【発明の詳細な説明】
高空間分解能エリプソメトリー装置
本発明は、エリプソメトリー(楕円偏光法)の分野に関し、特に分光エリプソ
メトリーに関する。
本発明は、概括的には、エリプソメトリーが使用されるすべての分野、特にエ
キシマレーザーによるアモルファス・シリコン試料のアニーリングのようなレー
ザー表面処理の光学検査における超小型電子技術に応用される。また本発明は、
特に表面清浄、研磨および調製に応用される。
一般的な定義として、エリプソメーターは、
−光源、試料配置および光検出器と、
−光源と試料配置との間に配置され、第1偏光光学手段を備え、偏光光ビーム
により傾斜入射角で試料を照射する第1光学系と、
−試料配置と光検出器との間に配置され、第2偏光光学手段を備え、試料から
反射してきた光を集光する第2光学系と、
−第1および第2光学系の一方がそれに入射したビームを振幅および/または
位相変調するようにされることと、
−第1光学系と組合わされ、第1光学系の照射ビームを試料上に集束させる第
1集束手段と、
−第2光学系と組合わされ、試料から反射してきたビームを第2光学系の入口
に集束させる第2集束手段と、
−光検出器で受けた光の振幅および/または位相を偏光角の関数として測定し
て試料の表面状態の情報を発生する電子制御および処理手段とから成っている。
エリプソメトリーによる試料の特徴付けは、例えば試料のレーザー処理を最適
な形態で検査するために有利に使用され得る。これは、特に重要な形態において
、本出願人が同日に出願した、「レーザー表面処理用装置および方法」なる名称
の特許出願番号第9509778 号(有効な目的のためにその内容は本願と一体部分を
有する)に開示されているエキシマレーザーによるアモルファス・シリコン試料
の
アニーリングの場合である。
しかしながら、レーザーアニーリングに組合せて、エリプソメトリーによる試
料の特徴付けを行うには、高空間分解能での光学分析が必要である。
本発明の目的は、正確には、高空間分解能をもつエリプソメーターを提供する
ことにある。
本発明は、第1および第2集束手段と組合わされ、収束した反射ビームの位置
を補正して、照射ビームを受ける表面と反対側の試料の表面で発生した干渉反射
を除去しそして光検出器において最大信号レベルを得るようにする光学補正手段
を有することを特徴とする上記型のエリプソメトリー装置に関する。
従って本装置は、干渉反射を除去しそして光検出器における集束した反射ビー
ムの位置を微調整することにより測定の精度を改善できるという効果を奏する。
本発明の他の特徴および効果は以下の説明および添付図面を参照することによ
り明らかとなろう。図面は本発明による改良型のエリプソメーターを概略的に示
す。
図面において、符号ELは分光エリプソメーターを表し、この分光エリプソメ
ーターは例えば、本出願人が商品参照符号ES4Gで市販したものである。この
ような分光エリプソメーターの改良は、フランス国特許第86 03188号(フランス
国特許公開第2 595 471 号公報)に開示されている。
電源1は、高圧キセノン・アークランプのような広帯域光源2を作動する。第
1光学系10は偏光子15を備え、光源2からの光ビームを、パネルPAに照射
刷るビームに変換し、パネルPAは、好ましくは三つの直交方向X、Y、Zに動
くことのできるパネル支持テーブルTABに装着されている。
有効な光は、パネルPAの表面に垂直な軸線に対して入射ビームと対称である
と考えられ得るようにして、パネルPAで反射したものである。
この反射光は分析器25を備えた第2光学系20で受けられ、光源の光学帯域
に同調され得るプリズムモノクロメーター6の入口スロットに供給される。モノ
クロメーター6からの光は光検出器7に供給され、この光検出器7はフォトダイ
オード例えば512または1024個の画素のアレイから成り、波長の検出を行
うことができる。
電子制御装置GES1は、
−偏光子15に作用して、入射光ビームの偏光の状態における影響、例えば回
転偏光子の場合には連続した回転設定を制御するようにし、
−パネル支持テーブルTABに組合されたステッピングモーターに作用して、
X−Y−Z方向におけるそれらモーターの動きを制御するようにし、
−ロボットROBに作用して、処理すべきパネルが収納される収納ラックから
のパネルの取出し、取出したパネルのパネル支持テーブルへの移送、パネル支持
テーブルの選択した位置へのパネルの位置決め、処理後のパネルの把持および元
の収納ラックまたは別の収納ラックへのパネルの収納を制御するようにし、
−閉鎖部材14に作用して、それの動作を制御するようにし、
