JP2003342930A - 漂砂防止構造物およびその設置方法 - Google Patents

漂砂防止構造物およびその設置方法

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JP2003342930A
JP2003342930A JP2002150630A JP2002150630A JP2003342930A JP 2003342930 A JP2003342930 A JP 2003342930A JP 2002150630 A JP2002150630 A JP 2002150630A JP 2002150630 A JP2002150630 A JP 2002150630A JP 2003342930 A JP2003342930 A JP 2003342930A
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Yoji Hanawa
洋二 塙
Hideo Utsuno
秀夫 宇津野
Takeshi Oda
剛 織田
Yasuto Kataoka
保人 片岡
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期間に亘って漂砂を制御することができ、
しかも沖側の海底の洗掘や浸食を防止することを可能な
らしめる漂砂防止構造物を提供する。 【解決手段】 漂砂防止構造物1を、所定の間隔で配置
され、海岸8の方向に上り勾配に傾斜した複数の傾斜板
2と、これら複数の傾斜板2を支持する板支持部材3を
支える底版4の表面と前記傾斜板2の下端との間に形成
される隙間5とからなる構成とする。そして、この砂防
止構造物1の長手方向が海流の流れ方向と直交する向き
になるように、この砂防止構造物1を海底7に設置す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、海岸浸食により生
じる漂砂の発生を防止する漂砂防止構造物およびその設
置方法の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】特に、高波浪が発生する海岸では、海岸
の浸食が大きな問題になっている。このような海岸にお
いては防災目的に加え浸食を防止するために、離岸堤、
あるいは人工リーフ等を設置して、高波を制御するよう
にしている。つまり、このような離岸堤、人工リーフ等
により波を静穏にすることによって沖側への漂砂の流出
を防止することができる。しかしながら、例えば堤体を
設置すると、堤体の近傍領域と堤体と堤体との間の海流
の流速に大きな相違が生じ、海岸と堤体との間に漂砂が
堆積する一方、堤体と堤体との間では海底の砂の洗掘、
浸食が生じるという問題があった。このような領域にお
ける海底の砂の洗掘、浸食を防止し得るようにしたもの
が、例えば特開平2−88810号公報(従来例1)、特
開平9−125336号公報(従来例2)に開示されてい
る。以下、これら各従来例に係るものの概要を、添付図
面を参照しながら説明する。
【0003】先ず、従来例1に係る堤の浸食防止工法に
おける浸食防止マットの概要を、浸食防止マットを示す
斜視図の図6と、浸食防止マットを配設した海岸の直交
断面図の図7と、図7の直交断面図の図8とを参照しな
がら説明する。この浸食防止マットDは、直交する縦棒
52と横棒53とからなるマット51を備えている。こ
のマット51の縦棒52の各辺には、各片と同長さの保
持片54が取付けられており、各保持片54に多数の細
長い葉状体55の下部が固着されて構成されている。そ
して、海岸Aから少し離れた沿岸に石塊Cで築造された
離岸堤B1,B1の長手方向に離れた部分56と、離岸
堤B1の周りの海底とに、この浸食防止マットDが敷設
されている。
【0004】この従来例1に係る浸食防止マットDによ
れば、葉状体55は水中において垂直な姿勢を保持し得
る機能を持っているため、波の砕ける破波帯の乱流内
