JPH11509521A - エンベロープ化ウイルスに対する多能性ワクチン - Google Patents

エンベロープ化ウイルスに対する多能性ワクチン

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JPH11509521A JP8532683A JP53268396A JPH11509521A JP H11509521 A JPH11509521 A JP H11509521A JP 8532683 A JP8532683 A JP 8532683A JP 53268396 A JP53268396 A JP 53268396A JP H11509521 A JPH11509521 A JP H11509521A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、哺乳動物における、エンベロープ化動物ウイルスに対する免疫応答の誘導のための組成物および方法に関する。より詳細には、本発明は、複数のMHCアロタイプを含有するワクチン組成物を提供する。これらのMHC分子に対する免疫応答を生じさせることにより、ウイルスまたは外来MHC分子を発現するウイルス感染細胞は、免疫された宿主において細胞の感染前に攻撃され得る。いくつかの実施態様において、ワクチン組成物は、ウイルス抗原およびアジュバントを同様に含有する。ワクチン組成物は、インタクトな細胞、細胞由来の膜調製物、あるいは組換えでまたは化学的に生成されたMHC分子もしくはそのフラグメントを含有し得る。

Description

【発明の詳細な説明】 エンベロープ化ウイルスに対する多能性ワクチン 発明の背景 I.発明の分野 本発明の分野は、哺乳動物におけるエンベロープ化ウイルスに対する免疫応答 を誘導するための組成物および方法に関する。特定の実施態様において、本発明 は、哺乳動物集団における顕著な遺伝的多型を示す、主要組織適合遺伝子複合体 抗原および副組織適合遺伝子複合体抗原、血液型抗原、ならびに他の細胞表面抗 原を含むワクチンに関し、それらは、エンベロープ化ウイルスが細胞膜から出芽 するときにエンベロープ化ウイルスによって拾い上げられ得、そしてそれゆえ免 疫攻撃のための標的として役立ち得る。 II.関連技術の説明 A.エンベロープ化ウイルス 真核生物ウイルスは、主としてそれらが引き起こす疾患について知られている 、感染性病原体の大きくそして多様な群である。これらの病原体は、ゲノム構造 、複製の様式、および宿主特異性を含む多くの基準によって分類され得る。真核 生物ウイルスのグループ化の別の様式は、ウイルス粒子の構造によるものである 。「非エンベロープ化」ウイルス粒子は、ウイルスゲノムを包囲しそして保護す るタンパク質性のカプシドからなる。カプシドは、ウイルスゲノムによってコー ドされそして宿主細胞内で合成されるウイルスの構造的産物によって形成される 。「エンベロープ化」ウイルスもまた、ウイルスの遺伝的物質を包囲するカプシ ド構造を有するが、これはさらに、カプシドを包囲する脂質二重層構造の「エン ベロープ」を有する。エンベロープは、宿主細胞膜(−−通常は細胞質膜である が、しかし時には核膜、ゴルジ装置または小胞体から)の1つを通ってカプシド が出芽する際に獲得される。 エンベロープ化ウイルスファミリーの例として、トガウイルス科、フラビウイ ルス科、コロナウイルス科、ラブドウイルス科、フィロウイルス科、パラミクソ ウイルス科、オルトミクソウイルス科、ブニヤウイルス科、アレナウイルス科、 レトロウイルス科、ヘルペスウイルス科、ポックスウイルス科、およびイリドウ イルス科が挙げられる。これらのウイルスおよび他のウイルスは、脳炎、腸内感 染、免疫抑制性疾患、呼吸性疾患、肝炎およびポックス感染のような疾患の原因 である。 エンベロープ化ウイルス膜の生成は、そこからウイルスがそのエンベロープを 獲得する宿主細胞における位置に依存して変化する。一般に、エンベロープはウ イルスカプシドまたは核タンパク質を完全に包囲する脂質二重層を含む。種々の 脂質に加えて、エンベロープは内在性および膜貫通タンパク質を含む。多くの膜 貫通タンパク質は、付着した糖残基を有し、そしてこれは糖タンパク質といわれ る。ウイルスにコードされる膜貫通タンパク質は、標的化リガンドとして、酵素 として、そして膜融合アクチベーターとして作用することによって、感染過程に おける重要な役割を果たす。宿主細胞も多くの膜結合タンパク質を発現するので 、エンベロープ化ウイルス粒子が宿主細胞タンパク質およびウイルスにコードさ れるタンパク質を含むことが可能である。いくつかの場合において、ウイルスは 、他の宿主におけるその増殖に有用な宿主細胞から、正常細胞性成分の遺伝子を 拾い上げ得る。 疾患の原因となるエンベロープ化ウイルスによる感染に対して防御するために 設計された適切なワクチンの開発に向かって、多大な努力が費やされてきた。い くつかのワクチンはうまくいくと判明したが、他の多くは期待を裏切った。ワク チンの失敗はしばしば以下の1つ以上に起因する: 1.エンベロープ化ウイルスは、「抗原連続変異」と呼ばれる現象についての有 名な評判を有する。抗原連続変異が生じると、ウイルス抗原は変異しそしてその 抗原性プロフィールは変化する。連続変異が十分に広大である場合、元来の抗原 性プロフィールに対して生じた免疫応答はもはや変異形態を認識できず、そして それゆえ、免疫された宿主内の防御免疫機構を回避する。 2.「変形」問題の他のタイプは、ライノウイルス(これは、50以上の異なる抗 原性株を有し得る)のような多数の株を有するウイルスに関する。それゆえ、こ れらの全てのウイルス株に対するワクチンを開発することは実際的でない。抗原 性変形の他の例は、インフルエンザウイルスによって示され、これは、流行株に おける季節的変形を頻繁に有する。従って、その特定の年に集団に感染している インフルエンザウイルスの流行株に依存して、年毎に特定のインフルエンザワク チンを再設計することが必要である。 3.不運にも、ウイルス関連エンベロープまたは核タンパク質抗原に対して誘導 される細胞媒介性免疫または体液性抗体は、短命であり得る。結果として、ほと んどの現在のワクチンは、免疫化後短時間のみ免疫を誘導し得る。従って、継続 する防御を達成するためには、しばしば(特に抗原が不活化ウイルスまたはサブ ユニットワクチンである場合は)、繰り返し免疫する必要がある。 4.多くのウイルスワクチンに伴う問題は、「生」ワクチン対「不活化(killed) 」ワクチンの選択の費用便益分析である。一般に、生、弱毒化ウイルスでの免疫 化は、不活化ウイルスよりもはるかに強い免疫応答を生じる。天然痘に対する防 御のようないくつかの場合においては、天然痘に対する交差反応性免疫を誘導す る生存牛痘ウイルスでの免疫化後、おそらく生涯続く。この現象の背後にある機 構は十分に理解されていないが、弱毒化ウイルスの限定的な複製は、それにより 免疫系を刺激する抗原のより強力なセットを提供しそうである。不運なことに、 十分な弱毒化レベルを有するウイルス株を生成することは困難である。さらに、 弱毒化ウイルスが免疫化後に病原性形態を復帰し、それによって、完全に発達し た(fullblown)感染および疾患を引き起こすという危険を常に冒している。 ウイルスワクチンに関して上記で概説された多くの問題のために、有効なワク チンは、ヒト集団に感染し得る多くのウイルスの少数のみに対して開発されてい る。主に、天然痘のような、潜在的に致命的な疾患を引き起こすウイルスワクチ ンに対する努力が向けられてきた。結果として、ヒトおよび他の哺乳動物におい て疾患を生じる多数のエンベロープ化ウイルスに対して開発された少数の有効な ワクチン以外は存在しない。少しの成功例があったが(例えば、天然痘、麻疹、 おたふくかぜ、ネコ白血病ウイルス、およびイヌジステンパーウイルスに対する ワクチン)、ヒトおよび他の哺乳動物種は、広範な大多数のエンベロープ化ウイ ルスに対して大部分は防御がされていないままである。 B.HIVおよびMHC抗原 感染の破壊的な重大さ、および感染した個体の数の急速な増加のために、ヒト 免疫不全ウイルス(HIV)感染に対するワクチンを作製することに向けられた非常 な努力が存在した。生存レトロウイルスを使用することにおける危険のために、 これらのワクチンは主に、表面糖タンパク質gp120/160のようなウイルスサブユ ニットおよびそれらに対する抗体の使用を含んだ。大部分については、結果は失 望させるものであった。 HIVワクチンについて研究する際、種々の独特な問題が示される。例えば、HIV 抗原においてみられる抗原連続変異は、本質的に他の系とは無比のものである。 さらに、レセプターとしてのCD4分子の推定的同定は、ウイルスの生活環の理解 に向けての主な段階を構成しながら、問題となる複雑さであることが証明された 。宿主分子とCD4分子との間の相互作用、ならびに、宿主分子とgp120/160との間 の相互作用は、抗gp120/160に基づくワクチンの効果を妨げるようである。 HIVに対する特異的免疫化の使用における別の不利な点は、感染を検出するた めの一次的な方法が、個体の血清中のHIVとの血清学的反応性(これがHIVでの感 染が生じていることを示す)の存在によるということである。結果として、HIVま たはその抗原性サブユニットでの免疫化は、同様の抗体を誘導し、これは防御か ら感染を識別することを困難にしている。 これらおよび別の問題に対する応答して開発された研究の1つの領域は、主要 組織適合(MHC)抗原の使用を含む。この研究の背景にある一般的な原理は、感染 するHIV粒子は(遊離エンベロープ化ウイルスまたはウイルス感染細胞のいずれか として)、レシピエントのMHCとは潜在的に異なるMHC抗原と関連するということ である。文献は全体として、最良でも、このような免疫応答がどのように機能し 得るか、実際、一体機能するかどうかに関して混乱している。 例えば、Clericiら、J.Immunol.,144(9):3266-3271(1990)は、HIV患者にお いて弱まったTヘルパー機能を補強するための同種抗原免疫の使用を議論してい る。