JPH09291026A - 即効性と持続性を兼ね備えた粉末状経鼻投与用組成物 - Google Patents

即効性と持続性を兼ね備えた粉末状経鼻投与用組成物

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JPH09291026A
JPH09291026A JP8262900A JP26290096A JPH09291026A JP H09291026 A JPH09291026 A JP H09291026A JP 8262900 A JP8262900 A JP 8262900A JP 26290096 A JP26290096 A JP 26290096A JP H09291026 A JPH09291026 A JP H09291026A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薬物の吸収の持続性、あるいは即効性と持続
性とに優れた、粉末状経鼻投与組成物を提供する。 【解決手段】 ア.薬物と、 イ.ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピ
ルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエ
チルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウ
ムからなる群から選ばれる1種以上の水吸収性でかつゲ
ル形成性の基剤と、 ウ.結晶セルロース、α−セルロース、架橋カルボキシ
メチルセルロースナトリウム、架橋デンプン、ゼラチ
ン、カゼイン、トラガントガム、ポリビニルピロリド
ン、キチン、キトサンからなる群から選ばれる1種以上
の水吸収性でかつ水難溶性の基剤を含んでなる粉末状経
鼻投与組成物であって、該水吸収性でかつ水難溶性の基
剤の量が、該水吸収性でかつ水難溶性の基剤と該水吸収
性でかつゲル形成性の基剤の量の和の約5〜40重量%
である粉末状経鼻投与組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は鼻粘膜から即時にか
つ持続的に効率的に薬物を吸収させることのできる粉末
状経鼻投与用組成物に関する。更に詳しくは基剤の組成
を特定することにより鼻粘膜からの即時にかつ持続的に
薬物を吸収させることのできる粉末状経鼻投与用組成物
に関する。
【0002】
【従来技術】いくつかの非ペプチド・蛋白質性薬物、例
えば消炎ステロイド薬、鎮痛消炎薬、鎮咳薬、抗ヒスタ
ミン薬、抗アレルギー薬、制吐薬、睡眠導入薬、ビタミ
ン剤、性ステロイドホルモン薬、抗腫瘍薬、抗不整脈・
高血圧薬、抗不安・向精神薬、抗潰瘍薬、強心薬、鎮痛
薬、気管支拡張薬、肥満治療薬、血小板凝集抑制薬、糖
尿病薬、筋弛緩薬、抗リウマチ薬等の薬物においては、
経口投与が不可能である患者や、経口投与よりも速効性
が望まれる場合や、経口投与による吸収率が低く薬効が
発現されにくい場合などの状況に備え、経鼻投与剤の開
発が望まれている。
【0003】経鼻投与は薬物を鼻粘膜を通して循環血に
移行させる投与方法であり、他のルート、例えば経皮投
与、経眼投与、経直腸投与、経肺投与等とともに精力的
に薬物の非注射型の投与方法として研究されている。そ
れらの投与方法のなかでも、鼻粘膜は皮膚、眼粘膜、直
腸粘膜等と比較して血管系が発達しており、投与もしや
すく、一部の薬物については経鼻投与製剤として実用化
されているものもある。また、経口投与に比べ血中への
薬物の吸収が速く、注射投与並の即効性を期待すること
もできる。しかしながら、鼻粘膜表面の細胞上には繊毛
があり、この繊毛運動により鼻粘膜表面に投与された薬
物などの異物は、速やかに咽頭部へ排出されてしまう。
そのため、多くの薬物の鼻粘膜からの吸収性は低いこ
と、かつその血中濃度の消失が速いことが指摘されてい
る。そこで、これらの薬物の鼻粘膜からの吸収性を向上
し、かつ持続するための工夫が提案されている。
【0004】例えば、鈴木ら(特公昭60−34925
号公報)は、セルロースエーテルからなる経鼻組成物に
より、薬物を治療効果を得るのに十分な濃度で効率的に
供給する持続性鼻腔用性剤を提供している。
【0005】また、鈴木ら(特公昭62−42888号
公報)は、結晶セルロース等の水吸収性でかつ水難溶性
の基剤からなる粉末状経鼻投与組成物により刺激性の添
加物を使用しないでもポリペプチド類を経鼻吸収させる
方法を開示している。この方法によりインシュリン、カ
ルシトニン等のポリペプチドが従来の液状経鼻投与組成
物と比較し、著しく効率よく吸収されることが報告され
ている。具体的に同公報の実施例6では、カルシトニン
を水吸収性でかつ水難溶性の基剤である結晶セルロース
とともに経鼻投与すると、対照となる経鼻液剤と比べて
最高血中濃度、血中濃度の持続性ともに優る製剤が得ら
れている。
【0006】さらに同公報には、水吸収性でかつ水難溶
性の基剤に、ヒドロキシプロピルセルロース等の水吸収
性でかつ水易溶性の基剤を、水吸収性でかつ水難溶性の
基剤に対して0.1〜60重量%、特に好ましくは1〜
50重量%の使用量で併用すると、徐放性が付与された
粉末状経鼻投与組成物が提供されることが開示されてい
る。例えば、実施例2の結晶セルロース(水吸収性でか
つ水難溶性の基剤)にその80重量%の水吸収性でかつ
ポリアクリル酸ナトリウム(水吸収性でかつ水易溶性の
基剤)を併用した製剤では、結晶セルロース単独の製剤
と比較して、血糖降下率には差がない(最高血中濃度に