で、葉状体55および保持片54で海底表面が覆い隠さ
れる。従って、土砂の波動が妨げられ、土砂、浮遊物の
堆積が促進されて離岸堤B1の基礎部分の土砂が波動す
る土砂による浸食が防止される。なお、前記葉状体55
は、無毒で耐海水性があり、比重が0.4〜0.5の、
例えばポリプロピレンから製造されている。
【0005】次に、従来例2に係る漂砂制御構造物の概
要を、その一部拡大側面図の図9を参照しながら説明す
る。この漂砂制御構造物は、弾性体からなる長尺の板体
を折り返した曲折板体61から形成されている。曲折板
体61は、汀線にほぼ並行して対向するように海底66
に固定されている。曲折板体61は、連続して一体に形
成された曲折部63と折重ね部62とを備え、折重ね部
62の端部同士が当接している。そして、この折重ね部
62の長辺に沿って複数の孔64が明けられており、こ
れらの孔64に貫通させた杭65が海底66に打設され
ることにより、海底66に固定されている。
【0006】この従来例2に係る漂砂制御構造物の作用
・効果は、下記のとおりである。即ち、海浜流や波浪等
により沖からの水流Sが生じると、漂砂は曲折板体61
の折重ね部62を越えて岸側に運搬される。逆に、矢印
Tで示すような岸から沖に向う水流や戻り流れが生じる
と、水流Tは曲折板体61の曲折部63を越えて沖に向
かって進行する水流T′と、曲折部63に沿って海底6
6方向に向かう水流T″とに分かれる。この時、沖に向
かって進行する水流T′は曲折部63の岸側に砂の一部
を落下させて通過し、また海底66方向に向かう水流
T″は漂砂を伴っては曲折部63の岸側の海底66に突
き当たるため、この曲折部63の岸側に砂溜まり67が
生じる。従って、この従来例2に係る漂砂制御構造物に
よれば、海浜部で発生する漂砂の沖側への流出が抑制さ
れ、海岸側に向かう漂砂の移動を遮断せず、漂砂を漂砂
制御構造物の海岸側に落下させて海浜部に砂を堆積させ
ることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記従来例1に係る堤
の浸食防止工法の浸食防止マットでは、変形し易い葉状
体により土砂の波動を妨げて、土砂、浮遊物の堆積を促
進させる構成である。そのため、海岸側から沖側に向か
う海流の流れに抗し切れず、漂砂の流動の抑制機能が不
十分であるという問題がある。また、従来例2に係る漂
砂制御構造物では、曲折板体の岸側の曲折部側にある程
度砂が溜まると、漂砂を溜める機能が消失してしまうの
に加えて、この曲折板体の沖側の折重ね部側では時間の
経過に連れて砂の浸食(洗堀)が発生するという問題が
ある。
【0008】従って、本発明の目的は、長期的に亘って
漂砂を制御することができ、しかも沖側の海底の洗掘、
浸食を防止することを可能ならしめる漂砂防止構造物お
よびその設置方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記実情に鑑
みてなされたものであって、従って上記課題を解決する
ために、本発明の請求項1に係る漂砂防止構造物が採用
した手段は、海底に設置される漂砂防止構造物におい
て、所定の間隔で配置され、同一方向に上り勾配に傾斜
した複数の板状部材と、海底に設置され、前記複数の板
状部材を支持する板支持部材と、前記板状部材の下側に
設けられる隙間とからなることを特徴とする。
【0010】本発明の請求項2に係る漂砂防止構造物が
採用した手段は、請求項1に記載の漂砂防止構造物にお
いて、前記板状部材は、その下方への投影が隣接する板
状部材にオーバーラップするように傾斜してなることを
特徴とする。
【0011】本発明の請求項3に係る漂砂防止構造物が
採用した手段は、請求項1に記載の漂砂防止構造物にお
いて、前記複数の板状部材の間隔は、板状部材の高さ以
下になるように設定されてなることを特徴とする。
【0012】本発明の請求項4に係る漂砂防止構造物が
