JPH1142469A - 廃棄物処理剤および廃棄物処理方法 - Google Patents

廃棄物処理剤および廃棄物処理方法

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JPH1142469A
JPH1142469A JP9201756A JP20175697A JPH1142469A JP H1142469 A JPH1142469 A JP H1142469A JP 9201756 A JP9201756 A JP 9201756A JP 20175697 A JP20175697 A JP 20175697A JP H1142469 A JPH1142469 A JP H1142469A
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Application number
JP9201756A
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English (en)
Inventor
Toru Yoshida
融 吉田
Takuji Nomura
卓司 野村
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 廃棄物中の有害重金属に対する安定化の処理
剤および処理方法を提供する。 【解決手段】 【化1】 (XおよびYは水素および/またはその他の置換基)構
造を有する化合物(但し、チオ尿素は除く。)を主たる
構成成分とする処理剤と廃棄物とを混合し、必要に応じ
て水を加えて混練することで、廃棄物中の有害重金属等
を安定化することができ、特に、都市ごみ焼却飛灰中の
Pbの安定化に有効である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、廃棄物中の有害重
金属(鉛、カドミウム、水銀、クロム、銅、ニッケル、
亜鉛等)を安定化するのに有効な廃棄物処理剤および廃
棄物処理方法に関するものであり、特に、鉛の溶出抑制
が困難な廃棄物焼却飛灰を安定化するのに有効な処理剤
および処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、有害重金属等を含む産業廃棄物を
処分する際には、セメントが処理剤として用いられ、セ
メントと廃棄物を混合し、水を加えて混練した後、養生
固化し、有害重金属等の溶出を防ぎ安定化する方法が用
いられている。しかしながら、このように単にセメント
で固化する従来の産業廃棄物の処理方法には種々の問題
があり、用途を限定しなければ2次公害が発生する恐れ
がある。特にごみ焼却の際、電気集塵器やバグフィルタ
ーで捕捉された廃棄物焼却飛灰には、鉛(Pb)等の有
害重金属が高濃度に含まれているにも関わらず、従来技
術であるセメント処理では充分に溶出を防止できないた
め、現在では有害重金属等の安定化が不充分なまま埋立
処理されており、処理後の2次公害の問題が噴出してい
る。
【0003】このように、今日では、単にセメントによ
って固化するだけでは、有害重金属等を含有する産業廃
棄物を、有害重金属等が溶出してこない状態に安定化す
ることが困難なことが国内外で明らかとなってきてい
る。そこで、廃棄物の陸上埋立処分時あるいは海洋投棄
処分時においても有害重金属等が確実に封入され、再溶
出せず2次公害が発生しない廃棄物の処理剤および処理
方法が望まれていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
廃棄物処理の現状に鑑み、廃棄物中の種々の有害重金属
を確実に固化封入し、再溶出しないように安定化するこ
とが可能な廃棄物処理剤および廃棄物処理方法を提供す
ることを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の従
来技術における問題点を解決する方法として、チオ尿素
と二酸化珪素や銅化合物等を用いる廃棄物処理方法を先
に発明したが(特開平09−57231号公報)、さら
