JPH1149662A - 有核坐剤及びその製造方法 - Google Patents

有核坐剤及びその製造方法

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JPH1149662A
JPH1149662A JP21895397A JP21895397A JPH1149662A JP H1149662 A JPH1149662 A JP H1149662A JP 21895397 A JP21895397 A JP 21895397A JP 21895397 A JP21895397 A JP 21895397A JP H1149662 A JPH1149662 A JP H1149662A
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Minoru Serizawa
穣 芹澤
Terumi Fukuda
輝美 福田
Takayoshi Kimura
孝良 木村
Kazuyuki Ishikawa
和幸 石川
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Tsumura and Co
Original Assignee
Tsumura and Co
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薬効成分と基剤との相互作用を防ぎ、薬効成
分の安定性の低下、製剤特性の変化を招くことのない坐
剤を経済的かつ簡単に製造する技術を提供すること。 【解決手段】 坐剤基剤の中に、薬効成分を含有する核
剤を含むことを特徴とする有核坐剤およびその製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は坐剤、さらに詳細に
は薬効成分を含有した核剤を、坐剤に入れる事により、
薬効成分の安定性、坐剤の製剤特性、薬効成分の放出特
性を改善した有核坐剤及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】坐剤は、医薬品の投与方法として古くか
ら用いられており、投与後の吸収、薬物代謝などの見地
から、肛門などの局所の治療のみでなく、全身治療を目
的とする医薬品の投与方法としても使用されている。
【0003】従来の坐剤は、薬効成分を坐剤基剤に均等
に混和し、一定の形状に成型して作られたものであり、
薬効成分と基剤との相互作用ならびに保存時間及び保存
温度による薬効成分の安定性の低下、製剤特性(坐剤の
融点、硬度、液化時間、薬効成分の放出特性)の変化が
認められた。 また、製造時における薬物の均一分散・
混和性、亀裂・破損、及び徐放制御の限界などのいくつ
かの問題点がある。更に、シコンエキスの様な有色の薬
効成分を坐薬に配合した場合には、坐剤挿入時に手に色
素が付き、手を汚すという欠点があった。
【0004】上記の問題点の解決する坐剤として、マイ
クロカプセルを含む坐剤や、院内製剤として使用されて
いる中空坐剤(公開特許平4−187636、薬局 4
01559−1602(1989)、薬学雑誌Vol.
104(5)479−484(1984)」などが考案
されている。
【0005】しかし、マイクロカプセルを含む坐剤で
は、坐剤中に一定量の薬物を入れるために、製造時にお
いて溶融した基剤中にマイクロカプセルを均一に混合す
る必要があり、そのためには、カプセルの直径を極めて
小さく(数十μm程度の径)しなければならない。 ま
た、攪拌途中でカプセルが壊れる可能性があるので、あ
る程度壊れにくいマイクロカプセルを作る必要があっ
た。 このため、製造コストが高く、工程数も複雑にな
るという欠点があった。 更に、多量の主薬をマイクロ
カプセルで坐剤に配合することになると、多量の固形物
であるマイクロカプセルを坐剤中に分散させることが必
要となり、この場合、坐剤基剤が固化する間に配合され
たマイクロカプセルが下に沈んだり、坐剤中の固形物量
が多くなるため、坐剤自体の強度が低下する可能性もあ
った。 更にまた、マイクロカプセルを分散した坐剤を
作製する場合、高温の基剤の中で、攪拌するため、カプ
セル内に熱に不安定な薬物は含有することができず、ま
