JPH1139808A - ハードディスクドライブ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 フライングヘッドがハードディスク上の何処
に位置している場合であっても、衝撃によるフライング
ヘッドの跳ね上りを効果的に防止すること。 【解決手段】 フライングヘッド９がハードディスク４
から離れる方向の衝撃荷重をキャンセルする方向の荷重
をサスペンション８に与えるカウンターウエイト３１を
備えたもの。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ハードディスク
（Hard Disk）を用いてデータの記録、再生を行うハー
ドディスクドライブ（Hard Disk Drive ）に関し、特
に、フライングヘッドを支持するＨＧＡ（Head Gimbal
Assembly）に関する技術分野に属するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来から、図１１に示すように、ハード
ディスクドライブ１は、密封ケース２内にてスピンドル
モータ３（図１３参照）のスピンドル３ａに１〜複数枚
のハードディスク４をクランパー５によって固着してい
る。そして、密封ケース２内にてアーム軸６を中心とし
て揺動自在に構成されたヘッドアーム７の先端に１〜複
数のサスペンション８を介して１〜複数のフライングヘ
ッド９を取り付け、そのヘッドアーム７の他端を揺動駆
動するボイスコイルモータ１０が設けられている。な
お、密封ケース２内にはリード／ライトの制御回路が実
装されたプリント基板１１が組み込まれていて、そのプ
リント基板１１と１〜複数のフライングヘッド９がフレ
キシブルプリント基板１２及びリード線１２（図１１参
照）によって接続されている。また、密封ケース２内に
は集塵用エアフィルター１４等も組み込まれている。

【０００３】そして、１〜複数のハードディスク４をス
ピンドルモータ３によって高速で矢印ａ方向等に回転駆
動し、１〜複数のフライングヘッド９を１〜複数のハー
ドディスク４の表面からエアフィルム１６（図２参照）
によってサスペンション８の負荷荷重に抗して浮上させ
た非接触状態で、ヘッドアーム７をアーム軸６を中心に
ボイスコイルモータ１０によって矢印ｂ、ｃ方向に揺動
駆動して、これらのフライングヘッド９によってこれら
のハードディスク４にデータの記録、再生を行うように
構成されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】近年、ハードディスク
ドライブ１の小型化が促進されて、携帯型パソコン等に
小型ハードディスクドライブ１が内蔵されるようにな
り、そのハードディスクドライブ１の耐衝撃性の向上が
ますます要求されている。そして、ハードディスクドラ
イブ１の耐衝撃性を向上するためには、フライングヘッ
ド９を支持しているＨＧＡの耐衝撃性の向上が最も重要
となる。

【０００５】即ち、フライングヘッド９を支持するＨＧ
Ａを構成しているサスペンション８は、板バネで構成さ
れたロードビーム８１と、そのロードビーム８１の先端
にフライングヘッド９を支持する板バネからなるジンバ
ル８２によって構成されている。そして、ロードビーム
８１の他端（ジンバル８２側とは反対側の端部）がベー
スプレート８３を介して、或いは、その他端が直接ヘッ
ドアーム７の先端にビスやスポット溶接等の固定手段８
４によって固着されている。なお、フライングヘッド９
は合成樹脂等で構成されたスライダー９１に磁気ヘッド
チップ９２を埋設した構造に構成されている。

【０００６】一方、図１３及び図１４に示すように、ハ
ードディスクドライブ１が床面２１上等に矢印ｄ方向か
ら落下されて、そのハードディスクドライブ１に衝撃加
速度Ａが加えられた場合で、特に、その衝撃加速度Ａの
作用方向がサスペンション８によってフライングヘッド
９に負荷荷重Ｆを加える方向と同じ方向であった場合に
は、図１４に実線で示すように、フライングヘッド９が
慣性力によってサスペンション８のバネ力に抗して一度
矢印ｅ方向に跳ね上った後に、図１４に１点鎖線で示す
ように、そのフライングヘッド９がサスペンション８の
バネ力によってハードディスク４に矢印ｆ方向から叩き
つけられて、フライングヘッド９がハードディスク４に
衝突する。この際、衝撃加速度Ａが大きくなる程、フラ
イングヘッド９の跳ね上り点が増大するので、フライン
グヘッド９がハードディスク４に激しく衝突することに
なり、フライングヘッド９の破損やその衝突によってハ
ードディスク４に損傷を与えて、記録信号のエラーレー
トが劣化すると言う重大事故を招くことになる。

