JP2005505437A - 強化された水蒸気透過性及び寸法安定性を有する、水蒸気透過性、液体不透過性多層構造体、及び前記構造体を含む物品 - Google Patents
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Abstract
本発明は、強化された水蒸気透過性及び寸法安定性を有する、水蒸気透過性、液体不透過性多層構造体に関する。多層構造体は、熱可塑性ポリマー及び好適な親水性可塑剤を含むことができる熱可塑性組成物を含む。こうした構造体は物品、好ましくは成形された三次元物品の中に使用され、これは水蒸気透過性、液体透過性、及び寸法安定性が望ましい様々な用途を見出すことができる。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、水蒸気透過性及び液体不透過性であり、並びに強化された水蒸気透過性及び寸法安定性を有する多層構造体に関する。こうした構造体は物品に、好ましくは成形された三次元物品に使用され、これは液体不透過性と相まって水蒸気透過性が望ましい様々な用途を見出すことができる。
【背景技術】
【0002】
水蒸気透過性を提供することに加えて、液体障壁を提供する構造体を含む物品は、当該技術分野において既知である。この種類の水蒸気透過性、液体不透過性物品に特に好ましいのは、親水性熱可塑性組成物が形成する連続構造体、例えば連続フィルムであり、これは材料内の開孔または開口を通しての水蒸気の流れを可能にさせないが、水蒸気濃度がより高いフィルムの片方側から水を吸収し、水蒸気濃度がより低いフィルムの反対側にそれを脱着または蒸発させることによりフィルムを通して顕著な量の水蒸気を移動させる。こうした連続フィルムはまた、モノリシックフィルムとして当該技術分野において既知である。
【0003】
例えば、PCT国際公開特許WO95/16746は、a)ブロックコポリエーテルエステル、ブロックコポリエーテルアミド(例えば、ペバックス(Pebax(商標)))、及び/またはポリウレタン、b)(a)と相溶性でない熱可塑性ポリマー、及びc)混和剤の混合物から調製されるフィルムを開示している。フィルムは液体不透過性で、1日当たり約700g/m2の水蒸気透過性を有する。また、米国特許第5,447,783号は、少なくとも三つの層を有する蒸気透過性、耐水性の多成分フィルム構造体を開示している。外層は、1.3〜7.6マイクロメートルの厚さ、及び400〜2500g/m2・24hのWVTRを有する疎水性のコポリエーテルエステルエラストマーであり、内層は7.6〜152マイクロメートルの厚さ、及び少なくとも3500g/m2・24hのWVTRを有する親水性コポリエーテルエステルエラストマーである。
【0004】
米国特許第5,445,875号は、耐水性、耐血液性、及び耐ウイルス性の、通気性の積層体を開示している。この積層体は、織布/不織布、及び約1ミル(25.4マイクロメートル)の厚さを有するハイトレル(Hytrel(商標))のような押出成形フィルムを含む。
【0005】
その他の複合積層体は、例えば織布の外層及び微多孔性ポリウレタン膜の内層を含む外科手術衣用の三積層布地を開示する米国特許第5、599,610号に記載されている。ミクロ孔質フィルムは、12〜55マイクロメートルの厚さ、及び直立状態で1100g/m2・24h、逆向きで5500g/m2・24h(ASTM E96−B)のMVTRを有する。層を結合するには、ポリエーテルポリウレタン接着剤が用いられる。
【0006】
同様に、米国特許第5,532,053号は、不織布材に積層することができる水蒸気透過の高い医療用フィルムを開示している。この積層フィルムは、ポリエーテルエステルコポリマーの第一層、並びに特定のポリマー群から選択される第二層及び第三層を含む。このフィルムは750g/m2・24hより高いMVTR(ASTM F−1249)、及び1ミル(25.4マイクロメートル)未満、好ましくは0.6ミル〜0.75ミル(15〜19マイクロメートル)の厚さを有する。
【0007】
米国特許第4,938,752号は、透水性が低く、500g/m2・24hの水蒸気透過性(指定された上記の試験で測定)、及び5〜35マイクロメートルの厚さを有するコポリエーテルエステルのフィルムを含む吸収性物品を開示している。支持基材については開示されていない。
【0008】
米国特許第4,493,870号は、少なくとも1000g/m2・24hのMVTR(ASTM E96−66)を有し、5〜35マイクロメートルの厚さを有するコポリエーテルエステルのフィルムで被覆された繊維材料を含む、柔軟性のある層状の耐水性製品を開示している。
【0009】
GB2024100は、水蒸気透過性であるが液体は通さない微多孔性の疎水性外層、及びMVTRが1000g/m2・24hを超えるポリエーテルポリウレタンの親水性内層を有する、柔軟性のある層状の耐水性物品を開示している。
【0010】
われわれの特許出願であるPCT国際公開特許WO99/64078及びWO99/64499には、熱可塑性組成物を含む成形された三次元物品が開示されており、この熱可塑性組成物は、親水性の水蒸気透過性、液体不透過性連続構造体、例えば前記物品中に含まれる、水蒸気透過性及び液体不透過性の好ましい特性を有する層を製造する。熱可塑性組成物は、好ましい熱可塑性ポリマー、例えばポリウレタン、ポリ−エーテル−アミドブロックコポリマー、ポリエチレン−アクリル酸コポリマー、ポリエチレンオキシドとそのコポリマー、ポリラクチドとコポリマー、ポリアミド、ポリエステルブロックコポリマー、スルホン化ポリエステル、ポリ−エーテル−エステルブロックコポリマー、ポリ−エーテル−エステル−アミドブロックコポリマー、ポリアクリレート、ポリアクリル酸と誘導体、イオノマー、ビニルアセテートの含有量が少なくとも28重量%であるポリエチレン−ビニルアセテート、ポリビニルアルコールとそのコポリマー、ポリビニルエーテルとそのコポリマー、ポリ−2−エチル−オキサゾリンと誘導体、ポリビニルピロリドンとそのコポリマー、熱可塑性セルロース誘導体、またはそれらの混合物を含む。開示された好ましい熱可塑性組成物はまた、既知の方法により、例えば所望の厚さを有する好適な層を基材上にコーティングすることにより、水蒸気透過性液体不透過性構造体を成形された物品内に含まれるように提供するために、容易に加工可能であり、そのため前記物品を製造する際に例えば押出成形装置のような複雑な加工装置の必要性を回避しながら前記熱可塑性組成物の加工を容易にする。これは、熱可塑性ポリマーの粘度を低下させる好適な可塑剤の組成物中への包含により熱可塑性ポリマーの粘度を修正することにより達成される。これは、これらの好ましい熱可塑性組成物の加工条件に、温度及び圧力に関してそれほど厳しくない選択された成形方法を使用することを可能にし、こうした方法とは例えばフィルムまたは層形態の水蒸気透過性、液体不透過性構造体を形成するための、基材上への低粘度のホットメルトの直接コーティングについて当該技術分野において既知のものである。
【0011】
加えて、上記の特許出願に記載されているように、熱可塑性組成物中の可塑剤または可塑剤のブレンドを好適に選択することにより、水蒸気透過性、液体不透過性構造体、例えばフィルムまたは層を含む、成形された三次元の水蒸気透過性液体不透過性物品を得ることができ、これは前記熱可塑性組成物を含み、熱可塑性組成物を含むが可塑剤または可塑剤のブレンドを含まない対応する構造体と比較した場合に、向上された水蒸気透過性を有する。もちろん好ましい可塑剤または可塑剤のブレンドは、熱可塑性組成物の粘度を調整することもまたでき、例えばフィルムまたは層形態の前記構造体を簡易化した方法で熱可塑性組成物から形成が可能であるようにする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記の特許出願による上記の物品はよく機能するが、異なる熱可塑性組成物を有する少なくとも二つの層を含む水蒸気透過性、液体不透過性多層構造体の使用により、上記の物品を寸法安定性についても改善できることが意外にも見出された。実際、上記の特許出願による物品はそれらの親水性組成物の故に高度に通気性であるため非常に有用であるが、特定の用途、特に液体の水と接触することを意図するかまたは液体の水と接触する可能性のある物品、例えば台所用または作業用手袋については、本発明による水蒸気透過性、液体不透過性多層構造体の使用により、それらが液体の水を吸収して膨潤する(従ってそれらはその寸法が変化する)のを回避することにより、それらが寸法安定性について改善されることが見出された。前記多層構造体は、少なくとも一つの水蒸気透過性、液体不透過性の第一層(これは液体の水と接触することを意図する)、及び少なくとも一つの水蒸気透過性、液体不透過性の第二層(これは前記第一層により、液体の水と接触することから保護されることを意図する)を含み、その際前記第一層は前記第二層の吸水率より低い吸水率を有する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、少なくとも一つの水蒸気透過性、液体不透過性の第一層、及び少なくとも一つの水蒸気透過性、液体不透過性の第二層を含む、水蒸気透過性、液体不透過性多層構造体に関し、前記第二層は:
ポリウレタン、ポリ−エーテル−アミドブロックコポリマー、ポリエチレン−アクリル酸コポリマー、ポリエチレンオキシドとそのコポリマー、ポリラクチドとコポリマー、ポリアミド、ポリエステル、コポリエステル、ポリエステルブロックコポリマー、スルホン化ポリエステル、ポリ−エーテル−エステルブロックコポリマー、ポリ−エーテル−エステル−アミドブロックコポリマー、ポリアクリレート、ポリアクリル酸と誘導体、イオノマー、ビニルアセテートの含有量が少なくとも28重量%であるポリエチレン−ビニルアセテート、ポリビニルアルコールとそのコポリマー、ポリビニルエーテルとそのコポリマー、ポリ−2−エチル−オキサゾリンと誘導体、ポリビニルピロリドンとそのコポリマー、熱可塑性セルロース誘導体、及びそれらの混合物から成る群から選択される熱可塑性ポリマーまたはポリマーの混合物を含み、
その際、前記第二層は、酸、エステル、アミド、アルコール、多価アルコール、またはそれらの混合物から成る群から選択される、好適な相溶性の親水性可塑剤または親水性可塑剤のブレンドを更に含み、
前記第一層は前記第二層の吸水率より低い吸水率を有することを特徴とし、前記吸水率は両方共試験方法ASTMD 570−81により測定される。
【0014】
更に、本発明は、前記多層構造体を含む、または前記多層構造体から製造される水蒸気透過性、液体不透過性物品であって、それらが液体の水と接触する場合、または接触する可能性がある場合に良好な寸法安定性と相まって高い通気性を有する、水蒸気透過性、液体不透過性物品に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
用語「通気性のある」及び「通気性」は、本明細書において「水蒸気透過性(moisture vapour permeable)」または「水蒸気透過性(water vapour permeable)」に対応するように意図されており、「水蒸気(Moisture vapour)」及び「水蒸気(water vapour)」はまた等価なものであると考えられている。
本発明により、水蒸気透過性液体不透過性多層構造体、並びに前記多層構造体を含む物品が提供される。
【0016】
本発明による水蒸気透過性、液体不透過性多層構造体は、少なくとも一つの水蒸気透過性、液体不透過性の第一層(これは液体の水と接触することを意図する)及び少なくとも一つの水蒸気透過性、液体不透過性の第二層(これは前記第一層により、液体の水と接触することから保護されることを意図する)を本質的に含み、その際前記第一層は前記第二層の吸水率より低い吸水率を有し、前記吸水率は両方共試験方法ASTMD 570−81により測定される。
【0017】
水蒸気透過性、液体不透過性物品、及び特に本発明による水蒸気透過性、液体不透過性多層構造体を含む、成形された三次元の水蒸気透過性、液体不透過性物品が提供される。
前記多層構造体は熱可塑性組成物を、おそらく純粋なポリマーとの組み合わせとして含み、向上した水蒸気透過性、及び寸法安定性を有する。
【0018】
熱可塑性組成物は、本発明の多層構造体の主要な材料または唯一の材料を構成することができる。後者の場合、構造体は熱可塑性組成物のみから製造され、次には物品はこの多層構造体から完全に構成されることができる。あるいは、熱可塑性組成物は、物品の中に含まれる複合多層構造体を作り出すために、一以上の他材料との組み合わせにより使用されることもできるし、熱可塑性組成物はまた多層構造体を完全に構成することもでき、これは次に本発明の物品の他要素と組み合わされる。多くの場合において、成形された物品が熱可塑性組成物から実質的にまたは完全に構成されることは好ましいことであり、これにより追加の材料を使用することなく多層構造体を提供することができる。
【0019】
前記熱可塑性組成物は、本発明の多層構造体に混和するのに有用であり、消費者に供給される成形された三次元であり得る物品に混和するのに有用である。故に前記物品は、二次元または平面的形態とは対照的に、何らかの三次元形態または形状を表す少なくとも一つの領域を持つ。こうした三次元形態または形状は、単純なまたは複雑な表面幾何学を伴ってもよい。この範囲を表す例には、適切な角度(90度)を規定して一つの直線で結合する二つの平面、または単純な球体のような、より単純な構造体から、非線形型に交わる二つの波形表面のような、より複雑な構造体までが挙げられる。
しかしながら、平面的物品もまた本発明の多層構造体を含むことが可能である。
【0020】
前記成形された物品は、球形のボール若しくは立方体のように閉じた形態に成形されてもよいし、またはハンドカバー若しくは手袋のように一以上の開口部を有して成形されてもよい。
【0021】
導入された力または圧力に反応して、物品は変形を示す、即ちその形状を変化若しくは変更してもよい。次の定義に限定しないが、こうした変形は物品全体の全体的膨張または収縮として考えられ、一つの方法として物品表面の通常境界線内における密閉体積の変化により測定されるか、あるいは物品の最外表面により規定される限局性空間の体積変化により測定される。
【0022】
このような導入された力または圧力には、外部的にまたは内部的に適用される圧力の増加または減少(真空)、機械的圧縮力、及び物品の壁自体に適用される張力(即ち物品の壁の一部分を引っ張ること)が挙げられるが、これらに限定されない。
適用された力または圧力が一旦取り除かれた場合における物品の変形後の反応は、全形状の回復から不可逆的形状変化にまで分布することができる。
こうした物品は何回も再使用できるか、または対象とする物品寿命が廃棄または再生前の1回使用だけではないように構築できる。
【0023】
物品、特に本発明の多層構造体を使用する成形された三次元物品は、特に水蒸気の浸透を必要とするが、液体障壁の保護がなお望ましい様々な使用分野において用いられることもできる。本発明の多層構造体を用いる物品は、その他の障壁機能を提供すること、例えば、病原体障壁、ヒトの皮膚に有害な効果を及ぼすもののような望ましくない若しくは有害な化学物質ヘの障壁を提供すること、または阻止されるべきその他の特定要素、例えば特定の化学物質、気体、若しくは生物学的存在ヘの選択的障壁を提供することができる。
【0024】
次の段落では、本発明の多層構造体を使用する物品が有用な利益を提供できる用途の範囲例を提供する。分類の列挙は例示を目的とするものであり、包括的なものではなく、従って限定するものではない。
【0025】
本発明の多層構造体は、吸収性物品、創傷治療物品、または化粧品のようなパーソナルケア製品内に有効に使用されることができる。非限定的例は、おむつ、衛生ナプキン、パンティライナー、失禁用製品、及び母乳パッドのような吸収性物品;創傷及び火傷用包帯剤(dressing)及び包帯(bandage)、医療用の温めまたは冷却用パッド;傷当て、医療または美容の治療用で、活性物質を含有及び供給する可能性のある、包帯または覆い;腋窩、手首、及び頭部の発汗のためのパッドのような汗取りパッド、襟インサート、靴インサート、ハットバンド;皮膚上または毛髪上に通気性のフィルム、ネイルポリッシュなどを作り出すためのメークアップ、フェイスマスク、口紅、またはヘアージェルのような化粧品である。
【0026】
本発明の多層構造体を含むその他の物品は、身体または身体の部位用保護物品を含む。非限定的例は、作業着または手術着などのような保護衣類;手袋、指サック、長手袋、ミトンなどのハンドカバー;靴下、ストッキング、パンティーストッキング、靴、スリッパなどのフットまたはレッグカバー;帽子、キャップなどのヘッドカバー;コンドームのような性病予防及び避妊の工学的物品;フェイスマスク、鼻カバー、耳カバー、またはミットなどのフェイスカバー;スポーツ及びフィットネス用衣料品ウインド・チーター(wind cheaters)、寝袋;男性器「競技用」サポーター、ブラジャーなどの身体サポート品;下着、保護スリーブとして、または保護パッド中に一部または全体を組み込んだものとして使用するための衣類を含む。物品及び用途のその他の例としては、これに限定するものではないが、ヒト用の柔軟性衣料物品またはドレープ衣料物品、例えば、シャツ、パンツ、下着、よだれかけ、スモック、コート、スカーフ、ボディラップ(body wrap)、ストッキング、レギンス、スカート、ドレスなどの非限定的例が挙げられ;医療専門家用、農業業務用、機械組立及び修理業用、緊急公的業務用、軍用、競技用、清掃用を包含する種々の作業及び業務用の他柔軟性衣料若しくはドレープ衣料または保護シート;動物のための保護衣類が挙げられる。