た、投与する直腸や大腸は水分量が少ないため、崩壊に
多量の水を必要とするマイクロカプセルは、崩壊しにく
く、薬剤の完全放出も難しいという問題もあった。
【0006】一方、中空坐剤は、坐薬中に中空部分を設
け、ここに薬効成分を充填した後、坐薬基剤で封止する
ものであるが、中空部分を作製するために油脂性基剤を
3段階に分けて充填する必要があり、製造方法が複雑で
あるという問題があった。また、製造に当たっては、特
殊な製造機器を必要とし、製造コストが高くなるという
問題があった。 更に、薬効成分と坐剤基剤との接触を
完全に断ち切ることができないため、薬効成分の性質に
よっては、長期保存中に薬効成分が油脂性坐剤基剤に拡
散し、施用時に薬効成分が手に付着したり、坐剤の性状
が変化したりするという問題もあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、薬効成分と基
剤との相互作用を防ぎ、薬効成分の安定性の低下、製剤
特性の変化を招くことのない坐剤を経済的かつ簡単に製
造する技術の提供が求められていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究を行った結果、薬効成分を容易に
崩壊する核剤に内包し、その核剤を坐剤中に入れること
により、薬効成分と基剤との相互作用、薬効成分の安定
性の低下および製剤特性の変化などの問題点が解決しう
ることを見いだし、本発明を完成した。
【0009】すなわち本発明は、坐剤基剤の中に、薬効
成分を含有する核剤を含むことを特徴とする有核坐剤お
よびその製造方法を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明による有核坐剤は、溶融し
た坐剤基剤をコンテナに充填した直後に、薬効成分を含
有する核剤を入れることにより製造することができる。
【0011】本発明において用いられる核剤としては、
例えば、粉末ないしは油状の薬効成分を水溶性材料また
は水で膨潤し崩壊する材料で形成されるカプセルに封入
したものを利用することができる。 このようなカプセ
ルの例としては、ポリエチレングリコール、アルギン
酸、ポリ乳酸、ポリ乳酸ポリグリコール酸共重合体及び
ゼラチンまたはその混合物等の材質で作られた軟カプセ
ル、ハードカプセル、シームレスカプセル等が挙げられ
る。
【0012】この核剤に薬効成分を充填するに当たって
は、必要に応じて保存剤、安定化剤、賦形剤を用いるこ
とができる。 また、核剤として、粉末の薬効成分と保
存剤、安定化剤、賦形剤などの任意成分とを混合した物
を顆粒化したもの、それを白糖、酢酸フタル酸セルロー
スなどのコーティング剤でコーティングした物等を使用
することもできる。
【0013】一方、本発明において、有核坐剤の外層を
形成する坐薬基剤としては、例えば、カカオ脂、ラウリ
ル脂、マクロゴール、グリセロゼラチン、ハードファッ
トまたはそれらの混合物が挙げられる。 また、この外
層を形成する坐薬基剤層に必要に応じて、保存剤、安定
化剤、賦形剤を用いても良く、目的に応じては、核剤に
含まれる薬効成分と同一または異なった薬効成分を配合
することもできる。
【0014】これらの核剤や坐剤基剤に添加される、保
存剤としてはアクリノール、塩化ベンザルコニウム、塩
化セチルピリジウム、塩化エンゼトニウムなどが含ま
れ、また安定化剤としては、ポリソルベート20、4
0、60、65、80、ステアリン酸ポリオキシル4
0、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、50、6
0、ショ糖脂肪酸エステル、メチルセルロース、カルボ
キシメチルセルロースなどが含まれる。 更に賦形剤と
しては糖類、でんぷん類、無機質類、有機酸類、セルロ
ース類、合成および半合成高分子類、アミノ酸類、油脂
類などが挙げられる。
【0015】上記賦形剤のうち糖類としては、乳糖、ブ
ドウ糖、白糖、果糖、D−ソルビトール、D−マンニト
ール、イノシトール、ショ糖などが、でんぷん類として
は、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、馬鈴薯デン
