JPH11349329A - 色安定性に優れた二酸化チタンとその製法 - Google Patents

色安定性に優れた二酸化チタンとその製法

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JPH11349329A
JPH11349329A JP6584899A JP6584899A JPH11349329A JP H11349329 A JPH11349329 A JP H11349329A JP 6584899 A JP6584899 A JP 6584899A JP 6584899 A JP6584899 A JP 6584899A JP H11349329 A JPH11349329 A JP H11349329A
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niobium
aluminum
zinc
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Kazuhiro Akiyama
和裕 秋山
Yasuyoshi Tomiyama
能省 富山
Makoto Tsunashima
真 綱島
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Abstract

(57)【要約】 【解決課題】 色安定性に優れた二酸化チタンとその製
法を提供する 【解決手段】 ニオブ酸化物を含有する非晶質層を表面
に有し色安定性を高めたことを特徴とする二酸化チタ
ン、および、ニオブ酸化物を含有する非晶質層を表面に
有し結晶相中にアルミニウムないし亜鉛を含有すること
により色安定性を高めたことを特徴とするアナターゼ型
二酸化チタン、並びにこれらの二酸化チタン粒子の製造
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、白色顔料その他の
材料として広く用いられている二酸化チタンとその製造
方法に関する。特に、白色度の高いアナターゼ型二酸化
チタン粉末であって、高温処理時において変色し難く、
耐光性および耐侯性に優れた化学的安定性の高いアナタ
ーゼ型二酸化チタンとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】二酸化チタンには低温安定相のアナター
ゼ型と高温安定相のルチル型の2つの結晶系があり、顔
料として用いる場合、それぞれの特徴を生かすように使
い分けられている。例えば、アナターゼ型の二酸化チタ
ンはルチル型に比較して色調に青味を有する特徴があ
る。
【0003】ところが、アナターゼ型二酸化チタンはル
チル型結晶よりも耐光性ないし耐候性が低く変色し易い
問題がある。すなわち、二酸化チタン結晶は1つのチタ
ンイオンに対して6つの酸素イオンが配位した構造を有
するが、アナターゼ型結晶はイオン性のルチル型結晶よ
りも共有性が強いため、結晶欠陥が存在すると、これに
より生じた自由電子が4価のチタンイオンに取り込まれ
て3価のチタン(紫色)になりやすい。
【0004】また、従来のアナターゼ型二酸化チタン
は、工業的には、硫酸チタニルを加水分解して焼成する
硫酸法によって製造されており、結晶中には部分的な構
造欠陥が多少なりとも存在する。この欠陥が多くなると
化学的安定性が低下し、紫外線や熱、摩砕力などによっ
て変色し易くなる。このため、これをプラスチック着色
料などに使用した場合、300℃を越える高温処理の過
程で変色が著しくなり、プラスチックスの色調を損ねる
等の問題がある。
【0005】このような結晶の構造欠陥による色安定性
を改善するため、チタンイオンに大きさが近似したイオ
ン、例えば、アルミニウムイオン(Al3+)や亜鉛イオン(Z
n2+)を二酸化チタン結晶内にドープして格子欠陥を補完
することにより化学的安定性を高めることが知られてい
る(国際公開:WO97/24288号)が、さらに色安定性の向上
が求められている。
【0006】
【発明の解決課題】本発明は二酸化チタン、特にアナタ
ーゼ型二酸化チタンの従来の上記問題を解決したもので
あり、白色度が高く、かつ、光照射に対する色の安定
性、高熱処理に対する色の安定性および化学的安定性に
