【発明の詳細な説明】
プレキャスト建築方法及び構成材
発明の背景
発明の技術分野
この発明は、1992年1月21日付発行の出願人による米国特許第5,08
1,805号、「プレキャストコンクリート建築ユニット及びその製造方法」に
開示されたような、プレキャストコンクリート構造のモジュラー建築構成材に関
する。この特許は、その両縁からほぼ平行な間隔を隔てた一対のフランジあるい
は脚部が延びる、ほぼ平坦な頂部あるいはウエブを有する断面U字形のプレキャ
ストコンクリート建築ユニットを開示している。脚の基部には、二つの同じユニ
ットが互いに逆向きに組み合わされて部屋の頂部、底部あるいは側部を形成する
際に、連動楔栓を構成する相補的な雄及び/または雌部材が設けられている。各
ユニットの外側の上縁には、相補的に交互に矩形のタブと空所が形成され、同一
のユニットを対角線上に互いに逆向きに配置したときに、これらのユニットの隣
接する縁部を連結する。
発明の概要
出願人は、改良された接続の方法と安定度及び強度を大いに増したユニットの
製造法を開発した。特に、第1の発明は、請求項1または3に記載したような、
建築構成材間の取り付けのためのジョイントを提供する。このようなジョイント
は、ユニットを積み重ねた形状に結合させて、小さな地震または暴風に対して完
全に耐え且つ大地震の際に構造体の変位または損傷を最小限にするユニットの組
み立て構造体を得る独特の方法を提供する。この概念は、ユニットに付属した建
具や中身、居住者、及びユニット自身を保護することとなる。
ユニットは、ユニット上の応力が本来の構造的な構成材を破壊するレベルに達
する前にたわむ、ユニット間の取付構造を提供するように接続される。例えば、
ユニットは、地震による小さな動作を吸収する矩形のゴムパッド上に装着され、
コンクリート構成材が破壊する前に曲がる高強度のボルトにより接続される。
このように、ボルトの剪断、パッド上でのユニットの相対移動、及びパッドの
破壊という、保護の三つの段階が存在する。地震の後に、構成ユニットは、再び
位置合わせされ、重要な役割を有するゴムパッドが必要に応じて交換される。パ
ッドの動きを禁止するボルトは、剪断されることがあり、交換される。
好適な実施の形態において、プレートが個々の構成材の角部に形成された凹部
内でボルト締めされる。このプレートは、ユニット間の剪断ボルトを受け入れ且
つプレート間に固着された重要なゴムのブロックまたはパッドを挟む開口を有し
ている。従って、ユニットが横方向に移動したときにボルトが剪断してエネルギ
ーを吸収し、次いで、さらにエネルギーが存在する場合に、パッドを変形するこ
とによりユニットがゴムパッド上で互いに横方向にさらに移動するように設計さ
れる。各ステップは、地震のエネルギーを吸収し、単一体の壁自身に向けられる
応力を減じる。これにより、ユニットの変位及び破壊が最小限に抑えられる。す
なわち、ユニット自身が破壊する前に、接続が進歩的に破壊される。
ユニット間の他の接続法では、地震の際に地面の横移動の方向に合わせられる
第1のクランク配置を含むとともに、さらに地面が横移動したときにそれをユニ
ットの垂直方向の動きに変換する第2のクランク配置を選択的に含む。
このような地震減衰システムは、次の地震に対して自動的に準備される。地震
が減衰装置の限界を越えない限り、減衰装置は、クレーンを用いることなく建物
の構成材を地震前の元の位置に戻し、構成材を再び積み重ねる。さらに、地震が
起こる毎に部品を修理したり交換する必要がない。
請求項7及び9に記載の発明は、軽量及び/または絶縁された床及び壁パネル
を提供する。床スラブと壁は、低密度の(例えば、発泡ポリスチレン)あるいは
2〜6インチ(50〜100mm)厚の絶縁材からなる挟まれた層を含むように
形成される。所定の重量に対して、ユニットは、より厚く形成され、剛性及び強
度の強化がなされる。より軽量のユニットは、建物の慣性を減じ、さらには地震
の際に負わされる力を減じてしまう。
一実施の形態においては、発泡ポリスチレンのスラブは、互いに中心が2フィ
ート(0.6m)離れると共に実質的にコンクリートで埋められて二つの補強コ
ンクリート層を結びつける楔栓を形成する、直径約5インチ(13mm)の開口
を有している。
適当なコンクリート補強バーがこれらの開口に通され、横方向のコンクリート
スラブのそれぞれの補強グリッド内に結合される。
ポリスチレンの開口は、滑らかな丸みを帯びた縁部を有しており、発泡ポリス
チレンを通してコンクリートを流れやすくし、スラブの外側層を互いに接続する
。
