JPH11507532A - 環境に制限される生存能を有する組換え細菌システム - Google Patents

環境に制限される生存能を有する組換え細菌システム

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JPH11507532A JP9501998A JP50199897A JPH11507532A JP H11507532 A JPH11507532 A JP H11507532A JP 9501998 A JP9501998 A JP 9501998A JP 50199897 A JP50199897 A JP 50199897A JP H11507532 A JPH11507532 A JP H11507532A
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Abstract

(57)【要約】 許容環境と非許容環境との間の差に基づく、微生物に対する環境により制限される生存能システム(ELVS)を開示する。微生物の生存能は、1またはそれ以上の必須遺伝子を許容環境中でのみ特異的に発現させ、そして/または1またはそれ以上の致死遺伝子を非許容環境中でのみ特異的に発現させることによって、許容環境に制限される。非許容環境中の一時的な生存能は、1またはそれ以上の必須遺伝子を非許容環境中で一時的に発現させ、そして/または非許容環境中での1またはそれ以上の致死遺伝子の発現を一時的に遅延させることによって達成され得る。必要遺伝子と致死遺伝子の組み合せの共役発現を包含する、環境により制限される生存能システムもまた開示される。環境により制限される生存能システムを含む微生物は、許容環境および非許容環境中への放出に有用である。温度調節された環境により制限される生存能システムは、増殖を宿主内部のより暖かい環境に制限することによる、または増殖を宿主において制限された時間の間のみ可能とすることによる、組換え無毒性Salmonellaを用いる発現産物(例えば、抗原)の送達に特に適する。

Description

【発明の詳細な説明】 環境に制限される生存能を有する組換え細菌システム アメリカ合衆国政府は、PHS助成金DE06669、AI24533およびHD29099により本発 明に対する権利を有する。 発明の背景 本発明は、環境に制限される増殖および生存能を有する組換え微生物に関し、 より詳細には、宿主生物において規定された期間生存し得るのみであり、宿主生 物の外部では増殖しない組換え微生物に関する。 遺伝的に操作された微生物は、一般に、広範囲の用途および重要性を有する。 例えば、それらは、外来タンパク質を産生するために使用され得、従って、イン ターフェロン、インスリンおよび成長ホルモンのような産物の合成に産業的に使 用され得る。また、これらは、免疫応答を生じる抗原送達システムとしても使用 され得る。しかしながら、遺伝的に操作された微生物が環境中に残存することは 望ましくない。 物理的封じ込めが、遺伝的に操作された微生物の拡散を制御するために使用さ れる第1の方法である。特定のアミノ酸等、特定の増殖条件がない場合はその増 殖が妨げられる衰弱性変異を導入することによって微生物が封じ込まれる、より 洗練された手段が次に開発された。米国特許第4,190,495号には、制御された実 験室条件の外では増殖または遺伝子移入を妨げる、複数の変異を有する微生物が 開示されている。 微生物の生物的封じ込めにおいて使用するための自殺プラスミドが記載されて いる(Molinら、Annual Review of Microbiology 47:139-166(1993))。自殺プラ スミドは一般に、制御された環境の中と外での特定の遺伝子発現の差を利用し、 制御された環境の外での微生物の生存を妨げる。自殺プラスミドまたはシステム の使用は、実験室条件下または他の人工的条件下での必要な遺伝子の発現、また は致死遺伝子の抑制に制限された。供給される刺激がなければ、致死遺伝子が発 現するようになる。いずれの事象も、直接または過酷な競合的不利益のために細 胞の死に至る。ほとんどの自殺システムは、微生物に対して能動的に毒性である 遺伝子の発現に依存する。活性自殺システムに共通の問題は、殺傷遺伝子におけ る変異に対する高い選択圧である。これは、例えば、KnudsenおよびKarlstrom、 Applied and Environmental Microbiology 57(1):85-92(1991)により解析され ている。彼らは、relFの発現を抑制し、従ってrelF遺伝子産物の合成により引き 起こされる自殺を妨げる、PlacへのLacIの結合によって制御される自殺機能を使 用した。RelFの発現、従って自殺フェノタイプの提示には、IPTGの添加が必要で ある。このシステムは従って、プラスミド含有宿主内で、またはlacIがコードす るリプレッサーを欠く宿主へのプラスミドの移入後の、宿主殺傷の誘導を研究す る実験室モデルの役割をする。一方ではrelF遺伝子産物による殺傷を無効にする 変異により、そして他方ではIPTGが添加されない場合でも、relFが低いレベルで 発現され、その結果、培養物中の細胞がゆっくり増殖することにより、そのシス テムの効力は制限される。 Molinら、Bio/Technology 5:1315-1318(1987)には、制御された発酵器環境の 外にあるとき、組換え微生物の生存を妨げるため、多くの細菌種中で発現される 場合に致死的である小ペプチドをコードするhokの使用が記載されている。hok遺 伝子はrelF遺伝子に相同である。Molinら(1987)は、hokの発現を制御するため反 転可能なプロモーターを使用している。不活性プロモーターの活性方向への確率 的反転は、単位時間当たりの所定の割合の細胞の死により、細菌集団の縮小を引 き起こす。この確率的な細胞死は、反転可能なプロモーターのフリップフロップ 方向を制御するfimBとfimEとの相対的な発現に依存する。このシステムは、理想 的な実験室条件下を除いて、細菌集団の急激な低下に至らない。 MolinおよびKjelleberg、AMBIO 22(4):242-245(1993)、ならびにRamosら、Bi o/Technology 13:35-37(1995)は、自然環境に放出するための微生物は自殺遺伝 子により制御され得ることを仮定した。MolinおよびKjellebergは、一般的なま たは特定の飢餓により調節される自殺遺伝子の使用を記載している。Ramosらは 、hokおよびrelFがそのメンバーであるgefファミリー遺伝子およびヌクレアーゼ 遺伝子の、自殺遺伝子としての使用を開示している。Ramosらはまた、gef遺伝子 に 融合した誘導可能なPlacのIPTG誘導により発現したこれらの遺伝子産物による殺 傷について記載している。Ramosらは、例えば人工的に制御した条件の外で生じ る、特定の栄養素または条件の喪失、および調節刺激を微生物の働きと結び付け ることによる自殺機能の調節について記載している。これは、ある方向でrelFの 発現を引き起こし、細胞死を生じるプロモーターの反転速度を制御して行われた 。もちろん、このシステムは、細胞が栄養素を欠く環境にあると、細胞集団の生 存が徐々に失われる結果になるだけである。Ramosらはまた、生菌抗原送達シス テムを適用可能にするための生物的封じ込めの使用を示唆している。しかしなが ら、Ramosら(37頁)は、ヒトの消化器の複雑さが、特定の刺激に基づく制御回路 の設計を妨げると指摘し、消化器の内外での増殖速度の差に基づく封じ込めを示 唆している。Ramosらはこのゴールを達成し得る何らの調節システムも示唆して いない。 所望の抗原を発現させ、そして動物の腸管でコロニーをつくる生細菌ワクチン が記載されている(Curtissら、Curr.Topics Micro.Immun.146:35-49(1989) ;Curtiss、「外来抗原の発現に対する生ベクターとしての弱毒サルモネラ株、 新世代のワクチン」(WoodrowおよびLevine編、Marcel Dekker、New York、1990) 161-188頁;Schodel、Infection 20(1):1-8(1992);CardenasおよびClements、 Clinical Micro.Rev.5(3):328-342(1992))。今日までのほとんどの研究は、 無毒性Salmonella typhimurium株が合成する様々な外来抗原を、マウス、ニワト リおよびブタの免疫化のために使用している。無毒S.typhiベクターのいくつか がヒトボランティアにおいて評価され(Tacketら、Infect.Immun.60:536-541( 1992))、組換え無毒S.typhi株を用いたいくつかの第I相臨床試験が米国および ヨーロッパで進行中である。 組換え無毒Salmonella抗原送達戦略を拡張し、さらに改善するための研究成果 は妥当な速度で進歩しているが、動物またはヒトの感染病を制御するための組換 えワクチンの商業開発は遅い。ウイルスベクターに基づくワクチンの使用に比べ て、弱毒化細菌生ワクチンベクターの重要な安全上の利点は、万一、有害反応が 生じても、免疫された患者を経口シプロフロキサシンまたはアモキシシリンで処 置することが可能なことである。しかしながら、現在の生細菌ワクチンには、経 口投与が糞への排出をもたらし、細菌ワクチン株が自然で増殖し、そして免疫の ために選択されたものでない個体に感染するという潜在的なリスクがあるという 欠点がある。例えば、菌数がわずかに減少するだけで、糞の大腸菌は野生条件下 で長期間残存し得ることが知られている(Templeら、Appl.Environ.Microbiol. 40:794-797(1980))。これらの生存ワクチン株が、そのクローン化された遺伝情 報を、自然界で遭遇するより頑強な微生物に伝わり、必ずしも予見できない結果 をもたらすかも知れないという心配がある。ほとんどの発現遺伝子は野生型微生 物種に伝達されても有害ではないと思われるが、精液特異性抗原またはリンホカ インに対する遺伝子を発現する組換えベクターのあるものは、広く普及した場合 、有害な結果を有し得る。従って、生物的封じ込めシステムが標的環境と他の環 境との間で異なる条件により調節されるか、または標的環境中に一時的にのみ生 存することが望ましい。組換え発現産物の微生物ベースの送達の場合、微生物は 動物の内部で生存するが動物の外部では死亡するか、または動物内部での死亡の 開始前に、免疫応答を誘導するに、動物を発現産物に暴露するに、および/また は発現産物の生産のための転位ベクターを動物の細胞内に送達するに十分な時間 、動物内部に定住および生存することが望ましい。自然界で生存、増殖および遺 伝子移入を排除する生来の生物学的封じ込めの特徴を有する生きた弱毒化細菌抗 原送達ベクターは、このタイプの抗原送達微生物の使用に対する許容性と熱意を 増加させると思われる。 従って、標的付けられた微生物の生存能を制御し、他の微生物に移入した場合 、組換え染色体外遺伝情報の望ましくない生存を制限することにおける使用のた めの環境により制限される生存能システムを提供することが本発明の目的である 。 発現産物またはベクターを宿主生物または他の環境に送達し得る、環境により 制限される生存能を有する生組換え微生物を提供することが本発明の他の目的で ある。 環境により制限される生存能を有する生きた組換え微生物を用いて、発現産物 またはベクターを宿主生物または環境に送達する方法を提供することが、本発明 の他の目的である。 環境により制限される生存能を有する生きた組換え抗原送達微生物を提供する ことが、本発明の他の目的である。 環境により制限される生存能を有する生きた組換え抗原送達微生物を用いて、 ワクチン接種法を提供することが、本発明のさらに別な目的である。 発明の要旨 許容環境と非許容環境との間の差に基づく、微生物のための、環境により制限 される生存能システム(ELVS)を開示する。この微生物の生存能は、1またはそれ 以上の必須遺伝子を許容環境中でのみ特異的に発現させ、そして/あるいは1ま たはそれ以上の致死遺伝子を非許容環境中でのみ特異的に発現させることによっ て、この許容環境に制限される。非許容環境中の一時的な生存能は、1またはそ れ以上の必須遺伝子を非許容環境中で一時的に発現させ、そして/あるいはその 非許容環境中で1またはそれ以上の致死遺伝子の発現を一時的に遅延させること によって達成され得る。必要遺伝子と致死遺伝子との組み合せの共役発現を包含 する、環境により制限される生存能システムもまた開示される。環境により制限 される生存能システムを含む微生物は、許容環境および非許容環境中への放出に 有用である。温度調節された環境により制限される生存能システム、および死亡 遅延型の、環境により制限される生存能システムは、増殖を宿主内部のより暖か い環境に制限することによる、または増殖を宿主において制限された時間の間の み可能とすることによる、組換え無毒性Salmonellaを用いる、発現産物(例えば 、抗原)の送達に特に適する。このような微生物は、細菌、ウイルス、真菌およ び寄生虫病原体、特に粘膜表面上にコロニーを形成するか、または粘膜を通って 侵入する病原体に対してヒトまたは温血動物を保護するために投与され得る。こ れらはまた、免疫反応を誘導して受精をブロックするため、または腫瘍抗原に対 して免疫反応を誘導するために、配偶子特異性抗原の発現のために使用され得る 。 環境により制限される生存能システムの例が開示され、これには、温度および 非許容環境中の一時的な生存能により制限された生存能を含む、好ましい形態を が含まれる。 図面の簡単な説明 図1は、プラスミドにコードされたエレメントおよび染色体にコードされたエ レメントの両方を含む、環境により制限される制限能システムの図である。この 図は、遺伝子産物の産生を、低温(30℃未満;左側)または高温(37℃以上;右側) のいずれかでの機能的な産生について+を指す矢印として示す。染色体にコード されるC2またはCI857リプレッサーの効果は、各リプレッサーにより抑制される それぞれのプロモーターでの下向きの矢印で示される。asdおよびlys13 lys19遺 伝子は、ポリメラーゼI依存性レプリコンと共にプラスミド上に位置し、低温で の致死性溶菌遺伝子の発現を提供するが、必須のasd遺伝子は発現され得ない。 なぜなら、染色体にコードされるポリメラーゼIはもはや産生されず、そしてas d遺伝子を有するプラスミドは保持されないからである。示されたプロモーター とレギュレーターは、それらは特徴付けられているので、他の環境により調節さ れるシステムと交換され得る。 図2は、機能的pir遺伝子を欠く任意の宿主中では複製し得ないpir依存性自殺 ベクターpMEG-011の図である。このベクターは、市販のクローニングベクターpN EB193由来の多重クローニング部位を含み、多くの独特なクローニング部位、お よび適切な宿主中のIacZα遺伝子に関連する青/白スクリーニングを提供する。 このベクターはまた、トランスポゾンTn10由来のテトラサイクリン耐性遺伝子(t etA)を含み、このことは、染色体への組み込みに伴うテトラサイクリン耐性につ いての選択、次いでフザリン酸含有培地上での組み込まれたベクターに対する選 択を可能にし、野生型遺伝子と欠失および挿入を含む改変された遺伝子との置換 を促進する。 図3は、バクテリオファージλ右プロモーター(PR)に作動可能に連結されるバ クテリオファージP22 c2リプレッサー(C2)およびバクテリオファージλ温度感受 性リプレッサーcI85遺伝子を含むpir依存性自殺ベクターpMEG-096の図であり、 カートリッジ中の両遺伝子は、S.typhimurium asd遺伝子の部分(斜線で影を付け られている)によって隣接される。この配置により、隣接するasd遺伝子セグメン トに相同性を有する、任意の株の野生型染色体asd遺伝子の対立遺伝子置換が可 能になる。 図4は、発現ベクターpMEG-104を含む、S.typhimurium宿主MGN-392を有するベ クターベースの環境により制限される制限能システム(EVLS)の図であり、この組 み合せはMGN-417株と呼ばれる。pMEG-104は、バクテリオファージλの左プロモ ーター(λPL)に作動可能に連結されるS.typhimuriumのasd遺伝子、およびバクテ リオファージP22の右プロモーター(P22.PR)に作動可能に連結されるバクテリオ ファージP22の溶菌遺伝子(lys13およびlys19)を含む。バクテリオファージλの 左プロモーターおよびバクテリオファージP22の右プロモーターは、ベクター上 で反対の方向に置かれ、その結果、バクテリオファージλの左プロモーターの転 写が溶菌遺伝子のアンチセンスRNAを生成し、そしてバクテリオファージP22の右 プロモーターの転写がasd遺伝子のアンチセンスRNAを生成する。両遺伝子は、カ ートリッジ中で、2つの異なる転写ターミネーター(trpA termおよび5S T1 T2) によって隣接される。pMEG-104はまた、低コピー数のDNAポリメラーゼI依存性p 15A複製起点(ori)を含む。宿主細胞MGN-392は、その染色体上のpMEG-096に由来 するcI857およびc2リプレッサー遺伝子カートリッジを含む。このカートリッジ は、宿主細胞の染色体asd遺伝子の中央部分に入れ代わる。このカートリッジは 、プラスミドpMEG-104がこの宿主細胞中に存在する場合、熱的に調節される制限 された生存能を提供する。太字の矢印は、ELVSのベクター成分の温度調節発現を 示す。 図5はベクターpMEG-100の図である。このベクターは、pMEG-100がカナマイシ ン耐性遺伝子を含むことを除いて、pMEG-104と同じである。 図6は、環境により制限される生存能システムを有するS.typhimurium宿主お よび環境により制限される生存能システムを有さないS.typhimurium宿主の増殖( CFU/ml)対時間(時間)のグラフである。黒塗り四角は、室温で増殖させた、pMEG- 104を含む細胞の増殖点を示す。白抜き四角は、37℃で増殖させたpMEG-104を含 む細胞の増殖点を示す。黒塗り三角は、室温で増殖させたAsdベクターpYA292を 含む細胞の増殖点を示す。白抜き三角は、37℃で増殖させたpYA292を含む細胞の 増殖点を示す。 図7は転移ベクターpYACMVの図である。このベクターは、(ΔpurA株において 使用される)選択マーカーとしてpurA遺伝子、送達システム内での高レベルのプ ラスミドのためのpBR322レプリコン、ならびに真核生物宿主内でのクローン化さ れた抗原の効果的な発現のための真核生物発現エレメント(CMVプロモーターなら びにSV40ポリAおよびスプライスエレメントを含む)を含む。 図8は、致死溶菌遺伝子を含むランナウェイプラスミドを利用する、環境によ り制限される生存能システムの図である。ランナウェイプラスミドの効果を担う 機構は、LacI抑制trcプロモーターにより入れ代わられる、プライマーの複製に 対するプロモーターとのpUC複製起点の使用である。LacIの産生はaraC-PBADによ り支配される。アラビノースの存在下では、産生されたLacIはtrcプロモーター の発現を防止し、pSC101レプリコンにより決定される低い(6〜8コピー/染色体 )プラスミドコピー数を生じる。37℃を超える温度でのこの株の増殖の間、温度 感受性CI857リプレッサーは、染色体上のC2の発現を停止させ得ず、次いでC2は 、プラスミドに保持されたlys13 lys19致死遺伝子の発現を防止する。アラビノ ースを欠く環境中へこの株を導入すると、LacIリプレッサーはもはや作成されず 、そしてPtrc駆動pUCレプリコンが優勢となり、プラスミドコピー数が300コピー /染色体を超えるまでに上昇し、C2リプレッサーレベルをはるかに越え、従って 溶菌遺伝子が過剰発現する。 図9は、アラビノース調節される、環境により制限される生存能システムの図 である。染色体ベースのアラビノース調節システムは、染色体またはプラスミド のいずれかにコードされる溶菌遺伝子の抑制を担うC2リプレッサーを産生する。 