JPH11349474A - エラスターゼ阻害活性ポリペプチド含有経鼻投与用組成物 - Google Patents

エラスターゼ阻害活性ポリペプチド含有経鼻投与用組成物

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JPH11349474A
JPH11349474A JP10154455A JP15445598A JPH11349474A JP H11349474 A JPH11349474 A JP H11349474A JP 10154455 A JP10154455 A JP 10154455A JP 15445598 A JP15445598 A JP 15445598A JP H11349474 A JPH11349474 A JP H11349474A
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Yoji Yamamoto
陽児 山本
Masahiko Doi
雅彦 土肥
Yasuhide Uejima
康秀 上嶋
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エラスターゼ阻害活性ポリペプチドを治療薬
として患者に簡便に投与でき、そして物理的にも安定で
ある経鼻投与用組成物を提供する。 【解決手段】 エラスターゼ阻害活性ポリペプチド、水
難溶性でかつ水吸収性の基剤、及びヒドロゲル形成性の
基剤からなる粉末状の経鼻投与用組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、製剤的に安定なエ
ラスターゼ阻害活性ポリペプチドの経鼻投与用組成物に
関する。さらに詳しくは、本発明は、エラスターゼ阻害
活性ポリペプチド、水難溶性でかつ水吸収性の基剤、及
びヒドロゲル形成性の基剤からなる粉末状の経鼻投与用
組成物に関する。
【0002】本発明は、その安定性の悪さや、吸収性の
低さから注射による使用のみが製剤的に可能であるとさ
れていたエラスターゼ阻害活性ポリペプチドを、治療上
必要とする患者に対し、医師、看護人、患者本人などに
より、簡便に投与され、かつ有効治療十分量の該エラス
ターゼ阻害活性ポリペプチドを鼻腔から速やかに吸収さ
せうる、製剤的にに安定なエラスターゼ阻害活性ポリペ
プチドの経鼻投与用組成物を提供するものである。
【0003】
【従来の技術】好中球エラスターゼはさまざまな疾患に
関与していると考えられている。急性呼吸窮迫症候群に
おいては、活性酸素や他のプロテアーゼと共に好中球エ
ラスターゼが肺胞にて炎症を起こさせる。また、特発性
間質性肺炎の急性憎悪においては、血中並びに気道洗浄
液中に好中球エラスターゼの上昇が認められ、炎症の誘
因に関与していると考えられている。肺気腫、慢性気管
支炎等の慢性閉塞性肺疾患では、エラスターゼ/アンチ
エラスターゼ不均衡説が一般に受け入れられており、エ
ラスターゼによる肺エラスチン繊維の断裂などが引き起
こされる。
【0004】健常人においては、好中球エラスターセ゛
は体内のプロテアーゼインヒビターにより、その活性が
抑制されている。そのようなプロテアーゼインヒビター
の一つにSLPIがある。 SLPIは2つのドメインよりなる分
子量約12キロダルトンのポリペプチドであり、涙、鼻
汁、唾液、気管支、中耳、子宮景勁管、及び精嚢等の分
泌液に含まれていることが知られている。その好中球エ
ラスターゼ阻害活性により、上記の疾患が改善されるこ
とが期待される。またSLPIはエラスターゼ阻害活性以外
にも、カテプシンG、キマーゼ、及びコラゲナーゼの阻
害活性を有し、これらの作用により上述の呼吸器疾患に
効果があると思われる。それに加えSLPIにはHIV感染の
防御、肝細胞増殖因子誘導等も知られている。しかしな
がら、SLPIは好中球エラスターゼ阻害活性と同時に、膵
トリプシン阻害活性を有する為、トリプシン、プラスミ
ン、カリクレイン、及びトロンビン等を阻害し血液凝固
・線溶系等に悪影響を及ぼす恐れがある。
【0005】一方、特許第2574048号公報に記載されたS
LPIのフラグメントの一つである(Arg58-Ala107)SLPI
