【発明の詳細な説明】
組成物
本発明は組成物(compositions of matter)に関するものであり、さらに詳述す
るならば、インキジェットプリント法で用いるのに適したインキ組成物、及び前
記方法における前記インキ組成物の使用に関するものである。
インキジェットプリント法はよく知られており、例えばピーターグレゴリー(
Peter Gregory)著“High-Technology Applications of Organic Colorant
s”の第9章(プレナム出版(Plenum Press))に記載がある。
通常、インキジェットプリントには、インキの小滴を支持体(紙またはプラス
チック)上に吹き付けて像を造ることが含まれる。使用するインキは水性でも非
水性でも構わないが、よく使われるタイプのインキは、水溶性染料、及びジエチ
レングリコールまたはN-メチルピロリドンのような水溶性の有機溶媒を含有す
る水性媒質を含む。これらの有機溶媒はいくつかの役割を果たしている。特にこ
れらは保湿剤として作用し、さらに水の蒸発を最小限に抑えることによって、イ
ンキジェットノズルを閉塞させる可能性がある染料の結晶化または固化を防ぐ。
またこれら有機溶媒は、インキの粘性及び表面張力を調整するのを助け、染料の
溶解性を向上させ得ることから、より安定したインキの供給が可能となる。
これまでに提案されてきたインキは、全ての点において十分満足すべきもので
はなかったが、水溶性有機染料のある種の混合物を混入することにより、特性の
改良されたインキが入手可能になることが見出された。特に以下に定義するイン
キを用いることにより、乾燥時間及び耐湿潤堅牢度(wet fastness)が改良され、
また光学濃度も高められたプリントが得られることが見出された。さらに黒色染
料を用いることにより、得られたプリントにはブロンジングがほとんど、または
全く見られない。
このように、本発明により、
(1)水溶性染料を少なくとも一種;
(2)式(1):
(式中mは、3から5の整数、Xは-O-または-N(R)-で表され、ここでのRは
水素、アルキルまたは置換アルキルである)
の環状エステルまたはアミドを少なくとも一種;
(3)少なくとも4個のヒドロキシ基を有するポリヒドロキシ化合物、任意に置
換されたシクロアルカノール、シクロヘキサンジメタノール、ベンジルアルコー
ル、ベンゼンジメタノール、フェノール及びポリヒドロキシベンゼンから選ばれ
たヒドロキシ化合物を少なくとも一種;さらに
(4)アルカンジオール、アルカントリオール、エーテルグリコール及びチオエ
ーテルグリコールから選ばれた水溶性有機溶媒を少なくとも一種含有する水性媒
質を含むインキ組成物が提供される。
式(1)の環状アミドにおいて、Rで表すことのできるアルキル及び置換アルキ
ル基の例としては、C1-6-アルキル基及び置換C1-6-アルキル基、例えばヒドロ
キシ置換C1-6-アルキル基が挙げられる。
本発明のインキ組成物中に存在可能な環状エステルまたはアミドの具体例とし
ては、ε-カプロラクトン、γ-ブチロラクトン、ε-カプロラクタム、δ-バレロ
ラクタム、N-メチルカプロラクタム、2-ピロリドン及びN-(2-ヒドロキシエ
チル)-2-ピロリドンが挙げられる。
本組成物中に存在可能な、少なくとも4個のヒドロキシ基を有するポリヒドロ
キシ化合物には、グルコース、及びペンタエリトリトール、ソルビトール、メソ
-イノシトールのようなポリヒドロキシアルカンが含まれる。
本発明のインキ中に混入可能な任意に置換されたシクロアルカノールは、4-8
個の環状炭素原子を含むのが適当で、これらは、水溶性を許容水準より低下させ
ることがないような種の置換基を任意に有していてもよい。好ましいシクロアル
カノールには、シクロペンタノール、及び式(2):
(式中R1及びR2の各々は、独立して水素、低級アルキル、特にC1-4-アルキル
、低級アルコキシ、特にC1-4-アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、カル
ボキシ及びスルホから選ばれる)
の任意に置換されたシクロヘキサノールが含まれる。最も好ましいシクロアルカ
