JPH11344445A - 古紙由来のパルプ繊維の判定方法、古紙配合率測定方法および装置 - Google Patents

古紙由来のパルプ繊維の判定方法、古紙配合率測定方法および装置

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JPH11344445A
JPH11344445A JP14931798A JP14931798A JPH11344445A JP H11344445 A JPH11344445 A JP H11344445A JP 14931798 A JP14931798 A JP 14931798A JP 14931798 A JP14931798 A JP 14931798A JP H11344445 A JPH11344445 A JP H11344445A
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Takao Osada
高穂 長田
Keiko Ichihara
恵子 市原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】紙を構成するパルプ繊維が古紙由来の繊維であ
るか否かを判定する古紙由来のパルプ繊維の判定方法と
古紙パルプを含む紙の古紙配合率を測定する方法および
装置を提供することを目的とする。 【解決手段】紙のパルプ繊維の蛍光量および塩酸フロロ
グルシン染色の呈色反応の呈色量を測定し、蛍光量が一
定強度以上である繊維を古紙由来のパルプ繊維と判定
し、該呈色反応が有るが呈色量が一定強度以下の繊維を
古紙由来の機械パルプ繊維と判定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、紙を構成するパル
プ繊維が古紙由来の繊維であるか否かを判定する古紙由
来のパルプ繊維の判定方法に関し、更には、その判定方
法を利用した古紙配合率測定方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の環境問題の高まりに伴い、紙製品
の分野でも森林資源保護、都市ゴミ問題の軽減および地
球温暖化対策などの環境保護の観点から、古紙リサイク
ルの促進が行われている。紙製品への古紙配合率は紙品
種によって異なる品質要求によって異なり、古紙配合率
100%品から数%品までさまざまである。古紙配合率
は場合により紙製品に表示される。この古紙配合率の値
は、製紙工程における古紙パルプ投入量から算出したも
のである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】以上説明したように、
古紙配合率は実際の紙製品から測定したものではないた
め、実際に正しい値であるかの保証がないという問題が
ある。しかしながら、紙製品からの古紙配合率を測定す
る方法は公定法はもちろんのこと、文献報告もまったく
ない。従って、古紙配合率の測定法の開発が望まれてい
る。本発明は、さまざまな種類の古紙からさまざまな古
紙処理をおこなって製造した古紙パルプを含む紙の古紙
配合率を測定する方法および装置を提供することを目的
とし、その前段階として紙を構成するパルプ繊維が古紙
由来の繊維であるか否かを判定する古紙由来のパルプ繊
維の判定方法を提供することをも目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明に係る古紙由来の
パルプ繊維の判定方法は、紙のパルプ繊維の蛍光量およ
び塩酸フロログルシン染色の呈色反応の呈色量を測定
し、蛍光量が一定強度以上である繊維を古紙由来のパル
プ繊維と判定し、該呈色反応が有るが呈色量が一定強度
以下の繊維を古紙由来の機械パルプ繊維と判定する。
【0005】本発明に係る古紙配合率測定方法は次の
(1)〜(4)の工程を含む。 (1)紙のパルプ繊維試料の蛍光量を測定する工程、
(2)前記紙のパルプ繊維試料に塩酸フロログルシン染
色を行い呈色量を測定する工程、(3)前記紙のパルプ
繊維試料のパルプ種類を同定するパルプ繊維同定工程、
