JPH11349488A - クラスタリンを含有する免疫抑制剤 - Google Patents

クラスタリンを含有する免疫抑制剤

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JPH11349488A
JPH11349488A JP10151570A JP15157098A JPH11349488A JP H11349488 A JPH11349488 A JP H11349488A JP 10151570 A JP10151570 A JP 10151570A JP 15157098 A JP15157098 A JP 15157098A JP H11349488 A JPH11349488 A JP H11349488A
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clusterin
rat
derived
serum
liver
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JP10151570A
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Kazuhiro Yuda
和洋 湯田
Katsuhiko Akiyama
勝彦 秋山
Takeshi Goto
武 後藤
Shigeru Goto
茂 後藤
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Hisamitsu Pharmaceutical Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 臓器・組織移植における拒絶の防止に有用で
あり、あるいは、自己免疫疾患、アレルギー性疾患等の
炎症性疾患の治療薬として有効である、副作用のない免
疫抑制剤を提供する。 【解決手段】 クラスタリンを含有する免疫抑制剤であ
る。該クラスタリンはラット由来または/およびヒト由
来であリ得、クラスタリンを構成するペプチドに薬学的
に許容できる修飾を施すこともできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はクラスタリン(Cl
usterin)を有効成分とする免疫抑制剤に関する
ものである。詳しくは、心臓、肝臓、肺、膵臓、腎臓、
小腸、皮膚、骨髄等の臓器・組織移植における拒絶、あ
るいは、リウマチ、アトピー、全身性エリテマトーデス
等の自己免疫疾患、花粉症などのアレルギー性疾患等の
炎症性疾患の治療薬に関するものである。
【0002】
【従来の技術】臓器移植の外科的技術が著しく向上した
現在、臓器移植手術の成否は術後の移植拒絶反応をいか
にして制御できるかにかかってきている。拒絶反応は、
移植片を生体が異物と認識し、それを排除するために一
連の免疫反応が惹起されることにより生じる。これらの
免疫反応を抑制するために、臨床上従来より用いられて
いる免疫抑制剤としては、ステロイド剤(プレドニゾロ
ン等)、代謝拮抗剤(アザチオプリン、ミゾリビン
等)、抗生物質(シクロスポリンA、タクロリムス等)
等が用いられている。これら薬剤の登場により、腎、
心、肝臓移植はすでに一般医療として定着し、肺、膵、
小腸移植は、成績向上に伴い次第に普及しつつある(今
日の移植 vol.11 No.1 53 199
8)。
【0003】しかしながら、これら薬剤には、少なから
ぬ副作用があり、例えばステロイド剤は、他の免疫抑制
剤と比較して、幅広い作用を有するが、免疫抑制作用は
一般に弱く、長期連続投与により有効性の減少や抵抗性
の発現が見られることがある。アザチオプリンは、核酸
合成を阻害することにより、免疫抑制効果を発揮する
が、その使用は細菌などの感染症発症の危険性を増大さ
せ、また、骨髄抑制作用(白血球減少・血小板減少・貧
血)と肝臓障害を引き起こすことがある。ミゾリビン
は、アザチオプリンと比べ、骨髄抑制作用と肝臓障害が
少ないという利点を持つ反面、免疫抑制効果がそれほど
高くない。シクロスポリンA、タクロリムスは、きわめ
て強力な免疫抑制活性を持ち、臓器移植の成績向上に貢
献した薬剤である。しかしながら、これらには、重篤な
中枢神経毒性、腎毒性等があることが明らかとなり、そ
の使用に際しては、細心の注意が必要とされる(今日の
移植vol.11 No.1 37 1998)。
【0004】一方、臓器移植において、肝臓はきわめて
特異な臓器として注目されている。それは、ある種の動
物間の組み合わせにおいて、肝移植が免疫抑制剤の投与
なしに成功することが示されたためである(Natur
e vol.223 4721969)。また、肝炎等
の肝細胞障害時には免疫抑制状態になり、障害肝や再生
肝が免疫抑制物質を産生していることが示唆され(Na
ture vol.251 655 1974)、現在
までに肝細胞由来の数種類の免疫抑制蛋白質が報告され
ている。以下にその例を示す。
