JPH1148404A - 塗料組成物およびプレコート金属板 - Google Patents

塗料組成物およびプレコート金属板

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JPH1148404A
JPH1148404A JP21998397A JP21998397A JPH1148404A JP H1148404 A JPH1148404 A JP H1148404A JP 21998397 A JP21998397 A JP 21998397A JP 21998397 A JP21998397 A JP 21998397A JP H1148404 A JPH1148404 A JP H1148404A
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JP
Japan
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polyester compound
coating composition
coating
coating film
composition
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Application number
JP21998397A
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English (en)
Inventor
Keiji Yoshida
啓二 吉田
Takashi Ioyashiki
孝思 庵屋敷
Yasuhide Yoshida
安秀 吉田
Mamoru Ebara
守 江原
Katsuyoshi Tanaka
勝祥 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Engineering Corp
Nippon Paint Co Ltd
Original Assignee
Nippon Paint Co Ltd
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 厳しい成形加工を施した場合でも塗膜割れ等
の損傷を生じにくい優れた加工性を有し、且つハンドリ
ング傷や加工・組立時の傷等の損傷を生じにくい優れた
耐傷つき性を示す塗膜を形成できる塗料組成物を得る。 【解決手段】 イ)一般式(1)に示される化学構造を有
するポリエステル化合物を塗料組成物の全固形分中の割
合で1〜15重量%と、 【化1】 ロ)ポリフッ化ビニリデン樹脂と ハ)アクリル樹脂とを含有し、 且つ上記イ)、ロ)、ハ)の成分の合計が塗料組成物の
全固形分中の割合で40重量%以上であることを特徴と
する、プレコート鋼板等に好適な塗料組成物である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、加工性と耐傷つき
性に優れた塗膜が得られる塗料組成物およびこの塗料組
成物を塗装したプレコート金属板に関するもので、特
に、厳しい成形加工に対しても塗膜割れ等の損傷を生じ
にくく、且つ加工や運送時におけるハンドリング傷や加
工・組立時の傷等の損傷を生じにくい塗膜が得られる塗
料組成物およびこの塗料組成物を塗装したプレコート金
属板に関する。
【0002】
【従来の技術】屋根や外壁材のような建物外装材に使用
されるプレコート鋼板に対しては、その耐久性に関する
市場の要求が増しており、長期にわたる安定した耐久性
が要求されるようになってきた。このような要求に対応
する塗料として、ポリフッ化ビニリデンを70%以上含
有させたフッ素樹脂系塗料が開発され、これを塗膜とし
て形成したフッ素樹脂系塗装鋼板は耐候性に優れ、しか
も一般の屋外用塗装鋼板に比べて加工性に優れているこ
とから、耐久性が要求される建物外装材において用いら
れている。一方、このフッ素樹脂系塗装鋼板は、一般の
屋外用塗装鋼板に比べて塗膜硬度が低いために施工時や
施工後の環境中で塗膜に傷が付きやすいという欠点があ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】フッ素樹脂系塗膜の耐
傷つき性の向上については、有機塗膜中に硬質の骨材を
添加し、塗膜の硬度を見掛け上増大させることにより、
塗膜に耐傷つき性や耐摩耗性を付与する試みがなされて
おり、特開昭61−236869号公報では、フッ素樹
脂系塗料にガラス繊維を配合して塗膜の強度と硬度を向
上させ、耐傷つき性や耐摩耗性を向上させた塗料が開示
されている。
【0004】また、特公平6−88371号公報では塗
膜中にフッ素樹脂微粒子を添加することにより、また、
特公平7−65016号公報では塗膜中に特定組成のア
