JPH1135860A - 水性記録液 - Google Patents

水性記録液

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JPH1135860A
JPH1135860A JP19239697A JP19239697A JPH1135860A JP H1135860 A JPH1135860 A JP H1135860A JP 19239697 A JP19239697 A JP 19239697A JP 19239697 A JP19239697 A JP 19239697A JP H1135860 A JPH1135860 A JP H1135860A
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JP
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recording liquid
pigment
casein
aqueous
water
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JP19239697A
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English (en)
Inventor
Morio Satou
盛緒 佐藤
Shingo Araki
慎悟 荒木
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DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インクジェット記録、ボールペン等に用いる
顔料分散系水性インクにおいては、インク出口の目詰ま
り、即ち長期経過中の顔料粒子の凝集、インク出口での
結着剤の固化、不再溶化、又は印字の耐擦過性不良等の
不都合を、全てバランス良く改善するのが困難であっ
た。 【解決手段】 水、顔料、水溶性結着剤等より成る水性
記録液において、結着剤として、酵素分解によって分子
量調節された、好ましくは1千〜8万の分子量を持つカ
ゼインを用いて、顔料分散安定性、印字の耐水性、耐擦
過性、インク出口での再溶解性の優れた記録液を得る。
補助成分として顔料分散剤及び/又は乾燥防止剤を添加
しても良い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録、手書き筆記具用水性記録液組成物に関する。更に詳
しくは結着剤として予め酵素を用いて分子量調整したカ
ゼインを使用した水性記録液組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のインクジェット記録用インクは
水、有機溶剤、あるいはワックス等に着色剤として染料
を溶解させたものが主なものであったが、その記録物は
染料の特性上、耐光性、耐水性に乏しいものであった。
それを解決するために、着色剤としてカーボンブラッ
ク、アニリンブラック等の顔料を用いたインクが考案さ
れ、そのインクに水溶性高分子を含む例が特開平5−2
63029号公報、特公平4−5703公報、特公平8
ー19361公報、等に記載されている。 水性分散系
顔料インクは、染料系と比較してその特性上、印字濃
度、耐光性、耐水性が向上するものの、前記の従来技術
で得られたインクは、これらのインクジェット記録に必
要な特性すなわち、微細な吐出ノズルを目詰まりさせな
いこと、印字物の耐擦過性がよいこと、長期間、高温下
保存中で顔料粒子の凝集、沈降がないこと及び固形分の
析出がないこと等インク物性を全て満足するには至って
いない。
【0003】一方、ボールペンなどの染料インクを用い
た文具においても同様の問題があり、かかる耐光性、耐
水性の問題を解決するために種々の文具用水性顔料イン
クの提案がなされている。水性顔料インク実用化のた
め、分散安定性、ペン先でのインクの固化防止、ボール
ペンのボールの磨耗防止が検討されている。
【0004】例えば特開昭61ー246271号公報に
は、水溶性高分子として親水性付加重合性単量体とスチ
レン及び/又はスチレン誘導体の単量体からなる共重合
体の水溶性アミン塩、アンモニウム塩もしくは金属塩を
使用することにより、分散安定性及び耐乾燥性を改良し
