JPH1136583A - 型枠用インサート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来のインサートは、打ち込みやネジ込みで
一体化されていたが、多数本を取付けたり取外したりす
るのが大変で、改善が望まれていた。 【解決手段】 有底円筒状アンカーと、型枠インサート
用治具とからなり、インサート治具の中空円筒体の中
に、先端に磁石、又は両面接着テープを設けたプッシュ
ロッドと、その外側のリターンスプリングとで、急速に
プッシュロッドを有底円筒状アンカーの底まで挿入し、
固定できるようにした型枠用インサート。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、鉄筋コンクリート建
造物、コンクリート成形品等に埋設、固定されるインサ
ートに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種のものとしては、フックボ
ルト等の螺旋可能なネジ孔を有するインサートを鉄製コ
ンクリート型枠に取り付ける方法で、ネジ孔の開口端面
に両面接着テープを貼り付け、これを前記型枠に圧着し
て取り付けるか、あるいは、両面テープに代えて磁石を
用い取り付ける方法であって、有底筒状のインサートが
取付けられる個所に小径のネジ孔を設け、この前ネジ孔
にインサート支持具を取付ける構造がある。この従来の
ものは、型枠内に取付けたホルダにインサートを圧入係
止するようにしたもので、型枠にインサートを迅速に取
付けられるがホルダを軟質合成樹脂で形成していたの
で、インサートの保持力に問題があった。この欠点を改
良するものとして、特開平７−６２８２６号公報に開示
されているように、インサート内周に形成した雌ネジに
螺合する金属製のコイルスプリングを設け、該コイルス
プリングを型枠内面の所定個所に起立固定する構造のも
のがあるが、ネジ込みを必要とするので、組立に手間と
時間がかかることと、インサート内部に挿入される支持
軸は外方に突出させて固定するとそれだけ固定力が弱く
なる問題がある。又、取付け取外し作業には多くは梯子
に乗り片手で作業するので、一般的に取付けインサート
の個数が非常に多いことを考えても大変な作業である。

【０００３】又、更に改良インサートとして、特開平６
−１６７０５６号公報、特開平６−１８５１２５号公報
に開示されているように、鉄製型枠の表面に着脱自在に
吸着するように磁石を備えた吸着金具を設けたもの、あ
るいは、この磁石に代えて、両面接着テープを利用した
吸着金具を設けたもの、等が知られている。しかしなが
らこれらのインサートにおいても、インサート本体内に
挿入する取付け治具の軸体とは概ね０．３ｍｍ程度のア
ロワンスで作製されているため、入口（鉄製型枠の接触
面）で磁石や両面テープで固定されることで、心軸合わ
せ、位置合わせが非常に困難で、複数の作業者が必要
で、インサートの取付け工事に手数がかかり、かつこの
型枠と磁石の接合部分ではコンクリートのミルクが薄く
残ることが多く、これにより磁力接合が弱くなるという
問題があり、一層の改良が望まれていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記従来の技術の中
で、治具のフランジ端面に両面接着テープを用いて型枠
に固定する方法も、磁石を用いて型枠に固定する方法
も、一見型枠と治具の固定自体は容易に見られるが、型
枠の入口のフランジ部においてこれを採用しているのみ
で、インサートを取付け治具内に挿入する場合、ネジ溝
合わせを必要とするために正確に位置合わせしなければ
挿入作業がし難いという問題があった。又、これまで通
常のインサートの心軸は、インサート本体とはネジ結合
が殆どであるために、取付けや取外しが面倒で、ネジ結
合を用いない構造では通常打ち込み型であり、抜取やイ
ンサートの一部を露出させておく形式のものには使用が
困難である。本発明はこのような問題点を解決し、容易
に挿入でき、しかも先端の固着が容易で強固なインサー
トを提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は上記の課題を解
決するために鋭意検討の結果なされたもので、その概要
は、有底円筒状アンカーと、型枠インサート用治具とか
らなり、該有底円筒状アンカーには開放端に筒状の絶縁
性キャップが設けられ、該型枠インサート用治具は、型
枠への固定用フランジ状端面を有する中空円筒体の内部
において、中心側にプッシュロッドその外側にリターン
スプリングを設け、該プッシュロッドは先端部に有底円
筒状アンカーと強固に固定し得る固定手段を有し、中空
円筒体に設けた空隙に嵌挿係合し得るようにした係止突
起を有し、該プッシュロッドは該リターンスプリングが
圧縮されたときに該有底円筒状アンカー側に突出させ、
該リターンスプリングが開放されたときに該中空円筒体
内に戻るように構成されていることを特徴とする型枠用
インサートである。なお、有底円筒状アンカーの絶縁性
キャップが型枠に接合するためには、両面接着テープが
好適に用いられる。

