JPH11511455A - 組成物及びそれらの使用 - Google Patents

組成物及びそれらの使用

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JPH11511455A JP9509983A JP50998397A JPH11511455A JP H11511455 A JPH11511455 A JP H11511455A JP 9509983 A JP9509983 A JP 9509983A JP 50998397 A JP50998397 A JP 50998397A JP H11511455 A JPH11511455 A JP H11511455A
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Abstract

(57)【要約】 タンパク質及び複数のエピトープを有する合成複合体は、異種移植片の超急性拒絶の予防又は拒絶の程度もしくは割合の減少に有用である。また、特定の疾患の治療においても有用であり得る。

Description

【発明の詳細な説明】 組成物及びそれらの使用 本発明は移植の分野に関し、特には、異種移植片の超急性拒絶の予防又は少な くとも拒絶の程度もしくは割合の低減に関する。 ブタの臓器(例えば、心臓、腎臓)を霊長類に移植することにより、レシピエ ントにそのドナー組織を破壊する急速(10分以下)な超急性拒絶が誘発される。 超急性拒絶における第1工程は、予め形成されたレシピエントの“異種間自然 抗体”(XNA)がドナー組織の血管に結合し、次にそれがレシピエントの補体系 を活性化するものと考えられている。これらの抗体の主な標的がガラクトースα 1,3ガラクトース(Galα1,3Gal)であるという強力な証拠が存在する (Sandrin et al.,Proc Natl Acad Sci USA 90: 11391 (1993))。これは、ブタの組織上に は広く発現するもののヒトには存在しない炭水化物である(Galili et al.,Proc Natl Acad Sci USA 84: 1369-1373(1987))。この二糖は、細胞表面塘タンパク 質及び糖脂質によって提示されるオリゴ糖鎖の末端修飾である。XNAに結合し、 したがって、おそらくはGalα1,3Galを坦持する多くのブタ内皮タンパク質が同 定されている (Platt et al,Transplantation 57: 327-335(1994))。 ブタの組織に対するXNA類の大部分はGalα1,3Galに特異的に結合することが知 られている。この構造を有するオリゴ糖(B−三糖:Galα1,3Galβ1,4GlcNAc;B −二糖:Galα1,3Gal)は、ブタの内皮細胞に対するヒト血清の細胞毒性の最良 の阻害剤である(Neethling et al,Transplantation 57: 959-963(1994))。他の α−ガラクトシル化糖(1,3−結合ではない)も阻害はするが、その効率ははる かに劣る。 Cooper及びその共同研究者は、ヒヒへのα−ガラクトシル化糖アラビノガラク タン及びメリビオースの注入が、イン・ビトロでブタ内皮細胞を殺すこれらの動 物からの血清の能力にどのように影響を及ぼすのかを調べている (Ye et al,Tr ansplantation 58: 330-337(1994))。一定のレベルの保護はもたらされたが、異 所ブタ心臓異種移植片の寿命を大きく伸ばすのには十分ではなかった。加えて、 高レベルの炭水化物の注入によって動物が病気(多尿、呼吸困難)になることが ある。 また、Cooperらのグループは、Syntesome GmbH 、Fine Biochemicals、Heimda ll Str.4、D-81739 Munich、ドイツから販売されているB−二糖−ポリアクリル アミド(PAA)複合体を用いて、イン・ビトロでブタの細胞の抗体介在溶解を阻 止する試みを行っている (Riebin et al,Xenotransplantation 2: 98-106(1995 ))。二糖は置換密度の範囲でポリアクリルアミドに結合させることが可能であり 、それはブタの組織を攻撃から保護するそれらの能力に応じて変化する。しかし ながら、PAA複合体と遊離二糖との保護能力の直接の比較は公開されていない。 WO93/03735号には様々な方法及び組成物が開示されており、それらが抗体介 在異種移植片拒絶の減弱に有用であると述べられている。態様の1つにおいては 、異種抗原を固体支持体に結合し、それが異種抗体を除去するための患者血液の 灌流に有用であることが示されている。適切な固体支持体の例は、シリカ、多孔 性ガラスのような合成ケイ酸塩、珪藻土のような生体ケイ酸塩、カオリンのよう な鉱物を含むケイ酸塩、並びにポリスチレン、ポリプロピレン及び多糖のような 合成ポリマーであると述べられている。 本発明によると、医薬において用いるためのタンパク質及び複数のエピトープ の合成複合体であって、該エピトープが異種間自然抗体が結合可能であるもので ある合成複合体が提供される。 “タンパク質”という用語は、本明細書では、ペプチド(例えば、ポリリジン )、ポリペプチド及び完全なタンパク質のような、ペプチドが結合した構成体の 一部を含むものとして用いられる。したがって、過度に制限する方法で解釈され るべきではない。所望であれば、本発明において用いられるタンパク質の特性( 例えば、荷電特性)を変更することができる。例えば、ポリ(L−リジン)中の リジンのイプシロン−アミノ基をメトキシエトキシアセチル化することにより、 このポリペプチドのカチオン性荷電の結果として生じる組織との間の非特異的な 相互作用が減少する(Gasho,A.,et al,Biol.Pharm.Bull.17: 275-282(1994 ))。 “合成”という用語は、本明細書では、その複合体が自然には生じないことを 示すために用いられる。 “複合体”という用語は、タンパク質とエピトープとが互いに連結することを 示す。 “異種間自然抗体”という用語は、本明細書では、 (a)ホスト体内に既に存在し、そのホストにおける異種移植片の拒絶に関与 し得る抗体(これらの抗体は異種移植片の超急性拒絶に関与するものと考えられ る)、及び (b)ホスト体内の異種移植片の存在に応答してそのホストにおいて新たに合 成される抗体(これらは“異種反応性誘発抗体”と呼ばれることがあり、異種移 植片の急性拒絶に関与するものと考えられる) の両者を含むものとして用いられる。 本発明者らは、本発明による複合体が異種間自然抗体への結合において非常に 有効であり、IgMとの結合において特に有効であることを発見している。IgMが拒 絶の初期段階に関与し、このプロセスにおいて最も重要な免疫グロブリンクラス であると一般に信じられているため、この発見は重要である。したがって、異種 移植片上に発現するエピトープへのIgMの結合をブロックすることは拒絶の予防 又は緩和において大きな前進である。 多数のエピトープが1つのタンパク質分子に結合することが可能であるため、 患者の免疫系に所定の数のエピトープを提示するのに必要な分子の総数は、個々 のエピトープを用いることに対して、大きく減らすことが可能である。浸透圧が 溶液中の分子濃度に直接関係するため、複合体は、(遊離の糖との比較で)患者 における浸透圧の撹乱を回避し、又は浸透圧の撹乱をほとんど生じさせないよう に用いることができる。 好ましくは、これらのエピトープは、ブタから採取された異種移植片の拒絶( 例えば、急性もしくは超急性拒絶)に関与するヒト異種間自然抗体に結合しうる 。しかしながら、これらのエピトープは、他の動物から採取された異種移植片の 拒絶に関与するヒト異種間自然抗体に結合してもよい。したがって、好ましいエ ピトープは、通常ヒト成人の体内には存在しない。使用可能な特定のエピトープ は後述する。 本発明は、異種移植片のレシピエントに複合体を投与することにより異種移植 片の拒絶を予防し、又は少なくとも拒絶の程度もしくは割合を減少させる方法を 包含する。(これは、異種移植片の移植の前、その間及び/又はその後に行うこ とができる。好ましくは、移植の前、例えば移植手術の20時間前までに行われる 。その後、続いて追加免疫用量を投与してもよい。)この複合体はレシピエント 体内に存在する異種間自然抗体と結合することが可能であり、したがって、これ らの抗体が異種移植片上に存在するエピトープに結合するのをブロックすること が可能である。このブロッキング効果は多くの遊離異種間自然抗体をレシピエン トの循環系から除去し、したがって、これらの抗体が異種移植片上に存在するエ ピトープに結合することによって遊離したまま補体を活性化することはない。補 体の活性化は異種移植片の超急性拒絶における主要因子であるものと信じられて おり、したがって、本発明の接続体を用いて達成することが可能なブロッキング 効果は非常に重要なものである。実際、例えこのブロッキング効果が短期間だけ (例えば、2、3日間のみ持続する場合)のものであったとしても、異種移植片 の順応が生じる可能性があるため依然として有効であり得ることが当該技術分野 において示されている。これはRiebenら(前出)によって論じられており、そこ ではABO系を用いて類似の結果が引き出されている。いずれにしても、レシピエ ントを監視し、必要であれば本発明の複合体をさらに与えることが可能である。 本発明の複合体は、寛容原、すなわち、引き続くハプテンでの抗原投与に対す る応答において免疫原性を減少することが可能な分子として機能し得る。このた め、ブタの異種移植片を挿入する前に本発明の複合体を投与することにより、移 植片自体に対する抗体応答を寛容によって阻害することが可能である。移植片が 既に所定の場所にある場合には、この複合体を投与してその移植片に対する抗体 応答を阻害により(すなわち、抗−ハプテン抗体の生成を減少させることにより )予防することが可能である。 (背景として、多価ポリアクリルアミド複合体を用いるDintzisの研究(例えば 、Dintzis,R.Z.,et al,J.Tmmunol.131: 2196-2203(1983))を引用すること ができる。これは、複数のハプテン性基を提示する複合体が免疫原性(すなわち 、抗−ハプテン抗体の生成を刺激する)であるか、もしくは阻害性(免疫原性複 合体の存在下において抗−ハプテン抗体の生成を減少させる)のいずれかで あり得ることを示している。複合体が免疫原性であるのか、あるいは阻害性であ るのかは、その複合体のサイズ及びハプテンの密度に依存する。免疫原性複合体 での抗原投与の前の阻害性複合体の投与が免疫原性複合体の免疫原性を低下させ る場合、その阻害性分子は寛容原と呼ばれる。これらの効果(免疫原性、阻害、 及び寛容原性)は全て、B細胞上のハプテン受容体での競合により生じるものと 考えられている。寛容原性阻害性分子は、周囲の環境からの除去にもかかわらず B細胞受容体に残存するものと考えられている。) 本発明において用いられる複合体は適切なあらゆる技術によって患者に投与す ることができるが、好ましくは(点滴による)注入によって投与する。投与レベ ルは、当該技術分野における熟練者が決定することが可能であり、患者の体重( mass)、異種移植片のサイズ、複合体中に存在するタンパク質のサイズ、複合体 中に存在するエピトープの数、そのようなエピトープの間隔等に依存しうる。理 論に束縛されることなく、実施例に引用されるB−三糖−HSAの一般的投与量は血 清中に0.1mg/mlないし5mg/mlの最終濃度であろう。この範囲は、イン・ビトロ での10μg/ml XNA IgMによる内皮細胞の溶解を十分に阻害することが観察され る複合体の濃度(約0.5mg/ml)から導かれる(図3を参照、これは後述する) 。10μg/mlは血清中で予想されるXNA TgMのおおよその濃度に相当する。