JPH113779A - 高周波加熱装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な構成で高い電熱加熱効率を維持し、高
周波の漏洩を防止する。 【解決手段】 管状ヒータ５の端子１２の保持と絶縁管
７の高温部の保持の機能を、マイカ板９で構成してい
る。これによって部品点数が減り、組立・材料コストが
低減する。そして、電熱加熱効率・高周波の漏洩防止・
各部絶縁性能を確保することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はオーブン電子レンジ
等において、管状のヒータを加熱室内に露出させた構造
のものに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、マグネトロンによる高周波加
熱に併せて、オーブン・グリル・トーストといった電熱
加熱機能を有するオーブン電子レンジにおいて、特にト
ースト加熱などでヒータから強い放射熱を食品へ供給す
ることを要するものでは、加熱室の上方に管状のヒータ
を露出して位置させることにより、ヒータの放射熱を効
率よく食品に与える方式が広く用いられている。

【０００３】図４は従来のオーブン電子レンジにおい
て、金属製の加熱室１６の上方に取り付けられた管状ヒ
ータ及びその周辺部品の要部断面図である。管状ヒータ
１５は加熱室１６の左右壁面に設けられた二つ貫通穴を
貫通し、加熱室１６の上方に露出している。管状ヒータ
１５の発熱体１７はコイル状に成形したものを絶縁管１
８で保護されており、発熱体１７の端部は金属の端子１
９に溶接されている。端子１９は絶縁板２０に固定さ
れ、さらに絶縁板２０は加熱室１６にビス締め固定され
ている。

【０００４】発熱体１７のコイル端部は貫通穴より外側
に位置している。貫通穴はバーリング形状をしており、
貫通穴の端面とコイルとの位置関係によって、電子レン
ジ使用時の高周波に対する電波シール構造をとり、高周
波が貫通穴から加熱室１６の外部に漏洩することを防止
している。

【０００５】一般に絶縁管１８の材料は結晶化ガラスや
石英を用いる。これらの絶縁材料は常温時と比較して高
温時の絶縁性が低く、コイルに接する高温部では十分な
絶縁性能を持たない。そのため、高温時も絶縁性能を有
する碍子２１を絶縁管１８と貫通穴の間に挿入すること
で、発熱体１７と貫通穴の間の絶縁を確保している。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】このように従来の技術
では、管状ヒータ１５を加熱室１６に露出させて高い電
熱加熱効率を維持しながら、高周波の漏洩を防止し、同
時に絶縁性能を確保するために、前述の複雑な構成がと
られてきたが、絶縁にまつわる部品点数が多く、生産上
の組立・材料コストが上昇するといった課題があった。
そこで本発明は、かかる従来の課題を解決し、簡単な構
成で従来と等しい機能を実現する高周波加熱装置を提供
することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明は、被加熱物を収納する加熱室と、マグネトロ
ンと、加熱室壁面の貫通穴を貫通して加熱室内部に露出
された管状ヒータを備え、この管状ヒータは発熱体と発
熱体の端部に溶接された端子と絶縁管と絶縁板から構成
されている。

【０００８】コイル形状に成形された発熱体、及び発熱
体の外側を覆う絶縁管は、加熱室を貫通しており、貫通
穴の端面とコイルとの位置関係によって、電子レンジ使
用時の高周波に対する電波シール構造をとり、高周波が
貫通穴から加熱室の外部に漏洩することを防止してい
る。

【０００９】絶縁板には、貫通穴の内径より小さく絶縁
管の外径より大きな絶縁管保持穴が設けられ、この絶縁
管保持穴の中を絶縁管が貫通する。また、端子が絶縁板
に機械的に固定されることで、管状ヒータ各部が一体化
される。

【００１０】絶縁板には、絶縁管と比較して高温時の絶
縁性能に優れるムライトやコージエライト等の碍子やマ
イカを材料として用いる。絶縁板は貫通穴と絶縁管保持
穴が大凡同心円となる位置関係で加熱室の壁面外側近傍
に結合される。したがって、絶縁管がヒータコイルによ
って加熱され絶縁管自身の絶縁が低下しても、絶縁板が
貫通穴との間に位置するため、発熱体とシャーシとの絶
縁は確保される。

【００１１】上記発明によれば、ヒータの端子部の保持
と絶縁管高温部の保持の機能を一つの絶縁部品で構成し
ながら、ヒータを加熱室に露出させて高い電熱加熱効率
を維持し、高周波の漏洩を防止し、絶縁性能を確保する
ことができ、部品点数を減らし、生産上の組立・材料コ
ストを低減することができる。

