JPH11345588A - 光電子増倍管及び放射線検出装置 - Google Patents

光電子増倍管及び放射線検出装置

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JPH11345588A
JPH11345588A JP15160398A JP15160398A JPH11345588A JP H11345588 A JPH11345588 A JP H11345588A JP 15160398 A JP15160398 A JP 15160398A JP 15160398 A JP15160398 A JP 15160398A JP H11345588 A JPH11345588 A JP H11345588A
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浩之 久嶋
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Hideki Shimoi
英樹 下井
Tomoyuki Okada
知幸 岡田
Masuyasu Ito
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、より一層の小型化を可能にした光
電子増倍管を提供することを目的とする。 【解決手段】 本発明による光電子増倍管1は、側管2
の下端2aの内壁面2cをステム板4の縁面4bに当接
させた状態で、側管2とステム板4とを溶接固定する結
果、光電子増倍管1の下端で、フランジのような張り出
しを無くしている。従って、抵抗溶接は行い難いけれど
も、光電子増倍管1の外形寸法の縮小化を可能にし、光
電子増倍管1を並べて利用する場合でも、側管2同士を
密接させることができる。よって、金属製のステム板4
と金属製の側管2とが溶接によって組み付けられた場合
の光電子増倍管1の高密度配列を可能にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、受光面板に入射し
た微弱な光を電子の増倍によって検出させる構成をもっ
た光電子増倍管に関するものであり、更に、本発明は、
このような光電子増倍管を利用した放射線検出装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の光電子増倍管としては、特開平5
−290793号公報や特開平9−306416号公報
などがある。これら公報に記載された光電子増倍管は、
角筒形の金属製側管を有し、この側管の下端には、側方
に張り出したフランジ部が設けられ、ステム板にも側方
に張り出したフランジ部が設けられている。そして、密
封容器を形成するにあたって、側管のフランジ部とステ
ム板のフランジ部とを重ね合わせることで、簡単で確実
な抵抗溶接を実現している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
光電子増倍管は、上述したように構成されているため、
次のような課題が存在していた。
【0004】すなわち、抵抗溶接とは、接合させる部材
に通電し、発生する抵抗熱を利用して部材を加熱し、部
材が適温に達したときに圧力を加えて溶接する方法であ
るが、抵抗溶接を利用して密封容器を構成する場合に
は、側管及びステム板にそれぞれフランジ部を形成する
必要がある。このようなフランジ部は、溶接作業上にお
いては有益な部材であるが、側管からの出っ張りとなっ
て、光電子増倍管の小型化を図る上で支障になってい
た。特に、ガンマカメラ等に光電子増倍管を利用する場
合、多数の光電子増倍管を密に並べて大きな受光領域を
形成する必要があり、フランジ部同士を隣接させる結
果、フランジ部のある部分がデットスペースになってし
まい、高性能な検出装置を追求する上で問題となってい
た。
【0005】本発明は、上述の課題を解決するためにな
されたもので、特に、より一層の小型化を可能にした光
電子増倍管を提供することを目的とする。さらに、性能
の更なる向上が図られる放射線検出装置を提供すること
を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る本発明の
光電子増倍管は、受光面板に入射した光によって電子を
放出する光電面を有し、光電面から放出した電子を増倍
させる電子増倍部を密封容器内に有し、電子増倍部で増
倍させた電子に基づいて出力信号を送出するアノードを
もった光電子増倍管において、密封容器は、電子増倍部
