JPH1157461A - 分子認識能を有する有機・無機複合体ならびにその製造方法および使用方法 - Google Patents

分子認識能を有する有機・無機複合体ならびにその製造方法および使用方法

Info

Publication number
JPH1157461A
JPH1157461A JP22708397A JP22708397A JPH1157461A JP H1157461 A JPH1157461 A JP H1157461A JP 22708397 A JP22708397 A JP 22708397A JP 22708397 A JP22708397 A JP 22708397A JP H1157461 A JPH1157461 A JP H1157461A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
organic
inorganic composite
template molecule
metal oxide
molecule
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP22708397A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenichi Tanigawa
健一 谷川
Yutaka Nakazono
豊 中薗
Eiichiro Fukuzaki
英一郎 福▲崎▼
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
KANSAI SHIN GIJUTSU KENKYUSHO
KANSAI SHIN GIJUTSU KENKYUSHO KK
Original Assignee
KANSAI SHIN GIJUTSU KENKYUSHO
KANSAI SHIN GIJUTSU KENKYUSHO KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by KANSAI SHIN GIJUTSU KENKYUSHO, KANSAI SHIN GIJUTSU KENKYUSHO KK filed Critical KANSAI SHIN GIJUTSU KENKYUSHO
Priority to JP22708397A priority Critical patent/JPH1157461A/ja
Publication of JPH1157461A publication Critical patent/JPH1157461A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)
  • Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性および耐有機溶剤性に優れ、分子認識
能を有するキャビティが安定であり、ターンオーバーも
高い有機・無機複合体を提供する。 【解決手段】 金属酸化物のマトリックス1の表面に、
鋳型分子2に対し相互作用可能な1種もしくは2種以上
の官能基3を有する有機ポリマー4が結合され、有機ポ
リマー側に鋳型分子を認識するキャビティ5が形成され
た構造を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、表面に有機化合
物を認識するキャビティが形成され分子認識能を有する
有機・無機複合体(有機・無機ハイブリッド)、ならび
に、その有機・無機複合体を製造する製造方法、およ
び、その有機・無機複合体を、制御が困難である反応を
制御する触媒として使用し、また、分離が困難である化
合物の分離用担体として使用する使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】多くの化学的物質は触媒を使用して調製
される。その中でも、酵素、すなわち生物学的触媒は、
温和な条件で作用し高い活性と選択性を有する。産業上
利用される触媒には、高い活性を有するものは多いが、
選択性の面で満足できるものは少ない。酵素の持つ高い
特異性は、酵素内における活性部位の空間的構造によっ
てもたらされると考えられており、酵素を模した人工触
媒の開発は古くから試みられている。例えば、基質を包
接することができるホスト化合物をスクリーニングし、
それを用いて反応の制御を試みた例は多い。
【0003】ところが、上記方法は、すべての基質に対
して適当なホスト化合物が見付かる可能性は非常に低
く、一般性の無い方法であった。近年、反応遷移状態類
似体(アナログ)を抗原として誘起した抗体を用いて反
応を行う、いわゆる抗体酵素が開発された(例えばサイ
エンス(Science) vol.252,461
8,(1991)参照)が、その抗体酵素は、非常に高
コストである上に、すべての有機反応に適応することが
