JPH11349537A - フタル酸エステル系二量体化合物、それからなる可塑剤及び脂肪酸セルロースエステル系樹脂組成物 - Google Patents

フタル酸エステル系二量体化合物、それからなる可塑剤及び脂肪酸セルロースエステル系樹脂組成物

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JPH11349537A
JPH11349537A JP16922898A JP16922898A JPH11349537A JP H11349537 A JPH11349537 A JP H11349537A JP 16922898 A JP16922898 A JP 16922898A JP 16922898 A JP16922898 A JP 16922898A JP H11349537 A JPH11349537 A JP H11349537A
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JP
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fatty acid
compound
plasticizer
cellulose ester
resin composition
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JP16922898A
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Kenji Fujii
賢治 藤井
Terumasa Daito
照政 大東
Naoki Yokoyama
直樹 横山
Nobuaki Komehana
伸晃 米花
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daihachi Chemical Industry Co Ltd
Daicel Corp
Original Assignee
Daihachi Chemical Industry Co Ltd
Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 相溶性に優れ、可塑剤のにじみ出しが少なく
成形加工時の揮発性が低い脂肪酸セルロースエステル系
樹脂組成物を提供すること。 【解決手段】 特定のフタル酸エステル系二量体化合物
及びビスフェノール系化合物から選ばれる化合物を可塑
剤として含む脂肪酸セルロースエステル系樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
【0002】本発明は、フタル酸エステル系二量体化合
物及びそれを主成分とする可塑剤、更には前記フタル酸
エステル系二量体及び末端水酸基を含有するビスフェノ
ール系化合物によって可塑化された脂肪酸セルロースエ
ステル系樹脂組成物に関するものであり、相溶性に優
れ、可塑剤のにじみ出しが少なく成形加工時の揮発性が
低い樹脂組成物である。
【従来の技術】
【0003】セルロースアセテート、セルロースアセテ
ートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート
等のセルロースエステルは、強靱で光沢性、透明性、耐
油性、耐候性が良いという特徴を有するが、単独で加熱
すると溶融と同時に着色や分解が生じる為、良好な成形
品を得ることができない。また、種々の溶剤を用いてセ
ルロース誘導体を溶解、混練、圧搾、成形しシートを得
るいわゆるブロック法においても、可塑剤の添加無しで
は良好な可撓性を有する樹脂を得ることができない。
【0004】このため種々の可塑剤が使用されており、
その代表的なものとして、公知のフタル酸エステル、即
ちジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチル
フタレート、ブチルベンジルフタレート、エチルフタリ
ルエチルグリコレート等、トリメリット酸エステル、即
ちトリメチルトリメリテート、トリエチルトリメリテー
ト、トリ−2−エチルヘキシルトリメリテート等、脂肪
族二塩基酸エステル、即ちジ−2−エチルヘキシルアゼ
レート等、正リン酸エステル、即ちトリブチルホスフェ
ート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニル
ホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジ
フェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニル
ホスフェート等及びリシノール酸エステル、即ちメチル
アセチルリシノレート等が挙げられる。
【0005】前記可塑剤を含有した脂肪酸セルロース誘
導体樹脂組成物は、軟化温度が低下し加工し易くなる。
例えばシート、フィルム、パイプ、棒、印材、装飾品、
眼鏡枠、工具柄、食器具柄、玩具、雑貨など広範囲に使
用されている。しかし一般にセルロース誘導体は極性が
強い為、添加される可塑剤も極性の強い化合物を選択す
る必要があり、セルロース誘導体と可塑剤との相溶性や
可塑化効率、高い透明性、非揮発性、非移行性等広範囲
な性能を満たすものは前記の低分子量可塑剤には無く、
セルロース誘導体樹脂組成物の用途拡大の妨げとなって
いるのが現状である。又成形時あるいは成形後に可塑剤
が揮発し抜け易いため、成形時の作業環境の悪化や成形
物の寸法安定性に悪影響を及ぼしている。
【0006】これを改善するために、例えば特公昭43
−16305号公報には脂肪酸セルロースエステルであ