(4)種類が同定された各々のパルプ繊維について前記
蛍光量および呈色量から請求項1記載の古紙由来のパル
プ繊維の判定方法に従って古紙由来のパルプ繊維である
か否かの判定結果を得て、古紙由来のパルプ繊維量を算
出して古紙配合率を算出する工程、本発明に係る古紙配
合率測定方法では(3)の紙のパルプ繊維試料のパルプ
種類を同定するパルプ繊維同定工程をJIS P812
0またはTAPPI標準試験法T401に従って行うこ
とが好ましい。
【0006】本発明に係る古紙配合率測定方法では前記
(1)の工程の前に紙試料から紙のパルプ繊維試料を作
製する工程を更に含むことが良い。本発明に係る古紙配
合率測定装置は、試料からの光量を測定する光量測定手
段と、塩酸フロログルシン染料とC染料の2種の染色用
染料から一つを選択して試料に染料を接触させる染料接
触手段と、前記光量測定手段により測定された紙のパル
プ繊維試料の蛍光量データおよび塩酸フロログルシン染
料接触後の同紙のパルプ繊維試料の染色量データを記憶
する記憶手段と、C染料染色後の紙のパルプ繊維試料の
パルプ種類の同定結果を入力するパルプ繊維同定結果入
力手段と、前記パルプ繊維同定結果から得られる各々の
種類のパルプ繊維について前記蛍光量データおよび呈色
量データから蛍光量が一定強度以上である繊維を古紙由
来のパルプ繊維と判定し、該呈色反応が有るが呈色量が
一定強度以下の繊維を古紙由来の機械パルプ繊維と判定
して各々の種類のパルプ繊維の古紙由来のパルプ繊維量
を算出して古紙配合率を演算する演算手段と、を有す
る。
【0007】
【発明の実施の形態】古紙とは日本工業規格(JIS)で
は「使用済みの紙および板紙の断裁くずなどの総称」と
定義されている。古紙はその原料の違いから4種類(新
聞古紙、上質系古紙、雑誌古紙、ダンボール古紙)に大
別して、一般家庭や印刷会社から回収業者を経て製紙会
社に回収される。古紙から、ごみおよび印刷インキなど
の除去処理や漂白を用途に応じてさまざまにおこない、
製紙原料としたパルプが古紙パルプである。
【0008】古紙を一部または全部原料として製造した
紙は、再生紙またはリサイクル紙と呼ばれる。リサイク
ル上質紙またはリサイクル新聞紙の原料としては、繊維
の品質が良好な上質系古紙または新聞古紙を一般的に用
いる。上質系古紙はおもに印刷会社から供給される印刷
済みの上質紙や塗工紙であり、リサイクルパルプの品質
は高いが、供給量が少ないという問題がある。上質系古
紙から製造された古紙パルプの繊維は主に広葉樹化学パ
ルプ繊維と針葉樹化学パルプ繊維からなる。新聞古紙は
回収された新聞紙であり供給量が多い。実際には新聞紙
6割と折り込みチラシ(上質紙と塗工紙)4割からなる
ので、新聞古紙から製造された古紙パルプの繊維は機械
パルプ(新聞紙由来)、広葉樹化学パルプ繊維と針葉樹
化学パルプ繊維(チラシ由来)からなる。それぞれM
P,LBKP,NBKPと省略して表記する。
【0009】ダンボール古紙および雑誌古紙のおもな用
途はダンボールおよび板紙である。ダンボールおよび板
紙は古紙パルプ100%品が主であり、古紙配合率の数
値は問題にならない。一方、リサイクル上質紙またはリ
サイクル新聞紙は古紙配合率がメーカーによりさまざま
なので古紙配合率の数値が問題になる。
【0010】新聞用紙および上質紙の古紙配合率は全パ
ルプ繊維量に占める古紙パルプ量の割合で表示されてい
る。紙を構成するパルプ古紙パルプ以外のバージンパル
プとしては、原材料として紙の用途および供給量に応じ
てさまざまな植物木材種を用い、主として針葉樹機械パ
ルプ、針葉樹化学パルプおよび広葉樹化学パルプに調製
し、さまざまな量比で混合したものなので、紙中の古紙
パルプを区別、識別し、配合率を求めることは非常に困
難が予想されていた。
【0011】古紙配合率測定法とは直接関係ないが、公
定法としてJISP8120「紙の繊維組成試験方法」またはT
APPI 標準試験法 T401 「紙および板紙の繊維分析」
がある。この方法は紙中の針葉樹機械パルプ、針葉樹化
学パルプおよび広葉樹化学パルプの配合率を測定する方
法で、残念ながら古紙配合率は判らない。この方法は以