ノールはシクロヘキサノールである。
使用可能なアルカンジオールには、既に水性インキ中に加えるとよいとされて
いるもの、例えばプロピレングリコール、及び式(3):
(式中nは2から6の整数)
のジオール、例えばエチレングリコール及びペンタン-1,5-ジオールが含まれる
。
インキ中に混入可能なアルカントリオールには、グリセロール及び1,2,6-ヘキ
サントリオールがある。
混入可能なエーテルグリコールの例には、ジエチレングリコール、トリエチレ
ングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール及びトリプ
ロピレングリコールが含まれる。適当なチオエーテルグリコールには、チオジグ
リコールが含まれる。
通常本発明のインキ組成物には、インキ組成物の総重量を基にして、先に成分
(2)とした環状エステルまたはアミド、例えばカプロラクトンまたはカプロラク
タムがその0.01-20重量%、好ましくは1-10重量%、さらに好ましくは2-5重量%
含まれる。インキ組成物の総重量を基にして、先に成分(3)としたヒドロキシ化
合物、例えばシクロヘキサノールは、通常その0.1-5重量%、好ましくは0.1-3重
量%、より好ましくは0.5-3重量%、特に好ましくは0.5-2重量%含まれ、さらに
先に成分(4)とした水溶性有機溶媒、例えば1,5-ペンタンジオールは、通常その1
-20重量%、好ましくは2-10重量%含まれている。
本発明のインキ中に含有可能な水溶性染料には、特に陰イオン染料が含まれて
おり、それらの水溶性は、スルホネート基及び/またはカルボキシレート基及び/
またはチオカルボキシレート基が数多くの存在することに起因している。多くの
染料はその構造上、カルボキシレート基及び/またはチオカルボキシレート基の
数が、少なくともスルホネート基の数と同数であるのが望ましい。適当な染料の
大半は、アゾ系染料、特にジスアゾ(disazo)系染料またはフタロシアニン系染
料に属している。
本発明のインキ中への使用に特に適した染料の例としては、以下の種類の染料
が挙げられる:
(1)式(4)のアゾ化合物及びそれらの塩:
式中
WはCOOH;
XaはH、COOH、SO3H、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-6-アル
キル、C1-6-アルコキシまたはC1-6-アシルアミノ;
YはH、COOHまたはSO3H;
ZはH、COOHまたはSO3H;
Ra及びR1は、それぞれが独立してH、または0、1または2個の-COOR2基
で置換されたC1-6-アルキル;
R2XはHまたはC1-6-アルキルで、
少なくとも2個のCOOH基があり、そのCOOH基の数がSO3H基の数と同
数またはそれより多い。
式(4)の染料は、我々のEP-A-0356080により詳細に記載されている。
(2)式(5)のアゾ化合物及びそれらの塩:
式中
Ar及びAr1は、それぞれが独立してアリールまたは置換アリールで、そのAr及
びAr1の少なくとも一つは、COOH及びCOSHから選んだ少なくとも1個の
置換基を有しており;
J及びJ1は、それぞれが独立して式(5a)、(5b)または(5c):
各R5は、独立してH、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、ハロゲン、CN
、ウレイド及びNHCOR6から選ばれ;
R6はH、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アラルキルまた
は置換アラルキル;
各Tは、独立してアルキル;
各Waは、独立してH、CN、CONR10R11、ピリジニウム及びCOOHから
選ばれ;
各Mは、炭素原子が2から8個のアルキレン鎖;
BはH、アルキルまたはCOOH;
R1a、R2b、R3、R4、R10及びR11は、それぞれが独立してH、アルキルまた
は置換アルキル;
Lは二価の有機結合基(linking group);
naは0または1;
各X1は、独立してカルボニルまたは式(5d)、(5e)または(5f)の基;
