JPH11502517A - Bcr−abl指向性組成物およびフィラデルフィア染色体刺激性細胞増殖を阻害するための使用 - Google Patents

Bcr−abl指向性組成物およびフィラデルフィア染色体刺激性細胞増殖を阻害するための使用

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JPH11502517A JP8525151A JP52515196A JPH11502517A JP H11502517 A JPH11502517 A JP H11502517A JP 8525151 A JP8525151 A JP 8525151A JP 52515196 A JP52515196 A JP 52515196A JP H11502517 A JPH11502517 A JP H11502517A
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Abstract

(57)【要約】 Bcr-Ablオンコプロテインを阻害し、そしてBcr-Abl機能に関与する分子と結合する、一つ以上のペプチドを含むかまたはコードする、組成物を開示する。ペプチドおよびポリペプチドは、Bcr-Ablオンコプロテインを発現するフイラデルフィア染色体陽性白血病細胞の増殖を阻害し、そしてその細胞死を誘導する。白血病(例えば、CML,ALL,およびAML)を処置するための方法がまた提供され、この方法は、本発明のペプチドおよびポリペプチド組成物を用いる、骨髄自己移植療法を包含する。

Description

【発明の詳細な説明】 BCR-ABL 指向性組成物および フィラデルフィア染色体刺激性細胞増殖を阻害するための使用 本出願は、1995年2月16日に出願された同時継続中の米国出願番号08/390,353 の一部継続である。米国政府は、国立衛生研究所からの許可番号CA65611に準ず る本発明における権利を所有する。発明の分野 本発明は、概して、悪性細胞増殖の分野に関する。より詳細には、Bcr-Ablオ ンコプロテイン駆動性の悪性細胞増殖を制限する組成物および方法を提供する。 種々のBcr-Ablシグナル伝達経路(例えば、Rasタンパク質の活性化)を阻害する ペプチドおよびタンパク質分子が提供される。細胞群中のフィラデルフィア染色 体陽性細胞を減少するための方法(骨髄培養を包含する)および種々の白血病を 処置する方法もまた提供される。発明の背景 フィラデルフィア染色体(Ph1)は、大部分の慢性骨髄性白血病(CML)患者(95% を越える)、10〜25%の急性リンパ球白血病(ALL)患者、および約2〜3%の急性 骨髄性白血病(AML)に関連する。この異常染色体は、大部分のABL遺伝子を5'の2 /3のBCR遺伝子を融合する。 多くの異なる種類の証拠により、Bcr-Ablオンコプロテイン(例えば、p210およ びp185 BCR-ABL)が、これらの白血病において原因因子であることを支持される( Campbellら、1991)。有害な活性は、大部分がBcr-Ablタンパク質により高度に活 性化されたタンパク質チロシンキナーゼ活性およびタンパク質基質とのその異常 な相互作用が原因である(Campbellら、1991、Arlinghausら、1990)。Bcr-Ablオ ンコプロテインp210 Bcr-AblはCMLおよびALLの両方と会合され、より小さなオン コプロテインであるp185 BCR-ABLはALL患者に関連されるが、いくつかのCML患 者はまた、p185を発現する(Campbellら、1991)。 いくつかの報告により、Bcr-Ablオンコプロテインであるp210およびp185 BCR −ABLが、Ras経路を活性化することにより、少なくとも一部分が機能することが 示唆されている。RAS遺伝子は、正常な細胞増殖の制御に関与するプロトオンコ ジーンである。継続的に活性化した場合、Rasタンパク質は、潜在的なオンコジ ーン産物になる。Bcr-Ablオンコプロテインが、正常なRas機能を乱すことが本発 明者らおよび他の者によって観察された(Pendergastら、1993)。 Bcr-Ablオンコプロテインが、p21 Rasを活性化するメカニズムは、いくつかの 因子を包含すると考えられている。1つの事象は、Bcr第1エキソンのコーディ ング配列内のチロシン残基上のBcr-Ablオンコプロテインの自己リン酸化を包含 する(Liuら、1993)。この発見は、Bcr-Ablが、Bcrチロシン残基ではなく、Ablチ ロシン上のそれ自身をリン酸化すると以前は仮定されていたので予想外であった 。 いくつかのアダプタータンパク質は、Ras活性化に包含されてきた。図2は、S H2/SH3モチーフを含むいくつかのこのようなアダプタータンパク質を挙げる。こ のようなドメインは、核への増殖シグナルに関与するタンパク質において観察さ れている(Pawsonら、1992)。 Grb2は、チロシンリン酸化レセプタータンパク質に結合するアダプタータンパ ク質である。Bcr-Ablで誘導された腫瘍形成はまた、Grb2のSH2ドメインとの直接 的な相互作用によって媒介されると報告されてきた(Pendergastら、1993;Puil ら、1994)。Grb2はまた、GTP交換因子であるmSos1に結合する(図3を参照のこと )。後者は、GTP/Rasを形成することによってRasを活性化する。次いでGTP/Rasは 、Mekを活性化するセリン/スレオニンタンパク質キナーゼであるRafを活性化す る。Mekは、MAPキナーゼをリン酸化し、そして活性化するキナーゼである。後者 は、種々の転写ファクター(つまり、c-Jun)を活性化および/または調節して、 その結果細胞が増殖すると考えられている(図4)。 Bcr-Ablの有害な影響を包含する別のペプチドは、Shcを含む(Puilら、1994)。 Crklは、Bcr-Ablと共にタンパク質/タンパク質相互作用を形成する別のアダプ ター分子である(Reichmanら、1992;Ten Hoeveら、1993;1994)。Bcr-Ablと相互 作用するさらに別のアダプター分子は、p120 Ras Gapである(Drukerら、1992)。 Bcr-Ablで誘導された悪性腫瘍に関して試験されてきた別のタンパク質/タン パク質相互作用は、四量体構造の形成に関与する。フィラデルフィア染色体陽性 ヒト白血病において、第9染色体上のc-ablプロトオンコジーンは第22染色体上 のbcr遺伝子に融合し、そしてキメラなBcr-Ablタンパク質が産生される。融合さ れたBcr配列は、チロシンキナーゼ、アクチン結合、およびAblの形質転換機能を 活性化する。 Abl形質転換機能の活性化は、Bcrの2つの明確なドメイン:ドメイン1(Bcrア ミノ酸1〜63)およびドメイン2(Bcrアミノ酸176〜242)(McWhirterら、1993)が 必要であると考えられる。Bcrのドメイン1は、ホモ四量体を形成することが示 された(McWhirterら、1993)。Bcr-Abl四量体は、その固有のAblチロシンキナー ゼ活性、そのアクチン結合機能、およびその細胞形質転換機能を活性化する(McW hirterら、1993)。挿入性変異誘発による超らせんの崩壊は、オリゴマー化(olig imerization)機能およびRat-1線維芽細胞を形質転換するBcr-Ablの能力を不活化 する。 その遺伝子産物の活性に関連するBcr/Abl機能および病理学に関与すると考え られる特定の事象および分子が記載されているにも関わらず、Bcr/Ablを制御す るための包括的なストラテジー(および例えば、そのRasオンコジーンの活性化) は開発されていなかった。従って、Bcr/Ablを効率よく標識化し、そして特異的 に阻害するアプローチの必要が、科学分野および医学分野において存在し続けて いる。このような技術は、骨髄内のような組織内のフィラデルフィア染色体陽性 細胞を阻害するための新しい治療を提供する。 発明の要旨 本発明は、Bcr-Abl機能および活性化を阻害するBcr-Abl由来の特定のペプチド 配列を規定することにより、先行技術の一定の制限を克服する。従って、本発明 のペプチドおよび組成物は、Bcr-Ablを阻害する方法、骨髄サンプル中のフィラ デルフィア染色体陽性細胞の骨髄を除去する方法、および種々の白血病(慢性骨 髄性白血病(CML)、急性リンパ性白血病(ALL)、および急性骨髄性白血病(AML)を 含む)を処置する方法において有用である。 本発明のペプチドは、Bcr-Abl機能において重要であることが、本発明者らに よって見出された数個のチロシン残基の組合せのうち少なくとも1つを含むBcr- Ablアミノ酸配列のセグメントに基づく配列を含有するペプチドである。これら は、本明細中で「チロシン含有ペプチド」と呼ばれる。一般に、本発明の組成物 および方法は、少なくとも1つのチロシン含有ペプチドが存在することが必要で ある。 p160 Bcrの第1のエキソンのアミノ酸配列は、配列番号1に与えられる。チロ シンは、残基58、70、177、231、246、276、279、283、316、328、および360に 存在する。本発明の文脈において特に重要なチロシンは、177位、283位、および 360位のチロシンであり、そしてまたチロシン328である。 従って、本発明は、約4アミノ酸と約500アミノ酸との間の長さの、(配列番号 1の)BCr-Ablタンパク質由来の連続アミノ酸配列を有するまたは含む精製ペプチ ドおよびポリペプチドを提供する。この配列は、チロシン177、チロシン283、チ ロシン360、またはチロシン328のうちの少なくとも1つを含むかまたは囲み、こ のペプチドまたはポリペプチドは、活性化Bcr-Ablとの接触の際にチロシン177、 283、360、および/または328上でリン酸化される。 従って、これらのペプチドは、Bcr-Ablのチロシンリン酸化活性についての基 質であるとして特徴づけられる。これらのペプチドはまた、Bcr-Ablについての 基質としてBcrと効率よく競争し得るとして、そしてBcr-Ablを含む無傷の細胞中 のBcrのBcr-Abl媒介性チロシンリン酸化を減少し得るとして特徴づけられる。 チロシン177を含む例示の有用なペプチドは、配列番号8の配列(配列番号1の 164〜181位)を含むペプチドである。チロシン283を含む例示の有用なペプチドは 、配列番号11の配列(配列番号1の255〜293位)を含むペプチドである。ペプチド は、一般に、ペプチドの最先端よりも中央の領域中にチロシンを含むことが一般 に好ましい。 任意の所定のペプチドの作用機構を理解することは、本発明の実施のために必 要ではないが、チロシン177またはチロシン283を含むペプチドが、Bcr-Ablのオ ンコジーンの影響を阻害することによって同様に機能することは、注目すべきで ある。これは、Bcr-Ablによってリン酸化されるために他の基質(特に、Bcr)と競 争するペプチドによって、達成されると考えられる。要するに、これは、他の細 胞標的のBcr-Abl駆動性リン酸化を減少し、そしてBcr-Ablの有害な影響を制限す る。 なおさらに有用なチロシン含有ペプチドは、チロシン360を含むペプチドであ る。この群の例示の有用なペプチドは、配列番号10(配列番号1の353〜364位)お よび配列番号22(配列番号1の350〜366位)の配列を含有するペプチドを包含する 。セリン354に対応するリン酸化セリンが、これらのペプチド中で提供されるこ とが一般に好ましい。 チロシン360を含むペプチドの有利な効果は、Bcrの有益な効果(Bcr-Ablを中和 する)の刺激に基づくと考えられる。このようなBcr中和は、そのセリン/スレオ ニンキナーゼ活性によって、部分的に達成される。Bcr-AblによるBcrチロシン36 0およびチロシン328のリン酸化は、本発明者らによって、そのセリン/スレオニ ンリン酸化活性を減少することが示された。重要なことに、チロシン360含有ペ プチドのSer 354形態は、Bcr-Ablオンコプロテインのチロシンキナーゼ活性の直 接的なインヒビターであることが本明細書中に示される。 従って、チロシン360配列、またはチロシン328配列を含むペプチドは、Bcr-Ab lの基質としてBcrと競争し、そしてBcr-Tyr-360-Pのレベルを減少させ、それに よりBcrの有益な効果を促進する。しかし、この提唱された作用機能は、完全に 正確であることを証明しなくても、本発明がさらに有用であることは再び理解さ れる。 本発明のチロシン含有ペプチドに関して、少なくとも4マー配列または5マー 配列を含む、あるいは好ましくは、少なくとも6マー配列または7マー配列(こ れは、重要なチロシンを有する)を含む、ペプチドは、Bcr-Abl阻害のための組成 物中に有効な分子を提供することが期待される。例えば、少なくとも配列番号24 のアミノ酸配列(配列番号1の176〜180位)を含む配列が用いられ得る。例示の5 マーおよび7マーは、配列番号25(配列番号1の359位〜363位)および配列番号26 (配列番号1の279〜285位)によって示される。 しかし、約10〜12から、15〜20、約50、100、150、200、250、300、350、400 、または約500残基までなどのより長いペプチドもまた使用され得る。例示の13 マ ーは、配列番号27であり、これは配列番号1の168位〜180位に対応する。一般的 に好まれるより長いペプチドは、配列番号28のペプチドである。 配列番号10および配列番号22のようなより短いペプチドは、一般に、ペプチド またはリポソーム-ペプチド製剤として細胞または患者に投与される。配列番号2 8のようなより長いペプチドおよびポリペプチドは、一般的に、ペプチドまたは ポリペプチドを発現するベクターを用いる遺伝子療法を用いて細胞または患者に 投与される。 所定のペプチドは単独でBcr-Ablを阻害するのに有用であるが、本発明の組成 物および方法は、2つ以上のこのようなペプチドを含み得る。2つのペプチドが 用いられる場合、異なるチロシン領域を含む配列を有するペプチド、好ましくは 、177位、283位、および/または360位を含む配列番号1のそれらの配列から選 択されるペプチドを使用することが好ましくあり得る。前述の種々のチロシン領 域を含む3つの異なるペプチドもまた、利益を与えるために使用され得る。 177位、283位、および360位の3つのチロシンのうち2つを囲む配列を、それ 自体に含む単一のペプチドがまた使用され得る。このようなペプチドは、連続的 なBcr-Abl配列のみを含み得るか、または無関係な(好ましくは、柔軟な)リンカ ー配列によって、作動可能に連結されたBcr-Abl配列の2つの連続的な範囲を含 み得る。 さらに、177位、283位、および360位の3つのチロシンの各々を含む連続配列 を含む単一のペプチドの使用もまた意図される。連続的なBcr-Abl配列のみを含 む例示のペプチドは配列番号28であり、このペプチドは、配列番号1の残基64で 始まり、そして残基413で終わる。ペプチドはまた、より長い範囲のBcr-Abl配列 または他の配列を所望に応じて含み得る。 少なくとも1つのチロシン含有ペプチドに加えて、使用され得る本発明の他の ペプチドは、アダプター分子(すなわち、Bcr-Ablオンコプロテインの分子標的) に対するBcr-Abl上の重要な結合部位の配列を含むペプチドである。これらは、 「結合部位ペプチド」と呼ばれる。 本発明における使用のための結合部位ペプチドは、Bcr-Abl配列由来の連続ア ダプター分子結合部位配列を有するかまたは含む、約4アミノ酸と約500アミノ 酸との間の長さの精製ペプチドおよびポリペプチドであり、このペプチドまたは ポリペプチドはアダプター分子に結合する。 この結合部位ペプチドはまた、チロシン残基を含み得る。しかし、結合部位ペ プチドは、アダプター分子(例えば、Grb2、Shc,Crkl、Ras Gap、またはBcrのN 末端超らせん領域)に結合するとして特徴づけられる。好ましくは、それらは、 アダプター分子へのBcr-Ablの結合を阻害するとして、および無傷の細胞におけ るBcr-Ablアダプター分子の相互作用を減少し得るとして特徴づけられる。 本発明の組成物および方法における使用のための結合部位ペプチドは、一般に 重要なオンコプロテインに結合するBcr-Abl上の部位を模倣する。これらの実施 態様において、1つ以上のシグナル伝達分子(例えば、Shc、Crkl、Ras Gap、お よび/またはGrb2/mSos1)に結合してこれらの分子がそれらの増殖促進機能を行 することを妨げる補充的なペプチドが提供される。 従って、本発明のチロシン含有ペプチド組成物は、以下の1つ以上の結合タン パク質をさらに含み得る:ShcのAbl SH3結合タンパク質リッチ領域に結合する精 製ペプチド;Crkl上のプロリンリッチなABl結合部位に結合する精製ペプチド;p 120 Ras GapのSH2ドメインに結合する精製ペプチド;および/またはBcrのN末 端超らせん領域に結合する精製ペプチドまたはタンパク質。 本発明の例示の組成物は、ShcのAbl SH3結合タンパク質リッチ領域を結合する 1つ以上のペプチドをさらに含む組成物である。ShcはGrb2に結合し、そしてこ の複合体は、Rasを活性化する潜在性を有する。Shcに結合するペプチドは、Bcr 領域由来の配列ではなく、Abl領域に由来の配列を含む。 本発明のさらなる結合ペプチドは、Bcr-AblへのCrklの結合を阻害するペプチ ドである。Crklは、AblおよびBcr/Ablの両方と複合体を形成する38kDaのタンパ ク質であり、そしてAblおよびBcr-Ablによってチロシンがリン酸化される。従っ て、CRKL上のプロリンリッチなAbl結合部位を模倣するペプチドはまた、本発明 のいくつかの実施態様の成分である。 これらの実施態様に含まれるなおさらなるBcr/Ablペプチドは、p120 Ras Gap に相互作用するペプチドである。この性質のペプチドは、p120 Ras GapのSH2ド メインを結合するペプチドとしてさらに詳細に記載される。これらのペプチドは 、 チロシン279およびBcrの第1のエキソンの外側にチロシンを含む。例示の有用な ペプチドは、配列番号11(配列番号1の255位〜293位)および配列番号12の配列を 含むペプチドである。 さらなる実施態様において、本発明の組成物は、BcrのN末端超らせん領域を 結合する1つ以上のペプチドまたはタンパク質を含む。これらのペプチドおよび タンパク質は、配列番号2(配列番号1の1位〜63位)に対応する配列;配列番号 3(配列番号1の1位〜71位)に対応する配列;配列番号4(配列番号1の28位〜5 8位)に対応する配列;配列番号5(配列番号1の1位〜159位)に対応する配列; 配列番号6(配列番号1の1位〜221位)に対応する配列;または配列番号7(配列 番号1の1位〜413位)に対応する配列;を含むペプチドによって例示される。 本発明者らは、Bcrタンパク質が、Bcr-AblオンコプロテインがGrb2と複合体を 形成し得るGrb2に対するコンセンサス結合部位Y*VNV(配列番号13)を含むことを 観察した。チロシン177位でのBcr配列のチロシンリン酸化は、Grb2/mSos1を生じ て膜結合Bcr-Ablを結合し、そしてp21 Rasを活性化する(図5)。 従って、特に1つ以上のShc、Crkl、SH2、またはp120 Ras Gap結合配列と組合 せに使用した場合、Y*VNVコンセンサス結合部位(配列番号13;配列番号1の177 残基〜180残基)を含むペプチドは、Bcr-Ablに対するGrb2の結合を妨げ、Bcr-Abl に誘導される有害な影響をブロックする。BcrペプチドGHGQPGADAEKPFp.Y177VNVE (配列番号8(配列番号1の残基164〜181))はまた、Grb2上のSH2結合部位に強く 結合し、そして本発明の組成物において使用され得る。 従って、本明細書中に記載のように、ペプチドが有効な結合部位を含むための 十分な長さである限り、本発明の結合部位ペプチドは、約4アミノ酸と約500ア ミノ酸との間の任意の長さであり得る。 本発明の任意のペプチド組成物は、薬学的に受容可能なキャリア(例えば、Rin gers溶液、生理食塩水など)をさらに含み得る。このようなキャリアは、薬学の 分野における当業者に公知である。 本発明の別の実施態様は、リポソーム製剤とともに上記の1つ以上のチロシン 含有ペプチドを含む組成物を提供する。このペプチドは、リポソーム内にカプセ ル化され得るか、または単にリポソームと機能的に結合した状態で維持され得る 。 前述のペプチド組成物は、フィラデルフィア染色体陽性細胞を含む細胞の混合 物中のフィラデルフィア染色体陰性細胞を富化する行程において使用され得る。 本発明によって、少なくとも1つの本発明のチロシン含有ペプチドをコードお よび発現する第1のDNA配列を含む第1の発現ベクター(例えば、プラスミド、ア デノウイルス、またはレトロウイルス)がさらに提供される。配列番号1のアミ ノ酸配列をコードするDNA配列は、当業者に公知であり、そして本明細書中にさ らに記載される。1つ以上のチロシン含有ペプチドをコードする特定のコード領 域の同定は、当業者には簡単なことである。 第1の発現ベクターは、以下のうちの少なくとも1つをコードして発現する第 2のDNA配列をさらに含み得る:ShcのAbl SH3結合タンパク質リッチ領域を結合 するペプチド;Crkl上のプロリンリッチAbl結合部位を結合するペプチド;p120 Ras GapのSH2ドメインを結合するペプチド;BcrのN末端超らせん領域を結合す るペプチドまたはタンパク質;および/またはGrb2上のSH2結合部位を結合する ペプチド。 また、第2の発現ベクター(例えば、プラスミド、アデノウイルス、またはレ トロウイルス)は、上記の第1の発現ベクターとともに使用するために提供され 得る。第2の発現ベクターは、一般に、以下のうちの少なくとも1つをコードし て発現するDNA配列を含む、プラスミド、アデノウイルス、またはウイルスであ る:ShcのAbl SH3結合タンパク質リッチ領域を結合するペプチド;Crkl上のプロ リンリッチAbl結合部位を結合するペプチド;p120 Ras GapのSH2ドメインを結合 するペプチド;BcrのN末端超らせん領域を結合するペプチドまたはタンパク質 ;および/またはGrb2上のSH2結合部位を結合するペプチド。 特定の実施態様において、単独でまたは融合ポリペプチドの一部としてのいず れかで本発明の1つ以上のペプチドを発現する両種向性レトロウイルス(複製を 欠損するが、動物または患者由来の骨髄細胞を感染し得る)が、提供される。リ ポソームと結合するアデノウイルスベクターおよびプラスミドベクターであるAA Vもまた提供される。 本発明の方法は、フィラデルフィア染色体陽性細胞の阻害、傷害、または表現 型の効果的な逆転を提供する。この方法は、一般に、フィラデルフィア染色体陽 性細胞またはフィラデルフィア染色体陽性細胞を含む細胞の集団を、本明細書中 に記載の任意のチロシン含有ペプチド組成物のいずれか1つ、または組み合わせ の生物学的に有効な量を、含むかまたはコードする組成物と接触させる工程を包 含する。組成物は、フィラデルフィア染色体陽性細胞の阻害および傷害を生じる に有効な期間、細胞を接触して維持される。 この方法が、1つ以上のフィラデルフィア染色体陽性細胞を有効な量の1つ以 上のチロシン含有ペプチド自身と接触させることによって達成され得ることが理 解される。