【発明の詳細な説明】
改良された硬度及び硬化特性を有する熱硬化性被塗組成物
本発明は、架橋性ポリマー組成物、それらから製造される固体の架橋されたポ
リマー組成物及び、それらに基づくフイルム及び表面塗料の塗布性を改良する方
法に関する。
熱硬化性被塗配合物、特にアルキド、アクリル、ポリエステル又はジエステル
系被塗組成物はしばしば、20塗料(20 paint)又は保護被膜として、種々の支持
体、特に金属支持体への適用のための特別優れた物質である。そのような被膜は
、硬度、柔軟性、耐溶剤性、耐蝕性、耐候性及び光沢のような性質の良好なバラ
ンスを提供するように配合されることができる。それらの性質の向上は、樹脂の
タイプ分子量、モノマー組成及びガラス転移温度(Tg)、架橋剤のタイプ及び
量、硬化条件、硬化触媒、顔料、並びに充填剤及び添加剤による。多くの異なっ
た用途の要件に合うための塗膜特性における広範な相違を生じるために種々のパ
ラメーターが用いられ得る。しかし、望ましい性質のすべてを同時に最も効果的
にすることは常に可能であるわけではない。
熱硬化性被塗組成物の硬度は、通常、高いガラス転移温度を有する樹脂モノマ
ー組成物を備えるか又は架橋密度を増大させることにより増大する。
ポリマーのTgを高めることにより増大した硬度の達成は、増大した粘度を有
するポリマーを生じさせ、ひいては被塗工程に適する溶液を生成するために溶媒
の望ましい量よりも多量の使用が必要となる。
他方、マルチ-アルコキシメチルアミノ架橋剤のような多官能性架橋剤を含有
するジ-又はポリ-ヒドロキシ含有ポリマーの架橋密度における増大は、ポリマー
中に存在するヒドロキシ官能基の濃度を増加させることにより達成し得る。例え
ば、二塩基酸及び過剰のジオールを縮合することにより製造され、末端ヒドロキ
シル基を含有し、低分子量を有するポリエステルポリマーは、高分子量物質が有
するよりも、架橋部位として利用できる、より多くの末端ヒドロキシル基を有す
る。従って、そのような樹脂の硬度における増大は、被塗配合物及び塗料配合
物の粘度の低減及び揮発性溶媒含量の低減とともに同時に達成できる。
しかし、非常に高度の架橋は、柔軟性を非常に低減する傾向があり、又、硬化
された塗膜の他の性質にも影響を与え得る。又、高度の架橋に必要な多量の架橋
剤の使用は、揮発性の多量の、架橋反応の副生物の生成をもたらし、そのことは
、そのような被塗配合物において望ましくない。
そのような被塗物質の硬度及び他の性質を改良するための1つの技術は、米国
特許第5166289号に開示されたように、硬化性組成物における約1乃至60重量%
のビスフェノール化合物、例えば、ビスフェノールAの含有である。多価フェノ
ール成分は、塩基樹脂及びアミノ架橋剤に関与し、それにより増大された硬度の
硬化された被塗物質を提供する架橋反応に参与する。
しかし、ビスフェノールは、通常、そのような組成物において用いられる溶媒
にあまり可溶性でない傾向を有し、必要とする溶解度を与えるためには、付加的
な溶媒量が必要である。より作業性の粘度を与えるためには、多量の溶媒を含有
させることは又、組成物において存在する揮発性物質の含量を増大させ、そのこ
とは望ましくない。
上記の特許には又、ビスフェノール架橋基は、約400未満の分子量を有する二
価の有機基であることが開示されている。そのようなビスフェノール化合物の例
は、参考の実施例5で製造しているような約2モルのパラヒドロキシ安息香酸(
PHBA)及び約1モルのネオペンチルグリコールのエステル縮合生成物である
。
米国特許第5239018号には、PHBAのような物質のカルボキシル官能基との
エステル型反応を受ける、末端反応基、例えば、脂肪族又は脂環式ヒドロキシを
有するオリゴマー及びポリマーが開示されている。フェノールでキャップされた
ポリマーの他の硬化性樹脂とのブレンドも開示されているが、ブレンドにおいて
用いられるフェノールでキャップされたポリマーはすべて、少なくとも3:2の
ジオール/酸のモル比を有しそして2モルのPHBAを含有している。又、多く
の場合、それらのポリエステルは、塗料配合物の望ましい粘度を得るために、か
なりの量の溶媒を必要とする。
米国特許第4888441号及び米国特許第4922002号により、低分子量(例えば
600未満)及び狭い分子量分布を有する脂肪族ヒドロキシ末端のポリエステルが
、かなり過剰の脂肪族ジオール(ポリオール)とポリカルボン酸とのエステル化
そして続いて、真空蒸留法によるその生成物からの過剰のジオールの分離(スト
リッピング)により製造され得る。しかし、真空蒸留を用いる過剰のジオールの
除去は、蒸留中のポリマー(オリゴマー)のエステル交換の結果とし得られた生
成物の分子量分布における増大をもたらす傾向がある。
本発明は、オリゴマー(a)及び(b):
[式中、Rは、2乃至約20の炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪族、脂環式
又は、混合された脂肪族/芳香族のポリカルボン酸の残基であり、R1は、2乃
至約20の炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪族、脂環式又は、混合された脂
肪族/脂環式のポリオールの残基であり、Aは、式
の基であり、Bは、式、
(式中、R4はH、OH、ハロゲン又は、1乃至4の炭素原子を有する有
機基であり、R5は、直接結合又は、1乃至20の炭素原子を有する有機基であり
、R6は、2乃至20の炭素原子を有する有機基である)
の基であり、nは0より大きく2未満を平均する数であり、Pは0.5より大き
く2未満を平均する数である]
の1つ又は混合物を含み、さらに、約250乃至約1,000の範囲の数平均分子量及び
約2.0より小さい多分散性により特徴付けられる架橋性ポリエステルオリゴマー
組成物を提供する。
本発明の架橋性組成物は、単独で用いられ得るか又は他のポリマーとブレンド
し得て、作業性(噴霧できる)粘度及び低減されたVOC含量を有する硬化性の
被塗配合物び塗料配合物を製造する。組成物は又、架橋触媒、充填剤、顔料等の
ような他の成分を含み得る。硬化されたときに、本発明の被塗物質は、一般的に
、前記ポリエステルオリゴマー添加剤を含有しない硬化されたポリマー系被塗物
質と比較して、改良された硬度及び耐衝撃性を示す。それらの硬化された被塗物
質は又、耐侯性、良好な耐蝕性及び加水分解安定性、増大した酸化安定性及び放
射線安定性、良好な耐溶剤性並びに良好な接着性を有する。
図1、2及び3は各々、実施例19乃至37により製造された種々の硬化され組成
物の硬度及び耐衝撃性をプロットしたグラフである。
本発明は、メチロール及び/又はアルコキシメチル基を有する化合物のような
硬化剤と反応性である、分子当り少なくとも2つの官能基を有するポリエステル
オリゴマーを含有する硬化性組成物を提供する。それらの反応性官能基は、それ
ぞれポリオール又はポリカルボン酸と従来のエステル化反応において反応性であ
る、カルボン酸基又は脂肪族又は脂環式ヒドロキシル基を有する多官能性のフェ
ノール化合物により提供される。約1,000以下の低数平均分子量、低粘度及び2.0
未満の非常に狭い分子量分布(多分散性又はMw/Mn)を有するポリエステル
オリゴマーは、用いられるポリオール及びポリカルボン酸のモノマーモル比の注
意深い制御によりポリエステルを生成し、重合配合物における上記の多官能性フ
ェノール化合物の含有により製造され得る。それらの生成物は又、生成された揮
発性の有機化合物(VOC)を非常に低い含量しか含有しないことにより特徴付
けられ、そのことは、未反応のポリオールのような望ましくない揮発性物質を除
去するために生成物をさらに真空ストリッピングする必要を減じるか又はなくす
。
上記の式(a)(式中、nは0り大きく2未満である)の一般的構造を有する
オリゴマーは、下記の一般的な合成により製造されることができる。
オリゴマーステル化生成物は、実際には上記の1,2及び3に相当するオリゴ
マーの混合物である。その混合物に存在するタイプ1、2又は3の各オリゴマー
の割合は、主に、その反応において用いられるACOOHフェノールカルボン酸
のモル数の関数として変化する。
約2モルのACOOH化合物が用いられるときに、反応生成物は、一般的に約
96モル%より多い、ビスフェノールでキャップされたオリゴマー(1)、約4モ
ル%以下のオリゴマー(2)及び約0.05モル%の未反応のオリゴマー(3)を含
有する。約1モルのACOOH化合物が用いられるときに、反応生成物において
存在する主なオリゴマーはオリゴマー(2)であり、約40乃至60重量%であり、
