JPH1153018A - 切削装置の制御方法 - Google Patents

切削装置の制御方法

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JPH1153018A
JPH1153018A JP22092397A JP22092397A JPH1153018A JP H1153018 A JPH1153018 A JP H1153018A JP 22092397 A JP22092397 A JP 22092397A JP 22092397 A JP22092397 A JP 22092397A JP H1153018 A JPH1153018 A JP H1153018A
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JP22092397A
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English (en)
Inventor
Tetsushi Ito
哲史 伊藤
Hisashi Otsubo
寿 大坪
Mitsuhiro Yukimoto
充宏 行本
Yasuhisa Kono
泰久 河野
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GRAPHIC PROD KK
Yasuda Kogyo KK
Sanyo Seiki Co Ltd
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
GRAPHIC PROD KK
Yasuda Kogyo KK
Sanyo Seiki Co Ltd
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、切削装置の制御方法に関し、特にC
AMの手法を適用した金型加工等に適用して、簡易かつ
効率良くバーチカル切削加工できるようにする。 【構成】本発明は、加工目的を表示して基準点を辿る順
序の変更を受け付け、又はドリリング点の設定を受け付
ける。またこれに代えて加工目標の形状より、基準点を
辿る順序を変更し、又はドリリング点を設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、切削装置の制御方法に
関し、特にCAM(Computer aided manufacturing)の
手法を適用したバーチカル切削加工に適用することがで
きる。本発明は、所定ピッチにより配置した複数の基準
点を順次辿って、各基準点より工具をワークに押し当て
て切削加工する際に、この基準点を辿る順序をオペレー
タの指定により変更することにより、又は切削目標の外
形形状に応じて変更すること等により、簡易かつ効率良
く切削加工できるようにする。
【0002】
【従来の技術】従来、CAMによる切削加工において
は、ボールエンドミル、フラットエンドミル等の工具を
用いて、この工具の回転軸(以下Z軸と呼ぶ)に対して
垂直方向に工具を移動して金型等を所望の形状に切削加
工するようになされている。
【0003】すなわちこの金型加工におけるCAMは、
CAD(Computer aided design )により作成された形
状データの供給を受けることにより、また金型図面等に
基づいて入力された形状データにより、コンピュータに
おいて、加工対象になる金型の形状を把握し、この形状
に従って工具軌跡のデータを生成する。さらにCAM
は、この工具軌跡よりNC工作機械を制御する荒加工用
及び仕上げ加工用のデータを生成し、この生成したデー
タをNCフライス盤に供給する。
【0004】この工具軌跡の作成において、CAMで
は、例えば工具のZ軸方向の送りピッチを順次段階的に
変化させ、各z座標値毎に、金型の外形形状に沿って工
具軌跡を形成する。これによりCAMでは、例えば等高
線切削加工により金型加工するようになされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところでこのようなC
AMによらない実際の加工現場においては、いわゆるバ
ーチカル切削加工により金型作成時間を短縮する場合が
ある。すなわち図56(A)に示すように、ボールエン
ドミル、フラットエンドミル等の工具による切削加工に
おいては、Z軸に対して垂直方向に切削方向を設定して
ワークを切削することにより、切削方向への送り速度を
増大して切削速度を増大すると、図56(B)に示すよ
うに、工具がたわんで安定かつ精度の高い切削が困難に
なる。
【0006】これに対して図57(A)に示すように、
バーチカル切削加工に使用されるバーチカル切削工具に
おいては、工具の端面にチップが配置され、Z軸方向に
切削することができるように形成される。これによりバ
ーチカル切削加工においては、ボールエンドミル、フラ
ットエンドミル等の工具による切削加工に比して、工具
のたわみが少なく、高速度で切削加工できる。
【0007】CAMによる金型加工においても、このよ
うなバーチカル切削加工することができれば、従来に比
してさらに一段と金型作成に要する時間を短縮すること
ができると考えられる。
【0008】本発明は以上の点を考慮してなされたもの
で、CAMによる切削加工において、簡易かつ効率良く
バーチカル切削加工することができる切削装置の制御方
法を提案しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するた
め本発明においては、回転する工具の端面をワークに押
し付けて、この工具によりワークを加工目標の形状に切
削加工する切削装置の制御方法に適用する。この制御方
法において、ワークの工具側に、回転軸に垂直な基準面
を設定し、この基準面に所定ピッチにより複数の基準点
を設定し、これらの基準点に先の工具を順次移動させ
て、各基準点より工具をワークに押し付けるように工具
の移動経路を形成する。このとき所定の表示手段を介し
て加工目標の外形形状を表示すると共に、基準点を辿る
順序の変更を受け付け、該受け付けた順序により移動経
路を形成する。
【0010】また同様の制御方法において、加工目標の
基準面側に突出する部位を検出し、この部位を基準にし
て基準点を辿る順序を切り換えて、工具の移動経路を形
成する。
【0011】また同様の制御方法において、所定の表示
手段を介して加工目標の外形形状を表示すると共に、ワ
ークの所定箇所を穴加工するドリリング点の指定を受け
付け、このドリリング点を基準にして基準点の位置を設
定し、基準点を辿る順序を設定する。
【0012】さらに同様の制御方法において、加工目標
の基準面に対向する凹部を検出し、この凹部を穴加工す
るドリリング点を設定し、このドリリング点を基準にし
て基準点の位置を設定し、基準点を辿る順序を設定す
る。
【0013】また同様の制御方法において、基準点に工
具を順次移動させると共に、各基準点において工具をワ
ークに押し付けて加工終点までワークを切削した後、元
の基準点近傍にまで工具を復帰させるように、工具の移
動経路を形成する。さらに工具を加工終点より所定の退
避方向に退避させた後、元の基準点近傍にまで復帰させ
るように工具の移動経路を形成する。このとき隣接する
基準点のうちの、既に辿った基準点であって、対応する
加工終点に対して加工終点がワークに深い位置又は等し
い深さに設定された基準点を検出し、この基準点の分布
する方向に、退避方向を設定する。
【0014】このとき工具がワークに接触する前後所定
範囲、工具が加工終点に到達する近傍の所定範囲、及び
工具を退避位置に移動させる間、工具の送り速度を低減
する。
【0015】所定の表示手段を介して、加工目標の外形
形状を表示すると共に、基準点を辿る順序の変更を受け
付け、該受け付けた順序により移動経路を形成すれば、
オペレータにおいては、外形形状の凹凸等を確認して、
この凹凸により基準点を辿る順序を切り換えて切削の順
序を切り換えることができる。これにより複雑な外形形
状でなる加工目標を切削加工する場合でも、深さの深い
切削加工より深さの浅い切削加工を繰り返すことがで
き、その分一様な順序により切削する場合に比して格段
的に削り残しを低減することができる。
【0016】また同様の制御方法において、加工目標の
基準面側に突出する部位を検出し、この部位を基準にし
て基準点を辿る順序を切り換えて、工具の移動経路を形
成すれば、オペレータを煩わせることなく、加工目標の
外形形状の凹凸等を確認して、この凹凸により基準点を
辿る順序を切り換えて切削の順序を切り換えることがで
きる。
【0017】また同様の制御方法において、所定の表示
手段を介して加工目標の外形形状を表示すれば、オペレ
ータにおいては、加工目標の基準面に対向する凹部を確
認することができる。これによりワークの所定箇所を穴
加工するドリリング点の指定を受け付け、このドリリン
グ点を基準にして基準点の位置を設定し、基準点を辿る
順序を設定すれば、工具が進入できるようにドリリング
し、またこのドリリングした穴より、順次ワークを切削
加工して、凹部についてもバーチカル切削することがで
きる。
【0018】これに対して同様の制御方法において、加
工目標の基準面に対向する凹部を検出し、この凹部を穴
加工するドリリング点を設定し、このドリリング点を基
準にして基準点の位置を設定し、基準点を辿る順序を設
定すれば、オペレータを煩わせることなく、工具が進入
