【発明の詳細な説明】
ホルムアルデヒドを含有しない架橋剤
発明の背景 発明の分野
本発明は、ある種のアミノ化合物のN−1,2,2−トリヒドロカルビルオキ
シエチル誘導体、該誘導体の製造方法、及び該誘導体を含有する組成物に関する
。これらの誘導体及び組成物は、塗料(coating)のような硬化性組成物において
架橋剤として使用するのに特に好適であり、そして硬化の際にホルムアルデヒド
を揮発性の副生成物として放出することはない。関連技術についての記述
アミノ−1,3,5−トリアジン及びグリコルリルのようなアミノ化合物の各
種の誘導体が、多種多様な分野での使用について文献に記載されている。これら
の誘導体のある種の化合物、例えばメラミン、グアナミン及びグリコルリルの部
分的にもしくは完全にアルコキシメチル化された誘導体は、活性水素含有基を有
する樹脂を含む硬化性組成物において架橋剤として有用である。例えば、米国特
許第4064191号、米国特許第4081426号、米国特許第410152
0号、米国特許第4118437号、米国特許第4129681号、米国特許第
4243705号、米国特許第4271277号、米国特許第4276212号
、米国特許第4330458号、米国特許第4374164号、米国特許第44
33143号、米国特許第4425466号、米国特許第487
3298号、米国特許第5155201号及び米国特許第5256713号参照
。これらの特許はすべて、引用することによって、事実上、完全に記載されてい
るかのこどく本明細書中に組み込まれる。
これらのアルコキシメチル化された誘導体によって多くの点で優れた結果が得
られている一方で、それらは又硬化条件下で揮発性副生成物としてホルムアルデ
ヒドを放出するという欠点をも持っている。これらの系を用いると優れたフィル
ムを得ることができるにもかかわらず、塗料産業は、環境的に望ましくないホル
ムアルデヒドの排出を減少させるようにとの圧力を受けている。従って、性能的
に容認できる硬化剤であって硬化の際にホルムアルデヒドを排出しない代替の硬
化剤を見出すことは工業界の永年の願望であった。
そのようなホルムアルデヒドを排出しない代替品の一つは、イソシアナート及
びカルバマート官能性の1,3,5−トリアジン架橋剤類であって、それらは所
有者が共通である次の特許に開示されている:米国特許第49339213号、
米国特許第5084541号、米国特許第号、米国特許第5288865号、E
P−A−0604922(米国特許出願第07/998,313号、1992年
12月29日出願、に対応)、EP−A−0624577(米国特許出願第08
/061,905号、1993年5月14日出願、に対応)、EP−A−064
9842(米国特許出願第08/138,581号、1993年10月15日出
願、に対応)、WO95/30663(米国特許出願第08/239,009号
、1994年5月6日出願、に対応)、WO96/04258(米国特許出願第
08/286,835号、1994年8月5日出願、に対応)、WO96/11
915(米国特許出願第08/324,549号、
1994年10月18日出願、に対応)及びWO96/15185(米国特許出
願第08/340,950号、1994年11月16日出願、に対応)。他のホ
ルムアルデヒドを排出しない代替品としては、例えば、所有者が共通であるWO
93/10117(米国特許出願第07/793,676号、1992年11月
9日出願、に対応)に開示されているラクタム置換1、3、5トリアジン架橋剤
類、及び所有者が共通であるWO96/XXXXX(米国特許出願第08/40
8,323号、1995年3月21日出願、に対応)に開示されているアセター
ル及びエナミン官能性の1,3,5トリアジン架橋剤が挙げられる。上に記載し
た参考文献のすべては引用することによって、事実上、あたかも完全に記載され
ているかのごとく本明細書中に組み込まれる。
上記の化合物は、活性水素含有基及び/又はエポキシ基を含有する樹脂をベー
スとする塗料組成物における架橋剤として、広範囲の望ましい性質を有する硬化
塗膜が得られ、特に有用であることが見出されてきた。
これらの代替品のいくつかは大きな将来性を示しているが、従来のアミノ誘導
体架橋剤に対する、その望ましい性質の多くを保持し、しかし硬化の際にホルム
アルデヒドを全くもしくは殆ど排出しない置き換え品を求めて、探索が継続され
ている。
発明の概要
我々は、今や、ホルムアルデヒドなしで製造されるアミノ化合物誘導体であっ
て、従来のアミン−ホルムアルデヒド架橋系において使用できる多種多様の機能
材料に対する高い適合性を有する架橋剤として作用することができる新規な部類
のアミノ化合物誘導体を発見した。これらの新規なアミノ化合物誘導体を用いて
、従来のアミン−ホルムアルデヒド
架橋剤をベースとした架橋系を用いて製造される架橋された製品に匹敵する物性
と外観特性を有する架橋された製品(架橋フィルムのような)が得られる、架橋
に際してホルムアルデヒドを放出しない架橋系[塗料のような]の配合を処方す
ることができる。
その包括的な概念において、本発明は、
(i)アミノ−1,3,5−トリアジン、グリコルリル及びそれらのオリゴマー
から成る群から選ばれた、少なくとも2個の=NH基を有するアミノ化合物、
(ii)2,2−ジヒドロカルビロキシエタナール、並びに
(iii)ヒドロカルビロール
の反応生成物であって、平均して、組み合わせられた2,2−ジヒドロカルビロ
キシエタナールをアミノ化合物の1モル当たり少なくとも1.25モル、及び1
,2,2−トリヒドロカルビロキシエチル基を誘導体1分子当たり少なくとも約
2.0個含有する反応生成物を含んでなる、アミノ化合物のN−1,2,2−ト
リヒドロカルビロキシエチル誘導体である。
本発明は又、そのようなアミノ化合物のN−1,2,2−トリヒドロカルビロ
キシエチル誘導体を製造する方法であって、(i)(ii)及び(iii)を、
平均して、結合(combined)2,2−ジヒドロカルビロキシエタナールをアミノ化
合物の1モル当たり少なくとも1.25モル、及び1,2,2−トリヒドロカル
ビロキシエチル基を誘導体1分子当たり少なくとも約2.0個含有する誘導体が
得られるような条件下で反応させる段階を含んでなる方法も包含する。
下記に更に詳しく述べる出発成分の種類と比率及びその他の反応条件
に依存して、本発明の誘導体は、実質的に単量体化合物の単一種から成ることも
できるし又単量体化合物とオリゴマー化合物の複合混合物を含んで成ることもで
きる。単量体化合物は又、本発明の特定の部分を構成し、そして一般的に、少な
くとも2個の、それから懸垂する1,2,2−トリヒドロカルビロキシエチル基
の側鎖を有しているアミノコアを含んでなり、一般式(I)又は(II):
[式中、R1はH、ヒドロカルビル及び−N(R2)(R3)から選ばれ;
各々のR2は独立にH及びヒドロカルビルから選ばれ;
各々のR3は独立にH、ヒドロカルビル及びR基から選ばれ;
各々のR4は独立にH及びヒドロカルビルから選ばれ;そして
各々のR基は独立に一般式(III)
