JPH1152160A - 光デバイスの製造方法 - Google Patents

光デバイスの製造方法

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JPH1152160A
JPH1152160A JP21528197A JP21528197A JPH1152160A JP H1152160 A JPH1152160 A JP H1152160A JP 21528197 A JP21528197 A JP 21528197A JP 21528197 A JP21528197 A JP 21528197A JP H1152160 A JPH1152160 A JP H1152160A
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JP
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refractive index
heat treatment
mode
anisotropy
core
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JP21528197A
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English (en)
Inventor
Masaaki Tsuchimori
正昭 土森
Osamu Watanabe
修 渡辺
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Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】屈折率異方性を制御する光デバイスの製造方法
を提供する。 【解決手段】熱屈折率異方性可変材料を少なくとも部分
的に有するデハイスまたはデバイス構成要素を用い、デ
ハイスまたはデバイス構成要素に熱処理を加えることに
より、熱屈折率異方性可変材料におけるTEモードの屈
折率n’TE、TMモードの屈折率n’TMを変化さ
せ、屈折率異方性を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、方向性結合器、モ
ードフィルタ、光分岐素子、フィールド径変換素子、光
スイッチ、光変調器、光合分波素子などに適用できる光
デバイス(以下デバイスともいう)の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、光デバイスの製造方法とし
て、光照射によるフォトブリーチ法が提案されている
(Electronics Lett., 26,1990.P379 )。これは、基板
に積層された導波層となる部位に光照射し、光照射した
部位における屈折率を低下させ、これにより光を閉じ込
めて伝搬させるコアを備えた光デバイスを作製する方法
である。この方法は、光学的に等方性をもつ媒質で構成
された導波層を対象としており、光学的異方性媒質への
解析は手付かずの状態である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記した光照
射によるフォトブリーチ法とは異なる方式を採用し、熱
処理により屈折率異方性を制御できる光デバイスの製造
方法を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明に係る光デバイス
の製造方法は、熱屈折率異方性可変材料を少なくとも部
分的に有するデバイスまたはデバイス構成要素を用い、
デバイスまたはデバイス構成要素に特定の温度以上の熱
処理を加えることにより、熱屈折率異方性可変材料の屈
折率異方性を制御することを特徴とするものである。
【0005】
【実施の形態】
〔1〕熱屈折率異方性可変材料 本発明に係る熱屈折率異方性可変材料とは、熱を加える
熱処理により、屈折率異方性が可変となる材料をいう。
熱屈折率異方性可変材料は、異方性セグメントを含み、
成膜直後には異方性セグメント(一般的には、共役平
面)が膜面とほぼ平行になるように配向可能であり、熱
処理により、異方性セグメントの配向状態がランダム化
され、これにより屈折率異方性が可変となる。
【0006】一般的には、異方性セグメントは、例えば
ベンゼン、アゾベンゼン、スチルベン、ナフタレン、ア
ントラセン、ジフェニルアセチレン、ジフェニルジアセ
チレン等のように広がった共役系部分を有するものであ
る。異方性セグメントは、一般的には、共役平面内では
電子が動きやすいため大きな分極率を示すが、共役平面
に垂直な方向には電子が動きにくいために分極率が相対
的に小さい。そのため、異方性セグメントの共役平面が
膜と平行に配向した状態では、膜と平行な方向の屈折率
は大きく、膜に垂直な方向の屈折率は小さくなる。
【0007】屈折率異方性を大きくするには、異方性セ
グメントとして共役系の広がりの大きなものを用いた
り、ニトロ基やシアノ基などの電子吸引基を含む共役系
を用いたり、アミノ基やメトキシ基やヒドロキシ基など
の電子供与基を含む共役系を用いたり、異方性セグメン
トの含有量を多くしたりする事ができる。広がりが大き
く、電子吸引基と電子供与基とをともに含む共役系を異
方性セグメントとして用い、該異方性セグメントの含有
量を高くした場合、大きな屈折率異方性を達成できる。
例えば、4−アミノ−4’−ニトロスチルベン、4−ア
ミノ−4’―シアノスチルベン、4−メトキシ−4’−
ニトロスチルベン、4−メトキシ−4’−シアノスチル
ベン、4−アミノ−4’−ニトロアゾベンゼン、4―ア
ミノ−4’―シアノアゾベンゼン、4−メトキシ−4’
−ニトロアゾベンゼン、4−メトキシ−4’−シアノア
ゾベンゼン、4−アミノ−4’−ニトロジフェニルアセ
チレン、4−アミノ−4’―シアノジフェニルアセチレ
ン、4−メトキシ−4’−ニトロジフェニルアセチレ
ン、4−メトキシ−4’−シアノジフェニルアセチレ
ン、4−アミノ−4’−ニトロジフェニルジアセチレ
ン、4−アミノ−4’―シアノジフェニルジアセチレ
ン、4―メトキシ−4’−ニトロジフェニルジアセチレ
ン、4−メトキシ−4’−シアノジフェニルジアセチレ
ン等が大きな屈折率異方性を達成するための異方性セグ
