JPH11508142A - 不死化網膜細胞系およびその適用 - Google Patents

不死化網膜細胞系およびその適用

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JPH11508142A JP9537783A JP53778397A JPH11508142A JP H11508142 A JPH11508142 A JP H11508142A JP 9537783 A JP9537783 A JP 9537783A JP 53778397 A JP53778397 A JP 53778397A JP H11508142 A JPH11508142 A JP H11508142A
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ジョン グリーンウッド
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レイモンド ルンド
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ニューロテック エス.アー.
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、網膜に移植され、治療用物質を眼および中枢神経系に運ぶことが可能である網膜由来(網膜内皮または網膜色素)の不死化された細胞系に関する。そのような系は、血液/中枢神経系インターフェイスを研究するモデルとしても役立つことができる。これらの細胞系は、一次網膜内皮細胞および一次網膜上皮細胞からなる群から選択される一次網膜培養物に由来し、熱感受性ウイルス腫瘍遺伝子の少なくとも1種の不死化フラグメントを含む核酸フラグメントを含み該核酸フラグメントは必要に応じて少なくとも1個の選択遺伝子と関連し、並びに対応する一次培養物の形態学的特徴および少なくとも表面抗原の発現特徴を有する。

Description

【発明の詳細な説明】 不死化網膜細胞系およびその適用 本発明は、網膜に移植され、治療的興味のある物質を眼および中枢神経系に運 ぶことが可能である網膜起源(網膜内皮および網膜色素上皮起源)の新規な不死 化細胞系に関する。そのような系は、血液/中枢神経系インターフェイスを研究 するモデルとしても役立つことができる。 血液-脳関門および血液-網膜関門は両方とも、神経実質から及びそれへの物質 の通過のコントロール、特に止血の維持に重要である。 網膜では、血液-網膜関門は、解剖学的に別である2つの異なるタイプの細胞 を含む。網膜の腹側部分を供給する網膜の血管内皮は、大脳の内皮と同一の構造 を有すると現在考えられているが(タワー(Tower)ら、J.Physiol.、1994、480 、10-11P)、網膜色素上皮の細胞は、脈絡膜循環の透過性血管をカバーし、それ らのタイトな先端接合部を介して後部関門を形成する;それらは、結果として脈 絡叢のタイトな接合部上皮細胞と類似している。 大脳および網膜の内皮は、末梢の内皮とは異なる性質を有しており、タイトな 接合部を発現するためのみには 役立たず、物理的関門を形成する。内皮の他の特色は、この関門の特異的な性質 に寄与し、特定の特色とは、グルコース輸送体(GLUT-1)、トランスフェリン・レ セプターおよび薬剤耐性遺伝子の発現産物であるP-糖タンパク質(Pgp)のような 物質の分布および発現である。 大脳および網膜の内皮は、末梢の内皮とは、循環白血球へのそれらの透過性に おいても異なる。 内皮表現型を誘導する分子的メカニズムのインビトロ研究は、一次細胞培養物 として大脳または網膜血管の内皮細胞あるいは網膜の色素上皮細胞の入手性に依 存するという不利な点を有する。 インビボ移転に関する限り、細胞移植用の胎児起源の始原神経組織をヒト治療 のために使用することは、多くの倫理的および実際的問題を引き起こす;この問 題に対する1つの選択肢は、神経起源の始原細胞系(例えば、ニューロン、グリ ア細胞、星状細胞)または非神経細胞の細胞系(例えば、線維芽細胞、筋芽細胞 、副腎髄質のクロム親和性細胞、肝細胞)を使用することである。副腎髄質、線 維芽細胞または筋芽細胞の細胞系はインビボで実際に活性物質を放出できるが、 それらは中枢神経系に通常存在せず神経系の正常機能を修飾し拒絶反応を引き起 こすことができる。 これらの細胞の環境に影響される、異なる組織の内皮細胞の異質性ゆえに、細 胞を網膜環境に適応させ、それらが移植またはグラフトされるときに細胞の良好 な形態学的および生理学的統合を可能にするツールを有することは重要である。 結果として、本発明者は、哺乳動物とくに齧歯類、より具体的にはラットの、 血液-網膜関門の内皮および網膜色素上皮の一次培養物由来の不死化細胞系を提 供する作業を自らに課し、それら細胞系は、得られる全ての系が安定であり分化 細胞の特徴を最も利用できるという点で、特に実際的な要請をより十分に満たす ことができる。 本発明は、不死化された哺乳動物の細胞系に関し、それらは一次網膜内皮細胞 および一次網膜上皮細胞を含む群から選択される網膜細胞の一次培養物に由来す ることを特徴とし、それらは、熱感受性ウイルス腫瘍遺伝子の少なくとも1個の 不死化フラグメントを含む核酸フラグメントを含み、該核酸フラグメントは少な くとも1個の選択遺伝子と関連し得ることを特徴とし、並びにそれらは、対応す る一次培養細胞の形態学的特徴および少なくとも表面抗原発現を安定に示すこと を特徴とする。 