できるようにドリリングし、またこのドリリングした穴
より、順次ワークを切削して、凹部についてもバーチカ
ル切削することができる。
【0019】また同様の制御方法において、工具を加工
終点より所定の退避方向に退避させた後、元の基準点近
傍にまで復帰させるように工具の移動経路を形成し、こ
の退避方向を、隣接する基準点のうちの、既に辿った基
準点であって、対応する加工終点に対して加工終点がワ
ークに深い位置又は等しい深さに設定された基準点を検
出し、この基準点の分布する方向に設定すれば、工具を
ワークより速やかにかつ確実に離間させることができる
ように、退避の方向を設定することができる。
【0020】このとき工具がワークに接触する前後所定
範囲、工具が加工終点に到達する近傍の所定範囲、及び
工具を退避位置に移動させる間、工具の送り速度を低減
すれば、工具のチッピングを有効に回避することができ
る。
【0021】
【実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面と共に
詳述する。
【0022】(1)第1の実施の形態 図1は、この実施の形態に係るCAMシステムを示すブ
ロック図である。このCAMシステム1は、オンライ
ン、フロッピーディスク等を介して、CAD等により作
成された形状データD1の入力を受け、この形状データ
D1により金型加工用の加工データD3を生成する。
【0023】すなわち加工データ作成装置2は、演算処
理装置により構成され、必要に応じて表示装置3を介し
てメッセージ等を表示すると共に、入力装置4を介して
オペレータの指定を受け付け、これにより対話形式によ
り加工の条件を受け付ける。さらにこの入力された条件
に応じて形状データD1より工具軌跡のデータを作成
し、この工具軌跡のデータよりNC装置の制御用データ
でなる加工データD3を生成する。
【0024】このとき加工データ作成装置2は、オペレ
ータがバーチカル切削加工による荒取加工を選択する
と、バーチカル切削加工による工具軌跡のデータを生成
し、この工具軌跡のデータよりバーチカル切削用NCデ
ータを生成する。さらに加工データ作成装置2は、この
バーチカル切削用NCデータを使用した切削加工による
外形形状をさらに詳細に切削加工するように、等高線切
削加工による荒取用、仕上げ用の工具軌跡データを生成
し、これらの工具軌跡データより荒取用NCデータ、仕
上げ用NCデータを生成する。
【0025】加工データ作成装置2は、オンライン、フ
ロッピーディスク又は紙テープにより、このようにして
生成した加工データD3をNC切削装置に供給する。
【0026】図2は、このバーチカル切削用NCデータ
の作成処理手順を示すフローチャートである。加工デー
タ作成装置2は、オペレータがバーチカル切削加工によ
る荒取加工を選択すると、この処理手順を実行する。
【0027】すなわち加工データ作成装置2は、ステッ
プSP1からステップSP2に移り、加工対象でなるワ
ークの形状データを取得する。ここで例えば図3に示す
ように、何ら加工されていない長方形形状の金属ブロッ
クについて切削加工する場合、加工データ作成装置2
は、この金属ブロックでなるワーク10の外形寸法(H
×W×D)をオペレータの入力により取得する。またオ
ペレータの選択により、例えば既に他のNC工作機械等
により余分な箇所が大まかに除去されているワークにつ
いて切削加工する場合、このNC工作機械のNCデータ
又はこのNCデータの生成に供した形状データより、さ
らにはスキャナー等を用いた3次元の形状計測によるデ
ータより、外形形状を取得する。また鋳物でなるワーク
等を切削加工する場合、この鋳物の型作成に使用した図
面を用いて入力された形状データより、又はスキャナー
等を用いた3次元の形状計測によるデータより、外形形
状を取得する。
【0028】これにより加工データ作成装置2は、種々
のワークを加工対象にして効率良く切削加工できるよう
になされている。また必要に応じて大径の工具によりバ
ーチカル切削加工した後、小径の工具によりバーチカル
切削加工して切削加工の効率を向上できるようになされ
ている。
【0029】さらにこのとき加工データ作成装置2は、
このワークの材質についても、オペレータの入力により
データを取得する。
【0030】続いて加工データ作成装置2は、ステップ
SP3に移り、図4に示すように、加工目標の形状を示
す形状データを取得する。ここで加工データ作成装置2
は、CADにより作成された形状データ、図面を用いて
入力された形状データ等を受け付ける。このとき加工デ
ータ作成装置2は、例えば何ら加工されていない長方形
形状のワークについて切削加工する場合のように、ワー
ク10に対して形状データにより表される加工目標11
を種々の向きにより配置可能な場合、オペレータの指定
を受けて、ワーク10に対する加工目標11の配置を決
定する。なおこの図4に示す加工目標11をおいては、
図3に示した座標系との対比により、ワーク10に対す
る配置を示す。
【0031】続いて加工データ作成装置2は、ステップ
SP4に移り、工具データを取得する。ここで図5
(A)及び(B)に示すように、バーチカル切削加工に
使用する工具14は、略円柱形状の本体14Aの先端に
チップ14Bを配置して形成され、NC切削装置のチャ
ック15に取り付けられて回転駆動される。これにより
バーチカル切削加工においては、チップ14Bの刃先が
走査するリング状の領域(図5(C)においてハッチン
グにより示す領域であり、以下切削可能範囲と呼ぶ)し
か切削加工できない特徴があり、またこのリング状の領
域の内側において、ワークがチップ14Bの先端より本
体14Aの底面側に近接するとそれ以上Z方向には切削
困難な特徴がある(以下切削不可範囲と呼ぶ)。
【0032】加工データ作成装置2は、このチップ14
Bの刃幅W1、切削可能範囲の外形でなる工具半径R
1、工具の首下長L1を取得する。また加工データ作成
装置2は、同時にチャック15の外形形状も取得する。
これにより加工データ作成装置2は、これらの情報に基
づいて、工具干渉等を判断できるようになされている。
なお加工データ作成装置2は、このようにして取得した
工具の形状データにより、図5(C)に示すように、回
転軸を横切る平面に対する工具半径R1による円形形状
の投影断面形状、回転軸を含む平面に対する工具半径R
1及び首下長L1による長方形形状の投影断面形状によ
り工具の形状を定義する。また同様にしてチャックの形
状データによりチャックの形状を図形形状により定義す
る。これにより加工データ作成装置2は、簡易な処理に
より工具干渉等を判定できるようになされている。
【0033】このようにして工具データを取得する際
に、加工データ作成装置2は、オペレータの指定により
事前に登録されたデータベースをアクセスし、これによ
りこのデータベースより切削加工に使用する工具データ
を取得する。またこのとき同時に工具に関する切削の条
件(切削速度等のデータでなる)もデータベースより取
得する。なお加工データ作成装置2は、対応する工具デ
ータがこのデータベースに保持されていない場合、オペ
レータの指定によりこれら工具データを取得する。
【0034】続いて加工データ作成装置2は、ステップ
SP5に移り、工具の進入方向を設定する。ここで加工
データ作成装置2は、初期設定状態において、形状デー
タにより表される加工目標の座標系を基準にして、この
座標系のxy平面に垂直なz座標の正方向よりワークに
工具が接近するように、工具の進入方向に設定する。加
工データ作成装置2は、この初期状態により、加工目標
の外形形状、バーチカル切削可能な領域を所定の表示装
置3に表示し、オペレータより、NC切削装置における
座標軸、工具の進入方向の設定を受け付ける。
【0035】すなわち図6に示すように、バーチカル切
削加工においては、工具14の回転軸を順次段階的に移
動させると共に、各移動位置で回転する工具14をワー
ク10に押圧して切削を繰り返す。これにより図7にお
いて矢印Aにより示すように、例えば飛行機の外形形状
のように、長さの長い加工目標に対して、この長手方向
より工具14をワークに押し当てたのでは、工具14の
首下長によりこの工具14の押圧方向に切削困難な部分
が発生し、これにより多くの削り残しが発生する。
【0036】この場合例えば図8において矢印Bにより
示すように、飛行機の天井側より工具14をワークに押
圧すれば、工具の回転軸方向をワークの長手方向に設定
する場合に比してより多くの部分をバーチカル切削によ
り切削することができ、その分加工に要する時間を短縮
できると考えられる。ところがこの場合、符号Cにより
断面を示すように、工具14の押圧方向に対して肉厚の
薄い主翼の部分において、加工目標まで切削加工すると
工具14の押圧力によりワークが撓み、これにより安定
かつ精度の高い加工が困難になる。これにより結局主翼
の部分については、加工目標に対して多くの削り残しを
残さなければならなくなる。
【0037】このような場合には、図9において矢印D
により示すように、飛行機の一側面側よりワークに工具
を押しつけてバーチカル切削加工した後、続いて図10
において矢印Eにより示すように、残る一側面側よりワ
ークに工具を押しつけてバーチカル切削すれば、削り残
しを十分に低減することができる。すなわちこの場合、
垂直尾翼の部分が薄肉でなることにより、垂直尾翼の部
分についてだけ、加工目標に対して多くの削り残しを残
