JPH1139709A - 光記録媒体 - Google Patents

光記録媒体

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Publication number
JPH1139709A
JPH1139709A JP10136688A JP13668898A JPH1139709A JP H1139709 A JPH1139709 A JP H1139709A JP 10136688 A JP10136688 A JP 10136688A JP 13668898 A JP13668898 A JP 13668898A JP H1139709 A JPH1139709 A JP H1139709A
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JP
Japan
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wavelength
refractive index
layer
dielectric layer
recording
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Application number
JP10136688A
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English (en)
Inventor
Masami Yashiro
雅美 家城
Toshinaka Nonaka
敏央 野中
Gentaro Obayashi
元太郎 大林
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 赤色レーザーと青色レーザーの波長領域で、
コントラストの高い光記録媒体を提供する。 【解決手段】波長700〜630nmもしくは500〜
380nmの光の照射による非晶相と結晶相の間の相変
化により情報の記録及び消去が行われる光記録媒体にお
いて、透明基板に少なくとも第1誘電体層/下地誘電体
層/記録層/第2誘電体層/反射層がこの順に積層され
ており、各層の屈折率、消衰係数、層の厚さが下記の式
で表される関係にあることを特徴とする光記録媒体。 1.85≦na≦2、45≦da≦55(nm)、2.1
≦nb、145≦db≦155(nm)、2.4≦nα≦
4.5、1.9≦kα≦2.9、1.65≦nc≦4.
5、3.2≦kc≦4.1、0<dr≦20(nm)、
2.1≦nd≦2.4、10≦dd≦20(nm)、0.
4≦ne≦1.4、3.8≦ke≦6.2

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光の照射により、
情報の記録、消去、再生が可能である光情報記録媒体に
関するものである。特に本発明は、赤色レーザーと青色
レーザーのいずれを用いても記録情報の消去、書換機能
を有し、情報信号を高速かつ、高密度に記録可能な光デ
ィスク、光カード、光テープなどの書換可能相変化型光
記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】相変化の技術を用いた書換可能な相変化
光記録媒体は、Te合金を主成分とする記録層を有して
いるものが知られている。記録時は結晶状態の記録層に
集束したレーザー光パルスを短時間照射し、記録層を部
分的に溶融する。溶融した部分は熱拡散により急冷さ
れ、固化し、アモルファス状態の記録マークが形成され
る。この記録マークの光線反射率は、結晶状態より低
く、光学的に記録信号として再生可能である。
【0003】さらに消去時には、記録マーク部分にレー
ザー光を照射し、記録層の融点以下、結晶化温度以上の
温度に加熱することによってアモルファス状態の記録マ
ークを結晶化し、もとの未記録状態に戻す。
【0004】これらTe合金を記録層とした光記録媒体
では、結晶化温度が速く、照射パワーを変調するだけ
で、円形のビームによる高速のオーバーライトが可能で
ある(T.Ohta et al., Proc. Int. Symp. on optical M
emory 1989 p49-50)。これらの書換可能な相変化光記
録媒体として、光ディスクが例にあげられる。光ディス
クはレーザー光を集光して記録再生を行うため、レーザ
ー光の波長は光ディスクの記録容量を決定する要素の1
つである。
【0005】このような光ディスクの記録容量を増加さ
せるために、レーザー光の短波長化、レンズの高NA化
の開発が進み、現在では波長680nmの半導体レーザ
ーを用いた記録再生装置が商品化されている。さらに短