また、細胞は、1つ以上の発現ベクター(1つ以上のこのようなチロ シン含有ペプチドをコードして発現するウイルスベクターを含む)と接触され得 る。 このような方法に使用するための組成物は、一般に、配列番号1由来のチロシ ン残基177、283、または360のうちの少なくとも1つを含む配列を有するかまた は含む少なくとも1つのペプチドを含むかまたはコードする。特定の実施態様に おいて、組成物は以下をさらに含むかまたはコードする:ShcのAbl Sh3結合タン パク質リッチ領域を結合するペプチド;Crkl上のプロリンリッチAbl結合部位を 結合するペプチド;p120 Ras GapのSH2ドメインを結合するペプチド;BcrのN末 端超らせん領域を結合するペプチドまたはタンパク質;および/またはGrb2上の SH2結合部位を結合するペプチド。 フィラデルフィア染色体陽性細胞の阻害、傷害、または表現型を逆転する方法 において、細胞または細胞の集団は、インビボまたはインビトロのいずれかで接 触され得る。従って、この方法は、インビボ処置およびインビトロ/エクスビボ プロトコルの両方を包含する。インビボおよびインビトロ両方において、細胞は 、ペプチドの組成物、リポソーム結合ペプチドの組成物、および/あるいはペプ チドをコードして発現する発現ベクターまたはウイルスを含む組成物と接触され 得る。この組成物は、一般に、薬学的に受容可能である。 従って、本発明は、フィラデルフィア染色体陽性細胞を含有する細胞の混合物 中の、フィラデルフィア染色体陰性細胞を富化するための方法をさらに提供する 。この方法は、一般に、フィラデルフィア染色体陽性細胞を含むか、または含む と推測される細胞の混合物(例えば、骨髄サンプル)を、本発明の任意のチロシン 含 有ペプチド組成物のいずれか1つまたは組み合わせのBcr-Ablを阻害する量を含 むかまたはコードする組成物と有効な期間接触させる工程を包含する。特定の実 施態様において、骨髄はCML、AML、またはALLを有する患者から得られる。 本発明は、本発明のペプチドで処理された骨髄サンプルが、それを得た患者に 再投与されることを特に意図する。従って、本発明は、エクスビボ処置および骨 髄自己移植前の骨髄を取り出すのための方法を提供する。処置された骨髄サンプ ルは、移植受容者の免疫担当性(immunocompetency)を増強する。 フィラデルフィア染色体陽性細胞を含む細胞混合物中のフィラデルフィア染色 体陰性細胞を富化する方法において、フィラデルフィア染色体陰性細胞は、一般 に、フィラデルフィア染色体陽性細胞を含むサンプル中に存在する数に対して富 化する。1つの例は、CML、AML、またはALLを有する患者由来の骨髄サンプル中 に存在する数に比例するフィラデルフィア染色体陰性細胞の富化である。 なおさらなる実施態様において、本発明は、骨髄サンプルからフィラデルフィ ア染色体陽性細胞を除去する方法を提供する。この方法は、一般に、フィラデル フィア染色体陽性細胞を含む骨髄サンプルを、骨髄サンプル中のフィラデルフィ ア染色体陽性細胞の数を減少させるのに有効な量で、任意の本発明のチロシン含 有ペプチド組成物のいずれか1つ、または組み合わせを含むかまたはコードする 組成物に、有効な期間、曝露する工程を包含する。 本発明のなおさらなる実施態様は、フィラデルフィア染色体陽性白血病を有す るかまたは有すると推測される患者を処置する方法を提供し、この方法は、本質 的に白血病細胞のない自己骨髄サンプルを調製するのに有効な量(すなわち、白 血病細胞の細胞傷害性量を用いる)で、本発明のチロシン含有ペプチドの少なく とも1つを含むかまたはコードする組成物で患者の骨髄サンプルを処置する工程 および処置されたサンプルを患者に投与する工程を包含する。 この処置方法はまた、骨髄サンプルを患者から得る工程、骨髄サンプルからフ ィラデルフィア染色体陽性細胞を除去するのに有効な治療量および期間、1つ以 上の本発明の任意のチロシン含有ペプチドを含むかまたはコードする組成物と、 この骨髄サンプルとをエクスビボで接触させる工程、および取り出された骨髄サ ンプルを患者に再投与する工程を包含する。 本発明の目的によって、自己骨髄サンプルは、体外での処置の後に患者への再 投与を意図された患者由来の骨髄のサンプルとして規定される。 本発明による患者における白血病を処置するための規定された方法は、以下の 工程:白血病を有する患者に、患者における少なくともいくつかの細胞遺伝学的 寛解(cytogenetic remission)を生じるのに十分な化学療法レジメを投与する工 程;寛解中の患者から骨髄サンプルを得る工程;骨髄サンプルを、フィラデルフ ィア染色体陽性細胞に細胞傷害性な濃度のチロシン含有ペプチドに曝露し、本質 的にフィラデルフィア染色体陽性細胞のない骨髄サンプルを提供する工程;およ び患者に本質的なフィラデルフィア染色体陽性細胞のない骨髄サンプルを再導入 する工程を包含し、ここで再導入により、フィラデルフィア染色体陽性骨髄細胞 を正常な造血始原細胞と置換する。 本発明のアプローチは、Bcr-Ablオンコプロテインの1つ以上の重要な標的を 同時に中和しながら、Bcr-Ablの活性が阻害されると言う点で現在のストラテジ ー(例えば、アンチセンスBcr-Ablアプローチ)よりも優れた改良を提供する。 本発明はまた、そのペプチドが、分子量マーカーとして、タンパク質染色スタ ンダードとして、および放射性ヨウ素化についてのスタンダードとして使用され 得る実質的な用途を有する。 図面の簡単な説明 以下の図面は本明細書の一部を形成し、そして本発明の特定の局面をさらに示 すために包含される。本発明は、本明細書中に示す特定の実施態様の詳細な記載 と組み合わせてこれらの図面の1つ以上を参照することにより、より十分に理解 され得る。 図1Aおよび図1Bは、BcrおよびBcr-Abl相互作用についてのモデルを提供す る。図1Aは、正常な始原細胞を示す。図1Bは、白血性始原細胞を示す。 図2は、シグナル伝達に関与するSH2/SH3含有タンパク質の図を提供する。 図3は、リガンドレセプター相互作用によるRASの活性化を概略する。 図4は、レセプター/リガンド相互作用による転写因子の活性化の経路を概略 する。 図5は、Bcr-AblによるRasの活性化経路を概略する。 図6Aおよび図6B。短縮型Bcr第1エキソン配列のBcr-Ablによるインビボチ ロシンリン酸化。Bcr150、Bcr221、およびBcr413タンパク質をそれぞれ発現する COS-1ベクターを、p20 Bcr-Ablの存在下および非存在下、COS-1細胞中で発現さ せた。図6Aは、抗-Tyr抗体を用いたウェスタンブロットを示す。Bcr-Ablは、B cr221およびBcr413のチロシンリン酸化を誘導するが、Bcr159のリン酸化は誘導 しない。このことは、Bcrの最初の2つのチロシンがBcr-Ablの標的ではないこと を示している。次のチロシンは残基177であり、そしてBcr-Ablによりリン酸化さ れると予想される(Puilら、1994)。Bcr221は、チロシンリン酸化されるが、Bc r413と同様にBcr-Ablの存在下でのみリン酸化される。図6Bは、抗-Bcr 1-16で プローブした同じ抽出物のウェスタンブロットを示す。3つ全てのBcrタンパク 質フラグメントが、両方の条件下で特異的に発現されることに注意されたい。 図7は、BCR欠失変異体の模式図を提供する。 図8A、図8B、図8C、および図8Dは、インビトロリン酸化Bcr-Ablタン パク質の二次元トリプシン処理(tryptic)マップを示す。変異体および野生型B cr-Ablタンパク質は、記載のようにCOS-1細胞において発現された。Bcr-Ablタン パク質を、抗-Abl(52-64)免疫複合体を用いてインビトロでリン酸化し、そし てマップした。破線の丸は、変異体において欠損したタンパク質を示す。図8A 、p210野生型;図8B、p210-F283;図8C、p210-F276;図8D、p185-F360。 図9Aおよび図9Bは、F283および野生型p210 Bcr-Ablのトリプシン/V8マッ ピングを示す。COS-1細胞において発現されたp210 Bcr-AblのF283変異体(図9 B)を、K562細胞由来のp210 Bcr-Ablのマップ(図9A)と比較した。インビト ロ標識化およびマッピングを行った。破線の丸またはXは、変異体において欠損 したペプチドを示す。 図10Aおよび図10Bは、p210の吸収されたトリプシン処理マップを示す。GST- Abl SH2は、ホスホチロシントリプシン処理ペプチド3(これは、チロシン283を 含む)に結合する。K562細胞由来のインビトロキナーゼアッセイにおいて標識さ れたp210 Bcr-Ablを、SDSゲル上で精製してトリプシンで消化し、そして消化物 を2つの部分に分離した。一方をGSTで吸収させ(図10A)、そして他方をGST-A bl SH2で吸収させた(図10B)。ビーズに結合しなかったペプチドは、通常のよ うに薄層プレート上で分離した。破線の丸は、GST-Abl SH2で吸収された画分に おいて欠損するペプチドを示す。 図11は、本発明のペプチドを細胞に導入するのに有用なレトロウイルスベクタ ーpG7CHTを示す。 図12は、センスまたはアンチセンス3'BCRで処理したSUP-B15細胞におけるBcr -Ablタンパク質発現を示す。SUP-B15細胞はp185 BCR-ABLを発現する;これらは 、フィラデルフィア染色体陽性ALLを有する患者に由来した。図13に示した研究 において採集した細胞の10分の1を、抗-Ablモノクローナル抗体8E9を用いるウ ェスタンブロッティングにより、Bcr-Abl発現についてアッセイした。これらの 結果の定量により、センス処理培養物(レーン2)に比べるとアンチセンス処理 培養細胞(レーン1)においてBcr-Ablタンパク質が35%減少したことが示され る。同様に、Ablタンパク質は、センス処理培養細胞に比べるとアンチセンス処 理培養細胞において、約26%減少した。デンシトメーターSIユニット(Molecula r Dynamics)により定量を行った。 図13は、SU PB15 ALL細胞の3'アンチセンスBCRオリゴヌクレオチド処理によ るp160 BCR発現の阻害を示す。SUP B15細胞を、図12におけるように、アンチセ ンスBCRオリゴヌクレオチドで処理した。センス処理培養細胞およびアンチセン ス処理培養細胞からプロセスした等量の細胞を、7日目に採集した。記載(Liu ら、1993)noように、Bcrのカルボキシ末端に対する抗体でアッセイすることに より、細胞をBcrタンパク質およびBcr/Bcr-Abl複合体について分析した。レーン 1は、センス処理した培養細胞のSDSゲルパターンである;レーン2は、ペプチ ドブロック抗体を用いて行ったアッセイである。レーン3は、アンチセンス処理 した培養細胞のパターンである;レーン4は、ペプチドブロックコントロールで ある。レーン1とレーン3との比較により、Bcrタンパク質のレベルならびにBcr /Bcr-Abl複合体を形成するその能力が、3'BCRアンチセンス処理によりひどく阻 害されたことを示す。定量測定により、培養細胞におけるAblタンパク質の量に ついて規格化された場合、センス処理に比べてアンチセンス処理により、Bcrタ ンパク質のレベルが約10倍減少したことが示される。 図14は、3'BCRアンチセンスオリゴでの処理が、低血清中で維持されたp185 B CR-ABLを発現するSUP-B15細胞の生存を増強することを示す。SUP-B15細胞(2× 106細胞)を、5%ウシ胎児血清を含有するRPMI培地中で維持した。細胞増殖は20 %の血清を必要とするので、細胞はこれらの条件下では増殖せず、そして緩やか に死滅する。細胞を、10μMの濃度で3'BCRアンチセンスオリゴ(白丸)または 3'BCRセンスオリゴ(黒丸)で処理した。生存細胞の数を、トリパンブルー色素 排除により測定した。データを、3連の平均(+/-SEM)として表す。 図15は、Bcr-AblチロシンキナーゼによるBcrセリン/スレオニン自己キナーゼ 活性の低下を示す。(Bcr-AblによるBcrのインビトロリン酸基転移)。3×108S MS-SB細胞(Bcr-Ablを欠く)由来の等量の細胞抽出物を3つの部分に分け、そし て抗Bcr(1256-1271)を用いる免疫沈降のためにプロセスした。第1の部分(1 ×108細胞)を、イムノキナーゼアッセイのためにProtein A Sepharoseビーズ上 に回収した。第2の部分(1×108細胞)を、1×106 SUP-B15(p185 BCR ABL発 現細胞)から得られたProtein A Sepharoseビーズに結合された抗-Abl(51-64) 免疫複合体に添加した。これらの抗-Abl免疫複合体は、高量のp185 BCR-ABLを有 するが、トレースレベルのp160 BCRを有するだけである。Bcr免疫複合体の第3 のバッチ(1×108)を、2×107 SUP-B15細胞から得られたBcr-Abl免疫複合体 に添加した。全ての手順は、記載(Liuら、1993)のように行った。低レベルお よび高レベルのBcr-Ablによるリン酸基転移後にゲル精製したp160 BCRのホスホ アミノ酸分析。パネルA由来の3つのp160 BCRバンドを、SDS緩衝液によりゲル から溶出し、そして90分間、110℃にて、6N HClで処理した。これらの条件は、 ホスホセリン/スレオニンおよびホスホチロシン値の両方を得るための合理的な 折衷案である。加水分解産物を、ホスホセリン/スレオニンおよびホスホチロシ ンを分離する条件下、薄層プレート上で分画した(Liuら、1993)。p160 SMS-SB バンド由来の約200cpm(Cerenkov)の酸加水分解産物、200cpmのSMS-SB/5%SUP-B 15 p160バンド、および500cpmのSMS-SB/100% SUP-B15 p160バンドを、プレート 上に載せた。規格化後、セリン/スレオニンスポットの強度は、p160単独につい ては、4,421;低レベルのBcr-Abl(5%)とともにインキュベートしたp160 BCR については、1763、および高レベルのBcr-Ablとともにインキュベートしたp1 60 BCRについては、142であった。ホスホセリン/スレオニンは、比較的高レベ ルのBcr-Ablキナーゼにより30倍を超えて減少し、そして5%のBcr-Ablレベルで は、2.5倍減少した。 図16は、BcrおよびBcr/Ablによるカゼインのリン酸基転移を示す。COS1細胞 のT-150フラスコを、pSG5 BCRまたはpSG5 BCR-ABLのいずれかでトランスフェク トした。トランスフェクションの2日後、細胞を採集し、そしてキナーゼを、Li uら、1993に記載のように行った。レーン3において、レーン2のBcr複合体を有 する同量のProtein A Sepharoseビーズを、抗-Abl(51-64)p6Dモノクローナル 抗体を用いて採集したBcr-Abl複合体を有するProtein A Sepharoseビーズに添加 した。カゼイン(10μg)を、標識ATPと共に各反応混合物に添加した。氷上で15 分後、反応を停止し、そしてサンプルを加熱SDSサンプル緩衝液で処理した。Pro tein A Sepharoseビーズの除去後、上清液を8% SDSゲル上で分画した。レーン 1、カゼイン非存在下のp160 BCR自己リン酸化;レーン2、Bcrによる添加され たカゼインのリン酸基転移、レーン3、p160 BCRおよびp210 BCR-ABLの混合物に よるカゼインのリン酸基転移。 図17は、BcrおよびBcr/Bcr-Ablによりリン酸化されたカゼインのホスホアミノ 酸分析を示す。各反応混合物由来のほぼ等しいcpmのカゼインを、6N HClを用い て90分間処理してホスホセリン/スレオニンおよびホスホチロシンの両方の検出 に好ましくした。Bcrによりリン酸化されたカゼインを、レーン1に示す;レー ン2は、Bcr/Bcr-ABl混合物によりリン酸化されたカゼインの分析を示す。Bcrキ ナーゼが等量に添加されたにもかわらず、Bcrによるカゼインのセリンリン酸化 は、添加されたBcr-Ablによってひどく阻害された。Bcr-Ablが存在し、そして活 性であったことは、Bcr-Ablの存在下、添加されたカゼイン分子におけるホスホ チロシンの強いシグナルによって示される。 図18は、p160 BCRおよびp145 c-ABLの両方を過剰発現するCOS1細胞におけるチ ロシンリン酸化p160 BCRとシミアンGrb2タンパク質との物理的相互作用を示す。 抗Grb2ウェスタンブロッティングを、COS1細胞溶解物(レーン1)、またはヒト 完全長c-ABL(1b)でトランスフェクトしたCOS1細胞由来の抗-BCR(1256-1271) 抗体免疫沈降物(レーン2および3)、ヒト完全長BcrでトランスフェクトしたC OS1細胞由来の抗-BCR(1256-1271)抗体免疫沈降物(レーン4および5)、また はヒト完全長Bcrおよびc-ABl(1b)の両方で同時トランスフェクトしたCOS1細胞 由来の抗-BCR(1256-1271)抗体免疫沈降物(レーン6および7)に対して行っ た。レーン3、5、および7は、予めブロックした抗-BCR(1256-1271)抗体を 用いて得られた免疫沈降物である。バンドをECL法を用いて検出した。露光時間 :30秒。 図19は、p160 BCRのホスホチロシン 177が、シミアンGrb2タンパク質とのその 相互作用に必要不可欠であることを示す。抗-Grb2ウェスタンブロッティングを 、野生型 p160 BCR(レーン1および2)またはp160 BCR(F177)(レーン3お よび4)変異体のいずれかとともにp145 c-ABLを同時トランスフェクトしたCOS1 細胞由来の溶解物の抗-BCR(1256-1271)抗体免疫沈降物に対して行った。レー ン2および4は、予めブロックした抗BCR(1256-1271)抗体を用いた免疫沈降物 である。 図20Aおよび20Bは、p185 BCR-ABLを発現するSUP-B15細胞およびp210 BCR-AB Lを発現するM3.16細胞の増殖に対する3'BCRアンチセンスオリゴヌクレオチドの 効果を示す。図20A、20% FCSを含有するRPMI培地中で、3'BCRアンチセンスオ リゴヌクレオチド(10μM、1日目)(白四角)またはセンスオリゴヌクレオチ ド(10μM、1日目)(黒四角)のいずれかとともに培養したB15細胞。図20B、 10%FCSを含有するDMEM培地中で、上述の3'BCRアンチセンスオリゴヌクレオチド (白四角)またはセンスオリゴヌクレオチド(黒四角)のいずれかとともに培養 したM3.16細胞。オリゴヌクレオチドは、1日目に10μMの最終濃度で添加し、そ して5日目に最初の濃度の半量を再度添加した。細胞生存率をトリパンブルー色 素排除により決定した。データは3連分析の平均+/-SEMである。 図21。ホスホセリンBcrペプチドpS354 S17K(配列番号22)は、Bcr-Ablチロシ ンキナーゼ活性を阻害する。Bcr-Abl陽性急性リンパ性白血病(ALL)を有する患 者由来のSUP B15細胞株を培養液中で増殖した;細胞を溶解し、そしてBcr-Ablオ ンコプロテイン(oncoprotein)をモノクローナル抗体p6D(抗-Abl 51-64)で免 疫沈降した。免疫複合体を、[γ-32P]ATPを含有するキナーゼ活性化緩衝液の添 加の前に、ペプチドなし、または50μgのペプチドとともにのいずれかで混合し た。アッセイが完了した後、タンパク質をSDSゲル電気泳動により分画した。放 射性タンパク質をホスホイメージ解析により検出した。レーン1、ペプチドなし ;レーン2、50μgのpS354 S17K;レーン3、50μgの非リン酸化S17K。 図22。Bcr-Ablタンパク質チロシンキナーゼを阻害するBcrフラグメントの構造 。使用したBcrフラグメントのアミノ酸配列は、配列番号28のアミノ酸配列であ り、これは配列番号1の残基64で始まり、そして残基413で終わる。Bcrコード配 列(Mc WhirterおよびWang、1991)を、ベクターpLNL SLX CMVに、このベクター のBamHI部位でリンカー配列とともに挿入した。翻訳産物は、AKE---で始まるア ミノ末端のBcr配列に融合された5つのアミノ酸で始まる;3'末端でのリンカー 配列は、Bcr配列のカルボキシル末端(----GQI)に停止コドンの前にLVを付加す る。 図23A、図23B、および図23C。COS-1細胞において発現されるBcrフラグメン トは、Bcr-Ablチロシンキナーゼをインビトロで阻害する。これらの研究におい て、Bcrフラグメントは、COS-1細胞において発現され、次いで抗-Bcr 181-194抗 体を用いる免疫沈降により単離された。この免疫複合体は、Protein A Sepharos eビーズへの結合により単離された;これらの免疫複合体を、抗Abl 51-64を用い てSUP B15白血病細胞から採集されたP185 BCR-ABLを含有するProtein A Sepharo seビーズに添加した。自己キナーゼ反応を行い、Bcr-Ablのチロシンキナーゼ活 性を測定した。図23A、レーン1、P185 BCR-ABLと混合した煮沸Bcrフラグメン ト;レーン2、P185 BCR-ABLと混合した未処理のBcrフラグメント;レーン3、P 185 BCR-ABLに添加した50μgのBcr S17K(リン酸化されず);レーン4、P185 B CR-ABL単独。図23B、P185 BCR-ABLを含有する免疫複合体のウェスタンブロッテ ィング。図23Aのレーン2およびレーン4に存在するP185タンパク質を、抗Bcr1 81-194を用いるウェスタンブロッティングによって分析した。レーン1、図23A のレーン2で検出されたP185;レーン2、図23Aのレーン4で検出されたP185。 これは、Bcr-Ablのキナーゼ活性は、Bcrフラグメントタンパク質により劇的に減 少されたが、反応混合物中のBcr-Ablの量は同様であったことを示す。図23C。 抗-Bcr 181-194抗体は、Bcr-Ablチロシンキナーゼ活性を阻害しない。この研究 において、抗Bcr 181-194抗体を、P185 BCR-ABLを含有する反応混合物に添加し て、抗体自身が抗体/Bcrフラグメント複合体により示される阻害活性を担ったの か否かを決定した(図23A、レーン2)。レーン1、P185 BCR-ABL単独;レーン 2、P185 BCR-ABL+抗-Bcr 181-194を含有するProtein A Sepharoseビーズ。一 番上のパターンは、P185自己キナーゼ活性である;下の部分は、免疫複合体の抗 Abl 8E9ウェスタンブロットである。これらの結果は、抗Bcr抗体自身がBcr-Abl キナーゼ活性を阻害しないことを示す。 好ましい実施態様の詳細な説明 本発明は、Bcr-Ablオンコジーン活性の阻害のための、Y177、Y283および/ま たはY360、あるいはさらにY328を含むBCR配列を含む1つ以上のペプチドを提供 する。このペプチドはまた、BCR-Abl-アダプタータンパク質相互作用(図1Aお よび図1B)を阻害する。この阻害は、アダプタータンパク質が、有害な影響( 例えば、Rasオンコジーン活性化)に導くカスケードに関係することを防止する 。 1.チロシン含有ペプチド 本発明において好ましいチロシン含有ペプチドは、配列番号8、配列番号11、 配列番号10、配列番号22、およびより長いペプチドである配列番号28の配列を含 むペプチドである。