【発明の詳細な説明】
結合されたリガンドと受容体ディスプレイ
発明の分野
本発明は、配列をコードする特異的なリガンドと受容体を選択するための方法
と、その方法を実行するためのキットに関する。
発明の背景
抗体ライブラリーのようなタンパク質のライブラリーのスクリーニングにおけ
る高能率の選択システムは引き続き必要である。現行のシステムは抗体の遺伝子
を含んだ微生物の表面上の抗体のディスプレイに基づく。特異的なクローンは、
たとえばマイクロタイタープレート上でのパンニング(Parmley と Smith,1988
,Gene,73,305-318,及び Barbas III ら,1991,PNAS 88,7978-7982)、磁気
ビーズ上での選択(Hawkins ら,1992,J.Mol.Biol.226,889-896)、イムノ
チューブ(Marks ら,1991,J.Mol.Biol.,222,581-597)、アフィニティク
ロマトグラフィー(HcCfferty ら,1990,Nature,348,552-554)、蛍光アシス
トセルソーター(FACS)、抗原の特異的沈殿(Kang ら,1991,PNAS,88,4363-
4366)及びSAP(Duenas と Borrebaeck,1994,Bio/Technology 12,999-1002
)によって、固定化した抗原とともに選択することができる。
幾つかの抗体ライブラリーは、例えばfd(McCafferty ら,1990,Nature,3
48,552-554)又はM13(Barbas III ら,1991,PNAS,88,7978-7982)のバ
クテリオファージのような、ファージの表面上に構築されている。細菌の表面上
の発現抗体(scFv)の可能性は、細菌の膜タンパク質に似たLpp-omp A(Francis
co ら,1993,PNAS,90,10444-10448)及びPAL(Fuchs ら,1991,Bio/Technol
ogy,9,1369-1372)に対して融合することによっても明示されている。抗体デ
ィスプレイシステムと抗体ライブラリーのスクリーニングの現在の論評のために
、リトルの文献(Little,1994,Biotech.Adv.,12,539-555)が参考となる。
抗原ライブラリーは、例えばバクテリオファージの表面上のペプチドライブラ
リーのような抗体ライブラリーとして次に述べる本質的な同一の原理を構成して
いる(Smith,1985,Science,228,1315-1317)。細菌の表面上の抗原の発現は
Lamb(Charbit ら,1988,Gene,70,181-189 及び Bradbury ら,1993,Bio/Te
chnology,1565-1568)、Omp A(Pistor と Hoborn,1989,Klin.Wochenschr.
,66,110-116)、フィンブリン(Hedegaard と Klemm,1989,Gene,85,115-1
24 及び Hofnung,1991,Methods Cell Biol.,34,77-105)、IgAプロテアーゼ
β領域(Klauser ら,1990,EMBO J.,9,1991-1999)及び鞭毛藻類(Newton ら
,1989,Science,244,70-72)に対する融合によって示されている。
しかしながら、パンニングとアフィニティクロマトグラフィーのような従来技
術の選択工程の多くは、非常に有能とは言えず、且つたとえ抗体または抗原の収
量が相応であったとしても、これらの技法はそれをコードする核酸配列について
の何らかの情報を提供するものではない。
発明の開示
過去において、特有な結合対の構成員及びそれらをコードする核酸配列に一致
するそれらの1つをクローン化し及び選択するだけでなく現実的には両方、をす
るための受容体ライブラリーを持つリガンドライブラリーを結合させることは不
可能であった。
本発明は、リガンド/受容体分子に一致して得られ且つそれら二つの間及びそ
れらをコードする配列に物理的及び論理的な結合を形成する有能なスクリーニン
グ技法を提供する。これは、両方とも知られていない新規なリガンド及び/又は
受容体を検出するような、同様にエピトープマッピングに関しての改善、遺伝子
製造物及びドラッグデザインの位置測定の適用を、簡単に且つ迅速に且つその可
能性を広げる効果を有する。
従って、1つの態様において、本発明は、互いの特有な結合ができるリガンド
と受容体をコードする核酸配列を選択するための方法を提供し、該方法は:
(a)宿主微生物がその表面上に融合及びディスプレイするよう表面分子とリ
ガンド又は受容体分子を発現させるように、リガンド又は受容体分子をコードす
る核酸、又はそれらの機能的断片をコードする核酸の発現に連結可能な表面分子
をコードする核酸を宿主微生物中に発現すること、ここで該宿主微生物はリガン
ド又は受容体分子と共に融合する以外の表面分子をディスプレイすることがない
ように修正される;
