JPH11335967A - 抗菌性布帛及び抗菌性複合布 - Google Patents

抗菌性布帛及び抗菌性複合布

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JPH11335967A
JPH11335967A JP10146432A JP14643298A JPH11335967A JP H11335967 A JPH11335967 A JP H11335967A JP 10146432 A JP10146432 A JP 10146432A JP 14643298 A JP14643298 A JP 14643298A JP H11335967 A JPH11335967 A JP H11335967A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 亜鉛を抗菌材料とする抗菌性布帛及び抗菌性
複合布を提供する。 【解決手段】 木綿布など植物性繊維布に亜鉛−アルミ
ニウム合金溶射を施す。この抗菌性布帛をカバー布と縫
製して抗菌性複合布とする。また、キルティング綿のよ
うなクッション材とともにカバー布と縫製加工してキル
ティング布とする。台所マット、洗面所・浴室マット、
トイレットマット、永らく病蓐にある人の敷ふとん用シ
ーツ、ベッド用シーツ、幼児のプレイマットなどとして
用いられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗菌性布帛及びこ
の抗菌性複合布に関するものである。さらに詳しくは、
抗菌性を必要とされる複合布用の芯地素材として有用な
抗菌性布帛及びこの抗菌性布帛を芯地とした抗菌性複合
布に関する。本発明になる抗菌性複合布は、台所マッ
ト、洗面所・浴室マット、トイレットマット、永らく病
蓐にある人の敷ふとん又はベッド用シーツ、幼児のプレ
イマットなどとして好適である。
【0002】
【従来の技術】近年の清潔指向の観点から、いわゆる抗
菌グッズが種々開発され、製品化されている。布帛材料
についても同様であるが、従来かかる繊維製品に抗菌性
を保持させる手段としては、抗菌材料を付着又は練り込
んだ糸を用いて織成するものであった。また、抗菌材料
としては、有機系抗菌材料を用いるものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、有機系
抗菌材料を付着又は練り込んだ糸を用いた布帛について
は、最近話題となっている環境ホルモンとしての危険性
の有無が不明であるなど安全性について疑問が持たれて
いる。金属亜鉛が抗菌性を有することは夙に知られてい
る。亜鉛は、無機材料であり、鉄板の防錆材料として古
くから汎用され、有機系抗菌材料のような危険性がなく
しかも安価で入手しやすい材料である。しかしながら、
金属亜鉛を抗菌材料として用いた抗菌性布帛は、未だ実
用化されるに至っていないのが現状である。本発明は、
亜鉛が抗菌性を有するとの知見に基づき、亜鉛を抗菌材
料とする抗菌性布帛及び抗菌性複合布を提供することを
課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、植物性繊維
布が亜鉛又は亜鉛合金の溶射に耐えること、及び、亜鉛
又は亜鉛合金を溶射した木綿布が抗菌性を有することを
見い出し本発明に到達した。
【0005】請求項1に記載の発明は、植物性繊維布に
亜鉛又は亜鉛合金溶射を施してなる抗菌性布帛である。
【0006】亜鉛は融点が419.5℃であり、比較的
低温で溶射できる。また、植物性繊維は、セルロース系
天然繊維であることから、吸湿性に富み、また、亜鉛又
は亜鉛合金溶射によっても変質ないし溶融するおそれが
ほとんどみられない。さらに、洗濯などの取り扱いによ
っ溶射層が脱落することもない。
【0007】亜鉛は、水分が存在すると溶出してしまう
ことが知られている。そこで、耐水性を高めるため、亜
鉛−アルミニウム合金を用いるのが好ましい。
【0008】すなわち、請求項2に記載の発明は、亜鉛
合金が亜鉛−アルミニウム合金である請求項1に記載の
抗菌性布帛である。
【0009】ここで、亜鉛−アルミニウム合金には、亜
鉛−アルミニウム擬似合金を含む。亜鉛−アルミニウム
合金を溶射すると、溶射により生成した亜鉛の微細粒子
が雰囲気中の水分又は炭酸ガスと反応し、その表面に耐
食性の高い酸化膜が形成され、また、不動態化したアル
ミニウムによっても保護される形態となることで、抗菌
性を低下させることなく耐水性を向上させることができ
る。
【0010】植物性繊維布としては、人間の肌に触れる
可能性があること、加工などの観点から木綿布が好まし
い材料である。
【0011】すなわち請求項3に記載の発明は、植物性
繊維布が木綿布である請求項1又は2に記載の抗菌性布
帛である。
【0012】請求項1、2又は3に記載の抗菌性布帛
は、使用感を良好にし、さらに溶射膜を保護する観点か
ら溶射膜が露出しないようにカバー布を有する複合布の
形態とするのが好ましい。
【0013】請求項4に記載の発明は、請求項1、2又
は3に記載の抗菌性布帛を、溶射面が露出しないように
してカバー布と縫製してなる抗菌性複合布である。
【0014】そして使用感をさらに良好にするために、
クッション材を併用した形態とするのがさらに好まし
い。
【0015】請求項5に記載の発明は、請求項1、2又
は3に記載の抗菌性布帛及びクッション材をカバー布と
共に縫製してなる抗菌性複合布である。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明で用いる植物性繊維布の種
類としては、溶射被膜を形成可能な織り密度の布であれ
ばよくほかに制限はない。複合布の芯地として用いる場