るセルロースアセテートの高分子可塑剤として、グリコ
ールと脂肪族二塩基酸とから得られた平均分子量700
〜4000のポリエステルが開示されており、その可塑
剤は、酢化度52%以上(置換度2.2以上)の酢酸セ
ルロースとの相溶性に優れる。また、米国特許第378
1381号明細書には、ε−カプロラクトン等の環状ポ
リマーとセルロースエステル等の熱可塑性樹脂組成物が
開示されており、その先行文献には、セルロースエステ
ルとして置換度2.5の酢酸セルロースが使用されてい
る。また、米国特許第4731122号明細書には、セ
ルロースアセテートブチレート、セルロースアセテー
ト、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、及びポ
リエチレングリコールを含む熱可塑性組成物が開示され
ている。しかしなおも相溶性が不十分であり、特に置換
度の低いセルロースエステルに適応した場合、成形品か
らの可塑剤のにじみ出し、揮発性を防ぐことは困難であ
り、成形品の外観及び物性に悪影響を及ぼすことにな
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、特定
の構造を有するフタル酸エステル系二量体化合物を主成
分とする可塑剤を提供すること、及び非揮発性、非移行
性に優れた前記化合物及び末端水酸基含有ビスフェノー
ル系化合物の少なくとも1種から選ばれた可塑剤を含む
脂肪酸セルロースエステル系樹脂組成物を提供すること
である。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、この様な
現状に鑑み鋭意検討した結果、フタル酸エステル系二量
体化合物又は末端水酸基を含有するビスフェノール系化
合物が非揮発性、及び非移行性に優れ、脂肪酸セルロー
スエステル系樹脂のに対して優れた可塑剤となり得るこ
とを見い出し、本発明に至ったものである。
【0009】すなわち本発明は、一般式(1)で表され
るフタル酸エステル系二量体化合物を提供する。また本
発明は該フタル酸エステル系二量体化合物を主成分とす
る可塑剤を提供する。また、それぞれ一般式(1)、
(2)及び(3)で表される構造を有する化合物から選
ばれた少なくとも1種の可塑剤を含む脂肪酸セルロース
エステル系樹脂組成物を提供する。脂肪酸セルロースエ
ステル100重量部に対して前記一般式(1)、(2)
及び(3)で表される少なくとも1種の可塑剤を5〜1
00重量部含む脂肪酸セルロースエステル系樹脂組成物
を提供する。また、脂肪酸セルロースエステルがセルロ
ースアセテートである脂肪酸セルロースエステル系樹脂
組成物を提供する。セルロースアセテートが酢化度5
1.9%(置換度2.2)未満である脂肪酸セルロース
エステル系樹脂組成物を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳しく説明
する。本発明のフタル酸エステル系二量体化合物とは、
一般式(1)で示される構造式を持つ化合物であり、二
つのフタル酸を二価アルコールと混合加熱して脱水エス
テル化反応させて得ることができる。フタル酸は、イソ
フタル酸、テレフタル酸いずれでもよく、無水物や種々
の置換体も使用できるが、好ましくはイソフタル酸、無
水フタル酸が用いられる。
【0011】
【化6】
【0012】一般式(1)において、炭素数1〜12の
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基類、ペンチル基類、ヘキシル基、ヘプチル
基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられ、こ
れらには異性体が含まれ、任意の置換基であるアルコキ
シカルボニルを構成するアルキル基としては、前記アル
キル基が例示され、特にメチル、エチル、プロピル基で
あることが好ましい。前記二価アルコールとしては、
1,2−プロピレングリコール、エチレングリコール、
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,
2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4
−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−
ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール等を用いる
ことができるが、好ましくはジエチレングリコールを用
いるのがよい。
【0013】本発明で使用される末端水酸基含有ビスフ
ェノール系化合物とは、一般式(2)及び(3)で示さ
れる構造式を有し、水酸基を含有するビスフェノール系
化合物と水酸基と反応する物質、例えばエチレンオキサ
イド(R2がジメチレン基)、プロピレンオキサイド
(R2がプロピレン基)等のアルキレンオキサイドのよ
うなエポキシ基を有するもの、ε−カプロラクトン等を
反応させて得られるもので、好ましくはエチレンオキサ
イド、プロピレンオキサイド、ε−カプロラクトンが用
いられる。
【0014】
【化7】
【0015】
【化8】
【0016】これらの末端水酸基含有ビスフェノール系
化合物を製造する際、反応に用いるビスフェノール系化
合物としては、例えば4,4−イソプロピリデンビスフ
ェノール(ビスフェノールA)、4,4−メチレンビス
フェノール(ビスフェノールF)、4,4−スルホニル
ビスフェノール(ビスフェノールS)、4,4−オキシ
ビスフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタ
