JPH11505247A - 15−リポキシゲナーゼを誘導するためのil−13の使用 - Google Patents

15−リポキシゲナーゼを誘導するためのil−13の使用

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JPH11505247A
JPH11505247A JP8534942A JP53494296A JPH11505247A JP H11505247 A JPH11505247 A JP H11505247A JP 8534942 A JP8534942 A JP 8534942A JP 53494296 A JP53494296 A JP 53494296A JP H11505247 A JPH11505247 A JP H11505247A
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JP8534942A
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エフ. バドル,カマル
ジー. ラッキス,ファディ
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エモリー ユニバーシティー
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、IL-13が、ヒト単球において15-LOを誘導するという発見に基づく。驚くべきことに、IL-13は、15-LOの誘導において、モルベースでIL-4より約10倍も活性であることが見出された。従って、IL-13は、15-S-HETEおよびLXA4を含む15-LO活性の産物に応答する炎症状態の効果的な治療薬である。IL-13の投与は、内因性抗炎症性分子の合成をもたらす内因性経路を増強することにより、炎症プロセスそのものの末端エフェクターの阻害をもたらす。従って、基本的戦略は、炎症の症状を処置する現行の方法よりはむしろ、特定の病因分子に対する直接的な介入である。

Description

【発明の詳細な説明】 15-リポキシゲナーゼを誘導するためのIL-13の使用 米国国立衛生研究所助成金RO1 DK43883による研究援助に基づき、米国政府は 本発明に対し、一定の権利を有する。発明の技術分野 本発明は、特に動物およびヒトの単球/マクロファージ媒介性炎症状態に関す る抗炎症効果を可能にする生成物および末端エフェクター(end-effector)の調 節に関する。発明の背景技術 炎症は、動物およびヒトを冒す非常に多数の生理学的および病理学的な状態に 関与する。炎症応答は、通常、抗原、アレルゲン、刺激物、エンドドキシンまた は組織損傷に対する免疫応答にまでさかのぼることができる。このプロセスは、 非常に多数の成分が関与する複雑なプロセスであり、その成分の多くは多面作用 効果(pleiotropic effect)を示し、その多くは他の成分の増幅因子または阻害 因子である。多くの場合の炎症反応は、十分に制御され、自己限定的である一方 で、多くの病理学的状態は、無秩序または不適切な応答から生じ、急性状態およ び慢性状態の両方をもたらす。 炎症反応は、誘因事象の性質に関して異なるばかりでなく、その応答を媒介す る細胞のタイプおよび末端エフェクターの生化学的性質においても異なる。特に 、単球/マクロファージ活性によって媒介される炎症は、他の器官系に影響を及 ぼす免疫複合体誘発性の一次炎症性疾患(例えば、糸球体腎炎、慢性間質性腎炎 、間質性肺炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、変形性関節症、胆汁性肝硬変など) を 含む重度の慢性状態または致命的状態をもたらし得る:これはまた、結合組織疾 患(慢性関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡など)を含む;さらに、開始原因の性 質にかかわらず無秩序な炎症/繊維形成プロセスを組織破壊の中心的原因とする 二次的な進行性の炎症性疾患(例えば、慢性肝炎(開始原因が、感染性、中毒性 、アルコール性などとしても)、肺、腎臓、中枢神経系の放射線誘導性の慢性炎 症、結晶沈着によって誘導される炎症(痛風など)、および種々の形態の外傷後 の炎症性損傷(関節炎など))を含む。多くの先行の治療戦略は、そのプロセス そのものに影響を及ぼすことなく、疾患の様々な症状を緩和することに向けられ てきた。疾患プロセスそのものに効果的に介入するため、本発明は、特定の病原 性分子および末端エフェクターを同定する戦略に基づき、その結果、これらの分 子を阻害または抑制し得る薬剤を開発することができる。 ラットで実験的に誘導した糸球体腎炎の系は、疾患の発症プロセスおよび組織 破壊の生化学的媒介因子の性質に関して有意義な情報を与える。Badr,K.(199 2)Kidney International 42(Suppl.38):S-101〜S-108を参照のこと(本明細書 中で参考として援用される)。糸球体における免疫複合体の存在は、その供給源 、形成経路または糸球体内の位置に関わらず、不可避的かつ必然的に、多形核白 血球(PMN)の補体媒介性流入と活性化を誘発する。PMN浸潤の極めて一時的な性 質(免疫活性化後の最初の数時間)により、様々な形態の糸球体腎炎の患者から 得た腎臓生検中にそれを発見することはまれであり、そのために、最終的な疾患 の結果におけるこの初期の炎症事象の潜在的役割は過少評価されている。しかし 、感染後の糸球体腎炎患者の場合のように、進行中の急性損傷中に生検を行なっ た場合には、しばしばPMNが検出される。特徴的に、好中球浸潤/活性化のこの最 初の波は、単球浸潤ならびにマクロファージの増殖および活性化により置換され る。