安定とは、少なくとも30継代まで、および50継代より多くまで不死化された系 の形態学的および表現型的特徴 の維持を意味するものとして理解される。 該系の1つの有利な実施態様では、それらは網膜内皮細胞から誘導され、少な くとも一次培養網膜内皮細胞に特徴的な形態学的特徴および抗原発現、つまり紡 錘状形態、RECA-1のような内皮組織マーカーの発現、少なくともP-糖タンパク質 、GLUT-1およびトランスフェリン・レセプターのようなCNS内皮に特異的なマー カーの構成的発現、1A8B抗原のような大脳内皮細胞に特異的な表面抗原の発現の 不存在を示す。 該系の他の有利な実施態様では、それらは網膜色素上皮細胞に由来し、一次培 養網膜色素上皮細胞に特徴的な形態学的特徴および抗原発現、つまり舗石(pavem ent)形態並びにRET-PE2およびサイトケラチンの発現を示す。 驚くべきことに、そのような細胞は、分化した網膜内皮細胞または分化した網 膜色素上皮細胞に特徴的なそれらの発現においては異ならない。 さらに: ・網膜色素上皮細胞は、インビボで、宿主哺乳動物の網膜の細胞構造(cytoarc hitecture)に、増殖することなく好適に統合(integrate)され、特にRCS(Royal C ollege of Surgeons)株のラットにおいて光受容体の損失を防ぐことができる、 および ・網膜内皮細胞は、インビトロで、網膜色素上皮細胞の非存在下または存在下 に血液-網膜関門のモデルとして役立つことができる。 該系の他の有利な実施態様では、腫瘍遺伝子の少なくとも1個の不死化フラグ メントを含む核酸フラグメントは、熱感受性SV40 T-腫瘍遺伝子のフラグメント を含む。 これは、以下のものを提供する: ・IO/JG2/1と称される不死化網膜内皮細胞、それは、一次培養細胞のように紡 錘状でありCNS内皮細胞に特異的な上記マーカー、並びに一次培養網膜内皮細胞 と同じ表面抗原および主要組織適合遺伝子複合体の同じ抗原を発現した、および ・IO/LD7/4と称される不死化網膜色素上皮細胞、それは、一次培養細胞と非常 に類似していた;色素沈着していないが、これらの細胞は、特異的RET-PE2抗原 およびサイトケラチンを発現する。 本発明によれば、IO/JG2/1と称される不死化網膜内皮細胞は、パスツール研究 所に所有されるコレクシオン ナショナル ド クルチュール ド ミクロ−オ ルガニスム(Collection Nationale de Cultures de Micro-organismes)に、1996 年4月18日に番号I-1695で寄託された。 本発明によれば、IO/LD7/4と称される不死化網膜上皮 細胞は、パスツール研究所に所有されるコレクシオン ナショナル ド クルチ ュール ド ミクロ−オルガニスムに、1996年4月18日に番号I-1694で寄託され た。 本発明はさらに、これ以降ベクター細胞系と称する上記のような不死化系に由 来する細胞系に関し、それらはポリペプチド、タンパク質またはウイルスベクタ ーをコードする配列を、必要に応じて少なくとも1種の選択遺伝子および必要に 応じて少なくとも1種のマーカー遺伝子とともに含む発現ベクターに関連する上 記の少なくとも1種の細胞系を含むことを特徴とし、並びにそれらはインビボで 、宿主哺乳動物の網膜とくに網膜下腔への統合、光受容体の損失の防止、および 該ペプチド、該タンパク質または該ウイルスベクターの産生が可能であることを 特徴とする。 本発明において、発現ベクターは、ゲノム中に組込まれた又は該細胞系の細胞 質に存在し、該ポリペプチド、タンパク質またはウイルスベクターの発現を可能 とする任意の核酸フラグメントを意味するものとして理解される。 本発明による全ての系(細胞系およびベクター系)は、特に全てのこれらの系 が一次培養系の表現型を有する故に、移植の再現可能な適用を目的として、網膜 起源の細 胞の純粋で、均一で十分なソースを構成する利点を有する。 ベクター系に関して、より具体的には、それらは網膜血管新生に良好に統合さ れ、非常に良く寛容され、それらが発現する活性物質をインビボで長期間放出し 、原発性または二次性の眼科的または神経的疾患の処置のための組成物の調製に 使用できる。 本発明はさらに、血管-網膜関門の生化学的および細胞的システムを研究し同 定するためのモデルに関し、それは少なくとも1種の上記細胞系を含むことを特 徴とする。 上記の規定とは別に、本発明は、他の規定も含み、それは、本発明の主題を形 成するプロセスの実行の仕方について実施例および添付の図面を参照する下記の 記載から明らかになり、図面については: −図1は、本発明による網膜内皮細胞(c)、網膜色素上皮細胞(E)およびIO/JG2 /1不死化クローン(D)およびIO/LD7/4不死化クローン(F)の一次培養物の形態学を 示す; −図2は、IO/LD7/4細胞(A)およびIO/JG2/1細胞(C,E)の透過型電子顕微鏡写真 を示す; −図3は、T-抗原に対する抗体の存在下に得られた核染色を示す:IO/JG2/1(B )およびIO/LD7/4(C); −図4は、IO/JG2/1培養物(A-F)中の異なる内皮マーカ ーの発現を示す; −図5は、一次培養物(A,B)およびIO/LD7/4クローン(C,D)中の異なる上皮マー カーの比較発現を示す; −図6は、IO/LD7/4クローン中の接着分子ICAM-1(A,B)並びにクラスI(C,D)お よびクラスII(E,F)主要組織適合遺伝子複合体の抗原の、IFN-γによる誘導の非 