た筆記具用インク組成物が開示され、特開昭62−72
774号公報には、ポリシロキサンを使用することによ
り、吐出性ダウン現象が起こらず、インク切れ現象が起
こらないボールペン用水性顔料インクが開示されてい
る。しかし、これらの特性を満足するには至っていな
い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明はこの
ような問題点を解決するもので印字濃度、耐光性、耐水
性が良好であること、微細な吐出ノズルの目詰まりがな
いこと、印字物の耐擦過性、長期間、高温下保存中に色
材粒子の凝集、沈降、インク物性及び固形分の析出がな
いこと等インクジェット記録及び手書き筆記に必要な各
特性全てを満足する水性記録用インクを提供することに
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、以下の本
発明によって達成される。即ち本発明は、
【0007】請求項1記載の発明としては、 水性媒
体、顔料、および水溶性結着剤を主成分とする水性記録
液において、水溶性結着剤が予め酵素を用いて分子量調
整されたカゼインであり、該カゼインが溶解された水系
溶液に顔料が分散された水性記録液であり、
【0008】請求項2記載の発明としては、 分子量調
整されたカゼインの含有量が顔料100重量部当り1〜
200重量部の範囲である請求項1記載の水性記録液で
あり、
【0009】請求項3記載の発明としては、 分子量調
整されたカゼインが、1千〜8万の分子量を有するカゼ
インである請求項1又は2記載の水性記録液であり、
【0010】請求項4記載の発明としては、 補助成分
として、乾燥防止剤及び/又は顔料分散剤を更に含有す
る請求項1、2又は3記載の水性記録液であり、
【0011】請求項5記載の発明としては、 乾燥防止
剤が、尿素である請求項4記載の水性記録液であり、
【0012】請求項6記載の発明としては、 顔料分散
剤が、アニオン性及びノニオン性を有する多官能ポリマ
ーのアルキロールアミン塩である請求項4記載の水性記
録液であり、
【0013】請求項7記載の発明としては、 水性記録
液が、インクジェット記録用のインクである請求項1〜
6のいずれか1つに記載の水性記録液であり、
【0014】請求項8記載の発明としては、 水性記録
液が、手書き筆記具用のインクである請求項1〜6のい
ずれか1つに記載の水性記録液である。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態の典型的なも
の及び最良の状態は、後記の実施例に具体的に例示され
るが、本発明を実施する上で選択可能な各種構成要件に
ついて以下に詳細に説明する。
【0016】本発明に用いることができる着色剤として
の顔料は特に限定されるものではなく、主溶媒である水
との親和性がよいものであれば使用でき、例えば白黒用
としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセ
チレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラ
ック類、または銅、鉄、酸化チタン等の金属類、アニリ
ンブラック等の有機顔料が挙げられる。更にカラー用と
しては、フタロシアニン系、アントラキノン系、ジオキ
サジン系、キナクリドン系、キナクリドンキノン系、ア
ントラピリミジン系、アンサンスロン系、インダンスロ
ン系、フラバンスロン系、ペリレン系、ペリノン系、ジ
ケトピロロピロール系、キノフタロン系、インジゴ系、
チオインジゴ系、イソインドリノン系、イソインドリン
系、ベンツイミダゾロン系、アゾ系顔料、レーキ顔料、
その他顔料表面を樹脂等で処理したグラフトカーボン等
の加工顔料が使用できる。
【0017】その添加量は、1〜30重量%が好まし
く、さらには3〜12重量%が好ましい。粒径は25μ
m以下からなる顔料を用いるが、さらには1μm以下の
粒径からなる顔料を用いるのが好ましい。
【0018】上記の顔料は、本願が目的とする印字濃
度、耐光性、耐水性等の向上に寄与するものである。本
発明に用いられる水溶性結着剤としては、予め酵素を用
いて分子量調整されたカゼインを使用する。分子量調整
には、ペプシン、アミラーゼ、リパーゼ等の酵素が用い
られる。酵素を用いて分子量調整することは、低分子量
化効果に優れていること、水溶液中に水溶性塩が不純物