残りは、約20乃至30重量%の、オリゴマー(1)及び(3)の各々である。従っ
て、オリゴマー組成物におけるPの平均値は、一般的に、反応において用いられ
るACOOH化合物のモル濃度の関数として約0.5から2.0までの範囲である。
上記の式(b)の一般的構造を有するオリゴマーは、ACOOHの代わりにB
OH化合物を用いる同様の反応概要により、生成物4、5及び6の下記の混合物
を生成することにより製造される。
それらのオリゴマー及びオリゴマーの混合物のすべては、脂肪族又は脂環式ヒ
ドロキシル基及びフェノール基がメチロール及び/又はアルコキシメチル基を有
するアミノ架橋剤と反応性であるのでそのような架橋剤との架橋反応を受けるこ
とができ、熱硬化性組成物を生成する。
より好ましい態様では、上記の一般式(a)及び(b)のオリゴマーは、1モ
ルより多く、約2モル以下のACOOH又はBOH化合物を用いて製造される。
それらのモル比で、式(a)及び(b)におけるPの平均値は約0.5乃至約2.0の
範囲であり、より好ましくは約0.8乃至約1.9の範囲であり、最も好ましくは約1
乃至約1.8又は1.7の範囲である。
本発明において用いられる典型的なACOOHフェノール化合物には、Aが構
造:
(式中、R5が直接結合又は、1乃至約20の炭素原子を有する有機基であり、
R4はH、OH、ハロゲン又は1乃至4の炭素原子を有する有機基である。
R5は構造中にヘテロ原子を含み得てそして構造中に他のフェノール又は脂肪
族ヒドロキシル、エステル、エーテル又はアミド基を組み込み得る)
を表わすフェノールカルボン酸が含まれる。
そのようなフェノールカルボン酸の典型的な例には、R5が直接結合である化
合物、すなわち、o-、p-又はm-ヒドロキシ安息香酸のようなヒドロキシ安息
香酸が含まれる。好ましい態様では、ヒドロキシ安息香酸は、p-ヒドロキシ安
息香酸(PHBA)である。
他の有用なフェノールカルボン酸には、ヒドロキシフェニル酢酸(R5がメチ
レン)、ヒドロキシフェニルプロピオン酸(R5がエチレンである)、10-ヒドロ
キシフェニルステアリン酸、ヒドロキシカルボキシベンゾフェノン及び4,4-ビス
ヒドロキシフェニルペンタン酸が含まれる。
本発明において用いられるBOHタイプの典型的なフェノールアルコールには
、Bが基又は構造:
(式中、R6は、2乃至約20の炭素原子を有する有機基であり、R4は上記の通り
である)
を表わす少なくとも1つの脂肪族又は脂環式ヒドロキシ基を有する基を有するフ
ェノールを含む。R6は又、構造中にヘテロ原子を含み得て、構造中に他のフェ
ノール又は他の脂肪族ヒドロキシル基、エステル、エーテル又はアミン基を組み
込み得る。
そのようなフェノールアルコールの典型的な例には、β-ヒドロキシエチルフ
ェノール(R6が-CH2-CH2-)、ハイドロキノンのβ-ヒドロキシエチル(R6
が-OCH2-CH2-)、ビスフェノールAのβ-ヒドロキシエチルエーテル、γ-
ヒドロキシプロピルフェノール(R6が-CH2-CH2-CH2)、ヒドロキシフェ
ニルステアリルアルコール等の化合物が含まれる。
上記の式(a)の一般構造のポリエステルオリゴマーは、ACOOH化合物の
、nモルのHOOC-R-COOHポリカルボン酸及びn+1モルのHO-ROH
ポリオールの混合物とのエステル化反応により製造される。上記の式(b)の一
般構造のポリエステルオリゴマーは、BOH化合物の、nモルのHO-R1-OH
ポリオール及びn+1モルのHOOC-R-COOHポリカルボン酸の混合物との
エステル化反応により製造される。そのような場合に、nは0より大きく2より
小さい数の平均の数である。式(a)及び(b)において、nは好ましくは約0.
5乃至約1.5の平均であり、より好ましくは約0.5乃至約1.3の平均であり、そして
最も好ましくは0.8乃至1.2の平均である。
ポリエステルオリゴマーを製造するのに用いられ得る適するポリオールには、
約2乃至20の炭素原子を有する、より好ましくは約2乃至10の炭素原子を有する
脂肪族又は脂環式ジオール又はトリオール及び異なるポリオールの混合物が含ま
れる。
ポリオールのいくつかの好ましい例は、1つ以上の下記のジオールである:ネ
オペンチルグリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサメ
チレンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタ
ノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリメチレ
ングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロ
ピレングリコール、ヘキシレングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2
-メチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、1,
5-ペンタンジオール、チオジグリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-プロパン
ジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,
4-ブタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、1,2-シクロヘキ
サンジオール、1,3-シクロヘキサンジオール、1,4-ヘキサンジオール、ネオペン
チルジオールヒドロキシメチルイソブチレート及びそれらの混合物。ポリオール
の例には、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペン
タエリトリトール等のようなトリオールが含まれる。
トリオール及びそれより高級なポリオールが用いられる場合、上記の式(a)
に示された末端キャップ基の他にポリマー鎖に沿ってACOO-エステル結合が
形成され得る。
ポリエステルオリゴマーを製造するために用いられるポリカルボン酸成分には
、2乃至約20の炭素原子を有する、より好ましくは約2乃至10の炭素原子を有す
る、脂肪族及び脂環式であることができるジカルボン酸及びそれらの混合物又は
、脂肪族もしくは脂環式及び芳香族ジカルボン酸の混合物が含まれる。カルボキ
シル基は、無水物基、ラクトン基又は酸ハライドもしくはメチルエステルのよう
な誘導体を生成する等価のエステルの形態で存在し得る。適する脂肪族酸には、
アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、マレイン酸、シクロヘキサンジ
カルボン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、カプロラクトン、プロピ
オラクトン、ピロメリット酸二無水物、シトラコン酸、クロロマレイン酸、メサ
コン酸のような置換されたマレイン酸及びフマル酸並びにアコニット酸及びイタ
コン酸のような置換されたコハク酸並びにそれらの混合物が含まれる。多くの市
販のポリエステルは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸との組み合わせ
又は脂環式ジカルボン酸と脂肪族カルボン酸との組み合わせもしくはすべての3
つのタイプの組み合わせを用いて製造されている。適する芳香族酸は、フタル酸
又は
無水物、イソフタル酸、テレフタル酸及び同様の物質である。しかし、低粘度及
び低溶媒含量を有するポリエステルが望ましい場合、本発明の目的のために用い
られる最も好ましい酸は、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸及び類似の物質の
ような線状の飽和された又は不飽和の脂肪族ジカルボン酸である。
本発明により製造され得る上記の式(a)の二価のポリエステルオリゴマーの
代表的な例は、1乃至2モルのPHBA、1モルのアジピン酸及び約2モル以下
のネオペンチルグリコールのエステル化生成物、1乃至2モルのPHBA、少な
くとも50モル%のアジピン酸及び50モル%以下のフタル酸もしくは無水物又はイ
ソフタル酸もしくはそれらの酸の混合物1モル及び約2モル以下のネオペンチル
グリコールのエステル化生成物である。
二価のポリエステルオリゴマーを製造するためのエステル化反応は、一段階又
は二段階反応順序で行われ得る。一段階反応では、すべての反応体、溶媒及び任
