JPH1149771A - 新規クロマン誘導体および該化合物を含有する医薬 - Google Patents

新規クロマン誘導体および該化合物を含有する医薬

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JPH1149771A
JPH1149771A JP21080497A JP21080497A JPH1149771A JP H1149771 A JPH1149771 A JP H1149771A JP 21080497 A JP21080497 A JP 21080497A JP 21080497 A JP21080497 A JP 21080497A JP H1149771 A JPH1149771 A JP H1149771A
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chroman
imidazolinyl
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methylsulfonylamino
methoxy
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JP21080497A
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Inventor
Hiroyuki Yamashita
博之 山下
Junya Fujiwara
純也 藤原
Haruki Mori
春樹 森
Koichi Kawai
浩一 河合
Akihiro Koyabe
明広 小谷部
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Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 血圧上昇など副作用が少なく、尿失禁の治療
に有用な医薬品の提供。 【解決手段】一般式(1)で表される4−(2−イミダ
ゾリニル)−8−(アルキルスルホニルアミノ)クロマ
ン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分
とする尿失禁の治療および/または予防剤。 (式中、R1は炭素数1〜6の直鎖状あるいは分岐状ア
ルキル基を表し、R2は水素原子、水酸基、炭素数1〜
6のアルキルオキシ基を表す。) 【効果】 一般式(1)で表される化合物は、尿道平滑
筋に対して選択的な収縮作用を有しており、血圧上昇な
ど副作用が少なく、尿失禁の治療に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なクロマン誘
導体およびそれを含有する尿失禁治療薬に関する。
【0002】
【従来の技術】尿失禁は膀胱や尿道の働きによる尿の貯
留機能が障害され、尿の不随意な漏れを生ずる疾患であ
る。膀胱内圧に比して尿道抵抗の弱いことが原因とな
る。尿失禁は高齢者および30〜60歳代の女性に多
く、高齢化社会、女性の社会進出を考慮すると、尿失禁
治療薬の必要性が今後増大することは必至である。尿失
禁の従来の薬物療法には、例えばフラボキサートやオキ
シブチニンのように膀胱に作用してその収縮を抑制する
薬剤が使用されてきた。
【0003】一方、これらとは別の機序による薬剤とし
て、尿道閉鎖性を高める薬剤の有効性が検討されてき
た。尿道平滑筋にはα1アドレナリン受容体(以後、α1
受容体と表記する。)が多く分布しているため、例えば
昇圧剤ミドドリンなどのα1受容体作動薬が試用された
(泌尿器外科,5(12),1273,(1992))。しかしながら、こ
こで試用された用量は、低血圧治療のために昇圧作用を
目的に適用される用量と同じであり、尿道に対して選択
的な作用を有するものではなかった。
【0004】尿失禁治療薬として真に有用な薬剤となる
ためには血管平滑筋やその他の臓器に比べて尿道平滑筋
に対する収縮作用が選択的に強く、血圧上昇などの副作
用のないことが必要である。近年、α1受容体に数種類
のサブタイプが存在することが知られるようになり、臓
器により存在するサブタイプが異なることから臓器選択
性を有する薬剤を創製し得る可能性が示唆されている
(医学のあゆみ,176(10),662,(1996))。したがって尿
道平滑筋に多く存在するα1受容体サブタイプに選択的
に作用する薬剤を見い出すことができれば、副作用の少
ない尿失禁治療薬の開発が可能となる。
【0005】αアドレナリン受容体(以後、α受容体と
表記する。)作動薬に関しては、例えば、Journal of M
edicinal Chemistry,38,3415-3444,3631-3716,(1995)に
総説が記載されている。尿失禁治療に関するα1受容体
作動薬の先行技術としては、フェニルエタノールアミン
誘導体(特公平8-19084号公報)、テトラヒドロナフタ
レン誘導体[米国特許第4634705号,Journal of Medici
nal Chemistry,39,4116,(1996)]などがあり、後者で
は、アルキルスルホニルアミノ基を有するテトラヒドロ
ナフタレン誘導体として、2−(1,2,3,4−テト
ラヒドロ−6−ヒドロキシ−5−メチルスルホニルアミ
ノ−1−ナフタレニル)イミダゾリン、2−(1,2,
3,4−テトラヒドロ−6−メトキシ−5−メチルスル
ホニルアミノ−1−ナフタレニル)イミダゾリンが開示
されている。
【0006】α受容体に作用するイミダゾリニルクロマ
ン誘導体の先行技術として、特開昭59-130286号公報が
開示されている。この特許は本願と異なり、イミダゾリ
ニル基の置換位置がクロマン環の2位であり、さらにα
2アドレナリン受容体の選択的拮抗薬で、抗欝作用など
が記載されており、尿道選択性、尿失禁治療薬に関する
記述はない。
【0007】また、Journal of Medicinal Chemistry,2
9,1413,(1986)では、本願と同様に、イミダゾリニル基
の置換位置がクロマン環の4位である4−(2−イミダ
ゾリニル)クロマン誘導体が記載されている。しかしな
がら、7,8−ジメトキシ−4−(2−イミダゾリニ
ル)クロマンおよび7,8−ジヒドロキシ−4−(2−
イミダゾリニル)クロマンが開示されているのみで、ク
ロマン環上置換基として、アルキルスルホニルアミノ基
