JPH1136258A - 漂砂制御用施工体 - Google Patents
漂砂制御用施工体Info
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- JPH1136258A JPH1136258A JP18865697A JP18865697A JPH1136258A JP H1136258 A JPH1136258 A JP H1136258A JP 18865697 A JP18865697 A JP 18865697A JP 18865697 A JP18865697 A JP 18865697A JP H1136258 A JPH1136258 A JP H1136258A
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Abstract
れぞれが歪み砂れんのパターンを崩すことなく砂の移送
効率が高い漂砂制御用施工体を提供する。 【解決手段】 海底に倣う変形可能なシート2の上にそ
れぞれ上下方向の折れ曲がり可能に複数のブロック1を
配列してシート2に接合し、配列されたブロック1が正
弦波を波長方向の一方に偏位させた歪み砂れんに近似す
る連続した表面プロフィルを描く形状とし、海岸線に対
するブロックの配列方向に従ってたとえば海岸からの砂
の流出の抑制や沖合からの浮遊砂の海岸側への移送を可
能とするとともに、海岸近くにおける漂砂の移動方向が
所定の向きとなるように制御することで海岸の浸食を防
止する。
Description
方向や侵食領域等の所定の方向に誘導して侵食防止及び
海浜環境を改善できるようにした漂砂制御用施工体に関
する。
とされていた河川からの排出土砂が最近では激減してい
ることから一層深刻さを増している。そして、港湾の整
備事業の一環として行なわれている埋め立てや大都市に
おける人工島の建設などによる海岸の侵食も避けられ
ず、砂資源の不足及び将来的な海岸整備についての早急
な対策が必要とされている。
して、海水の波動を原動力として活用することによっ
て、海水中の漂砂が沖合に流失するの防いでこれを海岸
側に引き寄せておいたり、沖合の海中に堆積している砂
を海岸側に運ぶ等のように、漂砂の動きを制御するとい
うものがある。これは、波動の底層流によって海底の砂
地に発生する波状の砂れんが、底質の流れすなわち漂砂
を含む底層流の流れを拘束するという現象を参考にした
もので、砂れんの正弦波形を沖側に偏るように歪みを持
たせた歪み砂れんによる作用によって漂砂を海岸側へ向
かう流れに含ませるというものである。
作できるようにしたものとして、本願出願人等の一人が
提案して特願平3−28965号として出願し、特開平
4−269207号として出願公開されたものがある。
これは、歪み砂れんの波形に近似させた形状のブロック
を製作しておき、歪みの偏位側が沖合を向く姿勢として
これらのブロックを海底に設置するというものである。
ックを海底に配置することで、海水の波動の峰及び谷が
通過する1サイクルの間に沖合から海岸に向かうブロッ
ク表面に沿う底層流を発生させることができる。したが
って、たとえば沖合に堆積している砂が波や流れによっ
て移動してきてブロックの設置範囲に及ぶようになる
と、底層流の流れに乗って海岸側へ運ばれることにな
り、これによって侵食防止と沖合側に堆積している砂の
海岸側への回収が可能となる。
れん形状のブロックを用いるものでは、各ブロックが海
岸側及び沖合側を向く端部を互いに重ね合わせることに
よってブロック自身どうしを拘束させるとともに、ブロ
ックの表面の連続したプロフィルによって正弦波を沖合
方向に歪ませたいわゆる歪み砂れんの波形を持つ施工体