採用した手段は、請求項1乃至3のうちの何れか1つの
項に記載の漂砂防止構造物において、前記板支持部材の
前記板状部材の下方に、海底に配置される底版が設けら
れてなることを特徴とする。
【0013】本発明の請求項5に係る漂砂防止構造物が
採用した手段は、請求項4に記載の漂砂防止構造物にお
いて、前記底版の前記板状部材同士の間に、板状部材の
長手方向に沿って連なる突起を設けたことを特徴とす
る。
【0014】本発明の請求項6に係る漂砂防止構造物が
採用した手段は、請求項5に記載の漂砂防止構造物にお
いて、前記突起の高さを、前記隙間の高さよりも高くし
たことを特徴とする。
【0015】本発明の請求項7に係る漂砂防止構造物の
設置方法が採用した手段は、前記請求項1乃至6のうち
の何れか一つの項に記載の漂砂防止構造物を、前記請求
項1乃至6のうちの何れか一つの項に記載の漂砂防止構
造物を、板状部材の上り勾配側が陸側になるように海底
に設置することを特徴とする。
【0016】本発明の請求項8に係る漂砂防止構造物の
設置方法が採用した手段は、前記請求項1乃至6のうち
の何れか一つの項に記載の漂砂防止構造物を、板状部材
が海流の流れ方向に対して略直角になるように海底に設
置することを特徴とする。
【0017】本発明の請求項9に係る漂砂防止構造物の
設置方法が採用した手段は、前記請求項1乃至6のうち
の何れか一つの項に記載の漂砂防止構造物を、板状部材
の上り勾配側が陸側になるように、堤体の近傍の海底、
および堤体と堤体との間の海底に設置することを特徴と
する。
【0018】本発明の請求項10に係る漂砂防止構造物
の設置方法が採用した手段は、請求項9に記載の漂砂防
止構造物の設置方法において、前記請求項1乃至6のう
ちの何れか一つの項に記載の漂砂防止構造物の沖側を、
前記堤体の沖側よりも沖側に突出させることを特徴とす
る。
【0019】本発明の請求項11に係る漂砂防止構造物
の設置方法が採用した手段は、請求項9または10のう
ちの何れか一つの項に記載の漂砂防止構造物の設置方法
において、前記請求項1乃至6のうちの何れか一つの項
に記載の漂砂防止構造物の沖側を、前記堤体の沖側であ
って、かつ両端部付近の海底に設置することを特徴とす
る。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の漂砂防止構造物の
設置方法を実施する本実施の形態1に係る漂砂防止構造
物を、添付図面を参照しながら説明する。図1(a)は本
実施の形態1に係る漂砂防止構造物を海に配置した状態
を示す平面図、図1(b)は本実施の形態1に係る漂砂防
止構造物の模式的側面構成説明図、図2(a)乃至(d)は
傾斜板の他の断面形状を示す図である。
【0021】図1(a)に示す符号1は、本実施の形態1
に係る漂砂防止構造物である。この漂砂防止構造物1
は、その長手方向が波の移動方向に対して略直交する向
きに、海岸8から離れた沖側の所定深さの海底7に設置
されている。実質的に長く真っ直ぐな海岸線を有する海
岸8の場合には、図1(a)に示すように、漂砂防止構造
物1を海岸線と略平行になる向きに配置すれば良い。ま
た、入り組んだ海岸8にあっては、海流の流れ方向が海
岸線と直交する向きであるとは限らない。そのため、海
流の流れ方向を調査して、できる限り海流の流れ方向に
対して直交する向きに配置するのが好ましい。これは、
海流の流れに対して斜めに配置すると海流が斜めに流
れ、洗堀が発生し浸食が進み易くなるからである。但
し、海流の流れ方向に対して厳密に直交する角度に漂砂
防止構造物1を配置することができないので、角度範囲
を限定することはできない。
【0022】前記漂砂防止構造物1は、図1(b)に示す
ように、板支持部材3により、海岸側方向に上り勾配に
傾斜した複数の板状部材である傾斜板2が所定の間隔で
支持されている。前記板支持部材3は、図示しない固定
手段を介して海底7に設置される底版4の角部に立設さ
れてなる支柱部材3aと、これら支柱部材3aの頂部
