JPH11349480A - カルプロフェンおよび誘導体を用いた哺乳類における関節軟骨または軟骨下骨変性の初期段階の処置および予防 - Google Patents

カルプロフェンおよび誘導体を用いた哺乳類における関節軟骨または軟骨下骨変性の初期段階の処置および予防

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JPH11349480A JP11143159A JP14315999A JPH11349480A JP H11349480 A JPH11349480 A JP H11349480A JP 11143159 A JP11143159 A JP 11143159A JP 14315999 A JP14315999 A JP 14315999A JP H11349480 A JPH11349480 A JP H11349480A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 哺乳類の冒された関節中の関節軟骨または軟
骨下骨変性の初期段階を処置または予防する方法を提供
する。 【解決方法】 式(I)の軟骨保護化合物を投与するこ
とにより達成される: 【化1】 式中、R2は 【化2】 であり、式中Aはヒドロキシ、(C1−C4)アルコキ
シ、アミノ、ヒドロキシ−アミノ、モノ−(C1−C2
アルキルアミノ、ジ−(C1−C2)アルキルアミノであ
り;XおよびYは独立してHまたは(C1−C2)アルキ
ルであり;およびnは1または2である;R6はハロゲ
ン、(C1−C3)アルキル、トリフルオロメチルまたは
ニトロであり;R9はH;(C1−C2)アルキル;フェ
ニルまたはフェニル−(C1−C2)アルキル(ここでフ
ェニルは随意にフルオロまたはクロロで一置換されてい
る);−C(=O)−R(式中Rは(C1−C2)アルキ
ルまたは随意にフルオロまたはクロロで一置換されてい
るフェニルである);または−C(=O)−O−R
1(式中R1は(C1−C2)アルキルである)である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、哺乳類の軟骨および軟
骨下骨障害および炎症性関節における損失を処置および
予防する手段としての哺乳類におけるカルプロフェンの
使用に関している。軟骨および軟骨下骨のそのような損
傷は、哺乳類で起こった場合、変形性関節症およびその
後の状態の過程の自然後遺症である。この予期されなか
った結果を達成するカルプロフェンの能力は”軟骨保
護”と称される。
【0002】
【従来の技術】カルプロフェンはこれまでCOX−2選
択的非ステロイド抗炎症剤(NSAID)として使用さ
れてきており、その活性は少なくとも部分的には誘導可
能シクロオキシゲナーゼII(COX−2)イソ酵素の
強力で選択的な阻害に基づいていた。しかしながらその
ような活性は、カルプロフェンが他のNSAIDと同様
にリポキシゲナーゼ経路に含まれる酵素に関して阻害活
性を持っており、または炎症性細胞の抑制、漸増および
移動およびそのような細胞からの酵素および酸素由来フ
リーラジカルの放出に対して活性である可能性を排除す
るものではない。これらの活性のすべては本分野ではリ
ウマチ性関節炎(RA)の処置に明らかな妥当性を持っ
ていると理解されているが、変形性関節炎(OA)の処
置には明らかに適切ではないであろう。実際、いくつか
のNSAIDはOAおよびNSAID誘発無痛覚の結果
としての損傷関節の過剰使用によるいくつかの病的軟骨
性および骨性変化の経過を悪化させることが知られてい
る。この現象は痛覚消失関節疾患と称されている。
【0003】OAは複雑な多因子の因果関係およびその
臨床的発現にかなりの変動性を持っているが、滑膜炎症
がOAの鍵となる構成要素であるようである。さらに、
滑膜細胞と軟骨細胞間の連絡の結果として、滑膜損傷は
プロテオグリカン(PG)の解離を刺激し、関節軟骨の
損失を誘導できる例えば、インターロイキン−1(IL
−1)、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)およびプロス
タグランジンのような可溶性因子を多量に産生するよう
に滑膜細胞を活性化する。軟骨細胞への直接的損傷もま
たマトリックスマテロプロテアーゼ(MMP)活性(例
えば、コラゲナーゼ、ストロメリシンおよびゲラチナー
ゼ)および種々の炎症性メディエイターの産生を刺激す
る。どの出来事でも、関節軟骨の減少した機能性がOA
の病的発生の根本である。PGが軟骨に反発性を与えて
いるため、OA関節組織からのPGの枯渇は軟骨細胞お
よび軟骨下骨および滑膜の細胞に異常な機械的ストレス
を与える。
【0004】軟骨は基本的にはタンパク質−炭水化物複
合体から成るPG集合体であり、その繊維性構造は単一
の長いヒアルロン酸分子から構築されており、それに伸
びたコアタンパク質が非共有結合的に結合している。こ
れらのタンパク質鎖は順に、セリン側鎖を通して共有結
合で結合されているコンドロイチン硫酸およびケラチン
硫酸鎖を持っている。ヒアルロン酸、コンドロイチン硫
酸およびケラチン硫酸はすべてグリコサミノグリカン
(GAG)、即ち、その糖の一つがN−アセチルガラク
トサミンまたはN−アセチルグルコサミンである反復二
糖類のポリマーから成る多糖類の例である。軟骨におい
て、PG構造はコラーゲンを結合し、コラーゲン繊維を
密で強固なネットワークに保つのを助けている。コラー
ゲン繊維は順に、三つのポリペプチド(各々約1000
残基の長さ)の三重らせんである基本的トロポコラーゲ
ンから形成されている。
【0005】外傷性損傷のような損傷を受けた後に起こ
る修復および正常化が必要とされる所定の関節では代謝
的過程が連続的に起こっている。従って、受容可能な軟
骨保護剤であるための化合物は、まず第一にそのような
軟骨細胞代謝活性を維持できなければならない、即ち、
治癒過程の一部であるマトリックス成分の細胞複製およ
び生合成を阻害または妨害しない。これに関して、当業
者は多くのNSAIDが細胞外マトリックス基本成分の
生合成に顕著な阻害作用を示すことを認識するであろ
う。受容可能な軟骨保護剤は同時に軟骨上の種々のサイ
トカイン、プロスタグランジンおよびプロテイナーゼの
ようなメディエイターの異化的作用に拮抗できなければ
ならない。従って、軟骨保護剤として可能性のあるもの
は同化経路に対する正の効果ならびに異化過程を阻害す
る能力の両方で評価しなければならないことが本分野で
は受け入れられてきた。典型的にモニターされてきた異
化過程には、特に、マトリックス分解酵素の放出および
阻害、プロスタグランジンおよびロイコトリエン生合成
に対する効果、および関節軟骨のIL−1媒介分解を阻
害する試験薬剤の能力試験が含まれる。研究されてきた
同化過程には通常、タンパク質、コラーゲン、PGおよ
びヒアルロン酸(HA)合成を刺激する試験薬剤の能力
試験が含まれている。
【0006】本明細書において使用される場合、用語”
軟骨保護剤”とは作用の主要な部位が軟骨である化合物
を意味していると理解されたく、またそのような軟骨保
護剤はまた滑膜に関して抗炎症作用を持ち、軟骨下骨お
よび滑膜線維芽細胞のような他の結合組織中の細胞の生
合成に正の強い影響を与え、および炎症過程を妨げるよ
うに炎症性細胞の移動を媒介するであろうことが認識さ
れるであろう。
【0007】一般的に、共有された進化および胚発生的
適合性が意味のある程度であると、同等の代謝経路で働
く類似のタンパク質実体を発現する相同的遺伝子コード
を持つ類似の細胞、組織および器官が生成されるので本
発明はすべての哺乳類に適用できる。哺乳類の最も希な
ものでさえ動物学研究所に飼われており、本発明により
提供される治療を必要としているので、すべての型の哺
乳類が本発明の範囲内に含まれている。しかしながら、
ネコ、イヌ、ウシおよびバイソン、ウマ、ブタ、ヒツジ
およびヤギのようなより多数の経済的に重要な種に本発
明が向けられることが望ましい。これらの種のいくつか
は他の種よりも関節軟骨変質および損失の問題を起こし
易いまたは起こす傾向がある。従って、本発明により提
供される療法は特にネコ、イヌおよびウマに関してい
る。
【0008】可能性のある軟骨保護剤としてこれまで試
験されてきた商業的製剤にはチアプロフェン酸、ジクロ
フェナック ナトリウム、トリベノシド、ペントサン
ポリ硫酸ナトリウム、アルテパロンR(Luitpol
d−Werk,Munich,Germanyの登録商
標)およびルマロンR(Robapharm Limi
ted,Basel,Switzerlandの登録商
標)がある。これらの薬剤の多様な構造は以下に示され
または説明されている:
【化5】 アルテパロンRはウシ肺および気管組織からのGAGの
抽出および続いてのある糖ヒドロキシ基の硫酸エステル
化により製造される。ルマロンRはウシ軟骨および骨髄
から単離された高分子量GAG−ペプチド会合複合体で
ある。
【0009】上記の化合物のいづれも本発明の方法およ
び処置で使用されたカルプロフェンおよびカルプロフェ
ン誘導体を示唆しないであろう。
【0010】Lust,G.;Williams,A.
J.;Burton−Wurster,N.;Bec
k,K.A.;and Rubin,G.;”発育盛り
の子犬における初期股形成異常徴候に対するグリコサミ
ノグリカン ポリ硫酸の筋肉内投与の効果”、Amer
ican Journal of Veterinar
y Research,53(10),1992,18
36−1843、は股形成異常にかかった発育盛りの子
犬をLuitpold−Werk,Munich,Ge
rmanyからアデクアンRとして入手可能なGAGポ
リ硫酸で処置した。股関節はラジオグラフィーにより試
験され、関節内組織は巨視的におよび生化学的に評価さ
れた。Lustらは、軟骨フィブロネクチン含量の有意
な減少があり、プロテオグリカン含量および観察された
関節病理学的評点平均は対照および処置子犬間で統計的
に異なってなかったことを結論している。同じ薬剤を使
用したより以前の研究は、不安定な後膝を作るために十
字靱帯が切除され続いて変形性関節症が発生した場合の
イヌ後膝中の軟骨変質の減少、プロテアーゼの阻害およ
びプロテオグリカン形成の促進を報告している。
【0011】本発明の方法および処置で使用されたカル
プロフェンおよびカルプロフェン誘導体の作用の正確な
機構はよく解っていないが、GAGポリ硫酸が働く作用
の推定機構と共通な何かを持っていることはありそうも
ないと考えられている。
【0012】McNamara,P.S.;Johns
ton,S.A.;and Todhunter,R.
J.;”遅効性疾患−改善変形性関節症剤”Osteo
arthritis,27(4),1997,863−
881、は栄養補給品と考えられている経口生産品(例
えば、ポリ硫酸化グリコサミノグリカン(PSGA
G))の疾患−改善有効性、即ちそれらが滑膜による軟
骨マトリックス合成およびヒアルロナン(HA)合成に
正の効果を持っているかどうか、ならびに変形性関節症
の関節における分解性酵素に対して阻害効果を持ってい
るかを研究した。グルコサミンおよびコンドロイチン硫
酸(CS)を含んでいる栄養補給品による変形性関節症
の疼痛性臨床徴候の望ましい改善は特定の場合にのみ支
持され科学的評価では支持されないことが観察された。
ヒアルロン酸(HA)に関しては一つの研究があり、萎
縮した哺乳類関節軟骨がHAで処置されて軟骨安定化効
果が得られている。HAは腫瘍壊死因子−α(TNF−
α)のダウンレギュレーションを通して作用することが
仮説として取り上げられた。これらの結果に基づくと、
HAは哺乳類におけるOA治療の可能性のある形態とし
て考えられた。また、軟骨ホメオスタシスに対する疾患
改善効果を示した研究に基づいて、顕微鏡的構造変化の
減少、軟骨でのプロテオグリカンの保持および対照関節
におけるプロテイナーゼ活性と比較した場合のプロテイ
ナーゼ活性の減少に基づいて、もし初期に投与された場
合はPSGAGはOAにおける有用な補助的処置であろ
うことも結論された。肉眼的および組織学的評価および
正常関節軟骨プロテオグリカン含量の維持に基づき、ペ
ントサンポリ硫酸(PPS)は有意に関節軟骨損傷を減
少させることが見出された。テトラサイクリン類のドキ
シサイクリンおよびミノサイクリンは、メタロプロテイ
ナーゼ、コラゲナーゼおよびゲラチナーゼ活性を阻害す
るそれらの能力のため疾患改善効果を提供するであろ
う。
【0013】議論した種々の処置剤で得られた関節組織
に対する前記の多面的効果は、本発明の処置法で使用さ
れるカルプロフェンおよびカルプロフェン誘導体と共通
して共有される一つまたはそれ以上の作用機構を通して
得られるのであろう。しかしながら、それらのかけ離れ
た構造非類似性のため、これらの試薬のいずれも本発明
のカルプロフェンおよびカルプロフェン誘導体をいかに
しても示唆しないであろう。
【0014】Benton,H.P.;Vasseu
r,P.B.;Broderick−Villa,G.