が得られる。
重量としていても、台風などの際には大波や高波を繰り
返し受けてしまうと、ブロックの位置ずれが避けられな
い。このため、1個のブロックが位置ずれを起こすと、
その影響を受けて隣のブロックの位置もずれてしまい、
この位置ずれが全体に波及していって、最終的には歪み
砂れんのパターン形状が崩れることになる。
は、ブロックをたとえば海底にアンカリングして固定す
ればよい。しかしながら、ブロックはその単体というよ
りも、むしろ多数の集合体の歪み砂れんの形状によって
砂の海岸側への拘束及び移送が可能なので、ブロック全
体の配列が適正に維持されるかどうかが重要であり、ブ
ロック毎のアンカリングの良否によっては波浪による列
の乱れは避けられず、歪み砂れんのパターンの崩れは避
けられない。そして、ブロックを海底にアンカリングす
るには、設置範囲を一度浚渫して基礎を海底中に構築し
た上でアンカーによって固定するものとなり、施工費用
や工期等の点から現状にはそぐわない。
移動を促すブロックの形状は、正弦波形を沖合側に歪ま
せるという基本的なものを開示するのみである。たとえ
ば、海水の波の波長や振幅は風や気圧等によって影響を
受けるほか大きなうねりを伴うものもあって、或る範囲
内に特定することはできないが、ブロックは砂の海岸側
への保持及び沖合等からの回収を目的とするものなの
で、年間を通じての代表的な値に対応した設計とするこ
とは可能である。ここでいう代表的とは、たとえば年間
に数回来襲する高波とか海岸保全の目的によって選ばれ
る波の規模を意味する。すなわち、先の出願では、この
ような代表的な値の波の波長を把握して歪み偏位部のピ
ッチや大きさなどについての最適化を試みるという思想
はなく、実際に海底に設置したときの砂の移送の効力が
どの程度であるかについては幾分不明な点が残ってい
る。
ロックの配列施工では、ブロックどうしの間の位置ずれ
を生じて歪み砂れんのパターンが崩れて砂の移送機能が
低下するほか、波の波長などの条件に適合した最適効率
が得られているとはいえない現状にある。
沿って設置したときに各ブロックのそれぞれが歪み砂れ
んのパターンを崩すことなく砂の移送機能を保持できし
かも砂の移送効率も高い漂砂制御用施工体を提供するこ
とにある。
形可能なシートと、このシートの上にそれぞれ接合され
て一様に配列する複数のブロックとを備え、ブロック
は、これらを配列したときに正弦波を波長方向の一方に
偏位させた歪み砂れんに近似する連続した表面プロフィ
ルを描く形状としてなることを特徴とする。
面側に形成されてシートに接合する着座部と、上面側に
形成されて配列方向の一端側に向けて上向きの傾斜とし
た傾斜面とを備え、傾斜面の傾斜方向を同じとしたブロ
ックの配列方向とするとともに、隣接配列の配列方向の
ブロックの端部を互いに上下に重合し、この重合部分を
支点として隣接配置のブロックが折れ曲がり可能な連接
関係としたものとすることができる。この場合、傾斜面
の基端側の上面にほぼ半円状の縦断面形状を持つヒンジ
部を設け、傾斜面の先端側の下面にはヒンジ部に被さっ
て相互の間を回動摺動面とするヒンジ受け部を設け、こ
れらのヒンジ部及びヒンジ受け部を隣接配置ブロックの
重合部分としてもよい。
つの歪み砂れんの波長をλとし、ブロックの表面プロフ
ィルに沿う水粒子軌道運動の全振幅(以下、「全振幅」
と呼ぶ)をdo とするとき、do /λの値をほぼ1.7
とした構成とすることができる。更に、ブロックは、波
の進行方向とのなす角度が或る範囲に含まれる条件下に
おいて、波の進行方向に関係なく海水の底層流を歪み砂
れんの峰と直交する向きに制御可能な表面プロフィルと
