JPH1151155A - 歯面強度に優れた歯車およびその製造方法 - Google Patents

歯面強度に優れた歯車およびその製造方法

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JPH1151155A JP20599997A JP20599997A JPH1151155A JP H1151155 A JPH1151155 A JP H1151155A JP 20599997 A JP20599997 A JP 20599997A JP 20599997 A JP20599997 A JP 20599997A JP H1151155 A JPH1151155 A JP H1151155A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 歯面における耐ピッティング性,耐摩耗性が
さらに向上した歯面強度に優れた歯車を提供する。 【解決手段】 機械構造用はだ焼鋼を素材とし、最表面
のC量が0.5重量%以上0.9重量%以下であり且つ
最表面のN量が0.3重量%以上0.8重量%以下であ
ってNの侵入深さが有効硬化深さの少なくとも80%の
深さにまで達している表面硬化組織を有する歯面強度に
優れた歯車。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車,産業機
械,農業機械等々の各種機械構造物において用いられる
機械要素のうち歯車として利用される歯面強度に優れた
歯車およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種の歯車においては、歯面での耐ピ
ッティング性,耐摩耗性(あるいは、耐スコーリング
性)に優れていることが要求されるが、このような歯面
での耐ピッティング性,耐摩耗性(あるいは、耐スコー
リング性)を向上させる場合には、浸炭焼入れや浸炭窒
化焼入れなどの表面硬化処理を施すことによって、表面
硬さを上昇させたり、硬化深さを増大させたりする方法
が広く採用されている。
【0003】そして、このような表面硬化処理を施した
場合に、表面からの深さとC量およびN量との関係は、
例えば、図2に示すように、最表面のC量(0.7〜
0.9重量%)は深さ方向に次第に減少するものとなっ
ており、また、最表面のN量(0.1〜0.3重量%)
は深さ方向に急激に減少するものとなっていた。
【0004】そこで、近年では、歯車に対する面圧負荷
がさらに増大する傾向にあり、その対策として、焼入れ
性の良くない異常組織を低減するために、含クロム鋼を
浸炭処理し、浸炭処理後に温度を若干降下させて引続き
窒化処理に移行するようにしたり、窒化処理前に再加熱
処理するようにした特開昭62−33755号公報(特
公平7−13293号公報)および特開昭62−337
57号公報(特公平7−13294号公報)に記載され
た方法や、浸炭窒化処理により生成させた残留オーステ
ナイトを加工硬化させて負荷能力を向上させるようにし
た特開昭49−10124号公報(特公昭54−176
99号公報)に記載された方法などが考えられた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、面圧負
荷はさらに高まる傾向となっており、接触表面において
従来以上の発熱(例えば、300℃以上の発熱)を伴う
場合もみられるようになっており、このような場合に
は、従来のごとき異常組織の低減や残留オーステナイト
の加工硬化による活用だけでは、耐ピッティング性,耐
摩耗性(あるいは、耐スコーリング性)の向上に対して
は十分でないという問題点があり、このような問題点を
解決することが課題としてあった。
【0006】
【発明の目的】本発明は、このような従来の課題に着目
してなされたものであって、歯面における耐ピッティン
グ性,耐摩耗性(あるいは、耐スコーリング性)がさら
に向上した歯面強度に優れた歯車を提供することを目的
としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、面圧負荷が
さらに高まり、接触表面において従来以上の発熱(例え
ば、300℃以上の発熱)を伴う場合もみられるように
なってきていることにかんがみ、このような場合におい
ても耐ピッティング性,耐摩耗性(あるいは、耐スコー
リング性)をより一層十分なものとするためには、30