存在下(A,C,E)または存在下(B,D,F)での発現を示す; −図7は、IO/LD7/4細胞についての、γ-IFNに0-5日間応答した、接着分子ICA M-1(B,黒い棒)およびVCAM-1(B,陰影のついた棒)並びにクラスII I-A組織適合抗 原(A,黒)およびI-E組織適合抗原(A,陰影)の発現を示す; −図8は、網膜内皮細胞(REC)、網膜色素上皮細胞(RPE)またはIO/JG2/1および IO/LD7/4クローンの一次培養物からなる単層を横断するT-リンパ球の移動を示す ; −図9は、解離した網膜と共同培養したIO/LD7/4細胞の電子顕微鏡写真を示す ;外部セグメント(ROS)の残骸は、細胞の付近にあり、ファゴソーム(P)中に見い 出される; スライド上で培養したIO/LD7/4細胞を示す;その細胞は高い収縮能力を示し、マ トリックス中でストレスラインを作る; −図11は、SDラットの網膜にIO/LD7/4細胞をグラフ トした後で得られた細胞の六角形形態を示す; −図12は、一次RPE細胞(図12A)およびIO/LD7/4細胞(図12B)をグラフト されたラットおよびコントロール動物(ブランク操作)(図12C)での、光刺激に 応答した瞳孔反射の潜時の平均値および標準偏差を示す;図12Dのデータは、ジ ストロフィーRCSラットの応答を齢の関数として示す;非ジストロフィーラット の平均潜時は0.48±0.04秒である;L=左眼およびR=右眼; −図13は、一次RPE細胞(図13A)およびIO/LD7/4細胞(図13B)をグラフト されたラットおよびコントロールラット(図13C)での、光に対する瞳孔反射反 応の振幅の平均値および標準偏差を示す;図13Dに示されるデータは、齢の関数 としてのジストロフィーRCSラットの応答に対応する;非ジストロフィー6月齢 動物の応答の平均振幅は19.7±5.7%である;L=左眼およびR=右眼; −図14は、異なるデザインの壁を有するケージ内に置かれたラットの平均活 動の変化を示す;IO/LD7/4細胞をグラフトされたラット(陰影のついた棒)、コ ントロールラット(ブランク操作または見せかけ(sham);白い棒);ブランク= 無装飾の壁;チェック=装飾された壁; −図15は、上丘の視野の活動単位の数を記録された総数のパーセンテージと して示す;IO/LD7/4および一次 RPE細胞は、グラフトされた動物の視野の損失が、非グラフト動物(コントロー ルまたは見せかけ)と比較すると低減することができる; −図16は、一方で、上丘の二次元的視界(図16.1および16.2、C=尾側、M= 中央、R=吻側、およびL=側方)、他方で、網膜の視野に対応するマップ(図16 .3および16.4、D=背側、N=鼻側、V=腹側、およびT=側頭)を示す;小丘のマ ップのクロスは、いかなる記録も得られなかったゾーンを示す;ドットは、記録 を得ることができたゾーンに対応する;左側の図(図16.1および16.3)は、ジス トロフィー6月齢ラットの記録を示す;記録は単一ユニット(明るいゾーン)か ら作製され得、それはこの齢の動物に特徴的である。右側の図(図16.2および16 .4)は、上部側頭網膜上にIO/LD7/4細胞をグラフトされたラットの記録を示す。 応答は、小丘の広いゾーンから得られ得ることが観察される; −図17は、一次RPE細胞またはIO/LD7/4細胞をグラフトされたラットの網膜 の組織学的特徴に関する幾つかの差異(外側核層中の核の数:図17A;内側核 層中の核の数:図17B;外部網状層のμmで表した深さ:図17C;グラフトに より守られた網膜の相対的ゾーン(%):図17D)を示す。 しかしながら、これらの実施例は、本発明の主題を例示するためにのみ示され 、いかなる意味でも本発明を限定することを含意しないことが明らかに理解され るべきである。実施例1 : 本発明による不死化細胞を特徴付けるのに使用される方法: a)ラットの大動脈内皮細胞の単離および培養 大動脈内皮は、マクガイヤー,ピー.ジー.(McGUIRE,P.G.)らに記載される 方法(Lab.Invest.、1987、57、94-105)によって単離される。 ラット大動脈を切開して取り出し、小片(2-5 mm)に切り刻み、それをコラーゲ ンでコートした内皮細胞培養培地を含む24ウェルプレートに入れ、大動脈片の管 腔面がコラーゲンと接触するようにする。 RPMI培養培地は、20%ウシ胎児血清、7.5μg/mlの内皮細胞増殖補足物、80μg/ mlのヘパリン、2 mMグルタミン、0.5μg/mlのビタミンC、100 U/mlのペニシリン および100μg/mlのストレプトマイシンで補足されている。 3日後、外植片を取り出し、接着細胞はコンフルエンスのポイントまで増殖す る。コンフルエンスでは、内皮血管に特徴的な舗石形態を有し、フォンビルブラ ント因子を発現し、D-バリンを含む培地で増殖する。 細胞は、3継代後に使用する(実験的使用のための最も早い段階)。 b)得られた異なる細胞の形態学的研究のための電子顕微鏡観察を行うためのプ ロトコール 不死化細胞(網膜内皮細胞およびRPE細胞)の単層を、24ウェルプレートでコ ンフルエンスのポイントになるまで培養する。0.1 Mカコジル酸ナトリウムHCl(p H 7.4)中1%のパラホルムアルデヒドおよび3%のグルタルアルデヒドの混合物、ま たは0.5%(w/v)タンニン酸を添加してpH 6.9に緩衝化した0.1 Mカコジル酸ナトリ ウム中2.5%のグルタルアルデヒドで、細胞を固定する。 