波長化の検討が行われており、波長470nm、430
nm、410nmなどのレーザー光の開発も進んでい
る。光ディスクは記録再生消去に用いられる波長に対し
て、良好な記録感度、キャリア対ノイズ比、消去率など
の記録特性を得られるよう設計されており、一般に波長
680nmに対応した光ディスクを、450nm以下の
レーザー光下で使用し、同様の特性を得ることは困難で
ある。また光ディスクを構成する各層の屈折率nや消衰
係数k、厚さの選択によって非晶状態と結晶状態の反射
率差であるコントラストなどの光学特性が変化する。し
たがって、前述のような赤色〜青色レーザーの波長領域
で高いコントラストを得るには、屈折率や消衰係数、層
の厚さの選択に大きな制限を受けてしまう問題があっ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前述
の光記録媒体の問題を解決し、赤色レーザーと青色レー
ザーの両方の波長領域において、高いコントラストが得
られる光記録媒体を提供することである。本発明の別の
目的は、記録感度が高く、かつキャリア対ノイズ比、消
去率などの記録特性に優れた光記録媒体を提供すること
である。本発明のさらに別の目的は、安価で生産性に優
れた光記録媒体を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、光の照
射による非晶相と結晶相の間の相変化により情報の記録
及び消去が行われる光記録媒体において、透明基板上に
少なくとも第1誘電体層/下地誘電体層/記録層/第2
誘電体層/反射層がこの順に積層されており、各層の波
長700〜630nm及び波長500〜380nmでの
屈折率、消衰係数と層の厚さが下記の式で表される関係
にあることを特徴とする光記録媒体によって達成され
る。
【0008】1.85≦na≦2 45≦da≦55(nm) 2.1≦nb 145≦db≦155(nm) 2.4≦nα≦4.5 1.9≦kα≦2.9 1.65≦nc≦4.5 3.2≦kc≦4.1 0<dr≦20(nm) 2.1≦nd≦2.4 10≦dd≦20(nm) 0.4≦ne≦1.4 3.8≦ke≦6.2 ここで、naは第1誘電体層の屈折率、daは第1誘電体
層の厚さ(nm)、nbは下地誘電体層の屈折率、db
下地誘電体層の厚さ(nm)、nαは記録層の非晶状態
の屈折率、kαは記録層の非晶状態の消衰係数、nc
記録層の結晶状態の屈折率、kcは記録層の結晶状態の
消衰係数、drは記録層の厚さ(nm)、ndは第2誘電
体層の屈折率、ddは第2誘電体層の厚さ(nm)、ne
は反射層の屈折率、keは反射層の消衰係数を表す。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明における第1誘電体層の屈
折率が1.85より小さい場合には、特に短波長側にお
いて非晶部と結晶部の反射率が第1誘電体層の厚さに大
きく依存し、層の厚さの選択に大きな制限を受けてしま
う、あるいは記録、消去を行う光の照射パワーが不足
し、高線速下での記録が困難になる、などの問題点を生
じる。また屈折率が2より大きい場合には、下地誘電体
層の厚さに対して記録マークの非晶部と結晶部の反射率
の変動が大きくなり、さらに非晶部と結晶部の反射率差
が大きく変動し、赤色レーザーと青色レーザーの両方の
波長領域において、一定した再生時の信号コントラスト
が得られなくなる。なお、赤色レーザーとは700nm
から約630nmの波長領域のレーザーであり、青色レ
ーザーとは約500nmから380nmの波長領域のレ
ーザーである。
【0010】第1誘電体層の厚さとしては、波長700
〜630nm及び500nm〜380nmの領域で反射
率やコントラストの変動が非常に小さくできるため、お
よそ45〜55nmが好ましい。
【0011】下地誘電体層の屈折率が2.1より小さい
場合には、記録、消去を行う光の照射パワーが不足する
ため、高線速下での記録が困難になるという問題が発生
し易いので、2.1以上の屈折率が好ましい。
【0012】下地誘電体層は、第1誘電体層や記録層か
ら剥離し難く、クラックなどの欠陥が生じ難いことか
ら、通常100〜180nmが好ましいが、波長700
nm以下で反射率やコントラストの変動が非常に小さく
できるため、145〜155nmがより好ましい。
【0013】本発明において誘電体層は、記録時に基
板、記録層などが熱によって変形し、記録特性が劣化す
ることを防止するなど、基板、記録層を熱から保護する
効果、および、光学的な干渉効果により、再生時の信号
コントラストを改善する効果がある。
【0014】本発明の波長700〜630nm及び50
0nm〜380nmにおける第2誘電体層の屈折率nd