その結果、補強ピンで締められ且つ3インチ(100mm)のコンクリートで
囲まれて壁構造を形成する、互いに対抗し且つ間隔を隔てたコンクリートスラブ
を有する一体の絶縁物のユニットが製造される。
他の実施の形態においては、間隔を隔てた平行なポリスチレンの柱を組み入れ
ることにより、絶縁された軽量のより剛性の高い床及び天井スラブが得られる。
これらは、モールドの際には、柱の上下のスラブ内に組みつけられたワイヤメッ
シュ補強材の切断され曲げられた端部の上に支持される。柱の間に、堅いコンク
リートがIビーム断面の形状で存在する。ポリスチレンは、形成されたハーフユ
ニットの床部と天井部への音を弱め、さらに強度を損なうことなくユニットを軽
量化する。ポリスチレンの柱は、スラブの上面及び底面から約2インチ(50m
m)だけコンクリート内に下げられている。
形成されるスラブは、従来のスラブよりも軽量で、Iビームの断面形状はその
強度を強化して応力に耐え、建設作業に必要なクレーンの大きさを小さくする。
また、スラブの軽量さと堅固さとにより、通常の限界を越えた、より長い距離を
つなぐことができる。
この発明に係る他のシステムは、ループ形状の伸張したスチール補強材により
、好適には構造的な結合が外から見えるように現れることなく、多数のユニット
を結合し、あるいはそれらを他の建物の構成材に接続して他のコンクリート要素
の付加/接続を容易にし、注入されたコンクリートの代わりをすることである。
これにより、ユニットの接続が見えるという、プレキャストコンクリート構造
の主たる欠陥が最小限となる。この発明は請求項11に記載されている。
さらに他の発明が請求項16及び20に記載されている。発明の種々の好適な
特徴が従属項に述べられている、あるいは種々の発明の図示された実施の形態が
実例として且つ添付図面を参照して記されている、以下の記載から明らかとなる
。
図面の簡単な説明
図1は、コンクリートパネルの間に挟まれた発泡ポリスチレン層を有する壁ス
ラブの構成材を示す斜視図である。
図2は、注がれるコンクリートを示す構成材の斜視図である。
図3は、図2の3−3線断面図である。
図4は、図3の4−4線断面図である。
図5は、図1〜4に示されるユニットの一部の拡大断面図である。
図6は、ポリスチレンの柱を組み入れた床スラブユニットの構成材を示す断面
図である。
図7は、注入の準備ができた図6のユニットのアセンブリを示す。
図8は、図7のアセンブリの端面図である。
図9は、図8の9−9線断面図である。
図10は、コンクリートが注入されたスラブの端面図である。
図11は、他の実施の形態によるU字形状のハーフルーム補強バーを示す図で
ある。
図12は、図11の補強ロッドを用いて注入を完了した後のハーフルームユニ
ットを示す図である。
図13は、この実施の形態により組み合わせられたユニットを示す図である。
図14は、互いに結合される前の頂部ユニット及び底部ユニットを示す図であ
る。
図15は、ユニットを結合するための型の図14の15−15線に沿った断面
図である。
図16は、二つのユニットを結合するために用いられる型を示す、一部仮想線
で表す斜視図である。
図17は、異なったアセンブリを形成するためのユニットの結合法を示す平面
図である。
図18は、地震のエネルギーを吸収するために積み重ねの形状に個々のユニッ
トの角部を結合する機構を示す、この発明の他の実施の形態の斜視図である。
図19は、地震の際にユニットが相対的に横移動した状態を示す、この実施の
形態により結合されたユニットの斜視図である。
図20は、図18及び19の接続ユニットの構成を示す拡大断面図である。
図21は、二つの結合されたユニット間の接続を示す、一部仮想線で表す側面
図である。
図22は、図21のユニットの正面図である。
図23は、地震の力により横方向に変位したユニットの正面断面図である。
図24は、結合ユニットの地震エネルギー吸収構成材の他の実施の形態を示す
、一部仮想線で表す拡大斜視図である。
図25は、図24に示した装置の詳細を、一部仮想線で表す斜視図である。
図26は、図24の装置の側面図である。
図27は、地震の力により位置合わせされた装置を示す図26と同様の図であ
る。
図28は、地震の際に一つのユニットが下部ユニットから持ち上げられたとき
の装置の位置を示す図である。
図29は、通常の位置に戻った装置を示す図である。
図30は、U字形状の建築ユニットの接合する角部のためのジョイントを示す
図である。
図31は、図30の31−31線断面図である。
図32は、図30の32−32線断面図である。
