JPH11509169A - 放出制御錠剤 - Google Patents

放出制御錠剤

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JPH11509169A JP8526317A JP52631796A JPH11509169A JP H11509169 A JPH11509169 A JP H11509169A JP 8526317 A JP8526317 A JP 8526317A JP 52631796 A JP52631796 A JP 52631796A JP H11509169 A JPH11509169 A JP H11509169A
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Abstract

(57)【要約】 医薬と賦形剤とを含む放出制御錠剤である。この賦形剤は、少なくとも約50%の水膨潤性ポリマーと潤滑剤とを含む。この水膨潤性ポリマーは、ポリマーの膨潤速度が膨潤したポリマーの溶解速度と等しくなるように選ばれる。賦形剤はさらに他の成分、例えば希釈剤、充填剤、結合剤その他の医学的に不活性な化合物を含んでもよい。このポリマーは、医薬の最後の部分が放出されると同時に、錠剤が完全に溶解されるように、医薬とともに選ばれる。

Description

【発明の詳細な説明】 放出制御錠剤 本発明は、多くの医薬製品の何れかと、賦形剤とを含む徐放性錠剤(sustained release tablet)に関するものである。 徐放性錠剤の製造を可能にする組成物を提供するための多くの試みが医薬技術 においてなされてきた。これらの試みにより、長時間にわたって医薬を放出する ことができる組成物が製造されてきている。しかしながら、その放出は一定では なかった。むしろ、従来技術の徐放性組成物は一般に患者が摂取した後、その医 薬の不均衡な量を迅速に放出する。その結果、患者の血流内の投薬水準が急激に 上昇することになる。その医薬が患者の特定の症状を軽減するためのものである 場合は、このような供給方法は好ましいことがある。しかし、医薬が慢性的な疾 病を治療するのに使用される場合のように、患者内での投薬水準の上昇が好まし くない例も多い。更に、特性的に短い半減期をもつ医薬については、生物学的に 活性な医薬の長期にわたる放出が非常に望ましい。 疎水性のポリマーおよび他の賦形剤から成る一体構造の系が、長期放出投与形 態においては通常使用される。それは製造のコストが高くないか、製造が困難で ないためである。しかしながら、そのような系は、しばしば時間の平方根(sq rt)の動力学を与える(すなわち、医薬の放出量が、医薬が摂取されてからの 時間の平方根に比例する)。長期放出投与形態の放出の動力学を改善する幾つか の方法がある。一体構造のマトリックスに親水性のポリマーを配合すると、ポリ マーの膨潤によって時間の平方根の動力学が改善される。特に、親水性のポリマ ーの膨潤/崩壊のプロセスによって制御される一体構造のマトリックス系は、医 薬の動力学を改善する。しかし、これらの系においても、医薬の放出速度は一般 に時間とともに大きく変化する。 親水性のポリマー単独が、制御された医薬の放出のために研究されてきた。水 と接触してゲルを形成し徐々に崩壊するヒドロキシプロピルメチルセルロース( HPMC)やポリビニルアルコール(PVA)のような親水性ポリマーは、経口 医薬投与系に利用されてきた。架橋ポリ(エチレンオキシド)も、制御された医 薬の投与のために研究されてきた。しかしながら、一定で、制御された医薬の徐 放性を作り出すためにこれらの材料を使用する試みは、今のところ有効でないこ とが分かっている。 本発明は、医薬および賦形剤を含む放出制御錠剤(controlled release tablet )を提供するものである。この賦形剤は、少なくとも約50%の水膨潤性ポリマ ーと潤滑剤とを含む。この水膨潤性ポリマーは、ポリマーの膨潤速度が膨潤した ポリマーの溶解速度に等しいように選ばれる。