は2.1≦nd≦2.4の範囲となるように第2誘電体
層を構成することが、良好なC/N、消去率などの記録
特性、光学特性が得られることから好ましい。
【0015】第2誘電体層の厚さは、通常0より大きく
100nm程度であるが、10〜20nmとすること
が、良好な消去率の得られる消去パワーの範囲が広いこ
とおよび安定したコントラストが得られることから好ま
しい。
【0016】この誘電体層としては、ZnS、Si
2、窒化シリコン、酸化アルミニウムなどの無機薄膜
があげられる。特にZnSの薄膜、Si、Ge、Al、
Ti、Zr、Taなどの金属の酸化物の薄膜、Si、A
l、などの窒化物の薄膜、Ti、Zr、Hfなどの炭化
物の薄膜及びこれらの混合物の膜が、耐熱性が高いこと
から好ましい。また、これらに炭素や、MgF2などの
フッ化物を混合したものも、膜の残留応力が小さいこと
から好ましく使用される。特に下地誘電体層及び第2誘
電体層にはZnSとSiO2の混合膜、あるいはZnS
とSiO2と炭素の混合膜を用いることが、記録、消去
の繰り返しによっても、記録感度、キャリア対ノイズ比
(C/N)および消去率(記録後と消去後の再生キャリ
ア信号強度の差)などの劣化が起きにくいことから好ま
しく、内部応力の低減効果の大きい点からはSiO2
5〜35モル%、炭素1〜15モル%であることが、さ
らに好ましい。また第2誘電体層はZnSとSiO2
混合膜の層とSiO2層とを積層するなど、複数の層で
構成してもよい。
【0017】本発明の記録層の材料は、結晶状態と非晶
状態の少なくとも2つの状態をとり得るTeを主成分と
するカルコゲン化合物である。本発明の記録層として、
特に限定するものでないが、Pd−Ge−Sb−Te、
Nb−Ge−Sb−Te、Pd−Nb−Ge−Sb−T
e、Ni−Ge−Sb−Te、Ge−Sb−Te、Co
−Ge−Sb−Te、In−Se、In−Sb−Te、
Ag−In−Sb−Teなどがある。多数回の記録の書
換が可能であることから、Pd−Ge−Sb−Te、N
b−Ge−Sb−Te、Pd−Nb−Ge−Sb−T
e、Ni−Ge−Sb−Te、Ge−Sb−Te、Co
−Ge−Sb−Teが好ましい。特にPd−Ge−Sb
−Te、Pd−Nb−Ge−Sb−Teは、消去時間が
短く、かつ多数回の記録、消去の繰り返しが可能であ
り、C/N、消去率などの記録特性に優れることから好
ましく、とりわけ、Pd−Nb−Ge−Sb−Teが、
前述の特性に優れることからより好ましい。
【0018】また、本発明の波長700〜630nm及
び500nm〜380nmにおける記録層の光学定数
n、消衰係数kは、結晶状態では1.65≦nc≦4.
5、3.2≦kc≦4.1であり、非晶状態では2.4
≦nα≦4.5、1.9≦kα≦2.9の範囲となるよ
うに記録層の組成を構成することが、良好なC/N、消
去率などの記録特性が得られることから好ましい。上記
の具体的な材料として、少なくともGe、Sb、Teの
3元素からなるものなどがある。
【0019】さらには、波長700〜630nm及び5
00nm〜380nmに両方の領域でのコントラストが
より近いものとなるといった点から、記録層の光学定数
n、消衰係数kは、結晶状態では1.9≦nc≦4.4
5、3.2≦kc≦3.9であり、非晶状態では2.8
≦nα≦4.5、2≦kα≦2.7の範囲となるように
記録層の組成を構成することが、より好ましい。上記の
具体的な材料として、Pd−Ge−Sb−Te、Nb−
Ge−Sb−Te、Pd−Nb−Ge−Sb−Teなど
がある。
【0020】記録層の厚さとしては、記録、消去感度が
高く、多数回の記録消去が可能であることから、通常1
0〜50nmとすることが好ましいが、さらに10〜2
0nmとすることが、赤色〜青色レーザーの波長領域下
でコントラストの変動が少ないことからより好ましい。
【0021】本発明の波長700〜630nm及び50
0nm〜380nmにおける反射層の屈折率n、消衰係
数kは、0.4≦ne≦1.4、3.8≦ke≦6.2の
範囲となるように反射層を構成することが、優れた熱安
定性を有するため、記録特性の劣化を少なくすることが
できることから好ましい。
【0022】反射層の材質としては、光反射性を有する
Al、Auなどの金属、これらを主成分とし、Ti、C
r、Hfなどの添加元素を含む合金及びAl、Auなど
の金属にAl、Si、などの金属窒化物、金属酸化物、
金属カルコゲン化物などの金属化合物混合したものがあ
げられる。Al、Auなどの金属、及びこれらを主成分
とする合金は、光反射性が高く、かつ熱伝導率を高くで
きることから好ましい。前述の合金を例としては、Al
にSi、Mg、Cu、Pd、Ti、Cr、Hf、Ta、