【0005】l−アルギナーゼ 肝細胞内より分離されたl−アルギナーゼは、肝が障害
を受けた際に血中に放出されると考えられた免疫抑制蛋
白質である。大量に放出されたl−アルギナーゼは、l−
アルギニンを消化してl−オルニチンと尿素を生成さ
せ、体内でアルギニン欠乏状態を作り出し、リンパ球の
活発な増殖を抑えるものと考えられる(J.Immun
ol. vol.131 2427 1983、特開
平3−157399)。しかし、一方で、アルギニンを
加えることにより、この状態は改善されることから、個
々の細胞でアルギニン供給量の異なる生体内で、例え
ば、アルギニン供給能の高い肝臓で、長期にわたり拒絶
反応を抑制することができるかに疑問点がある。また、
大量にアルギニンを消化させることは、同時に大量の尿
素を生成させるため、臨床上問題のある高窒素血症を生
じさせ、投与が長期にわたれば、腎不全を引き起こす可
能性が示唆される(Medicina vol.31
No.11 60 1994)。
【0006】超低密度リポタンパク( very lo
w density lipoprotein(VLD
L)) 同物質は、肝細胞より分泌され血清中に出てくるものと
考えられている。VLDLは、末梢血単核球のDNA合
成を阻害し、その活性化を抑制する。(J.Immun
ol. vol.119 2129 1977)。しか
し、薬剤として、VLDLの投与を長期に行うことは、
血清VLDLの上昇及び、リポプロテインリパーゼによ
り転換された、中間密度リポタンパク(interme
diate density lipoprotein
(IDL))、低密度リポタンパク(low dens
ity lipoprotein(LDL))値の上昇
を慢性化させ、高脂血症、トリグリセライド血症、糖尿
病、尿毒症、動脈硬化を引き起こす可能性がある(Me
dicina vol.31 No.11 17919
94)。
【0007】α−フェトプロテイン及び初期妊娠因子
(early pregnancy factor) 特殊な状態で、肝より免疫抑制蛋白質が分泌されること
も知られている。肝癌の腫瘍マーカーとして知られるα
−フェトプロテインも免疫抑制力があり、胎仔マウスか
ら同定され調べられた(J.Exp.Med. vo
l.141 269 1975)。初期妊娠因子は、妊
娠初期の妊婦尿中、血中から検出された免疫抑制力を有
した蛋白質(Nature vol.278 649
1979)であり、また、肝葉切除後に分泌されること
も確かめられた。これらの蛋白質は、非特異的にリンパ
球の増殖を抑制する物質で、肝障害が生じた際の旺盛な
肝再生力に随伴する物質と思われる。しかし、肝移植が
誘導する免疫寛容を説明するに至っていない。
【0008】可溶性クラスI抗原 臨床の肝移植において、多量のドナー型の可溶性クラス
I抗原が移植直後からレシピエントの血液中に認められ
る。同物質が免疫寛容を誘導するものと考えられたが、
in vivo において、同物質を投与しても免疫抑
制が十分に誘導されない(Transplantati
on vol.50 678 1990)。
【0009】肝抑制因子−1(liver suppr
essor factor−1(LSF−1)) ラット肝移植後の血清を経時的に採取し、SDS−PA
GEで電気泳動を行うことにより得られた免疫抑制蛋白
質であり、その効果は、極めて高いと推測されるが、蛋
白質の同定が行われておらず(Transplant.
Immunol. vol.3 174 199
5)、薬剤として実用化するためには、今後さらなる検
討が必要である。
【0010】以上述べてきたように、現在、臨床上使用
されている免疫抑制剤には、骨髄抑制作用、肝臓障害中
枢神経毒性、腎毒性等の副作用が知られており、また、
肝由来免疫抑制蛋白質は、臨床上応用可能な活性を持つ
物質は未だ発見されていない。
【0011】一方、クラスタリンは、脳、肝、膵、セル
トリ細胞等の様々な組織、細胞で発現しており(Bioche
mistry,vol.26,3297,1987、 Eur. J.Biochem. , vol.
221,3,917,1994)、補体溶解抑制因子(complem
ent lysis inhibitor(CL
I))、アポリポ蛋白−J(apolipoprote
in−J)、血清蛋白−40,40(serum pr
otein 40,40(SP−40,40))、テス
トステロン抑制前立腺応答因子−2(testoste
rone−repressed prostate m
essage−2(TRPM−2))、硫酸糖蛋白−2
(Sulfated glycoprotein−2
(SGP−2))と様々な名で知られている。このクラ
スタリンには、脂質輸送(Biochemistry
vol.29 5380 1990)、補体活性化阻害
(EMBO J. vol.8 711 1989,T
rendsBiochem. Sci. vol.17
154 1989)、精子成熟(Biol. Rep
rod. vol.45 195 1991,Mol.