大きさを持つものとすることができる。
に用いるブロック及びその配列とシートによる連結を示
す例であって、同図の(a)はブロック単体及び同図の
(b)は配列されたブロックとシートとの位置関係を示
す。
は、一端側を除いて一様な平坦面とした着座部1aと、
この着座部1aに対して一定の傾斜角度を持つ傾斜面1
bとを上下面に形成したものである。そして、これらの
着座部1aと傾斜面1bとが交差する方向の一端側には
ほぼ上半分を円形断面としたヒンジ部1cを形成し、反
対側の方向の一端側にはこの隣接配置するブロック1の
ヒンジ部1cに被さる曲面状のヒンジ受け部1dを凹ま
せて形成している。このヒンジ受け部1dよりも先端側
は、隣接するブロック1に接合したときに傾斜面1bに
被さってこの傾斜面1bから急激に立ち上がる程度の肉
厚のヘッド1eとする。
として互いに幅方向の両端を隣接して配列されるととも
にシート2によって一体に接合したユニットとし、この
ユニットを現場に搬入して施工する。シート2は複数の
ブロック1の荷重に耐え得る程度の強度を持ちかつ弾性
変形可能な未加硫のゴムシートであり、ブロック1の着
座部1aに対して強固に接着するための接着材層をその
表面に形成したものとする。
1のユニットの配列を示す概略図であり、各シート2に
それぞれ保持された各列のブロック1は、ヒンジ受け部
1dがヒンジ部1cの上に被さるように配置されてい
る。そして、これらのヒンジ部1c及びヒンジ受け部1
dの曲面形状によって、隣接し合うブロック1どうしが
互いに折れ曲がり可能に連接される。したがって、自在
に弾性変形するシート2に接着されたブロック1は、設
置する海浜の海底地形に倣わせて配置することができ
る。
ジ部1cとヒンジ受け部1dとの重合及びこれらの係合
によって互いに拘束され、ヒンジ部1cが海岸側及びヘ
ッド1eが沖合側を向く姿勢として配列される。すなわ
ち、ブロック1を配列したときには、海岸側のブロック
1のヘッド1eが隣接している沖合側のブロック1の傾
斜面1b上に被さり、これらのヘッド1eと傾斜面1b
との境目部分にはほぼV字状に鋭く刻み込まれたような
トラフ3が形成される。したがって、海岸から沖合に向
けて図2のような姿勢で各ブロック1を配列していく
と、傾斜面1bの先端部分の山及びヘッド1eと傾斜面
1bとの間のトラフ3による谷の繰り返しの波形状のプ
ロフィルが形成される。
のプロフィルは、砂浜海岸の海底砂に形成される砂れん
の形状に近似させたものであり、この砂れんの波形状及
びこれが波動とともに漂砂の挙動に及ぼす影響を図3に
より説明する。
「歪み砂れん」とは図において示す波長λ及び波高ηの
正弦波を沖合向きに歪ませた波形プロフィルを描く砂の
表面形状として本明細書では定義する。そして、図2に
示したブロック1の配列を図面と直交する方向にもブロ
ック1を同様に配列したもの(図1の(b)参照)を、
歪み砂れんマットと称するものとする。
合側から海岸側方向すなわち図において右から左に向け
て波が通過するときの漂砂の挙動を示すものである。
子の軌道運動の全振幅do の範囲で往復運動をし、波の
谷が通過しているときは図中の太線で示すように沖向き
に位相流れが生じる。そして、砂れんが沖側に臨んでい
て急勾配となっている部分(図2におけるトラフ3に相
当)では、砂れんの頂部に臨んでいる急勾配の凹みの中
での流れの場となるので、頂部での急勾配面が小さな堰
のように作用し、これによって流れには矢印で示す旋回
方向の強い渦流が発生する。
発達していく過程では、海岸側から沖側に向かおうとす
る砂れんに沿う海水の流れは、淀み点となっている渦流
が抵抗として作用すると同時に渦流に吸収されるように