できる訳ではない。また、反応遷移状態を安定化させて
しまうためにターンオーバーが非常に少なく、触媒とし
て実用化することができるものではなかった。
【0004】そこで近年、モレキュラーインプリンティ
ングの手法を用いて、反応遷移状態類似体を認識するホ
ストポリマーを作製し、上記と同様の理論で反応を触媒
する試みがなされている。そして、ホストポリマーとし
て、例えば特表平6−510474号公報に開示されて
いるように有機ポリマーを用いる方法と、例えば特開平
6−320012号公報に開示されているように無機ポ
リマーを用いる方法とが公知である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、有機ポ
リマーを用いる方法は、ホストポリマーの耐熱性が低
く、また、耐有機溶剤性も低い。また、ホストポリマー
において分子認識能を有するキャビティが不安定であ
る、といった問題点がある。一方、無機ポリマーを用い
る方法は、現在のところ上記欠点を克服した方法である
が、この方法も反応遷移状態を安定化させるといった理
論に基づくために、ターンオーバーが低いといった致命
的な欠点を有している。
【0006】この発明は、以上のような事情に鑑みてな
されたものであり、耐熱性および耐有機溶剤性に優れ、
分子認識能を有するキャビティが安定であり、ターンオ
ーバーも高い、分子認識能を有する有機・無機複合体を
提供すること、ならびに、そのような有機・無機複合体
の製造方法を提供すること、および、そのような有機・
無機複合体の使用方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明で
は、金属酸化物のマトリックスの表面に、鋳型分子(ゲ
スト分子)に対し相互作用可能な1種もしくは2種以上
の官能基を有する有機ポリマーを結合させ、その有機ポ
リマー側に、前記鋳型分子を認識するキャビティを形成
して、分子認識能を有する有機・無機複合体を構成し
た。
【0008】請求項2に係る発明は、分子認識能を有す
る有機・無機複合体の製造方法において、鋳型分子の存
在下において、その鋳型分子に対し相互作用可能な官能
基を有する1種もしくは2種以上の有機モノマーを重合
させるとともに、1種もしくは2種以上の金属アルコキ
シドを加水分解・重合させた後ゲル化させて金属酸化物
ゲルを調製し、その後に、前記鋳型分子を取り除き、前
記金属酸化物ゲルを非晶質化または結晶化させることを
特徴とする。
【0009】請求項3に係る発明では、金属酸化物のマ
トリックスの表面に、鋳型分子(ゲスト分子)に対し相
互作用可能な1種もしくは2種以上の有機官能基を結合
させ、前記鋳型分子を認識するキャビティを形成して、
分子認識能を有する有機・無機複合体を構成した。
【0010】請求項4に係る発明は、分子認識能を有す
る有機・無機複合体の製造方法において、鋳型分子の存
在下において、その鋳型分子に対し相互作用可能な官能
基を有する1種もしくは2種以上のカップリング剤を加
水分解・重合させるとともに、1種もしくは2種以上の
金属アルコキシドを加水分解・重合させた後ゲル化させ
て金属酸化物ゲルを調製し、その後に、前記鋳型分子を
取り除き、前記金属酸化物ゲルを非晶質化または結晶化
させることを特徴とする。
【0011】請求項5に係る発明は、分子認識能を有す
る有機・無機複合体の使用方法において、無制御で行う
と多数の副生成物を生じる反応において、選択性触媒と
して、有機反応基質を鋳型分子とした請求項1または請
求項3記載の有機・無機複合体を反応系に添加し、前記
反応の制御を行うことを特徴とする。
【0012】請求項6に係る発明は、分子認識能を有す
る有機・無機複合体の使用方法において、有機分離基質
を鋳型分子とした請求項1または請求項3記載の有機・
無機複合体を分離用担体として用いることを特徴とす
る。
【0013】請求項1に係る発明の有機・無機複合体で
は、鋳型分子に対し相互作用可能な1種もしくは2種以
上の官能基を有し金属酸化物のマトリックスの表面に結
合された有機ポリマーの表面に形成されたキャビティに
より、鋳型分子が認識されるので、この有機・無機複合
体は、鋳型分子に有機反応基質を用いることにより選択
性触媒として利用され、また、鋳型分子に有機分離基質
を用いることにより分離用担体として利用される。そし
て、この有機・無機複合体は、表面にキャビティを有す
る有機ポリマーが無機マトリックスの表面に水素結合等
によって結合された構造を有するので、有機ポリマーを
用いたホストポリマーに比べて、耐熱性および耐有機溶
剤性に優れ、分子認識能を有するキャビティが安定であ
り、また、無機ポリマーを用いたものに比べて、ターン
オーバーが高い。
【0014】請求項2に係る発明の製造方法によれば、
請求項1に係る発明の、分子認識能を有する有機・無機