プンなどが、無機質類としては、ステアリン酸マグネシ
ウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、炭酸
マグネシウム、塩化ナトリウムなどがそれぞれ含まれ
る。 また、有機酸類としては、コハク酸、酒石酸、ク
エン酸、フマール酸、リンゴ酸、グルコン酸、グルクロ
ン酸などが、セルロース類としては、微結晶セルロー
ス、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシ
メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒド
ロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロー
スなどが、合成および半合成高分子類としては、ポリビ
ニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、ポリエチ
レングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル
酸ナトリウムなどがそれぞれ含まれる。 更に、アミノ
酸類としては、L−アルギニン、D,L−メチオニン、
L−フェニルアラニン、L−グルタミン酸などが含ま
れ、油脂類としては、ハードファット、中鎖脂肪酸トリ
グリセライド、カカオ脂、ラウリル脂、マクロゴール、
グリセオゼラチン、ハードファットなどが含まれる。
【0016】本発明の有核坐剤の基本的構成の一例を図
1に、そのA−A’縦断面図を図2に示す。 図中、1
は有核坐剤、2は坐剤基剤、3は核剤、4はくぼみを示
す。
【0017】図1および図2で示される様な有核坐剤の
調製は、図3および図4に示すような有核坐剤作製用坐
剤コンテナ(以下、「坐剤コンテナ」という)5を用い
ることにより行われる。 図3は、坐剤コンテナの構造
を示す図面で、図3aは手前側シートを示す図面、図3
bは後側シートを示す図面であり、図3cは手前側シー
トおよび後側シートを張り合わせて坐薬コンテナとした
状態を上から見た図面をそれぞれ示す。 また、図4
は、坐薬コンテナの外観を示す図面である。 この坐剤
コンテナ5は、ヒートシール性や超音波シール性のある
プラスチックシート、アルミニウムラミネートシート等
の材質で作られ、図3aおよび図3bのシール部8(斜
線の部分)をシールして作られる袋体である。 なお各
図中、6はくぼみ形成部を示す。
【0018】すなわち、本発明で用いる坐剤コンテナ
は、従来の坐剤コンテナに複数のくぼみ形成部6を設け
たもので、これに坐剤基剤を充填し、核剤を添加後坐剤
基剤を固化せしめ、最後にコンテナ上部のシールを行な
うことにより製造することができる。 つまり、従来の
坐剤製造工程(油脂性基剤の充填、坐剤の固化、コンテ
ナのシール)に、カプセルを入れる工程を追加するだけ
で、本発明の有核坐剤が製造でき、従来の設備及び技術
を利用できるのである。
【0019】具体的な有核坐剤の製造は、次の如くして
行われる。 坐剤コンテナ5に坐剤基剤を充填した直後
に核剤3を入れ、必要であれば追加の坐剤基剤を注入
し、冷却、固化させて図4に示すようなコンテナで包装
された有核坐剤を得る。 核剤3の比重が2の比重より
大きい場合、3は沈降を始めるが、5に設けられたくぼ
み形成部6の位置で止まる。 そして放冷により2が固
化し、3は有核坐剤1中で固定されることになる。
【0020】なお、上記例においては、核剤が坐剤基剤
より比重の大きいものを例にして説明しているため、く
ぼみが必要となっているが、核剤と坐剤基剤の比重がほ
ぼ等しい場合には、くぼみは必要でなく、例えば、コン
テナ中へ一定量(例えば約半分)の量の坐剤基剤を注入
後、中央に核剤を入れ、更に残りの基剤を加えることに
よって有核坐剤を調製することができる。
【0021】本発明の有核坐剤において、核剤3の形状
は、球型、フットボール型、チューブ型、長楕円型、紡
錘型のいずれであっても良く、また、有核坐剤全体の形
状は公知の坐剤と同様とすることができ、坐剤コンテナ
5は、これに対応した形状を有するものを選択すること
ができる。 また添加する核剤3の大きさは特に制限な