は差がない)が、徐放性に基づく血中濃度の持続効果が
示唆されている。また実施例14の結晶セルロースにそ
の25重量%のヒドロキシプロピルセルロース(水吸収
性でかつ水易溶性の基剤)を併用した製剤では、結晶セ
ルロース単独の製剤と比較して、最高血中濃度では劣る
が、持続性は優ることが記載されている。また、実施例
4では、ヒドロキシプロピルセルロース単独の製剤と結
晶セルロース単独の製剤を比較し、ヒドロキシプロピル
セルロースは結晶セルロースよりインシュリンの血中か
らの消失を遅延させることはできるが、最高血中濃度で
は著しく劣ることが記載されている。
【0007】なお、上記の水吸収性でかつ水難溶性の基
剤に対して0.1〜60重量%、特に好ましくは1〜5
0重量%という水吸収性でかつ水易溶性の基剤の使用量
は、水吸収性でかつ水難溶性の基剤と水吸収性でかつ水
易溶性の基剤の量の和に対する水吸収性でかつ水難溶性
の基剤の量として換算し直すと、62.5〜99.9重
量%、好ましくは66.7〜99.0重量%となる。
【0008】また、同公報には組成物の粒子径について
も記載され、10ミクロンより小さな粒子は、投与時に
鼻腔外への逸脱もしくは肺内への到達が懸念され、また
250ミクロンを越えるものについては粘膜上での滞留
性が悪く、よって組成物の90重量%粒子径が20〜1
50ミクロンの範囲にあることが好ましいことを開示し
ている。
【0009】しかしながら同公報には、前記の水吸収性
でかつ水難溶性の基剤と水吸収性でかつ水易溶性の基剤
として、それらの粒度分布が異なるものを用いること、
それによって得られる効果については何の記載も示唆も
なされていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】前述の鈴木らの方法
(特公昭60−34925号公報)では、もともと良好
な経鼻吸収性を示す薬物については、薬物の有効量を持
続的に放出したり、薬効を示す量を吸収させることが可
能である。具体的に同公報には、消炎ステロイド等の薬
物とセルロースエーテルを併用することにより、薬物の
有効量を持続的に放出できることが開示されている。す
なわち、同公報の実施例5、6には、消炎ステロイドの
1つであるトリアムシノロンアセトニドをヒドロキシプ
ロピルセルロースもしくはメチルセルロースとともに経
鼻投与すると、対照水溶液と比べ治療効果の持続性が得
られることが開示されている。
【0011】しかしながら、この効果の発現は投与後6
〜12時間となっており、持続性は得られているもの
の、持続性と同時に即効性も得られる、という結果でな
いことは明らかである。その理由としては、この技術
が、薬物とともに鼻腔内へ投与されたセルロースエーテ
ルが鼻粘膜上でゲル化することにより、薬剤とともに滞
留し、薬物が基剤から徐々に放出され吸収されるという
現象に基づいており、薬物を即時的に吸収させるという
機能は備わっていないため、と考えられる。
【0012】すなわち同公報記載の製剤の場合、その基
剤の粘性のため、薬物の吸収は持続するが、その分速や
かな吸収は認められず、結果として薬効の発現が遅延す
るという問題点がある。そして、薬効の即時性を求め
て、基剤の粘性を低下させるために液剤とした場合、吸
収の持続性が十分でないなどの問題点がある。
【0013】また前述のように、鈴木ら(特公昭62−
42888号公報)には、水吸収性でかつ水難溶性の基
剤からなる粉末状経鼻投与組成物により、ポリペプチド
類が効率よく経鼻吸収されること、また水吸収性でかつ
水易溶性の基剤を特定の配合比率で併用すると、徐放性
が付与された粉末状経鼻投与組成物が提供されることが
開示されている。
【0014】しかしながら、同公報の方法でも、必ずし
も十分な持続性は得られていないのが実状である。
【0015】このように従来技術においては、即効性と
持続性というものは相反したものであり、これらを兼ね
備えることは不可能であり、薬物の治療効果、治療効率
の点からは、両者を兼ね備えた製剤の開発が強く望まれ
ている。また、持続性の点でもより優れた製剤の開発が
強く望まれている。
【0016】すなわち本発明の目的は、薬物の吸収の持
続性により優れた粉末状経鼻投与用組成物を提供するこ
とにある。
【0017】また本発明の目的は、薬物の吸収の即効性
と持続性を兼ね備えた粉末状経鼻投与用組成物を提供す
ることにある。
【0018】さらにまた本発明の目的は、薬物としてペ
プチド・蛋白質性薬物のみならず、非ペプチド・蛋白質
性薬物においてもそのような優れた吸収の持続性、ある
いは吸収の即効性と持続性を兼ね備えた粉末状経鼻投与
用組成物を提供することにある。
【0019】本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意
検討した結果、特定の水吸収性でかつ水難溶性の基剤と
特定の水吸収性でかつゲル形成性の基剤とを特定の配合
比率で併用することにより、鼻粘膜からの薬物の吸収に
おいて、従来に比べ持続性により優れた、あるいは即効
性と持続性を兼ね備えた粉末状経鼻投与組成物を提供で
きることを発見した。さらに詳しくは、基剤の種類と組
成を特定することにより、鼻粘膜から薬物がより持続
的、または即時にかつ持続的に吸収され、薬物の治療効
果の即効性、持続性をもたらしめる粉末状経鼻投与組成
物を提供できることを発見した。
【0020】しかもそのような効果は、薬物としてポリ
ペプチド(ペプチド・蛋白質性薬物)を用いた場合だけ
に限らず、非ペプチド・蛋白質性薬物を用いた場合にも