ノン、4,4−イソプロピリデンビス(2,6−ジブロ
モフェノール)(テトラブロモビスフェノールA)、
4,4−メチレンビス(2,6−ジブロモフェノール)
(テトラブロモビスフェノールF)等が挙げられる。
【0017】反応に際しては、通常のエステル化反応に
用いられる触媒、即ち塩化アルミニウム、塩化第二スズ
等のルイス酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼ
ンスルホン酸、スルホン酸型イオン交換樹脂等のブレン
ステッド酸、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属及
びその誘導体、ピリジン等の三級アミン、トリエチルア
ルミニウム等のアルキルアルミニウム及びその誘導体、
テトラブチルチタネートで代表されるアルコキシチタン
化合物、オクチル酸スズ、ジブチルスズラウレート等の
有機金属化合物、塩化ハロゲン化合物等を用いることが
できる。
【0018】フタル酸エステル系二量体、末端水酸基含
有ビスフェノール系化合物の平均分子量は250〜30
00程度が好ましく、特に好ましくは300〜1000
である。250以下では、熱安定性や可塑剤の揮発性及
び移行性に問題が生じ、3000を越えると可塑剤とし
ての相溶性、可塑化能力が低下し、脂肪酸セルロースエ
ステル系樹脂組成物の加工性、透明性や機械的性質に悪
影響を及ぼす。
【0019】本発明に使用される脂肪酸セルロースエス
テルとしては、セルロースアセテート、セルロースアセ
テートプロピオネート、セルロースアセテートブチレー
ト、セルロースアセテートフタレート、及び硝酸セルロ
ース等のセルロースエステル類、エチルセルロース、ベ
ンジルセルロース、シアノエチルセルロース、ヒドロキ
シエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシブ
チルセルロース等のセルロースエーテル等が挙げられる
が、これらの内セルロースアセテート、セルロースアセ
テートプロピオネート、セルロースアセテートブチレー
トが好ましく、特にセルロースアセテートが有用であ
る。
【0020】フタル酸エステル系二量体化合物又は末端
水酸基含有ビスフェノール系化合物は、脂肪酸セルロー
スエステル100重量部に対して約5〜100重量部使
用されるが、機械的性質、加工性等から10〜60重量
部がより好ましい。脂肪酸セルロースエステルと特定の
構造を有する可塑剤との混練は、押出機、ニーダー、バ
ンバリーミキサー、ロール等を使用し溶融温度にて混練
するか、適当な溶剤を用いて溶解し混練する等種々の方
法で行うことができる。また、通常の樹脂組成物と同様
に本発明の脂肪酸セルロースエステル系樹脂組成物に
も、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の各種安定剤や染顔
料、充填剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤等の添加剤を目
的に応じて単独又は数種類混合して添加してもさしつか
えない。
【0021】
【実施例】以下に実施例、比較例を挙げて本発明をより
具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるもの
ではない。評価試験は以下のように行った。 (揮発性試験):得られたペレットを約10mg用い、
示差熱分析計で230℃に30分間保持した時の可塑剤
の重量減少率(重量%)を測定した。 (移行性試験):得られたペレットから成形品(プレー
ト)を作製し、その成形品を80℃の恒温槽に放置し、
表面にブリードしてくる可塑剤を取り除き、4週間後の
重量減少率を測定した。 (生分解性試験):得られたペレットを都市下水汚泥環
境下にて、JIS K6950に準じた25℃、4週間
の生分解性試験に供した。 (NMR測定):日本電子株式会社製の高分解能NMR
JNM−α500を用いて、CDCl3中、24℃で
測定した。 (GPCの測定):カラムTSKgel G1000H
×2本、THF0.8ml/分、温度40℃(オーブン
温度) (IRの測定):パーキンエルマー1650型FT−I
【0022】(実施例1:化合物−1の製造)温度計、
攪拌機、冷却器を付けた1リットルの4つ口フラスコ
に、無水フタル酸178g(1.2mol)、ジエチレ
ングリコール64g(0.6mol)、トルエン240
gを仕込み90〜100℃で約6時間反応させてモノエ
ステル2量体を合成した。次に70〜75℃で炭酸カリ
ウム91g(0.66mol)を約30分かけて追加
し、更に同温度で5〜8時間熟成しカリウム塩を得た。
次にトリエチルアミンを約1.5g添加し反応液のpH
を9以上に調整後、モノクロロ酢酸エチル162g
(1.32mol)を100℃で約1時間をかけて追加
し、約8時間熟成した。その後約70℃で湯洗いを1回
行った後、酸価の1.1倍量のソーダ灰水溶液で中和し
更に湯洗いを1回行い、減圧下で溶媒トルエンを回収
し、淡黄色液体の化合物−1を約258g(収率は約7
5%)得た。このものは、NMR(核磁気共鳴吸収)、
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)、
IR(赤外線吸収スペクトル)の測定結果から次の様な
化学構造を有することがわかった。これらのチャートを
図1〜3に示した。なお、NMR及びIRのチャートに
は、ピークの帰属を示した。
【0023】
【化9】
【0024】次にセルロースアセテート(酢化度50.