を有する誘導体の記載はなく、また薬理作用に関して
も、尿道選択性、尿失禁治療に関した記載はない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】尿道平滑筋に対して選
択的な収縮作用を有するα1受容体作動薬であり、血圧
上昇などの副作用が少なく、尿失禁の治療に有用な医薬
品を提供すること。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
解決のため鋭意検討する中で、4−(2−イミダゾリニ
ル)クロマンの8位にアルキルスルホニルアミノ基を導
入することにより、尿道平滑筋のα1受容体に選択的に
作用し、血圧上昇など副作用が少なく尿失禁の治療に有
用な新規化合物を見い出し、本発明を完成させた。すな
わち本発明は、 [1] 式(1)[化2]
【0010】
【化2】 (式中、R1は炭素数1〜6の直鎖状または分岐状アル
キル基を表し、R2は水素原子、水酸基、炭素数1〜6
のアルキルオキシ基を表す。)で表されるクロマン誘導
体およびその薬理学的に許容される塩であり、また、
【0011】[2] R2が水素原子、炭素数1〜6の
アルキルオキシ基を表す[1]記載のクロマン誘導体お
よびその薬理学的に許容される塩であり、また、
【0012】[3] R2が水素原子を表す[1]記載
のクロマン誘導体およびその薬理学的に許容される塩で
あり、また、
【0013】[4] R1がメチル基であり、R2が水素
原子を表す[1]記載のクロマン誘導体およびその薬理
学的に許容される塩であり、また、
【0014】[5] [1]、[2]、[3]もしくは
[4]記載のクロマン誘導体およびその薬理学的に許容
される塩を有効成分とする医薬用組成物であり、また、
【0015】[6] [1]、[2]、[3]もしくは
[4]記載のクロマン誘導体またはその薬理学的に許容
される塩を有効成分とする、尿失禁の治療および/また
は予防剤である。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
一般式(1)[化3]において、
【0017】
【化3】 炭素数1〜6の直鎖状アルキル基とは、メチル、エチ
ル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘ
キシル基である。
【0018】炭素数1〜6の分岐状アルキル基として
は、イソプロピル、シクロプロピル、2−メチルプロピ
ル、1−メチルプロピル、t−ブチル、シクロブチル、
シクロペンチル、3-メチルブチル、2−メチルブチ
ル、1-メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、
1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピ
ル、
【0019】シクロヘキシル、4-メチルペンチル、3
−メチルペンチル、2−メチルペンチル、1−メチルペ
ンチル、1,2,2−トリメチルプロピル、1,1,2
−トリメチルプロピル、1,1−ジメチルブチル、2,
2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,3
−ジメチルブチル基等を例示できる。
【0020】炭素数1〜6のアルキルオキシ基とは、炭
素数1〜6の直鎖状、分岐状または環状のアルキルオキ
シ基を表し、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキ
シ、n−ブチルオキシ、n−ペンチルオキシ、n−ヘキ
シルオキシ、イソプロピルオキシ、2−メチルプロピル
オキシ、1−メチルプロピルオキシ、t−ブチルオキ
シ、3−メチルブチルオキシ、2−メチルブチルオキ
シ、1−メチルブチルオキシ、1,2−ジメチルプロピ
ルオキシ、1,1−ジメチルプロピルオキシ、2,2−
ジメチルプロピルオキシ、4−メチルペンチルオキシ、
3−メチルペンチルオキシ、2−メチルペンチルオキ
シ、1−メチルペンチルオキシ、1,2,2−トリメチ
ルプロピルオキシ、1,1,2−トリメチルプロピルオ
キシ、1,1−ジメチルブチルオキシ、2,2−ジメチ
ルブチルオキシ、1,3−ジメチルブチルオキシ、2,
3−ジメチルブチルオキシ、シクロプロピルオキシ、シ
クロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキ
シルオキシ等の基が例示できる。
【0021】本発明の一般式(1)で表される化合物に
おいて、分子内に不斉炭素を有する場合には、これらの
不斉炭素に関してR配置、S配置のいずれの光学異性体
も本発明に包含される。以下に一般式(1)に含まれる
化合物を以下に具体的に例示するが、本発明はこれらに
限定されることはない。
【0022】(1)4−(2−イミダゾリニル)−8−
(メチルスルホニルアミノ)クロマン (2)4−(2−イミダゾリニル)−7−ヒドロキシ−
8−(メチルスルホニルアミノ)クロマン (3)4−(2−イミダゾリニル)−7−メトキシ−8
−(メチルスルホニルアミノ)クロマン (4)4−(2−イミダゾリニル)−7−エトキシ−8
−(メチルスルホニルアミノ)クロマン (5)4−(2−イミダゾリニル)−7−n−プロピル
オキシ−8−(メチルスルホニルアミノ)クロマン
【0023】(6)4−(2−イミダゾリニル)−7−
イソプロピルオキシ−8−(メチルスルホニルアミノ)
クロマン (7)4−(2−イミダゾリニル)−7−シクロプロピ
ルオキシ−8−(メチルスルホニルアミノ)クロマン (8)4−(2−イミダゾリニル)−7−n−ブチルオ
キシ−8−(メチルスルホニルアミノ)クロマン (9)4−(2−イミダゾリニル)−7−イソブチルオ
キシ−8−(メチルスルホニルアミノ)クロマン (10)4−(2−イミダゾリニル)−7−t−ブチル
オキシ−8−(メチルスルホニルアミノ)クロマン
【0024】(11)4−(2−イミダゾリニル)−7
−シクロブチルオキシ−8−(メチルスルホニルアミ
ノ)クロマン (12)4−(2−イミダゾリニル)−7−n−ペンチ
ルオキシ−8−(メチルスルホニルアミノ)クロマン (13)4−(2−イミダゾリニル)−7−シクロペン
チルオキシ−8−(メチルスルホニルアミノ)クロマン (14)4−(2−イミダゾリニル)−7−(3−メチ
ルブチルオキシ)−8−(メチルスルホニルアミノ)ク
ロマン (15)4−(2−イミダゾリニル)−7−n−ヘキシ