この二次的(「自己」)相の間では、損傷は、マクロファージおよび固有の 腎糸球体細胞(特にメサンギウム細胞と上皮細胞)の活性化/増殖の結果による ばか りでなく、タンパク質分解および脂質過酸化の結果の初期の白血球の活性化およ び脱顆粒の結果として暴露された宿主組織に由来する、新抗原(neo-antigen) に対する新たな免疫反応により永続し得ると考えられる。免疫損傷のより慢性的 な相に関与する細胞の数、これらの「刺激された」細胞集団間の相互作用、従っ て、細胞損傷および正常な糸球体構造の細胞外マトリックスによる最終的な置換 (繊維症)の基礎となる無数のペプチドおよび脂質由来の媒介因子は、驚くほど である。マトリックス膨張および瘢痕形成の媒介因子を標的とすることにより糸 球体損傷を阻止することを目指す戦略は有望だが、損傷のこの相における「媒介 因子スープ」の複雑さ、および関与する種々の細胞集団(管状間質エレメントを 含む)は、効果的な治療的介入の開発にとって、重大な理論的および実施上の応 用的障害となる。 初期の免疫媒介性損傷の重篤度を支配する機構を標的にすることは、極めて一 般的に、免疫沈着による腎不全をもたらすこれらの疾患が、ほとんどの場合、数 ヶ月から数年にわたって進行し、漸進的なネフロン損失相を示すという前提に基 づく。いくつかの形態の糸球体腎炎での病理学的検査から得られた証拠は、損傷 が不均質であることを示している。健康な糸球体に対する冒された糸球体の数は 患者間で異なり、そして個々の患者でも経時的に変化する。さらに、個々の糸球 体内では、病変が、多くの場合、特定の小葉に存在する炎症反応で分節され、一 方で、その他の部分は全く正常である。これらのデータ、ならびに極めて多様な 期間にわたって着実に減少していく腎臓保留分を特徴とする臨床的経過は、個々 の患者で、「初期」損傷が、ある固定されたネフロンの割合で継続的に起こって いることを強く示唆する。従って、これらの初期事象を特異的に標的とする治療 法の設立が、これらのネフロンにおける進行中の初期損傷を、たとえ少数であっ ても阻止し、そしてより重要なことに、無傷のネフロンにおけるその発生を、そ れらの正常な糸球体における免疫複合体の潜在的に継続した沈着または形成にも かかわらず、防止または中断すると予測することは合理的である。この後者の仮 定は、細胞浸潤(例えば、白血球または補体枯渇動物の場合)またはアラキドン 酸代謝産物を生成する能力(例えば、脂肪酸欠損動物の場合)がなく、糸球体毛 細管壁またはメサンギウムにおける抗原−抗体複合体の単なる沈着は、糸球体の 構造および機能に対する有害な急性または慢性の結果を伴わないことを示す実験 的研究から得られた劇的な証拠に基づく。 白血球活性化は、分解酵素の放出、活性酸素種の生成、および局所的に作用す る前炎症性オータコイドの生合成をもたらす。後者のうち、アラキドン酸の酸素 化代謝産物は、白血球活性化の主たる産物であることが知られており、細胞機能 に対して強力な生物学的効果を発揮する。アラキドン酸リポキシゲナーゼ(LO) 酵素ファミリーは、白血球および血小板において極めて強力な生物学的媒介因子 の形成を触媒する。PMNとマクロファージにおいて優勢なLO経路は5-LOであり、 これはロイコトリエン(LT)および5-ヒドロキシエイコサテトラエン酸(5-HETE )の形成をもたらす(Samuelson,B.ら(1987)Science 237:1171-1176)。スル フィドペプチドLT(LTC4、LTD4およびLTE4)および非ペプチジルLTB4は、強力な 生物学的応答を引き起こす。LTC4およびLTD4は、血管、肺および胃腸平滑筋を収 縮し、そして高分子に対する血管透過性を増大させる(Lewis,R.Aら(1984)J .Clini.Invest.73:889-897;Samuelson,B.ら(1987)前出)。LTB4の痙攣誘 発性はごく僅かである。その主たる標的は、LTB4に対する特異的な高親和性受容 体および低親和性受容体を発現させるPMNであると思われる。LTB4は、前者によ り、これまでに記述されたこの細胞に対する最も強力な化学誘因物質であり、PM Nの凝集および内皮への接着を増大させる。これは、後者により、カルシウムイ オノフォアとして作用し、PMN活性化、ホスホイノシチド代謝回転の刺激、リソ ソーム酵素の放出、および酸化的代謝の増大をもたらす。また、活性化されたPM Nは、その合成がプロテインキナーゼCの活性化に共役するLTB4の供給源とし て最もよく研究されている。 正常な糸球体と炎症を起こした糸球体に対するLTC4、LTD4およびLTB4の直接的 効果が測定されている。LTA4は、5-LO活性の産物であり、LTC4およびLTB4の両方 の前駆体として作用する。前者はグルタチオン-S-トランスフェラーゼの活性を 必要とし、後者はLTA4ヒドロラーゼの産物である。LTD4は、LTC4からグルタミル 部分を除去するγ-グルタミルトランスフェラーゼの産物である。LTD4は、正常 糸球体および炎症糸球体の両方に作用して、糸球体毛細管限外濾過係数を減少さ せるという強力な効果を有する。これは、糸球体腎炎の機能低下の主たる媒介因 子であると考えられる。LTC4は、正常な腎臓に作用して腎臓血流および糸球体濾 過速度を減少させることが示されており、そして炎症糸球体でも同様に作用する と考えられる。これに対して、LTB4は、正常な糸球体に対する直接的効果をほと んど有さない。しかし、これは、PMNに対する強力な化学誘因物質である。糸球 体腎炎におけるLTB4の役割は、PMNの補充と活性化の増強による糸球体潅流の白 血球依存的減少の間接的増幅因子であると考えられる。 15-リポキシゲナーゼ(15-LO)活性によって開始される別の代謝経路は、5-LO 活性の産物に対してアンタゴニスト作用を有する化合物をもたらす。