5、重量平均分子量18万)の粉末100重量部に対し
て実施例1で得られた化合物−1、40重量部を添加
し、攪拌混合し、押出機によって230℃で加熱混練
し、ペレットを作製した。得られたペレットを用い揮発
性試験、移行性試験、生分解性試験を行った。
【0025】(実施例2:化合物−2の製造)温度計、
攪拌機、冷却器を付けた1リットルの4つ口フラスコ
に、無水フタル酸296g(2mol)、メタノール6
4g(2mol)、トルエンを仕込み、約70℃で2時
間反応させることにより、フタル酸モノメチルエステル
を得た。次にジエチレングリコール106g(1mo
l)、触媒としてパラトルエンスルホン酸9.5g(2.
5mol%)を仕込み、還流下で反応水を反応系外に除
去することによりエステル化した。その後約70℃で湯
洗いを1回行った後、酸価の1.1倍量のソーダ灰水溶
液で中和し更に湯洗いを1回行い、減圧下で溶媒トルエ
ンを回収し、淡黄色液体の化合物−2を約303g(収
率約70%)得た。このものはNMR、GPC、IRの
測定から次の様な化学構造を有することがわかった。こ
れらのチャートを図4〜6に示した。
【0026】
【化10】
【0027】次にセルロースアセテート(酢化度50.
5、重量平均分子量18万)の粉末100重量部に対し
て得られた化合物−2、40重量部を添加し、攪拌混合
し、押出機によって230℃で加熱混練し、ペレットを
作製した。ペレットについて、揮発性、移行性試験、生
分解性試験を行った。
【0028】(実施例3及び4) ビスフェノールA−EO(エチレンオキサイド)付加物
及びPO(プロピレンオキサイド)付加物(n=2)の
製造;攪拌器を付けた1リットルの4つ口フラスコに粉
末状ビスフェノールA114g(0.5mol)と水酸
化カリウム1.5gを溶解した水150gを仕込み、8
0〜85℃に加熱し、この混合液にエチレンオキサイド
を合計約130g吹き込み、水酸基価270〜290で
反応を終了させた。次に35%塩酸を添加し約30分攪
拌後、中和水を静置分離させ、更に水洗を1回行い、1
20〜130℃/30Torrで脱水し、微黄色粘ちょ
う液体のビスフェノールA−EO付加物約190gを得
た(表1にEOと記載)。同様にして、エチレンオキサ
イドの代わりにプロピレンオキサイドを反応させること
によりビスフェノールA−PO付加物を得た(表1にP
Oと記載)。次にセルロースアセテート(酢化度50.
5、重量平均分子量18万)の粉末100重量部に対し
て得られたビスフェノールA−EO付加物又は−PO付
加物40重量部を添加し、攪拌混合し、押出機によって
220〜230℃で加熱混練し、ペレットを作製した。
得られたペレットについて揮発性試験、移行性試験、生
分解性試験を行った。
【0029】(実施例5:ε−カプロラクトンとビスフ
ェノールA-EO付加物との反応物)攪拌器を付けた1
リットルの4つ口フラスコにアセトン150gとビスフ
ェノールA-EO付加物(n=1.15)165g(1m
ol)を仕込み、溶解させた。次にp−トルエンスルホ
ン酸1水塩2g(2mol%)を仕込後、約20〜30
℃でε−カプロラクトン114g(1mol)を約1時
間で滴下した。その後約60℃で3時間熟成して淡黄色
粘ちょう液を得た(表1に化合物−3と記載)。次に実
施例3と同様に、セルロースアセテート(酢化度50.