意の触媒が化合され約140℃乃至200℃の温度で次第に加熱される。少なくとも約
70%のエステル化反応が起こるまでこの高さに温度を保つことが望ましい。反応
の水が反応の進行をモニターするのに用いられる。次に反応温度を約230℃に上
げ、反応を完全にする。
二段階反応では、約140℃乃至200℃の温度で加熱することにより、ACOOH
又はBOH化合物を、モル過剰のジオール又は二塩基酸とそれぞれ反応させる。
反応のほとんどの水が除去された後に、他のモノマー、例えば、多塩基酸もしく
は酸誘導体又ははジオールをそれぞれ添加し、そして反応の第二段階を140℃乃
至200℃の温度で行う。その反応を、約230℃乃至240℃に加熱することによって
、反応を上記のように完了させる。
二段階反応の他の変形では、脂肪族のヒドロキシル官能基又はカルボキシル官
能基のポリエステルを、従来どおりに、ACOOH又はBOH化合物の不存在下
で、最初に製造し得る。次に、得られたポリエステルオリゴマーをACOOH又
はBOH化合物に添加し、エステル化が、上記のような条件下で行われる。
その反応は、従来のエステル化触媒の存在下又は不存在下で行われ得る。適す
る触媒の添加は、反応を促進させるのに有利である。反応に適する触媒には、非
常に多くの、エステル化触媒及びエステル交換触媒として知られている、
Zn、Sn、Al、Mn及びTiのようなII族乃至V族金属の酸化物、塩及びア
ルコレートが含まれる。他の触媒には、B2O3、H3BO3、Sb2O3、As2O3
等のようなメタロイド化合物が含まれる。用いられる触媒はまた、亜燐酸、燐酸
、又は次亜燐酸のような弱酸又は、p-トルエンスルホン酸及びメタンスルホン
酸のような強酸触媒であることもできる。それらの触媒は、約0.01重量%乃至約
2.0重量%の範囲である量、用いられ得る。PHBAがフェノールカルボン酸と
して用いられる場合、より少ない塩基の触媒を用いることが好ましく、塩基の不
純物はPHBA脱カルボキシル化を触媒するので触媒中における塩基の不純物の
存在を避けることが好ましい。
いくつかの場合には、合成中に溶媒は、必要ではない。他の場合には、1つ以
上の溶媒が、反応体を溶解するために用いられ得る。溶媒が用いられる場合に、
エステル化反応中、その溶媒は不活性でなくてはならない。炭化水素溶媒が好ま
しく、そし芳香族炭化水素溶媒が最も好ましい。それらの合成方法は、米国特許
第5239018号に、より詳しく記載されている。
本発明の二官能性ポリエステルオリゴマーは、約250乃至1,000、より好ましく
は約250乃至800そして最も好ましくは約250乃至600の数平均分子量により特徴付
けられて得る。それらの物質の分子量分布又は多分散性(重量平均分子量Mwを
数平均分子量Mnで割った)は、一般的に約2.0未満、より好ましくは約1.7未満
であり、多分散性値は、約1.3乃至約1.5の範囲であることができる。それらのポ
リマーは、又、下記のアミノ架橋剤のような液体と混合される場合又は、非常に
少量の溶媒と希釈される場合、非常に低い粘度によっても特徴付けられる。予期
せぬことに、それらの非常に低い多分散性は、過剰の1つ以上のモノマーからの
精製のために必要な特定の技術なしに達成されそして上記の非常に単純な合成法
により達成される。
先に示したように、本発明の二官能性オリゴマーは、低い分子量、狭い分子量
分布によって特徴付けられそして低い粘度によっても特徴付けられる。エステル
化反応をさせるために、かなり過剰のジオール又は過剰のジカルボン酸を用いる
必要なく、それらは製造されるので、製造されたときに、それらは、最少量の未
反応の反応体しか含有せず、そのことは、非常に低いVOC含量しか含有しない
ことを意味する。それらの物質が架橋性であるか又は、少なくとも、焼き付け条
件で架橋反応に参与するという事実と組み合わされたそれらの性質は、塗料配合
物及び被塗配合物において用いられる他の架橋性ポリマー系と組み合わされたと
きに、反応性の低粘度成分としてそれらを特に適したものとする。有機溶媒系の
硬化性の被塗配合物におけるそれらの使用は、それらの組成物を流動性及び/又
は噴霧可能にさせる被塗組成物粘度を達成するために、そのような被塗配合物に
おいて付加的な有機溶媒を用いる必要を減らしたり、ある場合には、その必要を
なくす。結果として、高度に架橋されたポリマー構造は、非常に低い分子量の原
料及び低い溶媒量の使用で焼き付け条件において、塗布されることができる。
二官能性オリゴマーがブレンドされ得る硬化性ポリマー成分は、ジエステル、
ポリエステル、アルキドポリマー、アクリルポリマー、ポリエーテル、ポリカー
ボネートポリマー、ヒドロキシ官能性エポキシ又はそれらの2つ以上の混合物を
含むジ-又はポリ-ヒドロキシ官能性ポリマーを含み得る。
適するジエステル及びポリエステルは、一般式I、
(式中、mは0又は1乃至約40の範囲の整数、R2は、2乃至約40の炭素原子を
有する二価の脂肪族又は脂環式基又はそのような基の混合物であり、R3は、2
乃至40の炭素原子を有する二価の脂肪族、脂環式又は芳香族基又はそれらの混合
物基である。明らかに、式Iにおいて、mが0である場合、単純なジエステルが
表われされ得る。mが1乃至約40の範囲のとき、ポリエステルが表わされる。
本発明のより好ましい態様では、R2は、2乃至約20の炭素原子、より好まし
くは約2乃至10の炭素原子を有するジ(ポリ)オールの二価の残基であり、内部
エステル基も含有し得る。
ジオールのいくつかの好ましい例は、1つ以上の下記の化合物である。ネオペ
ンチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサメチレ
ンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノー
ル、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリメチレング
リコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレ
ングリコール、ヘキシレングリコール、2-メチル-2-エチル-1,3-プロパンジオー
ル、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、1,5-ペンタンジオール、チオジグリコー
ル、1,3-プロパンジオール、1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-
ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,2,4-トリメチル
-1,3-ペンタンジオール、1,2-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジ
オール、1,4-シクロヘキサンジオール、ネオペンチルジオールヒドロキシメチル
イソブチレート及びそれらの混合物。ポリオールの例には、グリセリン、トリメ
チロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール等のようなト
リオールが含まれる。
上記の式IにおいてR3は、2乃至約40の脂肪族炭素原子、約5乃至40の脂環
式炭素原子又は6乃至約40の芳香族炭素原子を有するジカルボン酸、及びそれら
の酸の混合物の二価の残基である。カルボキシル基は、無水物基、ラクトン基又
は、酸ハライド又はメチルエステルのような誘導体を生成する同等のエステルの
形態で存在する。ジカルボン酸又は誘導体は、好ましくは1つ以上の下記の化合
物である。アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、マレイン酸、シクロ
ヘキサンジカルボン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、カプロラクト
ン、プロピオラクトン、ピロメリット酸二無水物、シトラコン酸、クロロマレイ
ン酸、メサコン酸のような置換されたマレイン酸及びフマル酸並びにアコニット
酸及びイタコン酸のような置換されたコハク酸並びにそれらの混合物が含まれる
。用いられ得る芳香族酸には、フタル酸無水物、テレフタル酸、イソフタル酸及
びナフタレンジカルボン酸が含まれる。多くの市販されているポリエステルは、
芳香族及び脂肪族ジカルボン酸の組み合わせ又は、脂環式ジカルボン酸及び脂肪
族ジカルボン酸の組み合わせ又は、すべての3つのタイプの組み合わせを用いて
製造される。
本発明においてポリマー成分として用いられ得るアクリルポリマーは、アクリ