同様に、あるいはペプチド・蛋白質性薬物に比べて非ペ
プチド・蛋白質性薬物の場合により優れた即時的かつ持
続的な吸収効果が得られることを見いだした。
【0021】また本発明者らは、そのような基剤の組成
を特定した粉末状経鼻投与組成物において、さらにその
粒度について鋭意検討した結果、10〜50ミクロンの
粉末は鼻腔内の奥、咽頭部近くおよび、下鼻甲介後部に
主に沈着分布し、50〜100ミクロンの粉末は中鼻甲
介を中心とした鼻腔中間部に沈着分布し、さらに100
〜350ミクロンの粉末は鼻腔内の前部、鼻前庭や上鼻
甲介、中鼻甲介の前部に主に沈着分布することを見出し
た。この100〜350ミクロンのうち、150ミクロ
ン以上の粒子は鼻への沈着性が悪いといわれていた粒子
径であり、このような比較的大きな粒子径をもつ粉体が
噴霧後鼻腔前部に分布したことは驚くべきことであっ
た。また同時に、本発明者らは、鼻腔粘膜の繊毛運動に
ついても鋭意検討し、鼻腔後部の粘膜の繊毛運動による
クリアランスは、鼻腔前部に比べ比較的速いことを見い
だした。
【0022】これらの知見をもとに、本発明者らは、そ
のような基剤の組成を特定した粉末状経鼻投与組成物に
おいて、さらに両基剤の90重量%以上の粒子の粒子径
を特定の範囲とした場合、なかでも特に水吸収性でかつ
水難溶性の基剤の90重量%以上の粒子の粒子径を10
〜100ミクロン、水吸収性でかつゲル形成性の基剤の
90重量%以上の粒子の粒子径を50〜350ミクロン
とすることにより、さらに良好な持続的な吸収、または
即時的かつ持続的な吸収を得ることができることも見出
した。
【0023】この理由としては、2種の基剤の粒子径を
変えたことにより、噴霧後の鼻腔内での分布が変わった
ことによるものであると推測される。すなわち、水吸収
性でかつ水難溶性の基剤と水吸収性でかつゲル形成性の
基剤を同じ粒度分布で噴霧した場合には、両基剤ともほ
ぼ同じ分布で鼻腔内に付着するが、水吸収性でかつ水難
溶性の基剤の粒度分布を小さく、もしくは水吸収性でか
つ水難溶性の基剤の粒度分布を小さくかつ水吸収性でか
つゲル形成性の基剤の粒度分布を大きくすることによ
り、両基剤の噴霧後の鼻腔内での分布が変わり、水吸収
性でかつ水難溶性の基剤は即時的な吸収に、水吸収性で
かつゲル形成性の基剤は持続的な吸収に寄与し、本発明
の効果がより増強されるわけである。
【0024】これらの発見に基づき、本発明者らは上記
の従来技術の限界に対し鋭意研究し、従来の粉末状経鼻
投与組成物に比べて優れた持続性、または即効性と持続
性を兼ね備えた粉末状経鼻投与用組成物が提供されるこ
とを見出し、本発明に到達したものである。
【0025】
【課題を解決するための手段】しかして、本発明は ア.薬物と、 イ.ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピ
ルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエ
チルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウ
ムからなる群から選ばれる1種以上の水吸収性でかつゲ
ル形成性の基剤と、 ウ.結晶セルロース、αーセルロース、架橋カルボキシ
メチルセルロースナトリウム、架橋デンプン、ゼラチ
ン、カゼイン、トラガントガム、ポリビニルピロリド
ン、キチン、キトサンからなる群から選ばれる1種以上
の水吸収性でかつ水難溶性の基剤を含んでなる粉末状経
鼻投与組成物であり、該水吸収性でかつ水難溶性の基剤
の量が、該水吸収性でかつ水難溶性の基剤と該水吸収性
でかつゲル形成性の基剤の量の和の約5〜40重量%で
ある粉末状経鼻投与組成物である。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明の薬物としては、例えば非
ペプチド・蛋白質性薬物および分子量が30,000以
内であるペプチド・蛋白質性薬物からなる群から選ばれ
る1種以上の薬物を挙げることができる。
【0027】非ペプチド・蛋白質性薬物としては、幅広
く非ペプチド・蛋白質性薬物について利用可能であり、
その例としては、消炎ステロイド薬、鎮痛消炎薬、鎮咳
去痰薬、抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬、制吐薬、睡
眠導入薬、ビタミン剤、性ステロイドホルモン薬、抗腫
瘍薬、抗不整脈・高血圧薬、抗不安・向精神薬、抗潰瘍
薬、強心薬、鎮痛薬、気管支拡張薬、肥満治療薬、血小
板凝集抑制薬、糖尿病薬、筋弛緩薬、および抗リウマチ
薬等からなる群より選ばれる1種以上の非ペプチド・蛋
白質性薬物を挙げることができる。
【0028】非ペプチド・蛋白質性薬物として詳しく
は、例えばヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、トリア
ムシノロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、ベクロメ
タゾン、フルチカゾン、モメタゾン、フルオコルチン、
ブデソニド、サルブタモール、サルメテロールなどの消
炎ステロイドまたは非ステロイド系消炎薬;アセトアミ
ノフェン、フェナセチン、アスピリン、アミノピリン、
スルピリン、フェニルブタゾン、メフェナム酸、フルフ
ェナム酸、イブフェナック、イブプロフェン、アルクロ
フェナック、ジクロフェナック、インドメタシンなどの
鎮痛消炎薬;クロモグリク酸ナトリウム、リン酸コデイ