カコジル酸ナトリウム緩衝液(pH 7.4)中で5分間3回リンスした後、細胞を再 び1% 四酸化オスミウム水溶液中で光の不存在下に2時間4℃で固定し、異なる 強度のアルコール(1×10分間 50-90%、4×10分間 100%)の存在下に脱水し、 アラルダイト(Araldite)に含ませ、60℃ よび超薄(50nm)の切片を作製する。半薄切片は、顕微鏡観察のために50%エタノ ール中1%トルイジンブルーで染色し、超薄切片は、50%エタノール中1%クエン酸 鉛およびクエン酸鉛で次々に染色し、80kVで操作するJEOL 1010透過 型電子顕微鏡で観察および写真撮影する。 c)ELISA、免疫組織学およびフラックス・サイトメトリーにより内皮およ び上皮表面抗原を検出するためのプロトコール *ELISA: ラット網膜内皮細胞(一次培養物および不死化細胞)を、0.05% IV型コラーゲ ンで先にコートしてあった96ウェルプレート上にコンフルエンス密度で接種する 。 細胞をプレートする前に、コラーゲンをアンモニア蒸気内で固定し、プレート をHBSSで2回洗浄する。細胞を、実験で使用する前に3日間培養する。実験的処 置の後、細胞をハンクス緩衝食塩水(HBSS)中で4回洗浄し、リン酸緩衝生理食塩 水(PBS)中0.1%のグルタルアルデヒドで10分間室温で固定する。 細胞を、50 mM Tris-HCl緩衝液、pH7.5で、20分間室温で洗浄する。一次抗体 を、100μg/mlの正常ウサギIgGおよび4mg/mlのウシ血清アルブミンを含む100μl のHBSSに希釈し、その後に細胞とともに45分間37℃でインキュベートする。細胞 を、0.2%のTween 20を含むPBSで4回洗浄し、ビオチニル化抗マウスIgG(1:700; アマーシャム(Amersham))とともに45分間37℃でインキュベートする。細胞を再 び、0.2%のTween 20を含むPBSで4回洗浄し、西洋 ワサビペルオキシダーゼ/ストレプトアビジン(1:700;アマーシャム)とともに 45分間37℃でインキュベートする。細胞を、0.2%のTween 20を含むPBSで4回洗 浄し、クエン酸-酢酸緩衝液(pH 5)中100μlのテトラメチルベンジジンとともに1 0分間インキュベートする。50μlの1 M硫酸を添加して反応を止め、反応生成物 を定量する(450nmでの光学密度)。 *組織化学的研究: 一次培養物および不死化細胞をスライド(ギブコ(Gibco)/BRL)上に接種し、 コンフルエンスのポイントまで培養する。 表面抗原は、HBSS中で細胞を洗浄し、続いて100μg/mlの正常ウサギIgGおよび 4mg/mlのウシ血清アルブミンを含むHBSSでブロックすることにより検出する。 次に一次抗体を非固定細胞に添加し、細胞を1時間氷上でインキュベートして 洗浄し、二次の特異的ビオチニル化抗体を加え、細胞を30分間インキュベートす る。洗浄後、FITC標識ストレプトアビジンを細胞とともに15分間インキュベート する。続いて、細胞を固定し、マウントし、ザイス・アキシオフォト(Zeiss Axi ophot)下で観察する。細胞内抗原のために、細胞を固定し、ELISA法について記 載されるように透過性にさせる。 *フラックス・サイトメトリー: コンフルエントな網膜培養物のフラックス・サイトメトリーをFACScan装置( ベクトン-ディッキンソン(Becton-Dickinson))上で行う。洗浄の後に細胞単層 を、1mg/mlのコラゲナーゼ/ディスパーゼ(dispase)および0.2%のEDTAを含むHBS S中で解離させ、細胞をPBSに再懸濁する。 5×104(5.104)細胞/フラスコを一次抗体とともに氷上で1時間インキュベー トし、この後に、FITCと複合体化した抗マウスIgGウサギF(ab')2抗体とともに、 20%の正常ラット血清の存在下に1時間2回目のインキュベーションをする。2 回洗浄した後、細胞をPBSに再懸濁し、分析する。非染色細胞を較正のために使 用し、二次抗体でのみ染色された細胞をバックグラウンド確立のために使用する 。 d)単層を横断するT−リンパ球の移動を研究するためのプロトコール 抗原に特異的なT-細胞のトランス-内皮移動を可能にさせる不死化細胞の能力 は、グリーンウッド ジェイ.(GREENWOOD J.)ら(Immunol.、1993、80、401-406 )に記載されるように測定する。 T-細胞(2×105細胞/ml/ウェル)を、一次細胞培養物または不死化網膜内皮細胞 およびRPE細胞の単層を含む24ウ ェルプレートに導入する。 T-細胞は、4時間で沈降し移動する。移動速度を評価するために、共同培養物 を位相差顕微鏡下に置き、5%のCO2を含む雰囲気に37℃で維持する。 200×200μm視野を任意に選び、10分間記録し、4時間かけてカメラでスプレ ッド・アウトする。データを、視野中の単層を横断して移動した総リンパ球のパ ーセンテージとして表す;最小6ウェル/テストを分析する。実施例2 : 本発明による系の作製:ラット網膜内皮細胞 a)網膜内皮細胞の単離および培養 内皮細胞は、病原体を有しない4〜6週齢の雌ルイス(Lewis)ラットに由来す る。網膜細胞を、グリーンウッド ジェイ.(J.Neuroimmunol.、1992、39、123 -132)およびアボット エヌ.ジェイ.(ABBOTT N.J.)ら(Cell Sci.、1992、103 、23-37)に記載される方法によって単離し培養する。