ルコポリマー樹脂である。アクリルコポリマー樹脂は、少なくとも1つのヒドロ
キシ置換アルキルアクリレートもしくはヒドロキシ置換アルキルメタクリレート
及び少なくとも1つの非ヒドロキシ置換アルキルアクリレートもしくは非ヒドロ
キシ置換アルキルメタクリレートから製造される。モノマーとして用いることが
できるヒドロキシ置換アルキルアクリレートもしくはヒドロキシ置換アルキルメ
タクリレートは、アクリル酸又はメタクリル酸と脂肪族グリコールの下記のエス
テルから成る群から選ばれる。2-ヒドロキシエチルアクリレート、3-クロロ-2-
ヒドロキシプロピルアクリレート、1-ヒドロキシ-2-アクリルオキシプロパン、2
-ヒドロキシプロピルアクリレート、3-ヒドロキシプロピルアクリレート、2,3-
ジヒドロキシプロピルアクリレート、3-ヒドロキシブチルアクリレート、2-ヒド
ロキシブチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、ジエチレングリ
コールアクリレート、5-ヒドロキシペンチルアクリレート、6-ヒドロキシヘキシ
ルアクリレート、トリエチレングリコールアクリレート、7-ヒドロキシヘプチル
アクリレート、1-ヒドロキシ-2-メタクリルオキシプロパン、2-ヒドロキシプロ
ピルメタクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシ
ブチルメタクリレート、3-コドロキシブチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチ
ルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、3,4-ジヒドロキシブチ
ルメタクリレート、5-ヒドロキシペンチルメタクリレート及び7-ヒドロキシヘプ
チルメタクリレート。アクリル樹脂を製造するのに用いられる好ましいヒドロキ
シ官能性モノマーは、全部で5乃至7の炭素原子を有するヒドロキシ置換アルキ
ルアクリレート又はヒドロキシ置換アルキルメタクリレートすなわち、C2乃至
C3の二価のアルコールとアクリル酸又はメタクリル酸のエステルである。特に
適するヒドロキシ置換アルキルアクリレートモノマー及びヒドロキシ置換アルキ
ルメタクリレートモノマーの例は、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒド
ロキシエチルアクリート、2-ヒドロキシブチルアクリレート、2-ヒドロキシプロ
ピルメタクリレート及び2-ヒドロキシプロピルアクリレートである。
用いられ得る非ヒドロキシ置換アルキルアクリレートモノマー及び非ヒドロキ
シ置換アルキルメタクリレートモノマーは、アルキルアクリレート及びアルキル
メタクリレートである。好ましい非ヒドロキシ不飽和モノマーは、C1乃至C12
の一価のアルコールとアクリル酸又はメタクリル酸のエステル、例えば、メチル
メタクリレート、ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ラウ
リルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等である。特に適するモノマー
の例は、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート及びジエチルメタクリレー
トである。
その他に、本発明において用いられるアクリルコポリマー樹脂は、それらの組
成物において、アクリル酸及びメタクリル酸、8乃至12の炭素原子を有するモノ
ビニル芳香族炭化水素(スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、t-ブ
チルスチレン、クロロスチレン等を含む)、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アク
リロニトリル、エポキシ変性アクリル系誘導体並びにメタクリロニトリルである
。アクリルコポリマーは、好ましくは、20,000以下の、より好ましくは約500乃
至6,000の、最も好ましくは約1,000乃至5,000の数平均分子量を有する。
本発明の組成のポリマー成分として用いられ得るアルキドポリマーは、R2が
、脂肪酸とエステル化された、1つのヒドロキシル基を有するトリオールの二価
の残基であることを除いて上記の式Iと同様の式を有する。典型的なトリオール
は、グリセリン、トリメチロールエタン及び同様の物質である。それらのアルキ
ド樹脂は、油で変性されたポリエステル樹脂であり、そして広範に、二価のアル
コール及びジカルボン酸又は酸誘導体の反応の生成物並びに油、脂肪又は変性剤
として作用するような油又は脂肪から誘導されるカルボン酸である。そのような
変性剤は、典型的には乾性油である。用いられる多価アルコールは、脂肪族アル
コールが適しており、そのアルコールの混合物も用いられ得る。ジカルボン酸、
又は相当する無水物は、種々の脂肪族カルボン酸又は脂肪族ジカルボン酸及び芳
香族ジカルボン酸の混合物から選ばれ得る。
適する酸及び酸無水物には、例として、コハク酸、アジピン酸、無水フタル酸
、イソフタル酸、トリメリット酸、トリメリット酸(無水物)及びビス3,3',4,4
'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物が含まれる。それらの酸及び無水物の
混合物も性質のバランスを生じるために用いられ得る。乾性油又は脂肪酸として
12乃至22の炭素原子を有する飽和又は不飽和の脂肪酸又は、動物又は植物脂肪又
は油中に含有されるもののような相当する脂肪又は油である相当するトリグリセ
リドが適して用いられる。適する脂肪及び油には、タル油、ヒマシ油、ココヤシ
油、ラード、アマニ油、パーム油、ピーナッツ油、菜種油、大豆油及びビーフタ
ロー油が含まれる。そのような脂肪及び油は、カプリル酸、カプリン酸、ラウリ
ン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸及びステアリン酸のような脂肪酸並びに、オ
レイン酸、エルカ酸、リシノール酸、リノール酸及びリノレン酸のような不飽和
脂肪酸の混合されたトリグリセリドを含む。化学的には、それらの脂肪及び油は
、通常、2種以上の種類の混合物である。飽和モノカルボン酸及び脂肪を用いて
製造されるアルキド樹脂は、改良された耐候性が主な関心事である場合に好まし
い。
本発明の組成物を製造するために用いられる、ポリカーボネートオリゴマー又
はポリマーは、一般式IIを有するヒドロキシ末端ポリカーボネートである。
(式中、qは1乃至約40の範囲の整数であり、mは0乃至約40の範囲の整数であ
り、R2及びR3は先に定義した通りである。)
この式には、2乃至約40の炭素原子を有する脂肪族又は脂環式ジオールの、ジ
フェニルカーボネートのような炭酸ビスアリールエステルとの縮合生成物を生成
し、続いて、この中間体の前記ジオールとの重縮合反応により製造され得る、m
が0であり、qが1以上のカーボネートも含まれる。
また、式IIにおいて、カーボネート結合により長くされ、そして長くされたポ
リエステルジオール主鎖を末端ヒドロキシ含有末端基に結合させる末端カーボネ
ート基を含み、その場合には、式IIにおいてmは1以上であり、qは1より大き
い。
式IIの範囲内のポリカーボネートの第三のカテゴリーは、ヒドロキシ含有末端
基にポリエステルジオール主鎖を結合する末端カーボネート基を含有するポリエ
ステルドオールであり、その場合に、式IIにおけるqは1であり、mは1より大
きい。それらの物質は、ポリエステルジオールの、ジフェニルカーボネートのよ
うなカルボン酸ビスアリールエステルとの縮合生成物を生成し、ポリエステル-
ジオールビス炭酸エステルを生成し、続いて、この前駆体のジオールとの重縮合
によりヒドロキシ末端ジエステルを生成することにより製造され得る。
ポリマー成分は又、それらの構造において、エステル、エーテル、カーボネー
ト、アクリル及びアルキド部分の2つ以上の組み合わせを有するポリマー又はオ
リゴマーである。そのような物質の例は、ポリ(エーテル)エステル、ポリ(エ
ーテル)カーボネート及びポリ(エーテル)アクリル又はポリエステルアクリル
である。
ジエステル及びポリエステルは、モル過剰のジオールを用いて、よく知られた
縮合法により製造され得る。好ましくは、ジオール対ジカルボン酸のモル比は、
r+1:r(式中、rは、ジカルボン酸のモル数を表わす)である。その反応は
、芳香族または脂肪族溶媒の非存在下で又は存在下でそして本技術分野で知られ