(式中、各々のR5は独立にH及びヒドロカルビルから選ばれ
そして
各々のR6は独立にヒドロカルビルであるかもしくは一緒にな
ってヒドロカルビレン橋を形成する)
を有する基であり;
但し、分子当たり少なくとも2個のR3基が独立にR基であり、少なくとも2個
のR5基が独立にヒドロカルビルである]
の化合物として記述することができる。
とにかく、上記の化合物及び誘導体は、平均して、1,2,2−トリヒドロカ
ルビロキシエチル基(例えば、R5がヒドロカルビルである式(III)を有す
る基)を1分子当たり少なくとも約2.0個含有しなければならなず、そのこと
によってこれらの組成物が多様な最終用途において架橋剤として特に好適に使用
されるようになるのである。従って、本発明は、又(a)本発明の化合物及び/
又は組成物を含んで成る架橋剤成分、並びに(b)(a)の1,2,2−トリヒ
ドロカルビロキシエチル基と反応できる少なくとも2個の基を含有する化合物を
含んで成る樹脂成分を含んで成る硬化性組成物にも関する。
特定の理論に束縛されるのを望むのではないが、本発明の誘導体は、主として
1,2,2−トリヒドロカルビロキシエチル基の活性化されたエーテル(例えば
、1位のヒドロカルビロキシ)を通じて反応性があると信じられている。驚くべ
きことに、そのような活性化されたエーテルの十分な官能性の存在なしには、良
好な硬化結果を得ることができないことが見出された。それ故に、1,2,2−
トリヒドロカルビロキシエチル基と反応できる基は、本発明の意味の範囲内の活
性化されたエーテル基と反応できる基であり、それは従来のアミン−ホルムアル
デヒド架
橋剤のアルコキシメチル及びメチロール官能性と反応性のある基と同じ種類の基
である。
本発明の硬化性組成物は塗料組成物の形態で特に有利に使用される。それ故に
本発明は、又硬化性塗料組成物、基体を塗装する方法並びにそれで塗装される基
体、その硬化性組成物に由来する架橋されたフィルム又は物体、及びそれの種々
なその他の最終用途にも関する。
上述したように本発明の化合物及び組成物は、ホルムアルデヒドを使用しない
で製造されるので、ホルムアルデヒドを含有していない。これらの化合物及び組
成物を架橋剤として用いる硬化性組成物も又ホルムアルデヒドを含有しない系と
して処方することができる。その他の利点として、迅速な硬化、水性塗料系への
適用可能性及び優れた外観とフィルム特性及び耐久性を有する十分に硬化された
塗膜の生成能が挙げられる。
以下の詳細な説明を読むことにより当業者は本発明の上記の及び他の特徴と利
点をより容易に理解できるであろう。
好ましい態様の詳細な説明 N−1,2,2−トリヒドロカルビロキシエチル誘導体
上述したように本発明は、広くは、
(1)アミノ−1,3,5−トリアジン、グリコルリル及びそれらのオリゴマー
から成る群から選ばれた、少なくとも2個の=NH基を有するアミノ化合物、
(2)2,2−ジヒドロカルビロキシエタナール、及び
(3)ヒドロカルビロール
の反応生成物であって、平均して、結合2,2−ジヒドロカルビロキシエタナー
ルをアミノ化合物の1モル当たり少なくとも1.25モル、及
び1,2,2−トリヒドロカルビロキシエチル基を誘導体1分子当たり少なくと
も約2.0個含有する反応生成物を含んでなる、アミノ化合物のN−1,2,2
−トリヒドロカルビロキシエチル誘導体である。
本発明の文脈内で、用語「ヒドロカルビル」は、炭素原子と水素原子を含有す
る基であり、例えばアルキル、アリール、アラルキル、アルケニル及びそれらの
置換された誘導体を包含することに注目すべきである。
アミノ化合物としては、一般式(IV)及び(V):
(式中、R1はH、ヒドロカルビル及び−N(R7)2から選ばれ;
各々のR7は独立にH及びヒドロカルビルから選ばれ、但し、少なくと
も2個のR7基がHであり、好ましくは全てのR7基がHであり、そして
各々のR4は独立にH及びヒドロカルビルから選ばれ、好ましくは全て
のR4基がHである)
を有するアミノ−1,3,5−トリアジン及びグリコルリルが好ましい。
一般式(IV)(全てのR7基がHである場合)を有する好ましいア
ミノ化合物の特定の例としては、式中、R1が、H及びヒドロカルビルから、よ
り好ましくはH、1〜20個の炭素原子を有するアルキル、6〜20個の炭素原
子を有するアリール及び7〜20個の炭素原子を有するアラルキルから、そして
特にはフェニル基(ベンゾグアナミン)、メチル基(アセトグアナミン)及びシ
クロヘキシル基(シクロヘキシルカルボグアナミン)から選ばれるグアナミン類
を挙げることができる。
一般式(IV)(全てのR7基がHである場合)を有する好ましいアミノ化合
物のもう一つの特定の例は、式中、R1が−N(R7)2であるメラミンである。
一般式(V)(全てのR4基とR7基がHである場合)を有する好ましいアミノ
化合物は、グリコルリルである。
2,2−ジヒドロカルビロキシエタナールに関しては、一般式(VI):
(式中、各々のR6は独立にヒドロカルビルであるかもしくは一緒になってヒド
ロカルビレン橋を形成する)
の化合物が好ましい。
そのような2,2−ジヒドロカルビルオキシエタナール及びそれの製造方法は
、米国特許第4835320号(引用することにより、事実上、あたかも完全に
記載されているかのごとく、本明細書中に組み込まれる)に開示されている。各
々のR6が独立に1〜8個の炭素原子を有するアルキルもしくは1〜8個の炭素
原子を有するアルケニルである2,2−
ジヒドロカルビロキシエタナール及び両方のR6基が結合して1〜8個の炭素原
子を有するアルキレン橋を形成している該エタナールが好ましい。特にR6がそ
れぞれ独立に1〜8個の炭素原子を有するアルキルである該エタナール及び両方
のR6基が結合して1〜4個の炭素原子を有するアルキレン橋を形成している該
エタナールが好ましい。具体的には、好ましい例としては、2,2−ジメトキシ
エタナール、2,2−ジエトキシエタナール、2−メトキシ−2−エトキシエタ
ナール、2−ジプロポキシキシエタナール、2,2−ジブトキシエタナール、2
,2−ジペントキシエタナール、2,2−ジヘキソキシエタナール、2,2−ジ
シクロヘキソキシエタナール、2,2−ジエチレンジオキシエタナール及び2,
2−ジプロピレンジオキシエタナールが挙げられる。2,2−ジメトキシエタナ
ール及び2,2−ジブトキシエタナールが最も好ましく、そして2,2−ジメト
キシエタナール(DME)が特に好ましい。
ヒドロカルビロールに関しては、例えばアルキロール、アルケノール、フェノ
ール及びアルコキシアルキロールのような1〜20個の炭素原子を有するヒドロ
キシル基含有化合物が好ましい。ヒドロカルビロールの具体的な好ましい例とし
ては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチルヘキサノー
ル、アリルアルコール及びフェノールが挙げられる。1〜8個の炭素原子を有す
るアルキロール、特にメタノールとブタノールが特別に好ましい。
上述したように、本発明の誘導体は、結合2,2−ジヒドロカルビロキシエタ
