JPH1150201A - エッチング性に優れた電子部品用低熱膨張合金薄板 - Google Patents
エッチング性に優れた電子部品用低熱膨張合金薄板Info
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- JPH1150201A JPH1150201A JP9222026A JP22202697A JPH1150201A JP H1150201 A JPH1150201 A JP H1150201A JP 9222026 A JP9222026 A JP 9222026A JP 22202697 A JP22202697 A JP 22202697A JP H1150201 A JPH1150201 A JP H1150201A
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- H01—ELECTRIC ELEMENTS
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- H01F1/00—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
- H01F1/01—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
- H01F1/03—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
- H01F1/12—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials
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- H01F1/147—Alloys characterised by their composition
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 画像の局部的な鮮明度の低下をもたらすスジ
むら等のエッチング不良が発生せず、かつ高精度のエッ
チング加工が可能な電子部品用低熱膨張合金薄板を提供
すること。 【解決手段】 Ni:32〜38wt%を含有するFe
−Ni系合金またはNi:23〜38wt%、Co:7
wt%以下を含有し、かつNi+Coが32〜38wt
%であるFe−Ni−Co系合金からなり、エッチング
加工する面の圧延方向に直交する向きのNiミクロ偏析
について、その濃度変動量をa(wt%)、濃度変動幅
をb(μm)とした時、両者の関係がa×103/b≦
2を満足する。
むら等のエッチング不良が発生せず、かつ高精度のエッ
チング加工が可能な電子部品用低熱膨張合金薄板を提供
すること。 【解決手段】 Ni:32〜38wt%を含有するFe
−Ni系合金またはNi:23〜38wt%、Co:7
wt%以下を含有し、かつNi+Coが32〜38wt
%であるFe−Ni−Co系合金からなり、エッチング
加工する面の圧延方向に直交する向きのNiミクロ偏析
について、その濃度変動量をa(wt%)、濃度変動幅
をb(μm)とした時、両者の関係がa×103/b≦
2を満足する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シャドウマスクや
リードフレーム等の微細なエッチング加工を施す電子部
品に使用される低熱膨張合金薄板、特に、コンピュータ
ーディスプレイに使用される高精細用シャドウマスクと
して好適であるエッチング時のスジむら抑制効果に優れ
た低熱膨張合金薄板に関する。
リードフレーム等の微細なエッチング加工を施す電子部
品に使用される低熱膨張合金薄板、特に、コンピュータ
ーディスプレイに使用される高精細用シャドウマスクと
して好適であるエッチング時のスジむら抑制効果に優れ
た低熱膨張合金薄板に関する。
【0002】
【従来の技術】シャドウマスクやリードフレーム等の電
子部品は、一般に薄板にエッチング加工を施して作製さ
れる。この加工の際、材料となる薄板にはエッチング速
度が速いこと、エッチング孔の端部形状と寸法精度が優
