JPH1149899A - 炭酸ガス発生用樹脂成形体 - Google Patents

炭酸ガス発生用樹脂成形体

Info

Publication number
JPH1149899A
JPH1149899A JP9204934A JP20493497A JPH1149899A JP H1149899 A JPH1149899 A JP H1149899A JP 9204934 A JP9204934 A JP 9204934A JP 20493497 A JP20493497 A JP 20493497A JP H1149899 A JPH1149899 A JP H1149899A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbon dioxide
dioxide gas
resin
copolymer
resin molded
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP9204934A
Other languages
English (en)
Inventor
Koji Suzuki
浩司 鈴木
Toshibumi Tanahashi
俊文 棚橋
Toshio Goryoda
俊雄 五領田
Risaburo Matsuki
理三郎 松木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP9204934A priority Critical patent/JPH1149899A/ja
Publication of JPH1149899A publication Critical patent/JPH1149899A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Moulding By Coating Moulds (AREA)
  • Molding Of Porous Articles (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 有機樹脂中に炭酸ガス発生剤が潜在的な活性
を有する状態、つまり水分で活性化される状態で分散さ
れており、食品が保存される環境下に炭酸ガスを有効な
量でしかも長期にわたって持続放出しうる炭酸ガス発生
用樹脂成形体を提供するにある。 【解決手段】 水蒸気透過度(40℃、90%RH)が
0.1g・mm/m2 ・day以上である有機樹脂と炭
酸ガス発生剤との組成物から実質上発泡が抑えられた状
態で形成され且つ前記炭酸ガス発生剤が水分で活性化さ
れることを特徴とする炭酸ガス発生用樹脂成形体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭酸ガス発生用樹
脂成形体に関するもので、より詳細には、有機樹脂中に
分散された炭酸ガス発生剤が水分で活性化され、食品類
の鮮度保持に役立つ炭酸ガス発生用樹脂成形体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】炭酸ガスが食肉や青果物等の食品類の鮮
度保持に有効であることは、かなり以前から知られてい
る。
【0003】特開昭59−55176号公報には、水ま
たは酸類の溶解した水によって化学反応が進み炭酸ガス
が発生する炭酸ガス発生剤類を、炭酸ガス及び水の透過
性がある合成樹脂フィルム、必要に応じて更に該フィル
ムの外側に吸湿性を有する紙等とでラミネートされた包
装材などで分包し、分包炭酸ガス発生剤類の外側環境の
水分等が分包包装材を経て炭酸ガス発生剤に達し、化学
反応が進行し発生した炭酸ガスが合成樹脂フィルムを透
過して、その環境に炭酸ガスが供給され、その炭酸ガス
により食品類の保存に役立たしめる食品類保存法が記載
されている。
【0004】特開昭60−221031号公報には、生
肉が酸素を吸収すると同時に炭酸ガスを発生する脱酸素
剤と共に実質的に非通気性の容器に密封し、冷蔵或いは
氷温に保存することを特徴とする生肉の保存方法が記載
されている。
【0005】特開平6−327400号公報には、アル
カリ土類金属の炭酸塩に、固体酸或は/及ぴ分解して酸
となる固体の塩、更に疎水性材料を添加せしめたことを
特徴とする二酸化炭素ガス発生剤が記載されており、こ
の二酸化炭素発生剤は青果物等の鮮度保持材として有用
であることも記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】これらの提案に示され
るとおり、炭酸ガスは制菌効果を示すものであり、水分