Nb、Mnなどの少なくとも1種の元素を合計で5原子
%以下、1原子%以上加えたもの、あるいは、AuにC
r、Ag、Cu、Pd、Pt、Niなどの少なくとも1
種の元素を合計で1原子%以上20原子%以下加えたも
のなどがあげられる。特に、材料の価格が安いことか
ら、AlもしくはAlを主成分とする合金が好ましく、
とりわけ、耐腐食性が良好なことから、AlにTi、C
r、Ta、Hf、Zr、Mn、Pdから選ばれる少なく
とも1種以上の金属を合計で0.5原子%以上5原子%
以下添加した合金が好ましい。さらに、耐腐食性が良好
でかつヒロックなどの発生が起こりにくいことから、添
加元素を合計で0.5原子%以上原子%未満含む、Al
−Hf−Pd合金、Al−Hf合金、Al−Ti合金、
Al−Ti−Hf合金、Al−Cr合金、Al−Ta合
金、Al−Ti−Cr合金、Al−Si−Mn合金のい
ずれかのAlを主成分とする合金で構成することが好ま
しい。これらAl合金のうちでも、次式で表される組成
を有するAl−Hf−Pd合金は、特に優れた熱安定性
を有するため、多数回の記録、消去の繰り返しにおい
て、記録特性の劣化を少なくすることができる。
【0023】PdjHfkAl1-j-k 0.001<j<0.01 0.005<k<0.10 ここで、j、kは各元素の原子の数(各元素のモル数)
を表す。
【0024】上述した反射層の厚さとしては、いずれの
合金からなる場合にもおおむね10nm以上200nm
以下、さらに好ましくは50〜200nmとするのが好
ましい。
【0025】本発明の基板の材料としては、透明な各種
の合成樹脂、透明ガラスなどが使用できる。ほこり、基
板の傷などの影響をさけるために、透明基板を用い、集
束した光ビームで基板側から記録を行うことが好まし
く、このような透明基板材料としては、ガラス、ポリカ
ーボネート、ポリメチル・メタクリレート、ポリオレフ
ィン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などがあげら
れる。特に、光学的複屈折率が小さく、吸湿性が小さ
く、成形が容易であることからポリカーボネート樹脂、
アモルファス・ポリオレフィン樹脂が好ましい。
【0026】基板の厚さとしては、特に限定されるもの
ではないが、0.01mm〜5mmが実用的である。
0.01mm未満では、基板側から集束した光ビームで
記録する場合でも、ごみの影響を受け易くなり、5mm
をこえる場合は、対物レンズの開口数を大きくすること
が困難になり、照射光ビームスポットサイズが大きくな
るため、記録密度を上げることが困難になる。
【0027】基板はフレキシブルなものであってもよい
し、リジットなものであっても良い。フレキシブルな基
板は、テープ状、シート状、カード状で使用する。リジ
ットな基板は、カード状、あるいはディスク状で使用す
る。また、これらの基板は、記録層などを形成した後、
2枚の基板を用いて、エアーサンドイッチ構造、エアー
インシデント構造、密着貼り合わせ構造としてもよい。
【0028】本発明の光記録媒体の記録に用いる光源と
しては、レーザー光、ストロボ光のごとき高強度の光源
があげられ、特に半導体レーザー光は、光源が小型化で
きること、消費電力が小さいこと、変調が容易であるこ
とから好ましい。
【0029】記録は結晶状態の記録層にレーザー光パル
スなどを照射してアモルファスの記録マークを形成して
行う。あるいは、反対に非晶状態の記録層に結晶状態の
記録マークを形成しても良い。消去はレーザー光照射に
よって、アモルファスの記録マークを結晶化するか、も
しくは、結晶状態の記録マークをアモルファス化して行
うことができる。記録速度を高速化でき、かつ記録層の
変形が発生しにくいことから記録時はアモルファスの記
録マークを形成し、消去時は結晶化を行う方法が好まし
い。また、記録マーク形成時は光強度を高く、消去時は
やや弱くし、1回の光ビームの照射により書換を行う1
ビーム・オーバーライトは、書換の所用時間が短くなる
ことから好ましい。
【0030】次に、本発明の光記録媒体の製造方法につ
いて述べる。
【0031】反射層、誘電体層、記録層を基板上に形成
する方法としては、真空中での薄膜形成法、例えば真空
蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法な
どがあげられる。特に組成、膜厚のコントロールが容易
であることから、スパッタリング法が好ましい。
【0032】形成する記録層などの厚さの制御は、水晶
振動子式膜厚計などで、堆積状態をモニタリングするこ
とで、容易に行える。
【0033】記録層などの形成は、基板を固定したまま
の状態、あるいは、移動、回転した状態のどちらでも行