A.;and Koolpe,M.;”硫酸化グリコサ
ミノグリカン代謝、タンパク質合成および培養変形性関
節症哺乳類軟骨細胞によるプロスタグランジン放出に対
するカルプロフェンの影響”American Jou
rnal of Veterinary Resear
ch,58(3),1997,286−292、はカル
プロフェンの抗炎症性効果は、NSAID活性に付随す
る主機構であるシクロオキシゲナーゼ酵素阻害に関係し
ない作用の基本様式により媒介されるであろうことを示
した後、関節炎の処置に使用されたNSAIDの骨およ
び軟骨代謝に対する直接的な影響についての考慮を忠告
している。そのようなアスピリンおよびインドメタシン
のようなNSAIDは関節膨潤および関節腔内への炎症
細胞の湿潤を抑制するが、同時にそのようなNSAID
はIL−1活性を刺激し、このサイトカインの作用は順
にマトリックス分解の刺激および新しいマトリックス合
成の阻害を生じる。従って、IL−1のアップレギュレ
ーションは軟骨維持に対して長期の逆効果を持っている
であろう。哺乳類軟骨外植片の細胞培養を用いおよびG
AG合成および分解、タンパク質合成、細胞生存度およ
びプロスタグランジン放出に対するカルプロフェンの影
響を測定することにより、1および10μg/mlのカ
ルプロフェン濃度は軟骨プロテオグリカン分解に対する
直接的影響無しに新規軟骨GAG合成を選択的に刺激す
ることによる軟骨マトリックス維持に有利な効果を持っ
ていたことが発見された。しかしながら、さらなる研究
に対する必要性が認められている。
【0015】上に議論した技術的文献により示されたよ
うに、関節軟骨の完全性はサイトカイン駆動同化および
異化過程間の平衡により維持されているので、関節疾患
におけるサイトカインの役割により多くの関心が集めら
れている。しかしながら、OAの病態生理学へのサイト
カイン作用の特異的寄与はよく理解されていない。We
stacott,C.I.and Sharif,
M.;”変形性関節症におけるサイトカイン:関節破壊
のメディエイターまたはマーカー?”、Seminar
s in Arthritis and Rheuma
tism,25(4),1996,254−272を参
照されたい。
【0016】関節軟骨変性の多因子特性およびそれが進
行する多くの作用機構を評価するために種々のアッセイ
および動物モデルが開発された。これらの動物モデルの
より重要なものの一つは哺乳類個体の左膝の前十字靱帯
が離断され、一方右膝関節は手術されずに正常対照とし
て残されている十字欠損哺乳類膝モデルである。哺乳類
左膝関節にこのように誘導されたストレスは最後には変
形性関節症を生み出すが、哺乳類関節における非常に初
期の病理学的変化、特に軟骨下骨の特性の変化および覆
っている関節軟骨の変性に関して実質的な再現を行って
いる。十字欠損哺乳類モデルを使用して実施された研究
のいくつかの議論はBrandt,K.D.,”十字欠
損哺乳類により提供された変形性関節症の天然の履歴に
関する洞察”、Annals of the New
York Academy ofScience,73
2,1994,199−205、を参照されたい。
【0017】関節軟骨変性および変形性関節症の初期の
変化およびこれらの変化に関する作用機構にさらなる光
を当てるために十字欠損哺乳類モデルおよび他のアッセ
イを使用したさらなる研究は技術文献からの以下の論文
に記載されている:Dean,D.D.;Martel
−Pelletier,J.;Pelletier,J
−P.;Howell,D.S.;Woessner,
J.F.,Jr.;”ヒト変形性関節症におけるメタロ
プロテイナーゼおよびメタロプロテイナーゼ阻害剤不平
衡の証拠”J.Clin.Invest.,84,19
89,678−685;Martel−Pelleti
er,J.;Cloutier,J−M.,;Pell
etier,J−P.;”ヒト変形性関節症組織におけ
るサイトカイン、インターロイキン−1および腫瘍壊死
因子”,Trans.Orthrop.Res.So
c.,15,1990,111;Martel−Pel
letier,J.;McCollum,R.;DiB
attista,J.;Faure,M−P.;Chi
n,J.A.;Fournier,S.;Sarfat
i,M.;Pelletier,J−P.;”正常およ
び変形性関節症ヒト関節軟骨細胞におけるインターロイ
キン−1レセプター”,Arthritis & Rh
eumatism.35,1992,530−540;
Pelletier,J−P.;Faure,M−
P.;DiBattista,J.A.;Wilhel
m,S.:Visco,D.;Martel−Pell
etier,J.;”実験的変形性関節症におけるスト
ロメリシン、インターロイキン−1および癌遺伝子タン
パク質の協同的合成−免疫組織学的研究”Am.J.P
athol.,142,1993,95−105;およ
びHilal,G.;Martel−Pelletie
r,J.;Pelletier,J−P.;Range
r,P.;Lajeunesse,D.;”ヒト軟骨下
骨変形性関節症骨からの骨芽細胞様細胞はインビトロに
おいて変化した発現型を示した”Arthritis
& Rheumatism,41(5),1998,8
91−899。
【0018】
【課題を解決するための手段】発明の要約 本発明に従うと、哺乳類の一つまたはそれ以上の関節中
の関節軟骨または軟骨下骨の変性の初期段階を処置また
は予防する方法がそのような処置を必要としている哺乳
類に提供され、それは(1)該初期段階に現在あるまた
は予期される、従ってそのような処置を必要としている
該哺乳類の状態を確立し、およびそれにより(2)該哺
乳類に関節軟骨または軟骨下骨の変性の該初期段階を処
置または予防するのに有効な治療的量で式(I)の軟骨
保護化合物を投与することから成っている:
【化6】 式中:R2
【化7】 であり、式中Aはヒドロキシ、(C1−C4)アルコキ
シ、アミノ、ヒドロキシ−アミノ、モノ−(C1−C2
アルキルアミノ、ジ−(C1−C2)アルキルアミノであ
り;XおよびYは独立してHまたは(C1−C2)アルキ
ルであり;およびnは1または2である;R6はハロゲ
ン、(C1−C3)アルキル、トリフルオロメチルまたは
ニトロであり;R9はH;(C1−C2)アルキル;フェ
ニルまたはフェニル−(C1−C2)アルキル(ここでフ
ェニルは随意にフルオロまたはクロロで一置換されてい
る);−C(=O)−R(式中Rは(C1−C2)アルキ
ルまたは随意にフルオロまたはクロロで一置換されてい
るフェニルである);または−C(=O)−O−R
1(式中R1は(C1−C2)アルキルである)である;X
およびYが異なっている場合、それらの(−)(R)お
よび(+)(S)エナンチオマー;および関節軟骨また
は軟骨下骨の変性の該初期段階を処置または予防するの
に治療的に活性であるそれらのすべての医薬として受容
可能な塩の形、プロドラッグおよび代謝物。式(I)の
軟骨保護化合物が(−)(R)および(+)(S)エナ
ンチオマーとして存在する場合、本発明に従うと(+)
(S)エナンチオマー単独で提供され、または両方のエ
ナンチオマーが一緒に存在する場合はそれらのラセミま
たは非ラセミ混合物として提供される。
【0019】該哺乳類が好適にはネコ、イヌまたはウマ
である前記の方法も提供され、該処置または予防は該変
性の該初期段階を引き起こす関節軟骨または軟骨下骨の
障害、損傷または損失を改善、軽減、積極的に処置、反
転または予防する。
【0020】本発明に従うと、哺乳類(好適にはネコ、
イヌまたはウマ)の一つまたはそれ以上の関節中の関節
軟骨または軟骨下骨の変性の初期段階を処置または予防
する前記の方法がそのような処置を必要としている哺乳
類にさらに提供され、ここで該初期段階に現在あるまた
は予期される、従ってそのような処置を必要としている
該哺乳類の状態が(1)股形成異常進行の測定を含む、
該哺乳類の臨床試験および関節の評価による陽性結果;
(2)該哺乳類の一つまたはそれ以上の関節に対する侵
襲的手術の実施;(3)ラジオグラフィーおよび磁気共
鳴イメージング(MRI)を含む非侵襲的手段を用いる
該哺乳類の一つまたはそれ以上の関節試験からの陽性結
果;または(4)下記の物質の一つまたはそれ以上に関
して該哺乳類の体液または関節組織に対して実施された
生化学試験からの陽性結果により決定される:インター
ロイキン−1ベータ(IL−1β)の増加;腫瘍壊死因
子アルファ(TNFα)の増加;IL−1レセプターア
ンタゴニストタンパク質(IRAP)に対するIL−1
βの比の増加;p55TNFレセプター(p55TNF
−R)発現の増加;インターロイキン−6(IL−6)
の増加;白血病阻止因子(LIF)の増加;インスリン
様増殖因子−1(IGF−1)の未変化または減少;形
質転換増殖因子ベータ(TGFβ)の減少;血小板由来
増殖因子(PDGF)の未変化または減少;塩基性線維
芽細胞増殖因子(b−FGF)の未変化または減少;ケ
ラタン硫酸の増加;ストロメリシンを含むマトリックス
メタロプロテアーゼ(MMP)の増加;メタロプロテア
ーゼの組織阻害剤(TIMP)に対するストロメリシン
を含むマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の比
の増加;オステオカルシンの増加;アルカリ性ホスファ
ターゼの増加;ホルモンチャレンジに対するcAMP応
答性の増加;ウロキナーゼ プラスミノーゲン活性化剤
(uPA)の増加;軟骨オリゴマーマトリックスタンパ
ク質の増加;およびコラゲナーゼの増加。
【0021】式(I)の軟骨保護化合物の上に列挙した
群から選択された一つより多い化合物;または一つまた
はそれ以上の式(I)の該軟骨保護化合物と本質的にポ
リ硫酸化グリコサミノグリカン(PSGAG)、グルコ
サミン、コンドロイチン硫酸(CS)、ヒアルロン酸
(HA)、ペントサンポリ硫酸(PPS)、ドキシサイ
クリンおよびミノサイクリンから成る群より選択された
一つまたはそれ以上の化合物から成る化合物の組み合わ
せを投与することにより哺乳類の一つまたはそれ以上の
関節の関節軟骨または軟骨下骨変性の初期段階を処置ま
たは予防する前記の方法を実施することも本発明の範囲
内である。
【0022】定義されたような式(I)の軟骨保護化合
物、および特に6−クロロ−α−メチル−9H−カルバ
ゾール−2−酢酸の該(+)(S)エナンチオマーの該
治療的有効量が該哺乳類に全身的に投与される前記の方
法がさらに提供され、ここで該全身投与は以下のことを
含んでいる:(1)筋肉内または静脈内送達のため;ま
たは送達のためのデポー剤として働くために適した液体
形の該軟骨保護化合物を含んでいる医薬組成物の適した
体組織または腔内への注射または注入;(2)遅延、徐
放および/または制御放出送達のための固形移植組成物
として働くために適した固体形の該軟骨保護化合物を含
んでいる医薬組成物の適した体組織または腔内へのイン
スチレーション;または(3)経口送達のために適した
固形または液体形の該軟骨保護化合物を含んでいる医薬
組成物の摂取。
【0023】少なくとも10時間以上かける制御された
様式で活性成分の全身送達を行う遅延性放出または徐放
性放出経口錠剤、カプセルおよび微粒子物から成る群よ
り選択された固形経口剤形の摂取または投与を含む関節
軟骨または軟骨下骨変性の初期段階を処置または予防す
る前記の方法も提供される。
【0024】式(I)の該軟骨保護化合物の該治療的有
効量が局所的に投与される前記の方法がさらにまた提供
され以下の方法を含んでいる:(1)該局所部位内への
該軟骨保護化合物の遅延性放出、制御放出および/また
は徐放性放出を行う成分を含み、関節内、軟骨内、肋骨
内、骨内、骨盤内、脊椎内、胸骨内、滑膜内または足根
骨内送達のため;または送達のためのデポー剤として働
くため(ここで組成物は該軟骨保護化合物を貯蔵し、そ
の後に遅延、徐放および/または制御放出を行う)に適
した液体形の該軟骨保護化合物を含んでいる医薬組成物
の関節軟骨または軟骨下骨変性の初期段階での局所部位
内への注射または注入;または(2)送達のための固形
移植物として働くために適した固体形の、該軟骨保護化
合物を含んでいる医薬組成物のインスチレーション、該
組成物は随意に該局所部位への該化合物の遅延、徐放お
よび/または制御放出を提供する。
【0025】該軟骨保護化合物の治療的有効量が、該哺
乳類に1日当たり、該メンバーの体重kg当たりのmg
で表して、約0.01mg/kgから約20.0mg/
kg/日、好適には約0.1mg/kgから約12.0
mg/kg/日、より好適には約0.5mg/kgから
約10.0mg/kg/日、および最も好適には約0.
5mg/kgから約8.0mg/kg/日の範囲で投与
される上記の方法がさらにまた提供される。6−クロロ
−α−メチル−9H−カルバゾール−2−酢酸の投与は
典型的には約4.0mg/kg/日の割合で提供され
る。
【0026】本発明に従うと、処置を必要としている哺
乳類の関節中の関節軟骨または軟骨下骨変性の初期段階
を処置または予防するための医薬組成物がさらに提供さ
れ、それは医薬として受容可能な坦体と一緒に該関節軟
骨または軟骨下骨変性の初期段階を処置または予防する
ための治療量の前に定義した式(I)の軟骨保護化合物
を含んでいる。
【0027】前記の医薬組成物がさらに提供され、ここ
で該軟骨保護化合物は式(I)の化合物であり、式中、
XおよびYの一つはHであり、他方はメチルである;お
よび式中、生じる両方のエナンチオマーが存在する場
合、(+)(S)エナンチオマーが少なくとも75%の
量で存在している。特に、前記の医薬組成物が提供さ
れ、ここで式(I)に対し、R2はn=1、XおよびY
の一つはHであり、他方はメチルであり、およびAはヒ
ドロキシ、(C1−C2)アルコキシまたはアミノであ
り;R6はクロロまたはトリフルオロメチルであり;お
よびR9はH、メチル、アセチル、ベンゾイルまたはア
セチルオキシであり;生じる両方のエナンチオマーが一
緒に存在する場合、(+)(S)エナンチオマーが少な
くとも75%、好適には少なくとも90%、より好適に
は少なくとも95%、および最も好適には少なくとも9
9%の量で存在する。
【0028】前記の医薬組成物がさらにまた提供され、
ここで該軟骨保護化合物は6−クロロ−α−メチル−9
H−カルバゾール−2−酢酸から成っており、生じる両
方のエナンチオマーが一緒に存在する場合、(+)
(S)エナンチオマーが少なくとも75%、好適には少
なくとも90%、より好適には少なくとも95%、およ
び最も好適には少なくとも99%の量で存在する。特
に、前記および後記の医薬組成物が提供され、そこで該
阻害剤はもっぱら6−クロロ−α−メチル−9H−カル
バゾール−2−酢酸の(+)(S)エナンチオマーから
成っている。
【0029】式(I)の軟骨保護化合物の治療的有効量
が、用いられた投与計画および投与パラメーターの前後
関係において、該軟骨保護化合物の量で処置されている
メンバーを提供するのに十分であり、1日当たり、該メ
ンバーの体重kg当たりのmgで表して、約0.01m
g/kgから約20.0mg/kg/日、好適には約
0.1mg/kgから約12.0mg/kg/日、より
好適には約0.5mg/kgから約10.0mg/kg
/日、および最も好適には約0.5mg/kgから約
8.0mg/kg/日の範囲である前記の医薬組成物も
提供される。6−クロロ−α−メチル−9H−カルバゾ
ール−2−酢酸は典型的には約4.0mg/kg/日の
割合で投与される。
【0030】式(I)の軟骨保護化合物の該治療的有効
量が全身投与に適した剤形で提供される前記の医薬組成
物がさらに提供され、ここで該全身投与は以下のことを
含んでいる:(1)筋肉内または静脈内送達のため;ま
たは送達のためのデポー剤として働くために適した液体
形の該軟骨保護化合物を含んでいる該医薬組成物の適し
た体組織または腔内への注射または注入;(2)送達の
ための固形移植組成物として働くために適した固体形の
該軟骨保護化合物を含んでいる該医薬組成物の適した体
組織または腔内へのインスチレーション、該組成物は随
意に遅延、徐放および/または制御放出送達のために提
供される;または(3)経口送達のために適した固形ま
たは液体形の該軟骨保護化合物を含んでいる医薬組成物
の摂取。
【0031】式(I)の該軟骨保護化合物の該治療的有
効量が局所的投与に適した剤形で提供される前記の医薬
組成物もさらにまた提供され、局所投与は以下の方法を
含んでいる:(1)該局所部位内への該軟骨保護化合物
の遅延性放出、制御放出および/または徐放性放出を行
う成分を含み、関節内、軟骨内、肋骨内、骨内、骨盤
内、脊椎内、胸骨内、滑膜内または足根骨内送達のた
め;または送達のためのデポー剤として働くため(ここ
で組成物は該軟骨保護化合物を貯蔵し、その後に遅延、
徐放および/または制御放出を行う)に適した液体形の
該軟骨保護化合物を含んでいる医薬組成物の関節軟骨ま
たは軟骨下骨変性の初期段階での局所部位内への注射ま
たは注入;または(2)送達のための固形移植物として
働くために適した固体形の、該医薬組成物のインスチレ
ーション、該組成物は随意にそれらの遅延、徐放および
/または制御放出を提供する。
【0032】前記の医薬組成物の特別な剤形には、哺乳
類の胃から遠位送達を容易にするために胃での放出およ
び吸収が妨げられている遅延性放出経口錠剤、カプセ
ル、カプレットおよび多粒子物、および24時間までの
制御された様式で活性成分の全身送達を提供する徐放性
放出錠剤、カプセルおよび微粒子物から成る群より選択
される固形経口剤形が含まれる。
【0033】本発明に従うと、式(I)の軟骨保護化合
物と一緒に一つまたはそれ以上の他の治療的に活性な薬
剤の組み合わせが提供され、それは前記本発明の医薬組
成物を構成する。それは関節が同時に微生物(例えば、
細菌、真菌、原虫、ウイルスなど)により重度に感染さ
れた場合に提供され、本発明の活性成分は望ましくは一
つまたはそれ以上の抗生物質、抗菌剤、抗原虫剤、抗ウ
イルス剤または類似の治療剤と組み合わせて投与される
であろう。さらに、式(I)の軟骨保護化合物は本質的
に阻害剤の部類から成る群より選択された一つまたはそ
れ以上のものと組み合わせて投与してもよく、例として
以下のものが含まれる:H1−レセプターアンタゴニス
ト;キニン−B1およびB2−レセプターアンタゴニス
ト;ロイコトリエンLTC4−、LTD4/LTE4−お
よびLTB4−阻害剤;PAF−レセプターアンタゴニ
スト;種々の親水性基を持つアウロチオの形の金;免疫
抑制剤(例えば、シクロスポリン、アザチオプリンおよ
びメトトレキセート);抗炎症性グルココルチコイド
(例えば、デキサメタゾン);広スペクトル抗寄生虫抗
生物質(例えば、アベルメクチンおよびミベマイシ
ン);ペニシラミン;ヒドロキシクロロキン;抗通風薬
(例えば、コルヒチン);キサンチンオキシダーゼ阻害
剤(例えば、アロプリノール);尿酸排泄薬(例えば、
プロベネシド、スルフィンピラゾンおよびベンズブロマ
ロン)。さらに、式(I)の軟骨保護化合物は、記憶喪
失および障害を抑える充血治療薬;抗異常運動/抗パー
キンソン病薬(例えば、セレゲリン);利尿薬、ヒドラ
ジンのような血管拡張薬、プロプラノールのようなベー
タ−アドレナリン作動性レセプターアンタゴニスト、僧
帽弁閉鎖不全症を持つ老年哺乳類を処置するために使用
されるエナラプリルのようなアンギオテンシン−II変
換酵素阻害剤(ACE−阻害剤)およびエナラプリル単
独および中性エンドペプチダーゼ阻害剤との組み合わ