−分析器25に作用して、ステッピングモーターによる検光子25の方向決め
を制御するようにし、
−モノクロメーター6に作用して、それの同調波長を定めるようにし、
−レーザー源LAに作用してそれの光束を制御するようにする。
光検出器7からの信号はマネージメント手段GES1に供給され、偏光子15
の回転および特に処理すべきパネルの位置と、検光子の位置と、各測定値が対応
する波長とを含む他の収集データに関連して記録される。
電子装置GES1によって随意に予め処理されたこの情報は、マイクロコンピ
ューターのような処理手段GES2に伝送される。パネルに取られた座標(各場
合にスポットにより照射された位置と組合される)に応じて、処理手段は、エリ
プソメトリー情報(例えば、「プサイ正接」および「デルタ余弦」)および処理
すべきパネルの表面状態および/または多層構造を表す曲線を発生する。
機台好ましくは単一機台は、キセノン・ランプ2の電源1、マネージメント手
段GES1、モノクロメーター6、光検出器7および適用できる場合には処理手
段GES2を備えている。
実際に、光源すなわちキセノン・ランプ2からの光はレンズ30を介して光フ
ァイバー3の入口カプラー31へ伝送される。光ファイバー3は、光学系10に
接続され、光学系10はファイバー出口カプラー11、二つの戻りミラー12A
、12B、コリメーション膜13、閉鎖部材14および偏光子15を備えている
。
本発明によれば、偏光子15からの平行ビームは収束レンズL1によって処理
すべきパネルの焦点PFに収束され、「モノクロメータースポット」を形成する
。収束レンズL1はパネルの物体平面のレベルに配置される。
対称的に、反射光は、別の収束レンズL2によって検光子25に収束される。
別の収束レンズL2はパネルの像平面のレベルに配置される。収束レンズL1、
L2は光学的に結合される。これらの収束レンズL1、L2は、以下に詳細に説
明するように、エリプソメーターの空間分解能を改善する。
検光子25からの光ビームはミラー26によって第2光ファイバー5の入口セ
ンサー27に収束される。
光ファイバー5の出口カプラー28からの光は、レンズを介してモノクロメー
ター6の入口スロットに供給される。
TFTトランジスター(薄膜トランジスター)を製作するように構成したパネ
ルの場合に、このパネルは、厚さ約0.7 〜1.2 mmのガラス基板上の深さ約50n
mのアモルファス・シリコンの層を備えている。ガラス基板の後面とその支持体
(パネル支持テーブル)との間の界面は、エリプソメトリー測定を阻害し得る干
渉反射光ビームを発生することが観察された。この現象は他の多くの応用におい
ても存在する。
本発明によれば、収束レンズL1、L2から成る光学組立体によりこの干渉反
射は除去され得る。
これは、パネルの表面における収束レンズL1からのスポットの直径が例えば
約100 μmであるからである。このサイズは、通常使用されるガラス基板の平均
厚さより非常に小さい。試料で反射した光の有効部分(すなわちレーザーアニー
リング応用においては層間の異なる界面に関係する)は、収束レンズL2によっ
て正しく取られ、光ファイバー5に供給すなわち再集束される。他方、試料の前
面における反射による光スポットの位置は試料の後面における反射による光スポ
ットの位置と異なり、試料の後面における反射は収束レンズL2によって光ファ
イバー5に戻されず(または容易に認められるようにほとんど戻されず)、それ
により試料の後面における反射を除去すること(またはほとんど除去すること)
ができる。
提示した問題を解決するため、試料に普通に照射されるビームを集束すること
は、収束レンズL1、L2のようなレンズの使用では予期出来ないことである。
すなわち、これは、既に扱い難い技術のエリプソメトリーが高分解能で作動する
ことが望まれる場合にはさらに扱い難くくなり、また従来の手段を変えるにも困
難性が伴うためである。
大きなパネルをアニーリングする応用例では、Z方向における試料ホルダーT
ABにおけるパネルの位置決めは、エリプソメトリー装置の高空間分解能を得る
ために完全に制御されなければならない過酷な操作であることが認識されるべき
である。
本発明によれば、この操作は次のように制御される。
最初に、垂直方向Zにおける各形式のパネルの曲率は、垂直方向Zに関してエ
リプソメトリースポットを調整することによって考慮される。調整の値はパネル
上に(随意にはパネル上の複数の領域によって)取られた座標に応じて記憶され
る。各形式のパネルのプロファイルの地図製作法はコンピューターGES2の記
憶装置に記憶される。