Clericiは、他者のように、AIDS患者のT細胞が抗原を「回想」できないに も関わらず、これらの細胞は、同種抗原に対する応答を維持したことを観察した 。Clericiは、同種抗原応答がなお存在する場合、HIV+の個体のT細胞は、同種 抗原との組合せでインフルエンザ抗原でプライムされ、そしてインフルエンザ抗 原単独でチャレンジされた際に、インフルエンザ抗原を回想するように「教えら れ」得ることを見出した。同種抗原単独の、AIDS患者におけるT細胞によるイン フルエンザ抗原の回想を促進する能力は取るに足らず、このことは刺激および標 的の両方の役割におけるインフルエンザ抗原による寄与を示唆している。 免疫不全ウイルスに対する応答に対する細胞性抗原(異種抗原)の効果を見る 別の研究が、Stott(1991)によって報告された。Stottおよびその共同研究者は、 非感染ヒト細胞で免疫化したマカクは、これらの細胞中で増殖させたサル免疫不 全ウイルス(SIV)による感染に耐性であった。マカクは、サル細胞中で増殖させ たSIVによる感染に耐性でなかった。チャレンジウイルスがHIVであった場合、免 役されたマカクは耐性ではなかった。このことは、ウイルス抗原の性質での防御 のなんらの相関関係を示唆する。Stottはまた、ヒト細胞におけるクラスII決定 基に対して指向されるとして、抗MHC応答を同定したが、これらが、ヒト細胞中 で増殖させたウイルスによって拾い上げられたクラスIIの種特異的または異種抗 原決定基であるか、あるいはこれもまたサルに存在する真に交差反応性のアロタ イプ性抗原のいずれであるかは明らかでない。 KionおよびHoffman(1991)は、同種免疫化したマウスにおける類似の現象を実 証した。別のマウス株由来の細胞で免疫化した場合、マウスはHIVのgp120および p24に対する抗体を作製した。さらに、自己免疫マウス株は、gp120に対する抗体 を作製した。同種免疫マウスおよび自己免疫マウスの両方において、抗MHC抗体 に対する抗体(MHC-イメージ)が見出された。この著者らは、これらの種類の抗体 の両方の存在が、「同種細胞に対する免疫応答とHIV抗原性刺激との間の協同作 用の考えを支持する」と結論した。 Langloisら(1992)は、ヒト細胞で増殖したSIVを用いて、マカクにおいてヒ ト細胞性抗原決定基に対する応答を誘起し得た。Cranageら(1992)はまた、マ カクがヒト細胞で増殖したSIVで免疫化される場合、ヒト特異的応答を生じるこ とを報告した。優勢な応答はクラスI抗原に対してであったことが最初に報告さ れているが、後の研究からは、クラスI力価と防御との間に何ら相関が見出され 得なかった。Cranageら(1993)は、ヒト細胞で増殖したSIVでワクチン接種した マカクが、コントロール動物では見られないクラスII特異的応答を生じること報 告した。興味深いことに、感染されたマカクがアカゲザルMHCに特異的な抗体を 有することが示され、このことは、SIVが、アカゲザルMHCを模擬するか、または マカクの自己MHCの認識を変化させるという可能性を生じさせた。 Kiprovら(1994)は、同種免疫化についての彼らの初期の関連のない研究を利 用して、抗細胞性/抗HIV応答を調査した。女性の群を、自発的な流産を防止す るために、先に、彼女らの夫由来の末梢血リンパ球で免疫化した。14人のうち12 人の免疫化された女性が、抗リンパ球抗体(ALA)を生じた。彼女らのうち、2 人が、HIV-1を、インビトロで、補体依存性様式で中和することが見出され、1 人の患者は比較的高い力価であることが見出された。抗HIV血清の添加が相加的 な中和をもたらしたので、Kiprovは、試験血清が非ウイルス性標的抗原に対して 指向されたことを示唆した。しかし、その著者らは、他のALA+被験体からの中和 活性の不在を説明し得なかった。そして、1人の患者における中和抗体の高力価 についてのメカニズムは説明されないまま残っている。なぜなら、その後、それ はMHCクラスI抗原ともクラスII抗原とも関係ないことが示されたからである。 従って、MHCが、免疫系を非特異的な様式で刺激するか、あるいはウイルス標 的に対して免疫応答を特異的に増大するかは不明のままである。また、SIV/HIV に対する異種免疫または同種免疫の効果のいずれが、いかにしても、gp120のMHC 様特性に寄与し、そして従って、特定のウイルス抗原により制限されるかは不明 である。従って、SIVモデルについてのかなりの推察およびいくつかの興味深い 結果にも関わらず、抗ウイルス防御において同種免疫により果たされる役割は不 明のままである。 全ての上記理由のために、エンベロープ化ウイルスに対するより効率的なウイ ルスワクチンの多大な必要性が存在する。可能な抗原性株の全て、および種々の 哺乳動物種に影響を及ぼし得る種々のウイルスの抗原連続変異の頻度を考慮する と、ウイルス抗原自体をその標的として有する普遍的ウイルスワクチンを理解す ることは、現在の方法論では実際的でない。一方で、動物種において遺伝的多様 性を制御する遺伝子により発現された細胞膜抗原をその標的として有するワクチ ンは多能性であり得る。膜ウイルスに対する防御免疫を誘導するための、ずっと より安定かつ実際的な標的を提供する宿主細胞から出芽するときに、エンベロー プ化ウイルスは、細胞膜から遺伝的に制御された抗原を拾い上げるにちがいない 。エンベロープ化ウイルスが宿主細胞膜から出芽するときに拾い上げる同種抗原 は、大部分のこれらのウイルスに対して防御的な多能性ウイルスワクチンの開発 において、潜在的な標的を提供する。 III.発明の要旨 従って、本発明の目的は、エンベロープ化ウイルスによる感染に対して防御免 疫を誘導する、被験体への投与に適切な組成物を提供することである。 本発明の別の目的は、ヒト免疫不全ウイルスによる感染に対して防御免疫を誘 導する、被験体への投与に適切な組成物を提供することである。 本発明のさらに別の目的は、エンベロープ化ウイルス(例えば、ライノウイル スまたはインフルエンザウイルス)による感染に対して防御免疫を誘導する組成 物で、被験体を免疫化する方法を提供することである。 本発明のなおさらに別の目的は、ヒト免疫不全ウイルスによる感染に対して防 御免疫を誘導する組成物で被験体を免疫化する方法を提供することである。 これらの目的を満たすことにおいて、インタクトな細胞を含有する組成物が提 供される。ここで、この細胞は、所定の哺乳動物種由来の少なくとも4つの共通 のアロタイプを有する主要組織適合抗原を発現する。 上記アロタイプのそれぞれが個体の80%以上において存在する、組成物もまた 提供される。さらに、任意の所定の細胞が単一のアロタイプのみを発現する組成 物が提供される。 別の実施態様において、少なくとも1つの細胞が少なくとも2つのアロタイプ を発現する組成物が提供される。上記抗原がクラスI抗原である組成物も提供さ れ、そして上記抗原がクラスII抗原である組成物が提供される。 さらに別の実施態様において、上記抗原がクラスIおよびクラスII抗原の両方 であるか、または多型遺伝子によりコードされる他の同種抗原である組成物が提 供される。さらに、上記複数の数が哺乳動物種の全ての公知のアロタイプを表す 組成物が提供される。さらなる実施態様は、少なくとも1つの、哺乳動物種につ いての組換え主要または副アロタイプ性抗原をさらに含む組成物を包含する。そ してなおさらなる実施態様において、この組換え抗原が、細菌、真菌、昆虫細胞 、および哺乳動物細胞からなる群より選択される宿主で産生される組成物が提供 される。 さらなる実施態様において、組成物のアロタイプは、以下のヒトアロタイプの 少なくとも1つを包含する: HLAA1,A2,A3,A11,A24,A29,A32, B7,B8,B13,B35,B38,B44,B55,B60,B62, CW1,CW2,CW4,CW5,CW6,CW7,CW9,CW10,CW11, DR1,DR3,DR4,DR7,DR8,DR11,DR12,DR13,DR15, ABO 血液型 なおさらに別の実施態様において、上記細胞がエンベロープ化ウイルス由来の 抗原をさらに発現する組成物が提供される。さらなる実施態様において、ウイル スは、ヘルペスウイルスおよび/またはレトロウイルスである。なおさらに、さ らなる実施態様において、組成物は、サイトカインをさらに発現するインタクト な細胞を含む。サイトカインは、IL-1、IL-2、IL-4、IL-7、IL-12、γ-インター フェロン、またはGMCSFであり得る。他の実施態様は、コスティミュラトリー分 子をさらに発現するインタクトな細胞を提供する。コスティミュラトリー分子は 、B-7であり得る。 別の実施態様において、組成物の細胞は、増殖不能にされる;これは、致死的 な照射により達成され得る。組成物はさらに、薬学的に受容可能なキャリア、希 釈剤、または賦形剤を含有し得る。 他の実施態様において、所定の哺乳動物において免疫応答を生じさせる方法が 提供される。この方法は、以下の工程: (a)以下を含有する組成物を提供する工程 (i)インタクトな細胞、ここで、この細胞は、上記所定の哺乳動物種由来の 少なくとも4つのアロタイプを有する主要組織適合抗原を発現する;および (ii)薬学的に受容可能なキャリア、希釈剤、または、賦形剤、 (b)この組成物をこの所定の哺乳動物に投与する工程 を包含する。 別の他の実施態様において、所定の哺乳動物においてエンベロープ化ウイルス に対する免疫応答を誘起する方法が提供される。この方法は、以下の工程: (a)上記のウイルスでの感染の危険のある所定の哺乳動物を同定する工程; (b)以下を含有する組成物を提供する工程 (i)インタクトな細胞、ここで、この細胞は、上記所定の哺乳動物種由来の 複数のアロタイプを有する主要組織適合抗原を発現する; (ii)薬学的に受容可能なキャリア、希釈剤、または、賦形剤、 (b)この組成物を、この所定の哺乳動物に、この免疫応答を誘起するに有効な 量で投与する工程、 を包含する。 