しかし、配列番号1〜配列番号28の任意の1つ以上の配列を 含むペプチドが、本発明において使用され得る。 これらのペプチドは、それらの配列内のチロシンを、最初、中間または最後で 有し、一般に、ペプチドの中間が好ましい。 ペプチドはチロシン残基でリン酸化されてもよく、またはそれらは非リン酸化 形態で提供されてもよい。なぜなら、標的細胞が、ペプチドをリン酸化する能力 を有するからである。Y177およびY283を含むペプチドは、チロシンキナーゼ活性 について競合するために、一般に、非リン酸形態で提供される。Y360を含むペプ チドは、最も有効であるために、一般に、リン酸化セリン(例えば、354位に対 応する)を含む形態で提供される。Y328を含むペプチドが、さらに提供され得る 。 本明細書中上記で論じた機構に加えて、チロシン328および360のリン酸化は、 Bcrの構造を変化させることが意図される。Bcrは、他のSer/Thrキナーゼに構造 的に関連しない、新規なSer/Thrキナーゼである。チロシン328および360は、Bc rの機能において重要な2対のシステインの周囲に位置する。チロシン360および /または328がリン酸化されると、それが、Bcrの機能を妨害する立体構造変化を 誘導することが、本発明者らにより意図される。従って、チロシン328周囲の配 列を含むペプチドは、本発明の別の局面を形成する。 本発明のBcr-Ablペプチドは、約3〜4アミノ酸から約5、6、7、8、9、1 0、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または約20アミノ酸長までの、事実 上任意の長さであり得る。長さ約25、30、35、40、45、50、75、100、150、200 、250、300、350、400、450、または約500アミノ酸のペプチドもまた使用され得 る。 例示的なより短いペプチドは、配列番号24の配列に基づくペプチドである。配 列番号9(配列番号1の314〜320位)(チロシン316の周囲)が、さらに特定 の実施態様において使用され得る。例示的なより長いペプチドは、配列番号23( 配列番号1の299〜351位)および配列番号28を含む。 本発明のさらなる実施態様は、完全長正常Bcrタンパク質の使用である。正常B crタンパク質は、1271アミノ酸を有し、そしてその配列はCampbellおよびArling haus(1991)(本明細書中に参考として援用される)中に示される。 2.結合部位ペプチド Bcr-Abl上の、アダプター分子のために重要な結合部位の配列を含む結合部位 ペプチドもまた、本発明において使用され得る。一般に、結合部位ペプチドは、 アダプター分子(例えば、Grb2、Shc、Crkl、Ras GapまたはBcrのN末端超らせ ん領域)に結合することで特徴付けられる。 好ましい結合部位ペプチドは以下のとおりである:ShcのAbl SH3結合プロリン (protein)-リッチ領域に結合するペプチド;Crkl上のプロリン-リッチAbl結合 部位に結合するペプチド;p120 Ras GapのSH2ドメインに結合するペプチド;お よびBcrのN末端超らせん領域に結合するペプチドまたはタンパク質。BcrのN末 端超らせん領域に結合するペプチドまたはタンパク質は、配列番号2〜配列番号 7のいずれか1つのペプチドを包含する。 3.生物学的機能等価物 改変および変化が、リン酸化の部位であるチロシン残基および他の重要な残基 以外で、本発明のペプチドの配列においてなされ得、そしてなお同様なまたは他 の所望の特徴を有するペプチドを得ることができる。 当業者は、本願の開示のもとに、ペプチドのリン酸化のチロシン部位も、他の 重要な残基(例えば、配列番号1の179位のアスパラギン、または配列番号22に おけるセリン354等価物)も、置換を受けることができないことを理解するはず である。しかし、他のアミノ酸の機能等価物は、本発明において受容可能である 。 機能等価物において、特定のアミノ酸が、タンパク質構造において、構造(例 えば、基質分子上の結合部位)との相互作用結合能力の認識可能な損失なしに、 他のアミノ酸に置換され得る。タンパク質の生物学的機能活性を定義するのはタ ンパク質の相互作用能力および性質であるので、特定のアミノ酸配列置換が、タ ンパク質配列(または、もちろん、その基礎をなすDNAコード配列)においてな され得、そしてそれでも同様な(アゴニスト性の)性質を有するタンパク質を得 ることができる。 従って、種々の変化が、チロシン含有タンパク質またはペプチド(あるいは基 礎をなすDNA)の配列において、それらの生物学的有用性または活性の認識可能 な損失なしになされ得ることが、本発明者らにより意図される。同様に、同じ考 察が、拮抗する(例えば、アンタゴニスト性の)性質を有するタンパク質または ペプチドを作製するために使用され得る。 機能等価物に関して、分子の定義された部分内になされ得、そしてなお受容可 能なレベルの等価な生物学的活性を有する分子を生じ得る変化の数に対する限界 が存在するという概念が、生物学的機能等価タンパク質またはペプチドの定義に おいて固有であることは、当業者により十分に理解される。従って、生物学的機 能等価ペプチドは、本明細書において、その中で特定の(大部分でもすべてでも ない)アミノ酸が置換され得るペプチドとして定義される。特に、より短いペプ チドに関する場合、より少ない変化が寛容されることが意図される。もちろん、 異なる置換を有する複数の異なるタンパク質/ペプチドが容易に作製され得、そ して本発明に従って使用され得る。 特定の残基が、タンパク質またはペプチドの生物学的または構造的特性に対し て特に重要であると示される場合(例えば、本発明のチロシン)、一般に、その ような残基は交換されないかもしれないこともまた、十分に理解される。これは 、先に詳細に記載したように、明らかに本発明における場合である。 一般に、アミノ酸置換は、アミノ酸側鎖置換基の相対的類似性(例えば、それ らの疎水性、親水性、電荷、大きさなど)に基づく。アミノ酸側鎖置換基の大き さ、形および型の解析により、アルギニン、リジンおよびヒスチジンはすべて正 に荷電した残基であり;アラニン、グリシンおよびセリンはすべて類似の大きさ であり;そしてフェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシンはすべておお むね類似の形を有していることが示される。それゆえ、これらの考察に基づき、 アルギニン、リジンおよびヒスチジン;アラニン、グリシンおよびセリン;なら びにフェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシンが、本明細書において生 物学的機能等価物として定義される。 より定量的な変化をもたらすために、アミノ酸の疎水親水指数(hydropathic index)が考慮され得る。各々のアミノ酸に、それらの疎水性および電荷特性に 基づいて、疎水親水指数が割り当てられている。それらは以下のとおりである: イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン (+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1 .8);グリシン(-0.4);スレオニン(-0.7);セリン(-0.8):トリプトファ ン(-0.9);チロシン(-1.3);プロリン(-1.6);ヒスチジン(-3.2);グル タミン酸(-3.5);グルタミン(-3.5);アスパラギン酸(-3.5);アスパラギ ン(-3.5);リジン(-3.9);およびアルギニン(-4.5)。 タンパク質に相互作用性生物学的機能を与えることにおける疎水親水アミノ酸 指数の重要性は、一般に、当該分野において理解されている(KyteおよびDoolit tle,1982、本明細書中に参考として援用される)。特定のアミノ酸が類似の疎 水親水指数またはスコアを有する他のアミノ酸に置換され得、そしてなお類似の 生物学的活性を保持し得ることが知られている。疎水親水指数に基づいて変化を 作製する際に、その疎水親水指数が±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、 ±1以内であるアミノ酸の置換が特に好ましく、そして±0.5以内であるアミノ 酸の置換がさらにより特に好ましい。 類似のアミノ酸の置換が、親水性に基づいて有効になされ得ることもまた理解 される。米国特許第4,554,101号(本明細書中に参考として援用される)は、そ の隣接するアミノ酸の親水性により支配されるような、タンパク質の最大の局所 的平均親水性が、その免疫原性および抗原性(すなわち、タンパク質の生物学的 特性)と相関すると記載する。アミノ酸が類似の親水性値を有する別のアミノ酸 に置換され得、そしてなお生物学的等価物、そして特に免疫学的に等価なタンパ ク質を得ることができることが理解される。 米国特許第4,554,101号において詳細に記載されるように、以下の親水性値が 、アミノ酸残基に割り当てられている:アルギニン(+3.0);リジン(+3.0); アスパラギン酸(+3.0±1);グルタミン酸(+3.0±1);セリン(+0.3);ア スパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);スレオニン(-0.4 );プロリン(-0.5±1);アラニン(-0.5);ヒスチジン(-0.5);システイ ン(-1.0);メチオニン(-1.3);バリン(-1.5);ロイシン(-1.8);イソロ イシン(-1.8);チロシン(-2.3);フェニルアラニン(-2.5);トリプトファ ン(-3.4)。 類似の親水性値に基づいて変化を作製する際に、その親水性値が±2以内であ るアミノ酸の置換が好ましく、±1以内であるアミノ酸の置換が特に好ましく、 そして±0.5以内であるアミノ酸の置換がさらにより特に好ましい。 議論が、アミノ酸変化から生じる機能等価ポリペプチドに集中したが、これら の変化が、遺伝コードが縮重性(degenerate)であり、そして2つ以上のコドン が同一のアミノ酸をコードし得ることも考慮して、コードするDNAの変化により もたらされ得ることが理解される。このような実施態様における使用のために、 そして他の使用(例えば、プローブおよびプライマーなどの設計における使用) のために、アミノ酸およびそれらのコドンの表を本明細書中に示す(表1)。 本明細書中に記載のペプチド性化合物に加えて、本発明者らはまた、他の立体 的に類似の化合物が、ペプチド構造の重要な部分を模倣するように作製(formul ate)され得ることを意図する。そのような化合物(これはペプチド模倣物と称 され得る)は本発明のペプチドと同じ方法で使用され得、そして従ってそれらも また機能等価物である。構造的機能等価物の生成は、当業者に公知のモデリング および化学的設計の技術により達成され得る。モデリングの技術は現在周知であ り、そしてそのような方法により、所定のペプチドの機能を模倣する化合物が設 計され得、次いで合成され得る。すべてのそのような立体的に類似の構築物が、 本発明の範囲内にあることが理解される。 4.ペプチド合成 一般に、約45アミノ酸未満のペプチドが、化学的に合成される。ペプチドの合 成は、固相法のような従来のペプチド合成技術を用いて(例えば、Applied Bios ystems Model 430A Peptide Synthesizer,Foster City,CaliforniaまたはVega Synthesizer,DuPont Inc.,Wilmington,Delawareのような市販のペプチド合 成機の使用により)容易に達成される。 固相技術は、標準的なt-ブトキシカルボニル(t-Boc)化学作用を用いた自動 ペプチド合成機を用いるMerrifieldの方法(Merrifield,1963、本明細書中に参 考として援用される)を使用する。合成されるペプチドのアミノ酸組成を、アミ ノ酸分析により(例えば、Waters Pico-tag analyzer(Medford,Massachusetts )を用いて)測定して、それらが予想される組成に対応することを確かめる。ペ プチドの純度は、配列分析またはHPLCにより測定される。 一般に、合成ペプチドのアミノ末端が、N末端アセチル基を有することにより 、分解から保護されることが所望される。これは、ペプチドの合成の間に、無水 酢酸を使用してN末端をアセチル化することにより、達成され得る。同様に、カ ルボキシル末端についての保護は、実施例2に記載のように、アミド結合を形成 することにより達成され得る。一般に、そのような保護基は、一旦合成ペプチド が細胞内に導入されると、タンパク質分解酵素による合成ペプチドの分解を軽減 する。 リン酸化形態のペプチドは、インビトロで、ペプチドの合成のための標準的な 方法を用いることにより得られる。リン酸化されるべきアミノ酸は、側鎖保護な しに導入される。末端残基は、Boc保護アミノ酸の直接取り込みか、または遊離 アミノ基のBoc2Oでのアシル化のいずれかによりBoc保護されるべきである。樹脂 を洗浄し、そして反応容器中に入れる。ペプチド樹脂および反応容器を、高度の 減圧下で40℃で一晩乾燥し、ゴム隔壁で密封し、そして乾燥アルゴンでフラッシ ュする。 DNAグレードのテトラゾールのアンプルを、乾燥DMF、DMAまたはCH3CNおよび50 eq.中に溶解し、そして乾燥したアルゴンでフラッシュした気密シリンジを用い て反応容器に移す。10 eq.のジ-t-ブチル-N,N,-ジソプロピルホスホルアミダイ トを、乾燥した、アルゴンでフラッシュした気密シリンジを用いて再度反応容器 に添加し、そして1時間おだやかに撹拌する。 反応容器の内容物を、焼結ガラス漏斗に移し、そして樹脂を十分量の溶媒で洗 浄する。DMF中の20 eq.のt-ブチルペルオキシドを樹脂に添加し、そして30分間 放置する。通常の方法で樹脂を洗浄しそして乾燥する。標準的な方法をクリーベ イジ(cleavage)のために使用する。 次いで、これらの方法で合成されるペプチドは、所定の量にアリコートされ、 そして従来の方法で(例えば、水溶液中で、あるいはさらにより好ましくは、粉 末または凍結乾燥状態で)使用まで保存される。 一般に、ペプチドの相対的な安定性のため、これらは、所望であれば、滅菌水 溶液中で、かなり長期間の間(例えば、6ヶ月以上まで、事実上任意の水溶液中 で)、認識可能な分解も免疫原性活性の損失もなしに、容易に保存され得る。 しかし、延長された水性の保存が意図される場合、一般に、7.0〜7.5のpHを維 持するための緩衝液(例えば、Tris-HClまたはリン酸緩衝液)を包含する薬剤を 含むことが所望される。さらに、微生物増殖を阻害する薬剤(例えば、アジ化ナ トリウムまたはメルチオレート(merthiolate))を含むことが所望され得る。 水性状態での延長された保存のために、溶液を4℃で、より好ましくは凍結して 保存することが所望される。 もちろん、ペプチド(単数または複数)が凍結乾燥された状態または粉末化さ れた状態で保存される場合、ペプチドは、例えば、計量されたアリコートで(こ れは所定量の水(好ましくは蒸留水)または緩衝液で使用前に再水和される)、 事実上無期限に保存され得る。 約50アミノ酸ぐらいより長いペプチドは、好ましくは、本明細書に記載のよう に、プラスミドまたはウイルス発現系により提供される。 5.遺伝子治療 1つ以上のチロシン含有ペプチド、または正常Bcrをコードし、そして発現す るベクターは、本発明のさらなる局面を形成する。組換え体の発現を使用して、 所望のような任意のチロシン含有ペプチドを提供し得るが、一般に中間またはよ り長い長さのペプチドを提供するのが好ましい。 例示のベクターは、Bcr-159フラグメント(配列番号5)または正常Bcrを発現 するベクターであり、Bcr-Ablキナーゼを阻害してBcr-Ablの悪性形態を直接中和 するために使用され得る。さらなるベクターは、配列番号28に記載のポリペプチ ドを発現するベクターである。 本発明において使用するための適切なBcr-Abl DNA配列は、当業者に公知であ る。さらに、当該分野における標準的な知識および本明細書に記載の情報(例え ば、表1)があれば、例えば、所望のペプチド配列をコードする任意の所定のDN AフラグメントのクローニングまたはPCRによる合成または作製は容易である。 本発明の意味する遺伝子治療のための第一のアプローチは、化学的または物理 的のいずれかで細胞膜を透過することによって、目的の遺伝子を含むDNAを細胞 へトランスフェクトすることである。このアプローチは、一般に身体から一時的 に取り出し得、そしてこの処置の細胞傷害性に耐性であり得る細胞(すなわち、 リンパ球)に制限される。しかし、それは本発明の使用に極めて適切である。 リポソームまたは特定の脂質および両親媒性ペプチドで形成されるタンパク質 コンジュゲートが、本明細書に記載のように、トランスフェクションに使用され 得る(Stewartら、1992;Torchilinら、1992;Zhuら、1993)。遺伝子材料を細 胞へ直接移入するための裸のDNAおよびプラスミドの使用もまた可能である(Wol feら、1990)。 第2のアプローチは、細胞に侵入するウイルスの本来の能力を利用し、ウイル スとともにウイルス自身の遺伝子材料を運ぶ。レトロウイルスは、それら自身の 遺伝子を宿主のゲノムに組み込むそれらの能力のため、遺伝子送達ベクターとし て期待されており、大量の外来遺伝予材料を移入し、広いスペクトルの種および 細胞タイプに感染し、そして特定の細胞株においてパッケージングされる(Mill er、1992)。 第3の方法は、アデノウイルス;ヘルペス単純ウイルス(HSV)(米国特許第5 ,288,641号、本明細書中に参考として援用される);サイトメガロウイルス(CM V);およびアデノ随伴ウイルス(AAV)(例えば、本明細書中に参考として援用 される、Kotin(1994)により、および米国特許第5,139,941号に記載のウイルス )のような他のウイルスを使用し;これらのウイルスを操作して遺伝子移入のた めのベクターとする。多くのウイルスが、首尾良く遺伝子発現を行うことが実証 されている。用語「ヘルペルウイルス」は、本明細書では、特にヘルペス単純ウ イルス(HSV)、エプスタイン-バーウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス(C MV)および仮性狂犬病ウイルス(PRV)をいうために使用される。 レトロウイルスアプローチを用いる場合、所望のBCRコード配列をレトロウイ ルスベクターに挿入し;このベクターを、両種向性宿主範囲欠損ウイルス(amph otropic host range defective virus)を生成するパッケージング細胞株にトラ ンスフェクトする。このウイルスは、自己移植患者の骨髄由来の幹細胞に感染す るのに用いられる。 第2世代のレトロウイルスベクターを用いる遺伝子送達が報告されている。Ka saharaら(1994)は、通常、マウス細胞にのみ感染するモロニーマウス白血病ウ イルスの操作された変異体を調製し、そしてウイルスがエリスロポエチン(EPO )レセプターを有するヒト細胞に特異的に結合し、そして感染するようにエンベ ロープタンパク質を改変した。このことは、EPO配列の一部をエンベロープタン パク質に挿入して、新規の結合特異性を有するキメラタンパク質を作製すること によって達成された。腫瘍細胞マーカーを標的にするウイルスベクターを操作す ることは、Kasaharaら(1994)の研究を考慮すれば、現在容易である。 もちろん、いずれかのウイルス送達システムを用いる場合、ビリオンを十分に 精製して、欠損干渉ウイルス粒子またはエンドトキシンおよびその他の発熱物質 のような所望しない混入物を実質的に含まないようにする。それにより、ベクタ ー構築物を投与された細胞、動物または個体において、所望しないずれの反応も 生じない。ベクターを精製する好適な手段は、塩化セシウム勾配遠心分離のよう な浮遊密度勾配の使用を包含する。 (a)アデノウイルス ヒトアデノウイルスは、核酸発現ベクターを組織に導入するためのさらなる手 段である。アデノウイルスは、約36kbのゲノムサイズを有する二本鎖DNA腫瘍ウ イルスである。真核生物遺伝子発現のためのモデルシステムとして、アデノウイ ルスは広範に研究されており、そしてよく特徴付けされ、このことは、アデノウ イルスを、遺伝子移入システムとしてのアデノウイルスの開発に注目されるシス テムにしている。このグループのウイルスは、増殖および操作するのに容易であ り、そしてそれらはインビトロおよびインビボにおいて広い宿主範囲を示す。溶 解的に感染された細胞では、アデノウイルスは、宿主タンパク質の合成を停止し 、細胞機構に大量のウイルスタンパク質の合成を指令し、そして多量のウイルス を産生し得る。 一般に、アデノウイルス遺伝子移入システムは、組換え操作されたアデノウイ ルスに基づく。このアデノウイルスは、そのゲノムの一部分(例えば、E1)の欠 失によって、複製不能にされているが、なお感染に対するその能力を保持する。 さらなる欠失がアデノウイルスゲノム中に作製されるとき、相対的に大きな外来 タンパク質が発現され得る。例えば、E1およびE3領域の両方を欠失したアデノウ イルスは、10kbまでの外来DNAを保有し得、そして高い力価で増殖し得る。移入 遺伝子の持続性発現は、アデノウイルス感染後に生じる。 外来遺伝子およびそれらのタンパク質産物を細胞に送達するためのアデノウイ ルスシステムの特定の利点は、(i)ウイルスDNAの比較的大きな断片を外来DNA で置換する能力;(ii)組換えアデノウイルスの構造的安定性;(iii)アデノ ウイルスのヒトへの投与の安全性;(iv)アデノウイルス感染と、ガンまたは悪 性疾患とに任意の既知の関連性がないこと;(v)組換えウイルスの高力価を得 る能力;および(vi)アデノウイルスの高い感染性を包含する。 アデノウイルスベクターのレトロウイルスに勝るさらなる利点は、より高いレ ベルの遺伝子発現を包含する。さらに、アデノウイルスの複製は、レトロウイル スの配列とは異なり、宿主遺伝子の複製に依存しない。E1領域内のアデノウイル ストランスフォーミング遺伝子は、容易に欠失し、そしてなお効率的な発現ベク ターを提供し得るので、アデノウイルスベクターからのオンコジーンの危険性は 、無視し得ると考えられる。 フィラデルフィア染色体について陽性の試験結果を示し、そしてアデノウイル ス媒介性遺伝子移入に対する医学的適応症が確定されているヒト被験体を、アデ ノウイルスに対する抗体の存在について試験する。抗体が存在し、そして患者が 薬理学的物質または天然に存在する物質のいずれかに対してアレルギーの病歴を 有する場合、厳密な臨床観察の下で、103〜106のオーダーの組換えアデノウイル スの試験用量の適用が示唆される。 本発明のBCRペプチドまたは融合ペプチドを提供する組換えアデノウイルスは 、食品医薬品局に許容され得る任意の方法によって、ヒト被験体に投与するため に、調製され、そして精製される。その方法は、塩化セシウム密度勾配遠心分離 、ならびにそれに続く効力および純度についての試験を包含するが、これらに限 定されない。ウイルスは、任意の薬理学的に受容可能な溶液中で、ボーラスとし てまたは経時的な注入としてのいずれかで、骨髄への投与によって患者に投与さ れる。