潤滑剤は一般に全体として賦形剤 の3%までの量で存在する。賦形剤はさらに他の成分、例えば希釈剤、填剤、結 合剤その他の医学的に不活性な化合物を含んでもよい。さらに、ポリマーと医薬 は相補的である。水膨潤性ポリマーを選ぶ場合、医薬の最後の部分が放出される と同時に、錠剤が完全に溶解されるように、ポリマーは医薬とともに選ばなけれ ばならない。 好ましい水膨潤性ポリマーは、ポリエチレンオキシドである。この医薬は、Mt /MT=ktnで表される速度で錠剤から放出される。ここで、tは時間、Mtは 時間tまでに放出された医薬の量、MTは錠剤に含まれる医薬の総量、kは定数 、そしてnは放出動力学なべき指数(exponent)であり、約0.89と1.0の間 の値を有する。 図1は、種々の分子量のPEOポリマーについてのゲル厚さおよび錠剤直径対 時間のグラフである。 図2は、種々の分子量のPEOポリマーについてのPEO錠剤からのテオフィ リン(theophylline)の放出分率(fractional release)対時間のグラフである。 図3は、種々のpH水準におけるPEO錠剤からのテオフィリンの放出分率対 時間のグラフである。 図4は、種々の医薬負荷における分子量0.9×106のPEO錠剤からのテ オフィリンおよび塩酸ジルチアゼム(diltiazem hydrochloride)の放出分率対時 間のグラフである。 図5は、種々の医薬負荷における分子量2.0×106のPEO錠剤からのテ オフィリンおよび塩酸ジルチアゼムの放出分率対時間のグラフである。 図6は、種々の攪拌速度での分子量0.9×106のPEO錠剤からのテオフ ィリンの放出分率対時間のグラフである。 図7は、種々の分子量のPEOの錠剤についての放出べき指数(n)対医薬の 溶解度のグラフである。 図8は、分子量0.9×106のPEO錠剤からの種々の医薬の放出分率対時 間のグラフである。 図9は、分子量2.0×106のPEO錠剤からの種々の医薬の放出分率対時 間のグラフである。 図10は、分子量4.0×106のPEO錠剤からの種々の医薬の放出分率対 時間のグラフである。 図11は、種々の粘度のヒドロキシプロピルメチルセルロースから形成された 錠剤からのテオフィリンの放出分率対時間のグラフである。 図12は、分子量4.0×106のPEO錠剤、および粘度1500〜180 0センチポイズでその中央に孔を有するHPMCの錠剤からのテオフィリンの放 出分率のグラフである。 図13は、1錠あたり30mgおよび60mgのプロカルディア(Procardia) XL錠剤からの放出分率のグラフである。 図14は、10パーセントのニフェジピン(nifedipine)を含む種々の分子量の PEOの錠剤からのニフェジピンの放出分率のグラフである。 図15は、分子量4.0×106のPEOおよびそれに添加した種々の量のポ リエチレングリコールの錠剤からのニフェジピンの放出分率のグラフである。 図16は、1錠あたり30mgのプロカルディアXL錠剤からのニフェジピン の放出分率と比較した、分子量4.0×106のPEOおよびそれに添加した種 々の量のポリエチレングリコールの錠剤からのニフェジピンの放出分率のグラフ である。 図17は、分子量4.0×106のPEO、20パーセントのニフェジピンお よびそれに添加した種々の量のポリエチレングリコールの錠剤からのニフェジピ ンの放出分率のグラフである。 図18は、1錠あたり60mgのプロカルディアXL錠剤からのニフェジピン の放出分率と比較した、分子量4.0×106のPEOおよびそれに添加した種 々の量のポリエチレングリコールの錠剤からのニフェジピンの放出分率のグラフ である。 図19は、分子量4.0×106のPEOおよび種々の量のニフェジピンを含 む錠剤からのニフェジピンの放出分率と比較した、1錠あたり30mgおよび6 0mgのプロカルディアXL錠剤からの放出分率のグラフである。 図20は、分子量4.0×106のPEOおよび1錠あたり10パーセントの ニフェジピンを含む錠剤からのニフェジピンの放出分率のグラフである。 