ン、塩酸イソプロテレノール等の鎮咳去痰薬;ジフェン
ヒドラミン、トリプロリジン、イソチペンジル、クロル
フェニラミン等の抗ヒスタミン薬;アンレキサノクス、
アゼラスチン、オザクレル、トラニラスト、ケトチフェ
ン等の抗アレルギー薬;オンダンセトロン、グラニセト
ロン、メトクロプラミド、シサプリド、ドンペリドン等
の制吐薬;ブロチゾラム等の催眠導入薬;シアノコバラ
ミン、メコバラミン等のビタミン剤;エストラジオー
ル、エストリオール、プロゲステロン、テストステロン
等の性ステロイドホルモン薬;タモキシフェン、テガフ
ール等の抗腫瘍薬;プロプラノロール、アテノロール、
ニカルジピン等の抗不整脈・高血圧薬;ジアゼパム、ニ
トラゼパム等の抗不安・向精神薬;シメチジン、ラニチ
ジン等の抗潰瘍薬;ドパミン等の強心薬;ブプレノルフ
ィン等の鎮痛薬;オキシトロピウム、オザクレル等の気
管支拡張薬;マジンドール等の肥満治療薬;ベラプロス
ト、カルバシクリン等の血小板凝集抑制薬;アカルボー
ス、ソルビニール等の糖尿病薬;ピナベリウム、イナペ
リゾン等の筋弛緩薬;アクタリット、プラトニン等の抗
リウマチ薬等が挙げらる。
【0029】また本発明のペプチド・蛋白質性薬物とし
ては、その分子量が30,000以内であるものが好ま
しく、そのような分子量30,000以内のペプチド・
蛋白質性薬物としては、例えば黄体形成ホルモン放出ホ
ルモン類、成長ホルモン放出因子類、ソマトスタチン誘
導体類、バゾプレッシン類、オキシトシン類、ヒルジン
誘導体類、エンケファリン類、副腎皮質刺激ホルモン誘
導体類、ブラジキニン誘導体類、カルシトニン類、イン
シュリン類、グルカゴン誘導体類、成長ホルモン類、成
長ホルモン放出ホルモン類、黄体形成ホルモン類、イン
シュリン様成長因子類、カルシトニン遺伝子関連ペプチ
ド類、心房性ナトリウム利尿ペプチド誘導体類、インタ
ーフェロン類、エリスロポエチン、顆粒球コロニー形成
刺激因子、マクロファージ形成刺激因子、副甲状腺ホル
モン類、副甲状腺ホルモン放出ホルモン、プロラクチ
ン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン、およびアンギオ
テンシン類等からなる群から選ばれる1種以上のペプチ
ド・蛋白質性薬物が挙げられる。
【0030】本発明では水吸収性でかつゲル形成性の基
剤として、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシ
プロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロ
キシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナ
トリウムからなる群から選ばれる1種以上の水吸収性で
かつゲル形成性の基剤を用いる。
【0031】これらのなかでも本発明の水吸収性でかつ
ゲル形成性の基剤としては、ヒドロキシプロピルセルロ
ース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセ
ルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムから
なる群から選ばれる1種以上の水吸収性でかつゲル形成
性の基剤が好ましく、なかでも特にヒドロキシプロピル
セルロースを好ましいものとしてあげることができる。
【0032】また更に、本発明では水吸収性でかつゲル
形成性の基剤として使用されるヒドロキシプロピルセル
ロースは、その2%水溶液の粘度が150〜4,000
cpsであるのが好ましい。ヒドロキシプロピルセルロ
ースにはこれより低粘度のものもあるが、150cps
よりも低粘度のものを使用した場合には、本発明の最高
血中濃度の上昇効果が必ずしも十分でないことがある。
【0033】本発明では水吸収性でかつ水難溶性の基剤
として、結晶セルロース、αーセルロース、架橋カルボ
キシメチルセルロースナトリウム、架橋デンプン、ゼラ
チン、カゼイン、トラガントガム、ポリビニルピロリド
ン、キチン、キトサンからなる群から選ばれる1種以上
の水吸収性でかつ水難溶性の基剤を用いる。
【0034】これらのなかでも本発明の水吸収性でかつ
水難溶性の基剤としては、結晶セルロース、αーセルロ
ース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、架
橋デンプン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、キチ
ン、およびキトサンからなる群から選ばれる1種以上の
水吸収性でかつ水難溶性の基剤が好ましく、なかでも特
に結晶セルロースを好ましいものとしてあげることがで
きる。
【0035】水吸収性でかつゲル形成性の基剤と水吸収
性でかつ水難溶性の基剤の好ましい組み合わせとては、
上記のようなそれぞれの好適例同志の組み合わせが挙げ
られ、特に好ましい組み合わせとしては水吸収性でかつ
ゲル形成性の基剤としてのヒドロキシプロピルセルロー
スと水吸収性でかつ水難溶性の基剤としての結晶セルロ
ースを挙げることができる。
【0036】本発明で使用される水吸収性でかつ水難溶
性の基剤の量は、水吸収性でかつ水難溶性の基剤と該水
吸収性でかつゲル形成性の基剤の和の約5〜40重量%
である。本発明では水吸収性でかつ水難溶性の基剤と該
水吸収性でかつゲル形成性の基剤とをかかる比率で配合
することにより、従来に比べより優れた本発明の持続的
な吸収効果、または即時的かつ持続的な吸収効果を得る