せ、ロサルタンのようなアンギオテンシン−IIレセプ
ターアンタゴニスト、レニン阻害剤、ニフェジピンのよ
うなカルシウムチャンネル阻止剤、メチルドーパのよう
な交換神経遮断薬、クロニジンのようなα2−アドレナ
リンアゴニスト、プラゾシンのようなα−アドレナリン
作動性レセプターアンタゴニストおよびロバスタチンお
よびアトルバスタチンのようなHMG−CoA−還元酵
素阻害剤(抗高コレステロール血症)から選択される、
高血圧を含むアテローム性動脈硬化症、アンギナ、鬱血
性心不全および心筋梗塞を含む心筋虚血症の帰結を相殺
することが意図された抗高血圧および他の心血管薬;抗
腫瘍薬、特にビンブラスチンおよびビンクリスチンのよ
うなビンカアルカロイドを含む細胞分裂抑制薬;強力な
鎮痛薬;局所および全身麻酔薬;およびH2−レセプタ
ーおよび他の胃保護薬から本質的に成る群より選択され
る一つまたはそれ以上の薬剤を含む年をとった哺乳類に
観察される疾患状態、症候群および徴候の処置を意図す
る治療薬と組み合わせて投与される。
【0034】上記の治療薬の組み合わせが、関節軟骨ま
たは軟骨下骨変性の初期段階と同時に起こった細菌感染
を含む哺乳類での急性状態を処置するために、および哺
乳類の慢性状態を処置するために使用されることが提供
され、ここでこの目的に使用される投与計画は以下のこ
とから成っている:慢性状態を処置するために規則的に
計画立てられた基準で使用される他の医薬と組み合わさ
れた本発明の軟骨保護化合物の投与;意図される組み合
わせが形成される一つまたはそれ以上の他の治療薬と本
発明の軟骨保護化合物を、組み合わせられるすべての薬
剤を含む通常の剤形に処方、ここで該異なった薬剤は、
比較的一定の投与ができる異なった放出時間を持つ該薬
剤の制御放出形を作ることにより変化する半減期を持っ
ている;組み合わせに使用される該薬剤が飼料組成物と
一緒に混合されて存在する医薬添加飼料剤形。本発明に
従うと同時投与が提供され、ここで薬剤の組み合わせ
は、組み合わされて与えられるべき該薬剤を同時に投与
することにより達成される;異なった剤形および投与経
路による同時投与も含まれている;該組み合わせを構成
する個々の薬剤が哺乳類へ同時に投与されなくても、処
置の間、該哺乳類において含まれている該薬剤の所望の
血漿レベルが維持される、異なったしかし規則的なおよ
び連続的な投与スケジュールに従った組み合わせの使
用。
【0035】本発明に従うと、処置を必要としている哺
乳類の一つまたはそれ以上の関節の関節軟骨または軟骨
下骨変性の初期段階を処置または予防するための商業的
使用に適した包装もまた提供され、適切な外側カートン
およびその中に取り除き可能なように収納された内部容
器から成っている;該容器に同封されているものは本明
細書で前に記載されているような式(I)の軟骨保護化
合物の適した投薬量であり;および該カートンまたは該
カートンに収納されている該容器に張り付けられている
かまたは該カートンまたは容器の不可欠な部分として表
示されている印刷された指示または情報提供資料が該カ
ートンまたは容器に付随しており、該指示または情報提
供資料は言葉で述べられており、それは該活性成分が、
哺乳類の一つまたはそれ以上の関節の関節軟骨または軟
骨下骨変性の初期段階に哺乳類に投与された場合、該変
性の初期段階に続く関節軟骨または軟骨下骨の傷害、損
傷または損失を改善、軽減、積極的に処置、反転または
予防するであろうことを読者に伝えている。好適な態様
において、前記のようなカートンおよび容器から成る該
包装は、特に該指示または情報提供資料を含んで、販売
および動物の処置のための薬剤の使用に関するすべての
規定必要条件に従っている。
【0036】本発明に従うと、さらに説明されたような
適した容器;該容器に同封された経口剤形の式(I)の
軟骨保護化合物;および該容器に付随する上で説明され
たような印刷された指示または情報提供資料から成る、
すぐ上に説明したような型の包装が提供されるであろう
ことも意図されている。
【0037】発明の詳細な説明 本発明の目的は、一つまたはそれ以上の関節の関節軟骨
または軟骨下骨の傷害、損傷または損失を将来被るであ
ろう哺乳類に応用可能である処置の方法およびそれに有
用な医薬組成物ならびにそれらの適した包装を提供す
る。哺乳類の中でもネコ、イヌおよびウマは特にリウマ
チ性関節炎、変形性関節炎、外傷性または変形性関節疾
患、損傷関節の使用、真性または初期の股形成異常およ
び骨軟骨症のような炎症性疾患および過程にかかりやす
い。これらの炎症性疾患および過程に随伴する重要なこ
とは、炎症を持っているまたはなるかもしれないネコ
科、イヌ科またはウマ科動物の関節中に存在する関節軟
骨および軟骨下骨への実際のまたは予期される損傷また
はびらんである。
【0038】哺乳類における炎症は非ステロイド抗炎症
剤(NSAID)(例えば、ARQUELR、メクロフ
ェナミン酸)の投与により処置できるが、米国でのイヌ
における使用には米国食品薬品局、家畜医薬委員会(F
DA/CVM)により二つの治療剤しか認められていな
い。より多くの種類のNSAIDがヒトでの使用で認め
られており、従って、臨床試験および厳重な調査から実
質的により大きな効能および安全データが提供されてき
た。従って、獣医学環境におけるNSAID作用(特に
非ヒト哺乳類の処置のおける使用)の作用様式および他
の薬学的特色についての結論はしばしばヒト哺乳類での
経験から外挿されている。本明細書の説明はこれらの哺
乳類種間の高度の生理学的共通性という類似の利点を利
用し、本発明の多くの根本的な特色を論証する。
【0039】抗炎症剤で哺乳類を処置することは二つの
点で特に問題が多い。第一に、哺乳類の関節中の軟骨お
よび軟骨下骨の病理学的変化は最も普通には変形性関節
炎を伴うが、それはまだ完全に理解されていない多因子
のおよび多様に発現される疾患であり、適切な治療の決
定をしばしば困難にしている。例えば、滑膜炎症の幾分
の程度は変形性関節炎の通常の構成要素であるけれど
も、この炎症は軟骨分解の間に放出される免疫原の影響
により生じると考えられてきた。しかしながら最近にな
って、このパラダイムに疑問が投げかけられている。第
二に、ほとんどのNSAID(特に使用がより確立され
ているもの)の長期投与は実際に変形性関節炎の進行を
悪化させる。これらの問題および不確定さを考慮すれ
ば、式(I)の軟骨保護化合物がそのような軟骨損傷の
処置または予防に有用であり、一方同時に哺乳類関節の
炎症経過には何の不利な影響も与えないという本発明の
発見はなお一層驚くべきことである。本発明のこのおよ
び他の特色は、特に本発明の処置法に関係する哺乳類関
節中の軟骨の特徴および特性を記載した以下の節からよ
りよく理解されるであろう。
【0040】軟骨はいくつかの形で存在する線維性結合
組織である(例えば、硝子軟骨、弾性軟骨および線維軟
骨)。硝子軟骨はいくぶん弾性がある、乳白色の青みが
かった色合いの半透明な物質であり、軟骨細胞、成熟軟
骨が生じる腔(窩)を持ち、塩基性親和性で原線維を含
有する間質性物質から成っている。それは水、コラーゲ
ンおよびプロテオグリカン(それらは一緒になってかな
りの衝撃吸収能力を持ち、硬いが弾力がある独特の繊維
強化水ゲルを作り出す)から成る高度に特化した結合組
織である。プロテオグリカン(PG)成分は線維状構造
を持つタンパク質−炭水化物複合体である。この線維状
構造のコアはヒアルロン酸の単一の長い分子であり、グ
リコサミノグリカン(GAG)、即ち、糖の一つがN−
アセチルガラクトサミンかまたはN−アセチルグルコサ
ミンである反復二糖単位のポリマーである。ヒアルロン
酸においては、例えば、反復二糖単位は単糖誘導体グル
クロン酸へのグリコシド結合β(1→4)を持つ単糖誘
導体N−アセチルグルコサミンから成っており、それは
順に反復二糖の次のN−アセチルグルコサミンへのグリ
コシド結合α(1→3)を持っている。
【0041】軟骨のヒアルロン酸線維状コアへは、順
に、”連結タンパク質”の助けを借りてコラーゲンから
成る規則正しい一連の伸張コアタンパク質が非共有結合
的に結合されている。コラーゲンの基本単位はトロポコ
ラーゲン分子(各々約1000残基の長さの三つのポリ
ペプチド鎖の三重らせん)である。これらの伸張コアコ
ラーゲン分子の各々に、順に、セリン側鎖を通して規則
正しい一連のコンドロイチン硫酸およびケラタン硫酸鎖
が結合されている。コンドロイチン硫酸およびケラタン
硫酸もまた前記のヒアルロン酸に類似したグリコサミノ
グリカン(GAG)の例であり、反復二糖単位のポリマ
ーの糖の一つはGalNAc−6s、即ち炭素6に硫酸
基を持つN−アセチルガラクトサミンでなければならな
い。軟骨構造の成分であるグリコサミノグリカンは多糖
類であり、複雑な構造にポリペプチドを接近させる広範
囲の特性を持つポリマーを生成するように糖残基が修飾
されている。従って、関節軟骨(即ち、哺乳類の関節に
みられる軟骨)は精巧なおよび複雑な分子構造で形成さ
れていることがわかるであろう。本発明の方法および組
成物が軟骨障害および損失の問題を取り扱う様式を理解
するためには、微視的スケールでの前記の列挙した研究
に加え、巨視的スケールで関節中の軟骨の構成およびそ
の環境を考察する必要もある。
【0042】前に説明したように関節軟骨は生きている
細胞を含んでおり(軟骨細胞)、それは一般に細胞外マ
トリックスと称される間質性物質を発生し、それに取り
囲まれている。変形性関節炎はジアスロダイアル(動か
せる、滑膜で裏打ちされた)関節の障害と定義されてい
るので、そのような関節においては接触するであろう少
なくとも二つの動かせる骨質表面が常に観察される、し
かしそれらは滑膜(関節腔を満たしている透明でアルカ
リ性で粘着性の液体である滑液を分泌する)および軟骨
(通常その個所で滑膜に代わりに咬合骨質表面の間に置
かれている)で取り囲まれているのは事実である。
【0043】変形性関節炎において最も早い全体の臨床
所見は関節表面のいつも負荷がかかっている領域の関節
軟骨の軟化であり、哺乳類の膝関節の場合(特に、膝関
節の十字靭帯が離断された変形性関節炎のモデルにおい
て)、大腿顆および頸骨プラトーから成っている。変形
性関節炎の進行とともに軟骨表面の完全な状態が失わ
れ、関節軟骨が薄くなり、フィブリレーションと称され
る過程で垂直の裂溝が軟骨の深部へ伸びる。関節運動は
軟骨の線維性収縮を起こし、分節を脱落させて骨を下に
露出させ(軟骨下骨)、それは続いて硬化症を起こす。
滑液で満たされている軟骨下骨嚢胞も発現する。関節周
辺に骨棘が形成される。
【0044】軟骨下骨の変化もまた軟骨破壊の病理に役
割を果たしている。哺乳類の関節の研究(特に前方十字
靭帯離断を受けたイヌにおいて)は軟骨下骨硬化症およ
びオステオペニア、即ち、軟骨下骨柱中の骨の損失を明
らかにした。これらの変化に続いて、軟骨下骨板の肥大
化がある。軟骨下骨の損失は乗っている関節軟骨上への
機械的ストレスを増加させ、変性へ導く。続いての軟骨
下骨板の肥大化は内因性の修復機構に悪い影響を与え、
それにより軟骨分解の進行に寄与している。
【0045】軟骨の細胞外マトリックスの分解は軟骨細
胞の有糸分裂を伴い、それはクラスターとして形成され
る。軟骨のグリコサミノグリカン成分の減少および斑状
プロテオグリカンの枯渇が生じる。多くの領域で、太く
て密な平行コラーゲン性束鞘の細胞外マトリックスとし
て特徴付けられる線維軟骨が硝子軟骨に取って代わる。
しかしながら、これらおよび上記の関節軟骨の病理学的
変化は変形性関節炎の後期の段階で特徴的であること、
および肥大(即ち、関節軟骨の肥大)が、十字欠損哺乳
類、特にイヌ膝関節モデルにおいて最初に起こることに
注意されたい。軟骨肥大は水含量の増加、プロテオグリ
カン合成の増加、および関節軟骨中のプロテオグリカン
の含量および濃度の両方の増加により生じる。関節軟骨
の肥大性修復のこの段階はしばらくの間持続するが、形
成された修復軟骨組織は、正常硝子軟骨が持っている機
械的ストレスに対する弾性および反発性に欠けている。
最後には、プロテオグリカン生成は低下し、軟骨細胞は
もはやそれらの細胞外マトリックスを維持できなくな
る。この最終段階では関節軟骨の完全な厚さを失う。
【0046】滑膜炎(即ち、滑膜、滑液膜の炎症)は軟
骨損傷および損失の病理に寄与できる。滑膜炎症は単核
細胞による滑液の広範囲な湿潤、滑膜細胞の過形成およ
びリンパ球様凝集により特徴付けられる。滑膜炎はリウ
マチ性および他の炎症性関節炎における軟骨損傷に著し
く寄与している。OAの初期段階における滑膜炎症の役
割はあまりよく理解されていないが、滑膜炎はOAの臨
床段階には存在している。十字欠損哺乳類膝モデル、特
に十字靭帯が盲刺切創により離断されたPond−Nu
kiモデルは関節内出血を起こす。ヘモスタシスが観察
されおよび出血が注意深く制御されたところでは、滑膜
炎は避けることができる。しかしながら、滑膜炎を持つ
哺乳類群と持たない哺乳類群間を比較した場合、二つの
群の関節軟骨変化は区別できなかった。
【0047】すでに説明したように、サイトカインの活
性は軟骨損傷および損失の病理の重要な部分である。サ
イトカインは細胞内メッセンジャーであり、正常な生理
学において必須の働きを行っており、関節軟骨に関して
は、競合する同化および異化過程を制御することにより
完全性を保っている。サイトカインは細胞から放出さ
れ、しばしば多および重複活性を持っている。サイトカ
インは可溶性糖タンパク質であり、ピコモルからナノモ
ル濃度で非酵素的に働いて宿主細胞機能を制御する。サ
イトカインの放出は特定のシグナルにより促進され、細
胞内の遺伝子発現に影響することにより細胞の種々の機
能に影響を及ぼす。サイトカインは比較的短い半減期を
持ち、それらが細胞内空間を通して到達する宿主細胞の
目下の環境内(自己分泌活性)または隣接する細胞(パ
ラ分泌活性)に影響を働かせる。サイトカインは宿主細
胞表面または隣の細胞表面上のレセプターまたは宿主細
胞内の内部因子に結合するか、または膜結合サイトカイ
ンを経る直接細胞−細胞コミュニケーションを行う。
【0048】サイトカインホメオスタシスは天然に存在
する阻害剤との相互作用により維持されている。レセプ
ターアンタゴニストはサイトカイン結合部位に競合的に
結合しシグナル伝達を防止し、自己抗体はサイトカイン
に結合して中和し、およびサイトカイン結合タンパク質
および可溶性レセプターは活性メジエイターからサイト
カインを除去する。例えば、IL−1レセプターアンタ
ゴニストタンパク質(IRAP)は、レセプターへのI
L−1の結合を阻止する(両方のレセプター)。IL−
1αの自己抗体(sIL−1R)およびインシュリン様
増殖因子結合タンパク質(IGF−BP)が存在し、そ
れらは活性メジエイターからサイトカインを除去するた
めに働くか、サイトカインのタンパク質分解性破壊を防
止するか、またはサイトカインの輸送タンパク質として
働いている。サイトカインは他のサイトカインの活性に
対抗することもある。例えば、IL−1活性は形質転換
増殖因子ベータ(TGFβ)およびIGF−1存在下で
減少する。
【0049】上記のサイトカインおよびそれらの調節因
子間の入り組んだ平衡の破壊は、関節中の病理学的変化
を促進または寄与している。そのような関節においては
関節軟骨が機械的ストレスから軟骨下骨を保護してい
る。軟骨は水、コラーゲンおよびプロテオグリカン(そ
れらは一緒になってかなりの衝撃吸収能力を持ち、硬い
が弾力がある独特の繊維強化水ゲルを作り出す)から成
る高度に特化した結合組織である。軟骨の細胞外マトリ
ックスは高い活性を持つ軟骨細胞により生成され、この
マトリックスの完全性は、異化的サイトカインIL−1
α、βおよびTNFαおよび同化的サイトカインIGF
およびTGFβの作用間の平衡により維持されている。
IL−1α、βおよびTNFαは特異的マトリックス分
解メタロプロテアーゼの生成を誘導することにより働
き、一方IGFおよびTGFβは軟骨の巨大分子建造ブ
ロック、コラーゲンおよびプロテオグリカンの生成を誘
導することにより成長因子として働いている。他のサイ
トカインおよびそれらの阻害剤、ならびにメタロプロテ
アーゼの組織阻害剤(TIMP)もまたマトリックスホ
メオスタシスと称されているこの平衡に影響する。
【0050】本明細書で使用される場合、用語”メタロ
プロテアーゼ”とはマトリックスメタロプロテアーゼ
(MMP)を意味しており、特に通常、関節軟骨変性間
に濃度の上昇を示す酵素ファミリー、即ちストロメリシ
ン、コラゲナーゼおよびゲラチナーゼが含まれる。コラ
ゲナーゼは一般に天然のコラーゲンの分解に関与し;ス
トロメリシンは一般にプロテオグリカン分解に関与し;
およびゲラチナーゼは一般に変性コラーゲンの分解に関
与している。MMP特性を持つ酵素、アグレカナーゼも
また、軟骨変性の初期段階に存在する軟骨プロテオグリ
カン凝集物のタンパク質分解に関与するのでこの用語に
含まれる。変性の初期段階に関節軟骨に存在する三つの
コラゲナーゼはコラゲナーゼ−1(MMP−1)、コラ
ゲナーゼ−2(MMP−8)およびコラゲナーゼ−3
(MMP−13)である。三つのストロメリシンの内
(ストロメリシン−1(MMP−3)、ストロメリシン
−2(MMP−10)およびストロメリシン−3(MM
P−11))、ストロメリシン−1のみが変性の初期段
階に関節軟骨に現れる。
【0051】軟骨損傷および損失を導く病理的変化の初
期段階にはマトリックス巨大分子の合成の増加により試
みられた修復が含まれる。しかしながら、グリコサミノ
グリカン成分の異なった組成および分布、およびヒアル
ロン酸成分と凝集するその能力の変化のため、修復軟骨
の構成には欠陥がある。これらの病理的変化の間に放出
される粒子もまた滑膜中の炎症性変化を導いているであ
ろう。しかしながら、この進行している病理にも関わら
ず、軟骨損傷および損失の初期段階は比較的わずかな痛
みを持つが無徴候である。従って、局所的軟骨損失がラ
ジオグラフィーにより同定できる前に、軟骨損傷および
損失の初期段階に哺乳類患者の輪郭を描く測定可能な変
化が同定されるであろう細胞外マトリックス成分および
サイトカインを同定するのが適切な目的である。この目
的がかなうと、著しい軟骨変性が起こる前に、初期薬学
的介入の候補者である哺乳類の診断分類が可能になる。
【0052】IL−1αおよびIL−1βとして生じる
IL−1は、哺乳類関節中の関節軟骨障害および損失を
媒介する異化性サイトカインである。それは関節軟骨に
観察されるタイプ・コラーゲンの合成を抑制し、一方線
維芽細胞に特徴的なタイプ・コラーゲンの合成を促進す
ることにより;マトリックス分解に関与する酵素の生成
を誘導することにより;新しいプロテオグリカンを合成
する軟骨細胞の能力を抑制することにより作用する。異
化的酵素生成を惹起するために占有されていなければな
らない、変性初期の関節軟骨中の反骨細胞表面上のIL
−1レセプター数は通常必要とされる数の4分の1のみ
である(1%対4%)。IL−1およびそのモジュレー
ターIRAPは同一の滑液マクロファージにより自己分
泌およびパラ分泌様式で産生され、IRAP産生は顆粒
球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)の
存在で増加するであろう。しかしながら、IL−1およ
びIRAP能力の間には著しい不均衡があり、軟骨細胞
および軟骨外植体で測定されたようにIL−1の効果を
なくすのに約130倍以上のIRAPが必要とされてい
る。IL−1およびIRAP間の不均衡はさらに関節軟
骨の変性を悪化させるであろう。
【0053】その結果、関節軟骨変性の初期段階で哺乳