ナールをアミノ化合物のモル当たり少なくとも約1.25モル、及び1,2,2
−トリヒドロカルビロキシエチル基を誘導体1分子当たり少なくとも約2.0個
含有する。
グアナミン誘導体は、好ましくは、結合2,2−ジヒドロカルビロキシエタナ
ールを、グアナミンの1モル当たり、平均して、約1.5〜約2.0モル含有す
る。特定の好ましい態様は、結合2,2−ジヒドロカルビロキシエタナールを、
グアナミンの1モル当たり約2.0モル含有する、実質的に単量体のグアナミン
誘導体である。そのような実質的に単量体のグアナミン誘導体は、一般式(I)
によって示され、式中、R1はH及びヒドロカルビルから選ばれ、
好ましくは、H、1〜20個の炭素原子を有するアルキル、6〜20個の
炭素原子を有するアリール及び7〜20個の炭素原子を有するアラルキルから選
ばれ、そして
特に、フェニル基、メチル基及びシクロヘキシル基から選ばれ;
各々のR2はH及びヒドロカルビルから選ばれ、そして
好ましくはHであり;
各々のR3は式(III)を有する基であり;
各々のR5は独立にヒドロカルビルであり、
好ましくは、独立に、アルキル、アルケニル、フェニル及びアルコキシア
ルキルから選ばれる、1〜20個の炭素原子を有するヒドロカルビルであり、
特に、独立に1〜8個の炭素原子を有するアルキルであり;そして
各々のR6は独立にヒドロカルビルであるか又は互いに結合してヒドロカルビレ
ン橋を形成し、
好ましくは、独立に1〜8個の炭素原子を有するアルキル及び1〜8個の
炭素原子を有するアルケニルから選ばれるか、又は一緒
になって1〜8個の炭素原子を有するアルキレン橋を形成し、そして
特に、独立に1〜8個の炭素原子を有するアルキルであるか、又は一緒に
なって1〜4個の炭素原子を有するアルキレン橋を形成する。
メラミン誘導体は、結合2,2−ジヒドロカルビロキシエタナールを、平均し
て、メラミンのモル当たり、好ましくは約2.0〜約3.0モル、より好ましく
は約2.3〜約3.0モル含有する。特定の好ましい態様は、結合2,2−ジヒ
ドロカルビロキシエタナールを、メラミンの1モル当たり約3.0モル含有する
、実質的に単量体のグアナミン誘導体である。そのような実質的に単量体のグア
ナミン誘導体は、一般式(I)によって示され、式中、
R1は−N(R2)(R3)であり;
各々のR2はH及びヒドロカルビルから選ばれ、そして
好ましくはHであり;
各々のR3は式(III)を有する基であり;
少なくとも2個のR5基が、そして、好ましくはR5基の各々が、独立にヒドロカ
ルビルであり、
好ましくは独立にアルキル、アルケニル、フェニル及びアルコキシアルキ
ルから選ばれる、1〜20個の炭素原子を有するヒドロカルビルであり、そして
特に独立に1〜8個の炭素原子を有するアルキルであり;そして
各々のR6は独立にヒドロカルビルであるか又は一緒になってヒドロカルビレン
橋を形成し、
好ましくは、各々独立に1〜8個の炭素原子を有するアルキル及び1〜8
個の炭素原子を有するアルケニルから選ばれるか、又は一緒になって1〜8個の
炭素原子を有するアルキレン橋を形成し、そして
特に、各々独立に1〜8個の炭素原子を有するアルキルであるか、又は一
緒になって1〜4個の炭素原子を有するアルキレン橋を形成する。
グリコルリル誘導体は、結合2,2−ジヒドロカルビロキシエタナールを、平
均して、グリコルリルの1モル当たり、好ましくは約2.0〜約4.0モル、よ
り好ましくは約3.0〜約4.0モル含有する。特定の好ましい態様は、結合2
,2−ジヒドロカルビロキシエタナールを、グリコルリルの1モル当たり約4.
0モル含有する、実質的に単量体のグリコルリル誘導体である。そのような実質
的に単量体のグリコルリル誘導体は、一般式(II)によって示され、式中、
各々のR3は式(III)を有する基であり;
各々のR4は独立にH及びヒドロカルビルから選ばれ、そして
好ましくはHであり;
少なくとも2個のR5基が、好ましくは少なくとも3個のR5基が、そして、特に
R5基の各々が、独立にヒドロカルビルであり、
好ましくは独立にアルキル、アルケニル、フェニル及びアルコキシアルキ
ルから選ばれる、1〜20個の炭素原子を有するヒドロカルビルであり、そして
特に独立に1〜8個の炭素原子を有するアルキルであり;そして
各々のR6は独立にヒドロカルビルであるか又は一緒になってヒドロカ
ルビレン橋を形成し、
好ましくは、各々独立に1〜8個の炭素原子を有するアルキル及び1〜8
個の炭素原子を有するアルケニルから選ばれるか、又は一緒になって1〜8個の
炭素原子を有するアルキレン橋を形成し、そして
特に、各々独立に1〜8個の炭素原子を有するアルキルであるか、又は一
緒になって1〜4個の炭素原子を有するアルキレン橋を形成する。誘導体の製造方法
上記のN−1,2,2−トリヒドロカルビロキシエチル誘導体は、本発明に従
い(i)(ii)及び(iii)を、平均して、結合2,2−ジヒドロカルビロ
キシエタナールを、アミノ化合物の1モル当たり少なくとも1.25モル、及び
1,2,2−トリヒドロカルビロキシエチル基を、誘導体1分子当たり少なくと
も約2.0個含有する誘導体を製造するのに十分な条件下で反応させることによ
って製造することが出来る。
本発明のある特定の態様においては、(i)と(ii)を第一の段階で塩基性
触媒の存在下で接触させて、1−ヒドロキシ−2,2−ジヒドロカルビロキシエ
チル誘導体中間体を生成させ、それを次の段階で(iii)(例えば、アルキル
化された)と酸性条件下で(好ましくは酸性触媒の存在下で)反応させる。第一
段階は典型的には水性媒体中で一般的には周囲温度から約120℃の範囲の温度
で行う。第一段階が完了したら、中間体を分離してそれを第二段階のために有機
溶媒に添加する。過剰のヒドロカルビロール(iii)を有機溶媒として有利に
使用することができる。第一段階からの中間体と(iii)の反応は、典型的に
は従来のアミン−ホルムアルデヒド樹脂についてのアルキル化段階と類似の条件
下で類似の触媒を用いて行う。その条件と触媒は当業者には公知である。
本発明の第二の特定の態様においては、(i)、(ii)及び(iii)を酸
触媒の存在下で同時に接触させ、直接1,2,2−トリヒドロカルビロキシエチ
ル誘導体を生成させる。上記の第二段階に関してと同様に、この反応は、典型的
には従来のアミン−ホルムアルデヒド樹脂に対するアルキル化段階と類似の、当
業者には公知である条件と触媒で行う。硬化性組成物
上記で概括に述べたように、本発明の硬化性組成物は、
(a)上記したN−1,2,2−トリヒドロカルビロキシエチル誘導体を含ん
で成る架橋剤成分と、
(b)(a)の1,2,2−トリヒドロカルビロキシエチル基と反応できる少
なくとも2個の基を含有する化合物を含んで成る樹脂成分
とを含んで成る組成物である。架橋剤成分は、上記で詳細に述べたN−1,2,
2−トリヒドロカルビロキシエチル誘導体架橋剤に加えて、場合によって種々の
追加の材料を含んで成ることができる。例えば、架橋剤は、場合によって他の架
橋剤(ここでは「共架橋剤」として引用する)を含有することができ、この共架