図33は、二つのユニットの接合した角部を示す、図31に相当する断面図で
ある。
図34は、二つのユニットの接合した角部を示す、図32に相当する断面図で
ある。
図35は、ハンドリング吊り索に装着されたユニットを示す図である。
図36は、柱状サポートと共に使用される建築ユニットを示す図である。
図37は、このような柱状サポートを示す図である。
図38は、図37の柱状サポートに組みつけられた図36のユニットの角部を
示す詳細な図である。
図39は、クロスビームにより接続された柱状サポートを示す図である。
図40は、図39の柱状サポートと共に使用されるユニットを下から見た斜視
図である。
図41は、隣合わせに固定された図36に示されるような二つのユニットを下
から見た斜視図である。
図示された実施の形態の説明
添付図面において、図1は、壁スラブを形成する前の補強ロッドとポリスチレ
ンを示す。ユニットは、参照番号2として示されている。外壁型枠4及び6が、
所望の最終的な壁の厚さに応じて、通常対応する補強バーグリッド8及び10か
ら2〜3インチ(50〜75mm)離れている。発泡ポリスチレンの4インチ(
100mm)スラブ12は、ユニットを形成する際に液状コンクリートを流れや
すくするために、図4及び5に示されるように、その周縁16が丸みを帯びた開
口14を有している。補強バー18は、各開口14を通り、図2、3及び4に2
0で示されるように、側面パネルの対応する補強グリッド8及び10内に結合さ
れる。開口は、2フィート(0.6m)の中心間間隔で配置され、約5〜7イン
チ(130〜180mm)の直径を有している。
図4は、コンクリート24が注入されたときの型枠4及び6を有する壁の断面
を示し、ポリスチレンスラブ12の開口14を通してグリッド8及び10を接続
するバー18を備えた水平方向のバー26を横切る鉛直方向の補強バー22を示
しており、開口14はコンクリートで埋められ、コンクリートの二つの部分を連
結している。一つの壁を形成している。
図3に示されるように、液状コンクリート24が注入される。図5は、型枠4
及び6が取り除かれ、開口14を通して延びるコンクリートの突起30により二
つのコンクリート層28及び29が接続された、仕上がった壁の断面を示す。
形成された壁は、非常に強く、堅く、そしてユニット間の壁の遮熱及び遮音と
して作用する発泡ポリスチレンにより移動のためにより軽量化されている。
図6に、天井及び床パネル54のための型枠31及び32が示されており、上
部及び下部補強バーグリッド33及び35が互いに切断され、40、42、44
及び46で示されるようにバーの端部が内方及び外方へ曲げられている。40及
び46のように内方へ曲げられた端部は、それぞれポリスチレンの部分48、5
0及び52を貫いており、コンクリートが注入される間それらを保持する。42
及び44のように外方へ曲げられた端部は、型枠31及び32に対してグリッド
33及び35を位置させるために、選択的に使用される。図7〜9に、注入の準
備ができた、組み立てられた発泡ユニットが示されている。図8は、図7に示す
補強バーグリッド34及び36に接続されたポリスチレンユニット48、50及
び52の端面を示している。
図9は、図8の9−9線に沿った断面を示す。注入後、図8に示す端面は完成
されたスラブ54を有して図10のようになる。ポリスチレンは音を弱め、最終
的なユニット54を軽量化し、大部分のコンクリートは平行Iビームユニットの
形状をなしてユニットの重量に対してより強度を増したものとなる。ポリスチレ
ンの柱は、図8に示されるように横方向に延びる代わりに、紙面に対して垂直な
方向に延びるようにしてもよい。また、切断された補強バーグリッドの一方を、
図6及び7に示す位置から、その面内で90°回転させてもよい。隣接するバー
を互い違いに切断することもできる。さらに、切断しないバーをグリッド内でポ
リスチレンの柱に平行で且つ柱の間に設けることもできる。
セミルームユニットのための補強バーグリッド60が図11に示されており、
バーは壁グリッド68及び70と底部グリッド66のために交差され、端部72
及び74においてそれぞれループ形状にされている。コンクリートを注入した後
、図12に示されるように、ループ72及び74はすべてユニット76の底部8
2と壁78及び80の縁部から伸張し、図13に示されるように二つのユニット
76A及び76Bを互いに結合しやすくしている。図14は、ユニットの一側部
で接合される壁の縁部を囲む型枠を示しており、露出した壁の縁部には型枠内で