に鋭意検討した結果、チオ尿素を用いない、新たな廃棄
物処理剤および廃棄物処理方法を得るに至った。
【0006】即ち、本発明の廃棄物処理剤は、
【化13】 (XおよびYは水素またはその他の置換基)構造を有す
る化合物(但し、XおよびYが−NH2 であるチオ尿素
は除く。以下、本明細書では、この構造の化合物を「イ
オウ化合物(I) 」という。)を主たる構成成分としてな
る廃棄物処理剤(以下、処理剤(a) という。)であり、
さらには、前記イオウ化合物(I) を主たる構成成分とし
て、あらかじめ水、その他の溶媒に溶解または分散させ
た廃棄物処理剤(以下、処理剤(b) という。)である。
【0007】また、本発明の廃棄物処理方法は、廃棄
物、特に、都市ごみ焼却飛灰と、前記イオウ化合物(I)
を主たる構成成分とする処理剤(a) 、または処理剤(b)
とを混合し、必要に応じて水を加えて混練することを内
容とするものである。
【0008】廃棄物焼却飛灰中のPbは、アルカリ雰囲
気下で溶出しやすいことが一般的に知られているが、都
市ごみの焼却炉等では稼働中に発生する塩化水素ガス量
を抑制する目的で消石灰を吹き込んでいる。このため、
このような運転条件下で生成する電気集塵器捕集飛灰や
バグフィルター捕集飛灰は特にPb溶出量が多く、従来
のセメント固化技術では充分に溶出を防止できない。
【0009】これに対し、本発明者らが先に発明した、
特開平09−57231号公報記載のチオ尿素を用いた
廃棄物処理技術においては、良好な重金属溶出防止効果
を発揮するが、本発明の前記イオウ化合物(I) を主たる
構成成分とする廃棄物処理剤、および廃棄物と前記処理
剤とを混合し、必要に応じて水を加えて混練する廃棄物
処理方法は、この特開平09−57231号公報記載の
発明よりも良好な有害重金属溶出防止性能を示す。
【0010】本発明による有害重金属溶出防止の作用機
構は必ずしも明らかではないが、次のようなことが考え
られる。すなわち、前記イオウ化合物(I) 中のSが重金
属と結合し、重金属1モルに対し、2モル以上のイオウ
化合物(I) が重金属を取り囲むようにして安定化する。
あるいは、前記イオウ化合物(I) が、
【化14】 (R1 ,R2 ,R3 は水素またはその他の置換基)構造
を有するチオアミド誘導体(以下、本明細書では「イオ
ウ化合物(I-a) 」という。)の場合や、
【化15】 (R4 ,R5 ,R6 ,R7 は水素またはその他の置換
基)構造を有するチオ尿素誘導体(以下、本明細書では
「イオウ化合物(I-b) 」という。)の場合は、これらの
イオウ化合物(I-a) 、(I-b) 中のSとN原子が重金属に
配位し、重金属−S−C−Nの四員環の分子内キレート
を形成することにより、重金属を安定化することが考え
られる。このイオウ化合物(I-a) 、(I-b) の場合には、
1モルの重金属に対してチオアミド誘導体あるいはチオ
尿素誘導体が1モルで安定化することが可能となり、処
理剤添加量を低減させることができる点でより好まし
い。
【0011】さらに、イオウ化合物(I-b) において、前
記R4 ,R5 ,R6 ,R7 の少なくとも1つの置換基
が、
【化16】 (R8 ,R9 は水素またはその他の置換基)、あるいは
【化17】 (R10は水素またはその他の置換基)、を含む置換基で
あるような化合物の場合には、上記のキレート形成に際
して、さらにこの
【化18】 あるいは、
【化19】 のN原子が配位子として加わり、安定化していると考え
られる。この場合は、重金属1原子に対し、より多くの
配位子が配位することになり、より強固に重金属を捕捉
し安定化させることが可能となる点で、本発明中で用い
る処理剤としてはさらに好ましい。
【0012】本発明の処理剤(a) 、(b) に用いる、前記
のようなイオウ化合物(I) としては、チオアミド誘導
体、チオ尿素誘導体、チオケトン誘導体、チオアルデヒ
ド誘導体、ジチオ酸誘導体、チオカルバミン酸誘導体、
ジチオカルバミン酸誘導体、チオエステル誘導体、ジチ