(b)工程(a)の修正された宿主微生物と、リガンド又は受容体分子をコー
ドする核酸、又はそれの機能的断片の発現を可能とする1つまたはそれ以上のレ
プリカ可能な遺伝性ユニットとを接触させること、該リガンド又は受容体分子は
、工程(a)の宿主微生物によってディスプレイされた該分子に特異的に結合す
るための候補となっていて、且つレプリカ可能な遺伝性ユニットの表面タンパク
質と融合するように発現されている、そこで表面にディスプレイされたリガンド
と受容体分子の結合は該レプリカ可能な遺伝性ユニットから該微生物にリガンド
又は受容体をコードする核酸の転移を仲介する;及び
(c)該リガンド及び受容体分子をコードする核酸配列、又はそれの機能的断
片を含有する宿主微生物を選択すること、
を備えている。
かくして、この態様において、本発明はリガンドと受容体分子をコードする核
酸配列を選択する方法を提供し、この選択は、レセプターとリガンド分子の結合
が生じている時に、レプリカ可能な遺伝性ユニットから核酸の融合又は転移が起
こるように、宿主微生物を修正することに起因する。このように、通常のルート
を経る感染、例えば野生型の線毛(pili)を経由して大腸菌に、などの通常ルー
トを経る感染は、そのタイプの表面分子にのみ受容体又はリガンドに融合された
それらがディスプレイされるように、表面分子の付与されるタイプのディスプレ
イを防ぐために宿主微生物を修正することによって防止される。
好適な態様において、その宿主微生物は受容体分子の候補を発現するレプリカ
可能な遺伝性ユニットと共に、修正されたリガンド分子を発現およびディスプレ
イする。このように、本発明は配列をコードする特異的なリガンドと受容体を選
択するための:
(a)宿主微生物がその表面上の修正されたリガンド分子で発現するように、
配列をコードするリガンド、又はそれの機能的断片をコードする配列と結合され
る配列をコードする表面分子の発現;
(b)受容体の発現が可能な、遺伝学的に修正されたレプリカ可能な遺伝性ユ
ニット、又は該レプリカ可能な遺伝性ユニットの表面タンパク質に融合する、そ
れの機能的断片によって、上記工程(a)の修正された宿主生物を感染する、或
いは他の手段でDNA中に転移すること;及び
(c)配列をコードする特異的なリガンドと受容体又はそれらの機能的な断片
をコードする配列を含んだ感染した宿主生物を選択すること、
を備える方法を提供する。
上記の態様において、本発明は付加的な工程:
(d)該リガンド又は受容体分子をコードする核酸配列を分離すること、
を任意に含む。
好適には、該分離は、異なった選択マーカー(例えば異なる抗生物質耐性マー
カー)と、該リガンド及び受容体分子をコードしている核酸配列とを結合させる
ことによって達成できる。このように、特有な結合対をコードしている核酸配列
を含有する宿主微生物は、両方の抗生物質の存在する中での生育によって選択す
ることができる。この後、該リガンドと受容体をコードする核酸を含有するベク
ターは、生育培地から抗生物質の一方を省略することによって互いに分離するこ
とができる。
異なる実施態様において、この方法はスクリーン:
(a)異なる受容体又はリガンド分子をディスプレイするレプリカ可能な遺伝
性ユニットのライブラリーに対するリガンド又は受容体分子の一方の型をディス
プレイする微生物;
(b)受容体又はリガンド分子の一方の型をディスプレイするレプリカ可能な
遺伝性ユニットに対して異なるリガンド又は受容体をディスプレイする微生物の
ライブラリー;又は
(c)異なる受容体又はリガンド分子をディスプレイするレプリカ可能な遺伝
性ユニットのライブラリーに対して異なるリガンド又は受容体分子をディスプレ
イする微生物のライブラリー、
を使用することができる。
上記の態様において、該宿主微生物は、その表面上に融合するようなリガンド
又は受容体分子をディスプレイするのに使用される通常の(野生型)表面分子を
発現することがない。これは、例えばそれがディスプレイされないことが可能で
ない微生物の通常の表面分子を経て感染するように、リガンド又は受容体分子と
結合が起こる対との間が結合する時、その微生物が唯一感染するであろうリガン
ド又は受容体分子の結合対の候補をディスプレイするために使用されるレプリカ
可能な遺伝性ユニットを意味する。
このように、一つの実施態様において、宿主微生物は大腸菌(E.coli)株であ
り、そのFエピソームは、ピリン分子を構築するtraA遺伝子中に変異され、
しかし、例えばtraL,traE,traY,等のバクテリオファージによる
感染のために要求される別な遺伝子を含む。従って、大腸菌のこれらの株は、そ
のピリンとリガンド又は受容体分子の融合をコードする核酸を備えているベクタ
ーとともに転移される時を除いて、機能的な線毛を生産することのない、F-で
ある。これは、結合対の特有な相互作用を経てファージがそれらの大腸菌に結合
し唯一選択的に感染されるであろうバクテリオファージとして、使用されるファ