類におけるIL−1およびIRAPのレベルおよびそれ
らの比、およびそれほど苦しんではいない哺乳類におけ
る同じ価値基準を測定するのも適切な目的であり、局所
的軟骨損失がラジオグラフィーにより同定できる前に、
軟骨損傷および損失の初期段階に哺乳類患者の輪郭を描
く測定可能な変化が同定されであろう。さらに、これら
の結果は著しい軟骨変性が起こる前の早期の薬学的介入
の候補である哺乳類の診断分類を提供する。さらに、関
節軟骨変性の初期段階に関節の滑液および滑膜組織中に
生じているIL−1αおよびIL−1β分泌マクロファ
ージの比率が検出でき、それは正常関節、即ち関節軟骨
変性の初期段階ではない関節からの滑液および滑膜組織
から単離された同様の細胞の比よりも著しく大きい。こ
こで再び、これらの結果は著しい軟骨変性が起こる前に
早期の薬学的介入の候補である哺乳類の診断分類が提供
される。
【0054】またさらに、炎症過程に開始および維持に
関与するサイトカインは石灰化区域中の微小クラックを
通って軟骨の下層へ接近することができるので、関節軟
骨中の全体の変化が明らかになる前に軟骨下骨の変化が
起こる。関与する軟骨細胞の代謝が悪い影響を受け、関
節軟骨の中層の軟骨細胞に加えて、炎症過程に開始およ
び維持に関与する多くのサイトカインを産生する。自己
分泌様式で作用しているこれらの軟骨細胞は、従って、
それら自身の細胞外マトリックスの破壊に寄与してい
る。関節軟骨の増加した水含量も、マトリックスを通し
た炎症性サイトカインの拡散を増加させることによりこ
の過程を容易にしている。従って、関節軟骨変性過程の
間に哺乳類(特にイヌ)の軟骨細胞、滑膜細胞および/
または軟骨下骨細胞により産生される種々の炎症性サイ
トカインのレベル、およびそれほど苦しんではいない哺
乳類における同じ価値基準を測定するのも適切な目的で
あり、局所的軟骨損失がラジオグラフィーにより同定で
きる前に、軟骨損傷および損失の初期段階に哺乳類患者
の輪郭を描く測定可能な変化が同定されであろう。これ
らの結果は著しい軟骨変性が起こる前の早期の薬学的介
入の候補である哺乳類の診断分類を提供する。
【0055】腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)は関節
軟骨の変性に関してIL−1の10分の1の効力しか持
っていないが、滑液中のその濃度は、特に十字靭帯を切
開した哺乳類の膝関節では反対の非切開膝と比較すると
著しく増加する。また、そのような膝関節に存在する関
節軟骨から単離された軟骨細胞上にはp55TNFレセ
プターの発現が促進されている。従って、軟骨損傷およ
び損失の初期段階に起こる病理変化にTNFαは役割を
持っており、同様に関節軟骨変性の初期段階で哺乳類に
おけるTNFαおよびTNF−Rのレベル、およびそれ
ほど苦しんではいない哺乳類における同じ価値基準を測
定するのも適切な目的であり、局所的軟骨損失がラジオ
グラフィーにより同定できる前に、軟骨損傷および損失
の初期段階に哺乳類患者の輪郭を描く測定可能な変化が
同定されであろう。これらの結果は著しい軟骨変性が起
こる前の早期の薬学的介入の候補である哺乳類の診断分
類を提供する。
【0056】インターロイキン−6(IL−6)は多機
能サイトカインであるが、炎症的役割を果たしており、
対照肢と比較して損傷を受けた関節および滑液ではレベ
ルが上昇していることが観察されている。IL−6はま
た軟骨細胞上のTNF−R発現の促進および軟骨細胞に
よるプロテオグリカンの産生、ならびにグリコサミノグ
リカン放出の誘導にも関与している。関節軟骨損傷およ
び損失の初期段階での哺乳類関節の関節、滑液および軟
骨細胞中のIL−6の測定、対照との比較は哺乳類がラ
ジオグラフィー試験により局所的軟骨損失が明らかにな
る前に薬学的処置の適した候補であることを同定する診
断道具として使用できる。
【0057】白血病阻止因子(LIF)は単球、顆粒
球、T細胞、線維芽細胞および炎症状態に関連する他の
細胞型により産生される。滑膜細胞および軟骨細胞はI
L−1βおよびTNFα存在下でLIFを分泌する。従
って、LIFレベルを他と比較しての測定は、関節軟骨
損傷および損失の初期段階での薬学的処置の哺乳類候補
を選択するために診断的に使用できる。
【0058】哺乳類の関節軟骨の変性、損傷および損失
は上記の異化過程を駆動するサイトカインおよび軟骨中
の軟骨細胞の合成的および増殖的応答の維持に関与する
サイトカイン間の非平衡により起こされる。インシュリ
ン様増殖因子(IGF−1)、形質転換増殖因子ベータ
(TGFβ)、血小板由来増殖因子(PDGF)および
線維芽細胞増殖因子(例えば、塩基性線維芽細胞増殖因
子(bFGF)はすべて軟骨細胞に関しては分裂促進性
であり、関節軟骨においてマトリックス合成を刺激す
る。
【0059】インシュリン様増殖因子(IGF)はタイ
プIおよびIIとして存在し、IGF−Iは軟骨合成の
強力なメジエーターである。さらに、それはIL−1β
およびTNFα存在下でさえも分解を減少させ、プロテ
オグリカンの合成を促進する。IGF−1の血清レベル
は高親和性結合タンパク質(IGF−BP)により維持
されており、IGF−1は骨および軟骨両方の代謝回転
に重要である。対照と比較したIGF−1レベルは関節
軟骨損傷および損失の早期薬学的処置の哺乳類候補の診
断評価を可能にする。
【0060】形質転換増殖因子ベータ(TGFβ)は軟
骨細胞により産生され、軟骨および骨両方の代謝回転の
ための強力な分裂促進因子である。さらに、それはマト
リックスの合成を刺激し、抗炎症活性を持っている。ま
た、それはプロテアーゼ阻害剤産生を刺激することによ
り、およびコラゲナーゼおよびメタロプロテアーゼ放出
を阻止することによりマトリックスの分解を阻害する。
さらにまた、それは哺乳類関節の種々の細胞によるコラ
ーゲン、フィブロネクチン、プラスミノーゲンアクチベ
ーターの阻害剤、およびメタロプロテアーゼの組織阻害
剤の産生を刺激することにより軟骨修復を促進させる。
関節軟骨損傷および損失の初期段階での哺乳類関節にお
けるTGFβの滑液レベルは低い。従って、対照と比較
したTGFβレベルは関節軟骨損傷および損失の早期薬
学的処置の哺乳類候補の診断評価を可能にする。
【0061】変性の進行とともに(即ち、哺乳類関節中
の関節軟骨の異化)、軟骨変性のマーカーとして有用で
ある多数の代謝物が生成される(その発生およびその増
加の両方)。例えば、IL−1αおよびIL−1βまた
はTNFαによる軟骨の分解はグリコサミノグリカン
(GAG)を放出し、それは試験されている哺乳類の滑
液で測定できる。さらに、GAGレベルは処置後に変化
するので、関節軟骨代謝回転のマーカーとして滑液GA
Gレベルを使用して薬学的介入の過程をモニターするこ
とが可能である。
【0062】関節軟骨の分解にはコラーゲンならびに他
の軟骨成分を伴うので、いくつかのコラーゲン生成物が
哺乳類、特にイヌ関節軟骨損傷および損失における軟骨
分解のマーカーとして働く。タイプ・特異的コラーゲン
分解産物(例えば、20−30アミノ酸ネオエピトー
プ)は滑液、血漿、血清および尿のような体液で同定で
きる。これらの体液におけるネオエピトープの存在はO
A発病および進行の指標として使用されるであろう。
【0063】ケラタン硫酸はエピトープ(5D4)を持
つ特別のGAGであり、滑液中のそのレベルは初期関節
軟骨損傷および損失のマーカーとして使用できる。逆
に、コンドロイチン硫酸(多数のエピトープとして発現
される別の特別なGAG)のレベルは関節軟骨損傷およ
び損失の初期段階での哺乳類関節における同化作用に関
連している。滑液におけるこれらのエピトープ(特に4
B3、7D4および846)のレベルは、それらを認識
する特異的モノクローナル抗体により決定できる。3B
3は細胞外マトリックスの修復およびリモデリングの間
に軟骨のコンドロイチン硫酸鎖上に発現され、その結
果、滑液中のそのレベルは上記の5D4と逆相関してい
る。関節軟骨の表面および中層においての新しく合成さ
れたPG中の3B3の発現は、3B3が関節変形の初期
段階での哺乳類の関節軟骨の早期変化に付随しているこ
とを意味している。従って、試験哺乳類の滑液中の3B
3レベルの決定、および対照値を持つこれらのレベルと
の比較は、早期薬学処置の適した候補である哺乳類の診
断プロファイルを作ることを可能にする。
【0064】軟骨同化活性のさらなるマーカーはタイプ
・プロコラーゲン(P・P)の特性である。タイプ・は
関節軟骨の主コラーゲンであり、プロコラーゲンとして
軟骨細胞により産生される。コラーゲン微細線維形成過
程の間、非コラーゲン性アミノプロペプチドおよびカル
ボキシプロペプチドは切断されて体液内へ放出され、関
節軟骨の同化活性の反映として測定できる。カルボキシ
−P・Pのレベルは上昇するであろうし、その滑液レベ
ルは軟骨変化のラジオグラフィーによる証拠と相関して
いる。従って、滑液中のカルボキシ−P・Pレベルの決
定および対照との比較は、早期薬学処置の適した哺乳類
候補の同定を可能にする。
【0065】関節軟骨変性の初期段階での哺乳類の関節
軟骨および関節液中のストロメリシン/TIMP比の不
均衡もまたそのような哺乳類の同定に有用である。損傷
後の変化した関節充填は、IL−1の影響のもと軟骨細
胞および滑膜細胞により産生される酵素であるストロメ
リシンの過剰産生を起こす。ストロメリシンの濃度は、
障害からより遠い軟骨よりも線維化した軟骨中の方がよ
り高かった。ストロメリシンの濃度増加はかなり短い時
間で起こるが、関節への損傷が関節軟骨のタイドマーク
ゾーンを越えて軟骨下骨へ達した場合に続いての関節軟
骨変性の可能性が大いに生じる(通常軟骨下骨の硬化が
先立って起こる)。
【0066】さらに、関節軟骨変性の初期段階検出に使
用された十字欠損哺乳類モデルにおいて、ストロメリシ
ン、IL−1α、IL−1βおよび三つの癌遺伝子タン
パク質、c−MYC、c−FOSおよびc−JUNの合
成を行っている細胞数が増加する。滑腔においては主と
して表面性滑膜生存細胞が観察され、一方、軟骨におい
ては細胞は表面および中層上の軟骨細胞および頸骨プラ
トーの線維化領域の細胞である。さらに、ストロメリシ
ンおよびIL−1は頸骨プラトーの軟骨マトリックス内
へ拡散した。プロテオグリカンおよびタイプ・コラーゲ
ンを含んでいる結合組織の成分を分解するストロメリシ
ンは関節軟骨変性初期段階の哺乳類滑腔で活性に合成さ
れ、軟骨破壊に関与する最初のタンパク質分解酵素であ
る。ストロメリシンmRNAレベルの増加はそのような
哺乳類の滑液で、コラゲナーゼmRNAのレベル増加と
して検出可能である。IL−1の両方のイソ型、しかし
特にIL−1βのレベル増加は、ストロメリシンおよび
コラゲナーゼ遺伝子発現の滑液線維芽細胞誘導を促進す
ることによりストロメリシンの合成増加を刺激する。I
L−1は同時にはメタロプロテアーゼの組織阻害剤(T
IMP)のmRNAを誘導しないのでこの阻害剤のレベ
ルは変化せず、一方、検出可能な滑液中のメタロプロテ
アーゼレベルは劇的に増加する。
【0067】メタロプロテアーゼ軟骨細胞によりプロ酵
素として分泌され、細胞外マトリックス巨大分子の分解
を起こす前に活性化されなければならない。活性化に
は、プラスミノーゲンアクチベーター/プラスミン系を
含んでいるセリンプロテアーゼが鍵となる役割を果たす
酵素カスケードが含まれている。
【0068】哺乳類関節中の関節軟骨の完全性はそれが
覆っている骨性土台から受ける支持の適切さ、即ち、軟
骨下骨の構造特性に依存している。この骨性土台の変化
は関節軟骨における分解変化を進行させる。これらの変
化には衝撃吸収能力の損失を伴う軟骨下骨硬化の増加が
含まれる。これらの軟骨下骨変化は骨柱の微少な割れ目
の不適切な修復により起こり、次に、関節の過剰な充填
を生じる。軟骨下骨の骨柱肥大化は罹患した関節の骨鉱
物密度および/または容量の増加を導く骨変化の一部で
あり、それは順に骨芽細胞中の骨細胞欠損により起こさ
れ、軟骨下骨のこれらの骨芽細胞様細胞に変化した表現
型特性を生じる。軟骨下骨密度のこれらの変化は骨リモ
デリング過程の不均衡の証拠であるばかりではなく、最
終的な局所軟骨損失の鍵となる構成要素である。さら
に、異なった軟骨分解分子の生成を導く、骨芽細胞代謝
の部位関連相違が生じる。骨芽細胞代謝におけるこれら
の変化は順に、軟骨細胞代謝における対応した変化を導
き、上記の型のサイトカイン誘導活性への感受性を高め
る。この骨芽細胞の例外的なものおよび分化した表現型
は、オステオカルシン、アルカリ性ホスファターゼ、ホ
ルモンチャレンジ応答性のcAMP、ウロキナーゼプラ
スミノーゲンアクチベーター(uPA)およびインシュ
リン様増殖因子1(IGF−1)の異なる生成レベルに
より特徴付けられる。
【0069】最終的関節軟骨変性に含まれる軟骨下骨活
性のさらなる証拠は、骨シンチグラフィーにより測定さ
れるであろう関節空間狭小化である。軟骨下骨活性にお
けるこれらの変化は、特異的骨細胞代謝物(例えば、オ
ステオカルシン)の対応する変化を伴う。オステオカル
シンはビタミンK依存性カルシウム結合骨タンパク質で
あり、骨において最も普通の非コラーゲンである。オス
テオカルシンレベルの増加は特に関節軟骨変性の初期段
階を含む、種々の疾患状態における骨代謝回転のマーカ
ーである。体液、特に滑液のオステオカルシンレベルは
シンチグラフィーにより測定された軟骨下骨変化に直接
的に相関している。
【0070】哺乳類における関節軟骨変性の初期段階の
指標としての軟骨下骨活性のマーカーに加え、軟骨およ
び滑腔活性からの代謝物もまたそのような軟骨変性の初
期段階を示すマーカーとして有用である。例えば、軟骨
オリゴマーマトリックスタンパク質の増加した血清レベ
ルの検出も軟骨代謝回転のマーカーとして働く。同様
に、体液、特に血清における高レベルのヒアルロン酸の
検出は、滑液炎症のマーカーとして働く。両方の場合に
おいて、これらの代謝物マーカーの体液、特に血清レベ
ルは関節軟骨変性の初期段階を示す。本明細書で使用さ
れる場合、表現”体液”には、使用されている試験装置
またはアッセイの検出限界内であるように該液体中に十
分な濃度の試験されている化合物を含んでいるであろ
う、臨床標本として使用可能なすべての利用できる体液
が含まれる。従って、体液には全血、血清、血漿、尿、
脳脊髄液、滑液および間質液およびその他の細胞外液体
が含まれる。
【0071】上記の型のすべての敏感な免疫化学および
その他の生物学的アッセイでは、試験されるべき液体の
収集および保存に慎重な注意を払わなければならない。
工程は該液体で試験されるべき化合物のタンパク質分解
を避けなければならず、凍結は含まれる試験が短時間で
実施できない限り通常是認される。滑液中には試験され
ている化合物がより高い濃度で存在する可能性のため、
血清よりむしろ滑液の使用が好適であろう。一方、滑液
は粘性レベルが高いために当業者が取りかかなければな
らないイムノアッセイで問題が生じる。最後に、上の説
明から明らかなように、哺乳類患者が関節軟骨変性の初
期段階であるかどうか、およびそれ故薬学的介入の候補
であるかどうかの決定において最も正確なプロファイル
を得ることが可能なように、サイトカインおよびマーカ
ーならびにそれらの各々の阻害剤および結合タンパク質
選択の長期の研究を実施するのが好適である。
【0072】本明細書で使用される場合、用語”哺乳
類”とは任意の哺乳類を意味しており、多数の異なった
種が存在する。生物学的アッセイの実験室的決定は特定
の種を使用して実施されたであろうが、本発明の軟骨保
護化合物はこれら多数の任意の種における関節軟骨変性
の初期段階を処置および予防するために有用であろうと
見いだされることが企図されている。
【0073】本明細書で使用される場合、用語”軟骨保
護”とは、本発明の方法および組成物で使用されたカル
プロフェンおよび誘導体化合物の生物学的活性を意味し
ており、該化合物が関節軟骨または軟骨下骨変性の初期
段階に続く該関節軟骨または軟骨下骨の傷害、損傷また
は損失を改善、軽減、積極的に処置、反転または予防す
ることを可能にする。最適には、軟骨保護化合物は関節
軟骨または軟骨下骨の傷害、損傷または損失を起こす疾
患過程の停止または反転を起こすであろう。しかしなが
ら、該軟骨保護化合物はそのような最適の結果以下しか
提供しないかもしれないが、それでも本発明の範囲内に
含まれている。投与された軟骨保護化合物が改善的な結
果以上のものを提供するのに失敗したような例でさえ
も、処置法は本発明の範囲内に含まれている。
【0074】結果の変動は、哺乳類の特別の種類ならび
に該軟骨保護化合物が投与されている特定の個々の哺乳
類を含む多数の因子から生じる。疾患が進行した段階、
即ち、すでに起こった関節軟骨または軟骨下骨の傷害、
損傷または損失も結果に影響するであろう。疾患がより
進行していると、疾患の進行を停止または反転させるの
がより困難になるであろう。投与のために選択された特
定の軟骨保護化合物もまた、投与された該化合物の量、
それらの投与の型および部位および使用された特定の剤
形が結果に影響を与える。
【0075】本明細書で使用される場合、本発明の軟骨
保護化合物の投与に関した表現”処置するまたは予防す
る”とは該投与の治療的目的ならびに該投与により実際
に達成された治療結果の両方を指している。上に説明し
たように、軟骨保護化合物の投与により達成される治療
は疾患過程の改善から著しい軽減の範囲であり、および
疾患過程の反転を含む疾患の積極的な処置を越えるもの
である。より高い程度の治療有効性は該関節軟骨または
軟骨下骨変性の初期段階に続く軟骨下骨の傷害、損傷ま
たは損失を防止する。
【0076】表現”関節軟骨または軟骨下骨変性の初期
段階”とは疾患過程を定義するおよび疾患過程の結果で
ある関節軟骨または軟骨下骨の初期病理変化のきわめて
初期を意味することが意図されている。該病理変化に
は、該疾患過程の発症前に存在する関節軟骨の組成、形
および密度からのそれらの変化が含まれ、それらの変化
は強度、弾性、伸縮性、コンホメーションの完全性およ
び安定性、生存度、および種々の種類の機械的ストレス
にうまく抵抗する能力(特に、機械的衝撃を吸収する能
力)を含む該関節軟骨の有益な特性の変性により生じ
る。組成物におけるこれらの病理変化には、特に、関節
軟骨に存在するグリコサミノグリカンおよびコラーゲン
の型および量の変化が含まれている。
【0077】軟骨下骨の病理変化にはそれらの硬化症
(弾性および伸縮性の減少を伴う密度の増加)および種
々の種類の機械的ストレスにうまく抵抗する能力、特
に、機械的衝撃を吸収する能力の減少が含まれる。これ
らの発病変化には、特に、骨柱肥大化を伴う骨柱の微少
な割れ目の不適切な修復および骨芽細胞代謝物生成およ
び分化表現型の発病変化が含まれる。
【0078】もっとも一般的な態様において、本発明の
贈り物は軟骨保護化合物の小さな部類(その中でカルプ
ロフェン、6−クロロ−α−メチル−9H−カルバゾー
ル−2−酢酸が最も好適な種類である)は、最終的に関
節の関節軟骨および軟骨下骨の傷害、損傷または損失を
生じるであろう関節軟骨変性の初期段階と同定された哺
乳類患者へ投与された場合、そのような傷害、損傷また
は損失を改善、軽減、積極的に処置、反転または予防す
るであろうという驚くべき発見である。最終的に関節軟
骨および軟骨下骨の破壊および損失を導く疾患過程を反
転させる本発明の軟骨保護化合物の能力は、関節軟骨ま
たは軟骨下骨変性の初期段階にある哺乳類の安全で効果
的な処置に対して広範囲に及ぶ密接な関係を持ってい
る。
【0079】従って、本発明は哺乳類の関節中の関節軟