オエステル誘導体等が挙げられるが、具体的には、チオ
アセトアミド、チオベンズアミド、ジチオオキサミド
(ルベアン酸)、グアニルチオ尿素、ジチオビウレッ
ト、1−アセチル−2−チオ尿素、ジチオウラシル、
2,5−ジチオビウレア、チオカルボヒドラジド、チオ
セミカルバジド、ジチゾン、チオファネート、1,3−
ビス(ジメチルアミノプロピル)−2−チオ尿素、テト
ラメチルチオ尿素、N,N’−ジエチルチオ尿素、N,
N’−ジイソプロピルチオ尿素、N,N’−ジブチルチ
オ尿素、4−メチルチオセミカルバジド、アセトンチオ
セミカルバゾン、N,N’−ビス(エチルチオカルバモ
イル)ヒドラジン、1,3−ビス(ジメチルアミノプロ
ピル)−2−チオ尿素、N−アリル−N’−(2−ヒド
ロキシエチル)チオ尿素、N,N’−ビス(2−ヒドロ
キシエチル)チオ尿素、ジアセチルチオ尿素、フェニル
チオ尿素、N,N’−ジフェニルチオ尿素、モノ−o−
トリルチオ尿素、N,N’−ジ−o−トリルチオ尿素、
ベンゾイルチオ尿素、フェニルチオセミカルバジド、4
−フェニルチオセミカルバジド、アセトフェノンチオセ
ミカルバゾン、ビス(チオウレイドメチル)ベンゼン、
p−トルエンスルホニルチオカルバジド、2−チオウラ
シル、4−チオウラシル、メチルチオブタネート、エチ
ルジチオアセテート、エチレントリチオカーボネート、
ジエチルジチオカルバミン酸、ジエチルジチオカルバミ
ン酸塩、ピペラジン−N,N’−ビスジチオカルバミン
酸カリウム等が例示できる。これらの中でも、特に、先
に述べた作用機構や実際のPb安定化性能結果等を考慮
すると、チオアセトアミド、チオベンズアミド、ジチオ
オキサミド(ルベアン酸)等のチオアミド誘導体、グア
ニルチオ尿素、ジチオビウレット、1−アセチル−2−
チオ尿素、ジチオウラシル、2,5−ジチオビウレア、
チオカルボヒドラジド、チオセミカルバジド等のチオ尿
素誘導体が好ましい。なお、2種以上のイオウ化合物
(I) を併用することも本発明の範疇である。
【0013】さらに、前記のようなイオウ化合物(I)
を、あらかじめ水またはその他の溶媒に添加し、混合
後、溶液状態あるいはスラリー状態とした処理剤(b) に
おいては、従来、一般的に用いられている処理剤(薬
剤)注入装置の使用が可能であり、しかも、粉塵が飛散
することがないという点で好ましい。
【0014】本発明の廃棄物処理剤においては、イオウ
化合物(I) が主たる構成成分であるが、処理剤(a) およ
び処理剤(b) ともに、イオウ化合物(I) 以外のその他の
成分を含ませることも本発明の範疇である。例えば、廃
棄物との処理においてPH調整を行う必要がある場合、
あらかじめ塩酸、燐酸、硝酸、硫酸等の酸や水酸化ナト
リウム、消石灰等のアルカリ、その他、水酸化アルミニ
ウム等を構成成分として含ませることができる。また、
有害重金属溶出防止性能の向上とともに処理した後の固
化強度をも向上させる必要がある場合には、セメントや
水ガラス等を構成成分として含ませることができる。そ
の他、二酸化ケイ素やケイ酸アルミニウム等の吸着剤、
ポリ塩化アルミニウム、ポリアクリル酸ナトリウム、ポ
リアクリルアミド等の凝集剤を含ませるなど、種々の物
質を構成成分として含ませることができる。
【0015】本発明の廃棄物処理方法は、廃棄物と上記
のような処理剤(a) または(b) とを混合し、必要に応じ
て水を加えて混練することであるが、重金属安定化性能
を効果的に発揮させるためには、廃棄物とイオウ化合物
(I) 等の処理剤成分が充分に接触することが重要であ
る。水を加えて混練する方法は、廃棄物と処理剤を充分
に接触させるという点で好ましい。したがって、廃棄物
に、前記イオウ化合物(I) をあらかじめ水またはその他
の溶媒に添加し、混合後、溶液状態あるいはスラリー状
態にした処理剤(b) を添加する廃棄物処理方法は、上記
のように廃棄物と処理剤成分とを充分に接触させること
において、より好ましい。特に、廃棄物が焼却飛灰のよ
うな比較的乾燥した廃棄物の場合は、これらの方法が有
効である。この場合の水の添加量は、廃棄物によって含