15-LOによ るアラキドン酸のヒドロペルオキシ化(hydroperoxidation)は、15-S-ヒドロキ シエイコサテトラエン酸[15-S-HETE]の形成をもたらす。活性化された好中球 およびマクロファージにおける5位および15位の両方での二重の脂質酸化(lipo xygenation)は、一連の「リポキシゲナーゼ相互作用産物」[リポキシン(lypo xin;LX)]を与える(Samuelson,B.ら(1987)前出)。5-LOと同様に、15-LO 遺伝子発現は、ほとんど白血球細胞株に限定されているが、網状赤血球および気 道上皮細胞でも検出されている。ヒト15-LOのcDNAプローブを用いて、ノーザン 分析により、糸球体細胞株における遺伝子発現は検出されていない。マクロファ ージは、15-LO(従って15-S-HETEおよびLX)の特に豊富な供給源である。生物学 的に活性な3種類のリポキシンが同定されている。LXA4(55,6R,155)-5,6,15-ト リヒドロキシ-7,9,13-trans-11-cis-エイコサテトラエン酸、LXB4(55,14R,155)- 5,14,15-トリヒドロキシ-6,10,12-trans-8-cis-エイコサテトラエン酸、および7 -cis-11-trans-LXA4(Samuelson,B.ら(1987)前出;Nicolau,K.C.ら(1989) Biochem.Biophys.Acta 1003:44-53)。それらの腎臓作用の薬理学的プロフィ ールは、最近、特徴づけられた(Katoh,T.ら(1992)Am.J.Physiol.263:F43 6-F442)。リポキシン合成はまた、ロイコトリエンの合成と同様に、隣接細胞( メサンギウム細胞または血小板など)中の15-LOまたは12-LOのいずれかによって 、白血球が生産したLTA4の変換によって起こり得る。 15-LO産物の一般的な抗炎症の役割に関する証拠は、臨床的観察とインビボお よびインビトロにおける実験的研究から導かれた。15-S-HETEの投与は、ヒトに おける乾癬病変の後退を引き起こし、イヌ関節炎モデルの臨床的重篤度を有意に 減少させる。 化合物15-S-HETEは、PMNのLTB4誘発性走化性の特異的アンタゴニストである。 他の走化性活性物質は阻害されない。15-S-HETEはまた、白血球の活性化を中断 し、内皮に対するPMNの接着を排除し、そして白血球によるLTB4合成を抑制する 。実験的糸球体腎炎では、LTB4の産生が、損傷後約3時間でピークに達し、そし て約72時間後に基礎レベルまで低下する。これに対し、15-S-HETEレベルは、時 間と共に2週間まで徐々に増大し、上述のアンタゴニスト効果を達成するのに必 要な量と一致するレベルに達する。この動態は、よりゆっくりと作用する15-LO 経路が、炎症プロセスが開始されると、そのプロセスの強度と範囲を阻害および 制限するように機能するという見解と合致する。リポキシン(特にLXA4)はまた 、重要な抗炎症機能を有する。例えば、LXA4は、ロイコトリエンのアンタゴニス トとして作用し、抗走化性効果および直接的な血管弛緩活性を有し、糸球体濾過 速度を増大させる。LXA4は、LTD4受容体結合の競争的阻害因子として作用する。 LX A4はまた、メサンギウム細胞に対するPMN接着を防止または阻害する。炎症プロ セスの促進または阻害における5-LO経路と15-LO経路との反作用効果の一般的図 式を図1に示す。 哺乳動物の免疫系の多岐にわたる応答様式は、サイトカインと呼ばれる種々の 分泌される免疫調節タンパク質によって調節される。これらには、種々のコロニ ー刺激因子、ケモカイン、インターロイキンおよびインターフェロン−γ(INF- γ)が含まれる。種々の免疫型応答の特徴は、ほとんど、それぞれの場合におい てそれに関与する細胞タイプおよびサイトカインネットワークによって制御され る。例えば、ヘルパーT細胞のTh1サブセット(subset)の関与は、IFN-γおよび インターロイキン-2(IL-2)の分泌をもたらし、それらは遅延型過敏応答を促 進するようである。ヘルパーT細胞のTh2サブセットによって媒介される別のタ イプの応答は、IL-4およびIL-5の分泌を特徴とし、これらは抗体反応を促進する ように機能する。最近の総説については、Mosmann,T.R.ら(1989)Annu.Rev. Immunol.7:145-173を参照のこと。免疫系の多くの細胞タイプによるサイトカイ ンの各集合に対する複雑な一連の正または負の応答が存在する。サイトカインネ ットワークの機能に関して多くのことが知られている。しかし、新しい知見およ び新しいサイトカインの発見により、当業者は、しばしばサイトカインネットワ ーク相互作用の理論を改めることを必要とする。 インターロイキン13(IL-13)は、初めは、ヘルパーT細胞株によって生産さ れる誘導特異的cDNAのライブラリーから発見された。そのヌクレオチド配列と推 定アミノ酸配列は、その機能に関して多くのことがわかる前に知られていた。そ の後の機能的研究により、IL-13は多くの機能的特性をIL-4と共有するが、いく つかの重要な相違もあることが示された。最近の総説については、Zurawski,G. ら(1994)Immunology Today 15:19-26を参照のこと。IL-4およびIL-13の両方は 、免疫グロブリンスイッチングを促進してIgE生産を増大させる。このことはア レ ルギー反応の刺激における可能な役割を示唆する。一方で、IL-4およびIL-13の 両方は、単球による前炎症性サイトカイン(IL-1α、IL-1β、IL-6、IL-8、マク ロファージ炎症性タンパク質1α(MIP-1α)、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)、顆 粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)および顆粒球コロニー刺激因 子(G-CSF)を含む)の生産をダウンレギュレートする。