れていることなど、高度のエッチング性が要求される。
子部品は、一般に薄板にエッチング加工を施して作製さ
れる。この加工の際、材料となる薄板にはエッチング速
度が速いこと、エッチング孔の端部形状と寸法精度が優
れていることなど、高度のエッチング性が要求される。
【0003】例えばシャドウマスクはテレビジョンやコ
ンピューターディスプレイのブラウン管において、電子
銃から発射された電子ビームを蛍光面上の所定の位置に
正確に照射する役割を持っており、特定の色調を与える
ため多数の細孔を有している。ところが、発射された電
子ビームのうち多くは細孔を通過せず、シャドウマスク
に衝突する。そのためシャドウマスクは蛍光面を支持す
るガラス体と比べて高温となる。ここでシャドウマスク
材料の熱膨張率が大きいと、蛍光面に対する孔の位置が
ずれて電子ビームを蛍光面上の所定の位置へ正確に照射
することができなくなり、画像が不鮮明になることが多
かった。
ンピューターディスプレイのブラウン管において、電子
銃から発射された電子ビームを蛍光面上の所定の位置に
正確に照射する役割を持っており、特定の色調を与える
ため多数の細孔を有している。ところが、発射された電
子ビームのうち多くは細孔を通過せず、シャドウマスク
に衝突する。そのためシャドウマスクは蛍光面を支持す
るガラス体と比べて高温となる。ここでシャドウマスク
材料の熱膨張率が大きいと、蛍光面に対する孔の位置が
ずれて電子ビームを蛍光面上の所定の位置へ正確に照射
することができなくなり、画像が不鮮明になることが多
かった。
【0004】そこで、シャドウマスク材料として熱膨張
率が小さいFe−Ni系合金の使用が拡大している。こ
の合金は従来の低炭素鋼に比べて熱膨張係数が約1/1
0倍と小さく、高輝度画面における電子ビームの加熱に
対してもその低膨張性は維持されるため、シャドウマス
クとして使用した時の熱膨張による色ずれは生じにく
い。
率が小さいFe−Ni系合金の使用が拡大している。こ
の合金は従来の低炭素鋼に比べて熱膨張係数が約1/1
0倍と小さく、高輝度画面における電子ビームの加熱に
対してもその低膨張性は維持されるため、シャドウマス
クとして使用した時の熱膨張による色ずれは生じにく
い。
【0005】しかし、Fe−Ni系合金は優れた低熱膨
張特性を有する一方でエッチング性に劣るため、フォト
エッチング加工で良好な孔形状を得ることが困難であ
り、エッチング不良により局部的に画像の鮮明度不良を
生じることがある。このエッチング不良は、マスク部に
おいて合金薄板の圧延方向に沿った微細な線状のむらと
して観察され、「スジむら」と呼ばれている。スジむら
の多くは数十μm〜数mmの幅を有し、圧延方向の長さ
は数cm〜数mに達するものもある。そのため、この合
金薄板についてエッチング性を改善する試みがなされて
いる。
張特性を有する一方でエッチング性に劣るため、フォト
エッチング加工で良好な孔形状を得ることが困難であ
り、エッチング不良により局部的に画像の鮮明度不良を
生じることがある。このエッチング不良は、マスク部に
おいて合金薄板の圧延方向に沿った微細な線状のむらと
して観察され、「スジむら」と呼ばれている。スジむら
の多くは数十μm〜数mmの幅を有し、圧延方向の長さ
は数cm〜数mに達するものもある。そのため、この合
金薄板についてエッチング性を改善する試みがなされて
いる。
【0006】例えば、特開昭61−223188号公報
は、スジむらの原因がNiの偏析によるとして、スジむ
ら防止のために、Niの成分偏析率を10%以下、かつ
Niの偏析帯の長さを300mm以下とする技術を開示
している。また、特公昭63−64514号公報に開示
された技術では、スジむらの原因がNiの濃化によるも
のとして、平均濃度に対するNiの濃化部の割合を10
%以下、濃化部の容積率を5%以下、かつその長さを3
0mm以下とすることにより、スジむらの抑制を図って
いる。
は、スジむらの原因がNiの偏析によるとして、スジむ
ら防止のために、Niの成分偏析率を10%以下、かつ
Niの偏析帯の長さを300mm以下とする技術を開示
している。また、特公昭63−64514号公報に開示
された技術では、スジむらの原因がNiの濃化によるも