【0027】
本発明の多層構造体を含む物品の更なる分類は、保護の目的のための物品を含む。好ましい保護物品は、リネン、マットレス、及び枕カバーのような保護寝具カバーを含む。またクッション、掛け布団、羽根ぶとん、ヘッドボードのようなベッドの布張り部分、またはソファー若しくはひじ掛けいすの布張り部分のための保護カバーが含まれる。他の非限定的例は、電子/電気製品用埃カバー(例えばコンピューターのキーボード、ハードドライブ、ビデオレコーダーなど)、乗り物、例えば飛行機/列車内の座席用ヘッドレストカバー、シュリンクラップ、1回使用のテーブルカバーなどのような保護物品を含む。生鮮食品及び焼いてある食品(パン、ロール、ケーキ)のような食品用などの包装用物品、例えば冷蔵庫内での食品保存用袋、または同様に電子レンジ用包装フィルム、または例えばピザのような熱い「持ち帰り用」食品用の包装がある。更なる例は、農耕または園芸用物品を含み、例えば非限定的例としては、個々のまたは特定の植物群を部分的または全体的に囲むために設置される個々の物品(容器、三次元「バッグ」)である。布張りをしたいす及びソファーなどのための保護カバーのような家具用保護カバーもまた含まれる。他の別の保護物品は、建築用屋根葺き材及び家屋の覆い、スキー、ウィンドサーフ及び自転車/オートバイ用胸当てズボン、絨毯及び壁紙の裏材、キャンプ用テント、様々な品々(例えば車、テニスコート、スポーツグラウンドなど)のための保護シート、庭/温室保護用シート、テニスコート、スポーツグラウンドの閉鎖/保護用テント、低温からの植物保護のための品々などを含む。
【0028】
本発明の多層構造体が、典型的には少なくとも二つの異なる別々の溶媒またはエマルションに基づく組成物の形態で及び室温で、本発明による多層構造体を作り出すために、スプレー/はけ塗り/ロールコーティングにより適用される別の用途は、石、コンクリート、木材(例えば家具)のような硬質面用のあるいは剥離可能な保護コーティング、靴/皮革物品または布地のコーティング/防水用のあるいは剥離可能な保護コーティング、車用保護コーティング(例えば船による輸送中)、長期間使用しない間の、車、船などのための保護コーティング、通気性ペンキなどを含む。
【0029】
より一般には上述の多くの異なる用途において可能であればいつでも、本発明の多層構造体は、すでに形成された構造体として提供されることができるか、あるいは液体形態(少なくとも二つの異なる及び別々の液体組成物)として、例えばスプレーまたははけ塗りにより適用されることができるかのいずれかであり、及びまた、例えば美容用、医療用、または保護用組成物中に身体への活性剤または植物への活性剤を含む可能性もある。
【0030】
一般に本発明の多層構造体を含むすべての物品は、一般に柔軟性であることまたは硬直性であることができる。
【0031】
本発明による多層構造体を利用する成形された三次元物品の好ましい分類は、ハンドカバー物品、より具体的には手袋を含み、これはまた二つの平らな材料部分から製造される手袋であって、少なくとも一つの材料部分は本発明の構造体を含み、この二つの部分は手の形状を典型的に規定する通常境界線の周囲で結合し、これらがその後の使用中に前記境界線中に含まれる開口部を通して手が挿入された場合に、より満たされた、より大きな体積の三次元形状を後に取る手袋も含む。
【0032】
本発明の水蒸気透過性、液体不透過性多層構造体は、本明細書で記載するように、改善された寸法安定性、及び水または水に基づく流体と接触した場合の耐性と相まって強化された通気性を提供することをわれわれは見出した。
上記の物品に、本発明による水蒸気透過性、液体不透過性多層構造体を含むことにより、改善された物品を得ることができる。
【0033】
特に、強化された通気性、寸法安定性、及び耐性を有する構造体は、次には非限定的例として手袋のような物品に組み込まれることができるか、または完全に構成することができ、この物品は少なくとも一つの水蒸気透過性、液体不透過性の第一層、及び少なくとも一つの水蒸気透過性、液体不透過性の第二層を含む、水蒸気透過性、液体不透過性多層構造体を利用することにより得ることができ、前記第二層は、ポリウレタン、ポリ−エーテル−アミドブロックコポリマー、ポリエチレン−アクリル酸コポリマー、ポリエチレンオキシドとそのコポリマー、ポリラクチドとコポリマー、ポリアミド、ポリエステル、コポリエステル、ポリエステルブロックコポリマー、スルホン化ポリエステル、ポリ−エーテル−エステルブロックコポリマー、ポリ−エーテル−エステル−アミドブロックコポリマー、ポリアクリレート、ポリアクリル酸と誘導体、イオノマー、ビニルアセテートの含有量が少なくとも28重量%であるポリエチレン−ビニルアセテート、ポリビニルアルコールとそのコポリマー、ポリビニルエーテルとそのコポリマー、ポリ−2−エチル−オキサゾリンと誘導体、ポリビニルピロリドンとそのコポリマー、熱可塑性セルロース誘導体、及びそれらの混合物から成る群から選択される熱可塑性ポリマーまたはポリマーの混合物を含み、及びその際、前記第二層は、酸、エステル、アミド、アルコール、多価アルコール、またはそれらの混合物から成る群から選択される、好適な相溶性の親水性可塑剤または親水性可塑剤のブレンドを更に含み、その際前記第一層は前記第二層の吸水率より低い吸水率を有し、前記吸水率は両方共試験方法ASTMD 570−81にしたがって測定される。
【0034】
好ましくは、本発明による水蒸気透過性、液体不透過性多層構造体を含む物品において、多層構造体の少なくとも第一層は、物品に含まれる構造体の最外層を構成する。
より具体的には、前記多層構造体の前記第一層は好ましくは、ASTM D 570−81により測定された、10%未満の、好ましくは5%未満の、及びより好ましくは2%未満の吸水率を有し、一方前記第二層は好ましくはASTM D 570−81により測定された、少なくとも30%の、好ましくは少なくとも40%の、及びより好ましくは少なくとも50%の吸水率を有する。これは、多層構造体が、例えば少なくとも二つの層から成り、前記第二層が物品の内部層またはコア層を構成し、及び前記第一層が外部層を構成し、これは液体の水と接触するかまたは接触する可能性があることを意図し、前記多層構造体から完全に製造された物品中に前記多層構造体が含まれる場合に、特に好ましい。
【0035】
特に、ポリウレタンに基づくフィルムから製造された通気性手袋に関して、こうした手袋の改善を取り扱う場合に、一般に通気性の望ましい増加により機械的特性の低下が生じることを指摘する必要がある。例えば、PCT国際公開特許WO99/64077及びWO99/64505に教示されるように、好適な可塑剤を含む、熱可塑性ポリウレタン(TPU)に基づく層に関して、それらは良好な機械的特性及び高い通気性を有するが、残念ながらこの親水性のTPUは液体の水に接触した場合に直ちに及びおびただしい膨張を一般に示すことに注意する必要がある。この膨張は、液体の水の吸収によるものであるが、手袋の機械的特性の低下に加えてまたその寸法を容認できない程度にまで変更させる。われわれは、本発明による多層構造体を用いることにより上記の問題を解決することを発見した。実際、親水性ポリマーに基づく層(第二層)を、第二層の吸水率より低い吸水率を有する薄い層(第一層)でコーティングすることにより(吸水率は両方共試験方法ASTMD 570−81により測定される)、及び好ましくは、このコーティング層が、上記の標準により10%未満の、好ましくは5%未満の、及びより好ましくは2%未満の吸水率を有する場合には、上記の問題は解決される。コーティング層(第一層)は、液体の水を吸収することにより膨張し通気性に大きな害を与える親水性のコア(第二層)への、液体水の直接接触を回避する。
【0036】
一般にコーティングの厚さは、内部の親水性の層(コア層)の膨張に対して有効作用を提供しながら通気性への悪影響を回避するためにできる限り薄いことが必要である。
【0037】
一方、第一層の存在により、高度に親水性のコア層(第二層)の使用が可能になり、その結果として十分な厚さを有する高度な通気性コア層の使用が可能になり、物品に必要な機械的耐性を与えることができる。好ましくは、この第二層またはコア層は、少なくとも30%の、好ましくは少なくとも40%の、及びより好ましくは少なくとも50%のASTMD 570−81による吸収率を有することが必要である。
【0038】
また上記のように、より一般には本発明の水蒸気透過性、液体不透過性多層構造体は、少なくとも一つの水蒸気透過性、液体不透過性の第一層、及び少なくとも一つの水蒸気透過性、液体不透過性の第二層を含み、その際前記第一層は前記第二層の吸水率より低い吸水率を有し、前記吸水率は両方共試験方法ASTMD 570−81により測定される。
【0039】
本発明をよりよく理解するために、次に前記第一層及び前記第二層についてより詳細な方法で記載する。
【0040】
(水蒸気透過性、液体不透過性第二層)
本明細書における第二層はまた親水性ポリマーに基づく層、またはコア層、または内部層として表される。
【0041】
本発明の水蒸気透過性、液体不透過性多層構造体の水蒸気透過性、液体不透過性第二層のための熱可塑性組成物に含まれる、好適な熱可塑性ポリマーは、特許出願PCT国際公開特許WO99/64077及びWO99/64505に記載されるものと同一であるかまたは類似しており、ポリウレタン、ポリ−エーテル−アミドブロックコポリマー、ポリエチレン−アクリル酸コポリマー、ポリエチレンオキシドとそのコポリマー、ポリラクチドとコポリマー、ポリアミド、ポリエステル、コポリエステル、ポリエステルブロックコポリマー、スルホン化ポリエステル、ポリ−エーテル−エステルブロックコポリマー、ポリ−エーテル−エステル−アミドブロックコポリマー、ポリアクリレート、ポリアクリル酸と誘導体、イオノマー、ビニルアセテートの含有量が少なくとも28重量%であるポリエチレン−ビニルアセテート、ポリビニルアルコールとそのコポリマー、ポリビニルエーテルとそのコポリマー、ポリ−2−エチル−オキサゾリンと誘導体、ポリビニルピロリドンとそのコポリマー、熱可塑性セルロース誘導体、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0042】
上記の特許出願に開示されるように、特に好適な好ましい熱可塑性ポリマーは、熱可塑性ポリエーテル−アミドブロックコポリマー(例えばペバックス(Pebax(商標)))、熱可塑性ポリエーテル−エステル−アミドブロックコポリマー、熱可塑性ポリエステルブロックコポリマー(例えばハイトレル(Hytrel(商標)))、熱可塑性ポリウレタン(例えばエスタン(Estane(商標)))、またはそれらの混合物である。
【0043】
こうした熱可塑性ポリマーまたはポリマー混合物は、フィルムまたは層形成の既知の方法、例えば高出力スクリュー押出機を伴う押出成形方法の典型的な処理条件における溶融状態で、典型的には高度に粘稠であることが可能である。例えば、それらの粘度は、DSC(示差走査熱量計)融点より20℃高い温度において、1ラジアン(rad)/秒の振動数で、5000ポアズより高い可能性があり、このDSC融点とは、DSCピークに相当するものとして、あるいは二つ以上のピークを示すポリマー混合物の場合には最大DSCピークに相当するものとして識別される温度である。
【0044】
上記の特許出願に開示されたように、本発明の多層構造体の水蒸気透過性、液体不透過性第二層に含まれ、及び好ましい熱可塑性ポリマーまたはポリマー混合物を含む熱可塑性組成物の粘度は、熱可塑性ポリマーと相溶性があり、溶融状態の熱可塑性ポリマーまたはポリマー混合物の粘度を低下させる好適な可塑剤または可塑剤のブレンドを熱可塑性組成物中に含むことにより好ましくは調整されることができる。
【0045】
好ましい好適な親水性可塑剤または親水性可塑剤のブレンドを含む熱可塑性組成物は、次の複素粘度(η*)を有する:
振動数が1ラジアン/秒、温度が210℃以下において、50ポアズ<η*<4000ポアズ、好ましくは100ポアズ<η*<2000ポアズ、より好ましくは100ポアズ<η*<1000ポアズであり、振動数が1000ラジアン/秒、210℃以下の処理温度(T)において、η*<2000ポアズ、好ましくはη*<1000ポアズ、より好ましくはη*<500ポアズであり、その際、η*は熱可塑性ポリマー組成物の複素粘度を表す。好ましくは、温度Tは200℃以下、及びより好ましくは180℃以下、及び最も好ましくは200℃〜50℃である。
【0046】
記載された複素粘度を有する熱可塑性組成物は、本発明の多層構造体に含まれる水蒸気透過性、液体不透過性第二層を提供するために、より容易に加工可能である。例えば、前記熱可塑性組成物は、親水性の水蒸気透過性、液体不透過性の連続層またはフィルムを提供する場合に好ましい熱可塑性ポリマーの有利な特性を保持しながら、例えば必要な厚さを有する層の中に低粘度ホットメルト組成物を加工するための当該技術分野において既知の装置を用いて、フィルムまたは層を形成することを可能にさせる。本発明による多層構造体を含む物品を製造するためのその他の既知の方法、例えば成形、鋳造などはまた熱可塑性組成物のより低い粘度を利用している。
【0047】
このような粘度を有する熱可塑性組成物はまた、非常に薄いフィルムまたは層を提供することもできる。
【0048】
加えて上記の特許出願に説明されているように、本発明における多層構造体の第二層の熱可塑性組成物中に含まれる親水性可塑剤、または親水性可塑剤のブレンドを、酸、エステル、アミド、アルコール、多価アルコール、またはそれらの混合物から成る群から選択することにより、熱可塑性組成物から形成された結果の構造体、例えば層またはフィルムの強化された水蒸気透過性は、同じ熱可塑性ポリマーを含むが可塑剤を含まない熱可塑性組成物から形成された対応する構造体と比較した場合に達成される。
【0049】
選択された親水性可塑剤または親水性可塑剤のブレンドはまた熱可塑性組成物の粘度を、熱可塑性組成物の加工を促進するために、上記の方法の内の一つにより好ましい値に調整することができ、例えば本発明の水蒸気透過性液体不透過性多層構造体に含まれる水蒸気透過性液体不透過性第二層を形成するために、所望の厚さを有する層またはフィルム中に前記熱可塑性組成物を押出すことにより熱可塑性組成物を加工可能にする。
【0050】
好適な好ましい親水性可塑剤は、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、ソルビン酸、フマル酸、乳酸、グリセリン酸、リンゴ酸の各エステル;グリセロール及びそのエステル;ソルビトール;グリコール酸塩;及びそれらの混合物である。
【0051】
好ましくは本発明の水蒸気透過性液体不透過性第二層に含まれる熱可塑性組成物は、熱可塑性組成物の20重量%〜90重量%、好ましくは35重量%〜85重量%、及びより好ましくは60重量%〜80重量%の熱可塑性ポリマーまたはポリマー混合物、及び熱可塑性組成物の10重量%〜80重量%、好ましくは15重量%〜65重量%、及びより好ましくは20重量%〜40重量%の好適な親水性可塑剤または親水性可塑剤のブレンドを含む。
【0052】
コア層に特に好ましいポリマーは親水性の熱可塑性ポリウレタン(TPU)であって、例えばエスタン(Estane(商標))58245またはエスタン(Estane(商標))T5410(両方共BFグッドリッチ(BF Goodrich)より入手可能である)、及びそれらの混合物であり、一方、上記のポリマーとブレンドされる好ましい親水性可塑剤は、シトレート、グリセロールエステル、タータラート、ポリプロピレングリコール(PPG)−ポリエチレングリコール(PEG)ブロックコポリマー、ポリエチレングリコールエステル、スルホンアミドである。特に好ましいのは高度に極性の可塑剤であり、例えばトリエチルシトレート(TEC)、またはエスタン(Estane(商標))58245若しくはエスタン(Estane(商標))T5410とブレンドされるジアセチン(DA)、及びそれらの混合物である。
【0053】
本発明の多層構造体の水蒸気透過性液体不透過性第二層に含まれる、選択された熱可塑性組成物は、少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、及びより好ましくは少なくとも50%のASTM D 570−81による吸水率を有することが必要である。
【0054】
次の表Iは、前記第二層に有用な、ペレット形態(ペレットの寸法:3〜5mm)の幾つかの純粋な親水性ポリマー、及びフィルム形態(厚さ:約100マイクロメートル)の幾つかの熱可塑性親水性組成物について、ASTM D 570−81による吸水率の値を報告している。
【0055】
【表1】
【0056】
次の表IIは、蒸留水の代わりにトリエチルシトレート(TEC)及びジアセチン(DA)のような液体可塑剤を使用する変更のみを有する上記と同じ標準のASTM D 570−81方法を用いて得られる、ペレット形態の幾つかの純粋な親水性ポリマーについて、可塑剤の吸収の値を報告している。
【0057】
【表2】
可塑剤の吸収の上記の値は、ポリマーに関する液体可塑剤の溶解度または相溶性を示すものであり、及びそれらの重要性は本発明の多層構造体の第一層に関して、以下により詳しく説明する。