橋剤には、特に、例えば従来のアミン−ホルムアルデヒド樹脂、ブロックされた
(blocked)及び/又は未ブロックの多官能性イソシアナート並びにイソシアナー
ト及びカルバマート官能性の1、3、5−トリアジンカルバマート架橋剤のよう
な活性水素反
応性及びエポキシ反応性の架橋剤が含まれる。
好適なアミン−ホルムアルデヒド樹脂としては、メラミン、グアナミン、グリ
コルリル及び尿素をベースとした、部分的にもしくは実質的に完全にメチロール
化された又は部分的にもしくは実質的に完全にエーテル化されたアミノ化合物を
挙げることができる。一般的に、そのようなアミン−ホルムアルデヒド樹脂は当
業者に公知であり(例えば、既に組み込まれている数多くの引用文献参照)、一
般的に商業的に入手できる。最も一般には、メラミン類、ベンゾグアナミン、ア
セトグアナミン、シクロヘキシルカルボグアナミンのようなグアナミン類、グリ
コルリル類及び尿素並びに少なくとも部分的にN−アルキロール化されたそれら
の誘導体,N−アルコキシアルキル化されたそれらの誘導体及びそれらのオリゴ
マー類が含まれる。
上記した種類の商業的に入手できるアミノ樹脂の特定の例として、CYMEL
(登録商標)及びBEETLE(登録商標)の商標で販売されている、Cyte
c Industries,Inc(West Paterson,New J
ersey)の樹脂を挙げることができる。
ブロックされた種類を含むポリイソシアナート架橋剤は当該技術分野において
公知であり、塗料用組成物において単量体、オリゴマー及び/又は重合体の形で
広範囲に使用されてきており、少なくとも2個の反応性イソシアナート基を含む
のが好ましい。その具体的な例としては、ヘキサメチレンジイソシアナート、2
,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、2,4,4−トリメチ
ルヘキサメチレンジイソシアナート、メターα,α,α’,α’−テトラメチル
キシリレンジイソシアナート[m−TMXDI(登録商標)aliphatic
iso
cianateという商品名でCytec Industries,Inc.,
West Paterson,New Jerseyから商業的に入手可能であ
る]、パラ−α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアナート[
p−TMXDI(登録商標)aliphatic isocianateという
商品名でCytec Industries,Inc.,West Pater
son,New Jerseyから商業的に入手可能である]、1−イソシアナ
ート−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナートメチルシクロヘキサン(イ
ソホロンジイソシアナート、略称IPDI)、ビス(4−イソシアナートシクロ
ヘキシル)メタン(水素添加MDI)、例えばヘキサメチレンジイソシアナート
[Miles Inc.,Pittsburgh,Pennsylvaniaの
Desmodur(登録商標)Nという商品名で商業的に入手可能である]を含
む種々なジイソシアナートのビューレット誘導体;例えばヘキサメチレンジイソ
シアナート及びIPDIを含む種々なジイソシアナートのウレトジオン誘導体;
例えばヘキサメチレンジイソシアナート[Miles Inc.,Pittsb
urgh,PennsylvaniaのDesmodur(登録商標)N339
0という商品名で商業的に入手可能である]及びIPDI[Huls Amer
ica,Inc.,Piscataway,N.J.のIPDI(登録商標)T
1890polyisocianateという商品名で商業的に入手可能である
]を含む種々なジイソシアナートのイソシアヌラート誘導体;及び、例えばエチ
レングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロ
ールプロパン、ペンタエリスリトール等並びにオリゴマー及び重合体ポリオール
のようなポリオールとジイ
ソシアナートとのウレタン付加体、例えば、メタ−α,α,α’,α’−テトラ
メチルキシリレンジイソシアナート/トリメチロールプロパンの3:1付加体[
CYTHANE(登録商標)3160 aliphatic polyisoc
ianateという商品名でCytec Industries,Inc.,W
est Paterson,New Jerseyから商業的に入手可能である
]、及びIPDI/トリメチロールプロパンの3:1付加体[Reichhol
d Chemicals,Research Triangle Park,N
orth CarolinaのSPENLITE(登録商標)P25−A4−6
0 aliphatic urethane prepolymerという商品
名で商業的に入手可能である]を挙げることができる。
ポリイソシアナートは公知の方法で、例えば低級アルキルアルコール及びオキ
シムでブロックする(block)ことができる。
好適なイソシアナート及びカルバマート官能性の1,3,5−トリアジンカル
バマート架橋剤として、1個以上の1,3,5−トリアジン核に結合している平
均して少なくとも2個のイソシアナート及び/又はカルバマート基を有している
架橋剤を挙げることができる。一般に、これらの1,3,5−トリアジン化合物
も又、ここまでに、既に組み込まれるものとしてきた数多くの引用文献に例示さ
れているように、当業者に公知である。
例えば活性水素および/又はエポキシ基のような、(a)の1,2,2−トリ
ヒドロカルビロキシエチル基と反応できる基を少なくとも2個含有する化合物が
樹脂成分として使用されるのに適しており、その化合物は一般的に従来のアミン
−ホルムアルデヒド樹脂の架橋系に使用され
るのに適している物質と同じ種類である。
多官能性の活性水素含有基を含む化合物が好ましい。ここで用いる活性水素含
有官能性は、一般的に当業者に公知であるような活性水素を含有している官能基
を指し、最も一般にはこれにはヒドロキシル基、カルボキシル基及びアミノ基が
含まれる。ここで用いる場合は、ヒドロキシル基が好ましい。
好適であるそのような多官能性のヒドロキシル基を含有する物質も又一般的に
は当業者に公知であり、少なくとも2個の好ましくは2個より多いヒドロキシル
基を含有している。更に詳細な点については既に組み込まれるものとした米国特
許第49339213号、米国特許第5084541号、米国特許第号、米国特
許第5288865号、EP−A−0604922(米国特許出願第07/99
8,313号、1992年12月29日出願、に対応)、EP−A−06245
77(米国特許出願第08/061,905号、1993年5月14日出願、に
対応)、EP−A−0649842(米国特許出願第08/138,581号、
1993年10月15日出願、に対応)、WO95/30663(米国特許出願
第08/239,009号、1994年5月6日出願、に対応)、WO96/0
4258(米国特許出願第08/286,835号、1994年8月5日出願、