により活性化されて炭酸ガスを発生し、これにより食品
類の鮮度保持効果を示すものであるが、実際に食品類の
鮮度保持に使用するには、未だ不便な点がある。
【0007】即ち、従来の方法では、炭酸ガス発生剤
を、炭酸ガス及び水の透過性がある合成樹脂フィルム等
の包装材などで分包し、この分包体を更に食品類と共に
包装内に充填しなければならいという煩わしさがある。
【0008】従来、炭酸ガス発生剤を樹脂中に練り込ん
だフィルムやシートのごとき成形品が見当たらないのは
奇異な感じもするが、これは炭酸ガス発生剤、例えば重
炭酸塩と有機酸との組み合わせは、典型的な樹脂の発泡
剤であり、樹脂中に炭酸ガス発生剤を潜在的な活性を保
持したまま残留させることが困難であったためと認めら
れる。
【0009】従って、本発明の目的は、有機樹脂中に炭
酸ガス発生剤が潜在的な活性を有する状態、つまり水分
で活性化される状態で分散されており、食品が保存され
る環境下に炭酸ガスを有効な量でしかも長期にわたって
持続放出しうる炭酸ガス発生用樹脂成形体を提供するに
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、水蒸気
透過度(40℃、90%RH)が0.1g・mm/m 2
・day以上である有機樹脂と炭酸ガス発生剤との組成
物から実質上発泡が抑えられた状態で形成され且つ前記
炭酸ガス発生剤が水分で活性化されることを特徴とする
炭酸ガス発生用樹脂成形体が提供される。本発明におい
ては、 1.前記樹脂成形体がフィルムまたはシートであるこ
と、 2.前記炭酸ガス発生剤が80℃以上の分解温度を有す
るものであること、 3.前記炭酸ガス発生剤が重炭酸塩、重炭酸塩と有機酸
との組み合わせ及び/またはクエン酸モノエステルおよ
び/またはクエン酸ジエステルであること、 4.前記有機樹脂が100cc・mm/m2 ・atm・
day以上の炭酸ガスの透過係数(25℃、0%RH)
を有するものであること、 5.有機樹脂がオレフィン系重合体、特に低密度ポリエ
チレン、線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレ
ン、線状超低密度ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共
重合体、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、スチレ
ン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン
・ブロック共重合体、スチレン−イソプレン・ブロック
共重合体、ABS樹脂、水素化スチレン−ブタジエン共
重合体、または水素化スチレン−イソプレン共重合体、
アイオノマー、ポリブテン、エチレンエチルアクリレー
ト共重合体、エチレンアクリル酸共重合体、エチレンメ
タクリル酸共重合体、エチレンアクリル酸メチル共重合
体、エチレンメチルアクリレート共重合体であること、 6.樹脂成形体が有機樹脂と炭酸ガス発生剤との組成物
の熱成形で形成されているか、或いは樹脂成形体が炭酸
ガス発生剤を分散させた有機樹脂の溶液乃至分散液の流
延により形成されていること、が好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
[作用]本発明では、水蒸気透過度が0.1g・mm/
2 ・day以上である有機樹脂を選択し、この有機樹
脂と炭酸ガス発生剤との組成物から実質上発泡が抑えら
れた状態でフィルム或いはシート等の成形体としたこと
が特徴である。
【0012】この成形体においては、前記炭酸ガス発生
剤が実質上未分解の状態でしかも水蒸気透過度が特定の
範囲にある樹脂マトリックス中に分散された状態で存在
するため、この成形体が水分と接触したとき、炭酸ガス
発生剤が水分で活性化されて、炭酸ガスを発生する。
【0013】樹脂成形体から発生する炭酸ガスの量は、
後述する例に示すとおり、水分と接触開始した初期(1
日)において最も多いが、接触開始5日後においても尚
炭酸ガスの発生が認められ、この成形体は炭酸ガス発生
の持続性及び徐放性に優れていることが了解される。こ
れは、炭酸ガス発生剤の周囲に存在する樹脂マトリック
スが炭酸ガス発生剤と水分との接触、即ち炭酸ガス発生
剤の分解を一定のレベルにコントロールするように作用
するためである。
【0014】かくして、本発明によれば、食品類を持続
して炭酸ガス雰囲気に維持することができ、食品類に制
菌作用を持続して発現させることができ、更に従来2乃
至3日であった生鮮食品の鮮度保持期間を数日間に延長
