてさらに水分を添加すると、微
粉12の水分濃度には最大値〜最小値の範囲で分布が生じ
る。図示例は、水分濃度が、上記(1) 式により算出され
る臨界水分濃度Wlmc未満の微粉12a 、臨界水分濃度W
lmc と等しい微粉12b および臨界水分濃度Wlmc 超の微
粉12c の3段階に分布した場合を示す。このように水分
濃度に分布が生じた微粉12a 〜微粉12c のうちで臨界水
分濃度Wlmc 以上の微粉12b 、12c が造粒ミキサーによ
る転動により、優先的に粗粒11の周囲へ一定付着量で均
一に付着し (初期造粒段階) 、その後に、臨界水分濃度
lmc 未満の微粉12a が粗粒11の周囲へ付着した微粉12
b 、12c に付着して (造粒段階) 、擬似粒子13を形成す
ることにより造粒が完了する。
【0019】そこで、本発明者らは、擬似粒子の造粒に
関するこれらの新規な知見(I) および(II)に基づいてさ
らに検討を重ね、 図2にグラフで示す関係から、焼結原料の臨界水分濃
度Wlmc を算出し、焼結原料の微粉部分の水分濃度がこ
の臨界水分濃度Wlmc 以上となるように、造粒ミキサー
による焼結原料への水分の添加量を制御することによ
り、粗粒11へ付着しない微粉12a の量を最小とすること
ができ、これにより、焼成速度を最大として、焼結鉱の
生産性向上を図ることができること、 図3に示す擬似粒子13の造粒モデルに基づいて、焼結
原料の水分濃度分布を添加後水分濃度の関数として算出
し、算出した水分濃度分布と焼結原料の粒度分布とによ
り擬似粒子粒度分布を算出し、この擬似粒子粒度分布
が、粒径:2mm以上10mm以下の擬似粒子の量が最大であ
る粒度分布となるように、添加後水分濃度を決定し、こ
れに基づき、造粒ミキサーによる焼結原料への水分の添
加量を制御することにより、焼結鉱の歩留り向上を図る
ことができることを知見して、本発明を完成した。
【0020】ここに、本発明の要旨とするところは、粗
粒および微粉を含有する焼結原料の1種または2種以上
の配合物に水分を添加しながら転動することにより擬似
粒子へ造粒する焼結原料の造粒方法において、水分の添
加前に、焼結原料の吸水率および造粒前粒度分布から水
分添加後の焼結原料が付着力を有する水分濃度の下限値
である臨界水分濃度を算出し、焼結原料の水分濃度が臨
界水分濃度以上となるように、焼結原料への水分の添加
量を制御することを特徴とする (以下、「第1発明」と
いう。) 。
【0021】また、本発明のもう一つの要旨とするとこ
ろは、粗粒および微粉を含有する焼結原料の1種または
2種以上の配合物に水分を添加しながら転動することに
より擬似粒子へ造粒する焼結原料の造粒方法において、
水分の添加前に、焼結原料の水分濃度分布を、焼結原料
の持込水分濃度を用いて添加後水分濃度の関数として算
出し、算出した水分濃度分布と焼結原料の粒度分布とに
より擬似粒子粒度分布を算出し、擬似粒子粒度分布が、
2mm以上10mm以下の粒径の擬似粒子の量が最大である粒
度分布となるように、添加後水分濃度を決定し、添加後
水分濃度を目標として、水分の添加量を制御することを
特徴とする (以下、「第2発明」という。) 。
【0022】上記の第2発明において、水分濃度分布お
よび擬似粒子粒度分布は、いずれも、微粉の水分濃度は
吸水飽和状態を超えた場合に分布を有するとともに、焼
結原料が付着力を有する水分濃度の下限値である臨界水
分濃度以上の微粉が粗粒の周囲へ優先的に付着し、その
後に臨界水分濃度未満の微粉が粗粒の周囲へ付着した微
粉に付着することにより擬似粒子を形成する造粒モデル
に基づいて、算出される。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる焼結原料の
造粒方法の実施形態を、添付図面を参照しながら、第1
発明および第2発明に分けて、詳細に説明する。なお、
以降の実施形態の説明は、単一銘柄の焼結原料を用い
て、かつ粗粒の粒径範囲が比較的狭い場合を例にとっ
て、行う。
【0024】(第1発明)図1を参照しながら前述したよ