は、分子量5.5キロダルトンのポリペプチドであり、
また特開平6-80697号公報には、SLPIのエラスターゼ阻
害作用を維持しつつ、トリプシン阻害活性が低下したこ
とが記載されている。従って、(Arg58-Ala107)SLPIは
血液凝固・線溶系等に影響を与えること無く上記疾患の
治療に持ちいることが期待できる。そのためには、これ
らエラスターゼ阻害活性ポリペプチドを、患者に臨床使
用できるような製剤化する必要がある。しかしながら、
ポリペプチドの一般的製剤といえば、ポリペプチドの物
質としての不安定性、高分子量であるがゆえの吸収性の
低さなどから注射剤とするのが一般的現状である。
【0006】上述の通り(Arg58-Ala107)SLPIなどエラ
スターゼ阻害活性ポリペプチドは高分子量のポリペプチ
ドである。現在、数々のポリペプチド薬物が市販されて
いるが、その多くが酵素分解、低吸収性の理由により静
脈注射によってのみ投与されている。しかしながら静脈
注射は侵襲的であり患者に苦痛をしいり、とくに慢性疾
患の治療には通院等の負担が大きい。
【0007】従って、静脈注射に取って代わる投与方法
が望まれており、検討されている。例をあげれば、直腸
投与、点眼投与、経皮投与、及び経口投与等が研究され
ているが、静脈注射に比べ高用量が必要とされ、吸収に
ばらつきが大きいこと等の問題があり、実用化までに克
服すべき課題は多い。
【0008】また健常人のSLPIの気道分泌液中の濃度は
50mg/lであるのに対し、血漿中濃度は125μg/lと極めて
低く、局所で生産されたSLPIが循環血液中に逆流したも
のと考えられている。このことよりSLPI同様(Arg58-Al
a107)SLPIは、対象疾患によっては吸収後、全身血流に
回るより局所に滞留した方がより優れた薬効が期待でき
る可能性がある。例えば、 SLPIは鼻汁に多量に含まれ
ていることが知られており、鼻に局所的に作用するのが
望ましい場合も考えられる。この場合、注射投与するよ
りも直接鼻に投与することがエラスターゼ阻害活性ポリ
ペプチドの有効利用につながる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】以上に説明した従来の
技術における問題点に鑑み、本発明者らは鋭意検討した
結果、従来の技術よりも高い血中吸収性を可能とし、か
つ鼻に局所的に作用させることも可能なエラスターゼ阻
害活性ポリペプチドの投与組成物を見出した。すなわ
ち、本発明はエラスターゼ阻害活性ポリペプチド、水難
溶性でかつ水吸収性の基剤、およびヒドロゲル形成性の
基剤からなる粉末状の経鼻投与用組成物であり、この組
成物は注射に比べ、患者への簡便な投与が可能となり、
また物理的にも安定な組成物であることを見出したわけ
である。
【0010】しかして本発明はエラスターゼ阻害活性ポ
リペプチドを治療薬として患者に簡便に投与でき、そし
て物理的にも安定である経鼻投与用組成物を提供するこ
とにある。
【0011】さらには、本発明はエラスターゼ阻害活性
ポリペプチド、水難溶性でかつ水吸収性の基剤、および
ヒドロゲル形成性の基剤からなる粉末状の経鼻投与用組
成物であり、局所滞留性または速やかな吸収性により優
れた薬効、簡便な投与を達成することができ、組成物の
物理的安定性も兼備している組成物を提供することにあ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、エラ
スターゼ阻害活性ポリペプチド、水難溶性でかつ水吸収
性の基剤、及びヒドロゲル形成性の基剤からなる粉末状
の経鼻投与用組成物を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明は、エラスターゼ阻害活性
ポリペプチド、水難溶性でかつ水吸収性の基剤、及びヒ
ドロゲル形成性の基剤からなる。
【0014】本発明のエラスターゼ阻害活性ポリペプチ
ドとしては、 Secretory Leukocyte Protease Inhib
itor(SLPI)のフラグメントであることが好ましく、特に
そのフラグメントがポリペプチド(Arg58-Ala107)SLP