ているような適する重縮合触媒の非存在下で又は存在下で行われる。
ポリマーの好ましい数平均分子量(Mn)は、一般的に約300から約20,000ま
での範囲であり、より好ましくは、約500から約10,000の範囲であり、最も好ま
しくは約500から約3,000乃至6,000までの範囲である。それらの物質のガラス転
移温度(Tg)は一般的に−40℃もの低い温度から+100℃又はそれより高い温
度の範囲であり得る。
二官能性ポリエステルオリゴマー(a)及び/又は(b)は、1つ以上の上記
の基本ポリマーと、基本ポリマーと架橋剤をひとまとめにしたものの重量に基づ
いて1乃至約60重量%のポリエステルオリゴマーのブレンド比でブレンドされる
。より好ましい組成物は、基本ポリマーと架橋剤をひとまとめにしたものの重量
に基づいて約2乃至40重量%の量の、最も好ましくは約3乃至約30重量%の量の
二官能性ポリエステルオリゴマーを含む。
本発明において用いられる好ましいメチロール(アルコキシメチル)アミノ架
橋剤は、よく知られた市販の製品であり、一般的に、ジアミド、ポリアミド、ジ
アミン又はポリアミン化合物のホルムアルデヒドとのそして任意に低級アルコー
ルとの反応によって製造される。
適するアミノ架橋樹脂の例には、下記の物質の1つ又は混合物が含まれる。メラミン系樹脂
(式中、Rは下記の通りである。
好ましいメラミンはヘキサメトキシメチルメラミンである。ベンゾクアナミン(benzoquanamine)系樹脂
尿素系樹脂
(式中、R=CH3,H[ビートル(商標)(Beet1e)TM65]又はR=C4H9[
ビートル(商標)(BeetleTM)80])ギコルリル(Gycoluryl)系樹脂
本発明において、活性架橋基の割合、例えば、アミノ架橋剤のメチロール(ア
ルコキシメチル)基対硬化性成分における末端ヒドロキシ基の比は、望ましくは
、約1.0:1.0乃至15.0:1.0、より好ましくは約1.5:1.0乃至5.0:1.0、最も好ま
しくは約1.5:1.0乃至4.0:1.0である。
重量ベースで、架橋性バインダーを硬化するのに有効であるアミノ架橋剤の量
は、一般的に、アミノ架橋剤、二官能性ポリエステルオリゴマー及びその組成物
の他の架橋性ポリマー成分の合計重量に基づいて約3乃至約60重量%の範囲であ
り、より好ましくは約10乃至約50重量%の範囲である。一般的に、組成物を硬化
するために必要である架橋剤の量は、ポリマー成分の数平均分子量に反比例する
。この範囲における高い方における架橋剤の量は、比較的低い、例えば、約250
から約3,000までの、数平均分子量を有するポリマー組成物を適格に硬化するた
めに必要であり、一方、架橋剤のより少ない量は、より高い、例えば、約3,000
から約20,000までの、数平均分子量を有するポリマーを適格に硬化させるのに必
要である。
本発明の組成物は又、1つ以上のマルチ-イソシアネート架橋剤を用いても硬
化し得る。そのような物質の例には、米国特許第4331782号に開示されたタイプ
の芳香族及び脂肪族のジ-又はポリ-イソシアネートが含まれる。
一般的に、架橋剤及び、上記の式(a)及び/又は(b)の二官能性のポリエ
ステルオリゴマー生成物が、基本ポリマー成分を硬化するのに用いられる付加的
な架橋剤を除いて、約30:70乃至70:30のそれぞれの重量割合で組成物中に存在
する。
本発明は又、基本ポリマー成分、二官能性ポリエステルオリゴマー成分、架橋
剤及び任意に溶媒を化合させることにより生成される被塗組成物を提供する。配
合された被塗物質(coatingの塗布は、噴霧、ローラー塗り、浸漬塗被等のよう
な従来の方法により行われ得て、次にその被塗物質は焼き付けにより硬化され得
る。
本発明の硬化性組成物中に含まれ得る適する任意の溶媒には、トルエン、キシ
レン、エチルベンゼン、テトラリン、ナフタレン及び、エクソン・ケミカル・カ
ンパニーにより、アロマチック(Aromatic)100、アロマチック150、及びアロマ
チック200という名で市販されているもののようなC8乃至C13芳香族化合物を含
む狭い留分(narrow cut)芳香族溶媒である溶媒が含まれ得る。他の適する溶媒
には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミル
ケトン、メチルイソアミルケトン、メチルヘプチルケトン、イソホロン、イソプ
ロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、イソブタノール、アミルアルコー
ル、イソアミルアルコール、ヘキサノール及びヘプタノールが含まれる。
適する酸素添加した溶媒には、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセ
テート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、エチルエトキシプ
ロピオネート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピ
レングリコールモノメチルエーテル、n-プロピルアセテート、ブチルアセテート
、
エクソン・ケミカル・カンパニーにより販売されているようなヘキシルアセテー
売されているようなヘプチルアセテートの混合物が含まれる。そのリストは限定
的と考えるべきではなく、本発明において有用である溶媒の例として考えるべき
である。溶媒のタイプと濃度は、被塗物質の適用及び焼き付けに適する配合物粘
度及び蒸発速度を得るために一般的に選ばれる。配合物における典型的な溶媒濃
度は、0乃至約75重量%の範囲であり、好ましい範囲は、約5乃至50重量%の範
囲であり、最も好ましい範囲は約10乃至40重量%の範囲である。高固体被塗物質
の製造では、被塗配合物において用いられる溶媒の量は、好ましくは、配合物の
40重量%未満である。
顔料は、本発明の硬化性組成物中に存在し得る他の成分である。それらは、一
般的に、1つの顔料対バインダー(バインダーという用語は、ポリマーと架橋剤
の合計重量をいう)の比に対して約0.5乃至約5.0の範囲の重量割合で含有される
。
本発明の組成物において含有され得る適する顔料は、通常、塗料及び塗被配合
物に用いられる不透明顔料であり、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、ジルコン
、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アンチモン、カーボンブラック、及びクロムエロー、
グリーン、オレンジ、混合された金属酸化物、セラミック顔料等が含まれる。好
ましい顔料には、ルチルTiO2、そして特にTiO2の耐侯性被塗タイプが含ま
れる。顔料は又、隠蔽力にあまり寄与しない、適するエキステンダー物質とブレ
ンドされる。適するエキステンダーには、シリカ、重晶石、硫酸カルシウム、珪
酸マグネシウム(タルク)、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、珪酸アル
ミニウム、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム(マイカ)、珪酸カリウムアルミニ
ウム及び他のクレイ又はクレイ様物質が含まれる。
本発明の配合物のために満足できる焼き付けの段取りは、大きな装置用では、
90℃乃至150℃の温度において約20乃至30分間の低温度焼き付け、コイル塗被用
では、300℃乃至375℃の空気で約5秒乃至60秒の高温度焼き付けを含むがそれら
に限定されず、広範に変わる。一般的に、本質的にすべての溶媒が塗膜から蒸発
し、そしてポリマーと架橋剤との化学反応が、望ましい完了の程度まで進むよう
に、基体及び被塗物質は十分に高い温度で十分に長い時間焼き付けるべきである
。望ましい完了の程度も又、広範に変わり、そして、所定の用途に必要な硬化さ
れた塗膜の性質の特定の組み合わせによる。
ヘキサメトキシメチルメラミン及び他のアミノ架橋剤を含有する系を硬化する
ために酸触媒が用いられ得て、そしてこの目的のための種々の酸触媒は当業者に
知られている。それらには、例えば、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン
酸、ノニルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンモノスルホン酸、ジノニル
ナフタレンジスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、燐酸、亜燐酸、フェニ