ージ表面タンパク質(例えばpIIIタンパク質)に接合される結合対の候補をディ
スプレイする野生型バクテリオファージ(例えば、M13,fdなど)を許す。
大腸菌が野生型線毛を有していないように、これは大腸菌の非選択的なバクテリ
オファージ感染を防止する。かくして、本発明は、それらの感染力を制限するレ
プリカ可能な遺伝性ユニットの工業技術に頼るものではなく、且つそのようにD
NA転移の選択性を得て、例えばpIIIがM13ファージを削除するように、削除
されるバクテリオファージを持つ大きなライブラリー形成において遭遇すること
ができるその困難を回避する助けとなる。
リガンド又は受容体分子をディスプレイするための微生物の線毛を用いる本発
明の実施態様において、驚くべきことに、そのリガンド又は受容体核酸が線毛の
カルボキシ末端で融合するように発現される時、良好な選択性が得られる。
好適には、リガンド又は受容体をコードしている核酸を備えたベクターは、両
方のベクターが宿主微生物に転移される時に安定性を維持できるように、複製(
pMB1,p15A,PSC101)の起源と相違している。
この方法において、工程(a)と(b)は、同時か又は連続させることができる。し
かしながら、通常は、その宿主微生物は、該リガンド又は受容体分子がディスプ
レイされるように、レプリカ可能な遺伝性ユニットに感染させる以前に、培養さ
れるだろう。
従って、本発明は、互いに特異的に結合することができるリガンドと受容体分
子をコードする核酸配列を選択するための方法を提供する。その設計されたシス
テムはDNAをおおう細胞膜の培養を可能とし、”リガンド受容体親和対の細胞
のリンケージ”(CLAP)が示される。細胞膜を越えてレプリカ可能な遺伝性
ユニットから転移されるDNAは、"膜通過DNA"(mp-DNA)で示され、且つこの
細胞の遺伝的情報の側面は、組替えDNA技術を用いて定義され、構成され、設
計され及び発展させることができる。細胞膜を越えて転移する特異的なDNAの
型は、細胞内部のDNA、遺伝的な情報によって決定される。この細胞内部の遺
伝的情報は組替えDNA技術を用いて定義され、構成され、設計され及び発展さ
せることができ、"転移決定DNA"(td-DNA)で示される。このように好適な実施
態様において、この転移DNAの選択性は、それらが機能性線毛をディスプレイ
できないようにFエピソーム中に変異を持った大腸菌の菌株を用いて達成される
。これは、線毛に融合するように発現するためにリガンド又は受容体をコードし
ている核酸を備えたベクターがそれらに転移される時、修正されたこれらの線毛
だけが大腸菌の表面にディスプレイされることを意味している。
細胞内に転移されるmp-DNAの特異的な型を決定するための特異的なtd-DNAの能
力に基づいて、そのCLAPシステムは、mp-DNAの遺伝性ライブラリーから特異
的なmp-DNAの転位を決定するためのtd-DNAの遺伝性ライブラリーを構成するため
に使用できる。このように、単一の反応において、td-DNAの遺伝性ライブラリー
/ライブラリース及びmp-DNAの遺伝性ライブラリー/ライブラリース且つ遺伝性
ライブラリー/ライブラリースから発現されるタンパク質/ペプチドをコードす
るこれらのライブラリースをコードするレプリカ可能な遺伝性ユニット又は複数
ユニットを混合することが可能となる。個々の細胞内の個々のtd-DNAは、各細胞
内の個々のmp-DNAの転位を決定するであろう。
かくしてtd-DNAとmp-DNAの対応する対は細胞内で結合するであろう。td-DNAと
mp-DNAのそれぞれは、選択マーカーを使って分離され及び単離され、且つその結
果、同じ細胞からtd-DNAとmp-DNAの両方を分離し、分析し、定義、再設計及び再
構築することができる。一つの反応段階において互いに対する二つの遺伝子ライ
ブラリーを選抜することの可能性はリガンド-受容体対を構築する個別のクロー
ンの情報を除外したリガンド-受容体対の選択を許す。該td-DNAはタンパク質又
は各種のサイズのペプチドをコードする遺伝子を構成することができる。特異的
なタンパク質/ペプチドをコードする個々の細胞は、細胞中のtd-DNAによって定
義され且つこのタンパク質又はペプチドは細胞表面上に露出される。これらの露
出したタンパク質とペプチドはmp-DNAとして構成することができ、且つレプリカ
可能な遺伝性ユニットの表面上にディスプレイされる。これらのタンパク質/ペ
プチドは受容体として見ることができ、そして細胞表面上でtd-DNAによってコー
ドされ、露出したリガンド分子と相互作用させ得る。そのような相互作用が生じ
る時、そのリガンド-受容体相互作用は細胞内の受容体DNA(mp-DNA)の通行
を仲介する。
一つの実施態様において、細胞表面上の分子は受容体であり、レプリカ可能な
遺伝性ユニット上の分子はリガンドである。td-DNAはtcDNA-ライブラリーから構
成することができ、mp-DNAは抗体断片遺伝子ライブラリーから構成することがで