のとして、平均濃度に対するNiの濃化部の割合を10
%以下、濃化部の容積率を5%以下、かつその長さを3
0mm以下とすることにより、スジむらの抑制を図って
いる。
【0007】また、特開平2−54744号公報に開示
された技術では、スジむらがC、Si、Mn、Cr等の
不純物元素の偏析、あるいは鋳造時の凝固組織により発
生するものとし、0.001〜0.03wt%のBを添
加するとともに、特定条件でスラブを加熱することによ
り偏析を阻止し、柱状晶組織を低減してスジむらの抑制
を図っている。
された技術では、スジむらがC、Si、Mn、Cr等の
不純物元素の偏析、あるいは鋳造時の凝固組織により発
生するものとし、0.001〜0.03wt%のBを添
加するとともに、特定条件でスラブを加熱することによ
り偏析を阻止し、柱状晶組織を低減してスジむらの抑制
を図っている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】近年、テレビジョン画
面の大型化、あるいはコンピューターディスプレイへの
適用拡大に伴って、画像のきめ細かさや高輝度化への要
求が一段と高まってきている。そのためシャドウマスク
に関しては、電子ビームの通過孔をより高輝度に穿孔す
るようなエッチング加工が必要となってきている。特
に、コンピューターディスプレイに使用される高精細の
シャドウマスクでは主として板厚0.15mm以下の素
材が使用され、孔径ピッチが300μm以下であるよう
なファインピッチ化も試行されている。
面の大型化、あるいはコンピューターディスプレイへの
適用拡大に伴って、画像のきめ細かさや高輝度化への要
求が一段と高まってきている。そのためシャドウマスク
に関しては、電子ビームの通過孔をより高輝度に穿孔す
るようなエッチング加工が必要となってきている。特
に、コンピューターディスプレイに使用される高精細の
シャドウマスクでは主として板厚0.15mm以下の素
材が使用され、孔径ピッチが300μm以下であるよう
なファインピッチ化も試行されている。
【0009】このような要求に対し、これまでの技術で
は依然として局部的なエッチング不良が発生し、画像の
鮮明度の改善に至っていない。例えば、前述の特開昭6
1−223188号公報あるいは特公昭63−6451
4号公報に記された手法では、32〜38wt%のNi
を含有するFe−Ni系合金薄板においては、Niが平
均濃度に対して10%を超えて濃化する領域は認められ
ず、一方で、数%の濃化であってもスジむらなどのエッ
チング不良が発生することが確認されている。また、も
ともとシャドウマスクでは、特性を劣化させないために
C、Si、Mn、Cr等の元素は合計しても1wt%に
満たない量に極力低減しており、これらの偏析によるス
ジむらは生じ得ず、特開平2−54744号公報に記載
されている手法によってスジむらを防止することはでき
ない。
は依然として局部的なエッチング不良が発生し、画像の
鮮明度の改善に至っていない。例えば、前述の特開昭6
1−223188号公報あるいは特公昭63−6451
4号公報に記された手法では、32〜38wt%のNi
を含有するFe−Ni系合金薄板においては、Niが平
均濃度に対して10%を超えて濃化する領域は認められ
ず、一方で、数%の濃化であってもスジむらなどのエッ
チング不良が発生することが確認されている。また、も
ともとシャドウマスクでは、特性を劣化させないために
C、Si、Mn、Cr等の元素は合計しても1wt%に
満たない量に極力低減しており、これらの偏析によるス
ジむらは生じ得ず、特開平2−54744号公報に記載
されている手法によってスジむらを防止することはでき
ない。
【0010】このように、いずれの技術を用いてもFe
−Ni系合金薄板で発生するスジむらを克服することが
できず、むしろ画像の高品位化に伴って、スジむら等の
エッチング不良は増加する傾向にあり、その対策が求め
られている。
−Ni系合金薄板で発生するスジむらを克服することが
できず、むしろ画像の高品位化に伴って、スジむら等の
エッチング不良は増加する傾向にあり、その対策が求め
られている。
【0011】本発明は、かかる事情に鑑みてなされたも