Reprod. Dev. vol.33 373 1
992)、アポトーシス抑制(Cancer Res.
vol.55 2431 1995)等と多くの機能
を持つことが報告されている。しかしながら、移植臓器
での免疫寛容の導入に、クラスタリンが関与するという
報告は、未だなされていない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、臓器
移植時の拒絶反応の防止や自己免疫疾患、アレルギー性
疾患等炎症性疾患の治療に対し有効であり、かつ副作用
無く使用可能な免疫抑制剤を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を行った結果、肝臓移植後の
ラット血清中より通常ラット血清蛋白質と比較して特定
の蛋白質量が増大していることを見出し、さらに、該蛋
白質のN末端配列のペプチドシークエンスを解析した結
果、通常ラット血清に微量に存在するクラスタリンと1
00%の相同性をもつことを確認し、 該蛋白質はクラ
スタリンであることを見出した。さらに、驚くべきこと
に該クラスタリンは、臓器移植時の拒絶反応の防止や自
己免疫疾患、アレルギー性疾患等の治療に対し有効であ
り、かつ副作用がない薬効をもつことを見出した。ま
た、ヒトの血清中にも該蛋白質と生理活性、薬理活性が
類似したものが存在しており(ヒト血清由来クラスタリ
ン)、該ヒト血清由来クラスタリンも臓器移植時の拒絶
反応の防止や自己免疫疾患、アレルギー性疾患等の治療
に対し有効であり、かつ副作用がない薬効をもつことを
見出した。すなわち、本発明によれば、免疫抑制作用を
もつクラスタリンを含有する免疫抑制剤が提供される。
また、上記免疫抑制剤に含有される該クラスタリンは、
ラット由来または/およびヒト由来であってもよく、該
クラスタリンを構成するペプチドは、薬学的に許容でき
る修飾を施したペプチドを含有したものであってもよ
い。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明について更に詳細に
説明する。本発明の免疫抑制剤の有効成分であるヒト由
来及びラット由来のクラスタリンは、例えば以下の方法
により入手可能である。肝臓移植後のラット血清中に増
大しているクラスタリンの採取方法としては、Kama
daらにより開発されたカフ法(Surgery vo
l.93 641983)の手技を用いて同所性肝移植
手術を行うことにより発現を誘導させる方法であり、2
00−350gの雄のPVG系及びDA系ラットを用
い、DA系ラットの肝臓をPVG系ラットへ移植を行
う。肝移植手術後、少なくとも7〜10日目以降の血液
を採取し、100xgで遠心分離後上清を回収すること
で、クラスタリンを豊富に含む肝移植後の血清を得るこ
とができる。
【0015】また、上記の肝臓移植後のラット血清中に
増大しているラット由来のクラスタリン及びヒト由来ク
ラスタリンは、以下のような遺伝子工学的手法によって
も調製することが可能である。
【0016】ヒト血清由来クラスタリン及びラット血清
由来クラスタリンをコードする遺伝子配列は、Wong
ら(Eur. J. Biochem. vol.22
13 917 1994、 J. Biol. Che
m. vol.268 No.7 5021 199
3、Biochemistry vol.26 329
7 1987)により既に公知となっている。そこで、
その遺伝情報をもとに、プローブ、あるいは、PCRプ
ライマーを作成し、cDNAライブラリーあるいは細胞
RNAを用いて、公知の方法であるコロニー(プラー
ク)ハイブリダイゼーション法、PCR法、あるいは、
RT−PCR法により、クラスタリン遺伝子を入手する
ことができる。このように入手した遺伝子を、真核細胞
用遺伝子発現ベクター、例えば、pBK−CMV(スト
ラタジーン社)、pZeoSV2(+)(インビトロジ
ェン社)、pCMV・SPORT(GIBCO社)に挿
入し、適当な動物細胞、例えば、COS、CHO、He
La、ヘパトーマ細胞等の動物細胞に上記遺伝子を導入
することにより、ラット由来クラスタリンまたはヒト由
来クラスタリンを生産することが可能である。
【0017】上記の方法により得られたクラスタリンを
含む血清あるいは細胞培養上清からクラスタリンを精製
する方法としては、例えばOdaらの方法(B.B.