複合体が得られる。
【0015】請求項3に係る発明の有機・無機複合体で
は、鋳型分子に対し相互作用可能な1種もしくは2種以
上の有機官能基が表面に結合された金属酸化物のマトリ
ックスの表面に形成されたキャビティにより、鋳型分子
が認識されるので、この有機・無機複合体は、鋳型分子
に有機反応基質を用いることにより選択性触媒として利
用され、また、鋳型分子に有機分離基質を用いることに
より分離用担体として利用される。そして、この有機・
無機複合体は、有機官能基が無機マトリックスの表面に
結合された構造を有するので、有機ポリマーを用いたホ
ストポリマーに比べて、耐熱性および耐有機溶剤性に優
れ、分子認識能を有するキャビティが安定であり、ま
た、無機ポリマーを用いたものに比べて、ターンオーバ
ーが高い。
【0016】請求項4に係る発明の製造方法によれば、
請求項3に係る発明の、分子認識能を有する有機・無機
複合体が得られる。
【0017】請求項5に係る発明の使用方法によると、
選択性触媒として有機・無機複合体が反応系に添加され
ることにより、副生成物を生じる反応が抑制されて、所
望の反応だけが選択的に促進されて、所望の反応生成物
が高収率で得られる。
【0018】請求項6に係る発明の使用方法によると、
有機・無機複合体からなる分離用担体により、所望の有
機基質が分離される。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、この発明の好適な実施形態
について説明する。
【0020】請求項1に係る発明の、分子認識能を有す
る有機・無機複合体は、図1に模式的に部分拡大図を示
すように、金属酸化物のマトリックス1の表面に、鋳型
分子(ゲスト分子)2に対し相互作用可能な1種もしく
は2種以上の官能基3を有する有機ポリマー4が結合さ
れ、有機ポリマー4側の表面に、鋳型分子2を認識する
キャビティ5が形成された構造を有する。そして、この
有機・無機複合体は、基質や反応中間体の類似体、遷移
状態類似体などの鋳型分子の存在下において、その鋳型
分子に対し相互作用可能な官能基を有する1種もしくは
2種以上の有機モノマーを重合させるとともに、1種も
しくは2種以上の金属アルコキシドを加水分解・重合さ
せた後ゲル化させて金属酸化物ゲルを調製し、その後
に、加熱処理、光照射等により、鋳型分子を取り除き、
金属酸化物ゲルを非晶質化または結晶化させることによ
り得られる。この製造の際、金属酸化物のマトリックス
1と有機ポリマー4との結合を強固にするために、カッ
プリング剤として、少なくとも1個のアルコキシル基
が、有機ポリマーとの化学結合が可能である他の官能基
に置換された金属アルコキシドを使用するようにしても
よい。
【0021】また、請求項3に係る発明の、分子認識能
を有する有機・無機複合体は、図2に模式的に部分拡大
図を示すように、金属酸化物のマトリックス6の表面
に、鋳型分子(ゲスト分子)7に対し相互作用可能な1
種もしくは2種以上の有機官能基8が結合され、鋳型分
子7を認識するキャビテイ9が表面に形成された構造を
有する。そして、この有機・無機複合体は、基質や反応
中間体の類似体、遷移状態類似体などの鋳型分子の存在
下において、その鋳型分子に対し相互作用可能な官能基
を有する1種もしくは2種以上のカップリング剤を加水
分解・重合させるとともに、1種もしくは2種以上の金
属アルコキシドを加水分解・重合させた後ゲル化させて
金属酸化物ゲルを調製し、その後に、加熱処理、光照射
等により、鋳型分子を取り除き、金属酸化物ゲルを非晶
質化または結晶化させることにより得られる。この製造
の際、カップリング剤と金属アルコキシドとを混合し、
その混合物を加水分解・重合させるようにしてもよい。
また、カップリング剤のみを加水分解・重合させても、
同等の分子認識能を有する有機・無機複合体が得られ
る。
【0022】マトリックスを形成する金属酸化物として
は、その目的や用途に応じて種々のものが使用され得る
が、周期律表の第2周期から第6周期までのアルカリ金
属元素、アルカリ土類金属元素および第3B族元素、周
期律表の第3から第6周期までの第4B族元素および第
5族元素、遷移金属元素、ならびにランタノイド元素か
らなる群より選ばれた元素の1種の金属酸化物、あるい
は、2種以上の金属酸化物の組合せを使用することがで
き、特に限定されない。最も一般的には、シリカ(Si
2)、アルミナ(Al23)、チタニア(TiO2)、
ジルコニア(ZrO2)、酸化スズ(SnO2)、酸化イ
ンジウム(In23)、酸化タンタル(Ta25)、お
よびそれらの複合酸化物が使用される。
【0023】また、有機ポリマーを生成するための有機
モノマーとしては、その種類は特に限定されないが、ビ
ニル系モノマー、例えばアクリル酸、アクリル酸エステ
ル類、メタクリル酸、メタクリル酸エステル類、アクリ
