JPH1150352A - 電磁波シールド布帛 - Google Patents

電磁波シールド布帛

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JPH1150352A
JPH1150352A JP9280813A JP28081397A JPH1150352A JP H1150352 A JPH1150352 A JP H1150352A JP 9280813 A JP9280813 A JP 9280813A JP 28081397 A JP28081397 A JP 28081397A JP H1150352 A JPH1150352 A JP H1150352A
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JP
Japan
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fabric
electromagnetic wave
wave shielding
yarn
conductive
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JP9280813A
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English (en)
Inventor
Yukio Nakagawa
幸夫 中川
Toyofusa Nomura
豊房 能村
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】優れた電磁波シールド性を有し、耐感電性、耐
金属アレルギー性および抗菌性に優れた電磁波シールド
布帛およびさらに裏地適性に優れた電磁波シールド裏地
を提供する。 【解決手段】(1) 合成繊維の表面に銀、銅、ニッケルお
よび錫の少なくとも1種を無電解メッキした導電性繊維
を10%以上交織した布帛であって、該布帛を構成する
繊維の交錯点における導電性繊維同士の接触割合が0〜
75%および/または布帛の表面漏洩抵抗が1×103
Ω以上である電磁波シールド布帛。(2) 合成繊維の表面
に銀、銅、ニッケルおよび錫の少なくとも1種を無電解
メッキした導電性繊維を交織した布帛からなる裏地であ
って、その摩擦係数が0.10〜0.30および柔軟度
が20〜50である電磁波シールド裏地。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電磁波シールド布帛
に関し、さらに詳しくは金属メッキ繊維を用いた優れた
電磁波シールド性と優れた耐感電性、耐金属アレルギー
性を兼ね備えた電磁波シールド布帛に関するものであ
る。また本発明は電磁波シールド裏地に関し、さらに詳
しくは表地(衣服)に対する追随性、滑り性、柔軟性、
耐久性などの裏地特性に優れ、しかも耐感電性、耐金属
アレルギー性等に優れた電磁波シールド裏地に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】近年、オフィスにおけるOA機器や携帯
電話機等から出る電磁波の人体への影響が懸念されてお
り、電磁波をシールドする機能を有した布帛や衣服の開
発が行われている。例えば、電磁波をシールドする機能
を有する布帛を用いた作業用エプロン等が提案されてい
る。しかし、このような布帛は、繊維布帛に銅やニッケ
ルを無電解メッキしたものであるため、布帛の風合いが
堅くなり、これを衣服に使用すると体の動きに追随でき
ず、また洗濯時にメッキがはげ落ちるなど耐久性に問題
があった。
【0003】またナイロン等の合成繊維に銀をメッキし
た導電糸を二重織物の裏面に配した電磁波シールド機能
を有する布帛が知られている。しかし、このような布帛
は、非導電糸からなる表組織と導電糸を混用した裏組織
の二重構造を有し、織物が厚くなるため、その用途が限
定されるという欠点があり、特に表地との一体性(追随
性)やしなやかさなどが要求される裏地としての用途に
は不向きであった。また、導電糸を用いた布帛は、金属
を用いているため感電、金属アレルギーといった問題を
回避できる用途等が限定され、または導電性のレベルを
落とす等による対応を余儀なくされていた。上述の二重
構造布帛も、これらの問題を回避するために、着用の際
に該布帛にさらに裏地を用いる等の方法をとっていた。
このため、優れた電磁波シールド性、耐感電性および耐
金属アレルギー性を同時に兼ね備えた布帛が要望されて