することが可能となる。
【0015】樹脂成形体を、実質上未発泡の状態で熱成
形するためには、用いる有機樹脂及び炭酸ガス発生剤に
関して、炭酸ガス発生剤の熱分解を抑制するための選択
及び組み合わせが一般に必要である。即ち、炭酸ガス発
生剤は80℃以上の分解温度を有するものが好ましく、
一方有機樹脂は150℃以下の融点乃至軟化点を有する
ものが好ましい。尚、融点乃至軟化点とは、融点が明瞭
な樹脂については、一義的に融点を意味し、融点が明瞭
でない樹脂については軟化点を意味するものとする。
【0016】[有機樹脂]有機樹脂としては、炭酸ガス
発生剤粒子に十分な水分を供給しうるものでなければな
らず、このために0.1g・mm/m2 ・day以上の
水蒸気透過度を有するべきである。また、成形体中で発
生する炭酸ガスを包装内の雰囲気に供給するために、1
00cc・mm/m2 ・atm・day以上の炭酸ガス
の透過係数(25℃、0%RH)を有することが好まし
い。更に、成形時の発泡を抑制するために、成形温度の
可及的に低い熱可塑性樹脂が使用され、一般に150℃
以下、特に140℃以下の融点乃至軟化点を有する熱可
塑性樹脂が使用される。
【0017】好適な有機樹脂として、低密度ポリエチレ
ン、線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、
線状超低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重
合体、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、スチレン
−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン・
ブロック共重合体、スチレン−イソプレン・ブロック共
重合体、ABS樹脂、水素化スチレン−ブタジエン共重
合体、または水素化スチレン−イソプレン共重合体、ア
イオノマー、ポリブテン、エチレンエチルアクリレート
共重合体、エチレンアクリル酸共重合体、エチレンメタ
クリル酸共重合体、エチレンアクリル酸メチル共重合
体、エチレンメチルアクリレート共重合体等を挙げるこ
とができる。
【0018】炭酸ガス発生剤の分解を抑制しつつ、成形
性の良好な熱可塑性樹脂として、エチレン系重合体の例
としてエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を挙げ
ることができる。エチレン−酢酸ビニル共重合体は、酢
酸ビニル含有量が増大するにつれて、融点が低下するこ
とが知られている。本発明の目的に好適なエチレン−酢
酸ビニル共重合体は、酢酸ビニル含有量が3乃至50重
量%の範囲にあるものである。また、そのメルトインデ
ックスは0.1乃至100g/10minの範囲にある
ことが望ましい。
【0019】エチレン系重合体の好適な他の例として、
低密度ポリエチレン(LDPE)や線状低密度ポリエチ
レン、超低密度ポリエチレン、線状超低密度ポリエチレ
ン、(LLDPE、VLDPE、ULDPE)或いは他
のエチレン・α−オレフィン共重合体を挙げることがで
きる。低密度ポリエチレンとしては、密度が0.910
乃至0.925g/cm3 のものが適当であり、線状低
密度乃至超低密度ポリエチレンとしては、密度が0.8
80乃至0.910g/cm3 のものが適当である。ま
た、エチレン・α−オレフィン共重合体としては、エチ
レン含有量が70乃至99モル%で、X線法による結晶
化度が40%以下のものが特に適しており、共重合体中
のα−オレフィンとしては、炭素数3乃至20のα−オ
レフィン、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−プロ
ペン、1ーヘキセン、1ーオクテン、4−メチルペンテ
ン−1、1ーデセン、1ードデセン、1ーテトラデセ
ン、1ーヘキサデセン、1ーオクタデセン、1ーエイコ
セン等が挙げられる。これらのエチレン系重合体も炭酸
ガス発生剤の分解を抑制しつつ、熱成形により、フィル
ム乃至シートのような成形体を製造するという目的に特
に適している。これらのエチレン系重合体のメルトイン
デックスは0.1乃至100g/10minの範囲にあ
ることが望ましい。
【0020】用いるエチレン系重合体は、酸変性された
ものでもよく、酸変性エチレン系重合体は、エチレン系
重合体にエチレン系不飽和カルボン酸乃至その誘導体を
グラフトさせることにより得られる。不飽和カルボン酸
またはこれらの誘導体としては、具体的には、アクリル
酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン
酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸等のα,β−
不飽和カルボン酸、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2
−エン−5,6−ジカルボン酸等の不飽和カルボン酸、
無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、
テトラヒドロ無水フタル酸等のα,β不飽和カルボン酸
無水物、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン−
5,6−ジカルボン酸無水物等の不飽和カルボン酸の無
水物を例示することができるが、これらの中でも、マレ
イン酸、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン−
5,6−ジカルボン酸またはこれらの無水物が好適であ
る。溶融押出時の安定性の点では、エチレン系不飽和カ
ルボン酸乃至その誘導体の変性量は10重量%以下であ
るのが好ましい。
【0021】[炭酸ガス発生剤]本発明に用いる炭酸ガ
ス発生剤は、水分の存在下に活性化されるものであり、
好適には、70℃以上、特に80℃以上の熱分解温度を
有するものである。
【0022】好適な炭酸ガス発生剤として、重炭酸塩、
重炭酸塩と有機酸との組み合わせ及び/またはクエン酸
モノエステルおよび/またはクエン酸ジエステルを挙げ
ることができる。重炭酸塩としては、重炭酸ナトリウム
が好適であるが、他の重炭酸塩、例えばカリウム塩、マ
グネシウム塩、カルシウム塩等も組み合わせで用いるこ
とができる。
【0023】重炭酸塩単独で用いても、水分の存在下に
重炭酸塩の分解が生じ、炭酸ガスの発生が認められる。
【0024】一般には、重炭酸塩と有機酸との組み合わ
せを用いるのが適当であり、有機酸としては、クエン酸
−塩基クエン酸塩、例えばクエン酸−ナトリウム、クエ
ン酸カルシウム、酒石酸、コハク酸、フマル酸、マレイ
ン酸、アジピン酸、リンゴ酸、蓚酸、マロン酸、グルタ
ル酸、フタル酸等の1種または2種以上の組み合わせが
使用される。これらの内でも、クエン酸、クエン酸−ナ
トリウム又はクエン酸カルシウムが好適なものである。
【0025】重炭酸塩と有機酸とは、一般に化学当量
(化学量論的量)がほぼ化学当量で用いるのが適当であ
る。
【0026】また、炭酸ガス発生剤として、クエン酸モ
ノエステルおよび/またはクエン酸ジエステルを単独或
いは組み合わせで用いることもできる。このモノエステ
ルとしては、例えばクエン酸モノメチル、クエン酸モノ
エチル、クエン酸モノプロピル、クエン酸モノイソプロ
ピル、クエン酸モノ−n−ブチル及びクエン酸モノ−t
ert−ブチル等の低級アルキルエステルが挙げられ
る。このエステルにはクエン酸α−エステル、β−エス
テルがあるが、これらは単独でも或いは2種以上の組み
合わせでも良い。ジエステルには、クエン酸のα、α´
−ジエステルのほか、α、β−ジエステルまたはα、α
´および、α、β−ジエステルの混合物が含まれる。こ
れらは単独でも或いは2種以上の組み合わせでも良い。
【0027】重炭酸塩と有機酸、或いは更にクエン酸モ
ノエステル及び/またはクエン酸ジエステルを組み合わ
せで使用する場合、これらの各成分を混合した混合物と
して使用することもできる。
【0028】炭酸ガス発生剤としては、樹脂への分散が
容易なように、その粒度は、一般に粒径が100μm以
下、特に0.1乃至90μmの微細粒径のものが好まし
い。
【0029】[組成物及び成形体]本発明の成形体は、
有機樹脂と炭酸ガス発生剤とを混合し、この組成物を熱
成形することにより製造される。有機樹脂当りの炭酸ガ
ス発生剤の配合量は、用途や要求される鮮度保持作用等
にも依存するが、樹脂100重量部当たり1乃至80重
量部、特に2乃至75重量部の範囲にあることが、コス
トと鮮度保持性との兼ね合いや分散性の点で望ましい。
【0030】本発明の組成物には、充填剤、着色剤、耐
熱安定剤、耐候安定剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安
定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、金属セッケンやワッ
クス等の滑剤、改質用樹脂乃至ゴム、等の公知の樹脂配
合剤を、それ自体公知の処方に従って配合できる。
【0031】樹脂組成物の製造に際しては、一つの例と