骨または軟骨下骨の変性または破壊を処置または予防す
る方法をそのような処置を必要としている哺乳類に提供
し、それは(1)該初期段階に現在あるまたは予期され
る、従ってそのような処置を必要としている該哺乳類の
状態を確立し、およびそれにより(2)該哺乳類に関節
軟骨または軟骨下骨の変性の該初期段階を処置または予
防するのに有効な治療的量で式(I)の軟骨保護化合物
を投与することから成っている:
【化8】 式中:R2
【化9】 であり、式中Aはヒドロキシ、(C1−C4)アルコキ
シ、アミノ、ヒドロキシ−アミノ、モノ−(C1−C2
アルキルアミノ、ジ−(C1−C2)アルキルアミノであ
り;XおよびYは独立してHまたは(C1−C2)アルキ
ルであり;およびnは1または2である;R6はハロゲ
ン、(C1−C3)アルキル、トリフルオロメチルまたは
ニトロであり;R9はH;(C1−C2)アルキル;フェ
ニルまたはフェニル−(C1−C2)アルキル(ここでフ
ェニルは随意にフルオロまたはクロロで一置換されてい
る);−C(=O)−R(式中Rは(C1−C2)アルキ
ルまたは随意にフルオロまたはクロロで一置換されてい
るフェニルである);または−C(=O)−O−R
1(式中R1は(C1−C2)アルキルである)である;X
およびYが異なっている場合、それらの(−)(R)お
よび(+)(S)エナンチオマー;および関節軟骨また
は軟骨下骨の変性または破壊を処置または予防するのに
治療的に活性であるそれらのすべての医薬として受容可
能な塩の形、プロドラッグおよび代謝物。式(I)の阻
害剤が(−)(R)および(+)(S)エナンチオマー
として存在する場合、本発明に従うと(+)(S)エナ
ンチオマー単独で提供され、または両方のエナンチオマ
ーが一緒に存在する場合はそれらのラセミまたは非ラセ
ミ混合物として提供される。
【0080】本発明の方法および組成物で利用されるカ
ルプロフェンおよびカルプロフェン誘導体類は通常の有
機化学者にはよく知られている合成法に従って製造され
るであろう。例えば、R6がハロゲン、(C1−C3)ア
ルキル、トリフルオロメチルまたはニトロであり;およ
び R9がHまたはメチルである式(I)の化合物は
(1)フェニル部分が所望のR6置換基を持ち、および
ヒドラジンのα−窒素が所望のR9置換を持っているフ
ェニルヒドラジンと(2)所望のR2置換を持つシクロ
ヘキサノンを反応させることにより製造される。生じた
1,2,3,4−テトラヒドロカルバゾールは次に芳香
化されて所望の式(I)のカルバゾールが生成される。
芳香化は(1)芳香化剤、例えば、pークロラニル、o
−クロラニル、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベ
ンゾキノン(DDQ)、硫黄、パラジウム炭素、酸化鉛
を用い;(2)キシレン、ベンゼン、トルエン、キノリ
ン、ジメチルスルホキシド(DMSO)およびジメチル
ホルムアミド(DMF)のような溶媒存在下;(3)室
温から反応混合物の還流温度の範囲の温度で(好適には
還流温度)実施されるであろう。
【0081】酸である式(I)の化合物(Aがヒドロキ
シである)およびそのような酸と塩基との塩は、(1)
五塩化リン(PCl5)で処理して対応する酸クロリド
を形成させ;続いて(2)プロトン移動工程で塩基とし
て働き、それにより形成されるH+Cl-を除去するため
に当量のピリジンまたはトリメチルアミン存在下で実施
される適当なアミン反応体との反応により所望のアミド
を形成させることにより、Aがアミノ、ヒドロキシアミ
ノ、モノ−(C1−C2)アルキルアミノおよびジ−(C
1−C2)アルキルアミノである式(I)のアミドへ変換
できる。工程(1)で形成された同じ酸クロリドは適当
なアルカノールと反応できてAが(C1−C4)アルコキ
シである式(I)のエステルが提供される。この反応も
また、形成されるH+Cl-が酸感受性アルカノール反応
体を妨害しないようにそれを中和できるピリジンのよう
な塩基存在下で望ましくは実施される。本発明の方法お
よび組成物で利用されるカルプロフェン化合物類を製造
する上記の合成法は米国特許第3,896,145号
(全文のまま本明細書において援用される)に詳しく記
載されている。
【0082】”R2”置換基の定義において”X”およ
び”Y”が異なっている場合、キラル(不整)炭素原子
が存在する。二つのエナンチオマーの50:50混合物
である場合、(R)−および(S)−エナンチオマーの
ラセミ混合物が生じる。本発明に従うと、キラル炭素を
持っている式(I)の化合物のカルプロフェン類の
(S)−エナンチオマーは、最終的に関節の関節軟骨お
よび軟骨下骨の損傷または損失を生じるであろう関節軟
骨変性の初期段階と同定された哺乳類の関節軟骨または
軟骨下骨の変性または破壊の処置または予防に最も高い
活性を持つエナンチオマーである。
【0083】本発明の一つの特に好適な態様は、本発明
の方法および組成物における活性成分または治療剤とし
てカルプロフェンの(S)−エナンチオマー、6−クロ
ロ−α−メチル−9H−カルバゾール−2−酢酸のみを
使用している。しかしながら、他の態様も同様に本発明
のこの好適な種類の範囲内にあることが企図されてい
る。例えば、(R)−および(S)−エナンチオマーの
非ラセミ混合物も使用でき、それにおいては(S)−エ
ナンチオマーは少なくとも85%、好適には少なくとも
90%、より好適には少なくとも95%で、および最も
好適には少なくとも99%の量で存在している。
【0084】(R)−および(S)−エナンチオマーは
分子量、密度などが同一であるので、上に列挙したパー
セントの基準について述べる必要はない。別の言葉で言
えば、それらは重量、容量、化学当量などによるパーセ
ントである。上に示した量の(R)−エナンチオマーを
含んでいる理由は、ラセミ混合物から絶対的に最後まで
(R)−エナンチオマーを除去する必要がないという実
用的な面での単純なことである。有益な全生物学的特性
に関連してそのようにすることの理由もある。
【0085】カルプロフェン化合物類に対して本明細書
の他の部分で列挙されている投与量範囲は、キラル化合
物が含まれているエナンチオマーの50:50ラセミ混
合物について記載されていることを当業者は理解するで
あろう。これは主として便利さの問題として行われてき
た。50:50混合物と異なったエナンチオマーの混合
物を含む治療剤として活性成分が使用されている場合、
または治療剤が実質的に100%の単独の(+)(S)
または(−)(R)−エナンチオマーを含んでいる場
合、当業者は必要とされる用量の実際の量を非常に明瞭
な様式で、即ち使用されているエナンチオマーの量とエ
ナンチオマーの50:50混合物に基づいて列挙された
投与量に存在する量の比を反映する因子で列挙された投
与量に単純に掛けることにより計算することができる。
従って、エナンチオマーの50:50ラセミ混合物で列
挙された投与量が4mg/kg/日の場合、実質的に1
00%の(+)(S)−エナンチオマーが使用される時
の対応する投与量は列挙された量の2分の1、即ち2m
g/kg/日である。
【0086】カルプロフェン化合物の好適な種類のもの
を含んでいる本発明の医薬組成物は50%の(S)−エ
ナンチオマーを含んでいるラセミ混合物、ならびに50
%未満の(R)−エナンチオマーと一緒の約99%また
はそれ未満の非ラセミ混合物の使用を企図しているの
で、キラル炭素を持つ式(I)の化合物のカルプロフェ
ン類ラセミ体の光学活性異性体への分割を実施しなけれ
ばならない。このことは本分野では既知の方法および技
術を用いて容易に達成できる。例えば、いくつかのラセ
ミ混合物は共晶として沈澱でき、その後にそれらは分離
できる。しかしながら、通常は分離に化学的方法を使用
するのが好適である(ラセミ混合物と光学活性な分離試
薬から形成されるジアステレオマーに従って)。例え
ば、光学活性塩基(例えば、D−α−メチルベンジルア
ミン)はカルボキシル基と反応できる。そのようにして
形成されたジアステレオマーは選択的結晶化により分離
され、対応する光学異性体へ変換される。
【0087】本発明で使用されたカルプロフェン化合物
類のすべての軟骨保護、治療的に活性なおよび医薬とし
て受容可能な塩形、プロドラッグおよび代謝物が本発明
の範囲に含まれている。これには特に、”A”が”ヒド
ロキシ”以外のものとして定義される場合、式(I)の
化合物を医薬として受容可能な有機および無機酸で処理
することにより形成されたそれらの酸付加塩が含まれ
る:例えば、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素のような
ヒドロハライド;硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などのよう
な他の鉱酸およびそれらの対応する塩;およびエタンス
ルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩およびベンゼンスル
ホン酸塩のようなアルキル−およびモノ−アリールスル
ホン酸塩;および酢酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、コ
ハク酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、ア
スコルビン酸塩など。
【0088】本発明で使用されたカルプロフェン化合物
類で”A”が”ヒドロキシ”と定義された場合、それら
の塩は医薬として受容可能な塩基で処理することにより
形成されるであろう。そのような塩基の例は水酸化カリ
ウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化リチウムを含むア
ルカリ金属水酸化物;水酸化バリウムおよび水酸化カル
シウムのようなアルカリ土類金属水酸化物;例えば、カ
リウムエタノレートおよびナトリウムプロパノレートの
ようなアルカリ金属アルコキシド;およびピペリジン、
ジエタノールアミンおよびN−メチルグルタミンのよう
な種々の有機塩基である。式(I)の化合物のアルミニ
ウム塩もまた含まれる。
【0089】式(I)の化合物の種々の上記の塩形の使
用に加え、上に列挙した化合物のすべての軟骨保護、治
療的に活性なおよび医薬として受容可能なプロドラッグ
および代謝物の活性成分としての使用が本発明の範囲に
含まれている。特に、これにはR9が(C1−C2)アル
キル、特にメチル;フェニルまたはフェニル−(C1
2)アルキル(特にベンジル)、ここでフェニルは随
意にフルオロまたはクロロで一置換されている、特に4
−フルオロ−フェニル;−C(=O)−R、式中Rは
(C1−C2)アルキルまたはフェニルであり、特にアセ
チルおよびベンゾイル、ここでフェニルは随意にフルオ
ロまたはクロロで一置換されている;または−C(=
O)−O−R1、式中R1は(C1−C2)アルキルであ
る、特にアセチルオキシ;である誘導体が含まれる。こ
れらのN−残基は式(I)の化合物の代謝間に容易に切
断される
【0090】式(I)の化合物またはそれらのエナンチ
オマーまたは塩が本発明の方法および組成物における活
性成分として使用されるため、それらは標準医薬剤形内
へ取り込ませることができる。それらは例えば、全身的
または局所的、経口または非経口投与で投与された場合
に有用であり、およびこの目的のため通常の医薬賦形
剤、希釈剤および補助剤、例えば、水、ゼラチン、ラク
トース、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、タルク、野
菜油、ゴム、ポリエチレングリコールなどと組み合わさ
れる。これらの医薬製剤は固体形、例えば、錠剤、カプ
セルおよび特に哺乳類に適した味の良い食品と組み合わ
せてまたは混合して用いることができる;またはそれら
を液体形、例えば、溶液およびエレキシルで投与でき
る。添加できる賦形剤および補助剤には、保存剤、抗酸
化剤、抗菌剤および他の安定化剤;湿潤剤、乳化剤およ
び懸濁化剤および抗固化化合物;芳香剤および着色剤;
圧縮性を改良する、または活性成分を遅延−、徐放−ま
たは制御−放出させるための組成物;および医薬製剤の
浸透圧を変化させるための、または緩衝液として働くた
めの種々の塩が含まれる。成功裡に使用された特別の剤
形は静脈内注射のためのカプロフェンの5%混合ミセル
溶液、および25mg、75mgおよび100mg量の
経口錠剤である。
【0091】本発明の方法および組成物、特に阻害剤が
6−クロロ−α−メチル−9H−カルバゾール−2−酢
酸を含む、および生じるエナンチオマーの両方が一緒に
存在する場合、非ラセミ混合物を使用するのが好適であ
る。特に、そのような好適な非ラセミ混合物において
は、(+)(S)エナンチオマーが少なくとも85%、
好適には少なくとも90%、より好適には少なくとも9
5%で、および最も好適には少なくとも99%の量で存
在しているのが望ましい。従って、そのような非ラセミ
混合物においては(+)(S)エナンチオマーが主成分
であろう(なぜなら、軟骨保護を提供することにおいて
(−)(R)エナンチオマーより著しく強力である)。
相応じて、より少ない量の(−)(R)エナンチオマ
ー、即ち、各々15%未満、10%未満および5%未
満、が随意に含まれており、軟骨保護特性の均衡が望ま
しいと思われる。存在する(−)(R)エナンチオマー
の量が6%未満および1%未満の場合、これらが含まれ
ている理由は、エナンチオマーを分割するために使用さ
れた方法の実用性を普通は反映するであろう。この方法
は時間がかかりおよびお金を必要とするので、実際的な
立場から、単に少量の(−)(R)エナンチオマーを最
後の非ラセミ混合物最終生成物へ持ち込まさせるのがし
ばしば望ましい。
【0092】本発明の式(I)の軟骨保護化合物は、処
置されるべき哺乳類に医薬組成物として適した液体形
で、注射または注入により全身的に投与されるであろ
う。哺乳類の体には、一度注射または注入されたら処方
された医薬組成物を処置されている哺乳類の全身および
すべての器官系へ浸透させることを可能にする多くの部
位および器官系が存在する。通常注射器による注射は関
与する組織内へ焦点を合わせた医薬組成物の一回投与で
ある。注射の最も普通の型は筋肉内、静脈内および皮下
である。対照的に、注入は関与する組織への医薬組成物
の漸進的な導入である。注入の最も普通の型は静脈内で
ある。注射または注入の他の型には動脈内、皮内または
経皮(皮下を含む)または脊椎内(特に鞘内)が含まれ
る。これらの液体医薬組成物において、軟骨保護化合物
は溶質として溶液内に含まれているであろう。これはそ
のような化合物の最も普通で最も好適な型であるが、か
なり良好な水溶性を持っている式(I)の化合物の塩形
を必要とする。水(または塩溶液)はそのような化合物
に対しては好適な溶媒ではない。時折、過飽和溶液が利
用されるであろうが、毎日の使用には、それらを実行不
可能にする安定性の問題が存在する。
【0093】必要な程度の水溶解性を持ついくつかの式
(I)の化合物の形を得ることは不可能であり(しばし
ば起こる)、一つの液体の小さな乳球(不連続、内部
相)がそれが混和しない第二の液体(連続的、外部相)
へ分散されている乳剤を作製するのは当業者の範囲であ
る。二つの液体は、医薬として受容可能な乳化剤の使用
により乳化された状態に保たれている。従って、もし式
(I)の軟骨保護化合物が水不溶性油であるならば、不
連続相である乳剤で投与できる。また、阻害剤が水に不
溶であるが、水と混和しない溶媒に溶解可能である場
合、乳剤が使用できる。式(I)の化合物は最も普通に
は、水中油エマルジョンと称される不連続または内部相
として使用されるであろうが、通常油中水エマルジョン
と称される不連続、内部相の逆エマルジョンとしても使
用できる。本例では式(I)の化合物は水に可溶性であ
り、単純な水性溶液として投与できた。
【0094】しかしながら、逆エマルジョンは血液のよ
うな水性媒質内へ注射または注入により逆転し、水性溶
液を用いて得ることができる分散より水性媒質内への該
化合物のより迅速で有効な分散を与えるという利点があ
る。逆エマルジョンは本分野でよく知られている適し
た、医薬として受容可能な乳化剤を使用して調製され
る。式(I)の軟骨保護化合物が限られた水溶解性しか
持っていない場合、適切な、医薬として受容可能な懸濁
剤を用いて調製された懸濁液中に懸濁されたコロイドま
たは微粒子状の固形物としても投与できる。該化合物を
含んでいる懸濁固形物はまた、遅延−、徐放−または制
御−放出組成物として処方できる。
【0095】全身投与は最も普通には液体の注射または
注入で実施されるであろうが、式(I)の軟骨保護化合
物を固体として送達するのが都合がよいまたは必要な多
くの状況が存在する。固体の全身投与は、該化合物を含
んでいる適した固体形医薬組成物のインスチレーション
により実施される。該化合物のインスチレーションは、
適した体組織または腔内への固体移植片組成物の設置を
必要とする。移植片は固体式(I)の軟骨保護化合物の
粒子が分散されている、または可能であれば液体の式
(I)の軟骨保護化合物が小球または単離された細胞に
捕捉されている生物適合性および生物分解性物質のマト
リックスから成っている。望ましくは、マトリックスは
体により分解および完全に吸収されるであろう。マトリ
ックスの組成物はまた好適には長い時間に渡って(数ヶ
月に及んで)式(I)の該化合物の遅延−、徐放−また
は制御−放出を提供するように選択される。
【0096】本明細書に記載された剤形の相当な数が、
該剤形からの活性成分の制御−、徐放−および/または
遅延−放出を提供するように処方されるであろう。式
(I)活性成分の軟骨保護化合物の遅延−、徐放−およ
び/または制御−放出を提供する本発明の医薬組成物の
特に好適な態様においては、少なくとも4時間;好適に
は少なくとも8時間;より好適には少なくとも12時
間;さらにより好適には少なくとも16時間;さらにま
だより好適には少なくとも20時間;最も好適には約2
4時間;少なくとも10μg/mLの該化合物の血漿濃
度を生じるすべてのそのような経口投与剤形が含まれて
いる。好適には、少なくとも4時間、好適には少なくと
も8時間、より好適には少なくとも12時間、さらによ
り好適には少なくとも20時間、および最も好適には約
24時間、少なくとも15μg/mLの該阻害剤の血漿
濃度を生じる上記の剤形が含まれる。より好適には、少
なくとも4時間、好適には少なくとも8時間、より好適
には少なくとも12時間、さらにより好適には少なくと
も20時間、および最も好適には約24時間、少なくと
も20μg/mLの該阻害剤の血漿濃度を生じる上記の
剤形が含まれる。
【0097】従って、本発明に従ったカプロフェンの有
用な制御放出剤形は、2mg/lbで一回経口投与後、
その日のほとんどを2μg/mLより高いカプロフェン
血漿濃度を維持するものである。本発明に従ったカプロ
フェンの好適な経口制御放出剤形は、即時放出剤形およ
び制御放出剤形が同一の用量(例えば、2、1.8、
1.6または1.4mg/lb)で投与された場合、カ
プロフェンの即時放出剤形が10μg/mLよりも高い
血漿レベルを維持するよりも長い時間に渡って相当する
血漿カプロフェン濃度を維持するものである。例えば、
本発明の2mg/lb経口制御放出剤形は10μg/m
Lよりも高いカプロフェン血漿レベルを10.5時間以
上維持する。
【0098】1.8、1.6および1.4mg/lbの
量を含む即時放出カプロフェン剤形は10μg/mLよ
りも上の血漿カプロフェン濃度を各々9.5時間、8.