水率や処理剤との濡れ性等が異なるため一概には言えな
いが、焼却飛灰のような比較的乾燥した廃棄物の場合に
は、処理剤中の水分を含めた加える水分の総和が廃棄物
100重量部に対し25重量部以上であることが好まし
い。但し、水分が多すぎると、混練後の処理物のハンド
リング性が悪い、処理剤が所定の効果を示さない等の問
題が発生する可能性があることも付記しておく。
【0016】本発明の廃棄物処理方法において、マグネ
シウム、カルシウム、鉄、ニッケル、銅、アンチモン、
これらの金属の化合物、およびこれらの金属イオンから
なる群より選ばれた少なくとも1つが含有されている廃
棄物を、本発明の廃棄物処理剤を用いて処理した場合、
あるいは、前記のような金属、その化合物、あるいは金
属イオン等を廃棄物に意図的に含有させたうえで本発明
の廃棄物処理剤を用いて処理した場合には、重金属溶出
防止性能が向上することからより好ましい。この原因に
ついては不明であるが、前述した作用機構に加えて、イ
オウ化合物(I)中のSが脱離する脱硫反応の結果、重金
属が硫化物、例えばPbS等となって安定化しているこ
とが推定され、マグネシウム、カルシウム、鉄、ニッケ
ル、銅、アンチモン、これらの金属の化合物、あるいは
これらの金属イオンが、反応物としてこの脱硫反応に関
与している、あるいは触媒的に脱硫反応に関与している
のではないかと考えられる。また、廃棄物に意図的に前
記のような金属、金属化合物、あるいは金属イオン等を
含有させたうえで、本発明の廃棄物処理剤を用いて処理
する際において、前記金属、金属化合物、又は金属イオ
ン等を廃棄物に添加する方法には何ら制限はなく、これ
らの物質をあらかじめ廃棄物に添加しておく方法、処理
剤に混合してから廃棄物に添加する方法、処理剤と同時
に廃棄物に別添加する方法、処理剤と廃棄物を混練して
いる途中に添加する方法、その他、どのような方法で添
加してもよい。
【0017】本発明の処理方法において、対象とする廃
棄物については特に限定はないが、電気炉や亜鉛メッキ
工程で発生する集塵ダスト、焼却灰、鉱山から排出され
る鉱さい、有害重金属で汚染された土壌、汚泥等、金属
化合物を含有する廃棄物においてより効果を発揮し、そ
の中でも、有害重金属である鉛、カドミウム、水銀、ク
ロム、銅、ニッケル、亜鉛、これら有害重金属の化合
物、これら有害重金属のイオンからなる群より選ばれる
少なくとも1つの物質を含有する廃棄物を安定化するこ
とに効果的である。特に、廃棄物焼却飛灰、その中で
も、都市ごみ焼却飛灰に対しては優れた効果を発揮す
る。
【0018】本発明において、廃棄物に対する、イオウ
化合物(I) を主たる構成成分とする廃棄物処理剤の添加
量は特に制限されるものではない。廃棄物中のPb等の
重金属含有量、処理しない場合の廃棄物からの有害重金
属の溶出量(無処理溶出量)、更には目標とする溶出許
容量等を考慮し、実用的にはコスト的な面からも考慮
し、最も少ない処理剤添加量で目標溶出量以下にするこ
とが、添加量を決定する要因となる。実際には、廃棄物
100重量部に対して、イオウ化合物(I) を主たる構成
成分としてなる処理剤成分が20重量部以下となる添加
量で各重金属溶出量を法規制値以下に抑制することが可
能である。20重量部を越えて添加しても重金属溶出防
止性能に何ら問題はないが、処理物の体積が増大し、処
理物の埋め立て地が確保できない等の問題が生じたり、
コストアップになる場合が多い。
【0019】本発明の廃棄物処理方法において、廃棄物
と処理剤を混合、混練した後、養生することは処理剤の
効果を充分発現せしめるために有効な手段であって本発
明の範疇である。これは、本発明の処理剤と廃棄物成分
とが接触することによって瞬時に反応が開始し効果が発
現するものの、その後にも徐々に反応が進行することを
示唆していると考えられ、養生の時間は長い方がより効
果的である。また、用いる処理剤の種類にもよるが、加
温することで更に養生効果を発現せしめることも可能で
ある。その際の養生温度は40℃以上100℃以下であ
ることが好ましい。この温度範囲内で養生することによ