本発明の賦形剤は、多数の医薬のうちのいずれかの制御された徐放性を許すた めに配合されてきた。本発明の賦形剤は一般に、親水性のポリマーおよび潤滑剤 から成る。又、他の薬学的に不活性な材料が添加されても良い。この賦形剤は広 範囲の薬剤と混合して、直接圧縮して固形の投与用錠剤にすることができる。 本発明にて使用することのできる下記の医薬は、具体例として記載されている に過ぎない。あらゆる適した薬剤も本発明に使用でき、このような薬剤には、例 えばニフェジピン、ジクロフェナック(diclofenac)NA、サリチル酸、テオフィ リン無水物(theophylline anhydrous)、スルファピリジン(sulfapyridine)、ス ルファドラジン(sulfadrazine)、塩酸プロプラノロール(propranolol hydro-chl oride)、および塩酸ジルチアゼムなどがある。比較的不溶性の薬剤の溶解性を増 加させ、身体による吸収を良くするために、ポリエチレングリコールが一般に使 用される。ここに記載されたポリマーは、直接錠剤に圧縮加工することができる 。別法として、結合剤、充填剤、または他の典型的な配合剤を、最終の錠剤の物 性を調節するために添加しても良い。特に、また制限はないが、下記の化合物を 含有させても良い:ラクトース、デキストロース、蔗糖、および燐酸カルシウム 。 特別には、本発明において有用なポリマー材料は、投与するために選ばれた医 薬に或る程度左右される。選ばれるポリマーには、分子量と粘度の両方がそれぞ れ種々変化した未架橋のポリ(エチレンオキシド)(PEO)およびヒドロキシ プロピルメチルセルロース(HPMC)が挙げられる。HPMCは、2%水溶液 で測定した粘度に基づいて利用することができる。PEOは分子量に基づいて利 用することができる。PEOもHPMCも単独で有用である。別法として、この 二つの材料の混合物または、どちらかの化合物の種々の粘度または分子量のもの の混合物も、本発明に使用できる。 PEOまたはHPMCの親水性マトリックスからの薬剤放出の間に、ポリマー の膨潤および崩壊という二つの機構現象が起こる。錠剤からの薬剤の放出の動力 学は、動くゴム状/ガラス状の先端面でのポリマー膨潤の速度と、膨潤したポリ マー/溶解媒体の先端面でのポリマーの崩壊の速度との相対的な大きさに左右さ れる。親水性ポリマーのマトリックスからのゼロ次元の放出の動力学を達成する には、膨潤先端面と崩壊先端面の速度の同期化(synchronization)を達成するの が最も好ましい。 錠剤からの医薬の放出の放出動力学は、下記の式で近似できる。 (1) Mt/MT=ktn 上式にて、tは時間、Mttは時間tまでに放出された医薬の量、MTは錠剤に 含まれる医薬の総量、kは定数、そしてnは放出動力学の羃指数である。 この式はnがほぼ一定に保たれる限りは有効である。nがほぼ1に等しい時、 錠剤からの医薬の放出はゼロ次元の動力学を有する。この場合、放出される医薬 の量は時間に正比例する。 賦形剤のために選ばれたポリマーの膨潤過程が(膨潤したポリマーの崩壊に比 較して)医薬放出を制御する主要過程である場合は、非ゼロ次元の放出の動力学 になる。一般に、この放出の動力学は0.5に近いnの値を指示し、平方根のフ ィッキアン(Fickian)型の放出動力学となる。従って、ゼロ次元の放出の動力学 になるような崩壊となるように、容易に膨潤して崩壊するポリマーを選ばねばな らない。 分子量(MW)が約0.6×106の未架橋低分子PEO(積層フィルム)か らの薬剤の放出は、同期化されたゲル厚さの達成によって、一定の放出速度を確 保する。すなわち、ポリマーの膨潤速度は、膨潤したポリマーの崩壊速度にほぼ 等しい。一方、MW=4×106の高分子PEOからの薬剤の放出は、ポリマー の崩壊ではなくてポリマーの膨潤によって優先的に制御される。その結果、特に 溶解度の高い薬剤では、膨潤したゲル層を通しての医薬の拡散によって誘起され る非定常の放出となり得る。 