ことができる。
【0037】また本発明で使用される水吸収性でかつ水
難溶性の基剤の量は、水吸収性でかつ水難溶性の基剤と
該水吸収性でかつゲル形成性の基剤の和の約5〜40重
量%であるが、この値は薬物の物性や要求される血中プ
ロファイル等に依存して適宜調節することもできる。例
えば脂溶性の高い薬物の場合には、約5〜40重量%の
なかでも約5〜20重量%の場合に、理想的な即時的か
つ持続的吸収を得ることができるし、例えば水溶性の高
い薬物の場合には、約5〜40重量%のなかでも約20
〜40重量%の場合に、理想的な即時的かつ持続的吸収
を得ることができるので望ましい。
【0038】また、本発明の組成物は、薬物の存在状態
を変えることによってもその効果の増強を可能とするこ
とができる。例えば、水吸収性でかつ水難溶性の基剤と
水吸収性でかつゲル形成性の基剤とに薬物が均一に分散
した状態であっても、即時的かつ持続的な吸収並びにそ
れによる即時的かつ持続的な薬理効果を得ることは可能
であるが、薬物を水吸収性でかつゲル形成性の基剤に偏
在させることにより、その効果を増強させることもでき
る。
【0039】ここで、薬物が均一に分散した状態とは、
薬物のうち水吸収性でかつ水難溶性の基剤と水吸収性で
かつゲル形成性の基剤からなる粉末に付着している薬物
が、両基剤の配合比率に応じて両基剤に付着している状
態をいう。従って、薬物全体の80重量%が粉末に付着
しており、かかる粉末が水吸収性でかつ水難溶性の基剤
の量は、水吸収性でかつ水難溶性の基剤と該水吸収性で
かつゲル形成性の基剤の和の40重量%という配合比率
の場合には、水吸収性でかつ水難溶性の基剤には32重
量%の薬物が、また水吸収性でかつゲル形成性の基剤に
は48重量%の薬物が付着している状態をいう。一方、
薬物が水吸収性でかつゲル形成性の基剤に偏在している
状態とは、両基剤の配合比率が前記と同じ場合には、薬
物の48重量%を越える量が水吸収性でかつゲル形成性
の基剤に付着している状態のことをいう。
【0040】なお、上記において薬物が基剤に付着して
いるとは、薬物全体が基剤の表面状に付着して存在する
状態のほか、薬物の一部が基剤中に取り込まれその他の
部分が基剤の表面から外部に露出している状態や、薬物
の全体が基剤中に取り込まれた状態も含めたものも意味
している。
【0041】本発明の組成物における薬物の存在状態
は、例えばその製造法により調節が可能となる。すなわ
ち薬物を水吸収性でかつ水難溶性の基剤と水吸収性でか
つゲル形成性の基剤に均一に付着分散させる場合には、
薬物と水吸収性でかつ水難溶性の基剤および水吸収性で
かつゲル形成性の基剤と同時に機械的に混合する方法
か、もしくは薬物と水吸収性でかつ水難溶性の基剤およ
び水吸収性でかつゲル形成性の基剤とを同時に、精製水
に懸濁溶解させ、凍結乾燥後粉砕する方法等により得る
ことができる。また薬物を水吸収性でかつゲル形成性の
基剤に偏在させる場合には、薬物を先に水吸収性でかつ
ゲル形成性の基剤と機械的に混合し、その後水吸収性で
かつ水難溶性の基剤を混合する方法、もしくは薬物を水
吸収性でかつゲル形成性の基剤とともに精製水に溶解し
凍結乾燥後粉砕し、水吸収性でかつ水難溶性の基剤と機
械的に混合する方法等により得ることができる。
【0042】このような本発明の組成物における両基剤
の粒度については特に限定はなく、一般的には組成物の
90重量%以上の粒子の粒子径が20〜150ミクロン
の範囲にすることもできるが、水吸収性でかつ水難溶性
の基剤と水吸収性でかつゲル形成性の基剤の両方の基剤
の90重量%以上の粒子の粒子径が10ミクロン〜35
0ミクロンの範囲である場合、なかでも水吸収性でかつ
水難溶性の基剤の90重量%以上の粒子の粒子径が10
ミクロン〜100ミクロンの範囲であり、水吸収性でか
つゲル形成性の基剤の90重量%以上の粒子の粒子径が
10ミクロン〜350ミクロンの範囲である場合、なか
でも特に水吸収性でかつ水難溶性の基剤の90重量%以
上の粒子の粒子径が10ミクロン〜100ミクロンの範
囲であり、水吸収性でかつゲル形成性の基剤90重量%
以上の粒子の粒子径が50ミクロン〜350ミクロンの
範囲である場合に、さらに良好な持続的な吸収、または
即時的かつ持続的な吸収を得ることができるので好まし
い。
【0043】この場合に粒子径の調節方法としては、あ
らかじめ粒子径が調節された基剤を用いて機械的に混合
する方法、例えばその90重量%以上の粒子の粒子径が
10ミクロン〜350ミクロンの範囲となるように粉
砕、篩過する方法、これらの方法を組み合わせた方法、
など当業者に公知の方法を用いることができる。
【0044】なお本発明の組成物を製造する際、薬物を
水吸収性でかつ水難溶性の基剤と凍結乾燥させる製法以
外の場合薬物もあらかじめ、例えばその90重量%以上
の粒子の粒子径を10〜350ミクロンとしておくこと
が望ましい。
【0045】なお本発明で使用される薬物の量は有効治
療量であり、それぞれの薬物により固有である。通常そ
れぞれの薬物が注射投与に用いられている量の同量から
20倍量、より好ましくは同量から10倍量である。
【0046】また本発明の組成物の薬物と、基剤(水吸
収性でかつ水難溶性の基剤と水吸収性でかつゲル形成性
の基剤の量の和)の量比は、鼻腔に適用できる粉の量に
限界があるため、薬物の治療必要量に依存してくるので
一概に限定できないが、薬物1重量に対し、同量以上が
好ましく、特に好ましくは薬物1重量に対し5重量以
上、さらに好ましくは10重量以上である。
【0047】また、本発明の組成物には、製剤としての