いが、直径4mm〜10mm程度であることが好まし
く、更に個数も1個に限られず、必要に応じて複数個と
することもできる。
【0022】また、本発明の有核坐剤において、くぼみ
は核剤の移動を防ぐためのものであり、この目的を達成
するためには、くぼみの数が3以上あることが望まし
い。更に、このくぼみの位置(あるいは、最初に添加す
る坐剤基剤の量)を調製することにより、核剤を任意の
位置に配置することができる。 こうすることにより、
例えば薬効成分を直腸下部に滞留させる事もでき、大腸
への薬効成分の移行を阻止し、直腸における薬効成分の
有効利用を図ることも可能となる。
【0023】上記有核坐剤の製造に当たって特に注意す
べき点は、坐剤基剤と核剤の温度の問題である。 すな
わち、一般に溶融した油性坐剤基剤に、溶融した坐剤基
剤より低温の固形物を入れると、坐剤内部から坐剤の固
化が起こり、出来上がった坐剤に亀裂や破損ができるこ
とが知られている。 本発明の有核坐剤の製造において
も、坐剤基剤と核剤の間に大きな温度差があればこのよ
うな問題が生じるので、予め核剤を適当な温度、例えば
25〜60℃程度に加温してから投入することにより、
坐剤内部からの固化を防止し、亀裂や破損の問題を回避
することが望ましい。
【0024】
【発明の効果】本発明の有核坐剤は、水溶性または水で
膨潤することにより崩壊するカプセルに薬効成分を充填
した核剤を坐剤に入れることにより、薬効成分と基剤と
の相互作用ならびに保存時間及び保存温度による薬効成
分の安定性の低下、製剤特性の変化などの問題を解決し
たものである。 またそれと同時に、マイクロカプセル
で配合するよりも坐剤基剤の製剤特性を損なうことなく
多量の薬効成分を配合することが可能となる。
【0025】従って、従来、坐剤基剤との間に相互作用
があるとして坐剤としての製剤化が困難とされていた薬
効成分について、坐剤化の道を開くものといえる。
【0026】また、それのみならず、同時に配合すると
経時的に変化を起こす複数の薬効成分を、核剤と坐剤基
剤中に別々に配合することにより、一つの坐剤で投与す
ることが可能となるので、新しい複合坐剤開発に利用で
きるものである。
【0027】更に、崩壊性の異なる核剤に同一薬効成分
を分割し、核剤を複数個入れた有核坐剤を作製すること
により持続性坐剤とすることもできる。
【0028】このように本発明は、新しい坐剤を作るた
めの技術として、広い可能性を有するものであり、製薬
学的に極めて有利なものである。
【0029】
【実施例】次に実施例および試験例を挙げて本発明を説
明するが、本発明はこれら実施例等になんら制約される
ものではない。
【0030】実 施 例 1 シコンエキス含有有核坐剤の作製:中鎖脂肪酸トリグリ
セライド96%、シコンエキス4%を含有の溶液と精製
ゼラチン溶液を用い、常法(滴下法)により直径7mm
のシームレスカプセル(核剤)を作製した。 一方、5
5℃で融解したハードファットを、図3に示すような内
容量2mlの坐剤コンテナに充填し、直ちに25℃に予
熱したシコンエキス含有ゼラチンシームレスカプセルを
入れた。 室温まで放冷し、坐剤基剤であるハードファ
ットを固化して有核坐剤を作製した。 核剤は、得られ
た有核坐剤のほぼ中央に位置していた。
【0031】実 施 例 2 シコンエキス含有有核坐剤の作製:中鎖脂肪酸トリグリ
セライド96%、シコンエキス4%を含有した溶液を、
常法に従って軟カプセルに充填し、直径5mmのシコン
エキス含有ゼラチン軟カプセル(核剤)を作製した。
一方、60℃で融解した薬添規ハードファットを図3に
示すような内容量1.75mlの坐剤コンテナに充填
し、直ちに40℃に予熱したシコンエキス含有ゼラチン
軟カプセルを入れた。 室温まで冷却し、ハードファッ
トを固化して坐剤の中心に軟カプセルを固定した有核坐
剤を作製した。
【0032】試 験 例 1 安 定 性 試 験 :実施例1で製造した有核坐剤につい
て、25℃及び35℃のインキュベータで3ヶ月間保存
し、保存後の外観の変化を調べ、安定性を評価した。
また、後記方法で製造した中空坐剤を比較品1*として
用いた。
【0033】* 比較品1:薬添規ハードファット、局外