及びアノードをステムピンを介して固定させる金属製の
ステム板と、電子増倍部及びアノードを包囲すると共
に、一側の開口端にステム板を固定する金属製の側管
と、側管の他側の開口端に固定する受光面板とにより形
成され、側管の下端の内壁面をステム板の縁面に当接さ
せて、側管とステム板とを溶接したことを特徴とする。
【0007】この光電子増倍管においては、側管の下端
の内壁面をステム板の縁面に当接させた状態で、側管と
ステム板とを溶接固定させる結果、光電子増倍管の下端
で、フランジのような張り出しを無くしている。従っ
て、抵抗溶接は行い難いけれども、光電子増倍管の外形
寸法の縮小化を可能にし、光電子増倍管を並べて利用す
る場合でも、側管同士を密接させることができる。よっ
て、金属製のステム板と金属製の側管とが溶接によって
組み付けられた場合の光電子増倍管の高密度配列を可能
にする。
【0008】請求項2記載の光電子増倍管において、側
管の下端は、ステム板の縁面を摺動させる遊端として形
成すると好ましい。このような場合、ステム板を側管の
開口端から挿入し、側管の下端の内壁面にステム板の縁
面を当接させた状態で、ステム板を位置決め調整のため
に摺動させることができる。その結果、ステム板に固定
した電子増倍部と受光面板との間隔を、溶接前に簡単に
調整することができる。
【0009】請求項3記載の光電子増倍管において、側
管とステム板とを融接させると好ましい。溶接手段のう
ちの融接法を採用して、ステム板と側管とを接合させる
場合、抵抗溶接と異なり、側管とステム板との接合部分
に圧力を加える必要がないので、接合部分に残留応力が
発生することがなく、使用中において接合箇所に亀裂が
発生し難く、耐久性の著しい向上が図られる。
【0010】請求項4記載の光電子増倍管において、融
接は、レーザ溶接又は電子ビーム溶接であると好まし
い。このようなレーザ溶接又は電子ビーム溶接は、接合
部分での熱の発生を小さくすることが可能となる。その
結果、ステムピンを側管に近づけた場合でも、ステムピ
ンをステム板に固定させるためのガラス製のタブレット
に、熱の影響によるクラックが発生し難くなる。よっ
て、ステムピンを側管側に寄せることができ、電子増倍
部の側方への拡張を可能にし、電子増倍部の電子受け入
れ面積を大きく取ることができる。
【0011】請求項5に係る本発明の放射線検出装置
は、被検体から発生する放射線の入射によって蛍光を発
するシンチレータと、シンチレータに受光面板を対面さ
せるように配列させ、シンチレータからの蛍光に基づく
電荷を出力させる複数の光電子増倍管と、光電子増倍管
からの出力を演算処理し、被検体内で発する放射線の位
置情報信号を出力する位置演算部とを備えた放射線検出
装置において、光電子増倍管は、受光面板に入射した光
によって電子を放出する光電面を有し、光電面から放出
した電子を増倍させる電子増倍部を密封容器内に有し、
電子増倍部で増倍させた電子に基づいて出力信号を送出
するアノードを有し、密封容器は、電子増倍部及びアノ
ードをステムピンを介して固定させる金属製のステム板
と、電子増倍部及びアノードを包囲すると共に、一側の
開口端にステム板を固定する金属製の側管と、側管の他
側の開口端に固定する受光面板とにより形成され、側管
の下端の内壁面をステム板の縁面に当接させて、側管と
ステム板とを溶接したことを特徴とする。
【0012】この放射線検出装置に利用される光電子増
倍管においては、側管の下端の内壁面をステム板の縁面
に当接させた状態で、側管とステム板とを溶接固定する
結果、光電子増倍管の下端で、フランジのような張り出
しを無くしている。従って、抵抗溶接は行い難いけれど
も、光電子増倍管の外形寸法の縮小化を可能にし、光電
子増倍管を並べて利用する場合でも、側管同士を密接さ
せることができる。よって、シンチレータに受光面板を
対面させるように光電子増倍管を配列させる場合に、光
電子増倍管の高密度配列を可能にする。その結果、不感
部分を形成するデッドスペースの極めて少ない受光領域
が容易に確保され、放射線検出装置の更なる性能アップ
に寄与することになる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面と共に本発明による光
電子増倍管及び放射線検出装置の好適な実施形態につい
て詳細に説明する。
【0014】図1は、本発明に係る光電子増倍管を示す
斜視図であり、図2は、図1の断面図である。これら図
面に示す光電子増倍管1は、略角筒形状の金属製(例え
ば、コバール金属製やステンレス製)の側管2を有し、