のであって、画像の局部的な鮮明度の低下をもたらすス
ジむら等のエッチング不良が発生せず、かつ高精度のエ
ッチング加工が可能な電子部品用低熱膨張合金薄板を提
供することを目的とする。
のであって、画像の局部的な鮮明度の低下をもたらすス
ジむら等のエッチング不良が発生せず、かつ高精度のエ
ッチング加工が可能な電子部品用低熱膨張合金薄板を提
供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、Fe−N
i系低熱膨張合金薄板のエッチング性について種々の検
討を行った結果、前述のスジむらをはじめとするエッチ
ング不良が、製品原板におけるNiミクロ偏析の濃度変
動量と濃度変動幅の双方に起因して発生することを見出
した。
i系低熱膨張合金薄板のエッチング性について種々の検
討を行った結果、前述のスジむらをはじめとするエッチ
ング不良が、製品原板におけるNiミクロ偏析の濃度変
動量と濃度変動幅の双方に起因して発生することを見出
した。
【0013】図1は電子線マイクロアナライザーにより
圧延方向に直角の向きでNi濃度を分析した結果の一例
を示したものであり、(a)はNiミクロ偏析の変動量
が小さい場合、(b)はNiミクロ偏析の変動量が大き
い場合である。図示したようなNiの濃度変動が存在す
ると濃度に応じた相対的なエッチング速度の差により、
スジむら等のエッチング不良を生じやすくなる。特に、
(b)のように濃度変動が急峻になるとスジむらが顕著
になる。すなわち、図1の(c)に示すように、濃度変
動量a(wt%)、濃度変動幅b(μm)を制御するこ
とによってスジむらの発生を抑制することができる。
圧延方向に直角の向きでNi濃度を分析した結果の一例
を示したものであり、(a)はNiミクロ偏析の変動量
が小さい場合、(b)はNiミクロ偏析の変動量が大き
い場合である。図示したようなNiの濃度変動が存在す
ると濃度に応じた相対的なエッチング速度の差により、
スジむら等のエッチング不良を生じやすくなる。特に、
(b)のように濃度変動が急峻になるとスジむらが顕著
になる。すなわち、図1の(c)に示すように、濃度変
動量a(wt%)、濃度変動幅b(μm)を制御するこ
とによってスジむらの発生を抑制することができる。
【0014】本発明はこのような知見に基づいて完成さ
れたものであり、第1に、Ni:32〜38wt%を含
有するFe−Ni系合金からなり、エッチング加工する
面の圧延方向に直交する向きのNiミクロ偏析につい
て、その濃度変動量をa(wt%)、濃度変動幅をb
(μm)とした時、両者の関係が以下に示す(1)式を
満足することを特徴とするエッチング性に優れた電子部
品用低熱膨張合金薄板を提供するものである。
れたものであり、第1に、Ni:32〜38wt%を含
有するFe−Ni系合金からなり、エッチング加工する
面の圧延方向に直交する向きのNiミクロ偏析につい
て、その濃度変動量をa(wt%)、濃度変動幅をb
(μm)とした時、両者の関係が以下に示す(1)式を
満足することを特徴とするエッチング性に優れた電子部
品用低熱膨張合金薄板を提供するものである。
【0015】また第2に、Ni:23〜38wt%、C
o:7wt%以下を含有し、かつNi+Coが32〜3
8wt%であるFe−Ni−Co系合金からなり、エッ
チング加工する面の圧延方向に直交する向きのNiミク
ロ偏析について、その濃度変動量をa(wt%)、濃度
変動幅をb(μm)とした時、両者の関係が以下に示す
(1)式を満足ことを特徴とするエッチング性に優れた
電子部品用低熱膨張合金薄板を提供するものである。 a×103/b≦2 ……(1)
o:7wt%以下を含有し、かつNi+Coが32〜3
8wt%であるFe−Ni−Co系合金からなり、エッ
チング加工する面の圧延方向に直交する向きのNiミク
ロ偏析について、その濃度変動量をa(wt%)、濃度
変動幅をb(μm)とした時、両者の関係が以下に示す
(1)式を満足ことを特徴とするエッチング性に優れた
電子部品用低熱膨張合金薄板を提供するものである。 a×103/b≦2 ……(1)
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細を説明する。