ルオキシ−8−(メチルスルホニルアミノ)クロマン
【0025】(16)4−(2−イミダゾリニル)−7
−シクロヘキシルオキシ−8−(メチルスルホニルアミ
ノ)クロマン (17)4−(2−イミダゾリニル)−8−(エチルス
ルホニルアミノ)クロマン (18)4−(2−イミダゾリニル)−7−ヒドロキシ
−8−(エチルスルホニルアミノ)クロマン (19)4−(2−イミダゾリニル)−7−メトキシ−
8−(エチルスルホニルアミノ)クロマン (20)4−(2−イミダゾリニル)−7−エトキシ−
8−(エチルスルホニルアミノ)クロマン
【0026】(21)4−(2−イミダゾリニル)−7
−n−プロピルオキシ−8−(エチルスルホニルアミ
ノ)クロマン (22)4−(2−イミダゾリニル)−7−イソプロピ
ルオキシ−8−(エチルスルホニルアミノ)クロマン (23)4−(2−イミダゾリニル)−7−シクロプロ
ピルオキシ−8−(エチルスルホニルアミノ)クロマン (24)4−(2−イミダゾリニル)−7−n−ブチル
オキシ−8−(エチルスルホニルアミノ)クロマン (25)4−(2−イミダゾリニル)−7−イソブチル
オキシ−8−(エチルスルホニルアミノ)クロマン
【0027】(26)4−(2−イミダゾリニル)−7
−t−ブチルオキシ−8−(エチルスルホニルアミノ)
クロマン (27)4−(2−イミダゾリニル)−7−シクロブチ
ルオキシ−8−(エチルスルホニルアミノ)クロマン (28)4−(2−イミダゾリニル)−7−n−ペンチ
ルオキシ−8−(エチルスルホニルアミノ)クロマン (29)4−(2−イミダゾリニル)−7−シクロペン
チルオキシ−8−(エチルスルホニルアミノ)クロマン (30)4−(2−イミダゾリニル)−7−(2−メチ
ルブチルオキシ)−8−(エチルスルホニルアミノ)ク
ロマン
【0028】(31)4−(2−イミダゾリニル)−7
−n−ヘキシルオキシ−8−(エチルスルホニルアミ
ノ)クロマン (32)4−(2−イミダゾリニル)−7−シクロヘキ
シルオキシ−8−(エチルスルホニルアミノ)クロマン (33)4−(2−イミダゾリニル)−8−(n−プロ
ピルスルホニルアミノ)クロマン (34)4−(2−イミダゾリニル)−7−シクロプロ
ピルオキシ−8−(n−プロピルスルホニルアミノ)ク
ロマン (35)4−(2−イミダゾリニル)−7−メトキシ−
8−(イソプロピルスルホニルアミノ)クロマン
【0029】(36)4−(2−イミダゾリニル)−7
−n−ブチルオキシ−8−(イソプロピルスルホニルア
ミノ)クロマン (37)4−(2−イミダゾリニル)−7−エトキシ−
8−(シクロプロピルスルホニルアミノ)クロマン (38)4−(2−イミダゾリニル)−7−イソブチル
オキシ−8−(シクロプロピルスルホニルアミノ)クロ
マン (39)4−(2−イミダゾリニル)−7−メトキシ−
8−(n−ブチルスルホニルアミノ)クロマン (40)4−(2−イミダゾリニル)−7−t−ブチル
オキシ−8−(n−ブチルスルホニルアミノ)クロマン
【0030】(41)4−(2−イミダゾリニル)−8
−(イソブチルスルホニルアミノ)クロマン (42)4−(2−イミダゾリニル)−7−シクロブチ
ルオキシ−8−(イソブチルスルホニルアミノ)クロマ
ン (43)4−(2−イミダゾリニル)−7−エトキシ−
8−(t−ブチルスルホニルアミノ)クロマン (44)4−(2−イミダゾリニル)−7−n−ペンチ
ルオキシ−8−(t−ブチルスルホニルアミノ)クロマ
ン (45)4−(2−イミダゾリニル)−7−シクロペン
チルオキシ−8−(シクロブチルスルホニルアミノ)ク
ロマン
【0031】(46)4−(2−イミダゾリニル)−8
−(n−ペンチルスルホニルアミノ)クロマン (47)4−(2−イミダゾリニル)−7−エトキシ−
8−(n−ペンチルスルホニルアミノ)クロマン (48)4−(2−イミダゾリニル)−7−(1−メチ
ルブチルオキシ)−8−(n−ペンチルスルホニルアミ
ノ)クロマン (49)4−(2−イミダゾリニル)−7−n−ヘキシ
ルオキシ−8−(シクロペンチルスルホニルアミノ)ク
ロマン (50)4−(2−イミダゾリニル)−7−メトキシ−
8−(3−メチルブチルスルホニルアミノ)クロマン
【0032】(51)4−(2−イミダゾリニル)−7
−シクロヘキシルオキシ−8−(2−メチルブチルスル
ホニルアミノ)クロマン (52)4−(2−イミダゾリニル)−7−メトキシ−
8−(n−ヘキシルスルホニルアミノ)クロマン (53)4−(2−イミダゾリニル)−8−(シクロヘ
キシルスルホニルアミノ)クロマン (54)4−(2−イミダゾリニル)−7−エトキシ−
8−(シクロヘキシルスルホニルアミノ)クロマン
【0033】本発明の式(1)の化合物は、必要に応じ
て薬理的に許容される塩とすることができ、例えば塩
酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸などの無機酸または酢
酸、クエン酸、マレイン酸、フマル酸、蓚酸、リンゴ
酸、酒石酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、
p-トルエンスルホン酸などの有機酸との塩が挙げられ
る。
【0034】次に本発明の化合物の製造方法について説
明する。式(1)の化合物は、例えば下記のような方法
で製造することができる。 [工程1] 一般式(2)[化4]
【0035】
【化4】 (式中、R2は前記の定義と同義。)で表される8−ニ
トロ−4−クロマノン誘導体をシアノ化剤と反応させた
後、脱水することにより、一般式(3)[化5]
【0036】
【化5】 で表される4−シアノ−3,4−デヒドロクロマン誘導
体を得ることができる。シアノ化剤としては、例えばシ
アン化リチウム、シアン化ナトリウム、シアン化カリウ
ム、トリメチルシリルシアニドなどを挙げることができ
る。
【0037】出発物質の4−クロマノン誘導体の合成法
は、例えば、総説[G.P.Ellis:THECHEMISTRY OF HETERO
CYCLIC COMPOUNDS,vol.31,CHROMENES,CHROMANONES AND
CHROMONES,JOHN WILEY & SONS(1977)]に記載されてい
る。 [工程2] 工程1で得た一般式(3)で表される化合
物を還元することにより、一般式(4)[化6]
【0038】
【化6】 で表される8−アミノ−4−シアノクロマン誘導体を得