いた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、優れた電磁
波シールド性、耐感電性および耐金属アレルギー性を同
時に兼ね備えた電磁波シールド布帛を提供するものであ
る。さらに本発明は、表地との追随性に優れ、しなやか
さ、はり、腰を有するとともに、滑り性、柔軟性、耐久
性、耐感電性および耐金属アレルギー性に優れた電磁波
シールド裏地を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本願で特許請求される発
明は以下の通りである。 (1)合成繊維の表面に銀、銅、ニッケルおよび錫の少
なくとも1種を無電解メッキした導電性繊維を10%以
上交編織した布帛であって、該布帛を構成する繊維の交
錯点における導電性繊維同士の接触割合が0〜75%お
よび/または布帛の表面漏洩抵抗が1×103 Ω以上で
あることを特徴とする電磁波シールド布帛。 (2)前記布帛が導電性繊維を芯糸にして非導電性繊維
をカバリングした複合糸を用いて構成されていることを
特徴とする(1)に記載の電磁波シールド布帛。 (3)前記複合糸の繊維被覆係数(YCF)が0.04
〜0.6であることを特徴とする(2)に記載の電磁波
シールド布帛。
【0006】(4)合成繊維の表面に銀、銅、ニッケル
および錫の少なくとも1種を無電解メッキした導電性繊
維を交織した布帛からなる裏地であって、その摩擦係数
が0.10〜0.30および柔軟度が20〜50である
ことを特徴とする電磁波シールド裏地。 (5)前記布帛中に導電性繊維が10%以上交織されて
おり、かつ該布帛を構成する繊維の交錯点における導電
性繊維同士の接触割合が0〜75%および/または布帛
の表面漏洩抵抗が1×103 Ω以上であることを特徴と
する(4)記載の電磁波シールド裏地。 (6)前記布帛が導電性繊維を芯糸にして非導電性繊維
をカバリングした複合糸を用いて構成されていることを
特徴とする(5)記載の電磁波シールド裏地。 (7)前記複合糸の繊維被覆係数(YCF)が0.04
〜0.6であることを特徴とする(6)記載の電磁波シ
ールド裏地。
【0007】本発明の電磁波シールド布帛は、布帛(織
物、編物等)を構成する繊維の交錯点における導電性繊
維の接触割合および布帛の表面漏洩抵抗の少なくとも1
つが特定の範囲にコントロールされているため、優れた
電磁波シールド性と優れた耐感電性および耐金属アレル
ギー性を同時に兼ね備えることができる。また、本発明
の電磁波シールド裏地は、導電性繊維が交織された特定
の摩擦係数および柔軟度を有する布帛から構成されてい
るので、薄い布帛で優れた電磁波シールド機能を発揮す
るとともに、表地との追随性やしなやかさ等の裏地特性
を保持することができ、しかも交織方法等の適切な選定
により導電性繊維の使用による感電や金属アレルギーな
どの問題も防止することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる導電性繊維
は、合成繊維の表面に銀、銅、ニッケルおよび錫の少な
くとも1種を無電解メッキした繊維である。合成繊維の
種類には特に制限はなく、ナイロン、ポリエステル、ア
クリル、ポリビニルアルコール等の繊維が用いられる
が、加工性の面でナイロン、中でもナイロン6がより好
ましい。合成繊維のトータルデニールは、10〜150
デニールの範囲が好ましく、より好ましくは30〜75
デニールである。また、単糸デニールは0.5〜5デニ
ールが好ましい。繊維のトータルデニールが10デニー
ル未満では電磁波シールド性および強力に劣る場合があ
り、また150デニールを超えると風合いが低下し易
い。また、単糸デニールが0.5デニール未満では、メ
ッキ加工性が悪く、5デニールを超えると風合いが硬く
なり、導電糸としての導電性能も低下する場合がある。
【0009】合成繊維の無電解メッキは、公知の方法、
例えば、特開昭61−89370号公報に記載された方
法(前処理、粗面化処理、増感処理、活性化処理、化学
メッキ、後処理等)で行うことができる。無電解メッキ
の材料には、導電性、耐腐食性、抗菌性等の点から、
銀、銅、ニッケルおよび錫の少なくとも1種が用いられ
るが、導電性等の点からは銀が好ましい。なお、本発明
の目的を害さない範囲で他の金属を併用してもよい。合
成繊維への金属のメッキ量は、使用する金属の種類、要
求される電磁波シールド性、加工コスト等により適宜調
節されるが、通常はコスト等の点から20〜30%(o.