【０００６】そして、型枠インサート用治具のフランジ
状端面には型枠への固定用の磁石又は両面接着テープが
設けられて構成されている。なお、有底円筒状アンカー
の底部と、プッシュロッドの先端との固定手段は磁石も
しくは両面接着テープで構成され強固な構成を非常に短
時間で形成することができる。特にプッシュロッドの先
端に磁石を設ける場合には、磁力により瞬時に結合され
るので作業能率が良い。又、プッシュロッドを有底円筒
状アンカー内より分離する場合は、係止突起を中空円筒
体に設けた空隙において有底円筒状アンカー側に係止さ
れているのを解除し、端部側に係止するとスプリング作
用により急激に分離開放することができる。フランジ部
及びプッシュロッドの先端に磁石を使用するか、両面接
着テープを使用するかは接合する相手方が磁性金属等磁
性材料であるか否かによって定まることは当然である。

【０００７】

【発明の実施の形態】図１は、本発明を構成するインサ
ートの一例に関し、各部分を離隔した状態を示す一部縦
断正面図、図２はこれを組み込み、コンクリートを注入
した状態を示す一部縦断正面図で、同一部分には同一符
号が付されている。図において、１は有底円筒状アンカ
ー、２は有底円筒状アンカーの開放端に取付けられる絶
縁性キャップ、３は有底円筒状アンカー１の開放端面の
絶縁キャップ２を型枠板４の所定の位置に位置決めした
上で固定するための円板状の両面接着テープ、型枠板４
は通常は鉄製である。６は治具５を構成するフランジ状
部７を有する円筒状のケースで、型枠板４に接する外端
面には円環状に磁石８が付され、内部には先端に磁石９
を設けたインサート軸（プッシュロッド）１０とその周
囲のスプリング１１とを内蔵している。プッシュロッド
１０には係止突起６ａが設けられており、円筒状のケー
ス６に設けられている係止突起ガイド孔６ｂに沿って移
動できるようになっており、有底円筒状アンカー側に係
止したときにはスプリング１１が圧縮されプッシュロッ
ド１０を型枠板５より外側に突出できるようになってお
り、この係止を解除し端部側に移動して係止するとスプ
リング作用により急激に分離開放することができる。す
なわち、結合時にはスプリング１１が急速にプッシュロ
ッド１０を円筒状のケース６内に突入収納するようにな
っている。なお、図ではハンドル１２をプッシュロッド
１０の後端に設けているが、係止突起の端をハンドルに
してもよい。なお、ケースの端面のフランジ状部７に設
ける磁石８は、枠体４が磁性金属等磁性材料の場合で、
その他の非磁性金属やプラスチックの場合は両面接着テ
ープを使用する。又、プッシュロッド１０の先端に設け
る磁石９も有底円筒状アンカーが非磁性材料の場合は、
これに代えて両面接着テープを使用する。

【０００８】上記の構成において、有底円筒状アンカー
と、治具とは、あらかじめ型枠板を設けておき、これに
両側より取付けてもよいが、作業環境によっては、予め
治具をコンクリートにそのプッシュロッド６を突出させ
て取付けておき、その後プッシュロッドに型枠板（やや
中央の孔の大きさは大きくしたもの）を挿入し、プッシ
ュロッドのフランジ部と結合し、その後有底円筒状アン
カーをプッシュロッドが中心にくるように挿入して一体
に構成することができるので、作業環境によってはこの
ような工法も採用できる。いずれにしても、プッシュロ
ッドの先端は磁石によりアンカー内に突出してその底部
に強力に固定した状態で保持されるので、組立は短時間
に達成することができしかもプッシュロッドに付されて
いる係止突起を係止突起ガイド孔に沿って移動すること
により組立も開放も極めて容易に行なうことができ、取
付けは従来のように複数の作業者を要することなく、全
く単独の作業者でも極めて容易にすることができる。

