JPH1134842A - アンチロックブレーキ制御装置 - Google Patents

アンチロックブレーキ制御装置

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JPH1134842A
JPH1134842A JP19290197A JP19290197A JPH1134842A JP H1134842 A JPH1134842 A JP H1134842A JP 19290197 A JP19290197 A JP 19290197A JP 19290197 A JP19290197 A JP 19290197A JP H1134842 A JPH1134842 A JP H1134842A
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Japan
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wheel
micro
excitation
wheel speed
brake pressure
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Application number
JP19290197A
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English (en)
Inventor
Koji Umeno
孝治 梅野
Katsuhiro Asano
勝宏 浅野
Hidekazu Ono
英一 小野
Hiroyuki Yamaguchi
裕之 山口
Masaru Sugai
賢 菅井
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Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 励振による左右の駆動輪間の干渉を低減す
る。 【解決手段】 車輪速度信号を検出する車輪速センサ2
0と、車体と車輪と路面とからなる振動系の共振周波数
でブレーキ圧を微小励振したときのブレーキ圧微小振幅
に対する車輪速度微小振幅の比の微小ゲインGd を演算
する微小ゲイン演算部22と、ブレーキ圧微小励振信号
と共に微小ゲインGd に基づいてピークμ追従のための
ブレーキ圧低減指令信号を各制御バルブへ出力するAB
S制御部10と、いずれかの駆動輪の制御バルブへのブ
レーキ圧微小励振信号の信号線に介在された位相差生成
器32と、から構成する。ブレーキ圧を微小励振すると
きに、位相差生成器32により、一方の駆動輪のブレー
キ圧励振信号を、他方の駆動輪に比べて、その位相角度
を90度遅延させる。これにより、励振により左右の駆
動輪間の干渉が低減され、良好なアンチロックブレーキ
制御性能が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブレーキ力を微小
励振したときの車輪速度の振動特性の変化に基づいて平
均的なブレーキ力の制御を行うアンチロックブレーキ制
御装置に係り、より詳しくは、左右の駆動輪間の励振位
相を、左右の駆動輪間の干渉が低減するように制御した
アンチロックブレーキ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、車輪と路面との間の摩擦係数
μがピーク値を超えて車輪がロック状態に移行する直前
に、車輪に作用するブレーキトルクを低下させることに
よって、車輪のロックを防止しピークμ値に追従制御す
るアンチロックブレーキ制御装置が提案・実施されてい
る。
【0003】このようなアンチロックブレーキ制御装置
(以下、「ABS装置」という)のうち、正確なピーク
μ追従制御が可能なものとして、車体と車輪と路面とか
ら構成される振動系の共振特性の変化に基づいてブレー
キ力を制御する技術が提案されている(特願平7−22
0920号)。
【0004】このABS装置の1つの具体例によれば、
車体と車輪と路面とから構成される振動系の共振周波数
でブレーキ力を微小励振することにより車輪を微小振動
させ、この励振されたブレーキ圧の微小振幅に対する車
輪速度の微小振幅の比である微小ゲインGd を演算す
る。そして、微小ゲインがピークμ近傍で急激に減少す
る特性を利用し、該微小ゲインGd を予め定められた基
準ゲインGs に一致させるようにブレーキ圧を制御する
ことにより、ピークμ追従を実現している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のABS装置では、左右の駆動輪のブレーキ力を微小
励振させた場合、次のような問題が発生する。すなわ
ち、左右の駆動輪はドライブシャフトで互いに連結され
ているため、このドライブシャフトを介して一方の振動
が他方へ相互伝達し、左右輪間の干渉を引き起こす。そ
して、この干渉によって、微小ゲインに誤差が生じるた
め、誤ったアンチロックブレーキ制御を行う可能性があ
る。一方、従動輪の場合は、ドライブシャフトで連結さ
れていないため、干渉作用が無く、正確なアンチロック
ブレーキ制御が可能である。
【0006】本発明は、上記事実に鑑みて成されたもの
で、左右の駆動輪のブレーキ力を微小励振させた場合で
も、左右輪間の非干渉化を図ることにより、駆動輪にお
いても従動輪と同様に正確なアンチロックブレーキ制御