クリル樹脂微粒子を添加することにより、それぞれ成形
加工時や切断時における成形ロール、シャーリング刃等
の摩耗を抑制しつつ耐摩耗性の向上を図るようにした塗
装金属板が開示されている。しかし、これらの従来技術
では、塗装金属板の成形加工時に成形ロールを摩耗さ
せ、また、塗膜の耐傷つき性のレベルも必ずしも十分に
満足できるものではなく、加えて、微粒子添加により塗
膜の加工性レベルが低下するなど、十分な塗膜性能が得
られるには至っていない。
【0005】したがって本発明の目的は、プレコート鋼
板等の塗膜を形成した場合に、厳しい成形加工を施した
場合でも塗膜割れ等の損傷を生じにくい優れた加工性を
有し、しかも、ハンドリング傷や加工・組立時の傷等の
損傷を生じにくい優れた耐傷つき性を示す塗料組成物お
よびこの塗料組成物を塗装したプレコート金属板を提供
することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上述したよ
うな問題を解決すべく鋭意研究を重ね、その結果、以下
のような組成の塗料組成物により形成される塗膜がプレ
コート金属板の加工性と耐傷つき性を高度に満足させる
ことを見出した。すなわち、本発明の塗料組成物および
プレコート金属板の特徴は以下の通りである。
【0007】[1] イ)一般式(1)に示される化学構造を
有するポリエステル化合物を塗料組成物の全固形分中の
割合で1〜15重量%と、
【化2】 ロ)ポリフッ化ビニリデン樹脂と ハ)アクリル樹脂とを含有し、 且つ上記イ)、ロ)、ハ)の成分の合計が塗料組成物の
全固形分中の割合で40重量%以上であることを特徴と
する塗料組成物。
【0008】[2] 金属板またはめっき金属板の少なくと
も一方の面に、上記[1]に記載の塗料組成物を塗布して
形成した膜厚5〜35μmの塗膜を有することを特徴と
するプレコート金属板。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の塗料組成物は、イ)特定
のポリエステル化合物と、ロ)ポリフッ化ビニリデン樹
脂と、ハ)アクリル樹脂とを主成分とする塗料組成物で
ある。まず、上記イ)のポリエステル化合物は下記一般
式(1)に示される化学構造を有するポリエステル化合物
である。
【0010】
【化3】
【0011】上記イ)のポリエステル化合物を得るため
の酸成分としては、ナフタレン−2,6−ジカルボン
酸、テレフタル酸またはそれらの低級アルキルエステル
が主として用いられるが、それらの一部をイソフタル
酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニルジ
カルボン酸等のジカルボン酸、またはこれらジカルボン
酸の低級アルキルエステル等で置き換えることもでき
る。低級アルキルエステルとしては、炭素数が1〜2個
のメチルエステル、エチルエステル等が挙げられる。但
しこの場合でも、主体となるナフタレン−2,6−ジカ
ルボン酸やテレフタル酸等は酸成分全体のうち85モル
%以上とし、置き換えられる他の化合物の割合は15モ
ル%未満に抑えることが望ましい。
【0012】また、上記イ)のポリエステル化合物を得
るためのアルコール成分としては、主としてジオールを
用いる。このジオールとしては、ネオペンチルグリコー
ル、1,4−シクロヘキサンジメタノール、炭素数10
以下(好ましくは炭素数6以下)のポリアルキレングリ
コール等が挙げられる。また、ポリオキシアルキレング
リコール、特に、数平均分子量が1000以下のポリエ
チレングリコール(以下、PEGと略す)、或いは数平
均分子量が1000以下のポリテトラエチレングリコー
ル(以下、PTGと略す)を使用することもできる。ま
た、これらを混合して使用してもよい。
【0013】また、アルコール成分としては、上述した
ジオールの他に3価以上の多価アルコールを用いてもよ
い。多価アルコールとしては、トリエチレングリコー
ル、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロー
ルプロパン、トリメチロールエタン等が挙げられる。以
上のような酸成分とアルコール成分とが反応し、上記
イ)のポリエステル化合物が生成される。また特に、数
平均分子量が1000以下のPEGまたは数平均分子量
が1000以下のPTGを用いた場合には、エーテル結
合を有するポリエステル化合物が生成される。
【0014】本発明で用いる上記イ)のポリエステル化
合物は、エステル交換法や直接エステル化法等の通常の
ポリエステル製造法によって得ることができる。通常、
酸成分とアルコール成分はモル比1:2で反応するの
で、効率良く反応を行うためには、酸成分とアルコール
成分をできるだけモル比1:2に近い割合で配合するの
が望ましい。また、ポリエステル化合物は、単独または