これらの技術は、95%を超 える純度の一次培養物を生じる。ラット網膜を、酵素的消化によって分散させ、 微小血管のフラグメントは遠心分離によって細胞からそれら自身を分離し、細胞 を洗浄してコラーゲンでコートしたフラスコ内で培養する。増殖培地は、17.5% の血清(アドヴァンス・プロティン・プロダクツ社(Advance d Protein Products Ltd))、7.5μg/mlの内皮細胞増殖補足物(アドヴァンスト ・プロテイン・プロダクツ社)、80μg/mlのヘパリン、2 mMグルタミン、0.5μg /mlのビタミンC、100 U/mlのペニシリンおよび100μg/ml のストレプトマイシン を補足したハムのF-10培地(シグマ(Sigma))からなる。 培養物を、5%のCO2を含む雰囲気に37℃で維持する;培地はコンフルエンスの ポイントまで、3日ごとに取り換える。 b)細胞の不死化 SV40 T-遺伝子を含み、複製欠陥性であり、ピー.エス.ジャット(P.S.JAT) ら(Mol.Cell.Biol.、1986、1204-1217)に記載される技術に従って得られるレ トロウイルス・ベクターを、選択された線維芽細胞系(SVU19.5系)で多量に産 生する。 このレトロウイルス・ベクターは、特に、熱感受性であり選択マーカーとして ネオマイシンをコードする遺伝子に関連するtsa58 T-抗原をコードしている。そ れは、0.45μmフィルターを通して産生細胞を除去した後に、SVU19.5細胞の培養 上清から得られる。それを、a)で作製されたもののような内皮細胞の一次培養物 に加える(トランスフェクション)。 8μg/mlのポリブレン(Polybrene)(アルドリッチ(Aldrich))を含む2 mlの培 地中の200μlのウイルスを、内皮細胞に加える;全体を、インキュベーター中で CO2雰囲気下に37℃で4時間インキュベートし、フラスコを15分ごとに振とうす る。 インキュベーション後、培地を除去し、5 mlの新鮮な培地を加える;全体を、 終夜再培養する。続いて、細胞をインキュベーター中で48時間維持する。次に、 それらを200μg/ml のゲネチシン(geneticin)(G418、ギブコ)を含む選択培地に プレートし、耐性コロニー選択によって不死化親系を得る。親系を限界希釈でク ローニングすると、特に、より完全な研究のための選択されたIO/JG2/1クローン が得られる。 c)IO/JG2/1クローンの特徴 このクローンは、有意な形態学的または表現型的な差違なしに、30継代まで培 養される。 ・形態学 網膜内皮細胞の一次培養物は、これらの細胞に特徴的な紡錘状の形態学を有す る(図1C)。不死化IO/JG2/1クローンは、この特徴的な形態学を維持する(図 1D)。 ・超微細構造的外観 IO/JG2/1クローンの超微細構造的外観(図2:B、C) は、一次培養物のそれに類似している。ボリュームのある核が、周縁ヘテロクロ マチン並びにミトコンドリア、小胞体およびポリソームのような多くの細胞質ゾ ルオルガネラの存在とともに観察される。細胞間の接合部はしばしば、狭い接触 の箇所で細胞質密度の領域との嵌合(interdigitation)を示す。細胞は、基板上 にある。 ・tsa58 T-抗原の発現 G418培地で選択された全ての不死化網膜内皮細胞は、T-抗原に対する抗体で染 色される実質的な核を示すが(図3A:IO/JG2/1;図3B:IO/LD7/4)、一次培 養物の内皮細胞では染色は全く観察されない。 ・内皮マーカーの発現 IO/JG2/1クローンは、内皮細胞に特異的な多くの抗原を発現する;得られた結 果を、表Iに示す。 表1は、このクローンが特に、フォンビルブラント因子、REC-1抗原、ICAM-1 抗原を発現し、その発現はまた、上記のサイトカイン(200 U/mlのIFN-γまたは TNFで24時間または48時間)で誘導した後に、100 U/mlのIFN-γまたはTNFα、お よびVCAM-1抗原で24時間処理(表I並びに図4および6)して誘導され得る(表 I参照)。 ・CNSに特異的な内皮マーカーの発現 表Iはまた、IO/JG2/1クローンが、CNSの内皮細胞に特異的な多くのマーカー 、特にP-糖タンパク質、GLUT-1およびトランスフェリン・レセプターを構成的に 発現することを示す(表I参照);しかしながら、IO/JG2/1クローンは、大脳内 皮細胞に特異的な幾つかの抗原、特に1A8Bおよび2A4抗原を発現せず、それを大 脳内皮から分別することを可能にする(下記の表II)。 ・一次培養物および不死化系と末梢内皮細胞との内皮抗原の発現の比較 上述のように、網膜内皮およびT-抗原を発現する誘導されたクローンの一次培 養物は、CNSの内皮細胞に特異的なマーカー、つまりP-糖タンパク質、GLUT-1お よびトランスフェリン・レセプターの構成的発現を示すが(表I)、大動脈内皮 は、これらの抗原を発現しなくともOX-43抗原は発現し、これは末梢内皮細胞に 特異的であると考えら れる;OX-43抗原は、一次培養物あるいは大脳および網膜の内皮細胞の不死化培 養物のいずれによっても効果的に発現されない(表I)。 これらの異なる培養物は、大脳内皮細胞に特異的であると考えられる抗原のサ ンプル・グループに対してもスクリーニングされた。結果を、表IIに示す。 ・主要組織適合遺伝子複合体の抗原の発現 全ての内皮培養物は、クラスI主要組織適合抗原(OX-18、表I並びに図4、6 および7参照)の構成的発現を示し、それは100U/mlのラット組換えIFN-γで24 時間かけて誘導される。 