さなければならなくなり、全体として見たとき、他の方
向より工具を進入させた場合に比して削り残しを低減す
ることができる。因みに、このような削りの残しの部分
については、例えば矢印Fにより示すように、他の方向
より工具を押し当ててバーチカル切削加工することがで
きる。
【0038】これらのことから加工データ作成装置2
は、このステップSP5において、オペレータが最も効
率が良いと判断する工具の進入方向を受け付ける。この
とき加工データ作成装置2は、オペレータの指定によ
り、図9及び図10について説明したように、複数の方
向について工具の進入方向を受け付ける。このとき加工
データ作成装置2は、加工目標の外形形状、工具データ
より判定されるバーチカル切削可能な領域を表示装置3
に表示することにより、オペレータの判断を手助けす
る。
【0039】さらに加工データ作成装置2は、このとき
NC切削装置におけるワークの配置をオペレータの入力
により受け付け、これによりワークの何れの部分がNC
切削装置において下側になるのかを検出する。
【0040】続いて加工データ作成装置2は、ステップ
SP6に移り、ここで凹部加工が必要か否か判断する。
ここでオペレータがバーチカル切削加工による凹部加工
を指示すると、加工データ作成装置2は、ステップSP
7に移る。
【0041】すなわちバーチカル切削加工においては、
図5(C)について説明したように、チップの刃先が走
査するリング状の切削可能範囲しか切削加工できない特
徴があり、またこの切削可能範囲の内側の切削不可範囲
において、ワークの表面がチップ14Bの先端より本体
14Aの底面側に近接すると工具干渉する。これにより
X方向等に順次段階的に工具14を移動させて切削加工
する場合には、直前に切削加工した深さより深くは切削
困難な欠点がある。これにより図4の加工目標11をA
−A線により切り取って図11に示すように、凹部につ
いては、直前の切削による深さまでしかバーチカル切削
困難になる。
【0042】加工データ作成装置2は、例えば加工目標
の表面形状を示す点群について、隣接する点間でz座標
値を順次比較することにより、このような凹部を検出す
る。さらに加工データ作成装置2は、工具半径R1を基
準にしてこのようにして検出した凹部の大きさ(XY平
面への投影面積により判定する)が所定値以上か否か判
断することにより、この凹部がバーチカル切削加工する
のに十分な大きさか否か判断する。すなわち加工データ
作成装置2は、この工具半径R1よりやや大きな直径に
よりこの凹部を穴加工することが困難な程度に凹部が小
さい場合、この凹部がバーチカル切削加工するのに十分
でないと判断する。また工具半径R1よりやや大きな直
径によりこの凹部を穴加工した場合に、この穴加工によ
り凹部に残る部分がバーチカル切削加工するに十分な大
きさでない場合、この凹部がバーチカル切削加工するの
に十分な大きさでないと判断する。
【0043】これによりこの判断処理で肯定結果が得ら
れると、加工データ作成装置2は、オペレータに対して
該当する凹部をバーチカル切削加工するか否か問い合わ
せし、オペレータがバーチカル切削加工する旨のメニュ
ーを選択すると、ステップSP7に移る。
【0044】このステップSP7において、加工データ
作成装置2は、ドリリング用の加工データ作成処理を実
行し、凹部を穴加工するドリリングのNCデータを生成
する。なお以下の説明においては、ステップSP5にお
いて設定された工具の進入方向をz座標値の正方向に設
定して説明する。
【0045】このドリリング用の加工データ作成処理に
おいて、加工データ作成装置2は、オペレータがマニュ
アル操作によるメニューを選択すると、続いてオペレー
タの指定する箇所をドリリング点に設定する。さらにこ
のドリリング点において、加工目標の形状よりz座標値
を取得する。これにより加工データ作成装置2は、原点
よりドリリング点にドリルを移動させ、このz座標値ま
でワークをドリリングした後、元の原点までドリルを戻
すようにNCデータを生成する。このとき加工データ作
成装置2は、この凹部について加工目標のz座標値を順
次検索することにより、この凹部で奥まった箇所を加工
目標の形状と共に所定の表示画面に表示し、これにより
オペレータによるドリリング点の指定を手助けする。
【0046】これに対してオペレータが自動作成のメニ
ューを選択すると、加工データ作成装置2は、この凹部
について加工目標のz座標値を順次検索することによ
り、図12に示すように、この凹部で最も奥まった箇所
を検出し、これによりドリル16によりワークを最も深
く切削可能なxy座標値を検出する。加工データ作成装
置2は、この検出したxy座標値をドリリング点に設定
し、マニュアル操作の場合と同様にしてNCデータによ
る加工データを生成する。
【0047】このとき図13に示すように、最も奥まっ
た箇所がドリルの工具径に比して一定値以上の面積を有
する場合、加工データ作成装置2は、ステップSP5に
おいて取得したNC切削装置におけるワークの配置より
最も下側の箇所にドリリング点を設定する。さらにこの
最も下側の箇所が所定の広がりを有する場合、最も原点
に近い箇所をドリリング点に設定する。加工データ作成
装置2は、このドリリング点のxy座標値、加工目標の
z座標値より、マニュアル操作の場合と同様にしてNC
データによる加工データを生成する。
【0048】さらにこのようにしてドリリングによるN
Cデータを生成する際に、加工データ作成装置2は、工
具14の工具半径に比して所定値以上工具半径の大きな
ドリルによりNCデータを生成する。
【0049】このようにしてドリリングの加工データを
作成すると、又はステップSP6において否定結果が得
られると、加工データ作成装置2は、ステップSP8に
移る。ここで加工データ作成装置2は、1の工具進入方
向についてカッターパス作成処理を実行し、工具軌跡で
なるカッターパスを生成する。続いて加工データ作成装
置2は、ステップSP9に移り、NCデータ作成処理を
実行し、ステップSP8で作成したカッターパスよりN
Cデータを作成する。
【0050】続いて加工データ作成装置2は、ステップ
SP10に移り、ステップSP9で作成したNCデータ
によりバーチカル切削した場合に、その後同一の工具進
入方向よりさらに深く切削することができるか否か判断
する。すなわち図14に示すように、奥行きの大きな加
工目標を切削加工する場合、工具の首下長によりチャッ
ク等がワークに接触し、多くの削り残しが発生する。し
かしながらこのようにチャック等がワークに接触する直
前まで工具14Cによりバーチカル切削した後において
は、符号14Dにより示すように、チャック等に接触す
るワークが削り取られていることにより、さらに深くバ
ーチカル切削することができる。このようにさらに深く
バーチカル切削することができれば、続く等高線切削加
工の時間を短縮することができる。
【0051】これらのことから加工データ作成装置2
は、後述するカッターパス作成処理と同様に、xy平面
に沿って工具14の進入点でなる基準点をマトリックス
状に仮設定し、何れかの基準点において工具14により
ワークを切削し得るか否か、すなわち各基準点において
工具14の切削可能な領域を加工目標に投影してなる領
域のz座標値を検出してその値を判定することにより、
同一の進入方向より工具を進入させてさらにバーチカル
切削できるか否か判断する。
【0052】さらに加工データ作成装置2は、このよう
にしてバーチカル切削できる箇所が発見されると、表示
装置3を介して切削可能箇所を加工目標の形状と共に表
示し、オペレータの指定を待機する。これにより加工デ
ータ作成装置2は、オペレータの判断により同一方向よ
りさらに切削する旨の指定が得られると、ステップSP
8に戻り、再びカッターパス作成処理を実行する。この
とき加工データ作成装置2は、ワークの外形形状に代え
て、直前のNCデータ作成処理で生成したNCデータに
よる、加工途中のワーク形状を基準にしてカッターパス
作成処理を実行する。
【0053】これに対してステップSP10において否
定結果が得られると、加工データ作成装置2は、ステッ
プSP11に移り、全ての工具進入方向について、NC
データを作成したか否か判断する。ここで例えば図9及
び図10について説明したように、工具の進入方向を複
数設定した場合は否定結果が得られることにより、加工
データ作成装置2は、ステップSP6に戻る。これによ
り加工データ作成装置2は、工具の進入方向を切り換え
て同様の処理を繰り返した後、ステップSP12に移っ
てこの処理手順を終了する。
【0054】図15は、カッターパス作成処理手順を示
すフローチャートである。加工データ作成装置2は、こ
の処理手順において、ステップSP15からステップS
P16に移り、基準点のピッチP及びステップSを設定
する。すなわち図16に示すように、加工データ作成装
置2は、この処理手順において、工具進入方向でなるz
軸に垂直で、かつワークの最上端より所定距離だけ離間
した仮想平面を基準点設定用の基準平面(xy平面に平
行な面でなる)に設定する。さらに加工データ作成装置
2は、ワーク10の形状を基準にしてこの基準平面上に
マトリックス状に複数の基準点PINを設定する。
【0055】さらに加工データ作成装置2は、図17に
示すように、所定の順序で工具14をこの基準点PIN
に順次移動させ、各基準点PINより工具14をワーク
10に押し付けるように工具軌跡を生成する。ステップ