また、IL-4と同様に、I L-13は、抗炎症活性を有するタンパク質のIL-1受容体アンタゴニスト(IL-1ra) をアップレギュレートする。IL-4およびIL-13の受容体は類似しているか、また はおそらくは共通するサブユニットを占めるという証拠がある。例えば、改変さ れたヒトIL-4(Y124D)は、IL-4およびIL-13の両方の受容体アンタゴニストとし て作用する。しかし、IL-4受容体であり得るIL-4結合性タンパク質は、IL-13を 結合しない。 IL-13活性およびIL-4活性には重大な相違が存在する。最も著しいのは、IL-13 はT細胞を活性化する能力を有さないが、IL-4はT細胞および単球の両方を活性 化する。IL-13は単球におけるHIV複製を阻害すると報告されているが、IL-4はそ れを阻害し得ない。それ以来、報告は一致していない。マウスIL-13はマウス形 質細胞腫B9細胞の増殖を誘導するが、これらの細胞はマウスIL-4にはわずかにし か応答しない。 IL-13がIgE応答を刺激したという初期の証拠は、IL-13阻害剤がアレルギー状 態の処置に有効であり得るという概念を後押しした。例えば、国際特許公開番号 WO94/04680を参照のこと。これは、ヒトIL-13をコードするcDNA配列を開示し、 そして、アレルギー反応の処置のためのIL-13活性の阻害を示唆する。 IL-4およびIL-13の両方は、主として前炎症性サイトカインの産生を抑制し、 そして、単球/マクロファージによるIL-1ra産生をアップレギュレートするそれ らの能力に基づいて、抗炎症特性を有すると考えられてきた(Zurawskiら(1994 )前出)。それにもかかわらず、IL-13活性の生化学的理解は、今まで、特定の 病状におけるIL-13の使用に関する合理的な治療設計を妨げてきた。IL-4は、15- LO合成を誘導することが報告されている(Conrad,D.J.ら(1992)Proc.Nat'l Acad.Sci.U.S.A.,89: 217-221;Katoh,T.ら(1994)Kidney International 46 : 341-349)が、IL-13によるそのような活性の証拠は、本発明以前には報告さ れていない。発明の要旨 本発明は、IL-13がヒト単球において15-LOを誘導するという発見に基づく。驚 くべきことに、IL-13は、15-LOの誘導に関して、IL-4よりもモルベースで約10倍 も活性である。従って、IL-13は、15-LO活性の産物(15-S-HETEとLXA4とを含む )に応答する炎症状態の効果的な治療薬である。IL-13の投与は、内因性抗炎症 性分子の合成をもたらす内因性経路を増強することにより、炎症プロセスそのも のの末端エフェクターの阻害をもたらす。従って、基本的戦略は、炎症の症状を 処置する現行の方法ではなく、特定の病因分子に対する直接的介入である。 15-LO活性の誘導から生じる抗炎症性末端エフェクターの合成には、種々の酵 素、補因子および中間体が作用していることは、当業者に理解される。主たる制 御が、末端生成物につながる一連の段階の最初の酵素段階に属するということは 、生化学経路の制御の周知の原理である。この場合、15-S-HETEおよびリポキシ ンを含む(ただし、これらに限らない)抗炎症性エフェクターの合成は、アラキ ドン酸の15-脂質酸化化(lipoxidation)によって開始される。以降の反応には 、ヒドロラーゼ、トランスフェラーゼ、デヒドロゲナーゼ、ヒドロペルオキシダ ーゼなどの活性が関与し、上述の抗炎症性末端エフェクターをもたらす。抗炎症 性を有する15-LO開始の反応系の他の産物が、さらに発見される可能性がある。5 -LOの産物から合成される化合物群と15-LOの産物から合成される化合物群との間 での相反が存在することは、現在までに十分に確立されている。前者は強力な前 炎 症性物質であるが、後者は強力な抗炎症作用を有する。従って、15-LO経路は、 炎症応答の重篤度および持続時間を制限する炎症の調節因子として機能する(Ba dr,K.F.(1992)前出)。病的状態は、炎症が制御されず、組織の破壊をもたら す場合に起こる。ここで、有効量のIL-13を投与することにより15-LO経路を効果 的に誘導し、どんな理由にせよ、均衡を失うに至った炎症応答の制御を再び確立 することができる。その他の介入法、例えばLXA4およびその誘導体の直接投与も 、開示されている(Serhanら、米国特許第5,079,261号)。 15-LOの誘導に加えて、IL-13は、5-LO経路の酵素の強力なダウンレギュレータ ーであることが見出されている。特に、IL-13は、LTA4をLTB4に変換する酵素LTA4 ヒドロキシラーゼの発現の強力な阻害因子である。IL-13の最大効力は、IL-4の 効力よりも明らかに高い。同様の結果が、5-LO自体の誘導について得られている 。IL-13のこれらのダウンレギュレート効果は、前炎症性サイトカインに対するI L-13の既知のダウンレギュレート効果とは無関係である。なぜなら、酵素発現の レベルは、刺激されていない単球の対照レベルより低いからである。図面の簡単な説明 図1は、5-LO活性または15-LO活性がその生合成に関与する化合物間の生理学 的作用および相互作用を示す図である。+記号を含む円は活性化または刺激を表 わし、−記号を含む円は阻害または抑制を示す。化合物の略号は本文中に定義さ れる。その他の略号は次の通りである:END=内皮細胞;MES=メサンギウム細胞 ;adh=接着;Mph=マクロファージ;kf/GFR=限外濾過定数/糸球体濾過速度。 図2は、臭化エチジウム染色によって検出したDNAのアガロースゲル電気泳動 の結果を示す。