っても良い。膜厚の面内の均一性に優れることから、基
板を自転させても良く、さらに公転を組み合わせても良
い。
【0034】本発明の光記録媒体の好ましい層構成とし
て、透明基板/第1誘電体層/下地誘電体層/記録層/
第2誘電体層/反射層をこの順に積層してなるものがあ
げられる。但しこれに限定されるものでなく、本発明の
効果を著しく損なわない範囲において、反射層などを形
成した後、傷、変形の防止などのため、ZnS、SiO
2などの誘電体層あるいは紫外線硬化樹脂などの樹脂保
護層などを必要に応じて設けることができる。光は透明
基板側から入射するものとする。また、反射層などを形
成した後、あるいはさらに前述の樹脂保護層を形成した
後、2枚の基板を対向して、接着剤で張り合わせても良
い。
【0035】記録層は、実際に記録を行う前に、予めレ
ーザー光、キセノンフラッシュランプなどの光を照射し
結晶化させておくことが好ましい。
【0036】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて説明する。 (分析、測定方法)反射層、記録層の組成は、ICP発
光分析(セイコー電子工業(株)製SPS4000)により確
認した。また、反射率は分光測色計(ミノルタ(株)製
CM2002)により測定した。
【0037】記録層、誘電体層、反射層の形成中の膜厚
は、水晶振動子式膜厚計によりモニターした。また各層
の厚さは、走査型あるいは透過型電子顕微鏡で断面を観
察することにより測定した。
【0038】(実施例1)厚さ1.2mm、直径12c
mのポリカーボネート製基板を毎分40回転で回転させ
ながら、スパッタリング法により、記録層、誘電体層、
反射層を形成した。まず、真空容器内を1×10-4Pa
まで排気した後、2×10-1PaのArガス雰囲気中で
ZnSを15mol%添加したSiO2ターゲットをス
パッタし、基板上に膜厚50nmの第1誘電体層を形成
した。次にSiO2を20mol%添加したZnSター
ゲットをスパッタして、第1誘電体層上に膜厚150n
mの下地誘電体層を形成した。続いて、Pd、Nb、G
e、Sb、Teからなるターゲットをスパッタして、組
成Nb0.006Pd0.001Ge0.173Sb0.26Te0.56の膜
厚10nmの記録層を形成した。さらに前述の第2誘電
体層を16nm形成し、この上に、Al98.1Hf1.7
0.2合金をスパッタして膜厚160nmの反射率を形
成し、本発明の光記録媒体を得た。
【0039】さらに、反射層形成後に紫外線硬化樹脂
(大日本インキ(株)製SD-101をスピンコートし、紫外
線照射により硬化させて膜厚10μmの樹脂層を形成し
た。
【0040】この光記録媒体に波長810nmの半導体
レーザーのビームでディスク全面の記録層を結晶化し初
期化した。
【0041】次に得られた光記録媒体の波長400nm
における反射率を測定したところ、非晶部9.8%、結
晶部22.5%が得られ、コントラストは12.7%で
あった。また波長430nmにおける反射率を測定した
ところ、非晶部11%、結晶部25%が得られ、コント
ラストは14%であった。次に波長500nmで同様の
測定を行ったところ、非晶部11%、結晶部24%が得
られ、コントラストは13%であった。同様にして、波
長650nmでは、非晶部9%、結晶部21%が得ら
れ、コントラストは12%であり、波長680nmで
は、非晶部11%、結晶部23%が得られ、コントラス
トは12%であった。波長700〜630nm及び50
0nm〜380nmの間で、コントラストは約12〜1
4%であり、ほぼ一定のコントラストが得られた。
【0042】またこの光記録媒体と同様にして基板上に
作製した各層の屈折率、消衰係数をエリプソメトリー
(ニコン(株)製NPDM-1000)で測定したところ、第1
誘電体層の屈折率は波長400nmでは1.99、波長
430nmでは1.95、波長500nmでは1.9
1、波長650nmでは1.85、波長680nmでは
1.85であった。下地誘電体層の屈折率は波長400
nmでは2.29、波長430nmでは2.26、波長
500nmでは2.21、波長650nmでは2.1
5、波長680nmでは2.14であった。記録層の非
晶部の屈折率は波長400nmでは2.84、消衰係数
は2.67、波長430nmでは屈折率3.07、消衰
係数2.67、波長500nmでは屈折率3.57、消
衰係数2.58、波長650nmでは屈折率4.35、
消衰係数2.16、波長680nmでは屈折率4.4
5、消衰係数2.06であった。記録層の結晶部の屈折
率は波長400nmでは1.90、消衰係数は3.2
5、波長430nmでは屈折率2.15、消衰係数3.