SP16において、加工データ作成装置2は、この連続
する工具14の移動方向(以下ライン方向と呼ぶ)でな
るピッチPと、このピッチPに対して直交する方向につ
いての工具14の移動ピッチでなるステップSを設定す
る。
【0056】ここで図18に示すように、加工データ作
成装置2は、工具14についてデータベースをアクセス
することにより、又はオペレータの入力により、工具直
径2R1より小さな所定範囲でピッチP(この実施の形
態では工具直径の約6割の長さ)を設定する。また同様
にして図19に示すように、刃幅W1より小さな所定範
囲でステップS(この実施の形態では刃幅の約6割の長
さ)を設定する。これにより加工データ作成装置2は、
隣接する基準点PIN間で、各基準点の連続する方向に
削り残しが発生しないようにピッチP及びステップSを
設定する。
【0057】このようにしてピッチP及びステップSを
設定すると、加工データ作成装置2は、ステップSP1
7に移り、この設定したピッチP及びステップSにより
上述の基準平面上に基準点PINを設定する。このとき
加工データ作成装置2は、ワーク10に対して何れの方
向からもバーチカル切削加工することができるように、
ワーク10より各方向に飛び出すように基準点PINを
設定する(図16)。すなわちワーク10より各方向に
飛び出す基準点PINにおいては、各基準点PINに工
具14をセットしてワークに工具14を押圧した際に、
工具14の切削不可範囲にワークが重ならないように、
ワークより所定距離だけ外周側に離間して設定される。
【0058】続いて加工データ作成装置2は、ステップ
SP18に移り、各基準点PINに工具14を配置した
として、各工具14の切削可能範囲をz軸方向より加工
目標に投影し、該投影された領域内で加工目標のz座標
値を順次検出する。さらに検出したz座標値を切削可能
範囲で順次比較することにより、工具14が加工目標に
接触するz座標値を検出する。加工データ作成装置2
は、このz座標値を削り残ししろの分だけz軸方向にオ
フセットさせ、図20に示すように、工具14により切
削可能なz座標値を検出する。
【0059】このとき加工データ作成装置2は、工具1
4の首下長又はチャックの形状等により、この検出した
z座標値の深さまでバーチカル切削可能した場合に工具
干渉するか否か判定し、工具干渉する場合には、この検
出したz座標値に代えて、工具14の首下長及びチャッ
ク形状等による切削可能なz座標値をこの基準点PIN
に対応するz座標値に設定する。加工データ作成装置2
は、このようにして各基準点PINについて対応するz
座標値を順次検出する。これにより加工データ作成装置
2は、各基準点PINのxy座標値と、検出したz座標
値とにより表される、各基準点PINにおける切削加工
の加工終点を検出することになる。
【0060】このようにしてz座標値を取得すると、加
工データ作成装置2は、ステップSP19に移り、基準
点を辿る順序を設定する。すなわちバーチカル切削加工
においては、刃幅以下のピッチによりワークに進入する
方向(y方向)については、加工目標までの深さが一定
の場合、又は徐々に浅くなっている場合の何れかしか切
削することができない。従って図21に示すように、刃
幅以下のピッチによりワークに進入する方向について、
一旦深さが浅くなった後、深さが深くなるような加工目
標をこの方向に切削加工したのでは、深さが深くなる部
分で多くの削り残しが発生する。
【0061】この場合図22において矢印G及びHによ
り示すように、深さが順次深くなる部分で工具の移動経
路を逆転させれば、削り残しを低減することができる。
これにより加工データ作成装置2は、例えばステップの
方向に、加工目標のz座標値を順次走査して図23に示
すように、加工目標のピークPKを検出する。さらに加
工データ作成装置2は、この検出したピークPKと共に
加工目標の形状を表示装置3に表示し、オペレータによ
る指定を受け付ける。このとき加工データ作成装置2
は、NC切削装置にセットした際のワークの最下端側
で、原点に最も近い基準点PINを始点の基準点PIN
に設定し、この始点の基準点PINよりラスタ走査の順
序により基準点PINを辿る順序を初期設定の走査順序
(図17に示す順序でなる)に設定し、この順序を併せ
て表示する。またこの順序により発生するz座標値方向
の削り残しも併せて表示する。
【0062】さらに加工データ作成装置2は、例えばス
テップSの方向に、加工目標のz座標値を順次走査して
尾根状にピークが検出されると、点状のピークPKの表
示に代えて、図23において破線LKにより示すよう
に、この尾根状のピークを表示する。また複数箇所でピ
ークPKを検出した場合には、これらのピークを表示す
る。
【0063】この状態でオペレータが初期設定の走査順
序を指定すると、加工データ作成装置2は、各基準点を
辿る順序をこの初期設定の順序に設定する。これに対し
てオペレータがマニュアルによる設定を選択した後、加
工目標における領域を指定すると、この領域について
は、基準点を辿る順序を初期設定の走査順序より逆方向
に辿るように、また残る領域については初期設定の走査
順序により基準点を辿るように、基準点を辿る順序を設
定する。
【0064】これに対してオペレータが自動設定のメニ
ューを選択すると、加工データ作成装置2は、検出した
ピークPKを基準にして基準点を辿る順序を初期設定の
走査順序より切り換えて、これら基準点を辿る順序を設
定する。すなわち図23に示すように、加工データ作成
装置2は、ピークPKを基準にして、始点の基準点PI
NよりピークPKの直前のラインまでの間、矢印Gによ
り示すように、ピッチPの方向をライン方向に設定して
なるラスタ走査の順序で順次基準点を辿るように設定す
る。
【0065】またピークPKの直前のラインよりy方向
の基準点については、このピークPKの直前のラインの
末尾の基準点PINより、矢印G1により示すように、
始点PINと逆側の基準点P1に順序を設定した後、こ
の基準点P1より矢印Hにより示すように、初期設定の
走査順序と逆向きの順序により基準点を辿るように設定
する。
【0066】また尾根状にピークが検出された場合、加
工データ作成装置2は、この尾根状のピークを境にして
初期設定の走査順序と、この走査順序と逆向きの走査順
序を設定する。さらに複数のピークが検出された場合、
オペレータの指定する何れかのピーク、又は最も突出し
たピークを基準にして、上述の説明と同様にして基準点
を辿る順序を設定する。
【0067】これにより加工データ作成装置2は、複雑
な加工目標についてバーチカル切削する場合でも、簡易
な操作により削り残しを十分に低減し、その分効率良く
金型加工できるようになされている。特にこの実施の形
態のように、加工目標のピークに基づいて自動的に基準
点を辿る順序を設定すれば、オペレータを煩わすことな
く適切な順序によりバーチカル切削することができ、そ
の使い勝手を向上することができる。なおこれらの場合
に、削り残し量を算出して、この削り残し量が最も少な
くなるように、基準点を辿る方向を最適化してもよい。
【0068】このようにして基準点の順序を設定する際
に、加工データ作成装置2は、図2のステップSP6に
ついて上述した凹部加工が選択されている場合、凹部の
上部に位置する基準点PINについては、上述の順序の
設定より除外する。
【0069】このようにして基準点を辿る順序を設定す
ると、加工データ作成装置2は、この順序により、ステ
ップSP18で取得したz座標値を補正し、これにより
刃幅以下のピッチによりワークに進入する方向について
は、各基準点について検出したz座標値が低減しないよ
うにする。
【0070】すなわち加工データ作成装置2は、y軸方
向に隣接する基準点のz座標値を順次比較し、設定した
順序により基準点を辿って各基準点について検出したz
座標値が減少する場合、この基準点については、検出し
たz座標値に代えて比較対象でなる基準点のz座標値を
設定する。これにより図2のステップSP6について上
述した凹部加工が選択されていない場合であって、図1
0について上述したような凹部を有する加工目標につい
ては、図24に示すように、削り残しとして放置するよ
うに工具軌跡を生成することになる。また基準点を辿る
順序を切り換えても深さが徐々に深くなる部分が残る場
合も、この部分についても削り残しが発生することにな
る。
【0071】これに対してx軸方向に隣接する基準点に
ついては、順序の若い、隣接する基準点におけるz座標
値と比較することにより、工具の切削不可範囲にワーク
が突き当たるか否か判定し、これによりz座標値を再設
定する。
【0072】このようにして基準点PINの順序を設定
すると共にz座標値を再設定すると、加工データ作成装
置2は、ステップSP20に移り、逃がしの座標値算出
処理を実行する。すなわち図25において矢印Iにより
示すように、この実施の形態では、基準点PINより工
具14をワークに押し付けて加工終点までワークを切削
加工するように工具軌跡を生成する。さらにその後、矢
印Jにより示すように、加工終点より斜め上方に、ワー
クより遠ざかるように工具を退避させ、続く基準点PI
Nに工具14を移動させる。
【0073】加工データ作成装置2は、このステップS
P20において、加工終点より工具を斜め上方に退避さ
せる際の、退避先の座標値(x1、y1、z1)を算出
する。このため加工データ作成装置2は、始めに加工終