w.f)程度とするのが好ましい。
【0010】本発明の電磁波シールド布帛は、上記導電
性繊維を少なくとも10%交編織した布帛である。導電
性繊維の混用率が10%未満では、優れた電磁波シール
ド性が得られない。導電性繊維の混用率はシールド性と
安全性の点から15〜50%が好ましい。本発明の電磁
波シールド布帛は、布帛を構成する繊維の交錯点におけ
る上記導電性繊維同士の接触割合が0〜75%および/
または布帛の表面漏洩抵抗が5×103 Ω以上である。
【0011】ここで布帛を構成する繊維の交錯点とは、
繊維と繊維が重なり合っている部分を意味し、例えば織
物では繊維の経糸と緯糸の交錯点をいい、編物では編目
と編目の交錯点をいう。電磁波は電界(E)と磁界
(H)からなり、EとHは互いに直交した状態で伝播す
る波である。これらを効率よくシールドするためには布
帛内で導電糸が閉じた系を形成しているのが好ましい。
このため、導電性繊維が混用されている布帛において、
繊維の交錯点を有し、導電性繊維同士が接触することは
電磁波のシールド性にとって最も効果的な構造といえ
る。交錯点の形態は、例えば、織物では経糸と緯糸で形
成する格子状やひし形状等が好ましい。また格子の経緯
長さ比はシールド効率の点から0.5〜1.5が好まし
い。特に、導電性繊維と非導電性繊維が一本ごとまたは
数本ごとに配列され、導電性繊維を経糸および緯糸の両
糸を用いて概略正方形になるようにすることが、電磁波
のシールド性、コストパフォーマンス面から好ましい。
【0012】本発明において、繊維の交錯点における導
電性繊維同士の接触割合が75%を超えると、耐感電性
および耐金属アレルギー性機能が低下する。好ましい接
触割合は、電磁波シールド性と耐感電性および耐金属ア
レルギーの機能をバランスさせる点から15〜70%で
あり、さらに好ましくは35〜70%である。また導電
性繊維同士の接触割合が0%であっても電磁波シールド
性としての機能は十分維持することができる。その理由
は、以下のとおりである。
【0013】布帛がシールドする電磁波は、上述したよ
うに電界(E)と磁界(H)からなり、布帛のシールド
メカニズムは、Eの反射特性と、Hの渦電流特性に依存
する。このうちEは、そのシールド布帛に用いられてい
る導電糸の導電率および混用率に依存する。これは、導
電性繊維がある一定量布帛中に混用されていれば、これ
らが接触していなくても、上記Eの特性により一定のシ
ールド性を達成することができるのであり、この導電性
繊維の混用率の下限が10%ということになる。
【0014】また導電性繊維同士の接触割合が上記範囲
外となる布帛の場合、例えば、下記に示した好ましい布
帛の態様のうち(3)〜(6)のタイプの布帛は、コー
ティング等を施し、布帛の表面漏洩抵抗を1×103 Ω
以上、好ましくは1×105Ω以上とする必要がある。
布帛の表面漏洩抵抗が1×103 Ω未満では、耐感電性
および耐金属アレルギー性が低下する。導電性繊維と非
導電性繊維との交編織された布帛の好ましい態様として
は以下の(1)〜(6)の態様を挙げることができる。
【0015】(1)導電性繊維を芯糸とし、これに非導
電性繊維をカバリングしたもの(シングルカバリングヤ
ーン(SCY)、ダブルカバリングヤーン(DCY))
を用いて交編織する。 (2)導電性繊維を芯糸とし、これに非導電性繊維の短
繊維を鞘としたコアヤーン(紡績糸)を用いて交編織す
る。 (3)導電性繊維と非導電性繊維の繊維見掛け直径が、
〔導電性繊維<非導電性繊維〕の関係にあるこれらの繊
維を用いて交編織する。 (4)導電性繊維と非導電性繊維の繊維見掛け直径が、
〔導電性繊維≧非導電性繊維〕の関係にあるこれらの繊
維を用いて交編織した後、その布帛表面に非導電性樹脂
をコーティングする。 (5)導電性繊維と非導電性繊維との交撚糸を交編織し
て構成した布帛の表面に非導電性樹脂をコーティングす
る。 (6)導電性繊維と非導電性繊維とを混織糸(インター
レース糸、タスラン加工糸)を交編織して構成した布帛
の表面に非導電性樹脂をコーティングする。
【0016】中でも、前述した繊維の交錯点における導
電性繊維の接触割合をコントロールするためには、上記
(1)(2)のカバリング複合糸を用いて布帛が構成されてい