ヒト単球を種々のサイトカインで処理し、RT-PCR法で検出される RNAでの15-LOの発現に対する処理の効果を測定した。M.W.は標準的な分子量マー カーを表わし、左余白にその分子量を記載する。CONは、細胞を添加サイトカイ ンに暴露しなかった対照反応を表わす。他のサイトカイン処理は各欄に示す通り である。RT-PCRで増幅されるRNAでの15-LOの分子量を右余白に示す。 図3Aは、臭化エチジウム染色によって検出したDNAのアガロースゲル電気泳動 の結果を示す。ヒト単球を、上段に示すように、IL-13の表記の濃度範囲で処理 した。下段は、GAPDH mRNA発現を測定した対照反応の結果を示す。 図3Bは、表記した濃度のIL-4で細胞を処理したこと以外は、図3Aと同じ結果を 示す。 図3Cは、IL-13処理後に、示されるように異なる時間間隔で試料を測定したこ と以外は、図3Aと同じ結果を示す。 図4は、IL-13で処理した細胞、無処理(「CON.」)の細胞またはIL-13およびI FN-γの組合せで処理した細胞中の15-LOの存在を検出するためのウェスタンブロ ットである。分子量マーカー(「MW」)を、それらの既知の分子量と共に左端の レーンに示す。右余白の15-LO(70)は、ゲル上の15-LOバンドの予想位置を示す 。 図5は、RT-PCR、ゲル電気泳動および臭化エチジウム染色後のLTA4ヒドロキシ ラーゼmRNA発現の相対的なバンド密度の測定を示す。縦座標と各棒上の数字は、 相対的な染色密度値である。各棒は、各ED50値の10倍で存在する表記サイトカイ ンによる単球の処理を表わす。 図6は、RT-PCR、ゲル電気泳動および臭化エチジウム染色後の5-LO mRNA発現 のシグナル密度の棒グラフである。棒の高さは、シグナル密度を、5-LO DNAに相 当するバンド中のDNA量に比例する任意の単位で表わす。各棒は、各ED50値の10 倍で存在する表記サイトカインによる単球の処理を表わす。 図7は、RT-PCR、ゲル電気泳動および臭化エチジウム染色後のGAPDH mRNA発現 に対するFLAP mRNA発現のシグナル密度の棒グラフである。棒の高さは、シグナ ル密度を、FLAP DNAとGAPDH DNAに相当するバンド中のDNA量に比例する任意の単 位で表わす。各棒は、各ED50値の10倍で存在する表記サイトカインによる単球の 処理を表わす。 図8は、無処理対照細胞に対して、表記の濃度でのIL-4またはIL-13のいずれ かと共にインキュベートした単球によるLTB4産生速度の棒グラフである。棒の高 さは、サイトカインと共に細胞を36時間のインキュベーション後に産生されたng LTB4/mg/時間を表わす。発明の詳細な説明 本発明は、15-LO活性の直接的またはその結果の産物に応答する一定の炎症状 態を処置または緩和する方法を提供する。15-LO活性の直接的またはその結果の 産物には、15-S-HETE、LXA4、15-LOによって触媒される段階を含む経路で合成さ れるその他のリポキシンおよび他の化合物があるが、これらに限定されない。こ の処置法には、15-LO活性の強力な誘導因子のIL-13、または同等な15-LO誘導活 性を持つIL-13の変種もしくはアナログの投与が含まれる。この処置に応答する 代表的な炎症状態には、他の器官系を冒す、糸球体腎炎、慢性間質性腎炎、間質 性肺炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、変形性関節炎、胆汁性肝硬変などが含まれ る;慢性関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡などの結合組織疾患もまた含まれる; 開始原因の性質にかかわらず無秩序な炎症/繊維形成プロセスを組織破壊の中心 的原因とする二次的な進行性炎症疾患、例えば開始原因が感染性、中毒性、アル コール性などである慢性肝炎、肺、腎臓、中枢神経系の放射線誘発性慢性炎症、 結晶沈着によって誘導される炎症(痛風など)、および種々の形態の外傷後炎症 性損傷(関節炎など)がさらに含まれる。処置できる状態には、例えばアレルギ ー反応とは対照的な、単球/マクロファージ活性によって媒介されるものが含ま れる。 IL-13の投与は、このサイトカインを標的細胞(主として単球)と接触させる のに適した任意の手段により達成し得る。特に炎症が全身性である場合、例えば 静脈内投与により全身投与を行なうことができる。炎症が標的器官(例えば、糸 球体腎炎の場合の腎臓)に限定されている場合は、局所投与が好ましい。そのよ うな場合、動脈内経路による、例えば腎動脈内への投与が好ましくあり得る。そ のような投与には、迅速で、標的組織に対して最大の効果を発揮するという利点 がある。このことは、組織破壊の速度が迅速であり得る糸球体腎炎では極めて重 要であり得る。IL-13の局所送達はまた、アレルギー応答の増強のような副作用 の機会を減少させる利点を有する。長期投与は、IL-13を含有する埋め込まれた 除放性組成物により達成され得る。所望ならば(例えば、患者の循環系中の遊離 IL-13の量を最小限にしたい場合)、全血または単離した白血球に対するIL-13の エクスビボ投与もまた考えられる。 IL-13は、任意の薬学的に受容可能な希釈剤(生理食塩水、緩衝化生理食塩水 などを含む)に溶解した溶液として投与し得る。有効な用量範囲は、約10ng/kg 体重〜約1mg/kgの毎日の投与である。その毎日の用量は、好ましくは、単回投与 よりは、間隔をあけて投与される。いくつかの適応には、計量された注入が好ま しい。上述のように、持続性処方とインプラントとを使用して、一定の上昇した レベルのIL-13を所望の期間、提供し得る。エクスビボ投与の場合、投与量は10p M〜1μMの範囲であり得る。 治療の有効性は、処置中の疾患に適用される標準的な臨床測定により評価し得 る。