0℃前後においても軟化のしにくい表面硬化層を形成さ
せることが有効であることを見い出し、窒素をさらに活
用した浸炭窒化に着目し、この際、焼き戻し軟化抵抗の
向上に有効な窒素の深さ方向の最適分布を求めると共
に、このような最適分布が得られる熱処理方法を開発し
て本発明に至ったものである。
【0008】すなわち、本発明に係わる歯面強度に優れ
た歯車は、請求項1に記載しているように、機械構造用
はだ焼鋼を素材とし、最表面のC量が0.5重量%以上
0.9重量%以下であり且つ最表面のN量が0.3重量
%以上0.8重量%以下であってNの侵入深さが有効硬
化深さ(Hv550が得られる深さ)近辺にまで達して
いる表面硬化組織を有するものとしたことを特徴として
いる。
【0009】そして、本発明に係わる歯面強度に優れた
歯車の実施態様においては、請求項2に記載しているよ
うに、Nの侵入深さが有効硬化深さの少なくとも80%
の深さにまで達しているものとしたことを特徴としてい
る。
【0010】同じく、本発明に係わる歯面強度に優れた
歯車の実施態様においては、請求項3に記載しているよ
うに、表面硬化組織は、CのみでなくNをも固溶した緻
密なマルテンサイト組織からなっているものとしたこと
を特徴としている。
【0011】本発明に係わる歯面強度に優れた歯車の製
造方法は、請求項4に記載しているように、機械構造用
はだ焼鋼からなる歯車素材に対し浸炭処理と同時に浸窒
処理を行ったのち冷却し、さらにオーステナイト化温度
にまで再加熱して再び浸窒処理を行ったのち焼入れする
ようにしたことを特徴としている。
【0012】そして、本発明に係わる歯面強度に優れた
歯車の製造方法の実施態様においては、請求項5に記載
しているように、歯車素材に対し800℃以上950℃
以下の温度で浸炭処理と同時に浸窒処理を行ったのち冷
却するようにしたことを特徴としている。
【0013】同じく、本発明に係わる歯面強度に優れた
歯車の製造方法の実施態様においては、請求項6に記載
しているように、800℃以上930℃以下のオーステ
ナイト化温度にまで再加熱して再び浸窒処理を行ったの
ち焼入れするようにしたことを特徴としている。
【0014】
【発明の作用】本発明に係わる歯面強度に優れた歯車に
おいて、その素材としては、S09CK,S15CK,
S20CK等の機械構造用炭素はだ焼鋼や、SNC41
5,SNC815等のニッケル・クロム系,SNCM2
20,SNCM415,SNCM420,SNCM61
6,SNCM815等のニッケル・クロム・モリブデン
系,SCr415,SCr420等のクロム系,SCM
415,SCM418,SCM420,SCM421,
SCM822等のクロム・モリブデン系,SMn42
0,SMnC420等のマンガンおよびマンガン・クロ
ム系などの機械構造用合金はだ焼鋼が使用される。
【0015】この場合、クロムを含有する機械構造用は
だ焼鋼においては、Cr含有量が0.3〜3.0重量%
であるものを用いることがより望ましく、Crはこの種
のはだ焼鋼において焼入れ性の向上に寄与する作用を有
していることから、このような作用を得るために0.3
重量%以上とすることが望ましいが、多すぎると靭性を
低下させることとなるので3.0重量%以下とすること
が望ましい。
【0016】また、バナジウムを含有する機械構造用は
だ焼鋼においては、V含有量が0.1〜0.5重量%で
あるものを用いることがより望ましく、Vはこの種のは
だ焼鋼において靭性を向上させる作用を有していること
から、このような作用を得るために0.1重量%以上と
することが望ましいが、多すぎても効果の向上はみられ
ずかえって靭性を低下させることとなるので0.5重量
%以下とすることが望ましい。
【0017】そして、このほか、C,Si,Mn,P,
S,Ni,Mo等についてもこの種のはだ焼鋼に適する
範囲とすることが望ましいことはいうまでもない。
【0018】また、その他、結晶粒微細化作用があるA
l,Ti,Zr,Nb,N等を含有させたり、被削性向
上作用があるPb,S,Ca,Se,Te,Bi等を含
有させたりしたものであってもよい。
【0019】そして、このような機械構造用はだ焼鋼を
用いて、塑性加工や切削加工などを行うことによって歯
車素材に加工したあと、この歯車素材に対し浸炭処理と
同時に浸窒処理を行ったのち冷却し、さらにオーステナ
イト化温度にまで再加熱して再び浸窒処理を行ったのち