アラビノース存在下でのこの株の増殖は、制限された量のC2リプレッサーを産生 し、これは、所定の株に存在するリプレッサー標的の数に依存する時間、溶菌遺 伝子の発現を防止する。染色体ベースの溶菌遺伝子は、この株を、プラスミドが 有する溶菌システムより長く非許容環境内に存続させるべきである。 図10は、アラビノース調節される、環境により制限される生存能システムの図 である。プラスミドベースのアラビノース調節システムは、染色体またはプラス ミドのいずれかにコードされる溶菌遺伝子の抑制を担うC2リプレッサーを産生す る。この図は、リプレッサー遺伝子がより高いコピー数のプラスミド上にある場 合、増加した量のC2リプレッサーが産生されることを示す。図9に示されるシス テムと同様に、リプレッサー対標的の比は、溶菌遺伝子の発現前の時間の長さを 決定する。高コピー数リプレッサープラスミドの使用は、非許容環境中でのこの 株の存続を増加させる。 図11は、非許容環境中での必須asd遺伝子を抑制を遅延させるためにレギュレ ーターの逐次連鎖を用いる、アラビノース調節される、死亡遅延型の、環境によ り制限される制限能システムの図である。C2リプレッサーは、アラビノース存在 下で産生され、そしてcI遺伝子の発現を防止する。アラビノースを欠く環境中に この株を導入すると、C2リプレッサーはもはや産生されず、そしてCIリプレッサ ーは染色体から産生され始め、そしてアンチセンスasdNAはプラスミドPRから産 生される。次いで、CIは必須asd遺伝子の発現を防止し、最終的には、細胞のDAP 欠失死を生じる。 図12はベクターpBAD.Asdの図である。このベクターは必須asd遺伝子をaraC-PB AD を用いて直接制御する。 図13は、染色体にコードされたC2リプレッサーを有する、アラビノース調節さ れる、死亡遅延型の、環境により制限される生存能システムの図である。アラビ ノースの存在はC2リプレッサーの産生を生じる。次いで、これは、2つの別のプ ラスミドpMEG-104およびpMEG-209上に示される、溶菌遺伝子の発現を防止する。 pMEG-209はpMEG-104に由来し、そしてCIリプレッサーを欠く株中でのasd遺伝子 の抑制を担う温度感受性CI857リプレッサーを提供する。非許容環境中での細胞 死は、溶菌遺伝子のC2抑制により支配され、そしてMGN-798株中のpMEG-209の場 合にもまた、30℃未満の温度でasd発現を防止する。 図14は、コローニー形成単位および吸光度(ともに、インキュベーション時間 に対して)で表す、アラビノース調節される、死亡遅延型の、環境により制限さ れる生存能システムの図である。0.2%アラビノース存在下に増殖した細胞を、 アラビノースを欠く培地または0.2%アラビノースを含有する培地のいずれかに 移した後の増殖パターンが示される。黒の連続線はアラビノースを用いる増殖を 示し、他方、破線はアラビノースを用いない増殖を表す。四角または丸のいずれ かを有する線は、時間にわたって観察された総コロニー形成単位を示し、四角も 丸も有さない線は、所定時間での培養物の吸光度を示す。アラビノースを用いな い増殖中に回収されたコロニー形成単位および観察された吸光度はともに、非許 容環境中の環境により制限される生存能システムの一時的な生存能を示す。 発明の詳細な説明 生物封じ込めシステムが成功するに必要な2つの主な成分がある。第1の成分 は、それらを含む細菌細胞に必須かまたは潜在的に致命的かのいずれかである産 物をコードする遺伝子からなる。第2の成分は、適切な時間に重要な遺伝子をオ ンまたはオフする調節システムである。生細菌抗原送達システムのための封じ込 めシステムによる提示されるチャレンジは、環境トリガーの認識である。これは 、所定の期間後、または非許容環境中への放出の際に、細胞の死または生存能喪 失をシグナルするが、許容環境中での増殖を防止しない。 開示された、環境により制限される生存能システムは、微生物の生存能を、許 容環境に制限するか、または転移後の制限された時間、非許容環境中制限するた め、特異的調節と必須および/または致死遺伝子を組み合せる。細菌宿主の毒性 を制限するため、環境により制限される生存能システムは、他の変異と組み合わ せられ得る。必須および致死遺伝子産物の両方をコードする封じ込めシステムは 、細胞が所望の調節を維持するか、あるいは必須成分の喪失または致死産物の影 響を受けることを要求する。環境により制限される生存能システムの任意の成分 またはすべての成分は、宿主微生物の染色体上に位置され得るか、または染色体 外エレメント(例えば、プラスミド)上に位置され得る。 環境により制限される生存能システムは、遺伝的に安定な集団として維持され 得る遺伝的に操作された宿主細胞を利用する。ここで、宿主細胞は所望の発現産 物を発現させる。環境により制限される生存能システムに使用される宿主細胞は 、環境により調節される必須遺伝子、致死遺伝子および/または複製遺伝子を含 有する。これらの遺伝子の発現は、必須および複製遺伝子の発現を許容環境中で のみ可能にし、そして致死遺伝子の発現を非許容環境中で可能にするよう調節さ れる。環境により制限される生存能システムにおいて使用される宿主細胞は、特 徴的には、細胞の生存に必須の遺伝子をコードする不活化された天然遺伝子を有 する。この遺伝子(これは、このシステムにおいて、必須遺伝子として作用する) のコピーは、システムのベクター上に置かれ、ベクターの維持についての選択圧 を 提供する。 環境により制限される生存能システムは、そのシステムの遺伝成分の使用につ いて適応した宿主細胞を利用する。宿主細胞を形質転換するに適したベクター( これは、必須および致死遺伝子を含有し、そしてこれに所望のポリペプチドをコ ードする遺伝子が挿入され得る)もまた記載される。開示された、環境により制 限される生存能システムは、工業設備、例えば、発酵器中での増殖による所望の ポリペプチドの生産のための使用に適切である。例えば、危険な毒素の組換え産 生は、環境により制限される生存能システムを用いることにより、逃亡の危険性 を減少させて実施され得る。このシステムを取り込む微生物もまた、生抗原送達 微生物として使用され得る。 環境により制限される生存能システムにおける使用に適切な遺伝調節システム は、温度、浸透圧、pH、酸素アベイラビリティー、および栄養またはイオンの存 在の有無などの環境条件に基づいて、遺伝子発現を調整する遺伝調節システムで ある。これらの調節システムの多くの基本的なモチーフは、調節された遺伝子の 制御配列との相互作用を変化させるトランス調節エレメントにおける、環境に基 づく変化である。このようなシステムは、許容環境および非許容環境を規定する 環境変化に基づいて、環境により制限される生存能システムの遺伝子を調節する ように適合され得る。 本明細書で使用される場合、許容環境とは、環境により制限される生存能シス テムを取り込む微生物が生存可能である環境をいう。このような環境は、特定の 温度、浸透圧、pH、酸素濃度または栄養素のアベイラビリティー等の鍵となる特 性を有し得る。本明細書で使用される場合、非許容環境とは、環境により制限さ れる生存能システムを取り込む微生物が生存不可能であるか、または一時的に生 存可能である環境をいう。本発明で使用される場合、生存不可能な細胞または微 生物とは、増殖し得ない細胞または微生物をいう。生存能は常に、特定の環境お よび環境条件に関して考えられる。従って、細胞は、その細胞が他の環境中で生 存可能であるとしても、特定の環境では生存不可能であり得ると考え得る。本明 細書で使用される場合、一時的生存可能な細胞または微生物とは、非許容環境中 である制限された時間、生存可能のままであり得る細胞または微生物をいう。環 境により制限される生存能システムにおいて、一時的に生存可能な細胞または微 生物は、許容環境中で生じる細胞内条件の一時的な保持により、非許容環境中で 一時的に生存可能である。一時的に生存可能な細胞または微生物が非許容環境中 で生存可能のままである時間は、特定の、環境により制限される生存能システム 、および包含される環境に依存し得、そして他の任意の方法では制限されないこ とが理解される。用語一時的の使用は、生存能を何らかの特定の期間に制限する ことを意図されるのではなく、むしろ一時的とは永久ではないことを意味すると 意図される。従って、一時的生存能は、非許容環境中でのある永久ではない期間 の生存能をいい得る。細胞死は、生存不可能であることの特別な形態であると考 えられることもまた理解される。 A.必須遺伝子 環境により制限される生存能システムは、細胞の生存能を制限し、そしてその システムのベクター成分を維持するための選択圧を提供する必須遺伝子を利用す る。本明細書で使用される場合、必須遺伝子とは、細胞の生存能に必要な遺伝子 をいう。封じ込めは、必須遺伝子が許容環境中では発現されるが、非許容環境中 では発現されないよう、必須遺伝子を調節することにより提供される。 本明細書で使用される場合、「遺伝子」とは、制御配列に作動可能に連結された コード配列を有する核酸配列をいう。「コード配列」とは、RNAまたはタンパク質 をコードする核酸配列をいう。コード配列によりコードされるRNAまたはタンパ ク質は、発現産物と呼ばれる。コード配列は、1つまたはそれ以上の発現産物を コードし得る。「制御配列」とは、これに作動可能に連結されるコード配列の発現 を達成するに必要なそのDNA配列をいう。一般に、このような制御配列には、プ ロモーターおよびリボソーム結合部位が含まれる。用語「制御配列」は、最低限で も、その存在が発現に必要であるすべての成分を含むことを意図され、そしてそ の存在が有利であるさらなる成分、例えば、オペレーター、エンハンサー、およ びポリAシグナルを含み得る。「作動可能に連結された」とは、そのように記載さ れる成分が、それらをその意図される様式で機能させ得る関係にある併置状態を いう。コード配列に作動可能に連結された制御配列とは、コード配列の発現が制 御配列と共存できる条件下で達成される方法で、コード配列と結合される制御配 列をいう。 必須遺伝子は、微生物の染色体外ベクター上または染色体上に位置され得る。 調節された必須遺伝子を染色体上に配置することにより、遺伝子に安定性を提供 し、複数の必須遺伝子を、1つの、環境により制限される生存能システムと、そ のシステムのベクター部分のサイズおよび複雑さを増すことなく組み合わせるこ とを可能にする。しかし、プラスミド維持についての選択を提供するために、少 なくとも1つの必須遺伝子がこのシステムのベクター部分上で発現されることが 好ましい。 必須遺伝子はまた、環境により制限される生存能システムのベクター成分を、 このシステムの微生物中で維持するために使用される。ほとんどのプラスミドが 抗生物質選択の使用により維持され、そして多くの自然環境中では抗生物質の使 用は実行不可能か、または望ましくないので、このことは重要である。組換え宿 主中でのプラスミドの維持は、自然環境中に存在する場合、好ましくは、異なる 選択システムを使用する。好ましい選択法には、均衡致死性宿主ベクターシステ ムが含まれ、ここでは、必須遺伝子がベクター上に保持され、そして染色体遺伝 子は欠失されており、均衡した致死状態が生じる。「致死性」欠失は、コピーベク ターが有する野生型遺伝子の存在により均衡されている。 代謝または増殖に必須の遺伝子.微生物の代謝または増殖に関与する酵素をコ ードする遺伝子のほとんどは、必須遺伝子として使用され得る。必要なのは、遺 伝子が許容環境中でのみ発現されるよう調節されることである。必須遺伝子は宿 主微生物中の遺伝子に由来することが好ましい。多くの細菌では、改変メチラー ゼの発現は、内因性制限エンドヌクレアーゼが宿主染色体を切断するのを防げる ために必要とされる。従って、改変メチラーゼ遺伝子もまた、必須遺伝子として 使用され得る。例えば、DNAリガーゼおよびジャイレースをコードする遺伝子の ような核酸複製に必要な遺伝子は、細胞増殖に必須であり、そして必須遺伝子と して使用され得る。好ましい必須遺伝子は、プリン生合成に関与する遺伝子であ り、purAが特に好ましい。Salmonella毒性に対するpurA変異の使用および効果 は、Sigwartら、Infection and Immunity 57(6):1858-1861(1989)により記載さ れている。 細胞壁または細胞膜完全性に必須の遺伝子.すべての細菌は、形状および剛性 を付与するペプチドグリカンの細胞壁を有する。ペプチドグリカンは、ムラミン 酸−N-アセチルグルコサミンの繰り返しのポリマーからつくられ、そして短いペ プチドによって架橋されている。すべてのグラム陰性細菌およびMycobacterium およびNocardia種の真正細菌において、このペプチドはL-アラニン、D-グルタミ ン酸、メソ-ジアミノピメリン酸(DAP)、およびD-アラニンから構成される。ほと んどのグラム陽性微生物において、DAPは、その脱カルボキシル化産物であるL- リジンにより置き代わっている。 細胞壁成分の生合成を触媒する酵素およびその前駆体は、当該分野において公 知である。例えば、ペプチドグリカンの合成において、酵素は架橋ペプチドの挿 入を触媒する酵素(例えば、D-アラニル-D-アラニンリガーゼ)であり得るか、ま たは炭水化物ポリマーの合成を触媒する酵素であり得る。あるいは、酵素は、前 駆体、例えばジアミノピメリン酸(DAP)の生合成における工程を触媒する酵素で あり得る。このファミリーのアミノ酸の生合成の総説について、Umbarger(1978) を参照のこと。DAPの生合成における工程を触媒する酵素をコードする遺伝子の 例は、多様な生物について、当該分野において公知であり(例えば、Genetic Map (O'Brien編、Cold Spring Harbor Laboratory、1987)を参照)、そして例えば、S .typhimuriumにおけるdapAおよびdapB遺伝子、そして例えば、E.coliにおけるd apA、dapB、dapC、dapD、およびdapE遺伝子が含まれる。DAP合成に必須の別の酵 素は、asd遺伝子によりコードされるβ-アスパルテートセミアルデヒドデヒドロ ゲナーゼ(Asd)である。 非調節均衡致死システムにおけるasdの使用は、Nakayamaら、Bio/Technology 6:693-697(1988)により記載されている。このシステムは、染色体asd変異を有 するDAPの合成に必要な酵素β-アスパルテートセミアルデヒドデヒドロゲナーゼ をコードする野生型遺伝子を有するプラスミドベクターを、Salmonella株と共に 使用する。DAPは細菌によってのみ合成され、そして免疫された宿主の組織には 存在しないので、組換え無毒SalmonellaからのAsdベクターの喪失は、細菌細胞 の死および溶菌を導く(Nakayamaら、(1988))。開示された、環境により制限され る生存能システムでは、asd均衡致死システムは、必須asd遺伝子の発現を調節す ることにより適応され得る。 従って、好ましい必須遺伝子は、細菌細胞壁の強固な層の必須成分(すなわち 、ジアミノピメリン酸(DAP))の合成に必要な酵素であるβ-アスパルテートセミ アルデヒドデヒドロゲナーゼをコードするasdである。DAPは細菌によってのみ合 成され、そして環境中に分布していない。DAPは、β-アスパルテートセミアルデ ヒドから6つの酵素工程で合成さる。β-アスパルテートセミアルデヒドは、L-ア スパラギン酸から2工程で合成される。最初の工程で、L-アスパラギン酸は、い くつかの(通常、3つ)のβ-アスパルトキナーゼのうちの1つによりリン酸化さ れる。これらのβ-アスパルトキナーゼは、最終産物L-トレオニン、L-メチオニ ンおよびL-リジンによる遺伝子産物の抑制および/またはフィードバック阻害に よって独立して調節されるいくつか(通常、3つ)の別々の遺伝子によりコードさ れる。β-アスパルトホスフェートは、asd遺伝子の産物であるβ-アスパラギン 酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼによって一工程でβ-アスパラギン酸セミア ルデヒドに変換される。asd遺伝子中に点変異を有するかまたはasd遺伝子の欠失 を有する変異体、およびβ-アスパルテートセミアルデヒドをDAPに変換するため の酵素を特定する6つの遺伝子のいずれかに変異を有する変異体は、すべての培 地中でDAPに関する必須要求性を有する。DAP要求変異体がDAPを涸渇される場合 、それらは死滅し、そして溶菌し、その内容物を放出する。 Jagusztyn-Krynickaら(1982)、およびCurtissら(1982)によって記載されるよ うに、Streptococcus mutans PS 14(UAB6)由来のβ-アスパルテートセミアルデ ヒドデヒドロゲナーゼのための遺伝子がクローニングされ、そしてE.coliのasd 変異体において発現された。続いてS.mutans asd遺伝子は、CardineauおよびCu rtiss(1987)によって配列決定された。 グラム陽性細菌およびグラム陰性細菌の両方において、ペプチド架橋繰り返し ムラミン酸-N-アセチルグルコサミンポリマーは、D-アラニンを含有する。D-ア ラニンは、L-アラニンから、dal遺伝子(B.subtilis)の産物であるアラニンラセ マーゼにより合成され、そして次いでddl遺伝子の産物である酵素D-アラニル-D- アラニンリガーゼにより、D-アラニル-D-アラニンジペプチドに変換される。D- アラニンは、1つのムラミン酸-N-アセチルグルコサミンポリマーに付着されたL -アラニル-D-グルタミルDAPまたはL-アラニル-D-グルタミル-L-リジントリペプ チドと結合され、ペンタペプチドを形成する。次いで、末端D-アラニンは、隣り のムラミン酸-N-アセチルグルコサミンポリマーへの酵素的架橋反応中に切断さ れる。D-アラニン合成能またはD-アラニル-D-アラニン合成能を欠くBacillus su btilisの変異体は、D-アラニンまたはそのジペプチド欠乏培地中で溶菌する。ア ラニンラセマーゼを欠くB.subtilisのdal変異体が単離された(Ferrariら。Bio/T echnology 3:1003-1007(1985);Dulら、(1973))。D-アラニル-D-アラニンリガ ーゼを欠くddl変異体が、E.coli(Wijsman(1972)、Miyakawaら(1972)、Lugtenbe rgら(1973))およびB.subtilisにおいて単離された。asdおよびdap変異の場合と 同様に、dalおよび/またはddl変異の細菌株中への含有は、その生物の生存能を 制限する。なぜなら、このような変異体株は、注意深く制御された実験室環境以 外の環境中では生存不可能であるからである。 リピドポリサッカライド(LPS)は、多くの細菌の表面上で重要な構造である(Ra etz、Escherichia coli and Salmonella typhimurium Cellular and Molecular Biology、Vol.I(ASM Press、Washington,D.C.、Neidhartら編、1996)1035-105 7頁)。LPSが正しく形成されない場合、細胞の生存能は大きく減少し得る。従っ て、LPSの合成に関与する遺伝子は、必須遺伝子として使用され得る。このタイ プの遺伝子の好ましいセットは、lpx遺伝子(またfirA、ssc、およびomsAとして いろいろな名前で知られる;VuorioおよびVaara、J.Bacteriol.174(22):7090 -7097(1992)、Helanderら、Eur.J.Biochem.204:1101-1106(1992)、Hirvasら 、EMBO J.10(4):1017-1023(1991))であり、これはLPSのリピドA部分の合成に 関与する。これらの遺伝子は、酵素UDP-3-O-(R-3-ヒドロキシミリストイル)-グ ルコサミン-N-アシルトランスフェラーゼをコードする。 リポポリサッカライドのO-抗原および外核もまた、株の生存能をより少なくす るために変化され得る。このような細胞は、自然界において、野生型レベルのLP Sを有する滑らかなSalmonellaより生存しにくいようである。