して有機樹脂と炭酸ガス発生剤とを、一般に乾式ブレン
ドと呼ばれる方法で前混合する。これにより樹脂粒子の
表面に一様に炭酸ガス発生剤を付着させることができ
る。この前混合には、リボンブレンダー、コニカルブレ
ンダー、ヘンシエルミキサー、ボールミル、スーパーミ
キサー等を用いることができる。本発明の成形体を製造
する上で、炭酸ガス発生剤配合樹脂組成物の熱履歴を可
及的に少なくすべきであり、この見地からも乾式ブレン
ドが推賞される訳である。
【0032】前混合物を押出機や射出機のホッパーに供
給して、次いで混練する。この混練は、樹脂の溶融温度
以上で炭酸ガス発生剤の分解温度よりも低い温度で行な
う。一般に混練温度は70乃至160℃の範囲が適当で
あり、混練は窒素雰囲気等の不活性雰囲気で行うのが適
当である。本発明では、混練操作が比較的低温でしかも
短時間で行われることが特徴であり、この混練操作によ
り、炭酸ガス発生剤が樹脂マトリックス中に均一に分散
した組成物が得られる。
【0033】樹脂組成物の製造に関する他の例として、
2軸押出し機を用いる方法が挙げられる。即ち樹脂組成
物と炭酸ガス発生剤とをホッパーに同時に供給して溶融
混練する方法、或いは樹脂組成物はホッパーから供給し
2軸押出し機内である程度溶融させた後、2軸押出し機
途中に設けられた穴より炭酸ガス発生剤を供給するオー
プンフィード方式やサイドフィード方式により樹脂組成
物と溶融混練する方法がある。このような方法により炭
酸ガス発生剤が樹脂マトリックス中に均一に分散した組
成物が得られる。さらに、樹脂組成物の製造に関する他
の例として、2軸押出し機を用い組成物を作成するのは
前述した方法によるが、2軸押出し機の先に塗出量を調
整するためのギアポンプとTダイを装着することで直接
フィルム、乃至はシートを形成することも可能である。
これら製造方法は炭酸ガス発生剤配合樹脂組成物の熱履
歴をできる限り少なくする見地からも用いることができ
る。
【0034】この溶融混練物を、押出成形、射出成形、
圧縮成形等に付することにより、炭酸ガス発生用樹脂成
形体が形成される。例えば、前述した溶融混練物を、T
ーダイ法やインフレーション製膜法に付することによ
り、包装用フイルムや、容器成形用等のシートが形成さ
れる。また、この混練物をサーキュラーダイを通して押
出すことにより、ブロー成形用のパリソンが形成され
る。シートを真空成形、圧空成形、プラグアシスト成形
等に付することによりトレィ、カップ等のプラスチック
容器が形成され、またパリソンをブロー成型することに
よりボトル状プラスチック容器が形成される。尚、製造
法はこれらの例に限定されるものではない。
【0035】押出成形に際して、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリエステルポリアミド等の基体樹脂層やエ
チレンビニルアルコール共重合体等のガスバリアー性樹
脂層と、炭酸ガス発生用樹脂組成物の層とをダイス内で
合流させ、これを共押出しすることにより、多層フィル
ムや多層プラスチック容器が形成される。
【0036】また、予じめ形成された炭酸ガス発生用樹
脂フィルムと、他の樹脂フィルム、金属箔或いはこれら
の組合せとを、サンドイッチラミネーション、ドライラ
ミネーション或いは押出コート法等の公知の手段を適用
することにより、多層フィルムや多層容器形成用の積層
体が得られる。
【0037】本発明の炭酸ガス発生用樹脂成形体は、前
述した食品包装容器の分野に使用できるばかりではな
く、所定のサイズに切断して、包装容器に充填し、容器
内に内容物と共に充填して、容器内を炭酸ガス雰囲気に
維持する目的にもしようできる。また、前述した単層或
いは多層のシートをディスクの形に打ち抜き、容器蓋の
パッキングとして用いることもできる。
【0038】本発明の炭酸ガス発生用樹脂成形体におい
て、炭酸ガス発生剤は実質上未分解の状態で樹脂中に存
在すべきであり、一般に配合した炭酸ガス発生剤の60
%以上、特に70%以上が樹脂マトリックス中に残留し
ていることが好ましい。勿論、成形体が若干発泡してい
ることは許容される。
【0039】本発明の炭酸ガス発生用樹脂成形体を溶融
成形法に関して説明したが、用いる有機樹脂が有機溶媒
に可溶である場合には、有機樹脂の溶液に炭酸ガス発生
剤を分散させ、これを流延法により製膜して、樹脂成形
体を得ることもできる。
【0040】
【実施例】本発明を次の例で更に説明するが、本発明は
これらの例に限定されるものではない。
【0041】[ガス発生量の測定方法]実施例1〜7及