を可能としたアンチロックブレーキ制御装置を提供する
ことを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を実現するため
に、請求項1の発明は、ブレーキ力を微小励振する微小
励振手段を有し、該微小励振手段でブレーキ力を微小励
振したときの車輪速度信号の振動特性の変化に基づい
て、平均的なブレーキ力を制御するアンチロックブレー
キ制御装置において、前記微小励振手段は、左右の駆動
輪のブレーキ力励振指令の位相差を、励振による左右の
駆動輪間の干渉が低減するように所定角度としたことを
特徴とする。 (本発明の前提となるアンチロックブレーキ制御の原
理)重量Wの車体を備えた車両が車体速度ωv で走行し
ている時の車輪での振動現象、すなわち車体と車輪と路
面とによって構成される振動系の振動現象を、車輪回転
軸で等価的にモデル化した図4に示すモデルを参照して
考察する。
【0008】図4のモデルにおいて、ブレーキ力は、路
面と接するタイヤのトレッド115の表面を介して路面
に作用するが、このブレーキ力は実際には路面からの反
作用(制動力)として車体に作用するため、車体重量の
回転軸換算の等価モデル117はタイヤのトレッドと路
面との間の摩擦要素116(路面μ)を介して車輪11
3と反対側に連結したものとなる。これは、シャシーダ
イナモ装置のように、車輪下の大きな慣性、すなわち車
輪と反対側の質量で車体の重量を模擬することができる
ことと同様である。
【0009】図4でタイヤリムを含んだ車輪113の慣
性をJw 、リムとトレッド115との間のばね要素11
4のばね定数をK、車輪半径をR、トレッド115の慣
性をJt 、トレッド115と路面との間の摩擦要素11
6の摩擦係数をμ、車体の重量の回転軸換算の等価モデ
ル117の慣性をJV とすると、ホイールシリンダ圧に
より生じるブレーキトルクTb ’から車輪速ωw までの
伝達特性は、車輪運動の方程式より、
【0010】
【数1】
【0011】となる。なお、sはラプラス変換の演算子
である。タイヤが路面にグリップしている時は、トレッ
ド115と車体等価モデル117とが直結されていると
考えると、車体等価モデル117とトレッド115との
和の慣性と、車輪113の慣性とが共振する。すなわ
ち、この振動系は、車輪と車体と路面とから構成された
車輪共振系とみなすことができる。このときの車輪共振
系の共振周波数ω∞は、(1) 式の伝達特性において、 ω∞=√{(Jw +Jt +Jv )K/Jw (Jt +Jv )}/2π (2) となる。ここで、タイヤと路面との間の摩擦係数μのス
リップ率S((車体速度−車輪速度)/車体速度)に対
する特性を図16に示すと、(2) 式が成立する摩擦状態
は、ピークμに達する前の領域A1に対応する。
【0012】逆に、タイヤの摩擦係数μがピークμに近
づく場合には、タイヤ表面の摩擦係数μがスリップ率に
対して変化し難くなり、トレッド115の慣性の振動に
伴う成分は車体等価モデル117に影響しなくなる。つ
まり等価的にトレッド115と車体等価モデル117と
が分離され、トレッド115と車輪113とが共振を起
こすことになる。このときの車輪共振系は、車輪と路面
とから構成されているとみなすことができ、その共振周
波数ω∞’は、(2) 式において、車体等価慣性Jv を0
とおいたものと等しくなる。すなわち、 ω∞' =√{(Jw +Jt )K/Jw t )}/2π (3) となる。この状態は、図16では、ピークμ近傍の領域
A2に対応する。なお、ピークμを越えてブレーキ制動
されると、領域A3に瞬時に移行し、タイヤがロックさ
れる。
【0013】(2) 式と(3) 式とを比較し、車体等価慣性
v が車輪慣性Jw 、トレッド慣性Jt より大きいと仮
定すると、(3) 式の場合の車輪共振系の共振周波数ω
∞’は(2) 式のω∞よりも高周波数側にシフトすること
になる。
【0014】従って、車輪共振系の振動特性の変化を反
映する物理量に基づいて、車輪と路面との間の摩擦状態
を判定することが可能となる。
【0015】そこで、本発明では、微小励振手段により
ブレーキ力を微小励振する。この励振により、車輪速度
に振動成分が現れるが、この車輪速度の振動特性には、
上記車輪共振系の振動特性が反映される。従って、車輪
速度の振動特性に基づいて、車輪に作用する平均的なブ
レーキ力を制御することにより、車輪と路面との間の摩
擦状態を制御できる。例えば、領域A2の摩擦状態のと
きの車輪速度の振動特性を維持するように平均的なブレ
ーキ力を制御すれば、ピークμ追従制御が可能となる。 (本発明の原理)以下に、測定結果に基づいて、本発明
の原理を説明する。なお、本発明は、この測定結果や測
定で用いられた手段に限定されるものではない。
【0016】本発明の微小励振手段が、ブレーキ圧(ホ
イールシリンダ圧)を微小励振することにより車輪に作
用するブレーキ力を微小励振する場合を例にすると、ブ
レーキ圧の微小振動が、車輪速度の振動成分となって現
れる際に、この車輪速度振動は、ブレーキ圧の微小励振
振動より、ある位相角度だけ遅れて伝達する。
【0017】ここで、微小励振されたブレーキ圧から車
輪速度振動までの位相角度の測定結果を図10の表に示
す。
【0018】図10の表によれば、左右の従動輪につい
てブレーキ力励振指令の位相差を、同相(0度)とした
ときの左右の従動輪の車輪速度振動の位相角度が路面状