R.Cvol.204 No.3 1131 199
4)に準じて行うことにより可能である。すなわち、血
清を20mM Tris−HCl,pH7.4で平衡化
を行ったDEAE セファロース(Sepharos
e)カラムにアプライし、吸着した蛋白質画分を0.5
M NaClを含む20mM Tris−HCl,pH
7.4で溶出することで精製される。さらに純度を高め
るためには、この溶出液を適当な緩衝液で透析した後、
抗クラスタリン抗体をCNBr−活性化セファロース4
Bゲル(アマシャム・ファルマシア社)に固定化したア
フィニティーカラムにアプライし、適当な溶出液、例え
ば0.1M グリシン,pH2.5を用いてクラスタリ
ンフラクションを溶出する。セントリコン30(ミリポ
ア社)を用いて、この溶出液を濃縮後、ゲルろ過し、
0.1% SDS及び0.15MNaClを含む10m
M 燐酸ナトリウム,pH6.8を用いて溶出すること
によりさらに精製を行い、蒸留水で溶出液の透析を行
う。クラスタリンを再生するするため、5Mとなるよう
に、グアニジン塩酸塩を加え、セントリコン30を用い
て除去することにより精製を行うことができる。
【0018】上記方法で得られるラット由来のクラスタ
リンは、SDS−PAGEにおいて、非還元状態で分子
量73kDaの泳動度を示し、還元状態で、47kDa
(αサブユニット)と34kDa(βサブユニット)の
泳動度を示す2種のペプチド鎖が、S−S結合でつなが
れたヘテロダイマーよりなる。また、αサブユニットに
4カ所、βサブユニットには2カ所の糖鎖結合部位があ
り、それぞれが異なった構造の糖鎖が結合している。一
方、ヒト由来のクラスタリンもαサブユニットが36k
Daから39kDaよりなり、βサブユニットが34k
Daから36kDaよりなるヘテロダイマーである。ラ
ット由来のクラスタリンとヒト由来のクラスタリンのア
ミノ酸配列は77%の相同性がある。
【0019】上記手法により精製したラット由来のクラ
スタリンを臓器移植拒絶のモデル系であるラット異所性
心移植手術(Experimental liver
transplantation. 19: CRC
Press, 1988)において、その拒絶抑制効果
を検討したところ、有効成分としてクラスタリンを投与
した群において、著しい生着日数の増加が見られた。ま
た、クラスタリン投与群は、副作用と考えられる組織所
見は認められなかった。
【0020】また、精製後のヒト由来のクラスタリンを
ラット脾細胞を用いた混合リンパ球反応(mixed lympho
cyte reaction ,MLR(免疫実験法 289 西村書
店))を用いて、その抑制効果の検討を行った。この結
果、有効成分としてクラスタリンを用いた群において、
対照群と比較して、トリチウムの取り込みが、著しく減
少しており、免疫細胞の活性化が抑えられていた。
【0021】また、ヒト由来のクラスタリンをラット異
所性心移植手術において、その拒絶抑制効果を検討した
ところ、クラスタリンを投与した群において、著しい生
着日数の増加が見られた。また、クラスタリン投与群
は、副作用と考えられる組織所見は認められなかった。
このことから、ヒト血清由来のクラスタリンもまた、ラ
ット由来のクラスタリンと同じく、免疫抑制活性を持
ち、更に副作用の無いものであった。
【0022】以上のことより、本発明者らは、ラット由
来のクラスタリンまたはヒト由来のクラスタリンの新規
生理活性を発見し、本発明を完成するに至った。すなわ
ち、本発明はラット由来のクラスタリンまたは/および
ヒト由来のクラスタリンを有効成分とする免疫抑制物質
であり、この免疫抑制剤は、臓器・組織移植における拒
絶の防止に有用であり、また、自己免疫疾患、アレルギ
ー性疾患等の炎症性疾患の治療薬としても有効である。
【0023】本発明の免疫抑制剤は、ラット由来のクラ
スタリン、ヒト由来のクラスタリンをそれぞれ単独で使
用してもよいし、両方の由来のクラスタリンを混合して
用いることも可能である。
【0024】本発明のラット由来のクラスタリンまたは
/およびヒト由来のクラスタリンを有効成分とする免疫
抑制剤は、例えば、臓器移植時の拒絶反応や、自己免疫
疾患等の治療に有効であり、かつ副作用が無く、単回投
与あるいは反復投与を行うことにより、効果的に免疫反
応を抑制する。
【0025】本発明のクラスタリンを含有する免疫抑制
剤は、クラスタリンを薬学的に許容し得る限り適当な修
飾をすることが可能である。修飾の一つの形態として、
クラスタリンを構成するペプチドにポリエチレングリコ
ールやデキストラン等を用いることも可能である。この
場合は、本蛋白質の活性を低下させることが無く、か
つ、望まざる毒性を生体に与えることがない限りにおい