として含まれないこと等の利点から有用な手段である。
【0019】分子量調整方法としては従来他にもモノエ
タノールアミン等の有機アミン、アンモニア、苛性ソー
ダ等によるアルカリ処理、又はグリコール酸による酸処
理なども知られている。酵素による処理を施こす前及び
/又は後にこれらの処理を用いることも可能である。
【0020】本発明に用いられる該カゼインは、特に用
いられる酵素に限定されるものではなく、分子量が1千
〜8万であれば使用できる。カゼインの分子量を好まし
い範囲に調整することによりインクの再分散性が向上し
目詰まり防止に対し効果がある。ここで言う再分散と
は、水が蒸発して乾燥した場合、そのあとからインキが
供給された際に乾固物がその水分で再溶解し、顔料が元
のように分散することを意味する。
【0021】またインクの低粘度化が図られ、最適なイ
ンク吐出が可能となる。更にカゼインが顔料を取り囲む
形で保護層を形成することにより保存安定性を向上させ
る。分子量範囲の上限を越えるカゼインを用いたインク
は、粘度が高くなってしまい最適なインク吐出ができな
い、また再溶解性が劣り目詰まりを発生するという不具
合が生じてしまう。また範囲の下限を下まわるカゼイン
を用いた場合、顔料粒子の定着性が低下し目的とする性
能向上が得られない。またアクリル樹脂等の水溶性樹脂
を結着剤として用いた場合も、被記録物上での耐水性、
耐擦過性とノズル近傍での再溶解性を両立するのが困難
である。
【0022】本発明のインクは該カゼインを顔料100
重量部当り1〜200重量部、好ましくは5〜100重
量部の範囲で添加することにより、顔料の被記録物への
結着剤として作用し、印画物の耐水性、耐擦過性を向上
させる。範囲の上限を越えるとインク粘度が上昇し、適
切なインク吐出ができなくなるという不都合が生じてし
まう。また下限を下まわる時は、印字物の耐水性、耐擦
過性が著しく低下してしまう。
【0023】従来からインク溶媒としては、低粘度であ
ること、安全性に優れていること、取扱いが容易である
こと、コストが安いこと、臭気がないこと等の理由より
主に水が用いられている。
【0024】本発明のインクはこの主溶媒に対して、乾
燥性、定着性の向上、インクジェットヘッド、インク供
給流路の濡れ性向上を目的として、エタノール、プロパ
ノール、ブタノール、等の高揮発性の一価のアルコール
さらにはヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール等
の比較的低揮発性のアルコール類等の水溶性に優れる有
機溶媒も添加し、インク媒体として用いることができ
る。
【0025】また本発明のインクは、ノズルの耐目詰ま
り性向上を目的としてグリセリン、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール等の高沸点低揮発性の多価ア
ルコール類、さらにはトリエチレングリコール、プロピ
レングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アル
コール類、あるいはそれのモノエーテル化物、ジエーテ
ル化物、エステル化物、例えばエチレングリコールモノ
メチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテ
ル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレ
ングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコー
ルモノブチルエーテル等、その他Nメチル2ピロリド
ン、1.3−ジメチルイミダゾリジノン等の含窒素有機
溶剤等の水溶性有機溶剤を印字のにじみが生じない範囲
で添加できる。
【0026】上記の有機溶剤は、本発明が目的とする吐
出ノズルの目詰まり防止、印字物の耐水性、耐擦性、長
期保存安定性に寄与する。また本発明の水溶性記録液に
乾燥防止剤として保湿効果のある添加剤例えば尿素、チ
オ尿素、エチレン尿素等を添加することは、記録液の主
溶媒である水の蒸発を防ぎ、本発明の目的である耐ノズ
ル詰まりの防止に寄与するものである。更にインクに尿
素を添加すると、カゼインが変性され、溶媒である水と
の親和性が高められ更に再分散性が向上されるので効果
的である。
【0027】本発明に用いられる顔料分散剤としては、