優れた二酸化チタンとその製造方法を提供することを目
的とする。なお、本発明において色安定性が高いとは、
高温処理によっても変色し難く白色度が高く、化学的安
定性の良いことを云う。
【0007】
【課題を解決する手段】すなわち、本発明は以下の構成
からなる二酸化チタンに関する。 (1)結晶相表面の非晶質層にニオブ酸化物を含有する
ことにより化学的安定性を高めたことを特徴とする色安
定性に優れた二酸化チタン。 (2)ニオブ酸化物の含有量が表面層の0.5〜50wt
%である上記(1)の二酸化チタン。 (3)結晶相中に0.02〜0.4wt%のアルミニウムを
含有し、非晶質表面層に0.5〜50wt%のニオブ酸化
物を含有するアナターゼ結晶型の二酸化チタン。 (4)結晶相中に0.05〜1.0wt%の亜鉛を含有し、
あるいは合計量で0.02〜1.0wt%(但し、アルミニ
ウム0.4wt%以下)のアルミニウムと亜鉛を含有し、非
晶質表面層に0.5〜50wt%のニオブ酸化物を含有す
るアナターゼ結晶型の二酸化チタン。 (5) 一次粒子の平均粒径が0.01〜1.0μmであっ
て、非晶質表面層の厚さが0.01〜50nmである上記
(1),(2)または(3)に記載する二酸化チタン。
【0008】また、本発明は以下の構成からなる二酸化
チタンの製造方法に関する。 (6)含水二酸化チタンスラリーを脱水焼成してアナタ
ーゼ型二酸化チタン粒子を製造する方法において、硫酸
ニオブをニオブイオンとして0.15〜5wt%含む含水
二酸化チタンスラリーを用い、これを脱水焼成して結晶
相表面の非晶質層にニオブ酸化物を含有する二酸化チタ
ンを製造することを特徴とする二酸化チタンの製造方
法。 (7)硫酸チタニル水溶液に硫酸ニオブをニオブイオン
として0.15〜5wt%加えたものを加水分解して得た
含水二酸化チタンスラリー、あるいは硫酸チタニル水溶
液を加水分解して得た含水二酸化チタンスラリーに硫酸
ニオブをニオブイオンとして0.15〜5wt%加えたス
ラリーを用いる上記(6)の二酸化チタンの製造方法。 (8)二酸化チタンに対して0.02〜0.4wt%のアル
ミニウムイオンおよび/または0.05〜1.0wt%の亜
鉛イオン(ただし、アルミニウムと亜鉛を併用すると
き、その合計量0.02〜1.0wt%)となる量のアルミ
ニウム化合物ないし亜鉛化合物を硫酸ニオブと共に含有
する含水二酸化チタンスラリーを用いる上記(6)または
(7)の二酸化チタンの製造方法。
【0009】
【発明の実施態様】以下、本発明を実施形態に即して具
体的に説明する。(I)二酸化チタン 本発明の二酸化チタンは、結晶相表面の非晶質層中にニ
オブ酸化物を含有することによって化学的安定性を高め
て色安定性を向上させた二酸化チタンである。好ましく
は、非晶質表面層に含まれるニオブ酸化物の含有量が表
面層の0.5〜50wt%であるアナターゼ型二酸化チタ
ンである。
【0010】二酸化チタン粒子は含水二酸化チタンスラ
リーを脱水し、所定温度で焼成することにより得られる
が、ニオブイオンを含む含水二酸化チタンスラリーを用
いることにより、結晶相表面の非晶質層にニオブが偏析
した二酸化チタンを得ることができる。すなわち、この
ようにして製造した二酸化チタン粒子の表面層付近を電
子顕微鏡によって観察すると、図1に示すように、結晶
相(A)の表面に厚さ約0.01〜50nm(ナノメータ)程度の非
晶質層(B)が存在していることが認められる。この結晶
相(A)と非晶質層(B)の含有元素を調べると、図3に示
すように、結晶相(A)の成分はチタンであり、チタン以
外の元素は検出限度以上のものは含まれていない。一
方、表面層(B)にはチタンと共に微量のニオブが含まれ
ている。このニオブは酸化ニオブであり、その一部はニ
オブ・チタン複合酸化物である。本発明においてニオブ
酸化物とは、このような酸化ニオブおよびニオブ・チタ
ン複合酸化物の1種または2種以上を含む意味である。
【0011】表面層に含まれるニオブ酸化物の量は、表
面層の0.5〜50wt%が適当であり、1〜20wt%が
好ましい。0.5wt%より少ないと、ニオブを含有する
効果が明確ではなく、一方、50wt%を上回ると白色度
が低下する。
【0012】本発明の二酸化チタンは、このように結晶
相表面の非晶質層にニオブ酸化物を含有するので、この