一般的に言えば、投与される機能的ウイルス粒子の有効数は、5×1010〜 5×1012の範囲であり得ると考えられる。 患者は、少なくとも48時間入院させ、急性および遅延型の副作用をモニターし 得る。フィラデルフィア染色体陽性細胞の骨髄レベルをモニターし得る。処置の 調節は、異なるプロモーターを用いるアデノウイルス構築物または投与されるpf uの数の変化を包含し得る。 6.薬学的処方物 (a) リポソーム 本発明のペプチドは、リポソームと組み合わせ得る。これらのリポソーム調製 物は、インビボおよびエクスビボプロトコルの両方、例えば、骨髄パージングに おいて使用され得る。 リポソームは、水性媒体中に分散するリン脂質から形成され、そして自発的に 多重薄膜状の(multilamellar)同心二重層小胞体(マルチラメラ小胞(MLV)と も呼ばれる)を形成する。MLVは、一般に、25nm〜4μmの直径を有する。MLVの 音波処理は、コア中に水溶液を含む、200〜500Åの範囲の直径を有する小さな単 ラメラ小胞(SUV)の形成をもたらす。 リポソームは、細胞膜と多くの類似点を有し、そしてBCRペプチドのためのキ ャリアとして本発明とともに使用することが意図される。それらは、水溶性物質 および脂溶性物質の両方として広く適切であり、そして捕獲、すなわち、それぞ れ、水性空間中および二重層自体の中に捕獲され得る。薬物を保有するリポソー ムは、リポソーム処方物を選択的に改変することによって、活性薬剤の部位特異 的送達にさえ使用され得る。 リポソームの形成および使用は、一般に当業者に公知である。リン脂質は、水 中に分散するとき、水に対する脂質のモル比に依存して、リポソーム以外の種々 の構造を形成し得る。低い比でリポソームは好適な構造である。リポソームの物 理的特徴は、pH、イオン強度、および2価の陽イオンの存在に依存する。リポソ ームは、イオン性および極性物質に対して低い透過性を示し得るが、高温では、 相転移を行い、それはそれらの透過性を顕著に改変させる。相転移は、ゲル状態 として知られる、密接に詰め込まれた規則正しい構造から、流体状態として知ら れる、緩く詰め込まれた規則性に乏しい構造への変化を包含する。これは、特徴 的な相転移温度で生じ、そしてイオン、糖および薬物に対する透過性の増加をも たらす。 温度に加えて、タンパク質への曝露は、リポソームの透過性を改変し得る。シ トクロムcのような特定の可溶性タンパク質は、二重層に結合し、これを変形さ せ、そして貫通し、それによって透過性の変化を引き起こす。コレステロールは 、見かけ上、リン脂質をよりきつく詰め込むことによって、このようなタンパク 質の貫通を阻害する。 溶質を捕獲する能力は、異なるタイプのリポソーム間で変動する。例えば、ML Vは、溶質を捕獲することにおいて適度に効率的であるが、SUVは、極めて非効率 的である。SUVは、サイズの分布において均一性および再現性の利点を与えるが 、サイズと捕獲効率との間の妥協点は、大きな単ラメラ小胞(LUV)によって与 えられる。これらは、エーテル蒸発によって調製され、そして溶質の捕獲ではML Vよりも3〜4倍効率的である。 リポソームの特徴に加えて、化合物の捕獲における重要な決定因子は、化合物 自体の物理化学的特性である。極性の化合物は、水性空間中に捕獲され、そして 非極性の化合物は、小胞の脂質二重層に結合する。極性の化合物は、透過による か、または二重層が破壊されるときに放出されるが、非極性の化合物は、温度に よりまたはリポタンパク質への曝露によって二重層が破壊されなければ、二重層 と結びついたままである。両方のタイプは、相転移温度で最大流出速度を示す。 リポソームは、4つの異なる機構によって細胞と相互作用する:マクロファー ジおよび好中球のような細網内皮系の貧食細胞によるエンドサイトーシス;非特 異的な弱い疎水的もしくは静電的な力、または細胞表面成分との特異的相互作用 のいずれかによる細胞表面への吸着;細胞質中へのリポソーム内容物の同時放出 を伴う、リポソームの脂質二重層の原形質膜中への挿入による原形質細胞膜との 融合;およびリポソーム内容物をなんら伴うことなく、リポソーム脂質の細胞膜 または細胞下膜への移入、またはその逆。どのメカニズムが働くのか、そして1 つを超えるメカニズムが同時に働き得るのかを決定することは、しばしば困難で ある。 静脈内に注射されたリポソームの運命および性質は、サイズ、流動性、および 表面電荷のようなそれらの物理的特性に依存する。それらは、それらの組成およ び血液内での半減期(数分から数時間の範囲)に依存して、何時間または何日間 にもわたって組織に持続し得る。MLVおよびLUVのようなより大きなリポソームは 、急速に細網内系の貧食細胞によって取り込まれるが、循環系の生理機能はほと んどの部位でそのような大きな種の排出を抑制する。それらは、肝臓または脾臓 の洞様血管のような大きな開口部または孔が毛細管内皮に存在する場所でのみ排 出され得る。それゆえ、これらの器官は、取り込み優先部位である。一方、SUV は、より広い組織分布を示すが、なお肝臓および脾臓に高度に局在化される。一 般に、このインビボでの挙動は、リポソームの標的能力を、リポソームの大きな サイズにアクセス可能な器官および組織のみに制限する。これらは、血液、肝臓 、脾臓、骨髄およびリンパ系器官を包含する。 標的化は、一般に、本願発明の見地からは制限ではない。しかし、特異的な標 的化を所望するのであれば、これを達成すべき方法を利用し得る。抗体は、リポ ソーム表面に結合し、そして抗体およびその薬物内容物を、特定の細胞タイプ表 面上に位置する特異的抗原レセプターに向かわせるために使用され得る。炭水化 物決定基(細胞-細胞認識、相互作用および接着における役割を果たす糖タンパ ク質または糖脂質細胞表面成分)はまた、それらがリポソームを特定の細胞タイ プに向かわせる能力を有するとき、認識部位として使用され得る。 ほとんどの場合、リポソーム調製物の静脈内注射を使用することが意図される が、他の投与経路もまたあり得る。もちろん、エクスビボプロトコルによる投与 は容易である。 (b) 注射可能物質 本発明の組成物は、有効量のチロシン含有ペプチド(単数または複数)、リポ ソーム、またはウイルスベクターを含み、薬学的に受容可能なキャリアまたは水 性媒体中に溶解されるか、または分散される。用語「薬学的または薬理学的に受 容可能な」は、動物または適切にはヒトに投与する場合、副作用、アレルギー作 用または他の所望しない作用を引き起こさない分子実体および組成物をいう。 本明細書において使用される「薬学的に受容可能なキャリア」は、任意のおよ び全ての溶媒、分散媒体、コーティング剤、抗細菌および抗真菌剤、等張および 吸収遅延剤などを含む。薬学的に活性な物質のためのそのような媒体および薬剤 の使用は当該分野において周知である。従来の任意の媒体または薬剤が有効成分 と配合禁忌である場合を除いて、治療組成物中におけるその使用が意図される。 補助有効成分もまた、組成物に取り込まれ得る。 活性な化合物は、一般に、非経口投与用に処方され、例えば、静脈内、筋肉内 、皮下、病巣内、または腹膜腔内経路を介する注射用に処方される。活性成分ま たは有効成分としてチロシン含有ペプチドまたは発現ベクターを含む水性組成物 の調製は、本明細書の開示内容を考慮すると当業者に公知である。代表的には、 このような組成物は、流体溶液または懸濁液のいずれかの注射可能物質として調 製され得る;溶液または懸濁液を調製する(注射前に流体を添加することに基づ く)ため使用するのに適切な固体形態もまた調製され得る;そして調製物はまた 、乳化され得る。 注射可能物質の使用に適切な薬学的剤形としては、滅菌水性溶液または分散液 ;ゴマ油、ラッカセイ油または水性プロピレングリコールを含む処方物;および 滅菌注射溶液または分散体の用時調製のための滅菌散剤が挙げられる。全ての 場合において、剤形は、滅菌状態であるべきであり、そして容易な注射可能性が 存在する程度に流体であるべきである。それは、製造および保存の条件下で安定 でなければならず、そして細菌および真菌のような微生物の混入作用に対して保 護されなければならない。 遊離の塩基または薬理学的に受容可能な塩としての活性化合物の溶液は、ヒド ロキシプロピルセルロースのような界面活性剤と、適切に混合されて水中で調製 され得る。分散体はまた、グリセロール、流体のポリエチレングリコール、およ びそれらの混合物中で、ならびにオイル中で調製され得る。通常の保存および使 用条件下では、これらの調製物は、微生物の増殖を防止するための保存剤を含む 。 チロシンベースのペプチドは、中性または塩の形態で組成物中に処方され得る 。薬学的に受容可能な塩は、酸付加塩(タンパク質の遊離のアミノ酸基で形成さ れる)を含み、そしてそれは、例えば、塩酸またはリン酸のような無機酸、また は酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などのような有機酸で形成される。遊離 のカルボキシル基で形成される塩もまた、例えば、ナトリウム、カリウム、アン モニウム、カルシウム、または水酸化第二鉄のような無機塩基、およびイソプロ ピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなどのような有機塩基 から誘導され得る。 キャリアはまた、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロー ル、プロピレングリコール、および流体のポリエチレングリコールなど)、それ らの適切な混合物、および植物油を含む溶媒または分散体媒体であり得る。適切 な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティングの使用によって、分散体の 場合必要とされる粒子サイズの維持によって、そして界面活性剤の使用によって 維持され得る。 微生物の活動の防止は、種々の抗細菌および抗真菌剤(例えば、パラベン、ク ロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなど)によってもたら され得る。多くの場合、等張剤(例えば、糖または塩化ナトリウム)を含むのが 好ましい。注射組成物の遅延型吸収は、吸収を遅延する薬剤(例えば、モノステ アリン酸アルミニウムおよびゼラチン)の組成物中における使用によって行われ 得る。 滅菌注射溶液は、必要な量の活性化合物を、適切な溶媒中に、必要に応じて、 上に列挙した種々の他の成分とともに取り込み、続いて滅菌濾過することによっ て調製される。一般に、分散体は、塩基性の分散媒体および上に列挙したものか らの必要な他の成分を含む種々の滅菌された有効成分を、滅菌ビヒクルに取り込 むことによって調製される。滅菌注射溶液の調製のための滅菌散剤の場合、調製 の好適な方法は、減圧乾燥およびフリーズドライ技術であり、これらは、その予 め滅菌濾過した溶液から、有効成分と任意のさらなる所望の成分の散剤が得られ る。 筋肉内注射のための、さらなるまたは高度に濃縮された溶液の調製もまた意図 される。この点について、溶媒としてのDMSOの使用が好ましく、これは、極めて 急速な貫通を生じ、高濃度の活性ペプチドまたは薬剤を小さな領域に送達する。 処方に際し、用量処方物と適合可能な様式および治療上有効な量で溶液が投与 される。処方物は、上記の注射溶液のタイプのような種々の用量剤形で容易に投 与されるが、薬物放出カプセルなどもまた用いられ得る。 水性溶液での非経口投与のために、例えば、必要ならば、溶液を適切に緩衝化 すべきであり、そして最初に流体の希釈剤を十分な生理食塩水またはグルコース で等張化する。これらの特定の水溶液は、静脈内、筋肉内、皮下および腹膜腔内 投与に特に適切である。これに関連して、用いられ得る滅菌水性媒体は、本明細 書の開示内容を考慮すれば、当業者に公知である。例えば、1回の用量を1mLの 等張NaCl溶液中に溶解し得、そして1000mLの皮下注入液に添加するか、または適 切な注射部位で注射するかのいずれかである(例えば、「Remington's Pharmace utical Sciences」15版、1035〜1038頁および1570〜1580頁を参照のこと)。試 験される被験体の状態に依存して、用量におけるいくらかの改変が必然的に生じ る。投与の担当者は、いずれにせよ、個々の被験体について適切な用量を決定す る。 静脈内または筋肉内注射のような非経口投与のため処方される化合物に加えて 、他の薬学的に受容可能な剤形としては、例えば、経口投与のための錠剤または 他の固体;経時放出カプセル;およびクリーム、ローション、含嗽剤、吸入剤、 座剤などを含む、現在使用されている他の任意の剤形が挙げられる。 7.骨髄除去 本発明は、白血病患者のヒト骨髄サンプルを取り出すための最も実際的な系を 提供する。標準的なヒト骨髄移植のための一般的なプロトコルは、医学分野では 既に確立されており、従ってそれは当業者には利用可能な技術である。 白血病患者の代表的な臨床的治療技術において、患者は一般的に化学療法(例 えば、ダウノマイシン、Ara-C、GMCSF)がなされる。化学療法処置は、代表的に は処置した患者の50%に細胞遺伝学的寛解を生じる。細胞遺伝学的寛解は、白血 病細胞(フィラデルフィア染色体陽性)と正常細胞(フィラデルフィア染色体陰性) との比の、約10,000/1から1/1への減少により定義される。 次いでこれらの患者の骨髄が、患者の免疫表現型に基づいて分離に供される。 本発明者らは、DR陰性系列CD33陰性のDC34陽性表現型(すなわち、DR陰性CD34細 胞株の分画を通じて)を定義する。免疫表現型に基づくこの分離は、ほとんどの 場合、正常細胞に対する白血病細胞の比をさらに2log(100×)引き下げる。 次いで、記載したBCR-ペプチド処置法を本明細書中に記載の患者の骨髄サンプ ルに用いることにより、正常細胞に対する白血病細胞(フィラデルフィア染色体 陽性)の比を、なお、さらに2または3logまでにさえ有利に減少させることが予 想され得る。一般的には、骨髄サンプルを約10μMのチロシン含有BCRペプチド( 単数または複数)に曝す 次いで、この処理した骨髄を患者に移植し戻す。それゆえ、この方法は、患者 の正常な細胞を損傷または阻害することなしに、患者の白血病を処置する高度に 選択的な方法を提供する。 本技術は、CMLを患う全患者集団に適応し得ない一方(高齢(すなわち、ほとん どのメディカルセンターで50才を超える年齢)またはドナーの利用率(CML患者の 25%または(of)30%がドナーを有する)による、異種遺伝子骨髄移植に適したCM L患者の少ないパーセントの理由による)、それにもかかわらず本発明は、現在用 いられている非前処置骨髄サンプルを用いる手順に比較して、白血病患者を処置 するための骨髄移植手順の全体の効率に顕著な向上を提供する。 8.放射性ヨウ素化のための標準物としてのペプチド チロシン残基を有する本発明のBcr/Ablペプチドをまた放射性ヨウ素化用の標 準物として提供する。チロシン含有ペプチドは、少なくとも3〜4アミノ酸長、 好ましくは10〜12アミノ酸長であり、そして14〜16または20〜25アミノ酸長もし くはそれより長いものであり得る。これらのペプチドは、試験放射性ヨウ素化ペ プチドまたはタンパク質の特異的放射活性を本発明の放射性ヨウ素化ペプチドと 比較することによる、試験ペプチドまたはタンパク質の放射性ヨウ素化の効率を テストするためのコントロールとして有用である。 タンパク質の放射性ヨウ素化はBailey 1984中(本明細書中に参考として援用さ れる)で議論されている。放射性ヨウ素化分子は、例えば、中間代謝の研究、レ セプターに結合しているアゴニストおよびアンタゴニストの決定、そして組織お よび生物学的体液中の生理学的活性分子の定量的測定において主に重要である。 これらの研究においては、非常に低濃度の特定の物質を測定することが必要とさ れ、そしてそれは高い比放射活性の放射活性標識されたトレーサー分子を必要と する。そのようなトレーサーは、特にペプチドおよびタンパク質の場合、放射性 ヨウ素化により容易に生成される。 ヨウ素の2つのγ線放射性ラジオアイソトープである、125Iおよび131Iが広範 に利用され得る。γ線放射物に関して、これらはサンプル調製する必要なしにγ カウンターで直接測定され得、これは3Hおよび14Cのようなβ線放射性核種とは 対照的である。125Iの計数効率は、131Iの計数効率の約2倍である。従って、ほ とんどの状況下で、125Iが放射性ヨウ素化のための核種として選択される。 タンパク質の放射性ヨウ素化のためのいくつかの異なる方法が開発されている (Bolton 1977;本明細書中に参考として援用される)。これらは、125I-を反応性 種125I2または125I+に転換する酸化剤の性質において主に異なる。これらの反応 性種はタンパク質のチロシン残基中に置換を生じるが、ヒスチジン、システイン 、およびトリプトファンのような他の残基中の置換が生じ得る。 HunterおよびGreenwoodにより開発されたクロラミン-T法(1962;本明細書中 で参考として援用する)が、タンパク質またはペプチドの放射性ヨウ素化のため に一般的に用いられる技術である。これは放射活性ヨウ化物が水溶液中でクロラ ミン-Tにより酸化される簡単な方法である。酸化は過剰な還元剤の添加により 短時間の後に停止される。いくつかのタンパク質またはペプチドは、比較的強い 酸化条件下で変性してしまうため、より穏やかな条件を用いる他の放射性ヨウ素 化の方法、例えば、ラクトペルオキシダーゼ法(Marchalonis,1969)が考案され ている、 材料: 1.Na125I:1mCi、濃度100 mCi/mL。 2.緩衝液A:0.5Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH 7.4) 3.緩衝液B:0.05Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH 7.4) 4.緩衝液C:1M 塩化ナトリウム、0.1%ウシ血清アルブミン、および1%ヨウ 化カリウム含有0.01Mリン酸ナトリウム緩衝液(最終pH 7.4) 5.クロラミン-T溶液:緩衝液B中で2mg/mLの溶液を使用直前に作製する。 6.還元剤:緩衝液C中で1mg/mlのメタ重亜硫酸ナトリウムを使用直前に作 製する。 7.ヨウ素化されるべきタンパク質またはペプチド:0.5〜2.5mg/mL溶液を緩 衝液Bで作製する。 方法: 1.小型のプラスチック試験管(1×5.5cm)中に、ヨウ素化されるべきタンパク 質またはペプチド(10μg)、放射活性ヨウ化物(5μL)、緩衝液A(50μL)、およ びクロラミン-T溶液(25μL)を連続的に添加する。 2.穏やかな振盪による混合の後、その溶液を放射性ヨウ素化が生じるように 30秒間放置する。 3.メタ重亜硫酸ナトリウム溶液(500μL)を添加し、放射性ヨウ素化を停止さ せ、そして得られた溶液を混合する。次いで精製の準備をする。 放射性ヨウ素化タンパク質またはペプチドの精製:放射性ヨウ素化タンパク質ま たはペプチドのほとんどの使用について、精製ができるだけ迅速に達成される制 約を有しつつ、できるだけ純粋な標識種を有することが所望される。この目的の ために、全ての分離技術で最も広範に用いられる技術はゲル濾過である。種々の タイプのセファデックス樹脂(例えば、G-50、G-75、およびG-100)が、混合物 中に存在する分子のサイズの差に依存して使用され得る。 代表的には、この混合物をセファデックス樹脂のカラム(1×25 cm)に添加し、 そして0.15M塩化ナトリウムおよび0.1%ウシ血清アルブミンを含むpH7.4の0.05M リン酸ナトリウム緩衝液で溶出する。画分(0.5〜1.0mL)をプラスチック試験管に 回収しそしてアリコート(10μL)を計数する。これらの結果を用いて、溶出プロ フィールを描く。 いくつかのパラメーターを用いて、標識タンパク質またはペプチドの質を評価 する。タンパク質の比放射活性が、タンパク質またはペプチドの単位質量当たり に取り込まれた放射活性の量である。それを、用いた総放射活性、ゲル濾過カラ ムに移したヨウ素化混合物の量、ならびに標識タンパク質またはペプチド、損傷 成分、および残存放射性ヨウ素中に存在する放射活性の量により計算し得る。 しかし、実際には、計算は、通常、損傷および非損傷タンパク質を考慮には入 れない。従って、比活性は、放射性ヨウ素化手順の収率、放射性ヨウ化物の量、 および用いたタンパク質またはペプチドの量から、それら2反応成分の顕著な損 失がないものと仮定して、計算する。反応収率は、単にタンパク質中への放射性 核種の取り込みパーセントである。 クロマトグラフィーカラムからの溶出ピークに生じる物質の性質を、放射性ヨ ウ素化されるタンパク質またはペプチドに対する特異的抗血清を用いることによ り確認し得る。2つのピークを生じる異なる画分のアリコート(10μL)を、それ ぞれが同じカウント数(100μL当たり(例えば、5000〜10,000カウント/分))を与 えるように希釈する。それらのサンプルを過剰の抗血清とともにインキュベート する。免疫反応性タンパク質を含むサンプルのみが、抗血清と反応する。次いで 抗体分子と会合する放射活性タンパク質の量を、ラジオイムノアッセイにより測 定し得る。 放射性ヨウ素化タンパク質またはペプチドを含むピーク(単数または複数)を同 定すれば、放射性ヨウ素化の収率を、ヨウ化物ピークに関連する総カウントの総 計に対するタンパク質またはペプチドピークに関連する総カウントの比により計 算し得る。 放射性ヨウ素化タンパク質またはペプチドはできる限り未標識種と同じ性質を 有するべきであることが重要である。それゆえ両分子の挙動を電気泳動またはイ オン交換クロマトグラフィーで確認し得る。特異的な抗体へのこの2種の結合能 をラジオイムノアッセイにより評価し得る。 標識タンパク質またはペプチドを保存するために、精製後直ちに、サンプルを 小さなアリコートに分割し、次いで急速凍結し、そして-20℃に保存する。ある いは、このアリコートを凍結乾燥し得る。各アリコートを融解し、そして1回の み使用する。放射性ヨウ素化タンパク質またはペプチドは、その安定性に顕著な 差がある。数週間保管し得るものもあれば(それは約60日の125I半減期を有する) 、数日しか保存し得ないものもある。必要であるなら、標識化タンパク質を使用 前に、ゲル濾過またはイオン交換クロマトグラフィーにより再精製し得る。 クロラミン-T法によるタンパク質残基のチロシン残基のヨウ素化の最適pHは 約pH7.4である。より低い収率のヨウ素化タンパク質は、約6.5より下および約8. 5より上のpH値で得られる。実際には、pH8.5より上では、ヒスチジン残基のヨウ 素化に好適であるようである。 クロラミン-T反応混合物の総容量を、放射活性ヨウ素のタンパク質またはペ プチドへの迅速且つ効率的な取り込みを達成し得るように実際にできる限り低く するべきである。用いる反応物質は小容量であるため、反応開始時の適切な混合 を確実にすることが必須である。不適切な混合は、この手順による放射性ヨウ素 化タンパク質の収率を低下させる最も一般的な原因の1つである。 もしタンパク質またはペプチドが50μgのクロラミン-Tの使用により深刻な損 傷を受けた場合、さらに少量の酸化剤(10μg未満)を用いて放射性ヨウ素化を繰 り返すことが有用であり得る。用い得るクロラミン-Tの最小量は、他の要因の うち、ヨウ素化されるべきタンパク質の性質および量に依存する。 通常、クロラミン-T法は室温で実施される。