態毎(高μ路、中μ路、低μ路)にそれぞれ示されてい
る。この位相関係は、図12のベクトル図によって表さ
れる。ただし、図12では、左右輪でのブレーキ圧微小
振動をPbl、Pbrとし、左右輪の車輪速度振動をωl
ωr としている(後述する図13、図14においても同
様)。なお、ブレーキ力励振指令を同相とした場合、本
来、ブレーキ圧の微小振動PblとPbrとは、同位相にな
るはずであるが、信号サンプリング時のデータ取り込み
順序の違い等に起因して、PblとPbrとの位相差が20
度〜30度となっている(後述する図13、図14にお
いても同様)。
【0019】また、図10の表によれば、左右の駆動輪
についてブレーキ力励振指令の位相差を、同相(0
度)、90度、逆相(180度)とした場合の、左右の
駆動輪の車輪速度振動の位相角度が路面状態毎(高μ
路、中μ路、低μ路)にそれぞれ示されている。このう
ちブレーキ力励振指令の位相差が90度のときの位相関
係は、図13により表される。
【0020】図10の測定結果に示されるように、ブレ
ーキ力励振指令の位相差を90度としたときの駆動輪に
ついての位相角度が、各路面において、励振伝達による
干渉の存在しない従動輪についての位相角度に最も近く
なっていることがわかる。干渉が存在した場合、相手車
輪からの励振振動により車輪速度振動の位相がずれるの
で、図10の測定結果は、ブレーキ力励振指令の位相差
を好適に設定することにより、駆動輪の干渉を低減でき
ることを示している。
【0021】そこで、本発明では、左右の駆動輪のブレ
ーキ力励振指令の位相差を、励振による左右の駆動輪間
の干渉が低減するように所定角度とする。これにより、
車輪速度の振動特性において干渉の影響が低減され、駆
動輪においても従動輪とほぼ同様に正確なアンチロック
ブレーキ制御が可能となる。ここで、この所定角度は、
車輪共振系の特性などに応じて任意好適に定められるも
のである。
【0022】なお、図10の測定結果をふまえ、前記所
定角度を、90度又は90度近傍の位相角度、或いは1
80度又は180度近傍の位相角度としても良い。
【0023】また、本発明は、前記微小励振手段でブレ
ーキ力を微小励振したときの左右の駆動輪の車輪速度信
号の相関を演算する相関演算手段と、前記相関演算手段
により演算された相関が低減するように、左右の駆動輪
の車輪速度信号の位相を各々補正する位相補正手段と、
をさらに加えることができる。
【0024】この実施態様では、前記相関演算手段が、
前記微小励振手段でブレーキ力を微小励振したときの左
右の駆動輪の車輪速度信号の相関を演算する。この相関
(の絶対値)は、干渉が大きくなるほど増大し、干渉が
小さくなるほど減少するので、干渉の程度を表す物理量
と考えることができる。
【0025】そこで、前記位相補正手段が、前記相関演
算手段により演算された相関(の絶対値)が低減するよ
うに、左右の駆動輪の車輪速度信号の位相を各々補正す
る。そして、位相補正された左右の駆動輪の車輪速度信
号の振動特性の変化に基づいて、少なくとも左右の駆動
輪に作用する平均的なブレーキ力が制御される。なお、
ここでいう平均的なブレーキ力とは、ブレーキ力の微小
振動成分を平均化したときのブレーキ力をいう。
【0026】このように本実施態様では、左右の駆動輪
のブレーキ力励振指令の位相差を所定角度とすると共
に、実際にドライブシャフトを介して伝達する車輪速度
の振動成分の位相を、干渉の程度を表す相関を低減させ
るように補正するので、さらに車輪速度の振動特性から
干渉の影響を除去することができ、より正確なアンチロ
ックブレーキ制御が可能となる。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態では、上記共
振周波数の変化を反映する物理量として、以下のような
微小ゲインGd を導入する。
【0028】まず、車輪と車体と路面とからなる振動系
の共振周波数ω∞((2) 式) でブレーキ圧Pb を微小励
振すると、車輪速度ωw も平均的な車輪速度の回りに共
振周波数ω∞で微小振動する。ここで、このときのブレ
ーキ圧Pb の共振周波数ω∞の微小振幅をPv 、車輪速
度の共振周波数ω∞の微小振幅をωwvとした場合、微小
ゲインGd を Gd =ωwv/Pv (4) とする。なお、この微小ゲインGd を、ブレーキ圧Pb
に対する車輪速ωw の比(ωw /Pb )の共振周波数ω
∞の振動成分とみなし、 Gd =((ωw /Pb )|s=jω∞) (5) と表すこともできる。
【0029】この微小ゲインGd は、(5) 式に示すよう
に(ωw /Pb )の共振周波数ω∞の振動成分であるの
で、摩擦状態がピークμ近傍の領域に至ったとき、共振
周波数がω∞’にシフトするため急激に減少する。これ
は、ピークμ近傍で路面μ勾が零近傍に減少することと
対応している。
【0030】以下に、本発明のABS装置の各実施の形
態を図面に基づいて詳細に説明する。 (第1の実施の形態)図1には、本発明の第1の実施の
形態に係るABS装置を、車両に適用した場合の構成ブ
ロック図が示されている。
【0031】図1に示すように、本実施の形態のABS
装置は、右前輪(FR)、左前輪(FL)、右後輪(R
R)、左後輪(RL)の各車輪に作用するブレーキ力を
それぞれ制御するための制御バルブ52a,52b,5
2c,52dと、各車輪の車輪速度信号ωi (iは車輪
番号:i=1,2,3,4 )をそれぞれ出力する車輪速センサ2