なおさらに別の他の実施態様において、インタクトな、非悪性細胞を含有する 組成物が提供される。ここで、この細胞は、所定の哺乳動物種由来の複数のアロ タイプを有する主要組織適合抗原を発現する。 本発明の他の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な説明から明らかになる 。しかし、詳細な説明および特定の実施例は、本発明の好ましい実施態様を示し ているが、例示のみを目的として示されることが理解されたい。なぜなら、本発 明の精神および範囲内での種々の変更および改変がこの詳細な説明から当業者に 明らかであるからである。 IV.図面の簡単な説明 図1は、図3に与えられたアロタイプの文字名称を列挙する。 図2は、図3に与えられた民族コードを挙げる。 図3A〜Kは、民族によるHLAアロタイプおよびそれらの分布頻度のリストを 提供する。 V.発明の詳細な説明 哺乳動物中に存在するあらゆる各細胞について、哺乳動物はその細胞が「自己 」であるかまたは「非自己」であるかどうかを決定しなければならない。もし「 自己」ならば、その哺乳動物は免疫応答を開始する必要がない。もし「非自己」 ならば、その哺乳動物(この場合、宿主)は、通常その細胞に応答しそして排除す る必要がある。さらに、宿主は2つのサブセットの非自己細胞を区別する−−宿 主が以前に出会った細胞および宿主にとって新しい細胞。宿主により以前に遭遇 された細胞に対する迅速なそしてより実質的な応答を可能にする生物学的機構が 進化した。 従って、ウイルスまたはウイルス感染細胞が初めて宿主に曝露されたとき、宿 主細胞の感染が生じる前に感染因子に対する有意な免疫応答が開始されることは なさそうである。対照的に、「感作された」宿主免疫系(すなわち、特定のウイ ルスまたはウイルス抗原に対して感受性にされた宿主免疫系)は、感染を防止ま たは制限する迅速且つ有意な免疫応答を開始し得る。これは、所与のウイルスの 1つまたはそれ以上の抗原に対する宿主の免疫系を感作するために設計されるワ クチンの根本原理である。以下は、本発明に適用する免疫応答の詳細な説明であ る。 A.抗体およびT細胞による抗原および同種抗原の認識を介するウイルスに対 する免疫 主要および非主要組織適合遺伝子複合体(MHC)糖タンパク質が、多年にわたり 集約的に研究されが、研究者はその機能の十分な理解を有さなかった。ヒトおよ び他の哺乳動物集団中で高程度に遺伝的多型を示す、これらの細胞表面抗原が、 同種個体間の組織免疫化により惹起された同種抗体を用いる分析に供せられた。 それらはまた、移植された組織および器官の特異的免疫学的拒絶の主要標的であ ったので、特定化された機能の欠損下では、それらは「移植抗原」と呼ばれた。 移植拒絶は、ドナーおよびレシピエントのMHC分子における構造的差異により 生じた抗原決定基に応答する、レシピエントのTリンパ球(T細胞)およびBリン パ球(B細胞)と関係している。そのような決定基は、同種抗原決定基、または「 同種決定基」、および応答するT細胞は「同種反応性」と呼ばれる。1970年代に 、細胞性免疫学者は、それらが同種抗原だけでなく、全ての抗原に応答するT細 胞を刺激するにおける手段であることを示し、MHC分子の生理学的機能を発見し た。1980年代を通じてのその後の研究によりこの関係の機能的理解が提供され、 この理解はα/βおよびγ/δT細胞レセプターが、B細胞レセプター(免疫グロ ブリン)とは異なり、ネイティブなタンパク質を認識しないが、むしろ、それら が解きほぐされそして小フラグメントに分解されることが必要であるという発見 により促進された。この抗原「プロセシング」は、細胞内で起こり、そして知ら れている限り、一般的に、通常の細胞性タンパク質の輸送、ターンオーバー、成 熟、およびプロセシングのために用いられる酵素および細胞内区画を利用する。 すなわち、MHC分子の役割は三重である:(1)細胞内のペプチドを結合すること ;(2)それらを原形質膜に輸送すること;および(3)Tリンパ球のレセプターと相 互作用し得る複合体の細胞表面にそれらを保有すること。従って、T細胞レセプ ターにより認識されたリガンドは、ペプチドの複合体(通常は、MHC分子に結合さ れた8〜25アミノ酸の大きさ)である。MHC糖タンパク質は、ペプチドをT細胞に 「提示する」といわれ、そして「抗原提示」分子として適切に記載されている。 TownsendおよびBodmer、Ann.Rev.Immunol.7:601-624(1989)。 2つのタイプのタンパク質抗原が、健常な哺乳動物細胞により提示され得る− −細胞内のタンパク質抗原(例えば、細胞のウイルス感染後に作製されたウイル スタンパク質)、および別の所で作製されたタンパク質抗原(これは、次いで、 エンドサイトーシスにより細胞に入る)(例えば、細菌性毒素)。2つの相同なク ラスのMHC分子は、細胞内移動および抗原提示に関して特殊化したように進化し た。MHCクラスI分子は主に、内因的に作製されたタンパク質(例えば、細胞内の ウイルス感染により誘導されたタンパク質)に由来するペプチドを提供し、一方 、MHCクラスII分子は、エンドサイトーシスされた抗原に由来するペプチドの提 示 を専門化する。これは最も一般的な状況であるが、MHC分子による抗原提示の条 件が逆転される例外が存在し得る。 2つのタイプのT細胞は、2つのクラスのMHC分子と相互作用すると考えられ る。CD4リンパ球は、MHCクラスII溝(grove)中でプロセスされた抗原ペプチド を提示するMHCクラスII抗原からの指令を受けると考えられるヘルパーT細胞で ある。他方、CD8リンパ球(細胞傷害性T細胞)は、MHCクラスI抗原に結合した抗 原性ペプチドを認識する。抗原のプロセシングはまた、エンドサイトーシスして 抗体/抗原複合体を断片化し得る、B細胞中で生じる。この複合体は、その抗原 が、その抗原に対して指向された膜結合免疫グロブリン抗体である、B細胞レセ プターと反応するときに形成される。さらに、マクロファージは、Fcレセプター を介して抗原-抗体複合体をエンドサイトーシスし得、増強されたプロセシング および提示をT細胞にもたらす。重要なことは、T細胞がクラスIのMHC分子また はクラスIIのMHC分子のいずれかにより提示された抗原を認識するために、リン パ球と抗原を提示する細胞との間で直接的なHLA適合がなければならないこと、 またはT細胞のT細胞レセプターによる、MHC分子上での交差反応エピトープの 認識がなければならないことを強調することである。このように、MHCクラスI A 2の細胞傷害生T細胞は、通常、MHCクラスIのA1ヒト細胞によりプロセスされ提 示された同じ抗原を保有する細胞を認識および傷害し得ない。 重要なことは、2つのアームの免疫系(体液性免疫および細胞媒介性免疫)が異 なる形態で抗原を認識することを強調することである。B細胞により産生された 抗体は、大きな抗原分子の表面上の優勢な立体構造的エピトープを認識する。そ れらの抗原特異的レセプターを介するT細胞は、ネイティブなタンパク質の酵素 分解による抗原のプロセシングにより産生されたペプチドの線状配列を認識する 。従って、ほとんどのT細胞エピトープが、それらの天然の状態におけるタンパ ク質中では認識されず、そしてタンパク質合成の間(すなわち、その分子がその 正確な最終形態に折りたたまれる前に)またはいくつかの形態のタンパク質分解 を含む還元的な酵素的プロセスによるかのいずれかにより、活発に作製されなけ ればならない。従ってT細胞エピトープは、一般的に、ネイティブな立体構造( 二次および三次構造)には非依存的であり、従ってそれらの認識はいつも、表面 の 立体構造に依存するB細胞エピトープよりも識別能力は低い。しかし、抗原のプ ロセシングは、通常はネイティブな高分子の立体構造中に埋もれている一組の構 造に、免疫系を曝露させ、それゆえ、曝露されなければ免疫認識に対して認識さ れない。T細胞レセプターによる内部構造およびB細胞抗体による外部立体配座 の両方を認識するこの二重の能力は、免疫系の全体の防御的スキーム中に組み込 まれる。 適応的免疫系の2つのアーム間の第2の主要な差異は、T細胞認識が抗原のみ では生じないことである。2つの分子(T細胞レセプターおよびエピトープ)は、 別々の細胞(抗原プロセシング細胞)の表面上で相互作用するのみである。さらに 、この細胞は、第3の分子(主要組織適合遺伝子複合体糖タンパク質のクラスIま たはクラスIIのいずれか)を発現することが必要とされる。これらの細胞表面糖 タンパク質は、直接T細胞エピトープに結合することが示されている。この結合 工程は、それにより適切にプロセスされた抗原が、プロセスされていない大多数 から選択される、重要なスクリーニングプロセスである。大多数の証拠は、正確 なT細胞認識は、適切な抗原エピトープが、MHC分子の遠位の末端の比較的小さ な分子溝内に配置される場合のみ起こり得ることを示唆している。 このように、T細胞エピトープが、複合体高分子から作製され、次いで、共に 認識され得る形態で抗原提示細胞により発現される、分子機構および細胞機構が 、抗原プロセシングを構成する。抗原提示は、ペプチド抗原の存在下での抗原提 示細胞とT細胞との間のその後の相互作用として定義される。それゆえ、抗原プ ロセシングは、T細胞刺激をもたらす全体の一連の事象において、つまり、効果 的な免疫応答の発達において重要な段階である。 B.抗原プロセシングの2つの経路 細胞表面上には2つの別々のクラスのMHC分子が存在することが長く知られて いる。このクラス分けは、成熟Tリンパ球の2つの異なる群への分類に関係して いる。相互に排他的なT細胞表面抗原CD8およびCD4は、それぞれMHCクラスIおよ びIIに関する特異性を提供する。対照的に、抗原特異的T細胞レセプターは、MH Cの両方のクラスに結合した抗原の認識について、同じプールの生殖系列エレメ ントを使用することが示されている。クラスI関連抗原は、抗原プロセシング細 胞により、内因的に合成される内在性抗原(例えば、ウイルス抗原)に優先的に由 来し、一方、クラスII関連抗原は、典型的には、細胞外環境からエンドサイトー シスにより外因的に獲得された外来性抗原である。