本発明の合金薄板は、Ni:32〜38wt%を含有す
るFe−Ni系合金またはNi:23〜38wt%、C
o:7wt%以下を含有し、かつNi+Coが32〜3
8wt%であるFe−Ni−Co系合金からなり、エッ
チング加工する面の圧延方向に直交する向きのNiミク
ロ偏析について、その濃度変動量をa(wt%)、濃度
変動幅をb(μm)とした時、両者の関係が(1)式を
満足するものである。 a×103/b≦2 ……(1)
本発明の合金薄板は、Ni:32〜38wt%を含有す
るFe−Ni系合金またはNi:23〜38wt%、C
o:7wt%以下を含有し、かつNi+Coが32〜3
8wt%であるFe−Ni−Co系合金からなり、エッ
チング加工する面の圧延方向に直交する向きのNiミク
ロ偏析について、その濃度変動量をa(wt%)、濃度
変動幅をb(μm)とした時、両者の関係が(1)式を
満足するものである。 a×103/b≦2 ……(1)
【0017】図2は、エッチング加工の孔ピッチが30
0μm以下の製品の原板となる合金薄板について、Ni
ミクロ偏析の程度を表すファクター(a×103/b)
の値と、スジむら発生との関係を示すグラフである。
0μm以下の製品の原板となる合金薄板について、Ni
ミクロ偏析の程度を表すファクター(a×103/b)
の値と、スジむら発生との関係を示すグラフである。
【0018】図2で、(a×103/b)の値が2以下
の範囲が、スジむらがほとんど発生せずシャドウマスク
として使用する上で全く問題のない良好なエッチング性
が得られる領域である。さらに、(a×103/b)の
値が1以下の範囲内が、スジむらの全く発生しない領域
である。
の範囲が、スジむらがほとんど発生せずシャドウマスク
として使用する上で全く問題のない良好なエッチング性
が得られる領域である。さらに、(a×103/b)の
値が1以下の範囲内が、スジむらの全く発生しない領域
である。
【0019】この図に示すように(a×103/b)の
値が2より大、すなわち濃度変動量が大きいか、もしく
は濃度変動幅が小さいため、Niの濃度変動が急峻であ
る領域ではエッチング速度の差が大きいためエッチング
のむらを生じる。したがって、本発明では、a×103
/b≦2を満たすことを要件とする。この場合に、薄板
の任意の部分でa×103/b≦2を満たすことが好ま
しい。
値が2より大、すなわち濃度変動量が大きいか、もしく
は濃度変動幅が小さいため、Niの濃度変動が急峻であ
る領域ではエッチング速度の差が大きいためエッチング
のむらを生じる。したがって、本発明では、a×103
/b≦2を満たすことを要件とする。この場合に、薄板
の任意の部分でa×103/b≦2を満たすことが好ま
しい。
【0020】本発明において、電子部品の性能を低下さ
せる寸法変化や位置ずれが生じないような十分な低熱膨
張性を得るために、Niを32〜38wt%含有するF
e−Ni系合金を用いる。このような合金を用いること
により、室温〜100℃の平均熱膨張係数が2.0×1
0-6/℃以下であるような低熱膨張合薄板が実現され
る。
せる寸法変化や位置ずれが生じないような十分な低熱膨
張性を得るために、Niを32〜38wt%含有するF
e−Ni系合金を用いる。このような合金を用いること
により、室温〜100℃の平均熱膨張係数が2.0×1
0-6/℃以下であるような低熱膨張合薄板が実現され
る。
【0021】また、本発明の他の形態においては、7w
t%以下のCoを添加したFe−Ni−Co系合金を用
いる。この場合には、Ni:23〜38wt%、Co:
7wt%以下を含有し、かつNi+Coが30〜38w
t%である。このような組成の合金を用いることによ
り、上記Fe−Ni系合金と同様以上の低熱膨張性を得
ることができる。Coが7wt%を超えるとエッチング
性が著しく低下するため、Coの上限を7wt%とす
る。
t%以下のCoを添加したFe−Ni−Co系合金を用
いる。この場合には、Ni:23〜38wt%、Co:
7wt%以下を含有し、かつNi+Coが30〜38w
t%である。このような組成の合金を用いることによ
り、上記Fe−Ni系合金と同様以上の低熱膨張性を得