て、血中半減期を長期化させるために有効である。
【0026】さらに別の修飾の形態として、活性の強
化、血中安定性の増強、抗原性の低減、副作用の軽減等
のために、1個のアミノ酸、あるいは、2個以上のアミ
ノ酸を置換、挿入、欠失させたクラスタリン変異体を用
いることができる。また、そのようなクラスタリン変異
体は、置換、挿入、欠失させる1個のアミノ酸、あるい
は、2個以上のアミノ酸に対応する変異クラスタリン遺
伝子配列を構築し、適当な動物細胞に導入することによ
り、生産することができる。
【0027】本発明のクラスタリンは薬学的に許容され
うる物質と混合して調製した形で投与可能である。例え
ば、注射剤の場合には、本発明のクラスタリンを水に溶
解して調製し、必要に応じて生理食塩水、ブドウ糖溶液
等に溶解させても良く、また、緩衝剤、保存剤、あるい
は、安定化剤を含有させてもよい。さらに、これらの製
剤は、薬理学的に許容できる治療上価値のある他の成分
を含有しても良い。
【0028】本発明に係わる免疫抑制剤の投与方法とし
ては、移植の際の拒絶反応を治療する場合、経口、注
射、直腸内投与、門脈内投与、移植臓器の灌流、移植臓
器への局所投与、バルーンカテーテルを利用した投与等
いずれの投与方法でも可能である。好ましくは、注射に
よる投与、より好ましくは、筋肉内投与が望ましい。投
与量は、投与方法、患者の状態、年齢等により異なる
が、通常、1回30〜500mg、好ましくは、50〜
100mgを1回投与あるいは、数日から数カ月の間を
おいて反復投与を行えば良い。
【0029】また、別の投与方法として、例えば、マウ
ス白血病ウィルスベクター、アデノウィルスベクター、
アデノ随伴ウィルスベクター、ヒト免疫不全ウィルス
(HIV)ベクター、ヘルペスシンプレックスベクター
等に、クラスタリン遺伝子を挿入したウィルスベクタ
ー、あるいは、例えば、ポリリジン等のポリアミノ酸キ
ャリアー、カチオン性の合成高分子、リポソーム等の適
当なキャリアーを用いて、クラスタリン遺伝子をコード
するプラスミドをex vivoあるいは、inviv
oで生体内に投与することにより、遺伝子治療を行うこ
とも可能である。
【0030】
【実施例】以下、実施例を示し、この発明の実施の形態
を具体的に説明するが、この発明は以下の例に限定され
るものではない。
【0031】実施例1;肝臓移植後に増大するクラスタ
リンの発現誘導 ラットに、肝臓移植後に増大するクラスタリンの発現を
誘導させるために、Kamadaらにより開発されたカ
フ法(Surgery vol.93 641983)
の手技を用いて同所性肝移植手術を行った。手術に用い
る動物は、200−350gの雄のPVG系およびDA
系ラットを用いた。肝移植手術後、7日目の血液を採取
し、100xgで遠心分離後上清を回収し、肝移植後の
血清を得た。
【0032】実施例2;ラット血清由来クラスタリンの
精製 ラット血清由来クラスタリンの精製は、Odaらの方法
(B.B.R.C vol.204 No.3 113
1 1994)に準じて行うことにより調製した。すな
わち、肝移植後のラット血清5mlを20mM Tri
s−HCl,pH7.4で平衡化を行った、DEAEセ
ファロースカラムにアプライし、0.5M NaClを
含む20mM Tris−HCl,pH7.4で溶出を
行った。抗クラスタリン抗体をCNBr−活性化セファ
ロース4Bゲル(アマシャム・ファルマシア社)に固定
化したアフィニティーカラムに上記溶出液をアプライ
し、0.1M グリシン,pH2.5を用いてクラスタ
リン分画を溶出した。セントリコン30(ミリポア社)
を用いて、この溶出液を濃縮後、ゲルフィルトレーショ
ンにかけ、0.1% SDS及び0.15M NaCl
を含む10mM燐酸ナトリウム,pH6.8を用いて溶
出することによりさらに精製を行い、蒸留水で溶出液の
透析を行った。クラスタリンを再生するするため、5M
となるように、グアニジンHClを加え、セントリコン
30を用いて除去した。精製した蛋白質の定量は、DC
プロテインアッセイ(バイオラッド社)を用いて行っ
た。
【0033】実施例3;精製蛋白質のシークエンス 精製した蛋白質1μg相当を入れた1.5mlチューブ
を10本用意し、それに、3倍濃縮サンプル緩衝液(6
2.5mM Tris−HCl pH6.8、5% 2
−メルカプトエタノール、1% SDS、10% グリ
セロール、0.01% ブロモフェノールブルー)を蛋
白質溶液の1/3容量加え、100℃、5分間煮沸し、
氷冷した。マーカーとして用いた、レインボウ・カラー
ド・プロテイン・MW・マーカー(Rainbow C
oloured ProteinMW Marker)
(アマシャム・ファルマシア社)についても、同様の操