しかし、もしタンパク質が特に 不安定であるなら、その手順を低温で行うことが有益であり得る。 以下の実施例は、本発明の好ましい実施態様を示すことに包含される。本発明 の実施において十分機能するために、本発明者らが発見した代表的な技術に従っ た実施例に開示された技術は当業者に理解されるはずであり、それゆえその実施 についての好ましい様式を構成することが考慮され得る。しかし、当業者は、本 開示に照らして、多くの変更が開示される特定の実施態様においてなされ得るこ と、そして本発明の精神および範囲から逸脱することなく同様なまたは類似した 結果が得られることを理解する。 実施例I 材料および方法 細胞株K562:供給源;アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)、Rock ville、MD。単離;急性転化CMLの女性の胸膜滲出液由来。LozzioおよびLozzio( 1975)により確立された。この細胞株は、Mbcr(b3/a2転座)内の染色体22上の 切断点を有するPh1の複数のコピーを含有する。細胞を、37℃および5% CO2に て、10%ウシ胎児血清(Gibco Laboratories、Grand Island、NY)を供給したRP MI1640増殖培地中で増殖させる。 細胞株SUP-B13およびSUP-B15:供給源:細胞株を、Steve D.Smith博士、Departm ent of Pediatrics、University of Chicagoから得た。単離:細胞株を、1983年 にCaliforniaのStanfordの小児病院に入院していた8歳の男児の第1および第2 の骨髄再発サンプルからそれぞれ得た(Naumovskiら、1988)。 細胞株は、mbcr中の染色体22上のALL特異的切断点を有するPh1染色体を含有す る。しかし、これらの細胞株は、それらを関連させるが独特である、いくつかの 細胞表面抗原の発現において異なる。 細胞を、37℃および5% CO2にて、20%ウシ胎児血清(Gibco Laboratories、 Grand Island、NY)を供給したRPMI1640増殖培地中で増殖させる。最初の培養条 件では、これらの細胞が6ウェルの培養プレートにおいて、最適な細胞密度(0. 5×106/ml)で、10日〜14日の期間増殖されることが必要である。この期間中、 培養物の過増殖を防ぐために細胞を毎日に数え、そして培地を補給しなければな らない。 次いで、細胞を新鮮な培養培地で適切な容量に希釈し、そして懸濁液を、1ウ ェル当たり約6mlの培地でウェル中に分注する。十分な数のウェルに播種し、そ して培地を衛生的に保持した後、ストックを、一般的な増殖のためのT75またはT 150培養フラスコに入れる。 しかし、培養物が最適細胞濃度から濃すぎるかまたは薄すぎるかいずれかの場 合、これらの細胞は極度に弱く、そして、アポトーシスの形成またはプログラム 細胞死の形態を受けるように見える。この状態は、培養フラスコが細胞残骸の小 さい粒子で細菌的に汚染されるように見えるので直ちに認識され得る。 この状態は、細胞培養物をゆっくりと遠心分離することでウシ胎児血清2mlに より、改善され得る。得られる細胞ペレット(細胞残骸は存在しない)を、新鮮 な培養培地中に適切な細胞濃度において再懸濁する。さらに、適切な細胞の生存 率を保証するために、この細胞培養物の状態の注意深いモニターを必要とする。 細胞株SMS-SB:供給源:R.Peter Gale、Los Angeles、CA。細胞を、リンパ芽球 リンパ腫を再発した17歳の女性の末梢血から単離した。細胞は、u-鎖を合成する が分泌せず、そしてu-鎖分泌の欠如を除いて、SMS-SB細胞の表現型は骨髄プレB 細胞の主要な集団と同一である(Smithら、1981を参照のこと)。細胞を、37℃ および5% CO2にて、10%ウシ胎児血清(Gibco Laboratories、Grand Island、 NY)を供給したRPMI1640培地中で増殖させる。 細胞株HL60:供給源:American Type Culture Collection(ATCC)、Rockville、M D。単離:末梢血白血球を、急性前骨髄細胞性白血病の成人女性から得た。Wrigh t-Giemsa法により染色された細胞の大部分は、アズール親和性顆粒を有する骨髄 芽細胞および前骨髄細胞であったが、より成熟した骨髄細胞もまた見られた(Co llinsら、1977)。細胞を、37℃および5% CO2にて、10%ウシ胎児血清(Gibco Laboratories、Grand Island、NY)を供給したRPMI1640増殖培地中で増殖させ る。 細胞株3.16:供給源:細胞を、Hospital Royal Victoria Hospital in Montreal 、CanadaのPierre Laneuville博士から得た。単離: M-07E細胞と命名されたIL3 /GM-CSF依存性細胞株を、急性巨核芽球性白血病の患者由来の一次培養の早期の 過程から得た。M3.16細胞株を、P210 BCR-ABLを発現するレトロウイルスベクタ ーを含むM-07E細胞から得た。M3.16細胞はDMEM/10% FCS中で、IL3/GM-CSFを添 加することなく増殖する(Sirardら、1994)。細胞を、37℃および5% CO2にて 、10%ウシ胎児血清(Gibco Laboratories、Grand Island、NY)を供給したDMEM 中で増殖させる。 細胞株COS1:供給源:ATCC(Rockville、MD)。単離:COS1は、サル腎臓細胞(CV 1)から確立された線維芽細胞様の細胞株であり、これは野生型T抗原をコード するSV40の起点欠失変異体によって形質転換された。細胞を、37℃および5% C O2にて、10%ウシ胎児血清(Gibco Laboratories、Grand Island、NY)を供給し たDMEM中で増殖させた。 プラスミドPsp65 BCR:このプラスミドを、John Groffen博士(Childrens Hospi tal of Los Angeles、CA)から得た。これを、インビトロにおける転写(SP6ポ リメラーゼを使用する)および翻訳のために使用する。 プラスミドPsp65 c-ABL(1b)およびPsp65/P210 BCR-ABL:これらのプラスミドは それぞれ、全長c-ABL(1b)またはP210 BCR-ABL cDNAを含む。これらはEli Canaan i博士(Weissman Institute、Israel)から得られた。そしてこれらをインビトロ における転写(SP6ポリメラーゼを使用する)および翻訳のために使用し得る。 プラスミドpSG5BCR:オリジナルのヒト全長BCR cDNAは、John Groffen博士(Chi ldren's Hospital of Los Angeles、CA)から得た。BCRの完全コード領域と約15 0bpの5'非翻訳領域とを有するB3クローンを、psp65ベクターのEcoRI部位にクロ ーン化した。 オリジナルのヒト全長p210 BCR-ABL cDNAを、Eli Canaani博士(The weizmann Institute of Science、Israel)から得た。完全コード領域と約10bpの5'非翻訳 領域を有するp210 BCR-ABLの構築物を、psp65ベクターのEcoRI/HindIII部位に配 置した。より良好な発現のため、BCRの5'非翻訳配列を減少させるために、p210B CR-ABL由来のEcoRI-XhoIフラグメントを使用して、B3クローンのEcoRI-XhoIフラ グメントを置き換えた。 新規に構築された、約10bpの5'非翻訳配列を含むヒト全長BCR cDNAを、EcoRI 消化によりpsp65ベクターから切り出し、そして続いて、真核生物発現ベクターp SG5(Stratagene、La Jolla、CA)のEcoRI部位に挿入した。pSG5ベクターは、細 胞中でインビボ発現を促進し、かつT抗原を発現する、初期SV40プロモーターを 含む。 プラスミドPSG5BCR-ABL:ヒト全長p210 BCR-ABLを、EcoRIの完全消化およびSacI の部分消化により、psp65ベクターから切り出した。次いで、全長cDNAを使用し て、pSG5ベクター中でBCRのEcoRI-SacIフラグメントを置き換えた。この構築物 は、p210 BCR-ABLの停止コドンに続く大きなC-末端BCR配列を含む。BCR配列の大 部分のこのC-末端部分を、BamHIの部分消化フラグメントの切り出しにより除去 した。 プラスミドPSG5ABL(1b):ヒト全長p145 c-Abl(1b)cDNAは、Eli Canaani博士(The weizman Institute of Science、Israel)から得た。c-Abl(1b)挿入物を、StuI (平滑末端)部分消化に続くEcoRIの完全消化により、psp65ベクターから切り出 した。次いで、EcoRI-StuIフラグメントを、EcoRIおよびBalI(平滑末端)消化 により線状化したPSG5と連結した。 プラスミドPSG5BCRN553、PSG5BCRN413、PSG5BCRN221、PSG5BCRN159:これらの欠 失変異体を、全ての3つの読み枠において停止コドン(CTAGTCTAGACTAG、配列番 号14、Stratagene、La Jolla、CA)を含むXbaIリンカーを、BCRの第1のエキソ ンをコードする配列においてSacI、BglII、XhoIまたはBamHI部位にそれぞれ挿入 することにより得た(図7)。 変異:TyrからPheへの変異をBCRの177残基および360残基に有するp185 BCR-ABL およびp160 BCR構築物は、Groffen博士のグループ(Childrens Hospital of Los Angeles、CA)より供給された。他の変異体を、下記の方法により、野生型BCR で最初に作製した。次いで、p210 BCR-ABL変異体を、野生型p210 BCR-ABLのXhoI /SacIフラグメントを、変異体p160 BCR由来の同一のフラグメントと交換するこ とにより得た。 TRANSFORMERTMSite-Directed Mutagenesis Kit(CloneTech Laboratories、Pal o Alto、California)を、TyrからPheへの変異を発生させるために使用した。BCR の第1のエキソン中のチロシン残基を変異させるために使用した変異プライマー を、Operon Technologies(Alameda、CA)から得た。そして、それらの配列を以 下に示す。 これらの変異プライマーを使用して、チロシンからフェニルアラニンへ変異させ る。pSG5BCR構築物の変異のための選択プライマー(5'TGGTCGACTCGCGACTCTTCC 3 '(配列番号19))を使用して、ベクターpSG5中の独特な制限部位XbaIを除去す る。変異の全てを、変異領域の直接の配列決定により確かめた。 イムノキナーゼアッセイ:イムノキナーゼアッセイを、改変を加えて、Campbell ら(1990)により記載されるように行った。細胞ペレットを2つの異なる溶解緩衝 液(0.1% Triton-X100、100mM NaCl、5mM EDTA、10mMリン酸ナトリウム(pH7.2) または1% Triton-X100、100mM NaCl、0.5%デオキシコレートナトリウム、0.1 %SDS、5mM EDTA、10mMリン酸ナトリウム(pH7.2)のいずれか)中で、0℃におい て、しっかりと固定したWheatonホモジナイザーによりホモジナイズすることに よって、細胞を溶解させる。両方の緩衝液に、30mMピロリン酸ナトリウム、100K IUのアプロチニン、1mMベンズアミジン、1mMフェニルメチルスルホニルフルオリ ドおよび0.2mMのバナデートナトリウムを供給した。 次いで、細胞溶解物を、100,000×Gにおいて30分〜60分、4℃で遠心分離す ることにより清澄化した。清澄化した上清を回収し、そして免疫沈降のためにサ ンプル間で均等に分配した。 免疫沈降反応を、それぞれの抗ペプチドウサギ血清20μl〜40μlまたはモノク ローナル抗体5μlを使用して、0℃で1時間行った。ブロックされた免疫沈降 は、特異的に抗ペプチド抗体をブロックするために、過剰な同族のペプチドでプ レインキュベートされた抗血清を用いて行われるこれらの免疫沈降反応を意味す る。 得られる抗原-抗体免疫沈降物を、50%タンパク質A-セファロース(Pharmaci a、Uppsala、Sweden)30μlを用いて回収し、ペレット化し、そしてRIPA緩衝液 (10mMリン酸緩衝液(pH7.2)中の0.1% Triton X-100、0.05% SDS、0.5% デオ キシコレートナトリウム、100mM NaCl)で洗浄し、洗浄緩衝液(10mMリン酸緩衝 液(pH7.2)中の0.1% Triton X-100、100mM NaCl)で洗浄し、そして最後に50mM トリス緩衝液(pH7.2)で洗浄した。 免疫沈降ペレットを、0.02mCi[γ-32P]アデノシン三リン酸を含む50μlのキナ ーゼアッセイ緩衝液(100mM NaCl、0.1% Triton X-100、10mM MnCl2を含む20mM HEPES緩衝液(pH7.2))中に、10分間0℃にて懸濁させた。標識化ペレットを1度 RIPA緩衝液で洗浄し、次いでメルカプトエタノール/ドデシル硫酸ナトリウム(S DS)サンプル緩衝液(1% SDS、10% 2-メルカプトエタノール、10%グリセロ ール、1mM EDTAを含むトリス緩衝液(pH8.0))中で煮沸させて変性させた。 煮沸した上清を、6.5%ポリアクリルアミドゲルでのSDSポリアクリルアミドゲ ル電気泳動(PAGE)により分離した。乾燥ゲルを、増強スクリーンを用いて、X 線フィルムに曝した。 イムノブロットアッセイ:細胞を、10% 2-メルカプトエタノールを含むLaemmli ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)サンプル緩衝液中に溶解した。溶解物を3分間 煮沸し、次いで100,000×gで1時間、室温において、遠心分離により清澄化し た。上清液を回収し、そして分配した。 サンプルを、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)により分離した。 4℃において、転写緩衝液(192mM グリシン、25mM トリス-HCl(pH 7.5)、お よび1%のメタノール)中で4時間〜5時間、1.2ampで、ゲルをImmobilon P膜 (Millipore Corp.、Bedford、MA)上に電気ブロットした。 ブロットを、1%〜3%ウシ血清アルブミン(BSA)を含む洗浄緩衝液(150mM NaCl、0.1% NONADETTMP40、50mM トリス-HCl(pH 7.5)、または0.01M トリス (pH7.5)、0.1M NaCl、0.1% TWEENTMM20)、または10%無脂肪ミルクを含む洗 浄緩衝液(20mM トリス-HCl塩基(pH7.6)、137mM NaCl、3.8mM HCl、および0.1 % TWEENTM20)で、1時間〜2時間、37℃における洗浄によりブロックした。次 いで、フィルターを適切な希釈の抗体(8E9に対して1:20,000;抗ペプチド抗体 に対して1:1,000;抗Grb2 抗体に対して1:250;抗ホスホチロシン抗体に対して1 :1,000〜2,500)と共に、ブロッキング緩衝液中で室温で2時間、または4℃で 一晩反応させた。 フィルターを洗浄緩衝液中で洗浄し、そしてI125-タンパク質A(Amersham Co .、Arlinton Hts.、IL.)を用いて、ウサギ抗体について直接評価するか、また はブロッキング緩衝液中で1時間、室温において、モノクローナル抗体(1μg/1 0uCiのI125-タンパク質A)についてウサギ抗マウスIgGと混合した。フィルター を洗浄緩衝液で洗浄し、風乾し、そしてX線フィルムに曝した。 別の方法は、フィルターを西洋ワサビペルオキシダーゼ結合抗ウサギIgまたは 抗マウスIgと共にインキュベートし、次いで洗浄緩衝液で洗浄した後、ECL試薬 (Amersham Co.、Arlington Hts.、IL.)と反応させることである。シグナルを 、フィルターをhyperfilm(Amersham)に曝すことにより検出する。 ホスホペプチドのトリプシンペプチドマッピング:インビトロキナーゼアッセイ からの32P標識化タンパク質を、SDS-6.5% PAGEゲルでの電気泳動により分離し た。電気泳動の後、ゲルを乾燥し、そしてKodak RP-1 X線フィルムを用いてオ ートラジオグラフィーを行った。 オートラジオグラフを鋳型として用いて、32P標識化タンパク質を乾燥ゲルか ら切り出した。ブロッキング紙を、小片に切った乾燥ゲルバンドから除去し、そ して2ml緩衝液/1cm2乾燥ゲルに対応する溶出緩衝液(0.05M NH4CO3、pH 8.5、0. 1% SDS、0.5% 2-メルカプトエタノール)容量中で膨潤した。膨潤したゲル片 を、ガラス撹拌棒でさらに粉砕した。 ホモジネート溶液を5分間煮沸し、そして回転しているホイールミキサー中で 、37℃において一晩振とうして、標識化タンパク質を溶出した。ゲルフラグメン トを、10,000×Gにおける10分間の遠心分離によりペレット化し、そして上清液 を注意深くデカンテーションし、そして保存した。次いで、最初の容量の半分の 容量の新鮮な溶出緩衝液をゲルフラグメントに添加し、そしてこの溶液を、前述 のように37℃で4時間混合した。ゲルフラグメントを遠心分離により再びペレッ ト化し、そして上清液をデカンテーションし、保存した。 溶出画分をプールし、そして合わせた溶出物を、0.2μポアサイズのミリポア シリンジフィルターを通して濾過した。ウシ血清アルブミン(75μg)を溶出物 に加え、そして完全に混合した。BSAキャリアおよび溶出した32P標識化タンパ ク質を、トリクロロ酢酸中で20%の溶液を作製し、そして氷上で4時間インキュ ベートすることによりペレット化した。 沈澱させたタンパク質を遠心分離によりペレット化し、氷冷エタノールで連続 的に洗浄し、続いてエタノール:エーテル(1:1)の氷冷溶液で洗浄し、そして 洗浄したペレットを遠心分離し、風乾した。乾燥したタンパク質ペレットを、15 0μlの冷却した過ギ酸(30% H2O2および98%ギ酸[1:9])に溶解させ、先に室温 で1時間インキュベートし、そして、2時間0℃でインキュベートした。過ギ酸 酸化溶液を水で希釈し、そして高速真空乾燥器で凍結乾燥した。 得られた酸化タンパク質を、0.5mlの0.05M NH4HCO3中の30μgのL-(1-トシルア ミド-2-フェニル)エチルクロロメチルケトンで処理したトリプシン(TPCKトリ プシン)で18時間、室温において消化した。28時間後、さらなるTPCKトリプシン 20μgを溶液に添加し、そして消化をさらに4時間続けた。 消化されたタンパク質を水で希釈し、そしてNH4HCO3塩が除去されるまで、繰 り返して凍結乾燥した。塩が存在しない消化物を、電気泳動緩衝液(pH2.1)( 蒸留水、ギ酸、および酢酸[90:2:8](pH2.1))15μl中に溶解し、そしてセルロ ース薄層プレート(Kodak #13255、Rochester、N.Y.)にスポットとして添加し 、そしてHunter systems電気泳動ユニット(HTLE 7000、CBS Scientific Co.、D el Mar、CA.)上で、1時間、1000Vで電気泳動した。 電気泳動の後、プレートを風乾し、そしてN-ブタノール、酢酸、水、およびピ リジン[75:15:60:50]からなるクロマトグラフィー緩衝液を使用して薄層クロマ トグラフィータンク中で、クロマトグラフィーを行った。クロマトグラフィーを 、クロマトグラフィー緩衝液がプレートの長さに達するまで行うか、または約4 時間行った。 トリプシンペプチドのホスホアミノ酸分析を、オートラジオグラフを鋳型とし て用いて、セルロースマトリックスを削り取ることによって、注意深く標識化ト リプシンペプチドをクロマトグラフィープレートから取り出すことにより、達成 した。標識化トリプシンペプチドを20%アセトニトリルを用いてセルロースマト リックスから溶出し、そして90分間、110℃において6N HClで処理した。 清澄化した上清液を、標準ホスホセリン、ホスホスレオニン、およびホスホチ ロシンの存在下で、薄層プレート(蛍光指示物質が存在しないChromogram、East man Kodak、Rochester、N.Y.)上で分画した。放射性ホスホアミノ酸をオートラ ジオグラフィーにより検出し、そして標準ホスホアミノ酸の位置をニンヒドリン 処理により検出した。 V8プロテアーゼ消化:32P標識化タンパク質バンドをポリアクリルアミドゲルか ら切り取り、そして緩衝液A(0.125Mトリス-HCl(pH6.8)、0.1% SDS、および 1mM EDTA)で再水和した。ゲルスライスを10.5%ポリアクリルアミドゲルのウェ ルにロードし、そしてウェルを、20%グリセロールおよびV8プロテアーゼ1μgを 含む緩衝液Aで覆った。次いで、ゲルを20mAで20分間泳動し、そして30分間停止 した。その後、電気泳動を続けた。 実施例II アダプタータンパク質を結合するBcr-Ablペプチド 本発明者らは、本明細書中で、互いに結合アフィニティーを示すアダプタータ ンパク質-Bcrペプチド対の組を提供する。従って、これらのBcrペプチドは、過 剰に供給された場合、アダプタータンパク質上のそれらそれぞれの結合部位に結 合し、そしてアダプタータンパク質が内因性のBcr-Ablと相互作用することを防 止する。この相互作用は、アダプタータンパク質が、シグナル伝達において(最 も詳細には、Ras活性化経路において)その役割に影響をおよぼすことを防止す る。 ペプチドは、リン酸化形態または非リン酸化形態で提供され得る。リン酸化は 、細胞内で起こると予想される。アダプタータンパク質に結合するペプチドの形 態は、リン酸化形態である。 本発明により提供されるアダプタータンパク質-Bcrペプチドの対は、以下を包 含する: Bcrペプチド 164-181(配列番号8)およびアダプタータンパク質Grb2/mSos1:B cr-Abl中のBcr結合部位は、本発明者らにより同定された。以下のBcrペプチド配 列は、Grb2のSH2ドメインを結合する: GHGQPGADAEKPFpY177VNVE(残基164-181)(配列番号8)。177位のチロシン残基は、 Bcr-Abl内のAblチロシンキナーゼによりリン酸化される。 pY177を含むBcrペプチド(配列番号8)を使用する場合、少なくともその4量 体のフラグメント(例えば、Bcr 176-180(配列番号24))が使用されるべきで ある。例として、13量体は、168-180 Bcr(配列番号27)に対応する。 AblのSH3ドメイン、およびアダプタータンパク質Shc: AblのSH3ドメインは、Sh cのプロリンリッチ配列を結合する配列を含む。 Ablペプチド、およびアダプタータンパク質Crkl: Crklは、Crkと同様の構造を 有する(V-Crkのオンコジーン)(図2)(Reichmanら、1992;Ten Hoeveら、1993)。 Crkは、鳥類肉腫ウイルス中で最初に発見されたSH2/SH3含有アダプタータンパク 質である(Reichmanら、1992)。 Crklタンパク質産物は、いくつかの細胞型において発現される38-kDaタンパク 質である。