I、もしくはそのアミノ酸を含有するポリペプチド、ま
たはそれらと生物学的に同等のアミノ酸配列を有するポ
リペプチドであることが好ましい。なかでも特許第2574
048号公報に記載の方法により得られた(Arg58-Ala107)
SLPIは、物理的安定性が高く、高いエラスターゼ阻害活
性を有するポリペプチドであり好ましい。
【0015】本発明の水吸収性でかつ水難溶性の基剤
は、結晶セルロース、α−セルロース、架橋デキストラ
ン、キチン、キトサンおよびスターチからなる群から選
ばれる1種または2種以上の基剤である。これらのなか
でも結晶セルロース、α−セルロース、キトサンからな
る群から選ばれる1種または2種以上のものが好まし
く、なかでも特に結晶セルロースを好ましいものとして
あげることができる。なお、本発明の目的に反しない限
り、水吸収性でかつ水難溶性である特定の種類の基剤か
らなるミクロスフェア、例えばスターチ、結晶セルロー
ス等の経鼻投与用粉状組成物に用いることのできる基剤
として公知のミクロスフェアを使用することができる。
【0016】本発明のヒドロゲル形成性の基剤は、セル
ロースの低級アルキルであることが好ましく、特にヒド
ロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル
セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセル
ロース、カルボキシメチルセルロースもしくはそのナト
リウムおよびカルシウム塩からなる群から選ばれる1種
または2種以上の基剤であることが好ましい。なかでも
特にヒドロキシプロピルセルロースを好ましいものとし
てあげることができる。
【0017】またヒドロキシプロピルセルロースは、そ
の2%水溶液の粘度が150〜4,000cpsである
のが好ましい。ここでいう粘度とは、動粘度のことであ
り、キャノン−フェンスケ、キャノン−フェンスケ不透
明液用、ウベローデ、オストワルドなどの粘度計により
測定される。なかでもウベローデ粘度計による測定が精
度が高く好ましい。本明細書に記載の粘度値は、37℃
の環境下において、柴田科学機械工学社製のウベローデ
粘度計により求めたものである。ヒドロキシプロピルセ
ルロースにはこれより低粘度のものもあるが、150c
psよりも低粘度のものを使用した場合には、本発明の
最高血中濃度の上昇効果が必ずしも十分でないことがあ
る。
【0018】本発明において、水吸収性でかつ水難溶性
の基剤とヒドロゲル形成性の基剤との好ましい組み合わ
せとしては、結晶セルロースとヒドロキシプロピルセル
ロースとの組み合わせを挙げることができる。
【0019】本発明で使用される水吸収性でかつ水難溶
性の基剤とヒドロゲル形成性の基剤の量との混合比は9
9:1 〜65:35とヒドロゲル形成性の基剤の方が
少ない方が、より高く、早い薬物の経鼻吸収が達成され
るので好ましく、なかでも90:10 〜80:20で
あることが好ましい。
【0020】また本発明の経鼻投与用組成物において、
エラスターゼ阻害活性ポリペプチド(以下、薬物という
ことがある。)の粒子径は150ミクロン以下であること
が、投与後効率よく鼻腔内に沈着するので好ましく、特
に、粉砕、凍結乾燥、噴霧乾燥などにより、平均粒子径
を1〜100ミクロン、さらには1〜20ミクロンにする
ことが、薬物のより高く、早い経鼻吸収が達成されるの
で好ましい。
【0021】また本発明の経鼻投与用組成物において、
薬物がヒドロゲル形成性の基剤よりも水吸収性でかつ水
難溶性の基剤に偏在して分散している状態であること
が、薬物のより高く、早い経鼻吸収が達成されるので好
ましい。この偏在を達成する組成物的手法としては次の
ような手法をあげることができる。
【0022】1.該水吸収性でかつ水難溶性の基剤と薬
物とを機械的に強く混合する。次いで、この混合物に、
該ヒドロゲル形成性の基剤を機械的に弱く混合する。
【0023】2.該水吸収性でかつ水難溶性の基剤に薬
物を凍結乾燥もしくは噴霧乾燥により付着させて、薬物
を付着した基剤を得る。次いで、得られた基剤を、その
90重量%以上の粒子の平均粒子径が10〜250μm