ルアミド類、メタクリルアミド類、スチレン類、ビニル
ピロリドン類などを使用することができる。
【0024】カップリング剤としては、少なくとも1個
のアルコキシル基が他の官能基に置換された金属アルコ
キシドが使用される。官能基としては、アルキル、アリ
ール、ビニル、カルボキシアルキル、アルコキシカルボ
ニルアルキル、アミノアルキル、エポキシアルキル、ハ
ロゲン化アルキル、メルカプトアルキル、ヒドロキシア
ルキルなどであり、それらの官能基を有する金属アルコ
キシドが用いられるが、特に限定されない。具体的に
は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ラン等のビニル系シランカップリング剤、N−(2−ア
ミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラ
ン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリ
メトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラ
ン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N’
−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレ
ンジアミン等のアミノ系シランカップリング剤、3−グ
リシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシド
キシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−
エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等
のエポキシ系シランカップリング剤、3−クロロプロピ
ルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメ
トキシシラン等のクロル系シランカップリング剤、3−
メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のメタク
リロキシ系シランカップリング剤、3−メルカプトプロ
ピルトリメトキシシラン等のメルカプト系シランカップ
リング剤、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−
(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミノ等のケチ
ミン系シランカップリング剤、N−[2−(ビニルベン
ジルアミノ)エチル]−3−アミノプロピルトリメトキ
シシラン・塩酸塩等のカチオン系シランカップリング剤
や、このほか、クロム系カップリング剤、有機チタン系
カップリング剤、有機リン酸系カップリング剤などが使
用される。
【0025】鋳型分子としては、糖、ペプチド、核酸、
多糖、タンパク質、脂質等の生体分子を始めとして、す
べての有機化合物を鋳型分子とすることができる。ま
た、ゾル−ゲル法に用いる金属アルコキシドとしては、
周期律表の第2周期から第6周期までのアルカリ金属元
素、アルカリ土類金属元素および第3B族元素、周期律
表の第3から第6周期までの第4B族元素および第5族
元素、遷移金属元素、ならびにランタノイド元素からな
る群より選ばれた元素の1種の金属アルコキシド、ある
いは、2種以上の金属アルコキシドの組合せを使用する
ことができ、特に限定されない。また、前記元素の、2
種以上の金属アルコキシド間での反応により得られた複
合アルコキシド、あるいは、1種もしくは2種以上の金
属アルコキシドと1種もしくは2種以上の金属塩との反
応により得られた複合アルコキシドであってもよい。さ
らには、これらを組み合わせて使用することも可能であ
る。
【0026】2種以上の金属アルコキシド間での反応に
より得られる複合アルコキシドとしては、アルカリ金属
またはアルカリ土類金属のアルコキシドと遷移金属のア
ルコキシドとの反応により得られた複合アルコキシド
や、第3B族元素の組合せにより得られる錯塩としての
複合アルコキシドが用いられる。例えば、BaTi(O
R)6、SrTi(OR)6、BaZr(OR)6、Sr
Zr(OR)6、LiNb(OR)6、LiTa(OR)
6、および、これらの組合せ、LiVO(OR)4、Mg
Al2(OR)8などがある。また、(RO)3SiOA
l(OR’)2、(RO)3SiOTi(OR’)3
(RO)3SiOZr(OR’)3、(RO)3SiOB
(OR’)2、(RO)3SiONb(OR’)4、(R
O)3SiOTa(OR’)4などのシリコンアルコキシ
ドとの反応物やその縮重合物も用いられる。ここで、R
およびR’は、アルキル基を示す。また、1種もしくは