PEO錠剤からの薬剤の放出は、種々の分子量の親水性ポリマーの特性に左右 される膨潤/薬剤拡散または膨潤/ポリマー崩壊に支配される。二つの機構を区 別するために、MW=0.9×106、2×106および4×106のPEOの薬 剤を含まない錠剤を使った膨潤実験が行われたが、もっと不溶性の医薬の場合に は、分子量が8×106までのPEOを使用することもできる。薬剤を含まない PEO錠剤の膨潤ゲル厚さと外径が、図1に示されている。図1は、MW=0. 9×106および2×106のPEO錠剤では一定のゲル厚さが得られるが、4× 106のPEO錠剤からの膨潤ゲル厚さは時間とともに増加し続けることを示し ている。 図1からわかるように、膨潤/崩壊の過程の初期においては、ゲル層に沿った 錠剤の全寸法は、PEO錠剤の即時の膨潤によって急速に増加する。ポリマーの 膨潤速度は膨潤したポリマーゲルの溶解速度に等しく、ゲル層の厚さの同期化を もたらす。 錠剤の放出動力学は、医薬自体によっても指示される。溶解性の高い薬剤は、 溶解度の低い薬剤よりも早く放出される傾向がある。薬剤が高い溶解度を持つ場 合、ゼロ次元の放出の動力学を保持するには、ポリマーの膨潤および崩壊が急速 に起こらねばならない。膨潤および崩壊が非常にゆっくり起こる場合は、ポリマ ーの膨潤過程は、薬剤の放出を制御する主要過程である(薬剤はポリマーが崩壊 する前に膨潤したポリマーから拡散するからである)。この状況では、非ゼロ次 元の放出の動力学が得られる。結果として、高い溶解性の医薬の投与では、急速 に膨潤し崩壊する賦形剤が必要となる。24時間持続する錠剤を製造するために そのような材料を使用するためには、大きなピルが必要である。 この問題を克服するには、膨潤と崩壊の遅いポリマーを用いて、中央に孔のあ るドーナツ型の錠剤が使用できる。そのような錠剤では、錠剤が崩壊するのにつ れて錠剤の表面積が増加する。これによってポリマーがさらに露出し、錠剤の寸 法が縮むに従って、ポリマーはさらに膨潤して崩壊していく。又、ゼロ次元の放 出の動力学を保持するために、非常に溶解性の高い医薬をもった種類の錠剤も使 用できる。 逆に、不溶性の医薬の伝達は、膨潤したポリマーの層の崩壊によってだけ指示 される。なぜなら、膨潤したポリマーマトリックスからの医薬の拡散および溶解 がないからである。従って、比較的ゆっくりと膨潤して崩壊するポリマーを使用 することができる。この場合、充分に遅いポリマーを使用すると、通常の寸法の 錠剤において使われるよりも、高濃度の医薬を用いて錠剤を非常に小さくするこ とができる。この結果、非常に小さいのに極めて効果のある徐放性の錠剤を得る ことができる。 実施例 平均分子量が0.9×106、2×106、及び4×106であるPOLYOX −WSR NFs(未架橋のポリエチレンオキサイド)は、ユニオンカーバイド コーポレイション(ダンブリー、コネクチカット)から入手した。テオフィリン 無水U.S.P.及びマグネシウムステアレートU.S.P.は、アメンドCo .(アイルビング、ニュージャージー)及びマリンクロットケミカル(ジャージ ー市、ニュージャージー)からそれぞれ入手した。ジルチアゼムHClは、シグ マケミカルCo.(セントルイス、ミズーリ)から入手した。ヒドロキシプロピ ルメチルセルロースは、ダウケミカル(ミッドランド、ミシガン)及び信越化学 株式会社(東京、日本)から入手した。これらの材料は、標準とされているもの として使用された。 成分(PEO、薬剤、及びマグネシウムステアレート)を混合し、その後、シ ングルのパンチ錠剤機(ストークスモデルF、フィラデルフィア、ペンシルバニ ア)を用いて錠剤化した。直径が8.1mmの錠剤を製造するために、平らな表 面を有する錠剤パンチセットを使用した。これらには、調剤が充填され、手で機 械を回転させることによって圧縮を行った。出来上がった錠剤の硬さは、5.5 〜7.0Kp(シュロイニガーモデル2E/106、スイス)であった。