焼入れすることによって、本発明に係わる歯面強度に優
れた歯車を製造する。
【0020】さらに説明すれば、歯車素材に対し浸炭処
理と同時に浸窒処理を行ったのち冷却するに際しては、
例えば、800℃以上950℃以下の温度で浸炭処理と
同時に浸炭処理を行ったのち冷却する。
【0021】また、冷却後オーステナイト化温度にまで
再加熱して再び浸窒処理を行ったのち焼入れするに際し
ては、冷却後800℃以上930℃以下のオーステナイ
ト化温度にまで再加熱して再び浸窒処理を行ったのち焼
入れする。
【0022】このようにして、例えば図1に示すよう
に、最表面のC量が0.5重量%以上0.9重量%以下
であり且つ最表面のN量が0.3重量%以上0.8重量
%以下であってNの侵入深さが有効硬化深さ近辺にまで
達している表面硬化組織を有する歯面強度に優れた歯車
を得る。
【0023】この場合、より好ましくは、Nの侵入深さ
が有効硬化深さの少なくとも80%の深さにまで達して
いるものとする。
【0024】また、表面硬化組織は、CのみでなくNを
も固溶した緻密なマルテンサイト組織からなっているも
のとすることがより望ましい。
【0025】本発明による歯車では、表層部におけるN
量をC量並みとすると共に、Nがより深くまで、より好
ましくはHv550が得られる有効硬化深さの80%以
上の深さまで侵入しているものとなっているため、接触
面圧が高くかつ滑り率が大きく変動するような負荷の場
合においても、優れた耐ピッティング性および耐摩耗性
(あるいは、耐スコーリング性)を有するものとなる。
【0026】また、製造に際して再加熱焼入れを行って
いるため、N量が多いにもかかわらず残留オーステナイ
ト(γ)量が比較的少なく、硬さの低下が小さいこと
も特徴のひとつである。
【0027】さらに、表面硬化組織は、CのみでなくN
をも固溶させたマルテンサイト組織であって、組織が緻
密であるため、クラックの進展抵抗が大であり、高寿命
化に有利なものとなっている。
【0028】
【発明の効果】本発明による歯面強度に優れた歯車は、
請求項1に記載しているように、機械構造用はだ焼鋼を
素材とし、最表面のC量が0.5重量%以上0.9重量
%以下であり且つ最表面のN量が0.3重量%以上0.
8重量%以下であってNの侵入深さが有効硬化深さ近辺
にまで達している表面硬化組織を有するものであるか
ら、表層部のN量がC量並みとなっていてNがより深く
まで侵入しているものとなっているため、接触面圧が高
くかつ滑り率が大きく変動するような負荷においても優
れた耐ピッティング性および耐摩耗性を有し、歯面強度
に優れた歯車を提供することが可能であるという著大な
る効果がもたらされる。
【0029】そして、請求項2に記載しているように、
Nの侵入深さが有効硬化深さの少なくとも80%の深さ
にまで達しているものとすることによって、耐ピッティ
ング性および耐摩耗性がより一層安定して優れた歯面強
度に優れた歯車を提供することが可能であるという著大
なる効果がもたらされる。
【0030】そしてまた、請求項3に記載しているよう
に、表面硬化組織は、CのみでなくNをも固溶した緻密
なマルテンサイト組織からなっているものとすることに
よって、クラックの進展抵抗が大きく、高寿命化に有利
である歯面強度に優れた歯車を提供することが可能であ
るという著大なる効果がもたらされる。
【0031】本発明による歯面強度に優れた歯車の製造
方法では、請求項4に記載しているように、機械構造用
はだ焼鋼からなる歯車素材に対し浸炭処理と同時に浸窒
処理を行ったのち冷却し、さらにオーステナイト化温度
にまで再加熱して再び浸窒処理を行ったのち焼入れする
ようにしたから、表層部のN量がC量並みとなっていて
Nがより深くまで侵入しているものとすることができる
ため、接触面圧が高くかつ滑り率が大きく変動するよう
な負荷においても優れた耐ピッティング性および耐摩耗
性を有し、歯面強度に優れたものにできると共に、再加
熱焼入れを行っているため、N量が多いにもかかわらず
残留オーステナイト量が少なく、硬さ低下が小さい長寿
命の歯車を製造することが可能であるという著大なる効
果がもたらされる。
【0032】そして、請求項5に記載しているように、
歯車素材に対し800℃以上950℃以下の温度で浸炭
処理と同時に浸窒処理を行ったのち冷却するようになす
ことによって、浸炭窒化によりCと同時にNをより深く
まで侵入させることが可能であり、そして、請求項6に
