JPH1156489A - 棚板固定構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 棚板に設ける貫通孔の加工が容易であってか
つ高荷重によっても貫通孔の端部が破損することのな
い、ラックの棚板の固定構造を提供すること。 【解決手段】 支柱となるポール１とこれに直交するよ
うに固定された棚板３を含むラックにおける前記ポール
１と前記棚板３を固定するための構造において、前記棚
板３端部近傍には前記ポール１の外形より大きい円筒状
の貫通孔９を設け、前記貫通孔９には棚板上部側が小径
となるテーパー形状内部構造を有するブッシュ１３を装
着し、前記ポールに外嵌された棚板上部側が小径となる
テーパー形状外部構造を有するスリーブ１９と前記ブッ
シュを嵌合させることにより前記棚板と前記ポールを固
定する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、支柱となるポール
とこれに直交するように固定された棚板を含むラックに
おける前記ポールと前記棚板を固定するための構造に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】中空の金属パイプを支柱となるべきポー
ルとして使用し、これに棚板を任意の高さに固定したラ
ックにおいては、これまで棚板をポールに固定する方法
としては、以下の構造が採られていた。 棚板端部近傍、長方形の棚板においては一般に４隅に
テーパー形状の貫通孔を設ける。 ポールの所望の位置には、前記の棚板の孔のテーパー
形状に一致する下部に向かって外径が大きくなるテーパ
ー形状を有し、かつ長さがほぼ棚板の厚さであるスリー
ブを係合する。 前記の棚板の貫通孔にポールを挿通してスリーブ係合
位置にて棚板とポールを嵌合させて固定する。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、棚板にテーパ
ー形状の貫通孔を設ける方式は以下の課題を有する。 （１）テーパー形状のドリルを使用して孔をあけるとき
に切り込みの深さがわずかに変動しただけテーパー形状
の大きさが変動し、このテーパー形状の大きさのわずか
な変動により棚の高さが変動する。ラックは当然複数
本、主として４本のポールを支柱として組み立てられる
ものであるから、ポールと棚の個々の高さの変動によっ
て棚にガタが発生する。 （２）棚板に重量物が載せられたときに、その荷重は棚
板に設けられたテーパー形状の貫通孔のテーパー面で受
けることになり、貫通孔の上部端面に破損が生じること
が多い。特にパーティクルボードを使用した場合に破損
が生じやすい。

【０００４】本発明の目的は、棚板に設ける貫通孔の加
工が容易であってかつ高荷重によっても貫通孔の端部が
破損することのない、ラックの棚板の固定構造を提供す
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本願請求項１に記載の発
明は、支柱となるポールとこれに直交するように固定さ
れた棚板を含むラックにおける前記ポールと前記棚板を
固定するための構造であって、前記棚板端部には前記ポ
ールの外形より大きい円筒状の貫通孔が設けられ、前記
貫通孔には棚板上部側が小径となるテーパー形状の内部
構造を有するブッシュが装着されてポール挿通孔が形成
され、前記ポール挿通孔に挿通された前記ポールにはブ
ッシュの内面に一致するテーパー形状の外部構造を有す
るスリーブが外嵌され、前記ブッシュと前記スリーブが
嵌合されることにより前記棚板と前記ポールを固定する
ことを特徴とするものである。

【０００６】本発明は従来棚板に設けられていたテーパ
ー形状の貫通孔を円筒状に変え、別途作成した内面が棚
板上部側が小径となるテーパー形状のブッシュを装着す
ることにより棚板に設けられた嵌合孔の形状をテーパー
形状にした点に最も大きな特徴がある。係る構造とする
ことにより以下の効果が得られる。 棚板に設けられる貫通孔が円筒状になる結果、切り込
みの深さの微妙な調節が不要となり、その加工が極めて
容易になる。 ブッシュは樹脂やゴムを使用して作成可能であり、金
型の精度を確保すれば寸法のばらつきの極めて小さなブ
ッシュが量産でき、木製棚板にテーパー形状の貫通孔を
穿設する場合のように切り込みの深さのばらつきにより
生じる棚板の固定高さの変動を確実に防止することがで
きる。 重量物を載置した場合、荷重は直接棚板に設けられた
貫通孔を構成する材料、特に木材に負荷されずにブッシ
ュを構成する樹脂等の部材が受けるため、棚板の貫通孔
端部の破損防止に有効である。 棚板の両面を異なった色彩、模様にしておくと、ブッ
シュを上下入れ換えることが可能である結果、棚板の両
面が使用可能となり、設置場所に合わせた選択が可能で
あり、また気分の一新にも有効であるという効果が得ら
れる。