となるように粉砕、篩過して粉状物を得る。その後、こ
の粉状物に、該ヒドロゲル形成性の基剤を機械的に混合
する。
【0024】3.該水吸収性でかつ水難溶性の基剤と薬
物とをエタノールなどの有機溶媒中で溶解、分散させ、
その有機溶媒を蒸発、乾固させることにより得られた粉
体を10〜250μmの平均粒子径に整粒した後、この
粉状物に、該ヒドロゲル形成性の基剤を機械的に混合す
る。
【0025】上記の製造方法のうち、第1の製造方法と
第2の製造方法の場合には、薬物がヒドロゲル形成性の
基剤よりも水吸収性でかつ水難溶性の基剤に偏在して分
散している状態とすることが容易であるので好ましい。
例えば、第1の製造方法で薬物と水吸収性でかつ水難溶
性の基剤を混合する際には強く混合し、次いでヒドロゲ
ル形成性の基剤と混合する際には弱く混合することがで
きる。第2の製造方法のヒドロゲル形成性の基剤を機械
的に混合する際には、強くもしくは弱く混合することが
できる。
【0026】ここで、本発明の組成物を製造する際の機
械的混合とは、例えば容器回転型の混合機であるV型混
合機、クロスロータリーミキサー、二重円錐型混合機
等、及び容器固定型の混合機である、万能混合機、リボ
ンミキサー、自動乳鉢、ボールミル等やその他の混合機
であるハイスピードミキサー、パワーフルオートミキサ
ー等のほか、乳鉢による手動の押しつけ混合をも含む。
【0027】また混合の際に強く混合するとは、乳鉢に
よる手動混合や、容器固定型の万能混合機、リボンミキ
サー、自動乳鉢、ボールミル等による混合、及びハイス
ピードミキサー、パワフルオートミキサー等による混合
を言い、この混合により主に薬物は基剤に付着しながら
均一に混合される。また弱く混合するとは、容器回転型
のV型混合機、クロスロータリーミキサー、二重円錐型
混合機、ボールを使用しないボールミル等による混合を
示し、主に薬物は基剤と独立に、均一に分散混合され
る。
【0028】さらに、本発明の経鼻投与用組成物は、上
記1〜3の製造法の他、下記のように基剤の粒子径を特
定することによっても調製でき、このようにして得られ
た組成物も、薬物の高く早い経鼻吸収を達成できるので
好ましい。基剤の粒子径を特定する方法としては、例え
ば、該水吸収性でかつ水難溶性の基剤の90重量%以
上の粒子の平均粒子径が10μm〜250μmの範囲
で、該ヒドロゲル形成性の基剤90重量%以上の粒子
の平均粒子径が10μm〜105μmの範囲で、かつ
水吸収性でかつ水難溶性の基剤の平均粒子径を、該ヒド
ロゲル形成性の基剤の平均粒子径より大きくすることに
より調製する方法を挙げることができる。
【0029】さらには、水吸収性でかつ水難溶性の基剤
の90重量%以上の粒子の平均粒子径を10〜250μ
m、かつヒドロゲル形成性の基剤の90重量%以上の粒
子の平均粒子径を10〜65μmとした場合には、さら
なる最高血中濃度の増加を得ることができるので好まし
い。
【0030】ここで、例えば、基剤の90重量%以上の
粒子の平均粒子径が10〜250μmの範囲にあるとい
うことは、試験篩い器を用い、手動もしくは機械により
振動を与え、粉を分級することにより特定され、目の開
きが250μmの篩いを通過し、10μmの篩いを通過
しなかったものをいう。この際、振動を与える間、各篩
い上の粉体の重量を秤量し、その重量の変動が0.1%
以下になった時点を振動の終点とし、粉体の分級が完了
した時点である。
【0031】また、水吸収性でかつ水難溶性の基剤の平
均粒子径が、ヒドロゲル形成性の基剤の平均粒子径より
大きいとは、両基剤の平均粒子径がそれぞれ上記の数値
範囲内にある場合でも、水吸収性でかつ水難溶性の基剤
の平均粒子径の数値の方がヒドロゲル形成性の基剤の平
均粒子径の数値より大きいことをいう。
【0032】このように、水吸収性でかつ水難溶性の基
剤の平均粒子径が、ヒドロゲル形成性の基剤の平均粒子
径より大きくすることにより調製された場合の本発明の
粉末状経鼻投与組成物は、薬物と水吸収性でかつ水難溶
性の基剤及びヒドロゲル形成性の基剤を機械的に混合す
るなどの当業者にとっては一般的な粉末状組成物の製造
法によって調製することができる。さらには上述の1〜