非晶質層が表面の保護層となり、光や熱による変色を抑
制するので色安定性が向上する。これは、粒子形成後に
表面に外部からコーテング層を設ける従来の一般的な方
法とは異なり、表面層自体が保護層となるので、その効
果が安定である。
【0013】本発明の二酸化チタンは、結晶相中にアル
ミニウム含有し、かつ非晶質表面層にニオブ酸化物を含
有するものを含む。アルミニウムイオン(Al3+)はチタン
イオン(Ti4+)と近似するイオン半径を有するので、結晶
相にこれを導入することにより、二酸化チタンの結晶欠
陥が補完され、化学的安定性が高く、耐熱性に優れた二
酸化チタンが得られる。
【0014】結晶相中のアルミニウム含有量はアルミニ
ウムイオンとして粒子全体の0.02〜0.4wt%、好ま
しくは0.04〜0.3wt%が適当である。アルミニウム
の含有量が上記範囲よりも少ないと二酸化チタンの化学
的な安定性を向上する効果が不十分であり、また、この
含有量が上記範囲を上回ると結晶内に入らない遊離のア
ルミニウムが酸化物の状態で二酸化チタン粒子に混在す
るため隠蔽力や白色度などの顔料性能が低下するので好
ましくない。さらに、添加量が多過ぎると粒子が固結し
易くなり、顔料としての分散性が損なわれる。
【0015】なお、アルミニウムは結晶内部に取り込ま
れているものの他に粒子表面に付着するものもあるが、
このような粒子表面に付着するものは結晶内部の欠陥を
補うものではないので、化学的安定性を高める効果は得
られない。また、工業的に生産されるアナターゼ型二酸
化チタンには、原料鉱石に由来するものや製造工程の途
中から混入するものなどを含めて、0.01wt% 程度の
アルミニウムを含有するものがあるが、この量では化学
的安定性(色安定性)を向上させる効果は得られない。
【0016】上記アルミニウムに代え、あるいはアルミ
ニウムと共に亜鉛を結晶相に導入してもよい。亜鉛イオ
ン(Zn2+)はアルミニウムイオン(Al3+)と同様にチタンイ
オン(Ti4+)と近似するイオン半径を有するので、結晶相
に導入することにより二酸化チタンの結晶欠陥を補完
し、化学的安定性を高めることができる。亜鉛の導入量
は、亜鉛イオンとして粒子全体の0.05〜1.0wt%、
好ましくは0.1〜0.6wt%が適当である。また、アル
ミニウムと亜鉛を共に導入する場合には両者の合計量が
0.02〜1.0wt%であって、アルミニウム量が0.4w
t%以下が適当である。
【0017】本発明の上記二酸化チタン粒子の大きさ
は、一次粒子の平均粒径が0.01〜1.0μm(ミクロン)が
適当である。一次粒子の平均粒径がこれより小さいと化
学的に不安定であり、またこれより大きいと顔料に適さ
ない。一次粒子の平均粒子径が上記範囲の二酸化チタン
粒子を得るには、後述する製造方法において、硫酸チタ
ンの加水分解における沈殿条件、あるいはその後の焼成
工程における温度の調整などを行えばよい。なお、平均
粒径は透過型電子顕微鏡(TEM)によって求めることがで
きる。
【0018】(II)製造方法 本発明の非晶質表面層にニオブ酸化物を含有する二酸化
チタンは、硫酸法に基づき、ニオブイオンを含む含水二
酸化チタンスラリーを用い、これを脱水焼成して得られ
る。非晶質表面層のニオブ酸化物は焼成時に偏析して形
成されるので、上記スラリーに所定量のニオブ源を導入
する以外、および結晶相にアルミニウムないし亜鉛を含
有させる場合には、所定量の水溶性アルミニウム化合物
ないし水溶性亜鉛化合物を上記スラリーに導入する以外
は、従来慣用の硫酸法に基づいて製造することができ
る。
【0019】原料とする含水二酸化チタンスラリーは、
硫酸チタニル水溶液またはこれを加水分解して得た含水
二酸化チタンスラリーに、ニオブイオンを含む化合物加
えたものを用いることができる。水溶性のニオブ化合物
としては硫酸ニオブなどが用いられる。添加量は、スラ
リー中のチタン量(二酸化チタン換算)に対し、ニオブイ
オンとして0.15〜5wt%の硫酸ニオブが適当であ
る。具体的には、(i)硫酸チタニル水溶液に硫酸ニオブ
をニオブイオンとして0.15〜5wt%加えたものを加
水分解して得た含水二酸化チタンスラリー、あるいは(i
i)硫酸チタニル水溶液を加水分解して得た含水二酸化チ
タンスラリーに、硫酸ニオブをニオブイオンとして0.