る作用については必ずしも明らかではないが、上記温度
範囲に加温して廃棄物と処理剤との配合物を養生するこ
とにより、養生中に進行する反応が促進されるためと考
えられる。また、その際、生成する反応生成物がより安
定な状態になり、有害重金属の溶出をより強固に防止す
るのではないかと推定される。
【0020】
【作用】本発明に係る廃棄物処理方法がPb等の有害重
金属を安定化する機構は必ずしも明らかではないが、次
のようなことが考えられる。 (1)
【化20】 構造を有するイオウ化合物(I) 中のSが重金属と結合
し、重金属1モルに対し、2モル以上のイオウ化合物
(I) が重金属を取り囲むようにして安定化する。 (2)イオウ化合物(I) が、
【化21】 構造を有するチオアミド誘導体であるイオウ化合物(I-
a) の場合や、
【化22】 構造を有するチオ尿素誘導体であるイオウ化合物(I-b)
の場合は、これらの化合物中のSとN原子が重金属に配
位し、重金属−S−C−Nの四員環の分子内キレートを
形成することにより安定化する。 (3)
【化23】 構造を有するチオ尿素誘導体であるイオウ化合物(I-b)
において、このR4 ,R 5 ,R6 ,R7 の少なくとも1
つの置換基が、
【化24】 あるいは、
【化25】 、を含む置換基であるような化合物の場合には、前記
(2)のキレート形成に際し、更にこの
【化26】 あるいは、
【化27】 のN原子が配位子として加わり安定化している。 (4)イオウ化合物(I) の
【化28】 構造中のSが脱離する脱硫反応の結果、重金属が硫化
物、例えばPbS等となり安定化している。以上、
(1)〜(4)に記載したようなことから、本発明の廃
棄物処理剤および処理方法を用いることにより、廃棄物
中の有害重金属、特に都市ごみ焼却飛灰中のPbの安定
化処理を行うことができる。
【0021】
【発明の効果】本発明の廃棄物処理剤および処理方法を
用いて、有害重金属を含有する廃棄物を処理することに
より、有害重金属、特に廃棄物焼却飛灰中のPbが安定
化され、溶出量が減少する。また、本発明で得られる廃
棄物と、イオウ化合物(I) を主たる構成成分とする廃棄
物処理剤との配合物は、有害重金属の溶出量が極めて少
ない材料として、路盤材、セメントの骨材等に再利用す
ることができ貴重な資源となり得る。
【0022】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0023】(比較例1)都市ごみ焼却施設で生成した
バグフィルター捕集飛灰S(以下、「飛灰S」とい
う。)を処理剤で処理することなく(無処理のまま)環
境庁告示第13号(日本)の溶出試験を行った。なお、
飛灰S中のPb含有量を測定したところ、0.25重量
%(2500mg/kg)であり、Ca(OH)2 含有
量は12.5重量%であった。
【0024】(比較例2)水25.0gを50gの飛灰
Sに添加、混練したものを20℃で24時間養生固化し
た。固化後粉砕し、目開き5mmのふるいで分級し、ふ
るいを通過したものを30gを分取して上記方法により
溶出試験を行った。
【0025】(比較例3)50gの飛灰Sに、セメント
(普通ポルトランドセメント)10.0gを添加(10
0重量部の飛灰Sに対し20重量部)し、さらに水2
5.0gを加えて混練したものを20℃で24時間養生
固化した。固化後粉砕し、目開き5mmのふるいで分級
し、ふるいを通過したものについて30gを分取して上
記方法により溶出試験を行った。
【0026】(比較例4)50gの飛灰Sに、チオ尿素
5.0gを添加(100重量部の飛灰Sに対し10重量
部)し、さらに水25.0gを加えて混練したものを2
0℃で24時間養生固化した。固化後粉砕し、目開き5
mmのふるいで分級し、ふるいを通過したものについて
30gを分取して上記方法により溶出試験を行った。
【0027】(実施例1〜12)チオ尿素5.0gに代
えて表1に示す種類、量の処理剤を用いた以外は、比較
例4と全く同様にして溶出試験を行った。
【0028】
【表1】