このp38は、AblおよびBcr/Ablによりチロシン上でリン酸化され、そ してAblおよびBcr/Ablの両方と共にインビボで複合体を形成する。Crklは、Bcr- Ablを発現する細胞株中で、およびBcr-Ablオンコプロテインを発現する患者由来 の非培養血液細胞中でチロシンリン酸化される(Ten Hoeveら、1994)。さらに 、Crklは、mSos1への結合が可能である(Ten Hoeveら、1993)。 Crkは、p145Ablにより、Y221上でリン酸化される。CRKLは、Bcr/Ablのための 生物学的に重要な基質であることが提案されている。CRKLのSH3ドメインの1つ は、Bcr-AblのAblドメイン内のプロリンリッチ配列に結合する。従って、CRKL上 のAbl結合部位を模倣するペプチドは、本発明のいくつかの実施態様における構 成要素である。 Bcrペプチド353-364(配列番号10)およびアダプタータンパク質のSH2ドメイン :Bcr内の別のホスホチロシンペプチド(VSPSPTTpY360RMFR、配列番号10)(残基3 53-364)もまた、アダプターSH2含有タンパク質の結合に関連する。Bcrのチロシ ン360およびY360の周囲のこの配列もまた、Bcr-Abl内のAblチロシンキナーゼに よりリン酸化される。 353-364(配列番号10)に基づくBcrペプチドの使用において、少なくともその 4量体フラグメント(例えば、Bcr 359-363(配列番号25))が使用されるべき である。配列番号22もまた有用である。 従って、本発明の好ましいペプチドの組み合わせは、ペプチドの組あるいはY177 、Y283、およびY360を含むBcr由来の配列(例えば、配列番号8、配列番号 11、および/または配列番号10のペプチド)を有するかまたは含有するポリペプ チドである。この結合部位の組を含むペプチドは、少なくとも3または4アミノ 酸長であり、そして好ましくは、約10または12または15アミノ酸長である。 カルボキシ末端側の配列はペプチド結合に特に重要(例えば、Y177を含むペ プチドのAsn179)であり得るので、チロシンは、ペプチドのおよそ中間に存在す る。 これらの配列を含むポリペプチドは、スペーサーアミノ酸を有し、最適な結合 のために分子を可撓性にする。 本発明のペプチドは、好ましくは、NH2-末端をプロテアーゼ分解からブロック するためのアミノ末端アセチル基、およびカルボキシ末端のアミド基と共に提供 される。 アミノ末端のアセチル化を、ペプチドの合成後、無水酢酸を用いることにより 達成する。アセチル化を、合成の間に樹脂に結合している発生期のペプチド上で 行う。カルボキシ末端アミドを、誘導体化樹脂(すなわち、PAL支持体;Millipo re #GENO77483;Medford、Massachusetts)上で、ペプチド合成を開始すること により達成する。このペプチドがこのタイプの樹脂から除去される場合、これは C-末端にアミド基を有する。 実施例III オリゴマー化を防止するためのBcr-Abl分子間の 超らせん相互作用を阻害するためのBcrペプチド Bcr-AblのBcr部分のN末端領域由来の配列を含むペプチドは、Bcr-Ablモノマ ーのBcr部分間の超らせん相互作用を阻害する。この相互作用は、Bcr-Ablの四量 体活性形態の形成に関与する。過剰のこれらのN末端ペプチドは四量体形成を阻 害し、それによって、Bcr-Ablの自己リン酸化、それに続くその腫瘍性機能を阻 害する。 配列番号1はBcrの第1エキソンのアミノ酸配列を提供する。本発明で使用さ れるN末端ペプチドは、アミノ酸1〜63(配列番号2)、またはアミノ酸1〜71 (配列番号3)、またはアミノ酸28〜58(配列番号4)、またはアミノ酸1〜15 9(配列番号5)、またはアミノ酸1〜221(配列番号6)、またはアミノ酸1〜 413(配列番号7)またはこれらの等価物の配列を含み得る。 159アミノ酸アミノ末端フラグメントBcrをコードするBCR遺伝子のフラグメン トが、特定の使用において好ましい。正常なBcrタンパク質はBcr-Ablと安定な複 合体を形成するので、Bcr159の過剰発現は、1分子のBcr-Ablおよび3分子のBcr 159から構成されるヘテロ四量体構造を生成すると予測される。この四量体は、 Bcr-Ablの自己リン酸化のためのチロシンキナーゼとして不活性であるべきであ るばかりでなく、リン酸化基質(例えば、ShcおよびCrkl)のためのキナーゼと して不活性化であるべきである。 実施例IV ペプチド255〜293の変異の研究 本発明者らは、Ras Gapのアミノ末端SH2ドメインがグルタチオンSトランスフ ェラーゼタンパク質(GST)を含む融合タンパク質として発現することに関する 研究を行った。これらの研究は、GST-Gap SH2とBcr-Ablのホスホチロシントリプ チックペプチドとの混合に関与する。 図8A、図8B、図8Cおよび図8Dは、インビトロにおいてリン酸化したBcr-Ablタ ンパク質の2つのD-トリプチックマップを示す。Bcr-Ablタンパク質は、抗Abl(5 2-64)免疫複合体を用いてインビトロでリン酸化され、そしてマッピングされる 。破線の円は、変異を欠くペプチドを示す。 図9Aおよび図9Bは、F238および野生型p210 Bcr-Ablのトリプシン/V8のマッピ ングを示す。COS細胞由来のp210 Bcr-AblのF283変異体は、K562細胞由来のp210B cr-Ablのマップと比較される(図9A)。破線の円または×は、変異体を欠くペプ チドを示す。 図10Aおよび図10Bにおいて、スポット#3および#8はGST-Ras Gap SH2融合タン パク質に特異的に結合するが、GSTには結合しない。スポット#3は、255-293(配 列番号11)で表されるペプチド(チロシン283、279および276(リン酸化されて いない)を有する)を含む。チロシン283はRas Gapへの結合には関与しない。従 って、チロシン残基279は、Ras Gapと結合するBcrのペプチド部分であるように 思われる。 配列255-293(配列番号11)はRas GapおよびAblのSH2ドメインに結合する。少 なくともBcr278-284またはBcr278-282を含むこのペプチドのフラグメント(例え ば、Bcr278-290)は、Bcr-Ablの阻害に有用なペプチドを提供する。 283位におけるさらなるチロシン(残基255〜293、配列番号11)もまた、Bcr-A bl内でAblチロシンキナーゼによってリン酸化される。Bcr内の他のチロシンもま たBcr-Ablでリン酸化される。これらはY70およびY279、またはおそらく58、231 または246位におけるチロシンであるようである。Y276、Y316およびY328はリン 酸化部位ではないようである。 実施例V Abl SH2ドメインは Bcr-Ablの第1エキソン内でBcrペプチドに結合する 本発明者らは、AblのSH2ドメインを用いて同様の研究を行った。これらの研究 は、マウスc-Abl SH2配列(SH2ドメインの範囲内でヒト配列と2つのアミノ酸の みが異なる)を用いて行われた。 これらの結果は、ホスホチロシントリプチックペプチド#3および#8がGST-Abl SH2に結合するが、GSTには結合しないことを示す(図10Aおよび図10B)。Ras Ga p SH2およびAbl SH2が非常に類似のホスホチロシントリプチックペプチドと結合 する理由は知られていない。 ペプチド8の配列は、637 NSLETLLYK 644(配列番号12)であり、その位置は 第1エキソン(p185 Bcr-Abl中に存在しないが、p210 Bcr-Abl中に存在する;前 者はBcrの第1エキソンのみを含むが、一方、後者はBcrの900より多いアミノ酸 を含む)の外側にある。ペプチド#3はアミノ酸255 FLKDNLIDANGGSRPPWPPLEYQPYQ SIYVGGMMEGEGK 293(配列番号11、下線を付した残基はトリプシン耐性の部位で ある)。 実施例VI p160BcrはGrb2に結合する 以下の研究は、チロシン177リン酸化されたp160 BcrがサルのGrb2分子(Rasシ グナル化経路のアクチベーター)に結合することを示すために行った。 Bcr-Abl内のBcr配列のホスホチロシン177はGrb2のSH2ドメイン、SH2およびSH3 ドメイン含有アダプター分子と直接相互作用するために必要であることが示され ている(Pendergastら、1993)。この相互作用は、Ras機能の活性化およびBcr-A blによる形質転換のために重要である(Pendergastら、1993)。 p210 Bcr-Ablはp160 Bcrをチロシン177でリン酸基転移し得るので、チロシン1 77リン酸化p160 Bcrもまた、細胞内のGrb2タンパク質に結合し得るかどうかを試 験することは重要であった。p210 Bcr-Ablはp160 BcrおよびGrb2タンパク質の両 方と相互作用するので、そのような複合体の調査はp210 Bcr-Ablおよびp160 BCR の両方が発現する細胞では困難である。 チロシンリン酸化p160 BcrとGrb2タンパク質との間の直接相互作用を示すため に、p146 c-Abl、およびp160 BcrまたはGrb2のいずれかを含むp145 c-ABLの物理 的相互作用の欠如によって、p160 BCRがチロシンリン酸化され得る事実を利用す ることは妥当である。 COS1細胞は、ウェスタンブロッティングによって検出される内因性サルGrb2タ ンパク質を発現する(図18、レーン1)。P160 BCRおよびp145 c-ABL(1b)は、CO S1細胞中で、別々にまたは同時に発現された。トランスフェクションの2日後、 細胞を回収した。細胞溶解産物を超遠心分離によって清澄化し、そしてその上清 を抗BCR c-末端(1256〜1271)抗体(図18、レーン2、4および6)またはペプ チドプレブロック化抗体(図18、レーン3、5および7)のいずれかと共にイン キュベートした。次いで、免疫沈降したタンパク質を、10%ポリアクリルアミドS DS PAGEで分画し、次いでp-インモブリン(p-immoblin)膜に移した。次いで、 この膜を抗Grb2抗体でブロットした(図18)。 その結果は、Grb2タンパク質は、COS1細胞(p160 BCRおよびp145 c-ABL(1b)の 両方を過剰発現する(図18、レーン6と7とを比較のこと))由来の抗BCR c-末 端(1256〜1271)抗体によって、チロシンリン酸化p160 BRCと共に、特異的に共 免疫沈降(co-immunoprecipitate)され得る。しかし、p160 BCR単独(図18、レ ーン2および3)またはp145 c-ABL単独(図18、レーン4および5)のいずれか の発現は、抗BCR c-末端(1256〜1271)抗体による、有意なGrb2タンパク質の特 異的共免疫沈降を生じない。弱くブロックされた24 kdタンパク質のバンドは、 ポリクローナル抗BCR c-末端(1256〜1271)ウサギ血清によるサルGrb2分子の非 特異的な免疫沈降および少量のチロシンリン酸化内因性BCRタンパク質の存在か ら生じるようである。 この結果は、p145 c-ABLによってチロシンリン酸化される場合のp160 BCRは、 内因性の類似のGrb2タンパク質と相互作用し得る。 p145 c-ABL(1b)によるp160 BCRのチロシン177のリン酸化がp160 BCRとサルGrb 2タンパク質との相互作用の原因であるかどうかを決定するために、p160 BCRの チロシン177からフェニルアラニンへの変異体のGrb2結合能を試験した。 本研究では、p145 c-ABLを、COS1細胞中で野生型p160 BCRまたは変異体 p160B CR(F177)のいずれかと共に同時発現させた(coexpress)。細胞溶解産物を抗BCR C-末端(1256〜1271)抗体で免疫沈降に供し、そして免疫沈降物を、抗Grb2抗 体を用いるウェスタンブロットによって分析した。 予想されるように、p145 c-ABL(1b)によるチロシンリン酸化された野生型p160 PCRは、サルGrb2タンパク質に特異的に結合し得た(図19のレーン1と2とを比 較のこと)。しかし、p145 c-ABL(1b)とチロシン177を欠くp160 BCRとのCOS1細 胞中での同時発現は、抗BCR C-末端(1256〜1271)抗体によってかなり減少した レベルで共免疫沈降するサルGrb2タンパク質を生じた(図19のレーン3および4 とレーン1と2とを比較のこと)。図19のレーン3および4で観測されるこのよ うな弱い共免疫沈降は、抗GBCR(1256〜1271)抗体、および内因性の野生型BCR の存在による非特異的な免疫沈降の結果であるようである。 これらの結果は、Bcr-Ablのホスホチロシン177だけでなくp160 BCRのホスホチ ロシン177もまた、Grb2タンパク質に結合し得ることを示す。活性化された場合 、正常なc-Ablタンパク質がp160 BCRのチロシン177のリン酸化を経由するRas経 路を活性化し得ることもまた意図する。 実施例VII 短いペプチドによるBcr-Ablの阻害 本実施例は、試験管内キナーゼ反応において、BCR遺伝子の第1エキソン(配 列番号22)によってコードされる短いペプチド配列が、Bcr-Ablタンパク質チロ シンキナーゼ活性を著しく阻害することを示す。このBcrペプチドは、阻害剤と して機能するために、セリン残基上(おそらく、いくつかの中の1つだけ)でリ ン酸化されなければならない。 配列番号10(Bcr 353-364)(これはTyr 360を含む)は、本明細書中において 有用な阻害性ペプチドとして同定される。次に、本発明者らは、より長い形態の このペプチド(配列番号22)を用いて研究を始めた。SH2ドメインは、一般にリ ン酸化チロシン残基の前後に配列を含むモチーフ必要とするので、このペプチド を選択した。 本発明者らは、ホスホセリンを含む配列番号22の改変形態にまず注目した。こ のペプチドはpS254 S17Kとも呼ばれる。Bcr-Ablキナーゼに対するpS354 S17Kの 影響および阻害性活性を測定した。 pS354 S17Kは、350-SSRVpS*PSPTTYRMFRDK-366(配列番号22)である。この配 列はBcr残基350で始まり、そしてBcr残基366で終結し、BCR遺伝子の第1エキソ ンコード領域内に位置する。pS*はホスホセリンを示す。ペプチドは、Merrified chemistryで作製され、そしてカラムクロマトグラフィーおよびHPLCで約95%の 純度まで精製された。 Bcr-Ablキナーゼ活性を測定するアッセイには、自己リン酸化反応(この反応 では、Bcr-Ablチロシンの1分子が別のBcr-Abl分子をリン酸化する)が頻繁に利 用される。このBvrペプチドは、自己キナーゼアッセイにおいてP185 BCR-ABLを 含む免疫複合体への添加によって測定されるように、Bcr-Ablチロシンキナーゼ を阻害することを示した(図21)。 pS354 S17K ペプチド配列はBcr-Ablキナーゼ活性を著しく阻害する(レーン 1と2とを比較のこと)が、非リン酸化S17Kにはほとんど影響はなかった(レー ン3)。Bcr-Ablオンコプロテイン(p210 BCR-ABL)の他の形態を用いて同様の結 果が得られた。 実施例VIII 長いペプチドによるBCr-Ablの阻害 本実施例は、試験管内キナーゼ反応において、Bcrタンパク質のより長いセグ メント(BCR遺伝子の第1エキソンによってコードされる)がBcr-Ablオンコプロ テインのチロシンキナーゼ活性を阻害することを示す。このBcrタンパク質は、 細胞内のBcr-Ablチロシンキナーゼの強力な阻害剤である。 本発明者らは、Bcrのセリンリッチボックスを両方とも含むBcrタンパク質のフ ラグメントもまた、Bcr-Ablチロシンキナーゼの強力な阻害剤として機能し得る と考えた。 本発明者らは、アミノ酸64〜413由来のBcr配列をコードするDNAベクター(配 列番号28:図22)を構築した。この構築物は、AセリンリッチボックスおよびB セリンリッチボックスの両方を含む短いBcrタンパク質を産生する(Pendergast ら、1991)。アミノ酸64〜413をコードするDNAセグメントは、Dr.Jean Wang(Mc WhirterおよびWang(1991))によって提供されたBcr-Abl DNAクローンに由来し た。Bcrコード配列をベクターpLNL SLX CMVに挿入した。 図22に示されるBcrフラグメントベクター構築物を用いた一過性トランスフェ クトにより、BcrフラグメントをCOS-1細胞中に発現させた。合成Bcrペプチド(B cr残基 EFHHERGLVKVNDKE(配列番号1の181〜194)を含む)に対して調製された ウサギ抗体を用い、トランスフェクトされたCOS-1細胞の溶解産物を免疫沈降さ せた。他の研究において、本発明者らは、この構築物が、NIH 3T3細胞中の適切 なサイズの予期されるサイズのBcrタンパク質フラグメントを、抗Bcr 181-194抗 体を用いるウェスタンブロッティングによって産生した。 Bcrフラグメント(64〜413)でトランスフェクトされたCOS-1細胞由来の免疫 沈降物を、白血病細胞株SUP B15由来のp185 BCR-ABLの免疫沈降物に加えた。そ の結果は、BcrフラグメントがBcr-Ablチロシンキナーゼ活性の強力な阻害剤であ ることを示した(図23A、レーン4とレーン2とを比較のこと)。 免疫沈降物を数分間煮沸して、キナーゼアッセイに添加した場合、阻害活性は 著しく減少した(レーン1と2とを比較のこと)。このことは、この阻害剤が実 際にBcrフラグメントタンパク質である場合に予想される結果である。なぜなら 、100℃に達する温度によって、タンパク質コンホメーション(confirmation) はかなり破壊されるからである。 キナーゼアッセイにおけるBcr-Ablオンコプロテインのレベルを測定するため に、レーン2および4由来の抗Abl免疫複合体を、抗Bcr 181-194抗体を用いたウ ェスタンブロッティングにより分析した。その結果は、Bcr-Ablタンパク質(P18 5)の量は本質的に量を変化させないが(図23B)、自己リン酸化のレベルは、Bc rフラグメントタンパク質を含む抗Bcr免疫複合体への暴露によって劇的に減少し た(図23A、レーン2)。 抗Bcr 181-194抗体自身がBcr-Ablに対して阻害性である可能性を排除するため に、本発明者らは、Bcr-Ablを有するBcrフラグメントに暴露されていない抗体を 混合した(図23C)。その結果は、抗体自身がBcr-Ablに対して阻害性でなかった ことを示す(図23Cのレーン1と2とを比較のこと)。さらに、本発明者らは免 疫複合体中のBcr-Ablタンパク質のレベルを測定した(ただし、この時点での抗A bl 8E9抗体を用いたウェスタンブロッティングよる)(図4の図23Cの下側)。B cr-Ablタンパク質ののレベルは変化しなかった。 この研究(図23A)において、COS-1細胞中のBcrフラグメントタンパク質のレ ベルは、ほとんどの細胞株中のBcr-Ablタンパク質に対して観測されたレベルと 同じであるようであった。従って、Bcrタンパク質フラグメントの量は、これら のキナーゼアッセイにおけるBcr-Ablタンパク質の量と同様のモル量であるよう であった。 従って、本発明者らは、配列番号28のBcrフラグメントタンパク質がBcr-Ablチ ロシンキナーゼの非常に強力な阻害剤であると結論する。Bcrフラグメントは、C OS-1細胞での発現の結果としてセリン残基上(少なくともセリン354で)でリン 酸化されるようであった。本発明者らは、そのリン酸化が、COS-1細胞中に存在 する細胞性セリンキナーゼ(おそらく、セリン/スレオニンキナーゼである内因 性Bcr)によって触媒されたと推定する。 他のキナーゼに対するBcrペプチドの影響を測定し、そしてその結果は、Bcr阻 害性ペプチドはBcrキナーゼを刺激するが、p60 Srcチロシンキナーゼにはほとん ど影響しないことを示唆する。 これらの結果は、正常なBcrがBcr-Ablの成長効果を妨害し得るという提案を支 持する。重要なことに、Bcr-Ablオンコプロテインの白血病効果を中和するため に、これらは特定の薬物の生産のストラテジーを強化する。薬物は、リポソーム /ペプチド処方物または配列番号22のBcrフラグメントタンパク質および本明細書 中に記載される他のペプチドの発現を誘発する遺伝子治療を包含する。 実施例IX チロシンリン酸化によるBcrセリンキナーゼの阻害 Bcrは本質的なセリン/スレオニンキナーゼ活性を有することが知られている。 本実施例において、本発明者らは、セリン/スレオニンキナーゼ活性に対するそ れらの影響についてBcrアミノ末端内のチロシン残基の重要性を試験した。Bcr-A blによるチロシン残基(T-360を含む)上でのBcrのリン酸化は、Bcrのセリン/ス レオニンキナーゼ機能を著しく阻害した。 P160BCR(Y360F)は、リン酸基転移活性を減少させるが、その自己リン酸化活性 は影響を受けない:異なるBcrエキソン1の残基のチロシンリン酸化はBcrの酵素 活性に影響し得る。さらに、チロシン残基は、Bcrのセリン/スレオニンキナーゼ 活性の調節に関与し得る。 これを試験するために、本発明者らは、いくつかの残基に対するY>>F BCR cDN Aを作製し、そしてこれらのBcrタンパク質変異体をセリン/スレオニンキナーゼ 活性について試験した。P160BCRの変異体形態は、COS-1細胞中に発現され、そし て免疫複合体キナーゼアッセイにおいてセリン/スレオニンキナーゼ活性につい て試験した。 変異体Y360F Bcr P160は、野生型Bcrのものと比較して、外因的に添加した基 質(カゼイン)をリン酸基転移するその能力を著しく阻害した。対照的に、Y360 F変異体によるP160BCR自己リン酸化は検出可能には変化しなかった。 このような抽出物のウェスタンブロッティンゲは、Y360F Bcr変異体タンパク 質が安定であることを示した。免疫複合体中の活性P160BCRの量の指標としてのP 160BCRバンドの強度、およびリン酸基転移活性の尺度としてのカゼインバンドの 強度を用いて、Y360F Bcr変異体のリン酸基転移活性は、野生型のものと比較し て約7倍減少した。同様に、Y360F Bcr変異体はまた、別の外因性基質(ヒスト ンHl)のリン酸基転移が欠損していた。 Bcrエキソン1中の他のチロシン残基がBcrのセリン/スレオニンキナーゼ活性 に対して同じように重要であるかどうかを決定するために、本発明者らはY238F 変異体のBcrタンパク質をアッセイした。Bcr Y283Fは、カゼインをリン酸化する 能力において顕著に改変されていなかった。 これらの免疫複合体内のBcrの量を2つの方法で定量した。第1の方法では、B cr変異体の量を、野生型のものと比較して約10%少なく見積もった。これらの測 定に基づいて、Y360F Bcr変異体のトランスキナーゼ活性(カゼイン強度/P160BC R 強度)の比活性(0.03)は、本研究において野生型のものと比較して20倍を超 えて減少した。 免疫複合体中のP160BCRの量を見積もる第2の方法は、抗Bcr抗体を含むこれら の免疫複合体のウェスタンブロッティングを包含した。Y360Fの比活性は約6倍 減少した。