2種以上の金属アルコキシドと1種もしくは2種以上の
金属塩との反応により得られる複合アルコキシドとして
は、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、蟻酸塩、シュウ
酸塩などの金属塩とアルコキシドとの反応により得られ
る化合物が用いられる。
【0027】金属アルコキシドのアルコキシル基の炭素
数は特に限定されないが、含有酸素物濃度、有機物の脱
離の容易さ、入手の容易さなどからは炭素数1〜4がよ
り好ましい。
【0028】また、使用される溶剤としては、金属アル
コキシド原料および加水分解に用いる水がそれぞれ可溶
であって、水を添加する温度で凝固しないものであれ
ば、単一溶剤でも混合溶剤でもよく、特に限定されな
い。例えば、極性溶剤と非極性溶剤との組合せでも構わ
ない。水を添加する温度域での粘度、除去の容易さなど
からは、炭素数1〜3のアルコールであるメタノール、
エタノール、プロパノールが特に好ましい。
【0029】水の添加量は、金属アルコキシドにおける
金属元素の種類やアルコキシル基の種類によって異なる
ため、特定することはできない。また、金属元素の種類
によってはゾルの最適安定pH値が異なるので、触媒と
して酸または塩基が適宣併用される。使用する触媒は特
に限定されないが、高純度材料を得るためには、金属成
分を含まない化合物が好ましい。例えば、酸としては、
塩酸、硝酸、硫酸、燐酸などの鉱酸、炭酸、ほう酸、蟻
酸、酢酸、シュウ酸などの有機酸が用いられる。また、
塩基としては、アンモニア、アミン類などが用いられ
る。
【0030】得られた金属酸化物前駆体ゾルは、その成
形方法の違いにより、バルク、ファイバ、薄膜など、様
々な形態のゲルとすることが可能である。特に、金属酸
化物ゲルの薄膜を形成して、機能性金属酸化物の薄膜を
形成する場合に、この発明に係る製造方法は有効であ
る。
【0031】ゲルの成形方法は特に限定されず、一般に
ゾル液を用いた成形方法として実施可能な方法であれば
よい。例えば、バルク体は、ゲル化に必要である量の水
を金属アルコキシドに添加した後、容器中にキャスト
し、室温または使用した溶剤の沸点以下の温度で放置す
ることにより得られる。また、ファイバ体は、金属アル
コキシドに水を添加した後、溶剤を部分的に除去して粘
度の調整を行ってから、高粘度のゾルを曳糸(紡糸)す
ることにより得られる。薄膜は、ゾル液を、成膜したい
基体上に塗布することにより得られる。塗布の方法とし
て、ディップコート、スピンコート、フローコートな
ど、一般に実施されている方法を利用することができ
る。
【0032】金属酸化物前駆体ゾルから得られた金属酸
化物ゲルの成形体は、加熱処理、紫外光等の光照射な
ど、目的に応じた処理を施すことにより、機能性酸化物
成形体となる。
【0033】図1に示したような構造を有する有機・無
機複合体の製造方法についてより具体的に説明すると、
まず、反応中間体の類似体、遷移状態類似体などの鋳型
分子および1種もしくは2種以上の有機モノマーを溶剤
に溶かし、重合開始剤または触媒を加えて混合し、その
混合溶液を不活性ガス雰囲気下において所定時間だけ加
熱することにより、有機ポリマー溶液を得る。次に、1
種もしくは2種以上の金属アルコキシドに水および触媒
を加えて調製した溶液を、室温で有機ポリマー溶液に滴
下し、加水分解・重合を進め、ゲル化させて金属酸化物
ゲルとし、その後に、加熱処理、光照射等により、金属
酸化物ゲルから鋳型分子を取り除き、金属酸化物ゲルを
非晶質化または結晶化させる。これにより、金属酸化物
のマトリックス1の表面に、鋳型分子2に対し相互作用
可能な1種もしくは2種以上の官能基3を有する有機ポ
リマー4が結合され、有機ポリマー4側の表面に、鋳型
分子2を認識するキャビティ5が形成された構造を有す
る有機・無機複合体が得られる。この製造の際、金属酸
化物のマトリックス1と有機ポリマー4との結合を強固
にするため、カップリング剤を有機モノマー溶液または
金属アルコキシド溶液に加えるようにしてもよい。
【0034】また、有機モノマーと金属アルコキシドと
を一緒に溶剤に溶かし、カップリング剤、重合開始剤、
触媒および水を加えて、一度に反応を進めることも可能
である。
【0035】有機モノマーをラジカル重合させる場合、
重合開始剤を加えることが多いが、重合開始剤を加えず
に加熱したり、紫外線あるいは放射線を照射しても、有
機モノマーのラジカル重合は起こる。重合開始剤として
は、過酸化ベンゾイル、過酸化第三ブチル、第三ブチル
ヒドロペルオキシド、過硫酸カリウム等の過酸化物、
α,α’−アゾビスイソブチロニトリル、α,α’−ア
ゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等のアゾ化合物、
過酸化水素と第一鉄塩、過硫酸塩と第一鉄塩、過酸化ベ