なるので、この渦流の付近に滞留して沖側への流れの進
行が阻止される傾向を持つ。そして、歪み砂れんのトラ
フに相当する部分の底部から海岸側への急勾配のプロフ
ィル(図2においてトラフ3の底からヘッド1eにかけ
てに相当)と渦流との相互作用によって、この渦流を含
む水塊には図中の矢印fで示す方向への流動力が引き起
こされる。このように、歪み砂れんの中の凹み部分で
は、海岸側から沖合側への流れが停滞すると同時に、海
岸側を向く矢印f方向の流動力が引き起こされるので、
歪み砂れんの表面に沿って海岸方向へ向かう強い流れす
なわち底層流が促されることになる。
れんの頂部から岸側へ向けての傾斜面はその勾配が緩や
かなので、歪み砂れんの表面に沿う流れの剥離及び渦流
の発生及び成長は微小のままで終わる。
み砂れんの表面に沿う底層流が岸側へ向けての強制流と
して発生する。したがって、歪み砂れんマットを海底に
設置しておけば、たとえば沖合側に堆積していた砂が波
や流れで移動してきて歪み砂れんマットの上に至ると、
岸側への強制流れに乗せてこの砂を岸側に移送すること
ができる。
れんのプロフィルを持つものであれば、漂砂や沖合から
流れて来る砂を海水の波動によって岸側に移送すること
ができる。したがって、図2に示したようなブロック1
の配列とすれば、歪み砂れんに近似したプロフィルを海
底に作ることができ、同様の原理によって漂砂等を岸側
に運ぶことが可能となる。
各ブロック1に沿う底層流の流れによる漂砂の動きを順
に示す概略図であり、底層流の挙動及び漂砂の動きは図
3で説明したものと同じ原理による。ここで、波は水深
が浅い所へ進むにつれ、底面の影響を強く受けるように
なり、波形が歪んでくるので、歪み砂れんの効果が低下
する。これに対し、本発明者等は、歪み砂れんの適用水
深として、H/h<0.5の条件が好適であることを知
見によって得ている。ここに、Hは波高でありhは水深
を表す。
あり、各ブロック1のそれぞれのヘッド1eが沖合を向
く姿勢として配列されている。このようなブロック1の
配列の群を海岸の適切な位置に配置することによって、
漂砂や沖合の堆積砂の浮遊分を海岸側に運べるので、海
岸砂が侵食されてもこれを補うことができ、侵食が効果
的に防止できる。
ようにシート2に予め接着したものをユニットとして準
備しておくことによって、複数のブロック1をシート2
とともにクレーンで吊り上げて海底に投入するだけの作
業で済む。したがって、従来例で説明したブロックを1
個ずつ設置していくのに比べると、ブロック単位での位
置合わせ等が不要となり、作業性が格段に向上する。
て保持されているので、海底に凹凸があってもシート2
はこれに倣って変形し海底からの剥離浮上が防止され
る。一方、ブロック1についても海岸から沖側方向に向
けての配列がヒンジ部1cとヒンジ受け部1dとの重ね
合わせの連接形態となっているので、この連接部分で前
後のブロック1どうしは折れ曲がる姿勢を取ることがで
きる。したがって、シート2の変形に追従してブロック
1も姿勢を変えて海底に対して安定保持され、大きな凹
みや山等及び岩礁等がない海浜であれば、図5に示すよ
うに各ブロック1を整然と配列して歪み砂れんのパター
ンを形成することができる。
ク1のそれぞれのトラフ3どうしの間の形状が図3に示
した歪み砂れんの1波長の波形に相当することは、以上
の説明から明らかである。すなわち、図2のブロック1
の配列において、λで示す範囲が歪み砂れんの1波長に
対応する形状であり、この形状及び大きさを最適化して
漂砂の岸側への移送を促進させることはきわめて有効で
ある。
最適化を図るために、本発明者等は模型試験によって底
層流の平均流速の測定や底質の移動の状況の観察を行な