このよ うにして製造した錠剤は約160mgの重量であった。 異なった製剤錠剤からの薬剤のインビトロ放出は、特に記載のない限り、10 0rpmの攪拌速度で37℃において、蒸留/脱イオン水中でUSPバスケット 方法を使用して行った。テオフィリン及びジルチアゼムHClは、モデル薬剤と して選択された。テオフィリン及びジルチアゼムHClの放出は、HP8252 A(ヒューレットパッカードコーポレイション)ダイオードアレイ分光光度計に よって、244nmと266nmにてそれぞれ測定された。放出速度データ(6 0%放出になるまで)は、上記の式(1)によって処理した。この点の後、しばし ばnはもはや一定にはならず、それゆえ、式(1)は用いていない。 膨潤可能なマトリックス(円柱形状)からの放出動力学についての評価によれ ば、0次元及び異常な輸送動力学はそれぞれ、0.89<n<1.0及び0.4 5<n<0.89で表される。式(1)の対数形態の線形回帰分析(マイクロソフ トエクセル5.0)は、R2≧0.99を用いて行った。 円柱状の錠剤の両方の円形面を、2枚の透明なマイラーシートで覆い、エポキ シにかわにより基材上に固定した。その後、このようにして表面が覆われた錠剤 を、溶解媒体としての水の中に入れた。この錠剤を一定期間ごとに取り出し、ガ ラス状/ゴム状境界面の位置と、マトリックス/溶解媒体境界面の位置の両方に おける自由界面を、測定装置アタッチメントを有するステレオ顕微鏡(オリンパ スSZ60)により測定した。その後、この錠剤は浴の中に戻した。 図1からわかるように、ゲル層厚みの同期化は、低分子量PEOを用いて、し かも外径が小さくなり始めた直後に、より早く起こる。分子量が大きくなると、 この同期化が起こるのが遅くなる。しかしながら、より高分子量のPEO錠剤( 4×106)については、ゲル層の同期化は起こらず、ゲル層厚みは、錠剤全体 がゲル状になるまで増加した。先端が錠剤の核の位置に達した後、膨潤したPE Oゲルは、PMMA/MAAやPVAのような他の膨潤可能な/崩壊可能なポリ マーよりも、長い時間持続する。この膨潤PEOゲル層は、PEOの分子量によ って2〜4時間持続することができる。このゲル層のこのように長い滞留時間の 結果、放出速度は、膨潤の先端が錠剤の核の位置に達した後で、崩壊/薬剤拡散 プロセスによって左右されることが予想される。 図2は、錠剤からのテオフィリンの薬剤放出についてのPEO分子量の影響を 示したものである。親水性ポリマーの溶解(崩壊)速度は、分子量の増加と共に 減少する。これは、PEOの異なった分子量が、放出べき指数(n)に対する異 なった値を有するためである。PEO錠剤からのテオフィリンの放出では、分子 量が0.9×106、2×106、及び4×106であるPEOから形成された錠 剤において、放出べき指数(n)の値はそれぞれ0.99(±0.024)、0 .80(±0.004)、及び0.83(±0.019)であった。より分子量 が低いPEO(MW=0.9×106)錠剤は一定の放出速度を示すが、分子量 が2×106及び4×106であるPEO錠剤は、使用される薬剤の溶解性によっ て変化することがある。 従って、この同期化されたゲル厚みは、薬剤放出の初期における放出速度に関 して重要な役割を果たす。ポリマーの分子量が増加するにつれて、ポリマーの溶 解速度は、ポリマーの膨潤速度に比べて減少する。「溶解速度」と「崩壊速度」 とは、ここでは相互に交換可能に使用されている。実際に、膨潤したゲル層の大 きさの減少は、崩壊と溶解の両方によるものである。低い溶解速度のために、ポ リマー層の厚みは増加する。その後、膨潤したゲル層を通っての薬剤拡散が、放 出機構を制御する主要な過程となる。PEO及びHPMCの高分子量(又は高粘 度グレード)ポリマーを用いた場合、ポリマーの膨潤が、膨潤ポリマーの崩壊よ りも放出速度を制御するのに最も主要な段階である。PEO及びHPMCの低分 子量ポリマーを用いた場合には、ポリマーの崩壊が、放出速度についての速度決 定段階である。