に対応)、WO96/11915(米国特許出願第08/324,549号、1
994年10月18日出願、に対応)及びWO96/15185(米国特許出願
第08/340,950号、1994年11月16日出願、に対応)を参照でき
る。
好ましい多官能性のヒドロキシル基含有材料の例として、アクリル酸又はポリ
エステルの主鎖を持った樹脂を挙げることができる。具体的な
例としては、アクリル酸又はメタクリル酸エステルと、アクリル酸又はメタクリ
ル酸ヒドロキシエチルのようなヒドロキシル官能性のアクリル酸又はメタクリル
酸エステルとの、場合によっては例えばスチレンのようなビニル化合物を追加的
に使用する、共重合によって得ることができるアクリル樹脂が挙げられる。好ま
しい多官能性のヒドロキシル基含有材料の例としては又、例えば多価カルボン酸
を過剰の多価アルコールと反応させて得ることができるポリエステル樹脂をも挙
げることができる。他の好適な多官能性のヒドロキシル基含有樹脂として、ポリ
ウレタンプレポリマー、アルキッド、及びヒドロキシル基含有エポキシプレポリ
マー、例えば多官能性エポキシ基含有化合物とアミンとを又は多官能性カルボン
酸誘導体とを反応させて得られるプレポリマーが挙げられる。
一般的には、このような樹脂は、懸垂しているか又は末端のヒドロキシル官能
性を有することができ、好ましくは次の特性を持っている:重量平均分子量(M
w)が約750〜約7000、より好ましくは約2000〜約5000;及びヒ
ドロキシル価が約20〜約120mgKOH/g樹脂。
水性の用途に対しては、カルボキシル又はスルホン官能性のような水性分散促
進性の基を有し、より高い分子量を有する、多官能性のヒドロキシル基含有材料
が一般的に使用できる。このことは、前に組み込まれるものとしたWO96/1
5185並びに英国特許第1530022号、EP−A−0568134、EP
−A−0663413、米国特許第5075370号及び米国特許第53428
78号に開示されている。これらすべては、引用することにより、事実上あたか
も、完全に記載されているかのごとく本明細書中さらに組み込まれる。固体の多
官能性のヒ
ドロキシル基含有物質は、粉末塗料に使用するのに適している。溶剤型の塗料に
は、液体の多官能性のヒドロキシル基含有物質が好ましい。しかしながら、固体
の多官能性のヒドロキシル基含有物質は、その固体が個別の処方において使用さ
れている溶剤に可溶である場合には、使用可能である。当業者は、目的の最終用
途に応じて、特定の好適なヒドロキシル官能性の樹脂を容易に認識できるであろ
う。
多官能性のヒドロキシル基含有物質の商業的に入手できる例としては、S.C
.Johnson&Sons,Racine.WIの製品であるJONCRYL
(登録商標)500アクリル樹脂、Rohm&Haas,Philadelph
ia,PAの製品であるACRYLOID(登録商標)AT−400アクリル樹
脂、Cytec Industries,West Paterson,NJの
製品であるCYPLEX(登録商標)1531ポリエステル樹脂、Cargil
l,Minneaolis,MNの製品であるCARGILL3000及び57
76ポリエステル樹脂、Union Carbide,Danbury,CTの
製品であるTONE(登録商標)ポリエステル樹脂、King industr
ies,Norwalk,CTの製品であるK−FLEX(登録商標)XM−2
302及びXM−2306樹脂、CookComposites and Po
lymers,Port Washington,WIの製品であるCHEMP
OL(登録商標)11−1369樹脂、S.C.Johnson&Sons,R
acine.WIの製品であるJONCRYL(登録商標)540アクリル乳化
重合体、Rohm&Haas,Philadelphia,PAの製品であるR
HOPLEX(登録商標)AC−1024アクリル乳化樹脂、Cytec In
dust
ries,WestPaterson,NJの製品であるXC(登録商標)40
05水を減少できるアクリル樹脂、UCB CHEMICALS USA,Sm
yma,GAの製品であるCRYLCOAT(登録商標)3494固体のヒドロ
キシル末端ポリエステル樹脂、RucoPolymer,Hicksville
,NYの製品であるRUCOTE(登録商標)101ポリエステル樹脂、S.C
.Johnson&Sons,Racine.WIの製品であるJONCRYL
(登録商標)SCX−800−A及びSCX−800−Bヒドロキシル官能性の
固体アクリル樹脂、及びHoechst Corporationの製品である
ALFTALAT(登録商標)AN745ヒドロキシル官能性のポリエステル樹
脂が挙げられる。他の成分
上に詳細に述べた架橋剤成分及び樹脂成分に加えて、本発明の硬化性組成物は
、場合によって、いかなる特定の選択された末端用途に対しても標準である、様
々な追加の成分を含有することができる。
共通のそのような追加の成分の一つは、硬化速度を増大させそれによって明細
書に記載される系の硬化温度を低下させ、そして/又は硬化時間を減少させるた
めの硬化触媒である。好適な硬化触媒の例は、プロトン酸触媒及びルイス酸触媒
のような、典型的には従来のアミン−ホルムアルデヒド架橋系での使用に適した
触媒である。プロトン酸触媒の例としては、p−トルエンスルホン酸又はドデシ
ルベンゼンスルホン酸のようなスルホン酸が挙げられる。他の例としては、酸性
リン酸及びピロリン酸アリール及びアルキル、カルボン酸、スルホンイミド、鉱
酸等が挙げられる。潜伏性の酸性触媒例えばアミンでブロックしたp−トルエン
ス
ルホン酸又はアミンでブロックしたドデシルベンゼンスルホン酸等はプロトン酸
触媒の意味の範囲内で包含される。ルイス酸触媒の例としては、アルミニウム、
ホウ素、マグネシウム、アンチモン及び錫の化合物が挙げられる。硬化触媒の使
用は本発明の反応系においては任意であり、そして、使用する場合には、触媒は
一般的に樹脂成分と架橋剤成分との合計重量(全樹脂固形分)基準で約0.00
1重量%〜約6.0重量%の範囲の、好ましくは約2.0重量%迄の量で添加す
る。
本発明の硬化性組成物は又例えばアルコール、ケトン、エーテル、脂肪族炭化
水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素等を含むコーティング分野で典型的
に見出される種類の溶剤を含有することができる。水性の塗料分野では、硬化性
組成物は、水の他に、補助溶剤及び水性分散促進物質、例えばエチルヘキサノー
ル、Texanol(登録商標)(Eastman Chemical Com
panyから商業的に入手できるメチルプロピオン酸のC8−ヒドロキシアルキ
ルエステル)、界面活性剤及びその他の関連物質を含有することができる。
その他の任意の物質を、特定用途に応じて追加して使用することができる。例
えば、塗料工業で典型的に用いられる公知の助剤や添加剤の例は、消泡剤、均展
助剤、顔料、顔料分散助剤のような分散剤、染料、UV吸収剤、熱安定剤、酸化