15〜5wt%加えたスラリーを用いることができる。
【0020】結晶相にアルミニウムまたは亜鉛を含有さ
せる場合には、二酸化チタンに対して、0.02〜0.4
wt%のアルミニウムイオンとなる量のアルミニウム化合
物または0.05〜1.0wt%の亜鉛イオンとなる量の亜
鉛化合物を添加した含水二酸化チタンスラリーを用い
る。なお、結晶相にアルミニウムと共に亜鉛を導入する
場合には、二酸化チタンに対してアルミニウムイオンお
よび亜鉛イオンの合計量が0.02〜1.0wt%となる量
のアルミニウム化合物および亜鉛化合物を添加した含水
二酸化チタンスラリーを用いる。アルミニウム化合物お
よび亜鉛化合物は水溶性の化合物を用いて上記スラリー
に添加しても良く、あるいは粉末状の化合物を用いてス
ラリーを乾燥した後に添加しても良い。水溶性の化合物
としては硫酸アルミニウムや硫酸亜鉛、粉末状の化合物
としては酸化アルミニウムや酸化亜鉛を用いることがで
きる。
【0021】上記ニオブイオン等を含む含水二酸化チタ
ンスラリーを脱水して焼成する。焼成温度は一般に85
0〜1100℃が適当である。焼成温度が850℃未満
では焼成が十分に行われない。また、1100℃を上回
ると粒子の焼結が生じ、顔料としての白色度や分散性が
著しく損なわれる。従って、焼成焼成は高温度で短時間
に行うよりも比較的低温で長時間行うほうが焼結が少な
く分散性の良い粉末が得られる。スラリーに加えられた
ニオブイオンは焼成中に粒子表面に偏析し、ニオブ酸化
物として非晶質表面層に含まれる。この製造方法によ
り、一次粒子の平均粒径が0.01〜10μmであって、
表面層の厚さが0.01〜50nmの非晶質表面層にニオ
ブ酸化物が0.5〜50wt%含まれるアナターゼ型結晶
形の二酸化チタンを得ることができる。また、上記スラ
リーないしその乾燥粉体にアルミニウム化合物ないし亜
鉛化合物を添加したものを用いることにより、これらを
結晶相に含む二酸化チタンが得られる。
【0022】なお、粒度や硬度を整え、さらにはルチル
型結晶の生成を抑制するために、焼成前に少量のカリウ
ムや燐化合物を添加してもよい。これらを添加すること
により粒度や硬度が均一となる。なお、これらは焼成後
の洗浄工程で洗い流すことができる。
【0023】
【実施例】本発明を実施例によって具体的に示す。な
お、以下の例は本発明の範囲を限定するものではない。
色安定性および熱安定性は次の方法により測定した。 (A)光安定性:二酸化チタン粉末試料2gを水溶性樹脂
塗料(メチロールメラミン樹脂)1.6mlに加えて混練したものをガ
ラス板に塗布し乾燥させた。この板を回転させながら紫
外線下に8時間曝し、上記色差計を用いてガラス表面の
色を計測し、紫外線照射前後の色差をハンター色差式に
より求めた。 (B)熱安定性:ポリエチレン樹脂(商品名:ミラソン402)45
gと酸化チタン試料5gを3.5インチの二本ロールで表面温度
125℃5分間混練してシートにした。これをステンレス
製リング(内径45mm×厚さ5mm)に入れ、その上下をフェ
ロタイト板で挟み込んで酸化を防止した状態で所定温度
(310℃)に加熱し、20分間保持した後に取り出した。
この熱処理したシートについてスガ試験機社製の色差計
(SM-5)を用いてハンターの値(L,a,b値)を測定した。こ
のシートの変色を、150℃で熱処理したシートを基準
とし、その白色度(L値)に対する色差により評価した。
【0024】実施例1 硫酸チタン1リットル(TiO2換算濃度200g/l)に対して硫酸
ニオブをニオブイオン換算量で1g(Nb添加率0.5wt%)
加えた。この混合液を加水分解して含水二酸化チタンス
ラリーを得た。このスラリーを脱水乾燥後、加熱炉中に
800℃で1時間静置し、さらに1000℃で3時間焼
成した後に、粉砕して一次粒子の平均粒径が0.2μmの
二酸化チタン粉末を得た。この粉末はX線回折によりア