2種類以上の組み合わせのいずれでも使用することがで
きる。
【0015】上記イ)のポリエステル化合物は、単体で
室温から200℃以上まで昇温させながら観察するとサ
ーモトロピック液晶の特徴である配向性を示すが、この
配向性が塗膜状態における塗膜硬度の向上に寄与してい
るものと考えられる。上記イ)のポリエステル化合物の
配合量は、塗料組成物の全固形分中の割合で1〜15重
量%とする。上記ポリエステル化合物は塗膜の成形加工
性を劣化させることなく本発明が目的とする塗膜性能を
得るために配合されるものであり、その配合量が1重量
%未満では塗膜性能の向上効果が十分に得られない。一
方、配合量が15重量%を超えると溶剤への溶解性およ
び他の樹脂成分との相溶性が不十分となるため塗膜性能
が低下する。
【0016】上記ロ)のポリフッ化ビニリデン樹脂とし
ては、重量平均分子量が300000〜700000、
融点が150〜180℃のものが特に好ましい。このよ
うなポリフッ化ビニリデン樹脂としては、例えば、日本
ペンウォルト(株)製の“カイナー500”(重量平均
分子量:350000、融点:160〜165℃)等が
例示できる。上記ハ)のアクリル樹脂としては、数平均
分子量が1000〜2000のものが特に好ましい。本
発明に用いるアクリル樹脂は、たとえば以下のようなモ
ノマーの少なくとも1種(但し、少なくとも1種のアク
リルモノマーを含む)を通常の方法により重合(または
共重合)させることにより得ることができる。
【0017】(1) アクリル酸ヒドロキシメチル、メタク
リル酸ヒドロキシメチル、アクリル酸ヒドロキシエチ
ル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロ
キシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アク
リル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸ヒドロキシブチ
ル、N−メチロールアクリルアミン等のヒドロキシル基
を有するエチレン性モノマー (2) アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン
酸、フマール酸、マレイン酸等のカルボキシル基を有す
るエチレン性モノマー
【0018】(3) アクリル酸メチル、メタクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル
酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸ブチ
ル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、
アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシ
ル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸n−ドデシル
等の、上述のモノマー(1)及び(2)と共重合可能なエチレ
ン性モノマー (4) スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレ
ン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t
ert−ブチルスチレン等のスチレン誘導体 また、これらのモノマーのうち、水酸基やカルボキシル
基などの官能基を有するモノマーを使用することによ
り、他の反応可能な成分との架橋反応が可能である。
【0019】上記ハ)のアクリル樹脂は自己架橋性であ
る必要はないが、自己架橋性とする場合には、分子中に
2個以上のラジカル重合性不飽和結合を有する、所謂架
橋性モノマーを含有させる。このラジカル重合可能なモ
ノマーとしては、エチレングリコールジアクリレート、
エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレング
リコールジメタクリレート、テトラエチレングリコール
ジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタ
クリレート、トリメチロールプロパントリアクリレー
ト、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,
4−ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリ
コールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジア
クリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペ
ンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリエ
スリトールテトラメタクリレート、グリセロールジメタ
クリレート、グリセロールジアクリレート、1,1,1
−トリスヒドロキシジメチルエタンジアクリレート、
1,1,1−トリスヒドロキシジメチルエタントリアク
リレート、1,1,1−トリスヒドロキシジメチルプロ
パンジアクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシジ
メチルプロパントリアクリレート、1,1,1−トリス
ヒドロキシジメチルプロパンジメタクリレート、1,
1,1−トリスヒドロキシジメチルプロパントリメタク
リレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルフタレー
ト、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレー
ト、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレ
ート等の重合性不飽和化合物等が挙げられる。架橋性モ
ノマーはアクリル樹脂の20重量%まで添加することが
できる。
【0020】ポリフッ化ビニリデン樹脂とアクリル樹脂
の重量比(樹脂固形分の重量比)は[ポリフッ化ビニリ
デン樹脂]:[アクリル樹脂]=90:10〜40:6
0とすることが好ましい。アクリル樹脂に対するポリフ
ッ化ビニリデン樹脂の重量比が90:10を超えるとチ
クソトロピー性が高まり、ロールコーターでの塗装が困
難となるため仕上りが不均一な塗膜となり、塗膜外観が
劣る。一方、アクリル樹脂に対するポリフッ化ビニリデ
ン樹脂の重量比が40:60未満では、塗膜密着性の経
時劣化が著しく、また耐候性も大きく低下するので好ま
しくない。
【0021】上記イ)のポリエステル化合物、ロ)のポ
リフッ化ビニリデン樹脂、及びハ)のアクリル樹脂は、
これらイ)、ロ)、ハ)の合計が塗料組成物の全固形分
中の割合で40重量%以上となるよう配合する。これら
イ)、ロ)、ハ)の成分合計が塗料組成物の全固形分中
の割合で40重量%未満では、目的とする塗膜性能が十
分に得られない。
【0022】本発明の塗料組成物には、以上述べた必須
成分以外に目的、用途に応じて着色顔料、体質顔料、そ
の他の添加剤等を必要に応じて配合することができる。
例えば、p−トルエンスルホン酸、オクトエ酸錫、ジブ
チル錫ジラウレート、2−エチルヘキソエート鉛等の硬
化触媒、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、酸化チタ
ン、タルク、硫酸バリウム、マイカ、弁柄、マンガンブ
ルー、カーボンブラック、アルミニウム粉、パールマイ
カ等の顔料、その他、消泡剤、流れ止め剤等の各種添加
剤を選択して配合することができる。
【0023】以上が本発明の塗料組成物の構成である
が、実際に使用するに当っては、これらを有機溶剤に溶
解して使用する。使用する有機溶剤としては、例えば、
メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロ
ヘキサノン、ソルベッソ100(エクソン化学製)、ソ
ルベッソ200(エクソン化学製)、トルエン、キシレ
ン、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブ
アセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトー
ル、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、酢酸エ
チル、酢酸ブチル、石油エーテル、石油ナフサ等が挙げ
られる。塗料組成物を調整するにあたっては、サンドグ
ラインドミル、ボールミルまたはブレンダー等の通常の
分散機や混練機を選択して使用し、各成分を配合するこ
とができる。
【0024】本発明の塗料組成物は、特にプレコート鋼
板の塗膜用として有用であり、この場合、塗装の対象と
なる被塗装鋼板としては、溶融法または電解法等により
製造される亜鉛めっき鋼板、亜鉛−5%アルミニウム合
金めっき鋼板、亜鉛−55%アルミニウム合金めっき鋼
板等の亜鉛系めっき鋼板、アルミニウムめっき鋼板、ス
テンレス鋼板、冷延鋼板等が挙げられる。また、これら
鋼板またはめっき鋼板以外に、アルミニウム板(アルミ
ニウム合金板を含む)等の金属板も塗装対象とすること
ができる。
【0025】塗装に当っては、被塗装金属板等の表面に
リン酸塩処理、クロメート処理などの化成処理を施し、
その上に塗料組成物を塗装することが好ましい。このよ
うに化成処理を施した金属板面上に塗装することによ
り、塗膜の金属板面に対する密着性が向上するとともに