しかしながら、PEOの膨潤度は、HPMCよりも高く、その結 果、HPMCよりもPEOの方がより好ましい速度となる。 PEO錠剤からのテオフィリンの放出は、図3に示されるように、溶解媒体の pHの変化によって著しい影響は受けない。そのため、PEOは、経口薬物伝達 システムにおいて好都合なものとなり得る。なぜなら、経口投薬形態のものは、 胃腸管に沿って動くからであり、胃腸管においては、pHが、胃の中の酸性環境 (pH<2)から腸の中の弱アルカリ性(pH約8)にまで変化する。 種々の医薬を詰め込んだPEO錠剤を、放出動力学における充填の効果を決定 するために試験した。これらの結果が、図4及び図5に示されている。放出速度 における顕著な違いは、PEO錠剤における異なった薬剤充填に関して観察され なかった。 MW=0.9×106のPEO錠剤の放出動力学は、たとえ薬剤充填を増加さ せても、0.90(±0.016)〜0.99(±0.024)の範囲にある、 べき指数nと共に変化しないままである。MW=2×106のPEO錠剤の場合 でさえも、20%と39%テオフィリンを充填した錠剤の放出プロフィールは、 0.80(±0.004)〜0.82(±0.007)の範囲にある、べき指数 nと重なり合う。これらの場合において、膨潤したゲル層を通してのテオフィリ ンの拡散(水中で1.0%未満の溶解度)は、PEO錠剤における放出機構にお いて重要な役割を果たしていない。むしろ、これは、薬剤の放出速度を指示して いるゲル層の崩壊速度である。 マトリックスへの水の拡散は、薬剤の水吸収によって大きく促進されるのでは なく、むしろ親水性ポリマーの水吸収によって促進される。このことは、ポリマ ーの膨潤/崩壊が、膨潤したゲル層を通しての薬剤の拡散よりも、制御変数であ ることを示している。これは、非常に高い水溶解性の薬剤(塩酸ジルチアゼム、 溶解度>50%)が使用された場合には、正しくないかも知れない。図4及び5 は、PEO錠剤からの薬剤の放出に関する薬剤溶解性の影響を示すものである。 低分子量PEOを用いると、薬剤の溶解性は、他の親水性ポリマーを用いた際に 起こり得るような、PEO錠剤からの薬剤放出に顕著な影響はない。 PEO錠剤はまた、錠剤からの薬剤の放出についての攪拌の効果を測定するた めに試験された。この結果が図6に示されている。図6からわかるように、攪拌 を、50〜100rpmの攪拌速度において増加させるにつれて、PEO錠剤か らの薬剤の放出速度は増加した。しかしながら、100rpm以上では、薬剤の 放出速度は攪拌の量に敏感に影響しなかった。又、攪拌速度に対してPEO錠剤 が敏感に影響を受けないことによって、PEOは、経口投与形態において好都合 なものとなる。というのは、胃及び腸の中で錠剤が溶かされた際にも、放出速度 が変化しないからである。 薬剤の溶解性と放出定数の変化が、図7に示されている。薬剤の溶解性が増加 するにつれて、ゲル層からの拡散が増加する。ゲル層の崩壊が、拡散を維持する のに充分な速さでない場合には、nは一定でない放出を示して減少する。予想さ れるように、このことは高分子量ポリマーにおいて、より容易に起こる。 この効果が更に図8、9及び10に示されている。これらの図には、試験に使 用された特殊な薬剤が、典型的な溶解度と一緒に示されている。最も長い時間の 間の最も一定した放出は、最も低い溶解度を有した薬剤であるスルファジアジン (sulfadiazine)によって示されている。最も小さな一定な放出は、ジクロフェナ ックNA及びテオフィリン等の、より溶解性の薬剤によって示されている。一定 でない放出は、より大きな分子量のポリマーを用いると悪くなる。 図11は、HPMCを用いた、特に低粘度のHPMCを使用した場合の薬剤伝 達に、いくらか直線性のあることを示している。又、粘度が100,000セン チポイズまでであるHPMCも、本発明において使用することができる。しかし ながら、図12に示されるように、達成される結果は、錠剤に孔を形成させるこ とによって実質的に改良される。