ナターゼ型二酸化チタンであることを確認した。この粉
末の粒子表面付近の透過型電子顕微鏡写真を図1に示し
た。図1に示すように、粒子内部Aは結晶化しているた
めに結晶格子の縞模様が見えるが、粒子表面Bにはこの
ような格子縞が見られず、非晶質である。
【0025】この二酸化チタン粒子について、結晶内部
Aと非晶質表面層Bに含まれる元素を分析した。分析手
段としては、電界放出型電子銃を有する透過型電子顕微
鏡とエネルギー分散型X線検出器を用い、ビーム径1nm
φにて分析した。非晶質表面層の分析結果を図2に示
し、結晶内部の分析結果を図3に示した。図2にはニオ
ブのピークが見られるが、図3にはニオブのピークは見
られず、ニオブは表面の非晶質層に偏在していることが
わかる。図2において、ニオブのピーク高さによりニオ
ブの濃度を求めたところ、非晶質表面層のニオブ濃度は
5.3wt%であった。また、ICPによる化学分析の結
果、この二酸化チタン粒子全体のニオブ濃度は平均で
0.21wt%であった。この二酸化チタン粒子につい
て、光照射に対する色安定性(光安定性)と熱安定性を評
価した。この結果を表1に示した。
【0026】実施例3 含水二酸化チタンスラリーを脱水乾燥後、硫酸アルミニ
ウムをアルミニウムイオン換算量で0.2g(TiO2に対す
るAl添加率0.12wt%)を加え、かつニオブの添加量を表
1に示す量にした以外は実施例1と同様にして、一次粒
子の平均粒径が0.2μmの二酸化チタン粉末を得た。こ
の粉末はX線回折によりアナターゼ型二酸化チタンであ
ることを確認した。この粉末の粒子表面付近の透過型電
子顕微鏡写真は図1と同様であり、粒子内部は結晶化し
ているために結晶格子の縞模様が見えるが、粒子表面に
はこのような格子縞が見られず、非晶質であることが確
認できた。また、表面層の厚みは約3nm(ナノメータ)であっ
た。この二酸化チタン粒子について、実施例1と同様に
して結晶内部と非晶質表面層に含まれる元素を分析した
ところ、結晶内部にはアルミニウムが含有されており、
ニオブは表面の非晶質層に偏在していることが確認され
た。このニオブ濃度は0.6wt%であった。また、IC
Pによる化学分析の結果、この二酸化チタン粒子には、
全体として平均で0.21wt%のニオブと0.12wt%の
アルミニウムが含まれていた。この二酸化チタン粒子に
ついて、光照射に対する色安定性および熱安定性を評価
した。この結果を表1に示した。
【0027】実施例2,4〜6 表1に示すように、アルミニウム添加量、ニオブ添加量
を調整した以外は実施例1と同様にしてアナターゼ型二
酸化チタン粉末を製造した。なお、一部の試料はアルミ
ニウムに代えて亜鉛を用いた。この二酸化チタン粒子に
ついて、光照射に対する色安定性および熱安定性を評価
した。この結果を表1に示した。
【0028】比較例1(無添加二酸化チタン粉末) ニオブおよびアルミニウムを添加しない以外は実施例1
と同様にして製造したアナターゼ型二酸化チタンについ
て、その光安定性および熱安定性を表1に示した。な
お、この二酸化チタンに含まれるニオブは原料の硫酸チ
タンに由来する混入量である。比較例2 (二酸化ニオブ粉末) 硫酸ニオブ水溶液を中和して加水分解し、含水酸化ニオ
ブスラリーとした。これを脱水乾燥後、800℃、1時
間焼成して白色の二酸化ニオブ粉末を得た。この粉末に
ついて実施例1と同様の色差試験を行ったところ、色差
はΔE=0.6あり、二酸化ニオブ自体の耐光性が高い
ことが確認された。
【0029】
【表1】
【0030】表1に示すように、比較例1の光安定性お
よび熱安定性は基準値よりも大幅に高い(光安定性ΔE=
1.5、熱安定性ΔE=8.9)が、本発明の実施例1〜6に係
る試料は何れも基準値に対する色差ΔEが格段に小さ
く、光安定性および熱安定性に優れており、ニオブとア
ルミニウムの両方を含有するものについて一層この特性
が向上している。