高分子分散剤や界面活性剤が使用でき、高分子分散剤と
しては、ゼラチン、アルブミン等の蛋白質、アラビアゴ
ム、トラガントゴム等の天然ゴム類、サポニン等のグル
コシド類、メチルセルロース、カルボキシルセルロー
ス、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導
体、リグニンスルホン酸塩、セラック等の天然高分子、
ポリアクリル酸塩、スチレンーアクリル酸共重合物の
塩、ビニルナフタレンーアクリル酸共重合物の塩、スチ
レンーマレイン酸共重合物の塩、ビニルナフタレンーマ
レイン酸共重合物の塩、βーナフタレンスルホン酸ホル
マリン縮合物の塩、燐酸塩等の陰イオン性高分子やポリ
ビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレ
ングリコール等の非イオン性高分子、アニオン性及びノ
ニオン性を有する多官能ポリマーのアルキロールアミン
塩高分子、その他高分子共重合体等の高分子分散剤、界
面活性剤としては脂肪酸塩類、高級アルコール硫酸エス
テル塩類、液体脂肪油硫酸エステル塩類、アルキルアリ
ルスルホン酸塩類等の陰イオン界面活性剤、ポリオキシ
エチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアル
キルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、ポリ
オキシエチレンソルビタンアルキルエステル類等の非イ
オン性界面活性剤があり、これらの1種または2種以上
を適宜選択して使用できる。
【0028】その使用量は分散剤により異なるが一般的
にインキ全量に対して0.1〜20重量%が望ましい。
特にアニオン性及びノニオン性を有する多官能ポリマー
のアルキロールアミン塩の高分子分散剤を添加すること
により、顔料と溶媒の濡れ性が促進され、本発明が目的
とする長期保存安定性を更に向上させ得る。
【0029】その他必要に応じて、有機アミン、アンモ
ニア、燐酸二水素カリウム、燐酸二水素ナトリウム等の
pH調整剤、防かび、防錆の目的で安息香酸、ジクロロ
フェン、ヘキサクロロフェン、ソルビン酸、p−ヒドロ
キシ安息香酸エステル、エチレンジアミン四酢酸、ベン
ゾトリアゾール、等を含むことができる。また記録液の
物性値改良のため、非イオン界面活性剤、イオン性界面
活性剤、両面活性剤等を含むことができる。
【0030】
【実施例】次に実施例及び比較例により本発明の具体化
を図るが、本発明はこれらに限定されない。使用した原
料は特に断りのない限り大日本インキ化学工業株式会社
製であり、以下に記述する部は全て重量基準である。
【0031】また顔料分散液の分散法及び評価法は、分
散配合液に0.3mmφジルコンビーズを200部加え
東洋精器(株)製のペイントコンディショナーで30分
以上攪拌混合し粒径が約1μm以下になったことを顕微
鏡観察により確認し、その後分散液を5μmのフィルタ
ーで加圧濾過してゴミ及び粗大粒子を除去した後、トキ
メック(株)のE型粘度計で25℃における分散液の粘
度を測定した。
【0032】 実施例1 成分 組成比 CB(RCF45L) 7 結着剤(バインダーUK 固形分20%) 7 分散剤(Disperbyk−181) 1 n−ブタノール 2 尿素 2 水 83
【0033】ここで用いたRCF45Lは三菱化学
(株)製カーボンブラック、またカゼインとして用いる
バインダーUKは豊島化学(株)製で、酵素分解法によ
り分子量を1千〜8万に調整したカゼインである(以下
同様)。
【0034】分散剤として用いているDisperby
k−181は、ビックケミージャパン(株)製アニオン
性及びノニオン性を有する多官能ポリマーのアルキロー
ルアミン塩である(以下同様)。
【0035】 実施例2 顔料(Fastogen Super Magenta R) 4 結着剤(バインダーUK) 6 分散剤(Disperbyk−181) 1 n−ブタノール 1 チオ尿素 2 水 88 ここで用いた顔料はキナクリドンレッド有機顔料であ
る。以下実施例1と同様。
【0036】 実施例3 顔料(Fastogen Blue NK−G) 4 結着剤(バインダーUK) 9.8 分散剤(Disperbyk−184) 0.8 n−ブタノール 2 エチレングリコール 1.6 尿素 0.6 エマルゲン A−90 1.4 水 79.8 ここで用いた顔料はシアニンブルー有機顔料、分散剤は