MHCクラスI抗原は、全ての有 核細胞中で発現され得る。従って、クラスIプロセシング経路を介して、免疫系 は、ネイティブな状態では、決して細胞外環境に曝露され得ない、莫大な細胞内 抗原を認識しそして反応し得る。これは、MHCクラスI分子とともに提示され得る ウイルス抗原について体内の体内の全ての細胞を精査し、それにより細胞内ウイ ルス感染から宿主を保護する、CD8+T細胞の機能と矛盾しない。MHCクラスII抗 原は、免疫系内の特殊化された細胞上(特に、B細胞、マクロファージ、そして 樹状細胞)において、主に見出される。T.P.LevineおよびB.M.Chainによる、Bioc hemistry and Molecular Biology,26:439-473(1991)、「抗原プロセシングの 細胞生物学」を参照のこと。 C.エンベロープ化ウイルスに対する免疫のためのウイルス感染および関係 従って、ウイルスタンパク質抗原は、宿主のMHC対立遺伝子発現の遺伝に依存 して、異なるMHC分子の溝に異なるペプチド配列として提示される、異なるペプ チドに分解され得る。プロセシングおよび提示は、効果的な免疫応答の発達にお ける重要な段階である。 エンベロープウイルスの伝達は、遊離のウイルス粒子自身での感染(例えば、 感染個体による咳またはくしゃみのための鼻炎ウイルスまたはインフルエンザウ イルスのような呼吸系ウイルスのエアゾール伝達により起こる)により起こり得 る。さらに、伝達は感染細胞の伝達、例えば精液を介するHIV感染リンパ球の移 動により起こり得る。これらの細胞は、HIVウイルスゲノムを保有し得、なおか つ遊離のウイルスは伝達時には、ほとんどまたは全く存在しなくてもよい。ウイ ルス関連ペプチドT細胞エピトープは、感染細胞の表面上にMHCクラスI分子によ り発現され得るが、これらのウイルスペプチドは、ドナーとレシピエントのMHC クラスIまたはIIの間のアロタイプ適合が偶然に存在しない限り、レシピエント 宿主のT細胞レセプターにより認識され得ない。従って、たとえレシピエントが すでに感染しているウイルスと関連したペプチドに対する継続中の長期T細胞メ モリーを有し得ても、このメモリーは、それらはMHC不適合を与える宿主T細胞 によっては認識され得ないために、後継の(incoming)細胞表面またはウイルス 膜上のMHC糖タンパク質分子により提示されたペプチド配列に対しては無効であ る。 外来タンパク質ウイルス抗原は、宿主のMHCクラスII抗原提示細胞により拾わ れ得、そしてCD4ヘルパー細胞に提示され得る。さらに、一旦ウイルスが宿主細 胞への入口を得、そして複製およびタンパク質を合成し始めると、新しい宿主の MHC抗原がこれらの異なるペプチド配列を細胞傷害性T細胞に提示し、そして次 いで新しい宿主中でウイルス感染細胞を傷害することによりさらなるウイルス増 殖を阻害するように作用する。しかし、このタイプの特異的なウイルス免疫は、 新しい宿主中でのウイルス複製の程度を制限はし得るが、遊離のウイルス粒子ま たは感染細胞のいずれかによる感染の伝達を妨害しない。 他方、ウイルス粒子の表面の抗原に対して指向される既存の抗体は、ウイルス 粒子と直接反応し得、そして初期感染を防ぎ得る。優勢なHLA抗原に対する既存 のアロタイプ抗体またはT細胞免疫の存在は、侵入するウイルスのエンベロープ 化脂質膜上に存在する外来同種抗原の迅速な認識を導き得、次いで、免疫のレベ ルが有意に高いならば、外来ウイルスの迅速な認識および攻撃を導き得る。もし 低いレベルの免疫が存在するならば、それにより、サイトカイン放出、特異的抗 原のプロセシングの促進、および特異的免疫の誘導を介するウイルスの拒絶をも たらす外来同種抗原の認識が導かれる。これは新しい宿主におけるウイルスの病 原性レベルへの増殖を阻害し得る特異的免疫の誘導における二次的な「ヘルパー 」効果またはバイスタンダー効果の例である。 D.組織移植物としてのウイルス:同種移植片応答およびエンベロープ化ウイ ルスに対する免疫の進化における可能な役割 器官は、同一の双生児であるヒトの間で、または実験室ゲッ歯類の株内で(こ の場合、遺伝的均質性が本質的に主要組織適合遺伝子複合体における多様性の問 題を排除する)自由に移植され得る。しかし、A、BおよびC遺伝子座における HLAクラスI抗原の多様性に起因する遺伝的差異が存在する場合、強い、強力な そして長期間持続する同種移植片応答に起因する、新たな宿主による、移植され た組織の迅速な拒絶が存在する。器官移植は自然界において天然には生じないの で、この同種移植片応答の起源が、外部の物質による異質遺伝子型の侵入に対し て防御するための進化的機構として生じたと仮定することがよさそうである。換 言すると、MHCは何が自己であり、そして何が非自己であるかを決定するコード であり;非自己は攻撃され、そして破壊されるべきである。天然の、非自己の、 MHCを有する物質の一種は、エンベロープ化ウイルスである。 原始的種族における土着の原住民の遺伝的安定性は、都市の集団において見ら れる遺伝的安定性よりもかなり高い。従って、原住民の限定されたHLAの多様性 が予想される。ウイルス感染が種族内の個体間で生じる場合、生存者は、ウイル ス抗原に加えて、種族限定されたMHC抗原のレパトアに対して応答する能力を獲 得する。結局、この種の限定された曝露は、その種族に存在する全てのMHCアロ タイプに対する同種反応性T細胞応答の発達を可能にする。限定された数の同種 抗原に対するこれらの強い同種反応性T細胞応答は、特異的なウイルスエピトー プに対する免疫と同様に有効であるか、またはおそらくより有効でさえある。少 なくとも、この種の応答は、その普遍性から恩恵をこうむる。すなわち、これは ウイルスに特異的ではない。さらに、感染しているエンベロープ化ウイルスと新 たな宿主との間にMHCクラスIの適合が偶然に存在した場合、エンベロープウイ ルスのMHC溝に提示されるペプチド配列は、新たな宿主の細胞傷害性T細胞によ ってより迅速に認識され、そして従って、迅速なT細胞応答を誘発する。 現代の、都市の集団は、多くの異なる種族由来の個体の移住により形成された ので、所定の集団におけるMHC抗原の多様性は劇的に増加した。隔離された種族 にとって、曝露がないとすると、このような多数の異なるHLAタイプに対するア ロタイプ性免疫を発達させることは不可能であった。より大きな文明と接触した 場合、(i)小さな種族のレシピエントと同一のアロタイプまたは(ii)小さな種族 のレシピエントが既に曝露されたアロタイプのいずれかを有する、感染している ウイルスまたはウイルス感染細胞の機会はおおいに減少した。その結果、欧州の 船員が島のコミュニティーの隔離された原住民と接触したときに生じたウイルス 流行がいかに破壊的であったかは驚くべきことではない。 従って、進化的観点から、強い同種移植片免疫応答(これは確かに組織移植に 対してヒトを防御するためには進化しなかった)は、エンベロープ化ウイルスに より宿主細胞から拾い上げられた細胞性抗原の移入由来の感染に対する防御とし て発達したのでありそうである。これは、自然版の対宿主性移植片拒絶と考えら れ得る。この仮定のためのさらなる支持として、移植も、輸血も経験したことが なく、妊娠をしたこともない雄性および雌性ヒトにおける種々の位置に対する、 天然に生じる抗HLA抗体を見出すことは珍しくない。これらの抗体は、外来のHLA 抗原を有するエンベロープ化ウイルスでの感染により誘導された可能性がある。 この議論における重点はA、B、C遺伝子座によりコードされるMHCクラスI 遺伝子にあったが、同種免疫応答のための標的として作用し得る、より十分には 特徴付けされていないD、E、およびF対立遺伝子ならびにHLA DR、DP、および DQからなるクラスII MHC抗原も存在する。さらに、集団における遺伝的多様性に 起因して、ABOおよびRH型の血液型抗原のような遺伝子の制御下にあるその他の 膜抗原もまた、エンベロープウイルスに対する同種免疫化のための標的としてお そらく作用し得る。 E.原理 エンベロープ化ウイルスはそれらが合成されるときに宿主細胞膜を獲得するの で、ウイルス粒子は宿主細胞MHC成分およびABO血液型のような多様遺伝子により コードされるその他の細胞表面抗原を含むことが予想される。インタクトな感染 細胞は、MHC成分およびその他の多型性抗原もまた有する。ウイルス粒子および 感染細胞中のMHC成分は、ウイルス抗原に加えて、防御的免疫応答の標的になり 得るあるクラスの抗原を提供する。再度、しかし、外来MHCに対するプライムさ れていない免疫応答は、感染を防止し得なさそうである。従って、外来のMHC成 分およびその他の同種抗原に対して応答するためには、宿主免疫系をプライムす ることが必要である。 本発明は、事実、有効なワクチンが、MHC抗原および、おそらくその他のアロ タイプ性抗原、より詳細にはMHC抗原を発現する細胞の使用の周辺で設計され得 るという前提で作用する。個体を外来のMHC抗原に対して応答するようにプライ ムすることにより、エンベロープ化ウイルス粒子またはウイルス感染細胞の各々 が、免疫応答の抗体媒介性B細胞およびT細胞アームの両方の活性化での、迅速 かつ実質的な免疫応答に供され、そしてそれにより宿主細胞の感染を防止すると 考えられる。 その最も基本的な形態において、本発明は複数のMHCアロタイプを含むワクチ ンである。ワクチンが単一のアロタイプを含む場合、このワクチンは同じアロタ イプを有する個体においていかなる免疫応答も刺激しない。現代文明におけるHL A A、B、およびCアロタイプならびにクラスIIアロタイプにおいて存在する大き な遺伝的多様性のために、これは同一の双生児の間以外ではありそうにない。従 って、少なくとも1つ以上のアロタイプを提示するワクチンは、すべての個体に とっていくぶん利益となる。種々のアロタイプを合わせるMHC抗原は、インタク トな細胞の表面上で発現されるか、またはMHC抗原を発現する細胞由来の膜調製 物の一部である。さらに、いくつかの実施態様において、ワクチンはまたウイル スにコードされる抗原および/またはアジュバントを含む。