き、そしてそこで抗体断片の特異性は異なるタンパク質/ペプチドリガンドに対
し選択することができる。td-DNAは、ビオチン及びビオチン化された化合物に結
合することができるペプチドの一つのタイプをコードするDNAから構成するこ
ともできる。ビオチン−ペプチドの相互作用は、細胞表面上のビオチン化された
化合物を固定化し、これらの固定化された化合物は受容体/リガンドをコードす
るmp-DNAの転位を決定するためのリガンド/受容体として作用させることができ
る。固定化された化合物に親和性を持つ抗体断片は異なる抗体特異性/親和性を
コードする遺伝性ライブラリーから選択することができる。抗体断片から選択さ
れた特異性/親和性をコードするmp-DNAは、次いでビオチン化された化合物に結
合しているビオチン結合ペプチドがディスプレイされる細胞の内側に複製される
。その化合物の修正の別なタイプは、ビオチン結合性ペプチドと、その修正され
た化合物が結合する細胞表面上にディスプレイすることができるペプチドの別な
タイプとの結合に使用することができる。
更なる態様において、本発明はここに記載された方法に使用するためのベクタ
ーを含むキットを提供する。
この態様において、好適なキットは:
(a)野生型表面タンパク質をディスプレイしないように修正された宿主微生
物;
(b)上記表面タンパク質をコードし、且つ宿主細胞内に転移される時、表面
分子とリガンド又は受容体分子が該微生物の表面上に融合及びディスプレイされ
るように発現されるように、リガンド又は受容体分子、又は該リガンド又は受容
体の特異的な結合特性を有するそれらの機能性断片をコードする核酸の挿入のた
めの制限サイトを有するベクター;
(c)結合対がバクテリオファージの表面タンパク質と融合するようにバクテ
リオファージの表面上にディスプレイされて発現されるように、リガンド又は受
容体に結合する対の候補をコードする核酸の挿入のためのサイトを有するバクテ
リオファージ、
とを備えている。
上記の方法は各種の適用において使用することができ、とりわけ:
(1) 例えばゲノム配列、ヒト又は他の組織などに由来するcDNAライ
ブラリー、融合ベクター内部でクローン化され且つ宿主微生物内部に続いて移入
させることができる。このように、ピリンに融合タンパク質として分子を誘導す
るcDNAの発現のために、我々はリガンドの発現体としてこれらの細胞を使用
することができる。次に、ヒト又は他の起源からの免疫された又は無垢のB細胞
に由来する抗体断片をディスプレイするバクテリオファージが形成され且つ分子
を誘導するcDNAを発現する宿主微生物と相互作用させるであろう。その感染
事象が起こり、微生物とバクテリオファージの間に築かれた特異的な受容体−リ
ガンドの相互作用によってのみ、仲介される。各リガンドと受容体対のための遺
伝的情報は次に分離される。
(2)癌患者に由来するcDNAライブラリーと、通常組織に対して選択さ
れた特異なPCRは、上述した通り細菌的にディスプレイさせることができる。
同様の手法において、抗体ライブラリーはバクテリオファージ上にディスプレイ
され、正常患者又は癌患者に由来し、微生物をディスプレイするcDNAと相互
作用させ、感染は特有な受容体−リガンドの相互作用によって再度仲介される。
(3) 遺伝子配列をコードしているアレルゲンに由来のcDNAは、上述
した通り、細菌的にディスプレイさせることができる。同様の手法において、通
常又はアトピーの患者に由来するバクテリオファージ上にディスプレイされる抗
体ライブラリーは、微生物をディスプレイするcDNAと相互作用させ、感染は
特有な受容体−リガンドの相互作用によって再度仲介される。
図面の簡単な説明
図1はCLASP感染を示す概略図である。
図2は大腸菌が運搬するプラスミド(a)JFLO、(b)pTRAPとJ
CFLtraA1及び(c)pTRAPCMVとJCFLtraA1のVCSM
13ヘルパーファージによる感染力を示すグラフである。
図3は特異的なファージストック(抗-CMV)と二つの非-特異的ファージ
ストック(抗-lys と抗-ox)によって大腸菌が運搬するプラスミドpTRAPC
MVとJCFtraA1の感染を示すグラフである。
詳細な説明
定義
ここで使用する「ライブラリー」とは、リガンド又は受容体集団の多数の断片
を意味し、それらの配列をコードするか又は表面上にディスプレイするタンパク
質又はペプチド配列に相当するいずれか一方である。典型的に、ライブラリーは
実存の多数のそのような核酸配列又はペプチドを備えるであろう。実施例のため
に、ライブラリーはフセらの文献(Huse ら,1989,Science,246,1275)によ
って略著された原理に従って構築することができる。
「リガンド」と「受容体」の表現は、分子の対又はそれの機能的な部分に関し
、互いに特異的に結合することができる。そのような特異的なリガンド−受容体
対の実例は:抗体−抗原、ホルモン−ホルモン受容体、成長因子−成長因子受容