耐食性も向上する。また、化成処理を施した金属板面に
プライマー塗膜を形成し、その上に塗装することもでき
る。
【0026】塗料組成物の金属板表面への塗装方法は特
に限定しないが、好ましくはロールコーター塗装、カー
テンフロー塗装等の方法で塗布するのがよい。塗布後、
熱風加熱、赤外線加熱、誘導加熱等の加熱手段により塗
膜を焼き付け、樹脂を架橋させて硬化塗膜を得る。焼付
処理は焼付温度200〜250℃で約40秒〜3分程度
の時間行うことが好ましい。
【0027】このようにして形成されたプレコート金属
板の硬化塗膜の膜厚は、5〜35μm、より好ましくは
15〜25μmとすることが望ましい。塗膜厚が5μm
未満では、耐傷つき性、耐薬品性、耐候性等の性能が十
分に得られず、一方、塗膜厚が35μmを超えると塗装
作業性の低下や塗膜外観の低下を招くだけでなく、曲げ
加工性や耐傷つき性も劣り、また、コストも上昇するた
め好ましくない。本発明の塗料組成物は、2コート・2
ベーク方式または3コート・3ベーク方式のトップコー
トとしての使用が特に好ましい。3コート・3ベーク方
式で使用する場合は、本発明の塗料組成物による塗膜と
プライマー塗膜との間に、通常の3コート・3ベークで
使用される中塗塗膜を形成する。
【0028】
【実施例】本実施例で使用したポリエステル化合物
(1)〜(8)の合成法、塗料組成物の調整法、被塗装
鋼板の構成、プレコート鋼板の製造法について、以下に
示す。 [ポリエステル化合物の合成] ・ポリエステル化合物(1)の合成 加熱装置、撹拌機、精留塔および温度計を備えた反応容
器に、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジメチルエー
テル(以下、“2,6−NDCM”という)を0.5m
ol、ジエチレングリコールを1.05mol入れ、2
00℃で加熱溶融した。その後、触媒としてチタニウム
テトラ−n−ブトキシドを2,6−NDCMに対して
0.10mol%添加し、反応温度を段階的に240℃
まで上げていき、理論量のメタノール32g(1.0m
ol)が留出したところで反応を終了した。これにより
ポリエステル化合物(1)(エーテル結合を有するポリ
エステル化合物)を得た。このポリエステル化合物の還
元粘度は0.05dl/gであった。
【0029】・ポリエステル化合物(2)の合成 加熱装置、撹拌機、精留塔および温度計を備えた反応容
器に、2,6−NDCMを0.5mol、数平均分子量
が200のポリエチレングリコール(PEG♯200)
を1.02mol入れ、200℃で加熱溶融した。その
後、触媒としてチタニウムテトラ−n−ブトキシドを
2,6−NDCMに対して0.06mol%添加し、反
応温度を段階的に270℃まで上げていき、触媒添加か
ら約3時間を要して理論量の95%にあたるメタノール
30gを留出させた。これによりポリエステル化合物
(2)(エーテル結合を有するポリエステル化合物)を
得た。このポリエステル化合物の還元粘度は0.08d
l/gであった。
【0030】・ポリエステル化合物(3)の合成 加熱装置、撹拌機、精留塔および温度計を備えた反応容
器に、2,6−NDCMを0.5mol、1,4−シク
ロヘキサンジメタノール(トランス体70重量%)を
1.02mol入れ、200℃で加熱溶融した。その
後、触媒としてチタニウムテトラ−n−ブトキシドを
2,6−NDCMに対して0.06mol%添加し、反
応温度を段階的に270℃まで上げていき、理論量のメ
タノール32g(1.0mol)が留出したところで反
応を終了した。これによりポリエステル化合物(3)を
得た。このポリエステル化合物の還元粘度は0.05d
l/gであった。
【0031】・ポリエステル化合物(4)の合成 加熱装置、撹拌機、精留塔および温度計を備えた反応容
器に、2,6−NDCMを0.5mol、ネオペンチル
グリコールを1.05mol入れ、200℃で加熱溶融
した。その後、触媒として酢酸カルシウムを2,6−N
DCMに対して0.03mol%添加し、反応温度を段
階的に240℃まで上げていき、理論量のメタノール3
2g(1.0mol)が留出したところで、リン酸トリ
メチルを2,6−NDCMに対して0.03mol%加
え反応を終了した。これによりポリエステル化合物
(4)を得た。このポリエステル化合物の還元粘度は
0.04dl/gであった。
【0032】・ポリエステル化合物(5)の合成 加熱装置、撹拌機、精留塔および温度計を備えた反応容
器に、テレフタル酸ジメチルを0.5mol、平均分子
量が650のポリエチレングリコール(PEG♯65
0)を1.02mol入れ、170℃で加熱溶融した。
その後、触媒としてチタニウムテトラ−n−ブトキシド
をテレフタル酸ジメチルに対して0.06mol%添加