ることができる。Coが7wt%を超えるとエッチング
性が著しく低下するため、Coの上限を7wt%とす
る。
【0022】本発明の合金は上記元素の他に、Si、M
n、B、N、Oを含有してもよいが、Si≦0.07w
t%、Mn≦0.5wt%、B≦0.02wt%、N≦
0.005wt%、O≦0.002wt%の範囲に制限
することが望ましい。
n、B、N、Oを含有してもよいが、Si≦0.07w
t%、Mn≦0.5wt%、B≦0.02wt%、N≦
0.005wt%、O≦0.002wt%の範囲に制限
することが望ましい。
【0023】これらの元素の限定理由を以下に示す。 Si:溶鋼の脱酸元素として使用することができるが、
過剰に存在すると黒化処理において板表層に濃化し、均
質で黒色の酸化膜形成を阻害するため0.07wt%以
下であることが望ましい。 Mn:良好な熱間加工性を確保する上で有用であるが、
過剰に存在するとエッチング性を低下させ、また黒化処
理において板の表層に濃化し均質で黒色の酸化膜形成を
阻害するため、0.5wt%以下とすることが望まし
い。 B:熱間加工性の向上やスケール生成を抑制する効果が
あるが、過剰に存在すると黒化処理において板の表層に
濃化し、均質で黒色の酸化膜形成を阻害するため0.0
2wt%以下とすることが望ましい。 N:プレス加工性の劣化やエッチング性の劣化をもたら
すため、0.005wt%とすることが望ましい。 O:プレス前の軟質化焼鈍時に結晶粒の成長を阻害し、
プレス成形性を劣化させるので、0.002wt%以下
であることが望ましい。
過剰に存在すると黒化処理において板表層に濃化し、均
質で黒色の酸化膜形成を阻害するため0.07wt%以
下であることが望ましい。 Mn:良好な熱間加工性を確保する上で有用であるが、
過剰に存在するとエッチング性を低下させ、また黒化処
理において板の表層に濃化し均質で黒色の酸化膜形成を
阻害するため、0.5wt%以下とすることが望まし
い。 B:熱間加工性の向上やスケール生成を抑制する効果が
あるが、過剰に存在すると黒化処理において板の表層に
濃化し、均質で黒色の酸化膜形成を阻害するため0.0
2wt%以下とすることが望ましい。 N:プレス加工性の劣化やエッチング性の劣化をもたら
すため、0.005wt%とすることが望ましい。 O:プレス前の軟質化焼鈍時に結晶粒の成長を阻害し、
プレス成形性を劣化させるので、0.002wt%以下
であることが望ましい。
【0024】次に、本発明に係る低熱膨張合金薄板の製
造方法について説明する。まず、上記成分組成の合金を
転炉または電気炉で溶解し、連続鋳造法あるいは造塊法
でスラブ(連続鋳造法の場合)または鋼塊(造塊法の場
合)を溶製し、1200〜1300℃で20時間以上の
熱処理を施し、続いて分塊圧延により厚さ160〜25
0mmとする。その後、1050〜1250℃で30分
間以上の熱処理を施し、熱間圧延により厚さ2〜3mm
の熱延鋼板を得る。この熱延鋼板について、冷間圧延と
750℃以上での焼鈍を2回以上繰り返し、板厚0.1
0〜0.25mmの薄板を製造する。この際に、鋼塊か
ら薄板までの累積圧下率は99.9%以上とする。この
場合に、上記本発明のミクロ偏析の変動量および変動幅
は、鋼塊またはスラブの厚さに応じて拡散熱処理の温度
と時間を調整することにより達成することができる。
造方法について説明する。まず、上記成分組成の合金を
転炉または電気炉で溶解し、連続鋳造法あるいは造塊法
でスラブ(連続鋳造法の場合)または鋼塊(造塊法の場
合)を溶製し、1200〜1300℃で20時間以上の
熱処理を施し、続いて分塊圧延により厚さ160〜25
0mmとする。その後、1050〜1250℃で30分
間以上の熱処理を施し、熱間圧延により厚さ2〜3mm
の熱延鋼板を得る。この熱延鋼板について、冷間圧延と
750℃以上での焼鈍を2回以上繰り返し、板厚0.1
0〜0.25mmの薄板を製造する。この際に、鋼塊か
ら薄板までの累積圧下率は99.9%以上とする。この
場合に、上記本発明のミクロ偏析の変動量および変動幅
は、鋼塊またはスラブの厚さに応じて拡散熱処理の温度
と時間を調整することにより達成することができる。
【0025】本発明は、エッチング加工される電子部品