防止剤のような他の安定化用添加剤等である。他の任意の成分は、既に組み込ま
れた多くの引用文献中に例示されてきており、更に詳細な点についてはそれを参
照することができる。硬化性組成物の製造と使用
本発明の硬化性組成物は、広範囲な用途に、例えば、塗料や接着剤として、装
飾的な積層板において、エンジニアリング複合材のような架橋
した成型品の製造において、繊維処理や紙処理のために、そして従来のアミン−
ホルムアルデヒド樹脂が好適に使用されているその他のいかなる分野にでも、好
適に使用できる。
硬化性組成物は、種々の成分を、選択された個別の最終用途に応じて、関連分
野の当業者によって認識可能な方法を用い認識可能な相対的な量比で、混合する
ことによって製造することが出来る。原則として、樹脂成分と架橋剤成分は、等
量比(反応する官能性の等量)約0.5:1〜約2:1で混合するのが好ましく
、より好ましくは等量比約0.8:1〜約1.2:1で混合する。
本発明の硬化性組成物の特に好ましい用途は、コーティング分野である。有機
溶剤をベースとした液体塗料、水性塗料、粉体塗料及び高温コイルコーティング
用塗料を始めとするどんな従来型の塗料でも、ここで述べた硬化性組成物を用い
て製造することが出来る。塗料用途では種々の反応性成分の重量は、例えば選択
された個々の物質、他の反応性の化学種の存在及び所望の最終用途等の因子に依
存して変化し得る。これらの変数や他の要因に基づいて、当業者は所望の効果を
達成するためにコーティング剤の組成(各成分の相対的な量を含む)を調整する
ことができるであろう。
本発明による有機溶剤型の液体塗料は、一般に使用されている有機の塗料用溶
剤中に、硬化性組成物の各成分と、存在する場合には、任意の成分とを任意の順
で添加することによって従来の装置で製造することができる。有機溶剤型の塗料
では、塗料系の処方を、物質のロスが最小限で塗布に便利な固形分含量を生じる
ように、選択された塗布方法に応じて、好ましくは約20重量%〜約85重量%
の範囲の固形分含量に、よ
り好ましくは約45重量%〜約80重量%の範囲の固形分含量になるように行う
。
本発明による水性塗料組成物は、塗料の各成分を任意の順で組み合わせて製造
することが出来るが、しかし、塗料成分を界面活性剤と実質的に均一に混合して
(このことは本発明による樹脂成分が本来的に持っている性質であり得る)分散
性組成物を製造し次いでその分散性組成物を、水単独から成っていてもよく又少
量の、分散を容易にするためのもしくは粘度を調整するための、水と混和する補
助溶媒のような他の成分を含有していてもよい水性分散媒中に、分散することに
よって製造するのが好ましい。水性塗料組成物は、選択された塗布方法に応じて
、種々の固形分含量に、一般的には約20重量%〜約75重量%固形分の範囲に
、しかし好ましくは約30重量%〜約55重量%固形分の範囲になるように処方
することができる。
本発明による粉体塗料組成物は、周知の方法、例えば、成分をミキサー又はブ
レンダー中で乾燥混合し、次いで押出し機中で配合し、造粒し、粉体化し、次い
で分別して粉体塗装に適したメッシュサイズを有する粉末を得る方法で製造する
ことが出来る。粉体塗料用途では、固体の架橋剤成分と主鎖を有する樹脂成分を
含有する組成物が好ましい。また、いくつかの又は全ての成分を塩化メチレンの
ような溶媒に溶解し、周知の技術によって噴霧乾燥することも可能である。更に
、架橋剤とヒドロキシル官能性の樹脂のマスターバッチを、組成物の任意成分を
混合する前に、当業者に良く知られた方法で製造することが好ましいこともあり
得る。
本発明によるコーティング組成物は、塗料を基体に塗布し次いで塗布
された塗料を硬化させて架橋したフィルムを形成させることにより使用する。液
体塗料は、例えば、浸せき、スプレー、パッディング(padding)、ブラシ塗り、
流し塗り、電着塗装又は静電塗装によって塗布することができる。塗布した後、
一般的には、液体担体(例えば有機溶媒及び/又は水)を部分的に蒸発させて基
体上に均一な塗膜を生成する。粉体塗料は、例えば粉体用ガン、静電力による付
着又は流動床からの付着のような手段で塗布することができる。付着後、典型的
には、粉末を、通常、粒子が軟化し、溶融し、流動しそして硬化し始めるのに十
分な温度に加熱する。
本発明によるコーティング組成物(および硬化性組成物)を完全に硬化するに
は、高温が、一般的には成分並びに最終用途分野に依存して約25℃〜約450
℃の範囲での温度が必要である。液体塗料分野では、硬化温度は典型的には約8
0〜約160℃の範囲にある。粉体塗料分野では、硬化温度は典型的には約11
0〜約230℃の範囲にあり、好ましくは約150〜約220℃の範囲、最も好
ましくは約170〜約200℃の範囲である。コイルコーティング用途では硬化
温度は典型的には約250〜約450℃の範囲にある。硬化時間は好ましくは約
1秒〜約30分の範囲であるが、硬化のために選択された温度に依存して変化し
得る。例えば完全に硬化したコイルコーティング塗膜は260℃で1分間の硬化
、417℃で20秒の硬化のいずれによっても得られる。液体及び粉体塗料に対
する典型的な硬化時間は約5分〜約30分の範囲にある。
本発明のコーティング組成物は、自動車用塗料を含む相手先商標による製造(o
riginal equipment manufacturing)(OEM)、工業修理用
塗料を含む一般工業用塗料、建築用塗料、缶用塗料等のような多方面の分野での
使用のために処方することができる。それらは、ワイアー、器具、自動車部品、
家具、パイプ、機械等のための塗料として使用できる。本発明による系は、自動
車の仕上げ、粉体塗料、下塗り塗料と上塗り塗料を含むコイルコーティング用塗
料のような用途において1Kコーティング(1K coating)として使用できる。好
適な塗装表面としては、スチールやアルミニウムのような金属、プラスチックス
、木材及びガラスが挙げられる。
以下の実施例は本発明のいくつかの好ましい態様を具体的に説明するためのも
のであり、いかなる意味でも本発明を限定すると解釈されるべきではない。NM
Rスペクトルは、Varian Unity 300 Plusを用いて測定し
た。IRスペクトルは、Digilab FTS 60Aを用いて測定した。L
C/MS(サーモスプレー法)は、Finnigen Mat TSQ−700
分光器を用いて測定した。融点は電熱式融点測定装置で測定した。2,2−ジメ
トキシエタナール(DME)は、Societe Francaise Hoe
chstから43%メチルt−ブチルエーテル(MTBE)溶液として又は60
%水溶液として得た。メラミンはCytec Industries,West
Paterson,NJから得た。炭酸水素ナトリウムとn−ブタノール(H
PLCグレード、99.8%)はAldrich Chemical Comp
anyから得た。キシレン(ACS試薬)、p−トルエンスルホン酸(実用グレ
ード)、メタノール(100%、ACS試薬)及び塩化メチレン(ACS試薬)
はJ.T.Baker Chem.Co,Phillipsburg,N.J.