3の製造法により調製することにより、より高い効果を
得ることができるので好ましい。
【0033】なお本発明で使用される薬物の量は有効治
療量であり、薬物及び疾患の種類や程度、患者の年齢や
体重等に応じて決めることができる。通常は同じ薬物が
注射投与に用いられている量の同量から20倍量、より
好ましくは同量から10倍量である。
【0034】また本発明の薬物と、基剤(水吸収性でか
つ水難溶性の基剤とヒドロゲル形成性の基剤の量の和)
の量は、鼻腔に適用できる粉の量に限界があるため、薬
物の治療必要量に依存してくるので一概に限定できない
が、薬物1重量部に対し、同量以上が好ましく、特に好
ましくは薬物1重量部に対し5重量部以上、さらに好ま
しくは10重量部以上である。
【0035】また、本発明の組成物には、組成物として
の物性、外観、あるいは臭い等を改良するため、必要に
応じて公知の、滑沢剤、結合剤、希釈剤、着色剤、保存
剤、防腐剤、矯臭剤等を添加してもよい。滑沢剤として
は、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、
タルク等が;結合剤としては、例えばデンプン、デキス
トリン等が;希釈剤としては、例えばデンプン、乳糖等
が;着色剤としては、例えば赤色2号等が;保存剤とし
ては、アスコルビン酸等が;防腐剤としては、例えばパ
ラオキシ安息香酸エステル類等が;矯臭剤としては、例
えばメントール等が挙げられる。
【0036】また、本発明の組成物は組成物として投与
されるために適当な投与形態とされる。そのような形態
としては、本発明を投与単位ごとに充填したカプセル剤
があり、これを適当な投与器により鼻腔内に噴霧する。
また、投与単位量の本発明の組成物もしくは複数回分の
投与単位量の本発明の組成物を、適当な容器に収納し、
投与操作時に投与単位量の本発明の組成物を、単回投与
もしくは分割投与してもよい。
【0037】
【実施例】以下に本発明を実施例により説明する。
【0038】[実施例1〜3]下記の第1表に示した処
方により(Arg58-Ala107)SLPI を薬物とした経鼻投与用
組成物を調製した。
【0039】
【表1】
【0040】[実施例4]上述の実施例3で調製した本
発明の組成物を、雄性日本白色家兎に経鼻投与後、0,
15,30,および60分後に採血し、その吸収性を評
価した。(Arg58-Ala107)SLPI の濃度は酵素免疫測定法
を用い、吸光度より算出した。結果を第1図に示す。
【0041】[比較例1〜3](Arg58-Ala107)SLPI溶液
を雄性日本白色家兎に経鼻投与(比較例1)、 静脈注
射(比較例2)、及び経口投与(比較例3)を行い実施
例4と同様の手法によりその吸収性を評価した。結果を
第1図に示す。上記の結果から、本発明の組成物が高吸
収性を示すことが確認された。
【0042】[実施例5]上述の実施例3で調製した本
発明の組成物を、雄性日本白色家兎に経鼻投与し、その
鼻粘膜中での濃度を評価した。サンプリング時間及び
(Arg58-Ala107)SLPI の濃度の測定は実施例4と同様の
手法により行った。結果を第2図に示す。
【0043】[比較例4〜6](Arg58-Ala107)SLPI溶液
を雄性日本白色家兎に経鼻投与(比較例4)、静脈注射
(比較例5)、及び経口投与(比較例6)を行い実施例
4と同様の手法によりその鼻粘膜中での濃度を評価し
た。結果を第2図に示す。上記の結果から、本発明の組
成物が鼻局所での高濃度を示すことが確認された。
【0044】[比較例7〜9]下記の第2表に示した処
方により(Arg58-Ala107)SLPI を薬物とした経鼻投与用
組成物を調製した。
【0045】
【表2】
【0046】[比較例10〜13]上述の比較例8で調
製した組成物を、雄性日本白色家兎に経鼻投与し(比較
例10)、また、(Arg58-Ala107)SLPI溶液を経鼻投与
(比較例11)、 静脈注射(比較例12)、及び経口
投与(比較例13)し、吸収性を評価した。採血時間及
び(Arg58-Ala107)SLPI の濃度の測定は実施例4と同様
の手法により行った。結果を第3図に示す。上記の結果