この側管2の一側の開口端2Aにはガラス製の受光面板
3が融着固定され、この受光面板3の内表面には、光を
電子に変換する光電面3aが形成され、この光電面3a
は、受光面板2に予め蒸着させておいたアンチモンにア
ルカリ金属蒸気を反応させることで形成される。また、
側管2の開口端2Bには、金属製(例えば、コバール金
属製やステンレス製)のステム板4が溶接固定されてい
る。このように、側管2と受光面板3とステム4とによ
って密封容器5が構成される。
【0015】また、ステム4の中央には金属製の排気管
6が固定されている。この排気管6は、光電子増倍管1
の組立て作業終了後、密封容器5の内部を真空ポンプ
(図示せず)によって排気して真空状態にするのに利用
されると共に、光電面3aの形成時にアルカリ金属蒸気
を密封容器5内に導入させる管としても利用される。
【0016】そして、この密封容器5内には、ブロック
状で積層タイプの電子増倍器7が設けられ、この電子増
倍器7は、10枚(10段)の板状のダイノード8を積
層させた電子増倍部9を有し、電子増倍器7は、ステム
板4を貫通するように設けられたコバール金属製のステ
ムピン10によって密封容器5内で支持され、各ステム
ピン10の先端は各ダイノード8と電気的に接続されて
いる。また、ステム板4には、各ステムピン10を貫通
させるためのピン孔4aが設けられ、各ピン孔4aに
は、コバールガラス製のハーメチックシールとして利用
されるタブレット11が充填され、各ステムピン10
は、タブレット11を介してステム板4に固定される。
なお、ステムピン10は、ステム板4の縁面4bに近接
して環状に配列する。
【0017】更に、電子増倍器7には、電子増倍部9の
下方に位置する絶縁基板(図示せず)が設けられ、この
絶縁基板上にアノード12を並設させている。また、電
子増倍器7の最上段において、光電面3aと電子増倍部
9との間には平板状の収束電極板13が配置され、この
収束電極板13には、スリット状の開口部13aが複数
本形成され、各開口部13aは一方向にリニアな配列を
なす。同様に、電子増倍部9の各ダイノード8には、開
口部13aと同数のスリット状電子増倍孔8aが複数本
形成され、各電子増倍孔8aを一方向にリニアに配列さ
せている。
【0018】そして、各ダイノード8の各電子増倍孔8
aを段方向にそれぞれ配列してなる各電子増倍経路L
と、収束電極板13の各開口部13aとを一対一で対応
させることによって、電子増倍器7には、複数のリニア
なチャンネルが形成されることになる。また、電子増倍
器7に設けられた各アノード12は各チャンネル毎に一
対一で対応するように設けられ、各アノード12を各ス
テムピン10にそれぞれ接続させることで、各ステムピ
ン10を介して外部に個別的な出力を取り出している。
【0019】このように、電子増倍器7は、リニア型チ
ャンネルを有している。そして、図示しないブリーダ回
路に接続した所定のステムピン10によって、電子増倍
部9及びアノード12には所定の電圧が供給され、光電
面3aと収束電極板13とは、同じ電位に設定され、各
ダイノード8とアノード12は、上段から順に高電位の
設定がなされている。従って、受光面板2に入射した光
は、光電面3aで電子に変換され、その電子が、収束電
極板13の電子レンズ効果により、所定のチャンネル内
に入射することになる。そして、電子の入射したチャン
ネルにおいて、電子は、ダイノード8の電子増倍経路L
を通りながら、各ダイノード8で多段増倍されて、アノ
ード12に入射し、所定のチャンネル毎に個別的な出力
が各アノード12から送出されることになる。
【0020】ここで、図3に示すように、金属製のステ
ム板4と金属製の側管2とを気密溶接させるにあたっ
て、ステム板4を側管2の開口端2Bから挿入し、側管
2の下端2aの内壁面2cをステム板4の縁面4bに当
接させ、ステム板4の下面4cと側管2の下端面2dと
を面一にし、ステム板4から側管2の下端面2dが突き
出ないようにする。よって、側管2の下端2aの外壁面
2bを略管軸方向に延在させると同時に、電子増倍管1
の下端でフランジのような張り出しを無くしている。こ
の状態で、接合部分Fに対し、外側の真下からレーザビ
ームを照射し、接合部分Fをレーザ溶接する。このよう
に、光電子増倍管1の下端で、フランジのような張り出
しを無くす結果、抵抗溶接は行い難いけれども、光電子
増倍管1の外形寸法の縮小化を可能にし、光電子増倍管
1を並べて利用する場合でも、デッドスペースを可能な