ンゾイルとジメチルアニリン等のレドックスなどが使用
される。
【0036】また、有機モノマーをカチオン重合させる
場合、触媒としては、硫酸、リン酸、過塩素酸のような
プロトン酸、三フッ化ホウ素、塩化アルミニウム、四塩
化チタン、四塩化スズのようなルイス酸、あるいは、ヨ
ウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラートのようにカ
チオンを生成しやすい物質が用いられる。
【0037】有機モノマーをアニオン重合させる場合に
は、触媒として、水のように弱い塩基、苛性アルカリ、
ナトリウムアミド、アルコキシド、アルカリ金属、グリ
ニヤール試薬等の金属有機化合物などが用いられる。
【0038】また、図2に示したような構造を有する有
機・無機複合体の製造方法についてより具体的に説明す
ると、まず、反応中間体の類似体、遷移状態類似体など
の鋳型分子および1種もしくは2種以上のカップリング
剤を溶剤に溶かし、加水分解・重合させた溶液を得る。
次に、1種もしくは2種以上の金属アルコキシドに水お
よび触媒を加えて調製した溶液を、室温で前記溶液に滴
下し、加水分解・重合を進め、ゲル化させて金属酸化物
ゲルとし、その後に、加熱処理、光照射等により、金属
酸化物ゲルから鋳型分子を取り除き、金属酸化物ゲルを
非晶質化または結晶化させる。これにより、金属酸化物
のマトリックス6の表面に、鋳型分子7に対し相互作用
可能な1種もしくは2種以上の有機官能基8が結合さ
れ、鋳型分子7を認識するキャビティ9が形成された構
造を有する有機・無機複合体が得られる。この製造の
際、カップリング剤と金属アルコキシドとを一緒に溶剤
に溶かし、一度に加水分解・重合させるようにしてもよ
い。また、カップリング剤を溶剤に溶かし、加水分解・
重合させるだけでもよい。
【0039】上記したようにして得られた金属酸化物バ
ルク、金属酸化物薄膜あるいは金属酸化物ファイバは、
均質であるとともに、大きな表面積を有し、反応系へ添
加した際、高効率に触媒作用を示すことができる。
【0040】この発明に係る有機・無機複合体を触媒と
して用いる場合、それによって制御する反応は特に限定
されないが、基質に反応個所が多く、かつ、多基質反応
で制御が困難である有機反応に対して特に有効である。
具体的には、アルドール反応、クライゼン反応などの、
エノラートアニオンを経由する反応、ルイス酸触媒によ
る芳香族化合物のカップリング反応、ラジカルを活性種
とするカップリング反応などがあげられるが、特に限定
されない。
【0041】また、この発明に係る有機・無機複合体を
分離用担体として用いる例を示すと、得られた有機・無
機複合体を粉砕してカラムに充填し、HPLC用担体と
して用いたり、有機・無機複合体を薄膜に成形し、機能
性分離膜として用いたり、有機・無機複合体を多孔質体
に成形し、吸着用担体として用いたりするなどである。
【0042】
【発明の効果】請求項1および請求項3にに係る各発明
の、分子認識能を有する有機・無機複合体は、耐熱性お
よび耐有機溶剤性に優れ、分子認識能を有するキャビテ
ィが安定であり、ターンオーバーも高く、選択性触媒や
分離用担体として有効に利用される。
【0043】請求項2および請求項4に係る各発明の製
造方法によると、請求項1および請求項3に係る各発明
の有機・無機複合体がそれぞれ得られる。
【0044】請求項5に係る発明の使用方法によると、
有機・無機複合体からなる選択性触媒により反応が制御
されて、副生成物を生じる反応を抑制し、所望の反応だ
けを選択的に促進して、所望の反応生成物を高収率で得
ることができる。
【0045】請求項6に係る発明の使用方法によると、
有機・無機複合体からなる分離用担体により、所望の有
機基質を効果的に分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1に係る発明の、分子認識能を有する有
機・無機複合体の構造を説明するための模式的部分拡大
図である。
【図2】請求項3に係る発明の、分子認識能を有する有
機・無機複合体の構造を説明するための模式的部分拡大
図である。
【符号の説明】
1、6 金属酸化物のマトリックス 2、7 鋳型分子 3 官能基 4 有機ポリマー 5、9 キャビティ 8 有機官能基

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属酸化物のマトリックスの表面に、鋳
    型分子に対し相互作用可能な1種もしくは2種以上の官
    能基を有する有機ポリマーが結合され、その有機ポリマ
    ー側に、前記鋳型分子を認識するキャビティが形成され
    た、分子認識能を有する有機・無機複合体。
  2. 【請求項2】 鋳型分子の存在下において、その鋳型分
    子に対し相互作用可能な官能基を有する1種もしくは2