から、本発明の組成以外では高吸収性を実現することが
難しいことが確認された。
【0047】
【配列表】
【0048】 配列番号:1 配列の長さ:50 配列の型:アミノ酸 トポロジー:両形態 配列の種類:ペプチド フラグメント型:C末端フラグメント 配列 Arg Arg Lys Pro Gly Lys Cys Pro Val
Thr Tyr Gly Gln Cys Leu 5
10 15 Met Leu Asn Pro Pro Asn Phe Cys Glu
Met Asp Gly Gln Cys Lys 20
25 30 Arg Asp Leu Lys Cys Cys Met Gly Met
Cys Gly Lys Ser Cys Val 35
40 45 Ser Pro Val Lys Ala 50
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例4、比較例1〜3の(Arg58-Ala107)SLP
I投与後の血中濃度の経時変化を示した図である。
【図2】実施例5、比較例4〜6の(Arg58-Ala107)SLP
I投与後の鼻粘膜中濃度の経時変化を示した図である。
【図3】比較例10〜13の(Arg58-Ala107)SLPI投与
後の血中濃度の経時変化を示した図である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エラスターゼ阻害活性ポリペプチド、水
    難溶性でかつ水吸収性の基剤、及びヒドロゲル形成性の
    基剤からなる粉末状の経鼻投与用組成物。
  2. 【請求項2】 該エラスターゼ阻害活性ポリペプチドが
    Secretory Leukocyte Protease Inhibitor (以下SL
    PI)のフラグメントである請求項1に記載の粉末状経鼻
    投与用組成物。
  3. 【請求項3】 該エラスターゼ阻害活性ポリペプチドが
    配列表の配列番号1で表されるアミノ酸配列を有するポ
    リペプチド(Arg58-Ala107)SLPIもしくはそのアミノ酸
    を含有するポリペプチド、またはそれらと生物学的に同
    等のアミノ酸配列を有するポリペプチドである請求項1
    または2に記載の粉末状経鼻投与用組成物。
  4. 【請求項4】 該水難溶性でかつ水吸収性の基剤が、結
    晶セルロース、α−セルロース、架橋デキストラン、キ
    チン、キトサン及びスターチからなる群から選ばれる1
    ないし2以上である請求項1〜3のいずれか一項に記載
    の粉末状経鼻投与用組成物。
  5. 【請求項5】 該ヒドロゲル形成性の基剤が、セルロー
    スの低級アルキルエーテルである請求項1〜4のいずれ
    か一項に記載の粉末状経鼻投与用組成物。
  6. 【請求項6】 該セルロースの低級アルキルエーテル
    が、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピ
    ルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエ
    チルセルロース、カルボキシメチルセルロースもしくは
    そのナトリウムおよびカルシウム塩からなる群から選ば
    れる1ないし2以上である請求項1〜5のいずれか一項
    に記載の粉末状経鼻投与用組成物。
  7. 【請求項7】 該エラスターゼ阻害活性ポリペプチドの
    含有量が組成物全体の0.1〜20重量%である請求項
    1〜6のいずれか一項に記載の粉末状経鼻投与用組成
    物。
  8. 【請求項8】 該水難溶性でかつ水吸収性の基剤と該ヒ
    ドロゲル形成性の基剤の重量比が、99:1〜65:3
    5の範囲である請求項1〜7のいずれか一項に記載の粉
    末状経鼻投与用組成物。
JP10154455A 1998-06-03 1998-06-03 エラスターゼ阻害活性ポリペプチド含有経鼻投与用組成物 Withdrawn JPH11349474A (ja)

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