JP3054612U - 電磁波シールド用衣服 - Google Patents

電磁波シールド用衣服

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JP3054612U JP1998003832U JP383298U JP3054612U JP 3054612 U JP3054612 U JP 3054612U JP 1998003832 U JP1998003832 U JP 1998003832U JP 383298 U JP383298 U JP 383298U JP 3054612 U JP3054612 U JP 3054612U
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博佐 渡辺
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本考案は、コンピューター、コピー機などの
OA機器、分析・測定機などの研究用機器などから放射
される電磁波をシールドするための衣服であって、その
性能をより向上させた電磁波シールド用衣服を提供する
ものである。 【解決手段】 布帛の経方向及び緯方向に表面金属化繊
維を適宜間隔のグリッド状に配置し、該表面金属化繊維
の間隔が1.0mm以下になるようにした布帛を用いて
なる衣服であって、該衣服が該表面金属化繊維と連結し
たアース用リード線、若しくはアース用端子を有してい
ることを特徴とする電磁波シールド用衣服にある。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、電磁波シールド用衣服に関し、さらに詳しくは、コンピューター、 コピー機などのOA機器、又は、分析・測定機などの機器から放射される電磁波 をシールドするための衣服に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、電磁波シールド用衣服に使用する布帛には、種々の形態のものが提 案されている。すなわち、その様な布帛の例として、布帛の表面に無電解メッキ を行ったものや、銅やステンレススチール等の金属細線を適宜間隔に配列した布 帛や、炭素繊維等との交織布帛、さらに、カーボンブラック、金属粉を混用した 導電性ゴム、プラスチックシート等を用いるもの、又は、表面金属化繊維を一定 間隔に配列した布帛などが提案されている。
【0003】 いずれの場合も電磁波シールド用衣服に使用する素材としては、優れた性能を 示すが、しかし、実際にこれらの布帛を使用して衣服を作成し着用すると種々の 問題点が発生する。すなわち、布帛自体が有する問題点としては、金属細線が織 り込まれた布帛では、使用中に金属線が切断して布帛の表面に切断端が突出し皮 膚に触れて不快感を与える問題があり、また、炭素繊維の交織布帛では電磁波シ ールド性が不十分であり、さらに、金属粉を混用した金属性ゴム、プラスチック シートも電磁波シールド性が弱い上に、布帛の風合いが悪くエプロン等の限られ た用途にしか使用できない問題もあった。
【0004】 また、織物や編物の表面に無電界メッキを行ったものがある。しかしこれら電 界メッキを行った布帛は電磁波シールド性は優れているものの、面状の2次元で 処理されるため布帛を構成している繊維が本来有している可撓性が損なわれ織物 、編物としての風合いが低下し衣料品としては不適当であった。
【0005】 これを改良するため表面金属化繊維を一定間隔毎に織り込んだ布帛(織物、又 は、編物)が提案されている。表面金属化繊維を一定間隔毎に織り込んだ布帛の 場合は、電磁波シールド用衣服に使用する布帛自体としては、優れた性能を示す が、しかしながら、これらの布帛を使用して衣服にして、着用すると人体との密 着性、着用時の人体と布帛の間の空間の影響等により充分なシールド性能を発現 するには至っていない問題が生じている。
【0006】
【考案が解決しようとする課題】
本考案は、このような事情を背景としてなされたものであり、コンピューター 、コピー機などのOA機器、分析・測定機などの研究用機器などから放射される 電磁波をシールドするために使用する衣服の性能をより向上させた電磁波シール ド用衣服を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