    種以上の有機モノマーを重合させるとともに、1種もし
    くは2種以上の金属アルコキシドを加水分解・重合させ
    た後ゲル化させて金属酸化物ゲルを調製し、その後に、
    前記鋳型分子を取り除き、前記金属酸化物ゲルを非晶質
    化または結晶化させることを特徴とする、分子認識能を
    有する有機・無機複合体の製造方法。
  3. 【請求項3】 金属酸化物のマトリックスの表面に、鋳
    型分子に対し相互作用可能な1種もしくは2種以上の有
    機官能基が結合され、前記鋳型分子を認識するキャビテ
    ィが形成された、分子認識能を有する有機・無機複合
    体。
  4. 【請求項4】 鋳型分子の存在下において、その鋳型分
    子に対し相互作用可能な官能基を有する1種もしくは2
    種以上のカップリング剤を加水分解・重合させるととも
    に、1種もしくは2種以上の金属アルコキシドを加水分
    解・重合させた後ゲル化させて金属酸化物ゲルを調製
    し、その後に、前記鋳型分子を取り除き、前記金属酸化
    物ゲルを非晶質化または結晶化させることを特徴とす
    る、分子認識能を有する有機・無機複合体の製造方法。
  5. 【請求項5】 無制御で行うと多数の副生成物を生じる
    反応において、選択性触媒として、有機反応基質を鋳型
    分子とした請求項1または請求項3記載の有機・無機複
    合体を反応系に添加し、前記反応の制御を行うことを特
    徴とする、分子認識能を有する有機・無機複合体の使用
    方法。
  6. 【請求項6】 有機分離基質を鋳型分子とした請求項1
    または請求項3記載の有機・無機複合体を分離用担体と
    して用いることを特徴とする、分子認識能を有する有機
    ・無機複合体の使用方法。
JP22708397A 1997-08-08 1997-08-08 分子認識能を有する有機・無機複合体ならびにその製造方法および使用方法 Pending JPH1157461A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22708397A JPH1157461A (ja) 1997-08-08 1997-08-08 分子認識能を有する有機・無機複合体ならびにその製造方法および使用方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22708397A JPH1157461A (ja) 1997-08-08 1997-08-08 分子認識能を有する有機・無機複合体ならびにその製造方法および使用方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1157461A true JPH1157461A (ja) 1999-03-02

Family

ID=16855249

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP22708397A Pending JPH1157461A (ja) 1997-08-08 1997-08-08 分子認識能を有する有機・無機複合体ならびにその製造方法および使用方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1157461A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000067899A1 (fr) * 1999-05-06 2000-11-16 Idemitsu Petrochemical Co., Ltd. Adsorbants issus de polymeres de styrenes
JP2002122579A (ja) * 2000-10-12 2002-04-26 Nippon Laser & Electronics Lab クロマトグラフィー用吸着材
JP2007526865A (ja) * 2003-06-25 2007-09-20 イーテーエン ナノヴェイション アクチェンゲゼルシャフト 混合金属酸化物、及びそのco2センサーにおける使用

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000067899A1 (fr) * 1999-05-06 2000-11-16 Idemitsu Petrochemical Co., Ltd. Adsorbants issus de polymeres de styrenes
US6815396B1 (en) 1999-05-06 2004-11-09 Idemitsu Petrochemical Co., Ltd. Adsorbents made of styrene polymers