従って、これら2つの方法は、Y360F Bcrタンパク質が野生型Bcrのも のに比ベて添加基質をリン酸化する能力を顕著に減少させたことを証明した。相 対量の尺度としてBcrタンパク質の自己リン酸化を用いることによって、Y360F変 異体によるBcrのトランスキナーゼの減少は約7倍であって、これはウェスタン ブロット方法によって得られた結果を裏付ける。 Bcr-AblによるBcrのセリンキナーゼ活性の低下:Y-360残基は、Bcrのリン酸基転 移活性に重大に関与し、そして野生型Bcr-AblはY360F欠損を減少させないので、 本発明者らは、野生型Bcrのチロシンリン酸化のセリン/スレオニンキナーゼ活性 に対する影響を試験した。COS-1細胞の分離アリコート由来のBcr-AblおよびBcr の免疫複合体を混合し、Bcr-AblによるBcrのチロシンリン酸化を可能にした。次 いで、本発明者らは、Bcrのチロシンリン酸化のセリン/チロシンキナーゼ活性に 対する影響をアッセイした。 低レベルのスレオニンを含み、大部分のセリン上でカゼインがリン酸化された コントロールBcr P160、P160BCR自身はまた、セリン/スレオニン残基上でリン酸 化された。しかし、Bcr-Abl免疫複合体へのBcr免疫複合体の添加は、カゼイのセ リン/スレオニンリン酸化のレベルを著しく低減させ、そしてチロシン残基上で のカゼインのリン酸化を引き起こした。 Bcr-AblのBcr免疫複合体への添加はまた、チロシン残基上のBcrのリン酸基転 移をもたらし、そして同時にBcrのセリン/スレオニン自己リン酸化活性をブロッ クした。これらの研究において、本発明者らは、Bcr免疫複合体をBcr-Ablで処理 したP160BCR中および処理しないP160BCR中でのホスホアミノ酸含有量を測定した 。これらの研究において、BcrおよびBcr-Ablタンパク質は抗Bcrを用いて免疫沈 降し、これはBcrおよびBcr-Ablタンパク質と直接反応する。 自己リン酸化P160BCRはホスホセリン/スレオニンを含有した。対照的に、Bcr- Abl処置したP160BCRは、主に、低レベルのホスホセリン/スレオニンのみを伴う ホスホチロシンを含む。これらの結果は、インビトロでの野生型Bcrのチロシン リン酸化は、そのセリン/スレオニンタンパク質キナーゼ(オートキナーゼおよ びトランスキナーゼ活性の両方を含む)を著しく阻害することを示す。 無傷の細胞から単離されたチロシン-リン酸化されたBcrは、トランスキナーゼ活 性を欠損している:Bcr-Ablを同時発現する細胞から回収されたBcrもまた、トラ ンスキナーゼ活性を欠損しているどうかを決定するために、本発明者らは、ホス ホチロシンの保持が好ましい条件下で、細胞からBcrを単離した。 これらの研究において、本発明者らは、Bcr-Ablを欠く細胞の抽出物またはBcr -Ablを発現する細胞のいずれかから、抗Bcrを用いてBarを免疫沈降させた。これ らの条件下で、Bcr-AblはBcrと共に共免疫沈降する。本発明者らは、チロシンリ ン酸化をブロックし、したがってBcrを有するホスホチロシンを維持するために0 .4mMバナジン酸塩を含む緩衝液中で細胞を溶解した。 P210BCR-ABLのいずれかと共にBcrを同時発現する細胞は、カゼインリン酸化活 性を顕著に欠損していた。定量的測定は、Bcr-Ablを欠くCOS-1細胞由来のBcrよ りも、カゼインリン酸化に対する活性は25倍小さいことを示した。これらの結果 は、 Bcr-AblによるBcrのチロシンリン酸化は、Bcrのセリン/スレオニンキナーゼ活性 を減少させる主要なファクターであることを示す。 実施例X BcrはBcr-Abl機能の負の調節因子である この実施例では、3'BCRアンチセンスオリゴヌクレオチドで細胞を処理するこ とによる、Bcrキナーゼ活性およびBcr/Bcr-Abl複合体の減少を証明する。 p160 BCRが、BCR-ABLタンパク質チロシンキナーゼの標的であるという事実、 およびチロシンリン酸化p160 BCRが生細胞内でRasシグナリング経路の活性化因 子であるGrb2分子と相互作用し得るという事実は、p160 BCRがPh1-陽性白血病の 病因において役割を果たすという仮説と一致する。 p145 c-ABLの活性型チロシンキナーゼによるp160 BCRのチロシンリン酸化およ びその後のGrb2タンパク質との相互作用は、p160 BCRが、特定の正常な生理学的 過程において極めて重要なシグナリング分子でもあり得ることを示している。 BCR-ABLの発ガン作用におけるBCRの役割を検討するために、BCR-ABLを発現す る細胞内で、BCRタンパク質発現を特異的に排除または減少させた。アンチセン スオリゴヌクレオチドは塩基対形成によって特定のmRNAに結合し、次いでそのmR NAの分解により、タンパク質発現を妨害し得る。BCR-ABLは3'BCRコード配列(ア ミノ酸残基927-1271)を欠くので、3'BCRアンチセンスオリゴヌクレオチドは、B CR-ABL発現を妨害することなく、BCR発現を選択的に減少させることにおいて有 用なはずである。 3'BCR配列は、p21 RasGAPおよびABR遺伝子のようないくつかのヒト遺伝子と相 同性を有する。したがって、選択した3'BCRセンスおよびアンチセンスオリゴヌ クレオチド配列を、GeneBankデータベースのFASTAサーチにより調べ、既知のヒ ト遺伝子と有意な相同性を持つオリゴヌクレオチドを排除した。プライマー選択 プログラムによるオリゴヌクレオチドの試験は、有意な二次構造形成を示さなか った。 以下のオリゴヌクレオチド配列を選択した:BCR3351アンチセンス,5'ATCATCA CCGACACATCC3'(配列番号20);BCR3351センス、5'GGATGTGTCGGTGATGAT3'(配列 番号21)。これらのオリゴヌクレオチド配列は、BCRコード配列3351-3368に対応 し、BCR-ABL配列および他の既知のヒト遺伝子配列中には認められない。 これらのオリゴヌクレオチドは、Genosys Biotechnologies,Inc.(Houston, TX 77380-3600)により合成した。エンドヌクレアーゼ消化に対するそれらのオ リゴヌクレオチドの耐性を増し、それらの効果を長続きさせるため、各オリゴヌ クレオチドの両末端に2つのリン酸トリエステル結合を配置した。 このセンスおよびアンチセンス3'BCRオリゴヌクレオチドの効果を、SUP-B15細 胞(p185BCR-ABLを発現するPh1陽性急性リンパ球性白血病患者に由来する細株) におけるBCR発現について試験した。抗BCR(1256-1271)ペプチド抗体(この抗 体はBcrタンパク質を検出するが、Bcr-Ablタンパク質を検出しない)を用いてイ ムノキナーゼアッセイを行ない、センスまたはアンチセンス3'BCRオリゴヌクレ オチドいずれかによる処理の7日後に、B15細胞中でのBCR発現のレベルを決定し た(図13、レーン1および3)。 その結果は、アンチセンス処理したB15細胞が、センス処理した細胞に比べて 、非常により低いレベルのBCRタンパク質を発現することを示した。 そのC末端Bcr抗体は、Bcr-Ablを検出しないために、Bcrと共沈したBcr-Ablの レベルは、Bcr/Bcr-Abl複合体量の見積もりを与える。重要なことに、これらの アッセイは、アンチセンス処理したB15細胞では、センス処理した細胞に比べて 、p160 BCR/p185 BCR-ABL複合体の量も減少していることを示した(図13、レー ン1よび3)。この研究では、等量のセンスおよびアンチセンスオリゴヌクレオ チド処理したB15細胞を分析した。抗Ablモノクローナル抗体によるウェスタンブ ロット分析は、p185BCR-ABLの発現がアンチセンスおよびセンスオリゴヌクレオ チド処理によって有意に変化しないことを示した(図12)。 これらの結果は、3'BCRアンチセンスオリゴヌクレオチドが、BCR-ABLの発現を 妨害することなく、正常なBCRの発現を特異的に減少させることを示した。 図13のレーン1および3に見られるp160BCRのデンシトメーター(Melecular D ynamics)による定量分析は、アンチセンスで処理したB15細胞がセンス処理した 細胞より約14倍少ないBcrを含むことを示した。しかし、図12の定量分析は、ア ンチセンス処理したB15細胞のBcr-Ablおよびc-Ablのレベルが、センス処理した 細胞より、それぞれ約1.6倍および1.35倍減少していることを示した。c-Ablを内 部対照として用いると、アンチセンス処理によるB15細胞中のp160BCRの実際の減 少は約10倍である。 3'BCRアンチセンスオリゴヌクレオチド処理の生物学的効果を、SUP-B15細胞で 試験した。SUP-B15細胞を、3連のウェルに1.6×105細胞/mlの濃度(20%FCSを補 充したRPMI培地200μl容量中)に接種した。オリゴヌクレオチドを10μMの最終 濃度で細胞に加えた。トリパンブルー排除アッセイにより9日間細胞数をモニタ ーした。3連の平均細胞数を各日測定した(図20A)。 Ras経路の刺激におけるBcrリン酸化チロシン177の立証された役割(Pendergas tら,1993;Puilら,1994;図18および図19)のために、アンチセンス3'BCRオリゴ はBcr-Abl発現細胞の増殖を増大させることが予想された。結果は、SUP-B15細胞 のアンチセンスオリゴヌクレオチド処理が、センスオリゴヌクレオチド処理と比 べより高い増殖密度を持続させることを示した。 M3.16細胞(p210BCR-ABLでトランスフェクションされたヒト巨核球)の処理か らも同様の結果が得られた(図20B)。この特定の研究では、細胞数を長期間(1 1日間)追跡し、そして第5日に初期濃度の半分にあたるオリゴヌクレオチドを さらに添加した。第9日の細胞培養を光学顕微鏡による試験は、アンチセンスで 処理したM3.16細胞が、センス処理した細胞よりコンフルエントであることを示 した。 要約すると、本発明者らは、Bcrタンパク質が3'BCRアンチセンス処理により減 少するかどうかを決定する研究を行なった。つまり、十分量のp185BCR-ABLを発 現するSUP-B15細胞を、センス3'BCRオリゴおよびアンチセンス3'BCRオリゴで7 日間培養物中で処理した。アンチセンス処理した培養物は、センス処理した培養 物より2倍多い生細胞を有していた。これらの培養物に対して2つの型のアッセ イを実施した。 第1に、Bcr-Ablタンパク質のレベルをウェスタンブロッティングでアッセイ した。アンチセンス処理培養は、センス処理培養と比べて、Bcr-Ablタンパク質 の発現に有意な変化を持たなかった(図12)。したがって、増殖速度の増大は、 Bcr-Abl発現が増大した結果ではなかった。 第2に、アンチセンス処理培養とセンス処理培養の溶解物を、Bcrのカルボキシ 末端に対する抗体(これらはBcr/Bcr-Abl複合体を検出することがわかっている ;Campbellら,1990;Liuら,1993)を用いる免疫複合体キナーゼアッセイ法で アッセイした。これらの抗体はBcrを直接検出するが、Bcr-Ablタンパク質を直接 検出することはない。しかし、BcrはBcr-Ablと複合体化し得るので、このアッ セイ法は、Bcrと共に共沈するBcr-Ablをも検出する。 これらの免疫複合体を標識したATPと共にインキュベートすると、Bcr-Ablによ るBcrのチロシンリン酸化およびBcr-Ablの自己リン酸化が起こる(Liuら,1993) 。センス処理培養とアンチセンス処理培養から得た溶解物を比較したところ、ア ンチセンスによるBcrおよびBcr/Bcr-Abl複合体の劇的な減少が明らかになった( 図13)。リン画像装置(phosphorimager)による分析は、アンチセンス3'BCRに よってBcrの量が約14倍減少することを示した。Ablウェスタンブロットデータを 質量に関する内部対照として使用すると、Bcrの特異的減少は約10倍であると見 積もられる。 したがって、図12および図13のデータは、アンチセンス3'BCRオリゴが機能的 なBcrとBcr/Bcr-Abl複合体の量を劇的に減少させ、一方Bcr-Ablタンパク質のレ ベルには有意な影響を与えないことを示している。これらの結果は、BcrがBcr-A bl機能の負の調節因子であることの根拠となる。 実施例XI 正常なBcrタンパク質は負の調節因子役割を有する 本実施例は、低血清に維持した、3'BCRアンチセンスで処理したBcr-Abl発現細 胞は、センス処理細胞と比較して生存率が高いことを証明する。 センスオリゴヌクレオチド処理細胞の増殖パターンとアンチセンスオリゴヌク レオチド処理細胞の増殖パターンのとの間の相違は、培養サイクルの後期まで観 測されない。これらの結果は、培地中の何らかの因子がアンチセンス3'BCRオリ ゴヌクレオチドの効果を克服し得ることを示唆している。アンチセンスオリゴヌ クレオチド処理によって誘導される効果には、血清レベルを減少させる必要があ る可能性がある。 B15細胞を低血清含有培地[5%ウシ胎児血清(FCS)]中で培養した。通常こ れらの細胞には20%FCSが必要である。B15細胞の1バッチ(2.2×106/ml)を、5 % FCSを含むRPMI中で培養した。その懸濁液200μlを96ウェル培養プレートの各 ウェルに接種した。その培養物に、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはセン スオリゴヌクレオチドを10μMの最終濃度で添加した。3連の平均値として細胞 数を決定し、それを図14にプロットした。 低血清含有培地で培養したB15細胞は、センスオリゴヌクレオチドで処理した 後より、3'BCRアンチセンスオリゴヌクレオチドで処理した後の方が、生存率が 高いことを見出した。すなわち、アンチセンス3'BCRによる処理の5日後の生存細 胞数は、センス処理細胞の場合の約2倍であった。 これらの結果は、細胞増殖を阻害する血清条件下で、正常なBcrタンパク質がB cr-Abl発現細胞の生存を阻害することを示している。したがって、この結果は、 正常なBcrタンパク質が、細胞死を刺激することにより、細胞に対して負の効果 を有することと一致する。 要約すると、センス処理Bcr-Abl発現培養物とアンチセンス処理Bcr-Abl発現培 養物の増殖速度パターンを調べたが、数日の遅延期間までアンチセンスの増殖刺 激効果は認められなかった。この遅延期間の間は、2つの細胞株で、センス処理 細胞とアンチセンス処理細胞との間に増殖速度の相違が認められなかった。この 遅延は、培地中の高血清濃度により提供された至適増殖刺激のためであり得る。 そこで、血清レベルを減じ、細胞が細胞数を増やし得ない条件下で、アンチセン ス3'オリゴの効果を調べた。アンチセンス処理培養物は、センス処理培養物に比 べ高い生存率を示した(図14)。 これらの結果は、Bcrタンパク質がBcr-Ablの存在下に細胞死を刺激し得ること 、およびBcrの除去がBcr-Abl発現細胞の生存を促進することを示唆している。 実施例XII Bcrのリン酸化はそのSer/Thrキナーゼ活性 を阻害し、Bcrの負の調節役割を遮断する この実施例は、Bcr-AblによるSer-Thr Bcr自己リン酸化活性の阻害を証明する 。正常なBcrタンパク質は、Bcr-Ablの増殖刺激効果を促進することに加えて、本 明細書中に示すように、負の調節的役割を有する。本実施例の結果は、正常なBc rがBcr-Ablの増殖効果を妨げること、およびこのBcrの負の効果がBcr-Ablによる Bcrのチロシンリン酸化により中和されることを示す。 Bcr-AblおよびBcrは、細胞内で抗争しているようである。Bcr-Ablが悪性増殖 を刺激するのに対し、非チロシンリン酸化Bcrは増殖を阻害する。さらに、Bcr-A blはチロシンリン酸化によってBcrのキナーゼ活性を阻害し得る。BcrのSer/Thr キナーゼ機能は、その負の増殖効果を担っていると推定される。したがって、Bc rのチロシンリン酸化は、そのSer/Thrキナーゼ活性を阻害するので、BcrのSer/T hrキナーゼ機能の遮断は、その負の増殖機能を遮断する。 Bcr-Ablは、Bcr(Bcr-Abl欠損細胞から収集したもの)のインビトロリン酸化 を触媒し、Bcr自己リン酸化のレベルを減少させる。そこで、以下の研究を行な った。イムノキナーゼアッセイにおいて、Bcr-Abl免疫複合体を添加せずに[32P ]ATPで標識したゲル精製Bcrのリン酸化アミノ酸比を、比較的高レベルのBcr-Ab l免疫複合体を用いて標識した場合、および少量のBcr-Abl(高レベルの5%)を 添加した場合と比較した。 キナーゼアッセイにおけるBcr免疫複合体へのBcr-Abl免疫複合体の添加は、Bc r-AblおよびBcrのリン酸化を示した(図15)。リン酸化Bcr-Ablのレベルは、Bcr -Abl免疫複合体のレベルが増大するにつれて増大したが、リン酸化Bcrのバンド の強度には目にみえるほどの変化がなかった。しかし、これらの異なる条件下で のBcrバンドのリン酸化アミノ酸分析は、比較的低レベルのBcr-Abl複合体で、Bc rのバンドのリン酸化セリン/スレオニン含量における劇的な減少を示した(図15 )。定量分析は、低レベルのBcr-Acl(5%)により、Bcrのセリン/スレオニン 自己リン酸化が2.5倍以上減少することを示した。高レベルのBcr-Abl複合体では 、Bcr自己リン酸化のレベルが約30倍減少した。 これらの結果は、Bcrのチロシンリン酸化のレベルが、Bcr自己リン酸化活性の 阻害のレベルと直接相関し得ることを示す。 Bcr-Ablが触媒するチロシンリン酸化により、Bcrのリン酸基転移機能が同様に 阻害されるかどうかを決定するために研究を行なった(図16および図17)。これ らの研究では、キナーゼ反応混合物にカゼイン(10μg)を加えて、Bcrまたはイ ンビトロでBcr-Ablと混合したBcrによる、この添加した基質のリン酸基転移を起 こさせた(図16および図17)。 その結果、Bcrによるカゼインのリン酸基転移が極めて効果的であることを示 した(図16のレーン1および2を比較のこと)。さらに、リン酸化アミノ分析は 、カゼインがセリンおよびスレオニン残基上でリン酸化されることを確立した( 図17のレーン1)。 興味深いことに、BcrにBcr-Ablを加えると、添加したカゼインのリン酸化が刺 激されたが(図16のレーン3)、カゼインセリン/スレオニンリン酸化のレベルは 著しく阻害され、同時にカゼインがチロシン残基上で強くリン酸化された(図17 のレーン2)。これらの結果は、Bcr-Ablオンコプロテインが正常なBcrのリン酸 基転移機能を阻害することを極めて明瞭に示している。 これらの結果は、Bcr-Ablが、Bcr内の第1エキソン配列のチロシンリン酸化に より、実際にBcrの負の効果を中和し得るという仮説を支持している。Ser/Thrタ ンパク質キナーゼとして機能するのは、Bcrの第1エキソンである。Bcrのキナー ゼドメイン内またはその近傍にある数個のチロシンがBcr-Ablによってリン酸化 される。Bcrのキナーゼドメインは、残基163-355を含む(CampbellおよびArling haus,1991);本開示は、Bcr-Ablが触媒するリン酸化の結果として、正常なBcr タンパク質内の177、283および360位のチロシンがリン酸化されることを証明す る。いくつかの他の第1エキソンのチロシンもリン酸化されそうである。これら のチロシンリン酸化のうち1またはそれ以上が、Bcrタンパク質の形状をいくらか 変化させ、それがそのセリン/スレオニンキナーゼ活性を阻害し得る。 実施例XIII Bcrフラグメントの発現 材料および方法:COS1細胞ATCC番号CRL1650(Rockville,MD)COS1は、野生型T 抗原をコードするSV40の起点欠損突然変異体により形質転換されたサル腎臓細胞 (CV1)から樹立された繊維芽細胞様細胞株である。COS1細胞は、10%ウシ胎児血 清(Gibco Laboratories,Grand Island,NY)を補充したDMEM(Grand Island B iological Co.(Gibco),Grand Island,NY)中で、5%CO2で37℃で培養した。 COS1細胞の一過性のトランスフェクションを、ジエチルアミノエチル(DEAE) -デキストラン手順により行なった。トランスフェクションは、COS1細胞が約60% 〜80%コンフルエントになった時に開始した。リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で 1回およびトリス緩衝化生理食塩水-0.02%デキストロース(TBS-D)で1回洗浄し た後、0.2mg/ml DEAE-デキストランおよび2μg/mlの各添加プラスミドとを含有 するTBS-Dで、細胞をインキュベートした。細胞が集合および萎縮を始めた5〜10 分後に上清を除去した。 TBS-Dで1回およびPBSで1回洗浄した後、10%ウシ胎児血清および100μg/mlのク ロロキンを補充したDMEM中で、37℃で細胞をインキュベートした。3〜5時間後に クロロキン含有培地を除去し、ウシ胎児血清を含まないDMEMで細胞を3回洗浄し た。次いで、細胞を回収する前に、10%ウシ胎児血清を補充したDMEM中で、37℃ で2〜3日間、インキュベートした。 Bcr159、Bcr221、およびBcr413タンパク質をそれぞれ発現するCOS-1ベクター を、p210Bcr-Ablの存在下または非存在下で、COS-1細胞中で発現させた。図6Aは 、抗pTyr抗体を用いたウェスタンブロットを示す。Bcr-Ablは、Bcr221およびBcr 413のチロシンリン酸化を誘導するが、Bcr159のチロシンリン酸化を誘導せず、 これはBcrの最初の2つのチロシンがBcr-Ablの標的でないことを示している。 次のチロシンは残基177にあり、そしてこれはBcr-Ablによってリン酸化される と予想される(Pendergastら,1993)。Bcr221はチロシンリン酸化されるが、そ れはBcr413と同様に、Bcr-Ablの存在下でのみ起こった。図6Bは、抗Bcr1-16でプ ローブした同じ抽出物のウェスタンブロットを示す。両方の条件下でも、3種類 のBcrタンパク質フラグメントの全てが特異的に発現されることに注意せよ。 要約すると、Bcr159は、2つのチロシンの存在にもかかわらず、Bcr-Ablを発 現する細胞内でリン酸化されない(図6Aおよび図6B)。対照的に、Bcrの221残基 N末端フラグメントおよび413残基N末端フラグメントは、Bcr-Ablを発現する細胞 中で発現され、そして両方ともチロシン177がリン酸化される。 実施例XIV レトロウイルスを介したBCR-ABLペプチドの送達 この実施例では、フィラデルフィア陽性細胞が存在する白血病の処置における 本発明の使用について記載する。 BCR合成遺伝子のコピーを供給しそして、またそれにより、アダプタータンパ ク質に結合しそしてrasオンコジーン経路を阻害しそして、BCR-ABLの超らせん領 域に結合して自己リン酸化を阻害するBCRペプチドまたは融合ペプチドを含むタ ンパク質産物を供給するために、BCRペプチドまたは融合タンパク質をコードす る核酸配列を骨髄に導入する。 BCR-ABL遺伝子を含むレトロウイルスベクターpG7CHT(図11)を、Albert Deis seroth博士から入手した。