41、波長500nmでは屈折率2.75、消衰係数
3.69、波長650nmでは屈折率4.03、消衰係
数3.86、波長680nmでは屈折率4.26、消衰
係数3.83であった。第2誘電体層の屈折率は波長4
00nmでは2.35、波長430nmでは2.30、
波長500nmでは2.23、波長650nmでは2.
15、波長680nmでは2.14であった。反射層の
屈折率は波長400nmでは0.46、消衰係数は3.
82、波長430nmでは屈折率0.54、消衰係数
4.06、波長500nmでは屈折率0.74、消衰係
数4.62、波長650nmでは屈折率1.21、消衰
係数5.77、波長680nmでは屈折率1.30、消
衰係数5.99であった。
【0043】(実施例2)記録層の組成をGe18.3Sb
27.3Te54.4とした他は実施例1と同様にして試料を作
製し、実施例1と同様の測定を行った。波長400nm
における反射率は、非晶部13.6%、結晶部28.9
%、コントラストは15.3%であり、波長430nm
での反射率は、非晶部14.5%、結晶部29.5%、
コントラストは14.8%、波長500nmでの反射率
は、非晶部12.3%、結晶部26.5%、コントラス
トは14.8%、波長650nmでの反射率は、非晶部
9%、結晶部21.9%、コントラスト12.9%、波
長680nmでの反射率は、非晶部10.5%、結晶部
23.3%、コントラスト12.8%であった。波長7
00〜630nm及び500nm〜380nmの間で、
コントラストは約13〜15%であり、ほぼ一定のコン
トラストが得られた。
【0044】またこの光記録媒体と同様にして基板上に
作製した各層の屈折率、消衰係数を測定したところ、記
録層の非晶部の屈折率は波長400nmでは2.48、
消衰係数は2.84、波長430nmでは屈折率2.8
1、消衰係数2.90、波長500nmでは屈折率3.
50、消衰係数2.80、波長650nmでは屈折率
4.40、消衰係数2.23、波長680nmでは屈折
率4.52、消衰係数2.11であった。記録層の結晶
部の屈折率は波長400nmでは1.66、消衰係数は
3.35、波長430nmでは屈折率2.01、消衰係
数3.57、波長500nmでは屈折率2.78、消衰
係数3.91、波長650nmでは屈折率4.24、消
衰係数4.05、波長680nmでは屈折率4.49、
消衰係数4.01であった。
【0045】(実施例3)記録層の組成をGe18.8Sb
25.7Te55.7とした他は実施例1と同様にして試料を作
製し、実施例1と同様の測定を行った。波長400nm
における反射率は、非晶部12.0%、結晶部27.3
%、コントラストは15.3%であり、波長430nm
での反射率は、非晶部12.8%、結晶部28.7%、
コントラストは15.9%、波長500nmでの反射率
は、非晶部11.2%、結晶部26.1%、コントラス
トは14.9%、波長650nmでの反射率は、非晶部
9%、結晶部21.8%、コントラスト12.8%、波
長680nmでの反射率は、非晶部10.9%、結晶部
23.1%、コントラスト12.2%であった。波長7
00〜630nm及び500nm〜380nmの間で、
コントラストは約12〜16%であり、ほぼ一定のコン
トラストが得られた。
【0046】またこの光記録媒体と同様にして基板上に
作製した各層の屈折率、消衰係数を測定したところ、記
録層の非晶部の屈折率は波長400nmでは2.59、
消衰係数は2.74、波長430nmでは屈折率2.9
3、消衰係数2.79、波長500nmでは屈折率3.