ることが好ましい。特にこのカバリング複合糸の繊維被
覆係数(YCF)が0.04〜0.6の間にある複合糸
で構成されている布帛は優れた電磁波シールド性、耐感
電性、耐金属アレルギー性を有する。ここでいう繊維被
覆係数(YCF)は下記式(1) で表され、カバリング複
合糸の被覆の度合いを表すファクターであり、このYC
Fと上述の繊維の交錯点における導電性繊維の接触割合
は密接な関係がある。
【0017】 繊維被覆係数(YCF)=π/2×T×10-2×D =π/2×T×10-2×√(4d/π×ρ×9 ×105) …(1) ここで、D:被覆糸の見掛直径 T:被覆糸のカバリング撚数(回/100cm) d:被覆糸のデニール ρ:被覆糸を構成するポリマーの比重 なお、上記するYCFは被覆糸がシングルカバリング糸
の場合における値である。従って被覆糸がダブルカバリ
ング糸の場合のYCFは上記式で得られた値の2倍とな
る。また被覆する繊維が短繊維の場合、コアタイプと交
撚タイプに分けられ、短繊維の紡績糸が導電性繊維を全
て被覆しているコアタイプの場合、YCF=1となり、
短繊維の紡績糸と導電性繊維を撚り合わせている交撚タ
イプの場合、YCFは上記(1) 式で表される。ただし、
この場合、(1) 式の被覆糸=導電性繊維となる。
【0018】好ましいYCFは、電磁波シールド性と耐
感電性および耐電気アレルギー性機能のバランスの点か
ら0.15〜0.6であり、さらに好ましいYCFは
0.3〜0.6である。本発明の電磁波シールド布帛
は、その優れた電磁波シールド性により種々の用途に用
いることができる。例えば、携帯電話カバー、ペースメ
ーカーカバー、ブラウス、マタニティ衣料、帽子、鞄・
財布等の裏側地、衣料用裏地、さらには電線被覆材、パ
ラボラアンテナ材、電磁波シールドカーテン、高周波ウ
ェルダーや電子顕微鏡の電磁波シールドブース、各種ガ
スケット材等の産業用資材が挙げられる。これらのうち
衣料用の裏地として好ましく用いることができる。次
に、本発明の電磁波シールド裏地について説明する。
【0019】本発明の電磁波シールド裏地は、上記導電
性繊維とそれ以外の繊維(非導電性繊維)を公知の方法
により交織することにより得られるが、その摩擦係数は
0.10〜0.30、好ましくは0.15〜0.25で
あり、またその柔軟度は20〜50、好ましくは30〜
40とされる。摩擦係数が0.10未満では人体との適
度な平滑性が保持できず、また0.30を超えると表地
との追随性が劣る。また柔軟度が20未満ではハリ、腰
に欠け、まつわり付き等の支障が生じ、また50を超え
ると着用上、表地のシルエット等に支障をきたす。
【0020】導電性繊維と交織する非導電性繊維には特
に限定はなく、合成繊維、天然繊維、半合成繊維等が用
いられ、その種類および繊維のデニール等は、裏地等の
使用目的により適宜選定して用いられる。また、本発明
の電磁波シールド裏地は、電磁波シールド性、耐感電
性、耐金属アレルギー性機能のバランスの点から、上記
導電性繊維を少なくとも10%以上、好ましくは15〜
50%交織し、かつ裏地を構成する繊維の交錯点におけ
る導電性繊維同士の接触割合が0〜75%、好ましくは
15〜70%であることが好ましい。ここでいう裏地を
構成する繊維の交錯点とは、前述した布帛の定義と同様
である。また導電性繊維と非導電性繊維との交織の好ま
しい態様は、前述した布帛の好ましい態様と同様であ
る。
【0021】前述した好ましい態様の布帛(1)または
(2)では、導電性繊維が非導電性繊維でカバリングさ
れているため、また(3)では、導電性繊維の見掛け直
径が非導電性繊維のそれよりも小さいため、導電性繊維
が直接肌に触れるのを防止でき、耐感電性、耐金属アレ
ルギー性および洗濯耐久性に優れた電磁波シールド裏地
を得ることができる。(1)におけるカバリングの程
度、(2)の鞘成分としての短繊維の使用割合は要求さ
れる裏地特性により適宜選定されるが、通常は(1)で
は表面被覆度が75〜95の範囲、(2)では90〜1
00の範囲とされる。また(3)における非導電性繊維
に対する導電性繊維の見掛け直径比は、導電性繊維の強
度、電磁波シールド性などの点から0.6〜0.8とす
るのが好ましい。