うとともに、砂れん周辺の流れや渦流に関する数値計算
等による解析を行なった。その結果、図3の(b)で説
明した全振幅do と砂れんの波長λとの間に、do /λ
≒1.7の関係があれば漂砂を最も効率的に制御できる
ことの知見を得た。
礁等の分布等によって様々に変化する。これに対し、施
工しようとする現場については、予めその波の状況を統
計的に把握して代表的な値として算出することができ、
この代表的な値であれば年間を通じて漂砂の制御が良好
に行なえる数値として特定しても支障はない。したがっ
て、幅do の値は施工現場のそれぞれに対応するものと
して或る値の範囲に絞り込むことができ、これによって
do /λ≒1.7を満たすようなλの寸法を持つブロッ
ク1の大きさ及び形状を得ることができる。
ンジ部1cからヘッド1eまでの間の全長が140c
m,着座部1aからヘッド1eまでの全高が50cm,
幅が102cm,全重量は900kg,全容量は0.3
9m3 である。このようなブロック1の仕様ではλ=1
00cm程度であり、したがって水粒子の移動全振幅に
相当する幅do はdo ≒1700cmの値の波が代表的
な波として考えられる海浜に好適に利用することができ
る。
堆積した砂を海岸側に運ぶとき、波の進行方向がブロッ
ク1に対して或る角度範囲であれば、ブロック1に対す
る波の進行方向がどのように変わっても、漂砂等をブロ
ック1の配列方向と直交する向きに移送できることを知
見により得た。図6はこのことを説明するための概略図
である。
その峰線に直交する方向とαの角度をなす上方(波向き
正)から波が進行してくるとき、漂砂は図中の漂砂制御
の方向として示した矢印方向に向かう平均流として制御
される。そして、図の下方(波向き逆)から波が進行し
てくるときも、同様に同じ漂砂制御の方向に漂砂の流れ
が制御されることが実験により明らかになった。そし
て、実験によれば、歪み砂れんが漂砂の方向を制御でき
る条件としては、図6の(b)について以下に説明する
ように正逆両方の波向きに対してα<50°の範囲に特
定することができ、したがって歪み砂れんを施工すると
きのその姿勢によって50°×4=200°の範囲での
漂砂の制御が可能となる。
当する部分の平面形状を模式的に示しており、一点鎖線
で示す線分がブロック1の傾斜面1bからヘッド1eに
かけての最も高い稜線を形成している歪み砂れん峰線で
あり、この峰線を挟む上下の2本の実線はトラフの最も
深い位置に相当する。ここで、歪み砂れんに対して図示
のようにαの角度で流速がUの波が進行するとき、水粒
子は波向方向に流速Uで流れていく。そして、この流れ
によって全振幅do の長さの範囲を流線が進むときに
は、歪み砂れん峰線を境界としてその流れ方向の前後で
圧力差を発生する。そして、速度Uのベクトルを歪み砂
れんに対して垂直及び平行のUn,Upの成分に分解す
ると、平行成分Upは歪み砂れんが歪み砂れん峰線方向
に無限に長いと考えてよいので、圧力勾配には殆ど無関
係となる。一方、垂直成分であるUnは圧力勾配に大き
く寄与し、図に示すように歪み砂れんに対して渦を後流
として発生させる。
交する後続流れの中に含まれる流れの場となり、歪み砂
れんに対する波の入射角度に関係なく、歪み砂れんと直
交する方向に底層流を生じさせる。このような現象は、
Upが圧力勾配に実質的に寄与しない範囲であれば定常
的に生じることは明らかであり、ブロック1の峰線と直
交する線分を軸とするときその左右の±50°すなわち
合計50°×4=200°の範囲程度であればよい。
砂れんと直交する方向に底層流を引き起せるので、底層
流に乗せて移送すべき漂砂の向きを予め設定しておき、