【0058】
(水蒸気透過性、液体不透過性第一層)
前記第一層は、以下の記述においてまた外部層、またはコーティング層として表される。
【0059】
本発明による多層構造体の水蒸気透過性、液体不透過性第一層に含まれる好適な熱可塑性ポリマーは、形成された層が、本発明の多層構造体に含まれる水蒸気透過性、液体不透過性第二層のASTMD 570−81による吸水率より低い、ASTMD 570−81による吸水率を有することを条件として液体不透過性及び水蒸気透過性であるフィルム層の中に加工されることができる、いかなる既知の熱可塑性ポリマーでもある。
【0060】
水蒸気透過性、液体不透過性第一層に含まれる特に好ましい熱可塑性ポリマーは、第二層に含まれる同じポリマーあるいは類似のポリマーより構成されることができ、この類似のポリマーとは、例えば対応する第二層の熱可塑性組成物のポリマーまたはポリマー類と比較して、例えば通気性または吸水率について異なる特性を有するために、同じ広義の種類のポリマーではあるが、異なる等級であるポリマーのことである。従って、第一層に含まれる熱可塑性ポリマーは、上記に参照された特許出願PCT国際公開特許WO99/64077及びWO99/64505に記載されるものの中から選択されることができる。前記熱可塑性ポリマーには一般に、ポリウレタン、ポリ−エーテル−アミドブロックコポリマー、ポリエチレン−アクリル酸コポリマー、ポリエチレンオキシドとそのコポリマー、ポリラクチドとコポリマー、ポリアミド、ポリエステル、コポリエステル、ポリエステルブロックコポリマー、スルホン化ポリエステル、ポリ−エーテル−エステルブロックコポリマー、ポリ−エーテル−エステル−アミドブロックコポリマー、ポリアクリレート、ポリアクリル酸と誘導体、イオノマー、ポリエチレン−ビニルアセテート、ポリビニルアルコールとそのコポリマー、ポリビニルエーテルとそのコポリマー、ポリ−2−エチル−オキサゾリンと誘導体、ポリビニルピロリドンとそのコポリマー、熱可塑性セルロース誘導体、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0061】
特に好適な熱可塑性ポリマーは、熱可塑性ポリエーテル−アミドブロックコポリマー(例えばペバックス(Pebax(商標)))、熱可塑性ポリエーテル−エステル−アミドブロックコポリマー、熱可塑性ポリエステルブロックコポリマー(例えばハイトレル(Hytrel(商標)))、熱可塑性ポリウレタン(例えばエスタン(Estane(商標)))、またはそれらの混合物であることができる。
【0062】
本発明の水蒸気透過性、液体不透過性多層構造体の第一層は、好ましくは上記に開示されたものの中から選択される、純粋な熱可塑性ポリマーまたは熱可塑性ポリマーの混合物により構成されることができるか、あるいは追加の構成成分、例えば第二層の中に含まれる熱可塑性組成物に関して記載されたもののような可塑剤を含むことができる。可塑剤の包含については、結果として得られる組成物の粘度及び通気性に関して、本発明の多層構造体の第二層に含まれる組成物に対してすでに行われたのと同じ考察がまた第一層に含まれる組成物についても適用される。
【0063】
いずれにしても、上述のように、前記第一層は、本発明の多層構造体に含まれる水蒸気透過性、液体不透過性第二層のASTMD 570−81による吸水率より低いASTMD 570−81による吸水率を有さなければならない。
前記第一層は好ましくは、10%未満、好ましくは5%未満、及びより好ましくは2%未満のASTMD 570−81による吸水率を有する。
【0064】
第一層に特に好適な具体的なポリマーは、エスタン(Estane(商標))5740x955、エスタン(Estane(商標))58281、エスタン(Estane(商標))58881、エスタン(Estane(商標))58313、エスタン(Estane(商標))58280(エスタン(Estane(商標))シリーズ、米国、BFグッドリッチ(BF Goodrich)より入手可能)、ロトリル(Lotryl)280 BA 175(フランス、アトフィナ(Atofina)より入手可能)、またはフィナプレン(Finaprene)602(ベルギー、フィナ・ケミカルズ(Fina Chemicals)より入手可能)、またはエルバックス(Elvax)240、エルバックス(Elvax)170(エルバックス(Elvax)シリーズ、米国デュポン(Du Pont)より入手可能)、及びそれらの混合物であり、いかなる可塑剤も添加されない。
【0065】
次の表IIIは、前記第一層に有用なペレット形態(ペレットの寸法:3〜5mm)の幾つかの純粋な熱可塑性ポリマーについて、ASTMD 570−81による吸水率の値を報告している。
【0066】
【表3】
【0067】
次の表IVは、蒸留水の代わりにトリエチルシトレート(TEC)及びジアセチン(DA)のような液体可塑剤を使用する修正のみを有する上記の標準の試験方法ASTM D 570−81を用いて得られる、ペレット形態(前の表で記載した)の幾つかの純粋なポリマーについて、可塑剤の吸収の値を報告している。
【0068】
【表4】
可塑剤の吸収の上記の値は、ポリマーに関する可塑剤の溶解度または相溶性を示している。
【0069】
一般に、本発明の多層構造体の水蒸気透過性、液体不透過性第二層に含まれる好適な親水性可塑剤または親水性可塑剤のブレンドの相溶性が、本発明の多層構造体の水蒸気透過性、液体不透過性第一層の、同じ好適な親水性可塑剤または同じ親水性可塑剤のブレンドの相溶性より高いことが好ましい。
【0070】
上記のことは、手袋のように外部層(本発明の多層構造体の第一層に相当する)から移動し、手袋が接触するものへ付着する可能性のあるいかなる可塑剤も添加せずに、純粋なポリマーまたはそれらの混合物から製造する外部層を有することが好ましい、多層構造体の幾つかの用途において殊更真実である。
【0071】
換言すれば、多層構造体のコア層(第二層)から外部層(第一層)への可塑剤の起こりうる移動を回避するために、コア層(第二層)に存在する選択された可塑剤または可塑剤のブレンドは、前記外部層より、前記コア層とより相溶性であることが必要である。室温で液体である可塑剤の場合には、可塑剤のそれぞれの層での相溶性を示すものは、ポリマー中への、あるいは層の組成物中への可塑剤の溶解度により与えられ、ポリマー中へまたは組成物中への液体可塑剤の吸収により表される。上記のように、これは、吸水率について用いられた同じ標準試験方法であるASTMD 570−81により、単に蒸留水を特定の液体可塑剤と置き換えることにより測定することができる。典型的には、純粋なポリマー中または層のポリマー中での液体可塑剤の吸収は、上記の表II及びIVに示されるように、前記相溶性を示すものとして解釈される。
【0072】
理想的には、コア層に含まれる可塑剤は、前記外部層に可溶性または相溶性であるべきではない。可塑剤の望ましくない移動を回避するまたは制限する別の有用な規準は、再び液体可塑剤の場合には、可塑剤または可塑剤のブレンドを、コア層でのそれぞれの溶解度より低い百分率でコア層に添加すること、及び選択された可塑剤または可塑剤のブレンドの低い吸収を有する純粋なポリマーまたは純粋なポリマーのブレンドを外部層に用いることである。
【0073】
また上記のように、可塑剤吸収の値は液体可塑剤のポリマーまたは熱可塑性組成物への溶解度または相溶性を示すものであるが、より一般には、液体または固体可塑剤(類)の熱可塑性ポリマーまたは組成物への溶解度または相溶性は、当該技術分野において既知であるように、その他の好適な方法により測定できることに、注目すべきである。
【0074】
本発明の好ましい実施形態によると、本発明の多層構造体の水蒸気透過性、液体不透過性第一層に含まれる可能性のある好適な親水性可塑剤または親水性可塑剤のブレンドの含有量は、50重量%以下、好ましくは10重量%以下、及びより好ましくは0重量%であることが必要である。
【0075】
本発明の水蒸気透過性液体不透過性多層構造体に含まれる熱可塑性組成物は加えて、組成物の加工可能性、及びまたこうした熱可塑性組成物から形成された多層構造体の機械的特性、並びに粘着性、光及び酸素による老化に対する耐性、外観などのその他の特性を更に改善するために追加の任意構成成分を含んでもよい。
【0076】
このような任意構成成分には、125℃以下の軟化点を有する粘着性樹脂または粘着性樹脂のブレンドが挙げられる。好適な樹脂は、熱可塑性組成物の50重量%までで存在してもよく、ロジン及びロジンエステル、炭化水素樹脂、脂肪族樹脂、テルペン及びテルペン−フェノール樹脂、芳香族樹脂、合成C5樹脂、合成C5〜C9樹脂の混合物、及びそれらの混合物から選択されてもよい。前記熱可塑性組成物のその他の任意構成成分には、酸化防止剤、紫外線防止剤、顔料、染料、及びそれらの混合物が挙げられ、これらは組成物中に組成物の10重量%までの濃度で存在してもよい。
【0077】
(製造方法)
水蒸気透過性、液体不透過性物品に続いて含まれる、本発明に基づく水蒸気透過性、液体不透過性多層構造体は、熱可塑性ポリマーまたはポリマー混合物及び好適な可塑剤または可塑剤のブレンドを提供すること、構成成分を加熱しそれらを配合することであって、例えば既知の好適な混合機により、好ましくは所望の複素粘度η*を有する溶融状態の熱可塑性組成物を形成するために配合することを典型的には含む工程により製造されてもよい。明らかに、この手順は本発明の多層構造体に含まれる各層について、特に上文に説明したように常に可塑剤を含有する第二層の熱可塑性組成物に関して実行される。可塑剤のような添加される構成成分のない単一ポリマーにより構成される層の場合、典型的には本発明の好ましい実施形態による第一層の場合には、もちろんいかなる付随する工程も必要としない。
【0078】
こうした熱可塑性組成物を含む本発明による水蒸気透過性液体不透過性多層構造体は、好ましくは少なくとも500g/m2・24h、好ましくは少なくとも1000g/m2・24h、最も好ましくは少なくとも1500g/m2・24hの水蒸気透過度を有する。
【0079】
本発明の多層構造体を含む物品は、様々な既知の熱可塑性物質形成方法により形成されることができるし、または成形されることもできる。こうした方法のある種類は一般には「モールディング」と表現され、そこでは材料は多くの場合オスまたはメスの金型または金型の組み合わせにより成形される。技術によって、特定の加工温度及び圧力(または真空)条件が、所与の物品の製造に好ましい可能性がある。こうした既知の成形方法には:浸漬成形、吹込成形、射出成形、圧縮成形、熱成形、真空熱成形、押出成形、回転成形、吹出成形などが挙げられるがこれらに限定されない。
【0080】
その後、物品及び金型(類)は分離される。多くの場合、介在処理工程があってもよい。介在工程または複数の介在工程の性質は、成形技術、環境条件、材料の形式などによって変化する。例えば、浸漬成形物品は:(i)熱可塑性組成物の原材料形態に溶媒に基づく形式が選択された場合には、多層構造体の各層から溶媒を除去するため;(ii)熱可塑性組成物の原材料形態にエマルションに基づく形式が選択された場合には、前記各層から水を除去するため;または(iii)熱可塑性組成物の原材料形態にホットメルト形式が選択された場合には、熱を除去するために処理されることが必要になる可能性がある。もちろん、この更なる除去処理工程及び一般に上記の考察は、本明細書に記載の既知の形成方法のいかなるものにも適用することができ、また本発明のような多層構造体に関して適用することができる(例えば成形若しくは鋳造、またはコーティング)。
【0081】
本発明の成形された三次元物品を製造する、主にその中に含まれる多層構造体を加工する、あるいは物品を完全に構成するためのその他の既知の方法にはまた、フィルム及びシート成形;ブロン・フィルム技術;追加の幅出し加工工程;追加のカレンダ加工工程;追加の冷却工程;追加の加熱処置工程などが挙げられる。特定の製造条件の性質または処理工程の種類若しくは順序は、選択される製造技術、環境条件、材料の形式などによって変化する。例えば、浸漬成形処理に関して上記に説明したように、多層構造体を構成する各層から:(i)溶媒;(ii)水;または(iii)熱を除去するために、処理工程を含む必要がある可能性がある。
【0082】
本発明による多層構造体は、二つを超える層で製造されることが可能である。これは様々な既知の手段により達成することができ、その手段には次の層のホットメルトコーティング、共押出し、押出被覆、上記の異なる技術による成形などが挙げられるが、これらに限定されず、これらはまた二層のみから製造される多層構造体にも適用可能である。
【0083】
結果として得られる多層構造体は、次いで典型的には、成形された形態に後形成されることができ、例えば熱成形、真空熱成形、並びに熱可塑性フィルム及びシートを成形または形成するその他既知の加工方法により後形成されることが可能である。これは上記のように多層構造体を含む典型的な成形物品の直接形成の代わりとなるものを構成する。
【0084】
時によっては、本発明の多層構造体を含む平面的な物品、または成形された三次元物品の全体が、前記多層構造体のみから構成されることが好ましい可能性もあるが、一方物品は一以上の他材料による複合体であることもできる。
【0085】
例えば、複合体は本発明の多層構造体を一以上の他材料との組み合わせにおいて伴うことができる。このような材料としては、これに限定するものではないが、繊維、繊維状芯(fibrous batts)、不織布、織布、紙、金属箔、微多孔性膜または多孔質膜、ポリマーフィルムなどのフィルム、圧縮石膏シートなどの無機構造体、穴あきまたは有孔フィルム及び紙、巨視的に延展されたフィルム、布、材木などの実質的に剛性の繊維に基づく材料が挙げられる。
【0086】
このような場合、本発明の多層構造体の少なくとも第一層が、前記複合体物品中の多層構造体の最外層を構成することが好ましい。
前記その他の構成成分は、非吸収性、吸収性、液体含有などでもよい。
【0087】
前記複合体は、本発明の多層構造体を使用する成形された三次元物品の少なくとも二つの別々の構成成分が部分的にまたは全体的に加工された後に、前記多層構造体を含む前記構成成分の少なくとも一つと共に組み立てられることができる。こうした構成成分は様々な既知の手法により、接着することができ、それには:シーリング、例えばヒートシール、超音波または加圧接合若しくは溶接、RFシール、レーザーシールなど;クリンピング;接着剤、のり、反応性結合物質、水またはその他の液体などによる湿潤などを使用する接着;フックとループシステム、くぎ、止め金、フックとグロメットまたはボルトとナットなどの金物類締め具による機械的固定または接続;電磁力(例えば磁気)及び電荷(例えば静電気)を含む引力の使用が挙げられるがこれらに限定されない。
【0088】
あるいはまたは併せて、他材料(類)を多層構造体形成処理、例えば成形の間に導入することができ、成形工程の間に同時に他材料(類)を複合体物品と結合させることができる。多数の別個の断片を含む材料、例えば繊維を、例を挙げれば導入することができる。非限定的例として、多層構造体の表面の一部分は成形処理の間に繊維性材料と接触し、フロック加工に通常用いられる従来の接着剤の必要なしにフロック加工された表面を作り出すことができる。製品例は手袋である。
【0089】
別の有用な技術は、スプレーコーティング処理である。上記の熱可塑性組成物は加熱スプレー技術に適しているが、加熱すると粘度が十分に低下し、スプレーコーティングまたはスパッタリングが可能になる。こうした熱可塑性組成物のスプレーコーティングは、オスまたはメスのいずれかの金型の助けにより、物品の表面または壁を次には構成する多層構造体を構成する少なくとも二つの層の内の各々を構築することができる。その後、物品と金型(または金型部分)は互いに分離される。あるいは、スプレーコーティング方法は、熱可塑性組成物の少なくとも二つの異なる出発原料形式、例えば溶媒に基づく手法またはエマルションを用いることができる。
【0090】
スプレーコーティングの手法を用いた複合体物品について、別の材料が多層構造体の金型として作用して、この別の材料が十分な三次元構造体をそれ自体で提供してもよく、その後それは十分にコーティングされ、金型からの物品の前述の分離をしないで複合体物品が完成する。前記組み合わされた物品の構成成分及び金型はまた、平たくした手袋のライナーを含むことができ、これは例えばスプレーコーティングによる多層構造体の製造の間にはやや平らな状態にある可能性があるが、その後の使用中に手が挿入されると、より満たされた、後により満たされた、より大きな体積の形状を取る。
【0091】
本発明の多層構造体の厚さは一定であることもできるし、構造内で変化することもできる。いかなる特定の厚さの範囲に限定されるものではないが、用途によっては好ましい範囲があってもよい。例えば装着用パーソナル物品の好ましい範囲は、望ましくは厚さ1500マイクロメートルから下に5マイクロメートル未満まで分布してもよく、及びより好ましくは、ある場合には実質的に5マイクロメートル未満である。対照的に、建築用途または更に包装用途では、都合により200〜2000マイクロメートル、あるいは更に厚い好ましい範囲が指示される。
【0092】