【０００９】なお、図においてはインサート軸を構成す
るプッシュロッド１０の先端と有底円筒状アンカー１の
底の結合を磁石９で行なっているので、磁力による結合
が容易であり、しかも、ハンドルに若干の力を加えれ
ば、容易にプッシュロッド１０を引き離すことも容易で
ある。従って、取付け位置により治具を残して置く場
合、あるいは治具を除去する場合等、自由に取付けを実
施できる利点がある。しかしながら、有底円筒状アンカ
ーが非磁性材料で構成されている場合は磁性金属と異な
り磁石結合のように急激な結合構成はとれないが接合自
体は強固である。

【００１０】上記図示説明したものでは専らプッシュロ
ッド１０の先端と有底円筒状アンカー１の底の接合を磁
石９による場合について説明したが、図３のように両面
接着テープ１３を用いて有底円筒状アンカー１の底とプ
ッシュロッド１０の先端とを結合してもよい。この場合
は、磁石とは異なり強力な磁気作用に基づく結合はない
が、正確な位置決めには支障がなく、かつ価額も安価な
ものを提供することができる。

【００１１】本発明においては磁石及び両面接着テープ
を代表例として示したが、本発明の基本精神を逸脱しな
い範囲で設計変更できることは勿論である。また図１の
磁石４ｂに代えてプッシュロッド６の先端に外方向に付
勢された弾性体や、プッシュロッド６の先端部分にこれ
よりやや外径の大きい外径の気密用円環体を布設しても
同様な効果を達成することができる。

【００１２】

【発明の効果】本発明によれば、プッシュロッドのアン
カー内への挿入が極めて短時間で行なわれ、その一番奥
で強固に接触固定するので、有底円筒状アンカーが強固
に設置される。さらに、磁石や両面接着テープをこの有
底円筒状アンカーの奥の接合個所に利用しているだけ
で、特別複雑な構成ではなく、低コストで部品が製作で
き、しかも型枠への取付けが容易である。また、ロッド
を利用してここを足場や引っ掛け用に利用できるほか、
必要に応じてロッドを先に抜取り解体できるので、取付
け取外しが極めて容易である。なお、本発明のインサー
トは軽量で、取付け作業、取外し作業が簡単で、取付け
治具と有底円筒状アンカーの取付け時の位置合わせが極
めて容易であるから、狭い空間でも単独の作業員が連続
して多数個の処理をすることができ、従来のように複数
の作業員を必要としない。なお、この効果は特にプッシ
ュロッドの先端に磁石を設けた場合大きい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のインサートの形成前の部分離隔状態の
一部縦断正面図

【図２】本発明のインサートの取付け状態の一部縦断正
面図

【図３】プッシュロッドの先端に両面接着テープを用い
た場合の接合部の部分説明図

【符号の説明】

１ 有底円筒状アンカー ２ 絶縁キャップ ３ 両面接着テープ ４ 型枠板 ５ 治具 ６ 円筒状のケース ６ａ 係止突起 ６ｂ 係止突起ガイド孔 ７ フランジ状部 ８ 磁石 ９ 磁石 １０ プッシュロッド １１ スプリング １２ ハンドル １３ 両面接着テープ

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 有底円筒状アンカーと、型枠インサート
   用治具とからなり、該有底円筒状アンカーには開放端に
   筒状の絶縁性キャップが設けられ、その表面側に型枠板
   に接合する両面接着テープを配置し、該型枠インサート
   用治具は、型枠への固定用フランジ状端面を有する中空
   円筒体の内部において、中心側にプッシュロッドその外
   側にリターンスプリングを設け、該プッシュロッドは先
   端部に有底円筒状アンカーと強固に固定し得る固定手段
   を有し、中空円筒体に設けた空隙に嵌挿係合し得るよう
   にした係止突起を有し、該プッシュロッドは該リターン
   スプリングが圧縮されたときに該有底円筒状アンカー側
   に突出させ、該リターンスプリングが開放されたときに
   該中空円筒体内に戻るように構成されていることを特徴
   とする型枠用インサート。
2. 【請求項２】 有底円筒状アンカーの底部と、プッシュ
   ロッドの先端との固定手段が磁石であることを特徴とす
   る請求項１に記載の型枠用インサート。
3. 【請求項３】 有底円筒状アンカーの底部と、プッシュ
   ロッドの先端との固定手段が両面接着テープであること
   を特徴とする請求項１に記載の型枠用インサート。
4. 【請求項４】 型枠インサート用治具のフランジ状端面
   には型枠への固定用の磁石又は両面接着テープが設けら
   れて構成されていることを特徴とする請求項１に記載の
   型枠用インサート。