この向きと直交する方向にブロック1を配列すれば、漂
砂の移送方向を制御できることになる。
ことによって漂砂の動きを制御可能とした施工例を示す
概略図である。
ングポイントを施工したもので、岩場から漂砂が沖側及
び海岸側に移送できるようにしたものである。
もヘッド1e側が岩場を向く姿勢として配列されてい
る。したがって、沖側に臨んでいるブロック1列は図5
の海浜の侵食防止用のブロック1の配列とは逆向きであ
り、沖からの波が打ち寄せるときには岩場R側に入り込
んだ砂の浮遊を漂砂として捉えて沖側に移送する。そし
て、海岸側に臨んでいるブロック列1については、図5
におけるブロック1の姿勢と同じであり、岩場Rを通過
して来る波に含まれた漂砂を海岸側に移送することがで
きる。
の姿勢を沖側及び海岸側で互いに反対機とすることによ
って、岩場Rへの砂の堆積の防止と外部への移送によっ
て岩場Rをダイビングスポットとして維持することがで
きる。なお、図において海岸線に対して斜め姿勢の配列
となる4組のブロック1列についても、沖側と海岸側の
それぞれを先に述べた姿勢としておけば、岩場Rからの
砂の排出が同様に可能である。
配列することによって、砂が堆積しやすい部分から侵食
が起きやすい部分に砂を移送するようにした例である。
して波が左方向から打ち寄せる場合であり、このような
波の進行であれば、沖合側から見たとき突堤Pの左側に
砂が堆積しやすく、右側では侵食が起きやすい。これに
対し、突堤のPの左側からその前方及び右側までを包囲
するようにブロック1の列を配置することによって、左
側に堆積する砂を右側の侵食部分に移送する。
りに配列するブロック1は、突堤Pの左側の配列部では
ヘッド1eを海岸側に向け、突堤Pの前方に沿う配列部
ではヘッド1eを左側に向け、更に突堤Pの右側に沿う
配列部ではヘッド1eを沖合側に向けたものとする。
配列では、海岸から引く波によて海岸付近に堆積してい
る砂を漂砂として捉えて沖合方向に移送し、突堤Pの前
方にあるブロック1の配列部では斜めから打ち寄せる波
によって、左配置のブロック1列から移送されてきた漂
砂を突堤Pに沿ってその右側に移送する。更に、突堤P
の右側に位置しているブロック1の配列部では、突堤P
の前方に沿って移送されてきた漂砂を海岸側へ移送す
る。したがって、突堤Pの右側の海岸の侵食部分に漂砂
を海水の波を利用して運び込むことができ、浚渫等の作
業を一切することなく侵食防止が可能となる。
のコーナー部に沖合方向に斜めに突き出るブロック1列
を備えるようにしてもよい。この場合、各ブロック1は
そのヘッド1eが沖合側を向く姿勢とすることによっ
て、図5で示した例と同様に沖合からの砂を漂砂として
捉えてこれを海岸側に移送することができる。したがっ
て、突堤Pの右側の海岸の浸食部分には沖合からの砂も
合流させて供給することができ、侵食防止がより効果的
に行なわれる。
を海岸線に対して角度を持たせて施工した例であり、各
ブロック1のヘッド1eは沖合方向を向いた姿勢となっ
ている。波が海岸に斜めに入射すると、その運動量の沿
岸方向成分のための、沿岸漂砂が発生する。沿岸漂砂
はその移動の過程で、沖向きに拡散移動する。そこ
で、歪み砂れんによりこれの移動を、引き戻す方向に岸
向き制御すれば、砂の沿岸方向及び沖向き方向の移動
が制御されることにより、海岸にあたかも浸食防止のた
めの突堤を設置したのと同様の効果が期待できる。
ト製の歪み砂れんを全長6mにわたって敷いたものを実
験用として準備した。なお、図10の(a)は歪み砂れ
んの原型とした正弦波の波形であり、歪み砂れんとのプ
ロフィルの比較のために記載した。
水深を29cm,波高5〜9cm及び周期0.8〜2.