5時間および7.5時間維持する。好適な1.8mg/
lb経口制御放出カプロフェン剤形は10μg/mLよ
りも上の血漿カプロフェン濃度を9.5時間以上維持す
る。同様に、1.4mg/lbおよび1.6mg/lb
用量の持続限界は各々8.5時間および7.5時間であ
る。2mg/lbより高いまたは1.4mg/lbより
低い投与量での好適な経口制御放出カプロフェン剤形の
性能特性は直線状薬物動態学を仮定して同様に計算でき
る。より好適な経口制御放出カプロフェン剤形は、10
μg/mLよりも高い血漿カプロフェン濃度を、即時放
出カプロフェン剤形がより高い用量で投与された場合よ
り長いまたは同等の時間維持するものである。
【0099】最も好適な経口制御放出カプロフェン剤形
は(該経口制御放出剤形は2mg/lb未満の量で投与
された場合)、約10μg/mLよりも高い血漿カプロ
フェンレベルを、即時放出2mg/lbカプロフェン剤
形で観察された時間(10.5時間)よりも長いまたは
等しい期間維持できるものである。2mg/lb経口即
時放出剤形の性能は、2mg/lb/日は本明細書に記
載されているように本発明に従って現在推奨されている
および受け入れられているた有効な経口投与量であるの
で、この比較の目的のための基本的標準として採用され
る。
【0100】用語”移植片”はいつでも式(I)の軟骨
保護化合物を含んでいる固形医薬組成物を指し、一
方、”デポー剤”は通常適した体組織または腔に沈着さ
れ、取り囲んだ組織および器官へ徐々に移動して最終的
には全身に分布するようになるような貯蔵所またはプー
ルを形成する、式(I)の該化合物を含んでいる液体医
薬組成物を意味している。しかしながら、これらの区別
は本分野ではいつも厳格ではなく、その結果、液体移植
片および固体デポー剤および各々の混合固体および液体
形さえも本発明の範囲内に含まれている。
【0101】液体または固体形の式(I)の軟骨保護化
合物を利用する全身投与の他の手段には経皮経路が含ま
れる。特に、よく知られた薬物送達技術に従って調製さ
れた経皮パッチが調製され、処置されるべき哺乳類の皮
膚へ応用され、その後、その処方された溶解性特性によ
り活性成分は表皮を通って哺乳類皮膚の真皮層内へ移動
し、そこで哺乳類の一般的循環系の一部に乗せられ、最
後には所望の長期間活性成分の全身分布が得られる。皮
膚の表皮層の下(即ち、処置されている哺乳類皮膚の表
皮と真皮の間)に置かれた移植物もまた含まれる。その
ような移植物はこの送達技術で普通に使用されるよく知
られた原理および材料に従って処方されるであろうし、
哺乳類の全身循環系内への活性成分の制御−、徐放−お
よび/または遅延−放出を提供するような様式で調製さ
れるであろう。そのような表皮下移植物は経皮パッチと
同一の設置の容易さおよび送達効率を与えるが、哺乳類
皮膚の最も上の層に暴露されている結果としての分解、
損傷または不慮の除去を受ける制限がない。
【0102】哺乳類への経口投与のために適した特別の
型の医薬組成物もまた考案された。経口投与に適した医
薬組成物(即ち、口による摂取または口を通した投与)
は固体または液体であろう。全身投与のために好適な経
口剤形は固体(例えば、速く溶解する味の良いワッフ
ル、錠剤、カプセル、カプレットなどのような味の良い
経口組成物)および液体(例えば、溶液、懸濁液、乳剤
など)である。哺乳類への経口投与に適した特別の型の
医薬組成物には、処置されている哺乳類の舌の裏側へ送
達されるべき経口ペースト、哺乳類の食物へ取り込まれ
て送達されるべき顆粒形および活性成分が味の良いかみ
菓子とともに消費されるかむことができる形、または処
置されている哺乳類による咀嚼の間に、消費されないか
み菓子の本体からこし取られることにより活性成分が送
達されるかむことができる形が含まれるが、そのような
品目に制限されるわけではない。本分野で知られている
ように、そのような味の良い組成物の処方は、起こるで
あろう剤形の咀嚼の程度に関する哺乳類の行動および得
られる投与レベルが考えに入れられる。
【0103】本明細書に記載されている他の投与経路お
よび対応する剤形と同じように、経口投与が意図される
剤形もまた、活性成分の制御−、徐放−および/または
遅延−放出を提供するように適切に処方される。典型的
には、これらには遅延放出経口錠剤、カプセルおよび多
粒子物、ならびに活性成分の哺乳類胃での放出および吸
収を防止し、胃から遠い腸送達(哺乳類の小腸)を容易
にする腸溶性錠剤が含まれる。他の典型的な経口剤形に
は、活性成分の制御された様式での長時間に渡る(例え
ば24時間)全身送達を提供する徐放放出経口錠剤、カ
プセルおよび微粒子物が含まれるであろう。活性成分の
迅速な送達が必要とされるまたは望まれる場合、制御放
出経口剤形は急速溶解錠剤の形で製剤され、それは好適
には活性成分の高度に可溶性の塩を含んでいる。
【0104】本発明の範囲内にあることが企図される剤
形の説明は、主として便宜上、そのような剤形を局所お
よび全身投与、ならびに固体および液体形に分けられ
た。しかしながら、これらの区別はかなり任意であり、
投与経路および剤形に関して本発明の範囲を制限するも
のと取ってはならない。例えば、投与のいくつかの経路
は、表面的には局所的であるが、全身的作用または結果
を持っていることを本説明は明らかにしている。本明細
書で液体および固体剤形間に引かれた線もまた、実際の
実施では不明瞭であろう。例えば、本発明で使用するた
めの適した経口剤形にはカプセルに包まれた液体、混合
固体および液体処方が含まれる。本発明の範囲内である
マイクロエマルジョン処方も混合固体および液体剤形と
して特徴付けられるであろう。
【0105】式(I)の軟骨保護化合物は処置されるべ
き哺乳類の関節へ局所的に投与される。局所vs全身投
与は、関節軟骨変性初期段階の哺乳類へ軟骨保護化合物
含有医薬組成物を送達するより焦点を合わせたvsより
一般的化された様式を必然的に伴う。しかしながら、デ
ポー剤および移植片の使用ならびに遅延−、徐放−およ
び制御−放出処方はこれらの区別をぼんやりとさせがち
である。従って、式(I)の軟骨保護化合物を含んでい
る上記の液体および固体医薬組成物は、大部分、同様に
局所投与に使用できるが、投与部位の局所組織内への式
(I)の化合物の吸収を促進する傾向を示すが、全身的
持ち込みを生じるより外側のおよび遠位の組織内への阻
害剤の侵入および移動を妨げる傾向がある該組成物の成
分の選択に重きが置かれる。
【0106】局所投与は、式(I)の軟骨保護化合物が
注射、注入、移植、設置、挿入またはインスチルされる
適した関節組織に焦点を合わされている。そのような投
与には関節内、軟骨内、肋骨内、靱帯内、骨髄内、筋肉
内、骨内、骨盤内、脊椎内、胸骨内、滑膜内、足根骨
内、鞘内または静脈内が含まれるがそれらに制限される
わけではない。
【0107】式(I)の軟骨保護化合物を含む液体形の
医薬組成物は関節部位内または非常に近くに液体を注射
できるという利点を持っている。式(I)の化合物の直
接関節内への注射により、短時間で該化合物の高濃度を
達成することが可能であり、従って、関節組織への該化
合物の接近および式(I)の化合物の治療活性を実質上
促進するだけでなく、同時に、起こるかもしれない不都
合な副反応の発生を最小化している。結果は、式(I)
の化合物の高局所濃度とそれに相応するような低全身持
ち出し濃度である。
【0108】医薬組成物が遅延−放出、制御−放出およ
び徐放−放出形である式(I)の軟骨保護化合物含有医
薬組成物の注射も行える。認識された組成物のこれらの
処方は、必要なら、前もって決められた速度または可変
的速度での式(I)の化合物の連続的放出を提供するた
めに分解性マトリックスおよび一連の被覆が用いられた
固体、半固体、ゲルまたは他の液体/固体の組み合わせ
であろう。用語”延ばされた放出”および”長期作用
性”ならびに他の同様の用語はこれらの処方を説明する
ために使用された。これらのすべては、マトリックス内
に含まれる式(I)の化合物のゆっくりしたおよび/ま
たは均一の投与を得るために種々の生物分解性ポリマー
(例えば、種々のセルロースポリマー)および天然の材
料(例えば、トウモロコシ澱粉およびステアリン酸マグ
ネシウム)の組み合わせを用いている。これらの医薬組
成物はもし適切に液体または懸濁可能であれば関節部位
へ注射され、もしその性質がより固体であれば他の手段
で送達されるであろう。
【0109】関節軟骨または軟骨下骨変性または破壊を
処置または予防するための、式(I)の軟骨保護化合物
の治療的有効量は処置されている哺乳類に、一日当た
り、該哺乳類の体重キログラム当たりのミリグラムで表
現された(mg/kg/日)量で投与される。本明細書
で使用される表現”一日当たり”とは、処置されている
哺乳類へ毎日投与される特定の剤形に必ず必要とされる
ものと解釈してはならない。表現”一日当たり”とは、
投与されている軟骨保護化合物の投与量を測定するた
め、全体の単位の一部として使用されている時間の最も
小さいしかし任意の区切りの単なる指標である。投与
量、即ち、関節軟骨または軟骨下骨変性または破壊を処
置または予防するための式(I)の化合物の治療的有効
量は通常、約0.01mg/kg/日から約20.0m
g/kg/日、好適には約0.1mg/kg/日から約
12.0mg/kg/日、より好適には約0.5mg/
kg/日から約10.0mg/kg/日、および最も好
適には約0.5mg/kg/日から約8.0mg/kg
/日の範囲である。例えば、50lbの哺乳類は23k
g(1kg=2.2lb)の体重であり、従って、最も
好適には一日当たり約10mgから約180mgの治療
薬剤で処置されるであろう。分割量は重要ではなく、投
与量は、癒合よく利用できる一回投与量に対応する数に
適切に四捨五入されるであろう。剤形が例えば注射可能
な液体の場合、好適な投与量はより正確に達成されるで
あろう。一方、剤形が例えば経口錠剤の場合、好適な投
与量により近づける必要があろう。従って、10mg投
与量は25mg錠剤を用いて近づけることができ、18
0mg投与量は100mgの錠剤とともに75mg錠剤
または三つの25mg錠剤で近づけることができた(こ
の3種類の錠剤は経口錠剤のための典型的な用量であ
る)。当業者には明らかになるであろうが、最もしばし
ば用いられる剤形は経口錠剤であり、多数の哺乳類が毎
日処置され、該錠剤の利用可能な用量のすべてを含む
(例えば、25mg、75mgおよび100mg錠剤)
ディスペンサーの使用により得られるのがさらに便利で
ある。このようにして、事実上任意の好適な投与量を該
錠剤および/またはそれらの半分の組み合わせを用いて
近づけることができる。
【0110】当業者(獣医師のような)は好適な投与経
路および対応する剤形および量を決定するだけでなく、
該当業者は投与計画(即ち、投与の頻度)も決定する必
要がある。一般的に、1日1回(s.i.d)投与およ
び1日2回(b.i.d)投与の間が選択されるのが最
もありそうであり、前者はより迅速で深在性治療を提供
し、一方、後者は深在性は少ないがより持続した治療を
提供するであろう。しかしながら、この一般化は含まれ
る関節軟骨または軟骨下骨変性または破壊の特別の型お
よびその薬物動態学および含まれる特別の患者(哺乳
類)のような重要な変数を考慮に入れていない。市場で
承認された製品に対しては、この情報のほとんどは、そ
のような承認を得るために実施された臨床研究の結果か
らすでに得られている。その他の場合、そのような情報
は当業者の知識に照らして、本明細書に含まれている教
えおよび案内に従って率直な様式で得られるであろう。
得られる結果はまた、同じアッセイで承認された製品の
対応する評価と関連づけられる。
【0111】上に列記した投与量の範囲は(本明細書の
別のところでも列記されている)、キラル炭素を持つ式
(I)の化合物のラセミ混合物またはキラル炭素が存在
しない単一の式(I)の化合物に対するものである。当
業者(即ち、実施する獣医師または動物健康の問題に上
級の学位および経験を持つ人)には理解されるであろう
ように、式(I)の化合物のラセミ混合体以外のものが
含まれている場合は軟骨保護治療的有効量は変化する。
例えば、混合物の85%が(S)−エナンチオマーであ
るならば、通常必要な投与量を減少させる傾向がある。
これらの考慮は仮定された等しい効力、および(S)−
エナンチオマーは(R)−エナンチオマーよりも著しく
より活性であるという事実に基づいている。しかしなが
ら、二つのエナンチオマーの活性間の相違の程度は他の
相違、特に二つのエナンチオマー間の薬物動態学の相違
も適切な投与量の決定に考えに入れなければならない。
例えば、(+)(S)および(−)(R)エナンチオマ
ー間のクリアランス率に著しい相違が観察されている。
このことは、順に、投与されるべき活性化合物の量に計
算可能な影響を持っているであろう。通常、そのような
決定は当業者により1件づつなされるであろうが、それ
は当業者の範囲内であり、方法を設けるにつれてそれに
より計算を指示するために必要なデータが得られるであ
ろう。
【0112】典型的な剤形および量には以下のものが含
まれる(1)体重の4.0mg/kg/日の適用量での
カプロフェンの静脈内投与、右頭部静脈に注射された;
(2)体重の4.0mg/kg/日の適用量でのカプロ
フェンの経口投与、経口ペーストとして舌の裏側に注射
器で、給餌の1時間前に与えられた;および(3)25
mg、75mgおよび100mg錠剤製剤として体重の
4.0mg/kg/日の適用量でのカプロフェンの経口
投与、処置されている哺乳類の舌の裏側に置かれた、給
餌の1時間前に与えられた。
【0113】本発明の活性成分はまた、当業者には容易
に明らかになるであろう、および本発明の治療剤が投与
される環境により通常決定されるであろう他の治療的に
活性な成分と組み合わされるであろう。例えば、関節が
同時に微生物(例えば、細菌、真菌、原虫、ウイルスな
ど)により重度に感染された場合、本発明の活性成分は
望ましくは一つまたはそれ以上の抗生物質、抗菌剤、抗
原虫剤、抗ウイルス剤または類似の治療剤と組み合わせ
て投与されるであろう。本発明の活性成分はNSAID
ならびに炎症の他のメディエーターの阻害剤と組み合わ
されて投与されるであろう。そのような阻害剤の追加の
種類およびそれらの例には以下のものが含まれる:例え
ば、H1−レセプターアンタゴニスト;キニン−B1およ
びB2−レセプターアンタゴニスト;PGD−、PGF
−、PGI2−およびPGE−レセプターアンタゴニス
トのようなプロスタグランジン阻害剤;トロンボキサン
2(TXA2)−阻害剤;5−および12−リポキシゲ
ナーゼ阻害剤;ロイコトリエンLCT4−、LTC4/L
TE4−およびLTB4−阻害剤;PAF−レセプターア
ンタゴニスト;種々の親水性基を持つアウロチオの形の
金;免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン、アザチオプ
リンおよびメトトレキセート);抗炎症性グルココルチ
コイド(例えば、デキサメタゾン);広スペクトル抗寄
生虫抗生物質(例えば、アベルメクチンおよびミベマイ
シン);ペニシラミン;ヒドロキシクロロキン;抗通風
薬(例えば、コルヒチン);キサンチンオキシダーゼ阻
害剤(例えば、アロプリノール);尿酸排泄薬(例え
ば、プロベネシド、スルフィンピラゾンおよびベンズブ
ロマロン)。
【0114】広いスペクトルの駆虫性抗生物質(例え
ば、アベルメクチンおよびミルベマイシン)である治療