0a,20b,20c,20dと、検出された車輪速度
信号ωi から微小ゲインGd1,Gd2,Gd3,Gd4をそれ
ぞれ演算する微小ゲイン演算部22a,22b,22
c,22dと、所定条件の成立により各車輪のブレーキ
圧微小励振信号P v1,Pv2,Pv3,Pv4を出力すると共
に、ブレーキ圧微小励振時に演算された微小ゲインGdi
に基づいて、各制御バルブのブレーキ圧低減指令信号P
r1,Pr2,Pr3,Pr4を演算出力するABS制御部10
と、から構成される。
【0032】このうち各制御バルブ52a,52b,5
2c,52dには、各車輪のブレーキディスク30a,
30b,30c,30dへブレーキ圧を印加するための
ホイールシリンダ56a,56b,56c,56dがブ
レーキ油圧配管を介してそれぞれ接続されている。
【0033】また、図1では、前輪が従動輪、後輪が駆
動輪とされており、このため、駆動輪である左右の後輪
はドライブシャフトを介して互いに連結されている。こ
れに対応して、ABS制御部10から左後輪の制御バル
ブ52dへ至る、左後輪のブレーキ圧励振信号Pv4の信
号線には、該信号の位相を、信号Pv3の位相に対し所定
時間ΔT(所定角度Δθ)ずらすための位相差生成器3
2が介在されている。なお、ABS制御部10から出力
された直後のブレーキ圧微小励振信号Pv3とP v4とが同
位相であるときには、この位相差生成器32を、所定時
間ΔTだけ遅延させる遅延器により実現できる。
【0034】ここで、微小ゲイン演算部22の詳細な構
成を図5を用いて説明する。図5に示すように、微小ゲ
イン演算部22は、平均ブレーキ圧の回りに車体と車輪
と路面とから構成される振動系の共振周波数ω∞((2)
式)でブレーキ圧を微小励振したときの、車輪速度ωi
の共振周波数ω∞での微小振幅(車輪速微小振幅ωwv
を検出する車輪速微小振幅検出部40と、共振周波数ω
∞のブレーキ圧の微小振幅Pv を検出するブレーキ圧微
小振幅検出部42と、検出された車輪速微小振幅ωwv
ブレーキ圧微小振幅Pv で除算することにより微小ゲイ
ンGdを出力する除算器44と、から構成される。
【0035】ここで、車輪速微小振幅検出部40は、共
振周波数ω∞の振動成分を抽出するフィルタ処理を行う
図6のような演算部として実現できる。例えば、この振
動系の共振周波数ω∞が40[Hz]程度であるので、
制御性を考慮して1周期を24[ms]、約41.7
[Hz]に取り、この周波数を中心周波数とする帯域通
過フィルタ75を設ける。このフィルタにより、車輪速
度信号ωi から約41.7[Hz]近傍の周波数成分の
みが抽出される。さらに、このフィルタ出力を全波整流
器76により全波整流、直流平滑化し、この直流平滑化
信号から低域通過フィルタ77によって低域振動成分の
みを通過させることにより、車輪速微小振幅ωwvを出力
する。
【0036】なお、周期の整数倍、例えば1周期の24
[ms]、2周期の48[ms]の時系列データを連続
的に取り込み、41.7[Hz]の単位正弦波、単位余
弦波との相関を求めることによっても車輪速微小振幅検
出部40を実現できる。
【0037】また、制御バルブ52a、52b、52
c、52dによるブレーキ圧の制御は、これらの制御バ
ルブ52回りに構成されたブレーキ部により実現するこ
とができる。ここで、このブレーキ部の詳細な構成を図
7に示す。なお、図7では、1つの制御バルブ52につ
いて示す。
【0038】図7に示すように、ブレーキ部16は、制
御バルブ52以外に、マスタシリンダ48、ホイールシ
リンダ56、リザーバー58及びオイルポンプ60を備
えている。
【0039】このうちブレーキペダル46は、ブレーキ
ペダル46の踏力に応じて増圧するマスタシリンダ48
を介して制御バルブ52の増圧バルブ50へ接続されて
いる。また、制御バルブ52は、減圧バルブ54を介し
て低圧源としてのリザーバー58へ接続されている。さ
らに、制御バルブ52には、該制御バルブによって供給
されたブレーキ圧をブレーキディスクに加えるためのホ
イールシリンダ56が接続されている。この制御バルブ
52は、ドライバの踏力によるブレーキ圧Pdを供給す
ると共に、入力されたバルブ動作指令(Pr +Pv )に
基づいて増圧バルブ50及び減圧バルブ54の開閉を制
御する。
【0040】なお、この制御バルブ52が増圧バルブ5
0のみを開くように制御されると、ホイールシリンダ5
6の油圧(ホイールシリンダ圧)は、ドライバがブレー
キペダル46を踏み込むことによって得られる圧力に比
例したマスタシリンダ48の油圧(マスタシリンダ圧)
まで上昇する。逆に減圧バルブ54のみを開くように制
御されると、ホイールシリンダ圧は、ほぼ大気圧のリザ
ーバ58の圧力(リザーバ圧)まで減少する。また、両
方のバルブを閉じるように制御されると、ホイールシリ
ンダ圧は保持される。
【0041】ホイールシリンダ56によりブレーキディ
スクに加えられるブレーキ力(ホイールシリンダ圧に相
当)は、マスタシリンダ48の高油圧が供給される増圧
時間、リザーバー58の低油圧が供給される減圧時間、
及び供給油圧が保持される保持時間の比率と、圧力セン
サ等により検出されたマスタシリンダ圧及びリザーバー
圧とから求められる。
【0042】従って、制御バルブ52の増減圧時間をマ
スタシリンダ圧に応じて制御することにより、所望のブ
レーキトルクを実現することができる。そして、ブレー