次に、レーザー表面処理を制御する方法において、こうして記憶装置に記録さ
れ記憶されたパネルの選択した領域における分析光スポットの照射位置は、処理
すべき一連のパネルに対して再使用される。
しかしながら、これは、同じ形式のパネルでもパネルが違う毎に変形に差が生
じ得るので、常に十分であるとは限らない。
本発明によれば、出口ファイバー5におけるスポット(試料で反射されそして
レンズL1、L2で収束された光ビーム)の位置の微調整は、光ビームに対して
、検光子25と光ファイバー5の入口カプラーとの間に配置した透明板PT(平
行面シート)を傾斜させることにより得られる。一つまたは複数の回転軸は、シ
ートの表面に対して接している。この回転は、マネージメント手段GES1によ
って制御され、常に光検出器7のアレイにおいて最大信号レベルとなるようにさ
れる。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】1997年7月28日
【補正内容】
明細書の補正(第1〜3,3A頁の翻訳)
高空間分解能エリプソメトリー装置
本発明は、エリプソメトリー(楕円偏光法)の分野に関し、特に分光エリプソ
メトリーに関する。
本発明は、概括的には、エリプソメトリーが使用されるすべての分野、特にエ
キシマレーザーによるアモルファス・シリコン試料のアニーリングのようなレー
ザー表面処理の光学検査における超小型電子技術に応用される。従って本発明は
、非常に特殊な応用として、透明基板上に設置したアモルファス・シリコンの少
なくとも一つの層から成る液晶スクリーンの製造に応用される。また本発明は、
特に表面清浄、研磨および調製に応用される。
フランス国特許公開第2602338号公報およびJOURNAL OF APPLIED PHYSICS 1986
年8月1日米国 Vol.60、No.3、ISSN 0021-8979 、pp.859-873、XP00579985
、M.Erman 等の“Spatially resolved ellipsometry”には、エリプソメーター
は一般的な定義として、光源と、試料ホルダーと、光検出器と、光源と試料ホル
ダーとの間に配置された第1光学系と、試料ホルダーと光検出器との間に配置さ
れた第2光学系とから成っている。第1光学系は、試料ホルダーで支持された試
料を傾斜した入射角度で偏光光ビームによって照射する。第2光学系は、試料か
ら戻ってきた光を集束する。実際に、第1光学系と組合さった第1集束手段は、
第1光学系からの照射ビームを試料上に集束させ、一方、第2光学系と組合さっ
た第2集束手段は、試料の表面で反射したビームを第2光学系の入印こ集束させ
る。
本出願人が特許出願番号第9509778 号において「レーザー表面処理用装置およ
び方法」なる名称で出願し、フランス国特許公開第2737806 号公報で公開された
特許出願(有効な目的のためにその内容は本願の一体部分を有する)において、
エリプソメトリーによる試料の特徴付けは、液晶スクリーンの製造においてエリ
プソメトリー測定法によりレーザーエネルギーの照射を制御することによってレ
ーザーによるシリコンの再結晶化のプロセスを最適化するために有利に使用され
る。
かかる液晶スクリーンの製造において、試料ホルダーは、所望の厚さの透明基
板(例えばガラス)上に設置した所望の厚さのアモルファス・シリコン型の材料
の少なくとも一つの層から成る試料を支持する。試料の前面は照射光を受け、一
方試料の後面は試料ホルダーと接触している。
透明基板の厚さのため、試料の後面と試料ホルダーとの間の界面は、エリプソ
メトリー測定を狂わし得る干渉光ビームを第2光学系および光検出器に向って反
射させる。
本発明の目的は、正確には、高空間分解能をもつエリプソメーターを提供する
ことにある。
本発明は、第2集束手段が、試料の前面で反射した光を受けて光検出器の入射
瞳に集束させ、試料ホルダーと接触している試料の後面で発生した干渉反射が光
検出器の入射瞳からはずされ、またエリプソメーターが、検光子と光検出器の入
射瞳との間に配置され、第2集束手段で光検出器の入射瞳に集束した有効な反射
光の位置を微調整するために制御されるようにした光学補正手段を有することを
特徴とする上記型のエリプソメトリー装置に関する。
従って、処理すべきシリコンの層が透明基板上に配置される液晶スクリーンの
製造において、本装置は、干渉反射を除去しそして光検出器の入射瞳における有
効な反射ビームの位置を微調整することにより測定の精度を改善できるという効
果を奏する。上記の技術状態において、処理すべき試料の層が透明基板上に配置