2つの遺伝子galE またはpmiのいずれの変異も、この表現型をSalmonellaに付与する潜在能を有す る。この効果は、例えば、宿主細胞中に存在するpmiおよび/またはgalE遺伝子を 変異させることによって、環境により制限される生存能システムにおいて使用さ れ得る。pmiおよび/またはgalE遺伝子はまた、調節されたプロモーターに作動可 能に連結され得、そして染色体上または低コピー数プラスミド中にELVSの一部と して配置させ得る。このことは、非許容環境中である世代数の増殖の間は「正常」 であるLPSの合成を生じる。最終的には、この株は粗くなり、非特異的宿主防禦 機構による殺菌に対し増強された感受性を示す。 galE遺伝子は、UDPガラクトースをUDP-グルコースと相互変換するUDP-ガラク トースエピメラーゼをコードし、そしてグルコース上で増殖した細胞がSalmonel laにおけるLPSコアおよびO-抗原側鎖の両方の前駆体であるUDP-ガラクトースを 生産することを可能にする。ガラクトース非存在下で、galE遺伝子に変異を有す る株は、UDP-ガラクトースを合成し得ず、従って、これらはLPSを合成し得ず、 そして粗く全体的に無毒性(GermanierおよびFurer(1971))で、腸管を裏打ちする ムシンおよび糖衣を通って侵入し得ず、そして非特異性宿主防禦機構に対し極端 に感受性である。galE変異体のみが、外因性ガラクトースを供給された場合、UD P-ガラクトースを生産する。哺乳動物細胞において、ほとんどのガラクトースは 改変された形態であるようにみえる(例えば、リン酸化)。従って、動物において 、ガラクトースの不足のため、galE変異体は、正常なLPSを生産しないことが予 想される。 pmi遺伝子は、フルクトース-6-リン酸をマンノース-6-リン酸と相互変換する ホスホマンノースイソメラーゼをコードする。マンノース存在下でのpmi変異体 の増殖は、Salmonella O-抗原側鎖の正常な合成を可能にするが、マンノースを 欠く任意の培地における培養によると、O-抗原側鎖はないがコアポリサッカライ ドは正常である。さらに、pmi変異体中の残りのコアは、すべての腸内菌のそれ らと非常に類似している。従って、コアのこの成分に対する抗体応答は、多様な Salmonella血清型および他の腸内菌(すなわち、腸内細菌科のメンバー)による感 染に対してより交差防禦的な免疫応答を誘導し得る。 すべての微生物は、細胞質含有物を保持する細胞膜を有する。増殖の間、増殖 中の細胞上の膜の増加する表面積の完全性を維持するため、新しい膜成分が合成 されなければならない。細胞膜成分の代謝に関与する重要遺伝子は、必須遺伝子 として使用され得る。これらの遺伝子には、脂肪酸生合成(fab)、脂肪酸分解(fa d)、リン脂質合成(pls)、およびホスホリパーゼに関与する遺伝子が含まれる。 B.致死遺伝子 調節された致死遺伝子は、非許容環境に逃亡する宿主細胞、宿主中でのある制 限された増殖後の宿主細胞を能動的に殺すために、環境により制限される生存能 システムにおいて使用される。本明細書で使用される場合、致死遺伝子とは、そ れが発現される場合、宿主微生物に対して致死的である遺伝子をいう。許容環境 中では抑制されるが、非許容環境中では発現される、調節された致死遺伝子は、 環境により制限される生存能システムについての積極的な封じ込め機構として作 用する。致死遺伝子の遺伝子産物の直接作用により、細胞死を引き起こす他の遺 伝子の発現を調節することにより間接的に、または直接作用および間接作用の両 方により、致死遺伝子は、細胞死を引き起こし得ることが意図される。細胞死を 引き起こすことに複数の遺伝子が関与する場合、このカスケード中のすべての遺 伝子は、致死遺伝子であると考えられ得る。このような場合、発現カスケード中 の最初の遺伝子は、一次致死遺伝子と呼ばれる。他に断らない限り、用語致死遺 伝子は、一次致死遺伝子のみをいう。一次致死遺伝子のみが、致死遺伝子のカス ケード中で、非許容環境中での発現について調節されることが好ましい。 環境により制限される生存能システムにおいて有用な致死遺伝子には、過剰に 産生される場合、細胞膜に穴を形成するgef遺伝子ファミリーの細胞殺傷遺伝子 産物が含まれる。これらの宿主殺傷遺伝子のいくつか(例えば、hok)は、プラス ミド由来であり、そしてプラスミドのない細胞は生存しないことを保障する(Ger desら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:3116-3120(1986))。他のもの(例えば 、gefおよびrelF)は、不明確な機能を有する染色体起源のものである(Poulsenら 、Mol.Microbiol.5:1639-1648(1991)、Gerdesら、EMBO J.5:2023-2029(198 6)、Gerdesら、New Biol.2:946-956(1990))。致死遺伝子として有用な他の細 菌宿主殺傷遺伝子産物には、ヌクレアーゼ(Molinら、Annu.Rev.Microbiol.47 :13 9-166(1983))、ホスホリパーゼ(Givskovら、J.Bacteriol.170:5855-5862(198 8))、プラスミド維持遺伝子(Figurskiら、(1982))、およびcolE3のようなコリシ ン遺伝子(Munthaliら、App.Environ.Microbiol.62(5):1805-1807(1996))が 含まれる。有用なヌクレアーゼ遺伝子はpvuRである(TaoおよびBlumenthal、J.B acteriol.174(10):3395-3398(1992))。バクテリオファージλ(Bienkowska-Sze wczykら、Mol.Gen.Genet.184:111-114(1981)、ReaderおよびSiminovitch、V irology 43:623-637(1971))およびP22(Rennelおよびhteete、Virology 143:28 0-289(1985))の有用なエンドリシンおよびホリンも利用可能である。これらの発 現は、細菌の内膜に損傷を形成し、続いて細胞膜を崩壊させ、そして細胞質内容 物を放出する(Young、Microbiol.Rev.56:430-481(1992))。好ましい致死遺伝 子は、バクテリオファージP22溶菌遺伝子13および19の組み合せであり、これら は、それぞれ、ポリンおよびリゾチームとコードする。これらの2つのタンパク 質の共同作用は、細胞膜に穴を開け、そして細菌細胞壁を崩壊させる。 tRNAをコードする遺伝子(サプレッサーtRNAを含む)、またはアクセプター活性 を有するが、変異体タンパク質の合成を引き起こす誤ったコドンであるtRNAもま た、致死遺伝子として使用され得る。DNAまたはmRNAに対して活性なヌクレアー ゼもまた、過剰発現する場合、致死的であり得る。 致死遺伝子は、宿主微生物の染色体上または染色体外エレメント上に位置され 得る。ベクター上に致死遺伝子を位置させることの1つの利点は、その間に不活 化変異を生じる増殖の量を制限することである。死亡遅延型を包含しない、環境 により制限される生存能システムのためには、致死遺伝子は染色体が発現するネ ガティブトランス調節エレメントにより調節される染色体外ベクター上におかれ ることが望ましい。この配置により、万一、プラスミドが別の微生物に移入され ても、致死遺伝子が構成的に発現し、そしてそのレシピエント細胞の死亡を導く 。従って、環境により制限される生存能システムは、環境内での組換え株の生存 および拡散、ならびに細菌の天然集団内での組換えプラスミドの伝達の両方を防 止する。死亡遅延型の、環境により制限される生存能システム中のこれらエレメ ントの好ましい配置については以下で議論する。 ファージ溶解によって引き起こされる細胞死 致死遺伝子の特別な形態は、プロファージ切除を担う遺伝子である。環境によ り制限される生存能システムでは、ファージの正常な切除と溶解機構を利用する カスケードにおいてこのような遺伝子を1次致死遺伝子として使用し得る。正し く制御された切除遺伝子を有する修飾プロファージの使用は、内部からの溶菌に よりSalmonellaのインビボの死をもたらす。細胞の爆発的な死をもたらすこの形 態の環境により制限される生存能システムは、Alienシステムと呼ばれる。その 概念は、プロファージを染色体から切除し細胞を溶解するための正常な機能を特 定するが、成熟した感染性ファージ粒子形成能を持たないプロファージを染色体 内に含有することである。このシステムでは、プロファージ切除のためのファー ジタンパク質をコードする致死遺伝子が発現されると、プロファージが切除され 、そして細菌宿主細胞の溶解が続いて起きるが、感染性ウイルス粒子は産生され ない。このシステムでは、プロファージの溶解機構が細胞死の作用因子であるが 、プロファージの切除は調節された事象である。プロファージ切除の調節は、好 ましくはプロファージ切除の天然のリプレッサーにより達成される。従って、許 容環境中でリプレッサー遺伝子が発現し、そして非許容環境中では発現を防止す ることにより、プロファージの切除(従って細胞溶解)は非許容環境中に限定され る。このようなシステムにより、プロファージ切除の前にいくらか増殖させ、死 亡遅延型の、環境により制限される生存能システムを利用して溶解することがで きる。 Alienシステムにおけるプロファージ切除遺伝子(1次致死遺伝子)調節の好まし い形態は、これらの遺伝子を調節するリプレッサーが徐々に失われることである 。これは細胞株の増殖中(例えば発酵槽内で)に、1次致死遺伝子を調節するリプ レッサーをコードする遺伝子に対するインデューサーを供給することによって達 成され得る。細胞を宿主に投与した場合のように、インデューサーがもはや提供 されない場合、インデューサーの濃度は徐々に低下し、そしてリプレッサーはも はや産生されない。次いで、リプレッサーの濃度も徐々に低下し得る。最終的な 結果はプロファージ切除遺伝子抑制の喪失であり、そのためプロファージは切除 され、そして溶菌が起こる。例えば、araC-PBADシステムの制御下にSalmonella 株はP22 c2遺伝子を保有し得る(以下に記載する)。このエレメントは、有毒プラ スミ ド中に挿入されるか、染色体内に導入された中程度から高コピー数のプラスミド 上に存在し得る。株の増殖中にアラビノースを提供することにより、Salmonella はアラビノースを取り込み、P22 C2リプレッサーが産生され、そしてプロファー ジは染色体中に安定に組み込まれたままである。一旦株が、アラビノースが存在 しそうにない宿主中に置かれると、PBAD制御c2遺伝子の発現が終わり、そのため 増殖および細胞分裂の結果生じる分解または希釈のいずれかのためにc2遺伝子産 物の濃度が減少する。ある時点では、c2遺伝子産物のレベルは切除、複製および 細胞溶解をもたらすファージ遺伝子の転写を抑制するに不十分である。 上記システムはaraC-PBADをP22 c2遺伝子に作動可能に連結し、例えば染色体 またはSalmonella有毒プラスミドまたは多重コピープラスミドレプリコン中に挿 入し得るカートリッジを生じさせることにより、構築され得る。一度このような Salmonella株が構築されると、その株はP22 c2変異体またはc1 c2二重変異体で 感染され、溶原化株を作製し得る。許容環境から非許容環境への転移の遅延効果 は、非許容環境中(この場合はアラビノースの非存在下)での増殖中のコロニー形 成単位の喪失をモニターすることにより容易に測定され得る。 C.複製遺伝子 環境により制限される生存能システムの生物的封じ込めは、複製遺伝子の発現 を調節することにより促進され得る。本明細書中で使用する複製遺伝子とは、染 色体外ベクターの複製に必要な遺伝子のことである。正しく調節された複製遺伝 子を用いると、必須遺伝子を含有するベクターを、ベクターの複製および維持に 必要な遺伝子と共に宿主中に入れることにより、細胞の必須遺伝子への依存性を 強化する。好ましい複製遺伝子は、多数のプラスミドレプリコンの複製に必要な 酵素であるDNAポリメラーゼIをコードするpolAである。宿主細胞がDNAポリメラ ーゼIを合成できないことにより、プラスミドベクター複製が停止し、そして子 孫の細胞は必須遺伝子を含有するプラスミドなしで形成され、従って生存可能で ない細胞となる(Kingsburyら、J.Bacteriol.114:1116-1124(1973))。 環境で調節される複製遺伝子は、宿主微生物の染色体上に配置されることが好 ましい。 ランナウェイ複製 環境により制限される生存能システムにおけるプラスミドの複製はまた、ラン ナウェイ複製させるように制御され得る。このようなランナウェイ複製は、非許 容環境における発現遺伝子の最大発現が死の開始前に所望される死亡遅延型の、 環境により制限される生存能システムで特に有用である。 細胞が産生する発現産物の量はプロモーターの強さに加えて遺伝子コピー数に 比例する。環境により制限される生存能システムを用いて最大量のいくつかの発 現産物を特定の環境に送達することが望ましいが、いくつかの発現産物は使用す る微生物にとって有害である。厳密に調節されずに高いコピー数で存在する場合 、致死遺伝子を用いる封じ込めシステムはまた、微生物に対して潜在的に有害な 効果をつくり得る。許容環境中での増殖中、および非許容環境のコロニー化の初 期に、低コピー数を提供し、その後高コピー数レプリコンが活性化された時にコ ピー数が急速に増加する、調節されたプラスミド複製システムを用いることによ り、これらの矛盾した目的を調和させ得る。このシステムは次に、発現産物およ び致死遺伝子の両方の過剰発現に達する。 調節されたプラスミド複製システムを有する環境により制限される生存能シス テムの例を図8に示す。このELVSのコアは2個の異なった複製起点(低コピー数(染 色体あたり6〜8コピー)pSC101レプリコンおよび調節された高コピー数(染色体当 たり300コピーより多く)pUCレプリコン)を含むプラスミドである。pUCレプリコ ンの調節は、複製のプライマーに対するプロモーターを、PtrcのようなLacI調節 プロモーターで置換することによって得られる。trcプロモーターは抑制される が、pUC複製起点は機能せず、そして二重レプリコンプラスミドはpSC101レプリ コンで指示される低コピー数に維持される。LacIリプレッサーを失うと、pUC複 製起点が優先し、そしてプラスミドコピー数は染色体あたり300コピーに増加す る(Yarringtonら、Gene 28:293-300(1984))。ELVSを担う調節機構は、染色体上 に位置する2つの成分(アラビノースの存在下で活性化されるaraC-PBADのような ポジティブ調節プロモーター、およびLacIのような有効なリプレッサー)で構成 される。ランナウェイ複製プラスミドは、目的の発現遺伝子を含有しないばかり でなく(図8には示されない)、温度調節されるλPr(図8に示されるように)、また はaraC-PBADによって発現する染色体に位置するC2リプレッサーによって調節さ れるバクテリオファージP22の溶菌遺伝子であるlys13 lys19のような致死遺伝子 も含有する。30℃より高い温度の許容環境(図8に示されるような)、またはアラ ビノースの存在下で産生されるC2リプレッサーの存在は、プラスミドコピー数は 低いまま致死遺伝子の発現を防止する。しかしながら、アラビノースのない環境 (図8に示されるように)のような非許容環境に遭遇すると、プラスミドコピー数 はC2リプレッサーのレベル以上に増加し、そして溶菌遺伝子が発現される。LacI リプレッサーを失うことはまた、目的の遺伝子を発現させ、プラスミドコピー数 の増加に伴って産物のレベルが増加し、ついには溶菌タンパク質が産生されるた め細胞死が始まる。図8に示された必須asd遺伝子は温度感受性CI857リプレッサ ーによって調節され、そして37℃を超える温度で低および高コピー数でオンとな るが、30℃より低い温度では抑制される。次いで、CI857リプレッサーが高温でC 2リプレッサーの発現を遮断することができないことは、発酵槽内で37℃以上の 温度で増殖中、およびプラスミドコピー数が低い間の宿主中での致死溶菌遺伝子 の発現を防止する。LacIqリプレッサーの発現はaraC-PBADで駆動され、次いで、 LacIqリプレッサーはPtrcがpUCの複製プライマーを駆動することを防止するよう 要求されるので、アラビノースの存在下ではコピー数は低く保たれる。LacIqリ プレッサーはまた、Ptrcから下流のMCS中にクローン化された発現遺伝子の発現 を抑制する。細胞をアラビノースを含まない環境中に移すと、LacIq産生が停止 し、そして細胞の増殖が続くと細胞中で利用できるLacIqリプレッサー濃度が次 第に減り、pUCの複製プライマーを発現させ、そして外来抗原をコードする配列 を転写させる。 アラビノースを含まない環境中で細胞増殖が続くことにより、一度LacIqリプ レッサーレベルがPtrcから発現されるレベルに減少すると、プラスミドコピー数 が急速に増加する結果となる。プラスミドのコピー数が増加すると、次に発現産 物が高レベルで発現すると同時に、プラスミドコピー数が染色体でコードされる C2リプレッサーにより産生されるC2リプレッサーレベルを超えると、溶菌遺伝子 産物レベルが増加する。 ランナウェイ複製は、必須または致死遺伝子とともに使用するために記載され る制御システムを用い、pUC複製起点のプライマーの発現を調節することによっ て、達成され得る。複製プライマーの起点は、非許容環境でのみ発現するように 調節されることが好ましい。また、ランナウェイ複製が死亡遅延型の、環境によ り制限される生存能システムの一部として、またはそれと組み合せて用いられる ことが好ましい。これにより、発現産物の産生を最大にし、そしてランナウェイ 複製プラスミド上にある致死遺伝子の有効性を増加させるために用いることがで きる。 D.調節エレメント 上記3種の遺伝子(必須、致死、および複製)は、許容環境中での生存能ならび に非許容環境中での死および溶菌を保証する調節システムを必要とする。調節は 、環境により制限される生存能システムの必須、致死、および複製遺伝子に直接 連結されるか、または環境により制限される生存能システムの遺伝子の発現を調 整するトランス調節エレメントをコードするコード配列に連結された制御配列を 用いて協調され、かつ維持される。発現のスイッチは、トランス調節エレメント における環境に基づく変化によって仲介される。一般に、環境により制限される 生存能システムの遺伝子は、1)コード配列を、許容および非許容環境中で転写を 促進または防止する制御配列と連結する、2)後に環境により制限される生存能シ ステムの遺伝子の転写を促進または防止するトランス調節エレメントの発現を調 節する、3)環境により制限される生存能システムの遺伝子に作用するトランス調 節エレメントを、許容または非許容環境のいずれかで活性または不活性となるよ うに適合または変化させるか、またはこれらの図式の組み合せを用いることによ って調節され得る。環境により制限される生存能システムには、システムの異な ったエレメントの発現を協調させるために様々なプロモーターを使用することが 必要である。温度感受性リプレッサーまたは環境特異性調節エレメントのような いくつかのエレメントは、構成的プロモーターを使用する。環境により制限され る生存能システムにおける調節エレメントとして使用するために好ましいプロモ ーターは、cspA遺伝子プロモーター、phoA遺伝子プロモーター、PBAD(araC-PBAD システム中)、trpプロモーター、tacプロモーター、trcプロモーター、λPL、P2 2 P R 、およびlacプロモーターである。これらのプロモーターは、低温、低リン酸塩 レベル、アラビノースの存在下、低トリプトファンレベル、およびラクトース( または他のlacインデューサー)の存在下でそれぞれ転写を仲介する。これらのプ ロモーターのそれぞれ、およびその調節システムは周知である。 1.