下の手順で行う。(1)紙を離解し、ガラスプレパラー
ト上にパルプ繊維を分散する。(2)各種パルプ繊維を
顕微鏡で観察し、パルプ繊維形態と染色液(C染色)呈
色の違いで、パルプ繊維を分類する。(3)パルプ繊維
の本数割合を数え、本数割合を繊維種類に固有の換算係
数を用いて重量割合に換算する。
【0012】古紙パルプを分析するに当たり、古紙パル
プを構成する繊維を観察すると、機械パルプ繊維、針葉
樹化学パルプ繊維、広葉樹化学パルプ繊維からなること
が観察された。機械パルプは古紙処理において晒処理さ
れるため、塩酸フロログルシン液で染色しても呈色が非
常に弱いことが観察された。バージン機械パルプの場
合、塩酸フロログルシン染色により赤色を呈するので識
別が可能と結論できた。
【0013】針葉樹化学パルプ繊維および広葉樹化学パ
ルプ繊維の古紙パルプ繊維は蛍光を発することが観察さ
れた。針葉樹パルプ繊維および広葉樹パルプ繊維は古紙
原料のうちの上質紙および塗工紙に由来する。上質紙や
塗工紙には一般的に蛍光増白剤を少量添加するので、そ
れらの繊維は蛍光反応を示すためである。チラシ用の上
質紙や塗工紙には一般的に蛍光増白剤を少量添加するの
で、それらの繊維もまた蛍光反応がある。紙製品に一般
的に添加されている蛍光増白剤は繊維中に残留し、古紙
処理しても繊維中に留まっていると考えられる。
【0014】すると結論的には、紙を構成するパルプ繊
維が古紙由来の繊維であるか否かを判定するには、紙中
の各繊維の塩酸フロログルシン染色の呈色量および蛍光
の強さを測り、各繊維について古紙パルプの識別は、機
械パルプの古紙パルプは塩酸フロログルシン呈色の弱い
繊維として、針葉樹化学パルプおよび広葉樹化学パルプ
の古紙パルプは蛍光の強いものとして区別することで可
能であると結論できる。
【0015】本発明は、更にJISP8120「紙の繊維組成
試験方法」またはTAPPI 標準試験法T401 「紙および板
紙の繊維分析」等に則して紙を構成する繊維を一本一本
観察することにより、それぞれの繊維の種類を同定し、
その同定結果と上述したパルプ繊維が古紙パルプ繊維で
あるか否かの判定を組み合わせることによって、古紙配
合率を算出するものである。古紙配合率の計算の際には
TAPPI 標準試験法 T401 に紹介されたパルプ繊維の本数
割合を数え、本数割合を繊維種類に固有の換算係数を用
いて重量割合に換算する方法を使用すれば各々の種類の
パルプ繊維の本数のデータから簡単に重量割合のデータ
が得られる。これ以外には各々のパルプ繊維の染色デー
タの画像からパルプ繊維体積を求め、各々のパルプ繊維
種類によって異なる係数でパルプ繊維体積からパルプ繊
維重量に変換し、最終的に重量割合が得られる。
【0016】尚、前提条件として使用する古紙パルプの
種類が限定されている場合は、JISP8120やTAPPI 標準
試験法 T401 等を使用してそれぞれのパルプ繊維の種類
を同定する事無しに、紙のパルプ繊維の蛍光量および塩
酸フロログルシン染色の呈色反応の呈色量を測定し、蛍
光量が一定強度以上である繊維を古紙由来のパルプ繊維
と判定し、該呈色反応が有るが呈色量が一定強度以下の
繊維を古紙由来の機械パルプ繊維と判定する際に同時に
パルプ繊維の種類を同定することもできる。パルプ繊維
の同定ができれば上述したように古紙配合率を算出する
こともできる。例えば、特定の上質紙系紙銘柄の古紙の
みを利用している場合などが考えられる。
【0017】繊維の観察は最低200本程度行えば良
く、機械パルプ繊維、針葉樹化学パルプ繊維及び広葉樹
化学パルプ繊維の割合と各パルプ繊維種の古紙、バージ
ンパルプの本数割合を求める。新聞用紙や洋紙に用いら
れる古紙原料は日本国内では新聞古紙と上質系古紙がほ
とんどであるので、紙を構成する繊維は機械パルプ繊
維、針葉樹化学パルプ繊維、広葉樹化学パルプ繊維のみ
と考えることができる。
【0018】繊維の観察において前処理として、紙その
ものでは繊維がお互いに絡みあっていることや塗工紙な
どの場合,表面塗工がなされていて観察できないため、
繊維の離解を行い、繊維同士または繊維と塗工層の分離