ることができる。
【0039】還元条件としては、鉄、亜鉛、錫などの金
属を用いた酸性条件での還元、パラジウム付活性炭(以
下、Pd/Cと表記する。)などの触媒を用いた接触水
素添加反応などが利用できる。 [工程3] 工程2で得た一般式(4)で表される化合
物をアルキルスルホニル化剤と反応させ、一般式(5)
[化7]
【0040】
【化7】 で表される4−シアノ−8−(アルキルスルホニルアミ
ノ)クロマン誘導体を得ることができる。
【0041】アルキルスルホニル化剤としては、アルキ
ルスルホニルクロリド、無水アルキルスルホン酸などを
使用できる。この反応を促進させる塩基としては、例え
ばピリジン、トリエチルアミンなどの有機塩基、炭酸カ
リウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム、水酸化リチウムなどの無機塩基を挙げることが
できる。 [工程4] 工程3で得た一般式(5)をアルコール溶
媒中、塩酸ガスと反応させイミデートに変換後、エチレ
ンジアミンと反応させ、一般式(6)[化8]
【0042】
【化8】 で表される4−(2−イミダゾリニル)−8−(アルキ
ルスルホニルアミノ)クロマン誘導体を得ることができ
る。
【0043】本発明の一般式(1)で表される化合物に
おいて、分子内に不斉炭素を有する場合の光学活性体の
製造方法としては、ラセミ体の光学分割法、不斉合成法
などが挙げられる。光学分割法としては、光学分割剤を
用いる方法、キラルカラムクロマトグラフィーを用いる
方法などが挙げられる。
【0044】一般式(1)で表される本発明化合物は、
尿道のα1受容体に選択的に作用し、血圧上昇などの副
作用が少なく、尿失禁の治療および/または予防に有用
である。本発明の前記一般式(1)の化合物およびその
薬理学的に許容される塩を尿失禁の治療に用いる場合、
経口的または非経口的に投与することができる。投与に
あたっては、これらの化合物を1種または2種以上混合
してもよい。その剤形は、有効成分として用いる本発明
の化合物の物性により異なる。
【0045】製剤化は公知の方法によって可能である。
剤形としては、各種の形態が治療目的に応じて選択で
き、その代表的なものとして固形製剤、液剤、その他坐
剤等が挙げられる。具体的には、次のような各種製剤で
ある。すなわち、固形製剤としては、錠剤、丸剤、散
剤、顆粒剤、カプセル剤等、液剤としては、溶液として
の注射剤の他、懸濁剤、シロップ剤、乳剤等、その他の
製剤としては、坐剤等である。
【0046】錠剤の形態に成形するに際しては、担体と
してこの分野で従来よりよく知られている各種のものを
広く使用することができる。その例としては、乳糖、白
糖、ブドウ糖、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオ
リン、結晶セルロース、ケイ酸等の賦形剤、水、エタノ
ール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプ
ン液、ゼラチン溶液、セラック溶液、メチルセルロース
溶液、ヒドロキシプロピルセルロース溶液、ポリビニル
ピロリドン溶液、カルボキシメチルセルロース溶液等の
結合剤、
【0047】乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カ
ンテン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリ
オキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル
硫酸ナトリウム、ステアリン酸グリセリド、デンプン、
乳糖等の崩壊剤、白糖、ステアリン酸、カカオバター、
水素添加油等の崩壊抑制剤、第4級アンモニウム塩基、
ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤、グリセリン、
デンプン等の保湿剤、デンプン、乳糖、カオリン、ベン
トナイト、コロイド状ケイ酸、結晶性セルロース、軽質
無水ケイ酸等の吸着剤、タルク、ステアリン酸塩、ホウ
酸末、ポリエチレングリコール等の滑沢剤等である。
【0048】さらに錠剤の場合、必要に応じ通常の剤皮
を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被
錠、フィルムコーティング錠あるいは二層錠、多層錠と
することができる。
【0049】丸剤の形態に成形するに際しては、担体と
して従来この分野で公知のものを広く使用できる。その
例としては、例えば乳糖、デンプン、結晶セルロース、
カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルク等の賦形剤、
アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン等の結合剤、
カルメロースカルシウム、カンテン等の崩壊剤等を挙げ
ることができる。
【0050】カプセル剤は、常法に従い通常有効成分化
合物を上記で例示した各種の担体と混合して硬質ゼラチ
ンカプセル、軟質カプセル等に充填して調製される。
【0051】注射剤として調製する場合、液剤、乳剤お
よび懸濁剤の形態に成形するに際しては、希釈剤として
この分野において汎用されているもの、例えば水、エタ
ノール、マクロゴール、プロピレングリコール、エトキ
シ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステ
アリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪
酸エステル類、綿実油、トウモロコシ油、ラッカセイ
油、オリーブ油等が使用できる。さらに本発明の化合物
に水を加え、適切な界面活性剤の存在下に懸濁性水溶
液、さらにはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(HCO-6
0)、ポリソルベート80、ポリエチレングリコール等の
界面活性剤を用いた乳濁液として調製することができ
る。なお、食塩、ブドウ糖あるいはグリセリンを医薬製
剤中に含有させてもよく、また通常の溶解補助剤、緩衝
剤、無痛化剤等を添加してもよい。
【0052】坐剤の形態に成形するに際しては、担体と
して従来公知のものを広く使用することができる。その