重なるループ72が示されている。図15は、図14の15−15線に沿った型
枠の断面図である。
ユニット76がコンクリート注入されるときに型枠内にPVCの柱を置くこと
により形成された開口86を利用して、複数のユニット76A及び76Bを結合
することができる。これらの開口は、以下に述べるように、型枠と型枠を結び付
けるために利用される。
二つのユニット76A及び76Bは、図14及び15に示されるように、ルー
プ状の端部72及び74を重ね、これら二つの端部を接続するための側板96及
び98を有する型枠90を用いることにより結合される。型枠の壁96及び98
の孔97及び99と各部分76A及び76BのPVC管86にボルトが通され、
型枠90を保持する。型枠90の端部100及び102は、図13、15及び1
6に示されるように、下方に行くに従って内方に傾けられている。型枠90は、
両端に可動板106及び107を有しており、コンクリートの注入をしやすくし
ている。結合された部分内に、電気的なアウトレット84とコンジット85を配
置してもよい(図13)。
図17に示されるように、ユニット76A及び76Bが部分94で結合される
ような、各種の形にユニットを結合することができる。種々の他の形状も容易に
得ることができる。
図18〜23は、仕上がったユニットを建造物内に固定して、地震及び暴風の
際に建物のユニットやその中身及び居住者への影響を最小限にするあるいは回避
するための機構を示している。
図示された例では、上部ユニット120が下部ユニット124に結合される。
上部ユニット120はその下部の角に凹部122を有し、下部ユニット124
はその上部の角に対応する凹部126を有している。ユニット124は、補強メ
ッシュ128と付加的なロッド130、132及び133を有している。補強ロ
ッド130、132及び133は壁124内のプレート162に溶接され、上部
ユニット120内の対応する補強ロッド130’、132’及び133’はプレ
ート160に溶接されている。
金属製のU字形部材140及び142がボルト134によりそれぞれプレート
136及び138に締結される、あるいはボルト134がコンクリートユニット
120及び124内に直接埋設されている。通常は、プレート136及び138
がそれぞれプレート160及び162に溶接される。部材140の底部150は
アーム152及び154を有し、それぞれ部材142のアーム152’及び15
4’に対応している。図20及び21によく示されているように、部品150及
び150’は、フランジ156、156’及び158、158’の開口を通る高
張力ボルト144とナット145により互いに締結される。ボルト144が締め
られてフランジ156、156’及び158、158’を互いに引き付けるとき
に僅かに圧縮される、重要な役割を有するネオプレンゴムブロック146が、部
材150及び151’間に設けられる。図20は、ユニットの拡大斜視図である
。図23は、ユニットを、底部プレート160及び162に溶接された補強ロッ
ド130、132、133、130’、132’及び133’と共に示している
。図23において、ボルト144を剪断する程の大きさに達する地震が生じると
、ユニット120及び124は互いに横方向に移動する。この動きは、ネオプレ
ンゴムブロック146の変形により抵抗される。地震のエネルギーは、ボルト1
44の剪断、ブロック146の変形、及びユニット120及び124間の滑り摩
擦により吸収される。ユニット120及び124間の接続がこれらのユニットを
破壊する力より小さな力で変形しエネルギーを吸収するように設計されるため、
ユニット120及び124の全体は保たれる。地震の後にユニット120及び1
24を復旧させるために、それらを元の位置に戻し、ボルト144を交換し、必
要に応じて新たなネオプレンゴムブロックをプレート150及び151’の間に
挿入し付着させることができる。
ブロック146が破壊されたとき等に隣接するユニット間に大きな相対移動が
生じるのを防止するために、ユニットは動きを適切な程度に抑える剛性のリンク
あるいはストッパによって互いに接続することができる。大地震が生じた場合に
は、リンクあるいはストッパは、ユニット自身の多少の損傷を犠牲にして、垂直
に積み重ねられたユニットがぐらつくことを防止する。
他の地震エネルギー吸収装置が図24〜29に示されている。上部ユニット1
70が下部ユニット174に結合され、上部ユニット170の角と下部ユニット
174の角はそれぞれ装置を収容するための凹部172及び176を有している