を行うことが普通は必要になる。離解は例えばJISP812
0に記載の方法などによっておこなうことができる。
【0019】各繊維の蛍光観察は、繊維に紫外光を照射
することにより放射される可視光の強さを測定するもの
で、蛍光の強さは繊維に付着している蛍光増白剤の量に
関係している。繊維の太さが2〜3ミクロン程度と細い
ため顕微鏡などの拡大鏡で蛍光観察を行うことが好まし
い。繊維の蛍光の強さを定量的に評価するために、繊維
部分の蛍光強度を数値化できる装置を用いることが望ま
しい。
【0020】各繊維の塩酸フロログルシン染色の呈色観
察はJISP8120またはTAPPI 標準試験法 T401の方法に従
って行う。機械パルプの場合、繊維中にセルロースとと
もに含まれるリグニンと反応して赤色に呈色することが
一般的に知られている。古紙処理により、リグニンが変
成するので、赤色の呈色が弱まる。繊維の太さが2〜3
ミクロン程度と細いため顕微鏡などの拡大鏡で呈色の観
察を行うことが好ましい。繊維の呈色の強さを定量的に
評価するために、繊維部分の呈色量を数値化できる装置
を用いることが望ましい。
【0021】各繊維の機械パルプ、針葉樹化学パルプ、
広葉樹化学パルプの同定はJISP8120またはTAPPI 標準
試験法 T401に従って行うことが好ましい。繊維の種類
が同定できれば、他の方法を使用することも可能であ
る。
【0022】蛍光観察、塩酸フロログルシン染色観察、
繊維の識別(JISP8120またはTAPPI標準試験法T401)を
連続して行うことにより、古紙機械パルプ、バージン機
械パルプ、古紙針葉樹化学パルプ、バージン針葉樹パル
プ、古紙広葉樹化学パルプ、バージン広葉樹化学パルプ
の繊維本数割合が得られる。本数割合をTAPPI 標準試験
法 T401 に記載された重量換算係数により重量換算
し、上記各種パルプの重量割合を算出できる。
【0023】
【実施例】以下に実施例を示す。 実施例1 新聞用紙1 ツインワイヤー式抄紙機にて製造した米坪
45g/m2 の新聞用紙古紙仕込み率40% 実施例2 新聞用紙2 実施例1と同様に製造した新聞用紙古紙仕
込み率60% 実施例3 印刷用紙1 オントップ型長網型抄紙機にて製造した米
坪104.7 g/m2 の印刷用紙古紙仕込み率100% 実施例4 印刷用紙2 実施例3と同様に製造した米坪104.7 g/
2 の印刷用紙古紙仕込み率80% 実施例5 印刷用紙3 長網型抄紙機にて製造した米坪104.7 g/
2 の印刷用紙古紙仕込み率0%
【0024】実施例は以下の測定条件で行ったが、必ず
しも以下の装置に限定されるものではなく、本特許の測
定原理を利用さえすればよく、パルプ懸濁液のままで測
定できる装置システム(すなわちバルメット社製ファイ
バーラボ装置など)も有効である。
【0025】1.測定装置 パルプ繊維の観察は蛍光顕微鏡、カラーCCDカメラと画
像解析装置を接続した装置を用いた。蛍光顕微鏡装置は
落射蛍光型蛍光顕微鏡 フルオフォトVFSR型(ニコ
ン社製)、蛍光用照明は水銀ランプ,UVフィルター:
UV励起法(波長365nm)、各染色量を測定する際の透過
明視野観察照明はハロゲンランプ、カラーCCDカメラは
3板式カラーCCDカメラ XC−003(ソニー社
製)、画像解析装置は画像処理解析装置 ドットアナラ
イザーDA−5000S(王子計測機器社製)を用い
た。
【0026】2.測定方法 測定のフローを図1に示した。図1は紙試料にどのよう
な操作を加えて蛍光量、染色の呈色量等のデータを得た
かを示す測定フロー図である。図中()内に示した項番
号は以下の項番号に対応している。 2.1 試料前処理方法 試料前処理としてTAPPI 標準試験法 T401 法に従って、
離解およびプレパラート試料作成を行った。
【0027】2.2 顕微鏡観察 測定は、作製したプレパラート試料にて、以下の手順で
同一視野の顕微鏡観察を拡大倍率200倍で行い、画像
解析装置に入力した。このうち、塩酸フロログルシン染
色方法およびグラフC染色方法はTAPPI 標準試験法 T40
1 法に従って行った。