限り排除することができ、側管2同士を密接させること
ができる。よって、金属製のステム板4と金属製の側管
2との接合にレーザ溶接を採用することは、光電子増倍
管1の小型化及びその高密度配列化を可能にする。
【0021】このようなレーザ溶接は融接法の一例であ
り、この融接法を利用し、側管2をステム板4に溶接固
定する場合、抵抗溶接と異なり、側管2とステム板4と
の接合部分Fに圧力を加える必要がないので、接合部分
Fに残留応力が発生することがなく、使用中においても
接合箇所に亀裂が発生し難く、耐久性及び気密シール性
の著しい向上が図られる。なお、融接法のうちでも、レ
ーザ溶接や電子ビーム溶接は、抵抗溶接に比して、接合
部分Fでの熱の発生を小さく抑えることができる。従っ
て、光電子増倍管1の組立てにあたって、密封容器5内
に配置させた各構成部品に対する熱への影響が極めて少
なくなる。
【0022】次に、本発明の光電子増倍管の他の実施形
態について、図4及び図5に基づき説明するが、前述し
た実施形態と同一又は同等な構成部分には同一の符号を
付し、その説明は省略する。
【0023】図4及び図5に示すように、光電子増倍管
1Aにおいて、側管2の下端2aは管軸方向に延在する
遊端として形成されている。従って、ステム板20を側
管2の開口端2Bから挿入し、側管2の下端2aの内壁
面2cにステム板20の縁面20bを当接させた状態
で、ステム板20を内方に摺動させることができる。そ
の結果、ステム板20の底面20cを側管2内に押し込
みながら、ステム板20に固定した電子増倍部9の最上
段のダイノード8と、受光面板3に設けられた光電面3
aとの間隔を、必要に応じて、溶接前に簡単に調整する
ことが可能になる。なお、図4に示した光電子増倍管1
Aの側管2は管軸方向に延在するが、ステム板20の押
し込みを考慮した場合、開口端2Aに対して開口端2B
を広げた形状であってもよい。
【0024】また、接合部分Fで融接する際にレーザ溶
接又は電子ビーム溶接を利用すると、接合部分Fでの熱
の発生を小さくすることができる。その結果、図5に示
すように、ステムピン10を側管2に近づけることがで
きる。これは、ステムピン10をステム板20に固定さ
せるガラス製のタブレット11に対して、熱の影響によ
るクラックが発生しにくくなるからである。よって、ス
テムピン10を側管2側に寄せることができ、電子増倍
部9の各ダイノード8を側方へ拡張することが可能とな
り、電子増倍部9のチャンネル数を増やし、電子増倍部
9の有効エリアを大きくすることができる。電子増倍部
9の有効面積が大きくなることで、光電面3aから放出
される光電子が大きな角度をもつことなく収束電極板1
3に向かうため、電子増倍部9を光電面3aに近づける
ことができ、密封容器5Aの高さ寸法を小さくできる。
これらのことにより、小型でかつ有効利用面積が大きな
光電子増倍管となる。
【0025】例えば、従来の抵抗溶接では、ステム板2
0の端からステムピン10の中心までの距離を、3.5
mm程度確保しなければならなかったが、レーザ溶接又
は電子ビーム溶接を利用すると、1.1mmでよいこと
が確かめられている。そして、電子増倍部9の横への拡
張に伴って、図1の光電子増倍管1では光電面3aから
収束電極板13までの距離が7mmであったものが、図
4の実施形態では2.5mmにまで縮めることができ
た。これらビーム溶接を採用すると、光電子増倍管から
フランジを無くすと同時に、高さ寸法の短縮をも可能に
する。その結果、光電子増倍管は小型化に向けて大きく
前進することになる。
【0026】なお、多数の光電子増倍管を密に配列させ
る場合、光電子増倍管の外形寸法が小さくなればなる
程、フランジの有る無しが、その配列状態に大きな影響
を与えることになる。例えば、側管2が25mm角の外
形寸法を有している場合に、抵抗溶接に利用するフラン
ジが2mmの幅をもって全周に亙って突出すると、側管
2の寸法に対するフランジの占める割合が2割近くにも
達し、このような光電子増倍管を密に多数並べた場合、
かなりの割合でデッドスペースを発生させてしまうこと
は想像に難くない。
【0027】図6に示すように、更に他の光電子増倍管
1Bは、側管30の下端30aの内壁面30cには、ス
テム板4の外周端を外方から挿入し得る断面L字状の嵌
め込み用切込み部30dが形成され、この切込み部30
dは、ステム板4の外周形状に合致させるように、側管
30の内壁面30cで矩形の環状をもって全周に形成さ
れている。このような嵌め込み構造を採用する結果、接
合部分Fを溶接する前に、ステム板4上で側管30を安