点から退避先の方向を算出する。
【0074】図26は、この逃がしの座標値算出処理を
示すフローチャートであり、加工データ作成装置2は、
ステップSP19において順序を設定した各基準点につ
いて、この処理手順を繰り返す。この処理手順におい
て、加工データ作成装置2は、ステップSP21よりス
テップSP22に移り、処理対象の基準点に隣接する基
準点であって、この処理対象の基準点より順序の若い基
準点を選択する。これにより加工データ作成装置2は、
処理対象の基準点について切削加工する際に、既に切削
加工されている基準点を選択する。
【0075】続いて加工データ作成装置2は、ステップ
SP23に移り、処理対象の基準点に対応する加工終点
のz座標値と、これら選択した基準点に対応する加工終
点のz座標値とを順次比較することにより、処理対象の
基準点に対応する加工終点に比して加工深さの浅くない
加工終点を選択する。
【0076】続いて加工データ作成装置2は、ステップ
SP24に移り、この選択した加工終点に対応する基準
点の分布する方向を逃げの方向に設定する。具体的に、
図27に示すように、基準点PTを処理対象とする場合
に、この基準点PTに隣接する基準点P11〜P23の
うち、基準点P11、P12、P13、P21が基準点
PTより順序が若い場合、加工データ作成装置2は、基
準点PTの加工終点の深さと、これら基準点P11、P
12、P13、P21の加工終点の深さとを順次比較す
る。
【0077】このとき処理対象の基準点PTとx座標値
又はy座標値の等しい基準点(この図27の場合は基準
点P12又はP21が該当する)を間に挟んで直線状に
連続する3つの基準点P11〜P13において、これら
連続する基準点P11〜P13に対応する加工終点の深
さが、基準点PTの加工終点の深さと等しいか、又は深
い場合、このx座標値又はy座標値の等しい基準点の方
向を退避の方向に設定する。これにより図27の場合で
は、基準点P12の方向が退避方向に設定される。なお
加工データ作成装置2は、x座標値又はy座標値の等し
い2つの基準点の何れもについて、連続する基準点でこ
れらの関係が成立する場合、これら2つの基準点のうち
近接した基準点の方向を退避方向に設定する。
【0078】これに対してこのように直線状に連続する
3つの基準点P11〜P13の何れかにおいて、対応す
る加工終点の深さが処理対象の基準点PTに対応する加
工終点の深さより浅い場合もある。
【0079】例えば図28に示すように、x座標値又は
y座標値の等しい2つの基準点P12及びP21に対応
する加工終点、この2つの基準点P12及びP21に隣
接する基準点P11に対応する加工終点だけが、基準点
PTの加工終点より浅くない場合、2つの基準点P12
及びP21、処理対象の基準点PTをそれぞれ中心にし
て基準点設定用の仮想平面上で工具半径R1による円C
12、C21、CTを形成する。さらに円CTと円C2
1が形成する2つの交点を算出し、このうちのワークの
未切削側の交点PT1を選択する。同様にして円CTと
円C12が形成する2つの交点を算出し、このうちのワ
ークの未切削側の交点PT2を選択する。加工データ作
成装置2は、各交点PT1及びPT2を通る円CTの接
線L1及びL2を生成し、この接線L1及びL2の成す
角を等分に分割する線分LTの方向を退避の方向に設定
する。
【0080】これに対して図29に示すように、隣接す
る2つの基準点P11、P12についてのみ加工終点の
深さが浅くない場合、図28について説明した基準点P
12及びP21に代えてこの2つの基準点P11、P1
2により円C11、C12を生成する。さらにこの円C
11、C12と円CTとの交点PT1及びPT2から円
CTの接線L1、L2を生成し、この接線L1及びL2
の成す角を等分に分割する線分LTの方向を退避の方向
に設定する。
【0081】また図30に示すように、x又はy座標値
の等しい基準点P12又はP21についてのみ、加工終
点の深さが浅くない場合、この基準点P12の方向を退
避の方向に設定する。
【0082】これにより加工データ作成装置2は、工具
をワークより遠ざける際に、工具のチッピングを有効に
回避する。
【0083】このようにして逃げの方向を設定すると、
加工データ作成装置2は、ステップSP25(図26)
に移り、加工終点より逃げの方向に所定距離だけ離間
し、またZ座標が所定値だけ増大してなる位置を退避先
の座標値(x1、y1、z1)に設定した後、ステップ
SP26に移ってこの処理手順を終了する。
【0084】このようにして順序を設定した全ての基準
点について逃がしの座標を計算すると、加工データ作成
装置2は、ステップSP27に移る(図15)。ここで
加工データ作成装置2は、上述のステップSP6(図
2)においてオペレータが凹部加工を選択したか否か判
断し、凹部加工を選択していない場合、ステップSP2
8に移ってこの処理手順を終了する。このとき加工デー
タ作成装置2は、ステップSP19において設定した順
序で基準点を順次辿り、各基準点より加工終点、退避
点、退避点よりZ軸方向に延長する直線が元の基準点設
定平面と交差する点の座標値を順次設定し、これにより
これら各点を順次辿る工具軌跡を生成する。
【0085】これに対してステップSP27において肯
定結果が得られると、加工データ作成装置2は、ステッ
プSP29に移って凹部のカッターパス作成処理を実行
する。この凹部のカッターパス作成処理において、加工
データ作成装置2は、凹部について基準点を順次設定す
ると共に、各基準点の順序、対応する加工終点、退避点
を設定する。さらに検出したこれらの点を順次辿る工具
軌跡を作成した後、ステップSP28に移り、ステップ
SP16〜ステップSP20において設定した基準点の
順序、対応する加工終点、退避点による工具軌跡に続い
て、凹部のカッターパス作成処理による工具軌跡が続く
ように全体の工具軌跡を作成し、この処理手順を終了す
る。
【0086】図31は、この凹部のカッターパス作成処
理を示すフローチャートである。加工データ作成装置2
は、ステップSP31からステップSP32に移り、ド
リリング点を基準に基準点を設定する。ここで図32及
び図33に示すように、加工データ作成装置2は、ドリ
リング点PDよりx方向又はy方向に凹部を横切るよう
に所定ピッチで2列に連続する基準点PAを設定し、ま
たこの2列の基準点PAを設定して残る領域に、ピッチ
を変更して基準点PBを設定する。
【0087】ここで加工データ作成装置2は、この2列
に連続する基準点PAについては、この基準点PAがド
リリング点PDより離間する方向に、ステップSP16
(図15)で設定したステップSと同一のピッチP1
(すなわち工具14の刃幅以下のピッチでなる)により
基準点PAを繰り返す。これに対してこのピッチP1に
よる繰り返し方向と直交する方向については、工具14
の直径以下で、かつドリリング点において穴加工して残
るワークが各基準点において切削不可範囲に重ならない
ように、所定のピッチP2により基準点PAを設定す
る。
【0088】また残る領域については、これらの基準点
に対してx及びy方向に、ステップSP16(図15)
で設定したピッチP及びステップSにより基準点PBを
設定する。
【0089】続いて加工データ作成装置2は、ステップ
SP33に移り、このようにして設定した基準点につい
て、これら基準点を辿る順序を設定する。ここで図32
及び図33との対比により図34及び35に示すよう
に、ドリリング点PDよりx方向又はy方向に2列に連
続する基準点PAについては、シグザグに、ドリリング
点PDより順次遠ざかるように、順序を設定する。この
ときY方向については、2列に連続する基準点PAのう
ちの加工目標までの深さが深い側の基準点を先に辿るよ
うに、順序を設定する。
【0090】これに対して残る領域について、加工デー
タ作成装置2は、図34及び図35との対比により図3
6及び37に示すように、ラスタ走査の順序により順次
これら基準点PBを辿るように順序を設定する。
【0091】このようにして順序を設定すると、加工デ
ータ作成装置2は、ステップSP34に移り、ここでス
テップSP18及びSP19について上述したと同様に
して各基準点PA、PBについてz座標値を検出する。
さらに続くステップSP35において、逃がしの座標算
出処理(図26)を実行する。これにより加工データ作
成装置2は、凹部について、基準点PA、PBを辿る順
序により、各基準点の座標、対応する加工終点、退避
点、退避点より基準点設定平面と交差する点の座標値を
順次設定し、これによりこれら各点を順次辿る工具軌跡
を生成した後、ステップSP36に移ってこの処理手順
を終了する。
【0092】これにより加工データ作成装置2は、凹部
についてもバーチカル切削加工してその分金型作成に要
する時間を短縮できるようになされている。特にこの実
施の形態のように、加工目標の凹部を検出してドリリン
グ点を設定すれば、オペレータを煩わせることなく、工
具が進入できるようにドリリングし、またこのドリリン
グした穴より、順次ワークを切削加工して、凹部につい
てもバーチカル切削することができ、その分簡易かつ効
率良くバーチカル切削することができる。
【0093】図38は、NCデータ作成処理を示すフロ
ーチャートである。加工データ作成装置2は、この処理
手順を実行することにより上述した工具軌跡のデータに
NC切削装置の制御コードを付加し、バーチカル切削用