メントとして使用できる。
【0008】異方性セグメントは、高分子の側鎖に結合
していても、高分子の主鎖に含まれていても、高分子マ
トリックス中に分散していても良い。また、熱屈折率異
方性可変材料を別の熱屈折率異方性可変材料と混合して
も良いし、熱屈折率異方性可変材料を通常の高分子と混
合しても良いし、熱屈折率異方性可変材料に他の物質を
分散しても良い。
【0009】熱屈折率異方性可変材料として用いる高分
子のマトリックス、または主鎖としては、特に限定され
ず、例えば、ポリウレタン、ポリエステル、ポリウレ
ア、ポリアミド、ウレタン−ウレア共重合体、エステル
−アミド共重合体、ポリカ−ボネ−ト、アクリル樹脂な
どの熟可塑性樹脂や、フェノール樹脂、エポキシ樹脂な
どの熱硬化性樹脂を採用できる。高分子の分子量として
は成膜できる程度の値を有していればよい。
【0010】熱屈折率異方性可変材料を光導波路のコア
として用いる場合、熱屈折率異方性可変材料は、導波さ
せる光に対して透明であることが望ましい。熱屈折率異
方性可変材料をクラッドとして用いる場合、エバネッセ
ント波による吸収を考えると、熱屈折率異方性可変材料
は、導波させる光に対して透明であることが望ましい
が、ある程度の吸収があっても使用可能である。
【0011】なお本発明では、コアとは、光が伝搬する
媒体を言う。クラッドとは、コアに接してあるいはコア
を覆ってコアに光を閉じこめる媒体を言う。 〔2〕光導波路 光導波路は一般的にはコアとクラッドとを利用して作製
される。故に、デバイス構成要素としてはコア及びクラ
ッドが代表的なものである。
【0012】熱屈折率異方性可変材料は、コアに使用し
ても良いし、クラッドに使用しても良いし、コアとクラ
ッドとの両方に使用しても良い。コア、クラッドの全体
または一部分に使用することも可能である。例えば、基
板上にアンダークラッド(=コアの下側のクラッド)を
熱屈折率異方性可変材料Aで作製し、コアを熱屈折率異
方性可変材料Bで作製し、サイドクラッド(コアの両横
のクラッド)を熱屈折率異方性可変材料Cで作製し、オ
ーバークラッド(コアの上側のクラッド)を熱屈折率異
方性可変材料Dで作製することもできる。
【0013】それらの幾つかを同じ熱屈折率異方性可変
材料にしたり、それらの幾つかを通常の屈折率異方性を
示さない材料にしたりすることも可能である。一つの光
集積回路において、特定の部分だけに熱屈折率異方性可
変材料を用いたり、複数の場所に異なる熱屈折率異方性
可変材料を用いたりすることも可能である。例えば、一
つの基板に方向性結合器と光変調器とモードフィルタと
を集積化した光デバイスを作製する場合には、方向性結
合器の相互作用領域のクラッドだけに熱屈折率異方性可
変材料を用いること、或いは、全てのアンダークラッド
とモードフィルタ部分のコアだけに熱屈折率異方性可変
材料を用いること等、様々な作製が可能である。
【0014】光導波路の作製方法としては、公知の方法
を利用することができる。すなわち、成膜にはスピンコ
ート法、ディップコート法、射出成形法、あるいは溶融
押し出し成形法などが利用可能である。チャネル導波路
の作製には、フォトブリーチ法、リアクティブイオンエ
ッチング法、電子線描画法、レーザーアブレーション法
などが利用可能である。 〔3〕熱処理による屈折率異方性の制御 本発明では、屈折率異方性の制御は、特定の温度以上に
加熱する熱処理により行う。そのため、光デバイスの全
体を作製した後に熱処理すれば、光デバイスの全体を作
製した後に屈折率異方性の制御を行うことが可能とな
る。また、製造工程の途中で、例えば、アンダークラッ
ドとコアだけを作製した後に、アンダークラッドとコア
のうちの少なくとも−方の屈折率異方性の制御を熱処理
で行い、その後に、サイドクラッドやオーバークラッド
等を作成することも可能である。
【0015】熱処理は光デバイス全体に対して行うこと
の他に、加熱手段として、温度勾配のある炉を用い、こ
の炉に光デバイス全体またはデバイス構成要素を入れた
り、光デバイス全体またはデバイス構成要素だけを加熱
手段で加熟したりすることができる。熱処理における加
熱手段としては、光デバイス全体またはデバイス構成要
素、或いは、これらの一部に伝熱できるものであれば良
く、例えば、ヒータ、均熱炉、温度勾配のある炉、レー
ザ光、赤外線、温風等を採用できる。
【0016】レーザ光などを用いて局所的な加熱を行う
場合には、局所的に屈折率異方性の制御を行うことが可
能となる。これを用いてチャネル導波路を描画すること
も可能である。屈折率異方性の制御は、熱屈折率異方性
可変材料における異方性セグメントの配向状態を変える
ことにより行ない得る。一般的には、異方性セグメント
の運動性は温度に依存しており、温度が高いほど、運動
性が高くなるのが通常である。異方性セグメントの運動
性は、温度の上昇とともになだらかに増加するのではな
く、特定の温度を境に急激に増加し易い。この特定の温
度は、一般的にガラス転移温度と呼ばれる。
【0017】熱処理の温度の下限値としては、熱屈折率
異方性可変材料におけるガラス転移温度近傍を採用で
き、熱処理の温度の上限値としてはその熱分解温度や融
点を採用できる。場合によっては、ガラス転移温度より
もやや低い温度領域(ガラス転移温度よりも例えば10
〜30°C低い温度領域)を下限値としても良い。熱屈
折率異方性可変材料の種類によっても相違するものの、
熱処理温度としては0〜500°Cを採用でき、更に好
ましくは100〜200°Cを採用できる。
【0018】一般的には、熱処理の温度は、熱屈折率異
方性可変材料におけるガラス転移温度に対して、(−1
0°C)〜(+100°C)の温度領域を採用できる。
高分子が多種のセグメントから作製されている場合、一
般的には複数のガラス転移温度が存在し得るが、上記し
たガラス転移温度とは、熱屈折率異方性可変材料におけ
る異方性セグメントの運動性に対応するガラス転移温度
のことをいう。
【0019】ガラス転移温度は、一般的には、材料の分
子構造に依存している。異なるガラス転移温度の熱屈折
率異方性可変材料を用いて光デバイスを作製し、そのデ
バイス全体を熱処理する場合には、熱処理温度よりも低
いガラス転移温度をもつ熱屈折率異方性可変材料だけの
屈折率異方性を変えることが可能である。本発明方法で