【０００７】この際、衝撃加速度Ａが加えられた時のフ
ライングヘッド９の跳ね上り作用は、サスペンション８
全体の等価質量Ｍと衝撃加速度Ａの積がサスペンション
８によるフライングヘッド９の負荷荷重Ｆ（フライング
ヘッド９をハードディスク４に押し付ける力）を越えた
場合、即ち、Ｆ＜Ｍ×Ａとなった場合に発生する。従っ
て、サスペンション８の跳ね上り開始加速度を大きくす
るためには、（１）、サスペンション８の負荷荷重Ｆを
大きくする。（２）、サスペンション８全体の等価質量
Ｍを小さくするために、スライダー９１、ロードビーム
８１及びジンバル８２を小型、軽量化することが好まし
い。

【０００８】しかし、実際上、スライダー９１、ロード
ビーム８１及びジンバル８２は年々小型、軽量化されて
いて、現在一部ではスライダー９１の長さＬ＝１．２ｍ
ｍ、幅Ｗ＝１．０ｍｍ、厚さＴ＝０．３ｍｍにまで小型
化したものが実用化されており、また、サスペンション
８も長さＬ＝１１〜１８ｍｍにまで小型化したものが開
発されていて、サスペンション８の負荷荷重１ｇ当りの
跳ね上り開始加速度が１００Ｇを越えるものもある。

【０００９】しかし、ＨＧＡの耐衝撃性の上限は使用す
るスライダー９１及びサスペンション８の組み合せで決
まってしまい、これ以上、耐衝撃性を向上することは困
難なところにまで達している。また、サスペンション８
の負荷荷重Ｆを高くすると言う方法もあるが、フライン
グヘッド９のハードディスク４に対するＣＳＳ（Contac
t Start Stop）時には、フライングヘッド９がハード
ディスク４に強く接触することになるので、ハードディ
スク４の摩耗による損傷が激しくなったり、スティクシ
ョン（ハードディスク４に対するスライダー９１の貼り
付き現象）が生じ易くなる等の問題がある。

【００１０】なお、一部には、フライングヘッド９の跳
ね上りを機械的に押えるためのジャンプストッパーをク
ランパーの外周に形成して、フライングヘッド９がハー
ドディスク４のＣＳＳゾーンにある時の跳ね上りを押え
るようにしたものが開発されているが、フライングヘッ
ド９がデータゾーンにて記録、再生中の衝撃には対応で
きないものである。

【００１１】本発明は、上記の問題を解決するためにな
されたものであって、フライングヘッドがハードディス
ク上の何処に位置している場合であっても、衝撃による
フライングヘッドの跳ね上りを効果的に防止することが
できるようにしたハードディスクドライブを提供するこ
とを目的としている。

【００１２】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明のハードディスクドライブは、フライングヘ
ッドがハードディスクから離れる方向の衝撃荷重をキャ
ンセルする方向の荷重をサスペンションに与えるカウン
ターウエイトを備えたものである。

【００１３】上記のように構成された本発明のハードデ
ィスクドライブは、落下時等の衝撃加速度によってフラ
イングヘッドにハードディスクから離れる方向の衝撃荷
重が加えられた時に、カウンターウエイトがその衝撃荷
重をキャンセルする方向の荷重をサスペンションに与え
るので、フライングヘッドに跳ね上りが発生しない。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下、本発明を適用したハードデ
ィスクドライブの実施の形態を図１〜図１０を参照して
説明する。なお、図１１〜図１４と同一構造部には同一
の符号を付して説明の重複を省く。

【００１５】「ＨＧＡの第１の実施形態」まず、図１〜
図８はＨＧＡの第１の実施形態を示したものであって、
この場合は、カウンターウエイト３１を板バネ３１１
と、その板バネ３１１の一端に固着した重り３１２によ
って構成し、板バネ３１１の他端側をサスペンション８
のロードビーム８１のセンター上で荷重曲げ部８１ａよ
りフライングヘッド９側にスポット溶接等の固定手段３
１３によって固着して、重り３１２をロードビーム８１
のセンター上で荷重曲げ部８１ａよりヘッドアーム７側
に配置したものである。

【００１６】そして、板バネ３１１にはロードビーム８
１の荷重曲げ部８１ａ上に重なる荷重曲げ部３１１ａが
形成されていて、サスペンション８の等価質量Ｗ₁ とカ
ウンターウエイト３１の等価質量Ｗ₂ が等しく構成さ
れ、かつ、サスペンション８の等価質量Ｗ₁ の中心から
ロードビーム８１の荷重曲げ部８１ａまでの距離Ｌ₁ と
カウンターウエイト３１の等価質量Ｗ₁ の中心から板バ
ネ３１１の荷重曲げ部３１１ａまでの距離Ｌ₂ とが等し
く構成されている。