【0031】
【発明の効果】本発明の二酸化チタンは、粒子表面にニ
オブ酸化物を含有する非晶質表面層を有するので表面の
化学的安定性が高く、色安定性に優れる。この結果、例
えば、プラスチックス着色工程において最近実施されて
いる300℃程度の高温混練処理を行っても殆ど変色し
ない。また、本発明の製造プロセスの主要部は硫酸法プ
ロセスと同様であり、従来の被覆処理工程等を行うもの
とは異なるので、このような被覆処理の追加設備等を必
要とせず、低コストで高耐光性・高耐候性の二酸化チタ
ン粒子を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の二酸化チタン粒子(Nbドープ)の
表面付近の結晶構造を示す電子顕微鏡写真(倍率1000万
倍)
【図2】 図1に示す二酸化チタン粒子表面層の元素分
析結果を示すグラフ。
【図3】 図1に示す二酸化チタン粒子内部の元素分析
結果を示すグラフ。
【符号の説明】
A−結晶内部、B−非晶質表面層

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶相表面の非晶質層にニオブ酸化物を
    含有することにより化学的安定性を高めたことを特徴と
    する色安定性に優れた二酸化チタン。
  2. 【請求項2】 ニオブ酸化物の含有量が表面層の0.5
    〜50wt%である請求項1の二酸化チタン。
  3. 【請求項3】 結晶相中に0.02〜0.4wt%のアルミ
    ニウムを含有し、非晶質表面層に0.5〜50wt%のニ
    オブ酸化物を含有するアナターゼ結晶型の二酸化チタ
    ン。
  4. 【請求項4】 結晶相中に0.05〜1.0wt%の亜鉛を
    含有し、あるいは合計量で0.02〜1.0wt%(但し、
    アルミニウム0.4wt%以下)のアルミニウムと亜鉛を含
    有し、非晶質表面層に0.5〜50wt%のニオブ酸化物
    を含有するアナターゼ結晶型の二酸化チタン。
  5. 【請求項5】 一次粒子の平均粒径が0.01〜1.0μ
    mであって、非晶質表面層の厚さが0.01〜50nmであ
    る請求項1〜4のいずれかに記載する二酸化チタン。
  6. 【請求項6】 含水二酸化チタンスラリーを脱水焼成し
    てアナターゼ型二酸化チタン粒子を製造する方法におい
    て、硫酸ニオブをニオブイオンとして0.15〜5wt%
    含む含水二酸化チタンスラリーを用い、これを脱水焼成
    して結晶相表面の非晶質層にニオブ酸化物を含有する二
    酸化チタンを製造することを特徴とする二酸化チタンの
    製造方法。
  7. 【請求項7】 硫酸チタニル水溶液に硫酸ニオブをニオ
    ブイオンとして0.15〜5wt%加えたものを加水分解
    して得た含水二酸化チタンスラリー、あるいは硫酸チタ
    ニル水溶液を加水分解して得た含水二酸化チタンスラリ
    ーに硫酸ニオブをニオブイオンとして0.15〜5wt%
    加えたスラリーを用いる請求項6の二酸化チタンの製造
    方法。
  8. 【請求項8】 二酸化チタンに対して0.02〜0.4wt
    %のアルミニウムイオンおよび/または0.05〜1.0w
    t%の亜鉛イオン(ただし、アルミニウムと亜鉛を併用す
    るとき、その合計量0.02〜1.0wt%)となる量のア
    ルミニウム化合物ないし亜鉛化合物を硫酸ニオブと共に
    含有する含水二酸化チタンスラリーを用いる請求項6ま
    たは7の二酸化チタンの製造方法。
JP6584899A 1998-04-07 1999-03-12 色安定性に優れた二酸化チタンとその製法 Withdrawn JPH11349329A (ja)

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