5、重量平均分子量18万)の粉末100重量部に対し
て得られた反応生成物40重量部を添加し、攪拌混合
し、押出機によって220〜230℃で加熱混練し、ペ
レットを作製した。得られたペレットを用い揮発性試
験、移行性試験、生分解性試験を行った。
【0030】(比較例1)セルロースアセテート(酢化
度50.5、重量平均分子量18万)の粉末100重量
部に対してジエチルフタレート40重量部を添加し、攪
拌混合し、押出機によって220℃で加熱混練し、ペレ
ットを作製した。以下実施例1と同様に揮発性を評価し
た。
【0031】(比較例2)セルロースアセテート(酢化
度50.5、重量平均分子量18万)の粉末100重量
部に対してセルグリーンTM3058(ダイセル化学工業
(株)製、分子量500の3官能ラクトンポリオール)
(表1にCG3058と記載)40重量部を添加し、撹拌混
合し、押出機により230℃に加熱混練し、ペレットを
作製した。得られたペレットは90℃で8時間熱風乾燥
した後、射出成形機を用いて押出温度と=温度で溶融さ
せ、射出成形し、物性評価用試験片を作製した。その試
験片を用いて引張試験(JIS K7113に準ず
る)、アイゾット衝撃試験(JIS K7110に準ず
る)、荷重たわみ温度試験(JIS K7113に準ず
る)を行った。また、得られたペレットについて揮発性
試験、移行性試験を行った。実施例1〜5、比較例1、
2の結果を表1にまとめて示した。
【0032】
【表1】
【0033】実施例1〜5に示す樹脂組成物は、比較例
1に示すように従来の低分子量可塑剤ジエチルフタレー
トを用いた場合よりも重量減少率がはるかに少なく、又
樹脂に対する相溶性にも優れていた。
【0034】(実施例6)セルロースアセテート(酢化
度50.5、重量平均分子量18万)の粉末100重量
部に対して実施例5で用いたビスフェノールA−EO付
加物を表2に示す重量部数を添加し、攪拌混合し、押出
機によって230℃で加熱混練し、ペレットを作製し
た。得られたペレットを用い比較例2のように物性評価
用試験片を作製し、物性を評価した。結果を表2に示
す。表2から分かるように、本発明の可塑剤を含む脂肪
酸セルロースエステル系樹脂組成物から得られた成形物
は、実用的な機械物性を有することが確認された。
【0035】
【表2】
【0036】
【発明の効果】表1に示したように、本発明によるフタ
ル酸エステル系二量体化合物、末端水酸基含有ビスフェ
ノール系化合物を含有してなる脂肪酸セルロースエステ
ル系樹脂組成物は、従来公知の可塑剤を使用した場合と
比較して相溶性が良く、揮発性が少ない。また従来の可
塑剤を使用した場合と較べて、生分解性を損なうことな
く、前記のような物性が改良されることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【図1】化合物−1のNMRチャート
【図2】化合物−1のGPCチャート
【図3】化合物−1のIRチャート
【図4】化合物−2のNMRチャート
【図5】化合物−2のGPCチャート
【図6】化合物−2のIRチャート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 米花 伸晃 兵庫県伊丹市柏木町2−21−2

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(1)で表されるフタル酸エステル
    系二量体化合物。 【化1】
  2. 【請求項2】一般式(1)で表されるフタル酸エステル
    系二量体化合物を主成分とする可塑剤。 【化2】
  3. 【請求項3】一般式(1)、(2)及び(3)で表され
    る構造を有する化合物から選ばれた少なくとも1種の可
    塑剤を含む脂肪酸セルロースエステル系樹脂組成物。 【化3】 【化4】 【化5】
  4. 【請求項4】脂肪酸セルロースエステル100重量部に
    対して請求項3記載の可塑剤を5〜100重量部を含む
    脂肪酸セルロースエステル系樹脂組成物。
  5. 【請求項5】脂肪酸セルロースエステルがセルロースア
    セテートであることを特徴とする請求項3又は4のいず
    れかに記載の脂肪酸セルロースエステル系樹脂組成物。
  6. 【請求項6】セルロースアセテートの酢化度が51.9
    %(置換度2.2)未満であることを特徴とする請求項
    5に記載の脂肪酸セルロースエステル系樹脂組成物。
JP16922898A 1998-06-02 1998-06-02 フタル酸エステル系二量体化合物、それからなる可塑剤及び脂肪酸セルロースエステル系樹脂組成物 Pending JPH11349537A (ja)

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