規シコンエキスを用い、「薬学雑誌」、第104巻
(5)、第479−484頁(1984)に記載された
方法に従って、中空部分にシコンエキスを充填し、作成
した中空坐剤。
【0034】[ 結 果 ]安定性試験の結果を表1に示
す。
【表1】 この結果から、本発明品は中空坐剤(比較品1)に比べ
ると、製剤の性状の変化がなく、極めて安定であること
が明らかになった。
【0035】実 施 例 3 インスリン含有有核坐剤の作製:インスリン50Uを、
5号ゼラチンハードカプセル(核剤)に、賦形剤として
D−マンニトールを用い充填した。 一方、50℃で融
解した薬添規ハードファットを図3に示すような内容量
1.95mlの坐剤コンテナに充填し、これに上のイン
スリン含有ゼラチンハードカプセル各1個を入れた。
放冷してハードファットを冷却固化させ、坐剤にカプセ
ルを固定し、有核坐剤を作製した。
【0036】試 験 例 2 直腸でのインスリンの吸収試験:実施例3で得た本発明
品をイヌの直腸にインスリン量として5U/kgを投与
し、血漿中インスリン量を経時的に測定した。 また、
下記方法で調製したインスリンのマイクロカプセルを含
有する坐剤を比較品2*として用いた。
【0037】* 比較品2:50℃で融解した薬添規ハー
ドファットに、液中乾燥法で調製したインスリンのゼラ
チンマイクロカプセルを均一に分散し、坐剤コンテナに
充填後、ハードファットを冷却固化し作成した坐剤。
【0038】[ 結 果 ]吸収試験の結果を図5に示
す。 この結果から、直腸粘膜のような十分な水分量が
ない場所では、マイクロカプセルの崩壊性が悪いために
インスリンの溶出が低下し、血中への移行が悪くなる結
果、速やかな薬効が期待できないのに対し、本発明品で
は直腸で容易にカプセルが崩壊し、比較品に比べて速や
かにインスリンが血中に移行することが明かとなった。
【0039】実 施 例 4 プロスタグランジンE1含有有核坐剤の作製:プロスタ
グランジンE1/α−シクロデキストリン包接化合物2
mgを、5号ゼラチンハードカプセルに充填する。 一
方、50℃で融解した薬添規ハードファットを図3に示
すような内容量1.95ml坐剤コンテナに充填し、こ
れにプロスタグランジンE1/α−シクロデキストリン
包接化合物含有ゼラチンハードカプセル各1個を入れ
た。 放冷してハードファットを固化せしめ、坐剤にカ
プセルを固定した有核坐剤を作製した。
【0040】試 験 例 3 製造時におけるプロスタグランジンE1/α−シクロデ
キストリン包接化合物の含量変化:実施例4で調製した
本発明の有核坐剤と、下に示すような従来技術で調製し
たプロスタグランジンE1/α−シクロデキストリン包
接化合物含有坐剤(比較品3)について、製造時の経時
的な有効成分の変化を調べた。 ともに製造は5時間連
続して行い、有効成分含量の測定は、製造開始時、開始
2.5時間後、開始5時間後に製造された坐剤中のプロ
スタグランジンE1/α−シクロデキストリン包接化合
物の含量を測定することにより行った。
【0041】* 比較品3:50℃で融解した薬添規ハー
ドファットにプロスタグランジンE1/α−シクロデキ
ストリン包接化合物を均一に分散した後、これを坐剤コ
ンテナに充填し、ハードファットを冷却固化して作成し
た坐剤。
【0042】[ 結 果 ]含量変化を調べた結果を表2
に示す。
【表2】
【0043】この結果によれば、本発明の製剤は、製造
中に経時的な薬剤の含量の変化が認められないのに対
し、従来の技術による坐剤では、薬剤の含量の変化が認
められた。 このことから、本発明方法は、熱に不安定
な化合物に適した製造技術である事も確認された。
【0044】実 施 例 5 顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)含有有核坐剤の
作製:G−CSFを軟カプセルに充填し、1球当たりG
−CSFを1.4mg含有する核剤を得た。 一方、液中
乾燥法によりG−CSFの徐放性マイクロカカプセルを
調製した。 50℃で融解した薬添規ハードファット
に、上で得たG−CSF徐放性マイクロカカプセルを加
え、これを図3に示すような内容量1.75mlの坐剤
コンテナに充填し、更に、前記したG−CSFを軟カプ