定して着座させることができ、ステム板4上で側管30
を容易に位置決めすることができる。しかも、切込み部
30dの切込み量を調整することで、ステム板4に固定
した電子増倍部9の最上段のダイノード8と、受光面板
3に設けられた光電面3aとの間隔設定が容易になる。
【0028】接合部分Fに対しては、レーザビームを照
射し、接合部分Fをレーザ溶接する。また、電子ビーム
を照射する場合もある。いずれにしても、融接時におい
て、ビームが真空容器5A内に入射することがなく、内
部の部品に与える熱への影響が回避される。これは、切
込み部30dによってビームの侵入が遮られるからであ
る。
【0029】図7に示すように、更に他の光電子増倍管
1Cは、側管35の下端35aの内壁面35cには、ス
テム板38の外周端を外方から挿入し得る嵌め合わせ用
テーパ面35dが形成され、このテーパ面35dは、ス
テム板38のテーパ状の縁面38bに合致させるよう
に、側管35の内壁面35cで矩形の環状をもって全周
に形成されている。このような嵌め合わせ構造を採用す
る結果、接合部分Fを溶接する前に、ステム板38上で
側管35を安定して着座させることができ、ステム板3
8上で側管35を容易に位置決めすることができる。
【0030】次に、前述した光電子増倍管1を密に整列
させた状態で利用した放射線検出装置の一実施形態につ
いて説明する。
【0031】図8に示すように、放射線検出装置の一例
であるガンマカメラ40は、核医学における診断装置と
して開発されたものである。このガンマカメラ40は、
支持フレーム39から延びるアーム42によって保持さ
れた検出部43を有し、この検出器43は、被検体であ
る患者Pを寝かせるためのベッド41の真上に配置させ
るものである。
【0032】この検出器43の筺体44内には、図9に
示すように、その最下段に位置するコリメータ45が収
容され、このコリメータ45が患部に対面することにな
る。また、筺体44内において、コリメータ45上には
シンチレータ46が配置され、このシンチレータ46
は、ライトガイド47を介して光電子増倍管群Aに固定
されている。この光電子増倍管群Aは、多数の光電子増
倍管1を並べたものであり、各光電子増倍管1の受光面
板3は、シンチレータ46から発せられる蛍光をライト
ガイド47を介して入射させるために、下側に向けられ
てシンチレータ46に対面させている。
【0033】例えば、平板状のシンチレータ46を利用
する場合、光電子増倍管群Aは、図1に示した光電子増
倍管1の側管2同士を密着させるようにマトリックス状
に高密度に配列させたものとなる(図10参照)。そし
て、光電子増倍管群Aは、ソケット体48に各光電子増
倍管1のステムピン10を差し込み固定することにより
マトリックス配列を達成する。また、筺体44内には、
各光電子増倍管1の各ステムピン10からの出力電荷に
基づいて、演算処理を行う位置演算部49が設けられ、
この位置演算部49からは、ディスプレイ(図示せず)
上での3次元モニターを達成するためのX信号、Y信号
及びZ信号が出力される。このように、患者Pの患部か
ら発生するガンマー線は、シンチレータ47によって所
定の蛍光に変換され、この蛍光エネルギを各光電子増倍
管1で電荷に変換し、位置演算部49によって位置情報
信号として外部に出力することで、放射線のエネルギ分
布のモニター化を可能にし、画面での診断に利用され
る。
【0034】放射線検出装置の一例としてガンマカメラ
40について簡単に説明したが、核医学診断に利用され
る放射線検出装置としてはポジトロンCT(通称PE
T)があり、この装置にも本発明に係る多数の光電子増
倍管1を利用できることは言うまでもない。
【0035】
【発明の効果】本発明による光電子増倍管及び放射線検
出装置は、以上のように構成されているため、次のよう
な効果を得る。
【0036】すなわち、本発明に係る光電子増倍管にお
いて、密封容器は、電子増倍部及びアノードをステムピ
ンを介して固定させる金属製のステム板と、電子増倍部
及びアノードを包囲すると共に、一側の開口端にステム
板を固定する金属製の側管と、側管の他側の開口端に固
定する受光面板とにより形成され、側管の下端の内壁面
をステム板の縁面に当接させて、側管とステム板とを溶
接したことにより、更なる小型化を可能にする。
【0037】また、本発明に係る放射線検出装置は、前
述した光電子増倍管の構成を利用するものであり、性能
の更なる向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光電子増倍管の第1の実施形態を