55、消衰係数2.64、波長650nmでは屈折率
4.35、消衰係数2.10、波長680nmでは屈折
率4.45、消衰係数1.99であった。記録層の結晶
部の屈折率は波長400nmでは1.75、消衰係数は
3.36、波長430nmでは屈折率2.07、消衰係
数3.58、波長500nmでは屈折率2.82、消衰
係数3.91、波長650nmでは屈折率4.25、消
衰係数4.04、波長680nmでは屈折率4.50、
消衰係数4.00であった。
【0047】(実施例4)記録層の組成をGe17.1Sb
26.4Te56.6とした他は実施例1と同様にして試料を作
製し、実施例1と同様の測定を行った。波長400nm
における反射率は、非晶部11.3%、結晶部27.9
%、コントラストは16.6%であり、波長430nm
での反射率は、非晶部12.2%、結晶部28.4%、
コントラストは16.2%、波長500nmでの反射率
は、非晶部11.0%、結晶部25.4%、コントラス
トは14.4%、波長650nmでの反射率は、非晶部
9.3%、結晶部20.4%、コントラスト11.1
%、波長680nmでの反射率は、非晶部11.1%、
結晶部21.8%、コントラスト10.7%であった。
波長700〜630nm及び500nm〜380nmの
間で、コントラストは約11〜17%であり、ほぼ一定
のコントラストが得られた。
【0048】またこの光記録媒体と同様にして基板上に
作製した各層の屈折率、消衰係数を測定したところ、記
録層の非晶部の屈折率は波長400nmでは2.62、
消衰係数は2.66、波長430nmでは屈折率2.9
5、消衰係数2.73、波長500nmでは屈折率3.
54、消衰係数2.56、波長650nmでは屈折率
4.31、消衰係数2.03、波長680nmでは屈折
率4.42、消衰係数1.91であった。記録層の結晶
部の屈折率は波長400nmでは1.68、消衰係数は
3.26、波長430nmでは屈折率2.02、消衰係
数3.46、波長500nmでは屈折率2.78、消衰
係数3.76、波長650nmでは屈折率4.21、消
衰係数3.85、波長680nmでは屈折率4.45、
消衰係数3.81であった。
【0049】(実施例5)記録層の組成をGe22.0Sb
22.3Te55.7とした他は実施例1と同様にして試料を作
製し、実施例1と同様の測定を行った。波長400nm
における反射率は、非晶部11.6%、結晶部27.1
%、コントラストは15.5%であり、波長430nm
での反射率は、非晶部12.0%、結晶部28.5%、
コントラストは16.5%、波長500nmでの反射率
は、非晶部10.0%、結晶部26.3%、コントラス
トは16.3%、波長650nmでの反射率は、非晶部
8.2%、結晶部22.1%、コントラスト13.9
%、波長680nmでの反射率は、非晶部9.8%、結
晶部23.6%、コントラスト13.8%であった。波
長700〜630nm及び500nm〜380nmの間
で、コントラストは約14〜17%であり、ほぼ一定の
コントラストが得られた。
【0050】またこの光記録媒体と同様にして基板上に
作製した各層の屈折率、消衰係数を測定したところ、記
録層の非晶部の屈折率は波長400nmでは2.66、
消衰係数は2.79、波長430nmでは屈折率3.0
8、消衰係数2.84、波長500nmでは屈折率3.