セル1個を入れた。 放冷してハードファットを固化せ
しめ、坐剤中にG−CSF軟カプセルとG−CSFマイ
クロカプセルとを含む有核坐剤を作製した。 なお、こ
の有核坐剤中のマイクロカプセルに含まれるG−CSF
は2mgであり、有核坐剤全体のG−CSF量は3.4
mgであった。
【0045】試 験 例 5 直腸での顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)吸収試
験:実施例5で製造した有核坐剤(実施例5製剤)につ
いて、ウサギ(日本白色種、雌、体重約3.5kg)を
用い、吸収試験を行った。 すなわち、実施例5製剤を
ウサギの直腸に投与した後、経時的に耳静脈から採血
し、血清中のG−CSF濃度を測定した。 なお、対照
として、G−CSF軟カプセルのみを入れた有核坐剤
(対照品1)およびG−CSFマイクロカプセルのみを
配合した坐剤(対照品2)を用いた。 この結果を図6
に示す。
【0046】図6の結果から明らかなように、本発明の
有核坐剤においてさらに坐剤基剤中にマイクロカプセル
を配合すれば薬剤の血中濃度の立ち上がりが速く、かつ
持続する優れた持続性坐剤が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有核坐剤の外観を示す図面。
【図2】図1におけるA−A’の縦断面を示す図面。
【図3】本発明の有核坐剤を調製するためのコンテナの
構成を示す図面。
【図4】本発明の有核坐剤を調製するためのコンテナの
外観を示す図面。
【図5】本発明品および比較品2について、犬直腸での
インスリンの吸収試験の結果を示す図面。
【図6】核剤と坐剤基剤に添加したマイクロカプセルに
G−CSFを配合した本発明品のウサギ直腸からの吸収
試験の結果を示す図面。
【符号の説明】
1 … … 有核坐剤 6 … … くぼみ形成部 2 … … 坐剤基剤 7 … … 収納室 3 … … 核剤 8 … … シール部 3a… 核剤皮膜 9 … … 上シール部 3b… 核剤内容物 10 … … つまみ部 4 … … くぼみ 5 … … 坐剤コンテナ 以 上
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石川 和幸 東京都千代田区六番町2 株式会社ツムラ 内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 坐剤基剤の中に、薬効成分を含有する核
    剤を含むことを特徴とする有核坐剤。
  2. 【請求項2】 核剤が、薬効成分を水溶性材料または水
    で膨潤し崩壊する材料で形成される皮膜に封入したもの
    である請求項第1項記載の有核坐剤。
  3. 【請求項3】 核剤の大きさが、直径4mm〜10mm
    である請求項第1項または第2項記載の有核坐剤。
  4. 【請求項4】 核剤がシームレスカプセル、軟カプセル
    またはハードカプセルである請求項第2項記載の有核坐
    剤。
  5. 【請求項5】 核剤の形状が、球型、フットボール型、
    チューブ型、長楕円型または紡錘型である請求項第2項
    または第4項記載の有核坐剤。
  6. 【請求項6】 核剤の皮膜が、水溶性高分子または生体
    内分解性高分子で製造されたものである請求項第2項、
    第4項または第5項のいずれかの項記載の有核坐剤。
  7. 【請求項7】 核剤保持用のくぼみを有する請求項第1
    項ないし第6項記載のいずれかの項記載の有核坐剤。
  8. 【請求項8】 核剤保持用のくぼみの数が3以上である
    請求項第7項記載の有核坐剤。
  9. 【請求項9】 坐剤コンテナ中に、溶融した坐剤基剤に
    注入し、次いでこれに予め25〜60℃に加温した核剤
    を入れ、更に必要に応じて坐剤基剤を加えた後、冷却、
    固化せしめることを特徴とする有核坐剤の製造方法。
JP21895397A 1997-07-31 1997-07-31 有核坐剤及びその製造方法 Pending JPH1149662A (ja)

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