【0028】2.2.1 蛍光観察 蛍光顕微鏡観察は、試料の落射蛍光の観察を行った。蛍
光の退色を避けるため、蛍光量データの画像解析装置へ
の入力は1分以内に実施した。
【0029】2.2.2 塩酸フロログルシン染色観察 塩酸フロログルシン染色液処理試料の透過明視野観察し
た。呈色量の低下を避けるため、呈色量データの画像解
析装置への入力は2 分以内に実施した。
【0030】2.2.3 C染色観察 塩酸フロログルシン処理、観察後の試料にC染色液を添
加して透過明視野観察した。この観察において先の塩酸
フロログルシン染色液の影響は繊維識別上、問題とはな
らないことが確認できた。
【0031】2.3 データ解析方法 データ解析のフローを図2に示した。図2は前記2.項
の測定方法で得られた各データにどのような処理を行っ
て古紙配合率を求めたかを示すデータ解析フロー図であ
る。各データの解析を200本の繊維について次の手順
で行った。蛍光の強さのヒストグラムをNBKP、LB
KP、MPについてそれぞれ得た。また、塩酸フロログ
ルシン液処理の呈色量のヒストグラムをMPについて得
た。
【0032】2.3.1 C染色データの解析方法 1本1本のパルプ繊維についてそれぞれNBKP、LB
KP、MPのいずれであるかの同定を項2.2.3のデータ
を用いてTAPPI 標準試験法 T401 法に従って行った。
【0033】2.3.2 蛍光観察データの解析方法 NBKP、LBKP、MPの各パルプ繊維の蛍光強度測
定を蛍光の波長は青色領域なので、項2.2.1の色画像デ
ータをRGB色分割して得られたB(青)データを用い
て、繊維部分の256階調グレイレベル値を蛍光強度と
した。この蛍光測定データの実施例1についての例を図
3に示した。
【0034】2.3.3 塩酸フロログルシン染色デー
タの解析方法 MP繊維の塩酸フロログルシン呈色量測定を、呈色は赤
色を示すので、呈色量は緑色光の吸光量として求めた。
項2.2.2のデータをRGB色分割して得られたG(緑)
データを用い、項2.3.1で同定したパルプ繊維につい
て、無試料部分の256階調グレイレベル値からパルプ
繊維部分のグレイレベル値を差し引いた値を呈色量とし
た。この塩酸フロログルシン染色データの実施例1につ
いての例を図4に示した。
【0035】3.測定結果 3.1 実施例試料の蛍光観察結果 図3に示した実施例1の試料の蛍光測定結果から、針葉
樹化学パルプ、広葉樹化学パルプのバージンパルプ繊維
と古紙パルプ繊維の識別をグレイレベル35を識別点と
して、35以上を古紙パルプ繊維として識別を行った。
識別後、本数割合を算出した。
【0036】この識別のためのグレイレベルの数字は、
針葉樹化学パルプ、広葉樹化学パルプの各バージンパル
プ繊維と古紙パルプ繊維の混入比率が既知のパルプ試料
を標準試料として数種を実際に測定して適切な値を求め
ることが最も好ましい。
【0037】3.2 実施例試料の塩酸フロログルシン
染色観察結果 図4に示した実施例1の試料の塩酸フロログルシン染色
結果から、機械パルプのバージンパルプ繊維と古紙パル
プ繊維の識別をグレイレベル18を識別点として、18
未満を古紙パルプ繊維として識別を行った。識別後、本
数割合を算出した。
【0038】この識別のためのグレイレベルの数字は、
機械パルプのバージンパルプ繊維と古紙パルプ繊維の混
入比率が既知のパルプ試料を標準試料として数種を実際
に測定して適切な値を求めることが最も好ましい。ま
た、RGB色分割して得られたG(緑)データを用いて
いるので、塩酸フロログルシン染色の呈色反応があるパ
ルプ繊維が、このデータに現れていると考えて処理を行
っている。
【0039】3.3 実施例試料の古紙配合率測定結果 求めた各繊維本数をTAPPI 標準試験法 T401法の繊維重
量係数で換算し、繊維重量組成比を求めた。求めた古紙
配合率を表1に示した。表1から分かるように得られた
結果は実際の古紙配合率と良好に一致した。
【0040】
【表1】
【0041】従来あいまいであった古紙配合率が測定に
より確認することができる。古紙配合率に対しての消費