本発明 の他の複合体についての投与量範囲は、同様の検定手順を用いて概算することが できる。その後、動物実験を用いて投与量レベルをより正確に決定しうる。 上述のように、患者を監視し、必要であれば複合体の追加用量を投与すること ができる。監視は、以下の技術、すなわち患者からの血清をイン・ビトロで(主 として、G及びMクラスの)可溶性XNA抗体のレベルについて試験することにより 行うことができる。最初に、血清を個々の免疫グロブリンクラスに分画する。次 に、これらを、Galα1,3Galβ1,4GlcNAc−HSAをコートした別々のマイクロタイ タープレートウェルに入れる。結合した抗体を、レポーター酵素結合抗−ヒトIg G又は−IgM抗体で検出する。 また、本発明は、被験者の体外に位置し、かつ異種移植片の拒絶に関与する被 験者の異種間自然抗体を除去する作用をする免疫吸着剤を提供するために用いる こともできる。望ましくは、この免疫吸着剤は固定されており、例えば、カラム 内に存在する。このようにして異種間自然抗体を血液から除去することができ、 あるいは、少なくともそれらの力価を低減させることができる。これは、移植患 者自身の血液をこの技術を用いて処理した後患者に戻すことが可能であるため、 有利である。この技術の別の利点は血液ドナーからの血液のストックを提供する ことにあり、これを後の使用のために包装し、移植患者の治療に用いることがで きる。このように処理された血液は、本発明の範囲内である。 また、本発明は、少なくとも1つの本発明の複合体が出入口を備えるチャンバ ー内に設けられている装置も提供する。出入口を介してこの装置を通過させるこ とにより血液を処理することができる。 好ましくは、複合体のタンパク質成分はヒトタンパク質である。“ヒトタンパ ク質”という用語は、ここでは、ヒトにおいて自然に生じるタンパク質を含み、 そして同じ、もしくは実質的に類似する生物学的活性を有するそのようなタンパ ク質又はそれらの誘導体を含むものとして用いられる。このようなタンパク質は 、自然に生じるものであっても、合成(例えば、化学合成により、又は組換えDN A技術を用いることにより)によって生じるものであってもよい。 望ましくは、このタンパク質は血液成分である。例えば、これは血清アルブミ ン(天然の形態であっても、組換え形態であってもよい)であっても、非複合状 態において非抗原性及び非免疫原性であり、かつヒト受容体分子のリガンドでは ない他の一般には不活性の天然もしくは組換えタンパク質であってもよい。好ま しくは、このタンパク質は(膜に結合するよりは)可溶性である。 このタンパク質を適切なあらゆる技術により複数のエピトープと会合させ、本 発明において用いられる複合体を提供することが可能である。好ましくは、エピ トープはタンパク質に共有結合させる。これはスペーサー分子を用いて行うこと ができる。 3個の原子スペーサーの導入に用いることができる反応は、糖のアクロイリレ ート誘導体とタンパク質、例えばHSA、とのマイケル付加である(Roy et al,J Chem Soc Chem Commun 1709-1711(1990))。この反応は以下の3つの主工程から なる。 i.還元糖(例えば、B−三糖)のアミノ化:−飽和炭酸水素アンモニウム中 、 37℃で3日間のインキュベーション。 ii.アクリロイル化:−メタノール−水溶媒中での、Na2CO3の存在下における 塩化アクリロイルの使用。 iii.広範な凍結乾燥並びに誘導された塘のゲル濾過及び逆相HPLCによる精製 の後、0.1 M Na2CO3、pH10.0中、37℃で2日間HSAと結合させる。この反応の生 成物は糖−NH−CO−CH2−CH2−NH−HSAである。 (同じ基本反応をポリアクリルアミドへの糖の結合に用いることができる。) あるいは、2つの適当な炭素アリルリンカーを有する糖を、還元性オゾン分解 、次いで水素化ホウ素シアノナトリウムでの還元性アミノ化を用いる方法により 、タンパク質に結合させることができる(Bernstein,M.A.and Laurance,D.H. ,Carbohydr.Res.78(1980))。 エピトープは、望ましくは、最低限の構造としてXNA類の結合に必要な最小の リガンドを含み、これはα−配置で連結するガラクトースである。したがって、 エピトープは好ましくは塘類、望ましくはオリゴ糖であるか、又はこれらの糖構 造の模倣体である。 エピトープは望ましくは糖類、好ましくはオリゴ糖である。そのような糖類又 はオリゴ糖のあらゆるものの模倣体も本発明の範囲内に含まれる。“模倣体(mi mic)”という用語は、抗体への結合において糖又はオリゴ糖と実質的に同じ様 式で作用するあらゆる構造を指す。 このような模倣体は当該技術分野において公知である(そして、しばしば、擬 似体(mimetics)と呼ばれる)。例えば、Shikhman A.R.及びCunningham M.W. ( J.Immunol.152(9): 4375(1994))は抗−GlcNAc抗体をブロックすることにより 糖エピトープの模倣体として作用するサイトケラチンペプチドの使用を記述して おり、Vaughanら (Xenotransplantation 3: 18-23(1996))はエピトープGalα(1 ,3)Galを模倣する合成オクタペプチド(DAHWESWL)を記述しており、及びKoogm anらは同様にエピトープGalα1,3Galを模倣する異なるペプチド(SSLRGF)を記 述している。 エピトープにはスルフェート基、シアル酸及びα−ガラクトース(又はそれら の模倣体)が含まれ得る。 複合体はネオ糖タンパク質(決められた構造の糖が結合している非グリコシル 化タンパク質)であってもよい。ネオ糖タンパク質はAdlerら(J Biol Chem,27 0: 5164-5171(1995))によって論じられており、炭水化物−タンパク質相互作用 の精査に用いられている。これらは、(例えば、グリコシルトランスフェラーゼ もしくはグリコシダーゼを用いる)酵素触媒反応により又は化学合成技術によっ て生成させることができる。