特に、本発明の多層構造体から製造される手袋に関しては、前記多層構造体の全体の厚さは、約10〜約1000マイクロメートル、好ましくは約20〜約400マイクロメートル、及びより好ましくは約40〜約200マイクロメートルであることが必要であることが見出された。
【0093】
一般に、及びまた特に本発明の多層構造体から製造された手袋に関して、多層構造体の第一層(類)の厚さは、前記全体の厚さの10%以下であること、好ましくは、前記全体の厚さの5%以下であること、及びより好ましくは、前記全体の厚さの3%以下であることが好ましい。
【0094】
上記のように、コーティング層(第一層)は、液体の水を吸収することにより膨潤し通気性に大きな害を与える親水性のコア(第二層)への、液体水の直接接触を防ぐ。
【0095】
一般にコーティング層の厚さは、内部の親水性の層(コア層)の膨張に対しては有効な作用を提供しながら通気性への負の効果を回避するためにできるだけ薄いことが必要である。好ましくは前記コーティング層の厚さは20マイクロメートル未満、好ましくは10マイクロメートル未満、及びより好ましくは5マイクロメートル未満であることが必要である。
【0096】
本発明の多層構造体を使用する物品は、ミクロ孔質と考えられる小さい空隙からより大きな空隙、巨視的な大きさの空隙までの範囲においてポリマーが存在しない領域を有してもよい。物品表面の一部またはすべてが有孔であることもできるし、孔は、穴またはスリットのようなやや単純な幾何学であることもできるし、または不連続な孔が、表面の水平平面を越えて延びることもできる。例として、突出部が、その末端部に位置する開口部を有することができる。更なる例としては、前記突出部は、米国特許第3,929,135号に記載されたものと類似した、じょうごの形状のものである。平面内に位置する孔と突出部自体の末端に位置する開口部は、突出部末端の開口部の横断面の寸法または面積が、層の衣類に面する表面内に位置する孔の横断面の寸法または面積より小さければ、円形または非円形であることができる。好ましくは、前記有孔の機能フィルムは、それらが完全でなくても少なくとも実質的に一方向流体輸送であるように、単方向である。
【0097】
本発明によると、上記の物品のすべては、少なくとも水蒸気透過性、液体不透過性第一層、及び水蒸気透過性、液体不透過性第二層を順に含む、水蒸気透過性、液体不透過性多層構造体を含むことに、注意する必要がある。
【0098】
平面的なまたは成形された三次元の水蒸気透過性液体不透過性物品に含まれることを意図する、本発明の水蒸気透過性液体不透過性多層構造体を製造する方法は、例えば選択された熱可塑性組成物を提供する工程、それらを流動性にするためそれらを加熱する工程、及び前記組成物を溶融状態で押出し、所望の厚さの多層構造体を構成する各フィルム層を形成する工程を含むことができる。前記構造体は、平面的物品または本発明による成形された三次元の水蒸気透過性液体不透過性物品、例えば指サック、長手袋、ミトン、手袋のようなハンドカバー物品、または上記のようなその他の物品に、当該技術分野において既知の方法の内の一つを用いて含まれるか、または形成されることができる。
【0099】
前記多層構造体は基材の援助により形成することができ、これは基材上に多層構造体の少なくとも二つの層をコーティングすることによる。前記基材は、単なる形成基材であることもでき、その上に所望の全体の厚さの前記構造体を形成するために、多層構造体の各層がコーティングされ、前記構造体はその後前記基材から分離され、そのように用いられることもできるが、水不透過性複合構造体はまた、前記多層構造体及び基材(基材の上に多層構造体を構成する各層がコーティングされる)を含んで形成されることもでき、その際この基材はまた好ましくは水蒸気透過性である。
【0100】
こうした実施形態は、平面的なまたは成形された三次元の水蒸気透過性液体不透過性物品の中に含まれる、水蒸気透過性、液体不透過性複合構造体を提供し、その際本発明の多層構造体の複合体物質の性能への寄与は液体障壁の提供だけであり、従ってできるだけ薄く有利に提供されることができる。残りの性能の物理的規準は好ましくは提供された基材によりもたらされるため、従って基材は好ましくはまた支持体層としても作用する。
【0101】
本明細書で支持体層として用いるのに好適な基材には、二次元平面ミクロ孔質及びマクロ孔質フィルム、巨視的に延展されたフィルム、成形有孔フィルム、不織布及び織布層が挙げられる。本発明によれば、前記層の孔はどのような構成であってもよいが、好ましくは球形または長楕円形であり、及び様々な寸法であってもよい。これらの孔は、好ましくは層の表面全体に均一に分散しているが、表面の特定の領域だけが孔を有する層もまた構想される。
【0102】
バックシートの好適な二次元の多孔質平面層は、当該技術分野で既知のいかなる材料から製造されてもよいが、好ましくは一般に入手可能なポリマー材料から製造される。好適な材料は、いわゆる通気性衣料におけるそれらの用途が当該技術分野で周知である、例えばゴアテックス(Goretex(商標))またはシンパテックス(Sympatex(商標))タイプの材料である。その他の好適な材料としては、ミネソタ・マイニング・アンド・マニュファクチャリング社(Minnesota Mining and Manufacturing Company)(米国ミネソタ州セントポール)のXMP−1001、及びエクソン・ケミカル社(Exxon Chemical Company)から供給されるエグザイア(Exxaire)XBF−101Wが挙げられる。本明細書で使用するとき、二次元平面層という用語は、1mm未満、好ましくは0.5mm未満の深さを有する層を指し、その際この孔は、これらの長さに沿って均一の平均直径を有し、及びそれらは層の平面から突き出していない。本発明でバックシートとして用いる有孔材料は、EPO293482及びその特許中の参照文献に記載されているような、当該技術分野において既知のいかなる方法を用いて製造されてもよい。加えて、この方法により製造された孔の寸法は、バックシート層の平面を横切って力を適用して(即ち、層を延ばして)大きくしてもよい。
【0103】
好適な成形有孔フィルムには、層の衣類に面する表面の水平面を超えてコアの方向に延び、それにより突出部を形成する不連続の孔を有するフィルムが挙げられる。これらの突出部は、その末端部に位置する開口部を有する。好ましくは、前記突出部は、すでに言及した米国特許第3,929,135号に記載されたものと類似した、じょうごの形状のものである。
【0104】
本明細書で用いるのに好適な、巨視的に拡張されたフィルムには、例えば、米国特許第4,637,819号及び米国特許第4,591,523号に記載されたようなフィルムが挙げられる。
【0105】
好適な支持体層には、織布及び不織布層、最も好ましくは疎水性の不織布のような疎水性の繊維性の層がまた挙げられる。
【0106】
この実施形態の複合水蒸気透過性多層構造体は、支持基材上に各層が所望の厚さを有するように本発明の多層構造体をコーティングしてもよい複合体を提供できる可能性を与えるため特に有利であり得る。ホットメルトの直接的マルチコーティングについて当該技術分野で既知の典型的なコーティング条件及び装置が、多層構造体を所望の全体の厚さ(即ち、多層構造体を構成する各層の厚さの合計)で、特に多層構造体を構成する異なる各層を所望の厚さで提供するために容易に使用され得る。
【0107】
本発明による多層構造体を、支持体層として作用する基材上にコーティングすることにより、複合積層体を形成するための可能な方法は、PCT国際公開特許WO96/25902に記載されている。
【0108】
本発明の多層構造体を構成する各層は熱可塑性組成物から製造されているため、複合構造体を形成するために多層構造体と基材の間に永久的付着を達成するために、追加の接着剤が必要ないような接着特性を、少なくともコーティング温度では支持基材上に示すことができる。幾つかの用途では、多層構造体またはそれを構成する少なくとも一つの層は、いかなる温度でも粘着性であることがまた望ましい。この場合、少なくとも一つの層に含まれる前記熱可塑性組成物は、感圧性接着剤の典型的特性を有するように配合されることが必要である。
【0109】
本発明の多層構造体を使用する水蒸気透過性液体不透過性物品は、多数の用途、特に液体不透過性及び水蒸気透過性が望ましい用途に有用性を見出している。より具体的には本発明は、成形された三次元の水蒸気透過性液体不透過性物品、例えば指サック、長手袋、ミトン、及び好ましくは手袋を含むハンドカバー物品、及びまた上記のようなその他の物品内に有効に使用されることができる。好ましくは、本発明の水蒸気透過性、液体不透過性多層構造体から製造されるハンドカバー物品は、その厚さが約100マイクロメートルである場合、少なくとも500g/m2・24h、より好ましくは少なくとも1000g/m2・24h、及びより好ましくは少なくとも1500g/m2・24hの水蒸気透過度を有することが必要である。
【実施例】
【0110】
(実施例1)
二層状手袋構造体が、従来の浸漬成形方法により製造される。
特に通気性手袋が、磁器製手袋形成機を選択されたポリマーまたは組成物の有機溶媒中に浸漬することにより製造される。一般に、溶媒の選択、濃度、粘度、溶液の温度は、熱可塑性組成物及び手袋の所望の厚さに従って、当該技術分野において既知であるように選択される。
【0111】
液体の水に接触することを意図する水蒸気透過性、液体不透過性第一層または外部層に含まれる熱可塑性組成物に用いられる材料は次のものである:
構成成分A(ペレット):ASTMD 570−81による吸水率4%を有する、エスタン(Estane(商標))5740x955。
【0112】
前記第一層により、液体の水との接触から保護されることを意図する、水蒸気透過性、液体不透過性第二層、または内部層、またはコア層に含まれる熱可塑性組成物に用いられる材料は次のものである:
構成成分B(ペレット):エスタン(Estane(商標))5824570重量%
構成成分C(液体):ジアセチン(アコーディス・ファイン・ケミカルズ社(Acordis Fine Chemicals Ltd)(英国)より入手可能な可塑剤30重量%。
【0113】
約100マイクロメートルの厚さのフィルム形態で試験された場合、この組成物はASTMD 570−81による吸水率65%を有する。
両方の組成物に用いられる溶媒は、ブレンタークA G(Brenntag A G)(ドイツ)より入手可能な安定化テトラヒドロフラン(THF)純度99.9%である。
【0114】
実施例の製品構造
水蒸気透過性、液体不透過性多層構造体は前記第一層及び第二層から成っており、この構造体は手袋を構成する。
【0115】
実施例の手袋を形成する方法
第一層または外部層のための溶液の調製(VPM2):
ペレット形態の構成成分Aを溶媒テトラヒドロフラン(THF)に撹拌しながら添加し、最終濃度約4重量%を得る。この溶液はVPM2と呼ばれる。
【0116】
第二層または内部層またはコア層のための溶液の調製(VPM1):
ペレット形態の構成成分Bを100℃で2時間、使用前に乾燥した。ペレットを溶媒(THF)にゆっくりと撹拌(磁気または機械的に)しながら添加し、最終濃度約10重量%を得た。構成成分Bのより容易な可溶化のために、すべての構成成分Bを添加し、及び溶媒中でそれが膨張した後に、高速剪断攪拌を開始する必要がある。構成成分Bの完全な可溶化後、液体構成成分Cを添加した。最終溶液中の構成成分Bの構成成分Cに対する比は70/30である。構成成分Bプラス構成成分CのTHF溶液は、VPM1と呼ばれる。THF中のVPM1溶液の最終濃度は、14.3重量%である。
【0117】
この実施例において、並びに次の実施例において、VPM2についてブルックフィールド粘度は約18〜約21センチポアズ(100rpm及び20℃で)であり、VPM1について、約85〜約92センチポアズ(20rpm及び20℃で)であり、両方共ブルックフィールド・エンジニアリング・ラブズ社(Brookfield Engineering Labs Inc.)(米国)により製造された、ブルックフィールド粘度計モデルDVII、LVスピンドル1(Brookfield Viscometer model DV II, LV Spindle 1)により測定されている。
【0118】
手順:
従来の浸漬装置は二つのタンクを備えている:タンク1はVPM1溶液で満たされており、タンク2はVPM2溶液で満たされている。両溶液とも約20℃の温度に保持される。典型的な浸漬サイクルは次の工程を含む:
1.手袋形成機をVPM2溶液に1回完全に浸漬し、次いでVPM2から直ちに約10mm/秒の速度で引き出し、約2分間回転しながら乾燥する。
2.手袋形成機をVPM1溶液に完全に浸漬し、次いでVPM1から直ちに上記と同じ速度で引き出し、約2分間回転しながら乾燥する。VPM1溶液によるこの手順を、第二層の所望の厚さを得るために3回繰り返す。
手袋を完全に乾燥した後、形成機から静かに手で取り外し、裏返しにする。
【0119】
このように製造された手袋は次の特性を有する:
全体の手袋の厚さは約100マイクロメートルである
第一層の厚さ(VPM2溶液から形成された)は約2〜約3マイクロメートルである
第二層の厚さ(VPM1溶液から形成された)は約96〜約97マイクロメートルである
モコン・ペルマトラン−W 100K(Mocon Permatran-W 100K)装置を用いた、その水蒸気透過度(MVTR)は、約3600g/m2・24hである。
【0120】
手袋の構造体の機械的特性は、100%伸長での応力3.5N/インチ(1.3N/cm)、及び破断時の伸長900%により与えられ、両方共標準試験方法ASTM D 412により評価されている。
【0121】
本発明の多層構造体の各層の厚さは、当該技術分野において周知のように、例えば多層構造体の横断面の顕微鏡写真測定により、またはその他の好適な方法により測定できることに、注意する必要がある。
【0122】
上記の手袋は本発明による多層構造体を用いているが、極秘試験において、ユーザーにより非常に快適であり、耐性があると評価された。膨張、即ちそれらが液体の水と長期にわたる接触をした場合の寸法の変化は見出されず、一方でその強化された通気性は、作業手袋または台所手袋としての使用時に実質的にユーザーに快適さを提供した。
【0123】
(実施例2)
水蒸気透過性、液体不透過性多層構造体を、可塑剤としてジアセチンを用いる代わりにトリエチルシトレート(アコーディス・ファイン・ケミカルズ社(Acordis Fine Chemicals Ltd)(英国)から入手可能)を同じ百分率で用いたことを除き、実施例1に関して記載したように製造した。従って、この場合VPM1溶液は、構成成分Bの溶液及び実施例1と同じ濃度のTHF中トリエチルシトレートから成った。加えてこの場合、改変されたVPM1溶液から形成されたコア層は、両側が実施例1のVPM2溶液から形成された層によりコーティングされた。
【0124】
この場合、三層状手袋を得る手順は次のようであった。
【0125】
手順:
1.手袋形成機をVPM2溶液に1回完全に浸漬し、次いで直ちに約10mm/秒の速度で引き出し、約2分間回転しながら乾燥する。
2.手袋形成機を改変したVPM1溶液に完全に浸漬し、次いでVPM1から直ちに上記と同じ速度で引き出し、約2分間回転しながら乾燥する。VPM1溶液によるこの手順を3回繰り返す。
3.手袋形成機をVPM2溶液に完全に再度浸漬し、直ちに上記と同じ速度で引き出し、乾燥する。
手袋を完全に乾燥した後、形成機から静かに手で取り外す。
【0126】
約100マイクロメートルの厚さを有するフィルム上で測定された場合、コア層のASTMD 570−81による吸水率は65%である。
【0127】
手袋は実施例1に関して記載したのと同じ方法で測定された次の特性を有する:
全体の厚さ:100マイクロメートル
コア層の厚さ(VPM1溶液から形成された):約96マイクロメートル
VPM2溶液から形成された二層の各々の厚さ:約2マイクロメートル
WVTR:3100g/m2・24h
100%伸長での応力:4.5N/インチ(1.7N/cm)
破断時の伸長:900%
実施例1にあるように、上記の手袋はその目的とする使用にあたりよく機能した。
【0128】
(実施例3)
三層状手袋構造体を、実施例2に関して説明した浸漬手順により製造する。
【0129】
今回VPM2は、エスタン(Estane(商標))58281のTHF溶液であり、一方VPM1はエスタン(Estane(商標))58245(35重量%)プラス、エスタン(Estane(商標))T5410(35重量%)プラス、ジアセチン(30重量%)のTHF溶液であり、その際三構成成分に関する百分率は、溶媒を除いたものである。VPM2及びVPM1溶液の最終濃度は実施例1のものと同じである。
【0130】
コア層のASTM D 570−81による吸水率は、厚さ約100マイクロメートルのフィルム上で測定した場合80%であるが、一方外部層のASTM D 570−81による吸水率は、ペレットの純粋なポリマー上で測定した場合2%である。
【0131】
手袋は実施例1に関して記載したのと同じ方法で測定された次の特性を有する:
全体の厚さ:100マイクロメートル
コア層の厚さ(VPM1溶液から形成された):約97マイクロメートル
VPM2溶液から形成された二層の各々の厚さ:約1.5マイクロメートル
WVTR:3600g/m2・24h
100%伸長での応力:3.6N/インチ(1.4N/cm)
破断時の伸長:930%
実施例1にあるように、上記の手袋はその目的とする使用にあたりよく機能した。