トランス調節エレメント 本明細書中で使用するトランス調節エレメントとは、遺伝子の発現を調整する 分子または複合体のことである。その例には、制御配列中のオペレーターに結合 するリプレッサー、転写開始を引き起こすアクチベーター、およびmRNAに結合し 、その翻訳を防止するアンチセンスRNAがある。環境により制限される生存能シ ステムで使用するためには、調節されたプロモーターからの発現がプロモーター 調節タンパク質によって調整される。これらのプロモーター調節タンパク質は、 プロモーターからの転写を活性化または抑制するように機能し得る。好ましいト ランス調節エレメントは、cspA遺伝子プロモーター、phoA遺伝子プロモーター、 PBAD(araC-PBADシステム中の)、trpプロモーター、tacプロモーター、trcプロモ ーター、およびlacプロモーターの調節を仲介するタンパク質である。 別のタイプのトランス調節エレメントはRNAポリメラーゼである。環境により 制限される生存能システムの遺伝子は、特異的RNAポリメラーゼのみにより認識 されるプロモーターにそれらを連結することによって調節され得る。特異的RNA ポリメラーゼの発現を調節することにより、遺伝子の発現もまた調節される。例 えば、T7 RNAポリメラーゼは、細菌RNAポリメラーゼで認識されない特異的プロ モーター配列を必要とする。T7 RNAポリメラーゼ遺伝子は、宿主細胞中に配置さ れ、許容または非許容環境中でのみ発現するように調節され得る。T7 RNAポリメ ラーゼの発現は次に、T7 RNAポリメラーゼプロモーターに連結された任意の遺伝 子を発現する。この調節に有用な核酸配列の記載を含む、目的の遺伝子の発現を 調節するためにT7 RNAポリメラーゼをどのように使用するかについての記載は、 Studierら、Methods.Enzymol.185:60-89(1990)に見られる。 別のタイプのトランス調節エレメントはアンチセンスRNAである。アンチセン スRNAは調節されるべき遺伝子の核酸配列に相補的である。アンチセンスRNAと標 的配列との間のハイブリダイゼーションは、遺伝子の発現を防止する。典型的に は遺伝子のmRNAに相補的なアンチセンスRNAが使用される。環境により制限され る生存能システムの遺伝子の発現は、アンチセンスRNAの発現を制御することに より調節される。アンチセンスRNAの発現は、次いで、目的の遺伝子の発現を防 止する。目的の遺伝子の発現を調節するためにアンチセンスRNAをどのように使 用するかについての完全な記載は、米国特許第5,190,931号に見られる。 リプレッサーまたはアンチセンスRNAのようなトランス調節エレメントは、染 色体またはプラスミドいずれかから発現され得る。しかしながらシステムのプラ スミド部分のサイズと複雑さを制限するため、これらの調節エレメントが細菌染 色体から発現されることが好ましい。 2.温度感受性調節 ヒトおよび温血動物中での増殖を意図する微生物ための調節の好ましいタイプ は、温度調節である。これは、哺乳動物および鳥類に存在する高く一定の体温と 、微生物が放出される環境温度に存在する低く可変の温度との対比に基づいてい る。これを達成するため、好ましい環境により制限される生存能システムは、約 37℃での生存を保証する遺伝子を発現し、そして約37℃で死滅または溶解を引き 起こす遺伝子の発現を防止する。環境により制限される生存能システムを動物に 投与することを意図する場合、いかなる温度に基づく調節も標的動物の通常の体 温を考慮するべきである。例えば、ニワトリは、41.5℃の体温を有し、そしてブ タは、40℃付近の体温を有する。システムは、約30℃以下で生存のために必要な 遺伝子は発現を停止し、そして活発に細胞死および溶解をもたらす遺伝子は高レ ベルで発現されるように、設計され得る。これは、温度によって調節されるプロ モーターおよび調節エレメントを用いること、または温度依存性の様式で機能す る他の調節システムを適応させることによって達成され得る。 環境により制限される生存能システムでの使用に適した温度調節遺伝子発現は 、Neidhardtら、Annu.Rev.Genet.18:295-329(1984)に記載されている。高温 で良好に発現される十分に定義されたヒートショック遺伝子がある(Neidhardtら 、(1984))。これらの遺伝子の発現は温度で調節されるが、しばしば限定された 温度で低い基礎レベルの発現が見られる(Jonesら、J.Bacteriol.169:2092-20 95 (1987))。より厳密な制御を示す温度調節プロモーターは以下に記載される(Tobe ら、Mol.Micro.5:887-893(1991)、Hromockyiら、Mol.Micro.6:2113-2124( 1991)、Qoronflehら、J.Bacteriol.174:7902-7909(1992))。 必須遺伝子としては、同じプラスミド上、別のプラスミド上、または染色体上 のどこかにS.Flexneri virF遺伝子およびプロモーターを有するS.flexneri vi rBプロモーターが使用され得る(Hromockyiら(1992)、Tobeら、(1991))。温度調 節ポジティブアクチベーターvirF(Lambert de Rouvroitら、Molec.Microbiol. 6:395-409(1992))のための構造遺伝子を含む温度調節のためのYersinaの2成分 システムもまた、ymoAでコードされたヒストン様YmoAタンパク質の修飾を伴って 、または修飾を伴わずに(Corneli、「細菌感染の分子生物学」、Cambridge Univer sity Press,Cambridge、1992)、yopHまたはyadR遺伝子と組み合せて使用され得 る。Shigela virF遺伝子は、Y.pestis中のIcrFと同等である(Hoeら、J.Bacter iol.174:4275-4286(1992))。他の多くのリプレッサー − プロモーターの組み 合せを、リプレッサーの温度感受性形態を用いることにより、温度特異的な様式 で必須遺伝子を発現するために適応し得る。温度感受性変異リプレッサーを得る 方法は十分に確立されている。 温度調節システムの封じ込め能を、低温で最適に機能し、そして37℃で最低の 活性を有するプロモーターを使用することによりさらに増大し得、そのため低温 で致死遺伝子、または必須遺伝子のリプレッサーの発現を調節するように、これ らのプロモーターを操作し得る。これらのプロモーターを利用することにより、 致死遺伝子の交互の制御、および低温での必須または複製遺伝子の低レベル発現 による任意の残存活性を除去するさらなる手段が提供される。 低温特異性発現も、遺伝子を低温ショックプロモーターまたは低温感受性プロ モーターとカップリングすることにより、達成され得る。低温ショックプロモー ターは既知の低温ショック遺伝子から得られ得る。プロモーターを有する低温シ ョック遺伝子はJonesら(1987)に記載されている。有用な低温ショックプロモー ターの例は、cspA由来のプロモーターである(VasinaおよびBaneyx,Appl.Envir on.Micro.62:1444-1447(1996))。温度特異性発現を有するプロモーターは、 プロモータープローブベクターにより同定され得る。このようなベクターは、必 ずしも必要でなく、容易に選択されるか、または例えば色素基質を用いて同定さ れ得る遺伝子からの隣接DNAを有する。必須遺伝子の発現に有用な他の低温特異 性プロモーターを、S.typhimurium lacZ融合ライブラリー中のβ-ガラクトシダ ーゼの発現の低温感受性欠損についてスクリーニングを行うことにより同定し得 る(Tanabeら、J. Bacteriol.174:3867-3873(1992))。 より複雑でない好ましいシステムは、バクテリオファージλプロモーターλPL およびλPRと、CI857温度感受性リプレッサーとの相互作用を含む。このシステ ムは、例えばLieb、J.Mol.Biol.16:149-163(1966)に記載されている。その 変異温度感受性リプレッサーCI857を有するλファージプロモータλPLおよびλPR は、制御された毒性遺伝子の発現を提供するために発現ベクターで使用される 、厳密に調節されたシステムを提供する(O'ConnorおよびTimmis、J.Bacteriol .169:4457-4462(1987))。cI857遺伝子産物は、37℃で合成されるが不活性であ り、そして30℃以下では合成されるが、その転写がλPLまたはλPRで制御される 遺伝子の発現を能動的に抑制する。 このような温度調節された、環境により制限される生存能システムは、以下の ように作動し得る。バクテリオファージλ左プロモーター(λPL)に作動可能に連 結された必須S.typhimurium asd遺伝子、およびバクテリオファージP22右プロ モーター(P22PR)に作動可能に連結されたバクテリオファージP22の致死溶菌遺伝 子lys13およびlys19を含む発現ベクターは、バクテリオファージλ右プロモータ ー(λPR)に作動可能に連結された、バクテリオファージP22 c2リプレツサー遺伝 子の挿入を含むS.typhimurium asd遺伝子の規定された欠失を有する細菌細胞中 に入れられる。挿入されたカートリッジはまた、λPRおよびλPLの温度依存性調 節を担う、温度感受性バクテリオファージλリプレッサー遺伝子cI857を含む。 λプロモーターをこのように使用することにより、約30℃を超える温度、特に約 37℃でプロモーターに融合した遺伝子でコードされた遺伝子産物が発現されるが 、約30℃以下の温度でCI857リプレッサーにより次第に発現は抑制される。これ は、必須asd遺伝子およびバクテリオファージP22 C2リプレッサーの双方が、約3 0℃より高い温度、特に約37℃で発現する結果となる。バクテリオファージP22 C 2リプレッサーはまた、約30℃を超える温度、特に約37℃で致死溶菌遺伝子の発 現を 防止する。これと逆のことが約30℃以下の温度で生じるが、それはasd遺伝子が ほとんど、または全く発現せず、脱抑制のためにP22溶菌遺伝子が効率的に発現 する。その双方は、細胞が約30℃以下の温度、特に約25℃で増殖しようとする場 合、細胞溶解および死滅をもたらす。 この環境により制限される生存能システムは、温度調節された染色体polA遺伝 子を導入することにより強化され得る。その遺伝子は、約30℃を超える温度、特 に約37℃で発現するが、約30℃以下の温度、特に約25℃では発現しない。asd遺 伝子を含む発現ベクターは複製のためにpolA遺伝子の発現を必要とするので、as d遺伝子を含む発現ベクターは約30℃以下の温度では複製不可能であり、従って ベクターの喪失および細胞死に至る。 環境により制限される生存能システムの制御配列由来の漏出性発現は、それが 起こった場合、いくつかの方法で排除され得る。cI857遺伝子をPtrcのような強 い構成的プロモーターの制御下に置くことにより、産生されたCIリプレッサーの レベルは増加し得、従って熱感受性リプレッサーが過剰に提供される。さらにCI リプレッサーの結合部位のより多くを、λPRのオペレーター領域内に導入し、非 許容温度での転写開始を減少させ得るか、またはプロモーターエレメントの下流 領域に操作して、より低温での転写を妨害し得る。その上、調節された遺伝子に 対するアンチセンスRNAは、λPRと反対方向に向いた、異なって調節されたプロ モーターから転写され得る。 3.アラビノース調節 微生物を許容環境から非許容環境に移した場合、発現の切り替えを誘発するた めの好ましい調節システムはaraC-PBADシステムである。araC-PBADシステムは、 低レベルのアラビノースの添加により誘導される強いプロモーターとして作用す ることが示された、厳密に調節された発現システムである(Guzmanら、J.Bacter iol.177(14):4121-4130(1995)を参照のこと)。araC-araBADプロモーターは、a raBAD遺伝子の発現を一方向に、そしてaraC遺伝子の発現を他方向に制御する双 方向性プロモーターである。便宜上、araBAD遺伝子の発現を仲介し、そしてaraC 遺伝子産物で制御されるaraC-araBADプロモーターの部分を本明細書中でPBADと 呼ぶ。本明細書中に記載のベクターおよびシステムで使用するため、araC遺伝子 および araC-araBADプロモーターを有するカセットを使用するべきである。このカセッ トを本明細書中ではaraC-PBADと呼ぶ。AraCタンパク質は、PBADのポジティブお よびネガティブレギュレーターである。アラビノース存在下では、AraCタンパク 質はPBADを発現させるポジティブ調節エレメントである。アラビノース非存在下 では、AraCタンパク質はPBADの発現を抑制する。これはPBADからの発現のレベ ルに1,200倍の差をもたらし得る。 アラビノースによる調節は、死亡遅延型の、環境により制限される生存能シス テムにとって特に有用である。これは、一度アラビノースがもはや供給されない と、AraCタンパク質がリプレッサーとして作用し始め得るに十分にアラビノース 濃度が減少するには、時間がかかるからである。一時的生存能の時間を延長する ためには、アラビノースで調節された、環境により制限される生存能システムと 共に使用する株がaraC-araBADオペロン欠失を含有することが好ましい。このよ うな欠失はアラビノースの代謝を防止し、より高い細胞間のアラビノースレベル をもたらす。この結果、AraCタンパク質がリプレッサーとして作用し始め得るに 十分にアラビノースレベルが低下するには、より長い時間を要することになる。 遊離のアラビノースは一般的に、自然界に利用可能でないので、アラビノースに よる調節はまた有用である。例えば、アラビノースは鳥類の組織にない。この結 果、唯一の許容環境は、発酵槽のような注意深く制御された人工環境である、環 境により制限される生存能システムとなる。 環境により制限される生存能システムにおいて、アラビノース調節は他の調節 エレメントと共に使用するのが最も有用である。以下に記載の実施例では、さら なる調節エレメントは、バクテリオファージP22、λ、またはE.coliのLacIqリ プレッサーのような他の細菌調節システムのいずれか由来である。用いられる致 死遺伝子は、バクテリオファージ溶菌遺伝子、細菌ヌクレアーゼ遺伝子、または コリシン遺伝子のいずれか由来であり、一方、このシステムによって調節され得 る必須遺伝子には、asd、purA、およびlpx遺伝子が含まれる。次いで、これらの 成分の一つ以上を含有することは結果的に、低レベルのアラビノースが供給され る発酵槽中で良く増殖し得、所望の宿主をコロニー化し得、限られた時間、発現 産物を産生し、次いで致死遺伝子の発現、必須遺伝子発現の欠如、またはその双 方のために死滅し始める微生物となる。これらのシステムを含有する株は、次い でアラビノース欠如の環境で増殖できず、従って環境中での拡散が防止される。 他の例では、アラビノース調節を用いて、環境により制限される生存能システム において複製遺伝子の発現を制御し得る。従って、例えば、polAはaraC-PBADと 作動可能に連結され得る。 図9および図13は共に、アラビノースを含む許容環境でaraC-PBADがC2リプレッ サーの発現を駆動する溶菌に基づくシステムを示す。C2リプレッサーは、多コピ ー数プラスミド上または染色体のどこかに存在するP22 PRで駆動されるP22溶菌 遺伝子の発現を防止する必要がある。次いで、アラビノース欠如環境中にその株 を導入すると、溶菌産物が細胞を殺すまで、存在するC2リプレッサーが希釈され る結果となる。図10は、アラビノースで調節されたc2リプレッサー遺伝子が多コ ピー数プラスミド上に置かれた、同様の溶菌に基づくシステムを示す。これは、 図9のものと同様に機能するはずであるが、多コピー数プラスミドによって提供 されるC2リプレッサーのより高いレベルにより、宿主内で生存時間が増加するは ずである。 図11は、間接的にアラビノースで調節される必須asd遺伝子を示す。この例に おけるアラビノースプロモーターは、次いでλCIリプレッサーの産生を遮断し、 P22 PRからのasdアンチセンスRNAの発現を防止するC2リプレッサーの発現を駆動 し、従って発酵槽内でasd遺伝子を発現させる。株がアラビノース欠如環境に入 ると、C2リプレッサーはもはや産生されず、C2リプレッサーが希釈されるので、 プラスミド上のasdに対するアンチセンスRNAが発現し、そしてλCIリプレッサー が産生する。CIリプレッサーがAsd産生を停止するに十分な高い濃度に達すると 、細胞はアスパルテートセミアルデヒドデヒドロゲナーゼの細胞間プール、続い てそのDAPプールを希釈し始め、その結果最終的に細胞のDAP欠乏死をもたらす。 pMEG-236上のP22 PRがもはや抑制されないないので、さらにC2リプレッサーの喪 失によりアンチセンスasdRNAが産生する。図12は、asd遺伝子がアラビノースプ ロモーターによって直接調節される、図11と同様のシステムを示す。このシステ ムは、図11のシステムと同様、アラビノース含有環境中で株を増殖させるが、非 許容環境中でのDAP欠乏死の開始が図11で示されるシステム中より速やかに生じ る。 腸内細菌は、E.coli由来のaraC araBADシステムと相同のアラビノース調節シ ステムを有する。例えば、E.coliとS.typhimurium AraCタンパク質との間にア ミノ酸配列レベルでの相同性があり、そしてDNAレベルでは相同性が少ない。し かしながら、AraCタンパク質の活性には高い特異性がある。例えば、E.coli Ar aCタンパク質は、E.coli PBADのみを活性化し(アラビノース存在下で)、S.typ himurium PBADを活性化しない。従って、環境により制限される生存能システム は、同じ環境により制限される生存能システム中の異なった成分を差別的に調節 するため、多数の腸内細菌由来の多数のアラビノース調節配列を利用し得る。 E.死亡遅延 非許容環境中の急速な細胞死の代わりに、非許容環境中で宿主微生物を限られ た時間生存したままにし得る、環境により制限される生存能システムを設計し得 る。これは、死亡遅延型の、環境により制限される生存能システムと呼ぶことが でき、一時的に生存可能な微生物が得られる。死亡遅延型のELVSでは、ELVSの任 意の必須遺伝子が非許容環境中で一時的に発現され、そして宿主微生物が非許容 環境中に入った場合、致死遺伝子の発現は一時的に遅延される。ELVS微生物の死 亡遅延型の好ましい機構は、ELVSが非許容発現体制(regime)に転換し得る前に、 分解または希釈されなければならないトランス調節エレメントに、調節が基づく ことである。このようなシステムでは、宿主微生物を許容環境から非許容環境へ 移すと、許容発現体制を維持するトランス調節エレメントの産生が停止する。し かしながら、すでにあるトランス調節エレメントが十分な量で残存するかぎり、 許容発現体制は有効なままであり得る。トランス調節エレメントの回転、および 許容発現体制を維持するに必要なトランス調節エレメントの量と既存のトランス 調節エレメントの量との関係によっては、非許容環境に移行後、許容発現体制は 数世代にわたって維持され得る。このような一時的な生存能は、宿主微生物に抗 体のような発現産物を、動物のような非許容環境に送達させるために有用で有り 得るが、無限には残存しない。死亡遅延型の、環境により制限される生存能シス テムで使用するために好ましいトランス調節エレメントは、AraCタンパク質とそ のインデューサーであるアラビノースである。AraCタンパク質は、PBADに作動可 能に連結された任意の遺伝子の発現を、アラビノースの濃度が臨界レベル以下に 下がるまで刺激し続ける。 死亡遅延型の、環境により制限される生存能システムはまた、非許容環境へ移 行後の必須遺伝子産物が徐々に失われることにも基づき得る。例えば、Asd酵素 活性は、非許容環境へ切り替えた後も、細胞壁の適切な合成が防止されるのに十 分にそれが分解され、希釈されるまで一定期間は残存する。このようなシステム にとって、必須遺伝子が高コピー数プラスミド上に存在することが好ましい。