は、熱処理時間は、熱処理の温度、熱屈折率異方性可変
材料のガラス転移温度、生産性等の要因に応じて選択で
きる。例えば、熱処理時間の下限値としては20秒、6
0秒、5分、10分等を採用でき、上限値として30
分、1時間、2時間、4時間などを選択できるが、これ
に限定されるものではない。一般的には、熱処理温度が
高ければ熱処理時間は短縮化され、熱処理温度が低けれ
ば熱処理時間は長時間要する。
【0020】光デバイスの製造工程の途中で熱処理を行
う場合について説明を加える。例えば、ガラス転移温度
が170℃の熱屈折率異方性可変材料を用いたアンダー
クラッドを基板上に作製した後に、180℃で熱処理し
て屈折率異方性の制御を行い、次に、ガラス転移温度が
150℃の熱屈折率異方性可変材料を用いたコアを作製
した後に、160℃で熱処理して屈折率異方性の制御を
行い、次に、ガラス転移温度が130℃の熱屈折率異方
性可変材料を用いたサイドクラッドとオーバークラッド
とを作製し、さらに電極等を作製して光デバイスを得、
その後に、導波光の状態をモニターしながら、140℃
で熱処理して屈折率異方性の制御を行うことができる。
【0021】上記した場合、180℃の熱処理では、ア
ンダークラッドだけの屈折率異方性の制御が行われる。
160℃の熱処理では、コアだけの屈折率異方性の制御
が行われる。140℃の熱処理では、サイドクラッドと
オーバークラッドだけの屈折率異方性の制御が行なわれ
る。上記した熱屈折率異方性可変材料では、熱処理が施
されると、一般的には、TEモードの偏光(以下、単に
TEモードという)については屈折率が低下し、TMモ
ードの偏光(以下、単にTMモードという)については
屈折率が増加する。
【0022】〔4〕光デバイス ・図1に示す光デバイス:フィールド径の増減制御 図1に示す製造形態では、基板上に、等方的な屈折率
をもつポリイミドのアンダークラッドを作製する。そ
のアンダークラッドの上に、成膜後の屈折率がアンダ
ークラッドよりも僅かに大きな熱屈折率異方性可変材
料を、コアとして成膜する。その後、リアクティブイ
オンエッチング法によりチャネル導波路を作製する。
【0023】図1等の各図では、ハッチングで示す部位
が熱屈折率異方性可変材料で作製される。その後、アン
ダークラッドと同じ等方的な屈折率を持つシリコン樹
脂により、オーバークラッドとサイドクラッドとの機能
を奏するオーバーサイドクラッドを作製する。
【0024】なお、本明細書では、熱処理前の屈折率は
『’』を付記せず、熱処理後の屈折率は『’』を付記す
る。つまりTEモードの熱処理前の屈折率をnTEと
し、TMモードの熱処理前の屈折率をnTMとし、TE
モードの熱処理後の屈折率をn’TEとし、TMモード
の熱処理後の屈折率をn’TMとして示す。また熱処理
後の各部位は’’のように『’』を付記する。
【0025】但し、便宜上、熱処理後であっても、各部
位、屈折率に『’』を付さないこともある。成膜後で熱
処理前の各部位の屈折率関係を図1の(1)式に示す。
このような素子を製造した後、各部位の屈折率の大小関
係が変化しないように、素子全体を加熱する熱処理を加
熱手段により施す。熱処理により、熱屈折率異方性可変
材料で作製されているコア’のTEモードについての
熱処理後の屈折率n’TEは減少し、コア’のTMモ
ードについての熱処理後の屈折率n’TMは増加する。
【0026】熱処理後の屈折率関係を図1の(2)式に
示す。(2)式によれば、この光デバイスはTMモー
ド、TEモードの双方を伝搬する。上記した(2)式に
基づけば、導波光のフィールド径は、TEモードについ
ては増加し、TMモードについては減少する。これにつ
いて更に説明を加える。コアにおける光の閉じこめ
は、コアとクラッドとの屈折率差に依存する性質
をもつ。またΔn(=コアの屈折率−クラッドの
屈折率)が大きい程、フィールド径は減少するものであ
り、Δn(=コアの屈折率−クラッドの屈折率)
が小さい程、フィールド径は増加するというフィールド
径特性をもつ。
【0027】従って図1に示す形態では、TEモードを
伝搬する場合には、図1に示す(3)の関係が得られ
る。つまり、熱処理前の屈折率差ΔnTE(=熱処理前
のコアの屈折率−熱処理前のクラッドの屈折率)
と、熱処理後の屈折率差Δn’TE(=熱処理後のコア
’の屈折率−熱処理後のクラッド’の屈折率)とを
比較すると、図1に示す(3)式のように、ΔnTE>
Δn’TEであり、熱処理により屈折率差は減少する。
よって、前記したフィールド径特性に照らせば、TEモ
ードのフィールド径は増加する。
【0028】これに対してTMモードを伝搬する場合に
は、図1に示す(4)式の関係が得られる。即ち、熱処
理前の屈折率差ΔnTMと、熱処理後の屈折率差Δn’
TMとを比較すると、図1に示す(4)式のように、Δ
nTM<Δn’TMであり、熱処理により屈折率差は増
大する。よって、前記したフィールド径特性に照らせ
ば、フィールド径は減少する。
【0029】・図2に示すデバイス 図2に示す形態では、アンダークラッド及びオーバー
サイドクラッドを熱屈折率異方性可変材料で作製す
る。更に、コアを等方的な屈折率をもつ材料で作製す
る。図2に示す(5)式は、成膜後の各部位の屈折率関
係を示す。そして各部位の屈折率の大小関係が変化しな
いように、素子全体を熱処理する。
【0030】熱処理後の屈折率関係を図2の(6)式に
示す。(6)式によれば、TEモード及びTMモードの
双方を伝搬できる。図2に示す形態では、TEモードを
伝搬する場合には、図2に示す(7)の関係が得られ
る。つまり、TEモードについて熱処理前の屈折率差Δ
nTEと熱処理後の屈折率差Δn’TEとを比較する
と、ΔnTE<Δn’TEとなる。このようにTEモー
ドでは熱処理により屈折率差が増加するため、前記した
フィールド径特性に照らせば、フィールド径は減少す
る。
【0031】TMモードを伝搬する場合には、図2に示
す(8)式の関係が得られる。つまり、TMモードにつ
いて熱処理前の屈折率差ΔnTMと熱処理後の屈折率差
Δn’TMとを比較すると、ΔnTM>Δn’TMとな
る。このようにTMモードでは熱処理により屈折率差が
減少するため、フィールド径は増加する。なお図2にお
いてアンダークラッドとオーバサイドクラッドとが