用の合金薄板全般を対象とするが、特に高精度のエッチ
ング加工と低熱膨張性が要求されるシャドウマスク用素
材の製造方法として好適である。本発明における低熱膨
張特性を有するFe−Ni系またはFe−Ni−Co系
合金薄板を素材とするシャドウマスクは、熱膨張による
位置ずれが少ないので、これを用いたブラウン管の画像
は一段と鮮明になる。
用の合金薄板全般を対象とするが、特に高精度のエッチ
ング加工と低熱膨張性が要求されるシャドウマスク用素
材の製造方法として好適である。本発明における低熱膨
張特性を有するFe−Ni系またはFe−Ni−Co系
合金薄板を素材とするシャドウマスクは、熱膨張による
位置ずれが少ないので、これを用いたブラウン管の画像
は一段と鮮明になる。
【0026】
【実施例】表1に本実施例で用いた鋼の化学成分組成を
示す。ここではシャドウマスク用素材として必要な低熱
膨張特性、黒化処理性およびプレス成形性が得られるA
〜Cの3種類を溶製した。
示す。ここではシャドウマスク用素材として必要な低熱
膨張特性、黒化処理性およびプレス成形性が得られるA
〜Cの3種類を溶製した。
【0027】
【表1】
【0028】これらの鋼を溶製した鋼塊に対して120
0〜1300℃で5〜50時間の熱処理を施し、その後
分塊圧延を行った。一部の材料ではさらにスラブに対し
て1200〜1300℃で5〜50時間の熱処理を施
し、再び分塊圧延を行った。引き続き1050〜115
0℃で1〜5時間の熱処理を行い、その後熱間圧延して
厚さ2.0〜3.5mmの熱延鋼板を得た。さらに冷間
圧延と750℃以上の温度での焼鈍を繰り返し行い、板
厚0.1〜0.2mmの表2に示す薄板No.1〜20
を製造した。なお、No.1〜15が本発明例であり、
No.16〜20が比較例である。
0〜1300℃で5〜50時間の熱処理を施し、その後
分塊圧延を行った。一部の材料ではさらにスラブに対し
て1200〜1300℃で5〜50時間の熱処理を施
し、再び分塊圧延を行った。引き続き1050〜115
0℃で1〜5時間の熱処理を行い、その後熱間圧延して
厚さ2.0〜3.5mmの熱延鋼板を得た。さらに冷間
圧延と750℃以上の温度での焼鈍を繰り返し行い、板
厚0.1〜0.2mmの表2に示す薄板No.1〜20
を製造した。なお、No.1〜15が本発明例であり、
No.16〜20が比較例である。
【0029】これらNo.1〜20の薄板のNiのミク
ロ偏析に関するファクター(a×103/b)の値を表
2に示す。前述したように、鋼塊を溶製する際の鋳造条
件の調整、鋼塊の厚さに応じた拡散熱処理の温度・時間
の調整、および冷間圧延率と中間焼鈍の温度・時間の調
整によってファクターの異なるこれらの薄板を得た。こ
れらの薄板についてエッチング性を評価した結果も表2
に示す。
ロ偏析に関するファクター(a×103/b)の値を表
2に示す。前述したように、鋼塊を溶製する際の鋳造条
件の調整、鋼塊の厚さに応じた拡散熱処理の温度・時間
の調整、および冷間圧延率と中間焼鈍の温度・時間の調
整によってファクターの異なるこれらの薄板を得た。こ
れらの薄板についてエッチング性を評価した結果も表2
に示す。
【0030】
【表2】
【0031】エッチング性の評価は電子ビーム通過孔の
孔径が120μmφ、孔ピッチが250μmであるフォ
トマスクを使用してフォトエッチング穿孔試験を行い、
加工後のシャドウマスクの外観についてスジむら等のエ
ッチング不良の有無と加工精度を判定した。このときの
フォトエッチングは、高温、高濃度の塩化第二鉄水溶液
をスプレーする手法によって行った。エッチング不良の
有無は、一方向光源を用いた透過光および反射光による
目視観察によって判定した。
孔径が120μmφ、孔ピッチが250μmであるフォ
トマスクを使用してフォトエッチング穿孔試験を行い、
加工後のシャドウマスクの外観についてスジむら等のエ
ッチング不良の有無と加工精度を判定した。このときの
フォトエッチングは、高温、高濃度の塩化第二鉄水溶液
をスプレーする手法によって行った。エッチング不良の
有無は、一方向光源を用いた透過光および反射光による
目視観察によって判定した。
【0032】表2に示すように、本発明例であるNo.