のNCデータを作成する。
【0094】すなわち加工データ作成装置2は、ステッ
プSP40からステップSP41に移り、各基準点毎
に、ワーク上端のz座標値を検出する。続いて加工デー
タ作成装置2は、ステップSP42に移り、工具軌跡の
順に配列されてなる座標データよりNCデータを生成す
る。
【0095】ここで加工データ作成装置2は、ステップ
SP4で取得した工具データより工具14を所定の回転
速度で回転駆動するようにNCデータを生成する。さら
に図39に示すように、加工データ作成装置2は、各基
準点PINに進入するまでの間、所定の早送り速度によ
り工具を移動させるように、制御コードを設定してNC
データを生成する。さらに各基準点PINからステップ
SP41で検出したz座標値の近傍まで、同様に所定の
送り速度により工具14がワークに接近するようにNC
データを生成する。
【0096】加工データ作成装置2は、この工具14及
びワークの組み合わせにおける標準の工具送り速度をF
1とすると、ステップSP41で検出したz座標値よ
り、工具14がワークに接触する直前より、工具14が
ワークの切削を開始して所定値だけz座標値が低減する
までの間、例えば送り速度F1/2により工具14をワ
ークに押圧するようにNCデータを生成する。さらに加
工データ作成装置2は、その後送り速度を標準の工具送
り速度F1に戻した後、加工終点に至る直前の所定範囲
で、送り速度F1/2によりNCデータを生成する。さ
らに加工データ作成装置2は、その後退避点に至までの
間、この送り速度を維持するようにNCデータを生成
し、退避点より基準平面に復帰するまでの間、早送りに
より工具を移動させる。なおこの送り速度F1/2は、
オペレータの指定により変更できるようになされてい
る。
【0097】これにより加工データ作成装置2は、煩雑
な送り速度の設定作業を簡略化して、簡易な操作により
工具のチッピングを有効に回避し、また切削に要する時
間を短縮するようになされている。
【0098】以上の構成によれば、ワークに対してマト
リックス状に設定した基準点を順次辿って各基準点より
ワークを切削加工するにつき、表示装置3を介して加工
目標の形状を表示すると共に、この基準点を辿る順序の
変更を受け付けることにより、単に順次基準点を辿る場
合に比して削り残しを低減することができる。これによ
り簡易かつ効率良くバーチカル切削することができる。
【0099】またこのときオペレータの選択により、加
工目標の形状に応じて、順次加工の深さが浅くなるよう
に辿る方向を切り換えることにより、オペレータを煩わ
せることなく、単に順次基準点を辿る場合に比して削り
残しを低減することができ、これにより簡易かつ効率良
くバーチカル切削することができる。
【0100】同様に、表示装置3を介して加工目標の形
状を表示すると共に、ドリリング点の設定を受け付け、
このドリリング点を基準にして凹部について基準点を設
定することにより、凹部を有する加工目標についても簡
易かつ効率良くバーチカル切削することができる。
【0101】またこのときオペレータの選択により、凹
部の形状に応じて、またワークの配置に応じてドリリン
グ点を設定したことにより、オペレータを煩わせなくて
も、凹部を有する加工目標について簡易かつ効率良くバ
ーチカル切削することができる。
【0102】さらに各基準点より加工終点まで工具を移
動させた後、順序が若く、かつ加工深さの深い基準点の
分布する方向に工具を退避させることにより、工具のチ
ッピングを有効に回避して効率良くバーチカル切削する
ことができる。
【0103】またこれらの場合に、工具がワークに接触
する前後所定範囲、加工終点の直前の所定範囲、退避位
置に退避するまでの間、工具の送り速度を低減したこと
により、工具とワークとの関係が変化する前後で、工具
に対する急激な負荷の変動を有効に回避することがで
き、これにより工具のチッピングを有効に回避して効率
良くバーチカル切削することができる。
【0104】(2)第2の実施の形態 この第2の実施の形態において、加工データ作成装置
は、荒加工したワークを対象にした仕上げ加工用のバー
チカル切削用NCデータを作成する。なお、この荒加工
したワークは、第1の実施の形態におけるバーチカル切
削用NCデータにより荒加工したワークであり、加工デ
ータ作成装置は、第1の実施の形態について上述した荒
加工用のバーチカル切削用NCデータに続いて、この仕
上げ加工用のバーチカル切削用NCデータを作成する。
【0105】すなわち図40に示すように、加工データ
作成装置は、この実施の形態において、工具14をワー
クに押し付けながら、加工目標の外形形状に沿ってXY
方向に工具14を移動させ、これにより加工目標の外形
形状にワークを切削する。なお図40(B)は、図40
(A)を工具軌跡でなるI−I線に沿って切り取って示
す断面図である。
【0106】このため加工データ作成装置は、図41に
示す処理手順を実行して、仕上げ加工用のバーチカル切
削用NCデータを作成する。なおこの加工データ作成装
置は、この実施の形態においても、図2のステップSP
11について説明したと同様にしてオペレータの設定し
た進入方向毎に、この処理手順を実行する。
【0107】すなわち加工データ作成装置は、ステップ
SP40からステップSP41に移り、加工目標の形状
データより、又はオペレータの入力により、加工開始の
基準位置を検出する。ここで加工データ作成装置は、オ
ペレータによる入力により、又は加工目標の形状データ
についてZ座標値を順次比較するより、隣接する領域よ
り工具進入方向に突出してなる領域を検出する。
【0108】このとき加工データ作成装置は、図42に
示すように、加工目標において尾根状に突出してなる線
状の領域が検出されると、又はオペレータにより線状の
領域が指定されると、この線状の領域のxy座標値よ
り、この線状の領域を基準平面に投影して基準位置を設
定する。なおパーティング面のように、このような尾根
状の領域が線状に現れない場合、加工データ作成装置
は、このパーティング面の内のりでなる線状の領域より
基準位置を設定する。またこのような加工目標において
尾根状の領域のz座標値が変化している場合、この尾根
状の領域の一部についてはz座標値の比較によりピーク
を検出できることにより、この検出したピークより隣接
する領域の座標値を順次判定し、このようにz座標値が
変化している場合についても、尾根状の領域を検出す
る。また同様に、尾根状の領域が分岐している場合につ
いても、検出する。
【0109】また図43に示すように、工具進入方向に
突出してなる領域が点として検出される半円球形状等の
加工目標については、この点の座標値(x、y、z)よ
り、この点を基準平面に投影して基準位置を設定する。
【0110】このようにして基準位置を検出すると、加
工データ作成装置は、ステップSP42に移り、この基
準位置を基準にして基準点を設定することにより、加工
目標の外形形状に従って工具進入位置を設定する。ここ
で図44に示すように、加工データ作成装置は、ステッ
プSP41で設定した線状の基準位置については、基準
平面上でこの基準位置を工具半径の分だけオフセットさ
せて基準線を形成し、この基準線上に所定ピッチで基準
点Pを設定する。
【0111】また図45に示すように、ステップSP4
1で設定した点による基準位置については、工具半径の
分だけ離間してこの基準位置を取り囲むように円形形状
の基準線を基準平面上に形成し、この基準線上に所定ピ
ッチで基準点Pを設定する。このとき加工データ作成装
置は、削り残し量が所定値以下になるように、予めオペ
レータの設定した加工精度に応じて、基準線の曲率に応
じてピッチを設定する。
【0112】これにより加工データ作成装置は、例えば
図46に示すように、馬蹄形形状の凹部については、内
側壁面に沿って一定ピッチPにより基準点Pを設定す
る。また図47に示すように、同様に、扇形状の凹部に
ついても、内側壁面に沿って一定ピッチPにより基準点
Pを設定する。
【0113】このようにして基準点を設定すると、加工
データ作成装置は、ステップSP43に移り、各基準点
について、工具軌跡を作成する。すなわち加工データ作
成装置は、図48に示すように、荒加工による削り残し
の分だけ、工具をz軸方向に変位させて工具が加工目標
の外形に接触する工具中心の座標値を検出する。さらに
加工データ作成装置は、この位置から加工目標の外形形
状に沿って順次z座標値が低減するように工具軌跡を生
成する。
【0114】このとき図48に示すように、加工データ
作成装置は、工具14と加工目標とが形成する接線上よ
り、対応する工具中心を見たとき、この接線上の点と工
具中心を結ぶ直線が、この接線上点を通る加工目標の等
高線に対して直交するように、工具軌跡を計算する。
【0115】このようにして各基準点について加工目標
の外形形状に沿った工具軌跡を作成すると、加工データ
作成装置は、ステップSP44に移り、必要箇所に工具
軌跡を補間する。すなわち図49に示すように、例えば
z方向に扇状に広がるような箇所においては、この実施
の形態のように、加工目標の上端側で設定したピッチに
より加工目標の外形形状に沿って切削加工すると、徐々
に隣接する工具軌跡間のピッチPが広がるようになり、
オペレータの所望した加工精度により加工することが困
難になる。
【0116】これにより加工データ作成装置は、この工
具軌跡間のピッチPを検出し、このピッチPが所定値以