【００１７】従って、このＨＧＡによれば、サスペンシ
ョン８によるフライングヘッド９の負荷荷重Ｆ₁ と等し
い負荷荷重Ｆ₂ がカウンターウエイト３１によってロー
ドビーム８１のフライングヘッド９とは反対側の端部に
常に加えられることになり、この負荷荷重Ｆ₂ によって
発生する板バネ３１１の荷重曲げ部３１１ａを中心とし
たモーメントＭ₂ が負荷荷重Ｆ₁ によって発生するロー
ドビーム８１の荷重曲げ部８１ａを中心としたモーメン
トＭ₁ をキャンセルすることになる。

【００１８】これにより、図３に示すように、フライン
グヘッド９がハードディスク４から上方に離間された状
態では、カウンターウエイト３１の負荷荷重Ｆ₂ がサス
ペンション８の負荷荷重Ｆ₁ と同じ力でヘッドアーム７
又はベースプレート８３を上方から押していて、図４に
示すように、フライングヘッド９をハードディスク４上
にコンタクトさせても、この状態は全く変化しない。

【００１９】従って、図５及び図６に示すように、ハー
ドディスクドライブ１が床面２１上等に落下されて、衝
撃加速度Ａが加えられた時のフライングヘッド９の跳ね
上げ開始加速度とカウンターウエイト３１の跳ね上げ開
始加速度が同じとなり、これらの跳ね上げ開始加速度が
相互にキャンセルされて、フライングヘッド９の跳ね上
げが生じない。

【００２０】その際、跳ね上げ開始加速度以上の衝撃荷
重Ｆ₁₁、Ｆ₁₂が加わった場合でも、これらの衝撃荷重Ｆ
₁₁、Ｆ₁₂が荷重曲げ部８１ａ、３１１ａの回りのモーメ
ントとして働くために、そのモーメントが相互にキャン
セルされるので、この場合でも、フライングヘッド９の
跳ね上りは生じない。

【００２１】また、図７及び図８に示すように、図５及
び図６とは逆方向の衝撃加速度が加えられた場合は、フ
ライングヘッド９はエアフィルム１６によるエアクッシ
ョンを介してハードディスク４で支持され、カウンター
ウエイト３１はヘッドアーム７又はベースプレート８３
が支持するので、この場合も、やはり、フライングヘッ
ド９の跳ね上りは生じない。

【００２２】「ＨＧＡの第２の実施形態」次に、図９及
び図１０はＨＧＡの第２の実施形態を示したものであっ
て、図９は板バネで構成されているロードビーム８１の
固定端８５を左右両側に配置して、これらの両固定端８
５をビス止めやスポット溶接等の固定手段８７によって
ヘッドアーム７又はベースプレート８３に固定し、この
ロードビーム８１の両固定端８５の内側に左右一対のス
リット１８によって板バネ１４をロードビーム８１から
一体に切り起し、その板バネ１４の先端上に重り３１２
を固着して、その板バネ１４と重り３１２によってカウ
ンターウエイト３１を構成したものである。

【００２３】また、図１０はロードビーム８１の幅広の
固定端８５を中央に配置して、その固定端８５をビスや
スポット溶接等の固定手段８４によってヘッドアーム７
又はベースプレート８３に固定し、このロードビーム８
１の固定端８４の周囲にほぼコ字状のスリット１９によ
ってほぼコ字状の板バネ３１５をロードビーム８１から
一体に切り起し、その板バネ３１５の先端上に重り３１
２を固着して、その板バネ３１５と重り３１２によって
カウンターウエイト３１を構成したものである。

【００２４】この第２の実施形態のように、カウンター
ウエイト３１を構成する板バネ３１４又は３１５をロー
ドビーム８１から一体に切り起すことによって、部品点
数及び組立工数の削減による低コスト化及び軽量化を促
進できる。

【００２５】以上、本発明の実施の形態に付き述べた
が、本発明は上記した実施の形態に限定されることな
く、本発明の技術的思想に基づいて各種の変更が可能で
ある。

【００２６】

【発明の効果】以上のように構成された本発明のハード
ディスクドライブは、次のような効果を奏する。

【００２７】請求項１は、落下時等の衝撃加速度によっ
てフライングヘッドにハードディスクから離れる方向の
衝撃荷重が加えられた時に、カウンターウエイトがその
衝撃荷重をキャンセルする方向の荷重をサスペンション
に与えるようにして、フライングヘッドに跳ね上りが発
生しないようにしたので、そのフライングヘッドの跳ね
上り後に、フライングヘッドがハードディスクに叩きつ
けられて、フライングヘッドが破損されたり、ハードデ
ィスクに損傷を与えて、記録信号のエラーレートが劣化
することを未然に防止することができる。しかも、フラ
イングヘッドがハードディスク上のＣＳＳゾーンに限ら
れることなく、データゾーンにて記録、再生中である
等、フライングヘッドがハードディスク上の何処に位置
している場合でも、衝撃によるフライングヘッドの跳ね
上りを効果的に防止することができるので、特に、携帯
型パソコン等に内蔵するのに最適な高性能、高信頼性の
ハードディスクドライブを実現できる。