び比較例1〜7において単層から成るシートを一定面積
に切り出した後、ポリプロピレンフィルム、接着剤、ス
チール箔からなる口径78mm、内容量84ccの丸形
カップ中に大気圧下で水1ccとともに装着し、12μ
ポリエチレンテレフタレートフィルム、接着剤、15μ
mナイロンフィルム、20μmアルミニウム箔、35μ
mポリプロピレンフィルムからなるヒートシール性の蓋
を加圧圧着して密封した。この密封容器を温度23℃−
湿度50%RHにて保存し、一定期間毎に包装用器内の
ガスクロマト装置にて分析し、容器内で発生した炭酸ガ
ス濃度を求めた。
【0042】[実施例1,2]分解開始温度が約140
℃の炭酸水素ナトリウム/クエン酸系からなる炭酸ガス
発生剤と有機樹脂として水蒸気透過係数が4.5g・m
m/m2 /day、炭酸ガス透過係数が1100cc・
mm/m2 ・atm・dayであるエチレン酢酸ビニル
共重合体樹脂(酢酸ビニル含有量25重量%)を用い、
35mmのスクリュー径を有する同方向2軸押出し機、
ギアポンプ、Tダイ、及び引き取り装置から構成される
シート製膜機にて単層シートを作成した。この際炭酸ガ
ス発生剤の比率は36重量%及び20重量%になるよう
に成形した。このようにして得た単層シートを一定面積
に切り出した後、水1ccとともに上記スチール箔から
なる容器内に装着し一定期間毎に容器内のガス組成を測
定した。
【0043】[実施例3,4]用いた炭酸ガス発生剤は
実施例1と同じである。有機樹脂として水蒸気透過係数
が0.38g・mm/m2 ・atm・day、炭酸ガス
透過係数が825ccmm/m2 ・atm・day、で
ある低密度ポリエチレンを用い実施例1と同様な成形法
で単層シートを作成した。この際炭酸ガス発生剤の比率
は40重量%並びに20重量%になるように成形した.
ガス組成の測定は実施例1と同様の方法を用いた。
【0044】[実施例5]用いた炭酸ガス発生剤は実施
例1と同じである。有機樹脂として水蒸気透過係数が
0.47g・mm/m2 ・day、炭酸ガス透過係数が
1897cc・mm/m2 ・atm・dayである線状
低密度ポリエチレンを用い実施例1と同様な成形法で単
層シートを作成した。この際炭酸ガス発生剤の比率は2
0重量%になるように成形した。ガス組成の測定は実施
例1と同様の方法を用いた。
【0045】[比較例1〜5]容器内に水1ccを装着
しない以外は実施例1と同じ方法で測定用サンプルを調
整し一定期間毎に容器内ガス濃度を測定した。用いた単
層シートは実施例1〜5で作成したシートである。これ
らの実施例1〜5及び比較例1〜5の結果を第1表に示
す。第1表を見ても判るように有樹脂中に炭酸ガス発生
材を練り込んだシートは水分により活性化され経時的に
炭酸ガスが発生していることが判る。
【0046】[実施例6、7、比較例6、7]分解開始
温度が約100℃の炭酸水素ナトリウムからなる炭酸ガ
ス発生剤と有機樹脂として水蒸気透過係数が4.7g・
mm/m2 ・day、炭酸ガス透過係数が1000cc
・mm/m2 ・atm・dayであるエチレン酢酸ビニ
ル共重合体樹脂(酢酸ビニル含有量20重量%)を用
い、炭酸水素ナトリウムの比率が40重量%になるよう
に成形した。さらに同じ炭酸水素ナトリウムを使用し有
機樹脂として水蒸気透過係数が0.39g・mm/m2
・day、炭酸ガス透過係数が394cc・mm/m2
・atm・dayである低密度ポリエチレン樹脂を用
い、炭酸水素ナトリウムの比率が50重量%になるよう
に成形した。成形方法は実施例1に示した方法と同じで
ある。このようにして得た単層シートを水1ccととも
に上記容器内に装着し一定期間毎に容器内のガス組成を
測定した。比較例として同じシートを用い水を装着しな
い系を用いた。結果を第1表に示す。
【0047】[実施例8、比較例8]実施例1にて作成
した炭酸ガス発生剤含有量が36重量%になるよう成形
した単層シートを一定面積に切り出した後、挽肉50g
とともにポリプロピレン、接着剤、エチレン−ビニルア
ルコ−ル共重合体(エチレン含有量32モル%、ケン化
度99.6モル%)からなる容器内に装着し、12μm
ポリエチレンテレフタレートフィルム、15μm塩化ビ
ニリデンフィルム、15μmナイロンフィルム、70μ
mポリプロピレンフィルム、接着剤からなるヒートシー
ル性の蓋を加圧圧着して密封した。その後、温度5℃の
冷蔵庫内にて保存し一定期間毎に密封容器内のガス組成
をガスクロマト装置にて分析し、容器内で発生した炭酸
ガス濃度を測定した。また、挽肉に発生した菌数を測定
するため保存120時間後での挽肉中の好気性菌及び嫌
気性菌の発生数を測定した。比較例として容器内に炭酸