以下の考察は、この ようなワクチンの特質およびそれらの使用をさらに記載する。 F.MHC抗原プロフィール 有効なMHCベースのワクチンが全ての感染するウイルス粒子に対して個体を防 御するために、このワクチンはMHC抗原の完全なスペクトルを提供しなければな らない。ヒトについては、これは、単一のワクチンが、ウイルスエンベロープ上 に存在する少なくとも1つのアロタイプが、ワクチンのレシピエントにより外来 であると識別されることを保証するに十分なMHC抗原のアロタイプを含まなけれ ばならないことを意味する。図1は、HLAアロタイプのリストおよび民族による それらの分布頻度を提供する。統計学的解析は、最大の防御を可能にする抗原の おおよその組み合わせがもたらす。この種のワクチンは、所定のウイルスに特異 的ではない。 しかし、多くの場合、ワクチンが全ての可能なMHCアロタイプを表す必要はな い。むしろ、実質的な利益は、最も一般的なアロタイプまたは地域的に優勢であ るアロタイプのみを示す抗原を含むワクチンの使用により達成される。例えば、 個体が、選択されたアロタイプのみを用いて集団の大多数から生じたウイルスか ら防御される場合、このようなワクチンは顕著な有用性を有し、そして最大の効 力を有する(すなわち、全てのアロタイプを表す抗原を有する)ワクチンよりも かなり少ない経費で産生され得る。事実、1つより多いアロタイプがワクチンに おいて表される限り、ワクチンのレシピエントは彼または彼女自体のアロタイプ 以外の少なくとも1つの他のアロタイプに対して免疫される。再度、このような ワクチンは、感染するウイルスの性質にかかわらず、防御を誘導する。従って、 本発明は、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはより多くのMHCアロタイ プを有するワクチンを含む。 本発明に従って使用されるアロタイプ性抗原は、任意の主要組織適合抗原また は副組織適合抗原あるいは血液型抗原であり得る。1つの実施態様において、こ れらの抗原は、無細胞形態で提供される。このような抗原は、適切な細胞供給源 から精製され得、または好ましくは、対応する遺伝子のクローニングに続く組換 え手段により産生される。それによりアロタイプ性抗原のクローニングが達成さ れ得る方法は、当業者に周知である。Finney、「PCR産物の分子クローニング」C URRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,Ausubelら編、John Wiley & Sons,N ew York(1987),15.7.1頁を参照のこと。 一旦アロタイプ性遺伝子遺伝子の全体のコード配列が決定されると、この遺伝 子は適切な発現系中に挿入され得る。この遺伝子は任意の数の異なる組換えDNA 発現系において発現されて、多量のポリペプチド産物を生成し得る。当業者に公 知の発現系の例としては、例えば、細菌(例えば、E.coli)、酵母(例えば、P ichia pastoris)、バキュロウイルス、および哺乳動物発現系(例えば、Cos細 胞またはCHO細胞における)が挙げられる。好ましい実施態様において、ポリペ プチドはE.coliにおいて、およびバキュロウイルス発現系において発現される 。 完全な遺伝子が発現され得、あるいはポリペプチドの部分をコードする遺伝子の フラグメントが産生され得る。 抗原をコードする遺伝子配列が、推定の膜貫通配列を検出するために分析され る。このような配列は、代表的には、非常に疎水性であり、そして標準的な配列 分析ソフトウエア(例えば、MacVector(IBI,New Haven,CT))の使用により 容易に検出される。組換えタンパク質が多くの発現系(特に、E.coli)におい て合成される場合に、膜貫通配列の存在は、しばしば有害である。なぜなら、こ れはタンパク質の天然の立体構造に再生することが困難である不溶性凝集物の産 生を導くからである。膜貫通配列の欠失は、代表的には残りのタンパク質構造の 立体構造を有意には変化しない。 さらに、膜貫通配列(定義により膜内に胞埋されている)は、接近困難である 。それゆえ、これらの配列に対する抗体は、ワクチンにおける有用性が示されて いない。発現のために使用される遺伝子からの膜貫通コード配列の欠失は、標準 的な技術により達成され得る。Ausubelら、前出、第8章を参照のこと。例えば 、偶発的に配置された制限酵素部位を使用して、所望の遺伝子フラグメントを切 り出し得るか、またはPCRタイプの増幅を使用して、遺伝子の所望される部分の みを増幅し得る。しかし、これらのトランスジーンが全細胞ワクチンの部分とし て使用される場合、膜貫通配列の保持が所望される。 抗原をコードする遺伝子または遺伝子フラグメントは、標準的なサブクローニ ング技術により発現ベクター中に挿入され得る。例えば、組換えペプチドを融合 タンパク質として産生し、タンパク質の迅速なアフィニティー精製を可能にする E.coli発現ベクターが使用される。このような融合タンパク質の発現系の例は 、グルタチオンS-トランスフェラーゼ系(Pharmacia,Piscataway,NJ)、マル トース結合タンパク質系(NEB,Beverley,MA)、FLAG系(IBI,New Haven,CT )、および6×His系(Qiagen,Chatsworth,CA)である。 これらの系のいくつかは、少数の付加的なアミノ酸(これは、組換えポリペプ チドの抗原性能力に影響しなさそうである)のみを有する組換えポリペプチドを 産生する。例えば、FLAG系および6×His系の両方は、短い配列のみを付加し、 この両方は、抗原性が低いことが知られており、そしてポリペプチドのその天然 の立体構造へのフォールディングに有害な影響を及ぼさない。融合パートナーを 所望のポリペプチドから切断することが所望される場合、その他の融合系がポリ ペプチドを産生する。好ましい実施態様において、融合パートナーは、組換えポ リペプチドに、ブロテアーゼのための特異的認識配列を含むペプチド配列により 連結される。適切な配列の例は、タバコエッチウイルス(Tobacco Etch Virus) プロテアーゼ(Life Technologies,Gaithersburg,MD)または第Xa因子(New E ngland Biolabs,Beverley,MA)により認識される配列である。 好ましい実施態様において、使用される発現系は、バキュロウイルスポリヘド リンプロモーターにより駆動される系である。ポリペプチドをコードする遺伝子 は、バキュロウイルスベクター中へのクローニングを容易にするために、標準的 な技術により操作され得る。好ましいバキュロウイルスベクターは、pBlueBacベ クター(Invitrogen,Sorrento,CA)である。ポリペプチドに対する遺伝子を有 するベクターは、標準的なプロトコルによりSpodoptera Frugiperda(Sf9)細胞 中にトランスフェクトされ、そして細胞は培養され、そして処理されて、組換え 抗原を産生する。 組換えポリペプチドの代替として、抗原に対応する合成ペプチドが調製され得 る。このようなペプチドは、少なくとも6アミノ酸残基長であり、そして約35残 基までを含み得る。これは、自動化ペプチド合成機(例えば、Applied Biosyste ms(Foster City,CA)から入手可能な合成機)のおおよその上限の長さである 。ワクチン接種のためのこのような小さなペプチドの使用は、代表的には、B型 肝炎表面抗原のような免疫原性キャリアタンパク質へのペプチドの結合を必要と する。この結合を実施する方法は当該分野で周知である。 G.ウイルス抗原およびアジュバントでのMHCワクチンの補充 しかし、MHC抗原のみに基づくワクチンに関して、1つの重要な制限が存在す る。上記のように、哺乳動物免疫系は、非自己細胞から自己細胞を区別し得、そ してそれにより自己/非自己の区別がなされる機構に、MHC抗原が関与する。従 って、感染するウイルスまたはウイルス感染細胞が、そのアロタイプが新たに感 染された宿主に類似する個体において偶然生じた場合、感染するウイルスまたは ウイルス感染細胞上のMHC抗原は外来として見られないかもしれず、従って、新 たに感染された宿主が自己MHC抗原で免疫されたか否かにかかわらず、免疫応答 を誘起しない。従って、同一のアロタイプの個体から生じたウイルスおよびウイ ルス感染細胞に対する免疫を提供するために、さらなる免疫機構が必要とされる 。 この問題が克服され得る1つの方法は、ウイルス由来の抗原を添加することに よる。従って、感染するウイルスが感染された個体と同じアロタイプを有する個 体において生じた場合、さらなる非自己認識機構が提供される。MHC指向性応答 とは異なり、ウイルス抗原での免疫は、所定のウイルスに特異的な免疫応答を生 じる。 本発明のMHCベースのワクチンの補充における使用のためのウイルス抗原の選 択は、以下の考慮に基づく。第一に、選択された抗原は、防御的免疫の誘導のた めに、ウイルスのエンベロープおよび感染細胞の膜において共通にかつ安定に発 現されるべきである。これらの抗原は、感染された個体の免疫系の抗原プロセシ ング細胞(antigen processing cell)に接近可能である。第二に、選択された 抗原は問題のウイルスに対して免疫優性種であることが望ましい。第三に、選択 された抗原が、本来そしてそれ自体、いかなる毒性または病原性機能を有さない ことが好ましい。第四に、内在性プロセシング後にMHCクラスI複合体により提 示された安定かつ免疫優性な抗原は、一旦新たな宿主の感染がうまくいくと、ウ イルスの蔓延を制限するに最も有効であり得る。そして第五に、もしも選択され た抗原に対応する遺伝子がクローン化されていれば、最も好都合である。 他の状況において、自己に類似しているが、自己とは異なると識別されるアロ タイプに対する免疫応答を増強する、アジュバントを提供することが所望される 。このようなアジュバントとしては、サイトカイン、毒素、または合成組成物の ような、全ての受容可能な免疫刺激化合物が挙げられる。