【０００７】本発明においては、前記ブッシュは両端部
に鍔部を有すると共に軸方向に切り欠きを有するもので
あることが好ましい。

【０００８】本発明のブッシュの両端部に鍔部を設ける
ことにより棚板にブッシュを装着した後のブッシュの脱
落が防止され、また棚板に設けられた貫通孔の加工端部
を覆い隠して美観を向上させると共に、棚板裏面に接す
る鍔部は棚板に荷重がかかった際にその荷重の少なくと
も一部を支持する作用も有する。また本発明のブッシュ
は上述のように樹脂、ゴム等で製作され、棚板の貫通孔
に装着される。ブッシュは内面は上述のようにテーパー
形状で全体として円筒に近い形状を有するものであって
外面は棚板に設けられた貫通孔の内面形状にほぼ一致す
るものであり、装着に際しては棚板の貫通孔の内径より
小さい形状に変形させる必要がある。低硬度の材料で作
成されたブッシュは容易に変形可能であるが、硬度が比
較的高い材料で作成されると円筒状では変形させること
が困難となる。このような場合に円筒の軸方向に切り欠
きを設けると切り欠きにより生じた端部をオーバーラッ
プさせるとブッシュの外形を棚板の内径より小さくする
ことが可能となる。

【０００９】なお、ブッシュは１ピースに限定されず、
切り欠きを設ける構成に変えて２ピース以上に分割され
たものであってもよく、各ピースを棚板の貫通孔に挿通
した後、所定の形状になるように組み立てるように構成
されていてもよく、各ピースに組み立て係合位置を明確
にするための係合部材が設けられていることも好ましい
態様である。

【００１０】本発明に使用する前記スリーブは略半円筒
状の２つのスリーブ部材より構成され、内面には前記ポ
ールの外面に設けられた係合形状部と係合する係合形状
部を有し、前記スリーブ部材は前記ポールの外周の半周
以上に及ぶ部分を有するものであることが好ましい。

【００１１】このようなにポールの半周以上に及ぶ部分
を有することによりスリーブ部材の各々がポールを抱え
込むような力が発生し、ポールにスリーブ部材を係合さ
せて手を離してもスリーブ部材がポールより脱落しな
い。その結果棚板との固定が容易に行えるという効果が
得られる。なお、略半円筒状とは軸方向の端部がスリー
ブ係合突起やスリーブ係合凹部を有していてもよく、幾
何学的な意味での半円筒に限定される意味ではないこと
を意味する。

【００１２】なお、スリーブは上記のように２ピースで
あることには限定されない。例えば３ピース以上であっ
て、それぞれが係合連結部を有し、ポールに装着したと
きに各ピースが係合連結されて略円筒状のスリーブを形
成するように構成されていても良い。この場合係合連結
により手を離しても各ピースはポールの所定位置に外嵌
されて脱落することはない。

【００１３】

【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に基づ
き説明する。ラックの１例の組み立て完成図を図１に示
した。支柱であるポール１は４本使用され、棚板３は天
板として使用されるものも含めて４枚が使用されてい
る。５が棚板とポールの固定構造部である。

【００１４】図２に前述の固定構造部を拡大してその組
立状況を示した。棚板の端部近辺には貫通孔９が設けら
れ、前記貫通孔９にはブッシュ１３が装着されてポール
挿通孔１１が形成されている。ポール１には係合形状
部、ここでは溝１５が設けられており、２つのピースに
分かれ、内周面に係合形状部、ここでは凸条２１を有す
るスリーブ１９が凸条と溝が嵌合するようにポールとス
リーブが係合された上でポールが貫通孔に挿通され、ス
リーブとブッシュが嵌合するように嵌合・固着される。

【００１５】ポールは一般的には４本使用され、棚板は
一般的に長方形である。貫通孔９は各棚板の４隅に設け
られる。大きな棚板の場合には、棚板中央部にたわみが
発生することも有り、係る事態発生防止のために棚板中
央部にポールを設ける構成としてもよい。また棚板は円
形であってもかまわない。ポールには前記溝１５を規則
的に等間隔に配置するように形成すると棚板の高さの調
節に便利である。

【００１６】ラックの構成として上述のように４本のポ
ールを使用してもよいが、棚の片面をパネルとし、パネ
ル自体を支柱の代わりとしてポールを２本程度にしても
かまわない。

【００１７】係合形状部はこの例においては溝１５と凸
条２１を示したがこれに限定されるものではなく、点状
の突起でもよく、ボールとスリーブが荷重による滑りを
防止する機能を有するものであればその形状は問わな
い。この例に示したように溝と凸条にするとポールとス
リーブの周方向の位置関係を問わず係合可能であり、組
み立てに好適である。

【００１８】図３にはポールと棚板を固定した後の固定
構造の断面を示した。この例においてはブッシュとスリ
ーブの高さが一致しているが、高さが異なってもかまわ
ない。