作を行った。これを、10%SDS−PAGE(TEF
CO社)にアプライし、150Vで2時間泳動を行っ
た。泳動終了後、ゲルをカセットから外し、ブロッティ
ングバッファー(10mM CAPS;3−[シクロヘ
キシルアミノ]−1−プロナンスルホン酸 pH11)
中で30分浸とうした後、ゲルと同じ大きさのPVDF
メンブレン(ABI社)を気泡が入らないように密着さ
せ、濾紙で挟み、さらにブロッティング用スポンジで挟
み、これを陽極側にPVDFメンブレンが向くようにセ
ットした。500mAで6時間トランスファーを行った
後、PVDFメンブレンを取り出し、染色液(0.1%
クマーシーブリリアントブルーR−250を含むメタノ
ール)で1分間染色を行い、脱色液(50%メタノー
ル、10%酢酸)に浸けた。その結果現れた分子量約4
7kDaと約34kDaのバンドをメンブレンより切り
出し、それぞれの分子量のバンドを集め、これらをプロ
テインシークエンサー(476Aプロテインシークエン
サー、ABI社)で解析した。
【0034】その結果、約47kDaのバンドは、ラッ
トクラスタリンαサブユニットと、約34kDaのバン
ドは、ラットクラスタリンβサブユニットとN末端配列
が一致(表1)した。
【表1】
【0035】実施例4;ラット血清由来クラスタリンの
ELISAによる確認試験 イムノプレート(Nunc社)に、実施例2で精製した
蛋白質の濃度が10μg/mlとなるように調製した溶
液(0.05% NaN3(和光純薬社)を含む0.1
M Na2CO3(和光純薬社)溶液)を0.1mlずつ
ウエルに加え、4℃で一晩放置した。同様に、対照群と
して、同じ濃度のラットアルブミン(シグマ社)を0.
1mlずつウエルに加え、4℃で一晩放置した。上清を
捨て、ブロッキングバッファー(5% スキムミルク
(雪印社)、0.1% Tween−20(コスモバイ
オ社)を含むPBS(GIBCO社))を、0.1ml
/ウエルずつ加え、室温で2時間放置した後、ウォッシ
ュバッファー200μlを加え、上清を捨てた。この洗
浄操作を計3回繰り返した。1次抗体液(ブロッキング
バッファー990μlに、シープ由来抗ラットクラスタ
リン抗血清(コスモバイオ社)を10μl加えた溶液)
を0.1ml/ウエルずつ加え、室温で3時間放置した
後、ウォッシュバッファー200μlを加え、上清を捨
てた。この洗浄操作を計3回繰り返した。次に、2次抗
体液(ブロッキングバッファー3mlにパーオキシダー
ゼ標識抗シープIgG(eappel社)を1μl加え
た溶液)を0.1ml/ウエルずつ加え、室温で2時間
放置した後、ウォッシュバッファー200μlを加え、
上清を捨てた。この洗浄操作を計3回繰り返した。基質
溶液(0.05M クエン酸− 0.15M Na2
PO4バッファー(pH6.0)12mlに、30%過
酸化水素水(和光純薬社)6μl、o−フェニレンジア
ミンジヒドロクロリド(OPD:和光純薬社)を10m
g溶解させた溶液)を0.1mlずつウエルに加え、室
温で10分間反応させた後、反応停止液(2N硫酸溶
液)を0.1ml/ウエルずつ加え、ELISAプレー
トリーダー(STL RainBow Thermo
(和光純薬))を用いて波長490nmでの吸光度を測
定した。
【0036】その結果、実施例2で精製した蛋白質をコ
ートした群は、対照群と比較して、抗クラスタリン抗体
に対して強い反応性が認められたことから(表2)、精
製した蛋白質は、クラスタリンであることを確認した。
【表2】
【0037】実施例5;ラット血清由来クラスタリンの
免疫抑制活性の検定 ラット移植手術の拒絶系である異所性心移植手術(Ex
perimentalliver transplan
tation. 19: CRC Press, 19
88)を行った。Kamadaらの方法に従いDA系ラ
ットの心臓をPVG系ラットの頚部に移植し、術後1時
間以内に、生理食塩水(大塚製薬)で300μg/ml
に調製した1mlのラットクラスタリン溶液を筋肉内投
与した。対照群として、生理食塩水のみを1ml筋肉内
投与した群、あるいは、無処理の群をもうけた。
【0038】その結果、表3に示したように、クラスタ
リンを用いた群において、移植された心臓は、著しく生
着日数が増加した。
【表3】 また、クラスタリンを投与した群のラットを開腹して各
臓器を観察したが、対照群である、生理食塩水のみを1
ml筋肉内投与した群、及び、無処理の群と同様に、特
に異常は、認められなかった。
【0039】実施例6;ヒト血清由来クラスタリンの精
製 実施例2に記載の方法により、ヒト血清由来クラスタリ
ンを同様に精製した。すなわち、健常人血清5mlを2
0mM Tris−HCl,pH7.4で平衡化を行っ
た、DEAE セファロースカラムにアプライし、0.