に、波の移動方向向きに横架され、前記複数の傾斜板2
の長手方向の端部を支持する横梁部材3bとから構成さ
れている。つまり、この漂砂防止構造物1は、傾斜板2
の長手方向が、波の流れ方向と直交する向きになるよう
に海底7に設置されている。なお、前記底版4の固定手
段としては、例えば支柱部材3aの下端に海底に打込む
打込み部を設ける、また別途アンカーを用いるというよ
うな種々の方法が考えられる。また、各傾斜板2のそれ
ぞれを、海底7に打設した杭によって個別に支持する構
成にすることができる。
【0023】前記傾斜板2の傾斜は、この傾斜板2の下
方、つまりこの傾斜板2の前記底版4への投影が隣接す
る傾斜板2にオーバーラップするように設定されてい
る。また、前記傾斜板2の間隔は砂の巻き上がりを考慮
すると、狭い方が好ましいが、傾斜板2の高さ程度まで
は有効である。つまり、たとえ砂が巻き上がったとして
も、巻き上がった砂が隣接する傾斜板2の裏面により跳
ね返され、この隣接する傾斜板2を越えて沖9側に移動
することを妨げることができるからである。
【0024】前記傾斜板2それぞれの下端と前記底版4
の表面との間には、漂砂流通経路となる隙間5が形成さ
れている。この隙間5は全てが同寸法になるように設定
されている。沖9側への砂の流出防止機能を考慮する
と、この隙間5はより狭い方が好ましい。しかしなが
ら、隙間5に流れを生じさせる必要があるため、境界層
の厚さ以上にする必要がある。このように、隙間5に流
れを生じさせるのは、傾斜板2同士の間に、海流により
運搬されている漂砂を捕捉するための渦流を発生させる
ためである。
【0025】ところで、本実施の形態における傾斜板2
は平板である。しかしながら、この傾斜板2の断面形状
は、図2(a)に示すように上方に膨出するように湾曲形
成されていても良く、図2(b)に示すように下方に膨出
するように湾曲形成されていても良い。また、図2(c)
に示すように山折形成されていても良く、図2(d)に示
すように谷折形成されていても良い。つまり、傾斜板2
の断面形状は、海岸8側から沖9側に流れる海流を海底
7の方向に流す形状、換言すれば、漂砂を巻き上げる方
向の流れが生じさせない形状であれば良く、特に平板に
限定されるものではない。さらに、前記底版4も平板で
あるが、この底版4は、例えば穴明き板、パンチングメ
タル、エンボス板、縞鋼板からなる構成であっても良い
ので、この底版4も特に平板に限定されるものではな
い。
【0026】以下、上記構成になる漂砂防止構造物1の
作用態様を説明する。即ち、海浜流や波浪等によって沖
9側から海岸8側に向かう海流Ffが生じると、海岸8
側に向かう海流Ffの一部は各傾斜板2の裏面方向に渦
流Ffsとなって回り込み、隣接する傾斜板2の表面に沿
って底板4の方向に流れる。そして、隙間5を通過する
一方、残りは各傾斜板2を越えて海岸8側に流れる。つ
まり、この海流Ffにより運搬される漂砂の一部が各傾
斜板2の下方に落下し、残りの漂砂が漂砂防止構造物1
の海岸8側の方向に運搬される。
【0027】上記と逆に、海岸8側から沖9側に向う戻
り流Frが生じると、戻り流Frは傾斜板2を越えて沖9
側に向かって進行する海流と、各傾斜板2の裏面に反射
し、隣接する傾斜板2の表面に沿って底版4方向に向か
うと共に、隙間5を通過する渦流Frsとに分かれる。そ
して、底版4方向に向かう渦流Frsは最も海岸8側の傾
斜板2の海岸8側、および底版4の傾斜板2同士の間に
漂砂の一部を落下させる。そのため、最も海岸8側の傾
斜板2の海岸8側、および底版4の傾斜板2同士の間の
それぞれに砂溜まりが生じる。
【0028】従って、本実施の形態1に係る漂砂防止構
造物1によれば、海岸から生じる漂砂の沖9側への流出
が抑制される。そして、海岸8側に向かう漂砂の流れを
遮断せず、上記のとおり、漂砂防止構造物1の海岸8
側、および底版4の傾斜板2同士の間に落下させてそれ