。壁ユニット170内に破線で示される補強バー178、180及び182は、
装置が装着されるプレート216に溶接されている。同様のプレート217が底
部ユニット174に示されている。プレート216からバンパーストッパ220
を有するシャフト218が垂下しており、コイルスプリング222がバンパー2
20と枢動自在に設けられたプレート190との間に固定されている。プレート
190は、シャフト194が堅固に固定される開口192を有している。シャフ
ト194は、その下端において、クロスバー198を回転自在に受容する部材1
96に付着している。
バー198は、その両端において、鉛直方向に向けられた円板200及び20
2の凹部204及び206内にそれぞれ固定され、円板200及び202は、シ
ャフト215上にナット213で回転自在に取り付けられたプレート211に固
定されている直立ピン208及び210の水平端部212及び214に回転自在
に設けられている。シャフト215は、その底部において、装着プレート217
に溶接されている。
この装置は、プレート190及びシャフト194により形成されるクランクあ
るいは偏心器を地震の横移動の方向に向けて、回転するときにエネルギーを吸収
し、同時に地震の移動の方向に対して横方向にクロスバー198を向ける。この
ような初期の配向は図26と図27を比較することによりわかり、ここでは地震
の移動の方向が紙面に垂直な方向となっている。プレート190及びシャフト1
94が十分に向けられても全てのエネルギーが出尽くさない場合には、円板20
0及び202が回転すると共にクロスバー198が上下動して、ユニット170
をユニット174に対して繰り返し上下させ、ユニットが破砕されるのではなく
、この動きとユニットの重量とにより地震の力が吸収される。円板200及び2
02とクロスバー198は第2のクランクを形成している。
これらのエネルギー吸収装置により結合される建築構造ユニットは、予期され
るどのような地震の衝撃にも耐える。図28におけるスプリング222は、シャ
フト218が下方へ動くときに圧縮される。地震のエネルギーは、このような圧
縮と、スプリング222及びプレート190がバンパーストッパ220に当接す
ることにより吸収される。シャフト218に沿ったプレート190の移動に対し
て及びシャフト218及び211の回りのプレート190及び211の回転に対
して、摩擦的その他の制動を設けてもよい。偏心したクロスバー198は、図2
8に示す高い位置から図29のように下方へと回転する。
図30〜34は、U字形の建築ユニットの隣接する角部を結合するために用い
られる改良された、高強度のジョイントを示す。図30によく示されているよう
に、ユニット304の床スラブ302は、壁スラブ306の厚さの半分程度延び
る一連のランド308によってユニット304の壁スラブ306に接続される。
ランド308の間には、壁スラブ306の全厚にわたって延びる一連の切欠31
0が設けられ、壁スラブと床スラブとの間に小さな貫通ギャップ312を形成し
ている。ランドと切欠は、モールド型枠内に適当な挿入物と詰物片を組み込むこ
とにより製造される。補強バー314は、図30に破線314’で示されるよう
に、床スラブからランド308を通って壁スラブ306内に延びるように配置さ
れている。さらに、補強バー316は、床スラブ302から切欠内に出て、露出
されたループ318を形成し、壁スラブ306内に延びるように配置されている
。バー316の、中に入った部分は、図1に破線316’で示されている。
図33及び34に示されるように、ユニット対が角と角を合わせて組み立てら
れ、一つのユニットは隣接するユニットに対して逆向きとなり、互いに隣接する
ユニットのランド318の鉛直面は接合している。組み立てられたユニットの切
欠310は、各ユニットの補強ループ318がその中で重なる空所320を区画
する。ロッキングバー322が重なり合ったループ318を通して貫き、連結補
強ネットワークを形成している。次いで、上側のギャップ312を通して液状の
コンクリートが注入されると共に詰められ、空所320を満たす。下側のギャッ
プ312は、空所が適正に満たされたことを確認するために使用することができ
、その後、例えば壁スラブと床スラブとの間の角度に形成された材木により塞が
れる。空所内のコンクリートが硬化すると、交差し互いに連結されたバー316
によって形成される連続した張力補強ネットワークを有する、非常に強くて一体
の構造物が得られる。
仕上がった結合の強度を最大にするために、切欠310はユニットの全体深さ