うに、DL式焼結機を用いた焼結鉱の製造に際しては、
造粒ミキサー3により添加する水分量を焼結原料に応じ
て適切に制御することにより、微粉が粗粒への付着力を
有する水分濃度とすることが、造粒の適正化のために重
要である。
【0025】前述したように、焼結原料が付着力が有す
る水分濃度の下限値である臨界水分濃度Wlmc は、 (吸
水率Wab+4.0)として、各銘柄毎に算出される。したが
って、第1発明では、造粒ミキサーによる水分添加前
に、焼結原料の各銘柄の吸水率Wabと造粒前粒度分布
(粗粒および微粉の混合比) とから、銘柄毎に臨界水分
濃度Wlmc を算出する。
【0026】そして、造粒ミキサーによる造粒を行われ
た擬似粒子の水分濃度がこの臨界水分濃度Wlmc 以上と
なるように、造粒ミキサーにおける焼結原料への水分の
添加量を制御する。
【0027】なお、複数種の銘柄の焼結原料を配合した
場合には、各銘柄毎の臨界水分濃度Wlmc を、各焼結原
料の配合比率により加重平均することにより、平均臨界
水分濃度Wlmc ' を算出する。そして、この平均臨界水
分濃度Wlmc ' を目標値として、造粒ミキサーにおける
焼結原料への水分の添加量を制御する。
【0028】これにより、擬似粒子へ造粒した後の焼結
原料における未付着の微粉の量は最小となり、焼成時に
おける原料通気性が最大となる。したがって、焼成速度
FFSを最大とすることができ、焼結鉱の生産性向上を図
ることができる。
【0029】(第2発明)焼結鉱の成品歩留りをさらに改
善するには、擬似粒子粒度分布が、粒径2〜10mmの擬似
粒子が最大である粒度分布となるように、造粒ミキサー
における焼結原料への水分添加量を制御することが有効
である。以下、この方法を説明する。
【0030】まず、造粒前の焼結原料の水分濃度分布を
算出する。ここで、焼結原料へ供給される水分に関して
は、前述した新規な知見(I) および(II)に基づき、以下
の前提〜が成立する。
【0031】主として造粒ミキサーにより添加される
水分は、初めに微粉および粗粒それぞれへ優先して吸水
され、微粉および粗粒それぞれへの吸水が完了した後
に、微粉の表面へ供給されて微粉に付着力を発現させ
る。
【0032】微粉および粗粒それぞれが造粒ミキサー
による水分添加前から有する持込水分は、ヤードへの水
切りにおける原料水分やヤード散水等であり、造粒迄の
経過時間が長いために微粉、粗粒それぞれの内部への浸
透が充分に行われて均一に分布する。
【0033】造粒ミキサー等により添加される水分
は、微粉が吸水飽和状態 (水分含有量:吸水率Wab) ま
では、内部へ均一に浸透するが、吸水飽和状態を超えた
後に添加される水分は微粉の表面へ供給され、この水分
は、造粒までの経過時間が短いために、微粉毎に最大値
から最小値までの範囲で濃度分布を有する。すなわち、
微粉の水分含有量が吸水率Wabが超えた後に添加される
水分が、微粉の水分濃度に分布を引き起こす。
【0034】粗粒の水分濃度は吸水率Wabを上限とし
て均一に分布するが、吸水率Wabを超えて水分を添加し
ても、粗粒には微粉におけるような水分濃度の分布は発
生せず、水分濃度は吸水率Wabで一定である。
【0035】これらの前提〜に立ち、造粒前におけ
る焼結原料の水分濃度は、図4(a)〜図4(c) に
場合分けして示すグラフにより、表される。なお、図4
(a) 〜図4(c) における横軸は、微粉、粗粒それぞれの
分布を示しており、例えば図4(a)の左図においては、
分布Aの微粉、分布Bの微粉それぞれの水分濃度が、と
もに、 (Wint +Wadd ) であることを示している。
【0036】また、図4(a) 〜図4(c) において、符号
int を持込水分濃度とし、符号Wadd を造粒ミキサー
による添加水分濃度とすると、図4(a) は持込水分濃度
in t +添加水分濃度Wadd ≦吸水率Wabである場合を
示し、図4(b) は吸水率Wab<持込水分濃度Wint +添
加水分濃度Wadd かつ持込水分濃度Wint <添加水分濃