ヒト血清アルブミン (HSA)及びウシ血清アルブミ ン(BSA)の化学的グリコシル化の方法論は、B−三糖の化学合成と同様に、十分 に確立されている(Jacquinet et al,JCS Perkin T: 326-330(1981))。実際、一 連の適切なGalα1,3Galベースのネオ糖タンパク質がDextra Laboratories Ltd、 Reading、UKから入手可能である。この企業は、HSA−結合Galα1,3Gal及びHSA一 結合Galα1,3Galβ1,4GlcNAcを製造している。これらの両者は、3−もしくは14 −原子スペーサー分子のいずれかとして入手することができる。同様に、この企 業は4種類のBSA−ベースのネオ糖タンパク質を製造している(HSA及びBSAは、 それぞれ、ヒト血清アルブミン及びウシ血清アルブミンを指す)。 ブタに由来する異種移植片を用いることが望ましい場合、複合体の生成に用い るのに好ましいエピトープは2つのガラクトース部分を含む。望ましくは、この 2つのガラクトース部分はα1,3結合によって結合する。したがって、Galα1,3G alが本発明において使用するのに好ましいエピトープである。このエピトープは 、より大きなオリゴ糖構造の一部として存在していてもよい。例えば、三糖、例 えばGalα1,3Galβ1,4GlcNAc、の一部であってもよい。使用可能な他の構造には 以下のものが含まれる。 1) 4つまでのGalα1,3Gal末端を提示し得る多分岐鎖オリゴ塘。これらのオリ ゴ糖は天然資源、例えばウシ又はブタチログロブリン、から容易に精製すること ができる。 2) 糖脂質誘導α−グリコシル化オリゴ糖。 3) 正しい末端構造を有する合成スフィンゴ糖脂質。これにより、ネオスフィ ンゴ糖タンパク質が作製される。 二糖Galα1,3Galそれ自体を用いることもできる。 上に論じられるエピトープの代替物として、他のエピトープを用いることがで きる。これらには、サブ末端残基(ガラクトースである必要はない)にα結合す る末端ガラクトースを有するオリゴ糖が含まれる。このα結合は1,3結合である 必要はない。その例は、メリビオース:Galα1,6Glc;ラフィノース:Galα1,6 (Fucα1,4)Glc及びアラビノガラクタンである。 ブタ以外の動物に由来する異種移植片が用いられる場合、それらの動物に関し て適切なエピトープを本発明の複合体の調製に用いることができる。いずれにし ても、Galα1,3Galは非霊長類動物及び新世界サルの間に広く発現し、多様な哺 乳動物に由来する臓器の異種間移植における主要エピトープであるように思われ る。しかしながら、ブタの場合のように、他のエピトープを用いることも可能で ある。さらに、他の種は、ヒトのXNA類と反応しうる独自のエピトープを示す可 能性がある。Galα1,3Galと同様に、ヒト成人はこれらのエピトープはどれも発 現しないものと思われる。 本発明において使用可能な様々な好ましいエピトープは下記リストに示される 炭水化物である。(しかしながら、もちろん、他のエピトープを用いることもで きる(例えば、WO93/03735号に記述される異種抗原)。)好ましいエピトープ性構造のリスト (i)(従来主張されるように)血液型Bに関連するオリゴ糖、五糖Galα1,3Gal β1,4GlcNAcμ1,3Galβ1,4Glc、Galα1,3Galβ1,3GalNAcβ1,4Galβ1,4Glc及び 血液型I−活性炭水化物を含む、Galα1,3Galで終わるあらゆる炭水化物(Dabrow ski,U.,et al,J.Biol.Chem.259: 7648-7651(1984))。 (ii)N−グリコリルノイラミン酸。これは、ブタの組織には発現するが正常ヒ ト組織には発現しない単糖である。しかしながら、これはヒト腫瘍では記述され ている(Fukui,Y.,et al,Biochem.Biophys.Res.Commun.160: 1149-1154( 1989))。これらに関して、N−グリコリルノイラミン酸はGalα1,3Galに類似する 。 (iii)Xが2、4、もしくは6であり得るGalα1,XGal。XNA類の中にはこれらの 構造を認識するものがあるという幾つかの証拠がある (Wieslander,J.,et al ,Glycoconjugate J.7: 85-100(1990))。 (iv)血液型A又はA様物質。これらの構造がブタの心臓(Cooper,D.,et al,T ranspl.Immunol.1: 198(1993))及び腎臓(Jalali-Araghi,K.,and Macher, B.A.,Glycoconjugate J.11: 266-271(1994))に発現するという証拠がある。 腎臓異種移植片の霊長類レシピエントにおいて抗−A抗体が誘発されるという実 験結果を本明細書の表1に示す。 血液型不適合の結果生じる症状を制御するためのA及びB炭水化物の注入がかつ て行われた(Romano, E.L.,et al,Transplantation Proceedings 19: 4475-44 78(1987))。 (v)T−及びT−関連抗原。ヒトは、かなりの力価のT−抗原に対する抗体を有す る(トムセン・フライデンライッヒ(Thomsen Freidenreich)抗原=Galβ1,3Ga TNAc−)。この二糖が(少なくともブタ及びヒトのリンパ球膜においては)潜在 的であるため、通常問題を引き起こすことはないが、通常非免疫原性ノイラミン 酸で覆われている(Newman et al,Eur.J.Biochem.64: 373-380(1976))。ブタ の異種移植片に含まれる全ての組織でこの覆いが完全ではない可能性がある。さ らに、異種移植片の遺伝子操作、例えば、末端Galα1,3Galの消失がT−抗原を露 出させる可能性がある。 