コアよりも低屈折率であれば、アンダークラッドと
オーバサイドクラッドとは互いに異なる材料でも良
い。
【0032】・図3に示すデバイス:フィールド径増減
制御 図3に示すように、導波路の導波方向の−端部(0側:
例えば入射側)の温度を冷却手段200により低くめに
保持したまま、導波路の導波方向の他端部(L側:例え
ば出射側)の温度を加熱手段100により高くする部分
熱処理を行う。これにより、導波路の一端部(0側)の
フィールド径と、導波路の他端部(L側)のフィールド
径とを変えることが可能である。このようなフィールド
径の調整は、複数の光デバイスや光ファイバーを接続す
る際の結合効率を向上するのに有効である。図3に示す
形態では、導波路から出射した光のフィールド径を実際
にモニターしながら、熱処理によりフィールド径を制御
できる。なお、0側を出射側とし、L側を入射側として
も良い。
【0033】上記について説明を加える。即ち、図4に
示すように、導波路の一端を0とし、他端をLとし、L
に向けての導波方向の距離をxとして示すと共に、熱処
理後の各部位の符号に『’』を付して示す。図3および
図4におけるコアが熱屈折率異方性可変材料である場
合において、熱処理後の屈折率の関係を図5に示す。図
5に示すように、0側からL側に向かうにつれて加熱量
が増加するため、特性線P1に示すようにTMモードに
ついてのコア’の屈折率n’TMは増加し、特性線P
2に示すようにTEモードについてのコア’の屈折率
n’TEは減少する。特性線P3に示すように、アンダ
ークラッド’やオーバーサイドクラッド’の屈折率
はあまり変化しない。
【0034】図5から理解できるように、この光デバイ
スではTEモード、TMモードの双方とも伝搬できる。
更に図5から理解できるように、0側からL側に向かう
につれて、TMモードの屈折率差Δn’TMは増加する
ため、L側ではTMモードのフィールド径は減少し、ま
た、0側からL側に向かうにつれて、TEモードの屈折
率差Δn’TEは減少するため、L側ではTEモードの
フィールド径は増加する。このように導波路の一端部
(0側)のフィールド径と、導波路の他端部(L側)の
フィールド径とを変えることが可能となる。なお冷却手
段200を設けた側は、熱処理の熱影響を抑制、回避で
きるが、場合によっては冷却手段200を用いずとも良
い。
【0035】・また、図3および図4に示す形態におい
て、コアではなく、アンダークラッドやオーバーサ
イドクラッドが熱屈折率異方性可変材料である場合に
おいて、熱処理後の屈折率の関係を図6に示す。図6に
示すように、L側に向かうにつれて加熱量が増加するた
め、特性線P4に示すようにTMモードについてのクラ
ッド’’の屈折率n’TMは増加し、特性線P5に
示すようにTEモードについてのクラッド’’の屈
折率n’TEは減少する。また特性線P6に示すよう
に、コア’の屈折率はあまり変化しない。そのため図
6から理解できるように、0側からL側に向かうにつれ
て、TMモードについての屈折率差Δn’TMは減少す
るため、L側ではTMモードのフィールド径は増加す
る。
【0036】また図6に示すように、0側からL側に向
かうにつれて、TEモードの屈折率差Δn’TEは増加
するため、L側ではTEモードのフィールド径は減少す
る。このように導波路の一端部(0側)のフィールド径
と、導波路の他端部(L側)のフィールド径とを変える
ことが可能となる。 〔5〕図7及び図8に示すデバイス;方向性結合器 図7及び図8は方向性結合器を示す。方向性結合器で
は、コアとクラッドとの屈折率関係を変えると、
導波路間の結合状態が変化する。この場合、方向性結合
器のコア同士が接近している相互作用領域HAにおけ
る分岐比を調整することが可能である。
【0037】この形態では、コアを熱屈折率異方性可
変材料で作製し、アンダークラッド及びオーバーサイ
ドクラッドを等方的な屈折率をもつ材料で作製してい
る。この場合には、熱処理後には、図7に示す(9)式
の屈折率関係が得られる。(9)式によれば、TEモー
ドとTMモードとの双方をコア’において導光させ得
る。
【0038】また(9)式によれば、TEモードについ
ての熱処理後のコア’の屈折率n’TEが熱処理前の
コアの屈折率nTEよりも減少している。TMモード
についての熱処理後のコア’の屈折率n’TMが熱処
理前のコアの屈折率nTMよりも増加している。よっ
て方向性結合器における分岐比を調整できる。なお方向
性結合器においては、少なくとも相互作用領域HAのみ
を熱処理して屈折率関係を変化させれば、相互作用領域
HAにおける分岐比を調整できる。
【0039】・図7及び図8において、上記とは逆の作
製、即ち、方向性結合器のアンダークラッド及びオー
バサイドクラッドを熱屈折率異方性可変材料で作製
し、コアを等方的な屈折率をもつ材料で作製する。こ
の場合には、熱処理後には、図7に示す(10)式、
(11)式の屈折率関係が得られる。(10)式、(1
1)式によれば、TEモードとTMモードとの双方をコ
ア’において導光させ得る。
【0040】(10)式、(11)式によれば、TEモ
ードについての熱処理後のクラッド’の屈折率n’T
Eが、熱処理前のクラッドの屈折率nTEよりも減少
すると共に、TMモードについての熱処理後のクラッド
’の屈折率n’TMが、熱処理前のクラッドの屈折
率nTMよりも増加している。よって分岐比を調整でき
る。
【0041】例えば、経時的に導波特性が徐々に劣化
し、導波損失が徐々に大きくなる素子に対して、熱屈折
率異方性可変材料で作製した方向性結合器からの光を経
時的に徐々に光強度が高くなるように制御して入射して
やると、見かけ上、導波損失が徐々に大きくなる素子か
ら出射してくる光の強度が−定になるように制御するこ
とが可能である。 〔6〕図9に示すデバイス:モードフィルタ 図9はモードフィルタを示す。図9に示す形態では、ア
ンダークラッドとコアを等方的な屈折率をもつ材料
で作製する。そして、サイドクラッドとオーバークラッ
ドとを構成するオーバーサイドクラッドを、クラッド
のTEモードの屈折率(nTE)がコアの屈折率よ
りも大きく、かつ、クラッドのTMモードの屈折率
(nTM)がコアの屈折率よりも小さい熱屈折率異方
性可変材料により作製している。