0秒の波を作用させ、レーザー流速計によって水平方向
流速uを歪み砂れん頂部から測定した。そして、この測
定結果に基づき、水平方向流速uを鉛直方向に積分して
水平方向の流量Qを算出した。その結果を図11の
(a)に示す。
Q及び種々の底質を歪み砂れん上に置いたときの移動速
度Vgを縦軸に、水粒子移動全振幅do と歪み砂れんの
波長λとの比(do /λ)を横軸にとって示す歪み砂れ
ん上の岸向き流量及び底質移動速度の実験値のプロット
である。
5.5cm(図中の砂れんA)及びこれと幾何学的に2
倍のλ=11cm(図中の砂れんB)について測定を行
なった。そして、図から判るように、λ=5.5cm及
びλ=11cmのいずれの場合でも、do /λがほぼ
1.7付近で流量Qが最大値をとる分布となっているこ
とが判る。また、種々の底質を置いた場合のVgについ
ても、この値1.7付近のdo /λの値に対応して最大
値があることも判る。したがって、実験的には、歪み砂
れんが漂砂の制御効果を最大にする条件は、do /λが
ほぼ1.7の値であるといえる。
になる条件については、数値シュミレーションによって
も得ることができる。これは、流れ関数に関するポアソ
ン方程式と過渡輸送方程式を渦拡散係数として解くこと
で条件を解として得るものであり、その結果を図12に
示す。
きがあるものの、図11に示した実験結果の分布特性を
勘案するとき、最大値はdo =8cm付近とみられ、こ
れに計算上の歪み砂れんの波長がλ=5cmであること
を考えると、do /λの値はほぼ1.6である。したが
って、流量Qと底質移動に関する実験及び数値シュミレ
ーションの結果から、do /λの値が1.7であると歪
み砂れんの漂砂制御効果を最大にするということが確認
された。
した表面プロフィルを作るブロックの配列の向きによっ
て、海岸からの砂の流出を抑えるとともに漂砂を海岸側
に移送したり、海岸の或る場所から別の場所に漂砂や堆
積砂を運ぶなどの漂砂の制御ができ、海岸の侵食を防止
することができる。そして、ブロックはシートに接合さ
れ互いの位置を拘束されていて海底に設置した後にもブ
ロックの位置関係の乱れが抑えられるので、歪み砂れん
のパターンの崩れが防止され、長期間に亘って砂の移送
の機能を維持することができる。
接部分が折れ曲がり可能なので、シートとともに海底に
設置したときには、海底の凹凸に倣わせてブロックの姿
勢を保つことができるので、ブロックの海岸から沖合方
向への配列が寸断されることがない。したがって、ブロ
ックの一部が急激に折れ曲がる配置となっても、配列全
体による漂砂の移送の機能が損なわれることはなく、海
底地形が複雑な現場にも対応できる。
接部分を円弧面の摺動面を形成するヒンジ部とヒンジ受
け部とによって構成するので、折れ曲がりの動作が速や
かになり、海底に設置するときにシートもブロックの動
きに馴染むように変形するので、シートの破れ等を生じ
ることのない良好な施工が可能となる。
フィルに沿う水粒子軌道運動の全振幅に対する表面プロ
フィルの波長を特定することによって、漂砂の移送に貢
献する底層流の流量を最大に設定することができるの
で、ブロックを必要以上に大きくすることなく効率的な
漂砂の移送が可能なる。したがって、ブロックの設計の
最適化が図られ、その小型化及び計量化を達成すること
で施工性の向上も可能となる。
によって波の進行方向に対して漂砂の平均流れ方向をブ
ロックと直交する向きに制御できるので、海岸の地形や
突堤の配置等に応じて適切な配列とすれば海岸の浸食防
止がより効果的に達成されるほか、海岸における砂の誘
導も自在になりダイビング用の岩場等の海岸施設の施工
も簡単になる。
あって、(a)はブロック単体の斜視図、(b)はシー
ト上に複数のブロックを接着して配列したユニットを示
す斜視図である。
ある。
する図であって、(a)は歪み砂れんの波形、(b)は
波動による渦流の発生及び岸方向への流動力の発生を示
す図である。
の挙動を波動とともに示す概略図である。
である。
囲で変わっても底層流がブロックと直交する方向に発生
することを説明する図である。
クを配置した施工例を示す図である。
を示す図である。
として施工した例を示す図である。
正弦波と比較して示す図であって、(a)は正弦波の波
形、(b)は模型実験に使用した歪み砂れんの波形を示
す。
の算出値、同図の(b)は底質移動速度の測定結果をプ