体、酵素−基質及びビオチン−アビジンなどである。
「宿主微生物」は、大腸菌又は他のグラム陰性菌、グラム陽性菌のような細菌
、同じく酵母のような真核の起源の単細胞の微生物を含む。
「レプリカ可能な遺伝性ユニット」は、ウイルス及びM13、flとfdのよ
うなバクテリオファージ、細菌も、同じく酵母のような真核の起源の単細胞の微
生物をも含む。
「膜通過DNA(mp-DNA)」は、リガンド又は受容体分子、又はそれの機能的
断片をコードしている核酸配列であり、この核酸は、レプリカ可能な遺伝性ユニ
ット中の冒頭に含まれ、且つディスプレイされるリガンド/受容体対に結合が起
これば、宿主微生物に転移される。
「転位決定DNA(td-DNA)」は、リガンド又は受容体分子、それの機能的断
片をコードする核酸配列であり、この核酸は宿主微生物中に含まれており、且つ
互いに結合したリガンドと受容体分子がディスプレイされる時にレプリカ可能な
遺伝性ユニットからmp-DNAの転移を取り次ぐ配列と結合される。
「表面分子」は、宿主微生物とレプリカ可能な遺伝性ユニットの選択に基づく
であろう。もし宿主微生物が大腸菌であれば、好適な表面分子は、OmpA、リ
ポタンパク質、Lpp、IgAプロテアーゼ、LamB、フィンブリン、鞭毛類
又はピリンの群から選択することができる。ピリンが好適である。レプリカ可能
な遺伝性ユニットの選択に基づいて、該表面分子は、その宿主の感染に、又はD
NA転移に関係をもった何れかの表面分子とすることができる。好適なレプリカ
可能な遺伝性ユニットは、fdとM13のような繊維状バクテリオファージであ
り、これらファージの好適な表面分子は、タンパク質IIIまたはタンパク質VIII
とすることができる。最も好適なものは繊維状バクテリオファージM13のタン
パク質IIIである。
感染され、またはDNAと別に形質転換されている宿主生物の「選択性」とは
、宿主細胞と、互いに感染するであろう受容体−リガンド対が形成されているレ
プリカ可能な遺伝性ユニット対のみであるという事実に基づいている。
感染され又はDNAとは逆に形質転換されている宿主生物は、例えば、アンピ
シリン、テトラサイクリン、又はクロラムフェニコールの如く、異なる抗生物質
耐性のような、DNAの異なるタイプについて、異なる選択マーカーの使用によ
って「分離」することができる。
コード配列の「決定」は、周知の方法に従って通常のDNA(又はRNA)の
マニュアル又は自動シーケンサーによって実施することができる。
「配列をコードする」とは、タンパク質又はRNA又は補足DNA又はそれの
RNA配列に対応するDNA配列を意味することができる。
「タンパク質」に関しては、アミノ酸の何らかの配列、それの何らかのペプチ
ド断片を含む、を意味する。
実施例
以下の実施例は説明のために用意されたもので、本発明の範囲を限定すること
を意図したものではない。当業者であれば、以下の実施例中のそれらの記載から
代替とすることができる通例の手順を承知しているであろう。
実施例1
ベクターの構築
(a)大腸菌の線毛分子、ピリンの情報を搬送するベクター(pTRAPch1R
)が構築される。該ピリンをコードしているtraA遺伝子は使用したプラス
ミドpBF203からの:
5'-TCA CGG AAG CTT TCA TCA GAG GCC AAC GAC GGC CAT AC
3'プライマーとして;及び
5'-GTC GAC CTG CAG ACA GAG TTA TTG ATC ATT TGA TCA AGT TTC
CTG ATT TTT A 5'プライマーとして
PCRによって増幅される。
増幅された断片は制限酵素Hind III/PstIにより切断されて、精製され且つプ
ラスミドpAM18chIRのHind III/PstIサイト内に挿入される。その新規
なベクターはpTRAPchlRと称し、且つtraA遺伝子中に点変異を有す
るJCFLtraA1と称されるFエピトーマ(Achtman ら,J.Bacteriol.,1
06,529-538,(1971)を参照)とともに共-形質転換される時に機能的な線毛が形
成される。変異したエピソームは、感染手続のために必要とされるtraA
以外の全ての遺伝子を含有し、該traAはピリン分子を作り上げる責任をもっ
ている。
pAM18chIRベクターは pUC18 からの Hae II LacZ α ペプチド断片を
分離することによって構築され、SIヌクレアーゼで補修し、pACYC 184 の”補充
された”Hind III/BamH Iサイトに結合される。
(b)ベクター(pTRAPV3chlR)が、HIV-1のV3ループ(V3はHIV-1(LA
1)のgp120の可変的なループ)の部分をコードする核酸配列の付加物と共に、ピ
リン分子をコードする核酸が包含され構築される。V3ループをコードする核酸は
、それがピリン分子終端のC-末端で発現されるであろうように調整される。こ
れは、上述したような 5'プライマー、及び次の 3'プライマー:5'-TCA CGG AAG