物性、外観、あるいは臭い等を改良するため、必要に応
じて公知の滑沢剤、結合剤、希釈剤、着色剤、保存剤、
防腐剤、矯臭剤等を添加してもよい。滑沢剤としては、
例えばタルク、ステアリン酸およびその塩、ワックス等
が、結合剤としては、例えばデンプン、デキストリン等
が、希釈剤としては、例えばデンプン、乳糖等が、着色
剤としては、例えば赤色2号等が、保存剤としては、ア
スコルビン酸等が、防腐剤としては、例えばパラオキシ
安息香酸エステル類等が、矯臭剤としては、例えばメン
トール等が挙げられる。
【0048】また、本発明の組成物は製剤として投与さ
れるために適当な投与形態とされる。そのような形態と
しては、本発明を投与単位ごとに充填したカプセル剤が
あり、これを適当な投与器により鼻腔内に噴霧する。ま
た、本発明の組成物を投与単位ごともしくは複数の単位
量適当な容器に収納し、投与操作時に投与単位を投与も
しくは分割投与してもよい。
【0049】かくして本発明は、上記のごとく、基剤の
種類と組成を特定することにより、薬物の吸収の持続性
により優れた粉末状経鼻投与用組成物、また薬物の吸収
の即効性と持続性を兼ね備えた粉末状経鼻投与用組成
物、さらにまたペプチド・蛋白質性薬物のみならず、薬
物のうち非ペプチド・蛋白質性薬物においてそのような
優れた吸収の持続性、あるいは吸収の即効性と持続性を
兼ね備えた粉末状経鼻投与用組成物が提供されること
は、非注射型の薬物の投与による薬物療法にとって極め
て高い意義があるものといえよう。
【0050】
【実施例】以下に、実施例、対照例を挙げて本発明を詳
述するが、これらは本発明を何ら限定するものではな
い。なお、以下において本発明の結晶セルロ−スを結晶
性セルロースと記載することがある。
【0051】[実施例1〜4]実施例1〜4および対照
例1〜4として、消炎ステロイドの一つであるプロピオ
ン酸ベクロメタゾン(SICOR社製)10mgに、表
1に記載した各種の基剤をそれぞれ150mgづつ機械
的に混合し、滑択剤としてステアリン酸マグネシウム
0.16mgを加え、粉末組成物を調整した。このと
き、微結晶セルロース(旭化成社製:Avicel P
H101)は、その90重量%以上の粒子の粒子径を1
0〜350ミクロンとしたもの、ヒドロキシプロピルセ
ルロース(日本曹達社製:HPC−H)は、その90重
量%以上の粒子の粒子径を10〜350ミクロンとした
ものをそれぞれ使用した。
【0052】
【表1】
【0053】これらの組成物を(実施例1〜4、対照例
1〜4)を白色在来種雄性家兎(体重2.5〜3.0k
g)の鼻腔内に粉末投与器(帝人社製:パブライザー)
にて組成物の投与量が、2mg/kgとなるように投与
した。また対照例5として、プロピオン酸ベクロメタゾ
ンの懸濁液をシリンジにて同様に投与した。一定時間後
に耳静脈より採血し、血中のプロピオン酸ベクロメタゾ
ンをRIA法により測定した。
【0054】結果を表2に示す。基剤全体中にしめる結
晶性セルロースの割合が5〜40重量%の時に、0%
(対照例4)に比べ、持続性に変わりはないが、即時的
な吸収が認められた。さらに30〜40%の時により即
時的な吸収性を示していることがわかる。
【0055】
【表2】
【0056】[実施例5〜8]実施例5〜8および対照
例6〜9として、制吐薬の一つであるメトクロプラミド
(SIGMA社製)100mgに、表3に記載した各種
の基剤をそれぞれ200mgづつボールミルにより混合
し、滑択剤としてステアリン酸マグネシウム0.30m
gを加え、粉末組成物を調整した。このとき、微結晶セ
ルロース(旭化成社製:Avicel PH101)
は、その90重量%以上の粒子の粒子径を10〜350
ミクロンとしたもの、ヒドロキシプロピルセルロース
(日本曹達社製:HPCーH)は、その90重量%以上
の粒子の粒子径を10〜350ミクロンとしたものをそ
れぞれ使用した。
【0057】
【表3】
【0058】これらの組成物を(実施例5〜8、対照例
6〜9)を白色在来種雄性家兎(体重2.5〜3.0k
g)の鼻腔内に粉末投与器(帝人社製:パブライザー)
にて組成物の投与量が、3mg/kgとなるように投与
した。一定時間後に耳静脈より採血し、血中のメトクロ
プラミドをHPLC法により測定した。
【0059】結果を表4に示す。基剤全体中にしめる結
晶性セルロースの割合が5〜40重量%の時に、0%
(対照例9)に比べ、持続性に変わりはないが、即効的
な吸収が認められた。さらに5〜20%の時により即時
的な吸収性を示していることがわかる。
【0060】
【表4】
【0061】[実施例9〜17]下記表5に記載した2
種の基剤を用いて、主薬としてプロピオン酸ベクロメタ
ゾン(SICOR社製)を含有した、水吸収性でかつ水
難溶性の基剤と水吸収性でかつゲル形成性の基剤の重量
比が20:80の組成物(実施例9〜17)を調製し、
実施例1〜4と同様の条件で、家兎に投与した。また、
対照例10〜18として表5に示した基剤を用いて実施
例9〜17と同様に組成物を調製し、家兎への投与を行
った。ここで、表5記載の水吸収性でかつ水難溶性の基
剤の90重量%以上の粒子の粒子径は10〜350ミク
ロンと、水吸収性でかつゲル形成性の基剤の90重量%
以上の粒子の粒子径は10〜350ミクロンとしたもの
をそれぞれ用いた。
【0062】
【表5】
【0063】得られた血中濃度の経時変化を表6に示
す。実施例9〜17は、対照例10〜18と比較し、吸
収の即効性に優れていることがわかる。
【0064】
【表6】