ぞれの部位に砂を堆積させるので、砂の沖9側への流出
を効果的に抑制することができる。しかも、従来例1に
係る浸食防止マットのように、変形し易い葉状体を用い
るのではなく、葉状体によりも強固な傾斜板2を用いる
構成であるため、海岸8側から沖9側に向かう海流の流
れに抗することができ、漂砂の流動の抑制機能を十分に
果たすことができる。
【0029】本実施の形態1に係る漂砂防止構造物1の
場合も、最も海岸側の傾斜板2の海岸8側、および底版
4の傾斜板2同士の間のそれぞれに大量の砂が溜まる
と、砂を溜める機能が低下する。しかしながら、本実施
の形態1に係る漂砂防止構造物1では、上記のとおり、
傾斜板2それぞれの下端と底版4の表面との間に、渦流
fsや渦流Frsを生じさせるための隙間5が形成されて
いる。そのため、隙間5から砂が沖9側に少量ずつ流出
するので、従来例2に係る漂砂制御構造物よりも長期間
に亘って漂砂を捕捉し続けることができる。さらに、隙
間5から砂の沖9側への流出により、洗堀を長期間に亘
って低減させることができるので、従来例2に係る漂砂
制御構造物よりも洗堀防止機能が優れている。
【0030】本発明の漂砂防止構造物の設置方法を実施
する本実施の形態2に係る漂砂防止構造物を、その模式
的側面構成説明図の図3を参照しながら、上記実施の形
態1と同一のもの並びに同一機能を有するものに同一符
号を付して、同一名称を以って説明する。但し、本実施
の形態2が上記実施の形態1と相違するところは、突起
の有無にあるから、その相違する点についての説明に止
める。
【0031】本実施の形態2に係る漂砂防止構造物1で
は、傾斜板2同士の間、および最も海岸8側の傾斜板2
の裏面の下方の底版4の表面に、傾斜板2の長手方向に
沿って連なる突起6が固着されている。この突起6の横
断断面形状は三角で、底版4の表面から頂角までの高さ
は隙間5の寸法よりも大寸になっている。なお、この突
起6は真っ直ぐで、傾斜板2と平行であるが、例えば長
手方向の中央部において、沖9側に凸になるように屈曲
形成されていても良い。また、この突起6の横断断面形
状は三角であるが平板であっても良い。さらに、この突
起6の高さは隙間5の寸法よりも大寸になっているが、
隙間5の寸法より小寸であってもそれなりの機能を発揮
することができる。
【0032】本実施の形態2に係る漂砂防止構造物1の
場合は、上記実施の形態1に係る漂砂防止構造物1の底
版4に突起6が設けられている点が相違するだけであ
る。従って、本実施の形態2に係る漂砂防止構造物1に
よれば、上記実施の形態1と同等の効果を発揮すること
ができる。但し、上記のとおり、底版4に設けられてな
る突起6により、溜まった砂の流動が抑制されるため、
砂の沖9側への流出抑制機能に関しては、上記実施の形
態1よりも優れている。
【0033】本実施の形態3に係る漂砂防止構造物1
を、本実施の形態3に係る漂砂防止構造物を海に配置し
た状態を示す平面図の図4(a)と、図4(a)のA−A線
断面図の図4(b)と、他の実施の形態に係る漂砂防止構
造物の斜視図の図5とを順次参照しながら説明する。な
お、本実施の形態3に係る漂砂防止構造物1は、上記実
施の形態1または2と同構成になるものである。そし
て、上記実施の形態1または2の場合には漂砂防止構造
物1だけを海に配置した場合であるが、この実施の形態
3では、漂砂防止構造物1を堤体と堤体との間、および
それらの近傍領域の海底7に設置したものである。
【0034】即ち、上記実施の形態1または2と同構成
になる漂砂防止構造物1が、既設の堤体10と堤体10
との間の海底7、および堤体10の長手方向外側の近傍
領域の海底に配置されている。これら漂砂防止構造物1
は、傾斜板2の上り勾配側が海岸8側に向けられてお
り、そしてこれら漂砂防止構造物1の沖側が、前記堤体
10の沖側よりも沖側に突出している。これら漂砂防止
構造物1の設置位置は、何れも海流の流れが速く、砂の
洗掘、浸食が生じる領域である。