こ れにより、非許容環境への切り替え前に大量の必須遺伝子産物を産生することに より、遅延を最大にすることができる。死亡遅延型の、環境により制限される生 存能システムの好ましいタイプは、Salmonella typhimurium asd遺伝子に作動可 能に連結されたPBADを有し、そのためasd遺伝子の発現はアラビノースの存在に 依存する。araC-PBADasd融合を含むベクターのコピー数に依存して、DAP欠乏死 の開始は、細胞壁の安定性のための適切なDAP合成を排除するに十分に、安定なA sd酵素を希釈するに必要な時間に依存して変化する。従って、動物中のELVS微生 物のための生存可能な細胞の分裂数は、DAP欠乏死および溶菌の開始に先立って 調整され得る。 死亡遅延型の、環境により制限される生存能システムにおいて、トランス調節 エレメントをコードする遺伝子が多コピーベクター上にあり、そして致死遺伝子 が染色体上に位置していることが好ましい。これにより、トランス調節エレメン トで制御されるプロモーター(または他のエレメント)に比例して存在するトラン ス調節エレメントの量を増加させることにより、より遅延させることができる。 存在するトランス調節因子の量と、制御されるエレメントの数との間のこのよう な均衡を、細胞死開始を遅延する時間を調整するために使用し得る。例えば、致 死遺伝子を多コピープラスミド上に置くこと、および/またはトランス調節エレ メントをコードする遺伝子を染色体上に置くことはそれぞれ、遅延を減少させる 。開示された、環境により制限される生存能システムの主な目的は、非許容環境 における究極的な増殖を防止することであるので、一般により長い遅延が好まし い。 遅延環境により制限される生存能システムにおけるアラビノースプロモーター の使用は、pMEG-104およびMGN-797株を用いて示されている(図13を参照のこと) 。 λP22 C2リプレッサーで、araC-PBADの制御下でMGN-797の染色体から発現する。 MGN-797では、P22 c2遺伝子はasd遺伝子の染色体コピーに挿入され、従ってasd 遺伝子がpMEG-104上にあることが必要になる。pMEG-104上では、致死溶菌遺伝子 lys13 lys19は、P22 C2リプレッサーによって制御されるP22 PRの制御下にある 。アラビノースが存在する場合、C2リプレッサーは染色体c2遺伝子から産生され る。C2リプレッサーは致死溶菌遺伝子の発現を防止する。アラビノースがない場 合、C2リプレッサーはもはや産生されない。C2リプレッサーの濃度が下がると、 致死溶菌遺伝子はもはや抑制されず、そして細胞が溶解する。 図14は、アラビノースがある場合、ない場合の環境により制限される生存能シ ステムの細胞に対する効果を示す。pMEG-104を有するMGN-797はアラビノースの 存在下で増殖し、次いでアラビノースを含む、または含まない培地へ移される( グラフ上で時間ゼロ)。グラフは、アラビノースを含まない培地へ導入後2時間以 内、または約4世代以内の溶菌に誘導される細胞死の開始を示す。従って、この システムは効率的な、死亡遅延型の、環境により制限される生存能システムであ る。 動物に投与された、死亡遅延型の、環境により制限される生存能システムにと って、動物と、動物の外の自然環境の両方が非許容環境であることが好ましい。 このような場合、唯一の許容環境は発酵槽のような制御された増殖の環境である ことが好ましく、そこでは微生物の増殖および/または生存は人工的に創られ得 るが、自然には一般に存在しない条件に依存する。 E.ベクター 開示された、環境により制限される生存能システムは特に示さない限り、当該 分野の範囲である細胞培養、分子生物学、微生物学、および組換えDNAの通常の 技術を用いる。このような技術は文献に充分説明されている。例えば、Sambrook ら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(1989);DNA Cloning、第I巻お よび第II巻(Glover編、1985);Oligonucleotide Synthesis(Gait編、1984);Nuc leic Acid Hybridization(HamesおよびHiggins編、1984);Perbal、A Practical Guide To Molecular Cloning(1984);シリーズMethods in Enzymology(Academi c Press、Inc.);Vectors:A Survey of Molecular Cloning Vectors and Their U ses(RodriguesおよびDenhardt編、Butterworths、1987);Miller、Experiments in Molecular Genetics(Cold Spring Harbor Laboratory、1972);およびMiller 、A Short Course in Bacterial Genetics(Cold Spring Harbor Laboratory、19 92)を参照のこと。 本明細書中で使用する「ベクター」とは、自己複製核酸ユニットを言う。多くの タイプのベクターが知られているが、最も一般的かつ有用なタイプは、プラスミ ドベクター、ウイルスベクター、コスミドベクター、およびファスミドベクター である。 異なったプロモーター、多重クローニング配列、および異なったプラスミドレ プリコンを有する多様なベクターを、合成された外来抗体の量が相対的遺伝子コ ピー数によって制御され得るように使用し得る。例えば、p15A、pBR、およびpUC レプリコンを有するベクターを構築し得、そのすべては複製のためのDNAポリメ ラーゼIをコードするpolA遺伝子依存性である。環境により制限される生存能シ ステムに使用されるベクターは、ベクターの維持について選択するための抗生物 質耐性を使用しないことが好ましい。 必須遺伝子と致死遺伝子の双方を含む好ましいベクターpMEG-104が図4に示さ れる。このベクターは、組換え無毒Salmonella中、および自殺ベクターpMEG-096 を用いるリプレッサーエレメントを含む所定のasd欠失の導入により修飾された 他の腸内細菌中で多様な外来抗原の発現に適している(図3)。このような抗原の ための遺伝子は多重クローニング部位中にクローン化され、構成的Ptrcの制御下 で発現され得る。宿主株は染色体に位置し、本来のプロモーター(P)の制御下で 、そして構成的に発現するλcI857遺伝子を有する。λcI857遺伝子産物は37℃で 不活性であり、そして染色体P22 c2野生型遺伝子(P22中のc2遺伝子はλ中のcI遺 伝子と同等である)の発現を駆動するλPLを抑制しない。37℃でのP22 c2遺伝子 の発現はP22PRを抑制し、従ってプラスミドでコードされた溶菌遺伝子13および1 9の発現を排除する。しかしながら、λcI857タンパク質は37℃で不活性であり、 そしてasd遺伝子はλPLの制御下で発現するので、プラスミドベクター中のasd遺 伝子は発現する。30℃以下では、λCI857タンパク質は野生型表現型を示す。そ れは、P22 c2遺伝子の発現を抑制し、従ってc2リプレッサーの量が不十分となり 、そしてP22PRで開始する転写により溶菌遺伝子lys13およびlys19は発現する。 一方、この時機能性λcI857遺伝子産物はλPLを抑制し、asd遺伝子産物合成を停 止させる。asd遺伝子および溶菌遺伝子lys13およびlys19は、30℃以下では溶菌 遺伝子lys13およびlys19用mRNAがasd遺伝子中に伸びる様に、その間に転写終結 を含まない、不正確な方向で配置され、従ってasd遺伝子の発現をさらに排除す るアンチセンスRNAを構成することに注意すべきである。37℃では丁度反対のこ とが起き、その結果asd遺伝子メッセージが溶菌遺伝子13および19中に伸び、そ して溶菌遺伝子の発現を完全に遮断するためにアンチセンスRNAとして働く。プ ラスミドが他の微生物に転移した場合、溶菌遺伝子は構成的に発現し、そしてレ ピエント細胞を殺す結果となることに注意すべきである。従って、封じ込め宿主 ベクターシステムは、微生物株が環境中で生き残り、そして拡散し、組換えプラ スミドが、天然の細菌集団内に転移することを防止する。 転移ベクター 発現産物を直接発現するのでなく、環境により制限される生存能システムを含 む微生物は、微生物が置かれた環境中で他の細胞に転移し、そこで発現するベク ターを有し得る。本明細書中で使用する転移ベクターとは、環境により制限され る生存能システムを有する微生物から細胞内に転移し得、そして転移ベクターで コードされる発現遺伝子の発現を指示する発現ベクターのことである。転移ベク ターは、抗原、免疫モジュレーター、酵素、およびレピエント細胞中で遺伝子発 現または細胞活性を調節する発現産物をコードする遺伝子を含む、任意の発現遺 伝子を含有し得ることを意図している。 転移ベクターにとって好ましいレシピエントは、動物宿主の細胞である。この 目的のため、環境により制限される生存能システムおよび転移ベクターを含む微 生物を、動物宿主に投与し得る。微生物は、転移ベクターを送達するために宿主 細胞に侵入することが好ましい。この目的のため、宿主動物の細胞に一度入れば 環境により制限される生存能システムは微生物を溶解させることが好ましい。こ れにより、転移ベクターがレピエント細胞中に放出される。レピエント細胞中の 転移ベクター上で遺伝子が発現するためには、発現遺伝子はレピエント細胞中で 作用し得る発現制御配列に、作動可能に連結されていることが好ましい。例えば 、レピエント細胞が動物細胞である場合、発現遺伝子は動物中で機能し得るプロ モーターに作動可能に連結されていることが好ましい。 転移ベクターはまた、レピエント細胞中で作用し得る複製配列を含有し得る。 これにより、転移ベクターが複製され、転移ベクター上に存在する発現遺伝子が より多く、またはより長く発現することになる。転移ベクターは、真核生物細胞 中でグリコシル化または翻訳後修飾される必要のある抗原および他のタンパク質 の発現に特に有用である。この様にして、環境により制限される生存能システム を有する細菌細胞を、転移ベクターからタンパク質を発現することにより、真核 生物プロセシングを必要とするタンパク質の送達に使用し得る。 環境により制限される生存能システムを有する微生物における転移ベクターと して使用するに適したベクターの例は、Sizemoreら、Science 270:299-302(199 5)に記載されている。Sizemoreらは即時初期サイトメガロウイルスプロモーター の制御下にあるβ-ガラクトシダーゼを発現する構築物を使用し、そしてDAP欠乏 死によるΔasd Shigella株の溶菌後の真核生物細胞中でのβ-ガラクトシダーゼ の発現を観察した。 転移ベクターの好ましい使用は、宿主動物の免疫応答を刺激するための生存細 菌抗原送達システムにある。この目的のため、細菌は、無毒のSalmonella、Shig ella、または侵入し、次いで、溶解して動物宿主の細胞中で発現するように設計 された転移ベクターを遊離する侵入性Escherichiaであることが好ましい。これ は、ウイルス、寄生虫に対する免疫応答、または抗原が通常、抗原産物が真核生 物細胞内で合成される場合にのみ達成されるような方法でグリコシル化または翻 訳後修飾される生殖体抗原に対する免疫応答を刺激するのに有用であり得る。 転移ベクターの転移の有効性は、endA変異、recBCにおける変異(sbcサプレッ サー変異を伴うかまたは伴わない)、および/または他のヌクレアーゼ遺伝子中の 変異を含めることにより改善され得る。このような変異は、細菌細胞が溶解した 場合の転移ベクターの分解を減少させ得る。宿主細胞型および転移ベクターを含 む微生物が付着し侵入する粘膜表面に影響を及ぼすことも可能である。これは、 特異的付着因子および/またはインベーシンの発現を阻止または開始(turn on)と で達成され得る。 DNA免疫化または動物中の細胞に導入するための多くのベクターが知られてい る。このようなベクターは、環境により制限される生存能システムを含む微生物 において転移ベクターとして使用され得る。この場合、環境により制限される生 存能システムは、このようなベクターを細胞中に導入する有用な手段を提供する 。転移ベクター上の発現遺伝子の発現のための好ましいプロモーターは、アデノ ウイルス、ヘルペスウイルス、およびサイトメガロウイルスプロモーターである 。発現遺伝子の発現はまた、細菌プロモーターを、細菌株が発現産物のいくつか を既に発現している様に真核生物プロモーターの上流に置くことによって増加さ れ得る。この発現産物は、細菌の溶解の際遊離される。転移ベクターの例を図7 に示す。このベクターは、ΔpurA変異株で使用するための選択マーカーとして、 PurA+を利用する。purA変異体は動物組織中で増殖できないため、これは他の型 の均衡のとれた致死宿主-ベクターシステムを構成する。転移ベクターはまた、 細菌細胞を真核生物細胞中に入れた後、ランナウェイ複製を示すように設計され 得る。この例は、図8に示される環境により制限される生存能システムに含まれ る。 環境により制限される生存能システムで有用であるか、またはそれを構築する ために有用である好ましい細菌宿主/株およびベクターを表1、2および3に列挙す る。 F.微生物宿主 そのために変異体が創られ、致死遺伝子が利用できる必須遺伝子が分かってい る任意の細菌は、環境により制限される生存能システムのための宿主として作用 し得る。一般に、標的環境中に通常見出されるこれらの細菌は、その環境を標的 とする、環境により制限される生存能システムに使用し得る。システムのプロモ ーターおよび調節因子は、使用される宿主について生来のものであることが好ま しいが、これは必要ではない。例えば、多くの細菌プロモーターが異種宿主中で 機能する。環境により制限される生存能システムにおいて有用であるか、または それを構築するために有用である好ましい宿主細胞が、表1および3に挙げられる 。 1.欠失変異体の取得.欠失変異体を上記のように得ることができる。例えば 、asd遺伝子(Δasd)中の欠失変異体を、Enterobacteriaceaeのメンバーである多 種類の細菌株、および他のグラム陰性細菌およびマイコバクテリア中に作製し得 る。E.coli K-12およびS.typhimurium LT-2株を、asd変異体およびそれらの誘 導体を単離するために使用し得る。また先に述べたように、Asd-株を、トランス ポゾン技術を用いて他の株を構築するために使用し得る。Asd-株は米国特許第4, 190,495号にもまた記載されている。 標準的な変異誘発および変異体富化プロトコルは、asd変異体の回収に有効で はない。なぜなら、DAP要求性を有する変異体はDAP非存在下で溶菌し、そして死 ぬからである。合成培地中でasd変異体は増殖のためL-メチオニン、L-トレオノ ンおよびDAPを要求する。L-メチオニンおよびL-トレオニンの両方に対する要求 性は、メチオニンおよびトレオニンの両方に対する共通の前駆体であるホモセリ ンにより満たされる。E.coli またはS.typhimurium株の変異誘発に続く栄養要 求性変異体の富化のためのアンピシリン-シクロセリン法は、ホモセリンに対す る単独要求性を有する変異体をほとんど回収しない。Curtissら(1965)は栄養要 求性株を選択するためのシクロセリン富化法を記載している。ホモセリン要求栄 養要求性株がめったに単離されない理由は、β-アスパラギン酸セミアルデヒド が2つの遺伝子にコードされる2つのデヒドロゲナーゼのいずれかによりホモセリ ンに変換されるためである。両方の遺伝子が単一細胞中で不活化される確率は極 めて小さく、従ってホモセリン要求栄養要求性株はランダムスクリーニング技術 により検出され得ない。 この問題は変異誘導中にすべての培地中にDAPを加え、そしてアンピシリン-シ クロセリン技術を用いて富化または選択することにより克服される。これはホモ セリンおよびDAPの両方を要求するasd変異体の回収を導く。アンピシリンおよび シクロセリンの両方は、タンパク質合成し得る増殖細胞において細胞壁合成を阻 害するが、タンパク質合成し得ない栄養要求性変異体には、栄養要求性の欠失の ためにその効果を有さない。それぞれS.typhimuriumおよびE.coli株であるasd 変異株χ3008およびχ2108が、この方法を用いて単離された。χ3008のAsd-表現 型はasd遺伝子の点変異によるものであり、従ってAsd-への復帰頻度は極めて高 い。一方、χ2108のAsd-表現型はasd遺伝子における欠失の結果であり、従って 復帰頻度は極めて低い。pvrA遺伝子内の欠失は既知のE.coli purA変異体中に導 入されたS.typhimuriumDNAの代表的なライブラリからPurA+クローンを単離し、 そして規定されたプリン非含有培地上での増殖について選択することにより得る ことができる。次いで制限酵素消化または逆PCRのいずれかを用いて、purA遺伝 子に内部欠失を作製するためにPurA+クローンを修飾し得る。規定された欠失の 構築後、修飾したフラグメントをpMEG-011のようなの自殺ベクターに転移し得、 続いて標準的な方法を用いて所望のSalmonella株の染色体中に導入し得る。 ELVSに対する調節因子をコードする外来遺伝子の挿入を含む欠失変異体を、周 知の組換えDNA技術を用いて細菌染色体中に導入し得る。例えば、最初に欠失す る遺伝子をpMEG-011(図2)のような自殺ベクター上にクローン化しなければなら ない。pMEG-011はpGP704由来のpir依存性自殺ベクターである(Millerら、J.Bac teriol.170:2575-2583(1988))。このような自殺ベクターの複製は、宿主株に よる機能性pir遺伝子産物の生産に依存する。自殺ベクターをpir遺伝子を欠損し た株に転移する場合、自殺ベクターを維持する唯一の手段は、自殺ベクターを宿 主染色体に組み込む組換えによることである。自殺ベクター上で欠失すべき遺伝 子の存在は、自殺ベクターが染色体上の対応する遺伝子中への相同組換えを生じ る。この組み込みは、組み込みの前に自殺ベクター上の野性型遺伝子が遺伝子の 内部領域の欠失により変化された場合、目的の遺伝子における欠失を生じる。こ れは制限酵素消化または逆PCR増幅のいずれかによって達成され得る。従って目 的のベクター保持遺伝子が不活化されるが、両側のDNAは十分なままであり染色 体中に組換えられる。自殺ベクター中に作製された規定された欠失を、環境によ り制限される生存能システムに必要な調節遺伝子を含む、任意の外来遺伝子の挿 入が可能である便利な制限酵素クローニング部位を提供するように設計し得る。 自殺ベクターを染色体中に組み込む最初の一回の組換え操作後、フザリン酸を含 有する培地上での自殺ベクターのテトラサイクリン因子に対する選択により、2 回目の組換え操作を選択し得る(Bochnerら、J.Bacteriol.143:926(1980))。 規定した欠失をSalmonellaおよび他のグラム陰性細菌中に導入するためのスクロ ース対抗選択を利用して、別な可動性自殺ベクターをまた得ることができる(Kan igaら、Gene 109:137-141(1991))。これは、野性型対立遺伝子の所望のインサ ートを含む欠失遺伝子での置換を生じる。これらの方法は、外来遺伝子の規定し た欠失および挿入をSalmonella株の染色体中に作製するために使用されている(C hatfieldら、Vaccine 10:53-60(1992))。 開示されたELVSの好ましい実施態様は生存している細菌の抗原送達システムで あるが、上記のように、ELVS成分を得ることができ、かつその微生物に適用し得 る任意の微生物と共にELVSを使用し得る。有用な産物(特にそれらを生産する細 菌が漏出しそして生存する場合、毒性であるか、または有害である産物)の生産 と組み合せて培養器中で使用する場合、ELVSは有用である。 2.生存している抗原送達システム.抗原送達システムとして使用するための 好ましい宿主は腸内細菌である。