ZaはOR7、SR7またはNR8R9;
YaはH、Cl、CNまたはZa;
EはClまたはCN;
R7、R8及びR9は、それぞれが独立してH、アルケニル、置換アルケニル、ア
ルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アラルキルまたは置換アラル
キルであるか、あるいはR8及びR9は、それらが結合している窒素原子と一緒に
なって5または6員環を形成しており;
(i)式(5)の化合物に-SO3H基がない場合、その化合物は-COOH及び-COS
Hから選んだ基を少なくとも2個有しており;さらに、(ii)式(5)の化合物は、-
COOH及び-COSHから選んだ基を、少なくとも-SO3H基と同数有してい
る。
式(5)の染料は、我々のEP-A-0468647により詳細に記載されている。
(3)式(6)のアゾ化合物及びそれらの塩:
Ar及びAr1は先に定義したとおり;
各R1b及びR2bは、独立してH、アルキル、置換アルキル、アルケニルまたは置
換アルケニル;
Lは二価の有機結合基;
nは先に定義したとおり;
各X2は、独立してカルボニルまたは式(6a)、(6b)または(6c)の基:
各Z1は、独立してNR3aR4a、SR5aまたはOR5a;
各Yは、独立してH、Cl、Z1、SR6aまたはOR6a;
各Eは、独立してClまたはCN;
R3a、R4a、R5a及びR6aは、それぞれが独立してH、アルキル、置換アルキル
、アルケニル、置換アルケニル、アリール、置換アリール、アラルキル、または
置換アラルキルであるか、あるいはR3a及びR4aは、それらが結合している窒素
原子と一緒になって5または6員環を形成しており;
式(6)の化合物は、-COOH及び-COSHから選んだ基を、少なくとも-SO3
H基と同数有している。
式(6)の染料は、我々のEP-A-0468648により詳細に記載されている。
(4)式(7)のアゾ化合物及びそれらの塩:
式中
Aは任意に置換されたフェニルまたはナフチル基;
Z2はH、CO2H、SO3HまたはSO2NH2;
T1はHまたはSO3H;
R1cはHまたは任意に置換されたアルキル;
VはH、CO2H、SO3H、CH3またはClで;
式(7)の化合物は、少なくともSO3H基と同数のCO2H基を有している。
式(7)の染料は、我々のEP-A-0572419により詳細に記載されている。
(5)式(8)のアゾ化合物及びそれらの塩:
式中
J2は先に定義したとおり;
Ar2及びAr3は、それぞれが独立して少なくとも2個のカルボキシ基を含むアリ
ール;及び
L1は式(8b)または(8c)の基で:
式中
T1a及びT2は、それぞれが独立してC1-4-アルキル、C1-4-アルコキシまたは
C3-4-アルケニル;
T3及びT4は、それぞれが独立してH、C1-4-アルキル、C1-4-アルコキシまた
はC3-4-アルケニルで、但しT3とT4とが共にHであることはなく;
各X3は、独立して式(8d)、(8e)または(8f)の基で:
各Z3は独立してH、ハロゲン、アルキル、NR3aR4a、R5aまたはOR5a;
各Ybは、独立してZ、SR6aまたはOR6a;
各Eは、独立して先に定義したとおりであり;さらに
R3a、R4a、R5a及びR6aは、それぞれが独立して先に定義したとおりである。
(6)式(9)のアゾ化合物及びそれらの塩:
式中
T5及びT6は、それぞれが独立してH、アシル、または任意に置換されたアルキ
ルまたはアリールであるか;または
T5及びT6は一緒になって、任意に置換され、酸素によって任意に中断されたハ
イドロカルビレン(hydrocarbylene)を表しており;
Dは任意に置換されたフェニレンまたはナフチレン;
Eaは任意に置換されたナフチレンまたはキノリニレン(quinolinylene);
Z4はHまたは任意に置換されたアリールで;さらに
nは先に定義したとおりであり;
但しnが0の時、T5、T6及びZはその全てがHであることはない。
(7)式(10)のアゾ化合物及びそれらの塩:
式中
L2は任意に置換されたピペラジニル;
Dは先に定義したとおり;
E1は任意に置換されたフェニレン、ナフチレンまたはキノリニレン;