【００１２】

【発明の実施の形態】本発明は、被加熱物を収納し加熱
する加熱室と、被加熱物に高周波を供給するマグネトロ
ンと、前記加熱室の一壁面に設けられた第一の貫通穴と
それに対向する壁面に設けられた第二の貫通穴を各々貫
通して前記加熱室内部に露出される管状ヒータを備え、
前記管状ヒータは発熱体と前記発熱体の端部に溶接され
た端子と絶縁管とマイカ板から構成され、少なくとも前
記第一の貫通穴から加熱室内部を経て第二の貫通穴に至
るまでの部分の前記発熱体はコイル形状とし、前記発熱
体は前記加熱室を貫通する筒状の前記絶縁管に収納さ
れ、前記端子は前記マイカ板に機械的に固定され、前記
マイカ板には前記貫通穴の内径より小さく前記絶縁管の
外径より大きな絶縁管保持穴が設けられ、前記絶縁管は
前記絶縁管保持穴を貫通し、前記マイカ板は前記貫通穴
と前記絶縁管保持穴が大凡同心円となる位置関係で前記
加熱室の壁面外側近傍に結合される高周波加熱装置であ
る。

【００１３】そのため、管状ヒータが加熱室に露出され
るため被加熱物への電熱加熱効率が高く、また、高周波
加熱時には加熱室の貫通穴をコイル形状の発熱体が貫通
していることで加熱室外部への高周波の漏洩が防止さ
れ、さらに、管状ヒータの構成部品のうちマイカ板が端
子等各部の保持と、絶縁管と貫通穴の間の絶縁物を兼ね
るため部品点数が少なく生産上の組立・材料コストの低
減を可能とすることができた。

【００１４】また、本発明は、被加熱物を収納し加熱す
る加熱室と、被加熱物に高周波を供給するマグネトロン
と、前記加熱室の一壁面に設けられた第一の貫通穴とそ
れに対向する壁面に設けられた第二の貫通穴を各々貫通
して前記加熱室内部に露出される管状ヒータを備え、前
記管状ヒータは発熱体と前記発熱体の端部に溶接された
端子と絶縁管と碍子から構成され、少なくとも前記第一
の貫通穴から加熱室内部を経て第二の貫通穴に至るまで
の部分の前記発熱体はコイル形状とし、前記発熱体は前
記加熱室を貫通する筒状の前記絶縁管に収納され、前記
端子は前記碍子に機械的に固定され、前記碍子には前記
貫通穴の内径より小さく前記絶縁管の外径より大きな絶
縁管保持穴が設けられ、前記絶縁管は前記絶縁管保持穴
を貫通し、前記碍子は前記貫通穴と前記絶縁管保持穴が
大凡同心円となる位置関係で前記加熱室の壁面外側近傍
に結合される高周波加熱装置である。

【００１５】そのため、管状ヒータが加熱室に露出され
るため被加熱物への電熱加熱効率が高く、また、高周波
加熱時には加熱室の貫通穴をコイル形状の発熱体が貫通
していることで加熱室外部への高周波の漏洩が防止さ
れ、さらに、管状ヒータの構成部品のうち碍子が端子等
各部の保持と、絶縁管と貫通穴の間の絶縁物を兼ねるた
め部品点数が少なく生産上の組立・材料コストの低減を
可能とすることができた。

【００１６】以下、本発明の実施例について図面を用い
て説明する。 （実施例１）図２は本発明実施例のオーブン電子レンジ
の外観図である。本体内部の加熱室１の天面は反射板２
を形成しており、反射板２の左右両壁には貫通穴３と貫
通穴４が対向して設けられている。ここを管状ヒータ５
が貫通し、露出した管状ヒータからは、加熱室１底部の
食品へ放射熱が供給される。高周波による加熱の際には
加熱室１の側面に設けられた高周波開口部６から高周波
が供給される。高周波はこの高周波開口部の奥に固定さ
れたマグネトロンの発振によって発生する。

【００１７】図１は管状ヒータ５及びその周辺部品構成
を加熱室１外部からみた要部斜視図である。ステンレス
鋼を材料とする反射板２の壁面に図中破線で示す貫通穴
３が設けられ、結晶化ガラスを材料とする絶縁管７が貫
通している。絶縁管７の端部まで鉄クロムを材料とする
発熱体８がコイル形状となって挿入されている。発熱体
８がコイル形状となって貫通穴３に近接した位置にある
ため、加熱室１内部から貫通穴３を経て高周波が漏洩す
ることが阻止される。

【００１８】マイカ板９には貫通穴３より小さく絶縁管
７より大きな径の絶縁管保持穴１０があけられており、
貫通穴３と絶縁管７が接触しない位置関係となるようビ
ス１１で反射板２に固定されている。絶縁管保持穴１０
には絶縁管７が挿入されている。マイカは結晶化ガラス
と比較して高温下における絶縁性が高く、発熱体８の発
熱によって絶縁管７の絶縁が低下した場合にも発熱体８
とシャーシ間の絶縁が確保される。