キ圧の微小励振は、平均ブレーキ力を実現する制御バル
ブ52の増減圧制御と同時に共振周波数に対応した周期
で増圧減圧制御を行うことにより可能となる。
【0043】具体的な制御の内容として、図8に示すよ
うに、微小励振の周期(例えば24[ms])の半周期
T/2毎に増圧と減圧のそれぞれのモードを切り替え、
バルブへの増減圧指令は、モード切り替えの瞬間から増
圧時間ti 、減圧時間tr のそれぞれの時間分だけ増圧
・減圧指令を出力し、残りの時間は、保持指令を出力す
る。平均ブレーキ力は、マスタシリンダ圧に応じた増圧
時間ti と減圧時間t r との比によって定まると共に、
共振周波数に対応した半周期T/2毎の増圧・減圧モー
ドの切り替えによって、平均ブレーキ力の回りに微小振
動が印加される。
【0044】なお、ブレーキ圧微小振幅Pv は、マスタ
シリンダ圧、図8に示したバルブの増圧時間ti の長
さ、及び減圧時間tr の長さによって所定の関係で定ま
るので、図5のブレーキ圧微小振幅検出部42は、マス
タシリンダ圧、増圧時間ti 及び減圧時間tr からブレ
ーキ圧微小振幅Pv を出力するテーブルとして構成する
ことができる。
【0045】次に、第1の実施の形態の作用を説明す
る。ABS制御部10が、所定条件の成立により各車輪
のブレーキ圧微小励振信号Pv1,Pv2,Pv3,Pv4を、
制御バルブ52a,52b,52c,52dへ各々出力
する。これにより、各車輪のブレーキ圧が共振周波数ω
∞で微小励振される。なお、この所定条件として、通常
のABS開始条件、例えば、ドライバがブレーキペダル
を踏み込み、かつ車輪減速度が一定値を越えた条件など
が挙げられる。
【0046】ブレーキ圧が微小励振されると、励振され
た第i輪の微小ゲイン演算部22が、第i輪の微小ゲイ
ンGdiを演算する。演算された微小ゲインGdiは、AB
S制御部10へそれぞれ入力される。ここで、既に述べ
たように車輪と路面との間の摩擦状態がピークμに近づ
くにつれ、共振周波数は高周波数側に移行するので、微
小ゲインの値は減少していく。
【0047】そこで、ABS制御部10では、各車輪の
微小ゲインGdiと、予め定められた基準ゲインGs とを
それぞれ比較し、ある車輪の微小ゲインGdiが基準ゲイ
ンG s 以下となったとき、ピークμ直前の状態とみなし
て、当該車輪の制御バルブに対し、直ちに平均ブレーキ
力を低減する指令Pr を出力する。なお、この基準ゲイ
ンGs は、ピークμ直前の状態における微小ゲインの値
として設定されたものである。
【0048】このブレーキ力の低減指令Pr により、図
15に示すように、ドライバの踏力に対応するブレーキ
力Pd から、指令Pr に対応したブレーキ力分が低減さ
れ、Pd より小さい平均ブレーキ力Pm の状態となる。
これにより、ピークμを越えてブレーキ制動されること
によるタイヤロックを防止できる。なお、図15では、
この平均ブレーキ力Pm の回りにも励振指令Pv に対応
した励振成分が重畳されており、この状態においても微
小ゲインに基づく判定が行われる。
【0049】ところで、この励振指令のうち、左後輪の
ブレーキ圧励振信号Pv4の位相は、位相差生成器32に
よって、右後輪のブレーキ圧励振信号Pv3の位相に対し
所定時間ΔT(所定角度Δθ)ずらされてから制御バル
ブ52dへ入力される。ここで、各車輪のブレーキ圧励
振信号の増圧減圧2モード切り替えの信号波形例を図9
(図8の下図に相当)に示す。
【0050】図9に示すように、各車輪のブレーキ圧励
振信号は、微小励振の周期(例えば24[ms])の半
周期T/2毎に増圧と減圧のそれぞれのモードを切り替
え出力されるが、従動輪である右前輪と左前輪の励振信
号は、同位相で各々出力され、駆動輪である右後輪と左
後輪の励振信号は、Δθ(>0)の位相差で各々出力さ
れている。この図9の例では、ブレーキ圧励振信号Pv4
は、ブレーキ圧励振信号Pv3より、T/4時間遅延され
ており、これを角度換算すると位相差Δθ=90度とな
る。
【0051】このように本実施の形態では、左右の駆動
輪のブレーキ圧励振信号の位相差を90度に設定してい
るので、図10の表に示すように、駆動輪でのブレーキ
圧の励振信号と車輪速振動成分との位相差が、干渉の無
い従動輪でのその位相差に近づくことになる。このこと
は、ドライブシャフトで連結された左右の後輪間の干渉
が軽減されたことを意味している。実際、本実施の形態
では、左右の駆動輪間の干渉が軽減されるので、上記の
ようなアンチロックブレーキ動作を誤動作することなく
実行することができる。
【0052】なお、ABS制御部10のABS制御方法
は、任意好適に変更可能である。例えば、次式のΔGを
零に一致又は略一致するように制御バルブ52を制御す
るようにしても良い。
【0053】
【数2】
【0054】上式によれば、ピークμを越えて微小ゲイ
ンGd がGs より小さくなると、ΔGの負値が急激に大
きくなる。すなわち、感度が高くなるため、タイヤロッ
クに陥る可能性を回避しつつ、ピークμを維持する制御
をより高精度に行うことができる。 (第2の実施の形態)第1の実施の形態では、制御バル
ブへのブレーキ圧励振信号の位相差を、所定角度Δθに
設定することにより、左右の駆動輪間の干渉を防止する
ようにしたが、実際にドライブシャフトを伝達して干渉
を引き起こすのは、ブレーキ圧励振ではなく車輪共振系
の振動成分(車輪速度振動成分)である。従って、ブレ