Z5は任意に置換されたカルボキシアリール;さらに
nは先に定義したとおりである。
(8)式(11)のアゾ化合物及びそれらの塩:
式中
L2は先に定義したとおり;
Dは先に定義したとおり;
E1は先に定義したとおり;
R12はHまたはC1-4-アルキル;
nは先に定義したとおり;さらに
Z6はH、水に可溶化させる基を含まないアルキル、または水に可溶化させる基
を含まないアリールである。
(9)式(12)のアゾ化合物及びそれらの塩:
式中
Aは先に定義したとおり;
T5aはHまたはスルホ;
R13は任意に置換されたアルコキシ、任意に置換されたアルキル、アシルアミノ
またはNR16R17;
R14は任意に置換されたアルコキシ、任意に置換されたアルキルチオ、任意に置
換されたアルキル、アシルチオ、Cl、H、CO2H、SO3H、またはNRl6R17
;
R15、R16及びR17はそれぞれが独立して、Hまたは任意に置換されたアルキル
であり、さらに
B1はH、1または2個のカルボキシ置換基を有するフェニル基、任意に置換さ
れたアルキル、または任意に置換されたアリールである。
(10)式(13)のフタロシアニン化合物及びそれらの塩:
式中
Pcは金属含有フタロシアニン核;
R20、R21及びR22は、それぞれが独立してH、アルキル、置換アルキル、アル
ケニル、置換アルケニル、アラルキルまたは置換アラルキル;
Lは二価の有機結合基;
各Xbは、独立してカルボニルまたは式(5d)、(5e)または(5f)の基;
GはCOSHまたはCOOHから選ばれた基の1または2個で置換された無色の
有機ラジカル;さらに
(t+q)は合わせて3から4、
式(13)の染料は、我々のEP-A-0468649により詳細に記載されている。
(11)式(13A)のフタロシアニン化合物及びそれらの塩:
式中
L3は金属陽イオンまたは水素;
Pcaは3価から4価の(a valency from3to4)フタロシアニンラジカル;
R20は先に定義したとおり;
R23はH、アルキル、アルコキシ、ハロまたは任意に置換されたアミノ基;
M+はNH4 +または置換されたアンモニウム陽イオン;さらに
(t+q)は(3と4も含めて)3から4まで;
但し式(13A)の2-、3-、5-または6-位にはCO2 -M+基がある。
式(13A)の染料は、我々のEP-A-0559309により詳細に記載されている。
本発明のインキは、そのインキの総重量を基にして、水溶性染料を0.2-20重量
%、好ましくは0.5-10重量%、より好ましくは1-5重量%有するのが適当である
。その染料は、水性媒体中に完全に溶けた溶液を形成するのが望ましい。
また本発明のインキ組成物は、尿素を含むのが好都合の場合もある。
本発明のインキは、染料を紙の支持体に染み込み易くさせるための浸透剤、熱
インキジェットプリンターのレジスター表面に残渣(コガ、koga)ができるのを
防止または減少させるためのコゲーション(kogation)減少剤、及びホウ酸ナトリ
ウムのようにインキのpHを安定させるための緩衝剤を、一種または二種以上さ
らに含むのが好ましい。
コゲーション減少剤には、EP-425150Aに記載されているようなオキソ陰イオ
ンが好ましい。このオキソ陰イオンは、C2O4 2-、SO3 2-、SO4 2-、モリブデ
ート、AsO4 3-でもよいが、リン酸エステルまたはジオルガノホスフェートがよ
り好ましく、特に好ましいのはリン酸塩で、これはコゲーションを減少させるの
に顕著な効果がある。
リン酸塩の例としては、第二リン酸塩(HPO4 2-)、第一リン酸塩(H2PO4 -)
及びポリリン酸塩(P2O7 4-)を挙げることができる。どのような対イオンを選択
するかはあまり重要とは考えられておらず、この例として、アルカリ金属、アン
モニウム及びアルキルアンモニウム陽イオンが挙げられる。
このコゲーション減少剤は、オキソ陰イオンを基にしてインキ中に0.001-15%
の濃度で存在するのが好ましく、0.01-1%(重量%)がより好ましい。
さらに本発明をもう一つの側面から見るならば、それは、先に定義したとおり
のインキ組成物で支持体をプリントする方法を提供している。