網膜および大脳の内皮細胞、親系およびT-抗原を発現 するクローンの一次培養物は、クラスII主要組織適合抗原の発現を非常に僅かし か又は全く示さない。 100 U/mlの組換えIFN-γでのみ24時間処理された内皮細胞の培養物は、特定の クラスII抗原:OX-6およびOX-17の実質的な誘導を発揮する(表Iおよび図4参 照)。 ・T-リンパ球の単層を横断する移動 いかなる有意な差違も一次細胞の能力と不死化細胞のそれとの間には発揮され ず、特異的なT移動を支持する。4時間のテストで単層を横断する移動の程度は 、大脳一次内皮細胞で52±5%、網膜一次内皮細胞で48±4%、およびIO/JG2/1網膜 内皮クローンで54±6%である(図8)。実施例3 : 本発明による系の作製:ラット網膜上皮細胞 a)網膜色素上皮細胞の単離および培養 ラット網膜色素上皮細胞を、チャン(CHANG)らの方法(Curr.Eye Res.、1991、 10、1081-1086)により、6〜8日齢のPVGラットから単離する。眼を取り出し、 無傷の眼球を2%ディスパーゼで30分間消化する。続いて、角膜および硝子体を取 り出すために眼を切開する;次に網膜を単離し、培養培地中で15分間インキュベ ートする。インキュベーション後、網膜色素上皮細胞(RPE細胞)の層を視神経 網膜から分離し、トリプシン処理して細胞懸濁液 を生成する。細胞を、組織培養フラスコに入れ、セミコンフルエンスのポイント まで培養する。培養培地は、20%ウシ胎児血清、20mM HEPES、7.5%重炭酸ナトリ ウム、2 mMグルタミン、100 U/mlのペニシリンおよび100μg/mlのストレプトマ イシンを補足したハムのF-10培地からなる。これらの一次培養物は、サイトケラ チンに対して陽性である色素沈着単層、およびRPEに特異的なエピトープつまりR ET-PE2の形態で増殖する(ネイル(NEILL)ら、Exp.Eye Res.、1990、51、573-58 3)。 b)細胞の不死化 これらの細胞を、レトロウイルス・ベクターとの培養時間、即ち2時間を例外 として、実施例2に記載されるのと同じ条件下に調製する。不死化親系は、耐性 コロニーを選択して得られる。親系を限界希釈してクローニングすると、特にIO /LD7/4クローンを生じ、それはより完全な研究のために選択される。 c)IO/LD7/4クローンの特徴 クローンは、いかなる有意な形態学的または表現型的差違も有さずに52継代ま で培養される。 ・形態学 不死化RPE細胞の形態学(図1F)は、一次培養物のそれと類似している(図 1E)。一次培養物と対照的に、 不死化細胞は色素沈着しない。 ・超微構造的外観 IO/LD7/4クローンの不死化細胞は、顕微鏡下に観察するとき色素沈着していな いが、TEMはプレメラノソームの外観を有する密なボディを示す(図2A)。 ・tsa58 T-抗原の発現 G418の援助を得て選択された不死化RPE細胞は、T-抗原に対する抗体の存在下 に実質的な核染色を示す(図3B)が、一次培養物のRPE細胞ではいかなる染色 も観察されない。 ・RPEマーカーの発現 RPE細胞および不死化IO/LD7/4クローンの一次培養物は、RPE細胞に特異的な抗 原、つまりPET-PE2を発現する(図5)。さらに、通常はRPE細胞を同定するのに 使用されるサイトケラチンの発現が、フラックス・サイトメトリー分析に例示さ れるように、一次培養物および不死化細胞で同じ程度に存在する(図5)。 ・主要組織適合遺伝子複合体の抗原の発現 全ての色素上皮培養物は、クラスI主要組織適合抗原(OX-18、表I並びに図4 、6および7参照)の構成的発現を示し、それは100 U/mlのラット組換えIFN-γ で24時間かけて誘導される。 一次培養物および不死化RPE細胞の両方とも、クラスII I-AまたはクラスII I- E主要組織適合遺伝子複合体の抗原を発現し得ない;しかしながら、活性化から 5日後に、I-A(図6および7)およびI-Eの両方の弱いが有意な発現がある。 ・接着分子の発現 一次および不死化RPE細胞培養物は、VCAM-1を構成的に発現しないが、IFN-γ での活性化から3〜5日後に、低レベル発現が観察される(図7)。 ・単層を横断するT-リンパ球の移動 一次および不死化RPE細胞の単層を横断する移動は、有意に異なる:一次細胞 は、ある度合いの移動(38±3%)を発揮し、それは不死化IO/LD7/4細胞のそれ(17 ±2%、p<0.01)よりも有意に高い(図8)。 d)インビトロでのIO/LD7/4細胞による桿体の外部セグメントの食作用 ・方法イド上で組織培養プレートの4ウェル中でコンフルエンスのポイントまで培養す る。培地を吸い出し、解離した成熟網膜細胞の懸濁液を含む培地と取り換える。 24時間後、網膜懸濁液を除去し、その後、スライドをリンスし 電子顕微鏡下での観察のために処理する。細胞はまた、 養し、リンスし、固定し、クレシルバイオレットで染色する。 ・結果: ファゴソーム中で解離された網膜物質(光受容体の外部セグメント)の存在は 、IO/LD7/4細胞の電子顕微鏡写真で区別できる。 外部セグメントは、一次RPE細胞上の懸濁液中で及びファゴソーム中で同定で きる。電子的に密な物質の薄層は、培養中の細胞の層の下に観察でき、細胞によ り産生された基底膜に対応するものとして解釈できる(図9)。 収縮を生じる(図10)。