【0042】熱処理前では図9の(12)式に示す屈折
率関係が得られる。各部位の屈折率の大小関係が変化し
ないように、上記した素子全体を熱処理する。この場合
には、(12)式によれば、TEモードを放射し、TM
モードが伝搬するモードフィルタが得られる。 ・図9に示す熱処理前の素子を、全体加熱ではなく、図
3に示す部分熱処理で加熱することもできる。つまり、
素子のL側を部分的に加熟することもできる。この場合
には、図10から理解できるように、L側に向かうにつ
れて、特性線R1に示すように、TMモードについての
オーバーサイドクラッド’の屈折率n’TMが増加
し、特性線R2に示すように、TEモードについてのオ
ーバーサイドクラッド’の屈折率n’TEが減少す
る。
【0043】特性線R3に示すように、加熱しても、T
Eモードについてのコア’のn’TE、TMモードに
ついてのn’TMはあまり変化しない。特性線R4に示
すように、加熱しても、TEモードについてのアンダー
クラッド’のn’TE、TMモードについてのアンダ
ークラッド’のn’TMもあまり変化しない。この結
果、図10から理解できるように、導波路の一端側つま
り0側の領域S1では、特性線R2>特性線R3のため
TEモードを放射するが、特性線R3>特性線R1、R
4のためTMモードを伝搬するモードフィルタが得られ
る。
【0044】また図10から理解できるように、導波路
の他端側つまりL側の領域S2では、特性線R3>特性
線R1、R2、R4のため、TEモード及びTEモード
の双方を伝搬できる導波路部分が形成される。即ち、互
いに異なる機能をもつ領域S1と領域T2とを集積化し
た光デバイスが得られる。なお、領域S2で示される導
波路部分は、変調器、分岐回路等を組み込み得る光集積
回路として利用できる。
【0045】・図11に示す光デバイス:モードフィル
タ 図11に示す形態では、アンダークラッド、オーバー
サイドクラッドを等方的な屈折率をもつ材料で作製す
る。コアを、コアのnTEがクラッドの屈折率
よりも大きく、コアのnTMがクラッドの屈折率
よりも小さい熱屈折率異方性可変材料により作製する。
この場合には、図11に示す(13)式の屈折率関係が
得られるように成膜する。
【0046】熱処理後においても上記した(13)式の
屈折率関係が維持できるように、素子全体を熱処理すれ
ば、TMモードを放出しTEモードを伝搬できるモード
フィルタが得られる。(13)式の屈折率関係が維持さ
れているからである。・図11に示す熱処理前の素子
を、全体加熱ではなく、図3に示す部分熱処理で加熱す
ることもできる。この場合には、素子のL側を部分的に
加熟する。すると、図12から理解できるように、特性
線R5に示すように、TMモードについてのコア’の
屈折率n’TMがL側に向かうにつれて増加し、特性線
R6に示すように、TEモードについてのコア’の屈
折率n’TEがL側に向かうにつれて減少する。
【0047】特性線R7に示すように、加熱しても、T
Eモード及びTMモードについてのアンダークラッド
’及びオーバーサイドクラッド’の屈折率はあまり
変化しない。この結果、図12から理解できるように、
導波路の一端側つまり0側の領域T1では、特性線R6
>特性線R7のためTEモードを伝搬すると共に、特性
線R5<特性線R7のためTMモードを放射するモード
フィルタが得られる。
【0048】また図12から理解できるように、導波路
の他端側つまりL側の領域T2では、特性線R5>特性
線R7、かつ、特性線R6>特性線R7のため、TMモ
ード及びTEモードの双方を伝搬できる導波路部分が形
成される。即ち、互いに異なる機能をもつ領域T1と領
域T2とを集積化した光デバイスが得られる。なお、領
域T2で示される導波路部分は、変調器、分岐回路等を
組み込み得る光集積回路として利用できる。 〔7〕図13に示すデバイス例;モードフィルタとフィ
ールド径増減制御 図13に示す形態では、アンダークラッド及びオーバ
ーサイドクラッドを等方的な屈折率をもつ材料で作製
する。コアを、コアのnTEがクラッドの屈折
率よりも大きく、コアのnTMがクラッドの屈折
率よりも小さい熱屈折率異方性可変材料により作製す
る。
【0049】アンダークラッド、オーバーサイドクラ
ッド、コアの屈折率の大小関係が変わらない程度
に、素子全体に対して熱処理を行なう。このように素子
全体を熱処理すると、図13に示す(14)式の屈折率
関係が得られる。(14)式によれば、TMモードを放
射し且つTEモードを伝搬できるモードフィルタが得ら
れる。
【0050】・また熱処理前の図13に示す素子を全体
加熱ではなく、図3の場合と同様にL側を部分的に加熱
すれば、図14に示す特性が得られる。すなわち、図1
4から理解できるように、特性線K1に示すように、T
Mモードについてのコア’の屈折率n’TMがL側に
向かうにつれて増加し、特性線K2に示すように、TE
モードについてのコア’の屈折率n’TEがL側に向
かうにつれて減少する。
【0051】特性線K3に示すように、加熱しても、T
Eモード及びTMモードについてのアンダークラッド
’及びオーバーサイドクラッド’の屈折率はあまり
変化しない。この結果、図14から理解できるように、
導波路の一端側つまり0側の領域では、屈折率差Δn’
TEが大きいため、フィールド径は減少して小さくなっ
ている。前記したフィールド径特性のためである。
【0052】図14から理解できるように、導波路の他
端側つまりL側の領域では、屈折率差Δn’TEが小さ
くなっているため、フィールド径は増大して大きくなっ
ている。前記したフィールド径特性のためである。従っ
て図14に示す形態で部分的に熱処理すれば、入射側及
び出射側においてフィールド径を増減制御したTEモー
ド導波のモードフィルタとして動作する光デバイスが得
られる。
【0053】このように同時に2種類の機能が得られる
ため、個別に作製した2つの光デバイスを−体に接続す
る場合よりも、光デバイスの小型化、低価格化、低導波
損失化に有利である。 ・図15に示す光デバイス:モードフィルタとフィール
ド径増減制御 図15に示す形態では、コアを等方的な屈折率をもつ
材料で作製する。アンダークラッド、オーバーサイド
クラッドを、クラッドのnTEがコアの屈折率
よりも大きく、クラッドのnTMがコアの屈折率