【００１９】図４にはブッシュの形状と棚板の貫通孔へ
の装着の状況を示した。図４（ａ）は比較的硬度の低い
ゴム状弾性を有する材料を使用して作成したブッシュで
あり、ゴムの柔軟性を利用して内筒方向へへこませる様
に変形させることによって外径を小さくし、貫通孔９に
装着することができる。また図４（ｂ）には比較的剛性
の高い材料を使用して作成したブッシュの例を示した。
このブッシュはゴム状弾性体で作成した（ａ）の形状で
は変形させて貫通孔９に装着することは困難である。従
って、切り欠き２０を軸方向に設け、この切り欠き端部
をオーバーラップするように変形させる（図４（ｂ）の
矢印）ことにより棚板に設けられた貫通孔に装着するこ
とができる。

【００２０】図５には図２において１例として使用した
スリーブの形状を具体的に示した。図２、図５において
例示したスリーブは２ピースより構成され、それぞれ同
じ形状をしている。スリーブは嵌合時に棚板上部に位置
する部分が薄肉となるように外面がテーパー形状を有
し、かつブッシュの内面形状に一致するように形成され
る。また内面は円筒状でありポールの外径と一致するよ
うに形成される。内面にはポールに設けられた係合形状
部の例である溝１５と係合する凸条２１が形成されてい
る。

【００２１】スリーブを形成する２つのピースであるス
リーブ部材はスリーブ嵌合凸部２３とスリーブ嵌合凹部
２５を有しており、スリーブ嵌合凸部２３が端部方向よ
り見ると図５のようにポールの外周の半周以上に及ぶ部
分を構成する。本発明のラックは個人的に組み立てるも
のであり、ブッシュは棚板に装着して流通過程に載せら
れるが、スリーブは部材として組み立てセットに添付さ
れる。従って組み立て時に上下の位置関係が一般の需要
者に分かりやすいように、ブッシュの取り付けの上下を
示すマーキング、例えば刻印が施されていることが好適
である。

【００２２】図６には３ピースタイプのスリーブを示し
た。各ピースの内面にはやはり溝のような係合形状部が
設けられていて組み合わせてポールに外嵌したときにポ
ールの形状係合部と嵌合してポールとスリーブの滑りを
防止し、棚板を所定位置に固定する作用を発揮する。ブ
ッシュにこのような形状を採用してもよい。

【００２３】上述のブッシュ、スリーブはゴム材料や樹
脂材料等を材料として使用される。特に合成樹脂、ゴム
材料により作成されたものであることが製造の容易さ、
コストの低さ等の観点より好ましい。ゴム材料としては
天然ゴムや各種の合成ゴムが特に限定されることなく使
用可能であり、当業者に周知の技術により加工・成形さ
れる。

【００２４】また合成樹脂としてはポリエチレン等のポ
リオレフィン樹脂、６−ナイロン等のポリアミド樹脂、
ポリエステル系樹脂、ＡＢＳ、ポリスチレン系樹脂、ア
クリル系樹脂等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂やポリウ
レタン樹脂等の熱硬化性樹脂の当業者に周知の樹脂はい
ずれもが限定されることなく使用可能であり、射出成形
等の周知の技術により成形される。

【図面の簡単な説明】

【図１】ラックの組み立て後の形状を示した図

【図２】ラックの固定構造部における組み立て状況を示
した図

【図３】固定構造の断面を示した図

【図４】ブッシュの形状を示した図

【図５】スリーブの形状を示した図

【図６】３ピースタイプのスリーブを例示した図

【符号の説明】

１ ポール ３ 棚板 ９ 貫通孔 １１ ポール挿通孔 １３ ブッシュ １９ スリーブ

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 支柱となるポールとこれに直交するよう
   に固定された棚板を含むラックにおける前記ポールと前
   記棚板を固定するための構造であって、 前記棚板には前記ポールの外径より大きい内径の円筒状
   の貫通孔が設けられ、前記貫通孔には棚板上部側が小径
   となるテーパー形状の内部構造を有するブッシュが装着
   されてポール挿通孔が形成され、前記ポール挿通孔に挿
   通された前記ポールにはブッシュの内面に一致するテー
   パー形状の外部構造を有するスリーブが外嵌され、前記
   ブッシュと前記スリーブが嵌合されることにより前記棚
   板と前記ポールを固定する棚板の固定構造。
2. 【請求項２】 前記ブッシュは両端部に鍔部を有すると
   共に軸方向に切り欠きを有するものである請求項１に記
   載の棚板の固定構造。
3. 【請求項３】 前記スリーブは略半円筒状の２つのスリ
   ーブ部材より構成され、内面には前記ポールの外面に設
   けられた係合形状部と係合する係合形状部を有し、前記
   スリーブ部材は前記ポールの半周以上に及ぶ部分を有す
   るものである請求項１又は２に記載の棚板の固定構造。