本明細書で用いる抗原送達システムまたは抗原 送達微生物は、抗原を生産するか、または抗原をコードする転移ベクターを有す る微生物を意図する。本明細書で用いる腸内細菌は、任意のEnterobacteriaceae を意図する。上記の好ましい遺伝子または調節因子の多くは、ほとんどの腸内細 菌中で作用し得、従って多くの十分に開発されたE.coliおよびSalmonella調節 システムを使用することができる。最も好ましくは、細菌宿主は無毒性のSalmon llaである。 本明細書中記載のシステムの一つの実施態様では、腸関連リンパ組織(GALT)ま たは気管支関連リンパ組織(BALT)に付着し、侵入し、そして生存する病原性微生 物の無毒性誘導体が、病原体またはアレルゲンに対する免疫応答を刺激するため に用いられる遺伝子産物のキャリアとして使用される。無毒性とは、その属また は種の微生物が常に病原体として機能し得ないという意味ではなく、使用される 特定の微生物が処置される特定の動物に対して無毒であるという意味である。微 生物は通常は病原性である属または種に属し得るが、無毒性である株に属すべき である。病原性とは、疾病を引き起こすかまたは正常な生理学的機能を損ない得 ることを意味する。無毒性株は、通常はその有毒な病原性部分に関連する疾患の 全症状を誘導し得ない。本明細書で使用する微生物には細菌、プロトゾア、およ び単細胞真菌が含まれる。 ELVSを含む無毒性Salmonellaを、動物およびヒトをSalmonella感染に対して防 御するために使用し得る。有用であるためには、このような株は任意の外来抗原 を発現する必要はない。細菌、ウイルス、真菌性病原体および寄生性病原体由来 の防御抗原を発現する組換え無毒性Salmonlla(これらの病原体による感染に対し て防御するための免疫の誘導において有効である)は、環境中での生存および増 殖を排除する生物学的封じ込め特性により安全である場合は、より受容可能であ り、かつより広範な用度を受容する。 結腸粘膜への侵入が、腸管で強い粘膜免疫応答を刺激するように結腸に隣接す るリンパ組織を刺激し得るため、Shigellaまたは腸内侵入性E.coliは抗原送達 システムにおいて有用であり得る。リンパ節およびリンパ球の結腸に対する近接 のような解剖学的特徴のため、直腸免疫も有効であり得る。 3.無毒性細菌宿主.抗体などの発現産物の送達に有用であるためには、細菌 宿主は無毒でなければならない。異なるSalmonella血清型株を当業界で公知の方 法により無毒性かつ免疫原性にし得る。方法は例えば以下による:1)この経路の 前駆体由来の芳香族アミノ酸およびビタミンに対する要求性を付与する変異を導 入する(Stockerら(1983)、HoisethおよびStocker(1981))、2)cyaおよびcrp(Curt issおよびkelley(1987))、phoP(Millerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:505 4-8(1989)、GalanおよびCurtiss、Microb.Pathogen 6:433-443(1989))およびo mpR(Dormanら、Infect.Immun.57:2136-40(1989))などの全体的なレギュレー ターに対する遺伝子を欠失する、3)galE(GermainerおよびFurer、Infect.Immun .4:663-73(1971)、GermenierおよびFurer、J.Infect.Dis.131:553-8(19 75))などによるリポポリサッカライド(LPS)合成に対する遺伝子を欠失する、た だしこれのみでは不十分であり得る(Honeら、Infect.Immun.56:1326-1333(19 88))、4)cdt(Kellyら、Infect.Immun.60:4881−4890(1992)、Curtissら、Dev el.Biol.Stand.82:23-33(1994))などの深部組織のコロニー化について必要 とされる遺伝子を変異させる、または5)htrA(Johnsonら、Mol.Microbiol.5:4 01-407(1991))などの高温において必要とされるプロテアーゼに対する遺伝子の 発現を妨げる。phoQに変異を有する株(Millerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:5054(1989))は、phoPの変異と同じ表現型を有する。以後、phoPまたはphoQ のいずれかに変異を有する株をまとめてphoP変異体と呼ぶ。上記の遺伝子の変異 が欠失として導入されることが望ましい。なぜなら、これが反転変異を排除し、 そしてそれらを含む株の安全性を増強するからである。上記の遺伝子に変異を有 するSalmonella株が無毒性で免疫原性であるという発見に続き、これらの株の多 くが経口投与後、野生型に近いGALTに侵入し生存する能力を示し、そして腸膜間 リンパ節、肝臓、および脾臓のような他のリンパ組織にコロニー化するが、疾病 の症候の誘発は伴わないことが観察された。その結果、これらの弱毒化株は、有 毒な野生型Salmonella株でのチャレンジに対する防御免疫を与える免疫化した動 物宿主において、強い粘膜性、全身性、および細胞性免疫応答を刺激し得る。任 意のこれらの無毒性Salmonellaは、他の細菌、ウイルス、真菌性病原体および寄 生性病原体由来の重要なコロニー化または有毒な抗原を発現する能力を、免疫化 した動物宿主内で高レベルに与えられる(Clements、Pathol.Immunopathol.Res .6:137-146(1987)、Douganら、Parasite Immun.9:151-60(1987)、Chatfield ら、FEMS Immunol.Med.Microbiol.7:1-7(1993)、Curtissら、「細菌病原体の 有毒性の機構」(Roth、American Society for Microbiology、Washington、D.C. 1988)311-328頁);Curtissら、Dev.Biol.Stand.82:23-33(1994);DoggetおよびCu rtis 41-9(1990))。 4.減少した生存能.環境により制限される生存能システムを、特定の環境で 減少した生存能を示す宿主株で使用し得る。この好ましい形態は、relA変異株中 に存在する。relA変異体の減少した生存能の原因である特異的因子は公知でな いが、膜破裂およびタンパク質中への誤ったアミノ酸取り込みを含むrelA変異の 多面発現効果は、いかなるアミノ酸制限環境中でもrelA変異体の生存能を減少さ せ得る。このようなrelA変異体の生存能の減少はE.coli(Heckerら、Arch.Micr obiol.143:400-402(1986))およびS.typhimurium(SpectorおよびCubitt、Mol .Micro.6:1467-1476(1992))に対する制限環境中で示されている。relA変異を 有するE.coli株の減少した生存能はまた、Schwederら、Appl.Microbiol.Biot echnol.42:718-723(1995)により観察された。S.typhimuriumにおけるΔrelA 変異は毒性について評価し得る効果を有さなかった。 G.発現遺伝子 開示された、環境により制限される生存能システムの本来の用途の一つは、所 望の発現産物の組換え発現を、特定の許容環境に制限することである。本明細書 で使用する発現遺伝子は、所望の発現産物をコードするELVS中で発現する遺伝子 を意図する。遺伝子の発現は、遺伝子の構造(DNA塩基の配列)に固有の情報が遺 伝子が遺伝子が配置される細胞の生化学的機構により、RNA分子、ポリペプチド 、または他の生物学的分子の形態の物理的産物へ変形することを意図する。この ように生産される生物学的分子は発現産物と呼ばれる。本明細書で使用する用語 、発現産物は、任意の生物学的産物または、遺伝子の制御下で生じる生化学的反 応の結果として生産される産物を意図する。発現産物(例えば、遺伝子の初期産 物、すなわち代謝産物であるRNA分子、ペプチド、または酵素または他の分子(す なわち、遺伝子の最初の産物)の制御下で生産される産物)は、すなわち代謝産物 であり得る。このような発現産物は宿主細胞に異種構造である必要もなく、そし て組換え遺伝子によりコードされる必要もない。しかしながら、発現遺伝子は組 換えであることが好ましい。発現遺伝子が抗原、酵素、毒素、免疫モジュレータ ー、アジュバント、および細胞傷害性タンパク質であることが好ましい。発現遺 伝子が抗原をコードすることが最も好ましい。 発現遺伝子の発現は、環境により制限される生存能システムを含む微生物中、 または微生物が投与された宿主動物の細胞中のいずれかで起こり得る。後者の場 合、発現遺伝子は宿主動物細胞に転移するための転移ベクター上にあることが好 ましい。発現遺伝子の発現は、例えば、ELVSベクターpMEG-104(図4)の多重クロ ーニング部位中の所望の遺伝子産物をコードする、コード配列を挿入することに より達成され得る。これは発現遺伝子のコード配列を、rrnBでの転写終結を有し 従って溶菌遺伝子の不適切な転写を妨げる構成性プロモーターPtrcの制御下に配 置する。 抗原.環境により制限される生存能システムを用いる生存している組換え微生 物を、宿主微生物中で発現され得る任意の産物を送達するために使用し得る。こ の目的のための好ましい発現産物は抗体である。例えば、抗原は、細菌、ウイル ス、真核性病原体または寄生性病原体由来であり得、それぞれ細菌、ウイルス、 真菌性感染、および寄生性感染に対して防御する。また生殖体特異性を提供され た生殖体抗原は受精をブロックし得、そして腫瘍抗原は癌を防ぎ得る。抗原の選 択および組換え発現は、Shodel(1992)およびCurtis(1990)により以前に記載され ている。微生物の免疫原性を、サイトキシン、アジュバント、および他の免疫モ ジュレーターの遺伝子もまた発現する株を構築することにより増加および/また は変化し得る。 制御する微生物の例はYersinia pestiにより引き起こされるペスト、Neisseri a gonorrhoeaにより引き起こされる淋病、Treponema pallidumにより引き起こさ れる梅毒、および性病、ならびにChlamydia trchomatisにより引き起こされる眼 の感染である。喉の痛みまたは心臓疾患を引き起こす種のような群Aおよび群Bの 両方由来のStreptococcusの種、Neisseria meningitidis、Mycoplasma pneumoni ae、Hemophilus influenza、Bordetella pertussis、Mycobacterium tuberculos is、Myacobacterium leprae、Bordetella avium、Escherichia coli、Streptoco ccus equi、Streptococcus pneumoiae、Brucella abortus、Pasteurella hemoly tica、Vibrio cholera、Shigella種、およびLegionella pneumophilaが、遺伝子 が得られる本発明の範囲の細菌のさらなる例である。ウイルス抗原もまた、環境 により制限される生存能システムと共に使用し得る。ウイルス抗原を、ウイルス (DNAウイルスまたはRNAウイルスいずれか、例えばPapovavirus、Adenovirus、He rpesvirus、Poxvirus、Parvovirus、Reovirus、Picornavirus、Myxovirus、Para myxovirus、またはRetrovirus)を指向する抗原送達微生物において使用し得る。 病原性真菌、プロトゾア、および寄生虫の抗原を用いる抗原送達微生物をまた使 用し得る。 抗原はまた、花粉および動物のふけ由来の抗原のような宿主のアレルゲンであ り得る。このような抗原を、アレルギー性宿主を特異的に脱感作するために設計 された暴露療法で、環境により制限される生存能システムにおいて使用し得る。 組換え無毒性Salmonellaは外来抗原に対する、すなわち外来抗原の供給源であ る病原体に対する粘膜性、全身性、および細胞性免疫応答を刺激し得る。抗原遺 伝子は等の高分子(例えば機能性ポリペプチド)の生産を生じるかまたは調節し得 る、親の個体中に存在するような完全な遺伝子である必要はない。遺伝子が抗原 性産物の生産のガイドとして使用されるテンプレートとして作用し得ることのみ が必要である。この産物は、親の個体中で正確な形では見出されないものであり 得る。例えば、100アミノ酸残基を含むポリペプチド抗原に対する機能的な遺伝 子コードが、部分的にキャリア微生物に転移され得、その結果75個のみ、または わずか10個のアミノ酸残基を含むペプチドが宿主細胞の細胞機構により生産され る。あるいは、特定の抗原のアミノ酸配列またはそのフラグメントが既知の場合 、DNAフラグメントまたはそのアナログを自動遺伝子合成機などの手段により化 学的に合成し、そしてそのDNA配列を適切な発現ベクター中に導入することが可 能である。範囲の他端はいくつかの遺伝子産物に対するDNAコードの長い部分で あり、その一つまたはすべてが抗原性であり得る。従って本明細書中で定義され 請求される遺伝子は、抗原を生産し得る遺伝形質の任意の単位である。遺伝子は 染色体、プラスミド、またはウイルス起源であり得る。 組換え無毒性Salmonella株により多重抗原がまた発現され得る。さらに抗原は あるいはそれに対する免疫応答が望まれる抗原のB細胞エピトープまたは規定さ れた領域を構成する抗原の一部でも、強い乱雑なT細胞エピトープを含む、およ び/またはアジュバントとして作用する、および/またはあらゆる場合に抗体また はその部品部分に対する免疫応答を増大する抗体提示を促進するキャリアタンパ ク質に対する融合体として発現され得る。これは無毒性株による発現のためのこ のような融合を特定するため、遺伝子操作されたDNA配列により容易に達成され 得る。tenus毒素フラグメントC、CT-B、LT-B、およびB型肝炎ウイルスのコアへ の融合は、これらの目的に特に有用であるが、他のエピトープ提示システムが当 該分野で公知である。 発現遺伝子が免疫応答を誘導において有効であるためには、上記のように達成 され得る発現遺伝子が発現しなければならない。抗原送達微生物が個体の免疫に おいて有効であるためには、ワクチン接種された動物の免疫システムが作動し得 るように抗原物質が放出されなければならない。従って、生存している無毒性微 生物が動物に導入されなければならない。先に議論したように、GALTまたはBALT 細胞の好ましい応答を刺激するためには、微生物または遺伝子産物を直接、経口 投与、鼻孔内投与、胃注入、またはエアゾルの形態で腸または気管支に直接導入 することが望ましいが、静脈、筋肉、皮下注射、または乳頭、陰茎、直腸、また は膣投与のような抗原送達微生物の他の投与方法が可能である。 H.微生物組成物 環境により制限される生存能システムを含有する微生物を動物宿主に投与し得 る。このような微生物は、本明細書の他の個所に記載するように、抗原または転 移ベクターのような発現産物を送達するために使用し得る。この目的のため、微 生物を投与に適した組成物に処方することが好ましい。 抗原送達組成物.抗原送達微生物の好ましい用途は、送達される抗原に対する 免疫応答を刺激するためのワクチンとしてである。適切な動物宿主での生存して いる組換えSalmonellaワクチン株で経口免疫すると、腸関連リンパ節組織(GALT) またはPeyerのパッチ中にコロニー化を導き、Salmonella抗原および組換えSalmo nellaから合成される外来抗原の両方に対する一般化された粘膜免疫応答の誘導 が導かされる(Curtissら、Adv.Med.Biol.251:33-47(1989))。さらに、ワク チン株が腸間膜リンパ節、肝臓、および脾臓中にさらに侵入すると、Salmonella 抗原および組換えSalmonellaにより生産される外来抗原に対して指向する全身性 および細胞性免疫応答の誘導が増大する(DoggettおよびCurtiss(1992))。従って 、組換え無毒性Salmonellaワクチンを経口免疫のために使用すると、免疫システ ムの全ての3つの分枝を刺激し、これは、粘膜表面を介してコロニー化する、お よび/または侵入する感染性疾患薬剤に対して免疫する場合、特に重要である。 ワクチンは生存している個体の免疫システムを刺激し、それにより免疫応答を 生じるために使用される薬剤を意図する。好ましくはワクチンは、生存している 個体の免疫システムを刺激し、それにより将来の病害に対し防御するために充分 である。免疫とは、連続的に高レベルの抗体および/または細胞性免疫応答を誘 発するプロセスを意図する。ここで、Tリンパ球は、生体内で病原体を殺すおよ び/またはそうするように他の細胞(例えば食細胞)を活性化し、他の細胞は生体 が以前曝露されていた病原体または抗原を指向する。句「免疫システム」は単細胞 個体の外性物質(すなわちインターフェロン生産)の存在に対する応答を含み得る が、本明細書中では、この句はそれにより個体の細胞または個体の細胞外分泌液 に侵入する抗原性物質に対して多細胞生物が応答する解剖学的特徴および機構に 限定される。このように生産される抗原は、免疫グロブリンA、D、E、G、または Mのような任意の免疫学的分類に属し得る。特に興味深いのは、免疫グロブリンA (IgA)の生産を刺激するワクチンである。なぜなら、これは、これが温血動物の 分泌システムにより生産される重要な免疫グロブリンであるが、本明細書中に記 載されるワクチンはIgA生産を刺激するものに限定されないからである。例えば 、本明細書に記載する自然のワクチンは、IgA形成に加えて広範なの他の免疫応 答、例えば細胞性および体液性免疫を生産するようである。抗原に対する免疫応 答は十分に研究され、そして広く報告されている。免疫学の調査は、以下の文献 において与えられる:Barrett、「免疫学テキスト」、第4版(C.V.Mosby Co.、St .Louis.MO、1983)、Sitesら、「基礎および臨床免疫学」(LangeMedical Books、 Los Altos、CA、1994)、およびOrgaら、「粘膜免疫学ハンドブック」(Acedemic Pr ess、San Diego、CA、1994)。粘膜免疫学は、McGheeおよびMesteky、「分泌免疫 システム」、Ann.N.Y.Acad.Sci.第409巻(1983)にもまた記載されている。 本発明のワクチンで処置された個体は、本明細書ではすべての脊椎動物(例え ば家畜およびヒト動物を含む哺乳動物)家禽を含む多様な種の鳥(特に農業で重要 な鳥を含む)ように定義される。好ましくは個体は温血動物である。 免疫応答を誘発するため必要とされる生存している組換えワクチンの投与量は 、クローン化された組換え発現産物の抗原性とともに変化し、そして存在するワ クチンに典型的な免疫応答を誘導するに十分であることのみが必要とされる。日 常 の実験は必要とされる投与量を容易に確立する。経口投与に対する代表的なワク チンの初回投与量は、免疫されるべき個体の大きさおよび年齢に依存して、1×1 0'〜1×10"CFUでり得る。所望のレベルの防御免疫を提供するために必要とされ る、複数回の投与用量もまた使用し得る。ワクチンを懸濁する薬学的キャリアは 、接種した動物に対し非毒性であり、そしてキャリア個体または抗原遺伝子産物 に適合性であるカプセル化のための任意の溶剤または固体材料であり得る。適切 な薬学的キャリアには通常の生理食塩水および生理的濃度またはそれに近い濃度 の非毒性の塩のような液体キャリア、ならびにヒトには用いられないタルクまた はスクロースのような固体のキャリア、または動物の飼料が含まれる。所望され る場合は、抗原性を増強するためにアジュバントを添加し得る。気管を通じて投 与するために使用される場合、ワクチンはエアゾルの形態で提供されることが好 ましい。 