上拡大する部分について、改めてこの2つの工具軌跡の
始点でなる基準点間に新たな基準点を設定する。さらに
この新たに設定した基準点よりステップSP43と同様
にして工具軌跡を生成し、これにより隣接する工具軌跡
間の距離が所定値以上離間しないように、工具軌跡を補
間する。なおこの処理により加工データ作成装置は、図
45について説明したような頂点を形成する加工目標に
ついても、オペレータの所望する切削精度によりバーチ
カル切削できるようになされている。また基準点から補
間による工具軌跡を生成することにより、工具の痕跡が
金型に残らないようにする。
【0117】加工データ作成装置は、続いてステップS
P45に移り、基準点を辿る順序を設定し、またこの順
序に応じて工具軌跡を補正する。すなわち図50に示す
ように、コーナーの内側壁面をバーチカル切削する場
合、この内側壁面に沿って基準点が順次設定され、各基
準点より工具が進入することになる。この場合に、内側
壁面にテーパーが形成されている場合、矢印に示すよう
に、各工具軌跡は、内側に変位するようになる。なおこ
の図50と、続く図51、図52及び図53において
は、工具ピッチを強調して示した。
【0118】このような場合に、矢印により示す加工順
序でワークを切削したのでは、図51に示すように、削
り残しによりコーナーの部分で工具14を移動できなく
なる。すなわちこの場合バーチカル切削におけるアンダ
ーカットの状態が発生し、甚だしい場合は、工具を破損
することになる。
【0119】これによりこの実施の形態では、原点に最
も近接した基準点より順次隣接する基準点を辿るよう
に、基準点を辿る順序を初期設定する。加工データ作成
装置は、この初期設定した状態で、オペレータの指定に
より、又は加工データ作成装置における判定により、こ
のようなコーナーの箇所を検出する。さらにこのような
コーナーの箇所で、図52に示すように、コーナー近傍
においては、コーナーを形成する2つの壁面を交互に切
削するように、基準点を辿る順序を変更する。さらに図
53に示すように、先に切削の完了した方向に逃げるよ
うに、各基準点からの工具軌跡を補正する。かくするに
つき、この補正の程度Δは、オペレータの設定により、
又は同種の加工において蓄積されたデータより、決定さ
れる。また基準点を辿る順序を変更する範囲において
も、オペレータの設定により、又は同種の加工において
蓄積されたデータより、決定される。
【0120】これにより加工データ作成装置は、アンダ
ーカットを有効に回避して工具軌跡を生成する。かくし
てこのようにして工具軌跡を作成すると、加工データ作
成装置は、第1の実施の形態と同様に、速度制御のコマ
ンド等を付加してNCデータを生成した後、ステップS
P46に移ってこの処理手順を終了する。
【0121】以上の構成によれば、仕上げ加工にバーチ
カル切削加工を適用する場合でも、加工目標の形状に応
じて所定ピッチにより基準点を設定し、さらにこの基準
点を辿る順序を設定することにより、簡易かつ効率良く
バーチカル切削加工することができる。
【0122】(3)他の実施の形態 なお上述の第1の実施の形態においては、マトリックス
状に基準点を設定する場合について述べたが、本発明は
これに限らず、第2の実施の形態について上述した手法
を適用して、加工目標の外形形状に沿って所定ピッチに
より基準点を設定してもよい。
【0123】すなわち図54に示すような馬蹄形形状の
凹部については、内側又は外側の壁面に沿った一定のピ
ッチPTにより基準線を形成し、この基準線上に、一定
のピッチPにより基準点を設定することにより、効率良
く荒加工することができる。また図55に示すような扇
形状においては、同様に、内側又は外側の円弧形状の壁
面に沿った一定のピッチPTにより基準線を形成し、こ
の基準線上に、一定のピッチPにより基準点を設定する
ことにより、効率良く荒加工することができる。
【0124】また上述の第1の実施の形態においては、
加工目標のピークを検出して基準点を辿る順序を変更す
る場合について述べたが、本発明はこれに限らず、各基
準点について検出した加工目標までの深さを、隣接する
基準点間で比較し、この比較結果より基準点を辿る順序
を切り換えても良い。すなわちこの場合、間接的に、加
工目標の基準面側に突出する部位を検出して基準点を辿
る順序を切り換え、これにより削り残しを低減すること
ができる。
【0125】さらに上述の第1の実施の形態において
は、加工目標を表示装置に表示して基準点を辿る順序の
変更を受け付ける場合について述べたが、本発明はこれ
に限らず、例えば削り残し量等併せて表示するようにし
てもよい。
【0126】また上述の第1の実施の形態においては、
ステップSP10(図2)よりステップSP8に戻っ
て、同一方向より工具を進入させてバーチカル切削する
場合に、当初のピッチP及びステップSにより工具軌跡
を生成する場合について述べたが、本発明はこれに限ら
ず、ピッチPとステップSの関係を入れ換えるようにし
ても良く、これに伴い基準点を辿る基準となるラスタ走
査の方向を90度回転させてもよい。このようにすれ
ば、凹凸の激しい加工目標について、1回のバーチカル
切削によっては切削困難な箇所について削り残しを低減
して切削することができる。
【0127】さらに上述の第1の実施の形態において
は、ライン方向については工具直径以下のピッチによ
り、ライン間については刃幅以下のピッチにより基準点
を設定する場合について述べたが、本発明はこれに限ら
ず、この関係を入れ換えてもよい。
【0128】さらに上述の第1の実施の形態において
は、全ての基準点について、工具をワーク方向に変位さ
せるように工具軌跡を作成する場合について述べたが、
本発明はこれに限らず、切削量の少ない基準点について
はバーチカル切削を省略するようにし、このような基準
点については工具軌跡の生成を省略してもよい。このよ
うにすれば、これらバーチカル切削を省略した領域につ
いては続く等高線切削加工により切削加工することにな
るが、金型加工全体より見て加工に要する時間を短縮す
ることができる。
【0129】また上述の第2の実施の形態については、
バーチカル切削による荒加工に続いて、バーチカル切削
による仕上げ加工を実行する場合について述べたが、本
発明はこれに限らず、等高線加工による荒加工に続いて
バーチカル切削による仕上げ加工する場合にも広く適用
することができる。
【0130】また上述の実施例においては、本発明を金
型加工に適用する場合について述べたが、本発明はこれ
に限らず、例えばモックアップの製品を作成する場合、
種々の金属製品を製品加工する場合等、形状データで表
される形状を加工目標にして、切削材を切削加工する場
合に広く適用することができる。
【0131】
【発明の効果】上述のように本発明によれば、加工目的
を表示して基準点を辿る順序の変更を受け付けることに
より、又はドリリング点の設定を受け付けることによ
り、削り残しを低減して簡易かつ効率良くバーチカル切
削することができる。またこれに代えて加工目標の形状
より、基準点を辿る順序を変更し、又はドリリング点を
設定することにより、オペレータを煩わせることなく削
り残しを低減して簡易かつ効率良くバーチカル切削する
ことができる。さらに加工終点より工具を退避させる退
避方向を、基準点の分布により設定したことにより、工
具を速やかにワークより離間させて、工具の損傷を有効
に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るCAMシステムを示
すブロック図である。
【図2】図1のCAMシステムにおける加工データ作成
装置2の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】ワークの形状データの入力の説明に供する斜視
図である。
【図4】加工目標の形状データの入力の説明に供する斜
視図である。
【図5】バーチカル切削の工具の説明に供する側面図、
平面図及び略線図である。
【図6】バーチカル切削の基本説明に供する断面図であ
る。
【図7】工具の進入方向の説明に供する加工目標の斜視
図である。
【図8】図7の加工目標を天井側よりバーチカル切削す
る場合の説明に供する斜視図である。
【図9】図7の加工目標を一側面側よりバーチカル切削
する場合の説明に供する斜視図である。
【図10】図7の加工目標を他の側面側よりバーチカル
切削する場合の説明に供する斜視図である。
【図11】凹部をバーチカル切削する場合の断面図であ
る。
【図12】ドリリング点の設定の説明に供する断面図で
ある。
【図13】凹部が広がりを有する場合のドリリング点の
設定の説明に供する断面図である。
【図14】奥行きの深い加工目標をバーチカル切削する
場合の説明に供する断面図である。
【図15】カッターパス作成処理を示すフローチャート
である。
【図16】基準点の設定の説明に供する平面図である。
【図17】基準点を辿る順序の説明に供する平面図であ
る。
【図18】ピッチの説明に供する略線図である。
【図19】ステップの説明に供する略線図である。
【図20】基準点毎に検出するz座標値の説明に供する
断面図である。
【図21】削り残しの説明に供する断面図である。
【図22】基準点を辿る順序による削り残しの低減の説
明に供する断面図である。
【図23】ピークを基準にした基準点を辿る順序の切り
換えの説明に供する断面図である。
【図24】凹部切削しない場合の加工形状を示す断面図