から得た。緩衝溶
液(Baxter calibrating buffer,pH4.7及び1
0)はBaxter Diagnostics,Inc.,Deerfield
,ILから得た。用いた水は脱イオン水であった。全ての量は、別に記さなけれ
ば重量%で表した。下記のいくつかの実施例において、使用されたDMEは、D
MEの43%メチルt−ブチルエーテル(MTBE)溶液(全部で552g)を
減圧で(72mm/Hg)蒸留することにより精製して得た。50〜60℃の留
分を無色の液体として集めた(174g、収率73%)。
実施例 1
DME(全体で210g、水中60%,1.2モルDME)を1リットルの反
応用フラスコ中に入れそしてpHを20%NaOH溶液で8.5(バッフアーp
H10)に調整した。次いでメラミン(25.2g、0.2モル)を加え、その
混合物を透明溶液になるまで(約30分)50〜60℃で攪拌(機械攪拌)した
。反応を更に10分間50〜60℃で継続した。得られた混合物を真空下(6m
m/Hg、50℃)で1時間蒸留し、粘調な液体を得た。その液体を約30℃に
冷却した後メタノール(128g、4.0モル)を添加した。次いでその溶液を
pH3.5(バッフアーpH4)に濃硝酸で調整し、そして40℃で1時間激し
く攪拌しながら反応させた。次いでpHを50%NaOH溶液で8.2(バッフ
アーpH7)に調整することによって反応を停止させた。回転型蒸発器を用いて
減圧下(6mm/Hg、50℃、約1時間)で溶剤を除去した。残分をメタノー
ル(128g、4.0モル)に溶解しそしてそのpHを4.5(バッフアーpH
4)に濃硝酸で調整した。得られた溶液を60〜65℃で1時間攪拌し、そして
pHを50%NaOH溶液
で7.2(バッフアーpH7)に調整することによって反応を停止させた。次い
で回転型蒸発器を用いて減圧下(6mm/Hg、50℃)で溶剤を除去した。次
いで水(200ml)を添加して残分を溶解し、その溶液を塩化メチレンで抽出
した(3x150ml)。有機層を集め水で洗浄し(3x100ml)、無水の
MgSO4で乾燥した。減圧下で溶剤を除去した後メタノール中で結晶化し、実
質的に単量体のN,N’,N”−トリス−(1,2,2−トリメトキシエチ−1
−イル)メラミンを白色結晶として得た(36g、収率38%)。融点111−
114℃(無修正)。LC/MS(サーモスプレー法、MH+):m/z計算値
C18H36O9N6+H481、実測値481。IR(KBr):3332、294
3、2833、1583、1565、1450、1373、1189、1078
、969、944、814cm-1。1H NMR(300MHz,DMSO−d6
):δ7.20(m,NH)、5.25(m,CH)、4.37(m,CH)、
3.30(m,OCH3)。13CNMR(75MHz,D2O):δ166.5、
103.4、81.0、55.6、55.3。
スペクトルのデータは、式(メラミン)(DME)3(Me)3で表される組成
と一致した。
実施例 2
メラミン(16.5g,0.13モル)、DME(精製直後、55g、0.5
3モル)メタノール(62g、1.95モル)及びp−トルエンスルホン酸(0
.33g、0.002モル)を窒素雰囲気下で500mlの反応用フラスコ中に
入れた。その混合物を還流下で16時間攪拌した。回転型蒸発器を用いて減圧下
(6mm/Hg、40℃)で溶剤を除
去した。残分を塩化メチレン(200ml)に溶解し、そして水(2x80ml
)、炭酸水素ナトリウム(2%、80ml)そして水(2x80ml)で洗浄し
た。有機層を、無水のMgSO4で乾燥し、そして蒸発乾涸した(6mm/Hg
、40℃)。キシレンを添加して実質的に単量体のN,N’,N”−トリス−(
1,2,2−トリメトキシエチ−1−イル)メラミン(84g)の無色の溶液を
得た。この溶液の固形分含量は、蒸発皿固形分法(pan solids method)(10
5℃で2時間加熱)で測定して51%であった。
実施例1と同様に、13CNMRは、式(メラミン)(DME)3(Me)3で表
される組成と一致した。
実施例 3
メラミン(50g,0.4モル)、メタノール(192g、6.0モル)、D
ME(精製直後、125g、1.2モル)及びp−トルエンスルホン酸(1g、
0.006モル)を、窒素雰囲気下で500mlの反応用フラスコ中に入れ、還
流下で24時間攪拌した。次いで反応混合物を室温に冷却し、50%NaOH(
約1.5ml)によってpH7に中和した。減圧下(50℃/6mm/Hg)で
溶剤を除去して残分を1,2−プロピレングリコールモノメチルエーテル(PG
ME)に溶解した。溶液を濾過して無色の溶液を得た。生成物の13CNMRは、
式(メラミン)(DME)2.4(Me)2.0なる平均組成を示した。60ppmの
幅広いNH−CH−NH結合の特性吸収は、生成物がオリゴマー型を約50%の
量で含有していることを示した。。
実施例 4
メラミン(20g,0.16モル)、メタノール(77g、2.4モ
ル)、DME(精製直後、50g、0.48モル)及び濃硝酸(2g、0.03
2モル)を、窒素雰囲気下で500mlの反応用フラスコ中に入れ、還流下で2
4時間攪拌した。次いで反応混合物を室温に冷却し、50%NaOHによってp
H7(バッフアーpH7)に中和した。溶液を濾過して無色の溶液を得た。生成
物の13CNMRは、(メラミン)(DME)2.3(Me)1.6なる平均組成を示し
た。60ppmの幅広いNH−CH−NH結合の特性吸収は、生成物がオリゴマ
ー型を約66%の量で含有していることを示した。
実施例 5
DME(113g、水中60%、0.65モル)及びメラミン(16.5g,
0.13モル)を500mlの反応用フラスコ中に入れ、70〜80℃で混合物
が透明になるまで攪拌した(約30分)。回転型蒸発器を用いて減圧下で水を除
去した(6mm/Hg、40℃、約30分))。次いでメタノール(83g、2
.6モル)及びp−トルエンスルホン酸(0.34g、0.002モル)を添加