者の不明朗な印象がなくなる。製造者の虚偽の申告が通
用しなくなる。古紙配合率の信頼性が向上し、最終的に
は古紙リサイクルの促進に貢献できる。尚、実際の測定
の際には測定系を構成する各機器の機差等を補正するた
めに以下に示すような標準的なサンプルの測定を実際の
測定に先立って行うことが必要である。このようなサン
プル測定の結果と、その測定結果の意味するところを以
下に説明した。 4.1 バージンパルプの蛍光観察 バージンパルプ繊維の蛍光測定の結果、蛍光が無いこと
が確認できた。このバージンパルプ繊維の蛍光測定の結
果を図5に示した。
【0042】4.2 新聞古紙パルプの蛍光観察 新聞古紙を原料とする古紙パルプの蛍光測定の結果、針
葉樹化学パルプ繊維および広葉樹化学パルプ繊維は強い
蛍光が観察できた。これらの繊維は、上質紙、塗工紙に
由来し、上質紙、塗工紙は通常蛍光増白剤を使用するこ
とによる。機械パルプ繊維は蛍光が無いものが多かっ
た。これは、機械パルプ繊維が新聞古紙に由来し、新聞
には通常蛍光増白剤を使用しないからである。この新聞
古紙パルプの蛍光測定の結果を図6に示した。
【0043】4.3 バージン機械パルプの塩酸フロロ
グルシン染色観察 バージン機械パルプの塩酸フロログルシン呈色反応は強
い呈色をすることを確認した。このバージン機械パルプ
の塩酸フロログルシン染色測定の結果を図7に示した。
【0044】4.4 新聞古紙パルプの塩酸フロログル
シン染色観察 新聞古紙を原料とする古紙パルプの塩酸フロログルシン
染色結果は、呈色が非常に弱い、すなわち呈色量が少な
いことが確認できた。この新聞古紙パルプの塩酸フロロ
グルシン染色測定の結果を図8に示した。
【0045】以上に例に挙げて説明した実施例1は新聞
用紙について古紙配合率を求める例であった。実施例2
も実施例1と同様にして古紙配合率を求めることができ
る。ここで、実施例3〜5の如くの印刷用紙について古
紙配合率を求める上で注意する点がある。このような印
刷用紙は製造工程の中で蛍光増白剤が添加されることが
一般的である。このような蛍光増白剤が添加されると、
印刷用紙製造に使用した古紙パルプ中の化学パルプ繊維
がもともと含んでいた蛍光増白剤の蛍光の寄与分との区
別をすることが必要になる。これは図1に示した実施例
1の試料の蛍光測定結果の全体のデータが右方向にシフ
トしたようなデータになる。このシフト量が印刷用紙の
製造工程中に添加された蛍光増白剤による蛍光の寄与分
になり、この分を差し引いて試料の蛍光測定結果のデー
タを評価することが必要になる。このようなシフト量を
決定する上で上記のような4項に挙げたような標準的な
サンプルの測定が必要になる。
【0046】以上説明した一連の測定では塩酸フロログ
ルシン染料やC染料の染色は人手によって行ったが、各
染料の滴下装置を染料接触手段として使用してサンプル
移動装置付きの画像解析装置に組み合わせて、マイクロ
コンピュータに滴下装置や画像解析装置制御用のプログ
ラムや上記のような測定データ解析の演算プログラムを
組み合わせて、古紙配合率測定装置としてまとめること
ができる。このような古紙配合率測定装置の構成図を図
9に示した。
【0047】すなわちサンプル移動装置6にセットされ
た試料7は、光量測定装置1で蛍光を測定後、滴下装置
2によって塩酸フロログルシン染料を接触される。光量
測定装置1は先に説明したように例えば、蛍光顕微鏡装
置、照明装置、CCDカメラ等から構成される。その
後、再度、光量測定装置1で塩酸フロログルシン染料の
呈色量データを測定する。次に滴下装置2によって今度
はC染料を接触される。その後、光量測定装置1でC染
料の染色量データを測定する。このとき、各測定は試料
の同一の部分についての画像データが得られるように行
われる。C染料の染色量データによるパルプ繊維の同定
は、現時点では自動化されていないので、画像解析装置
3のメモリ5に記憶された画像データをマイクロコンピ
ュータ4から出力させて、各パルプ繊維の同定結果を、
マウス等の入力手段8により入力後、マイクロコンピュ
ータ4に先に説明したような演算をさせて最終的に古紙
配合率を得る。