ーキ圧励振信号の位相差と共に左右の駆動輪の車輪速度
振動成分の位相差を、上記所定角度に維持することによ
り、さらに干渉を軽減することができる。これを第2の
実施の形態として以下に説明する。
【0055】図2には、本発明の第2の実施の形態に係
るABS装置の構成ブロック図が示されている。なお、
第1の実施の形態と同様の構成については同一の符号を
付して詳細な説明を省略し、異なる構成のみ説明する。
【0056】図2に示すように、右後輪の車輪速センサ
20c及び左後輪の車輪速センサ20dと、微小ゲイン
演算部22c及び微小ゲイン演算部22dとの間には、
車輪速度信号ω3 、ω4 の位相差を所定角度Δθ(90
度)に補正するための位相補正部33が設けられてい
る。すなわち、第1の実施の形態では、制御バルブへの
ブレーキ圧励振信号の位相差を、90度に設定するのみ
であったが、第2の実施の形態では、ブレーキ圧励振信
号の位相差を90度に設定すると共に、残存した干渉波
による車輪速度振動成分の位相ずれを補正することによ
り、さらに正確に車輪速度振動成分の位相差を90度付
近に制御するものである。
【0057】次に、図2の位相補正部33の詳細な構成
例を、図3(a)のブロック図に示す。なお、図3
(a)(後述する図3(b)でも同様)では、右駆動輪
の車輪速度信号をωr (図2では、ω3 )、左駆動輪の
車輪速度信号をωl (図2では、ω4 )としている。
【0058】図3(a)に示すように、位相補正部33
は、入力された相関係数に基づいて、車輪速度信号
ωr 、ωl から相手車輪の干渉成分を除去した信号
ωr ’、ωl’を演算する位相補正演算器34と、周期
Tの間に演算されたωr ’の時系列データ、及びωl
の時系列データをそれぞれ格納するメモリ36、37
と、このメモリに格納されているωr ’の時系列データ
とωl ’の時系列データとの間の相関係数cosφを演
算(内積演算)する相関演算器35と、から構成されて
いる。また、相関演算器35の出力端には、位相補正演
算器34が接続されており、相関演算器35により演算
された相関係数cosφが位相補正演算器34へ入力さ
れる。
【0059】次に、第2の実施の形態の作用を説明す
る。なお、第1の実施の形態と同様の作用部分は説明を
省略し、異なる作用部分についてのみ説明する。
【0060】ブレーキ圧が微小励振され、左右の駆動輪
の車輪速センサ20c、20dから車輪速度信号ω
r (図2のω3 )、ωl (図2のω4 )がそれぞれ出力
される。このとき、左右の駆動輪の車輪速度信号ωr
ωl は、次式によって表せる。
【0061】 ωr =√2ar sin2πft (6) ωl =√2al sin(2πft+φ) (7) ただし、ar は右駆動輪の車輪速度振幅値、al は左駆
動輪の車輪速度振幅値である。また、fはブレーキ圧微
小励振の共振周波数であり、上記第1の実施の形態での
例の場合、f=41.7[Hz]となる。そして、φは
左右の駆動輪間の車輪速度微小振動の位相差である。
【0062】(6) 、(7) 式の車輪速度信号ωr 、ωl
図2の位相補正部33に入力されると、図3の位相補正
演算器34は、まず、無補正で車輪速度信号ωr 、ωl
をそのまま出力する。出力された車輪速度信号ωr 、ω
l の時系列データは、メモリ36、37に順次、格納さ
れていく。
【0063】周期T分の時系列データが、メモリ36、
37に蓄積されると、相関演算器35は、蓄積された車
輪速度信号ωr 、ωl の周期T分の時系列データに対し
て以下のような相関演算を実行する。
【0064】
【数3】
【0065】なお、(8) 式は、車輪速度信号ωr 、ωl
がアナログデータであるときの演算式であるが、車輪速
度信号ωr 、ωl がデジタルデータであるときは、当
然、(8) 式は、サンプリング周期τ毎のωr 、ωl のデ
ジタルデータに基づいて離散化したものとなる。後者の
デジタルデータを用いる場合、位相補正演算器34への
入力前に、図示しないAD変換器で車輪速センサからの
車輪速度信号をAD変換しておく。
【0066】(8) 式により演算された相関係数cosφ
は、干渉が無ければcosφ=0となり、干渉があれ
ば、この干渉の程度に対応した値をとる。この演算され
た相関係数cosφは、干渉の程度を表す干渉量とし
て、位相補正演算器34へ入力される。
【0067】次に、位相補正演算器34は、相関係数c
osφが入力されると、メモリ36、37に蓄積されて
いた車輪速度信号ωr 、ωl の時系列データを読み出
し、個々の時系列データに対し、次式の演算を順次、実
行し、補正後の車輪速度信号ω r ’、ωl ’の時系列デ
ータを再びメモリ36、37へ各々出力する。
【0068】
【数4】
【0069】ただし、デジタルデータを用いた場合、
(9) 、(10)式の右辺は、サンプリング番号が同一のデー
タ間の演算であるとする。
【0070】(9) 、(10)式に示すように、車輪速度信号
ωr 、ωl から、相関係数cosφの1/2の因子Gを
乗じた相手車輪の車輪速度信号をそれぞれ減算すること
により、相手車輪の振動による干渉の影響を排除した車
輪速度信号ωr ’、ωl ’を得ている。
【0071】このように補正された車輪速度信号
ωr ’、ωl ’の時系列データは、メモリ36、37へ
格納され、周期T分のデータが蓄積されると、再び相関
演算器35が、車輪速度信号ωr ’、ωl ’の時系列デ