5M NaClを含む20mM Tris−HCl,p
H7.4で溶出を行った。抗クラスタリン抗体(コスモ
バイオ社)をCNBr−活性化セファロース4Bゲル
(アマシャム・ファルマシア社)に固定化したアフィニ
ティーカラムに上記溶出液をアプライし、0.1M グ
リシン,pH2.5を用いてクラスタリン分画を溶出し
た。セントリコン30を用いて、この溶出液を濃縮後、
ゲルフィルトレーションにかけ、0.1% SDS及び
0.15M NaClを含む10mM 燐酸ナトリウ
ム,pH6.8を用いて溶出することによりさらに精製
を行い、蒸留水で溶出液の透析を行った。クラスタリン
を再生するするため、5Mとなるように、グアニジンH
Clを加え、セントリコン30(ミリポア社)を用いて
除去した。精製した蛋白質の定量は、DCプロテインア
ッセイ(バイオラッド社)を用いて行った。
【0040】実施例7;ヒト血清由来クラスタリンのシ
ークエンシング 実施例3に記載の方法と同様に、ヒト血清由来のクラス
タリンのシークエンシングを行った。すなわち、精製し
た蛋白質1μg相当を入れた1.5mlチューブを10
本用意し、それに、3倍濃縮サンプルバッファー(6
2.5mM Tris−HCl pH6.8、5% 2
−メルカプトエタノール、1% SDS、10% グリ
セロール、0.01% ブロモフェノールブルー)を蛋
白質溶液の1/3容量加え、100℃、5分間煮沸し、
氷冷した。マーカーとして用いた、レインボウ・カラー
ド・プロテインMWマーカー(アマシャム・ファルマシ
ア社)についても、同様の操作を行った。これを、10
%SDS−PAGE(TEFCO社)にアプライし、1
50Vで2時間泳動を行った。泳動終了後、ゲルをカセ
ットから外し、ブロッティングバッファー(10mM
CAPS;3−[シクロヘキシルアミノ]−1−プロナ
ンスルホン酸 pH11)中で30分浸とうした後、ゲ
ルと同じ大きさのPVDFメンブレン(ABI社)を気
泡が入らないように密着させ、濾紙で挟み、さらにブロ
ッティング用スポンジで挟み、これを陽極側にPVDF
メンブレンが向くようにセットした。500mAで6時
間トランスファーを行った後、PVDFメンブレンを取
り出し、染色液(0.1%クマーシーブリリアントブル
ーR−250を含むメタノール)で1分間染色を行い、
脱色液(50%メタノール、10%酢酸)に浸けた。そ
の結果現れた分子量約40kD付近の2本のバンドをメ
ンブレンより切り出し、それぞれの分子量のバンドを集
め、これらをプロテインシークエンサー(476Aプロ
テインシークエンサー、ABI社)で解析した。
【0041】その結果、約40kDa付近の2本のバン
ドは、ヒトクラスタリンαサブユニットとβサブユニッ
トにN末端配列が一致(表4)した。
【表4】
【0042】実施例8;ヒト血清由来クラスタリンのE
LISAによる確認試験 実施例4に記載の方法と同様に、ヒト血清由来のクラス
タリンのELISAによる確認試験を行った。すなわ
ち、イムノプレート(Nunc社)に、実施例6で精製
した蛋白質の濃度が10μg/mlとなるように調製し
た溶液(0.05% NaN3(和光純薬社)を含む
0.1M Na2CO3(和光純薬社)溶液)を0.1m
lずつウエルに加え、4℃で一晩放置した。同様に、対
照群として、同じ濃度のヒトアルブミン(シグマ社)を
0.1mlずつウエルに加え、4℃で一晩放置した。上
清を捨て、ブロッキングバッファーを含むPBSを、
0.1ml/ウエルずつ加え、室温で2時間放置した
後、ウォッシュバッファー200μlを加え、上清を捨
てた。この洗浄操作を計3回繰り返した。1次抗体液
(ブロッキングバッファー990μlに、シープ由来抗
ラットクラスタリン抗血清(コスモバイオ社)を10μ
l加えた溶液、ヒトクラスタリンに対しても交差性があ
る。)を0.1ml/ウエルずつ加え、室温で3時間放
置した後、ウォッシュバッファー200μlを加え、上
清を捨てた。この洗浄操作を計3回繰り返した。次に、
2次抗体液(ブロッキングバッファー3mlにパーオキ
シダーゼ標識抗シープIgG(eappel社)を1μ
l加えた溶液)を0.1ml/ウエルずつ加え、室温で
2時間放置した後、ウォッシュバッファー200μlを
加え、上清を捨てた。この洗浄操作を計3回繰り返し
た。洗浄後、基質溶液を0.1mlずつウエルに加え、
室温で10分間反応させた後、反応停止液(2N硫酸溶
液)を0.1ml/ウエルずつ加え、ELISAプレー