CTT TCA TCA AAC GAA AGC ACG ACC CGG ACC ACG CTG GAT ACG GAT AGA TTT ACG
GAG GCC ACC GAC GGC CAT AC,V3ループの15アミノ酸をコードするための45塩
基を含む、と共に、プラスミド pBF203 からのtraA遺伝子のPCR増幅を経て達
成される。この増幅された断片は、上述した通り、pAM18chlR中に挿入
される。このベクターはpTRAPV3chlRと称する。
(c)ベクター(pTRAPCMVchlR)は、CMV(サイトメガロウイル
ス)のgBタンパク質の部分の配列の付加物と共にピリン分子をコードする核酸
を搬入して構築される。そのgB断片をコードする核酸は、ピリン分子のC-末
端の終端で発現されるであろうように調整される。これは上述したような 5'プ
ライマー、及び次の 3'プライマー:5'-TCA CGG AAG CTT TCA TCA TCC GTA CTT
GAG GGT AGT GTT GTA GAT AGT CTC GTT GGC GAG GCC AAC GAC GGC CAT AC,gB
タンパク質の13アミノ酸をコードするための39塩基を含む、と共に、プラスミド
pBF203 からのtraA遺伝子のPCR増幅を経て達成される。この増幅された断片
は、上述した通り、pAM18chlR中に挿入される。このベクターはpTR
APCMVchlRと称する。
実施例2
ベクターの構築
抗原断片をコードする核酸を含むベクターの構築。
(a)大腸菌の線毛分子、ピリンの情報を搬送するベクター(pTRAPtetR
)が構築される。該ピリンをコードしているtraA遺伝子は使用したベクタ
ーpTRAPchlR(実施例1)からの:
5'-TCA CGG CCA TGG ATG CCG GCC ACG ATG CGT CCG
3'プライマーとして;及び
5'-GTC CAC CCA TGG CTC ATG TTT GAC AGC TTA TCA TC
5'プライマーとして
PCRによって増幅される。
増幅された断片は制限酵素NcoIにより切断されて、精製され且つプラスミ
ドpACYC184△HindIIIの NcoIサイト内に挿入される。その
新規なベクターはpTRAPtetRと称し、且つその機能を廃止するためtr
aA遺伝子内に挿入されるCATカセットを有するpOX38A::CATと称
されるFエピソームとともに共-形質転換されるならば、機能的な線毛を形成す
ることが可能である。
pACYC184△HindIIIはHindIIIでプラスミドpACYC
184を切断し、クレノー酵素で処理し且つ唯一のHindIIIサイトを廃止
するために再結合することによって構築される。
(b)ベクター(pTRAPV3chlR)は、ピリン分子の終わりのC-末端中
で発現するよう構築されたHIV-1のV3ループ(V3はHIV-1(LA1)のgp120の可変的な
ループ)の部分をコードする核酸配列の付加物と共に、ピリン分子の情報を搬送
するように構築される。これは、traA遺伝子と、実施例2(a)中に開示さ
れたプライマーと共に、ベクターpTRAPV3chlRからのV3ペプチド-コ
ード化配列のPCR増幅を経て達成される。この増幅された断片は上述したよう
に、pACYC184△HindIII中に挿入される。このベクターはpTR
APV3tetRと称する。
(c)ベクター(pAM18tetR)は、ピリン分子の終わりのC-末端におい
て発現するように構築された、CMV(サイトメガロウイルス)のgBタンパク
質の部分の配列の付加物と共にピリン分子の情報を搬送するように構築される。
これは、実施例2(a)中に開示されたプライマーと共に、traA遺伝子とベ
クターpTRAPCMVchlRからのCMVペプチドコード化配列のPCR増
幅を経て達成される。この増幅された断片は、上述した通り、pACYC184
△HindIII中に挿入される。このベクターはpTRAPCMVtetRと
称する。
(d)ベクター(PAM18tetR)は、実施例2a中に記載された通りのプ
ライマーを用い、lacZαペプチド断片を含む、pAM18chlRからのp
UC-挿入のPCR増幅によって構築される。この増幅された断片は、上述した
通り、pACYC184△HindIII中に挿入される。このベクターはpA
M18tetRと称する。
大腸菌TG1株がその遺伝性構築のために用いられる。
実施例3
抗体断片をディスプレイする繊維状バクテリオファージの構築
繊維状バクテリオファージVCSM13(ヘルパーファージ)はストラタジー
ン(Stratagene)から得られる。
HIVのV3ループに対するFabを発現するM13ファージ(抗-V3)、
フェニル-オキサゾロンに対するFab(抗-ox)、雌鳥卵リゾチームに対する
Fab(抗-lys)及びCMVのgBに対するscFv(抗-CMV)はそれぞれ
、次の通り調製される:XL1 Blue 大腸菌株の細胞は、抗-V3、抗-ox及び抗-