【0029】(実施例13)ジチオオキサミド(ルベア
ン酸)と水をあらかじめ重量比1:1で混合し、攪拌均
一化してスラリー状処理剤とし、50gの飛灰Sにこの
液状処理剤4.0gを添加(100重量部の飛灰Sに対
し8重量部)し、さらに水25.0gを加えて混練した
ものを20℃で24時間養生固化した。固化後粉砕し、
目開き5mmのふるいで分級し、ふるいを通過したもの
について30gを分取して上記方法により溶出試験を行
った。
【0030】(実施例14)ジチオオキサミド(ルベア
ン酸)に代えてグアニルチオ尿素を用いた以外は、実施
例13と全く同様にして溶出試験を行った。
【0031】(実施例15)50gの飛灰Sに、あらか
じめ水酸化マグネシウム0.5gを添加(100重量部
の飛灰Sに対し1重量部)し、混合しておき、この混合
物にグアニルチオ尿素1.0gを処理剤として添加(1
00重量部の飛灰Sに対し2重量部)し、さらに水2
5.0gを加えて混練したものを20℃で24時間養生
固化した。固化後粉砕し、目開き5mmのふるいで分級
し、ふるいを通過したものについて30gを分取して上
記方法により溶出試験を行った。
【0032】(実施例16〜18)水酸化マグネシウム
に代えて、表2示す化合物を用いた以外は、実施例15
と全く同様にして溶出試験を行った。
【0033】
【表2】
【0034】以上、比較例および実施例のPb溶出試験
結果を表3に示す。
【0035】
【表3】
【0036】表3に示した比較例と実施例の比較から、
本発明の処理剤は広く一般に使用されているセメントに
比べても優れたPb安定化性能を有することが明らかで
ある。また、実施例16〜18に示したように、水酸化
鉄、水酸化ニッケル、水酸化銅をあらかじめ飛灰に添加
した場合においても、Fe、Ni、Cuの溶出はなく、
しかもPbを十分安定化させていることが認められた。
以上のことから、本発明の廃棄物処理剤および廃棄物処
理方法の効果が明らかとなった。

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 【化1】 (XおよびYは水素またはその他の置換基)構造を有す
    る化合物(但し、チオ尿素は除く。)を主たる構成成分
    としてなる廃棄物処理剤。
  2. 【請求項2】 【化2】 (XおよびYは水素またはその他の置換基)構造を有す
    る化合物(但し、チオ尿素は除く。)を主たる構成成分
    として溶媒に溶解または分散させた廃棄物処理剤。
  3. 【請求項3】 前記溶媒が水である請求項2記載の廃棄
    物処理剤。
  4. 【請求項4】 前記化合物が、チオアミド誘導体、チオ
    尿素誘導体、チオケトン誘導体、チオアルデヒド誘導
    体、ジチオ酸誘導体、チオカルバミン酸誘導体、ジチオ
    カルバミン酸誘導体、チオエステル誘導体、およびジチ
    オエステル誘導体からなる群から選ばれた少なくとも1
    つである請求項1または2記載の廃棄物処理剤。
  5. 【請求項5】 前記化合物が、 【化3】 (R1 、R2 、R3 は水素またはその他の置換基)構造
    を有するチオアミド誘導体である請求項1または2記載
    の廃棄物処理剤。
  6. 【請求項6】 前記チオアミド誘導体が、チオアセトア
    ミド、チオベンズアミド、およびジチオオキサミドから
    なる群より選ばれた少なくとも1つである請求項5記載
    の廃棄物処理剤。
  7. 【請求項7】 前記化合物が、 【化4】 (R4 ,R5 ,R6 ,R7 は水素またはその他の置換
    基)構造を有するチオ尿素誘導体である請求項1または
    2記載の廃棄物処理剤。
  8. 【請求項8】 前記チオ尿素誘導体が、R4 ,R5 ,R
    6 ,R7 の少なくとも1つの置換基が、 【化5】 (R8 ,R9 は水素またはその他の置換基)、あるい
    は、 【化6】 (R10は水素またはその他の置換基)、を含む置換基で
    ある請求項7記載の廃棄物処理剤。
  9. 【請求項9】 前記チオ尿素誘導体が、グアニルチオ尿