JP2002122579A (ja) * 2000-10-12 2002-04-26 Nippon Laser & Electronics Lab クロマトグラフィー用吸着材
JP2007526865A (ja) * 2003-06-25 2007-09-20 イーテーエン ナノヴェイション アクチェンゲゼルシャフト 混合金属酸化物、及びそのco2センサーにおける使用
JP4805146B2 (ja) * 2003-06-25 2011-11-02 イーテーエン ナノヴェイション アクチェンゲゼルシャフト 二酸化炭素(co2)センサーに用いるための混合金属酸化物の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Schubert et al. Hybrid inorganic-organic materials by sol-gel processing of organofunctional metal alkoxides
Park et al. Post-grafting of silica surfaces with pre-functionalized organosilanes: new synthetic equivalents of conventional trialkoxysilanes
Mutin et al. Selective surface modification of SiO2− TiO2 supports with phosphonic acids
EP0753143B1 (en) Method of forming a polyvinyl alcohol (pva) based covalently bonded stable hydrophilic coating for capillary electrophoresis
JP5449782B2 (ja) 置換オルガノポリシロキサン及びその使用
WO1996023220A9 (en) Polyvinyl alcohol (pva) based covalently bonded stable hydrophilic coating for capillary electrophoresis
US20220187710A1 (en) Flow cell coating methods
JP2005055860A5 (ja)
US20220145379A1 (en) Kits and flow cells
US8148562B2 (en) Substituted organopolysiloxanes and use thereof
JP4233283B2 (ja) 生体物質固定用基板及びその製造方法
Huang et al. The toolbox of porous anodic aluminum oxide–based nanocomposites: from preparation to application
JPH1157461A (ja) 分子認識能を有する有機・無機複合体ならびにその製造方法および使用方法
JP4827835B2 (ja) 固体基板の表面の官能基化のためのゾル−ゲル法
JP2001158752A (ja) 膜反応器中での有機化合物の製造方法
CN109368647A (zh) 一种改性纳米二氧化硅气凝胶的制备
JPS6112734A (ja) 耐摩耗性のすぐれた被覆プラスチツク成形体の製造方法
KR20210116208A (ko) 헤테로폴리머를 포함하는 플로우 셀
US20240207839A1 (en) Flow cells
JPH08146435A (ja) 液晶表示板用スペーサー、その製造方法および液晶表示板
CN1160429C (zh) 固定光催化剂方法及组成物
JP3285625B2 (ja) 超微粒子分散多孔質体の製造方法
JP3349574B2 (ja) 無機系多孔質プレート
WO2024123748A1 (en) Etch-free photoresist patterning in multi-depth nanowells
RU2186792C2 (ru) Способ получения соли полиакриловой кислоты

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20040806

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060314

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060328

A02 Decision of refusal

Effective date: 20060808

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02