ータに対し、(8) 式の相関演算を実行することで相関係
数cosφを求める。
【0072】演算された相関係数cosφが0でない値
であるとき、すなわち、補正後の車輪速度信号ωr ’、
ωl ’に干渉の影響が残存しているときは、ωr ’、ω
l ’の時系列データに対し再び位相補正演算器34によ
る補正演算を実行する。このように相関係数cosφが
0に一致するまで、同様の演算を繰り返し実行すること
で、干渉の影響が完全に排除された車輪速度信号に逐
次、近づけていく。なお、補正後の車輪速度信号は、結
果的に位相角φ=90度(cosφ=0)に近づいてい
くことになる。
【0073】そして、演算された相関係数cosφが0
となったとき、すなわち、補正後の車輪速度信号
ωr ’、ωl ’に干渉の影響が完全に無くなったとき
は、次の位相補正演算器34による補正演算を実行する
ことなく、メモリ36、37に格納されている車輪速度
信号ωr ’、ωl ’の時系列データを微小ゲイン演算部
22c、22dへ各々出力する。勿論、(9) 、(10)式に
よる補正演算を1度も行なわない最初の車輪速度信号ω
r 、ωl の相関係数が0であったときは、この時系列デ
ータを直ちに微小ゲイン演算部へ出力する。なお、位相
補正部33では、新たに位相補正演算器34に入力され
た車輪速度信号ωr 、ωl の時系列データに対し、上記
と同様の演算を実行していく。
【0074】位相補正された車輪速度信号が入力された
微小ゲイン演算部では、干渉の影響の無い(或いは軽減
された)微小ゲインGd を演算することが可能となる。
すなわち、単に制御バルブへのブレーキ圧励振信号の位
相差を90度に設定するのみであった第1の実施の形態
と比較して、第2の実施の形態では、残存する干渉等に
起因する車輪速度振動間の位相差のずれを補正すること
で干渉の影響をさらに軽減できるので、駆動輪のブレー
キ力の制御を、より高精度に実行することができる。
【0075】ここで、位相補正部22による位相補正前
と位相補正後の駆動輪の車輪速度信号の位相角度の違い
を図11の表に示す。なお、図11では、左右の駆動輪
のブレーキ圧励振信号の位相差は90度となっており、
この駆動輪についての位相補正後の位相関係は、図14
により表される。また、比較のため示した従動輪のデー
タは、図10の表のデータと全く同じである。
【0076】図11の表に示すように、位相補正後にお
けるブレーキ圧から車輪速度信号までの位相は、位相補
正前と比較して、従動輪の位相に近くなっている(表の
下線部)。すなわち、駆動においても従動輪と同様なブ
レーキ圧微小励振によるABS制御性能を得ることがで
きる。
【0077】なお、上記例では、相関係数cosφが0
に一致するまで位相補正を行ったが、高速化のため、相
関係数cosφの絶対値が0近傍の一定値以下となった
ときや、(9) 、(10)式の位相補正演算の回数が一定回数
に達したときに、干渉の影響が軽減されたとみなして、
この時点まで補正された車輪速度信号ωr ’、ωl ’の
データを微小ゲイン演算部へ出力するようにしても良
い。
【0078】ここで、位相補正演算の回数を1回に限定
するときは、位相補正部33を図3(b)のように構成
することもできる。図3(b)の構成では、位相補正演
算器34の入力端の前段に、入力された車輪速度信号ω
r 、ωl の時系列データを格納するメモリ38、39を
設ける。そして、相関演算器35が、メモリ38、39
の時系列データから相関係数cosφを演算すると、位
相補正演算器34は、メモリ38、39のデータに対
し、(9) 、(10)式の位相補正演算を実行し、補正された
車輪速度信号ωr ’、ωl ’の時系列データを、直ちに
微小ゲイン演算部へ出力する。
【0079】以上が本発明の各実施の形態であるが、本
発明は、上記例にのみ限定されるものではなく、本発明
の要旨を逸脱しない範囲内において任意好適に変更可能
である。
【0080】例えば、上記各実施の形態では、前輪が従
動輪、後輪が駆動輪の車両を例にしたが、前輪が駆動
輪、後輪が従動輪の車両や4輪駆動車にも本発明を適用
できる。この場合、図1、図2の位相差生成器32や図
2の位相補正部33を、駆動輪側に対応付けて配置する
(4輪駆動車の場合は、前輪、後輪側とも配置する)。
【0081】また、実施の形態では、微小ゲインGd
s に一致するようにブレーキ力を制御するABS装置
を例にしたが、本発明は、これに限定されるものではな
く、ブレーキ圧を微小励振したときの車輪共振系の共振
特性の変化に基づいてブレーキ力を制御するすべてのA
BS装置に適用可能である。このようなABS装置とし
て、例えば、特願平7−220920号の明細書に記載
のように、共振周波数を検出し、この共振周波数が基準
値以上の周波数に変化したとき、ピークμ直前の状態と
みなしてブレーキ力を制御する装置や、ブレーキ圧微小
振幅が一定となるように制御し、微小ゲインGd の代わ
りに車輪速度微小振幅値を用いる装置などが挙げられ
る。
【0082】また、ブレーキ圧の微小励振手段を、実施
の形態では、制御バルブへの増圧減圧時間の調整により
実現したが、本発明は、これに限定されるものではな
く、励振指令に応じて伸縮する圧電アクチュエータによ
りブレーキディスクに直接ブレーキ圧を加える手段を用
いることもできる。また、制動力・駆動力を電気的に制
御できる電気自動車の場合、電気的な制御により車輪速
度に微小励振を印加することも可能である。