【0065】[実施例18〜21]下記表7に記載した
2種の基剤を用いて、主薬としてプロピオン酸ベクロメ
タゾン(SICOR社製)を含有した、水吸収性でかつ
水難溶性の基剤と水吸収性でかつゲル形成性の基剤の重
量比が80:20の組成物(実施例18〜21)を調製
し、実施例1〜4と同様の条件で、家兎に投与した。ま
た、対照例19〜24として表7に示した基剤を用いて
同様に組成物を調製し、家兎への投与を行った。ここ
で、表7記載の水吸収性でかつ水難溶性の基剤の90重
量%以上の粒子の粒子径は10〜350ミクロンと、水
吸収性でかつゲル形成性の基剤の90重量%以上の粒子
の粒子径は10〜350ミクロンとしたものをそれぞれ
用いた。
【0066】
【表7】
【0067】得られた血中濃度の経時変化を表8に示
す。実施例18〜21は、対照例19〜24と比較し、
吸収の持続性に優れていることがわかる。
【0068】
【表8】
【0069】[実施例22〜24]実施例22〜24と
して、性ステロイドホルモンの一つであるジプロピオン
酸エストラジオール(和光純薬工業(株)社製)10m
gに、表9に記載した粒度にあらかじめ調製した結晶セ
ルロース(旭化成社製:Avicel PH101)お
よびヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達社製:H
PC−H)をそれぞれ40mg、および160mgづつ
混合し、滑択剤としてステアリン酸マグネシウム0.2
1mgを加え、粉末組成物を調整した。また対照例25
〜27として同表に示した粒度の結晶セルロース200
mgとジプロピオン酸エストラジオール10mgを混合
し組成物を調製した。
【0070】
【表9】
【0071】これらの組成物を(実施例22〜24、対
照例25〜27)を白色在来種雄性家兎(体重2.5〜
3.0kg)の鼻腔内に粉末投与器(帝人社製:パブラ
イザー)にて組成物の投与量が、2mg/kgとなるよ
うに投与した。一定時間後に耳静脈より採血し、血中の
ジプロピオン酸エストラジオールをRIA法により測定
した。結果を表10に示す。
【0072】ヒドロキシプロピルセルロースおよび結晶
セルロースが共にその90重量%以上の粒度が10〜3
50ミクロンの場合(実施例22)には、ヒドロキシプ
ロピルセルロース単独(対照例25〜27)に比べ、吸
収の即効性、もしくは吸収の即効性と持続性で勝ること
が判る。
【0073】さらに結晶セルロースの粒度がその90重
量%以上が10〜100ミクロンにあり、ヒドロキシプ
ロピルセルロースの粒度がその90重量%以上が10〜
350ミクロンの場合(実施例23)、さらに結晶セル
ロースの粒度がその90重量%以上が50〜250ミク
ロンにあり、ヒドロキシプロピルセルロースの粒度がそ
の90重量%以上が10〜50ミクロンの場合(実施例
24)、さらに良好な吸収の即効性と持続性が得られた
ことが判る。
【0074】
【表10】
【0075】[実施例25,26]実施例22の組成物
を同様に作成した。さらに実施例25、26として、性
ステロイドホルモンの一つであるジプロピオン酸エスト
ラジオール(和光純薬工業(株)社製)10mgと、そ
の90重量%以上の粒子の粒子径を10〜350ミクロ
ンに調製した結晶セルロース(旭化成社製:Avice
l PH101)、及びその90重量%以上の粒子の粒
子径が10〜350ミクロンに調製したヒドロキシプロ
ピルセルロース(日本曹達社製:HPC)を用い以下の
方法により組成物を作製した。 1.ジプロピオン酸エストラジオール10mgと結晶セ
ルロース40mg、ヒドロキシプロピルセルロース16
0mgを同時に混合した(実施例22と同一)。 2.ジプロピオン酸エストラジオール10mgとヒドロ
キシプロピルセルロース160mgを機械的に混合し、
この後結晶セルロース40mgを機械的に混合した(実
施例25)。 3.ジプロピオン酸エストラジオール10mgとヒドロ
キシプロピルセルロース160mgを100mlの水に
分散させ凍結乾燥後、粉砕しその90重量%以上の粒子
の粒子径が10〜350ミクロンとなるように篩過し、
この後結晶セルロース40mgを機械的に混合した(実
施例26)。
【0076】これらの製法により得られた組成物を(実
施例22、25、26)を白色在来種雄性家兎(体重
2.5〜3.0kg)の鼻腔内に粉末投与器(帝人社
製:パブライザー)にて組成物の投与量が、2mg/k
gとなるように投与した。一定時間後に耳静脈より採血
し、血中のプロピオン酸エストラジオールをRIA法に
より測定した。結果を表11に示す。
【0077】表11から、薬物を水吸収性でかつゲル形
成性の基剤に偏在させた場合に、さらに優れた効果が得
られることが明らかとなった。
【0078】
【表11】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤井 隆雄 東京都日野市旭が丘4丁目3番2号 帝人 株式会社東京研究センタ−内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ア.薬物と、 イ.ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピ
    ルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエ
    チルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウ
    ムからなる群から選ばれる1種以上の水吸収性でかつゲ