これらの課題を解決するために、本考案は、有機繊維からなる布帛の経方向及 び緯方向に表面金属化繊維を適宜間隔のグリッド状に配置し、該表面金属化繊維 の間隔が1.0mm以下になるようにした布帛を用いてなる衣服であって、該衣 服が該表面金属化繊維と連結したアース用リード線、若しくはアース用端子を有 していることを特徴とする電磁波シールド用衣服にあり、表面金属化繊維として は、合成繊維の表面に銀、ニッケル、若しくは、銅のいずれかをメッキ、又は、 コーティングしたものが最も好ましく用いられる。
【0008】
【考案の実施の形態】
以下、本考案を詳細に説明する。 本考案の衣服は、有機繊維からなる布帛の経方向及び緯方向に表面金属化繊維 をグリッド状に配置した布帛を使用して作成されるものである。該有機繊維とは 、衣服を形成し得る繊維であって、天然繊維、人造繊維を含み、該人造繊維とし ては、ポリエステル、ナイロン、アクリル等の公知の合成繊維が好適に使用され る。該有機繊維は、本考案に使用する織物の地組織に使用するものであり、糸の 太さ、撚数等の範囲は公知の範囲のものが適宜使用される。
【0009】 次に、表面金属化繊維とは、有機導電性繊維として、例えば、合成繊維を用い て、その表面に銀、ニッケル、もしくは銅微粉末をコーティングしたもの、若し くは、該合成繊維に銀、ニッケル、もしくは銅を化学メッキしたものなどが例示 されるが、特に、合成繊維に銀を化学メッキしたものが好適である。
【0010】 該合成繊維としては、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維など の公知の繊維のいずれでも良いが、ポリアミド繊維を使用するものが好ましく例 示される。電磁波シールド用衣服を構成する布帛に、織物を使用するような場合 には、ポリエステル繊維を使用するものが多い。一般的にポリエステル繊維を用 いた布帛は、アルカリ減量、染色加工などの加工工程を通るので、このような織 物に配列されるべき該表面金属化繊維のベース繊維としては、耐薬品性、耐熱性 などの点からナイロン66を使用するものが最適に例示される。すなわち、本考 案に使用する表面金属化繊維としては、ナイロン66繊維の表面に銀を化学メッ キした繊維を用いるものが最適である。
【0011】 本考案の衣服に使用する布帛は、このような表面金属化繊維をグリッド状に配 置したものを使用するが、該表面金属化繊維の配置される間隔は、1.0mm以 下の間隔する必要がある。本考案では、前記のように織物が使用されることが多 いが、該織物の場合には、経方向、及び緯方向のいずれの方向にも該表面金属化 繊維が1.0mm以下の間隔で配置されたものを使用する。該織物中において、 配列した表面金属化繊維は、相互に交差して接触し導電性のネットワークを形成 している。該表面金属化繊維の配置間隔が、1.0mmを超える場合には、着用 時の電磁波シールド性能は、もちろん、布帛自体の電磁波シールド性能も満足で きるものが得られないので好ましくない。
【0012】 このような表面金属化繊維を配置した布帛は、裁断、縫製を行うが、この際衣 服を構成する各パーツの表面金属化繊維が、相互に接触して導電可能なように縫 合される。また、本考案の衣服の形態は、特に限定されるものではなく、通常に 使用されるスーツ、エプロン、カジュアルウェアー、ユニフォーム、ヤッケなど の衣服として形成される。
【0013】 このような衣服は、該表面金属化繊維と連結したアース用リード線、若しくは アース用端子を有していることが重要である。アース用リード線、若しくは、ア ース用端子の取付け方法は、銅の細線などの延展性の大なる金属を撚り合せたリ ード線を該表面金属化繊維と接触するように縫い付けるものや、表面に金属メッ キを施した導電性テープを用いて該表面金属化繊維と接触するように縫合し、そ の上にアース用端子を取付けたもの、又は、直接、アース用端子を表面金属化繊 維と接触するようにハンダ付けしたもの等が例示されるが、特にこれらの方法に 限定されるものではない。なお、アース用リード線、若しくはアース用端子の数 は、衣服を構成している布帛パーツの表面金属化繊維が、電気的に繋がっておれ ば、1個所に設ければ十分である。
【0014】
【考案の効果】