【0022】また(4)のように導電性繊維の直径を非
導電性繊維のものと同じかまたはそれ以上の径にしても
よいが、この場合には、導電性繊維が布帛表面に露出す
るため、耐感電性、耐アレルギー性、耐洗濯性等の点か
ら、その表面にアクリル、ウレタン等の非導電性樹脂を
コーティングするのが好ましい。非導電性樹脂のコーテ
ィング量は裏地のしなやかさ等が阻害されないよう範囲
とするのが好ましく、通常は乾燥状態で5〜10g/m
2 程度とされる。また(5)および(6)の場合も導電
性繊維が裏地表面に露出するため、(4)と同様に非導
電性樹脂をコーティングするのが好ましい。
【0023】本発明の電磁波シールド裏地は、例えば、
背広のポケットの裏地(スレーキ)、オフィスユニフォ
ーム等の裏地、OA機器等の電子機器類を操作する時の
作業用エプロンの裏地等に使用することができ、これに
より衣服との追随性や着用性に優れたユニフォーム、作
業服等を得ることができる。本発明の電磁波シールド布
帛および電磁波シールド裏地は、銀または銅メッキ等の
導電性繊維を用いていることにより優れた抗菌性効果
(制菌性効果)や制電性効果を有するため、衣料用とし
て特に有用である。
【0024】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳しく説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。布帛の
剛軟度、動摩擦係数、摩擦耐電圧、電磁波シールド性、
表面電気抵抗、洗濯耐久性、裏地適性および抗菌性は以
下の方法で測定または評価した。 1)剛軟度:経方向と緯方向について、JIS L 1
086 A法(45度カンチレバー法)に準じて測定
し、それらの平均値をとった。 2)動摩擦係数:経方向と緯方向について、ASTM
D 1894 C法に準じて測定し、それらの平均値を
とった。 3)摩擦耐電圧:JIS L 1094 Bに準じて測
定した。この値は静電防止の点から900V以下が好ま
しく、300V以下でより好ましい。
【0025】4)電磁波シールド性:KEC法(関西電
子工業振興センター法)に準じて測定した。この値が2
0dB以上では、90%以上の電磁波(電界および磁
界)を、また40dB以上では99%以上の電磁波(電
界および磁界)をシールドすることができる。 5)表面漏洩抵抗(Ω):JIS L 1094−19
88(クリップ法)に準じて測定した。この値は漏電防
止(感電防止)の点から1×103 Ω以上が好ましい。 6)洗濯耐久性:JIS L 0217に準じて家庭用
洗濯を10回繰り返し処理し、下記の基準で評価した。
なお、実用的観点は電磁波シールド性の低下の度合いに
より判断した。 ◎;実用上全く問題なし、○;実用上特に問題なし △;実用上若干支障をきたす 7)裏地適性:ハンドリングにより下記の基準で評価し
た。 ◎;適度な柔軟性がある、○;許容できる柔軟性があ
る、△;やや硬い、 ×;硬くて使用不可 8)抗菌性(制菌性) 繊維製品新機能評価協議会(SEK)による統一試験法
にて測定した。
【0026】実施例1 無電解メッキして得られたナイロン30d/10f銀メ
ッキ糸を芯にし、エステル30d/12fを3000z
/3300sでダブルカバリングしたDCYを用い、こ
のDCYと、エステル75d/36f、800T/Mの
撚糸とを、経糸にはDCYと撚糸を1:3の割合で、ま
た緯糸にはDCYと撚糸を1:1の割合で用いて平織で
製織した。これを通常の裏地の染色仕上げ工程(精練→
減量加工→染色→ファイナルセット→カレンダー加工)
に通し、経糸108本/インチ、緯糸86本/インチの
布帛を仕上げた。仕上げ布帛の特性等を調べ、その結果
を表1に示したが、この布帛は電磁波シールド性、裏地
適性共に良好で、かつ洗濯耐久性、耐漏電性、耐静電性
および抗菌性にも優れていることがわかった。
【0027】実施例2 無電解メッキして得られたナイロン30d/10f銀メ
ッキ糸を芯にし、エステル30d/12fを1500z
/1700sでダブルカバリングしたDCYを用い、こ
のDCYと、エステル75d/36f、800T/Mの
撚糸とを、経糸にはDCYと撚糸を1:3の割合で、ま
た緯糸にはDCYと撚糸を1:1の割合で用いて平織で