【0132】
(試験及び測定)
複素粘度η*は、レオメトリックス社(Rheometrics Co.)より入手可能なレオメーターRDA−IIを用いて測定される。
【0133】
(吸水率)
純粋な熱可塑性ポリマーまたは熱可塑性組成物による吸水率の相対比の測定は標準試験方法ASTMD 570−81により行われた。ペレット形態の材料(典型的には純粋なポリマー)について吸水率の測定がなされた場合、3〜5mmに分布する直径を有するペレットが試験され、一方フィルム形態の材料(典型的には熱可塑性組成物)について吸水率の測定がなされた場合、3〜4mmに分布する寸法を有するおよそ正方形の断片が選択された厚さのフィルムから切断され、そして試験されたことに注目する必要がある。
【0134】
すべての試験について、23℃での蒸留水中への24時間の浸漬が選択され、及びASTMD 570−81標準に従って吸収された水の百分率が報告された。
【0135】
(水蒸気透過度(MVTR))
すべての試験された試料の水蒸気透過度(MVTR)は、温度38℃で、モコン社(Mocon Inc.)−ミネアポリス(米国)により製造されたモコン・ペルマトラン−W 100K(Mocon Permatran-W 100K)装置を用いて、及び装置マニュアルに記載された手順に従って測定された。値は、g/m2・24hにより表される。本発明の構造体及び関連物品に関するMVTRのいかなる値も、同じ方法で前記装置により測定されることを意図することに注目する必要がある。
【0136】
(多層構造体の厚さ)
多層構造体の合計の厚さ(マイクロメートルで表現される)は、株式会社ミツトヨ(Mitutoyo Corporation)(日本)及びその海外支社より入手可能な低圧ミツトヨ(Mitutoyo)ダイヤルキャリパー、モデル番号7301を用いて測定された。
【0001】
本発明は、水蒸気透過性及び液体不透過性であり、並びに強化された水蒸気透過性及び寸法安定性を有する多層構造体に関する。こうした構造体は物品に、好ましくは成形された三次元物品に使用され、これは液体不透過性と相まって水蒸気透過性が望ましい様々な用途を見出すことができる。
【背景技術】
【0002】
水蒸気透過性を提供することに加えて、液体障壁を提供する構造体を含む物品は、当該技術分野において既知である。この種類の水蒸気透過性、液体不透過性物品に特に好ましいのは、親水性熱可塑性組成物が形成する連続構造体、例えば連続フィルムであり、これは材料内の開孔または開口を通しての水蒸気の流れを可能にさせないが、水蒸気濃度がより高いフィルムの片方側から水を吸収し、水蒸気濃度がより低いフィルムの反対側にそれを脱着または蒸発させることによりフィルムを通して顕著な量の水蒸気を移動させる。こうした連続フィルムはまた、モノリシックフィルムとして当該技術分野において既知である。
【0003】
例えば、PCT国際公開特許WO95/16746は、a)ブロックコポリエーテルエステル、ブロックコポリエーテルアミド(例えば、ペバックス(Pebax(商標)))、及び/またはポリウレタン、b)(a)と相溶性でない熱可塑性ポリマー、及びc)混和剤の混合物から調製されるフィルムを開示している。フィルムは液体不透過性で、1日当たり約700g/m2の水蒸気透過性を有する。また、米国特許第5,447,783号は、少なくとも三つの層を有する蒸気透過性、耐水性の多成分フィルム構造体を開示している。外層は、1.3〜7.6マイクロメートルの厚さ、及び400〜2500g/m2・24hのWVTRを有する疎水性のコポリエーテルエステルエラストマーであり、内層は7.6〜152マイクロメートルの厚さ、及び少なくとも3500g/m2・24hのWVTRを有する親水性コポリエーテルエステルエラストマーである。
【0004】
米国特許第5,445,875号は、耐水性、耐血液性、及び耐ウイルス性の、通気性の積層体を開示している。この積層体は、織布/不織布、及び約1ミル(25.4マイクロメートル)の厚さを有するハイトレル(Hytrel(商標))のような押出成形フィルムを含む。
【0005】
その他の複合積層体は、例えば織布の外層及び微多孔性ポリウレタン膜の内層を含む外科手術衣用の三積層布地を開示する米国特許第5、599,610号に記載されている。ミクロ孔質フィルムは、12〜55マイクロメートルの厚さ、及び直立状態で1100g/m2・24h、逆向きで5500g/m2・24h(ASTM E96−B)のMVTRを有する。層を結合するには、ポリエーテルポリウレタン接着剤が用いられる。
【0006】
同様に、米国特許第5,532,053号は、不織布材に積層することができる水蒸気透過の高い医療用フィルムを開示している。この積層フィルムは、ポリエーテルエステルコポリマーの第一層、並びに特定のポリマー群から選択される第二層及び第三層を含む。このフィルムは750g/m2・24hより高いMVTR(ASTM F−1249)、及び1ミル(25.4マイクロメートル)未満、好ましくは0.6ミル〜0.75ミル(15〜19マイクロメートル)の厚さを有する。
【0007】
米国特許第4,938,752号は、透水性が低く、500g/m2・24hの水蒸気透過性(指定された上記の試験で測定)、及び5〜35マイクロメートルの厚さを有するコポリエーテルエステルのフィルムを含む吸収性物品を開示している。支持基材については開示されていない。
【0008】
米国特許第4,493,870号は、少なくとも1000g/m2・24hのMVTR(ASTM E96−66)を有し、5〜35マイクロメートルの厚さを有するコポリエーテルエステルのフィルムで被覆された繊維材料を含む、柔軟性のある層状の耐水性製品を開示している。
【0009】
GB2024100は、水蒸気透過性であるが液体は通さない微多孔性の疎水性外層、及びMVTRが1000g/m2・24hを超えるポリエーテルポリウレタンの親水性内層を有する、柔軟性のある層状の耐水性物品を開示している。
【0010】
われわれの特許出願であるPCT国際公開特許WO99/64078及びWO99/64499には、熱可塑性組成物を含む成形された三次元物品が開示されており、この熱可塑性組成物は、親水性の水蒸気透過性、液体不透過性連続構造体、例えば前記物品中に含まれる、水蒸気透過性及び液体不透過性の好ましい特性を有する層を製造する。熱可塑性組成物は、好ましい熱可塑性ポリマー、例えばポリウレタン、ポリ−エーテル−アミドブロックコポリマー、ポリエチレン−アクリル酸コポリマー、ポリエチレンオキシドとそのコポリマー、ポリラクチドとコポリマー、ポリアミド、ポリエステルブロックコポリマー、スルホン化ポリエステル、ポリ−エーテル−エステルブロックコポリマー、ポリ−エーテル−エステル−アミドブロックコポリマー、ポリアクリレート、ポリアクリル酸と誘導体、イオノマー、ビニルアセテートの含有量が少なくとも28重量%であるポリエチレン−ビニルアセテート、ポリビニルアルコールとそのコポリマー、ポリビニルエーテルとそのコポリマー、ポリ−2−エチル−オキサゾリンと誘導体、ポリビニルピロリドンとそのコポリマー、熱可塑性セルロース誘導体、またはそれらの混合物を含む。開示された好ましい熱可塑性組成物はまた、既知の方法により、例えば所望の厚さを有する好適な層を基材上にコーティングすることにより、水蒸気透過性液体不透過性構造体を成形された物品内に含まれるように提供するために、容易に加工可能であり、そのため前記物品を製造する際に例えば押出成形装置のような複雑な加工装置の必要性を回避しながら前記熱可塑性組成物の加工を容易にする。これは、熱可塑性ポリマーの粘度を低下させる好適な可塑剤の組成物中への包含により熱可塑性ポリマーの粘度を修正することにより達成される。これは、これらの好ましい熱可塑性組成物の加工条件に、温度及び圧力に関してそれほど厳しくない選択された成形方法を使用することを可能にし、こうした方法とは例えばフィルムまたは層形態の水蒸気透過性、液体不透過性構造体を形成するための、基材上への低粘度のホットメルトの直接コーティングについて当該技術分野において既知のものである。
【0011】
加えて、上記の特許出願に記載されているように、熱可塑性組成物中の可塑剤または可塑剤のブレンドを好適に選択することにより、水蒸気透過性、液体不透過性構造体、例えばフィルムまたは層を含む、成形された三次元の水蒸気透過性液体不透過性物品を得ることができ、これは前記熱可塑性組成物を含み、熱可塑性組成物を含むが可塑剤または可塑剤のブレンドを含まない対応する構造体と比較した場合に、向上された水蒸気透過性を有する。もちろん好ましい可塑剤または可塑剤のブレンドは、熱可塑性組成物の粘度を調整することもまたでき、例えばフィルムまたは層形態の前記構造体を簡易化した方法で熱可塑性組成物から形成が可能であるようにする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記の特許出願による上記の物品はよく機能するが、異なる熱可塑性組成物を有する少なくとも二つの層を含む水蒸気透過性、液体不透過性多層構造体の使用により、上記の物品を寸法安定性についても改善できることが意外にも見出された。実際、上記の特許出願による物品はそれらの親水性組成物の故に高度に通気性であるため非常に有用であるが、特定の用途、特に液体の水と接触することを意図するかまたは液体の水と接触する可能性のある物品、例えば台所用または作業用手袋については、本発明による水蒸気透過性、液体不透過性多層構造体の使用により、それらが液体の水を吸収して膨潤する(従ってそれらはその寸法が変化する)のを回避することにより、それらが寸法安定性について改善されることが見出された。前記多層構造体は、少なくとも一つの水蒸気透過性、液体不透過性の第一層(これは液体の水と接触することを意図する)、及び少なくとも一つの水蒸気透過性、液体不透過性の第二層(これは前記第一層により、液体の水と接触することから保護されることを意図する)を含み、その際前記第一層は前記第二層の吸水率より低い吸水率を有する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、少なくとも一つの水蒸気透過性、液体不透過性の第一層、及び少なくとも一つの水蒸気透過性、液体不透過性の第二層を含む、水蒸気透過性、液体不透過性多層構造体に関し、前記第二層は:
ポリウレタン、ポリ−エーテル−アミドブロックコポリマー、ポリエチレン−アクリル酸コポリマー、ポリエチレンオキシドとそのコポリマー、ポリラクチドとコポリマー、ポリアミド、ポリエステル、コポリエステル、ポリエステルブロックコポリマー、スルホン化ポリエステル、ポリ−エーテル−エステルブロックコポリマー、ポリ−エーテル−エステル−アミドブロックコポリマー、ポリアクリレート、ポリアクリル酸と誘導体、イオノマー、ビニルアセテートの含有量が少なくとも28重量%であるポリエチレン−ビニルアセテート、ポリビニルアルコールとそのコポリマー、ポリビニルエーテルとそのコポリマー、ポリ−2−エチル−オキサゾリンと誘導体、ポリビニルピロリドンとそのコポリマー、熱可塑性セルロース誘導体、及びそれらの混合物から成る群から選択される熱可塑性ポリマーまたはポリマーの混合物を含み、
その際、前記第二層は、酸、エステル、アミド、アルコール、多価アルコール、またはそれらの混合物から成る群から選択される、好適な相溶性の親水性可塑剤または親水性可塑剤のブレンドを更に含み、
前記第一層は前記第二層の吸水率より低い吸水率を有することを特徴とし、前記吸水率は両方共試験方法ASTMD 570−81により測定される。
【0014】
更に、本発明は、前記多層構造体を含む、または前記多層構造体から製造される水蒸気透過性、液体不透過性物品であって、それらが液体の水と接触する場合、または接触する可能性がある場合に良好な寸法安定性と相まって高い通気性を有する、水蒸気透過性、液体不透過性物品に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
用語「通気性のある」及び「通気性」は、本明細書において「水蒸気透過性(moisture vapour permeable)」または「水蒸気透過性(water vapour permeable)」に対応するように意図されており、「水蒸気(Moisture vapour)」及び「水蒸気(water vapour)」はまた等価なものであると考えられている。
本発明により、水蒸気透過性液体不透過性多層構造体、並びに前記多層構造体を含む物品が提供される。
【0016】
本発明による水蒸気透過性、液体不透過性多層構造体は、少なくとも一つの水蒸気透過性、液体不透過性の第一層(これは液体の水と接触することを意図する)及び少なくとも一つの水蒸気透過性、液体不透過性の第二層(これは前記第一層により、液体の水と接触することから保護されることを意図する)を本質的に含み、その際前記第一層は前記第二層の吸水率より低い吸水率を有し、前記吸水率は両方共試験方法ASTMD 570−81により測定される。
【0017】
水蒸気透過性、液体不透過性物品、及び特に本発明による水蒸気透過性、液体不透過性多層構造体を含む、成形された三次元の水蒸気透過性、液体不透過性物品が提供される。
前記多層構造体は熱可塑性組成物を、おそらく純粋なポリマーとの組み合わせとして含み、向上した水蒸気透過性、及び寸法安定性を有する。
【0018】
熱可塑性組成物は、本発明の多層構造体の主要な材料または唯一の材料を構成することができる。後者の場合、構造体は熱可塑性組成物のみから製造され、次には物品はこの多層構造体から完全に構成されることができる。あるいは、熱可塑性組成物は、物品の中に含まれる複合多層構造体を作り出すために、一以上の他材料との組み合わせにより使用されることもできるし、熱可塑性組成物はまた多層構造体を完全に構成することもでき、これは次に本発明の物品の他要素と組み合わされる。多くの場合において、成形された物品が熱可塑性組成物から実質的にまたは完全に構成されることは好ましいことであり、これにより追加の材料を使用することなく多層構造体を提供することができる。
【0019】
前記熱可塑性組成物は、本発明の多層構造体に混和するのに有用であり、消費者に供給される成形された三次元であり得る物品に混和するのに有用である。故に前記物品は、二次元または平面的形態とは対照的に、何らかの三次元形態または形状を表す少なくとも一つの領域を持つ。こうした三次元形態または形状は、単純なまたは複雑な表面幾何学を伴ってもよい。この範囲を表す例には、適切な角度(90度)を規定して一つの直線で結合する二つの平面、または単純な球体のような、より単純な構造体から、非線形型に交わる二つの波形表面のような、より複雑な構造体までが挙げられる。
しかしながら、平面的物品もまた本発明の多層構造体を含むことが可能である。
【0020】
前記成形された物品は、球形のボール若しくは立方体のように閉じた形態に成形されてもよいし、またはハンドカバー若しくは手袋のように一以上の開口部を有して成形されてもよい。
【0021】
導入された力または圧力に反応して、物品は変形を示す、即ちその形状を変化若しくは変更してもよい。次の定義に限定しないが、こうした変形は物品全体の全体的膨張または収縮として考えられ、一つの方法として物品表面の通常境界線内における密閉体積の変化により測定されるか、あるいは物品の最外表面により規定される限局性空間の体積変化により測定される。
【0022】
このような導入された力または圧力には、外部的にまたは内部的に適用される圧力の増加または減少(真空)、機械的圧縮力、及び物品の壁自体に適用される張力(即ち物品の壁の一部分を引っ張ること)が挙げられるが、これらに限定されない。
適用された力または圧力が一旦取り除かれた場合における物品の変形後の反応は、全形状の回復から不可逆的形状変化にまで分布することができる。
こうした物品は何回も再使用できるか、または対象とする物品寿命が廃棄または再生前の1回使用だけではないように構築できる。
【0023】
物品、特に本発明の多層構造体を使用する成形された三次元物品は、特に水蒸気の浸透を必要とするが、液体障壁の保護がなお望ましい様々な使用分野において用いられることもできる。本発明の多層構造体を用いる物品は、その他の障壁機能を提供すること、例えば、病原体障壁、ヒトの皮膚に有害な効果を及ぼすもののような望ましくない若しくは有害な化学物質ヘの障壁を提供すること、または阻止されるべきその他の特定要素、例えば特定の化学物質、気体、若しくは生物学的存在ヘの選択的障壁を提供することができる。
【0024】
次の段落では、本発明の多層構造体を使用する物品が有用な利益を提供できる用途の範囲例を提供する。分類の列挙は例示を目的とするものであり、包括的なものではなく、従って限定するものではない。
【0025】
本発明の多層構造体は、吸収性物品、創傷治療物品、または化粧品のようなパーソナルケア製品内に有効に使用されることができる。非限定的例は、おむつ、衛生ナプキン、パンティライナー、失禁用製品、及び母乳パッドのような吸収性物品;創傷及び火傷用包帯剤(dressing)及び包帯(bandage)、医療用の温めまたは冷却用パッド;傷当て、医療または美容の治療用で、活性物質を含有及び供給する可能性のある、包帯または覆い;腋窩、手首、及び頭部の発汗のためのパッドのような汗取りパッド、襟インサート、靴インサート、ハットバンド;皮膚上または毛髪上に通気性のフィルム、ネイルポリッシュなどを作り出すためのメークアップ、フェイスマスク、口紅、またはヘアージェルのような化粧品である。