度Wadd である場合を示し、さらに、図4(c) は吸水率
ab<持込水分濃度Wint である場合を示す。
【0037】図4(a) の場合は、持込水分濃度Wint
添加水分濃度Wadd との総和が吸水率Wabを超えない場
合であり、添加された水分は全て微粉および粗粒それぞ
れへ吸水されるため、微粉の表面へ供給されて微粉に付
着力を発現させる水分が存在しない。そのため、微粉の
粗粒への付着は発生しない。
【0038】これに対し、図4(b) 、図4(c) の場合に
は、吸水率Wab<持込水分濃度Wint +添加水分濃度W
add となるため、粗粒の水分濃度は全て吸水率Wabで一
定となるのに対し、微粉の水分濃度は、最小値Wmin
ら最大値Wmax の範囲の濃度分布を有する。さらに、こ
のように水分濃度分布を有する微粉のうちで、前記(1)
式により算出される臨界水分濃度Wlmc (=Wab+4.0)
を超える水分濃度を有する微粉には、粗粒への付着力が
生じ、粗粒を核としてその周囲に付着することにより、
擬似粒子を形成する。
【0039】図5(a) 〜図5(c) は、図4(b) および図
4(c) に示す場合において、擬似粒子が形成される状況
を経時的に示すモデルである。図5(a) に示す時 (造粒
ミキサーによる水分添加段階) では、水分が微粉の吸水
率Wabを超えて添加されているため、吸水率Wabを超え
た後に供給された水分により、微粉には、最小値Wmin
〜最大値Wmax の範囲の水分濃度分布が発生する。
【0040】次に、図5(b) に示す時 (初期造粒段階)
では、水分濃度が臨界水分濃度Wlmc に達した微粉に付
着力が発現し、粗粒の表面に均等かつ同一水分で付着
し、擬似粒子の外殻を形成する。また、付着微粉の水分
濃度は臨界水分濃度Wlmc 〜最大値Wmax となる。この
微粉の付着により、未付着の微粉の水分濃度の分布は、
最小値Wmin 〜臨界水分濃度Wlmc となる。
【0041】さらに、図5(c) に示す時 (造粒段階) で
は、水分濃度が最小値Wmin 〜臨界水分濃度Wlmc であ
る未付着の微粉が、粗粒の外面に付着して擬似粒子の外
殻を形成する微粉に付着する。これにより、付着する微
粉の量は増加する。この微粉の付着は、その水分濃度が
臨界水分濃度Wlmc に達するまで進行し、擬似粒子粒度
分布が発生する。
【0042】ここで、第2発明では、この擬似粒子粒度
分布が、2mm以上10mm以下の粒径の擬似粒子の量が最大
となるように、条件設定する。擬似粒子粒度分布が、2
〜10mmの粒径を有する擬似粒子の量が最大であれば、焼
結鉱の成品歩留および生産率を向上することができる
が、2mm未満の粒径の擬似粒子の量が多いと通気性が低
下し、その結果生産性が低下する。一方、10mm超の粒径
の擬似粒子の量が多いと成品歩留りが低下する。
【0043】図6は、擬似粒子粒度分布に及ぼす添加後
水分濃度の影響の一例を示すグラフであり、微粉:58.5
%、微粉41.5%であって臨界水分濃度Wlmc :8.8 %の
場合を示す。同図にグラフで示すように、擬似粒子粒度
分布、すなわち2〜10mmの粒径を有する擬似粒子の量
は、添加後水分濃度を関数として2次的に変化する。
【0044】図6に示すグラフでは、添加後水分濃度は
C%と決定される。このようにして決定した添加後水分
濃度:C%を目標値として、造粒ミキサーによる水分の
添加量を制御する。
【0045】このようにして、第2発明では、2〜10mm
の粒度の擬似粒子の収率を最大とすることができ、これ
により、高成品歩留りが達成され、高生産率が達成され
る。さらに、第2発明を、水分濃度分布および擬似粒子
粒度分布の計算の流れを示す図7を参照しながら、具体
的に説明する。
【0046】図7に示すように、吸水率Wab:5.8 %、
臨界水分濃度Wlmc :9.8 %の原料物性を有する鉱石H
からなる粒径:DN mmの粒子と粒径:0.25mm以下の微粉
との造粒前粒度分布 (粒子および微粉の配合比) を、重
量比 Mn 、 Mf (ただし、 Mn + Mf =1である。) と