【００２８】請求項２は、カウンターウエイトがフライ
ングヘッドの負荷荷重と同等の負荷荷重をサスペンショ
ンのワードビームに与えることができる荷重曲げ部を有
する板バネと、その板バネの先端に付設された重りで構
成されているので、極く簡単な構造によって、フライン
グヘッドの跳ね上りを効果的に防止することができる。

【００２９】請求項３は、カウンターウエイトの等価質
量をサスペンションの等価質量と等しく構成し、かつ、
カウンターウエイトの等価質量の中心から荷重曲げ部ま
での距離をサスペンションの等価質量の中心から荷重曲
げ部までの距離と等しく構成したので、フライングヘッ
ドに加えられる衝撃荷重をカウンターウエイトの負荷荷
重によって正確にキャンセルすることができて、フライ
ングヘッドの跳ね上りを確実に防止することができる。

【００３０】請求項４は、カウンターウエイトの板バネ
をサスペンションのロードビームに一体に形成したの
で、部品点数及び組立工数の削減による低コスト化及び
小型、軽量化を促進できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を適用したハードディスクドライブのＨ
ＧＡの第１の実施形態を示す斜視図である。

【図２】図１の模式図である。

【図３】図１のサスペンションの負荷荷重とカウンター
ウエイトの負荷荷重がバランスすることを説明する縦断
面側面図である。

【図４】図３のフライングヘッドがハードディスクにコ
ンタクトされた時の負荷荷重を説明する縦断面側面図で
ある。

【図５】本発明のハードディスクドライブが床面上等に
落下される直前の状態を説明する縦断面側面図である。

【図６】本発明のハードディスクドライブが床面上等に
落下された時の衝撃荷重のキャンセル動作を説明する縦
断面側面図である。

【図７】本発明のハードディスクドライブが床面上等に
図５の逆方向から落下される直前の状態を説明する縦断
面側面図である。

【図８】本発明のハードディスクドライブが床面上等に
図６の逆方向から落下された時の衝撃荷重のキャンセル
動作を説明する縦断面側面図である。

【図９】本発明のハードディスクドライブのＨＧＡの第
２の実施形態の１つの例を説明する斜視図である。

【図１０】本発明のハードディスクドライブのＨＧＡの
第２の実施形態の他の例を説明する斜視図である。

【図１１】従来のハードディスクドライブを説明する密
封ケースのカバーを除去した状態の斜視図である。

【図１２】従来のハードディスクドライブのＨＧＡを説
明するサスペンションの下面側の斜視図である。

【図１３】従来のハードディスクドライブが床面上等に
落下される直前の状態を示した縦断面側面図である。

【図１４】従来のハードディスクドライブが床面上等に
落下された時の衝撃荷重を説明する縦断面側面図であ
る。

【符号の説明】

１はハードディスクドライブ、４はハードディスク、７
はヘッドアーム、８はサスペンション、８１はサスペン
ションのロードビーム、８２はサスペンションのジンバ
ル、９はフライングヘッド、９１はフライングヘッドの
スライダー、９２はフライングヘッドの磁気ヘッドチッ
プ、３１はカウンターウエイト、３１１、３１４、３１
５はカウンターウエイトの板バネ、３１２はカウンター
ウエイトの重りである。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ヘッドアームの先端にサスペンションを介
   してフライングヘッドを取り付けたハードディスクドラ
   イブにおいて、 上記フライングヘッドがハードディスクから離れる方向
   の衝撃荷重をキャンセルする方向の荷重を上記サスペン
   ションに与えるカウンターウエイトを備えたことを特徴
   とするハードディスクドライブ。
2. 【請求項２】上記カウンターウエイトが上記フライング
   ヘッドの負荷荷重と同等の負荷荷重を上記サスペンショ
   ンのロードビームに与えることができる荷重曲げ部を有
   する板バネと、その板バネの先端に付設された重りで構
   成されていることを特徴とする請求項１記載のハードデ
   ィスクドライブ。
3. 【請求項３】上記カウンターウエイトの等価質量を上記
   サスペンションの等価質量と等しく構成し、 上記カウンターウエイトの等価質量の中心から上記荷重
   曲げ部までの距離を上記サスペンションの等価質量の中
   心から上記荷重曲げ部までの距離と等しく構成したこと
   を特徴とする請求項２又は請求項３記載のハードディス
   クドライブ。
4. 【請求項４】上記カウンターウエイトの板バネを上記サ
   スペンションのロードビームに一体に形成したことを特
   徴とする請求項１又は請求項２又は請求項３記載のハー
   ドディスクドライブ。