病原体誘導遺伝子産物での免疫もまた、病原体由来の組換え遺伝子により特定 される遺伝子産物を発現するためのキャリアとして作用する、病原性微生物の無 毒性誘導体での先の免疫と組み合せて使用し得る。病原体由来の遺伝子産物を発 現しているキャリア微生物で免疫し、GALTまたはBALTのリンパ細胞を刺激するこ とにより、一旦その病原体由来遺伝子産物に対する分泌免疫システムを起動する と、このような非経口免疫は、分泌免疫応答の発現を促進するための増幅器とし て作用する。増大した応答は2次、増幅または既往応答として公知であり、そし て宿主の長期間にわたる免疫防御をもたらす。増幅免疫を何回も繰り返して、有 益な結果を得ることができる。 抗原送達微生物は粘膜免疫応答を刺激する経路(すなわち経口、鼻腔内および 直腸内)により投与することが好ましいが、これらの微生物はまた筋肉内、静脈 内および他の非経口経路により投与し得る。抗原送達微生物の投与はまた、精製 した抗原成分の非経口投与とも組み合わせ得る。 I.有用宿主株への環境により制限される生存能システムの適応 S.typhimuriumの無毒性株は完全に弱毒化され、そして、マウス、ニワトリ、 およびブタにおいて高度に免疫原性であり、有毒な野性型株を用いる10,000倍の 致死投与量での感染に対する防御免疫を誘導することが知られている。同様に、 S.choleraesuisの無毒性株は弱毒化され、マウスおよびブタにおいて免疫原性 であり、そして有意な防御免疫を提供する。S.dublinの無毒性株が単離され、 試験され、そして無毒性であり、免疫原性であり、かつ仔ウシにおいて防御性で あることが見出された。弱毒化S.typhi株がまた構築され、そしてヒトボランテ ィアにおいて有意な免疫応答を誘導することが見出された。Vibrio choleraeお よびShigella flexneriの弱毒化誘導体もまた構築され、そしてヒトボランティ アにおいて有意な免疫応答を誘導するワクチンとして使用されてきた。Mycobact erium bovis BCG株もまた、ヒトの経口免疫のために使用されてきた。弱毒化Lis teria monocytogenesもまた、マウスを免疫するための生ワクチンとして使用さ れてきた。関連する有毒な野生型株での感染に対し動物およびヒト宿主を免疫す るためのワクチンとして作用することに加えて、上記の微生物の無毒性誘導体は また、それらを遺伝子操作して外来抗原を発現させることにより、抗原送達ベク ターとして使用し得る。これらの抗原は、細菌、ウイルス、真菌、および寄生虫 病原体に由来し得るか、アレルゲンであり得るか、あるいは避妊ワクチンにおけ る生殖体特異的抗原または抗ガンワクチンにおける腫瘍抗原であり得る。これら の生の組換え無毒性ワクチンでの動物および/またはヒト宿主の免疫は、外来抗 原および外来抗原を特定する遺伝子が単離された病原体、アレルゲン、あるいは 精子または卵子、あるいは腫瘍細胞に対する粘膜性、全身性、および細胞性免疫 応答をそれぞれ誘導することが公知である。 上記、または当該分野で公知の様々な遺伝子中に欠失(Δ)変異を導入すること により、細菌病原体を弱毒化し得る。任意のこれらの株が、本明細書中に開示さ れる種類のELVSの導入に適切であるが、システムをグラム陽性細菌中で作動可能 にするには改変が必要である。特に、これらの改変は、mRNAの翻訳が許容するた めのShine-Dalgarno配列の修飾、およびより効率的な転写のためのプロモーター 配列のわずかな変化を必要とし、Mycobacteria以外のすべてのグラム陽性属の場 合は、asd遺伝子がいくつかの他の必須遺伝子で置換される必要がある。これは 、Mycobacteria以外のほとんどのグラム陽性細菌属の細胞壁の硬い層にDAPが含 まれていないからである。一方、細胞壁、細胞膜の必須成分に対する、およびグ ラム陽性およびグラム陰性細菌の両方で使用し得るDNAの完全性を維持するため の 必須遺伝子が多数ある。図4に記載するELVSの成分は、Salmonella種、E.coli、 Shigella種、および他の腸内微生物に容易に導入し得る。例えば、自殺ベクター pMEG-096をpir含有ドナー株から野性型asd遺伝子を有する弱毒化ワクチン候補株 へ転移し得る。pMEG-096のcI857PRc2カートリッジの候補株への組み込みにより 、最初に、組み込まれたpMEG-096を有するテトラサイクリン耐性クローンを選択 し、次いで細胞をフザリン酸含有培地上で増殖させてcI857PRc2カートリッジを 含むasdの規定した欠失に関して、野生型asd遺伝子を失った細胞を選択すること により達成され得る。これらの操作は以下の実施例に記載される。次いで、所望 の外来抗原をコードする遺伝子を含むpMEG-104(図4)の誘導体を、エレクトロポ ーレーションにより導入し得る。次いで、そのELVSを有する得られた組換え無毒 性ワクチンを用いて、適切な宿主を免疫し得る。ワクチン接種された宿主による 任意の生存しているワクチン細胞の排出または放出は、これらのワクチン細胞の 溶菌による死を導くELVSを活性化する。これはワクチンの宿主動物外での生存を 排除し、従って免疫されるように選択されなかった個々の宿主の免疫の可能性を 排除する。 本発明の実施に有用な株の寄託 以下の株(表3)の生物学的に純粋な培養株の寄託を、American Type Culture C ollection、12301 Parklawn Drive、Rockville、Marylandに行った。生存能試験 に成功した後、記載した受託番号が付され、必要経費を支払った。特許出願の係 続中は、特許庁長官の決定により、米国特許法施行規則および米国特許法のもと でそれらに名付けられた培養株の入手が可能である。一般に対する培養株入手の すべての制限は、本出願に基づく特許の認可で、取り消し不能に除去される。さ らに指定した寄託は寄託日より30年間、または寄託最終要請後5年間、または米 国特許存続期間のうち、長い方の期間維持される。培養株が生存不能になるか、 または不測の事態で死滅した場合、またはプラスミド含有株でそのプラスミドを 喪失した場合、同一分類内容を有する生存可能な培養株に置き換えられる。 以下の記載は本発明の実施例であり、例示の目的でのみのために提供され、本 発明の範囲を制限するものではない。本発明の開示に照らして、請求の範囲であ る多様な実施態様は、当業者に明らかである。 実施例 実施例1:プラスミドに基づく、温度調節される、 環境により制限される生存能システムの構築 図4に示すELVSの成分を生産するために用いられる方法は、標準的なクローニ ング技術を使用する。図4に示すELVSは二つの主成分で構成される。最初の成分 は、温度調節される必須遺伝子asdの適用と、温度調節される致死遺伝子lys13お よびlys19とを組み合せ、必須および致死遺伝子の両方に対するアンチセンスRNA によりさらなる調節が提供されるように方向づけるELVSベクターである。第2の 成分は、ELVSベクターの維持のために必要とされるELVS宿主であり、宿主MGN-39 2を使用するS.typhimuriumの実施例では、熱感受性cI857およびc2リプレッサー カートリッジインサートを有する規定したasd欠失を有する。 ELVS発現ベクターpMEG-104は、1)S.typhimurium asd遺伝子、2)asd遺伝子を 駆動するためのバクテリオファージλ左プロモーター、3)バクテリオファージP2 2溶菌遺伝子lys13およびlys19、4)溶菌遺伝子を駆動するためのバクテリオファ ージP22右プロモーター、5)外部プロモーターからの転写を妨げるためのtrpAタ ーミネーター、および6)pYA810より得られる発現ベクターコア(Galanら、(1990) )を含む6個の個々の成分のアセンブリにより構成され、これは、p15Aの複製起点 、強力なtrcプロモーター、既存のAsdにおいて使用される多重クローニング部位 、およびtrcプロモーターからの転写干渉を妨げるためのリボソーム転写ターミ ネータ5S T1 T2からなる。これらのベクター成分の多くは以下に記載するPCR増 幅により得られ、続いて制限酵素またはポリメラーゼのいずれかでのDNA末端の 修飾して中間構成体の組み立てを可能にする。S.typhimuriumのasd遺伝子を、p YA292上に見出されるS.typhimurium asd配列のヌクレオチド314〜1421の間の領 域のPCR増幅により得た(Galanら、(1990))。このasd PCR産物である、一方が平 滑末端であり、他方がBglII突出を有しプロモーターとasd遺伝子のShine-Dalg rno領域とを欠失した端である1115bpフラグメントを、λ左プロモーターベクタ ーpMEG-076中に、バクテリオファージλ左プロモーターにより駆動されるasd遺 伝子を生産するような方向でクローン化した。 pMEG-076上に存在するバクテリオファージλの左プロモーターを、左プロモー ター配列のヌクレオチド5〜160の間の領域のPCR増幅により得た(Giladiら、J.M ol.Biol.231:109-121(1990))。平滑末端およびBamHII末端を有する得られた1 55bpフラグメントを、プロモータープローブクローンベクターpKK232-8のSmaI 〜BamHI部位にクローン化し(Brosius、J.Gene 27:151(1984))、ベクターpMEG- 086を得た。このベクター中で、asd遺伝子はλ左プロモーターにより駆動される 。 次いで、λPL駆動asd遺伝子を含むpMEG-086の1277bpのEcoRI〜XbaIフラグメン トを、バクテリオファージP22 PR lys13 lys19ベクターpMEG-089のPvuII〜XbaI 部位中に、内部BglII部位とEcoRI末端を含有する合成trpAターミネーターを用い てサブクローン化し、pMEG-097を作製した。pMEG-097中のasdおよびlys13 lys19 に対する転写エレメントの相対的な方向は、異なる温度でのasdおよびlys遺伝子 についてアンチセンスRNAを生産する収束(convergent)転写を生じた。 pMEG-097の構築に使用するバクテリオファージP22溶菌遺伝子は、P22溶菌遺伝 子領域のヌクレオチド62〜850のPCR増幅により得られた(Rennelら、Vorology 14 2:280-289(1985))。導入されたShine-Dalgarno部位、5’平滑末端、および3’ 末端に設計されたPstI部位を有する得られた797bpフラグメントを、低コピー数 ベクターpWKS30のEcoRV〜PstI部位にクローン化した(Kushner,S.Gene 100:19 5-199(1990))。得られたベクターpMEG-078は、lacプロモーターの制御下のlys13 およびlys19を有する。次いで、この溶菌遺伝子をpMEG-078からの1060bpのSalI 〜PvuIIフラグメントとして、P22右プロモーター発現ベクターのSalI〜PvuII部 位にサブクローン化した。得られたベクターpMEG-089では、バクテリオファージ P22溶菌遺伝子lys13 lys19はP22右プロモーターで駆動される。pMEG-072中のバ クテリオファージP22右プロモーターは、P22右プロモーター配列のヌクレオチド 23〜138の間の領域のPCR増幅により得られた(Poteeteら、J.Mol.Biol.137:8 1-91(1980))。得られた125bpのBamII〜SalIフラグメントをプロモータープロー ブベクターpKK232-8のBamHI〜SalI部位にクローン化し(Brosius、 J.、Gene 2 7:151(1984))てpMEG-072を作製した。 pMEG-097中に存在するasd lys13 lys19カートリッジは、先の操作に由来するB amHI部位を含む多重クローン部位により分離される必須遺伝子および致死遺伝子 の両方を含む。この領域は28bpのPstI-XbaIフラグメントとしてpMEG-097から 欠失し、そして残りのベクターを再連結の前にT4 DNAポリメラーゼで処理した。 この結果、次いで、このasd lys13 lys19カートリッジを含むベクターpMEG-098 が得られた。asd lys13 lys19カートリッジを次に、pMEG-090をBglIIで消化し、 asd lys13 lys19を含むpMEG-098の2.26kbのBamHI〜BglIIフラグメントを挿入す ることによりpMEG-090の発現ベクターコアへ転移した。これにより図5に示され るようなpMEG-100を作製した。 ベクターpMEG-090は、pYA810の部分的なBglII消化を行うこと、p15Aの複製起 点、trcプロモーター、および転写ターミネーターを有する多重クローニング部 位を含むpYA810の1.6kbフラグメントを単離すること、ならびにそのフラグメン トをpUC-4Kの1.3kbのBamHIカナマイシン耐性エレメントに連結することによりpY A810から誘導された(Christie G.E.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:4180 (1981))。 pMEG-100中では、必須遺伝子および致死遺伝子は2個の異なる転写ターミネー ターで挟まれており、その1つはtrpAターミネーター(Christieら、Proc.Natl .Acad.Sci.USA 78:4180(1981))であり、もう一方は先に説明したAsd均衡致 死ベクターpYA248およびpYA292に使用されるリボソーム5Sターミネーター反復カ ートリッジである(EP第89900028.5号)。ベクターpMEG-100はまた、低コピー数の DNAポリメラーゼI依存性p15Aの複製起点および、pYA810由来の強いtrcプロモー ターを含み、そしてEP第89900028.5に記載のpYA292 Asdベクターに使用される。 次いで、pMEG-100のカナマイシン耐性エレメントを、部分的なSalI消化により 除去し、pMEG-104、すなわち図4に示すELVSベクターを作製した。 ELVSの第2の成分は、改変した細菌の遭遇した環境条件への応答に関連する調 節因子を含む宿主株である。この実施例において、宿主はcI857PRc2カートリッ ジを含むMGN-393または同胞株MGN-391である。cI857PRc2カートリッジはバクテ リオファージλ右プロモーターに駆動されるバクテリオファージP22 c2リプレッ サー遺伝子、およびバクテリオファージλ温度感受性リプレッサー遺伝子cI857 を含む。カートリッジはS.typhimurium asd遺伝子の挟まれた部分の間に位置し 、そして野生型S.typhimurium株χ3761の染色体asd遺伝子を置換する。より詳 細には、cI857PRc2カートリッジはc2遺伝子のヌクレオチド1〜650由来のバクテ リオファージP22のPCR増幅フラグメント(Sauerら、Biochem.20:3591-3598(198 1))と、cI857遺伝子およびλ右プロモーターを含む、λゲノムのヌクレオチド37 219〜38035由来のバクテリオファージλのPCR増幅フラグメント(Sangerら、J.M ol.Biol.162:729-773(1982))との組み合せである。このカートリッジ上で、 λ右プロモーターはP22 c2遺伝子の発現を駆動する。このカートリッジはヌクレ オチド243〜1460間のasd遺伝子の部分が欠失するS.typhimurium asd遺伝子の規 定した欠失の両脇部の間に挿入される。この欠失は、宿主株MGN-392による任意 のβ-アスパルテートセミアルデヒドデヒドロゲナーゼの生産を妨げる。 ELVSの機能を、SalmonellaおよびE.coliの両方について、S.typhimuriumに ついては宿主株MGN-392(表3)およびE.coliについては宿主株MGN-336(表1)を用 いて示す。MGN-392は、MGN-401(表1)を作製するためAsdベクターpYA292、または MGN-417(表3)を生産するためELV発現ベクターpMEG-417のいずれかでエレクトロ ポーレーションした。MGN-336はMGN-409(表1)を作製するために、ELVS発現ベク ターpMEG-104とエレクトロポーレーションした。これらの株を12〜16時間、37℃ でLennoxブロス中で通気せずに増殖させ、そして希釈液をLennox寒天上にプレー トし、続いて示した温度で72時間までインキュベートした。コロニー形成単位と して測定し、MGN-417について室温(25℃)で観察した平板効率は、同じ温度でAsd ベクターを含むMGN-401について観察した値より約10,000低い。ELVSベクターpME G-104を含むE.coli株MGN-409の室温インキュベーション後に観察したコロニー は、極端に小さく、増殖生存能が乏しいことを観察した(表4)。DAP存在下の25℃ における平板効率で得られた減少は、溶菌遺伝子が単独で機能し、95%以上の殺 菌を引き起こすことを示す。 L寒天またはL寒天+DAP上にプレートし、示した温度での72時間インキュベーシ ョン後の10または10希釈した培養株のコロニー形成単位(CFU) この生存能の減少を、MGN-417(表3)が室温で複合液体培地中で増殖しなかった Salmonellaに基づくELVSについて、図6のデータによりさらに示す。これらの条 件下では、MGN-417は増殖不能であり、25℃で24時間の非許容温度で回収可能細 菌の減少を示すが、AsdベクターpYA292を含むELVS宿主MGN-397は、37℃の許容温 度でMGN-401と同様に、さらに増殖する(表1)。 実施例2:環境制限生存能ベクターDNAの他の細菌宿主への制限された転移 この実施例は、cI857PRc2カートリッジを含まない細菌宿主が、許容温度でも 環境により制限される生存能システムを維持することが不可能であることを示す 。上記のようにpMEG-104の構築中、カナマイシン耐性遺伝子を含むpMEG-100ベク ターを作製した(図5)。ベクターpMEG-100およびテトラサイクリン耐性プラスミ ドpYA232は、MGN-399から同時精製した。ベクターpYA232は、pMEG-100上に存在 する p15Aの複製起点と適合可能である低コピー数pSC101レプリコンを有する。次いで 、MGN-399から単離されたプラスミドDNAのプールを、P22溶菌遺伝子の抑制に必 要なc2リプレッサー遺伝子を欠損したASD S.typhimurium宿主χ3730中にエレク トロポーレーションした。この株中で、pMEG-100上の溶菌遺伝子はpMEG-100によ る形質転換能力が制限されるはずである。プラスミドDNAの同じプールはまた、D NAの形質転換能力を確認するために宿主株のMGN-391(表1)中にエレクトロポーレ ーションした。非特異的宿主χ3730がELVSプラスミドを増殖させることが不可能 であることは、同じDNA混合物中でのpYA232に対する、pMEG-100を用いて得られ たエレクトロポーレーション体の数における約3,000倍の減少により証明される 。テトラサイクリンおよびDAP含有L寒天上のCFUは、pYA232の回収頻度を示す。 pMEG-100およびpYA232プラスミドDNAの混合物をS.typhimurium MGN-399から 単離し、そしてエレクトロポーレーションで、列挙した細菌株の形質転換に用い た。 CFU(コロニー形成単位)を、テトラサイクリンを含有する(15μg/ml)か、また は含有しないLA(Lennox寒天)プレート上に散布した希釈液をインキュベートする ことにより測定した;ジアミノピメリン酸(DAP;50μg/ml)またはカナマイシン (Km;30μg/ml)、37℃。 実施例3 温度調節されるpolA宿主の構築 この実施例は、環境により制限される生存能システムの有効性が温度調節polA 遺伝子を用いることによりさらに確実にされる、Δasd環境により制限される生 存能システムの設計を説明する。染色体polA遺伝子を37℃で発現するが30℃以下 の温度では発現しない、従って非許容温度で必須asd遺伝子を含むpolA依存性レ プリコンのさらなる複製を阻止するように変更した。