高力価ウイルスの生産には、pA317アンホトロピック レトロウイルスパッケージング細胞株(American Type Culture Collection,Ro ckville,MD;#CRL9078)を用いる。EcoRIおよびSphI制限エンドヌクレアーゼ による消化で、BCR-ABL遺伝子を上記プラスミドから切り出す。次に、EcoRIおよ びSphI制限酵素による消化でpSG5BCRプラスミドから切り出した全長BCR遺伝子を 、pG7CHTベクターのEcoRIおよびSphI部位に挿入する。このBCR遺伝子はMoMSV/LT R下で発現される。このベクターは、CMVプロモーター(Pcmv)下で発現するハイ グロマイシン耐性遺伝子(HyTK)も含む。BCRのN-末端フラグメントも上記と同 じストラテジーで発現させる。 Bcr421フラグメントはBcr-Ablのオリゴマー化を妨害しそして、天然のBcr-Abl のリン酸化部位をすべて含む。したがって、このフラグメントの過剰発現は、Bc rの第1エキソンの阻害活性の全てを有する。しかし、これはShc効果およびCrkl 効果に直接干渉するわけではなく、Bcr-Ablのオリゴマー化を阻害するので、Bcr -Ablのキナーゼ活性が著しく減少する。したがって、CrklとShcが著しくチロシ ンリン酸化されることはないはずである。 3つのリーディングフレームのいずれにおいてもコドン422に停止コドンを持 つ完全長BCRをベクターに挿入したことに注意せよ。したがって、421フラグメン トのみが生産される。同様に、それぞれコドン159および221の後に停止コドンを 挿入することによって、Bcr159フラグメントとBcr221フラグメントを作成した。 実施例XV フィラデルフィア染色体陽性細胞を選択的に阻害するための Bcr-Ablペプチドによる骨髄サンプルの処理 この実施例では、インビボ注射に先立ってインビトロで白血病(フィラデルフ ィア染色体陽性)細胞を除去するための自己骨髄浄化(パージング)について概 説する。この方法はまた、骨髄の二倍体(正常)細胞数を富化させ、それゆえそ の投与を受ける白血病患者における治療能力を増大させるという利点があり得る 。 この実施例において使用される「正常細胞」とは、骨髄中のフィラデルフィア 染色体陰性細胞をいう。「正常細胞」はまた、増殖がその細胞内のABLに依存す る骨髄細胞としても定義される。 したがって、2×1010又は2×108/kgの有核細胞を含む少なくとも1000mlの骨髄 サンプルを、滅菌条件下の白血病患者から集める。次にその試料をFicoll hypaq ueまたはPercoll不連続勾配分離にかける。有核細胞(未分化)をその界面から 集める。これによって有核細胞の数が5倍(4×107/kgへ)減少する。次にその細 胞を、免疫付着分離によりDR(分化中の造血細胞に発現するクラスII HLA抗原フ ァミリー)陽性細胞を除去することによって、抗体分離にかける。これにより、 細胞数が2〜5×107細胞に減少する。次に、この残った細胞を、HLl培地の組織培 養培地(40〜100cc)の、1ccあたり5×105細胞で再懸濁し、1000UのGMCSFおよび IL3を補充し、そしてBCRペプチドと共に3日間インキュベートする。 次に、Bcr-Ablペプチド(またはリン酸化ペプチド)(例えばリポソームにパ ッケージングしたもの)を、骨髄細胞および細胞支持培地の細胞培養物に、1〜1 00μMの濃度で添加する。最も好ましくは、BCRペプチドを10μMの濃度で骨髄細 胞培養系に加えるべきである。毎日培地を変えながら、約3日間培養した後、培 養を調べて正常細胞に対する白血病細胞の比を決定する。 1白血病細胞:100正常細胞を超えない比率なら、治療用骨髄移植物として白 血病患者に対する使用のために受容可能と考えされる。正常細胞対白血病細胞の 比がそれぞれに100対1より有意に低くなれば、移植後の緩解が長続きすること が臨床試験によって示されているので、この比率を選択した。 次いで、上述のように処理された「浄化した」フィラデルフィア染色体陽性細 胞枯渇/二倍体細胞「富化」(フィラデルフィア染色体陰性細胞)自己骨髄試料 を移植物受容患者に再導入する。 実施例XVI BCRペプチド-処置した組織移植物でのヒトの白血病の処置方法 本実施例は、白血病を処置するためのBCRペプチド療法を用いる方法を記載す る。具体的には、フィラデルフィア染色体陽性細胞を含む骨髄サンプルの処理お よび浄化の方法におけるBCRペプチド療法の使用を記載する。1つの実施態様に 従い、処置組織をフィラデルフィア染色体陰性細胞について富化し、そして自己 移植物として白血病動物に再導入し得る。そうして、白血病患者を処置するため の治療手段を提供する。 患者のための全体的な臨床的処置プロトコルの一部として、非前処理骨髄組織 移植物を用いる従来の処置レジメで達成し得る、正常細胞に対する白血病細胞の 10,000/1から1/1への減少(化学療法から)、および2logの減少(それに続く骨髄 細胞画分から)に加えて、この方法は正常細胞に対する白血病細胞の比率におい て少なくとも2-log(100倍)の減少を提供する。 その結果このレジメは、骨髄移植処置の治療指数を増強するレベルに、患者中 の白血病細胞の数を効果的に減少させる。いくつかの場合で、患者の骨髄細胞集 団中のフィラデルフィア染色体陽性細胞数の3log(1000倍)までの減少を、前処 理した骨髄サンプルの再導入の際に達成し得る。 患者の前処理した自己骨髄サンプルの再導入はまた、CML疾患を治癒するため の方法および慢性期からより重篤な形態の急性白血病への白血病の移行を防ぐた めの方法を提供する。本明細書中に記載に従って処理された自己骨髄サンプルは 、骨髄細胞のフィラデルフィア染色体陽性集団を枯渇させる一方、組織サンプル の正常な造血前駆細胞(二倍体細胞)の集団を富化させる。 一旦、調製した骨髄サンプルを本明細書中に記載の方法に従い処理すると、CM Lにおける骨髄移植物を実施する一般的技術のために用いられる標準的なプロト コルを、最初の骨髄サンプルを得るため、および患者に処理した骨髄を再導入す るために用い得る。そのような一般的な臨床的技術は、Canaaniら(1990)により 記載される(この参考文献は、この目的のために本明細書中で参考として特に援 用される)。精製した骨髄の約50〜100ccの容量(2.5×107細胞を含む)が、請求の 範囲の処置をもたらすために患者に与えられる処理した骨髄組織の容量である。好ましい患者プロフィール適格性 以下に、予期されるBCRペプチド療法患者において最も所望の特性を規定する 一般化した患者プロフィールを提示する。 1.慢性期初期、あるいは加速期または芽細胞危機(blast crisis)後の第2慢性 期のインターフェロン治療抵抗性CML患者が、記載の本発明に従う療法に特に良 好に適している。慢性期に採取および貯蔵された骨髄を有する患者、または慢性 期へと再誘導された患者が、特に処置対象として好ましい。 2.患者は最も好ましくは、BCRペプチドで前処理されるべき自己骨髄サンプル の貯蔵に先立ち約4週間インターフェロン治療を控えるべきである。しかし、イ ンターフェロンでの前処理は、そのようなレジメが骨髄採取の少なくとも4週間 前に中断された場合、BCRペプチド療法に対する適格性について患者を失格にす ることはない。 3.患者はZubrodスケールにおいて<3の動作(表2-Zubrodスケールを参照のこ と)、1.6mg%未満のクレアチニンレベル、受容可能な心臓の状態(クラスIまたは II)、2mg未満のビリルビンを有する正常な肝機能、および受容可能な肺の状態( FEVおよびDLCO>予想の50%)を有しなければならない。患者は処置時に感染なし であるべきである。 4.1.6未満の血清クレアチニンおよび正常範囲内のSG0Tが必要である。処置計画 1.骨髄の吸引および末梢血幹細胞の回収ならびに貯蔵:患者が慢性期初期に あるとき、または化学療法による慢性期への再導入後に、骨髄を標準的技術に従 い吸引しそして貯蔵する。インビボ法(化学療法)を用いて、移植細胞集団中のフ ィラデルフィア染色体陽性細胞のレベルを引き下げ、引き続き骨髄を採取しそし てBCRペプチドで処理する。 2.BCRペプチド処置のための手順は以下の通りである: a.骨髄サンプルの有核細胞(70kgの体重のヒト患者当たりおよそ1.4×1010有 核細胞)を、制限された増殖能の細胞を除去するために、ficoll hypaque勾配上 で濃縮する(これは総細胞数を5分の1に低下させる)。次いで残存細胞(約2.8× このように処理した骨髄調製物は、迅速な造血の回復を生じさせることが観察さ れた。これは細胞の総数を10分の1(2.8×108)に引き下げる。次いで、この細胞 を1,000ユニットのGMCSFおよびIL-3を補充した50ccのHL1培地に希釈する(細胞濃 度は5.6×106/cc)。 b.細胞を3日間、リポソームとしての10mMの各BCRペプチドの存在下で、37 ℃で滅菌培地中でインキュベートする。 c.すすぎの後、BCRペプチドを細胞から洗い流す。次いで細胞を標準的な手 順により低温保存する。 もしもこれまたは他のインビトロ技術を、フィラデルフィア染色体陽性細胞を 除去するために利用できないならば、慢性期に採取した、または化学療法を受け た患者の慢性期の再誘導後に採取した,末梢血と骨髄との組み合わせが利用され 得る。患者の腸骨稜からの複数の骨髄吸引を、サイトキサン、VP-16およびTBIの ような薬剤の投与前に実施する。第2の骨髄貯蔵は、4×108の総有核細胞/kg未 満の場合に考慮し、2×108細胞/kgをBCRペプチドインキュベーション用に用い、 そして2×108細胞/kgをバックアップとして用いる。 患者から採取した骨髄サンプルの有核細胞の量の十分さの別の基準は、4×104 CFUGM/kgである。 あるいは、末梢血由来の細胞をバックアップとして再構築用に回収し得る。末 梢血由来の6×108の単核細胞/kgまたは2×104/kgのCFUGMの用量がバックアップ として必要とされる。処置計画 調製的骨髄奪格レジメは以下の全身化学療法を含む: シクロホスファミド:0.5リットルのD5W中の60mg/kgを2日間毎日3時間にわ たり静脈内で−第1日〜2日(総量120mg/kg)。 VP-16:通常の生理食塩水1リットル中の125mg/m2を、毎日12時間ごとに3時 間にわたり静脈内投与を3回(第1日〜3日に6用量)(総量750mg/m2)。 V16およびシクロホスファミドとともに与えられる水和は24時間ごとに4リッ トルである(寛容されれば)。これは患者の血管内液容量および尿の出量を維持す るために必要に応じて補充される。 全身照射:全身照射は約1020センチグレイである。患者を仰向けに置き、そして TBIを170ラド/フラクションの計算した中心平面線量(mid plane dose)(各フラク ションは、正に第6日〜8日に始めるようにされる)で右側から指向させる。次 いで自己骨髄を、アナフィラキシー反応を防ぐために、再注入前30分にベナドリ ル(benadryl)25mgおよびソルコルテフ(solucortef)100mgでの前投薬後、TBIの最 後の線量後9日目に再注入する。 12LP(保護された環境)における処置が最も好ましい。患者は、500顆粒球/mm3 が達成されるまで、最も好ましくはそこに残る。患者は入院中、バクトリム(bac trim)DS po BID およびケトコナゾール200mg poq8hを受容する。血液産物全てを 、処置の開始時からそして移植後3か月間照射する。 維持療法:インターフェロン維持療法を移植後6週目に始める(0000/デシリット ルより高い血小板数および2,000/デシリットルより高い絶対顆粒計数への回復) ;1用量3〜9×106ユニットで、その用量を血小板数>50×103/μlとともに、 WBC数2×103/μlと4×103/μlとの間に維持するように調整する。 前処置の評価 形態学、病理学、および細胞遺伝学用の骨髄吸引物およびバイオ プシーを最も好ましくは処置の前に得る。EKGおよびCXRを全ての患者に対して実 施する。また尿検査を療法前に行う。また、拡散能を用いる肺機能の調査を(許 容される場合)行う。 研究期間中の評価 CBC、血小板、および分別測定(differential measurement) を最初の誘導期間中1〜2日ごとに得た。 形態学的病状のための骨髄吸引物およびバイプシーは骨髄回収時に実施する(W BC数>1.5 K/μlの場合)。 骨髄回収の際には、CBC、血小板数および分別、SMA 12、ならびに細胞遺伝学 を含む骨髄研究を包含する完全な精密検査を実施する。緩解時の調査事項は、CB C、血小板数、1〜4週ごとの分別およびSMA 12、1〜3月ごとの細胞遺伝学を用い る骨髄研究を含み、そして疾患の状態のより示される。応答および毒性のための基準 応答の基準は疾患の全ての相について以下のよう に類似している: 完全な血液学的緩解−骨髄(5%未満の芽細胞)ならびにWBC<10×103/μlかつ 末梢芽細胞、前骨髄球、または骨髄球を含まない末梢血の少なくとも4週間の正 常化。これはその疾患のすべての徴候および症状の消失に加えてである。 完全な血液学的緩解は、フィラデルフィア染色体(Ph)の抑制に従いさらに分類 される: a)細胞遺伝学的応答無し−Ph陽性100% b)最小の細胞遺伝学的応答−Ph陽性35〜95% c)部分的細胞遺伝学的応答−Ph陽性5〜30% d)完全な細胞遺伝学的応答−Ph陽性0% これは、総好中球数1000/mm3が移植後に達成された後に、その後6か月の間隔 をあけて行われる。 進行中の疾患は、WBC数の増加が慢性期において40×103/μlより多いか、また は加速した疾患または芽細胞危機の特徴出現として、本発明の目的のために定義 される。処置された患者全てが、毒性および応答の両方に対して有用である。 患者は、骨髄および末梢血中の白血病細胞:正常細胞の比率を補足および/ま たはさらに引き下げるために、引き続き処理された自己骨髄移植物を与えられ得 る。 実施例XVII フィラデルフィア染色体陽性白血病患者のインビボ処置 リポソーム/Bcr-Ablペプチド(適切な場合、チロシンリン酸化されているかま たはされていない)あるいはp160 BCRまたはBCR N-Tフラグメントを発現するレト ロウイルスベクターのいずれかを、白血病を処置するために、定期的に(毎日ま たは週に2回)i.v.注射する。リポソーム/ペプチドの用量は、体重10kg当たり、 各ペプチド100 μmolである。ウイルスの用量は、体重150kg当たり109感染単位 である。患者を化学的応答について上記のようにモニターする。 * * * 本明細書中に開示したまたは請求の範囲に請求した組成物および方法の全ては 、本開示に照らして、過度の実験なしに作製および実施され得る。本発明の組成 物および方法が、好ましい実施態様により記載されているが、変形が、本発明の 概念、精神、および範囲から逸脱することなく、本明細書中に記載の組成物、方 法、および方法の工程、または工程の順序に適用され得ることは、当業者には明 らかである。より具体的には、化学的および生理学的の両方に関連している特定 の薬剤が、同じまたは類似の結果が達成されて、本明細書中に記載の薬剤を置換 し得ることは明らかである。当業者に明らかなそのような類似の置換および改変 の全ては、添付の請求の範囲により規定されたように本発明の精神、範囲、およ び概念内であると考えられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ベルステイン−ロペス,ガブリエル アメリカ合衆国 テキサス 77401,ベレ イアー,ベレイアー コート 1222 (72)発明者 ルー,ダイ アメリカ合衆国 テキサス 77054,ヒュ ーストン,ケンブリッジ ナンバー5−2 エイ 7900

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.約4と約500アミノ酸との間の長さであり、チロシン177、チロシン283、ま たはチロシン360を含むBcr-Ablタンパク質由来の連続アミノ酸配列を含有する精 製ペプチドまたはポリペプチドを含み、該ペプチドまたはポリペプチドがBcr-Ab lと接触する際にチロシン上でリン酸化される、組成物。 2.前記組成物が、チロシン177を含むペプチドを含有する、請求項1に記載の 組成物。 3.前記ペプチドが、配列番号8の配列を含有する、請求項2に記載の組成物。 4.前記組成物が、チロシン283を含むペプチドを含有する、請求項1に記載の 組成物。 5.前記ペプチドが、配列番号11の配列を含有する、請求項4に記載の組成物。 6.前記組成物が、チロシン360を含むペプチドを含有する、請求項1に記載の 組成物。 7.前記ペプチドが、配列番号10の配列を含有する、請求項6に記載の組成物。 8.前記ペプチドが、配列番号22の配列を含有する、請求項6に記載の組成物。 9.前記ペプチドが、セリン354に対応するリン酸化されたセリンをさらに含む 、請求項6に記載の組成物。 10.前記組成物が、チロシン177を含む第1のペプチドおよびチロシン283を含 む第2のペプチドを含有する、請求項1に記載の組成物。 11.前記組成物が、チロシン177を含む第1のペプチド、チロシン283を含む第 2のペプチド、およびチロシン360を含む第3のペプチドを含有する、請求項1 に記載の組成物。 12.前記組成物が、チロシン177およびチロシン283を含む単一のペプチドを含 有する、請求項1に記載の組成物。 13.前記組成物が、チロシン177、チロシン283、およびチロシン360を含む単 一のペプチドを含有する、請求項1に記載の組成物。 14.前記ペプチドが、配列番号28の配列を含有する、請求項13に記載の組成物 。 15.前記ペプチドが、約10と約350アミノ酸との間の長さである、請求項1に 記載の組成物。 16.前記ペプチドが、約10と約100アミノ酸との間の長さである、請求項15に 記載の組成物。 17.前記ペプチドが、約10と約50アミノ酸との間の長さである、請求項16に記 載の組成物。 18.前記請求項のいずれかに記載の組成物であって: (a)ShcのAbl SH3結合プロテイン−リッチ領域に結合する、精製Shc結合タ ンパク質; (b)Crkl上のプロリン−リッチAbl結合部位に結合する、精製Crkl結合ペプ チド; (c)pl20Ras GapのSH2ドメインに結合する、精製Ras Gap結合ペプチド; (d)BcrのN末端超らせん領域に結合する、精製Bcr結合ペプチドまた はタンパク質;または (e)BcrのN末端超らせん領域に結合する、精製Grb2結合ペプチドまたはタ ンパク質、 をさらに包含する、組成物。 19.前記Ras Gap結合ペプチドが、配列番号11または配列番号12の配列を含有 する、請求項18に記載の組成物。 20.前記Bcr結合ペプチドが、配列番号2から配列番号7のいずれかの配列を 含有する、請求項18に記載の組成物。 21.前記Grb2結合ペプチドが、配列番号13または配列番号8の配列を含有する 、請求項18に記載の組成物。 22.前記ペプチドまたはポリペプチドが、さらにリポソームと会合する、前記 請求項のいずれかに記載の組成物。 23.前記ペプチドまたはポリペプチドが、薬学的に受容可能なキャリア中に含 まれる、前記請求項のいずれかに記載の組成物。 24.フィラデルフィア染色体陽性細胞を含む細胞の混合物において、フィラデ ルフィア陰性細胞を富化する使用のための、前記請求項のいずれかに記載の組成 物。 25.チロシン177、チロシン283、またはチロシン360を含むBcr-Ablタンパク質 由来の連続アミノ酸配列を含有する、約4と約500アミノ酸との間の長さのペプ チドまたはポリペプチドを発現するDNA配列を含み、該ペプチドまたはポリペプ チドはBcr-Ablとの接触する際にチロシン上でリン酸化される、発現ベクター。 26.レトロウイルスベクターとしてさらに規定される、請求項25に記載のベク ター。 27.アデノウイルスベクターとしてさらに規定される、請求項25に記載のベク ター。 28.リポソームと会合したプラスミドとしてさらに規定される、請求項25に記 載のベクター。 29.フィラデルフィア染色体陽性細胞を含む細胞の混合物において、フィラデ ルフィア染色体陰性細胞を富化する使用のための、請求項25〜28のいずれかに記 載のベクター。 30.フィラデルフィア染色体陽性細胞を含む細胞の混合物においてフィラデル フィア染色体陰性細胞を富化するための方法であって、該細胞を、前記混合物に おいてフィラデルフィア染色体陰性細胞を富化するに有効な量の請求項1〜23の いずれかに記載の組成物または請求項25〜28のいずれかに記載のベクターと接触 する工程を包含する、方法。 31.前記細胞が骨髄細胞を含む、請求項30に記載の方法。 32.フィラデルフィア染色体陰性細胞が、フィラデルフィア染色体陽性細胞を 含む骨髄サンプルにおいて天然に存在する数に比例して富化される、請求項30に 記載の方法。 33.骨髄サンプルのフィラデルフィア染色体陽性細胞を除去する方法であって 、フィラデルフィア染色体陽性細胞を含む骨髄サンプルを、該骨髄サンプル中の フィラデルフィア染色体陽性細胞の数を減少するに有効な量の請求項1〜23のい ずれかに記載の組成物または請求項25〜28のいずれかに記載のベクターと、接触 する工程を包含する、方法。 34.前記骨髄サンプルを、CML、AML、またはALLを有するかまたは有すると予 測される患者から得る、請求項33に記載の方法。 35.フィラデルフィア染色体陽性白血病を有する患者を処置する方法であって 、白血病細胞が本質的に存在しない自己移植骨髄サンプルを調製するに有効な量 の請求項1〜23のいずれかに記載の組成物または請求項25〜28のいずれかに記載 のベクターで、該患者の骨髄サンプルを処理する工程、および処置サンプルを該 患者に投与する工程を包含する、方法。 36.フィラデルフィア染色体陽性白血病を有する患者を処置する方法であって 、患者から骨髄サンプルを得る工程、およびエクソビボにおいて該サンプルを、 該サンプルからフィラデルフィア染色体陽性細胞を除去するに有効な量を十分な 期間、請求項1〜23のいずれかに記載の組成物または請求項25〜28のいずれかに 記載のベクターと接触する工程、および除去サンプルを該患者に再投与する工程 を包含する、方法。 37.フィラデルフィア染色体陽性白血病を有する患者を処置する方法であって 、請求項1〜23のいずれかに記載の組成物または請求項25〜28のいずれかに記載 のベクターの、治療有効量を該患者に投与する工程を包含する、方法。 38.フィラデルフィア染色体陽性細胞に関連する白血病を有する動物を処置す るための薬物の製造における、請求項1〜23のいずれかに記載の組成物または請 求項25〜28のいずれかに記載のベクターの使用であって、ここで、組織サンプル 中のフィラデルフィア染色体陰性細胞を富化するに有効な量で、薬剤は該動物か ら取り出した組織サンプルに投与され、そして処理された組織サンプルは、該動 物に再投与される、使用。 39.フィラデルフィア染色体陽性細胞に関連する白血病を有する動物を処置す るための薬物の製造における、請求項1〜23のいずれかに記載の組成物または請 求項25〜28のいずれかに記載のベクターの使用であって、ここで、薬剤は、該動 物におけるフィラデルフィア染色体陰性細胞を富化するに有効な量で白血病を有 する動物に投与される、使用。
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