先に定義したとおりのインキを用いる際の適当な方法には、インキを小さなオ
リフィスを通してリザーバー(reservoir)から噴出すること(ejection)により小
滴とし、そうすることでそのインキの小滴を支持体に当てることが含まれる。こ
の方法は一般にインキジェットプリントと呼ばれるもので、本発明のインキを用
いる際のインキジェットプリント法は、圧電インキジェットプリント法が好まし
く、熱インキジェットプリント法が特に好ましい。熱インキジェットプリントで
は、支持体とリザーバーとの間に相対運動が起きている間、オリフィスに隣接し
たレジスターによってプログラムされた熱のパルスがインキに当てられる。
好ましい支持体は、オーバーヘッドプロジェクター(overhead projector)のス
ライドまたはセルロース系支持体であり、特に普通紙が好ましいが、それらは酸
性、アルカリ性または中性のいずれであってもよい。
本発明をさらにもう一つの側面から見れば、本発明によるインキ組成物でプリ
ントされた紙またはオーバーヘッドプロジェクターのスライドが提供される。
本明細書に記載した着色剤及びインキは、インキジェットプリンターで用いる
際、様々な色と濃淡の度合いでプリントできるプリンターを得るために、他の着
色剤及びインキと混合して用いてもよいし、他の着色剤及びインキとは別に用い
てもよい。他の適当な着色剤及びインキについては、従来の技術文献において十
分に記載されている。
本発明を以下の実施例によってさらに説明するが、そこでは特に指示がない限
り、全ての部及び百分率は重量によるものである。実施例1-5
以下の表に載せたインキ配合物は、ガラス瓶中で調製し、そのpH値は濃アン
モニアを加えることでそれぞれ9.5±0.1に調節した。さらにそれらの瓶を顕微鏡
で溶解したかどうかをチェックしながら、2-3時間超音波浴中で保持した。さら
にペンカートリッジへの装填に先立ち、インキを減圧下、孔のサイズが0.45ミク
ロンの隔膜フィルターに通して篩分けした。カートリッジへの装填は、HP500
Cインキジェットプリンターを用いて、コピー用紙及び接着紙にプリントする前
に、減圧下で行った。
インキ配合物は、以下のインキ賦形剤:
1. ジエチレングリコール 5部
カプロラクトン 2部
シクロヘキサノール 1部
水 92部
2. ペンタン-1,5-ジオール 5部
カプロラクトン 2部
シクロヘキサノール 1部
水 92部
3. ペンタン-1,5-ジオール 5部
尿素 4部
カプロラクトン 5部
シクロヘキサノール 1部
水 85部
4. ジエチレングリコール 5部
カプロラクトン 3部
シクロヘキサノール 2部
水 90部
5. ジエチレングリコール 5部
2-ピロリドン 5部
シクロヘキサノール 2部
水 88部
中に、式(14):
で表される黒色染料の2%溶液を含めた。
得られたプリントを、光学濃度、耐湿潤堅牢度、ランダウン(乾燥時間)及び
ブロンジングに関して評価した。
耐湿潤堅牢度試験において、試験プリントは4枚の正方形含む。前以て目盛
りを定めたサクラ(Sakura)のデンシトメーター(densitometer)、及び試験下
での色の補正フィルターを用い、4枚の各正方形の反射光学濃度(ROD)を測
定する。4枚の正方形のROD平均値を算出する。さらにそのプリントを脱イオ
ン水(pH5.5±1.0、温度22±2℃)に浸漬し、電磁撹拌機を用いて5分間ゆっ
くり撹拌する。プリントを水から取り出し、吸湿紙の上に置いて乾燥させる(室
温下、約2時間)。乾燥したら、4枚の各正方形のRODを再び測定し、その平
均値を算出する。
耐水堅牢度(water fastness;wf)は以下のように表される:
ランダウン試験では、平行線の試験プリントを支持体に対して45°の角度で取
り付け、その平行線が水平となるようにする。ミクロピペットを用い、その平行
線の頂点より僅かに上の位置でプリント上に蒸留水(pH5.5±1.0、温度22±2℃
)250T1をゆっくりとかける。ランダウンが可能な限り垂直に近づくよう注意を
払う。試験は、インキの乾燥時間に関して最も有意な情報を得るために、適切で