上記のように、p15A.pBR およびpUCの複製起点を有するプラスミドの複製は、DNAポリメラーゼIに依存す る。これらのレプリコンは、クローニングベクターで広く用いられている。これ らのpolA依存性プラスミドが30℃以下の温度での複製の不能性は、30℃以下の温 度で増殖する細胞の集団からのプラスミドベクターの欠失をもたらす。これはAs d合成能の欠損をもたらし、さらにDAPの合成を低下し、そして最終的には排除す ることになる。上記のように、DAPは細菌細胞壁の硬い層の必須構成成分である ので、DAPの欠失は30℃以下の温度で増殖しようとする細胞のDAP喪失死および溶 菌を引き起こす。 S.typhimurium polA遺伝子は、pSC101のような低コピー数のpolA非依存性ベ クター中にクローン化されたS.typhimurium DNAの5〜7kb Sau3Aフラグメントの ライブラリーから単離し得る。ライブラリーを温度感受性poA変異体χ1891にエ レクトロポーレーションし、細胞を42℃で増殖させる場合、polAクローンは、そ れらのpolA依存性プラスミド奪回(rescue)能力により選択され得る。 次いで、polAのプロモーター領域を排除するが、翻訳開始のためのShine-Dalg arno配列を維持するように設計されたプライマーを用いてS.typhimurium polA 遺伝子の逆PCR増幅を行い得る。次いで、polAプロモーターを、温度感受性CI857 リプレッサーにより調節されるバクテリオファージλ左プロモーターで置換する 。 次いで、この温度調節されるpolAカートリッジを、pMGE-011のようなpir依存 性自殺ベクターに転移し、そしてMGN-392のようなS.typhimurium宿主にエレク トロポーレーションし得る。自殺ベクターの複製に必要とされるpir遺伝子を欠 失しているS.typhimurium株を用いることにより、温度調節されるpolA遺伝子を 有する自殺ベクターは一回の組換え操作により染色体中に組み込まれる。続いて フザリン酸を用いて自殺ベクター上のテトラサイクリン耐性エレメントに対して 選択することにより、野性型polA遺伝子を温度調節されるpolA遺伝子で置き換え る2回目のクロスオーバー操作を受けた株の単離が可能である。従って、得られ た株は温度調節される発現polAおよびC2(asdの規定した欠失中のcI857PRc2カー トリッジに由来する)の温度調節される発現を提供する。次いで、ELVSベクターp MEG-104、またはPtcrから下流の多重クローニング部位に挿入された外来遺伝子 を有する誘導体をこの株に導入し得る。この株は37℃で増殖する。しかし、30℃ 以下の温度では、asd遺伝子を有するプラスミドベクターの維持の不能性、およ びasdの発現の不能性の両方のために、株はDAP喪失死をうけ、そしてまたファー ジ溶菌遺伝子lys13およびlys19の発現のために溶菌する。 実施例4 染色体に基づく環境により制限される生存能システムの構築 ベクターに基づく温度調節される環境により制限される生存能システムの構築 において記載した同じ成分を、染色体に基づくELVSを作製するために利用し得る 。cI857PRc2カートリッジを含む規定したasd欠失を、ワクチンとしての用途また は価値の高い産物を生産する培養器中のようなその目的の用途に所望される特性 を有する細菌株に最初に導入する。cI857pRc2カートリッジを含む規定したasd欠 失の組み込みは、MGN-392の構築のための、上記と同じ方法を用いて達成され得 る。次いで、pMEG-104由来の温度調節されるasd溶菌カートリッジを、選択され た遺伝子の規定した欠失を含む自殺ベクターに転移し得る。選択される遺伝子の 染色体コピーは、asd溶菌カートリッジに対する染色体組み込みの標的部位であ る。宿主細胞が病原体である場合、選択される遺伝子は、ワクチン株の場合のよ うに、その不活化が宿主細胞を弱毒化し、それを無毒性かつ免疫原性にする遺伝 子であることが好ましい。このような選択される遺伝子は例えば、cya、crp、ph oP、aroA、aroC、aroD,ompR、htrA、およびcdtであり得る。あるいは、選択さ れる遺伝子は、操作された株が検知し得る欠損を有さないように、重要でない遺 伝子でもあり得る。発酵性株については、選択される遺伝子は、その不活化が、 発現した外来遺伝子産物を分解する能力がより減少するような、改善された生産 性特性 を有する発酵産物を生じるように選ばれ得る。 次いで、規定した欠失を有する選択された遺伝子中に挿入された、asd溶菌カ ートリッジを含む自殺ベクターは、cI857PRc2調節カートリッジを含む規定され た欠失を有する株中にエレクトロポーレーションされる。上記のように、第1お よび第2組換え操作のために選択することにより、組み込みが達成され得る。得 られた株は染色体上のELVSのすべての成分を有する。この株をワクチンとして使 用する場合、外来抗原の発現は、その外来抗原に対する発現システムを染色体中 に組み込むことによって達成され得る。あるいは、外来抗原に対する遺伝子は、 薬剤耐性遺伝子を欠失するが、purAまたはcarのような野性型遺伝子を含有する プラスミドベクター上に含まれ得る。このようなベクター保持遺伝子は、ΔpurA またはΔcarA染色体変異を有するワクチン株の動物宿主体内での増殖および複製 に必須である。外来遺伝子産物の高レベルの発現を達成するために、染色体に配 置されたELVSを有する培養産物株に対するベクターシステムをを確立するために 、同様の考察が用いられ得る。 実施例5 アラビノースにより調節される、 環境により制限される生存能システムの構築と生体外試験 この実施例は、アラビノースにより調節されるELVSの構築およびその有効性の インビトロでの証明を記載する。図13に示すアラビノースにより調節されるELVS の成分を生産するために用いた方法は、標準的な分子クローニング技術を使用し た。図13に示すELVSは、染色体でコードされるC2リプレッサーを有するアラビノ ースにより調節される死亡遅延型の環境により制限される生存能システムである 。アラビノースの存在により、2個の異なるプラスミドpMEG-104およびpMEG-209 上に示されるように、溶菌遺伝子の発現を順番に妨げるC2リプレッサーが生産さ れる。ELVSプラスミドpMEG-104の構築は、実施例1に記載される。別のELVSプラ スミドpMEG-209は、pMEG-104から、制限酵素BglIIおよびMelを用いてλPを欠失 させ、そしてそれをpMEG-014のλcI857PのBamHI〜Ndelフラグメントで置換する ことにより構築され、これはλcI調節右プロモーターおよび温度感受性CI857リ プレッサーの両方を高レベルで提供する。染色体にコードされるP22 C2リプレッ サ ーは、asd-19欠失中に挿入されたc2遺伝子を転写するアラビノースにより調節さ れるBADプロモーターにより提供される。PBAD調節を有するc2を含むasd-19欠失 の染色体組み込みが、自殺プラスミドpMEG-221(表2)を用いて得られた。 アラビノースにより調節される溶菌システムの有効性のインビトロでの分析は 、図13に示すように、もとのELVSプラスミド、pMEG-104、および染色体アラビノ ースにより調節されるC2リプレッサーを含むMGN-797(表1)を用いて測定された。 この実施例では、非許容環境(すなわち、アラビノース欠失環境)におけるMGN-79 7細胞の死滅が、増殖細胞中のC2リプレッサーの希釈後の溶菌タンパク質の発現 を生じる。MGN-797(pMEG-104を有する)を、0.2%アラビノース含有または非含有 Lennoxブロス中に1/1000に希釈する前に、12〜16時間、通気せずに0.2%アラビ ノース含有Lennoxブロス中で増殖させた。図14のグラフは、0.2%アラビノース 非含有または含有のいずれかの培地へ細胞を移した後の、MNG-797ELVSの増殖を 示す。図14中、黒丸の点線で示すように、MGN-797細胞はアラビノース非含有の 非許容環境へ移行後わずか2時間後に死滅し始める。この結果は、非許容環境中 でのELVSの一時的な生存能力を示し、そしてこのような封じ込めシステムは宿主 動物中で一時的に生存能力を維持する(効果を発揮するに充分長い)が、持続性お よび放出を減少させ、そしてこの環境においてELVS株の増殖および水平移行を防 止することを示す。このアラビノースにより調節されるシステムまたは本明細書 中に記載の類似の調節システムの弱毒化ワクチン株への導入は、防御免疫応答を 動物中に作製するために使用し得るが、宿主動物により輸送および放出が減少さ せられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI (C12N 1/21 C12R 1:19) (C12N 1/21 C12R 1:42)

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.環境に制限される生存能システムを含む単離された微生物細胞であって、 該細胞は、許容環境中で生存可能であり、非許容環境中では生存不可能であるか 、または一時的に生存可能であり、該システムは、 必須遺伝子であって、該細胞中の該遺伝子の発現が、該細胞の生存能に必須で あり、該必須遺伝子は、該細胞が該許容環境中にある場合に発現され、そして該 細胞が該非許容環境中にある場合には発現されないか、または一時的に発現され る、必須遺伝子 を含む、細胞 2.前記システムが、致死遺伝子であって、該遺伝子の発現は、該細胞に致死 的であり、そして該致死遺伝子は、該細胞が該非許容環境中にある場合に発現さ れるが、該細胞が該許容環境中にある場合には発現されない、致死遺伝子をさら に含む、請求項1に記載の細胞。 3.前記細胞が、前記許容環境中で増殖し、そして前記非許容環境中で死亡す る、請求項1に記載の細胞。 4.前記許容環境が、前記必須遺伝子の発現を維持するために必要な栄養素を 含有する環境を含み、そして前記非許容環境が、該栄養素を欠く環境を含む、請 求項1に記載の細胞。 5.前記許容環境が温血動物の内部であり、そして前記非許容環境が温血動物 の外部である、請求項1に記載の細胞。 6.前記致死遺伝子が染色体外ベクターに保持される、請求項2に記載の細胞 。 7.前記致死遺伝子の発現が、前記細胞の染色体上の調節遺伝子の発現産物に より調節される、請求項6に記載の細胞。 8.前記致死遺伝子の発現が、染色体外ベクター上の調節遺伝子の発現産物に より調節される。請求項6に記載の細胞。 9.前記致死遺伝子が前記細胞の染色体上に保持される、請求項2に記載の細 胞。 10.前記致死遺伝子の発現が、該細胞の染色体上の調節遺伝子の発現産物に より調節される、請求項9に記載の細胞。 11.前記致死遺伝子の発現が、染色体外ベクター上の調節遺伝子の発現産物 により調節される、請求項9に記載の細胞。 12.前記必須遺伝子が、araC-PBADに作動可能に連結されたasd遺伝子を含む 、請求項9に記載の細胞。 13.前記調節遺伝子の発現産物が、前記致死遺伝子の発現を阻害し、そして 前記許容環境中でのみ発現されるか、または活性である、請求項7に記載の細胞 。 14.前記調節遺伝子の発現産物が、前記致死遺伝子の発現を誘導し、そして 前記非許容環境中でのみ発現されるか、または活性である請求項7に記載の細胞 。 15.前記ベクターが2つの致死遺伝子を有する、請求項6に記載の細胞。 16.前記ベクターがpMEG-104を含む、請求項15に記載の細胞。 17.前記細胞がグラム陰性細菌である、請求項1に記載の細胞。 18.前記グラム陰性細菌が腸内細菌である、請求項17に記載の細胞。 19.前記腸内細菌の属が、EscherichiaおよびSalmonellaからなる群より選 択される、請求項18に記載の細胞。 20.前記必須遺伝子が染色体外ベクター上に保持される、請求項1に記載の 細胞。 21.前記必須遺伝子の発現が、前記細胞の染色体上の調節遺伝子の発現産物 により調節される、請求項20に記載の細胞。 22.前記必須遺伝子の発現が、染色体外ベクター上の調節遺伝子の発現産物 により調節される、請求項20に記載の細胞。 23.前記必須遺伝子が前記細胞の染色体上に保持される、請求項1に記載の 細胞。 24.前記必須遺伝子の発現が、前記細胞の染色体上の調節遺伝子の発現産物 により調節される、請求項23に記載の細胞。 25.前記必須遺伝子の発現が、染色体外ベクター上の調節遺伝子の発現産物 により調節される、請求項23に記載の細胞。 26.前記必須遺伝子の発現が、調節遺伝子の発現産物により調節される、請 求項1に記載の細胞。 27.前記調節遺伝子の発現産物が前記必須遺伝子の発現を阻害し、そして前 記非許容環境中でのみ発現されるか、または活性である、請求項26に記載の細 胞。 28.前記必須遺伝子がaraC-PBADに作動可能に連結されるasd遺伝子を含む、 請求項27に記載の細胞。 29.前記調節遺伝子の発現産物が前記必須遺伝子の発現を誘導し、そして前 記許容環境中でのみ発現されるか、または活性である、請求項26に記載の細胞 。 30.前記システムが、前記細胞の染色体上に保持される複製遺伝子をさらに 含み、ここで、該複製遺伝子の発現は、前記ベクターの複製に必要であり、該複 製遺伝子は前記許容環境中で発現され、そして前記非許容環境中では発現されな い、請求項20に記載の細胞。 31.前記複製遺伝子の発現が、調節遺伝子の発現産物により調節される、請 求項30に記載の細胞。 32.前記調節遺伝子の発現産物が、前記複製遺伝子の発現を阻害し、そして 前記非許容環境中でのみ発現されるか、または活性である、請求項31に記載の 細胞。 33.前記調節遺伝子の発現産物が、前記複製遺伝子の発現を誘導し、そして 該許容環境でのみ発現されるか、または活性である、請求項31に記載の細胞。 34.発現遺伝子をさらに含み、該発現遺伝子が所望の発現産物をコードする 、請求項1に記載の細胞。 35.前記所望の発現産物が抗原である、請求項34に記載の細胞。 36.前記抗原が、細菌抗原、ウイルス抗原、植物抗原、カビ抗原、昆虫抗原 、および非昆虫動物抗原からなる群より選択される、請求項35に記載の細胞。 37.ワクチンとしての使用のための請求項2に記載の細胞であって、該細胞 は、動物中にある場合、一時的に生存可能であり、前記必須遺伝子は、該細胞が 該動物中にある場合、一時的に発現され、そして前記致死遺伝子は、該細胞が所 定の期間、該動物中にあった後でのみ、該細胞が該動物中にある場合、発現され れ、ここで、前記許容環境は、該必須遺伝子の発現を維持し、そして該致死遺伝 子の発現を防止するために必要な栄養素を含む環境を含み、そして前記非許容環 境は、該栄養素を欠く環境を含む、細胞。 38.前記栄養素がアラビノースである、請求項37に記載の細胞。 39.発現遺伝子をさらに含み、該発現遺伝子が所望の発現産物をコードする 、請求項37に記載の細胞。 40.前記所望の発現産物が抗原である、請求項39に記載の細胞。 41.前記抗原が、細菌抗原、ウイルス抗原、植物抗原、カビ抗原、昆虫抗原 、および非昆虫動物抗原からなる群より選択される、請求項40に記載の細胞。 42.ワクチンとしての使用のための請求項2に記載の細胞であって、該細胞 は、動物中にある場合、生存可能であり、そして該動物の外部にある場合、生存 不可能であり、前記必須遺伝子は、該細胞が該動物中にある場合、発現され、そ して該細胞が該動物の外部にある場合、発現されず、そして前記致死細胞は、該 細胞が該動物の外部にある場合、発現され、そして該動物中にある場合、発現さ れ、ここで、前記許容環境が約37℃の温度を含み、そして前記非許容環境が約30 ℃未満の温度を含む、細胞。 43.前記細胞が前記非許容環境中で一時的に生存可能である、請求項1に記 載の細胞。 44.転移ベクターをさらに含む、請求項1に記載の細胞。 45.前記致死遺伝子がプロファージの切除に必要な遺伝子であり、ここで該 プロファージは前記細胞の染色体中にあり、そして該プロファージの切除は該細 胞の溶解を引き起こす、請求項2に記載の細胞。 46.環境により制限される生存能を有する細胞株を作製する方法であって、 細胞中に、 必須遺伝子であって、該細胞中の該遺伝子の発現は、該細胞の生存能に必須で あり、該必須遺伝子は、該細胞が該許容環境中にある場合に発現され、そして該 細胞が該非許容環境中にある場合には発現されないか、または一時的に発現され る、必須遺伝子 を安定に導入する工程を包含し、ここで、該細胞株が、該許容環境中で生存可能 であり、該非許容環境中で生存不可能であるか、または一時的に生存可能である 、方法。 47.細胞中に、 致死遺伝子、ここで、該遺伝子の発現は、該細胞に致死的であり、そして該致 死遺伝子は、該細胞が該非許容環境中にある場合に発現されるが、該細胞が該許 容環境中にある場合には発現されない、致死遺伝子を安定に導入する工程、をさ らに包含する、請求項46に記載の方法。 48.前記許容環境が約37℃の温度を含み、そして前記非許容環境が約30℃未 満の温度を含む、請求項46に記載の方法。 49.前記許容環境が温血動物の内部であり、そして前記非許容環境が温血動 物の外部である、請求項46に記載の方法。 50.前記細胞が、前記非許容環境中で一時的に生存可能である、請求項46 に記載の方法。 51.動物において免疫応答を誘導する方法であって、 該動物に、環境により制限される生存能システムを含む微生物細胞を含む組成物 を投与する工程を包含し、該システムが、 必須遺伝子であって、該細胞中の該遺伝子の発現が該細胞の生存能に必須であ る、遺伝子を含み、ここで、 (i)該細胞は、該動物中にある場合、生存可能であり、そして該動物の外部に ある場合、生存不可能であり、そして該必須遺伝子は、該細胞が該動物中にある 場合、発現され、そして該動物の外部にある場合、発現されないか、または (ii)該細胞は、該動物中にある場合、一時的に生存可能であり、そして該必須 遺伝子は、該細胞が該動物中にある場合、一時的に発現される、 方法。 52.前記システムが致死遺伝子をさらに含む、請求項51に記載の方法であ って、該遺伝子の発現が前記細胞に致死的であり、ここで、 (i)該細胞は、該動物中にある場合、生存可能であり、そして該動物の外部に ある場合、生存不可能であり、該必須遺伝子は、該細胞が該動物中にある場合、 発現され、そして該動物の外部にある場合、発現されず、そして該致死遺伝子は 、該動物の外部にある場合、発現されるが、該動物中にある場合、発現されない か、または (ii)該細胞は、該動物中にある場合、一時的に生存可能であり、該必須遺伝子 は、該細胞が該動物中にある場合、一時的に発現され、そして該致死遺伝子は、 該細胞が該動物中にある場合、発現される、 方法。 53.前記システムが発現遺伝子をさらに含み、ここで、該発現遺伝子が抗原 をコードする、請求項51に記載の方法。 54.前記抗原が、細菌抗原、ウイルス抗原、植物抗原、カビ抗原、昆虫抗原 、および非昆虫動物抗原からなる群より選択される、請求項53に記載の方法。 55.前記細胞が前記動物の粘膜表面に投与される、請求項51に記載の方法 。 56.前記粘膜表面が胃腸管にある、請求項55に記載の方法。 57.前記必須遺伝子が染色体外ベクター上に保持され、そして前記システム が、前記細胞の染色体上に保持される複製遺伝子をさらに含み、該複製遺伝子の 発現は該ベクターの複製に必要であり、ここで、該複製遺伝子は、該細胞が前記 動物中にある場合、発現され、そして該細胞が該動物の外部にある場合、発現さ れない、請求項51に記載の方法。 58.前記必須遺伝子が染色体外ベクター上に保持され、そして前記システム が、前記細胞の染色体上に保持された複製遺伝子をさらに含み、該複製遺伝子の 発現は該ベクターの複製に必要であり、ここで該複製遺伝子は、該細胞が前記動 物中にある場合、制限された時間発現される、請求項51に記載の方法。 59.前記細胞が、前記動物中にある場合、一時的に生存可能である、請求項 51に記載の方法。
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