である。
【図25】各基準点からの工具の移動経路を示す断面図
である。
【図26】逃がしの座標値算出処理を示すフローチャー
トである。
【図27】隣接する基準点と逃がし方向の関係を示す略
線図である。
【図28】隣接する3点の基準点と逃がし方向の関係を
示す略線図である。
【図29】隣接する2点の基準点と逃がし方向の関係を
示す略線図である。
【図30】隣接する1点の基準点と逃がし方向の関係を
示す略線図である。
【図31】凹部のカッターパス作成処理を示すフローチ
ャートである。
【図32】凹部における基準点の設定の説明に供する平
面図である。
【図33】図32とは異なる箇所にドリリング点が設定
された場合の、凹部における基準点の設定の説明に供す
る平面図である。
【図34】図32との対比により基準点を辿る順序の説
明に供する平面図である。
【図35】図33との対比により基準点を辿る順序の説
明に供する平面図である。
【図36】図34との対比により残る基準点を辿る順序
の説明に供する平面図である。
【図37】図35との対比により残る基準点を辿る順序
の説明に供する平面図である。
【図38】NCデータ作成処理のフローチャートであ
る。
【図39】工具の送り速度の説明に供する略線図であ
る。
【図40】バーチカル切削による仕上げ加工の概略を示
す平面図及び断面図である。
【図41】本発明の第2の実施の形態に係る加工データ
作成装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図42】加工目標の形状に応じた基準位置の設定の説
明に供する斜視図である。
【図43】凸部でなる加工目標について設定される基準
位置を示す斜視図である。
【図44】図42との対比により基準点の設定の説明に
供する斜視図である。
【図45】図43との対比により基準点の設定の説明に
供する斜視図である。
【図46】馬蹄形形状の凹部に設定される基準点を示す
平面図である。
【図47】扇形状の凹部に設定される基準点を示す平面
図である。
【図48】各基準点からの工具軌跡を示す斜視図であ
る。
【図49】工具軌跡の補間の説明に供する斜視図であ
る。
【図50】コーナー部に設定される基準点を示す平面図
である。
【図51】図50のコーナー部におけるアンダーカット
の説明に供する平面図である。
【図52】図50のコーナー部における基準点を辿る順
序を示す平面図である。
【図53】図50のコーナー部における各基準点からの
補正された工具軌跡を示す平面図である。
【図54】馬蹄形形状の凹部に設定される荒加工用の基
準点を示す平面図である。
【図55】扇形状の凹部に設定される荒加工用の基準点
を示す平面図である。
【図56】従来の切削加工の説明に供する略線図であ
る。
【図57】バーチカル切削の説明に供する略線図であ
る。
【符号の説明】
1……CAMシステム、2……加工データ作成装置、3
……表示装置、4……入力装置、10……ワーク、14
……工具
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 哲史 東京都豊島区高田2丁目17番22号 株式会 社グラフィックプロダクツ内 (72)発明者 大坪 寿 岡山県浅口郡里庄町大字浜中1160番地 安 田工業株式会社内 (72)発明者 行本 充宏 岡山県真庭郡久世町大字久世1734番地 山 陽精機株式会社内 (72)発明者 河野 泰久 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】回転する工具の端面をワークに押し付け
    て、前記工具により前記ワークを加工目標の形状に切削
    加工する切削装置の制御方法において、 前記ワークの前記工具側に、前記回転軸に垂直な基準面
    を設定し、前記基準面に所定ピッチにより複数の基準点
    を設定し、前記基準点に前記工具を順次移動させて、前
    記各基準点より前記工具を前記ワークに押し付けるよう
    に、前記工具の移動経路を形成し、 所定の表示手段を介して前記加工目標の外形形状を表示
    すると共に、前記基準点を辿る順序の変更を受け付け、
    該受け付けた順序により前記移動経路を形成することを
    特徴とする切削装置の制御方法。
  2. 【請求項2】回転する工具の端面をワークに押し付け
    て、前記工具により前記ワークを加工目標の形状に切削
    加工する切削装置の制御方法において、 前記ワークの前記工具側に、前記回転軸に垂直な基準面
    を設定し、前記基準面に所定ピッチにより複数の基準点
    を設定し、前記基準点に前記工具を順次移動させて、前
    記各基準点より前記工具を前記ワークに押し付けるよう
    に、前記工具の移動経路を形成し、 前記加工目標の前記基準面側に突出する部位を検出し、
    前記部位を基準にして前記基準点を辿る順序を切り換え
    て、前記工具の移動経路を形成することを特徴とする切
    削装置の制御方法。
  3. 【請求項3】回転する工具の端面をワークに押し付け
    て、前記工具により前記ワークを加工目標の形状に切削
    加工する切削装置の制御方法において、 前記ワークの前記工具側に、前記回転軸に垂直な基準面
    を設定し、前記基準面に所定ピッチにより複数の基準点
    を設定し、前記基準点に前記工具を順次移動させて、前
    記各基準点より前記工具を前記ワークに押し付けるよう
    に、前記工具の移動経路を形成し、 所定の表示手段を介して前記加工目標の外形形状を表示
    すると共に、前記ワークの所定箇所を穴加工するドリリ
    ング点の指定を受け付け、前記ドリリング点を基準にし
    て前記基準点の位置を設定し、前記基準点を辿る順序を
    設定することを特徴とする切削装置の制御方法。
  4. 【請求項4】回転する工具の端面をワークに押し付け
    て、前記工具により前記ワークを加工目標の形状に切削
    加工する切削装置の制御方法において、 前記ワークの前記工具側に、前記回転軸に垂直な基準面
    を設定し、前記基準面に所定ピッチにより複数の基準点
    を設定し、前記基準点に前記工具を順次移動させて、前
    記各基準点より前記工具を前記ワークに押し付けるよう
    に、前記工具の移動経路を形成し、 前記加工目標の前記基準面に対向する凹部を検出し、前
    記凹部を穴加工するドリリング点を設定し、前記ドリリ
    ング点を基準にして前記基準点の位置を設定し、前記基
    準点を辿る順序を設定することを特徴とする切削装置の
    制御方法。
  5. 【請求項5】回転する工具の端面をワークに押し付け
    て、前記工具により前記ワークを加工目標の形状に切削
    加工する切削装置の制御方法において、 前記ワークの前記工具側に、前記回転軸に垂直な基準面
    を設定し、前記基準面に所定ピッチにより複数の基準点
    を設定し、前記基準点に前記工具を順次移動させると共
    に、前記各基準点において前記工具を前記ワークに押し
    付けて加工終点まで前記ワークを切削した後、元の基準
    点近傍にまで前記工具を復帰させるように、前記工具の
    移動経路を形成し、 前記工具を前記加工終点より所定の退避方向に退避させ
    た後、元の基準点近傍にまで復帰させるように前記工具
    の移動経路を形成し、 隣接する基準点のうちの、既に辿った基準点であって、
    対応する加工終点に対して加工終点が前記ワークに深い
    位置又は等しい深さに設定された基準点を検出し、該検
    出した基準点の分布する方向に、前記退避方向を設定す
    ることを特徴とする切削装置の制御方法。
  6. 【請求項6】前記工具が前記ワークに接触する前後所定
    範囲、前記工具が前記加工終点に到達する近傍の所定範
    囲、及び前記工具を前記退避方向に移動させる間、前記
    工具の送り速度を低減することを特徴とする請求項5に
    記載の切削装置の制御方法。
JP22092397A 1997-08-01 1997-08-01 切削装置の制御方法 Pending JPH1153018A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002361512A (ja) * 2001-06-11 2002-12-18 Honda Motor Co Ltd 突き加工方法
JP2006506719A (ja) * 2002-11-19 2006-02-23 シュタマ マシーネンファブリーク ゲーエムベーハー 工作機械及び工作機械を操作する方法
JP2016068251A (ja) * 2014-09-26 2016-05-09 Jfeスチール株式会社 スラブの表面手入れ方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002361512A (ja) * 2001-06-11 2002-12-18 Honda Motor Co Ltd 突き加工方法
JP2006506719A (ja) * 2002-11-19 2006-02-23 シュタマ マシーネンファブリーク ゲーエムベーハー 工作機械及び工作機械を操作する方法
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Effective date: 20040514