剤の種類は、これらの内部および外部寄生生物撲滅薬は
哺乳類に長期に渡って投与されるので(特に、重度の寄
生虫感染の処置のためにネコおよびイヌに)、式(I)
の軟骨保護化合物との同時投与および他の型の組み合わ
せ治療の特に良好な候補である。これらの最も重要なも
のの一つはハートウォームであり、それは非常に有害で
あり、しばしばネコおよびイヌの致死的寄生虫である。
アベルメクチンは5環式16員ラクトンの部類であり、
構造はミルベマイシンに相関しており、ストレプトミセ
ス アベルミチリスの培養物から単離される。特別の薬
剤にはアベルメクチンA1a/b'、アベルメクチン
2a/b'、アベルメクチンB1a/b'およびアベルメクチン
2a/b'が挙げられる。アベルメクチンは全文のまま本
明細書で援用されるUS4310159により詳細に記
載されている。ミルベマイシンは殺虫および殺ダニ活性
を持つ新規マクロライド抗生物質のファミリーであり、
ストレプトミセス ヒグロスコピカスの培養物から単離
される。ミルベマイシンは全文のまま本明細書で援用さ
れるUS3950360により詳細に記載されている。
広いスペクトルの駆虫性抗生物質の範囲内に含まれて
いるさらに別の化合物のファミリーはアベルメクチンお
よびミルベマイシンに化学構造および生物学的活性が関
連しているものであり、それは式(II)により表され
る:
【化10】
【0115】このマクロライドのファミリーはWO94
/15944およびEP0677054(両方とも全文
のまま本明細書で援用される)により詳細に記載されて
いる。
【0116】関節軟骨変性の初期段階は老齢哺乳類で頻
繁であるので、当業者は式(I)の軟骨保護化合物が年
を取った哺乳類に多数観察される疾患状態、症候群およ
び徴候の処置を意図する治療薬と組み合わせて投与され
ることを理解するであろう。そのような治療薬およびそ
れらが処置のために使用される状態には、例えば、記憶
喪失および障害を抑える充血治療薬;抗異常運動/抗パ
ーキンソン病薬(例えば、セレゲリン)が含まれる。そ
のような治療薬の別の大きな部類には以下のものが含ま
れる:アンギナ、鬱血性心不全および心筋梗塞を含む心
筋虚血症の帰結を相殺することが意図された抗高血圧お
よび他の心血管薬、例えば、利尿薬、ヒドラジンのよう
な血管拡張薬、プロプラノールのようなβ−アドレナリ
ン作動性レセプターアンタゴニスト、僧帽弁閉鎖不全症
を持つ老年哺乳類を処置するために使用されるエナラプ
リルのようなアンギオテンシン−II変換酵素阻害剤
(ACE−阻害剤)およびエナラプリル単独および中性
エンドペプチダーゼ阻害剤との組み合わせ、ロサルタン
のようなアンギオテンシン−IIレセプターアンタゴニ
スト、レニン阻害剤、ニフェジピンのようなカルシウム
チャンネル阻止剤、メチルドーパのような交換神経遮断
薬、クロニジンのようなα2−アドレナリンアゴニス
ト、プラゾシンのようなα−アドレナリン作動性レセプ
ターアンタゴニストおよびロバスタチンのようなHMG
−CoA−還元酵素阻害剤(抗高コレステロール血
症)。
【0117】そのような治療剤のさらに別の種類には種
々の癌を処置するための抗腫瘍薬、特にビンブラスチン
およびビンクリスチンのようなビンカアルカロイドを含
む細胞分裂抑制薬;腎不全を処置するための治療剤;哺
乳類における過体重問題を処置するための抗肥満薬;通
常哺乳類を悩ませる内部および外部寄生虫の両方を処置
するための抗寄生虫薬;および哺乳類における心因性掻
痒症の種々の型を処置するための抗心因性掻痒症薬が含
まれる。
【0118】本発明の抗炎症性薬と組み合わせて使用で
きる他の型の薬剤には、増殖因子分泌促進物質;強力な
鎮痛薬;局所および全身麻酔薬;およびH2−レセプタ
ーおよび他の胃保護薬が含まれる。いくつかの上記の治
療剤の組み合わせは哺乳類における種々の急性状態を処
置するために最も頻繁に使用されるであろうことを当業
者は理解するであろう、例えば、変性性関節疾患と同時
に起こっている細菌感染。しかしながら、哺乳類の慢性
状態を処置している当業者の一部により大きな関心を起
こさないならば対等であろう。
【0119】この目的に使用される投与計画に従うと、
式(I)の軟骨保護化合物は、高脂血症のような慢性状
態を処置するために規則的に計画されて使用される他の
医薬と組み合わせて投与されることが企図されている。
組み合わせ投与が多数の異なった形が仮定できることが
心に描かれるが、それもなお本発明の範囲内である。例
えば、式(I)の軟骨保護化合物は、意図される組み合
わせを形成する一つまたはそれ以上の他の治療薬と、組
み合わせを形成するすべての薬剤を含む経口錠剤のよう
な都合のよい剤形に単に処方されるであろう。異なった
薬剤のための変化する半減期は、比較的均一な投与が達
成されるように異なった放出時間を持つ該薬剤の制御放
出形を作ることによる処方の調製で当業者により適応で
きる。剤形として使用される医薬添加飼料もまた処方分
野でよく知られている原理に従って調製でき、そこでは
組み合わされて使用された薬剤は単に飼料成分と混合さ
れて一緒に存在していた。本発明はまた、薬剤の組み合
わせが組み合わされるべき薬剤との同時投与により達成
される同時投与も企図されている。そのような同時投与
は異なった剤形および投与経路によってもできる。本発
明はさらに異なったしかし規則的で連続的な投与計画に
従ったそのような組み合わせの使用を企図しており、そ
れによりたとえ組み合わせを形成する個々の薬剤が処置
されている哺乳類に同時に投与されていなくても該哺乳
類において関与する薬剤の所望の血漿レベルが維持され
ていた。
【0120】前に説明したように、本発明は二つの基本
的な工程から成っている:(I)候補哺乳類の状態が、
該哺乳類の一つまたはそれ以上の関節の関節軟骨または
軟骨下骨変性の初期段階に現在あるまたは予期されるか
について確立し、それにより該哺乳類がそのような処置
を必要としていることを確認し;およびそれにより(I
I)関節軟骨または軟骨下骨変性の該初期段階を処置ま
たは予防するために式(I)の軟骨保護化合物の治療的
に有効な量を該哺乳類に投与することにより該初期段階
を処置または予防する。工程(II)の種々の態様はす
でに詳細に上で議論されている。従って、工程(I)の
態様がここで詳細に議論されるであろう。
【0121】哺乳類が現在または将来的に、該哺乳類の
一つまたはそれ以上の関節で関節軟骨または軟骨下骨変
性の初期段階であるのかどうかについて本発明に従った
処置の候補である哺乳類の状態を確立する必要がある。
本明細書で使用された表現”現在または将来的に”とは
決定を行う以下に議論する方法に従うと、現在そのよう
な処置を必要としていると、または近い将来そのような
処置を必要とすることが非常にありそうなまたは予期さ
れると候補哺乳類を同定することが可能であることを意
味するつもりである。処置の予防的必要性は、当業者の
経験から関節軟骨および軟骨下骨変性の初期段階へ直接
的に導く陽性因子の決定により確立されるであろう。例
えば、当業者は哺乳類(特にイヌ)の臨床試験から、そ
れが初期の股形成異常を持っていることを確立できるで
あろうし、この結論を、イヌが近い将来に股関節異常を
発症するであろうことを確立された測定法に従って決定
できるラジオグラフィー的証拠で確認できるであろう。
【0122】従って、処置の必要性は(1)臨床関節鏡
試験からの陽性結果および候補哺乳類の関節評価から決
定されるであろう。初期または実現股関節異常の診断は
すでに議論されている。他の臨床的徴候学および症候に
は候補哺乳類関節の直接試験から得られたものが含まれ
るであろう。
【0123】当業者はまた、(2)候補哺乳類の一つま
たはそれ以上の関節に対する侵襲的手術過程の実施は、
処置が必要であったと結論するそれ自身による十分な理
由がある状況下であることを気付くであろう。このこと
は、哺乳類(特にイヌ)関節の侵襲的手術は、手術前の
効率的なそのいつもの荷重耐える関節の能力を必然的に
退化させるという事実からきている。当業者の経験では
関節に対する機械的ストレスの増加は関節軟骨および軟
骨下骨変性の初期段階へ直接的に導くであろう。そのよ
うな関節に対する手術はまた、血液および炎症の原因因
子であるサイトカインおよび他の因子を含んでいる他の
液体の滲出も起こし、それにより、それらの軟骨および
軟骨下骨を含む関節の固形組織内への移動および吸収を
可能にする。当業者はこのことがまた、関節軟骨および
軟骨下骨変性の初期段階へ直接的に導くことを理解する
であろう。
【0124】さらに、処置の必要性は(3)ラジオグラ
フィーおよび磁気共鳴イメージング(MRI)を含む非
侵襲的方法を用いた該哺乳類の一つまたはそれ以上の関
節の試験からの陽性結果により決定または確認されるで
あろう。後者の技術は前者よりも軟組織の評価は良好で
ある。MRIは軟組織の増加したコントラスト分解能を
示す、多平面身体イメージングのための技術である。M
RIは軟組織変化を可視化できるので、関節軟骨および
軟骨下骨変性の初期変化の病理をイメージングするのに
適している。
【0125】処置の必要性は(4)下記の物質の一つま
たはそれ以上に関して候補哺乳類の体液または関節組織
に対して実施された生化学試験からの陽性結果により決
定または確認されるであろう:インターロイキン−1ベ
ータ(IL−1β)の増加;腫瘍壊死因子アルファ(T
NFα)の増加;IL−1レセプターアンタゴニストタ
ンパク質(IRAP)に対するIL−1βの比の増加;
p55TNFレセプター(p55TNF−R)発現の増
加;インターロイキン−6(IL−6)の増加;白血病
阻害因子(LIF)の増加;インスリン様増殖因子−1
(IGF−1)の未変化または減少;形質転換増殖因子
ベータ(TGFβ)の減少;血小板由来増殖因子(PD
GF)の未変化または減少;塩基性線維芽細胞増殖因子
(b−FGF)の未変化または減少;ケラタン硫酸の増
加;ストロメリシンの増加;メタロプロテアーゼの組織
阻害剤(TIMP)に対するストロメリシンの比の増
加;オステオカルシンの増加;アルカリ性ホスファター
ゼの増加;ホルモンチャレンジに対するcAMP応答性
の増加;ウロキナーゼ プラスミノーゲン活性化剤(u
PA)の増加;軟骨オリゴマーマトリックスタンパク質
の増加;およびコラゲナーゼの増加。
【0126】
【実施例】本発明の方法および組成物をさらに示すた
め、以下の節で、該方法の実施に用いられるであろう典
型的な方法の特別の説明的実施例が示される。しかしな
がら、該実施例は例示であることのみが意図されてお
り、いかようにも本発明の制限として取ってはならず、
その目的には請求の範囲が添えられている。
【0127】実施例1 骨格的に成熟した雑種哺乳類(各々20から25kg)
の三つの群が、哺乳類における関節軟骨変性の初期段階
のためのマーカーであり、および従って、薬学的仲介の
適した候補である哺乳類の同定に使用されるであろう軟
骨下骨変化を示すことが目的の研究に使用される。
【0128】群Iにおいて、関節性変形症はPelle
tier,J−P.;Martel−Pelletie
r,J.;Altman,R.D.;Ghandur−
Mnaymneh,L.;Howell,D.S.;W
oessner,J.F.,Jr.;”関節性変形症の
Pond-Nuki哺乳類モデルにおける関節軟骨のコ
ラ−ゲン分解性活性およびコラーゲンマトリックス分
解”,Arthritis Rheum,26,198
3,866-874;に記載されている手術法を用いて
これらの哺乳類(n=4)に誘導され、ここで該哺乳類
はペントバルビタール ナトリウムの静脈注射により麻
酔され(25mg/kg)、刺切創により右膝前部十字
靱帯が切断される。手術後、哺乳類は囲いに入れ自由に
運動させた。哺乳類にはカプロフェン、6−クロロ−α
−メチル−9H−カルバゾール−2−酢酸、を手術後4
週から始めて、2.2mg/kg bid poの投与
量で8週間投与した。非切開動物(n=4)の右膝を正
常対照とした。群IIおよびIII(n=4、各々の
群)は同様の様式で手術されたが、処置は受けていな
い。群IおよびIIの哺乳類は手術後12週目にネンブ
タールの静脈内過剰投与により殺し、一方、群IIIの
哺乳類は同様の方法で手術後4週目に殺した。正常哺乳
類もまた対照として使用された。
【0129】頸骨の近位端が以下のように除去され、冷
生理食塩水で洗浄し、切開の前および切開を通して氷上
に置かれた。正常骨標本は切開で集められた内側頸骨プ
ラトーのプラグ外植体から得られた。内側頸骨プラトー
は適当な外植体および一次骨細胞培養物を調製するため
に抽出された;辺縁皮質性骨細胞は含まれていない。重
なっている軟骨は最初に頸骨プラトーから除去され、プ
ラグ外植体は内側プラトーの中点から切開された。柱状
骨組織は軟骨下骨板から解離された。すべての操作は軟
骨および柱状骨の完全な除去を確実にするため拡大顕微
鏡下で実施された。頸骨プラトー標本の軟骨下骨板は次
に2つの部分に分離された。正常哺乳類からの軟骨下骨
標本は、変形性関節炎哺乳類からのもの(明らかな硬化
も観察された)より一致してより薄かった。
【0130】標本の第一の群は外植体培養のための10
0−200mg湿潤重量の生体外骨試料を調製するため
に使用された。外植体は血清を含んでいないBGJ培地
(Sigma,St.Louis,MO)中で試料を3
回ボルテックスすることにより洗浄し、同じ培地中、加
湿した5%O2/95%CO2雰囲気下、37℃で培養し
た。これらの条件下で5日培養した後に培養物から条件
付け培地を回収し、アッセイまで−80℃で保存した。
【0131】試料の第二の部分はLajeuness
e,D.;Busque,L.;Menard,P.;
Brunette,M.G.;Bonny,Y.;”ヒ
ト悪性骨粗鬆症の二つのケースにおける骨芽細胞欠損:
骨髄移植後の表現型の相関”;J.Clin Inve
st,98,1996,1835−1842、記載され
た一次細胞培養物の調製に使用された(一部小さな変更
を行った)。骨試料は小片に切断し(2mm2)、続い
て1mg/mlのタイプIコラゲナーゼ(Sigma)
が存在する、血清を含まないHam’s F12/ダル
ベッコ改良イーグル培地(DMEM;Sigma)中、
20、20および240分消化した。この処理は皮質性
骨片から付着したおよび残存する骨髄細胞の両方を除去
する。
【0132】同じ培地で洗浄した後、消化した骨片は2
0%ウシ胎児血清(FBS;Wisent,St.Br
uno,Quebec,Canada)を含んだBGL
培地で培養した。この培地はペトリ皿に細胞が観察され
るまで2日毎に置き換え、その時点で10%FBSを含
む新鮮な培地に置き換えた。コンフルエントになった
ら、細胞は25,000細胞/cm2の比で一度継代
し、アッセイに先立って24ウェルプレー(Falco
n,Lincoln Park,NJ)で5日間増殖さ
せた。これらの培養条件で得られた細胞は、Lajeu
nesseらによる科学文献からの上記論文で指摘され
ているような骨芽細胞様表現型を示した。条件付けは2
%活性炭はぎ取りFBSを含むHam’s F-12/
DMEM中、50nMの1,25(0H)23(1,2
5−ジヒドロキシビタミンD)(最大刺激のため)存在
下または不在下で最後の2日の培養を行い、Lajeu
nesseらによる科学文献からの上記論文で指摘され
ているような最大のアルカリ性ホスファターゼおよびオ
ステオカルシン分泌が得られた。培地はインキュベーシ
ョンの終わりに集められ、アッセイまで−80℃で保存
した。細胞は次にリン酸緩衝液(PBS)、pH7.