する。また、ヤード散水等による持込水分濃度W
intは、微粉が7.0 %であるとする。
【0047】DN mm径粒子と微粉とを配合した後におけ
る添加後水分濃度 (目標水分濃度)をWTOTAL %とす
る。添加される水分は、DN mm径粒子を吸水飽和状態と
するとともに、微粉の表面に存在して、粗粒との造粒に
関与する。
【0048】この際に、微粉の水分濃度は、図8に示す
グラフのように、表される。すなわち、鉱石Hの吸水率
abは5.8 %であるので、水分添加前の段階で既に微粉
は吸水飽和となっているとともに、水分の添加により、
微粉の水分濃度は、最小値7.0 %から最大値Wmax まで
の一様な分布を有する。最大値Wmax は添加後水分濃度
TOTAL に依存するが、平均微粉水分濃度Wave は下記
(2) 式のように算出される。
【0049】
【数2】
【0050】ここで、添加後水分濃度WTOTAL は、平均
微粉水分濃度Wave と粗粒の水分濃度Wn (吸水率Wab
(定数) )を用いて、下記(3) 式により算出される。
【0051】
【数3】 WTOTAL = Mn ・Wn + Mf ・Wave ・・・・・(3) ここで、このような水分濃度を有する微粉のうちで、臨
界水分濃度Wlmc 以上の水分濃度を有する微粉が、粗粒
の表面に付着する (初期造粒段階) 。この初期造粒段階
において、粗粒に付着する微粉量Mad1 は、初期造粒段
階で、粗粒へ付着する微粉の割合lとすると、l・ Mf
である。ただし、Wmax >Wlmc である。
【0052】
【数4】 l= (Wmax −Wlmc )/( Wmax −7.0) ・・・・・(4) このときの粒度分布は、微粉が付着した粗粒 (粒径は均
一) と未付着の微粉とに大別される。前者の全重量は、
l ・ Mf + Mn であり、後者の全重量は (1−l) Mf
ある。一方、前者の粒径は、造粒前粗粒の代表径DN
よび粗粒へ付着した微粉の充填性を示した係数ρを用い
て、
【0053】
【数5】
【0054】と表される。なお、付着微粉の充填密度か
らρ=0.4 であることが実験的に得られている。次に、
粗粒の表面に付着した微粉に、水分濃度が7.0 以上臨界
水分濃度Wlmc未満の微粉が付着して、擬似粒子を形成
する (造粒段階) 。すなわち、この造粒段階では、図9
にグラフで示すように、平均水分濃度WB が、下記(6)
【0055】
【数6】
【0056】である未付着の微粉が付着する。この段階
での粒子1個当たりの付着量Mad2 は、初期造粒段階で
付着する微粉の平均水分濃度Wa にも依存し、下記(7)
式により算出される。
【0057】
【数7】
【0058】ただし、 (1−l) Mf <l ・ Mf / M n
(Wa −Wlmc ) / (Wlmc −WB) の場合、粒子1個
当たりの付着量Mad2 = (1−l) Mf となり、造粒段階
における未付着の微粉は存在しないことになる。
【0059】この造粒段階では、擬似粒子と未付着の微
粉とが分布するが、初期造粒段階との相違点は、擬似粒
子の粒径が不均一となり、擬似粒子粒度分布を有する点
である。
【0060】ここで、微粉が付着した粗粒 (擬似粒子)
の全重量は、
【0061】
【数8】
【0062】となる。したがって、微粉が付着した粗粒
(擬似粒子) の最大粒径は、
【0063】
【数9】
【0064】となり、一方、最小粒径は、
【0065】
【数10】
【0066】となって、擬似粒子は、この範囲で擬似粒
子粒度分布を有する。なお、擬似粒子径は、初期造粒段
階での付着微粉水分濃度によって決定される。
【0067】
【数11】
【0068】また、未付着の微粉量は、
【0069】
【数12】
【0070】ただし、Wlmc ≧Wave 、0(Wlmc <W
ave ) である。本実施形態では、このようにして、(9)
式により算出される最大粒径と(10)式により算出される
最小粒径とを範囲とする擬似粒子粒度分布が、最大値W
max および(2) 式により算出される平均微粉水分濃度W