あると考えられる時間の間隔を空けて行ってもよい(標準的な試験では、その時
間の間隔を5、15、30、60分及び24時間として行う)。ランダウンは、1-10のグ
レースケール(grey scale)と比較し、目で見て評価を行う。ここでのレベル10は
ウォッシュオフ(wash-off)が全くないことを示し、レベル1は著しいウォッシュ
オフを示す。
ブロンジングは目で見て評価する。
実施例1-5のとインキ配合物は、以下の結果を与えた。
*米国ニューヨーク州、14580、ウェブスター、フィリップスロード800、
ゼロックスコーポレーション製
**米国カルフォルニア州、サンジエゴ、Hewlett Packard製比較実施例1-4
インキ配合物は、以下の賦形剤:
1. 2-ピロリドン 10部
水 90部
2. ジエチレングリコール 8部
水 92部
3. ジエチレングリコール 6部
シクロヘキサノール 2部
水 92部
4. ジエチレングリコール 4部
カプロラクタム 4部
水 92部
を用いること以外、実施例1-5と全く同様に調製した。
得られたプリントを、実施例1-5と同様にして評価し、以下の結果を得た。
表1及び2を比較すると、実施例1-5のインキ配合物から得られたプリントは
、光学濃度、耐湿潤堅牢度及びブロンジングに関して、比較実施例1-4のプリン
トのそれよりも一般的に優れていることが分かる。また実施例1-5の配合物は、
比較実施例1-4の配合物よりも鮮明で、はるかにきめの細かい(textured)プリン
トを与えたことも観察された。実施例6
式(14)の染料(1.25g)を脱イオン水(44.75cm3)に溶かし、0.88Mのアンモ
ニア溶液を加えることによってpH=9.5とした。ジエチレングリコール(3cm3
)、カプロラクトン(0.5cm3)及びシクロヘキサノール(0.5cm3)を加え、超音
波浴中で完全に混合させた。このインキ溶液を濾過してインキカートリッジ
に装填し、HP500インキジェットプリンターを用いてプリントした。プリント特性
:
プリントの光学濃度は極めて良好、ROD=1.35(X-ライト(X-rite)938デン
シトメーターを用いて測定)、
耐湿潤堅牢度=100%(浸漬試験)、
耐湿潤堅牢度(ランダウン=ランダムスケール1-10で24時間後に10、10はランダ
ウンが見られなかったことを意味する)、
耐光堅牢度良好、
ブロンジングなし、
プリント特性極めて良好、
クラスティング(crusting)なし、
即時に再始動(immediate restart)。実施例7
式(14A):
の染料及び式(14)の染料(0.375g)を水(40g)に溶かし、0.88MのNH3(数滴
)を加えてpHを9.5に調節した。チオジグリコール(4.5g)、2-ピロリドン(4
.5g)及びシクログリコール(1g)を加え、そのインキを室温で撹拌した。さら
にインキを濾過して空のインキジェットカートリッジの装填し、普通紙(plain
paper)(通常、Arjo Wiggins Appleton PLC(英国)から入手可能なXer
ox Acid 4024、Gilbert Bond and Wiggins Conqueror)の上にプリントし
た。
これにより、極めて優れたプリント、光学濃度ROD=1.3、ブロンジングな
し、プリント特性極めて良好、クラスティングなし、即時に再始動可能という結
果が得られた。実施例8
実施例6の方法で、式(14)の染料の代わりに式(15)の染料を用い、インキを調
製した:
染料 1.25g
グリコール 4.5 g
2-ピロリドン 4.5 g
シクロヘキサノール 1.0 g
水 38.75g
インキのpH=9.5(0.88MのNH3を用いて調節した)プリント特性
ブロンジングなし、
耐湿潤堅牢度=100%、
耐湿潤堅牢度(ランダム=1時間後、10)、
プリント特性極めて良好、
ある色の他の色へのブリードの減少(すなわち、隣接した色への黒色インキの侵
入減少)、
耐光堅牢度=良好、
光学濃度良好。実施例9
実施例8の方法を用いて、式(15)の染料の代わりに式(16)の染料を用い、イン
キを調製した。プリント特性
ブロンジングなし、
耐湿潤堅牢度=100%、