記載しているように、800℃以上930℃以下のオー
ステナイト化温度にまで再加熱して再び浸窒処理を行っ
たのち焼入れするようになすことによって、表層部のN
濃度を炭素濃度並みに確保することが可能であると共
に、再加熱焼入れを行うためN量が多いにもかかわらず
残留オーステナイト量を比較的少なくすることが可能と
なって硬さ低下の小さい歯面強度に優れた歯車を製造す
ることが可能であるという著大なる効果がもたらされ
る。
【0033】
【実施例】
(実施例1)表1に示す鋼を素材とし、920℃で60
分間保持後冷却する焼ならしを行い、さらに、図4
(a)に示すような中央太径部の直径が26mm,中央
太径部の長さが28mm,両側細径部の直径がともに2
2mm,全長が130mmのローラーピッティング試験
用試験片Sを機械加工により製作すると共に、図5に
示すような直径が70mm,厚さが10mmのピンオン
ディスク摩耗試験用円盤試験片Sを機械加工により製
作した。
【0034】次いで、図3に示す温度−時間説明図にお
いて、温度T=900℃,時間t=240分,雰囲
気ガスN,N=6体積%NHガス,雰囲気カーボ
ンポテンシャルC.P.=1.1の条件、および、温度
=840℃,時間t=100分,雰囲気ガス
,N=8体積%NHガス,雰囲気カーボンポテ
ンシャルC.P.=0.95の条件による浸炭処理と浸
窒処理とを同時に行ったのち、空冷(A.C.)した。
【0035】続いて、各試験片S,Sを温度T
850℃にまで再加熱してオーステナイト化し、時間t
=150分,雰囲気ガスN=8体積%NHガスに
よる浸窒処理を再度行ったのち、温度180℃のソルト
浴中に浸漬する焼入れ(S.Q.)を行った。
【0036】そして、各試験片S,Sの最表面のC
量,最表面のN量,Nの侵入深さ、有効硬化深さ,有効
硬化深さに対するNの侵入深さを調べたところ、同じく
表1に示す結果であった。
【0037】さらに、図4(a)に示したローラーピッ
ティング試験用試験片Sを用いて、図4(b)に示す
ような直径が130mm,厚さが18mmのローラー
(SCr420鋼の浸炭焼入れ品)Rを相手材とし、接
触圧力:3.7GPa,すべり率:−40%、潤滑油温
度:80℃の条件によるローラーピッティング試験を行
って、ピッティング寿命を調べたところ、同じく表1に
示す結果であった。
【0038】さらにまた、図5に示した円盤試験片S
を用いて、同じく図5に示すような本体部の直径が8m
m,本体部先端の半径が100mmR,鍔部の直径が1
2mmのピン(SK3の熱処理品)Pを相手材として、
接触圧力:150MPa,摺動速度:0.28m/sの
条件によるピンオンディスク摩耗試験を行って摩耗深さ
を調べたところ、同じく表1に示す結果であった。
【0039】なお、表1の比較例1は浸炭処理のみを行
った場合を示し、比較例2は従来の浸炭窒化焼入れを行
った場合を示し、比較例3は過剰な浸窒処理を行った場
合を示しており、これらの場合についても同様の評価試
験を行った。
【0040】
【表1】
【0041】表1に示すように、発明例1〜4ではいず
れもピッティング寿命が長く、摩耗深さは小さいものと
なっていた。
【0042】これに対して、比較例1〜3ではピッティ
ング寿命が短く、摩耗深さは大きいものとなっていた。
【0043】(実施例2)表2に示す鋼を素材とし、9
20℃で60分間保持後冷却する焼ならしを行い、さら
に、図4(a)に示すような中央太径部の直径が26m
m,中央太径部の長さが28mm,両側細径部の直径が
ともに22mm,全長が130mmのローラーピッティ
ング試験用試験片Sを機械加工により製作すると共
に、図5に示すような直径が70mm,厚さが10mm
のピンオンディスク摩耗試験用円盤試験片Sを機械加
工により製作した。
【0044】次いで、図3に示す温度−時間説明図にお
いて、温度T,時間t,雰囲気ガスN,Nがそ
れぞれ表2に示す条件でかつ雰囲気カーボンポテンシャ
ルC.P.が1.1の条件、および、温度T,時間t
,雰囲気ガスN,Nがそれぞれ表2に示す条件で
かつ雰囲気カーボンポテンシャルC.P.が0.95の
条件による浸炭処理と浸窒処理とを同時に行ったのち、
空冷(A.C.)した。
【0045】続いて、各試験片S,Sを再加熱して
オーステナイト化し、温度T,時間t,雰囲気ガス
がそれぞれ表2に示す条件による浸窒処理を再度行
ったのち、温度180℃のソルト浴中に浸漬する焼入れ