ガス発生シートを用いない系も同様に容器内ガス濃度、
挽肉の菌数を測定した。これらの結果を第2表並びに第
3表に示す。第2表より炭酸ガス発生シートを用いた系
では経時により容器内炭酸ガス濃度が上昇していくのが
判る。これは挽肉中に含まれる水分により炭酸ガス発生
剤が活性化された結果である。また炭酸ガス発生シート
を用いない比較例8においても経時ととに容器内の炭酸
ガス濃度が上昇している。これは菌の増殖により菌自体
から炭酸ガスが発生していると考えられる。これを確か
めるため経時120時間後の菌数測定を行った。第3表
から明らかなように、容器内炭酸ガス濃度は実施例8と
比較例8では同じであるが、好気性菌、嫌気性菌ともに
炭酸ガス発生シートを用いた系の方は菌の増殖を抑える
効果があることが確認された。このことから炭酸ガス発
生シートを用いた系では、挽肉に対し制菌効果があるこ
とが認められた。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、水蒸気透過度(40
℃、90%RH)が0.1g・mm/m 2 ・day以上
である有機樹脂と炭酸ガス発生剤との組成物から実質上
発泡が抑えられた状態で成形体を製造することにより、
有機樹脂中に炭酸ガス発生剤が潜在的な活性を有する状
態、つまり水分で活性化される状態で分散させ、食品が
保存される環境下に炭酸ガスを有効な量でしかも長期に
わたって持続放出させることが可能となり、食品類の鮮
度保持期間を数日に延長させることが可能となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 31/02 C08L 31/02 53/02 53/02 55/02 55/02 //(C08K 13/02 3:26 5:09) B29K 23:00

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水蒸気透過度(40℃、90%RH)が
    0.1g・mm/m2・day以上である有機樹脂と炭酸
    ガス発生剤との組成物から実質上発泡が抑えられた状態
    で形成され且つ前記炭酸ガス発生剤が水分で活性化され
    ることを特徴とする炭酸ガス発生用樹脂成形体。
  2. 【請求項2】 フィルムまたはシートである請求項1記
    載の炭酸ガス発生用樹脂成形体。
  3. 【請求項3】 炭酸ガス発生剤が重炭酸塩、重炭酸塩と
    有機酸との組み合わせ及び/またはクエン酸モノエステ
    ルおよび/またはクエン酸ジエステルである請求項1ま
    たは2に記載の炭酸ガス発生用樹脂成形体。
  4. 【請求項4】 有機樹脂がオレフィン系重合体である請
    求項1乃至3の何れかに記載の炭酸ガス発生用樹脂成形
    体。
  5. 【請求項5】 有機樹脂が低密度ポリエチレン、線状低
    密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、線状超低密
    度ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリス
    チレン、耐衝撃性ポリスチレン、スチレン−アクリロニ
    トリル共重合体、スチレン−ブタジエン・ブロック共重
    合体、スチレン−イソプレン・ブロック共重合体、AB
    S樹脂、水素化スチレン−ブタジエン共重合体、または
    水素化スチレン−イソプレン共重合体、アイオノマー、
    ポリブテン、エチレンエチルアクリレート共重合体、エ
    チレンアクリル酸共重合体、エチレンメタクリル酸共重
    合体、エチレンアクリル酸メチル共重合体、エチレンメ
    チルアクリレート共重合体である請求項1乃至8の何れ
    かに記載の炭酸ガス発生用樹脂成形体。
  6. 【請求項6】 樹脂成形体が有機樹脂と炭酸ガス発生剤
    との組成物の熱成形で形成されている請求項1乃至5の
    何れかに記載の炭酸ガス発生用樹脂成形体。
  7. 【請求項7】 炭酸ガス発生剤が80℃以上の分解温度
    を有するものである請求項6記載の炭酸ガス発生用樹脂
    成形体。
  8. 【請求項8】 樹脂成形体が炭酸ガス発生剤を分散させ
    た有機樹脂の溶液乃至分散液の流延により形成されてい
    る請求項1乃至5の何れかに記載の炭酸ガス発生用樹脂
    成形体。
  9. 【請求項9】 有機樹脂が100cc・mm/m2 ・a
    tm・day以上の炭酸ガスの透過係数(25℃、0%