ル酸ホスフェート、ブチルホスフェート、ブチルマレエート等又はそれらの相溶
性の混合物が含まれる。それらの酸触媒は、適切な非ブロックト(unblocked)
形態で又は、アミンのような適するブロッキング剤(blocking agents)と組み
合わせて用いられ得る。非ブロックト触媒の典型的な例は、商品名K−
用いられる触媒の量は、典型的には焼き付けの段取りの厳格性とは逆に変わる
。
特に、より少ない濃度の触媒は、通常、より高い焼き付け温度又はより長い焼き
付け時間に必要である。中程度の焼き付け条件(150℃で15乃至30分間)のため
の典型的な触媒濃度は、ポリマーと架橋剤固体の合計当り約0.2乃至0.7重量%の
触媒固体である。約2重量%以下の触媒のより高い濃度は、より低い温度又はよ
り短い時間での硬化のために用いられ得る。十分に残存する、亜燐酸のようなエ
ステル化触媒を含有する配合物は、低い硬化温度で適する硬化をもたらすために
付加的な架橋触媒の含有を必要としない。
架橋剤としてヘキサメトキシメチルメラミンそして触媒としてp-トルエンス
ルホン酸を含有する本発明の配合物の場合において、約1ミルの乾燥塗膜厚さに
おける好ましい硬化条件は、ポリマー固体プラス架橋剤固体に基づいて約0.05乃
至0.6重量%の触媒濃度、130℃乃至210℃の焼き付け温度及び5乃至60分の焼き
付け時間である。最も好ましい硬化条件は、約0.05乃至0.5重量%の触媒濃度、
約140℃乃至180℃の焼き付け温度及び約5乃至40分の焼き付け時間である。
上記のように、本発明の配合物は、改良された耐侯性により特徴付けられる。
しかし、その配合物中に安定剤及び安定系を含有させることにより、耐侯性にお
ける及び他の性質における付加的な改良が達成され得る。耐侯性における改良を
与える化合物は、HALS(ヒンダードアミン光安定剤)、UV−遮蔽剤及び他
の抗酸化剤が含まれる。流れ改変剤、レオロジー改変剤、顔料分散剤等も前記組
成物中に含まれ得る。
本発明の塗被配合物は、最初に練り顔料を生成することにより製造される。練
り顔料は、顔料、樹脂及び溶媒の混合物を、Byk-ガードナー(Gardner)
体を生成することにより生成される。次に、この練り顔料を付加的な樹脂、溶媒
、架橋剤及び触媒を含む配合物の残りの成分と混合条件下で落とす(let down)
(混合する)。
本発明の塗被組成物を、噴霧、ローラー塗、浸漬塗等のような適する従来技術
により支持体に塗布する。その組成物は、液体形態で塗布してもよいが、好まし
くは、有機溶媒中に分散させる。
組成物の架橋密度及び架橋の程度は、有機溶媒への硬化塗膜の不透過性を評価
することによりモニターされ得る。この性質を評価するために適する試験は、A
STM D3732の5.2項に記載されているようなMEK摩擦試験(MEK rub t
est)である。この試験は、支持体から硬化塗膜を完全に除去するために必要な
、メチルエチルケトン(MEK)で浸透させた綿棒の往復擦りの数を測定する。
一般的には、本発明の塗膜は、約5より多い、より好ましくは少なくとも15の、
最も好ましくは、50又は100より多いMEK摩擦値を得るように十分に架橋され
る。
上記の構造(a)及び/又は(b)の化合物を含む、適格に配合されたバイン
ダー塗料及び被塗物質は少なくとも1つの下記の改良を提供する。改良された硬
度−柔軟性バランス、作業性粘度における、より低いVOC、改良された付着性
、改良された耐腐食性、改良された耐溶剤性、改良された耐酸化性及び/又は耐
放射線性、改良された電気抵抗性及び改良された耐候性。
下記の実施例は、いくつかの二官能性ポリエステルオリゴマーの製造及び本発
明の硬化性ポリマー組成物を生成することにおけるブレンド成分としてのそれら
の使用を示している。実施例において示されている物質は、下記の通りである。
NPG ネオペンチルグリコール
MP−DIOL 2-メチル-1,3-プロパンジオール
PHBA p-ヒドロキシ安息香酸
カーギル(商標名)(CARGILLTM)57-5789 McWhorter Corp.から入手できる
900乃至1,000の分子量を有するヒ
ドロキシ官能性ポリエステル
カーギル(商標名)57-5742 McWhorter Corp.から入手できる短
油トファ(tofa)系アルキド樹脂
MIAK メチルイソアミルケトン
HMMM ヘキサメトキシメチルメラミン架橋
剤[レジメン(Resimene)747]
BYKTM300 Byk-Chemieからのシリコーン流
れ制御剤
BTHO モノブチル鈴ヒドロキシドオキシド
触媒
BYKTM451 Byk-Chemieからのアミンブロッ
クトp-トルエンスルホン酸触媒
下記の実施例1乃至10は、PHBA並びに種々のジオール及び二塩基酸の10の
異なるエステル反応生成物及び各々の性質を示す。
すべての合成例は、機械的攪拌機、加熱マントル、窒素パージャー、ディーン
・スターク・トラップ(Dean-Stark Trap)、冷水冷却器及び、温度調節器を設
置した温度計を備えた1乃至5l容の4ッ口丸底フラスコを用いて行われた。P
HBA脱カルボキシ化をモニターするために、2つのカラム、ドリエライト(Dr
ierite)を満たした第一のカラム及びアスコライト(Ascorite)(CO2トラッ
プ)を満たした第二のカラムを、冷却器の後の気体排出ラインに接続した。実施
例において示された成分の量は、gである。実施例1
5l容の反応器に、
NPG 991.0
アジピン酸 694.5
PHBA 657.2
ジブチル錫オキシド 1.5
メタンスルホン酸 0.3(25gの脱イオン水中に希釈された)
トルエン 150.0
を装填した。
内容物を150℃に加熱し、次に200℃に加熱した。259gの水相を蒸留して除去
した。その内容物を冷却し、付加的な657.2gのPHBAを反応器に装填した。
N2でパージした後に、内容物を220℃に加熱し、101.4gの水相を蒸留して除去
した。温度を220℃に上げそしてさらに74gの水相を蒸留して除去した(その水
相は又、少量のNPGを含有した)。反応生成物を103℃に冷却し、334.0gのM
IBKを反応器に装填した。混合後、その生成物を排出した。その生成物
は、下記の特徴を有した。
NVM =85.5%
カルボキシル酸No. (AN) =18.5mgKOH/g固体ポリマー
フェノールAN =192.3mgKOH/g固体ポリマー
粘度 =15,000cps
アスカライトのカラム重量は11.8gに増加し、このことは、37gのPHBA分
解又は2.8%に相当する。
実施例1は、558の数平均分子量及び狭い分子量分布を有するビスフェノール
官能性ポリエステルの製造を示している。その反応は、PHBAの2段階添加を
用いて行った。実施例2
実施例1におけるのと同様に装備された3l容の反応器に、
NPG 676.7
アジピン酸 474.6
PHBA 448.6
BTHO 0.90
メタンスルホン酸* 0.50
NH3(水中30%)* 0.30
トルエン 100.0
(*メタンスルホン酸及びアンモニアは25gの脱イオン水中に希釈されていた。
)を装填した。
内容物を140℃に加熱し、次に160℃、180℃、200℃及び210℃に加熱し、反応
中生成された水を蒸留した。必要な温度を維持するために、トルエンを反応器と
付加漏斗の間に移動させ、反応につれてトルエンの必要な還流を与えた。カルボ
ン酸価が5.0mgKOH/gに達したときにその反応を止めた。その反応器内容物
を100℃乃至110℃に冷却し、排出した。その樹脂状生成物は、96.4%の非揮発性
物質(NVM)含量を有した。
実施例2は、2:1:1のモル比におけるNPG、アジピン酸及びPHBAの
ポリエステルの製造を示している。実施例3
本実施例は、実施例2と同様に2:1:1ののモル比で2-メチル-1,3-プロパ
ンジオール、アジピン酸及びPHBAを含有するポリエステルの製造を示してい
る。
MP−DIOL 585.40
アジピン酸 474.60
PHBA 448.60
BTHO 0.90
メタンスルホン酸* 0.50
NH3(水中30%)* 0.30
トルエン 100.0*
メタンスルホン酸及びアンモニアは25gの脱イオン水中に希釈されていた。
反応を実施例2と同じ方法で行った。最終的なカルボン酸価は、4.2mgKOH
/gであり、NVMは96.7%であった。
上記の実施例2及び3は、混合された官能基(脂肪族ヒドロキシルとフェノー
ル性ヒドロキシルが約1:1の比で存在する)を有する低分子量及び狭い分子量
分布のポリエステルの1段階製造を示している。その比は、ポリエステル分子の