よりも小さい熱屈折率異方性可変材料により作製する。
そして、コアとクラッドとの屈折率の大小関係が変わ
らない程度に、素子の全体に対して熱処理を行い、屈折
率異方性を減少させると、図15に示す(15)式の屈
折率関係が得られる。
【0054】(15)式によれば、TEモードを放出さ
せ且つTMモードを伝搬できるモードフィルタが得られ
る。 ・また熱処理前の図15に示す素子を全体加熱ではな
く、図3の場合と同様にL側を部分的に加熱すれば、図
16に示す特性が得られる。すなわち、図16から理解
できるように、特性線K4に示すように、TMモードに
ついてのクラッド’’の屈折率n’TMがL側に向
かうにつれて増加し、特性線K5に示すように、TEモ
ードについてのクラッド’’の屈折率n’TEがL
側に向かうにつれて減少する。
【0055】特性線K6に示すように、加熱しても、T
Eモード及びTMモードについてのコア’の屈折率は
あまり変化しない。この結果、図16から理解できるよ
うに、導波路の一端側つまり0側の領域では、屈折率差
Δn’TMが大きいため、TMモードを伝搬するフィー
ルド径は減少して小さくなっている。
【0056】図16から理解できるように、導波路の他
端側つまりL側の領域では、屈折率差Δn’TMが小さ
くなっているため、TMモードを伝搬するフィールド径
は増大して大きくなっている。従って図16に示す形態
では、フィールド径を変換すると共にTMモード導波の
モードフィルタとして動作する光デバイスが得られる。 〔8〕図17に示すデバイス;モードフィルタと方向性
結合器との光集積デバイス 図17に示す形態では、アンダークラッド及びオーバ
ーサイドクラッドを等方的な屈折率をもつ材料で作製
する。コアを、コアのnTEがクラッドの屈折
率よりも大きく、コアのnTMがクラッドの屈折率よ
りも小さい熱屈折率異方性可変材料を用いて積層し、方
向性結合器を作製する。
【0057】この場合には熱処理により、図17に示す
(16)式の屈折率関係が得られる。(16)式に基づ
けば、TMモードを放出し且つTEモードを伝搬するモ
ードフィルタとして動作すると同時に、方向性結合器に
より光を分岐する光デバイスが得られる。この場合に
は、モードフィルタの屈折率関係を維持する条件で方向
性結合器を形成する。この関係を満たす範囲で屈折率を
調整し、方向性結合器における分岐比を調整することも
可能である。
〔9〕その他の特性との融合 異方性セグメントとして共役系に炭素−炭素二重結合や
アゾ基を含むものは、熱で屈折率が変化する熱屈折率異
方性可変材料であると同時に、紫外線等の光で屈折率が
変化する光屈折率異方性可変材料でもある。光デバイス
を作製する場合、光により屈折率異方性を制御する部分
と、熱により屈折率異方性を制御する部分との双方を導
入できるため、光デバイスの設計の自由度が高くなる。
【0058】異方性セグメントとして共役系に電子吸引
基と電子供与基とを同時に含み、分子構造が非中心対象
のものは、熱屈折率異方性可変材料であると同時に、電
場配向処理や延伸処理により異方性セグメントの双極子
モーメントの向きをそろえてやると、非線形光学特性も
示す。非線形光学特性を用いると、電場による光の変調
やスイッチングといったアクティブな光回路を作製する
ことが可能である。非線形光学特性を示す熱屈折率異方
性可変材料を用いると、例えば、光変調器とモードフィ
ルタ、光変調器とフィールド径変換、光変調器と方向性
結合器、光スイッチとモードフィルタ、光スイッチとフ
ィールド径変換、結合状態の熱処理による調整が可能な
方向性結合器型の光スイッチ等の光集積回路が作製でき
る。
【0059】・屈折率異方性の熱的及び経時的安定性 熱屈折率異方性可変材料の異方的屈折率は、一般的に
は、異方性セグメントの配向により生じているため、配
向状態が熱的及び経時的に変化してしまうと、光デバイ
スの導波特性が変化するおそれがある。そのため、熱屈
折率異方性可変材料を異方的屈折率を有する状態で使用
するデバイスは、熱屈折率異方性可変材料のガラス転移
温度自体、或いは、ガラス転移温度の近傍よりも低い温
度で使用することが好ましい。
【0060】熱屈折率異方性可変材料において異方性セ
グメントが配向した状態は、材料全体では分極をもって
いない。そのため、電場配向高分子材料とは異なり、異
方性セグメントが配向した状態は比較的安定である。
【0061】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。下記の各
例において、分子構造の同定は、赤外吸収スペクトルと
1 Hの核磁気共鳴スペクトルにより行った。融点および
ガラス転移温度の測定は、示差走査熟量計により行っ
た。屈折率は、スラブ導波路にカップリングプリズムを
用いて光を入射し、導波モードを励起したときのモード
アングルから求めた。スラブ導波路の導波損失は、カッ
プリングプリズムを用いて光を導波させ、表面からの散
乱光の分布を測定することから求めた。チャネル導波路
の導波損失はカットバック法により求めた。
【0062】(実施例1)実施例1では、1,4−シク
ロヘキサンジオール0.535gをN―メチルー2−ピ
ロリドン15m1に溶解させて、そこにトリレン−2,
4−ジイソシアナート0.802gを加えた。室温で1
時間かくはんして反応させた後に、反応混合液を水中に
投入し、沈でんポリマーをろ別した。得られたポリマー
を再沈法により精製し、化1式で示されるポリマーを得
た(収率;90%、ガラス転移温度;127℃、N―メ
チル−2−ピロリドン中の30℃における固有粘度;
0.16d1/g)。
【0063】
【化1】
【0064】その後、ピリジンlmlに化1式のポリマ
ー0.1gを溶解し、回転数300rpmの条件でスラ
イドガラス上にスピンコ−トして厚さ1.24μmの薄
膜を作製した。50℃で10時間真空乾燥させた後の波
長830nmにおける屈折率は、nTE=1.563、
nTM=1.553であった。この試料を150℃(ガ
ラス転移温度以上)のオーブン中で1時間熱処理する
と、nTEは低下し、nTMは増加し、これによりnT
E=1.560、nTM=1.559になった。
【0065】化1式のポリマーは、成膜直後で熱処理前
では、nTE―nTM=1.563−1.553=0.