合には、シーチング、ジュート織物など加工度の低い布
を用いるのが原価面から好ましい。
【0017】溶射方法としては、低温で溶射可能である
ことから、アーク溶射、特に、インバータードライブア
ーク溶射装置によるのが好ましい。インバータードライ
ブアーク溶射装置は、40000Hzの高周波電源を用
い、減圧内アーク溶融された溶射材料を高速のエアーに
より吹き付けることで、被溶射面の温度を40〜50℃
程度で溶射可能である。そして、溶射材料として亜鉛線
とアルミニウム線を同時に溶射ガンに供給することによ
り亜鉛−アルミニウム合金被膜を形成することができる
ものである。
【0018】亜鉛−アルミニウム合金を用いるとき、抗
菌性の観点から、亜鉛が20重量%であることが好まし
く、これに耐水性の観点を含めると、亜鉛が40〜50
重量%のアルミニウムリッチ合金とするのがより好まし
い。亜鉛線とアルミニウム線の送り速度を調整すること
により溶射被膜の組成比を調整するこができる。
【0019】溶射被膜の厚さについては、溶射被膜によ
りほぼ全面にカバーされて布地が露出していない程度で
よく、具体的には50〜100μmの厚さであるのが好
ましい。溶射被膜が薄いと抗菌に関する耐久性に若干問
題があり、厚くしても抗菌性の効果に変わりはなく、原
価高になるのみである。
【0020】本発明になる抗菌性布帛は、少なくとも溶
射被膜面が外部に露出しないようにカバー布で覆った複
合布として使用に供される。ここで使用されるカバー布
としては、肌ざわりなど用途に適合した材質の布を選択
すればよい。1枚の抗菌性布帛の溶射面の上にカバー布
1枚を被せて縫製し、カバー布を表地として使用するよ
うにしてもよく、抗菌性布帛を表地として使用するよう
にしてもよい。抗菌性布帛を表地として使用する場合に
は、植物性繊維布の裏面に溶射を施すようにする。さら
に、抗菌性布帛1枚を2枚のカバー布の間に挿んで縫製
して複合布としてもよい。
【0021】クッション材としては、肌ざわりや吸湿性
の観点から、薄い綿状のクッション材が好ましく、キル
ティング綿が最も好適に使用される。例えば、2枚のカ
バー布の間に、キルティング綿及び本発明の抗菌性布帛
を挿んで縫製してキルティング布とされる。
【0022】
【実施例】実施例1 厚さ約0.1mmの木綿布(シーチングを使用)に、亜
鉛が45重量%、アルミニウムが55重量%の組成から
なる、インバータードライブアーク溶射装置を用いて厚
さ約50μmの擬似合金被膜を形成することにより抗菌
性布帛を作製した。作製した抗菌性布帛について、洗濯
機を用いて木綿下着と同様の条件で洗濯をしたが、溶射
被膜が剥落することは認められなかった。溶射材料とし
てはそれぞれ、直径1.3mmの亜鉛線及びアルミニウ
ム線を用い、高周波電圧20V、電流270A、空気圧
7kg/cmの条件で溶射を行った。作製した抗菌性
布帛を、溶射被膜面がキルティング綿と対向するように
して厚さ約0.5mmのキルティング綿の上に重ね、キ
ルティング綿の下面に厚さ0.1mmのシーチングを重
ねて縫製することによりキルティング布を作製した。
【0023】比較例 亜鉛−アルミニウム合金溶射被膜を形成しない木綿布を
用いたほかは実施例と同様にしてキルティング布を作製
した。
【0024】作製したキルティング布を35×55mm
の大きさに切断し、繊維製品衛生加工協議会で制定した
抗菌防臭加工製品の加工効果評価試験マニュアルの、
『II.1 菌数測定法』に準拠して、黄色ぶどう状球菌
(スタフィロコッカス アウレウス ATCC6538
P)を含む培養液を吸収させ、18時間室温にて静置培
養した後の生菌数を調べることにより抗菌性をテストし
た。その結果を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】表1から、実施例1で作製したキルティン
グ布は、テスト後に生菌数が大幅に低下しているのに対
して、比較例になるキルティング布は逆に生菌数が増加
しており、増減値差が7.2にも及ぶことがわかる。
【0027】実施例2 実施例1で作製した抗菌性布帛を、溶射被膜面がキルテ
ィング綿と対向するようにして厚さ約0.5mmのキル
ティング綿の上に重ね、厚さ2枚のカバー布の間に挿
み、縫製することによりキルティング布を作製した。な
お、表布としては、厚さ約0.1mmの木綿布を用い
た。作製したキルティング布についても実施例1と同様
の抗菌性が認められた。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、無機材料であり安全性
上格別の問題がない亜鉛を材料として布帛に抗菌性を持
たせることができる。そして、台所マット、洗面所・浴
室マット、トイレットマット、永らく病蓐にある人の敷
ふとん又はベッド用シーツ、幼児のプレイマットなどに
好適な複合布を簡単に製造できる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 植物性繊維布に亜鉛又は亜鉛合金溶射を
    施してなる抗菌性布帛。
  2. 【請求項2】 亜鉛合金が亜鉛−アルミニウム合金であ
    る請求項1に記載の抗菌性布帛。
  3. 【請求項3】 植物性繊維布が木綿布である請求項1又
    は2に記載の抗菌性布帛。
  4. 【請求項4】 請求項1、2又は3に記載の抗菌性布帛
    を、溶射面が露出しないようにしてカバー布と縫製して
    なる抗菌性複合布。
  5. 【請求項5】 請求項1、2又は3に記載の抗菌性布帛
    及びクッション材をカバー布と共に縫製してなる抗菌性
    複合布。
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