これらの例は、IL-1、 IL-2、IL-4、IL-7、IL-12、γインターフェロン、GMCSP、BCG、水酸化アルミニ ウム、N-アセチル-ムラミル-L-スレオニル-D-イソグルタミン(thur-MDP)、N- アセチル-ノル-ムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミン(CGP 11637、nor-MDPと いう)、N-アセチルムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミル-L-アラニン-2-(1'- 2'-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ヒドロキシホスホリルオキシ)-エチルアミン (CGP 1983A、MTP-PEという)、リピドA、MPLならびにRIBI(これは、2%スク アレン/Tween 80エマルジョン中に、細菌から抽出された3つの成分、モノホス ホリルリピドA、トレハロースジミコレートおよび細胞壁骨格(MPL+TDM+CWS) を含有する)。アジュバントの有効性は、ウイルス抗原を含む免疫原性ポリペプ チドに対して指向される抗体またはT細胞レセプターを有する細胞傷害性T細胞 (これは、種々のアジュバントからもなるワクチン中のこのポリペプチドの投与 から生じる)の量を測定することにより決定され得る。いくつかの実施態様にお いて、ウイルス抗原およびアジュバントの両方を、MHC抗原とともに、単一のワ クチン調製物中に含むことが有利となる。アジュバントがポリペプチドである場 合、適切な発現ベクター中のこれらのポリペプチドに対する遺伝子を細胞バージ ョンのワクチンに含むことが可能である。 アジュバントに加えて、免疫調節剤(BRM)を同時投与することが所望され得 る。これはT細胞免疫をアップレギュレートするかまたはサプレッサー細胞活性 をダウンレギュレートすることが示された。このようなBRMとしては、シメチジ ン(CIM; 1200 mg/d)(Smith/Kline,PA);または低用量シクロホスファミド (CYP; 300 mg/m2)(Johnson/Mead,NJ)およびサイトカイン(例えば、γイン ターフェロン、IL-2、またはIL-12)あるいは免疫ヘルパー機能に関与するタン パク質をコードする遺伝子(例えば、B-7)を包含するが、これらに限定されな い。 H.細胞株 上記のように、サブユニットワクチン(組換え抗原または天然供給源から単離 された抗原のいずれかからなる)の使用に伴う1つの問題は、抗原がそれらの「 天然の」特性を失っているかもしれないことである。通常、この変化は、高次構 造の喪失から生じる。タンパク質の2次構造および3次構造に影響する要因は多 様であるので、有効なサブユニットワクチンを生成することは(時々不可能でな いとしても)困難である。これは、部分的に、なぜ生、弱毒化ワクチンが、一般 に、高レベルの応答および永続する免疫を生成することにおいてより有効である と判明したかを説明し得る。 この問題に取り組むために、1つの実施態様において、本発明はMHC抗原を有 するインタクトな細胞に依存する。好都合に、主要なMHCアロタイプを表す適切 な細胞株が選択され得る。種々の細胞株が一緒に混合され、必要なMHCプロフィ ールを達成し得る。正確な構成にかかわらず、MHC抗原が発現され、そしてそれ らの天然の環境において宿主に提示されるときに、顕著な有利性がインタクトな 細胞の使用で生じるはずである。事実、このような細胞は、生、弱毒化ワクチン に類似であるはずである。 単一の細胞株が、複数のアロタイプ、または少なくともMHC抗原の複数の対立 遺伝子を発現するように遺伝子操作され得る。これらの分子の存在する配列相同 性およびそれらの組織分布の知見が与えられれば、異なるMHC抗原の種々のアロ タイプに対応する遺伝子をクローン化することは、当業者にとって慣例の技術で ある。この方法において、必要とされる細胞タイプの数を増加させることなく、 所定のワクチンにおいて発現されるアロタイプの数を増加させることが可能であ る。事実、有意な防御がそれによりもたらされるに十分な数のアロタイプを発現 するように、単一の細胞を加工することが可能であり得る。これはまた、より高 いレベルのMHC発現を有するワクチンを生成するための、または容易に増殖され る細胞株から得ることができないアロタイププロフィールを提供するための方法 である。 特定の実施態様において、ワクチンを含む細胞を、ワクチン接種された宿主内 で複製しないように処理することが、有用となる。これは、照射、ホルムアルデ ヒド固定、加熱または凍結融解を含む種々の手段により達成され得る。それにお いて細胞が非複製性にされるが、インタクトなままにされる任意の他の方法が、 理論上有用である。好ましい実施態様は照射である。なぜなら、照射は、免疫し た個人における生存細胞の複製を防止する能力を有するが、細胞は生存したまま 、かつ各々のMHCクラスIアロタイプに適切なT細胞エピトープとして、同種抗 原性の、かつ特異的なウイルス関連ペプチド配列を提示し得るままであるからで ある。 ウイルス抗原がワクチンに含まれる場合、細胞株が1つ以上のウイルス抗原で 安定に形質転換されるか、または抗原が種々の供給源から単離され得、そして単 に既存のワクチンと混合され得ることが意図される。好ましい実施態様において 、ワクチンの免疫化細胞は、1つ以上のウイルス抗原遺伝子に作動可能に連結さ れた、細胞において機能性である調節領域を含む発現ベクターで安定に形質転換 される。これらの抗原は、コートタンパク質抗原よりも安定であり、そして抗原 連 続変異を受けにくいと考えられる。上記のように、このことは、感染するウイル スまたはウイルス感染細胞が感染された被験体と同じMHCアロタイプを有する場 合、被験体の防御を可能にする。さらなる恩恵はまた、細胞によるウイルス抗原 の発現から生じ得る。特定の細胞において、ウイルス抗原はタンパク質分解的に 「プロセシング」され、そして細胞のMHC分子に関連して発現される。この抗原 のMHC「提示」は、抗原認識の重要な部分であり、そして免疫された個体におい て一時的に生存し、そしてこのような提示を可能にする生存照射細胞の使用によ り、免疫応答プライミングが改善される。 別の実施態様において、細胞が、免疫刺激性化合物(例えば、IL-1、IL-2、IL -4、IL-7、IL-12、γ-インターフェロン、またはGMCSF)をコードする遺伝子で 形質転換されることが意図される。これらの産物は、免疫系によるワクチン細胞 の認識の増強において局所的に作用し得る。これらはまた、免疫応答の他の局面 を増強する、より全身的な効果を提供し得る。 細胞の形質転換に有用なDNA配列は、標準的なプラスミドから、その中にコー ドされるポリペプチドのより高レベルの、またはより効率のよい発現を可能にす るという特徴を有する発現ベクター中に再クローン化され得る。最低限、これは 、挿入されたDNA配列の転写を開始する真核生物プロモーター配列を必要とする 。好ましい発現ベクターは、発現が高レベルに誘導可能であるベクターである。 これは、適切な刺激下で、下流の配列の転写の増大を提供する調節領域の添加に より達成される。発現ベクターは、組込み可能(レトロウイルス)またはエピソ ーム性(ウシ乳頭腫ウイルス)であり得る。 発現ベクターは、任意の標準的なDNA移入技術により細胞内に移入される。リ ン酸カルシウム形質転換、プロトプラスト融合、リポフェクション、またはエレ クトロポレーションは、細胞内へのベクターの移入の好ましい機構である。ほと んどの状況において、細胞を形質転換する場合、選択マーカー遺伝子を含むこと が望ましい。選択的条件下で増殖させる場合、生存細胞は、選択マーカーととも に目的の遺伝子を取り込み、そして発現している可能性が非常に高い。上記の全 ての方法は、当該分野で周知である。 宿主細胞を形質転換するために用いられるDNAは、好ましくは、所定の細胞内 でコードされる産物を発現するために最適化される配列を含む。従って、ある場 合は、発現されるべきヌクレオチド配列がcDNAであることが望ましいが、他の状 況では、ゲノム配列を使用することが好ましい。大部分のアミノ酸についてのコ ドンの縮重は、所定の遺伝子のcDNAまたはゲノムの配列以外のヌクレオチド配列 が、所望のポリペプチドをコードし得ることを意味する。 MHC抗原とウイルス抗原をともに使用することが、一般に、防御免疫応答の誘 導の最良の機構であること、および単に1つの機構であるだけでなく、同様のア ロタイプを有する個体に由来するウイルスまたは細胞からの被験体の防御を確実 にすることを証明することが可能である。このような場合、1つ以上のウイルス 抗原を発現する細胞株が、ワクチンにおいて所望されるアロタイプのそれぞれに ついて作製されることが望ましい。あるいは、多数のアロタイプおよびウイルス 抗原を発現する細胞を作製することが可能であり得る。 細胞膜調製物がワクチン物質として用いられ得ることもまた意図される。多く のMHC分子が膜に結合しているので、膜調製物の使用は、被験体に送達されるMHC 抗原の別の供給源として用いられ得、そしてこのような膜結合分子の高次構造を 実質的に変化させないことが予期される。さらに、MHC抗原の多くがクローン化 されたので、MHC分子はまた組換え遺伝子操作技術により作製され得る。 理論的には、任意の細胞型が用いられ得る。細胞の好ましい特徴としては、組 織培養において良好に増殖する能力、多量のMHCクラスI抗原およびMHCクラスII 抗原を示す能力、ウイルス抗原遺伝子を用いて形質転換する容易さ、および新し い宿主におけるそれらの長期の増殖を不可能にする照射に対する感受性が挙げら れる。これらは、外来の偶発的なウイルスを含んではならない。 一般的な目的として、細胞は、標的集団の典型的なHLA型が細胞内に存在する ように選択される。細胞を、標的集団中の患者からパンチ生検により得ることが でき、そして標準的なプロトコルにより分類し得る。