錠剤に孔を形成させることにより、錠剤が溶解 し易くなるように、錠剤の表面積を増加させることができる。このことは、環境 に曝されるポリマーの量を増加させ、これにより、膨潤するポリマーの量を増加 させる。これは、薬剤の投薬速度を直線的なものとさせるポリマーの溶解速度を 増加させる。これは、錠剤が最初に水分と接触した際に起こる膨潤で実質的にな くなるほど小さくない孔を錠剤に設けることで性能を改良する。 図13は、30及び60mgのプロカルディアXLニフェジピン錠剤(ファイ ザーInc.、ニューヨーク、NY)の放出特性を示すものである。この図は、 本発明に従って製造された種々の組成物を含むニフェジピン錠剤を示す図14〜 19と比較することができる。各図においては、試験された錠剤の組成物が、P EOの分子量(×106)、PEOのパーセント、ニフェジピンパーセント、ポ リエチレングリコール(PEG)パーセント及び錠剤の重量として示されている 。即ち、「0.9m59,10,30,300mg」として示されている錠剤は 、300mgの錠剤中に、0.9×106の分子量を有するPEOを59%、ニ フェジピンを10%(即ち30mg)、PEGを30%含有する。残りの1%は 、充填剤や、マグネシウムステアレートのような潤滑剤を含んでいる。 図14〜19にて試験された錠剤において、PEGは、可溶化剤として、低い 溶解性の薬剤であるニフェジピンの溶解度を増加させるために使用されている。 賦形剤及び全体としての錠剤の組成を計算する際の、このような使用のため、こ のような可溶化剤は、賦形剤の一部ではなく、薬剤の一部と考えられる。このよ うにされているのは、可溶化剤の使用及び割合が、使用された特殊な薬剤及びこ れらの量に左右されるからである。本発明において有用な他の可溶化剤には、シ クロデキストリン類、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン類、ポリビニルピ ロリドン(PVP)及び、薬剤配合にて通常使用される他の可溶化剤がある。 図16には、40〜50%のPEGと、30mgのニフェジピンを含む300 mgのPEO錠剤が、30mgのプロカルディアXL錠剤と非常に良く似た作用 をすることが示されている。図18には、約35%のPEGと、60mgのニフ ェジピンを含む300mgのPEO錠剤が、60mgのプロカルディアXL錠剤 と非常に良く似た作用をすることが示されている。 図20には、4×106の分子量を有するPEOの錠剤からのニフェジピンの 放出分率が示されている。これらの錠剤は、水(w300mg)と、一般的な溶 解媒体である0.54%ラウリル硫酸ナトリウムの両方で試験された。これら錠 剤は、良好な作用をすることがわかった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A61K 31/455 A61K 31/455 31/52 31/52 31/55 31/55 31/60 31/60 47/30 47/30 C (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,SZ,U G),AM,AT,AU,BB,BG,BR,BY,C A,CH,CN,CZ,DE,DK,EE,ES,FI ,GB,GE,HU,JP,KE,KG,KP,KR, KZ,LK,LR,LT,LU,LV,MD,MG,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TT,UA, UZ,VN