例としては、ポリエチレングリコール、カカオ脂、高級
アルコール、高級アルコールのエステル類、ゼラチン、
半合成グリセライド等を挙げることができる。
【0053】さらに必要に応じて着色剤、保存剤、香
料、風味剤、甘味剤等や他の医薬品を医薬製剤中に含有
させることもできる。
【0054】本発明のこれら医薬製剤の投与方法は特に
制限はなく、各種製剤形態、患者の年齢、性別その他の
条件、疾患の程度に応じた方法で投与される。例えば、
錠剤、丸剤、液剤、懸濁剤、乳剤、散剤、顆粒剤、シロ
ップ剤およびカプセル剤の場合には経口投与される。注
射剤の場合には、単独でまたはブドウ糖、アミノ酸等の
通常の補液と混合して静脈内投与され、さらに必要に応
じて筋肉内、皮下または腹腔内投与される。坐剤の場合
は直腸内投与される。
【0055】本発明のこれら医薬製剤の投与量は、用
法、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度により
適宜選択されるが、通常有効成分化合物の量が1日当た
り成人1日当たり、0.001〜1,000mg程度とするのがよ
い。また投与単位形態の製剤中には有効成分化合物が約
0.001〜1,000mgの範囲で含有されることが望ましい。
【0056】本発明の一般式(1)の化合物をイヌに静
脈内投与したところ、いずれの化合物の場合にも特に毒
性は認められなかった。以下に、本発明の実施例、製剤
例および試験例を記載するが、本発明はこれらに限定さ
れるものではない。
【0057】
【実施例】以下に本発明の製造実施例および試験例を記
載するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 実施例1: 4−(2−イミダゾリニル)−8−(メチ
ルスルホニルアミノ)クロマン・塩酸塩の合成(例示化
合物No.1の塩酸塩) [工程1−1] 4−シアノ−3,4−デヒドロ−8−
ニトロクロマンの合成 出発物質の8−ニトロ−4−クロマノンは、D.CHAKRAVA
RTI:J.Indian.Chem.Soc.,16,639(1939)に従い合成し
た。
【0058】窒素雰囲気下、8−ニトロ−4−クロマノ
ン(3.15g)のTHF(60ml)溶液に、シアン
化リチウムの0.5MDMF溶液(22ml)およびジエチ
ルシアノホスホン酸(6.7ml)を約5℃で滴下し
た。そのまま5℃で2時間攪拌後、10℃で12時間放
置した。
【0059】反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣をエチ
ルエーテル−酢酸エチル(2:1)/水で分液し、有機
層を濃縮した。残渣をトルエン(450ml)に溶解
し、p−トルエンスルホン酸・1水和物(0.9g)を
加え、100℃で2時間加熱攪拌した。
【0060】放冷後、反応混合物を濃縮し残渣を酢酸エ
チルに溶解し、5%水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し
た。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム
で乾燥後、減圧下で濃縮、残渣をエチルエーテルから再
結晶することにより、4−シアノ−3,4−デヒドロ−
8−ニトロクロマン1.32gを褐色結晶として得た。 融点:150-152℃1 H-NMR(270MHz,CDCl3)δppm:5.12(d,2H),6.70(t,1H),7.
07-7.13(m,1H),7.56-7.59(m,1H),7.82-7.86(m,1H)
【0061】[工程1−2] 4−シアノ−8−ニトロ
クロマンの合成 工程1−1で得た4−シアノ−3,4−デヒドロ−8−
ニトロクロマン(1.32g)をエタノール(35m
l)に懸濁し、室温で水素化ホウ素ナトリウム(0.2
5g)を加えた。
【0062】室温で10分間攪拌後、反応液を1N塩酸
で処理し、クロロホルムで2度抽出した。合わせた有機
層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で濃縮する
ことにより、4−シアノ−8−ニトロクロマン1.3g
を褐色油状物として得た。1 H-NMR(270MHz,CDCl3)δppm:2.37-2.51(m,2H),4.12(t,1
H),4.38-4.55(m,2H),7.06(t,1H),7.54-7.57(m,1H),7.80
-7.83(m,1H)
【0063】[工程1−3] 4−シアノ−8−アミノ
クロマンの合成 工程1−2で得た4−シアノ−8−ニトロクロマン
(1.3g)および還元鉄(1.1g)を50%エタノ
ール水溶液(40ml)に懸濁し、5分間加熱還流し
た。室温にまで冷却後、濃塩酸(0.4ml)を含む5
0%エタノール水溶液(3ml)を滴下した。1時間加
熱還流後、5%水酸化ナトリウム水溶液でアルカリ性と
し、不溶物をろ過した。ろ液をクロロホルムで3度抽出
し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で濃縮するこ
とにより、4−シアノ−8−アミノクロマン0.85g
を褐色油状物として得た。1 H-NMR(270MHz,CDCl3)δppm:2.29-2.37(m,2H),4.00(t,1
H),4.26-4.43(m,2H),6.61-6.70(m,3H)
【0064】[工程1−4] 4−シアノ−8−(メチ
ルスルホニルアミノ)クロマンの合成 工程1−3で得た4−シアノ−8−アミノクロマン
(0.85g)をジクロロメタン(20ml)に溶解
し、氷冷下でメタンスルホニルクロリド(0.6ml)
およびトリエチルアミン(1.4ml)を加えた。
【0065】12時間室温で放置後、反応混合物を飽和
重曹水で洗浄し、クロロホルムで2度抽出した。有機層
を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で濃縮し、残渣
をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘ
キサン=1/3)で精製することにより、4−シアノ−
8−(メチルスルホニルアミノ)クロマン0.32gを
褐色半固体として得た。1 H-NMR(270MHz,CDCl3)δppm:2.35-2.42(m,2H),3.00(S,3
H),4.04-4.14(m,1H),4.35-4.43(m,2H),6.98(t,1H),7.10