実施例4 :IO/LD7/4細胞の網膜下腔の移植 本発明による不死化RPE細胞は、網膜下腔に移植できる;それらは、光受容体 を変性から守り、ドナー細胞の産生の特に有利なソースを構成する。 1.パイロット実験:SDラットおよびRSCラットでのIO/LD7/4細胞のグラフト方法 本発明による不死化細胞(IO/LD7/4細胞)を、8匹の 麻酔した12週齢SDラットおよび6匹の4週齢RCSラットに注入する。 眼を鼻の方に回転させ、固定する;微量ピペットの挿入を容易にするために、 非常に小さいメス(角15°の顕微手術用ナイフ)で硬化層と脈絡層を通して切開 を入れる。10μlハミルトン注射器に付けられた微量ピペットを用いて、細胞(2 ×104/μl)を網膜下腔に注入する。 群の半分は、実験を通して、シクロスポリン(2.1mg/ラット/日)で経口的に処 置する。 それぞれの群のラットは、致死量の麻酔薬(エウサタ 固定剤を連続的に用いて心臓内濯流を行う;その後、動物に摘出術を行う。 剤)に含める。 一連の切片(厚さ14μm)を作製し、クレシルバイオレット並びにSV40 T-抗原 およびPCNA(増殖性細胞核抗原)に対するモノクローナル抗体で染色する。 ・結果 いかなる腫瘍形成も、IO/LD7/4細胞のグラフトを受けた動物の眼で観察されな い。 いかなる免疫応答も、免疫抑制的処置を受けなかった 動物の眼では観察されない。 切片の大部分で、上皮細胞層は単一層(単層)であるが、多重層が特定の領域 で観察される。 ブロックが切断されたとき《フェイス-オン》、本発明の不死化細胞は、一次R PE細胞に特徴的な六角形の表現型をインビボで有したが、これらの特徴はインビ トロで消失した(図11);これは、移植片が1層より多い細胞を有するときに 明らかである。 光受容体の保護は、IO/LD7/4細胞のグラフトを有するRCSラットの全ての網膜 で観察される。SV40 T-抗原およびPCNAに対する抗体で染色される全ての切片は 、陰性である。 2.新らしく回収された一次RPE細胞のグラフトとIO/LD7/4細胞のグラフトと の視覚機能に関する比較方法 11匹のジストロフィーRCSラット(3-4週齢)に、一次RPE細胞またはIO/LD7/4 細胞のいずれかを、1に記載されるように各眼の網膜下腔内に注射してグラフト する。 別の動物の群には、培地のみを注射する(コントロール操作)。 a)瞳孔光反射(PLR)の評価 移植より6ヶ月後に、PLRを瞳孔計で記録する;動物は、 麻酔下(ハロタン/亜酸化窒素)にテストする。 光刺激を3秒間提示する;データを、ISCAN瞳孔計で集め、反応の潜時と振幅 を記録する。 ・結果 IO/LD7/4細胞のグラフトを受けた動物のPLR応答の潜時は、一次RPE細胞のグラ フトまたは培地の注入を受けた動物のそれよりも有意に短い(図12)。 反応の振幅は、異なる群で大きい変動を示す;しかしながら、IO/LD7/4細胞を 受けた動物のサブセットは、他の群よりも大きい振幅の反応を示す(図13)。 b)視力の行動的評価 可視像を探知するラットの能力を評価するために、ラットを大きいケージに入 れ、その壁は交換できるようになっている(無装飾の壁または装飾された壁)。 2匹のラットは、テストの間、それぞれのケージに居る;それらの活動を5分 間測定する。 第1ステージで、動物はその環境を探索し、それに慣れる。 第2ステージで、動物の活動は、壁が変更される場合にのみ増加する;実際、 視覚的環境が同じ場合は、活動は変化しない。 従って、動物の活動の範囲は、その視覚的探知および その視力の指標として使用できる。 ・結果 ジストロフィー・ラットの、それらの視覚環境中の変動を探知する能力は、3 ヶ月間に減少する。 IO/LD7/4細胞をグラフトされたラットの探索的行動は、テストの第2部分、即 ち、環境が変わったとき(無装飾の壁が装飾された壁に変わったとき又はその逆 )に高い(図14)。 c)電気生理学的評価 麻酔したラットの頭および眼をそれぞれ、安定化装置および縫合糸によって固 定する。刺激された眼と反対側の上丘を露出する。記録する前に、動物を1時間 、0.34 cd/m2の光レベルに順応させ、錐体および桿体を同時に評価できるように する。ラットを半透明の半球(半径55cm)に向くようにして、テストされる眼を 中央にする。刺激は、半径が10°および強度が5.8cd/m2の固定光からなり、半球 の表面に投射される。 異なる受容野(複数単位または単一)を、ガラスでコートされたカーボンファ イバー電極を用いて、上丘(SC)の表面に最も近い層(SCの表面から約200μm)か ら記録する。 記録は、ピッチ200μmのグリッドシステムを基礎とし て、SCの全体をカバーする(図15および16)。 ・結果 網膜の軸索は、正確で十分明確な様式でSCに投射する;結果として、SCから得 られた記録の変化は、網膜に起こった変化を実際に反映するものである(図15 )。 6週間後、ジストロフィー・ラットで小さな暗点が発達し始める;それは、3 ヶ月後に視野の半分を占め、6ヶ月後に網膜の全体を含む。 一次RPEおよびIO/LD7/4グラフトは、視野のこの変質を遅くする。 IO/LD7/4細胞のグラフトは、より効果的であるように見える。 d)一次RPE細胞グラフト後の光受容体損失の防止の形態学的評価 一次RPE細胞またはIO/LD7/4細胞のいずれかを受けた4個の眼が調べられた。 顕微鏡(DMR、ライカ)とともにイメージ分析ソフトウェアを使用して、網膜 の細胞層のそれぞれの厚さをジストロフィー6月齢ラットについて測定し、内側 および外側の核層の核の数をカウントする。 