本考案の衣服を着用して、アースを取付けると日常の生活条件下で受けるOA 機器や研究用機器などから放射される電磁波、例えば、100Khzから1Gh zの範囲の電磁波の放射環境下で30db以上の電磁波シールド性能を得ること ができる。
【0015】 また、このように高周波数域及び低周波数域の両方で電磁波シールド性能があ るため、前記のOA機器の使用者の作業用衣服のみならず電磁波の影響を受ける と健康上の理由から困る人(例えば、ペースメーカー使用の人)の衣服としても 有効に使用することができる。
【0016】
【実施例】
以下、実施例により本考案をさらに具体的に説明する。実施例で使用した表面 金属化繊維は、ナイロン66をベース繊維として、該繊維に銀を化学メッキした もの(商品名:X−static(登録商標)、米国 Sauquoit In dustries Inc.製、30デニール/10フィラメント)を使用した 。
【0017】 なお、実施例において、使用した電磁波シールド性能の評価方法は下記の通り である。 (1)近接界電磁波シールド性: MIL−STD−285に準拠した方法により行う。すなわち、近距離間に発 信アンテナと受信アンテナを設置したシールドボックス(TR17301A;ア ドバンテック社製)内で、アンテナ間に測定しようとする布帛(20cm×20 cm)を保持し、100Mhz〜1Ghzの範囲で周波数を変えて発信し、各周 波数における減衰状態をトラッキング・ジェネレーター付きスペクトラム・アナ ライザー(R−3361A;アドバンテック社製)で測定する。
【0018】 (2)放射電磁波シールド性: 図1に示す様に、電波暗室(温度25℃、相対湿度70%RH)に133Mh zのCPUを有するコンピューター2、及びそれに接続されたCRT3を設置し 、Windows95環境下でアプリケーションを作動させて電磁波を放射させ 、該コンピューターの前面約50cmの位置に胸元に受信アンテナ(Sony/ Tektronix製、電界プローブ)を付けた作業者1を着席させ、該作業者 1には測定対象である布帛から作成したエプロン(シールド布帛からなるもの) を着用させ、該受信アンテナで100Khzから1Ghzの周波数の範囲に亘っ て受信し、該エプロンの着用有無、或いは、アースの有無について測定する。測 定した各周波数における減衰状態は、トラッキング・ジェネレーター付きスペク トラム・アナライザー(R3361A、アドバンテスト社製)で測定する。なお 、図1は、放射電磁波シールド性を測定するための電波暗室内を説明する側面図 である。
【0019】 [実施例1] 経糸として、ポリエチレンテレフタレート(以下、ポリエステルという)マル チフィラメント糸(50デニール/24フィラメント)を使用し、さらに、前記 の表面金属化繊維(X−static、30デニール/10フィラメント)とポ リエステルマルチフィラメント糸(30デニール/12フィラメント)とを合糸 して600回/mの撚数で撚糸した合撚糸とを使用して、該合撚糸の配置間隔が 織物上で1.0mmとなるように該ポリエステルマルチフィラメント糸(50デ ニール/24フィラメント)の4本毎に、該合撚糸を1本を配列する配列法によ り使用し、緯糸としては、ポリエステルマルチフィラメント糸(75デニール/ 36フィラメント)を使用し、さらに、前記の合撚糸を使用して、該合撚糸の配 置間隔が織物上で1.0mmとなるように該ポリエステルマルチフィラメント糸 (75デニール/36フィラメント)の3本毎に、該合撚糸を1本配列する配列 法により使用して、平織組織に織成し、目付:60g/m2の織物を得た。該織 物を通常のポリエステル織物で実施される方法に従って、染色仕上げ加工を行い 、次いで、裁断、縫製してエプロンを作成した。該エプロンの前掛けの部分に銅 の細線を撚り合せたアース用リード線を縫い付けた。