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.医薬と賦形剤との単一の均質な混合物から本質的に成る放出制御錠剤であ って、前記賦形剤が、 a)少なくとも50%の水膨潤性ポリマー、及び b)潤滑剤 を含み、この際、前記ポリマーの膨潤速度が、膨潤時の前記ポリマーの溶解速度 と等しいことを特徴とする放出制御錠剤。 2.医薬と賦形剤との単一の均質な混合物から本質的に成る放出制御錠剤であ って、前記賦形剤が、 a)水膨潤性ポリマー、及び b)潤滑剤 を含み、この際、前記水膨潤性ポリマーと前記医薬が、錠剤の溶解完了が医薬の 放出完了と一致するようにして選ばれることを特徴とする放出制御錠剤。 3.前記水膨潤性ポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエ チレンオキシド及びこれらの混合物からなる群より選ばれたものであることを特 徴とする請求項1又は2記載の放出制御錠剤。 4.前記水膨潤性ポリマーが、約100cps〜約15,000cpsの粘度 を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースであることを特徴とする請求項3 記載の放出制御錠剤。 5.前記水膨潤性ポリマーが、約900,000〜約4,000,000の平 均分子量を有するポリエチレンオキシドであることを特徴とする請求項3記載の 放出制御錠剤。 6.前記潤滑剤が、マグネシウムステアレートであることを特徴とする請求項 1又は2記載の放出制御錠剤。 7.前記潤滑剤が、前記賦形剤の3重量%までの量で存在していることを特徴 とする請求項1又は2記載の放出制御錠剤。 8.前記賦形剤が更に希釈剤を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の放 出制御錠剤。 9.前記希釈剤が、ラクトース、デキストロース、蔗糖、および燐酸カルシウ ムからなる群より選ばれたものであることを特徴とする請求項8記載の放出制御 錠剤。 10.前記希釈剤が、前記賦形剤の50重量%までの量で存在していることを特 徴とする請求項8記載の放出制御錠剤。 11.更に可溶化剤を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の放出制御 錠剤。 12.前記可溶化剤が、ポリエチレングリコール、シクロデキストリン類、ヒド ロキシプロピルシクロデキストリン類及びポリビニルピロリドン(PVP)から なる群より選ばれたものであることを特徴とする請求項11記載の放出制御錠剤。 13.前記可溶化剤がポリエチレングリコールであることを特徴とする請求項11 記載の放出制御錠剤。 14.前記可溶化剤が、前記賦形剤の150%までの量で存在していることを特 徴とする請求項11記載の放出制御錠剤。 15.前記医薬が、前記錠剤の約10重量%〜約40重量%の量で存在している ことを特徴とする請求項1又は2記載の放出制御錠剤。 16.前記医薬が、ニフェジピン、ジクロフェナックナトリウム、サリチル酸、 テオフィリン、スルファピリジン、スルファドラジン、塩酸プロプラノロール、 および塩酸ジルチアゼムからなる群より選ばれたものであることを特徴とする請 求項1又は2記載の放出制御錠剤。 17.前記医薬がニフェジピンであることを特徴とする請求項16記載の放出制御 錠剤。 18.前記水膨潤性ポリマーが、約900,000〜4,000,000の平均 分子量を有するポリエチレンオキシドであることを特徴とする請求項17記載の放 出制御錠剤。 19.前記医薬がテオフィリンであることを特徴とする請求項16記載の放出制御 錠剤。 20.前記水膨潤性ポリマーが、約100cps〜約15,000cpsの粘度 を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースであることを特徴とする請求項19 記載の放出制御錠剤。 21.前記医薬が塩酸ジルチアゼムであることを特徴とする請求項16記載の放出 制御錠剤。 22.前記水膨潤性ポリマーが、約900,000〜約4,000,000の平 均分子量を有するポリエチレンオキシドであることを特徴とする請求項21記載の 放出制御錠剤。 23.前記錠剤が、これを貫通する孔を有していることを特徴とする前記請求項 のいずれかに記載の放出制御錠剤。
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