-7.13(m,1H),7.48-7.51(m,1H)
【0066】[工程1−5] 4−(2−イミダゾリニ
ル)−8−(メチルスルホニルアミノ)クロマンの合成 工程1−4で得た4−シアノ−8−(メチルスルホニル
アミノ)クロマン(0.32g)のエタノール(20m
l)−ジクロロメタン(10ml)溶液に、氷冷下で塩
酸ガスを飽和するまで吹き込んだ。室温で12時間放置
後、反応混合物を減圧下で濃縮し、褐色油状物0.46
gを得た。これをエタノール(20ml)に溶解し、氷
冷下でエチレンジアミン(0.87ml)を滴下した。
【0067】室温で12時間放置後、反応混合物を濃縮
し、残渣をクロロホルムに溶解し、水洗した。有機層を
無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で濃縮し、残渣の
黄色アモルファスをエタノールから再結晶することによ
り、4−(2−イミダゾリニル)−8−(メチルスルホ
ニルアミノ)クロマン0.14gを白色固体として得
た。1 H-NMR(270MHz,DMSO-d6)δppm:2.00-2.17(m,2H),2.93
(s,3H),3.38-3.49(m,4H),3.74(t,1H),4.19-4.41(m,2H),
6.78(t,1H),7.00-7.12(m,2H) MS(APCI):m/e=296
【0068】[工程1−6] 4−(2−イミダゾリニ
ル)−8−(メチルスルホニルアミノ)クロマン・塩酸
塩の合成 工程1−5で得た4−(2−イミダゾリニル)−8−
(メチルスルホニルアミノ)クロマン0.14gをエタ
ノール(5ml)に懸濁し、氷冷下1N塩酸エタノール
溶液(1.4ml)を滴下し、そのまま30分間攪拌し
た。室温で12時間放置後、反応混合物を減圧下で濃縮
し、残渣を乾燥することにより、4−(2−イミダゾリ
ニル)−8−(メチルスルホニルアミノ)クロマン・塩
酸塩0.12gを褐色アモルファスとして得た。1 H-NMR(270MHz,DMSO-d6)δppm:2.27-2.29(m,2H),2.98
(s,3H),3.88(s,4H),4.26-4.36(m,3H),6.87-6.98(m,2H),
7.22-7.25(m,1H)
【0069】実施例2: 4−(2−イミダゾリニル)
−7−メトキシ−8−(メチルスルホニルアミノ)クロ
マン・塩酸塩の合成(例示化合物No.3の塩酸塩) 出発物質の7−メトキシ−8−ニトロ−4−クロマノン
は、3−[(3−メトキシ−2−ニトロフェニル)オキ
シ]プロピオン酸から、実施例1・工程1−1記載の方
法に従い合成した。また、3−[(3−メトキシ−2−
ニトロフェニル)オキシ]プロピオン酸は、公知の方法
[M.S.CARPENTER:J.Org.Chem.,16,586(1951)]に従い合
成した3−メトキシ−2−ニトロフェノールおよび3−
ブロモプロピオン酸から公知の方法に従い合成した。
【0070】[工程2−1] 4−シアノ−3,4−デ
ヒドロ−7−メトキシ−8−ニトロクロマンの合成 7−メトキシ−8−ニトロ−4−クロマノン(3.78
g)を出発原料にし、実施例1・工程1−1と同様の方
法で、操作することにより4−シアノ−3,4−デヒド
ロ−7−メトキシ−8−ニトロクロマン2.72gを固
体として得た。 1 H-NMR(270MHz,DMSO-d6)δppm:3.90(s,3H),5.10(d,2H),
6.90-6.95(m,2H),7.34(d,1H)
【0071】[工程2−2] 4−シアノ−7−メトキ
シ−8−ニトロクロマンの合成 工程2−1で得た4−シアノ−3,4−デヒドロ−7−
メトキシ−8−ニトロクロマン(2.67g)を実施例
1・工程1−2と同様の方法で、操作することにより、
4−シアノ−7−メトキシ−8−ニトロクロマン2.6
5gを固体として得た。1 H-NMR(270MHz,DMSO-d6)δppm:2.28-2.32(m,2H),3.87
(s,3H),4.29-4.35(m,2H),4.49(m,1H),6.92(d,1H),7.50
(d,1H)
【0072】[工程2−3] 4−シアノ−7−メトキ
シ−8−アミノクロマンの合成 工程2−2で得た4−シアノ−7−メトキシ−8−ニト
ロクロマン(2.52g)をメタノール(120ml)
に溶解し、10%Pd/C(50%含水品)0.5gの
存在下、室温で常圧水素添加反応を行った。反応後触媒
をろ別し、ろ液を濃縮することにより、4−シアノ−7
−メトキシ−8−アミノクロマン2.19gを油状物と
して得た。1 H-NMR(270MHz,DMSO-d6)δppm:2.11-2.41(m,2H),3.87
(s,3H),4.21-4.30(m,2H),4.45(t,1H),6.92(d,1H),7.49
(d,1H)
【0073】[工程2−4] 4−シアノ−7−メトキ
シ−8−(メチルスルホニルアミノ)クロマンの合成 工程2−3で得た4−シアノ−7−メトキシ−8−アミ
ノクロマン(2.17g)を実施例1・工程1−4と同
様の方法で操作することにより、4−シアノ−7−メト
キシ−8−(メチルスルホニルアミノ)クロマン0.9
8gをアモルファスとして得た。1 H-NMR(270MHz,DMSO-d6)δppm:2.20-2.23(m,2H),3.01
(s,3H),3.79(s,3H),4.21-4.27(m,2H),4.39(t,1H),6.70
(d,1H),7.20(d,1H)
【0074】[工程2−5] 4−(2−イミダゾリニ
ル)−7−メトキシ−8−(メチルスルホニルアミノ)
クロマンの合成 工程2−4で得た4−シアノ−7−メトキシ−8−(メ
チルスルホニルアミノ)クロマンを出発原料にし、実施
例1・工程1−5と同様の方法で、4−(2−イミダゾ
リニル)−7−メトキシ−8−(メチルスルホニルアミ
ノ)クロマン0.7gを得た。1 H-NMR(270MHz,DMSO-d6)δppm:1.96-2.18(m,2H),3.00
(s,3H),3.38-3.50(m,4H),3.67-3.70(m,1H),3.74(s,3H),
4.13-4.38(m,2H),6.57(d,1H),7.03(d,1H)
【0075】[工程2−6] 4−(2−イミダゾリニ
ル)−7−メトキシ−8−(メチルスルホニルアミノ)
クロマン・塩酸塩の合成 工程2−5で得た4−(2−イミダゾリニル)−7−メ
トキシ−8−(メチルスルホニルアミノ)クロマン0.