【0035】上記のとおり、堤体10の近傍の海流の流
れが速い領域における海底7のそれぞれに、これら漂砂
防止構造物1を設置することにより、下記のとおりの効
果を得ることができる。即ち、堤体10と堤体10との
間の領域における海底7、各堤体10の長手方向外側の
領域における海底7、および各堤体10の沖9側前面領
域における砂の洗掘、浸食を効果的に防止することがで
きる。
【0036】ところで、この実施の形態3の場合には、
上記実施の形態1または2と同構成になる漂砂防止構造
物1を用いた。しかしながら、図5に示すような構成の
漂砂防止構造物1を用いることもできる。即ち、板の複
数個所のそれぞれにおいて、1辺のみを残して他の3辺
を切断し、残した1辺を所定の角度で谷折りして傾斜板
2を形成させる。そして、この傾斜板2の谷折り線の近
傍位置に、上記実施の形態1または2の隙間5に相当す
るスリット5′を谷折り線と平行に設けた構成になるも
のである。
【0037】また、漂砂防止構造物1を、既設の堤体1
0と堤体10の間、および堤体10の外側のそれぞれに
配置した例を説明したが、特にこれらの領域だけに限る
ものではない。即ち、図4(a),(b)において想像線で
示すように、実施の形態3の領域に加えて、堤体10の
沖側面、かつ両端部付近の海底に漂砂防止構造物1を設
置することができる。これにより、堤体10の沖9側前
面領域における砂の洗掘、浸食をさらに抑制することが
できる。
【0038】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の請求項1
乃至6に係る漂砂防止構造物および本発明の請求項7乃
至11に係る漂砂防止構造物の設置方法によれば、海岸
側に向かう漂砂の流れを遮断せず、漂砂防止構造物の海
岸側、および底版の板状部材同士の間に落下させてそれ
ぞれの部位に砂を堆積させるので、砂の沖側への流出を
効果的に抑制することができる。しかも、従来例1に係
る浸食防止マットのように、変形し易い葉状体を用いる
のではなく、葉状体によりも強固な板状部材を用いる構
成であるため、海岸側から沖側に向かう海流の流れに抗
することができ、漂砂の流動の抑制機能を十分に果たす
ことができる。
【0039】本発明に係る漂砂防止構造物の場合も、最
も海岸側の板状部材の海岸側、および底版の板状部材同
士の間のそれぞれに大量の砂が溜まると、砂を溜める機
能が低下する。しかしながら、本発明に係る漂砂防止構
造物では、板状部材それぞれの下端と底版の表面との間
に渦流を生じさせる隙間が形成されていて、隙間からら
砂が沖側に少量ずつ流出するので、従来例2に係る漂砂
制御構造物よりも長期間に亘って漂砂を捕捉し続けるこ
とができる。さらに、隙間から砂の沖側への流出によ
り、洗堀を長期間に亘って低減させることができるの
で、従来例2に係る漂砂制御構造物よりも洗堀防止機能
が優れている。
【0040】さらに、本発明の請求項9乃至11に係る
漂砂防止構造物の設置方法によれば、堤体の近傍の海流
の流れが速い領域に漂砂防止構造物が設置されるため、
堤体と堤体との間の領域、各堤体の外側領域、および堤
体の沖側前面領域における砂の洗掘、浸食を効果的に防
止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係り、図1(a)は漂砂防
止構造物を海に配置した状態を示す平面図、図1(b)は
漂砂防止構造物の模式的側面構成説明図である。
【図2】図2(a)乃至(d)は傾斜板の他の断面形状を示
す図である。
【図3】本発明の実施の形態2に係る漂砂防止構造物の
模式的側面構成説明図である。
【図4】本発明の実施の形態3に係り、図4(a)は漂砂
防止構造物を海に配置した状態を示す平面図、図4(b)
は図4(a)のA−A線断面図である。
【図5】本発明の他の実施の形態に係る漂砂防止構造物
の斜視図である。
【図6】従来例1に係る浸食防止マットを示す斜視図で
ある。
【図7】従来例1に係る浸食防止マットを配設した海岸