    RH)を有するものである請求項1乃至8の何れかに記
    載の炭酸ガス発生用樹脂成形体。
JP9204934A 1997-07-30 1997-07-30 炭酸ガス発生用樹脂成形体 Withdrawn JPH1149899A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9204934A JPH1149899A (ja) 1997-07-30 1997-07-30 炭酸ガス発生用樹脂成形体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9204934A JPH1149899A (ja) 1997-07-30 1997-07-30 炭酸ガス発生用樹脂成形体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1149899A true JPH1149899A (ja) 1999-02-23

Family

ID=16498784

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9204934A Withdrawn JPH1149899A (ja) 1997-07-30 1997-07-30 炭酸ガス発生用樹脂成形体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1149899A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017518771A (ja) * 2014-06-13 2017-07-13 イテネ.インスティテュート テクノロジコ デル エンバラヘ,トランスポルテ ヤ ロジスティカ 腐敗しやすい生鮮食品の包装材内への保存方法およびそのための包装材

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017518771A (ja) * 2014-06-13 2017-07-13 イテネ.インスティテュート テクノロジコ デル エンバラヘ,トランスポルテ ヤ ロジスティカ 腐敗しやすい生鮮食品の包装材内への保存方法およびそのための包装材

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3183704B2 (ja) 包装用フイルム、包装方法、包装用物体及び酸素掃去方法
JP6411705B1 (ja) 樹脂組成物、その製造方法及びそれを用いた成形体
JPH08502306A (ja) 改良された物理的性質を有する酸素を掃去する組成物、物品および方法
CN108367551A (zh) 防臭多层包装薄膜和由其制成的包装
EP3081590B1 (en) Melt-molding material using evoh resin
AU2004320613B2 (en) Ethylene/vinyl alcohol copolymer and molded object thereof
JP2011505489A (ja) 調整された酸素透過率を有する組成物および構造体
CN101489782A (zh) 包含透氧层的物品
US6565938B1 (en) Resin composition and layered product
JPS6141307B2 (ja)
JP2003176384A (ja) きのこ類包装用フィルム
CA2491742A1 (en) Film with a gas barrier layer
JP2002060496A (ja) 樹脂組成物ペレットおよび成形物
JP2001139752A (ja) 樹脂組成物および積層体
JP5188006B2 (ja) 樹脂組成物およびそれを用いた多層構造体
JPH1149899A (ja) 炭酸ガス発生用樹脂成形体
WO2005005533A1 (ja) 酸素吸収性樹脂組成物
JPH1112379A (ja) 生分解樹脂発泡体
JP4226947B2 (ja) 多層包装体
KR100220781B1 (ko) 선택투과성 필름
JP2001347612A (ja) 多層構造体
US20060251838A1 (en) Multilayer container
JPH08300582A (ja) きのこ類包装用積層フィルム及びきのこ類包装体
JP2001080002A (ja) 積層包装材
JP2001079999A (ja) 積層包装材

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20041005