65gを1N塩酸エタノールで処理することにより、4
−(2−イミダゾリニル)−7−メトキシ−8−(メチ
ルスルホニルアミノ)クロマン・塩酸塩0.67gをア
モルファスとして得た。1 H-NMR(270MHz,DMSO-d6)δppm:2.16-2.26(m,2H),3.04
(s,3H),3.80(s,3H),3.88(s,4H),4.20-4.22(m,3H),6.69
(d,1H),7.02(d,1H) MS(APCI):m/e=326
【0076】実施例3: 4−(2−イミダゾリニル)
−7−ヒドロキシ−8−(メチルスルホニルアミノ)ク
ロマン・塩酸塩の合成(例示化合物No.2の塩酸塩) 実施例2で得た4−(2−イミダゾリニル)−7−メト
キシ−8−(メチルスルホニルアミノ)クロマン・塩酸
塩(0.5g)をジクロロメタン(15ml)に懸濁
し、−78℃に冷却した。次に、三臭化ホウ素(2.2
ml;1Mジクロロメタン溶液)を滴下し、30分攪拌
した後、0℃まで昇温した。
【0077】10分後、反応混合物を再び−78℃まで
冷却し、メタノール(40ml)をゆっくりと加えた。
滴下終了後、室温まで昇温し、反応混合物を濃縮乾固
後、残渣をメタノールに溶かし、ベンゼンを加えてさら
に濃縮乾固した。残渣にエチルエーテルを加え、析出物
をろ取し、乾燥することにより4−(2−イミダゾリニ
ル)−7−ヒドロキシ−8−(メチルスルホニルアミ
ノ)クロマン・塩酸塩0.44gを白色アモルファスと
して得た。1 H-NMR(270MHz,DMSO-d6)δppm:2.16-2.24(m,2H),3.05
(s,3H),3.87(s,4H),4.12-4.20(m,3H),6.53(d,1H),6.85
(d,1H) MS(APCI):m/e=312
【0078】製剤例1: 4−(2−イミダゾリニル)
−8−(メチルスルホニルアミノ)クロマン・塩酸塩
(実施例1)を有効成分とする錠剤 本発明化合物90g、乳糖45g、トウモロコシデンプ
ン30gおよび結晶セルロース30gをよく混合し、こ
れをヒドロキシプロピルセルロース10gを水に溶解し
た液で練合造粒し、50℃で4時間乾燥した。これにス
テアリン酸マグネシウム4gを加えて混合し、打錠機で
直径7mmの錠剤に圧縮製錠した。
【0079】製剤例2: 4−(2−イミダゾリニル)
−7−ヒドロキシ−8−(メチルスルホニルアミノ)ク
ロマン・塩酸塩(実施例3)を有効成分とする注射剤 本発明化合物0.6gをとり、0.9%生理食塩水10
mlに溶かし、ろ過除菌し、10mlアンプルに封入し
て注射剤とした。
【0080】試験例1: 尿道および頚動脈平滑筋に対
する作用 1−a.尿道平滑筋に対する作用 雄性ウサギ(体重2.0-3.5kg)を使用して実験を行っ
た。動物をペントバルビタール(40 mg/kg,i.v.)麻酔
下に放血致死させ、尿道平滑筋を摘出した。標本はKreb
s-Henseleit溶液(37℃、混合ガス通気)中に1gの負荷
をかけて懸垂した。被験薬を累積的に適用し、標本を収
縮させることにより濃度−反応曲線を得、その濃度−反
応曲線よりEC50値を算出した。
【0081】本発明化合物としては、4−(2−イミダ
ゾリニル)−8−(メチルスルホニルアミノ)クロマン
・塩酸塩(化合物番号1、実施例1の化合物)を使用し
た。本発明化合物の尿道平滑筋作用は強力であり、EC50
値は1.1μMであった。α1受容体作動作用を有する血管
収縮薬のフェニレフリンのEC50値は6.8μMであり、本発
明化合物の方が6倍以上高活性であった。
【0082】またα1受容体の選択的遮断薬であるプラ
ゾシン0.1μMを前処置することにより、本発明化合物の
濃度−反応曲線は14倍高濃度側に平行シフトした。本試
験結果より、本発明化合物はα1受容体に作用すること
により強力な尿道収縮作用を有することが明らかであ
る。
【0083】1−b.頚動脈平滑筋に対する作用 雌雄ビーグルイヌ(体重10〜12kg)を用いて実験を行っ
た。動物をペントバルビタール(30mg/kg,i.v.)麻酔下
に放血致死させ、頚動脈を摘出した。標本はKrebs-Hens
eleit溶液(37℃、混合ガス通気)中に1gの負荷をかけ
て懸垂した。
【0084】試験化合物を累積的に適用し、標本を収縮
させることにより濃度−反応曲線を得、その濃度−反応
曲線よりEC50値を算出した。その結果、4−(2−イミ
ダゾリニル)−8−(メチルスルホニルアミノ)クロマ
ン・塩酸塩(化合物番号1、実施例1の化合物)および
α1受容体作動作用を有する血管収縮薬のフェニレフリ
ンのEC50値はそれぞれ52μM、6.8μMであった。試験例
1−aで述べた尿道平滑筋におけるEC50値との比をとる
ことにより尿道選択性を求めた。結果を表−1[表1]
に示す。
【0085】
【表1】表−1: In vitro 臓器選択性試験 本発明化合物は47倍もの尿道選択性を有しており、この
値はフェニレフリンの約120倍も高い。本発明化合物の
尿失禁治療薬としての有用性が明らかである。
【0086】試験例2: 尿道内圧および血圧に対する
作用 体重11〜13kgの雄性ビーグルイヌを用いて実験を行っ
た。動物をペントバルビタール(30mg/kg, i.v.)麻酔
下に背位に保定した。膀胱内貯留尿の尿道内圧への影響
を防ぐため尿道カテーテルにより尿を排出した。生理食
塩液を満たしたバルーンカテーテルを尿道内に挿入し、
近位尿道部の尿道内圧を測定した。また大腿動脈に血圧
測定用カニューレを挿入し、血圧を測定した。