d(図30)に対してできるだけ大きな比率を占めるように形成されるべきであ
る。すなわち、ランド318の全体深さは最小とすべきで、モールディング、輸
送及び最終的な据え付けの間、ユニットの壁スラブと床スラブを保持するに十分
な強度を示す。ハンドリングする際にユニットを補強するために、例えば、図3
5のように、スチール管材または材木からなる内部枠組324によって筋違を入
れることができる。帯材326をユニットの回りで壁スラブ306の自由端の間
にわたしてもよい。
ハンドリングしやすくするために、プラスチック管328をユニット304内
にモールドして、ユニットのほぼ重心を通る軸に沿って壁スラブに貫通孔を形成
することもできる。両端が壁スラブ306から外方へ突出するように管328内
にサポートバー330を挿入し、その両端に吊り索332とスペーサビーム33
4を取り付けてクレーンのフック336から組み立て体全体を吊り下げることも
できる。この装置を用いて、数トンの重量のユニットを一人の作業者によってそ
の向きを変え、所定の場所に案内することが可能となり、ユニットは必要に応じ
てクレーンワイヤ338の軸及びサポートバー330の軸の回りに回転される。
図36〜41は、例えば、高層建築あるいは高層駐車場等の鉛直方向の柱34
0を有する建造物に使用される、建築ユニットの変形例を示している。本出願人
の米国特許第5,081,805号に開示された建築ユニットのような、図36
に示されるユニット342は、ほぼU字形の断面を有しているが、比較的小さな
高さ、例えば約0.6mの高さの壁スラブ344を有している。これらのスラブ
は床スラブ346のための固定フランジとして作用する。ユニット342は、そ
の角部において、成形型の中に適当な挿入物を入れることにより形成される切欠
348を有している。これらの切欠は、サポート柱上に設けられた棚部350と
共に作用してユニットを所望の高さに支持する。ユニットの対向する端部の切欠
間の舌状部352は、対になっているサポート柱340の間に突出し、隣接する
ユニットの舌状部は互いに接合して連続した床面を形成する。ユニット346の
角部354は、棚部350の上に位置し、例えばスタッド356とナット358
により固定される。
図40は、図39のクロスビーム362により連結される柱と共に使用される
ユニット360を示している。突出した舌状部364の一端は、壁スラブ366
の外縁部と同一高さにある。このようなユニット対360は、鏡像関係に隣り合
わせに配置され、それらの壁は互いに接合され、突出した舌状部364はクロス
ビーム366上に位置して連続した床面を形成する。
図41は、6本ではなく、4本の柱340のみで支持するように連結された、
図36のものと同様のユニット対342を示している。スチール製の桁368が
、各ユニットの両端において、壁スラブ344の間にボルト締めされる。接合す
る壁スラブ344と隣接する桁368の端部も互いにボルト締めされる。連結さ
れたユニットの外側の角部の切欠370はサポート柱340を収容し、中央の切
欠372は適当な詰め物により塞がれる。所望に応じて、三つ以上のユニットを
同様に隣り合わせに連結することもできる。
それぞれのケースにおいて、棚部350その他の支持構造が、柱340上に適
当な間隔(通常2.5〜3.5m)で設けられ、所要の床セパレーションを提供
する。垂下する壁スラブ344間のスペースは、電気ケーブル、パイプ、ダクト
等の建築施設を収容するために用いられる。このスペースは、必要に応じて、吊
り天井によりルームスペースから覆い隠すことができる。図36〜41に示され
るユニットと柱のシステムは、大きな開放された領域を作るために用いることが
できる。
上述した組み立て式コンクリート建築ユニットの開発は、互いに容易に結合及
び/または一方を他方の上に装着でき、選択的にエネルギー吸収手段を備えて各
ユニットと中身の破壊及び居住者の傷害を防止し、その結合機構によってユニッ
ト間で僅かに相対移動させることにより地震のエネルギーを吸収する、より強く
、軽量で補強され且つ絶縁されたユニットを提供することができる。
この発明は、図示された実施の形態を参照して説明されたが、新規は建築構成
材及び技術は、それによって限定されるものではなく、次の請求の範囲に包含さ
れる変形例も含まれるものである。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】1997年2月10日
【補正内容】
ンクリート層を結びつける楔栓を形成する、直径約5インチ(13mm)の開口
を有している。