01という屈折率異方性を有していたが、熱処理によっ
てnTEが減少し、nTMが増加して、屈折率異方性が
減少した。すなわち、化1式のポリマーに関して、熱処
理による屈折率異方性の制御ができることを確認でき
た。波長830mmにおける材料のスラブ導波路の導波
損失は、測定限界(ldB/cm)以下であった。
【0066】(実施例2)実施例2では、2−メチル−
4−ニトロアニリン30.43gを、水300mlと塩
酸36%水溶液180mlとの混合液に溶解させて3℃
に冷却した。その中に、水100mlに溶かした亜硝酸
ナトリウム15.20gを加えた。得られた溶液を3℃
に保ち、1時間かくはんした。さらにその中に、m―ト
リルジエタノ−ルアミン39.05gを水300mlと
塩酸36%水溶液30mlとの混合液に溶解させた溶液
を60分間で徐々に加えた後、3℃で150分間かくは
んして反応させた。
【0067】その反応混合物を、水700mlに溶かし
た水酸化カリウム141.6gにより中和し、粗生成物
をろ別後、水洗して乾燥させた。再結晶精製を3回繰り
返して、化2式で示される4−N,N―ビス(2−ヒド
ロキシエチル)アミノ−2,2’―ジメチル−4’−ニ
トロアゾベンゼンを得た(収率;62%、融点;169
℃)。
【0068】
【化2】
【0069】そして、化2式の化合物2.000gと
4,4’―ジフェニルメタンジイソシアナート2.09
5gとを50mlのN―メチル−2−ヒ°ロリドンに溶
解させて、室温で15分間かくはんして反応させた。さ
らに100℃で60分間かくはんして反応させた。その
溶液を50℃まで冷却した。その後、20mlのN―メ
チル−2−ピロリドンに溶解させたトランス−2,5―
ジメチルヒ°ペラジン0.319gを加え、5時間かく
はんして反応させた。
【0070】さらに減圧下で、115℃に加熟し、52
mlのN―メチル−2−ピロリドンを150分問かけて
徐々に留去した。得られた反応混合液を180mlのピ
リジンで希釈して、0.lμmのフィルタでろ過した
後、エタノ−ルに投入して沈殿したポリマーをろ別し
た。得られたポリマーを再沈法により2回精製し、化3
式で示されるポリマーを得た(収率;92%、ガラス転
移温度;141℃、N―メチル−2−ピロリドン中の3
0℃における固有粘度;0.69d1/g)。
【0071】
【化3】
【0072】次に、ピリジン16mlに化3式のポリマ
ー0.6gを溶解し、0.2μmのフィルタでろ過した
後、ヒートガンで加熱して溶液の重量が4.4gになる
まで溶媒を蒸発させた。得られた溶液を回転数500r
pmの条件でスライドガラス上にスピンコートして厚さ
2.2μmの薄膜を作製した。100℃で20時間真空
乾燥させた後の波長830nmにおける屈折率は、nT
E=1.698、nTM=1.676であった。
【0073】この試料にさらに150℃(ガラス転移温
度以上)の真空乾燥を1時間行うと、nTEは低下し、
nTMは増加し、nTE=1.697、nTM=1.6
89になった。更に、150℃の真空乾燥を4時間行う
と、nTE=1.697、nTM=1.692になっ
た。化3式のポリマーは、成膜直後で熱処理前では、n
TE―nTM=1.698−1.676=0.022と
いう屈折率異方性を有していたが、熱処理によってnT
Eが減少し、nTMが増加して、屈折率異方性が減少し
た。
【0074】すなわち、化3式のポリマーに関して、熱
処理による屈折率異方性の制御ができることを確認でき
た。波長830nmにおける該材料のスラブ導波路の導
波損失は3dB/cmであつた。フォトブリーチ法によ
り作製した該材料のチャネル導波路の波長1.3μmに
おける導波損失は0.5dB/cmであった。 (実施例3)実施例3では、化2式の化合物0.800
gとトリレン−2,4−ジイソシアナート1.050g
と2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロ
パン0.912gとを8mlのN―メチル−2−ピロリ
ドンに溶解させて、100℃で90分間かくはんして反
応させた。その溶液を20mlのN―メチル−2−ピロ
リドンで希釈して、エタノールに投入して沈殿したポリ
マーをろ別し、滅圧乾燥後、化4式で示されるポリマー
を得た(収率;82%、ガラス転移温度:150℃、N
―メチル−2−ピロリドン中の30℃における固有粘
度;0.19d1/g)。
【0075】
【化4】
【0076】その後、ピリジン4mlに化4式のポリマ
ー0.2gを溶解し、0.2μmのフィルタでろ過した
後、ヒートガンで加熱して溶液の量が1.76gになる
まで溶媒を蒸発させた。得られた溶液を回転数1000
rpmの条件でスライドガラス上にスピンコートして厚
さ1.lμmの薄膜を作製した。120℃で10時間真
空乾燥させた後の波長830nmにおける屈折率は、n
TE=1.628、nTM=1.608であった。
【0077】この試料にさらに150℃の熱処理を1時
間行うと、nTE=1.626、nTM=1.610に
なり、さらに160℃(ガラス転移温度以上)の熱処理
を1時間行うと、nTE=1.623、nTM=1.6
14になった。さらに185℃の熱処理を1時間行う
と、nTE=1.621、nTM=1.618になっ
た。化4式のポリマーは成膜直後では、nTE―nTM
=1.628−1.608=0.02という屈折率異方
性を有していたが、熱処理によってnTEが減少し、n
TMが増加して、屈折率異方性が減少した。
【0078】すなわち、化4式のポリマーに関して、熱
処理による屈折率異方性の制御ができることを確認でき
た。波長830nmにおける該材料のスラブ導波路の導
波損失は2dB/cmであった。 (実施例4)実施例4では、化2式の化合物0.500
gとトリレン−2,4−ジイソシアナート1.336g
とを20mlのピリジンに溶解させて、100℃で45
分問かくはんして反応させた。そこに20mlのピリジ
ンに溶解させた2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘ
キシル)プロパン1.509gを加え、100℃で30
分間かくはんして反応させた。次に、150℃に加熱し
て溶媒を蒸発させて除去した後、130℃で20分間か
くはんして反応させた。その溶液を25mlのピリジン
で希釈して、エタノールとn−ヘキサンの混合液に投入