あるいは、標的集団内の患 者の生検由来の悪性細胞は、培養におけるそれらの増殖が優れているために用い られ得る。正常細胞または悪性細胞の別の可能な供給源は、アメリカンタイプカ ルチャーコレクション(Rockville,MD)のような細胞寄託機関である。 選択された細胞株は、ウイルス病原体による偶発的感染について、標準的なア ッセイ(免疫細胞化学、電子顕微鏡など)によりスクリーニングされる。細胞は 、特定の細胞株に適応させた標準的な技術を用いて培養される。十分な数の細胞 が利用可能である場合、細胞を約10,000〜15,000radで照射して細胞を不活化し 、投与後の複製を防止する。適切な数の細胞は、1回の投与あたり800万〜1000 万の間である。 図1〜図3は、HLAアロタイプおよび民族によるそれらの分布頻度のリストを 提供する。必要とされるアロタイプを同定すること、および適当な抗原を提供す る適切な細胞株を選択することは、日常的な実験主題である。大部分の集団では 、わずか3または4以下の細胞株が、標的集団のHLA抗原の100%を包含するワク チンを提供するために必要とされることが評価される。 好ましい実施態様において、本発明のワクチンは、照射された黒色腫細胞全体 を含む。特に好ましい実施態様において、黒色腫細胞としては、3つのヒト黒色 腫細胞株(M-10VACC、M-24VACC、およびM-101VACC)が挙げられる。これらの細 胞は、特定のMHC抗原の高発現についての注意深い実験の後に一連の黒色腫細胞 株から選択され、増殖され、そして投与のために、本明細書中に参考として援用 されるHoonら(1990)に記載のように調製された。 I.投与方法 本発明によるワクチン組成物の投与は、口、鼻、頬、直腸、膣、または局所を 含む、任意の通常の経路を介する。あるいは、投与は、皮内皮下注射、筋肉内注 射、腹腔内注射、または静脈内注射による。ワクチン組成物は、薬学的に受容可 能な組成物として通常投与される。この組成物は、生理学的に受容可能なキャリ ア、緩衝液、または他の賦形剤を含む。 本発明の薬学的組成物は、液体溶液または懸濁液のいずれかの注射可能な組成 物の形態において有利に投与される。注射前に液体に溶解または懸濁するための 適切な固体形態もまた調製され得る。これらの調製物はまた、乳化され得る。こ のような目的のための代表的な組成物は、薬学的に受容可能なキャリアを含有す る。例えば、組成物は、リン酸緩衝化生理食塩水1ミリリットルあたり約100mg のヒト血清アルブミンを含有し得る。他の薬学的に受容可能なキャリアとしては 、 塩、保存剤、緩衝液などを含有する水溶液、非毒性賦形剤が挙げられ、これらが 用いられ得る。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコ ール、植物油、およびオレイン酸エチルのような注射可能な有機エステルである 。水性キャリアとしては、水、アルコール性/水性溶液、生理食塩水溶液、非経 口ビヒクル(例えば、塩化ナトリウム、リンゲルデキストロースなど)が挙げら れる。静脈内ビヒクルとしては、液体および栄養補液が挙げられる。保存剤とし ては、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、および不活性ガスが挙げられる。薬学的 組成物の種々の成分のpHおよび正確な濃度は、周知のパラメーターによって調整 される。 経口投与に適切であるさらなる処方物。経口用処方物は、例えば、薬学グレー ドのマンニトール、ラクトース、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、サッカリン ナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどのような代表的な賦形剤を含む 。組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、丸剤、カプセル剤、持続放出処方物、または 粉末の形態をとる。 用語「単位用量」は、ヒトにおける使用に適切な物理的に別々の単位をいう。 それぞれの単位は、その投与(すなわち、適切なキャリア、経路、および処置レ ジメ)に関連して所望の免疫応答を生じるように計算され、所定の量のワクチン 組成物を含有する。処置数および単位用量の両方に従う、投与されるべき量は、 処置されるべき被験体、応答に対する被験体の免疫系の能力、および所望される 防御に依存する。ワクチン組成物の正確な量はまた、開業医の判断に依存し、そ して各個体に特有である。適切な投薬の範囲は、有効成分で0.001〜10mgのオー ダーである。最初の投与および追加免疫注射に適切なレジメはまた変化するが、 0日目、14日目、28日目、およびその後6〜12カ月毎の免疫が典型である。 J.原型ワクチン 本発明によるモデルワクチンは、黒色腫細胞ワクチンであり、「MCV」ともい う。このワクチンは、3つの黒色腫細胞株からなる。これらの株は、種々のHLA アロタイプに対する応答を誘導し得る有効濃度のMHC抗原を含むことが知られて いる。これらのHLAアロタイプは、ヒトMHCクラスI遺伝子の大部分の代表である 。 さらに、MCVは本明細書では「MAA」ともいう、6つの黒色腫関連抗原を含有する 。3つのガングリオシド(GD2、GM2、およびO-アセチルGD3)および3つのタン パク質抗原(リポタンパク質M-TAA、M胎児性抗原、およびM尿抗原)を含有する これらのMAAは、黒色腫患者において免疫原性であることが実証された。これら の抗原は細胞表面に位置し、そしてこれらに対する抗体は、インビトロで補体と 結合して黒色腫細胞を殺すことが示された。Mortonら,「新規な多価黒色腫ワク チンを用いる、活性で特異的な免疫療法後の転移性黒色腫における生存の延期」 ,Annals or Surgery,216: 463-482(1992)。これらの抗原を含有するMCVでの 患者の免疫は、MAAに対する特異的免疫応答を誘導する。 第II相試験を、進行した転移黒色腫を有する患者におけるMCVの使用を評価す るために行った。このワクチンを受けた患者は、免疫療法または化学療法の他の レジメンで以前に処置された患者よりも有意に長く生存した。ワクチンを、局所 皮膚および皮下部位(AJCC IIIA期)ならびに離れた部位(AJCC IV期)への転移 黒色腫患者に投与した。以前の試験と比較して、新しいワクチンは、特異的な体 液性および細胞媒介性の免疫応答の誘起に有意により効果的であった。新しい多 価MCVで処置され、そして高レベルの体液性抗体および/または細胞媒介性免疫 応答を発達させた患者は、非応答患者に比較して、より長期の生存を示した。 J.実施例 実施例1:黒色腫細胞ワクチン 活性な特異的免疫療法プロトコルは、照射した全細胞MCVでの被験体の免疫を 含む。MCVは、3つのヒト黒色腫細胞株(M-10VACC、M-24VACC、およびM-101VACC )からなる。これらは、黒色腫関連抗原の高発現についての注意深い研究の後に 一連の黒色腫細胞株から選択し、Hoonら(1990)に記載のように増殖させ、そし て投与のために調製した。この文献は、本明細書中に参考として援用される。 MCV中の3つの細胞株のHLA型を、表Vに示す。A座についての交差反応する対 立遺伝子は、白人種集団の120%に存在し、そしてB座についてはこの集団の70 %に存在するようであることが留意される。 外部の研究室が、ウイルス性(HIV、肝炎)、細菌性、および真菌性の感染生 物についてMCVをスクリーニングした。各株の等量を、10%ジメチルスルホキシ ドを含有する無血清培地中で合計24×106細胞までプールし、そして液体窒素中 で凍結保存した。凍結保存後、細胞を100GYまで照射した。 処置前に、MCVを解凍し、そして培地RPMI 1640中で3回洗浄した。MCVを、液 窩および鼠蹊部に、2週間毎3回、その後1カ月毎に1年間の日程で皮内注射し た。最初の2回の処置では、MCVをタイスBCG株(8×106生物)と混合した。1 年後、免疫間隔を3カ月毎4回、次いで6カ月毎に増やした。追跡調査としての 臨床評価および研究室評価を、1カ月毎に繰り返した。 MCV免疫後の黒色腫細胞表面抗原に対する抗体応答を、Mortonら,Surgery 64: 233-240(1968); Jonesら,J.Nat'l Cancer Inst.66: 249-254(1981)に記載の ように、間接的膜免疫蛍光(IMIF)アッセイにより評価する。 遅延型皮膚過敏反応(DCH)を、治療の前および間にMCVを用いて皮内皮膚試験 により測定する。プールしたMCV(2.4×106細胞)の10分の1を、前腕の遠隔部 位に投与する。48時間後、硬化部の平均直径をDCH応答として記録する。スチュ ーデントT検定を、0週〜4週、および16週までのDCHの絶対値を比較するため に用いた。 一般的な免疫担当能を、DNCBへの感作および抗原投与、ならびに流行性耳下腺 炎(mumps)およびカンジダのような通常の皮膚試験抗原に対する応答により評 価する。ワクチン中のBCGで免疫した結果として患者が感作し始めた、精製した タンパク質誘導体(PPD)抗原に対する応答を、さらなるコントロールとして供 する。混合リンパ球腫瘍細胞反応(MLTR)を用いて、免疫に対するインビトロ応 答を評価する。0週、4週、および16週のPBLを単離し、そして凍結保存する。 アッセイを、凍結保存したリンパ球で実施して再現性を確実にした。一連の出血 PBLを、同時に解凍し、洗浄し、そして培養培地(10%ヒトAB血清(熱不活化) を有するRPMI 1640(Irvine Scientific,CA))中に再懸濁する。 単独で投与した場合、MCVは、3カ月の間隔で5年まで投与した場合、実質的 には有意な毒性がなく、非常に良好に許容される。軽症の紅斑およびそう痒が、 大部分の患者により処置部位に見られた。これは一過性であり、ほんの2〜3日 しか持続しない。約15%の患者は、12〜24時間の間の<99°Fの軽度の発熱を報 告する。同様の比率の患者が、MCV単独で処置した日またはその2日後に軽度の 疲労を報告する。