トリーダー(STL RainBow Thermo
(和光純薬))を用いて波長490nmでの吸光度を測
定した。
【0043】その結果、実施例6で精製した蛋白質をコ
ートした群は、対照群と比べ、抗クラスタリン抗体と強
い反応性が認められたことから(表5)、精製した蛋白
質は、クラスタリンであることを確認した。
【表5】
【0044】実施例9;ヒト血清由来のクラスタリンの
免疫抑制活性の検定 MLRは、リンパ球混合試験(免疫実験法 289 西
村書店)に記載の方法に準じて行った。脾臓より採取し
た無処理のPVG系ラット由来の脾臓リンパ球(応答細
胞)及び、放射線照射(2,000R)を行ったDA系
ラット由来の細胞を用いた。それぞれ、5x105細胞
をRPMI−1640(GIBCO社)+10%FCS
培地200μlに懸濁し、96穴プレート(コーニング
社)で3日間培養を行い、アッセイに供する20時間前
に、0.5μCiの[3H]−チミジンを培地に加えて
前処理を行なった。MLRは、種々の濃度のヒトクラス
タリン存在下で反応を行った。陰性対照群として、ヒト
アルブミン(シグマ社)を用いた。取り込まれた[3
H]−チミジン量は、液体シンチレーションカウンター
(ヒューレット・パッカード)で測定した。
【0045】その結果、表6に示したように、ヒトクラ
スタリンを添加した群において、クラスタリンの濃度依
存的にトリチウムの取り込みが阻害された。
【表6】
【0046】実施例10;ヒト血清由来のクラスタリン
のin vivo免疫抑制活性の検定 実施例5に記載の方法により、ヒト血清由来のクラスタ
リンの免疫抑制活性の検定を行った。ラット移植手術の
拒絶系である異所性心移植手術(Experiment
al liver transplantation.
19: CRC Press, 1988)を行っ
た。Kamadaらの方法に従いDA系ラットの心臓を
PVG系ラットに移植し、術後1時間以内に、生理食塩
水(大塚製薬)で300μg/mlに調製した1mlの
ヒトクラスタリン溶液を筋肉内投与した。対照群とし
て、生理食塩水のみを1ml筋肉内投与した群、あるい
は、無処理の群をもうけた。
【0047】結果は表7に示した。
【表7】 表7に示されるように、クラスタリンを用いた群におい
て、移植された心臓は、著しく生着日数が増加した。ま
た、クラスタリンを投与した群のラットを開腹して各臓
器を観察したが、対照群である、生理食塩水のみを1m
l筋肉内投与した群、及び、無処理の群と同様に、特に
異常は、認められなかった。
【発明の効果】本発明はラット由来のクラスタリンまた
は/およびヒト由来クラスタリンを有効成分とする免疫
抑制剤である。本発明により、単回投与あるいは反復投
与を行うことにより、臓器・組織移植における拒絶の防
止に有用であり、あるいは、自己免疫疾患、アレルギー
性疾患等の炎症性疾患の治療薬として有効である、副作
用のない免疫抑制剤が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07K 14/47 A61K 37/24 ABA (72)発明者 後藤 茂 台湾國高雄縣鳥松郷大埠路123−9 4F −3

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クラスタリンを含有する免疫抑制剤。
  2. 【請求項2】 クラスタリンがラット由来または/およ
    びヒト由来である請求項1記載の免疫抑制剤。
  3. 【請求項3】 クラスタリンを構成するペプチドに薬学
    的に許容できる修飾を施した請求項1または請求項2記
    載の免疫抑制剤。
  4. 【請求項4】 臓器・組織移植における拒絶、自己免疫
    疾患あるいは炎症性疾患に適用される請求項1ないし請
    求項3のいずれかに記載の免疫抑制剤。
  5. 【請求項5】 薬学的に許容できる修飾が、クラスタリ
    ンを構成するペプチドにポリエチレングリコールまたは
    デキストランを付加させたもの、あるいは1個または2
    個以上のアミノ酸を置換、挿入、欠失させたクラスタリ
    ン変異体である請求項3記載の免疫抑制剤。
JP10151570A 1998-06-01 1998-06-01 クラスタリンを含有する免疫抑制剤 Pending JPH11349488A (ja)

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