示す斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】図2の要部拡大断面図である。
【図4】本発明に係る光電子増倍管の第2の実施形態を
示す断面図である。
【図5】図4の要部拡大断面図である。
【図6】本発明に係る光電子増倍管の第3の実施形態を
示す要部拡大断面図である。
【図7】本発明に係る光電子増倍管の第4の実施形態を
示す要部拡大断面図である。
【図8】本発明に係る放射線検出装置の一実施形態を示
す斜視図である。
【図9】放射線検出装置に利用される検出部の内部構造
を示す側面図である。
【図10】図1の光電子増倍管をマトリックス状に配列
した状態を示す平面図である。
【符号の説明】
1,1A,1B,1C…光電子増倍管、2,30,35
…側管、2A,2B…開口端、2a,30a,35a…
側管の下端、2c,30c,35c…内壁面、3…受光
面板、3a…光電面、4,20,38…ステム板、4
b,20b,38b…ステム板の縁面、5,5A…密封
容器、9…電子増倍部、10…ステムピン、12…アノ
ード、40…ガンマカメラ(放射線検出装置)、46…
シンチレータ、49…位置演算部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡田 知幸 静岡県浜松市市野町1126番地の1 浜松ホ トニクス株式会社内 (72)発明者 伊藤 益保 静岡県浜松市市野町1126番地の1 浜松ホ トニクス株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 受光面板に入射した光によって電子を放
    出する光電面を有し、前記光電面から放出した電子を増
    倍させる電子増倍部を密封容器内に有し、前記電子増倍
    部で増倍させた電子に基づいて出力信号を送出するアノ
    ードをもった光電子増倍管において、 前記密封容器は、 前記電子増倍部及び前記アノードをステムピンを介して
    固定させる金属製のステム板と、 前記電子増倍部及び前記アノードを包囲すると共に、一
    側の開口端に前記ステム板を固定する金属製の側管と、 前記側管の他側の開口端に固定する前記受光面板とによ
    り形成され、 前記側管の下端の内壁面を前記ステム板の縁面に当接さ
    せて、前記側管と前記ステム板とを溶接したことを特徴
    とする光電子増倍管。
  2. 【請求項2】 前記側管の前記下端は、前記ステム板の
    前記縁面を摺動させる遊端として形成したことを特徴と
    する請求項1記載の光電子増倍管。
  3. 【請求項3】 前記側管と前記ステム板とを融接させた
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の光電子増倍管。
  4. 【請求項4】 前記融接は、レーザ溶接又は電子ビーム
    溶接であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一
    項記載の光電子増倍管。
  5. 【請求項5】 被検体から発生する放射線の入射によっ
    て蛍光を発するシンチレータと、前記シンチレータに受
    光面板を対面させるように配列させ、前記シンチレータ
    からの蛍光に基づく電荷を出力させる複数の光電子増倍
    管と、前記光電子増倍管からの出力を演算処理し、前記
    被検体内で発する放射線の位置情報信号を出力する位置
    演算部とを備えた放射線検出装置において、 前記光電子増倍管は、 前記受光面板に入射した光によって電子を放出する光電
    面を有し、前記光電面から放出した電子を増倍させる電
    子増倍部を密封容器内に有し、前記電子増倍部で増倍さ
    せた電子に基づいて出力信号を送出するアノードを有
    し、 前記密封容器は、 前記電子増倍部及び前記アノードをステムピンを介して
    固定させる金属製のステム板と、 前記電子増倍部及び前記アノードを包囲すると共に、一
    側の開口端に前記ステム板を固定する金属製の側管と、 前記側管の他側の開口端に固定する前記受光面板とによ
    り形成され、 前記側管の下端の内壁面を前記ステム板の縁面に当接さ
    せて、前記側管と前記ステム板とを溶接したことを特徴
    とする放射線検出装置。
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