(S.Q.)を行った。
【0046】そして、各試験片S,Sの最表面のC
量,最表面のN量,Nの侵入深さ、有効硬化深さ,有効
硬化深さに対するNの侵入深さを調べたところ、表3に
示す結果であった。
【0047】さらに、図4(a)に示したローラーピッ
ティング試験用試験片Sを用いて、図4(b)に示す
ような直径が130mm,厚さが18mmのローラー
(SCr420鋼の浸炭焼入れ品)Rを相手材とし、接
触圧力:3.7GPa,すべり率:−40%、潤滑油温
度:80℃の条件によるローラーピッティング試験を行
って、ピッティング寿命を調べたところ、同じく表3に
示す結果であった。
【0048】さらにまた、図5に示した円盤試験片S
を用いて、同じく図5に示すような本体部の直径が8m
m,本体部先端の半径が100mmR,鍔部の直径が1
2mmのピン(SK3の熱処理品)Pを相手材として、
接触圧力:150MPa,摺動速度:0.28m/sの
条件によるピンオンディスク摩耗試験を行って摩耗深さ
を調べたところ、同じく表3に示す結果であった。
【0049】なお、表1の比較例11は浸炭・浸窒温度
を低くかつ再浸窒温度を高くして行った場合を示し、比
較例12,13は浸炭・浸窒温度を高くかつ再浸窒温度
を低くして行った場合を示しており、これらの場合につ
いても同様の評価試験を行ったところ、同じく表3に示
す結果であった。
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】表2,表3に示すように、発明例11〜1
3ではいずれもピッティング寿命が長く、摩耗深さは小
さいものとなっていた。
【0053】これに対して、比較例11〜13ではピッ
ティング寿命が短く、摩耗深さは大きいものとなってい
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による表面硬化組織を有する歯車にお
ける表面からの深さとC量およびN量との関係を概略的
に示すグラフである。
【図2】 従来例による表面硬化組織を有する歯車にお
ける表面からの深さとC量およびN量との関係を概略的
に示すグラフである。
【図3】 浸炭・浸窒処理および再浸窒処理条件を示す
温度−時間説明図である。
【図4】 ローラーピッティング試験片の平面説明(図
4(a))およびローラーピッティング試験要領を示す
斜面説明図(図4(b))である。
【図5】 ピンオンディスク型摩耗試験要領を示す正面
説明図である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 機械構造用はだ焼鋼を素材とし、最表面
    のC量が0.5重量%以上0.9重量%以下であり且つ
    最表面のN量が0.3重量%以上0.8重量%以下であ
    ってNの侵入深さが有効硬化深さ近辺にまで達している
    表面硬化組織を有することを特徴とする歯面強度に優れ
    た歯車。
  2. 【請求項2】 Nの侵入深さが有効硬化深さの少なくと
    も80%の深さにまで達していることを特徴とする請求
    項1に記載の歯面強度に優れた歯車。
  3. 【請求項3】 表面硬化組織は、CのみでなくNをも固
    溶した緻密なマルテンサイト組織からなっていることを
    特徴とする請求項1または2に記載の歯面強度に優れた
    歯車。
  4. 【請求項4】 機械構造用はだ焼鋼からなる歯車素材に
    対し浸炭処理と同時に浸窒処理を行ったのち冷却し、さ
    らにオーステナイト化温度にまで再加熱して再び浸窒処
    理を行ったのち焼入れすることを特徴とする請求項1な
    いし3のいずれかに記載の歯面強度に優れた歯車の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 歯車素材に対し800℃以上950℃以
    下の温度で浸炭処理と同時に浸窒処理を行ったのち冷却
    することを特徴とする請求項4に記載の歯面強度に優れ
    た歯車の製造方法。
  6. 【請求項6】 800℃以上930℃以下のオーステナ
    イト化温度にまで再加熱して再び浸窒処理を行ったのち
    焼入れすることを特徴とする請求項4または5に記載の
    歯面強度に優れた歯車の製造方法。
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