保存された網膜の割合を評価する。 ・結果 6ヶ月後、光受容体のいかなる層もジストロフィー・ラットで観察されない。 内側の核層には数個の細胞が存在し、光受容体の痕跡と考えられ得る。 6月齢の動物において、不死化細胞のグラフトは、大きな領域の守られた細胞 を示す。 一次RPE細胞のグラフトで守られた網膜ゾーンの割合は、核の3層と等しい厚 さを有する外側核層(ONL)では6%および13.8%であり、IO/LD7/4細胞のグラフトで 守られた網膜のパーセンテージは、核の5層と等しい厚さを有するONLでは27.9% および36.3%である。 これらの切片間の重要な差違は、IO/LD7/4細胞をグラフトされた眼の異なる外 側網状層の存在である(図17)。 3.インビボでのIO/LD7/4細胞の移動方法 15匹のジストロフィー4週齢ラットが、蛍光IO/LD7/4細胞をグラフトされる 。 10匹のレシピエント・ラットが、両眼にグラフトされる;別の5匹のラット は、片眼のみにグラフトされる。 グラフトから3、7、14、28、42および98日後に、致死量の麻酔薬(PBSの存在 下に心臓内灌流)を投与して、動物(2匹は両眼に移植され、1匹は片眼のみに 移植されていた)を殺す。 動物に摘出術を施し、眼を4%パラホルムアルデヒドで6時間固定する。 組織を低温保護し、OTCに含める。 切片を作製(厚さ14μm)し、3シリーズに分ける。 シリーズAをクレシルバイオレットで染色する;シリーズBを抗小グリア細胞 抗体で染色する;これらシリーズを蛍光顕微鏡下に調べる。 ・結果 標識された細胞は、手術後14日間までのグラフトされた眼の全てに局在する が、その後はマーカーを除去するので層を同定するのはより難しい。 染色が明らかに見えれば、標識細胞は網膜の30%まで占める。 隣接する切片をクレシルバイオレットで染色すると、全ての移植片の光受容体 の守りに対するグラフトの作用を確認する。 上記の記載から明らかなように、本発明は、今やより明確に記載されたこれら の様式の実施、出願の実施態様および様式に限定されない;反対に、それは当業 者に起こり得る全てのその変形を、本発明の枠組または範囲を逸脱することなく 包含する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ルンド レイモンド イギリス国 イーシー1ワイ 8キューエ ー ロンドン バンナー ストリート ク エイカー コート 18

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 一次網膜内皮細胞および一次網膜上皮細胞からなる群から選択される網膜 細胞の一次培養物に由来すること、熱感受性ウイルス腫瘍遺伝子の少なくとも1 個の不死化フラグメントを含む核酸フラグメントを含み該核酸フラグメントは少 なくとも1個の選択遺伝子と関連し得ること、並びに対応する一次培養細胞の形 態学的特徴および少なくとも表面抗原発現特性を安定的に発揮することを特徴と する、不死化された哺乳動物細胞系。 2. 網膜内皮細胞に由来し、一次培養網膜内皮細胞の形態学的特徴および抗原 発現特性を少なくとも発揮することを特徴とする、請求項1に記載の細胞系。 3. 網膜色素上皮細胞に由来し、一次培養網膜色素上皮細胞の形態学的特徴お よび抗原発現特性を発揮し、並びにインビボで宿主哺乳動物の網膜組織に統合し 光受容体の損失を防ぐことが可能であることを特徴とする、請求項1に記載の細 胞系。 4. 少なくとも1個の腫瘍遺伝子の不死化フラグメントを含む核酸フラグメン トが熱感受性SV40 T-腫瘍遺伝子のフラグメントを含むことを特徴とする、請求 項1〜3のいずれか1つに記載の細胞系。 5. IO/JG2/1と称される、パスツール研究所に所有さ れるコレクシオン ナショナル ド クルチュール ド ミクロ−オルガニスム (Collection Nationale de Cultures de Micro-organismes)に1996年4月18日に 番号I-1695で寄託されたことを特徴とする、請求項2に記載の細胞系。 6. IO/LD7/4と称される、パスツール研究所に所有されるコレクシオン ナシ ョナル ド クルチュール ド ミクロ−オルガニスム(Collection Nationale de Cultures de Micro-organismes)に1996年4月18日に番号I-1694で寄託された ことを特徴とする、請求項3に記載の細胞系。 7. 請求項1〜6のいずれか1つに記載の少なくとも1種の細胞系を、ポリペ プチド、タンパク質またはウイルス・ベクターをコードする配列を含む発現ベク ターとともに必要に応じて少なくとも1個の選択遺伝子および必要に応じて少な くとも1個のマーカー遺伝子とともに含むことを特徴とし、並びにインビボで宿 主哺乳動物の網膜特に網膜下腔に統合し、光受容体の損失を防ぎ、該ペプチド、 該タンパク質または該ウイルス・ベクターを産生することが可能であることを特 徴とするベクター細胞系。 8. 血液-網膜関門の生化学的および細胞的システムを 研究し同定するためのモデルであって、請求項1〜7のいずれか1つに記載の少 なくとも1種の細胞系を含むことを特徴とするモデル。 9. 原発性および二次性の眼科学的または神経学的疾患の処置用の薬剤を得る ための請求項3、請求項6または請求項7に記載の不死化網膜色素上皮細胞系の 使用。
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