lysのそれぞれのVHとVL配列を搬送するベクターpEXmide III(So
derlind ら,1993,Bio/Technology 11,503-507)、又は抗-CMVのVH及び
VL配列を搬送するベクターpEXmide 4(Ohlin,M.,Owman,H.,Hach,M
と Borrebaeck,C.A.K.,1996,"Light chain shuffling of a high affinity a
ntibody results in a drift in epitope recognition",Mol.Immunol.,33,47
-56(1996))と共に形質転換(Hanahan,1983,J.Mol.Biol.166,557-580 に
従い)され、そしてアンピシリン、テトラサイクリンとグルコース含有LB培地
中、37℃で一晩増殖される。その細菌は再接種され且つ0.5のOD(600nm)
まで培養され、LBで洗浄されアンピシリンとテトラサイクリンを含むLB中に
再懸濁させ、次いで20ファージ/細胞の割合でVSCM13を重感染させる。
37℃で1時間培養後、カナマイシンが添加され、そして培養が一晩継続される
。ファージ含有重感染物は8000rpmで10分間の遠心分離によって回収される。
得られたファージはタンパク質III(pIII)のN-末端に重鎖定常ドメインによっ
て結合された抗体Fab断片又はpIIIのN-末端に軽鎖可変ドメインによって結
合された抗体scFv断片を運ぶ。
実施例4
感染アッセイ
大腸菌細胞の上述した遺伝性構築物の3つのタイプの機能を証明するために確
立される;(a)大腸菌JC3272株、変異されてないFエピトープ(JCF
LO)を含有、(b)大腸菌ED2601株、traA遺伝子中で変異したFエ
ピトープ(JCFLtraA1)を含み、pTRAPベクターで形質転換された
、及び(C)大腸菌ED2601株、traA遺伝子中で変異したFエピトープ
(JCFLtraA1)を含み、pTRAPCMVベクターで形質転換された。
大腸菌の各タイプの機能は、機能的なF線毛の発現能力を経て評価され、そして
繊維状バクテリオファージに感染される。
感染アッセイは大腸菌の100μlと共にファージ貯蔵品10μlを室温で4
5分間保持して実行され、適当な抗生物質(ヘルパーファージ用のカナマイシン
と特異的なファージ用のアンピシリン、及びpTRAP構成物用のクロラムフェ
ニコール)を入れたLB寒天プレート上での平板培養によって続行される。37
℃で一晩培養した後、プレート毎の、ユニット形成コロニー、cfuの数が計数
される。
その結果を図2と3に示す。図2(a)は大腸菌が含有する、JCFLO、感
染するFエピソームの表面上のpIIIのVCS M13発現の野生型を示す。2(
b)においてtraA遺伝子中で変異したFエピトープ、JCFLtraA1を
含有し、且つpTRAPベクターと共-形質転換された大腸菌はVCS M13に
よって感染される。この構造は、野生型VCS 13ファージの感染を完全に阻
止した図2(c)中のpTRAPCMVとの共-形質転換であるのに、機能的F
線毛の形成に通じる。このように、図2(a)と(b)の比較は、本発明の構
造物(図2(b))を用いて得られたcfuの数値がwt状態(図2(a))に
匹敵することを示す。
図3は感染の特異性を示す。変異したFエピトープ、JCFLtraA1を含
有し、pTRAPCMVと共-形質転換され、CMVのgBの13アミノ酸ペプ
チドを搬ぶ線毛を形成する。抗-oxと抗-lys含有ファージ、発現した抗-フェニ
ルオキサゾロン又はpIII表面に連結された抗-リゾチーム抗体断片は特異性の欠
如のために線毛上のCMVのgBを運ぶ宿主に感染しない。抗原特異的感染はピ
リン分子上のgBの13アミノ酸ペプチドにより仲介され、>700cfu/プ
レートを与える抗-CMVファージによって明確に表される。このように、大腸
菌内部のgBペプチド(リガンド)と抗-CMV scFv(受容体)をコードす
る二つのプラスミドは細胞膜の境界によって物理的に結合される。
上述した参考文献は参考として全て合併される。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】1997年9月19日
【補正内容】
請求の範囲
1. 互いに特異的に結合することが可能なリガンドと受容体をコードする核酸
配列を選択するための方法であり、該方法は:
(a)宿主微生物がその表面上に融合及びディスプレイするよう表面分子とリ
ガンド又は受容体分子を発現させるように、リガンド又は受容体分子をコードす
る核酸、又は該リガンド又は受容体の特異的な結合特性を有するそれらの機能的
断片に連結される表面分子をコードする核酸を宿主微生物中に発現させること、
ここで該宿主微生物はリガンド又は受容体分子と共に融合する以外の表面分子を
ディスプレイすることがないように修正される;