し、その混合物を70℃で16時間反応させて、黄色の溶液を得た。減圧下(6
mm/Hg、40℃)でメタノールを除去し、塩化メチレン(200ml)を添
加し、その溶液を水洗し(4x60ml)、その後無水のMgSO4で乾燥した
。塩化メチレンを減圧下で除去し、粘調の黄色の液体を得た。13CNMRスペク
トルは、生成物が実質的に単量体であり、式(メラミン)(DME)3(Me)3
と一致する組成を有することを示した。
実施例 6
メラミン(45.4g,0.36モル)、n−ブタノール(400g、5.4
1モル)、DME(精製直後、150g、1.44モル)及びp
−トルエンスルホン酸(0.93g、0.005モル)を、窒素雰囲気下で1リ
ットルの反応用フラスコ中に入れ、70〜80℃で24時間攪拌した。回転型蒸
発器を用いて減圧下で溶媒を除去した(6mm/Hg、50℃)。残分を塩化メ
チレン(200ml)に溶解し、そして水(2x300ml)、NaHCO3(
2x200ml)そして水(2x80ml)で洗浄した。有機層を、無水のMg
SO4で乾燥し、そして回転型蒸発器を用いて減圧下で溶剤を除去した。残分を
1,2−プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)に溶解して、粘
調溶液(204g、固形分含量は蒸発皿固形分法により65%)を得た。13CN
MR(300MHz,PGME中)では、トリアジンカチオンに対する吸収が1
66.3ppmに、CH(OCH3)2に対する吸収が103.9ppmに、CH
(OBu)NHに対する吸収が80.5ppmに、OCH2に対する吸収が67
.5ppmに、OCH3に対する吸収が54.4ppmに、CH2に対する吸収が
31.9ppmに、CH2に対する吸収が19.3ppmにそしてCH3に対す
る吸収が14.1ppmに現れ、平均組成が(メラミン)(DME)2.6(Bu
)2.6であることを示した。
比較例
500mlの反応用フラスコ中で、DME(精製直後、79g、0.76モル
)を窒素雰囲気下で混合キシレン(80ml)に溶解した。次いでNaHCO3
(2.4g)とメラミン(24g,0.19モル)を添加し、得られた混合物を
機械的攪拌機を用いて50〜55℃で16時間攪拌した。室温に冷却したとき、
混合物は明確に2層に分離していた。キシレン層は廃棄した。残分を更にキシレ
ン(2x80ml)で抽出し、
そのキシレン層は廃棄した。次いで残分を塩化メチレン(100ml)に溶解し
そして濾過した。回転型蒸発器を用いて減圧下で溶媒を除去し、無色の粘調な液
体(98g)を得た。粗生成物は、酢酸エチル、塩化メチレン及びメチルエチル
ケトンに可溶であった。IR(KBr)により、3置換のトリアジン、水素結合
しているOH基及び第2級アミンが生成していることが判った。予想されたよう
に、その化合物はLC/MS(サーモスプレー法)分析条件下では不安定であり
、従って分子イオンピークは観測されなかった。13CNMR(300MHz,C
DCl3)では、トリアジンカチオンに対する吸収が165.2ppmに、CH
(OCH3)2に対する吸収が104.2ppmに、NHCH(OH)に対する吸
収が74.2ppmにそしてOCH3に対する吸収が55.6ppmに現れ、生
成物が実質的に単量体であり、式(メラミン)(DME)3と一致する組成を有
することが示された。
実施例 7
塗料A〜Jは、成分を追加の溶媒と混合して、固形分含量を下記の表I〜Xに
列挙されているパーセント濃度に調節して製造した。塗料A〜Jから得られたフ
ィルムを、従来型のメチル化されたメラミン−ホルムアルデヒド樹脂を架橋剤と
して用いた比較塗料(比較塗料A〜J)から得られたフィルムと比較した。本発
明による塗料と比較対照品の物性と耐久性も表I〜Xに示してある。これらの結
果は、本発明の化合物と組成物に基づく硬化性の系は、伝統的なアミノ−ホルム
アルデヒド架橋剤で架橋される従来の系から得られる結果に匹敵する結果を生じ
るように処方することができることを示している。
実施例 8
塗料Kを、成分を追加の溶媒と混合して、固形分含量を下記の表XIに示され
ているパーセント濃度に調節して製造した。塗料Kから得られたフィルムを、本
発明の化合物に類似したメラミン/DME縮合体であるけれども活性化されたエ
ーテル基を含有していない(1−ヒドロキシ基がいずれもアルキル化されていな
い)比較例での生成物からの架橋剤を用いた比較塗料(比較塗料K)から得られ
たフィルムと比較した。下記に表XIに示してある本発明による塗料と比較対照
品の物性と耐久性は、本発明によって要求されているこれらの活性化されたエー
テル基の必要性を明確に示している。
実施例 9及び10
水性の塗料L及びMを、下記の表XII〜XIIIに列挙した成分を混合する
ことにより製造した。水性塗料L及びMから得られたフィルムを、従来型のメチ
ル化されたメラミン−ホルムアルデヒド樹脂を架橋剤として用いた比較塗料(比
較塗料L及びM)から得られたフィルムと比較した。本発明による塗料と比較対
照品の物性と耐久性も表XII〜XIIIに示してある。これらの結果は、本発
明の化合物と組成物に基づく硬化性の水性の系は、伝統的なアミノ−ホルムアル
デヒド架橋剤で架橋される従来の系から得られる結果に匹敵する結果を生じるよ
うに処方することができることを示している。
本発明は、いくつかの好ましい実施態様に参照して記載されているけれども、
当業者が、それの修正や変更を請求の範囲によって規定された本発明の範囲から
離れることなくなし得ることは明らかである。
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(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
C09D 7/12 C09D 7/12 Z
201/00 201/00
(72)発明者 リーズ,ロバート・ジー
アメリカ合衆国コネチカツト州06902スタ
ンフオード・サウス・ウツドリツジドライ
ブ110