【0020】 前記の染色仕上げ加工を行った織物について近接界電磁波シールド性を測定し 、さらに、前記のエプロンを着用して、該エプロンのアース用リード線の先端を 地中に接続してアースし、放射電磁波シールド性を測定して電磁波シールド性能 の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0021】 [実施例2] 経糸、及び緯糸として、実施例1で使用したと同様のポリエステルフィラメン ト糸、及び合撚糸を使用し、経糸の配列として、ポリエステルマルチフィラメン ト糸(50デニール/24フィラメント)の2本毎に、該合撚糸を1本使用する 配列法で、緯糸の配列として、ポリエステルマルチフィラメント糸(75デニー ル/36フィラメント)の2本毎に、該合撚糸を1本配列する配列法により使用 して、平織組織に織成し、表1に示すように表面金属化繊維が0.5mmの間隔 で配列された目付:64g/m2の織物を得た。該織物を実施例1と同様に染色 仕上げを行い、裁断、縫製してエプロンを作成して、実施例1と同様な方法でア ース用リード線を縫い付けた。実施例1と同様にして電磁波シールド性能の評価 を行った。評価結果を表1に併せて示す。
【0022】 [比較例1〜2] 実施例1、及び実施例2で得た織物を用いて、アース用リード線を縫い付ける ことを行わなかった以外は実施例1と同様にしてエプロンを作成した。このエプ ロンを着用して、放射電磁波シールド性を測定して電磁波シールド性能の評価を 行った。評価結果を表1に併せて示す。
【0023】 [比較例3] 実施例1で使用したと同様のポリエステルフィラメント糸、及び合撚糸を使用 し、経糸、及び緯糸の配列として、実施例1と同様に配列して、経糸、緯糸の打 ち込み密度を若干少なくして、該合撚糸の配列間隔が経糸方向、緯糸方向ともに 1.1mmとなるように織成した(目付:56g/m2)。該織物を使用して、 実施例1と同様にして染色仕上げ加工を行い、次いで、同様にしてエプロンを作 成し、同様にして電磁波シールド性能の評価を行った。評価結果を表1に併せて 示す。
【0024】 [比較例4] 比較例3において、アース用リード線を用いることを行わなかった以外は比較 例3と同様にしてエプロンを作成し、同様に着用して評価した。評価結果を表1 に併せて示す。
【0025】
【表1】
【0026】 表1に示すように、実施例1で得た織物は、単体として近接界電磁波シールド 性を測定すると、いずれも低周波数域では35db以上、高周波数域では40d b以上のシールド効果が得られる。この布帛を用いて作成したエプロンを着用し てアースを取ったものでは、35db以上の電磁波シールド性能が得られる。一 方、同様のエプロンを使用してアースを取らなかったものでは、電磁波シールド の効果としては、20db程度しか得られず、本考案の効果が得られなかった。 また、表面金属化繊維を使用した合撚糸の配列間隔が1.0mmを超えた織物 では、単体としても満足できる電磁波シールド効果が得られなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】放射電磁波シールド性を測定するための電波暗
室内を説明する側面図である。

Claims (2)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機繊維からなる布帛の経方向及び緯方
    向に表面金属化繊維をグリッド状に配置し、該表面金属
    化繊維の間隔が1.0mm以下になるようにした布帛を
    用いてなる衣服であって、該衣服が該表面金属化繊維と
    連結したアース用リード線、若しくはアース用端子を有
    していることを特徴とする電磁波シールド用衣服。
  2. 【請求項2】 表面金属化繊維が、合成繊維の表面に
    銀、ニッケル、若しくは銅のいずれかをメッキ、又は、
    コーティングした繊維である請求項1に記載された電磁
    波シールド用衣服。
JP1998003832U 1998-06-02 1998-06-02 電磁波シールド用衣服 Expired - Lifetime JP3054612U (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6799351B1 (ja) * 2019-07-05 2020-12-16 メディカル・エイド株式会社 電磁波防護具及びその製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP6799351B1 (ja) * 2019-07-05 2020-12-16 メディカル・エイド株式会社 電磁波防護具及びその製造方法
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