また、ヒトはTn抗原(GalNAc−O−Ser/Thr)に対する自然抗体も有しており 、この抗原は、組織が被覆ガラクトースを付加することに失敗したことにより生 成し得る通常は潜在的な抗原である(Thurnher et al,J.Clin.Invest.91: 21 03-2110(1993))。 T−抗原はムチン(O−結合)オリゴ糖に共通の置換であると思われる。ブタ心 臓異種移植片の霊長類レシピエントの血清中の抗−T抗体について試験するため 。 IgG及びIgMサブクラスを、固定された内皮細胞と共に、α−ガラクトシル基及 びノイラミン酸を除去するように処理した高分子量のブタ胃ムチンの存在下にお いてインキュベートした (表2)。コーヒー豆α−ガラクトシダーゼによるα− ガラクトースの除去はIB−4レクチン結合研究によって確認した(データは示さず )。予備実験において、我々は、おそらくはT−抗原の認識による残留結合活性が 固定された内皮細胞への抗体結合の−15−20%を矛盾することなく説明し、それ が(IgGもしくはIgMクラスのいずれかのものであり得る抗−Galα1,3Galと は異なり)IgMクラスに限られることを見出した。 (vi)ポリ−N−アセチルラクトサミン及びラクトサミン(−Galβ1,XGlcNAc− )n(ここで、n=1又は>1であり、かつXは3又は4であり得る)。これらの構 造はヒトオリゴ糖の一般的な修飾ではあるが、A− B−及びB−様末端を有する 修飾物はブタに特有のものであり得る。これらのオリゴ糖は自然抗体に結合する だけではなく、炎症細胞を異種移植片に引き付けることが可能なラクトサミン結 合ラクチン(lactin)(LBL、(Feizi et al,Biochemistry 33: 6342-6349(199 4))の標的でもあり得る。 (vii)3−硫酸化ガラクトース (SO4-3Galβ−)。これは、正常ヒト組織におい て潜在的抗原として発現するため、従来潜在的な異種抗原として記述されていた (Samuelsson and Cairns,in Complex Carbohydrates in Drug Research,Alfre d Benzon Symposium 36,367-379.ed.Bock,Clausen(1994))。 (viii)異種間自然抗体への結合についてGalα1,3Galと競合するペプチドエピ トープ。これらは、ファージ・ディスプレイ技術によって決定されるペプチド配 列であっても、自然に生じる配列であってもよい。その例は、モノクローナル抗 −Galα1,3Galモノクローナル抗体と結合することが可能なネコ骨格筋超高速ミ オシン上の配列(1種もしくは複数)である(Kirkeby,S.,Cell Tissue Res. 283: 85-92(1996))。 (ix)N-アセチル−β−D−グルコサミン(GlcNAc)。Cooperは、ブタの心臓から 溶離されたヒト抗体の中に抗−GlcNAc特異性を同定している(Cooper,D.,et a l,Transpl.Immunol.1: 198(1993))。しかしながら、ヒト血清はGlcNAcに対す る自然抗体を含み(Emmrich et al,J.Exp.Med 161: 547(1985))、これがケラ チンと交叉反応し得る(Shikman and Cunningham,1994) ことは公知である。後 者の論文において、この抗−炭水化物抗体が最低で20個のGlcNAc残基を有するBS A−複合体にのみ結合することが注釈されていた。これが多数のエピトープを坦 持するのに十分に大きなものであり、それでもなお可溶性であることであるため 、アルブミンは他の多くの潜在的な“骨格”を上回る明瞭な利点を有している。 本発明の好ましい態様において、複合体は、異種間自然抗体が結合し得るエピ トープと肝細胞に(望ましくは高い特異性で)結合する構成体の一部とを含む。 この末端β−結合ガラクトースが肝細胞上に見出される肝タンパク質/アシアロ 糖タンパク質受容体に結合するため、この構成体の一部は、好ましくは、末端β −結合ガラクトースを含む(Virgolini et al,Nucl.Med.Commun.12: 507-51 7(1991)を参照)。この複合体は、それが結合する異種間自然抗体と共に、肝臓 を介して循環系から急速に一掃され得る。 本発明の複合体は、拒絶の予防又は緩和におけるその使用の指示を任意に含む キットの形態で提供することができる。 これは、通常、無菌の形態で薬学的に許容し得る組成物として提供され、この 組成物にはさらなる成分、例えば、緩衝剤、賦形剤等が含まれていてもよい。 この複合体は、例えば、無菌の生理食塩水又は生理食塩水−デキストロース中 に提供することもできる。 投与を容易にするため、単位剤形の形態で提供することができる。患者への注 射又は注入に適する形態であってもよい。 この複合体は、異種移植片(例えば、不調和異種移植片)の拒絶の予防又は少 なくとも拒絶の割合もしくは程度の減少に用いられる医薬の製造に用いることが 可能である。望ましくは、この医薬は、ヒトレシピエントにおける異種移植片の 拒絶の予防に用いられる。 上で本発明の複合体は主として異種間移植に関連して論じられているが、それ らには他の潜在的な用途があることに注意すべきである。例えば、これらは、異 種抗原(例えば、Galα1,3Gal)が関連する疾患の治療において有用であり得る 。“治療”という用語は、本明細書では、既に特定の疾患を患う患者の治療の他 に、予防的な治療を含むものとして用いられる。 幾つかのヒト疾患、例えば、シャガス病及びリーシュマニア(Avila et al., J.Immunol.142: 2828-2834(1989))及び特発性(idoopathic)骨髄線維症(Le oni et al.,British J.Haematology 85: 313-319(1993))は抗−Galα1,3Gal 抗体によるGalα1,3Galの認識に関与する。