【0083】さらに、実施の形態では、ブレーキ圧の励
振信号の位相差Δθを90度としたが、本発明は、この
角度に限定されるものではなく、車輪共振系の特性に応
じて任意好適に変更可能である。
【0084】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
左右の駆動輪のブレーキ力励振指令の位相差を、励振に
よる左右の駆動輪間の干渉が低減するように所定角度と
したので、車輪速度の振動特性において干渉の影響が低
減され、駆動輪においても従動輪とほぼ同様に正確なア
ンチロックブレーキ制御が可能となる、という優れた効
果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るアンチロック
ブレーキ制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係るアンチロック
ブレーキ制御装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る位相補正部の
詳細な構成を示すブロック図であって、(a)は位相補
正演算を1又は複数回実行することで車輪速度信号の相
関係数を逐次0に近づける場合の構成、(b)は位相補
正演算を1回に限定して行う場合の構成を示す。
【図4】車輪と車体と路面とから構成される振動系の等
価モデルを示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る微小ゲイン演算部の
構成を示すブロック図である。
【図6】上記微小ゲイン演算部の車輪速微小振幅検出部
の構成を示すブロック図である。
【図7】ブレーキ部のハードウェア構成を示すブロック
図である。
【図8】ブレーキ圧の微小励振と平均ブレーキ力の制御
を同時に行う場合の制御バルブへの指令を示す図であ
る。
【図9】車輪毎のブレーキ圧励振信号の位相関係を示す
図である。
【図10】各車輪のブレーキ圧励振信号から車輪速度振
動までの位相を、従動輪及び駆動輪に分けて各路面毎に
示した表である。
【図11】各車輪のブレーキ圧励振信号から車輪速度振
動までの位相を、駆動輪での位相補正前と位相補正後の
各々の場合について路面毎に示した表である。
【図12】左右の従動輪の位相関係を示すベクトル図で
ある。
【図13】左右の駆動輪の位相関係を示すベクトル図で
ある。
【図14】位相補正後の左右の駆動輪の位相関係を示す
ベクトル図である。
【図15】車輪に加えるブレーキ力の概形を示す線図で
ある。
【図16】タイヤと路面との間の摩擦係数μのスリップ
率Sに対する特性を示す線図である。
【符号の説明】
10 ABS制御部 20 車輪速センサ 22 微小ゲイン演算部 32 位相差生成器 33 位相補正部 34 位相補正演算器 35 相関演算器 40 車輪速微小振幅検出部 42 ブレーキ圧微小振幅検出部 52 制御バルブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小野 英一 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 山口 裕之 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 菅井 賢 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブレーキ力を微小励振する微小励振手段
    を有し、該微小励振手段でブレーキ力を微小励振したと
    きの車輪速度信号の振動特性の変化に基づいて、平均的
    なブレーキ力を制御するアンチロックブレーキ制御装置
    であって、 前記微小励振手段は、 左右の駆動輪のブレーキ力励振指令の位相差を、励振に
    よる左右の駆動輪間の干渉が低減するように所定角度と
    したことを特徴とするアンチロックブレーキ制御装置。
JP19290197A 1997-07-17 1997-07-17 アンチロックブレーキ制御装置 Pending JPH1134842A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100826806B1 (ko) * 2004-05-03 2008-05-02 주식회사 만도 차량 제어 방법
JP2014031127A (ja) * 2012-08-03 2014-02-20 Hitachi Automotive Systems Ltd ブレーキ制御装置
KR101725688B1 (ko) * 2015-12-11 2017-04-11 현대오트론 주식회사 차량의 휠 속도센서 입력신호 처리장치 및 그 처리방법

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100826806B1 (ko) * 2004-05-03 2008-05-02 주식회사 만도 차량 제어 방법
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KR101725688B1 (ko) * 2015-12-11 2017-04-11 현대오트론 주식회사 차량의 휠 속도센서 입력신호 처리장치 및 그 처리방법

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