ave を介して、添加後水分濃度WTOTAL の関数として、
求められる。
【0071】そして、粒度:2〜10mmの擬似粒子の収率
が最大となるように、添加後水分濃度WTOTAL を決定す
る。すなわち、(11)式より、擬似粒度分布は、初期造粒
段階での付着微粉の水分濃度(W) を変数として決定され
る。
【0072】よって、2〜10mmの収率が最大となるWa
分布を決定する。すなわち、これは(図8より) Wmax
を決定することと等価である。Wmax が決定されれば
(2) 式、(3) 式よりWave およびWTOTAL が決定され
る。
【0073】このようにして算出した添加後水分濃度W
TOTAL となるように、造粒ミキサーによる水分の添加量
を決定・制御することにより、高成品歩留りが達成さ
れ、高生産率が達成される。
【0074】次に、粒度:2〜10mmの擬似粒子の収率が
最大となるように焼結原料を調整する制御方法の具体例
を、図10に示す説明図を参照しながら、説明する。
【0075】まず、擬似粒子粒度分布を計算するのに必
要な情報となる配合(入船分析等に基づいた粗粒および
微粉の配合比率 Mn 、 Mf )、原料物性(吸水率Wab
よび臨界水分濃度Wlmc )、および造粒前水分(持込水
分濃度Wint )を入力することにより、上述したように
して添加後水分濃度WTOTAL を決定する。なお、持込水
分濃度Wint には、造粒ミキサーの入側で実測した水分
実績値を用いればよい。
【0076】添加後水分濃度WTOTAL を決定した後、擬
似粒子の水分濃度が決定した添加後水分濃度WTOTAL
なるように、持込水分濃度Wint と原料切出量とを用い
て、造粒ミキサーにおける水分添加量の目標値を計算す
る。このようにして、造粒ミキサーにおける水分添加量
の目標値が決定されるため、この目標値になるように注
水量を適宜手段により制御する。なお、造粒ミキサーに
おける水分添加量の目標値は、造粒前水分を用いて算出
するのではなく、造粒後水分を用いて算出してもよい。
【0077】具体的には、以下のようにして、造粒ミキ
サーにおける水分添加量が決定される。例えば、 Mn
0.6 、 Mf =0.4 、Wab=5.8 、Wlmc =9.8 DN =3.
6mmであるとすると、Wmax =9.2 %が得られる。した
がって、(2) 式より、Wave=8.1 %が得られるため、
(3) 式よりWTOTAL =6.7 %が得られる。
【0078】このときの造粒後水分濃度の実測値が6.5
%であるとすると、目標水分濃度である添加後水分濃度
は0.2 %高いため、この分を補償するべく、造粒ミキサ
ーにおける水分添加量を設定する。造粒ミキサーにおけ
る水分添加量は、処理量と水分差から求めればよく、造
粒ミキサーの処理量の実績値が850t/hであるとすると、
注水増加量は、850t/h×0.002 =1.7t/hとなり、現状注
水量よりも1.7t/h増加すればよいことがわかる。
【0079】以上のようにして、第1発明および第2発
明によれば、焼結鉱の造粒工程において、焼結原料条件
(粒度、吸水性) に対応して、造粒ミキサーにおける水
分添加量の最適値を、簡便な方法により計算だけにより
正確に予測することができ、これにより、焼結生産性や
歩留りを向上することができる。
【0080】
【実施例】さらに、本発明を実施データを参照しながら
詳細に説明する。図11は、本実施例で用いた焼結原料の
混合設備を示す説明図である。
【0081】図11に示すように、この混合設備20は、各
銘柄毎の多種類の原料槽21と、切り出しコンベア22と、
装入コンベア23により供給された焼結原料を混合するド
ラムミキサ24と、散水スプレー25a 、流量調整弁25b 、
流量計25c からなる散水装置25と、移送コンベア26およ
びサージホッパー27等から構成される。このような混合
設備において、原料の銘柄特性から各銘柄毎に粒度およ
び吸水率を求め、水分制御装置28へ入力する。
【0082】水分制御装置28は、水分添加前における赤