筋肉痛および関節痛は、稀にしか報告されない。BCGと混合す る場合、通常、注射部位での潰瘍が見られる。 実施例2:インフルエンザAおよびBと反応性の抗体の誘導 本発明者らは、このMCVで免疫した患者由来のコード化した血清を、ブライン ドELISAアッセイにおいてインフルエンザAおよびインフルエンザBと反応性の 抗体について、コントロールとして予備免疫血清を用いて試験した。データを表 Iにまとめる。本発明者らは、MCVで免疫した後の81%の患者が、ELISAにより少 なくとも0.5抗原単位のインフルエンザAに対する血清学的反応性の増大を示し たこと、および38%の患者は、インフルエンザBに対する血清学的活性が同様に 増大したことを見出した。この増大した活性は、MCVにおける交差反応性細胞抗 原の2次的なものである。 実施例3:106人の正常なドナーのパネルから得た末梢血リンパ球の表面上の 細胞表面抗原と反応性の細胞傷害性抗体の誘導 16人の免疫した患者のうち10人から得た血清は、細胞傷害性抗体についての標 準的Terasakiアッセイにより試験した場合、116人の正常なリンパ球ドナーのう ち少なくとも20%の試験集団由来の同種リンパ球に対する細胞傷害性を誘導する のに十分な力価の抗体を形成した(表II)。16個体のうちの6個体、つまり38% は、正常なドナーリンパ球集団の>50%に対して細胞傷害性である抗体を形成し た。細胞傷害性抗体の頻度は、試験パネル中の個体由来のリンパ球に対して20% 〜97%まで変化した。 従って、まとめると、MCVでの免疫が、インフルエンザAウイルスおよびイン フルエンザBウイルス上に存在する細胞性抗原とELISAにより反応性であり、そ して免疫した被験体の63%に同種リンパ球の溶解を誘導し得る抗体の誘導に好結 果であったことが明らかである。補体の存在下でリンパ球の溶解を生じ得たこれ らの同じ抗体は、同じMHCアロ抗原を含有する、エンベロープに包まれたウイル スのウイルス膜の溶解を生じ得る。 =標準的なTerasaki組織タイプ分けアッセイを用いて試験血清により傷害さ れたドナーリンパ球の%実施例4:黒色腫ワクチン投与患者における上気道感染症および胸部「感冒」の 予防 エンベロープを有するウイルスに対する感染の予防に関し、これらのインビト ロでみられた免疫反応がインビボにおいて意義を有するかどうかについて検討す るためアンケート(質問表)を作成し、上気道または胸部「感冒」に年間1回以上 罹患し、黒色腫細胞ワクチンによる免疫療法を9ヶ月以上(MHCアロ抗原に対する 充分な感作を得るのに必要な期間)受けた黒色腫患者53例を対象にアンケートを 実施した(表III)。我々は、この免疫化が、免疫療法実施前の通常状態における 上気道感染症または胸部感冒への罹患率と比較して、免疫療法中のこれらの疾患 への罹患率に影響を及ぼすかどうかについて判定することを意図していた。これ らの患者は免疫療法実施以前には年間平均1.74回の呼吸器感染症を発症していた のに対し、免疫療法実施後では1.11回となることが判明した。これらの個体のう ち28例(53%)では、これらの疾患への罹患率に変化はなかったと報告されたのに 対して、53例中4例(8%)では「感冒」の頻度が増大したと報告された。しかしな がら、53例中21例(すなわちおよそ40%の個体)、特に上気道感染症に年間2回以上 罹患していた患者では、(通常ライノウイルス、インフルエンザ、パラインフル エンザウイルスなどのエンベロープ化ウイルスにより引き起こされる)これらの 疾患の重症度や発現頻度が低下したと報告された。何人かの患者、特に、免疫療 法実施前のウイルス感染症頻度が年間3回以上であった者では、感冒およびイン フルエンザによる発作(咳発作)の頻度の劇的な減少が認められた。このように高 頻度な感冒への罹患が報告されていた患者12例のうち10例(83%)では感冒の罹患 率の減少が報告され、1例では変化はなく、感冒罹患回数が増加したと報告され たものは1例のみであった。感冒およびインフルエンザの減少がみられた患者群 では、免疫療法実施前の感冒罹患回数の平均値は4回であり、免疫療法実施後の 罹患回数は平均1回であった。表IVを参照のこと。 Mean = 0 -3.26134 Prob> [T] 0.0020 P = .002 noll仮定のためのT検定による
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A61K 48/00 A61K 37/66 G (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,BB ,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CZ,DE, DK,EE,ES,FI,GB,GE,HU,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LK,LR,LS ,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW, MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,S E,SG,SI,SK,TJ,TM,TR,TT,UA ,UG,UZ,VN

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.インタクトな細胞を含有する組成物であって、該細胞は、所定の哺乳動物種 由来の少なくとも4つの共通のアロタイプを有する主要組織適合抗原を発現する 、組成物。 2.前記アロタイプのそれぞれが個体の80%以上において存在する、請求項1に 記載の組成物。 3.任意の所定の細胞が単一のアロタイプのみを発現する、請求項1に記載の組 成物。 4.少なくとも1つの細胞が少なくとも2つのアロタイプを発現する、請求項1 に記載の組成物。 5.前記抗原がクラスI抗原である、請求項1に記載の組成物。 6.前記抗原がクラスII抗原である、請求項1に記載の組成物。 7.前記抗原がクラスIおよびクラスII抗原の両方であるか、または多型遺伝子 によりコードされる他の同種抗原である、請求項1に記載の組成物。 8.前記複数の数が前記哺乳動物種の全ての公知のアロタイプを表す、請求項1 に記載の組成物。 9.前記哺乳動物がヒトである、請求項1に記載の組成物。 10.前記アロタイプが以下のヒトアロタイプ: HLAA1,A2,A3,A11,A24,A29,A32, B7,B8,B13,B35,B38,B44,B55,B60,B62, CW1,CW2,CW4,CW5,CW6,CW7,CW9,CW10,CW11, DR1,DR3,DR4,DR7,DR8,DR11,DR12,DR13,DR15, ABO 血液型 の少なくとも1つを包含する、請求項9に記載の組成物。 11.前記細胞がエンベロープ化ウイルス由来の抗原をさらに発現する、請求項 1に記載の組成物。 12.前記ウイルスがヘルペスウイルスである、請求項11に記載の組成物。 13.前記ウイルスがレトロウイルスである、請求項12に記載の組成物。 14.前記インタクトな細胞がさらにサイトカインを発現する、請求項1に記載 の組成物。 15.前記サイトカインが、IL-1、IL-2、IL-4、IL-7、IL-12、γ-インターフェ ロン、およびGMCSFからなる群より選択される、請求項14に記載の組成物。 16.前記インタクトな細胞がさらにコスティミュラトリー分子を発現する、請 求項1に記載の組成物。 17.前記コスティミュラトリー分子がB-7である、請求項16に記載の組成物 。 18.前記細胞が増殖不能にされている、請求項1に記載の組成物。 19.前記細胞が致死的に照射されている、請求項18に記載の組成物。 20.さらに薬学的に受容可能なキャリア、希釈剤、または賦形剤を含有する、 請求項1に記載の組成物。 21.所定の哺乳動物に免疫応答を生じさせる方法であって、以下の工程: (a)以下を含有する組成物を提供する工程 (i)インタクトな細胞、ここで、該細胞は、該所定の哺乳動物種由来の少な くとも4つのアロタイプを有する主要組織適合抗原を発現する;および (ii)薬学的に受容可能なキャリア、希釈剤、または、賦形剤、 (b)該組成物を該所定の哺乳動物に投与する工程 を包含する、方法。 22.前記哺乳動物がヒトである、請求項21に記載の方法。 23.前記インタクトな細胞がエンベロープ化ウイルス由来の抗原をさらに発現 する、請求項21に記載の方法。 24.前記細胞の致死的照射が、工程(a)に続き、かつ工程(b)に先行する、請求 項21に記載の方法。 25.所定の哺乳動物においてエンベロープ化ウイルスに対する免疫応答を誘起 する方法であって、以下の工程: (a)該ウイルスでの感染の危険のある所定の哺乳動物を同定する工程; (b)以下を含有する組成物を提供する工程 (i)インタクトな細胞、ここで、該細胞は、該所定の哺乳動物種由来の複数 のアロタイプを有する主要組織適合抗原を発現する; (ii)薬学的に受容可能なキャリア、希釈剤、または、賦形剤、 (b)該組成物を、該所定の哺乳動物に、該免疫応答を誘起するに有効な量で投 与する工程、 を包含する、方法。 26.前記哺乳動物がヒトである、請求項25に記載の方法。 27.前記細胞の照射が、工程(a)に続き、かつ工程(b)に先行する、請求項25 に記載の方法。 28.前記インタクトな細胞がエンベロープ化ウイルス由来の抗原をさらに発現 する、請求項25に記載の方法。 29.インタクトな非悪性細胞を含有する組成物であって、ここで、該細胞が、 所定の哺乳動物種由来の複数のアロタイプを有する主要組織適合抗原を発現する 、組成物。 30.前記種の少なくとも1つの組換え主要または副アロタイプ性抗原をさらに 含有する、請求項1に記載の組成物。 31.前記組換え抗原が、細菌、真菌、昆虫細胞および哺乳動物細胞からなる群 より選択される宿主において産生される、請求項30に記載の組成物。
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