Towbin et al.,J.Exp.Med.166: 419-432(1987)には、自然タンパク質結合複合体Galα1,3Gal−マウスラミニンが リーシュマニア症血清中に誘発され、かつ正常ヒト血清中にも誘発された抗− Galα1,3Gal抗体の非常に良好な阻害剤であることが報告されている。したがっ て、本発明は、シャガス病、リーシュマニア及び特発性骨髄繊維症の治療におけ る潜在的な有用性を有するものである。 以下、添付の表及び図面を参照して、本発明を例としてのみ説明する。これら の添付の表及び図面においては以下のものが示される。 表1は、前及び後Tx血清の全IgM画分によるヒトA+及びB+赤血球(0.3%)の 凝集を示す。 ブタ心臓異種移植片(W544、W141、及びW135)又はブタ腎臓異種移植片(T381 及びV337)の霊長類レシピエントから血清を採集した。これをサイズ分画してIg G又はIgMを優勢に含むプールを作製した。IgM画分にヒトO赤血球を予め吸着さ せてA−又はB−体以外のエピトープに対する反応性を排除した。その後、IgMを ヒトA1又はB赤血球と混合して元の血清に対して1:40の最終希釈とした。括弧内 の数字は手術と血清の採集との間に経過した日数を示す。“前”はその血清が異 種間移植手術の前に採集されたことを示す。室温で2時間後、赤血球を凝集の徴 候について検査した。第2及び第3欄の値は、赤血球の完全な凝集を生じ得る( 生の血清に対する)IgMの最低希釈を示す。対照として、ヒトA1及びB赤血球もモ ノクローナル抗−AもしくはB型抗体で競合させた。 表2は、ブタ胃ムチンのアガラクトシル−、アシアロ−高分子量画分を用いる 固定化ブタ大動脈内皮細胞に対する抗体結合の阻害を示す。 血清試料からのIgG及びIgM画分を、HSA又は脱シアリル化したα−ガラクトシ ダーゼ処理ブタ胃ムチン(高分子量画分)のいずれかと混合し、抗体の血清に対 する最終希釈が1:12であり、かつ阻害剤の最終濃度が100μg/mlとなるように した。‘W54’及び‘W141’はhDAFを発現するブタ心臓異種移植片の2匹のカニ クイザルレシピエントである。数字は移植後の日数を表す。‘前’は移植前の試 料を示す。4℃で2時間後、これらの混合物を固定化ブタ大動脈内皮細胞をコー トしたウェルに入れた。室温で2時間のインキュベーション時間の後、ペルオキ シダーゼ結合抗−ヒトIgM又はIgGを用いて結合抗体を検出した。表2は、ムチン の存在下における免疫グロブリンの結合の変化のパーセンテージをHSAとの対比 で示す。可溶性糖及び糖複合体によるB−三糖-HSAに対するXNA IgMの結合の阻害 図1は、本発明に従って用いることができる複合体での競合結合阻害検定の結 果を、遊離のオリゴ糖を用いるこの検定の結果に加えて示す。 この図は、存在するエピトープの総数を考慮に入れた場合であっても、B−三 糖−HSAがXNA IgMの結合で遊離のB−三糖よりも、モル対モルで、ほぼ2倍のオ ーダーで良好であることを示す。仮説の1つは、タンパク質上のエピトープの配 列が免疫グロブリンの数本の腕を一度に結合することを可能にし、これが免疫グ ロブリンの親和性を高めるというものである。さらに、タンパク質の骨格が炭水 化物エピトープの自由な運動を妨げ、これがそれらの抗原性を高める可能性があ る。これらの特性は(WO93/03735号に述べられるように)全ての複合体に自動 的に割り当てられるものではなく、全てはタンパク質主鎖を用いることの大きな 利点である。アフィニティ単離IgM又はIgGの連続希釈、次いで1/8哺乳幼若(babv)ウサ ギ補体との初期インキュベーションを含む、正常ブタ内皮細胞(PAE68#3)に対 する2段階クロム放出検定 図2は、アフィニティ単離IgM又はIgGの連続希釈、次いで1/8哺乳幼若ウサギ 補体との初期インキュベーションを含む、正常ブタ大動脈内皮細胞(ここではPA E68#3と呼ばれる)に対する2段階クロム放出検定の結果を示す。 放出されたクロムの量は、XNAの結合によって始まった補体介在溶解の程度を 反映する。異なる4種類の糖の存在下におけるヒトアフィニティ単離IgM(10μ/ml)のい ずれか、次いで1/8哺乳幼若ウサギ補体との初期インキュベーションを含む、正 常ブタ内皮細胞(PAE=68#4)に対する2段階クロム放出検定 図3は、異なる3種類の糖又はHSA−B−三糖複合糖質の存在下におけるヒトア フィニティ単離IgM(10μg/ml)又はIgG(80μg/ml)のいずれか、次いで1/8 哺乳幼若ウサギ補体との初期インキュベーションを含む、正常ブタ内皮細胞(PA E −68#4)に対する2段階クロム放出検定の結果を示す。固定化PAECに対するプールされたヒト血清に由来するIgG又はIgMの結合のB−三 糖−HSA(HSA−3)との予備インキュベーションによる阻害 図4は、ヒト血清の全IgM及びIgG画分を様々な濃度のB−三糖−HSAと混合し、 次いでマイクロタイタープレートのウェル中で培養ブタ大動脈内皮細胞の固定化 単層と共にインキュベートした競合結合阻害検定の結果を示す。 第2工程において、1/200ペルオキシダーゼ結合抗−ヒトTgM及びIgG抗体(シ グマ (Sigma))を添加する。結合したペルオキシダーゼを測定し(縦軸)、それ をブタ細胞に結合した血清抗体の量に単純に関連付ける。複合体の存在下におけ る免疫グロブリンの結合の低下は、移植前IgM及びIgGのブタ組織への結合におけ るGalα1,3Galの重要性を示す。 IgG及びIgMの両者の結合の大部分はGalα1,3Galの認識によるものではあるが 、複合体の効力が1gGに対するものを上回ることに注意されたい。これは、これ らの抗体の細胞毒性効果を実質的に減少させるのに結合の部分的な阻害だけで十 分であるという場合であり得る。w544 :後Tx AAG IgG 図5は、(超急性拒絶を克服するように遺伝的に改変された)ブタ心臓の移植 後の霊長類(w544、これはトランスジェニック(ヒトDAF発現)ブタ心臓異種移 植片が移植され、低シクロホスファミド(免疫抑制剤)措置も施されているカニ クイザルである)の血清中における抗−αGal抗体の変化を示す。 