の直交断面図である。
【図8】従来例1に係り、図7の直交断面図である。
【図9】従来例2に係る漂砂制御構造物の一部拡大側面
図である。
【符号の説明】
1…漂砂防止構造物、2…傾斜板、3…板支持部材、3
a…支柱部材、3b…横梁部材、4…底版、5…隙間、
5′…スリット、6…突起、7…海底、8…海岸、9…
沖、10…堤体 Ff…沖側から海岸側に向かう海流 Fr…海岸側から沖側に向かう戻り流 Ffs…渦流 Frs…渦流
フロントページの続き (72)発明者 織田 剛 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 片岡 保人 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 Fターム(参考) 2D018 DA00

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 海底に設置される漂砂防止構造物におい
    て、所定の間隔で配置され、同一方向に上り勾配に傾斜
    した複数の板状部材と、海底に設置され、前記複数の板
    状部材を支持する板支持部材と、前記板状部材の下側に
    設けられる隙間とからなることを特徴とする漂砂防止構
    造物。
  2. 【請求項2】 前記板状部材は、その下方への投影が隣
    接する板状部材にオーバーラップするように傾斜してな
    ることを特徴とする請求項1に記載の漂砂防止構造物。
  3. 【請求項3】 前記複数の板状部材の間隔は、板状部材
    の高さ以下になるように設定されてなることを特徴とす
    る請求項1に記載の漂砂防止構造物。
  4. 【請求項4】 前記板支持部材の前記板状部材の下方
    に、海底に配置される底版が設けられてなることを特徴
    とする請求項1乃至3のうちの何れか1つの項に記載の
    漂砂防止構造物。
  5. 【請求項5】 前記底版の前記板状部材同士の間に、板
    状部材の長手方向に沿って連なる突起を設けたことを特
    徴とする請求項4に記載の漂砂防止構造物。
  6. 【請求項6】 前記突起の高さを、前記隙間の高さより
    も高くしたことを特徴とする請求項5に記載の漂砂防止
    構造物。
  7. 【請求項7】 前記請求項1乃至6のうちの何れか一つ
    の項に記載の漂砂防止構造物を、板状部材の上り勾配側
    が陸側になるように海底に設置することを特徴とする漂
    砂防止構造物の設置方法。
  8. 【請求項8】 前記請求項1乃至6のうちの何れか一つ
    の項に記載の漂砂防止構造物を、板状部材が海流の流れ
    方向に対して略直角になるように海底に設置することを
    特徴とする漂砂防止構造物の設置方法。
  9. 【請求項9】 前記請求項1乃至6のうちの何れか一つ
    の項に記載の漂砂防止構造物を、板状部材の上り勾配側
    が陸側になるように、堤体の近傍の海底、および堤体と
    堤体との間の海底に設置することを特徴とする漂砂防止
    構造物の設置方法。
  10. 【請求項10】 前記請求項1乃至6のうちの何れか一
    つの項に記載の漂砂防止構造物の沖側を、前記堤体の沖
    側よりも沖側に突出させることを特徴とする請求項9に
    記載の漂砂防止構造物の設置方法。
  11. 【請求項11】 前記請求項1乃至6のうちの何れか一
    つの項に記載の漂砂防止構造物の沖側を、前記堤体の沖
    側であって、かつ両端部付近の海底に設置することを特
    徴とする請求項9または10のうちの何れか一つの項に
    記載の漂砂防止構造物の設置方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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