    素、ジチオビウレット、1−アセチル−2−チオ尿素、
    ジチオウラシル、2,5−ジチオビウレア、チオカルボ
    ヒドラジド、およびチオセミカルバジドからなる群より
    選ばれた少なくとも1つである請求項8記載の廃棄物処
    理剤。
  10. 【請求項10】 廃棄物と、 【化7】 (XおよびYは水素またはその置換基)構造を有する化
    合物(但し、チオ尿素を除く。)を主たる構成成分とす
    る廃棄物処理剤とを混合し、必要に応じて水を加えて混
    練することを特徴とする廃棄物処理方法。
  11. 【請求項11】 【化8】 (XおよびYは水素またはその置換基)構造を有する化
    合物(但し、チオ尿素を除く。)を主たる構成成分とし
    て水等の溶媒に添加混合し、溶液状態あるいはスラリー
    状態の廃棄物処理剤とし、この廃棄物処理剤と廃棄物を
    混合し、必要に応じて水を加えて混練することを特徴と
    する廃棄物処理方法。
  12. 【請求項12】 前記化合物が、チオアミド誘導体、チ
    オ尿素誘導体、チオケトン誘導体、チオアルデヒド誘導
    体、ジチオ酸誘導体、チオカルバミン酸誘導体、ジチオ
    カルバミン酸誘導体、チオエステル誘導体、およびジチ
    オエステル誘導体からなる群から選ばれた少なくとも1
    つである請求項10または11記載の廃棄物処理方法。
  13. 【請求項13】 前記化合物が、 【化9】 (R1 ,R2 ,R3 は水素またはその他の置換基)構造
    を有するチオアミド誘導体である請求項10または11
    記載の廃棄物処理方法。
  14. 【請求項14】 前記チオアミド誘導体が、チオアセト
    アミド、チオベンズアミド、およびジチオオキサミドか
    らなる群より選ばれた少なくとも1つである請求項13
    記載の廃棄物処理方法。
  15. 【請求項15】 前記化合物が、 【化10】 (R4 ,R5 ,R6 ,R7 は水素またはその他の置換
    基)構造を有するチオ尿素誘導体である請求項10また
    は11記載の廃棄物処理方法。
  16. 【請求項16】 前記チオ尿素誘導体が、R4 ,R5
    6 ,R7 の少なくとも1つの置換基が、 【化11】 (R8 ,R9 は水素またはその他の置換基)、あるいは 【化12】 (R10は水素またはその他の置換基)、を含む置換基で
    ある請求項15記載の廃棄物処理方法。
  17. 【請求項17】 前記チオアミド誘導体が、グアニルチ
    オ尿素、ジチオビウレット、1−アセチル−2−チオ尿
    素、ジチオウラシル、2,5−ジチオビウレア、チオカ
    ルボヒドラジド、およびチオセミカルバジドからなる群
    より選ばれた少なくとも1つである請求項16記載の廃
    棄物処理方法。
  18. 【請求項18】 前記廃棄物が、マグネシウム、カルシ
    ウム、鉄、ニッケル、銅、これらの金属の化合物、およ
    びこれらの金属イオンとからなる群より選ばれる少なく
    とも1つを含有する請求項10または11記載の廃棄物
    処理方法。
  19. 【請求項19】 前記廃棄物に、マグネシウム、カルシ
    ウム、鉄、ニッケル、銅、アンチモン、これらの金属の
    化合物、およびこれらの金属イオンからなる群より選ば
    れた少なくとも1つを添加する請求項10または11記
    載の廃棄物処理方法。
  20. 【請求項20】 前記廃棄物が、廃棄物焼却飛灰である
    請求項10または11記載の廃棄物処理方法。
  21. 【請求項21】 前記廃棄物が、都市ごみ焼却飛灰であ
    る請求項20記載の廃棄物処理方法。
  22. 【請求項22】 廃棄物処理剤の添加量が、廃棄物10
    0重量部に対して処理剤成分が20重量部以下となる量
    である請求項10または11記載の廃棄物処理方法。
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