1〜15ではエッチング不良が発生せず、高い加工精度
が得られた。これに対して、比較例であるNo.16〜
20はいずれもNi濃度変動が急峻であったために、相
対的なエッチング速度の差が助長されてスジむらを生じ
た。
1〜15ではエッチング不良が発生せず、高い加工精度
が得られた。これに対して、比較例であるNo.16〜
20はいずれもNi濃度変動が急峻であったために、相
対的なエッチング速度の差が助長されてスジむらを生じ
た。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
特定組成のFe−Ni系合金またはFe−Ni−Co系
合金を素材として用い、Niミクロ偏析を所定の範囲に
規定することにより、エッチング不良の発生を抑制し、
高精度の加工が可能な電子部品用の低熱膨張合金薄板が
提供される。本発明の低熱膨張合金薄板は、特にコンピ
ューターディスプレイに使用されるシャドウマスクとし
て好適である。
特定組成のFe−Ni系合金またはFe−Ni−Co系
合金を素材として用い、Niミクロ偏析を所定の範囲に
規定することにより、エッチング不良の発生を抑制し、
高精度の加工が可能な電子部品用の低熱膨張合金薄板が
提供される。本発明の低熱膨張合金薄板は、特にコンピ
ューターディスプレイに使用されるシャドウマスクとし
て好適である。
【図1】Niミクロ偏析を説明するための図。
【図2】a×103/bの値とエッチング性との関係を
示す図。
示す図。
Claims (2)
- 【請求項1】 Ni:32〜38wt%を含有するFe
−Ni系合金からなり、エッチング加工する面の圧延方
向に直交する向きのNiミクロ偏析について、その濃度
変動量をa(wt%)、濃度変動幅をb(μm)とした
時、両者の関係が(1)式を満足することを特徴とする
エッチング性に優れた電子部品用低熱膨張合金薄板。 a×103/b≦2 ……(1) - 【請求項2】 Ni:23〜38wt%、Co:7wt
%以下を含有し、かつNi+Coが32〜38wt%で
あるFe−Ni−Co系合金からなり、エッチング加工
する面の圧延方向に直交する向きのNiミクロ偏析につ
いて、その濃度変動量をa(wt%)、濃度変動幅をb
(μm)とした時、両者の関係が(1)式を満足するこ
とを特徴とするエッチング性に優れた電子部品用低熱膨
張合金薄板。 a×103/b≦2 ……(1)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9222026A JPH1150201A (ja) | 1997-08-05 | 1997-08-05 | エッチング性に優れた電子部品用低熱膨張合金薄板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9222026A JPH1150201A (ja) | 1997-08-05 | 1997-08-05 | エッチング性に優れた電子部品用低熱膨張合金薄板 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1150201A true JPH1150201A (ja) | 1999-02-23 |
Family
ID=16775937
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9222026A Pending JPH1150201A (ja) | 1997-08-05 | 1997-08-05 | エッチング性に優れた電子部品用低熱膨張合金薄板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1150201A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016011451A (ja) * | 2014-06-30 | 2016-01-21 | 新報国製鉄株式会社 | 極低熱膨張合金及びその製造方法 |
-
1997
- 1997-08-05 JP JP9222026A patent/JPH1150201A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016011451A (ja) * | 2014-06-30 | 2016-01-21 | 新報国製鉄株式会社 | 極低熱膨張合金及びその製造方法 |
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