【0026】
本発明の多層構造体を含むその他の物品は、身体または身体の部位用保護物品を含む。非限定的例は、作業着または手術着などのような保護衣類;手袋、指サック、長手袋、ミトンなどのハンドカバー;靴下、ストッキング、パンティーストッキング、靴、スリッパなどのフットまたはレッグカバー;帽子、キャップなどのヘッドカバー;コンドームのような性病予防及び避妊の工学的物品;フェイスマスク、鼻カバー、耳カバー、またはミットなどのフェイスカバー;スポーツ及びフィットネス用衣料品ウインド・チーター(wind cheaters)、寝袋;男性器「競技用」サポーター、ブラジャーなどの身体サポート品;下着、保護スリーブとして、または保護パッド中に一部または全体を組み込んだものとして使用するための衣類を含む。物品及び用途のその他の例としては、これに限定するものではないが、ヒト用の柔軟性衣料物品またはドレープ衣料物品、例えば、シャツ、パンツ、下着、よだれかけ、スモック、コート、スカーフ、ボディラップ(body wrap)、ストッキング、レギンス、スカート、ドレスなどの非限定的例が挙げられ;医療専門家用、農業業務用、機械組立及び修理業用、緊急公的業務用、軍用、競技用、清掃用を包含する種々の作業及び業務用の他柔軟性衣料若しくはドレープ衣料または保護シート;動物のための保護衣類が挙げられる。
【0027】
本発明の多層構造体を含む物品の更なる分類は、保護の目的のための物品を含む。好ましい保護物品は、リネン、マットレス、及び枕カバーのような保護寝具カバーを含む。またクッション、掛け布団、羽根ぶとん、ヘッドボードのようなベッドの布張り部分、またはソファー若しくはひじ掛けいすの布張り部分のための保護カバーが含まれる。他の非限定的例は、電子/電気製品用埃カバー(例えばコンピューターのキーボード、ハードドライブ、ビデオレコーダーなど)、乗り物、例えば飛行機/列車内の座席用ヘッドレストカバー、シュリンクラップ、1回使用のテーブルカバーなどのような保護物品を含む。生鮮食品及び焼いてある食品(パン、ロール、ケーキ)のような食品用などの包装用物品、例えば冷蔵庫内での食品保存用袋、または同様に電子レンジ用包装フィルム、または例えばピザのような熱い「持ち帰り用」食品用の包装がある。更なる例は、農耕または園芸用物品を含み、例えば非限定的例としては、個々のまたは特定の植物群を部分的または全体的に囲むために設置される個々の物品(容器、三次元「バッグ」)である。布張りをしたいす及びソファーなどのための保護カバーのような家具用保護カバーもまた含まれる。他の別の保護物品は、建築用屋根葺き材及び家屋の覆い、スキー、ウィンドサーフ及び自転車/オートバイ用胸当てズボン、絨毯及び壁紙の裏材、キャンプ用テント、様々な品々(例えば車、テニスコート、スポーツグラウンドなど)のための保護シート、庭/温室保護用シート、テニスコート、スポーツグラウンドの閉鎖/保護用テント、低温からの植物保護のための品々などを含む。
【0028】
本発明の多層構造体が、典型的には少なくとも二つの異なる別々の溶媒またはエマルションに基づく組成物の形態で及び室温で、本発明による多層構造体を作り出すために、スプレー/はけ塗り/ロールコーティングにより適用される別の用途は、石、コンクリート、木材(例えば家具)のような硬質面用のあるいは剥離可能な保護コーティング、靴/皮革物品または布地のコーティング/防水用のあるいは剥離可能な保護コーティング、車用保護コーティング(例えば船による輸送中)、長期間使用しない間の、車、船などのための保護コーティング、通気性ペンキなどを含む。
【0029】
より一般には上述の多くの異なる用途において可能であればいつでも、本発明の多層構造体は、すでに形成された構造体として提供されることができるか、あるいは液体形態(少なくとも二つの異なる及び別々の液体組成物)として、例えばスプレーまたははけ塗りにより適用されることができるかのいずれかであり、及びまた、例えば美容用、医療用、または保護用組成物中に身体への活性剤または植物への活性剤を含む可能性もある。
【0030】
一般に本発明の多層構造体を含むすべての物品は、一般に柔軟性であることまたは硬直性であることができる。
【0031】
本発明による多層構造体を利用する成形された三次元物品の好ましい分類は、ハンドカバー物品、より具体的には手袋を含み、これはまた二つの平らな材料部分から製造される手袋であって、少なくとも一つの材料部分は本発明の構造体を含み、この二つの部分は手の形状を典型的に規定する通常境界線の周囲で結合し、これらがその後の使用中に前記境界線中に含まれる開口部を通して手が挿入された場合に、より満たされた、より大きな体積の三次元形状を後に取る手袋も含む。
【0032】
本発明の水蒸気透過性、液体不透過性多層構造体は、本明細書で記載するように、改善された寸法安定性、及び水または水に基づく流体と接触した場合の耐性と相まって強化された通気性を提供することをわれわれは見出した。
上記の物品に、本発明による水蒸気透過性、液体不透過性多層構造体を含むことにより、改善された物品を得ることができる。
【0033】
特に、強化された通気性、寸法安定性、及び耐性を有する構造体は、次には非限定的例として手袋のような物品に組み込まれることができるか、または完全に構成することができ、この物品は少なくとも一つの水蒸気透過性、液体不透過性の第一層、及び少なくとも一つの水蒸気透過性、液体不透過性の第二層を含む、水蒸気透過性、液体不透過性多層構造体を利用することにより得ることができ、前記第二層は、ポリウレタン、ポリ−エーテル−アミドブロックコポリマー、ポリエチレン−アクリル酸コポリマー、ポリエチレンオキシドとそのコポリマー、ポリラクチドとコポリマー、ポリアミド、ポリエステル、コポリエステル、ポリエステルブロックコポリマー、スルホン化ポリエステル、ポリ−エーテル−エステルブロックコポリマー、ポリ−エーテル−エステル−アミドブロックコポリマー、ポリアクリレート、ポリアクリル酸と誘導体、イオノマー、ビニルアセテートの含有量が少なくとも28重量%であるポリエチレン−ビニルアセテート、ポリビニルアルコールとそのコポリマー、ポリビニルエーテルとそのコポリマー、ポリ−2−エチル−オキサゾリンと誘導体、ポリビニルピロリドンとそのコポリマー、熱可塑性セルロース誘導体、及びそれらの混合物から成る群から選択される熱可塑性ポリマーまたはポリマーの混合物を含み、及びその際、前記第二層は、酸、エステル、アミド、アルコール、多価アルコール、またはそれらの混合物から成る群から選択される、好適な相溶性の親水性可塑剤または親水性可塑剤のブレンドを更に含み、その際前記第一層は前記第二層の吸水率より低い吸水率を有し、前記吸水率は両方共試験方法ASTMD 570−81にしたがって測定される。
【0034】
好ましくは、本発明による水蒸気透過性、液体不透過性多層構造体を含む物品において、多層構造体の少なくとも第一層は、物品に含まれる構造体の最外層を構成する。
より具体的には、前記多層構造体の前記第一層は好ましくは、ASTM D 570−81により測定された、10%未満の、好ましくは5%未満の、及びより好ましくは2%未満の吸水率を有し、一方前記第二層は好ましくはASTM D 570−81により測定された、少なくとも30%の、好ましくは少なくとも40%の、及びより好ましくは少なくとも50%の吸水率を有する。これは、多層構造体が、例えば少なくとも二つの層から成り、前記第二層が物品の内部層またはコア層を構成し、及び前記第一層が外部層を構成し、これは液体の水と接触するかまたは接触する可能性があることを意図し、前記多層構造体から完全に製造された物品中に前記多層構造体が含まれる場合に、特に好ましい。
【0035】
特に、ポリウレタンに基づくフィルムから製造された通気性手袋に関して、こうした手袋の改善を取り扱う場合に、一般に通気性の望ましい増加により機械的特性の低下が生じることを指摘する必要がある。例えば、PCT国際公開特許WO99/64077及びWO99/64505に教示されるように、好適な可塑剤を含む、熱可塑性ポリウレタン(TPU)に基づく層に関して、それらは良好な機械的特性及び高い通気性を有するが、残念ながらこの親水性のTPUは液体の水に接触した場合に直ちに及びおびただしい膨張を一般に示すことに注意する必要がある。この膨張は、液体の水の吸収によるものであるが、手袋の機械的特性の低下に加えてまたその寸法を容認できない程度にまで変更させる。われわれは、本発明による多層構造体を用いることにより上記の問題を解決することを発見した。実際、親水性ポリマーに基づく層(第二層)を、第二層の吸水率より低い吸水率を有する薄い層(第一層)でコーティングすることにより(吸水率は両方共試験方法ASTMD 570−81により測定される)、及び好ましくは、このコーティング層が、上記の標準により10%未満の、好ましくは5%未満の、及びより好ましくは2%未満の吸水率を有する場合には、上記の問題は解決される。コーティング層(第一層)は、液体の水を吸収することにより膨張し通気性に大きな害を与える親水性のコア(第二層)への、液体水の直接接触を回避する。
【0036】
一般にコーティングの厚さは、内部の親水性の層(コア層)の膨張に対して有効作用を提供しながら通気性への悪影響を回避するためにできる限り薄いことが必要である。
【0037】
一方、第一層の存在により、高度に親水性のコア層(第二層)の使用が可能になり、その結果として十分な厚さを有する高度な通気性コア層の使用が可能になり、物品に必要な機械的耐性を与えることができる。好ましくは、この第二層またはコア層は、少なくとも30%の、好ましくは少なくとも40%の、及びより好ましくは少なくとも50%のASTMD 570−81による吸収率を有することが必要である。
【0038】
また上記のように、より一般には本発明の水蒸気透過性、液体不透過性多層構造体は、少なくとも一つの水蒸気透過性、液体不透過性の第一層、及び少なくとも一つの水蒸気透過性、液体不透過性の第二層を含み、その際前記第一層は前記第二層の吸水率より低い吸水率を有し、前記吸水率は両方共試験方法ASTMD 570−81により測定される。
【0039】
本発明をよりよく理解するために、次に前記第一層及び前記第二層についてより詳細な方法で記載する。
【0040】
(水蒸気透過性、液体不透過性第二層)
本明細書における第二層はまた親水性ポリマーに基づく層、またはコア層、または内部層として表される。
【0041】
本発明の水蒸気透過性、液体不透過性多層構造体の水蒸気透過性、液体不透過性第二層のための熱可塑性組成物に含まれる、好適な熱可塑性ポリマーは、特許出願PCT国際公開特許WO99/64077及びWO99/64505に記載されるものと同一であるかまたは類似しており、ポリウレタン、ポリ−エーテル−アミドブロックコポリマー、ポリエチレン−アクリル酸コポリマー、ポリエチレンオキシドとそのコポリマー、ポリラクチドとコポリマー、ポリアミド、ポリエステル、コポリエステル、ポリエステルブロックコポリマー、スルホン化ポリエステル、ポリ−エーテル−エステルブロックコポリマー、ポリ−エーテル−エステル−アミドブロックコポリマー、ポリアクリレート、ポリアクリル酸と誘導体、イオノマー、ビニルアセテートの含有量が少なくとも28重量%であるポリエチレン−ビニルアセテート、ポリビニルアルコールとそのコポリマー、ポリビニルエーテルとそのコポリマー、ポリ−2−エチル−オキサゾリンと誘導体、ポリビニルピロリドンとそのコポリマー、熱可塑性セルロース誘導体、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0042】
上記の特許出願に開示されるように、特に好適な好ましい熱可塑性ポリマーは、熱可塑性ポリエーテル−アミドブロックコポリマー(例えばペバックス(Pebax(商標)))、熱可塑性ポリエーテル−エステル−アミドブロックコポリマー、熱可塑性ポリエステルブロックコポリマー(例えばハイトレル(Hytrel(商標)))、熱可塑性ポリウレタン(例えばエスタン(Estane(商標)))、またはそれらの混合物である。
【0043】
こうした熱可塑性ポリマーまたはポリマー混合物は、フィルムまたは層形成の既知の方法、例えば高出力スクリュー押出機を伴う押出成形方法の典型的な処理条件における溶融状態で、典型的には高度に粘稠であることが可能である。例えば、それらの粘度は、DSC(示差走査熱量計)融点より20℃高い温度において、1ラジアン(rad)/秒の振動数で、5000ポアズより高い可能性があり、このDSC融点とは、DSCピークに相当するものとして、あるいは二つ以上のピークを示すポリマー混合物の場合には最大DSCピークに相当するものとして識別される温度である。
【0044】
上記の特許出願に開示されたように、本発明の多層構造体の水蒸気透過性、液体不透過性第二層に含まれ、及び好ましい熱可塑性ポリマーまたはポリマー混合物を含む熱可塑性組成物の粘度は、熱可塑性ポリマーと相溶性があり、溶融状態の熱可塑性ポリマーまたはポリマー混合物の粘度を低下させる好適な可塑剤または可塑剤のブレンドを熱可塑性組成物中に含むことにより好ましくは調整されることができる。
【0045】
好ましい好適な親水性可塑剤または親水性可塑剤のブレンドを含む熱可塑性組成物は、次の複素粘度(η*)を有する:
振動数が1ラジアン/秒、温度が210℃以下において、50ポアズ<η*<4000ポアズ、好ましくは100ポアズ<η*<2000ポアズ、より好ましくは100ポアズ<η*<1000ポアズであり、振動数が1000ラジアン/秒、210℃以下の処理温度(T)において、η*<2000ポアズ、好ましくはη*<1000ポアズ、より好ましくはη*<500ポアズであり、その際、η*は熱可塑性ポリマー組成物の複素粘度を表す。好ましくは、温度Tは200℃以下、及びより好ましくは180℃以下、及び最も好ましくは200℃〜50℃である。
【0046】
記載された複素粘度を有する熱可塑性組成物は、本発明の多層構造体に含まれる水蒸気透過性、液体不透過性第二層を提供するために、より容易に加工可能である。例えば、前記熱可塑性組成物は、親水性の水蒸気透過性、液体不透過性の連続層またはフィルムを提供する場合に好ましい熱可塑性ポリマーの有利な特性を保持しながら、例えば必要な厚さを有する層の中に低粘度ホットメルト組成物を加工するための当該技術分野において既知の装置を用いて、フィルムまたは層を形成することを可能にさせる。本発明による多層構造体を含む物品を製造するためのその他の既知の方法、例えば成形、鋳造などはまた熱可塑性組成物のより低い粘度を利用している。
【0047】
このような粘度を有する熱可塑性組成物はまた、非常に薄いフィルムまたは層を提供することもできる。
【0048】
加えて上記の特許出願に説明されているように、本発明における多層構造体の第二層の熱可塑性組成物中に含まれる親水性可塑剤、または親水性可塑剤のブレンドを、酸、エステル、アミド、アルコール、多価アルコール、またはそれらの混合物から成る群から選択することにより、熱可塑性組成物から形成された結果の構造体、例えば層またはフィルムの強化された水蒸気透過性は、同じ熱可塑性ポリマーを含むが可塑剤を含まない熱可塑性組成物から形成された対応する構造体と比較した場合に達成される。
【0049】
選択された親水性可塑剤または親水性可塑剤のブレンドはまた熱可塑性組成物の粘度を、熱可塑性組成物の加工を促進するために、上記の方法の内の一つにより好ましい値に調整することができ、例えば本発明の水蒸気透過性液体不透過性多層構造体に含まれる水蒸気透過性液体不透過性第二層を形成するために、所望の厚さを有する層またはフィルム中に前記熱可塑性組成物を押出すことにより熱可塑性組成物を加工可能にする。
【0050】
好適な好ましい親水性可塑剤は、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、ソルビン酸、フマル酸、乳酸、グリセリン酸、リンゴ酸の各エステル;グリセロール及びそのエステル;ソルビトール;グリコール酸塩;及びそれらの混合物である。
【0051】
好ましくは本発明の水蒸気透過性液体不透過性第二層に含まれる熱可塑性組成物は、熱可塑性組成物の20重量%〜90重量%、好ましくは35重量%〜85重量%、及びより好ましくは60重量%〜80重量%の熱可塑性ポリマーまたはポリマー混合物、及び熱可塑性組成物の10重量%〜80重量%、好ましくは15重量%〜65重量%、及びより好ましくは20重量%〜40重量%の好適な親水性可塑剤または親水性可塑剤のブレンドを含む。
【0052】
コア層に特に好ましいポリマーは親水性の熱可塑性ポリウレタン(TPU)であって、例えばエスタン(Estane(商標))58245またはエスタン(Estane(商標))T5410(両方共BFグッドリッチ(BF Goodrich)より入手可能である)、及びそれらの混合物であり、一方、上記のポリマーとブレンドされる好ましい親水性可塑剤は、シトレート、グリセロールエステル、タータラート、ポリプロピレングリコール(PPG)−ポリエチレングリコール(PEG)ブロックコポリマー、ポリエチレングリコールエステル、スルホンアミドである。特に好ましいのは高度に極性の可塑剤であり、例えばトリエチルシトレート(TEC)、またはエスタン(Estane(商標))58245若しくはエスタン(Estane(商標))T5410とブレンドされるジアセチン(DA)、及びそれらの混合物である。
【0053】