製織した。これを通常の裏地の染色仕上げ工程(精練→
減量加工→染色→ファイナルセット→カレンダー加工)
に通し、経糸108本/インチ、緯糸86本/インチの
布帛を仕上げた。仕上げ布帛の特性等を調べ、その結果
を表1に示したが、この布帛は電磁波シールド性、裏地
適性共に良好で、かつ洗濯耐久性、耐漏電性、耐静電性
および抗菌性にも優れていることがわかった。 実施例3 ナイロン30d/10f銀メッキ糸を芯にし、エステル
ステープル2d×51cmを鞘にした100Nm(z1
000T/m)のコアヤーン(CSY)を用い、このC
SYと、エステル75d/36f、800T/Mの撚糸
とを、経糸にはCSYと撚糸を1:3の割合で、緯糸に
はCSYと撚糸を1:1の割合で用いて平織で製織し
た。これを実施例1と同様の染色工程に通し、仕上げた
布帛の特性等を調べ、その結果を表1に示した。この布
帛は電磁波シールド性、裏地適性共に良好で、かつ洗濯
耐久性、耐漏電性、耐静電性および抗菌性にも優れてい
ることがわかった。
【0028】実施例4 ナイロン30d/10f銀メッキ糸の1000T/mの
追撚糸と、エステル75d/36f、800T/Mの撚
糸とを、経糸には銀メッキ糸と撚糸を1:3の割合で、
緯糸には銀メッキ糸と撚糸を1:1の割合で用いて平織
で製織した。これを実施例1と同様の染色工程に通し、
仕上げた布帛の特性等を調べ、その結果を表1に示し
た。この布帛は電磁波シールド性、裏地適性共に良好
で、かつ洗濯耐久性、耐漏電性、耐静電性および抗菌性
にも優れていることがわかった。
【0029】実施例5 ナイロン70d/34f銀メッキ糸の800T/mの追
撚糸と、エステル75d/36f、800T/Mの撚糸
とを、経糸には銀メッキ糸と撚糸を1:3の割合で、緯
糸には銀メッキ糸と撚糸を1:1の割合で用いて平織で
製織した。これを実施例1と同様の染色工程に通し、そ
の布帛の表面にウレタン樹脂をコーティング加工した。
このときの樹脂のコーティング量は乾燥状態で5g/m
2 であった。仕上げ布帛の特性等を調べ、その結果を表
1に示したが、この布帛は風合いが若干硬くなっていた
が、電磁波シールド性、洗濯耐久性、耐漏電性、耐静電
性および抗菌性にも優れていることがわかった。
【0030】実施例6 ナイロン30d/10f銀メッキ糸をエステル50d/
24fに800T/mで交撚した複合糸を用い、この複
合糸と、エステル75d/36f、800T/Mの撚糸
とを、経糸には複合糸と撚糸を1:3の割合で、緯糸に
は複合糸と撚糸との割合を1:1で用いて平織で製織し
た。これを実施例1と同様の染色工程に通し、その布帛
の表面にウレタン樹脂をコーティング加工した。このと
きの樹脂のコーティング量は乾燥状態で7g/m2 であ
った。仕上げ布帛の特性等を調べ、その結果を表1に示
したが、この布帛は風合いが若干硬くなっていたが、電
磁波シールド性、洗濯耐久性、耐漏電性、耐静電性およ
び抗菌性にも優れていることがわかった。
【0031】実施例7 ナイロン30d/10f銀メッキ糸とエステル50d/
24fとをエアー混織した複合糸を用い、この複合糸
と、エステル75d/36f、800T/Mの撚糸と
を、経糸には複合糸と撚糸を1:3の割合で、緯糸には
複合糸と撚糸との割合を1:1で用いて平織で製織し
た。これを実施例1と同様の染色工程に通し、その布帛
の表面にウレタン樹脂をコーティング加工した。このと
きの樹脂のコーティング量は乾燥状態で10g/m2
あった。仕上げ布帛の特性等を調べ、その結果を表1に
示したが、この布帛は風合いが若干硬くなっていたが、
電磁波シールド性、洗濯耐久性、耐漏電性、耐静電性お
よび抗菌性にも優れていることがわかった。
【0032】比較例1 ポリエステル75d/36fからなる経108本/イン
チ、緯86本/インチ規格のタフタを使用し、この布帛
に通常の方法でニッケルの無電解メッキ(Ni:7g/
2 )を施した。得られた布帛の特性等を調べ、その結
果を表1に示したが、この布帛は、電磁波シールド性は
良好であるが、風合いが硬く、かつ洗濯耐久性、耐漏電
性、裏地適性および抗菌性に劣ることがわかった。
【0033】比較例2 ナイロン30d/10f銀メッキ糸をエステル50d/