例えば、糸球体腎炎処置は、糸球体濾過速度(GFR)の測定、尿タンパク質 排出、尿沈降物などによって、ならびにデキストランシービング(seiving)試 験や限外濾過係数の測定などのより精巧な試験によってモニターし得る。他の器 官系に関与する炎症の処置では、正常機能と炎症に関連する異常機能とを測定す るための適切な臨床試験は、当業者には周知である。 ヒトの治療には、タンパク質に対する抗体が発生する可能性を最小限にするた めに、ヒトIL-13が好ましい。IL-13は原則として全血のようなヒト供給源から精 製することができるが、好ましい供給源は、例えばMcKenzie,A.N.J.ら(1993) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:3735-3739に記述されているような組換え法に よる合成である。グリコシル化部位が存在するが、非グリコシル化タンパク質は 活性である。種々のIL-13調製物は、異なる割合の活性型および不活化型を含み 得る。異なる調製物の活性は、ヒトTF1細胞を用いる細胞増殖アッセイにおける 活性によって正規化し得る。最大効力の50%に相当する用量(ED50)を決定する ことができる。IL-13アミノ酸配列に対して様々な改変を施し得ることは理解さ れる。得られた改変IL-13アナログはまた、それらが同等(またはそれ以上)の1 5-LO誘導活性を有する限り、抗炎症剤として使用できる。IL-13受容体に結合し 得る小分子類似化合物を開発できるということもまた、理解される。そのような 化合物は、15-LO誘導活性を保持し得、そしてそうであれば、抗炎症剤として作 用し得る。従って、本発明は、これらの改変されたIL-13アナログおよびIL-13受 容体結合活性を持つ化合物の全てを、それらのアナログおよび化合物が有用な15 -LO誘導活性を持つ限り包含する。 本発明の基礎をなす実験的発見を以下に詳述する。実験手順は実施例の節に記 述する。健康なヒトボランティアから単離した単球を種々のサイトカインに暴露 した後、15-LO mRNA発現、15-LOタンパク質発現および15-S-HETE合成の存在につ いてアッセイした。図2では、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)によ り、15-LO cDNAに特異的なプライマーを用いて、15-LOコード配列を増幅して、1 5-LO mRNAの発現を測定した。IL-13(100pM)またはIL-4(100pM)と共に36時間 インキュベートした単球から得た全RNA中で、15-LO mRNAを検出した。血清富化 の培地対照(CON)、IL-1β(50pM)、IFN-γ(100pM)およびIL-10(1nM)はす べて、15-LO mRNAを誘導しなかった。 図3Aは、36時間誘導後のIL-13処理に対する単球の用量応答を示す。検出可能 な15-LO mRNAが、1pMもの少ないIL-13に応答して誘導された。対照図は、グリセ ルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)mRNAが、いずれの場合にも同 等レベルで検出され得ることを示す。図3Bは、IL-4に対する用量応答を示す。対 照的に、検出可能な15-LO mRNAは、10pM IL-4またはそれ以上で検出可能だった 。従って、IL-13は、15-LO mRNAの誘導剤として、モルベースでIL-4より約10倍 強力であった。100pM IL-13による誘導の経時変化を図3Cに示す。15-LO mRNA発 現は、誘導後4時間の初期で検出可能だった。一連の従来のノーザンブロット実 験により、上述の結果を定性的に確認した。さらに、ノーザンブロット研究から 、IFN-γがIL-13による15-LO mRNAの誘導を遮断することが示された。 15-LO mRNA発現に対するIL-13の効果が、15-LOタンパク質合成に対する効果に 置き換わるかどうかを決定するために、対照単球およびIL-13処理単球、ならび にIL-13とIFN-γとの両方で処理した単球から得た全細胞タンパク質を、抗ヒト1 5-LO抗体を用いるウェスタンブロット分析に供した。これらの免疫ブロットは、 15-LOを、IL-13処理単球において約70KDaの単一の免疫反応性バンドとして検出 した(図4)。これとは著しく対照的に、対照単球またはIL-13とIFN-γとの両 方でインキュベートした単球から得た溶解物では、15-LOのハイブリダイゼーシ ョンシグナルは検出されなかった。 単球をアラキドン酸(100μM)の存在下でIL-13と共にインキュベーションす ると、15-S-HETEの産生が増大した。IL-13刺激単球の上清には、15-S-HETE標品 と同時に溶出するピークが検出されたが、対照細胞の上清には存在しなかった。 15-S-HETEの同一性は、陰イオン化学的イオン化質量分析によって確認した。ng 15-S-HETE/mg細胞タンパク質/分として表わされる、生成した15-S-HETEのこの方 法による定量は、対照に対して、IL-13処理試料中では平均43倍の増加を明らか にした(それぞれ、206.3ng/mg/分および4.8ng/mg/分)。 前炎症性化合物の合成酵素に対する様々なサイトカインの効果を研究は、IL-1 3がそれらの発現の阻害因子であることを示す。図5は、各ED50濃度の10倍での 種々のサイトカインと共に36時間のインキュベーション後の単球におけるLTA4ヒ ドロキシラーゼmRNA発現のRT-PCR測定の結果を示す。このデータは、閾値効果で はなく最大効果を表わす。IL-1およびIFN-γの両方は、LTA4ヒドロキシラーゼ発 現を刺激するが、IL-4、そしてより著しくはIL-13は、無処理対照細胞に比べて 発現を抑制する。図6は、5-LO発現に対するサイトカインの効果の結果を示す。 