    ル形成性の基剤と、 ウ.結晶セルロース、α−セルロース、架橋カルボキシ
    メチルセルロースナトリウム、架橋デンプン、ゼラチ
    ン、カゼイン、トラガントガム、ポリビニルピロリド
    ン、キチン、キトサンからなる群から選ばれる1種以上
    の水吸収性でかつ水難溶性の基剤を含んでなる粉末状経
    鼻投与組成物であって、該水吸収性でかつ水難溶性の基
    剤の量が、該水吸収性でかつ水難溶性の基剤と該水吸収
    性でかつゲル形成性の基剤の量の和の約5〜40重量%
    である粉末状経鼻投与組成物。
  2. 【請求項2】 該組成物において、該水吸収性でかつ水
    難溶性の基剤と該水吸収性でかつゲル形成性の基剤の9
    0重量%以上の粒子の粒子径が10ミクロン〜350ミ
    クロンの範囲である請求項1記載の粉末状経鼻投与組成
    物。
  3. 【請求項3】 該組成物において、該水吸収性でかつ水
    難溶性の基剤の90重量%以上の粒子の粒子径が10ミ
    クロン〜100ミクロンの範囲であり、該水吸収性でか
    つゲル形成性の基剤90重量%以上の粒子の粒子径が1
    0ミクロン〜350ミクロンの範囲である請求項1記載
    の粉末状経鼻投与組成物。
  4. 【請求項4】 該組成物において、該水吸収性でかつ水
    難溶性の基剤の90重量%以上の粒子の粒子径が10ミ
    クロン〜100ミクロンの範囲であり、該水吸収性でか
    つゲル形成性の基剤90重量%以上の粒子の粒子径が5
    0ミクロン〜350ミクロンの範囲である請求項1記載
    の粉末状経鼻投与組成物。
  5. 【請求項5】 該組成物において、該薬物が該水吸収性
    でかつ水難溶性の基剤と該水吸収性でかつゲル形成性の
    基剤とに均一に分散しているか、あるいは該薬物が該水
    吸収性でかつ水難溶性の基剤よりも該水吸収性でかつゲ
    ル形成性の基剤に偏在して分散している請求項1記載の
    粉末状経鼻投与組成物。
  6. 【請求項6】 該薬物が非ペプチド・蛋白質性薬物およ
    び分子量が30,000以内であるペプチド・蛋白質性
    薬物からなる群から選ばれる1種以上の薬物である請求
    項1〜5のいずれか1項に記載の粉末状経鼻投与組成
    物。
  7. 【請求項7】 該非ペプチド・蛋白質性薬物が消炎ステ
    ロイド薬、鎮痛消炎薬、鎮咳去痰薬、抗ヒスタミン薬、
    抗アレルギー薬、制吐薬、睡眠導入薬、ビタミン剤、性
    ステロイドホルモン薬、抗腫瘍薬、抗不整脈・高血圧
    薬、抗不安・向精神薬、抗潰瘍薬、強心薬、鎮痛薬、気
    管支拡張薬、肥満治療薬、血小板凝集抑制薬、糖尿病
    薬、筋弛緩薬、抗リウマチ薬からなる群より選ばれた薬
    物である請求項6記載の粉末状経鼻投与組成物。
  8. 【請求項8】 該ペプチド・蛋白質性薬物が、黄体形成
    ホルモン放出ホルモン類、成長ホルモン放出因子類、ソ
    マトスタチン誘導体類、バゾプレッシン類、オキシトシ
    ン類、ヒルジン誘導体類、エンケファリン類、副腎皮質
    刺激ホルモン誘導体類、ブラジキニン誘導体類、カルシ
    トニン類、インシュリン類、グルカゴン誘導体類、成長
    ホルモン類、成長ホルモン放出ホルモン類、黄体形成ホ
    ルモン類、インシュリン様成長因子類、カルシトニン遺
    伝子関連ペプチド類、心房性ナトリウム利尿ペプチド誘
    導体類、インターフェロン類、エリスロポエチン、顆粒
    球コロニー形成刺激因子、マクロファージ形成刺激因
    子、副甲状腺ホルモン類、副甲状腺ホルモン放出ホルモ
    ン、プロラクチン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン、
    およびアンギオテンシン類等からなる群から選ばれる1
    種以上のペプチド・蛋白質性薬物である請求項6記載の
    粉末状経鼻投与組成物。
  9. 【請求項9】 該水吸収性でかつ水難溶性の基剤が、結
    晶セルロース、αーセルロース、架橋カルボキシメチル
    セルロースナトリウム、架橋デンプン、ゼラチン、ポリ
    ビニルピロリドン、キチン、キトサンからなる群から選
    ばれた1種以上の水吸収性でかつ水難溶性の基剤である
    請求項1〜8のいずれか1項に記載の粉末状経鼻投与組
    成物。
  10. 【請求項10】 該水吸収性でかつ水難溶性の基剤が、
    結晶セルロースである請求項1〜8のいずれか1項に記
    載の粉末状経鼻投与組成物。
  11. 【請求項11】 該水吸収性でかつゲル形成性の基剤
    が、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピ
    ルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメ
    チルセルロースナトリウムからなる群から選ばれた1種
    以上の水吸収性でかつゲル形成性の基剤である請求項1
    〜8のいずれか1項に記載の粉末状経鼻投与組成物。
  12. 【請求項12】 該水吸収性でかつゲル形成性の基剤
    が、ヒドロキシプロピルセルロースである請求項1〜8
    のいずれか1項に記載の粉末状経鼻投与組成物。
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