本発明の多層構造体の水蒸気透過性液体不透過性第二層に含まれる、選択された熱可塑性組成物は、少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、及びより好ましくは少なくとも50%のASTM D 570−81による吸水率を有することが必要である。
【0054】
次の表Iは、前記第二層に有用な、ペレット形態(ペレットの寸法:3〜5mm)の幾つかの純粋な親水性ポリマー、及びフィルム形態(厚さ:約100マイクロメートル)の幾つかの熱可塑性親水性組成物について、ASTM D 570−81による吸水率の値を報告している。
【0055】
【表1】
【0056】
次の表IIは、蒸留水の代わりにトリエチルシトレート(TEC)及びジアセチン(DA)のような液体可塑剤を使用する変更のみを有する上記と同じ標準のASTM D 570−81方法を用いて得られる、ペレット形態の幾つかの純粋な親水性ポリマーについて、可塑剤の吸収の値を報告している。
【0057】
【表2】
可塑剤の吸収の上記の値は、ポリマーに関する液体可塑剤の溶解度または相溶性を示すものであり、及びそれらの重要性は本発明の多層構造体の第一層に関して、以下により詳しく説明する。
【0058】
(水蒸気透過性、液体不透過性第一層)
前記第一層は、以下の記述においてまた外部層、またはコーティング層として表される。
【0059】
本発明による多層構造体の水蒸気透過性、液体不透過性第一層に含まれる好適な熱可塑性ポリマーは、形成された層が、本発明の多層構造体に含まれる水蒸気透過性、液体不透過性第二層のASTMD 570−81による吸水率より低い、ASTMD 570−81による吸水率を有することを条件として液体不透過性及び水蒸気透過性であるフィルム層の中に加工されることができる、いかなる既知の熱可塑性ポリマーでもある。
【0060】
水蒸気透過性、液体不透過性第一層に含まれる特に好ましい熱可塑性ポリマーは、第二層に含まれる同じポリマーあるいは類似のポリマーより構成されることができ、この類似のポリマーとは、例えば対応する第二層の熱可塑性組成物のポリマーまたはポリマー類と比較して、例えば通気性または吸水率について異なる特性を有するために、同じ広義の種類のポリマーではあるが、異なる等級であるポリマーのことである。従って、第一層に含まれる熱可塑性ポリマーは、上記に参照された特許出願PCT国際公開特許WO99/64077及びWO99/64505に記載されるものの中から選択されることができる。前記熱可塑性ポリマーには一般に、ポリウレタン、ポリ−エーテル−アミドブロックコポリマー、ポリエチレン−アクリル酸コポリマー、ポリエチレンオキシドとそのコポリマー、ポリラクチドとコポリマー、ポリアミド、ポリエステル、コポリエステル、ポリエステルブロックコポリマー、スルホン化ポリエステル、ポリ−エーテル−エステルブロックコポリマー、ポリ−エーテル−エステル−アミドブロックコポリマー、ポリアクリレート、ポリアクリル酸と誘導体、イオノマー、ポリエチレン−ビニルアセテート、ポリビニルアルコールとそのコポリマー、ポリビニルエーテルとそのコポリマー、ポリ−2−エチル−オキサゾリンと誘導体、ポリビニルピロリドンとそのコポリマー、熱可塑性セルロース誘導体、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0061】
特に好適な熱可塑性ポリマーは、熱可塑性ポリエーテル−アミドブロックコポリマー(例えばペバックス(Pebax(商標)))、熱可塑性ポリエーテル−エステル−アミドブロックコポリマー、熱可塑性ポリエステルブロックコポリマー(例えばハイトレル(Hytrel(商標)))、熱可塑性ポリウレタン(例えばエスタン(Estane(商標)))、またはそれらの混合物であることができる。
【0062】
本発明の水蒸気透過性、液体不透過性多層構造体の第一層は、好ましくは上記に開示されたものの中から選択される、純粋な熱可塑性ポリマーまたは熱可塑性ポリマーの混合物により構成されることができるか、あるいは追加の構成成分、例えば第二層の中に含まれる熱可塑性組成物に関して記載されたもののような可塑剤を含むことができる。可塑剤の包含については、結果として得られる組成物の粘度及び通気性に関して、本発明の多層構造体の第二層に含まれる組成物に対してすでに行われたのと同じ考察がまた第一層に含まれる組成物についても適用される。
【0063】
いずれにしても、上述のように、前記第一層は、本発明の多層構造体に含まれる水蒸気透過性、液体不透過性第二層のASTMD 570−81による吸水率より低いASTMD 570−81による吸水率を有さなければならない。
前記第一層は好ましくは、10%未満、好ましくは5%未満、及びより好ましくは2%未満のASTMD 570−81による吸水率を有する。
【0064】
第一層に特に好適な具体的なポリマーは、エスタン(Estane(商標))5740x955、エスタン(Estane(商標))58281、エスタン(Estane(商標))58881、エスタン(Estane(商標))58313、エスタン(Estane(商標))58280(エスタン(Estane(商標))シリーズ、米国、BFグッドリッチ(BF Goodrich)より入手可能)、ロトリル(Lotryl)280 BA 175(フランス、アトフィナ(Atofina)より入手可能)、またはフィナプレン(Finaprene)602(ベルギー、フィナ・ケミカルズ(Fina Chemicals)より入手可能)、またはエルバックス(Elvax)240、エルバックス(Elvax)170(エルバックス(Elvax)シリーズ、米国デュポン(Du Pont)より入手可能)、及びそれらの混合物であり、いかなる可塑剤も添加されない。
【0065】
次の表IIIは、前記第一層に有用なペレット形態(ペレットの寸法:3〜5mm)の幾つかの純粋な熱可塑性ポリマーについて、ASTMD 570−81による吸水率の値を報告している。
【0066】
【表3】
【0067】
次の表IVは、蒸留水の代わりにトリエチルシトレート(TEC)及びジアセチン(DA)のような液体可塑剤を使用する修正のみを有する上記の標準の試験方法ASTM D 570−81を用いて得られる、ペレット形態(前の表で記載した)の幾つかの純粋なポリマーについて、可塑剤の吸収の値を報告している。
【0068】
【表4】
可塑剤の吸収の上記の値は、ポリマーに関する可塑剤の溶解度または相溶性を示している。
【0069】
一般に、本発明の多層構造体の水蒸気透過性、液体不透過性第二層に含まれる好適な親水性可塑剤または親水性可塑剤のブレンドの相溶性が、本発明の多層構造体の水蒸気透過性、液体不透過性第一層の、同じ好適な親水性可塑剤または同じ親水性可塑剤のブレンドの相溶性より高いことが好ましい。
【0070】
上記のことは、手袋のように外部層(本発明の多層構造体の第一層に相当する)から移動し、手袋が接触するものへ付着する可能性のあるいかなる可塑剤も添加せずに、純粋なポリマーまたはそれらの混合物から製造する外部層を有することが好ましい、多層構造体の幾つかの用途において殊更真実である。
【0071】
換言すれば、多層構造体のコア層(第二層)から外部層(第一層)への可塑剤の起こりうる移動を回避するために、コア層(第二層)に存在する選択された可塑剤または可塑剤のブレンドは、前記外部層より、前記コア層とより相溶性であることが必要である。室温で液体である可塑剤の場合には、可塑剤のそれぞれの層での相溶性を示すものは、ポリマー中への、あるいは層の組成物中への可塑剤の溶解度により与えられ、ポリマー中へまたは組成物中への液体可塑剤の吸収により表される。上記のように、これは、吸水率について用いられた同じ標準試験方法であるASTMD 570−81により、単に蒸留水を特定の液体可塑剤と置き換えることにより測定することができる。典型的には、純粋なポリマー中または層のポリマー中での液体可塑剤の吸収は、上記の表II及びIVに示されるように、前記相溶性を示すものとして解釈される。
【0072】
理想的には、コア層に含まれる可塑剤は、前記外部層に可溶性または相溶性であるべきではない。可塑剤の望ましくない移動を回避するまたは制限する別の有用な規準は、再び液体可塑剤の場合には、可塑剤または可塑剤のブレンドを、コア層でのそれぞれの溶解度より低い百分率でコア層に添加すること、及び選択された可塑剤または可塑剤のブレンドの低い吸収を有する純粋なポリマーまたは純粋なポリマーのブレンドを外部層に用いることである。
【0073】
また上記のように、可塑剤吸収の値は液体可塑剤のポリマーまたは熱可塑性組成物への溶解度または相溶性を示すものであるが、より一般には、液体または固体可塑剤(類)の熱可塑性ポリマーまたは組成物への溶解度または相溶性は、当該技術分野において既知であるように、その他の好適な方法により測定できることに、注目すべきである。
【0074】
本発明の好ましい実施形態によると、本発明の多層構造体の水蒸気透過性、液体不透過性第一層に含まれる可能性のある好適な親水性可塑剤または親水性可塑剤のブレンドの含有量は、50重量%以下、好ましくは10重量%以下、及びより好ましくは0重量%であることが必要である。
【0075】
本発明の水蒸気透過性液体不透過性多層構造体に含まれる熱可塑性組成物は加えて、組成物の加工可能性、及びまたこうした熱可塑性組成物から形成された多層構造体の機械的特性、並びに粘着性、光及び酸素による老化に対する耐性、外観などのその他の特性を更に改善するために追加の任意構成成分を含んでもよい。
【0076】
このような任意構成成分には、125℃以下の軟化点を有する粘着性樹脂または粘着性樹脂のブレンドが挙げられる。好適な樹脂は、熱可塑性組成物の50重量%までで存在してもよく、ロジン及びロジンエステル、炭化水素樹脂、脂肪族樹脂、テルペン及びテルペン−フェノール樹脂、芳香族樹脂、合成C5樹脂、合成C5〜C9樹脂の混合物、及びそれらの混合物から選択されてもよい。前記熱可塑性組成物のその他の任意構成成分には、酸化防止剤、紫外線防止剤、顔料、染料、及びそれらの混合物が挙げられ、これらは組成物中に組成物の10重量%までの濃度で存在してもよい。
【0077】
(製造方法)
水蒸気透過性、液体不透過性物品に続いて含まれる、本発明に基づく水蒸気透過性、液体不透過性多層構造体は、熱可塑性ポリマーまたはポリマー混合物及び好適な可塑剤または可塑剤のブレンドを提供すること、構成成分を加熱しそれらを配合することであって、例えば既知の好適な混合機により、好ましくは所望の複素粘度η*を有する溶融状態の熱可塑性組成物を形成するために配合することを典型的には含む工程により製造されてもよい。明らかに、この手順は本発明の多層構造体に含まれる各層について、特に上文に説明したように常に可塑剤を含有する第二層の熱可塑性組成物に関して実行される。可塑剤のような添加される構成成分のない単一ポリマーにより構成される層の場合、典型的には本発明の好ましい実施形態による第一層の場合には、もちろんいかなる付随する工程も必要としない。
【0078】
こうした熱可塑性組成物を含む本発明による水蒸気透過性液体不透過性多層構造体は、好ましくは少なくとも500g/m2・24h、好ましくは少なくとも1000g/m2・24h、最も好ましくは少なくとも1500g/m2・24hの水蒸気透過度を有する。
【0079】
本発明の多層構造体を含む物品は、様々な既知の熱可塑性物質形成方法により形成されることができるし、または成形されることもできる。こうした方法のある種類は一般には「モールディング」と表現され、そこでは材料は多くの場合オスまたはメスの金型または金型の組み合わせにより成形される。技術によって、特定の加工温度及び圧力(または真空)条件が、所与の物品の製造に好ましい可能性がある。こうした既知の成形方法には:浸漬成形、吹込成形、射出成形、圧縮成形、熱成形、真空熱成形、押出成形、回転成形、吹出成形などが挙げられるがこれらに限定されない。
【0080】
その後、物品及び金型(類)は分離される。多くの場合、介在処理工程があってもよい。介在工程または複数の介在工程の性質は、成形技術、環境条件、材料の形式などによって変化する。例えば、浸漬成形物品は:(i)熱可塑性組成物の原材料形態に溶媒に基づく形式が選択された場合には、多層構造体の各層から溶媒を除去するため;(ii)熱可塑性組成物の原材料形態にエマルションに基づく形式が選択された場合には、前記各層から水を除去するため;または(iii)熱可塑性組成物の原材料形態にホットメルト形式が選択された場合には、熱を除去するために処理されることが必要になる可能性がある。もちろん、この更なる除去処理工程及び一般に上記の考察は、本明細書に記載の既知の形成方法のいかなるものにも適用することができ、また本発明のような多層構造体に関して適用することができる(例えば成形若しくは鋳造、またはコーティング)。
【0081】
本発明の成形された三次元物品を製造する、主にその中に含まれる多層構造体を加工する、あるいは物品を完全に構成するためのその他の既知の方法にはまた、フィルム及びシート成形;ブロン・フィルム技術;追加の幅出し加工工程;追加のカレンダ加工工程;追加の冷却工程;追加の加熱処置工程などが挙げられる。特定の製造条件の性質または処理工程の種類若しくは順序は、選択される製造技術、環境条件、材料の形式などによって変化する。例えば、浸漬成形処理に関して上記に説明したように、多層構造体を構成する各層から:(i)溶媒;(ii)水;または(iii)熱を除去するために、処理工程を含む必要がある可能性がある。
【0082】
本発明による多層構造体は、二つを超える層で製造されることが可能である。これは様々な既知の手段により達成することができ、その手段には次の層のホットメルトコーティング、共押出し、押出被覆、上記の異なる技術による成形などが挙げられるが、これらに限定されず、これらはまた二層のみから製造される多層構造体にも適用可能である。
【0083】
結果として得られる多層構造体は、次いで典型的には、成形された形態に後形成されることができ、例えば熱成形、真空熱成形、並びに熱可塑性フィルム及びシートを成形または形成するその他既知の加工方法により後形成されることが可能である。これは上記のように多層構造体を含む典型的な成形物品の直接形成の代わりとなるものを構成する。
【0084】
時によっては、本発明の多層構造体を含む平面的な物品、または成形された三次元物品の全体が、前記多層構造体のみから構成されることが好ましい可能性もあるが、一方物品は一以上の他材料による複合体であることもできる。
【0085】
例えば、複合体は本発明の多層構造体を一以上の他材料との組み合わせにおいて伴うことができる。このような材料としては、これに限定するものではないが、繊維、繊維状芯(fibrous batts)、不織布、織布、紙、金属箔、微多孔性膜または多孔質膜、ポリマーフィルムなどのフィルム、圧縮石膏シートなどの無機構造体、穴あきまたは有孔フィルム及び紙、巨視的に延展されたフィルム、布、材木などの実質的に剛性の繊維に基づく材料が挙げられる。
【0086】
このような場合、本発明の多層構造体の少なくとも第一層が、前記複合体物品中の多層構造体の最外層を構成することが好ましい。
前記その他の構成成分は、非吸収性、吸収性、液体含有などでもよい。
【0087】
前記複合体は、本発明の多層構造体を使用する成形された三次元物品の少なくとも二つの別々の構成成分が部分的にまたは全体的に加工された後に、前記多層構造体を含む前記構成成分の少なくとも一つと共に組み立てられることができる。こうした構成成分は様々な既知の手法により、接着することができ、それには:シーリング、例えばヒートシール、超音波または加圧接合若しくは溶接、RFシール、レーザーシールなど;クリンピング;接着剤、のり、反応性結合物質、水またはその他の液体などによる湿潤などを使用する接着;フックとループシステム、くぎ、止め金、フックとグロメットまたはボルトとナットなどの金物類締め具による機械的固定または接続;電磁力(例えば磁気)及び電荷(例えば静電気)を含む引力の使用が挙げられるがこれらに限定されない。
【0088】
あるいはまたは併せて、他材料(類)を多層構造体形成処理、例えば成形の間に導入することができ、成形工程の間に同時に他材料(類)を複合体物品と結合させることができる。多数の別個の断片を含む材料、例えば繊維を、例を挙げれば導入することができる。非限定的例として、多層構造体の表面の一部分は成形処理の間に繊維性材料と接触し、フロック加工に通常用いられる従来の接着剤の必要なしにフロック加工された表面を作り出すことができる。製品例は手袋である。
【0089】
別の有用な技術は、スプレーコーティング処理である。上記の熱可塑性組成物は加熱スプレー技術に適しているが、加熱すると粘度が十分に低下し、スプレーコーティングまたはスパッタリングが可能になる。こうした熱可塑性組成物のスプレーコーティングは、オスまたはメスのいずれかの金型の助けにより、物品の表面または壁を次には構成する多層構造体を構成する少なくとも二つの層の内の各々を構築することができる。その後、物品と金型(または金型部分)は互いに分離される。あるいは、スプレーコーティング方法は、熱可塑性組成物の少なくとも二つの異なる出発原料形式、例えば溶媒に基づく手法またはエマルションを用いることができる。
【0090】
スプレーコーティングの手法を用いた複合体物品について、別の材料が多層構造体の金型として作用して、この別の材料が十分な三次元構造体をそれ自体で提供してもよく、その後それは十分にコーティングされ、金型からの物品の前述の分離をしないで複合体物品が完成する。前記組み合わされた物品の構成成分及び金型はまた、平たくした手袋のライナーを含むことができ、これは例えばスプレーコーティングによる多層構造体の製造の間にはやや平らな状態にある可能性があるが、その後の使用中に手が挿入されると、より満たされた、後により満たされた、より大きな体積の形状を取る。