24fに800T/mで交撚した複合糸と、エステル7
5d/36fとを用いて、縦横2重組織に製織した。こ
の際、複合糸のピッチは実施例5と同様にした。この2
重組織布帛の特性等を調べ、その結果を表1に示した
が、この布帛は、電磁波シールドおよび抗菌性は良好で
あるが、風合いが硬く、耐漏電性および裏地適性に劣る
ことがわかった。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】本発明の請求項1〜3に係る電磁波シー
ルド布帛は、導電性繊維を交編織した布帛を構成する繊
維の交錯点における導電性繊維同士の接触割合および布
帛の表面漏洩抵抗のいずれか1つを特定量に規制してい
ることにより、優れた電磁波シールド性、耐感電性およ
び耐金属アレルギー性を併せ持ち、さらには優れた抗菌
性も有するため、衣料用の布帛として優れた効果を発揮
する。
【0036】また、本発明の請求項4に係る電磁波シー
ルド裏地によれば、導電性繊維が交織された特定の摩擦
係数および柔軟度を有するものであり、薄い布帛で優れ
た電磁波シールド機能を発揮することができ、かつ表地
との追随性やしなやかさ等の裏地特性を保持することが
できる。本発明の請求項5〜7に係る電磁波シールド裏
地によれば、上述の電磁波シールド布帛と同様、導電性
繊維同士の接触割合および布帛の表面漏洩抵抗のいずれ
か1つを特定量に規制しているため、優れた電磁波シー
ルド性に加えて導電性繊維の使用による感電や金属アレ
ルギーなどの発生を防止することができ、さらに抗菌性
も併せ持つものである。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】合成繊維の表面に銀、銅、ニッケルおよび
    錫の少なくとも1種を無電解メッキした導電性繊維を1
    0%以上交編織した布帛であって、該布帛を構成する繊
    維の交錯点における導電性繊維同士の接触割合が0〜7
    5%および/または布帛の表面漏洩抵抗が1×103 Ω
    以上であることを特徴とする電磁波シールド布帛。
  2. 【請求項2】前記布帛が導電性繊維を芯糸にして非導電
    性繊維をカバリングした複合糸を用いて構成されている
    ことを特徴とする請求項1記載の電磁波シールド布帛。
  3. 【請求項3】前記複合糸の繊維被覆係数(YCF)が
    0.04〜0.6であることを特徴とする請求項2記載
    の電磁波シールド布帛。
  4. 【請求項4】合成繊維の表面に銀、銅、ニッケルおよび
    錫の少なくとも1種を無電解メッキした導電性繊維を交
    織した布帛からなる裏地であって、その摩擦係数が0.
    10〜0.30および柔軟度が20〜50であることを
    特徴とする電磁波シールド裏地。
  5. 【請求項5】前記布帛中に導電性繊維が10%以上交織
    されており、かつ該布帛を構成する繊維の交錯点におけ
    る導電性繊維同士の接触割合が0〜75%および/また
    は布帛の表面漏洩抵抗が1×103 Ω以上であることを
    特徴とする請求項4記載の電磁波シールド裏地。
  6. 【請求項6】前記布帛が導電性繊維を芯糸にして非導電
    性繊維をカバリングした複合糸を用いて構成されている
    ことを特徴とする請求項5記載の電磁波シールド裏地。
  7. 【請求項7】前記複合糸の繊維被覆係数(YCF)が
    0.04〜0.6であることを特徴とする請求項6記載
    の電磁波シールド裏地。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20030000008A (ko) * 2001-06-22 2003-01-03 황장송 기능성 직물지
WO2014030635A1 (ja) * 2012-08-24 2014-02-27 セーレン株式会社 磁界シールド性電磁波シールド材
CN106381689A (zh) * 2016-08-31 2017-02-08 浙江益南纤维科技有限公司 一种具有电磁屏蔽功能的金属棉复合纤维的制备工艺

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