して沈殿したポリマーをろ別し、減圧乾燥後、化5式で
示されるポリマーを得た(収率;58%、ガラス転移温
度:174℃、N―メチル−2−ピロリドン中の30℃
における固有粘度:0.15d1/g)。
【0079】
【化5】
【0080】その後、ピリジン8mlに化5式のポリマ
ー0.4gを溶解し、0.2μmのフィルタでろ過した
後、ヒートガンで加熱して溶液の重量が1.87gにな
るまで溶媒を蒸発させた。得られた溶液を回転数400
0rpmの条件でスライドガラス上にスピンコートし、
厚さ1.6μmの薄膜を作製した。l00℃で20時間
真空乾燥させた後、さらに150℃で2時間真空乾燥さ
せた後の波長830nmにおける屈折率は、nTE=
1.596、nTM=l.589であった。
【0081】この試料にさらに150℃(ガラス転移温
度以下)の熱処理を1時間行っても、nTE=1.59
6、nTM=1.589のままであった。さらに160
℃の熱処理を1時間行っても、nTE=l.596、n
TM=1.589のままであった。さらに185℃(ガ
ラス転移温度以上)の熱処理を1時間行うと、nTEは
低下し、nTMは増加し、nTE=1.593、nTM
=1.592になった。
【0082】即ち、化5式のポリマーは成膜直後で熱処
理前は、nTE―nTM=l.596−1.589=
0.007という屈折率異方性を有しており、ガラス転
移温度よりも低い160℃の熱処理では届折率異方性が
変化しなかった。しかしながら、ガラス転移温度よりも
高い185℃の熱処理によってnTEが減少し、nTM
が増加して、屈折率異方性が減少した。すなわち、化5
式のポリマーに関して、熱処理による屈折率異方性の制
御ができることを確認できた。波長830nmにおける
該材料のスラブ導波路の導波損失はldB/cmであっ
た。
【0083】
【発明の効果】本発明方法によれば、熱屈折率異方性可
変材料における屈折率異方性を熱処理により制御するの
で、従来に比較して新規な製造方法を提供できる。更に
本発明方法によれば、光デバイスを完成させた後であっ
ても、即ち、熱屈折率異方性可変材料が周りの電極や保
護層に覆われた状態であっても、熱処理により熱屈折率
異方性可変材料に伝熱できる限り、屈折率異方性を制御
することができる。
【0084】更に本発明方法によれば、熱処理により熱
屈折率異方性可変材料に伝熱できる限り、厚めの膜(例
えば5μmから10μm以上の厚さの膜)であっても、
屈折率異方性を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】コアが熱屈折率異方性可変材料で作製された光
デバイスを、屈折率関係の式と共に示す構成図である。
【図2】クラッドが熱屈折率異方性可変材料で作製され
た光デバイスを、屈折率関係の式と共に示す構成図であ
る。
【図3】光デバイスに対して部分的に熱処理する際の形
態を示す構成図である。
【図4】光デバイスに対して部分的に熱処理した形態を
示す構成図である。
【図5】コアが熱屈折率異方性可変材料で作製された光
デバイスにおいて、部分熱処理したとき、導波方向の位
置とその屈折率との関係を示すグラフである。
【図6】クラッドが熱屈折率異方性可変材料で作製され
た光デバイスにおいて、部分熱処理したとき、導波方向
の位置とその屈折率との関係を示すグラフである。
【図7】コアが熱屈折率異方性可変材料で作製された方
向性結合器である光デバイスを、屈折率関係の式と共に
示す構成図である。
【図8】コアが熱屈折率異方性可変材料で作製された方
向性結合器である光デバイスの断面図である。
【図9】クラッドが熱屈折率異方性可変材料で作製され
た光デバイスを、屈折率関係の式と共に示す構成図であ
る。
【図10】クラッドが熱屈折率異方性可変材料で作製さ
れた図9に示す光デバイスにおいて部分熱処理したと
き、導波方向の位置とその屈折率との関係を示すグラフ
である。
【図11】コアが熱屈折率異方性可変材料で作製された
光デバイスを、屈折率関係の式と共に示す構成図であ
る。
【図12】コアが熱屈折率異方性可変材料で作製された
図11に示す光デバイスにおいて部分熱処理したとき、
導波方向の位置とその屈折率との関係を示すグラフであ
る。
【図13】コアが熱屈折率異方性可変材料で作製された
光デバイスを、屈折率関係の式と共に示す構成図であ
る。
【図14】コアが熱屈折率異方性可変材料で作製された
図13に示す光デバイスにおいて部分熱処理したとき、
導波方向の位置とその屈折率との関係を示すグラフであ
る。
【図15】クラッドが熱屈折率異方性可変材料で作製さ
れた光デバイスを、屈折率関係の式と共に示す構成図で
ある。
【図16】クラッドが熱屈折率異方性可変材料で作製さ
れた図15に示す光デバイスにおいて部分熱処理したと
き、導波方向の位置とその屈折率との関係を示すグラフ
である。
【図17】コアが熱屈折率異方性可変材料で作製された
方向性結合器である光デバイスを、屈折率関係の式と共
に示す構成図である。
【符号の説明】
図中、はアンダークラッド、はコア、はオーバー
サイドクラッドを示す。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱屈折率異方性可変材料を少なくとも部分
    的に有するデバイスまたはデバイス構成要素を用い、前
    記デバイスまたはデバイス構成要素に特定の温度以上の
    熱処理を加えることにより、前記熱屈折率異方性可変材
    料の屈折率異方性を制御することを特徴とする光デバイ
    スの製造方法。
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JP21528197A Pending JPH1152160A (ja) 1997-08-08 1997-08-08 光デバイスの製造方法

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000338344A (ja) * 1999-03-25 2000-12-08 Unitika Ltd 光デバイス用高分子光学材料、高分子光デバイス及びその製造方法
JPWO2015097869A1 (ja) * 2013-12-27 2017-03-23 三菱電機株式会社 平面導波路型レーザ装置

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