平均官能基を表わしている。その実際の混合物は、約25モル%のビス脂肪族ヒド
ロキシルポリエステル、約25モル%のビスフェノール官能性ポリエステル及び約
50モル%の、1つの脂肪族ヒドロキシル基と1つのフェノール基を有するポリエ
ステルである。両実施例のポリエステルは、低数平均分子量[実施例2は438(
計算された)そして実施例3は410(計算された)]及び2.0未満の狭い分子量分
布を有する。実施例4
実施例1におけるように装備された2l容のフラスコに下記の反応体を装填し
た。1,6-ヘキサンジオール対アジピン酸対PHBAのモル比は2:1:1であっ
た。物質
量
1,6-ヘキサンジオール 413.7
アジピン酸 255.7
PHBA 241.5
BTHO 0.51
メタンスルホン酸* 0.28
NH3(水中30%)* 0.17
トルエン 75*
メタンスルホン酸及びアンモニアは15gの脱イオン水中に予備混合されていた
。
それらの物質を220℃の最高温度に加熱し、そし108gの水が回収された。生成
物の酸価は3.7mgKOH/モルであった。ポリエステルにおけるフェノールと脂
肪族ヒドロキシルの割合は約1:1であった。生成物の計算された数平均分子量
(Mn)は466であった。実施例5
上記におけるように装備された3l容のフラスコに下記の反応体を装填した。
ネオペンチルグリコール対セバシン酸対PHBAのモル比は2:1:1であった
。物質
量
NPG 520.0
セバシン酸 505.75
PHBA 345.0
BTHO 0.77
メタンスルホン酸 0.42
NH3(水中30%) 0.26
トルエン 100
メタンスルホン酸及びアンモニアは15gの脱イオン水中に予備混合されていた
。それらの物質を220℃の最高温度に加熱し、144.7gの水が回収された。生成物
の酸価は16.94mgKOH/gであった。ポリエステルにおけるフェノールと脂肪
族ヒドロキシルの割合は約1:1であり、生成物の計算された数平均分子量
(Mn)は494であった。実施例6
上記のように装備された2l容のフラスコに下記の物質を装填した。メチルプ
ロパンジオール対アジピン酸対PHBAのモル比は2:1:1.5.35であった。物質
量
MP−DIOL 360.4
アジピン酸 292.2
PHBA 414.0
BTHO 0.6
メタンスルホン酸 0.33
NH3(水中30%) 0.20
トルエン 75.0
メタンスルホン酸及びアンモニアは15gの脱イオン水中に予備混合されていた
。それらの物質を200℃の最高温度に加熱した。生成物の最終的な酸価は23.8mg
KOH/gであった。NVM=96.0%。ポリエステルにおけるフェノール対脂肪
族ヒドロキシルの平均割合は約3:1であり、計算された数平均分子量(Mn)
は約470であった。実施例7
上記のように装備された2l容のフラスコに下記の反応体を装填した。NPG
G対アジピン酸対PHBAのモル比は2.5:1.5:2であった。物質
量
NPG 400.40
アジピン酸 302.40
PHBA 386.40
BTHO 0.61
メタンスルホン酸 0.34
NH3(水中30%) 0.20
トルエン 75.00
メタンスルホン酸及びアンモニアは15gの脱イオン水中に予備混合されていた
。
反応器を207℃の最高温度に加熱した。生成物の酸価は14.7mgKOH/gであり
、147gの水が回収された。NVM=96.94%。Mn=665.6(計算された)であ
った。実施例8
上記のように装備された1l容のフラスコに下記の反応体を装填した。NPG
対アジピン酸対PHBAのモル比は2.1:1:1.5であった。物質
量
NPG 204.9
アジピン酸 136.6
PHBA 193.9
メタンスルホン酸 0.535
水酸化アンモニウム(29.9%) 0.37
シクロヘキサン 50
メタンスルホン酸及び水酸化アンモニウムは10gの脱イオン水中に予備混合さ
れていた。反応器を226℃の最高温度に加熱した。生成物の酸価は15.4mgKOH
/gであり、NVM=99.69%であった。ポリエステルに存在するフェノール対
脂肪族ヒドロキシル基の割合は平均で約3:1であり、計算された数平均分子量
(Mn)は約498であった。実施例9
実施例1と同様に装備された2l容の丸底フラスコに、物質
量
NPG 312.45
アジピン酸 219.15
PHBA 414.30
BTHO 0.53
メタンスルホン酸 0.295
アンモニア(水中30%) 0.18
トルエン 75.0
を装填した。
メタンスルホン酸及びアンモニア源は15gの脱イオン水中に予備混合されてい
た。その内容物を120℃に加熱し、水を蒸留し始め、次に160℃、180℃及び200℃
に加熱し、反応中に生成する追加の水を蒸留した。温度を制御するために、トル
エンを反応器と付加的な漏斗との間に移動させ、反応につれてトルエンの必要な
還流を与えた。カルボン酸価が13mgKOH/固体gに達したときにその反応を止
めた。その反応器内容物を100℃乃至110℃に冷却し、排出した。その生成物は、
96.66gの非揮発性物質(NVM)含量を有した。実施例9はNPG、アジピン
酸及びPHBAを2:1:2のモル比で反応させて、実施例1と同様の低分子量
及び狭い分子量分布を有するビスフェノール官能性ポリエステルの製造を示して
いる。実施例1における反応では2段階で行ったのに対し、実施例9における反
応を1段階で行った。実施例10
本実施例は、環式ジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)の
使用を示す。下記の物質を上記のように装備された3l容のフラスコに、装填し
た。CHDM:アジピン酸:PHBAのモル比は、2:1:1であった。物質
量
1,4-CHDM 662.4
アジピン酸 336.0
PHBA 317.0
BTHO 0.74
メタンスルホン酸 0.41
NH3(30%溶液) 0.25
トルエン 100
メタンスルホン酸及びNH3は25mlの脱イオン水中に予備混合されていた。そ
れらの物質を、147.0gの水が回収されるまで反応させた。最終的な酸価が3.0よ
り小さかった。そのNVMは95.52%であった。
下記の実施例において、いくつかの従来の硬化性塩基ポリマーとHMMM架橋
剤の混合物を含む、硬化性の塗料配合物を製造した。いくつかの実施例では、ポ
リマーバインダーの一部を、バインダー(基本ポリマー+架橋剤)の重量に基づ
いて10乃至30重量%の、上記の実施例において製造されるいくつかのポリエステ
ルオリゴマーとHMMMの混合物で置換した。対照配合物(添加されたポリエス
テルオリゴマーがない)及び本発明の配合物の性質を焼き付けの後に評価した。
下記の実施例に記載された組成物を有する塗料配合物を最初に練り顔料を生成
し、次に組成物を上記の一般的操作により落とした(let down)。
試験パネルを製造しそして下記のように評価した。
種々の配合物の薄い塗膜を鋼鉄試験パネルに展延(drawdowns)により塗布し
た。基本操作は、ASTM試験操作D823-87に概説されている。試験パネルは、
Q-パネル・カンパニー(Q-Panel Company)から得られる処理されていないT
ype S冷間圧延の鋼鉄パネルか又は、アドバンスド・コーティング・テクノ
ロジー・インク(Advanced Coating Technology Inc.)から得られる艶出しして
いないボンデライト(商標名)(BonderiteTM)1000(燐酸鉄処理)パネルである
。パネルの大きさは、4インチ×8インチ又は3インチ×6インチである。
線巻展延ロッド及びいくつかの場合においては、プリシジョン・ラボラトリー
・ドローダウン・マシーン(Precision Labortory Drawdown Machine)(両方と
もPaul N.Gardner Companyから)を用いて、手引き展延[方法E(Method E)
により、塗膜を塗布した。目標のの乾燥塗膜の厚さは、1ミルである。
すべての硬化パネルにおける塗膜性質評価は、下記の通りであった。
ヌープ硬度 ASTM D-1474
直接耐衝撃性(Direct Impact) ASTM D-2794
MEK摩擦 ASTM D-3732
耐衝撃試験の場合には、0.64インチのダイを有する5/8インチのパンチを用
いた。実施例11乃至14(対照)
高速ミキサー/分散機を用いて、下記の成分を分散させることによって、ポリ
エステル樹脂、カーギル(Cargill)57-5789を含有する練り顔料を調製した。
250.4gの上記の練り顔料に追加の108.5gのカーギル57-5789(85.0%)、45.