外水分計29による焼結原料の水分測定値に基づくフィー
ドフォワード制御系と、移送コンベア26またはサージホ
ッパー27に設置した赤外水分計30による水分添加後の焼
結原料の水分測定値に基づくフィードバック制御系とを
組み合わせた制御系を備えている。
【0083】このように、水分制御装置28には、原料
銘柄構成および銘柄別物性値、造粒前水分および造
粒後水分が入力され、これらに基づいて、造粒ミキサー
における注水量が設定・出力される。
【0084】(実施例1)実施例1では、本発明にかかる
擬似粒子の形成モデルを用いた、造粒後の擬似粒子粒度
分布の予測方法の精度の検証を行った。
【0085】まず、焼結原料における水分分布が造粒性
に及ぼす影響を明らかにするため、モデル原料を用い
て、ドラムミキサー24による造粒試験を行った。モデル
原料としては、微粉および粗粒の2種類を同一条件とな
るように準備し、以下に列記する条件〜を変更し
た。そして、造粒後の擬似粒子粒度分布と粉付着率とを
測定し、造粒性を評価した。
【0086】微粉/ 粗粒の配合量比率(70/30〜30/7
0)、微粉粒径:0.25mm以下、粗粒粒径:4〜6mm 微粉の初期水分値 (0体積%、7体積%) 添加水分量。
【0087】擬似粒子への造粒は、まず、ドラムミキサ
ー24内に微粉および粗粒の計12kgの原料を下部に、微粉
をその上部に敷設し、この表面に水分を所定量散布した
後、ドラムミキサー24で添加水分と原料とを5分間転動
することにより、行った。なお、実験に使用したドラム
ミキサー24は、直径600mm 、長さ200mm の寸法を有し、
転動時の回転速度は24rpm とした。
【0088】このようにして、擬似粒子を造粒した後、
造粒性を評価した。造粒性の評価では、擬似粒子を500g
まで縮分し、110 ℃において2時間乾燥処理した後、15
秒間機械篩を行い、篩上に残存した擬似粒子の粒度分布
を測定した。
【0089】結果を図12にグラフで示す。図12に示すグ
ラフにおいて、実線は本発明にかかる擬似粒子の形成モ
デルを用いた行った、擬似粒子粒度分布の予測計算結果
であり、各プロット値は実測値である。
【0090】同図に示すように、本発明にかかる擬似粒
子の形成モデルを用いた、造粒後の擬似粒子粒度分布の
予測方法の予測精度は、充分に高く、この方法は充分な
実用性を有することがわかる。
【0091】(実施例2)実施例2では、表1に示す配合
の実機焼結原料を実機ドラムミキサーにより擬似粒子へ
造粒した場合について、本発明にかかる擬似粒子の形成
モデルを用いた、造粒後の擬似粒子粒度分布の予測方法
の精度の検証を行った。
【0092】
【表1】
【0093】実機ドラムミキサーは、処理量:850t/hr
であり、滞留時間:3.5 分であった。なお、持込水分濃
度WInt は、ミキサーの入側における焼結原料の水分濃
度とし、造粒後の擬似粒子粒度分布は、ミキサー出側に
おいて実測した。また、擬似粒子粒度分布の測定は、実
施例1と同様にして行った。
【0094】結果を図13にグラフで示す。図13に示すグ
ラフにおいて、実線、破線および一点鎖線はいずれも本
発明にかかる擬似粒子の形成モデルを用いた予測計算結
果であり、各プロット値は実測値である。
【0095】同図に示すように、本発明を用いて行った
擬似粒子粒度分布の予測結果は実測値に高精度で符合
し、いずれも、擬似粒子の水分濃度:6.7 %において、
粒度:2〜10mmの収率が最大となり、水分濃度:6.9 %
において1mm未満の擬似粒子の比率が最小となり、水分
濃度:6.9 %超では、粒度分布に大きな変化が見られな
かった。
【0096】(実施例3)実施例3では、本発明を用いて
予測した最適な添加後水分濃度における焼結生産性およ
び成品歩留りを調査した。すなわち、実施例2と全く同
一の条件で、焼結鉱の生産を行い、焼結生産性および成
品歩留りを調査した。また、本実施例では、下記内容で
期間A、期間Bおよび期間Cを対比させた。
【0097】期間A:造粒後の擬似粒子の水分濃度が6.