【0087】試験化合物は大腿静脈より静脈内投与し
た。全ての個体において、まずフェニレフリン(10μg/
kg, i.v.)投与による尿道内圧および血圧の上昇反応を
確認し、次に各用量における試験化合物の作用を測定し
た。各動物毎の反応のばらつきを補正するため、試験化
合物の作用の大きさはフェニレフリン10μg/kgの作用の
大きさを100%として標準化した。被験薬の用量−反応曲
線から100%作用用量を求め、その比から尿道選択性を算
出した。結果を表−2[表2]に示す。
【0088】
【表2】表−2: In vivo 臓器選択性試験
【0089】比較対照化合物1、2、3および開示され
ている文献は以下の通りである。 比較対照化合物1: 2−(1,2,3,4−テトラヒ
ドロ−6−ヒドロキシ−5−メチルスルホニルアミノ−
1−ナフタレニル)イミダゾリン・塩酸塩[Journal of
Medicinal Chemistry,39,4116,(1996)] 比較対照化合物2: 4−(2−イミダゾリニル)−
7,8−ジメトキシクロマン・塩酸塩[Journal of Med
icinal Chemistry,29,1413(1986)] 比較対照化合物3: 4−(2−イミダゾリニル)−
7,8−ジヒドロキシクロマン・塩酸塩[Journal of M
edicinal Chemistry,29,1413(1986)]
【0090】本発明のメタンスルホニルアミノ基を有す
るクロマン誘導体である実施例1、2および3の化合物
はいずれも2.4倍から7.5倍の高い尿道内圧選択性を有す
ることが分かった。一方、メチルスルホニルアミノ基を
有するテトラヒドロナフタレン骨格の比較対照化合物1
およびジヒドロキシクロマン骨格の比較対照化合物3の
尿道内圧選択性はそれぞれ1.4倍、0.23倍と低く、また
ジメトキシクロマン骨格の比較対照化合物2の尿道内圧
に対する作用はフェニレフリンの1/100以下と極端に弱
かった。これらの化合物と比較すると、本発明化合物の
尿失禁治療薬としての有用性は一層明らかである。
【0091】
【発明の効果】以上のように本発明化合物は、尿道平滑
筋に対して選択的な収縮作用を有するα1受容体作動薬
であり、血圧上昇など副作用が少なく、尿失禁の治療お
よび/または予防に極めて有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河合 浩一 千葉県茂原市東郷1900番地の1 三井東圧 化学株式会社内 (72)発明者 小谷部 明広 千葉県茂原市東郷1900番地の1 三井東圧 化学株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1)[化1] 【化1】 (式中、R1は炭素数1〜6の直鎖状または分岐状アル
    キル基を表し、R2は水素原子、水酸基、炭素数1〜6
    のアルキルオキシ基を表す。)で表されるクロマン誘導
    体およびその薬理学的に許容される塩。
  2. 【請求項2】 R2が水素原子、炭素数1〜6のアルキ
    ルオキシ基を表す請求項1記載のクロマン誘導体および
    その薬理学的に許容される塩。
  3. 【請求項3】 R2が水素原子を表す請求項1記載のク
    ロマン誘導体およびその薬理学的に許容される塩。
  4. 【請求項4】 R1がメチル基であり、R2が水素原子を
    表す請求項1記載のクロマン誘導体およびその薬理学的
    に許容される塩。
  5. 【請求項5】 請求項1、2、3もしくは4記載のクロ
    マン誘導体およびその薬理学的に許容される塩を有効成
    分とする医薬用組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1、2、3もしくは4記載のクロ
    マン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成
    分とする、尿失禁の治療および/または予防剤。
JP21080497A 1997-08-05 1997-08-05 新規クロマン誘導体および該化合物を含有する医薬 Pending JPH1149771A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2001060802A1 (en) * 2000-02-17 2001-08-23 Abbott Laboratories 4-imidazole derivatives of benzyl and restricted benzyl sulfonamides, sulfamides, ureas, carbamates, and amides and their use as alpha-1a agonists

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WO2001060802A1 (en) * 2000-02-17 2001-08-23 Abbott Laboratories 4-imidazole derivatives of benzyl and restricted benzyl sulfonamides, sulfamides, ureas, carbamates, and amides and their use as alpha-1a agonists

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