ロットした図である。
る。
Claims (5)
- 【請求項1】 海底に倣う変形可能なシートと、このシ
ートの上にそれぞれ接合されて一様に配列する複数のブ
ロックとを備え、ブロックは、これらを配列したときに
正弦波を波長方向の一方に偏位させた歪み砂れんに近似
する連続した表面プロフィルを描く形状としてなる漂砂
制御用施工体。 - 【請求項2】 ブロックは、下面側に形成されてシート
に接合する着座部と、上面側に形成されて配列方向の一
端側に向けて上向きの傾斜とした傾斜面とを備え、傾斜
面の傾斜方向を同じとしたブロックの配列方向とすると
ともに、隣接配列の配列方向のブロックの端部を互いに
上下に重合し、この重合部分を支点として隣接配置のブ
ロックが折れ曲がり可能な連接関係としてなる請求項1
記載の漂砂制御用施工体。 - 【請求項3】 傾斜面の基端側の上面にほぼ半円状の縦
断面形状を持つヒンジ部を設け、傾斜面の先端側の下面
にはヒンジ部に被さって相互の間を回動摺動面とするヒ
ンジ受け部を設け、これらのヒンジ部及びヒンジ受け部
を隣接配置ブロックの重合部分としてなる請求項2記載
の漂砂制御用施工体。 - 【請求項4】 ブロックの描く表面プロフィルの一つの
歪み砂れんの波長をλとし、ブロックの表面プロフィル
に沿う水粒子軌道運動の全振幅をdo とするとき、do
/λの値をほぼ1.7としてなる請求項1から3のいず
れかに記載の漂砂制御用施工体。 - 【請求項5】 ブロックは、波の進行方向とのなす角度
が或る範囲に含まれる条件下において、波の進行方向に
関係なく海水の底層流を歪み砂れんの峰と直交する向き
に制御可能な表面プロフィルと大きさを持つ請求項1か
ら4の何れかに記載の漂砂制御用施工体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18865697A JP3333431B2 (ja) | 1997-07-14 | 1997-07-14 | 漂砂制御用施工体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18865697A JP3333431B2 (ja) | 1997-07-14 | 1997-07-14 | 漂砂制御用施工体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1136258A true JPH1136258A (ja) | 1999-02-09 |
JP3333431B2 JP3333431B2 (ja) | 2002-10-15 |
Family
ID=16227551
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18865697A Expired - Lifetime JP3333431B2 (ja) | 1997-07-14 | 1997-07-14 | 漂砂制御用施工体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3333431B2 (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012092643A (ja) * | 2010-10-01 | 2012-05-17 | Penta Ocean Construction Co Ltd | 水中漂流物の移動制御構造物、移動制御方法及びこれらに使用可能な構造体 |
KR101311862B1 (ko) * | 2013-02-25 | 2013-10-04 | (주)네오테크 | 에코리프블록 |
KR101450787B1 (ko) * | 2013-02-20 | 2014-10-13 | 한국해양대학교 산학협력단 | 침식 방호 블록들의 배치 구조 |
JP7390514B1 (ja) * | 2023-04-07 | 2023-12-01 | 和高 杉村 | 河口近くの海底に土砂止め構造物を設置して砂浜や砂礫浜を回復させる工事方法 |
-
1997
- 1997-07-14 JP JP18865697A patent/JP3333431B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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