【００１９】発熱体８の先端はステンレス鋼の端子１２
に溶接され、端子１２はその複数の爪を曲げてマイカ板
９に固定される。これによって、端子１２・発熱体８・
マイカ板９・絶縁管７は一体化され、前述のマイカ板９
のビス締めによってシャーシに対する位置が規制され
る。

【００２０】以上の構成により、絶縁管７の絶縁確保と
端子１２等の各部品の保持を、マイカ板９の機能として
部品を集約することで、部品点数が少なく、電熱加熱効
率の確保及び、高周波の漏洩を阻止することが可能とな
った。

【００２１】（実施例２）図３は本実施例２における管
状ヒータ５及びその周辺部品構成を加熱室１外部からみ
た要部斜視図である。基本的な構造は実施例１と同じで
あるが、絶縁管７の絶縁確保とヒータ各部部品の保持を
コージエライト質の碍子１３で形成したことが異なる。

【００２２】碍子はマイカと比較して高温時の絶縁性能
は同等以上であり、その上、立体成型が容易であること
や、機械的強度に優れるといった利点が多い。そのた
め、碍子を使用することで、各部の絶縁距離等を満足し
ながらコンパクトな部品配置が可能となる。例えば、実
施例１における図１の端子１２は、ビスや反射板２など
との絶縁距離を確保するために複雑で大きな形状となっ
ているが、図３の端子１４は単純で小型化されている。

【００２３】以上の構成により、絶縁管７の絶縁確保と
端子１４等の各部品の保持を、碍子１３の機能として部
品を集約することで、部品点数が少なく、電熱加熱効率
の確保及び、高周波の漏洩を阻止することができ、ヒー
タ取り付け部位の小型化も可能となった。

【００２４】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、ヒータの
端子部の保持と絶縁管高温部の保持の機能を、マイカあ
るいは碍子を材料とする一つの絶縁部品で構成すること
ができるため、部品点数を減らし、簡単な構成により生
産上の組立・材料コストを低減しながら、加熱性能にお
いてはヒータを加熱室に露出させて高い電熱加熱効率を
維持し、高周波発振時には高周波の漏洩を防止し、各部
絶縁性能を確保することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例１の高周波加熱装置におけるヒ
ータ取り付け部近傍の斜視図

【図２】オーブンレンジの扉を開けた時に見える外観図

【図３】本発明の実施例２の高周波加熱装置におけるヒ
ータ取り付け部近傍の斜視図

【図４】従来の高周波加熱装置のヒータ取り付け部近傍
の要部断面図

【符号の説明】

１ 加熱室 ３、４ 貫通穴 ５ 管状ヒータ ７ 絶縁管 ８ 発熱体 ９ マイカ板 １２ 端子 １３ 碍子

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】被加熱物を収納し加熱する加熱室と、被加
   熱物に高周波を供給するマグネトロンと、前記加熱室の
   一壁面に設けられた第一の貫通穴とそれに対向する壁面
   に設けられた第二の貫通穴を各々貫通して前記加熱室内
   部に露出される管状ヒータを備え、前記管状ヒータは発
   熱体と前記発熱体の端部に溶接された端子と絶縁管とマ
   イカ板から構成され、少なくとも前記第一の貫通穴から
   前記加熱室内部を経て第二の貫通穴に至るまでの部分の
   前記発熱体はコイル形状とし、前記発熱体は前記加熱室
   を貫通する筒状の前記絶縁管に収納され、前記端子は前
   記マイカ板に機械的に固定され、前記マイカ板には前記
   貫通穴の内径より小さく前記絶縁管の外径より大きな絶
   縁管保持穴が設けられ、前記絶縁管は前記絶縁管保持穴
   を貫通し、前記マイカ板は前記貫通穴と前記絶縁管保持
   穴が大凡同心円となる位置関係で前記加熱室の壁面外側
   近傍に結合される高周波加熱装置。
2. 【請求項２】被加熱物を収納し加熱する加熱室と、被加
   熱物に高周波を供給するマグネトロンと、前記加熱室の
   一壁面に設けられた第一の貫通穴とそれに対向する壁面
   に設けられた第二の貫通穴を各々貫通して前記加熱室内
   部に露出される管状ヒータを備え、前記管状ヒータは発
   熱体と前記発熱体の端部に溶接された端子と絶縁管と碍
   子から構成され、少なくとも前記第一の貫通穴から前記
   加熱室内部を経て第二の貫通穴に至るまでの部分の前記
   発熱体はコイル形状とし、前記発熱体は前記加熱室を貫
   通する筒状の前記絶縁管に収納され、前記端子は前記碍
   子に機械的に固定され、前記碍子には前記貫通穴の内径
   より小さく前記絶縁管の外径より大きな絶縁管保持穴が
   設けられ、前記絶縁管は前記絶縁管保持穴を貫通し、前
   記碍子は前記貫通穴と前記絶縁管保持穴が大凡同心円と
   なる位置関係で前記加熱室の壁面外側近傍に結合される
   高周波加熱装置。