耐湿潤堅牢度(ランダム=1時間後、10)、
プリント特性極めて良好、
ある色の他の色へのブリードの減少(すなわち、隣接した色への黒色インキの侵
入減少)、
耐光堅牢度=良好、
光学濃度良好。実施例10
実施例8の方法と同様な方法を用い、式(15)の染料の代わりに式(17)の染料を
用いて、さらに以下
染料 1.75g
ペンタン-1,5-ジオール 2.5 g
カプロラクトン 1.0 g
シクロヘキサノール 0.5 g
水 44.25g
を用いてインキを調製した。プリント特性
光学濃度良好、
耐湿潤堅牢度=100%(浸漬)、
耐湿潤堅牢度=10%(1時間後、ランダウン)、
ブロンジングなし、プリント特性極めて良好、耐光堅牢度極めて良好。実施例11
以下のインキに式(17)の染料を用いた。
染料 1.75g
ペンタン-1,5-ジオール 2.25g
カプロラクトン 1.0 g
シクロヘキサノール 0.5 g
スルフィノール(Surfynol)465 0.25g
水 44.25g
[スルフィノール465はAir Productsから入手可能(アセチリングリコール(
acetylinic glycol))である。スルフィノールは商標である]。実施例12
以下のインキに式(18)の染料を用いた。
染料 1 g
ペンタン-1,5-ジオール 2.5g
カプロラクトン 1.0g
シクロヘキサノール 0.5g
水 45 g
pHは0.88MのNH3で9.5に調節した。プリント特性
光学濃度良好、
ブロンジングなし、
プリント特性良好、
耐湿潤堅牢度=100%(24時間後、浸漬)、
耐湿潤堅牢度=10%(1時間後、ランダウン)、
クラスティングなし、即時に再始動(ともに24時間後)、
耐光堅牢度極めて良好、
ある色の他の色へのブリードの減少。実施例13
式(18)の染料の代わりに式(19)の染料を用い、実施例12を繰り返した。
プリント特性
光学濃度良好、
ブロンジングなし、
プリント特性良好、
耐湿潤堅牢度(浸漬)=90%(24時間後)、
耐湿潤堅牢度(ランダウン)=8%(24時間後)、
耐光堅牢度良好。実施例14
式(18)の染料の代わりに式(20)の染料を用い、実施例12を繰り返した。
プリント特性
光学濃度良好、
ブロンジングなし、
プリント特性良好、
耐湿潤堅牢度=100%(24時間後、浸漬)、
耐湿潤堅牢度=10%(1時間後、ランダウン)、
クラスティングなし、即時に再始動(ともに24時間後)、
耐光堅牢度極めて良好、
ある色の他の色へのブリードの減少。実施例15
式(14)の染料 1.25g
PEG 200 8 g
ブチロラクトン 1 g
シクロヘキサノール 1 g
水 38.75g
pHは0.88MのNH3溶液で9.5に調節した。
実施例6と同様な方法を用いてインキを調製した。プリント特性
:
プリントの光学濃度は極めて良好、ROD=1.35(X-ライト938デンシトメー
ターを用いて測定)、
耐湿潤堅牢度=100%(浸漬試験)、
耐湿潤堅牢度(ランダウン=ランダムスケール1-10で24時間後に10、10はランダ
ウンが見られなかったことを意味する)、
耐光堅牢度良好、
ブロンジングなし、
プリント特性極めて良好、
クラスティングなし、
即時に再始動。
実施例16
式(14)の染料 1.25g
2-ピロリドン 2.5 g
ジエチレングリコール 2.5 g
カプロラクトン 1.5 g
シクロヘキサノール 1.0 g
水 41.25g
pHは0.88MのNH3溶液で9.5に調節した。実施例6と同様な方法を用いてイ
ンキを調製した。プリント特性
:
プリントの光学濃度は極めて良好、ROD=1.35(X−ライト938デンシトメー
ターを用いて測定)、
耐湿潤堅牢度=100%(浸漬試験)、
耐湿潤堅牢度(ランダウン=ランダムスケール1-10で24時間後に10、10はランダ
ウンが見られなかったことを意味する)、
耐光堅牢度良好、
ブロンジングなし、
プリント特性極めて良好、
クラスティングなし、
即時に再始動。実施例17
式(14)の染料 0.625g
式(15)の染料 0.625g
2-ピロリドン 2.5 g
ジエチレングリコール 2.5 g
カプロラクトン 1.5 g