3 %で一定となるようにしてフィードバック制御を行っ
た。 期間C:焼結原料の銘柄構成および物性値より、第1発
明に基づいて、臨界水分濃度Wlmc を算出し、擬似粒子
の水分濃度が臨界水分濃度Wlmc 以上となって未付着の
微粉量が最小となる水分濃度を演算し、この演算値を添
加後水分濃度の目標値として、添加後水分濃度がこの目
標値で一定となるように、造粒後の擬似粒子の水分濃度
からフィードバック制御を行った。なお、添加後水分濃
度の目標値は、焼結原料の銘柄構成が変化する度に見直
した。また、ミキサーの注水量制御は、1回/hr の頻度
で行った。
【0098】期間B:焼結原料の銘柄構成、物性値およ
び造粒前水分値より、第2発明に基づいて、2〜10mmが
最大となる擬似粒子粒度分布を与える添加後水分濃度を
演算し、この演算値を添加後水分濃度の目標値とし、添
加後水分濃度がこの目標値に一定となるように、現在の
添加後水分濃度からフィードバック制御を行った。な
お、この添加後水分濃度の目標値は、焼結原料の銘柄構
成および持込水分濃度に伴って変化するが、ミキサー注
水制御は1回/hr の頻度で行った。すなわち、本実施例
では、焼結原料の水分条件を表2に示すようにして、設
定した。
【0099】
【表2】
【0100】図14(a) および図14(b) は、期間B、期間
Cそれぞれにおける制御結果を示す。図14(a) および図
14(b) から、本実施例では、添加後水分濃度の目標値に
的確に制御を行うことができたことがわかる。特に、焼
結原料の配合比の変更があった場合にも、迅速に対応す
ることができた。また、本実施例では、期間A、期間B
および期間Cについて、生産性および返鉱比を測定し
た。結果を表3にまとめて示す。
【0101】
【表3】
【0102】表3に示すように、期間Aに対して、期間
Bおよび期間Cでは、粗粒へ付着しない微粉の量を最小
とすることができるために粒度が上昇した。これによ
り、通気性がアップして焼成速度が最大となり、焼結鉱
の生産性が向上した。
【0103】期間Bでは、返鉱も低減も確認された。こ
れは、粒度:2〜10mmの擬似粒子の収率が上昇し、均一
な焼成が行われたためであると考えられる。一方、期間
Cでは、返鉱が増加した。これは、粒度:10mm以上の擬
似粒子の増加により未焼成部が増加したためであると考
えられる。
【0104】
【変形形態】以上の実施形態における擬似粒子の粒度分
布計算は、単一銘柄の焼結原料を用いて、かつ粗粒の粒
径範囲が比較的狭い場合を例にとって、行った。しか
し、本発明にかかる焼結原料の造粒方法はこのような態
様に限定されるものではない。粗粒の粒径範囲が比較的
広い場合には、粒径範囲を適当な範囲で細分化し、細分
化した各粒径範囲毎に上記と同様に粒度分布計算を行
い、各粒径範囲毎の粒度分布の総和をとればよい。ま
た、複数の銘柄の焼結原料を用いた場合には、臨界水分
濃度Wlmc 等の各銘柄の焼結原料の固有物性値を、各銘
柄の焼結原料の配合比率で加重平均した物性値に置換し
て、用いればよい。
【0105】
【発明の効果】以上詳述したように、第1発明によれ
ば、粗粒へ付着しない微粉の量を最小とすることがで
き、これにより、焼成速度を最大として、焼結鉱の生産
性向上を図ることができる。また、第2発明によれば、
焼結鉱の歩留り向上を図ることができる。
【0106】すなわち、本発明によれば、焼結原料の造
粒において、最適水分を、焼結原料の吸水性および微粉
の付着性に着目した擬似粒子形成モデルを用いて正確に
予測することができ、これにより、擬似粒子の造粒のた
めに添加される水分量を適正に算出することができる。
これにより、焼結の生産性および歩留りを向上すること
ができる。
【0107】また、上記の擬似粒子形成モデルを用いた
予測計算により算出される添加後水分濃度に基づいて制
御されるデータは、造粒ミキサーを備えた既存の焼結設
備のデータであるため、本発明は、特別な設備改造等を
要することなく、簡単に行うことができる実用性が極め
て高い発明である。かかる効果を有する本発明の意義
は、極めて著しい。
【図面の簡単な説明】
【図1】DL式焼結機を用いた焼結鉱の製造を示す説明
図である。