適当なコンクリート補強バーがこれらの開口に通され、横方向のコンクリート
スラブのそれぞれの補強グリッド内に結合される。
ポリスチレンの開口は、滑らかな丸みを帯びた縁部を有しており、発泡ポリス
チレンを通してコンクリートを流れやすくし、スラブの外側層を互いに接続する
。
その結果、補強ピンで締められ且つ3インチ(100mm)のコンクリートで
囲まれて壁構造を形成する、互いに対抗し且つ間隔を隔てたコンクリートスラブ
を有する一体の絶縁物のユニットが製造される。
他の実施の形態においては、間隔を隔てた平行なポリスチレンの柱を組み入れ
ることにより、絶縁された軽量のより剛性の高い床及び天井スラブが得られる。
これらは、モールドの際には、柱の上下のスラブ内に組みつけられたワイヤメッ
シュ補強材の切断され曲げられた端部の上に支持される。柱の間に、堅いコンク
リートがIビーム断面の形状で存在する。ポリスチレンは、形成されたハーフユ
ニットの床部と天井部への音を弱め、さらに強度を損なうことなくユニットを軽
量化する。ポリスチレンの柱は、スラブの上面及び底面から約2インチ(50m
m)だけコンクリート内に下げられている。
形成されるスラブは、従来のスラブよりも軽量で、Iビームの断面形状はその
強度を強化して応力に耐え、建設作業に必要なクレーンの大きさを小さくする。
また、スラブの軽量さと堅固さとにより、通常の限界を越えた、より長い距離を
つなぐことができる。
この発明に係る他のシステムは、構造的な結合が外から見えるように現れるこ
となく、多数のユニットを結合し、あるいはそれらを他の建物の構成材に接続し
、注入されたコンクリートの代わりをするように用いられる。
これにより、ユニットの接続が見えるという、プレキャストコンクリート構造
の主たる欠陥が最小限となる。この発明は請求項11に記載されている。
さらに他の発明が請求項16及び20に記載されている。発明の種々の好適な
請求の範囲
1.それぞれ隣接する建築構成材(120、124)に固定可能な一対の取付部
材(140、142)を備え、これらの取付部材(140、142)が取付部材
間に限られた相対移動を許容するように変形可能な弾性材からなるブロック(1
46)によって連結された、伝達される力を減衰するための建築構成材間の取付
ジョイントであって、
取付部材(140、142)が構成材(120、124)の破壊強度より小さ
な破壊強度を有する破壊可能な接続材(144)により互いに堅固に固定された
ことを特徴とするジョイント。
2.取付部材(140、142)に実質的に伸張しないリンクあるいはストッパ
が連結され、このリンクあるいはストッパは取付部材(140、142)間に限
られた相対移動を許容する請求項1に記載のジョイント。
3.それぞれ隣接する建築構成材(170、174)に取り付けられる一対の取
付部材(216、217)を備えた、伝達される力を減衰するための建築構成材
間の取付ジョイントであって、
ほぼ鉛直な回転軸を有する第1のクランク機構(218、215、190、1
94)を備え、外力によって建築構成材(170、174)間に相対移動が生じ
ると、第1のクランク機構(218、215、190、194)の回転軸(21
5、218)が外力の方向とほぼ平行に向けられることを特徴とするジョイント
。
4.第1のクランク機構に装着されると共にほぼ水平で且つ第1のクランク機構
の回転軸(215、218)を通る平面にほぼ垂直な回転軸(198、212、
214)を有する第2のクランク機構(208、210、200、202、19
8)を備え、建築構成材(170、174)間の相対移動が第2のクランク桟構
(208、210、200、202、198)に関して相対的な上下動となる請
求項3に記載のジョイント。
5.少なくとも一つの取付部材(216)が前記クランク機構(218、215
、190、194)に弾性的に設けられた請求項3または4に記載のジョイント
。
6.前記クランク機構の動きを抵抗するための制動が設けられた請求項3〜5の
うちいずれか一項に記載のジョイント。
7.軽量あるいは絶縁材からなるスラブ(12)によって互いに間隔を隔てられ
た補強コンクリートの二つの層(28、29)を備えた建築壁構成材(2)であ
って、
前記軽量/絶縁材に間隔を隔てて開口(14)が設けられ、補強タイロッド(
18)がこの開口(14)を通って各コンクリート層(28、29)内の補強材
(8、10)に固定され、前記タイロッドが開口(14)を通るコンクリート楔
栓(30)内に埋設されることを特徴とする建築壁構成材。