ビックケミージャパン(株)製高分子共重合体、エマル
ゲンA−90は花王(株)製湿潤分散剤である。以下実
施例1と同様。
【0037】 実施例4 Symuler Fast Yellow 4192 4 結着剤(バインダーUK) 6 分散剤(SMA1440H) 1 エタノール 1 エチレン尿素 2 エマルゲン A−90 0.2 水 85.8 ここで用いた顔料はイミダゾロンイエロー有機顔料、分
散剤はエルフ・アトケム・ジャパン(株)製スチレンー
マレイン酸共重合体ある。以下実施例1と同様。
【0038】 比較例1 CB(RCF45L) 7 結着剤(カゼインペースト 固形分20%) 8.7 分散剤(Disperbyk−181) 1 n−ブタノール 2 尿素 2 水 79.3 ここで用いたカゼインペーストは分子量調整を行ってお
らず、分子量8万以上である。以下実施例1と同様。
【0039】 比較例2 CB(RCF45L) 7 結着剤(バーノックZ5−312 固形分32%) 4 分散剤(Disperbyk−181) 1 n−ブタノール 2 尿素 2 水 84 ここで用いた結着剤はウレタンマイクロゲルである。以
下は実施例1と同様。
【0040】 比較例3 顔料(Fastogen Super Magenta R) 4 結着剤(AO−NO.2 固形分53%) 2.3 分散剤(Disperbyk−181) 1 n−ブタノール 1 チオ尿素 2 水 89.7 ここで用いた結着剤は水溶性アクリル樹脂である。以下
実施例2と同様。
【0041】 比較例4 Fastogen Blue NK−G 4 結着剤(PVA MP−203) 2 分散剤(Disperbyk−184) 1 n−ブタノール 2 エチレングリコール 1.6 尿素 0.6 エマルゲン A−90 1.4 水 87.4 ここで用いた結着剤は(株)クラレ製ポリビニルアルコ
ールである。以下実施例3と同様。
【0042】こうして得られた実施例1から4、比較例
1から4の記録液をインクジェットプリンター(セイコ
ーエプソン(株)製「インクジェットプリンターMJ−
510C」のカートリッジに入れ、記録を行った。
【0043】印字評価は印字サンプルのマイクロスコー
プ観察による印字品質評価、ベタ印字後2時間放置した
後指で強く擦る耐擦過性評価、水に10分間浸し退色度
合いを評価する耐水性評価、40℃2日間放置後の印字
におけるドット抜けの様子を調査する吐出安定性評価を
行った。
【0044】またガラス製サンプル瓶密閉中における環
境温度50℃にて14日間で放置後、室温で放置させた
インク中の顔料粒子の凝集度合いを調査する保存安定性
評価を行った。以下の結果を表1に示す。
【0045】
【表1】 インク名 粘度 印字品質 目詰まり 耐水性 耐擦過性 保存性 mPas 実施例1 2.7 ○ ○ ○ ○ ○ 実施例2 1.9 ○ ○ ○ ○ ○ 実施例3 2.0 ○ ○ ○ ○ ○ 実施例4 1.7 ○ ○ ○ ○ ○ 比較例1 15.3 × × − − × 比較例2 2.1 × × ○ ○ △ 比較例3 1.9 × × ○ ○ × 比較例4 2.8 × △ × △ △ なお表1の粘度の単位はmPasである。
【0046】また表中の記号は、各評価結果を基に、
○:優れる、問題なし、△:若干問題有り、×:劣る、
明らかに問題有り、の三段階の主観評価の結果を示す。
本発明の水性記録液は、何れも今回実施した全ての評価
でにじみのない高印字品質であり、耐水性、耐擦過性も
十分であり、かつ微細な吐出ノズルの目詰まりもなく、
吐出安定性が良好であった。さらに記録液を長期間、高
温下保存しても顔料粒子の凝集、あるいは沈降がなく、
また固形分の析出がなかった。よってインクジェット記
録に必要な各特性全てを満足することができた。一方比
較例2〜4の記録液では、印字品質、吐出安定性、耐水
性、耐擦過性、長期保存安定性の両立ができなかった。
また、比較例1の記録液では目詰まり、粘度が高すぎ
る、凝集物が発生しやすい等の問題が発生し評価不可能
なレベルであった。
【0047】以上の結果は今回の組成が、結着剤である
カゼインによる顔料の定着効果、カゼイン分子量の調整
によるインクの低粘度化、再分散性の向上と、さらには
尿素添加によるインクの乾燥防止によるノズル内目詰ま
り防止効果、カゼインの保護コロイド効果とノニオン性