【図2】臨界水分濃度と吸水率との関係を示すグラフで
ある。
【図3】擬似粒子の造粒モデル図である。
【図4】図4(a) 〜図4(c) は、造粒前における焼結原
料の水分濃度を場合分けして示すグラフである。
【図5】図5(a) 〜図5(c) は、図4(b) および図4
(c) に示す場合において、擬似粒子が形成される状況を
経時的に示すモデルである。
【図6】擬似粒子粒度分布に及ぼす添加後水分濃度の影
響の一例を示すグラフである。
【図7】第2発明における水分濃度分布および擬似粒子
粒度分布の計算の流れを示す説明図である。
【図8】初期造粒段階における微粉の水分濃度分布を示
すグラフである。
【図9】造粒段階における微粉の水分濃度分布を示すグ
ラフである。
【図10】粒度:2〜10mmの擬似粒子の収率が最大とな
るように焼結原料を調整する制御方法の具体例を示す説
明図である。
【図11】実施例で用いた焼結原料の混合設備を示す説
明図である。
【図12】実施例1の結果を示すグラフである。
【図13】実施例2の結果を示すグラフである。
【図14】図14(a) および図14(b) は、実施例3におけ
る期間B、期間Cそれぞれにおける制御結果を示すグラ
フである。
【符号の説明】
11 粗粒 12 微粉 12a 臨界水分濃度Wlmc 未満の微粉 12b 臨界水分濃度Wlmc と等しい微粉 12c 臨界水分濃度Wlmc 超の微粉 13 擬似粒子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 青木 秀生 茨城県鹿嶋市大字光3番地 住友金属工業 株式会社鹿島製鉄所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粗粒および微粉を含有する焼結原料の1
    種または2種以上の配合物に水分を添加しながら転動す
    ることにより擬似粒子へ造粒する焼結原料の造粒方法に
    おいて、 前記水分の添加前に、前記焼結原料の吸水率および造粒
    前粒度分布から水分添加後の前記焼結原料が付着力を有
    する水分濃度の下限値である臨界水分濃度を算出し、前
    記焼結原料の水分濃度が前記臨界水分濃度以上となるよ
    うに、前記水分の添加量を制御することを特徴とする焼
    結原料の造粒方法。
  2. 【請求項2】 粗粒および微粉を含有する焼結原料の1
    種または2種以上の配合物に水分を添加しながら転動す
    ることにより擬似粒子へ造粒する焼結原料の造粒方法に
    おいて、 前記水分の添加前に、前記焼結原料の水分濃度分布を、
    前記焼結原料の持込水分濃度を用いて添加後水分濃度の
    関数として算出し、算出した前記水分濃度分布と前記焼
    結原料の粒度分布とにより擬似粒子粒度分布を算出し、
    当該擬似粒子粒度分布が、2mm以上10mm以下の粒径の前
    記擬似粒子の量が最大である粒度分布となるように、前
    記添加後水分濃度を決定し、当該添加後水分濃度を目標
    として、前記水分の添加量を制御することを特徴とする
    焼結原料の造粒方法。
  3. 【請求項3】 前記水分濃度分布および前記擬似粒子粒
    度分布は、いずれも、 前記微粉の水分濃度は吸水飽和状態を超えた場合に分布
    を有するとともに、前記焼結原料が付着力を有する水分
    濃度の下限値である臨界水分濃度以上の前記微粉が前記
    粗粒の周囲へ優先的に付着し、その後に前記臨界水分濃
    度未満の前記微粉が前記粗粒の周囲へ付着した前記微粉
    に付着することにより前記擬似粒子を形成する造粒モデ
    ルに基づいて、算出されることを特徴とする請求項2記
    載の焼結原料の造粒方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100415926B1 (ko) * 1999-11-20 2004-01-31 주식회사 포스코 함철 더스트류를 고배합한 소결조업에서 황산화물저감효과가 우수한 미니펠릿의 구조 및 그 제조 방법
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