70、消衰係数2.64、波長650nmでは屈折率
4.46、消衰係数2.07、波長680nmでは屈折
率4.56、消衰係数1.96であった。記録層の結晶
部の屈折率は波長400nmでは1.75、消衰係数は
3.34、波長430nmでは屈折率2.06、消衰係
数3.54、波長500nmでは屈折率2.77、消衰
係数3.86、波長650nmでは屈折率4.18、消
衰係数4.04、波長680nmでは屈折率4.43、
消衰係数4.02であった。
【0051】(比較例1)実施例1の光記録媒体の第1
誘電体層の厚さを0nm、下地誘電体層の厚さを100
nm、第2誘電体層の厚さを10nmにしたほかは、実
施例1と同様の構成の光記録媒体を作製し、実施例1と
同様の測定を行った。波長400nmにおける反射率
は、非晶部11%、結晶部26%、コントラストは15
%であり、波長430nmでの反射率は、非晶部16
%、結晶部33%、コントラストは17%、波長500
nmでの反射率は、非晶部24%、結晶部42%、コン
トラストは18%、波長650nmでの反射率は、非晶
部26%、結晶部39%、コントラスト13%、波長6
80nmでの反射率は、非晶部28%、結晶部32%、
コントラスト4%であった。反射率は波長に大きく依存
しており、コントラストも波長によって大きく変化して
しまった。
【0052】(比較例2)実施例1の光記録媒体の下地
誘電体層の厚さを100nm、第2誘電体層の厚さを3
0nmにしたほかは、実施例1と同様の構成の光記録媒
体を作製し、実施例1と同様の測定を行った。波長40
0nmにおける反射率は、非晶部6%、結晶部13%、
コントラストは7%であり、波長430nmでの反射率
は、非晶部6%、結晶部12%、コントラストは6%、
波長500nmでの反射率は、非晶部7%、結晶部14
%、コントラストは7%、波長650nmでの反射率
は、非晶部8%、結晶部18%、コントラスト10%、
波長680nmでの反射率は、非晶部7%、結晶部19
%、コントラスト12%であった。非晶部と結晶部のい
ずれの反射率も非常に低く、コントラストも波長500
〜380nmで6〜7%、波長700〜630nmで1
1〜12%と大きく変化してしまった。
【0053】
【発明の効果】本発明の光記録媒体によれば、以下の効
果が得られた。
【0054】(1)波長700〜630nm及び500
〜380nmの波長領域で、結晶と非晶質の一定した反
射率が得られる。
【0055】(2)波長700〜630nm及び500
〜380nmの波長領域で、結晶と非晶質の間の一定し
た反射率差が得られる。
【0056】(3)スパッタリング法により容易に製作
できる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G11B 7/24 538 G11B 7/24 538C

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光の照射による非晶相と結晶相の間の相
    変化により情報の記録及び消去が行われる光記録媒体に
    おいて、透明基板上に少なくとも第1誘電体層/下地誘
    電体層/記録層/第2誘電体層/反射層がこの順に積層
    されており、各層の波長700〜630nm及び波長5
    00〜380nmでの屈折率、消衰係数と層の厚さが下
    記の式で表される関係にあることを特徴とする光記録媒
    体。 1.85≦na≦2 45≦da≦55(nm) 2.1≦nb 145≦db≦155(nm) 2.4≦nα≦4.5 1.9≦kα≦2.9 1.65≦nc≦4.5 3.2≦kc≦4.1 0<dr≦20(nm) 2.1≦nd≦2.4 10≦dd≦20(nm) 0.4≦ne≦1.4 3.8≦ke≦6.2 ここで、naは第1誘電体層の屈折率、daは第1誘電体
    層の厚さ(nm)、nbは下地誘電体層の屈折率、db
    下地誘電体層の厚さ(nm)、nαは記録層の非晶状態
    の屈折率、kαは記録層の非晶状態の消衰係数、nc
    記録層の結晶状態の屈折率、kcは記録層の結晶状態の
    消衰係数、drは記録層の厚さ(nm)、ndは第2誘電
    体層の屈折率、ddは第2誘電体層の厚さ(nm)、ne
    は反射層の屈折率、keは反射層の消衰係数を表す。
  2. 【請求項2】2.8≦nα≦4.5 2≦kα≦2.7 1.9≦nc≦4.45 3.2≦kc≦3.9 であることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
  3. 【請求項3】 下地誘電体層及び第2誘電体層が少なく
    ともZnS、SiO2を含んでいることを特徴とする請
    求項1記載の光記録媒体。
  4. 【請求項4】 記録層の組成がGe、Sb、Teの3元
    素もしくはGe、Sb、Teの3元素とPd、Nb、P
    t、Au、Ag、Niから選ばれる少なくとも1種から
    なることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
  5. 【請求項5】 反射層がAlもしくはAl合金であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の光記録媒体
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP1204109A2 (en) * 2000-11-06 2002-05-08 Nec Corporation Optical information recording medium, method of manufacturing the same, and recording method on the same
EP1787293A1 (en) * 2004-09-09 2007-05-23 Ricoh Company, Ltd. Optical recording medium
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