(b)工程(a)の修正された宿主微生物と、リガンド又は受容体分子、又は
特異的に結合するための能力を維持するそれの機能的断片をコードする核酸の発
現を可能とする1つまたはそれ以上のレプリカ可能な遺伝性ユニットとを接触さ
せること、該リガンド又は受容体分子は、工程(a)の宿主微生物によってディ
スプレイされた該分子に特異的に結合するための候補であり、且つレプリカ可能
な遺伝性ユニットの表面タンパク質と融合するように発現されている、上記表面
タンパク質は宿主微生物の感染を仲介する能力を有し、そこで表面にディスプレ
イされたリガンドと受容体分子は該レプリカ可能な遺伝性ユニットから該微生物
にリガンド又は受容体をコードする核酸の転移を仲介する;及び
(c)該リガンド及び受容体分子をコードする核酸配列、又はそれの機能的断
片を含有する宿主微生物を選択すること、
を備えていることを特徴とする方法。
2. 付加的な工程:
(d)該リガンド又は受容体分子をコードしている核酸配列を分離すること、
を備えていることを特徴とする請求項1記載の方法。
3. 上記リガンド又は受容体をコードする核酸配列が選択マーカーを結び付け
ることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
4. 上記リガンド又は受容体分子のための特異的な結合対の候補をディスプレ
イするレプリカ可能な遺伝性ユニットのライブラリーに対する異なるリガンド又
は受容体をディスプレイする微生物のライブラリーをスクリーンするために用い
ることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の方法。
5. 上記工程(a)の配列をコードする表面分子が配列をコードする受容体、
又はそれの機能的断片と結合され、且つ上記工程(b)の配列をコードする表面
分子が配列をコードするリガンド、又はそれの機能的断片に融合されることを特
徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の方法。
6. 上記宿主微生物が細菌のディスプレイベクターによってリガンド又は受容
体をディスプレイするように修正されたことを特徴とする請求項1から5のいず
れか1項記載の方法。
7. 上記宿主微生物が細菌の大腸菌であることを特徴とする請求項1から6の
いずれか1項記載の方法。
8. 宿主生物の表面分子が、OmpA、IgAプロテアーゼ又はピリンの群か
ら選択されることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の方法。
9. 上記表面分子がピリンであることを特徴とする請求項8記載の方法。
10. 上記レプリカ可能な遺伝性ユニットがファージディスプレイベクターで
あることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項記載の方法。
11. 上記ファージディスプレイベクターが繊維状バクテリオファージである
ことを特徴とする請求項10記載の方法。
12. 上記繊維状バクテリオファージがfd、fl又はM13であることを特
徴とする請求項11記載の方法。
13. 上記レプリカ可能な遺伝性ユニットの表面分子がpIIIであることを
特徴とする請求項1から12のいずれか1項記載の方法。
14. 上記リガンドが抗原であり且つ受容体が抗体であることを特徴とする請
求項1から13のいずれか1項記載の方法。
15. 互いに特異的な結合が可能なリガンドと受容体をコードする核酸配列を
選択するための方法に使用するキットであり、
(a)野生型表面タンパク質をディスプレイしないように修正された宿主微生
物;
(b)上記表面タンパク質をコードし、且つ宿主細胞内に転移される時、表面
分子とリガンド又は受容体分子が該微生物の表面上に融合及びディスプレイされ
るように、リガンド又は受容体分子をコードする核酸、又は該リガンド又は受容
体の特異的な結合特性を有するそれらの機能性断片の挿入のための制限サイトを
有するベクター;
(c)結合対がバクテリオファージの表面タンパク質と融合するようにバクテ
リオファージの表面上にディスプレイされるように、リガンド又は受容体に結合
する対の候補の挿入のためのサイトを有するバクテリオファージ、上記表面タン
パク質は宿主微生物の感染を仲介する能力を有する、とを備えたことを特徴とす
るキット。
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フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S
Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD
,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ
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