4,で2回洗浄し、アルカリ性ホスファターゼ緩衝液
(100mMグリシン、1mM MgC12、1mM
ZnCl2、1%トリトンX−100;pH10.5)
で60分、4℃で揺り動かして溶解させた。
【0133】cAMP決定のため、細胞を0.5%ウシ
血清アルブミン(脂肪酸を含んでいない分画V;Sig
ma)を含むHam’s F−12/DMEM中、ホス
ホジエステラーゼ阻害剤(1mM 3−イソブチル−1
−メチルキサンチン;Sigma)存在下で15分プリ
インキュベートする。プリインキュベーションの終わり
に、100μMヒト副甲状腺ホルモン断片1−34(P
TH;Penninsula,Belmont,C
A)、5nMプロスタグランジンE2(PGE2;Sig
ma)、1μMホルスコリン(Sigma)または担体
を含む同じ培地で5分間インキュベートし、反応は3%
過塩素酸(最終濃度)で停止する。サイクリックAMP
レベルはLajeunesse,D.;Kiebza
k,G.M.;Frondoza,C.;Sackto
r,B.;”ヒト一次骨細胞およびヒト骨肉腫細胞株M
G−63によるオステオカルシン分泌の制御”;Bon
e,14,1991,237−250、に記載されてい
るようにラジオイムノアッセイ(Diagnostic
Products,Los Angeles,CA)
により評価される。
【0134】オステオカルシン放出は、2%活性炭処理
FBSを含み、50nM 1,25(0H)23または
担体(0.1%エタノール)存在下の、Lajeune
sseらによる科学文献からの上記論文に記載されてい
るような骨芽細胞様細胞の培養の最後2日で調製された
条件付けHam’s F-12/DMEM(1:1)で
測定された。新生オステオカルシンは特異的酵素イムノ
アッセイ(Biomedical Technolog
ies,Stoughton,MA)を用いて決定され
る。このアッセイの検出限界は0.5ng/mlであ
り、2%活性炭処理FBSは<0.1ng/mlのオス
テオカルシンを含んでいる。細胞アルカリ性ホスファタ
ーゼ活性は、オステオカルシン放出で使用した細胞を用
い、上記のようにアルカリ性ホスファターゼ緩衝液に細
胞を可溶化した後、37℃で30分間、p−ニトロフェ
ニルホスフェート(12.5mM、最終濃度)から加水
分解されたp−ニトロフェノールの放出で決定された。
アルカリ性ホスファターゼは一部を用いて直後に決定さ
れた。タンパク質決定はSmith,P.K.;Kro
hn,R.I.;Hermanson,G.T.;Ma
llia,A.K.;Gartner,F.H.;Pr
ovenzano,M.D.;et al.;”ビシン
コニン酸を用いたタンパク質の測定”,Anal Bi
ochem,150,1985,76−85に記載され
ているビシンコニン酸法により実施される。
【0135】uPA、PAI−1およびIGF−1の評
価は、軟骨下骨外植体からの(試験された外植片当たり
100−200mg湿潤重量、5日の条件付け)から、
およびPBSを除いた、しかし1%インシュリン−トラ
ンスフェリン−セレン混合物(ITS,Sigma)を
含むHam’s F−12/DMEMを与えた、培養の
最後2日の条件付け培地が使用された。最初に、uPA
レベルは特異的酵素連結免疫吸着アッセイ(ELIS
A;American Diagnostica,Gr
eenwich,CT)により決定される。次に、40
5nmで検出できるp−ニトロアニリンを放出する特異
的基質DL−Val−Leu−Arg−p−ニトロアニ
リド(Sigma)の加水分解によりuPAの活性を決
定するためにLeprince,P.;Rogiste
r,B.;Moonen,G.A.;”培養細胞からの
無血清条件付け培地中のプラスミノーゲンアクチベータ
ーおよびプラスミノーゲンアクチベーター阻害剤の同時
測定のための比色アッセイ”,Anal Bioche
m,177,1989,341-346に記載されてい
る方法が使用された。PAI−1レベルはAmeric
an Diagnostica(Greewich,C
T)から入手可能な材料を用いてELISAにより決定
された。IGF−1はインシュリンと交差反応しない高
感度ELISA(Diagnostic System
s Laboratories,Webster,T
X)を用いて決定された。内部対照研究は1%ITSの
みを含む培地で実施され、得られた値は検出限界以下で
なければならない。骨外植体の条件付け培地のためには
試料は直接的に処理され、一方細胞培養試料のために
は、3つまたは4つの上清がプールされ、凍結乾燥さ
れ、次にPBS緩衝液、pH7.4、で再構築された。
試料は次にMohan,S.;Bautista,C.
M.;Herring,S.J.;Linkhart,
T.A.;Baylink,D.J.;”骨細胞条件付
け培地中のインシュリン様増殖因子−Iおよび−IIを
測定するための確実な方法の開発”,Endocrin
ology,126,1990,2534-42、に記
載されている方法に従って処理された。
【0136】上記の評価の結果は、哺乳類の関節軟骨お
よび軟骨下骨変性の初期段階の存在を確立するための検
出能力および能力を確認した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C07D 209/88 C07D 209/88 (72)発明者 クリスティン・マリー・ランディ アメリカ合衆国コネチカット州06340,グ ロートン,メリディアン・ストリート 600,アパートメント 631 (72)発明者 ジャン−ピエール・ペレティアー カナダ国ケベック ジェイ4エス 1ジー 4,セント・ランバート,デュジュラ 229 (72)発明者 アンソニー・ポール・リケッツ アメリカ合衆国コネチカット州06378,ス トニントン,ピークォット・トレイル 1306

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の処置を必要としている哺乳類の一
    つまたはそれ以上の関節中の関節軟骨または軟骨下骨の
    変性の初期段階を処置または予防する方法であって:
    (1)該初期段階に現在あるまたは予期される、従って
    そのような処置を必要としている該哺乳類の状態を確立
    し;およびそれにより(2)該哺乳類に関節軟骨または
    軟骨下骨の変性の該初期段階を処置または予防するのに
    有効な治療的量で式(I):の軟骨保護化合物を投与す
    ることから成っている方法 【化1】 [式中:R2は 【化2】 であり、式中Aはヒドロキシ、(C1−C4)アルコキ
    シ、アミノ、ヒドロキシ−アミノ、モノ−(C1−C2
    アルキルアミノ、ジ−(C1−C2)アルキルアミノであ
    り;XおよびYは独立してHまたは(C1−C2)アルキ
    ルであり;およびnは1または2である;R6はハロゲ
    ン、(C1−C3)アルキル、トリフルオロメチルまたは
    ニトロであり;R9はH;(C1−C2)アルキル;フェ
    ニルまたはフェニル−(C1−C2)アルキル(ここでフ
    ェニルは随意にフルオロまたはクロロで一置換されてい
    る);−C(=O)−R(式中Rは(C1−C2)アルキ
    ルまたは随意にフルオロまたはクロロで一置換されてい
    るフェニルである);または−C(=O)−O−R
    1(式中R1は(C1−C2)アルキルである)である]の
    軟骨保護化合物;XおよびYが異なっている場合、それ
    らの(−)(R)および(+)(S)エナンチオマー;
    および関節軟骨または軟骨下骨変性の該初期段階を処置
    または予防するのに治療的に活性であるそれらのすべて
    の医薬として受容可能な塩、プロドラッグおよび代謝物
    を投与することから成る方法。
  2. 【請求項2】 該式(I)の軟骨保護化合物が(−)
    (R)および(+)(S)エナンチオマーとして存在
    し、および該(+)(S)エナンチオマーが単独で使用
    される請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 該哺乳類がネコ、イヌまたはウマであ
    り、および該処置または予防が該変性の該初期段階に続
    く関節軟骨または軟骨下骨の障害、損傷または損失を改
    善、軽減、積極的に処置、反転または予防する請求項1
    に記載の方法。
  4. 【請求項4】 該哺乳類の該状態が該初期段階に現在あ
    るまたは予期されるおよび従ってそのような処置が必要
    であることが一つまたはそれ以上の以下のことにより決
    定される請求項1に記載の方法: (A)股形成異常進行の測定を含む、該哺乳類の臨床試
    験および関節の評価による陽性結果; (B)該哺乳類の一つまたはそれ以上の関節に対する侵
    襲的手術の実施; (C)ラジオグラフィーおよび磁気共鳴イメージング
    (MRI)を含む非侵襲的手段を用いる該哺乳類の一つ
    またはそれ以上の関節試験からの陽性結果;および (D)下記の物質の一つまたはそれ以上に関して該哺乳
    類の体液または関節組織に対して実施された生化学試験
    からの陽性結果: (1)インターロイキン−1ベータ(IL−1β)の増
    加; (2)腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)の増加; (3)IL−1レセプターアンタゴニストタンパク質
    (IRAP)に対するIL−1βの比の増加; (4)p55TNFレセプター(p55TNF−R)発
    現の増加; (5)インターロイキン−6(IL−6)の増加;白血
    病阻止因子(LIF)の増加; (6)インスリン様増殖因子−1(IGF−1)の未変
    化または減少; (7)形質転換増殖因子ベータ(TGFβ)の減少;血
    小板由来増殖因子(PDGF)の未変化または減少; (8)塩基性線維芽細胞増殖因子(b−FGF)の未変
    化または減少; (9)ケラタン硫酸の増加; (10)ストロメリシンを含むマトリックスメタロプロ
    テアーゼ(MMP)の増加; (11)メタロプロテアーゼの組織阻害剤(TIMP)
    に対するストロメリシンを含むマトリックスメタロプロ
    テアーゼ(MMP)の比の増加; (12)オステオカルシンの増加; (13)アルカリ性ホスファターゼの増加; (14)ホルモンチャレンジに対するcAMP応答性の
    増加; (15)ウロキナーゼ プラスミノーゲン活性化剤(u
    PA)の増加; (16)軟骨オリゴマーマトリックスタンパク質の増
    加; (17)タイプII特異的コラーゲンネオエピトープの
    存在;および (18)コラゲナーゼの増加。
  5. 【請求項5】 さらに、 (A)式(I)の軟骨保護化合物の群から選択される一
    つより多い軟骨保護化合物;または(B)本質的にポリ
    硫酸化グリコサミノグリカン(PSGAG)、グルコサ
    ミン、コンドロイチン硫酸(CS)、ヒアルロン酸(H
    A)、ペントサンポリ硫酸(PPS)、ドキシサイクリ
    ンおよびミノサイクリンから成る群より選択された一つ
    またはそれ以上の化合物と一緒に投与された一つまたは
    それ以上の該式(I)の軟骨保護化合物:から成る化合
    物の組み合わせを投与することを含んでいる請求項1に
    記載の方法。
  6. 【請求項6】 該軟骨保護化合物が6−クロロ−α−メ
    チル−9H−カルバゾール−2−酢酸であり、および該
    投与量が約2.0mg/kg/日から約4.0mg/k
    g/日である請求項1に記載の方法。
  7. 【請求項7】 下記の処置を必要としている哺乳類の一
    つまたはそれ以上の関節中の関節軟骨または軟骨下骨の
    変性の初期段階を処置または予防するための医薬組成物
    であって、以下のものを含んでいる組成物: (A)式(I): 【化3】 式中:R2は 【化4】 であり、式中Aはヒドロキシ、(C1−C4)アルコキ
    シ、アミノ、ヒドロキシ−アミノ、モノ−(C1−C2
    アルキルアミノ、ジ−(C1−C2)アルキルアミノであ
    り;XおよびYは独立してHまたは(C1−C2)アルキ
    ルであり;およびnは1または2である;R6はハロゲ
    ン、(C1−C3)アルキル、トリフルオロメチルまたは
    ニトロであり;R9はH;(C1−C2)アルキル;フェ
    ニルまたはフェニル−(C1−C2)アルキル(ここでフ
    ェニルは随意にフルオロまたはクロロで一置換されてい
    る);−C(=O)−R(式中Rは(C1−C2)アルキ
    ルまたは随意にフルオロまたはクロロで一置換されてい
    るフェニルである);または−C(=O)−O−R
    1(式中R1は(C1−C2)アルキルである)である;X
    およびYが異なっている場合、それらの(−)(R)お
    よび(+)(S)エナンチオマー;および関節軟骨また
    は軟骨下骨変性の該初期段階を処置または予防するのに
    治療的に活性であるそれらのすべての医薬として受容可
    能な塩形、プロドラッグおよび代謝物;の軟骨保護化合
    物の、関節軟骨または軟骨下骨の変性の該初期段階を処
    置または予防するための治療的有効量;および(B)そ
    れらのための医薬として受容可能な担体。
  8. 【請求項8】 該軟骨保護化合物が6−クロロ−α−メ
    チル−9H−カルバゾール−2−酢酸であり、および該
    治療的有効量が約2.0mg/kg/日から約4.0m
    g/kg/日の割合の投与で提供される請求項7に記載
    の医薬組成物。
  9. 【請求項9】 哺乳類の胃への遠位送達を容易にするた
    めに胃での放出および吸収が妨げられている遅延性放出
    経口錠剤、カプセル、カプレットおよび多粒子物、およ
    び24時間までの制御された様式で活性成分の全身送達
    を提供する徐放性放出錠剤、カプセルおよび微粒子物か
    ら成る群より選択される固形経口剤形を含む請求項7に
    記載の医薬組成物。
  10. 【請求項10】 さらに、 (A)式(I)の軟骨保護化合物の群から選択される一
    つより多い軟骨保護化合物;または(B)本質的にポリ
    硫酸化グリコサミノグリカン(PSGAG)、グルコサ
    ミン、コンドロイチン硫酸(CS)、ヒアルロン酸(H
    A)、ペントサンポリ硫酸(PPS)、ドキシサイクリ
    ンおよびミノサイクリンから成る群より選択された一つ
    またはそれ以上の化合物と一緒の一つまたはそれ以上の
    該式(I)の軟骨保護化合物:から成る化合物の組み合
    わせを含んでいる請求項7に記載の医薬組成物。
  11. 【請求項11】(A)該一つまたはそれ以上の関節が同
    時に細菌、真菌、、原虫またはウイルスから成る微生物
    で重度に感染されており、一つまたはそれ以上の抗生物
    質、抗菌剤、抗原虫剤または抗ウイルス治療薬と組み合
    わされた該軟骨保護化合物; (B)本質的にH1−レセプターアンタゴニスト;キニ
    ン−B1およびB2−レセプターアンタゴニスト;ロイコ
    トリエンLTC4−、LTD4/LTE4−およびLTB4
    −阻害剤;PAF−レセプターアンタゴニスト;親水性
    基を持つアウロチオの形の金;シクロスポリン、アザチ
    オプリンおよびメトトレキセートから選択される免疫抑
    制剤;抗炎症性グルココルチコイド、例えば、デキサメ
    タゾン;広スペクトル抗寄生虫抗生物質、例えば、アベ
    ルメクチンおよびミベマイシン;ペニシラミン;ヒドロ
    キシクロロキン;抗通風薬コルヒチン;キサンチンオキ
    シダーゼ阻害剤アロプリノール;および、プロベネシ
    ド、スルフィンピラゾンおよびベンズブロマロンから選
    択される尿酸排泄薬から成る群より選択される一つまた
    はそれ以上の化合物との組み合わせ;および (C)記憶喪失および障害を抑える充血治療薬;抗異常
    運動/抗パーキンソン病薬、例えば、セレゲリン;利尿
    薬、血管拡張薬、β−アドレナリン作動性レセプターア
    ンタゴニスト、僧帽弁閉鎖不全症を持つ老年哺乳類を処
    置するために使用されるアンギオテンシン−II変換酵
    素阻害剤(ACE−阻害剤)、エナラプリル単独および
    中性エンドペプチダーゼ阻害剤との組み合わせ、アンギ
    オテンシン−IIレセプターアンタゴニスト、レニン阻
    害剤、カルシウムチャンネル阻止剤、交換神経遮断薬、
    α2−アドレナリンアゴニスト、α−アドレナリン作動
    性レセプターアンタゴニストおよびHMG−CoA−還
    元酵素阻害剤(抗高コレステロール血症)から選択され
    る、高血圧を含むアテローム性動脈硬化症、アンギナ、
    鬱血性心不全および心筋梗塞を含む心筋虚血症の帰結を
    相殺することが意図された抗高血圧および他の心血管
    薬;抗腫瘍薬;ビンブラスチンおよびビンクリスチンを
    含む細胞分裂抑制薬;成長ホルモン分泌促進薬;強力な
    鎮痛薬;局所および全身麻酔薬;およびH2−レセプタ
    ーアンタゴニストおよび他の胃保護薬から本質的に成る
    群より選択される一つまたはそれ以上の治療薬から成
    る、年をとった哺乳類でみられる疾患状態、症候群およ
    び徴候の処置が意図された治療薬との組み合わせ;から
    成る式(I)の軟骨保護化合物と一緒の一つまたはそれ
    以上の多の治療活性剤の組み合わせをさらに含む請求項
    7に記載の医薬組成物。
  12. 【請求項12】 適切な外側カートンおよびその中に取
    り除き可能なように収納された内部容器から成る、処置
    を必要としている哺乳類の一つまたはそれ以上の関節の
    関節軟骨または軟骨下骨変性の初期段階を処置または予
    防するための商業的使用に適した包装であって:該容器
    に同封されているものは請求項1に従った式(I)の軟
    骨保護化合物の適した剤形であり;および該カートンま
    たは該カートンに収納されている該容器に張り付けられ
    ているかまたは該カートンまたは容器の不可欠な部分と
    して表示されている印刷された指示または情報提供資料
    が該カートンまたは容器に付随しており、該指示または
    情報提供資料は言葉で述べられており、それは該活性成
    分が、哺乳類の一つまたはそれ以上の関節の関節軟骨ま
    たは軟骨下骨変性の初期段階に哺乳類に投与された場
    合、該変性の初期段階に続く関節軟骨または軟骨下骨の
    傷害、損傷または損失を改善、軽減、積極的に処置、反
    転または予防するであろうことを読者に伝えている包
    装。
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