【0048】
【発明の効果】本発明は従来無かった紙の古紙配合率測
定法について提供する。上記目的を達成するため、本発
明は紙中の古紙パルプ繊維の識別を特殊な技術なく可能
とした。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る古紙配合率測定方法における測定
フロー図。
【図2】古紙配合率を求める方法を示すデータ解析フロ
ー図。
【図3】実施例1の試料の蛍光測定データ。
【図4】実施例1の試料の塩酸フロログルシン染色デー
タ。
【図5】バージンパルプ繊維の蛍光測定データ。
【図6】新聞古紙パルプの蛍光測定データ。
【図7】バージン機械パルプの塩酸フロログルシン染色
データ。
【図8】新聞古紙パルプの塩酸フロログルシン染色デー
タ。
【図9】本発明に係る古紙配合率測定装置の構成図。
【符号の説明】
1 光量測定装置 2 滴下装置 3 画像解析装置 4 マイクロコンピュータ 5 メモリ 6 サンプル移動装置 8 入力手段

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】紙のパルプ繊維の蛍光量および塩酸フロロ
    グルシン染色の呈色反応の呈色量を測定し、蛍光量が一
    定強度以上である繊維を古紙由来のパルプ繊維と判定
    し、該呈色反応が有るが呈色量が一定強度以下の繊維を
    古紙由来の機械パルプ繊維と判定する古紙由来のパルプ
    繊維の判定方法。
  2. 【請求項2】次の(1)〜(4)の工程を含む古紙配合
    率測定方法。 (1)紙のパルプ繊維試料の蛍光量を測定する工程、
    (2)前記紙のパルプ繊維試料に塩酸フロログルシン染
    色を行い呈色量を測定する工程、(3)前記紙のパルプ
    繊維試料のパルプ種類を同定するパルプ繊維同定工程、
    (4)種類が同定された各々のパルプ繊維について前記
    蛍光量および呈色量から請求項1記載の古紙由来のパル
    プ繊維の判定方法に従って古紙由来のパルプ繊維である
    か否かの判定結果を得て、古紙由来のパルプ繊維量を算
    出して古紙配合率を算出する工程、
  3. 【請求項3】前記紙のパルプ繊維試料のパルプ種類を同
    定するパルプ繊維同定工程をJIS P8120または
    TAPPI標準試験法T401に従って行う請求項2記
    載の古紙配合率測定方法。
  4. 【請求項4】前記(1)の工程の前に紙試料から紙のパ
    ルプ繊維試料を作製する工程を更に含む請求項2または
    3記載の古紙配合率測定方法。
  5. 【請求項5】試料からの光量を測定する光量測定手段
    と、塩酸フロログルシン染料とC染料の2種の染色用染
    料から一つを選択して試料に染料を接触させる染料接触
    手段と、前記光量測定手段により測定された紙のパルプ
    繊維試料の蛍光量データおよび塩酸フロログルシン染料
    接触後の同紙のパルプ繊維試料の染色量データを記憶す
    る記憶手段と、C染料染色後の紙のパルプ繊維試料のパ
    ルプ種類の同定結果を入力するパルプ繊維同定結果入力
    手段と、前記パルプ繊維同定結果から得られる各々の種
    類のパルプ繊維について前記蛍光量データおよび呈色量
    データから蛍光量が一定強度以上である繊維を古紙由来
    のパルプ繊維と判定し、該呈色反応が有るが呈色量が一
    定強度以下の繊維を古紙由来の機械パルプ繊維と判定し
    て各々の種類のパルプ繊維の古紙由来のパルプ繊維量を
    算出して古紙配合率を演算する演算手段と、を有する古
    紙配合率測定装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2004515793A (ja) * 2000-12-21 2004-05-27 パルプ アンド ペーパー リサーチ インスチチュート オブ カナダ 繊維の特性を測定するための方法および装置
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