8.前記スラブの開口(14)の縁部(16)が湾曲して、液状コンクリートミ
ックスから間隔を隔てたコンクリート層(28、29)を形成するときに開口(
14)を通る液状コンクリートを流れやすくする請求項7に記載の建築壁構成材
。
9.上部コンクリート層と下部コンクリート層とを備えた組み立て式床または天
井パネルであって、
前記コンクリート層は、軽量または絶縁材からなる細長い構成材(50)を挟
んで互いに間隔を隔てられ、前記上部層及び下部層内の補強材(33、35)は
端部(40、46)が前記パネルの内方へ曲げられ且つ間隔を隔てられた構成材
を有し、パネル形成の際に前記端部(40、46)が細長い構成材(50)の中
に埋設されてコンクリートを注入するときにそれらを所定の形状に保持すること
を特徴とする組み立て式床または天井パネル。
10.細長い構成材(50)の形状及び配置により、パネル内にIビームコンク
リートの断面形状を形成する請求項9に記載の床または天井パネル。
11.補強部材(60、314、316)が埋設され、その縁部からループ(7
2、74、318)状に延びて構成材(76、304)を補強ジョイントにより
同様の構成材に結合しやすくしたことを特徴とするほぼU字形断面を有するプレ
キャスト建築構成材。
12.前記ループ(72、74、318)が延びる縁部をループ状の補強ロッド
が隣接するように並置し、
並置された縁部の回りに型枠(90)を配置し、
隣接する補強ロッドの上にコンクリートを注入し、
コンクリートを硬化する
ことを特徴とする請求項11に記載の建築構成材の結合方法。
13.ループ(318)が構成材の外側の角部に形成された切欠(310)から
延びている請求項11に記載の構成材。
14.ループ(318)を重ねて外側の角部に同様の構成材が接合可能であり、
補強部材(322)がループ(318)に通されて連結された補強ネットワーク
を形成する請求項13に記載の構成材。
15.液状コンクリートをループの周辺に注入するための貫通スロット(312
)を備えた請求項11、13または14に記載の構成材。
16.床部材と、床部材の両側から直立するほぼ平行な一対の壁部材(306)
を備えた組み立て式建築構成材であって、
壁部材(306)は構成材の重心をほぼ通る軸に沿って配向された吊り索取付
点(328)を有することを特徴とする組み立て式建築構成材。
17.吊り索取付点(328)は壁部材(306)内に貫通孔を有する請求項1
6に記載の構成材。
18.壁部材(306)の間に筋違枠組(324)を設け、
吊り索取付点(328)にリフト吊り索(332、334)を取り付ける
ことを特徴とする請求項16または17に記載の建築構成材のリフト及びハン
ドリング方法。
19.吊り索取付点は壁部材の貫通孔であり、
バー(330)をその両端が壁部材から外方へ突出するように貫通孔に通し、
バーの突出した端部に吊り索(332、334)を取り付ける
請求項18に記載の方法。
20.その両縁から垂下する一対のほぼ平行な固定フランジ(344)を有する
床パネル(346)を備えたプレキャスト建築構成材であって、
構成材の角部(348)が鉛直方向のサポート柱(340)に固定されるよう
になっていることを特徴とするプレキャスト建築構成材。
21.隣接する同様の構成材と共に複数のサポート柱(340)の間に延びる連
続した床面を形成する突出した舌状部(364)を備えた請求項20に記載の構
成材。
22.舌状部(364)は、使用時に一対のサポート柱(340)の間にわたさ
れたビーム(362)の上に位置する請求項21に記載の構成材。
23.垂下するフランジの間に固定された桁を備えた請求項20〜22のうちい
ずれか一項に記載の構成材。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,SZ,U
G),UA(AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM
),AL,AM,AT,AU,AZ,BB,BG,BR
,BY,CA,CH,CN,CZ,DE,DK,EE,
ES,FI,GB,GE,HU,IS,JP,KE,K
G,KP,KR,KZ,LK,LR,LS,LT,LU
,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,
NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,S
I,SK,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,UZ
,VN