IL-1およびIFN-γの両方は発現を刺激する。IL-4は明白な効果を有さなかった。 これに対し、IL-13は5-LO mRNA発現を抑制した。図7は、構成的な対照としての GAPDH mRNAと比較して表わした、5-リポキシゲナーゼ活性化タンパク質(FLAP) mRNA発現に対するサイトカイン処理の結果を示す。IL-4およびIL-13の両方は、 発現に対して抑制効果を有し、同等な最大効果を示した。生合成酵素のデノボ発 現の抑制がまた、炎症性の末端エフェクターのレベルを減少させるかどうかを決 定するための試験として、IL-4またはIL-13で単球を36時間処理した後に、LTB4 のレベルを測定した。図8は、そのような1つの試験の結果であり、両サイトカ インについて同等な最大効果を示す。 実験手順の詳細を以下の実施例で説明する。購入したサイトカインは、組換え ヒトIL-1,IL-4、IL-10(R&D Syntems,Minneapolis,MN)およびIFN-γ(Boehr inger Mannheim,Mannheim,ドイツ)であった。ヒトIL-13は、R.de Waal博士 (DNAX,Palo Alto,CA)から譲り受けた。細胞増殖アッセイによって決定した サイトカインのED50値は次の通りである:IL-1β,3〜10pg/ml(マウスヘルパー T細胞株D10.G4.1);IL-4,1〜2ng/ml(マウスTh-2細胞株);およびIL-10,0. 5〜1.0ng/ml(マウス肥満細胞株)。IL-13は1.6×106単位/mg(ヒトTF1細胞で検 定)の比活性を有し、IFN-γは2×107単位/mg(ヒト羊膜細胞に対するEMCウイル スの細胞障害性効果の阻害)の比活性を有していた。ウサギ抗ヒト組換え網状赤 血球15-LOポリクローナル抗体は、Elliot Sigal博士(Syntex,Palo Alto,CA) から譲り受けた。GeneAmp RNA PCRキットはPerkin-Elmer Corp.(Norwalk,CT) から購入した:DNAオリゴ標識キットをPharmacia Biotech Inc.(Piscataway,N J)から入手し、そしてウェスタンブロット分析用のECLキットをAmersham Corp. (Arlington Heights,IL)から入手した。実施例1 単球の単離およびインキュベーション 新しい末梢血単核細胞パックを健康なボランティア(アメリカ赤十字,Atlant a,GA)から入手し、そしてフィコール-ハイパーク(Life Technologies,Inc. ,Gaithersburg,MD)密度勾配遠心分離にかけた。単核細胞層を回収し、ハンク ス平衝塩溶液で洗浄し、そしてL-グルタミン(200mg/リットル)および抗生物質 (ペニシリン、ストレプトマイシン)を補充したRPMI1640培地中に15×106細胞/ mlで懸濁した。次に、細胞を100mmポリスチレン組織培養プレートに、5%CO2の 存在下に37℃で3時間付着させた。プレートをリン酸緩衝化生理食塩水で3回洗 浄することにより非付着細胞を除去し、そして付着細胞を10%ウシ胎児血清富化 RPMI培地中、サイトカインの存在下または非存在下で、36時間(37℃,5%CO2) インキュベートした。培養中のサイトカイン濃度は、まず製造者が報告するED50 の約10倍となるように選択した。90%を越える付着細胞が単球非特異的エステラ ーゼに関して陽性に染色され、そして92%を越える細胞がトリパンブルー色素排 除によって生存していた。サイトカインの存在、またはサイトカインの非存在で の36時間インキュベーションの後の細胞の生存率は、約90〜92%であった。実施例2 RNA の単離および分析 全細胞RNAを、RNAzol試薬(Biotecx Laboratories,Houston,TX)を用いて、 付着性末梢血単球からChomczynski法(Anal.Biochem.162:156-159)で精製し た。GeneAmp RNAキット(Perkin-Elmer Corp.)およびヒト15-LO特異的オリゴヌ クレオチドプライマーを用いて、15-LO mRNAを逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応 (RT-PCR)で増幅した。センスプライマーおよびアンチセンスプライマーの各ヌ クレオチド配列は、5'-GAGTTGACTTTGAGGTTTCGC-3'(配列番号1)および5'-GCCC GTCTGTCTTATAGTGG-3'(配列番号2)であった。プライマー対は、15-LO遺伝子の 公表されたcDNA配列(Sigal,E.ら(1988)Biochem.Biophys.Res.157:457-46 4)に基づき、PCRPLANソフトウェア(PC/GENE,Intelligenetics,Inc.,Mounta in View,CA)を用いて設計した。PCR反応は、次のパラメーターを用いて行なっ た:サイクル数35;アニーリング温度58℃で1.5分間;伸長温度72℃で1.5分間; マグネシウム濃度1mM。次に、PCR産物を2%アガロースゲル電気泳動と臭化エ チジウム染色で分析した。15-LO DNAセグメントに相当するDNAバンドを、その予 想サイズ(952bp)によって同定した。5-LO、12-LO、および15-LOのcDNA配列間 の高度な相同性(Katoh,T.(1994)前出)を考慮して、他のリポキシゲナーゼ との相同性の程度が最も低い15-LO DNAの領域からプライマー対を選択した。こ れらのプライマーは予想されるDNAセグメントを15-LO cDNAから増幅するが、5-L Oまたは12-LOのcDNAからは何のセグメントをも増幅しなかったので、これらは15 -LOに特異的であることがわかった。