0gのHMMM及び75gのMIAKを混合して硬化性塗料配合物を生成した。
50.0g分のその配合物をバインダーに基づくPTSAの異なる量においてBY
K-451触媒と化合させた。触媒作用を受けた組成物を展延ロッドにより、艶出し
されていないボンダーライト(Bonderite)1000パネルに塗布し、オーブンで350
°Fにおいて10分間焼き付けた。
塗膜性質の評価の結果を表Iに示す。
実施例15乃至18
20重量%の、実施例7で製造されたポリエステルオリゴマーとHMMMの50/
50混合物を下記のように配合物に含有させた他は、対照実施例11乃至14を繰り返
した。
実施例11乃至14の練り顔料 250.4
カーギル57-5789(85%) 67.2
HMMM 35.1
実施例7の生成物(96.94%) 21.1
HMMM 20.5
MIAK 84.6
練り顔料を添加する前に、実施例7のオリゴマー及び20.5gのHMMMを最初
に予備混合した。配合物の50.0g分をバインダーに基づく異なる量においてBY
K-451で触媒作用を受けさせた。触媒作用を受けた組成物を展延ロッドにより、
艶出しされていないボンダーライト(Bonderite)1000パネルに塗布し、オーブ
ンで350°Fにおいて10分間焼き付けた。
塗膜性質の評価の結果を表IIに示す。
表Iと表IIとの比較によりわかるように、実施例7のオリゴマー組成物を配合
物に含有させることは、架橋を非常に改良し、柔軟性に悪影響を及ぼさずに、塗
膜の硬度を増大させる。実施例19乃至22(対照)
アルキド樹脂カーギル57-5742を用いてこれらの実施例を製造した。実施例
11乃至14におけるように、そして下記の組成を有し、練り顔料を製造した。
カーギル57-5742(90.9%) 300.0
MIAK 36.0
BYK-300 1.60
TiO2[クロノス(Kronosレジ2090)] 682.0
塗料組成物を下記のように製造した。
上記の練り顔料 254.9
カーギル57-5742(90.0%) 103.0
HMMM 53.5
MIAK 84.5
50.0g分のその配合物をバインダーに基づいてPTSAの異なる量においてB
YK-451で触媒作用を受けさせた。触媒作用を受けた組成物を展延ロッドにより
、艶出しされていないボンダーライト(Bonderite)1000パネルに塗布し、オー
ブンで350°Fにおいて10分間焼き付けた。
焼き付けた塗膜性質の評価の結果を表IIIに示す。
実施例23乃至26
30重量%の、実施例2のポリエステルオリゴマーとHMMMの50/50混合物を
下記のように配合物に含有させた他は、対照実施例19乃至22を繰り返した。
実施例19乃至22の練り顔料 154.6
カーギル57-5742(90.0%) 31.7
HMMM 20.0
実施例2の生成物(96.39%) 20.1
HMMM 19.4
MIAK 51.2
練り顔料を添加する前に、実施例2のオリゴマー及び19.4gのHMMMを最初
に予備混合した。配合物の50.0g分をバインダーに基づく異なる量においてBY
K-451で触媒作用を受けさせた。上記のように、触媒作用を受けた組成物を展延
ロッドにより、艶出しされていないボンダーライト(Bonderite)1000パネルに
塗布し、オーブンで350°Fにおいて10分間焼き付けた。
性質の評価の結果を表IVに示す。
表IIIと表IVとの比較によりわかるように、対照配合物における30%のバイン
ダーの、低分子量及び狭い分子量分布のフェノール脂肪族ヒドロキシル(1:1
)ポリエステル及びアミノ-硬化樹脂の50:50の混合物による置換によ
り、架橋における本質的な改良がもたらされそしてより良好な硬度及び同時に、
より良好な柔軟性が与えられた。通常、硬度を改良できるが、柔軟性を犠牲にす
るので、この組み合わされた改良は非常に重要である。従って、このことは、同
じ硬度において、柔軟性(耐衝撃性)の適する比較をしなくてはならないことを
意味する。
図1において示されたデーターは、表III及びIVの比較に基づいており、対照
配合物(四角形で指示)でのそして、実施例2のフェノール脂肪族ヒドロキシル
官能性ポリエステル及びHMMM架橋剤(三角形で指示)の50:50の混合物によ
り置換された20%のバインダーを有する配合物での耐衝撃性と硬度の間の相関関
係を示す。図1からわかるように、等しい硬度において、改変された組成物の柔
軟性は対照の非改変組成物の柔軟性をはるかに超す。実施例27乃至29
練り顔料(実施例19乃至22) 154.6
カーギル57-5742(90.0%) 31.7
HMMM 22.6
実施例3の樹脂(96.69%) 16.05
HMMM 23.3
MIAK 51.7
上記のように、オリゴマーと23.3gのHMMMを最初に予備混合した。配合物
の50.0g分をバインダーに基づく異なる量においてBYK-451で触媒作用を受け
させた。触媒作用を受けた組成物を艶出しされていないボンダーライト(Bonder
ite)1000パネルに塗布し、オーブンで350°Fにおいて10分間焼き付けた。
塗膜性質の評価の結果を表Vに示す。
本実施例は、対照組成物におけるバインダー置換物質として(バインダーの30
%)、フェノール-脂肪族ヒドロキシル官能性の低分子量及び狭い分子量分布の
ポリエステルのBMMMとの40:60の割合での混合物の使用を示す。表Vと表II
Iとの比較によりわかるように、この割合でも又、対照配合物とは異なり、異な
る硬度における柔軟性において重要な改良を与える。実施例30乃至33
実施例19乃至22の練り顔料 154.6
カーギル57-5742 (90.0%) 38.6
BEM 26.0
実施例6の樹脂(95.97%) 13.6
HMMM 13.1
MIAK 54.1
上記のように、実施例6のオリゴマーと13.1gのBMMMを最初に予備混合し
た。配合物の50.0g分をバインダーに基づくPTSAの異なる量においてBYK
-451で触媒作用を受けさせた。上記のように、触媒作用を受けた組成物を艶出し
されていないボンダーライト(Bonderite)1000パネルに塗布し、オーブンで350
°Fにおいて10分間焼き付けた。
塗膜性質の評価の結果を表VIに示す。
実施例30乃至33は、フェノール-脂肪族ヒドロキシル官能性ポリエステル(3
:1モル比のフェノールとヒドロキシル官能基)のHMMMとの50:50の割合で
の混合物による20%のバインダー置換の効果を示す。
表IVのデーターと表III及びVのデーターとの比較により、より多量のフェノ
ール官能基は、より少量のバインダー置換物質においてさえ、硬度においてより
良好な増大を生じ、そして本質的に高い硬度において増大された柔軟性を生じる
ことが示されている。
図2には、対照組成物(四角形で指示)と比較した、これらの組成物(三角形
で指示)での硬度と柔軟性との間の相関関係を示す。このデーターからわかるよ
うに、改変された組成物は、非常に改良された柔軟性とともに硬度の非常に拡大
された範囲が得られることを可能にする。実施例34乃至37
実施例19乃至22の練り顔料 154.6
カーギル57-5742(90.0%) 38.6
HMMM 26.0
実施例7の樹脂(96.94%) 13.5
HMMM 13.1
MIAK 54.2
上記のように、実施例7のオリゴマーと13.1gのHMMMを最初に予備混合し
た。配合物の50.0g分をBYK-451で触媒作用を受けさせ、そして実施例30乃至
33におけるようにパネルに塗布し、そして焼き付けた。塗膜性質の評価の結果を
表VIIに示す。
実施例34乃至37は、実施例7の低分子量及び狭い分子量分布のほとんどビスフ
ェノール官能性のポリエステルとHMMMとの50:50混合物による20%のバイン
ダー置換の効果を示す。
図3には、対照組成物(四角形で指示)と比較した、これらの組成物(三角形
で指示)での硬度と柔軟性との間の相関関係を示す。
このデーターは、従来の硬化性ポリマー配合物への改変添加剤としてのポリエ
ステルオリゴマーを含有する配合物の極限物理的特性に関して、ポリエステルオ
リゴマー中に存在するフェノール官能基の量の重要性を示している。又、そのよ
うな塗料配合物のVOCを増大することなく、そして多くの場合にはかえって、
VOCの低減をもたらすような、かなりの改良が得られる。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
C09D 169/00 C09D 169/00
171/00 171/00 Z
201/00 201/00
// C08L 67/00 C08L 67/00
(72)発明者 スワラップ、ヴィジェイ
アメリカ合衆国、テクサス州 77059、ヒ
ューストン、プラリー・ヒル・コート
2806
【要約の続き】
に、本発明の被塗物質は、前記ポリエステルオリゴマー
成分を含有しない硬化した被塗物質と比べて、改良され
た物理的及び化学的性質を示す。