最初にIgM及びIgGをゲル濾過クロマトグラフィーによって分離し、IgGプール 中の抗−αGal成分をB−三糖−HSAを標的として用いるELISAによって測定した。 ヒストグラムは、異種移植片の拒絶の少し前のレシピエントの血清中の抗−αGa l IgG濃度の増加を示す。補体依存性ブタ赤血球溶解検定による測定での、普遍 化された抗−ブタ抗体の力価も示されている。B −三糖−HSAの存在下におけるPAECに対する異種間移植後IgGの結合の阻害 図6は、レシピエントの異種間移植後免疫グロブリンのブタ細胞への結合にお いてGalα1,3Galの認識がいかに重要であるのかを示す。 図5に示されるレシピエントに由来する異種移植片後血清を、HSA又はB−三糖 −HSA(0.2mg/ml)の存在下において、固定化大動脈内皮細胞株に加えた。B− 三糖−HSA処置は、その最大効果を、異種間移植前IgG及び拒絶の直前に採集され た血清に由来するIgGに対して有していた。したがって、ELISAによる測定で抗− αGal抗体が絶え間なく存在するにもかかわらず、ブタ細胞の存在下における複 合体の競合力は可変であり、おそらくは誘発された抗体の親和性の変化に関連し ていた。これは、この場合の拒絶に先立つ抗−αGal IgGピークが複合体との競 合に比較的敏感であるということを積極的に認めている。アフィニティ精製IgMによるPAECの相対的染色 図7は、B−三糖−HSA、他の自然にα−ガラクトシル化された糖タンパク質及 びXNA IgM標的異種抗原の阻害効力の比較を示す。 ヒト血清に由来するアフィニティ精製抗−Galα1,3Gal IgMを、HSA、B−三糖 −HSA、ネズミEHSラミニン、ウシチログロブリン、又はブタ血小板異種抗原のい ずれかと共に予備インキュベートした後、固定化ブタ大動脈内皮細胞(PAEC)に 加えた。横軸は、セイヨウワサビペルオキシダーゼ結合ヒト抗−IgM抗体を用い て検出した、PAECに結合したXNA IgMの量を表す。 実施例 XNAを500mlのヒト血清からチログロブリン−セファロースでのアフィニティク ロマトグラフィーによって精製した。チログロブリンはα−ガラクトース炭水化 物に富む糖タンパク質である。第2工程において、ゲル濾過によりIgG及びIgMサ ブクラスを分離した(この手順はサイズに基づいて分画する)。 選択された遊離の糖及び結合糖を、α1,3−ガラクトシル化糖タンパク質(こ こでは、“B−三糖−HSA”と呼ぶ。これは、3個の原子スペーサーを介してヒト 血清アルブミンに結合する複数のGalα1,3Galβ1,4GlcNAc部分(すなわち、B− 三糖)を含んでなる構築体であり、NGP2334という製品番号でDextra Laboratori es Ltd、Reading、UKから入手可能である)へのXNA IgMの結合を阻害する能力に ついて試験した(図1)。最も際立った結果は、B−三糖-HSAが非結合Galα1,3G alβ1,4GlcNAc(図1及び3におい“B−三糖”と呼ばれている)よりもIgM結合 に対して100倍阻害性であったことである。これらの図は“B−二糖”にも言及す る。これはGalα1,3Galである。ある場合には、これはスペーサー枝と共に用い られる。このスペーサー枝はOCH2CH2CH2NH2である。図1はB−二糖−PAAに言及 する。これは、Rieben et al,Xenotransplantation 2 98-106(1995)に記述され るように、ポリアクリルアミド及び複数のGalα1,3Galエピトープ及びポリアク リルアミドの複合体である。二糖エピトープの各々は、CH2CH2CH2Oの組成物のス ペーサーを介して、ポリアクリルアミド上のCONH部分に結合する。これはSyntes ome GmbHから入手可能であり、B−三糖−HSAとの比較のために用いた。10モル% 置換の形態を用いた。 アフィニティ単離ヒトIgG及びIgMのブタ内皮細胞の溶解を誘発する能力を、2 段階51クロム放出検定により測定した。簡単に述べると、正常ブタ内皮細胞を96 ウェルプレート中で集密まで成長させた後、洗浄して51クロムで標識した。過剰 の標識を除去し、細胞を異なる濃度のXNAに晒した。未結合の抗体を除去し、1/ 8哺乳幼若ウサギ補体を37℃で1時間添加した。細胞の溶解を、これらの細胞を 補体と共にインキュベートした後の培地中に検出することができる、内皮細胞に 関連する総カウントのパーセンテージとして表した。 両免疫グロブリンは内皮細胞に結合し、その結果、それらの固定化及び引き続 く哺乳幼若ウサギ補体の活性化により細胞の溶解が生じた。対照実験において、 抗体又は哺乳幼若ウサギ補体単独では特異的な細胞溶解は生じなかった(図2)。 TgG画分は12.5μg/mlに希釈し、これに対して、IgMの値は0.47μg/mlであった 。50%溶解に対する値にはほぼ10倍の相違があり、IgMについての3.2μg/mlと 比較してIgGについては0.32μg/mlであった。 次に、ブタ内皮細胞への抗体の結合(したがって、溶解)を様々な糖で阻害し た。アフィニティ単離IgM(10μ/ml)又はIgG(80μg/ml)を内皮細胞と共に様 々な濃度の4種類の異なる糖調製品の存在下において前記と同様にインキュベー トした。その後、細胞を洗浄し、前に記述される通りに哺乳幼若ウサギ補体に 晒した。 細胞溶解、したがって、いずれかの免疫グロブリンの存在下における抗体結合 の最も強力な阻害剤は、B−三糖−HSA複合体であった(図3)。B−三糖−HSA複合 体は、XNA IgM結合の阻害剤としては、非結合B−三糖と比較した場合10倍を上回 って有効であり、この非結合B−三糖はIgMの存在下においてB−二糖(すなわち 、Galα1,3Gal)よりも優れていた。この効果はIgGに対するものほど顕著ではな かったが、依然として顕著であった。