シクロヘキサノール 1.0 g
水 41.25gプリント特性
:
プリントの光学濃度は極めて良好、ROD=1.35(X-ライト938デンシトメー
ターを用いて測定)、
耐湿潤堅牢度=100%(浸漬試験)、
耐湿潤堅牢度(ランダウン=ランダムスケール1-10で24時間後に10、10はランダ
ウンが見られなかったことを意味する)、
耐光堅牢度良好、
ブロンジングなし、
プリント特性極めて良好、
クラスティングなし、
即時に再始動。実施例18
式(21)の染料 1.25g
2-ピロリドン 2.5 g
ジエチレングリコール 2.5 g
カプロラクトン 1.5 g
シクロヘキサノール 1.0 g
水 41.25gプリント特性
:
プリントの光学濃度は極めて良好、ROD=1.35(X−ライト938デンシトメー
ターを用いて測定)、
耐湿潤堅牢度=100%(浸漬試験)、
耐湿潤堅牢度(ランダウン=ランダムスケール1-10で24時間後に10、10はランダ
ウンが見られなかったことを意味する)、
耐光堅牢度良好、
ブロンジングなし、
プリント特性極めて良好、
クラスティングなし、
即時に再始動。実施例19
式(21)の染料 1.25g
2-ピロリドン 2.5 g
ジエチレングリコール 2.5 g
シクロヘキサノール 1.0 g
水 42.75gプリント特性
:
プリントの光学濃度は極めて良好、ROD=1.35(X−ライト938デンシトメー
ターを用いて測定)、
耐湿潤堅牢度=100%(浸漬試験)、
耐湿潤堅牢度(ランダウン=ランダムスケール1-10で24時間後に10、10はランダ
ウンが見られなかったことを意味する)、
耐光堅牢度良好、
ブロンジングなし、
プリント特性極めて良好、
クラスティングなし、
即時に再始動。実施例20
式(22)の染料 1.25g
ペンタン-1,5-ジオール 6.0 g
カプロラクトン 1.0 g
シクロヘキサン-1,4-ジオール 0.5 g
水 41.25g
pHは0.88MのNH3溶液で9.5に調節した。プリント特性
:
耐湿潤堅牢度 100%(浸漬)、
耐湿潤堅牢度 ランダウン-10%(1時間)
光学濃度良好、
ブロンジングなし、
耐光堅牢度良好、
プリント特性極めて良好。実施例21
式(22)の染料 1.25g
ペンタン-1,5-ジオール 2.5 g
カプロラクタム 2.5 g
カプロラクトン 2.5 g
シクロヘキサン-1,4-ジオール 2.0 g
水 39.25g
pHは0.88MのNH3溶液で9.5に調節した。プリント特性
耐湿潤堅牢度 100%(浸漬)
耐湿潤堅牢度 ランダウン−10%(1時間)
光学濃度良好
ブロンジングなし
耐光堅牢度良好
プリント特性極めて良好。実施例22
式(22)の染料 1.25g
2-ピロリドン 4.5 g
ジエチレングリコール 4.5 g
シクロペンタノール 1.0 g
水 38.75g
pHは0.88MのNH3溶液で9.5に調節した。プリント特性
:
プリントの光学濃度は極めて良好、ROD=1.35(X−ライト938デンシトメー
ターを用いて測定)、
耐湿潤堅牢度=100%(浸漬試験)、
耐湿潤堅牢度(ランダウン=ランダムスケール1-10で24時間後に10、10はランダ
ウンが見られなかったことを意味する)、
耐光堅牢度良好、
ブロンジングなし、
プリント特性極めて良好、
クラスティングなし、
即時に再始動。実施例23
式(14)の染料 1.25g
2-ピロリドン 4.5 g
ジエチレングリコール 4.5 g
ベンゼン1,4-ジメタノール 1.0 g
水 38.75g
pHは0.88MのNH3溶液で9.5に調節した。プリント特性
:
プリントの光学濃度は極めて良好、ROD=1.35(X−ライト938デンシトメー
ターを用いて測定)、
耐湿潤堅牢度=100%(浸漬試験)、
耐湿潤堅牢度(ランダウン=ランダムスケール1-10で24時間後に10、10はランダ
ウンが見られなかったことを意味する)、
耐光堅牢度良好、
ブロンジングなし、
プリント特性極めて良好、
クラスティングなし、
即時に再始動。
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