し、反応温度を段階的に240℃まで上げていき、理論
量の92%にあたるメタノール29gを留出させた。こ
れによりポリエステル化合物(5)を得た。このポリエ
ステル化合物の還元粘度は0.07dl/gであった。
【0033】・ポリエステル化合物(6)の合成 加熱装置、撹拌機、精留塔および温度計を備えた反応容
器に、2,6−NDCMを1.0mol、エチレングリ
コールを2.1mol入れ、200℃で加熱溶融した。
その後、触媒として酢酸マンガンを2,6−NDCMに
対して0.03mol%添加し、反応温度を段階的に2
30℃まで上げていき、理論量のメタノール64g
(2.0mol)が留出したところで、リン酸トリメチ
ルを2,6−NDCMに対して0.03mol%加え反
応を終了した。これによりポリエステル化合物(6)を
得た。このポリエステル化合物の還元粘度は0.05d
l/gであった。
【0034】・ポリエステル化合物(7)の合成 加熱装置、撹拌機、精留塔および温度計を備えた反応容
器に、2,6−NDCMを0.5mol、1,4−ブタ
ンジオールを1.02mol入れ、200℃で加熱溶融
した。その後、触媒としてチタニウムテトラ−n−ブト
キシドを2,6−NDCMに対して0.06mol%添
加し、反応温度を段階的に240℃まで上げていき、理
論量のメタノール32g(1.0mol)が留出したと
ころで反応を終了した。これによりポリエステル化合物
(7)を得た。このポリエステル化合物の還元粘度は
0.04dl/gであった。
【0035】・ポリエステル化合物(8)の合成 加熱装置、撹拌機、精留塔および温度計を備えた反応容
器に、テレフタル酸ジメチルを1.0mol、エチレン
グリコールを2.1mol入れ、180℃で加熱溶融し
た。その後、触媒として酢酸カルシウムをテレフタル酸
ジメチルに対して0.03mol%添加し、反応温度を
段階的に220℃まで上げていき、理論量のメタノール
64g(2.0mol)が留出したところで、リン酸ト
リメチルをテレフタル酸ジメチルに対して0.03mo
l%加え反応を終了した。これによりポリエステル化合
物(8)を得た。このポリエステル化合物の還元粘度は
0.04dl/gであった。
【0036】以上述べたポリエステル化合物(1)〜
(8)の化学構造式を以下に示す。 ポリエステル化合物(1)
【化4】
【0037】ポリエステル化合物(2)
【化5】
【0038】ポリエステル化合物(3)
【化6】
【0039】ポリエステル化合物(4)
【化7】
【0040】ポリエステル化合物(5)
【化8】
【0041】ポリエステル化合物(6)
【化9】
【0042】ポリエステル化合物(7)
【化10】
【0043】ポリエステル化合物(8)
【化11】
【0044】[塗料組成物の調製]ポリエステル化合物
(1)3重量部にシクロヘキサノンを40重量部加え、
12時間撹拌した。この際、ポリエステル化合物(1)
は粉砕機により250μm以下に粉砕したものを使用し
た。このようにして得られたポリエステル化合物(1)
のシクロヘキサノン分散液にポリフッ化ビニリデン樹脂
およびアクリル樹脂からなるベース樹脂、溶剤、顔料を
加え、サンドミルにより混合し、塗料組成物1を得た。
以下、同様にして塗料組成物2〜14を調製した。これ
ら塗料組成物の組成を表1に示す。なお、表1のポリエ
ステル化合物の配合量はシクロヘキサノンを含まない値
である。また、比較例の塗料組成物として、表1に示し
た割合で各成分を配合し、塗料組成物15〜17を得
た。
【0045】[被塗装鋼板]被塗装鋼板としては、溶融
亜鉛めっき鋼板(片面当りめっき付着量:130g/m
2)、亜鉛−5%アルミニウム合金めっき鋼板(片面当
りめっき付着量:130g/m2)、亜鉛−55%アル
ミニウム−1.6%シリコン合金めっき鋼板(片面当り
めっき付着量:100g/m2)を用いた。各めっき鋼
板の板厚はすべて0.35mmとした。
【0046】[プレコート鋼板の製造]上記各めっき鋼
板に金属クロム換算のクロム付着量が30mg/m2
なるように塗布型クロメート処理を施し、次いで、下塗
り塗料としてエポキシ樹脂系プライマーである日本ペイ
ント(株)製の“ユニフロンP−640プライマー”を
乾燥塗膜厚が5μmになるように塗布した後、到達板温
210℃、焼付時間60秒の条件で焼付処理し、さら
に、上塗り塗料として調製した上記塗料組成物1〜17
を所定の乾燥膜厚になるよう塗布した後、到達板温24
5℃、焼付時間60秒の条件で焼付処理し、引き続き水
冷してプレコート鋼板を得た。以上のようにして得られ
たプレコート鋼板を、以下に示すような各特性試験に供
した。その結果をプレコート鋼板の構成とともに表2〜
表4に示す。
【0047】本実施例で行った各特性試験の条件及び評
価方法を以下に示す。 (1)鉛筆硬度 三菱鉛筆“ユニ”を使用してJIS K5400の8.