実施例3 ノーザンブロットハイブリダイゼーション 15-LO mRNAの発現をノーザンハイブリダイゼーションでも分析した。全細胞RN A(20μg)を1%ホルムアルデヒド−アガロースゲルで電気泳動し、Hybond-N+ 膜(Amersham Corp.,Arlington Heights,IL)に転写し、UVクロスリンカー(S tratagene,La Jolla,CA)を用いて紫外線照射により共有結合させた。100ngの 完全長15-LO cDNAを用い、[32P]dCTPによるオリゴ標識化の標準的なプロトコル (オリゴ標識キット,Pharmacia)で、放射標識プローブを調製した。ハイブリ ダイゼーション溶液1mlにつき約1〜2×106cpmの標識プローブ(比活性約1× 109dpm/μg DNA)を使用した。ハイブリダイゼーションを42℃で16時間行った後 、 膜を55℃で、0.2×SSC、0.1%SDSの最終ストリンジェンシーで洗浄した。オート ラジオグラフィーは、Hyperfilm-MP(Amersham,Corp.)と増感スクリーンを用 いて、−70℃で8時間行なった。次に、1%SDSを含む沸騰水を用いてこれらのR NAブロットを除いた後、GAPDH mRNAについて再プローブすることにより、RNAの 等量負荷を保証した。実施例4 ウェスタンブロット分析 36時間のインキュベーション後、付着性単球をリン酸緩衝化生理食塩水で洗浄 し、溶解緩衝液(50mM HEPES、1%トリトンX-100、50mM NaCl、50mM NaF、10mM ピロリン酸ナトリウム、5mM EDTA、1mM Na3VO4、1mMフェニルメチルスルホニ ルフルオリド、10mg/mlアプロチニン、10mg/Lロイペプチン)中に懸濁し、そし て10秒間超音波処理した。細胞破片を、可溶化したタンパク質から、1200×gで1 0分間の遠心分離により分離した。上清中のタンパク質を、Bio-Radプロテインア ッセイ技術(Bio-Rad,Hercules,CA)を用いて定量した。次に、30μgの全タン パク質を7.5%SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分離し、そしてTrans-Blo t SD電気泳動転写セル(Bio-Rad)を用いてニトロセルロース膜に転写した。そ の膜をウサギIgG抗ヒト組換え網状赤血球15-LO抗体で1時間プローブした。ハイ ブリダイゼーションシグナルは、エンハンスト・ケミルミネセンス(ECL)検出 試薬(ECL,Amersham,英国)を用いて検出した。ECL試薬を製造者により記載さ れる通りに添加し、そしてオートラジオグラフィーを室温で1分間行なった。実施例5 15-S-HETE の測定 これらの実験では、単球を培地単独、またはIL-13と共に、36時間インキュベ ートした。次に、細胞をリン酸緩衝化生理食塩水で2回洗浄し、100μMアラキド ン酸(Nu-Check-Prep,Inc.,Elysian,MN)の存在下に、完全RPMI1640培地中で 30分間インキュベートした。付着性細胞を、Bio-Radプロテインアッセイ技術に より細胞タンパク質について定量した。上清中の15-S-HETEの定量は、逆相高性 能液体クロマトグラフィー(30)と、それに続く陰イオン化学的イオン化質量分 析法の分析によって行なった。その結果を、1分当たりの1mg細胞タンパク質に ついて生成した15-S-HETEのng数として表わした。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.その生合成に15-LO活性が関与する化合物に応答する炎症状態を処置する方 法であって、該炎症状態の動物またはヒトに15-LO誘導量のIL-13を投与する工程 を包含する、方法。 2.その生合成に15-LO活性が関与する化合物が15-S-HETEまたはリポキシンから なる群より選択される、請求項1に記載の方法。 3.15-LO誘導量のIL-13が10ng/kg体重〜1mg/kg体重の範囲の日用量である、請 求項1に記載の方法。 4.単球/マクロファージ活性によって媒介される炎症状態の動物またはヒトを 処置する方法であって、該動物またはヒトに有効量のIL-13を投与する工程を包 含する、方法。 5.有効量のIL-13が10ng/kg体重〜1mg/kg体重の範囲の日用量である、請求項 4に記載の方法。 6.動物またはヒトの細胞中の5-LOまたはLTA4ヒドロキシラーゼを抑制する方法 であって、該細胞に抑制量のIL-13を投与する工程を包含する、方法。 7.前記IL-13が前記細胞と同じ種のものである、請求項6に記載の方法。 8.前記IL-13をヒト細胞に投与する、請求項6に記載の方法。 9.IL-13をインビボで前記細胞に投与する、請求項6に記載の方法。 10.IL-13をエクスビボで前記細胞に投与する、請求項6に記載の方法。 11.IL-13を、10ng/kg体重〜1mg/kg体重の範囲の日用量でインビボで前記細 胞に投与する、請求項9に記載の方法。 12.5-LO活性またはLTA4ヒドロキシラーゼ活性により増大する炎症状態を処置 する方法であって、5-LOまたはLTA4ヒドロキシラーゼ抑制量のIL-13を該炎症状 態の動物またはヒトに投与する工程を包含する、方法。 13.5-LO活性またはLTA4ヒドロキシラーゼ活性により増強された炎症状態の患 者における5-LOまたはLTA4ヒドロキシラーゼを抑制するための医薬の製造のため にIL-13を使用する方法。 14.炎症状態を有するヒトまたは動物において、15-LO活性を誘導し、そして5 -LOおよびLTA4ヒドロキシラーゼ活性を抑制するための組成物であって、IL-13お よび薬学的に受容可能な希釈剤を含有する、組成物。
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