及びアニオン性を有する多官能ポリマーのアルキロール
アミン塩の分散効果等による分散安定化のバランスがと
れ、最適化されたことによる。
【0048】さらに詳しくは、従来の水溶性高分子等を
用いて耐水性の向上を図った場合、通常の分散系インク
ではノズル近傍で、析出、固着した顔料が原因で記録液
の目詰まりを発生しやすく、その使用が困難であった。
しかし本発明の記録液ではヘッド内、ヘッド前面での記
録液の固着までの時間が長いこと、インクの再分散性が
良好で、析出、固着したインクがすばやく再分散し復帰
することにより、目詰まりの発生もなく高印字品質と定
着性が両立できる。
【0049】また、印字後の定着性に関しては、本発明
の記録液が有する適度な浸透性により、記録液が紙中に
ある程度浸透することによる投錨効果、およびカゼイン
の分子組成に起因する紙とのインターラクションによ
り、本発明の記録液のように再分散性を付与してあって
も汚れ、濃度低下、にじみ等の無い十分なレベルが得ら
れる。即ち結着剤として予め酵素を用いて分子量調整し
たカゼインを用い無ければ、十分な定着性と安定な吐出
性は確保できない。
【0050】以上、本発明の実施例を詳細に説明した
が、本発明の記録液はこれらの構成、材料、製造方法に
限定されるものではない。本発明の記録液によれば、高
印字品質、高濃度、耐目詰まり性、印字物の耐水性、耐
擦過性に優れることから、ページプリンター、カラープ
リンター、又はラインヘッドを用いた高速ページプリン
ターにも使用することができる。さらには、同様の特性
と物性を必要とする手書き筆記用記録液としても使用す
ることができる。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の水性記録
液によれば、水性媒体、顔料、および水溶性結着剤を主
成分とする水性記録液において、水溶性結着剤が予め酵
素を用いて分子量調整されたカゼインであり、該カゼイ
ンの含有量が顔料100重量部当り1〜200重量部で
ある水性記録液であり、該カゼインの分子量が1千〜8
万に調整されていることを特徴とし、さらに望ましくは
補助成分として尿素及び/又はアニオン性及びノニオン
性を有する多官能ポリマーのアルキロールアミン塩を用
いた水性記録液であることを特徴とすることにより、印
字濃度、耐光性、耐水性等が良好で、微細な吐出ノズル
の目詰まりがなく、印字物の耐擦過性が良く、長期間、
高温下保存しても顔料粒子の凝集、沈降がなく、固形分
の析出がないこと等、インクジェット記録及び手書き筆
記に必要な各特性全てを満足する水性記録液が得られ
る。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水性媒体、顔料、および水溶性結着剤を
    主成分とする水性記録液において、水溶性結着剤が予め
    酵素を用いて分子量調整されたカゼインであり、該カゼ
    インが溶解された水系溶液に顔料が分散された水性記録
    液。
  2. 【請求項2】 分子量調整されたカゼインの含有量が顔
    料100重量部当り1〜200重量部の範囲である請求
    項1記載の水性記録液。
  3. 【請求項3】 分子量調整されたカゼインが、1千〜8
    万の分子量を有するカゼインである請求項1又は2記載
    の水性記録液。
  4. 【請求項4】 補助成分として、乾燥防止剤及び/又は
    顔料分散剤を更に含有する請求項1、2又は3記載の水
    性記録液。
  5. 【請求項5】 乾燥防止剤が、尿素である請求項4記載
    の水性記録液。
  6. 【請求項6】 顔料分散剤が、アニオン性及びノニオン
    性を有する多官能ポリマーのアルキロールアミン塩であ
    る請求項4記載の水性記録液。
  7. 【請求項7】 水性記録液が、インクジェット記録用の
    インクである請求項1〜6のいずれか1つに記載の水性
    記録液。
  8. 【請求項8】 水性記録液が、手書き筆記具用のインク
    である請求項1〜6のいずれか1つに記載の水性記録
    液。
JP19239697A 1997-07-17 1997-07-17 水性記録液 Pending JPH1135860A (ja)

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