されてないので、試料の処理は本発明によって解決される問題を解決しないこと
が認識されるべきである。
本発明の他の特徴および効果は以下の説明および添付図面を参照することによ
り明らかとなろう。図面は本発明による改良型のエリプソメーターを概略的に示
す。
図面において、符号ELは分光エリプソメーターを表し、この分光エリプソメ
ーターは例えば、本出願人が商品参照符号ES4Gで市販したものである。この
ような分光エリプソメーターの改良は、フランス国特許第86 03188号(フランス
国特許出願第2 595 471 号公報)に開示されている。
電源1は、高圧キセノン・アークランプのような広帯域光源2を作動する。第
1光学系10は偏光子15を備え、光源2からの光ビームを、パネルPAに照射
刷るビームに変換し、パネルPAは、好ましくは三つの直交方向X、Y、Zに動
くことのできるパネル支持テーブルTABに装着されている。
有効な光は、パネルPAの表面に垂直な軸線に対して入射ビームと対称である
と考えられ得るようにして、パネルPAで反射したものである。
この反射光は検光子25を備えた第2光学系20で受けられ、光源の光学帯域
に同調され得るプリズムモノクロメーター6の入口スロットに供給される。モノ
クロメーター6からの光は光検出器7に供給され、この光検出器7はフォトダイ
オード例えば512または1024個の画素のアレイから成り、波長の検出を行
うことができる。
請求の範囲の補正(翻訳)
1.光源(2)と、試料ホルダー(TAB)と、光検出器(7)と、前記光源(
2)と前記試料ホルダー(TAB)との間に配置され、第1偏光光学手段(15
)を備え、偏光光ビームにより傾斜した入射角で試料(PA)を照射する第1光
学系(10)と、前記試料ホルダー(TAB)と前記光検出器(7)との間に配
置され、第2偏光光学手段(25)を備え、前記試料(PA)から反射してきた
光を集光する第2光学系(20)と、前記第1光学系(10)と組合され、前記
第1光学系(10)の照射ビームを前記試料(PA)に集束させる第1集束手段
(L1)と、前記第2光学系と組合され、前記試料表面からの反射ビームを前記
第2光学系の入口に集束させる第2集束手段(L2)とを有する形式のエリプソ
メトリー装置において、
前記試料ホルダー(TAB)が、所望の厚さの選択した材料の少なくとも一つ
の層から成る前記試料(PA)を支持し、前記試料の前面が照射光を受け、前記
層を所望の厚さの透明基板上に設置し、前記試料の後面が前記試料ホルダーと接
触し、前記第2集束手段(L2)が、前記試料(PA)の前面で反射した光を受
けて前記光検出器(7)の入射瞳に集束させ、前記試料ホルダー(TAB)と接
触している前記試料(PA)の後面で発生した干渉反射が前記光検出器(7)の
前記入射瞳からはずされ、また、前記検光子(25)と前記光検出器(7)の前
記入射瞳との間に配置され、前記第2集束手段(L2)で前記光検出器(7)の
前記入射瞳に集束した反射光の位置を微調整するために制御されるようにした光
学補正手段(PT)を有することを特徴とするエリプソメトリー装置。
2.前記光学補正手段が、前記第2集束手段(L2)で集束した有効な反射光ビ
ームに対して傾斜でき、有効な反射光ビームの位置を調整して前記光検出器(7
)において最大信号レベルとなるようにする透明シートを有することを特徴とす
る請求の範囲1記載のエリプソメトリー装置。
3.前記エリプソメーターが分光型のものであることを特徴とする請求の範囲1
記載のエリプソメトリー装置。
4.前記第1集束手段が前記第1光学系(10)の下流に配置された集束レンズ
(L1)から成ることを特徴とする請求の範囲1記載のエリプソメトリー装置。
5.前記第2集束手段が前記第2光学系(20)の上流に配置された集束レンズ
(L2)から成ることを特徴とする請求の範囲1記載のエリプソメトリー装置。
6.前記第1光学系が前記光源と前記偏光子との間に配置された第1光ファイバ
ー(3)を備えていることを特徴とする請求の範囲1〜5のいずれか1項に記載
のエリプソメトリー装置。
7.前記第2光学系が前記検光子(25)と前記光検出器(7)との間に配置さ
れた第2光ファイバー(5)を備え、前記第2光ファイバーが、入口カプラーと
前記光検出器(7)へ光を供給する出口カプラーとを備え、前記第2光ファイバ
ーの前記入口カプラーが前記光検出器(7)の前記入射瞳に対応していることを
特徴とする請求の範囲1記載のエリプソメトリー装置。
8.互いに直交する三つの方向に動くことのできる試料ホルダー(TAB)を有
することを特徴とする請求の範囲1〜7のいずれか1項に記載のエリプソメトリ
ー装置。