IgG結合についてはB−三糖とB−二糖との 相違はごく僅かであったが、それらは、その阻害作用において、IgMとは対照的 に、IgGに対してより有効であった。非特異的な糖として用いられるグルコース には、10mMの濃度であっても、IgG又はIgM結合のいずれに対しても阻害作用はな かった。 用いられたB−三糖−HSA複合体は、イン・ビトロでヒトXNAの適用によって誘 発されるブタ細胞の破壊の非常に効率的な阻害剤であった。 この化合物はブタ−ヒト異種移植物の生存期間を引き延ばすことが可能であり 、保護の付与に要する分子が(遊離のα−ガラクトシル化糖と比較して)より少 なくてすむものと思われることから、レシピエントにおける浸透圧の撹乱を減少 させることが可能である。 本発明を支持するさらなるデータを表1及び2並びに図4〜7に示す。このデ ータは第16〜21頁に論じられている。用いられる略語のリスト BSA:ウシ血清アルブミン HSA:ヒト血清アルブミン Glc:グルコース GlcNAc:N−アセチルグルコサミン GalNAc:N−アセチルガラクトサミン Gal:ガラクトース XNA:異種間自然抗体 IgG:Gクラスの免疫グロブリン IgM:Mクラスの免疫グロブリン B−三糖−HSA:ヒト血清アルブミンに結合した複数のGalα1,3Galβ1,4GlcNAcエ ピトープ DME:ダルベッコ改変イーグル培地
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU, CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,H U,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ ,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG, MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM ,TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 医薬に用いるための、タンパク質及び複数のエピトープの合成複合体であ って、該エピトープが異種間自然抗体に結合することが可能な合成複合体。 2. 前記タンパク質がヒト体内に存在する場合に有害免疫応答を引き起こすこ とがない、請求項1による医薬に用いるための複合体。 3. 前記タンパク質がヒトタンパク質又はそれらの機能的等価物である、請求 項1又は2による医薬に用いるための複合体。 4. 前記タンパク質が血液中に見出されるタンパク質である、請求項1〜3の いずれか1項による複合体。 5. 前記タンパク質が血清アルブミンである、請求項1〜4のいずれか1項に よる医薬に用いるための複合体。 6. 前記エピトープが、末端ガラクトースをα配置で含み、かつ所望によりス ペーサー分子を介してタンパク質に結合するオリゴ糖又はそれらの模倣体から選 択される、請求項1〜5のいずれか1項による医薬に用いるための複合体。 7. α結合ガラクトースを含む複数のエピトープを有する、請求項1〜6のい ずれか1項による医薬に用いるための複合体。 8. Galα1,3Galを含む複数のエピトープを有する、請求項7による医薬に用 いるための複合体。 9. 肝細胞に結合する部分をさらに含む、請求項1〜8のいずれか1項による 医薬に用いるための複合体。 10. 前記肝細胞に結合する部分がβ結合ガラクトースを含む、請求項9による 医薬に用いるための複合体。 11. 異種移植片の拒絶を予防し、又は少なくとも拒絶の程度もしくは割合を減 少させる方法であって、請求項1〜10のいずれか1項に記述される複合体を患者 に投与することを包含する方法。 12. 異種間自然抗体に結合することが可能なエピトープが関与する疾患(例え ば、シャガス病、リーシュマニア又は特発性骨髄線維症)の治療方法であって、 請求項1〜10のいずれか1項に記述される複合体を患者に投与することを包含す る 方法。 13. 血液ドナーから採取した血液を処理して存在する異種間自然抗体の数を減 少させる方法であって、請求項1〜10のいずれか1項に記述される複合体を通し て該血液を流すことを包含する方法。 14. 前記複合体が固定されている、請求項13による方法。 15. 請求項13又は14による方法における使用に適する装置であって、請求項1 〜10に記述される複合体の少なくとも1種を含む免疫吸着剤、その内部に該複合 体が保持されているチャンバー及び流体の出入口を具備する装置。 16. 請求項13又は14の方法に従って処理された血液。 17. 請求項1〜10のいずれか1項に記述される複合体を含む、薬学的に許容し 得る組成物。 18. 注射又は注入での使用に適する、請求項17による薬学的に許容し得る組成 物。 19. 請求項1〜10のいずれか1項に記述される複合体、請求項16による血液、 請求項17もしくは18による薬学的に許容し得る組成物、又は請求項15による装置 を含むキットであって、 a) 異種移植片の拒絶の予防又は少なくとも拒絶の割合もしくは程度の減少、あ るいは b) 異種間自然抗体に結合することが可能なエピトープが関与する疾患(例えば 、シャガス病、リーシュマニア又は特発性骨髄線維症)の治療 において用いるための指示を含むキット。 20. 異種移植片の拒絶を予防し、又は少なくとも拒絶の程度もしくは割合を減 少させるための医薬の製造における請求項1〜10のいずれか1項による複合体の 使用。 21. 異種間自然抗体に結合することが可能なエピトープが関連付けられる疾患 (例えば、シャガス病、リーシュマニア又は特発性骨髄線維症)を治療するため の医薬の製造における請求項1〜10のいずれか1項による複合体の使用。 22. 添付の例に関して、実質的に前記に説明される本発明。
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