4.2に基づいて行い、傷が付かない硬度限界と剥離を
生じない硬度限界を示した。 (2)曲げ加工性 JIS G3312の12.2.2(耐屈曲性に準拠)
に規定された折曲げバイスにより、予め塗装した鋼板を
20℃の室内において折り曲げた後、内側にn枚の同一
サンプル板を挾み、プレスにて折曲げた。折曲げ部を3
0倍のルーペで観察し、塗膜割れを起こさない最小の挾
み込み枚数(n枚)を評価値とし、1T、2T、3Tの
ように枚数にTを付けて表示した。0〜2Tを合格
(○)、3T以上を不合格(×)とした。
【0048】(3)ロール成形時の塗膜摩耗性 幅10mm、長さ300mmの試験片について、図1に
示すようなロール形状を有するロール成形機を用いて成
形加工した。ロール成形機としてはスチールクロムめっ
きロールを有する8段式ロールフォーマーを使用し、成
形速度1.5m/分で成形加工行った。成形加工後、試
験片の塗膜の表面を肉眼で観察し、下記により評価し
た。 ○:全く異常なし △:わずかに傷が発生 ×:異常有り (4)テーバー摩耗性 摩耗試験機(TOYOSEKI製A型)を用いて、摩耗輪として
CS−10を用い、摩耗輪に荷重1kgを加えて試験
し、プライマー露出までの回転数で評価した。この評価
では、1000回転未満を不合格(×)、1000回転
以上を合格(○)とした。なお、摩耗輪は200回転ご
とに研磨して用いた。
【0049】(5)落砂摩耗性 ASTM−D968に基づき、4号ケイ砂を落下させて
試験し、プライマー露出までの落砂量で評価した。この
評価では、40L未満を不合格(×)、40L以上を合
格(○)とした。 (6)耐薬品性 端面をテープシールした試験片を5%硫酸水溶液、5%
塩酸水溶液、5%水酸化ナトリウム水溶液にそれぞれ5
00時間浸漬した後、取り出して、塗膜表面を観察し、
下記により評価した。 ○:全く異常なし △:わずかに変色又は膨れが発生 ×:異常有り
【0050】表2〜表4によれば、比較例のプレコート
鋼板は耐傷つき性、耐摩耗性、加工性、耐薬品性のうち
のいずれか1つ以上が劣っているのに対し、本発明例の
プレコート鋼板はこれらすべての特徴に優れていること
が判る。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】
【発明の効果】以上述べた本発明の塗料組成物によれ
ば、プレコート鋼板等の塗膜として、厳しい成形加工を
施した場合でも塗膜割れなどの損傷を生じにくい優れた
加工性を有し、しかも、ハンドリング傷や加工・組立時
の傷などの損傷を生じにくい優れた耐傷つき性を示す塗
膜が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】成形ロールによる塗膜摩耗試験で用いたロール
成形機のロール形状を示す説明図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C09D 127/16 C09D 127/16 133/06 133/06 (72)発明者 吉田 安秀 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 江原 守 東京都品川区南品川4丁目1番15号 日本 ペイント株式会社東京事業所内 (72)発明者 田中 勝祥 東京都品川区南品川4丁目1番15号 日本 ペイント株式会社東京事業所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イ)一般式(1)に示される化学構造を有
    するポリエステル化合物を塗料組成物の全固形分中の割
    合で1〜15重量%と、 【化1】 ロ)ポリフッ化ビニリデン樹脂と ハ)アクリル樹脂とを含有し、 且つ上記イ)、ロ)、ハ)の成分の合計が塗料組成物の
    全固形分中の割合で40重量%以上であることを特徴と
    する塗料組成物。
  2. 【請求項2】 金属板またはめっき金属板の少なくとも
    一方の面に、請求項1に記載の塗料組成物を塗布して形
    成した膜厚5〜35μmの塗膜を有することを特徴とす
    るプレコート金属板。
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