【0091】
本発明の多層構造体の厚さは一定であることもできるし、構造内で変化することもできる。いかなる特定の厚さの範囲に限定されるものではないが、用途によっては好ましい範囲があってもよい。例えば装着用パーソナル物品の好ましい範囲は、望ましくは厚さ1500マイクロメートルから下に5マイクロメートル未満まで分布してもよく、及びより好ましくは、ある場合には実質的に5マイクロメートル未満である。対照的に、建築用途または更に包装用途では、都合により200〜2000マイクロメートル、あるいは更に厚い好ましい範囲が指示される。
【0092】
特に、本発明の多層構造体から製造される手袋に関しては、前記多層構造体の全体の厚さは、約10〜約1000マイクロメートル、好ましくは約20〜約400マイクロメートル、及びより好ましくは約40〜約200マイクロメートルであることが必要であることが見出された。
【0093】
一般に、及びまた特に本発明の多層構造体から製造された手袋に関して、多層構造体の第一層(類)の厚さは、前記全体の厚さの10%以下であること、好ましくは、前記全体の厚さの5%以下であること、及びより好ましくは、前記全体の厚さの3%以下であることが好ましい。
【0094】
上記のように、コーティング層(第一層)は、液体の水を吸収することにより膨潤し通気性に大きな害を与える親水性のコア(第二層)への、液体水の直接接触を防ぐ。
【0095】
一般にコーティング層の厚さは、内部の親水性の層(コア層)の膨張に対しては有効な作用を提供しながら通気性への負の効果を回避するためにできるだけ薄いことが必要である。好ましくは前記コーティング層の厚さは20マイクロメートル未満、好ましくは10マイクロメートル未満、及びより好ましくは5マイクロメートル未満であることが必要である。
【0096】
本発明の多層構造体を使用する物品は、ミクロ孔質と考えられる小さい空隙からより大きな空隙、巨視的な大きさの空隙までの範囲においてポリマーが存在しない領域を有してもよい。物品表面の一部またはすべてが有孔であることもできるし、孔は、穴またはスリットのようなやや単純な幾何学であることもできるし、または不連続な孔が、表面の水平平面を越えて延びることもできる。例として、突出部が、その末端部に位置する開口部を有することができる。更なる例としては、前記突出部は、米国特許第3,929,135号に記載されたものと類似した、じょうごの形状のものである。平面内に位置する孔と突出部自体の末端に位置する開口部は、突出部末端の開口部の横断面の寸法または面積が、層の衣類に面する表面内に位置する孔の横断面の寸法または面積より小さければ、円形または非円形であることができる。好ましくは、前記有孔の機能フィルムは、それらが完全でなくても少なくとも実質的に一方向流体輸送であるように、単方向である。
【0097】
本発明によると、上記の物品のすべては、少なくとも水蒸気透過性、液体不透過性第一層、及び水蒸気透過性、液体不透過性第二層を順に含む、水蒸気透過性、液体不透過性多層構造体を含むことに、注意する必要がある。
【0098】
平面的なまたは成形された三次元の水蒸気透過性液体不透過性物品に含まれることを意図する、本発明の水蒸気透過性液体不透過性多層構造体を製造する方法は、例えば選択された熱可塑性組成物を提供する工程、それらを流動性にするためそれらを加熱する工程、及び前記組成物を溶融状態で押出し、所望の厚さの多層構造体を構成する各フィルム層を形成する工程を含むことができる。前記構造体は、平面的物品または本発明による成形された三次元の水蒸気透過性液体不透過性物品、例えば指サック、長手袋、ミトン、手袋のようなハンドカバー物品、または上記のようなその他の物品に、当該技術分野において既知の方法の内の一つを用いて含まれるか、または形成されることができる。
【0099】
前記多層構造体は基材の援助により形成することができ、これは基材上に多層構造体の少なくとも二つの層をコーティングすることによる。前記基材は、単なる形成基材であることもでき、その上に所望の全体の厚さの前記構造体を形成するために、多層構造体の各層がコーティングされ、前記構造体はその後前記基材から分離され、そのように用いられることもできるが、水不透過性複合構造体はまた、前記多層構造体及び基材(基材の上に多層構造体を構成する各層がコーティングされる)を含んで形成されることもでき、その際この基材はまた好ましくは水蒸気透過性である。
【0100】
こうした実施形態は、平面的なまたは成形された三次元の水蒸気透過性液体不透過性物品の中に含まれる、水蒸気透過性、液体不透過性複合構造体を提供し、その際本発明の多層構造体の複合体物質の性能への寄与は液体障壁の提供だけであり、従ってできるだけ薄く有利に提供されることができる。残りの性能の物理的規準は好ましくは提供された基材によりもたらされるため、従って基材は好ましくはまた支持体層としても作用する。
【0101】
本明細書で支持体層として用いるのに好適な基材には、二次元平面ミクロ孔質及びマクロ孔質フィルム、巨視的に延展されたフィルム、成形有孔フィルム、不織布及び織布層が挙げられる。本発明によれば、前記層の孔はどのような構成であってもよいが、好ましくは球形または長楕円形であり、及び様々な寸法であってもよい。これらの孔は、好ましくは層の表面全体に均一に分散しているが、表面の特定の領域だけが孔を有する層もまた構想される。
【0102】
バックシートの好適な二次元の多孔質平面層は、当該技術分野で既知のいかなる材料から製造されてもよいが、好ましくは一般に入手可能なポリマー材料から製造される。好適な材料は、いわゆる通気性衣料におけるそれらの用途が当該技術分野で周知である、例えばゴアテックス(Goretex(商標))またはシンパテックス(Sympatex(商標))タイプの材料である。その他の好適な材料としては、ミネソタ・マイニング・アンド・マニュファクチャリング社(Minnesota Mining and Manufacturing Company)(米国ミネソタ州セントポール)のXMP−1001、及びエクソン・ケミカル社(Exxon Chemical Company)から供給されるエグザイア(Exxaire)XBF−101Wが挙げられる。本明細書で使用するとき、二次元平面層という用語は、1mm未満、好ましくは0.5mm未満の深さを有する層を指し、その際この孔は、これらの長さに沿って均一の平均直径を有し、及びそれらは層の平面から突き出していない。本発明でバックシートとして用いる有孔材料は、EPO293482及びその特許中の参照文献に記載されているような、当該技術分野において既知のいかなる方法を用いて製造されてもよい。加えて、この方法により製造された孔の寸法は、バックシート層の平面を横切って力を適用して(即ち、層を延ばして)大きくしてもよい。
【0103】
好適な成形有孔フィルムには、層の衣類に面する表面の水平面を超えてコアの方向に延び、それにより突出部を形成する不連続の孔を有するフィルムが挙げられる。これらの突出部は、その末端部に位置する開口部を有する。好ましくは、前記突出部は、すでに言及した米国特許第3,929,135号に記載されたものと類似した、じょうごの形状のものである。
【0104】
本明細書で用いるのに好適な、巨視的に拡張されたフィルムには、例えば、米国特許第4,637,819号及び米国特許第4,591,523号に記載されたようなフィルムが挙げられる。
【0105】
好適な支持体層には、織布及び不織布層、最も好ましくは疎水性の不織布のような疎水性の繊維性の層がまた挙げられる。
【0106】
この実施形態の複合水蒸気透過性多層構造体は、支持基材上に各層が所望の厚さを有するように本発明の多層構造体をコーティングしてもよい複合体を提供できる可能性を与えるため特に有利であり得る。ホットメルトの直接的マルチコーティングについて当該技術分野で既知の典型的なコーティング条件及び装置が、多層構造体を所望の全体の厚さ(即ち、多層構造体を構成する各層の厚さの合計)で、特に多層構造体を構成する異なる各層を所望の厚さで提供するために容易に使用され得る。
【0107】
本発明による多層構造体を、支持体層として作用する基材上にコーティングすることにより、複合積層体を形成するための可能な方法は、PCT国際公開特許WO96/25902に記載されている。
【0108】
本発明の多層構造体を構成する各層は熱可塑性組成物から製造されているため、複合構造体を形成するために多層構造体と基材の間に永久的付着を達成するために、追加の接着剤が必要ないような接着特性を、少なくともコーティング温度では支持基材上に示すことができる。幾つかの用途では、多層構造体またはそれを構成する少なくとも一つの層は、いかなる温度でも粘着性であることがまた望ましい。この場合、少なくとも一つの層に含まれる前記熱可塑性組成物は、感圧性接着剤の典型的特性を有するように配合されることが必要である。
【0109】
本発明の多層構造体を使用する水蒸気透過性液体不透過性物品は、多数の用途、特に液体不透過性及び水蒸気透過性が望ましい用途に有用性を見出している。より具体的には本発明は、成形された三次元の水蒸気透過性液体不透過性物品、例えば指サック、長手袋、ミトン、及び好ましくは手袋を含むハンドカバー物品、及びまた上記のようなその他の物品内に有効に使用されることができる。好ましくは、本発明の水蒸気透過性、液体不透過性多層構造体から製造されるハンドカバー物品は、その厚さが約100マイクロメートルである場合、少なくとも500g/m2・24h、より好ましくは少なくとも1000g/m2・24h、及びより好ましくは少なくとも1500g/m2・24hの水蒸気透過度を有することが必要である。
【実施例】
【0110】
(実施例1)
二層状手袋構造体が、従来の浸漬成形方法により製造される。
特に通気性手袋が、磁器製手袋形成機を選択されたポリマーまたは組成物の有機溶媒中に浸漬することにより製造される。一般に、溶媒の選択、濃度、粘度、溶液の温度は、熱可塑性組成物及び手袋の所望の厚さに従って、当該技術分野において既知であるように選択される。
【0111】
液体の水に接触することを意図する水蒸気透過性、液体不透過性第一層または外部層に含まれる熱可塑性組成物に用いられる材料は次のものである:
構成成分A(ペレット):ASTMD 570−81による吸水率4%を有する、エスタン(Estane(商標))5740x955。
【0112】
前記第一層により、液体の水との接触から保護されることを意図する、水蒸気透過性、液体不透過性第二層、または内部層、またはコア層に含まれる熱可塑性組成物に用いられる材料は次のものである:
構成成分B(ペレット):エスタン(Estane(商標))5824570重量%
構成成分C(液体):ジアセチン(アコーディス・ファイン・ケミカルズ社(Acordis Fine Chemicals Ltd)(英国)より入手可能な可塑剤30重量%。
【0113】
約100マイクロメートルの厚さのフィルム形態で試験された場合、この組成物はASTMD 570−81による吸水率65%を有する。
両方の組成物に用いられる溶媒は、ブレンタークA G(Brenntag A G)(ドイツ)より入手可能な安定化テトラヒドロフラン(THF)純度99.9%である。
【0114】
実施例の製品構造
水蒸気透過性、液体不透過性多層構造体は前記第一層及び第二層から成っており、この構造体は手袋を構成する。
【0115】
実施例の手袋を形成する方法
第一層または外部層のための溶液の調製(VPM2):
ペレット形態の構成成分Aを溶媒テトラヒドロフラン(THF)に撹拌しながら添加し、最終濃度約4重量%を得る。この溶液はVPM2と呼ばれる。
【0116】
第二層または内部層またはコア層のための溶液の調製(VPM1):
ペレット形態の構成成分Bを100℃で2時間、使用前に乾燥した。ペレットを溶媒(THF)にゆっくりと撹拌(磁気または機械的に)しながら添加し、最終濃度約10重量%を得た。構成成分Bのより容易な可溶化のために、すべての構成成分Bを添加し、及び溶媒中でそれが膨張した後に、高速剪断攪拌を開始する必要がある。構成成分Bの完全な可溶化後、液体構成成分Cを添加した。最終溶液中の構成成分Bの構成成分Cに対する比は70/30である。構成成分Bプラス構成成分CのTHF溶液は、VPM1と呼ばれる。THF中のVPM1溶液の最終濃度は、14.3重量%である。
【0117】
この実施例において、並びに次の実施例において、VPM2についてブルックフィールド粘度は約18〜約21センチポアズ(100rpm及び20℃で)であり、VPM1について、約85〜約92センチポアズ(20rpm及び20℃で)であり、両方共ブルックフィールド・エンジニアリング・ラブズ社(Brookfield Engineering Labs Inc.)(米国)により製造された、ブルックフィールド粘度計モデルDVII、LVスピンドル1(Brookfield Viscometer model DV II, LV Spindle 1)により測定されている。
【0118】
手順:
従来の浸漬装置は二つのタンクを備えている:タンク1はVPM1溶液で満たされており、タンク2はVPM2溶液で満たされている。両溶液とも約20℃の温度に保持される。典型的な浸漬サイクルは次の工程を含む:
1.手袋形成機をVPM2溶液に1回完全に浸漬し、次いでVPM2から直ちに約10mm/秒の速度で引き出し、約2分間回転しながら乾燥する。
2.手袋形成機をVPM1溶液に完全に浸漬し、次いでVPM1から直ちに上記と同じ速度で引き出し、約2分間回転しながら乾燥する。VPM1溶液によるこの手順を、第二層の所望の厚さを得るために3回繰り返す。
手袋を完全に乾燥した後、形成機から静かに手で取り外し、裏返しにする。
【0119】
このように製造された手袋は次の特性を有する:
全体の手袋の厚さは約100マイクロメートルである
第一層の厚さ(VPM2溶液から形成された)は約2〜約3マイクロメートルである
第二層の厚さ(VPM1溶液から形成された)は約96〜約97マイクロメートルである
モコン・ペルマトラン−W 100K(Mocon Permatran-W 100K)装置を用いた、その水蒸気透過度(MVTR)は、約3600g/m2・24hである。
【0120】
手袋の構造体の機械的特性は、100%伸長での応力3.5N/インチ(1.3N/cm)、及び破断時の伸長900%により与えられ、両方共標準試験方法ASTM D 412により評価されている。
【0121】
本発明の多層構造体の各層の厚さは、当該技術分野において周知のように、例えば多層構造体の横断面の顕微鏡写真測定により、またはその他の好適な方法により測定できることに、注意する必要がある。
【0122】
上記の手袋は本発明による多層構造体を用いているが、極秘試験において、ユーザーにより非常に快適であり、耐性があると評価された。膨張、即ちそれらが液体の水と長期にわたる接触をした場合の寸法の変化は見出されず、一方でその強化された通気性は、作業手袋または台所手袋としての使用時に実質的にユーザーに快適さを提供した。
【0123】
(実施例2)
水蒸気透過性、液体不透過性多層構造体を、可塑剤としてジアセチンを用いる代わりにトリエチルシトレート(アコーディス・ファイン・ケミカルズ社(Acordis Fine Chemicals Ltd)(英国)から入手可能)を同じ百分率で用いたことを除き、実施例1に関して記載したように製造した。従って、この場合VPM1溶液は、構成成分Bの溶液及び実施例1と同じ濃度のTHF中トリエチルシトレートから成った。加えてこの場合、改変されたVPM1溶液から形成されたコア層は、両側が実施例1のVPM2溶液から形成された層によりコーティングされた。
【0124】
この場合、三層状手袋を得る手順は次のようであった。
【0125】
手順:
1.手袋形成機をVPM2溶液に1回完全に浸漬し、次いで直ちに約10mm/秒の速度で引き出し、約2分間回転しながら乾燥する。
2.手袋形成機を改変したVPM1溶液に完全に浸漬し、次いでVPM1から直ちに上記と同じ速度で引き出し、約2分間回転しながら乾燥する。VPM1溶液によるこの手順を3回繰り返す。
3.手袋形成機をVPM2溶液に完全に再度浸漬し、直ちに上記と同じ速度で引き出し、乾燥する。
手袋を完全に乾燥した後、形成機から静かに手で取り外す。
【0126】
約100マイクロメートルの厚さを有するフィルム上で測定された場合、コア層のASTMD 570−81による吸水率は65%である。
【0127】
手袋は実施例1に関して記載したのと同じ方法で測定された次の特性を有する:
全体の厚さ:100マイクロメートル
コア層の厚さ(VPM1溶液から形成された):約96マイクロメートル
VPM2溶液から形成された二層の各々の厚さ:約2マイクロメートル
WVTR:3100g/m2・24h
100%伸長での応力:4.5N/インチ(1.7N/cm)
破断時の伸長:900%
実施例1にあるように、上記の手袋はその目的とする使用にあたりよく機能した。
【0128】
(実施例3)
三層状手袋構造体を、実施例2に関して説明した浸漬手順により製造する。
【0129】
今回VPM2は、エスタン(Estane(商標))58281のTHF溶液であり、一方VPM1はエスタン(Estane(商標))58245(35重量%)プラス、エスタン(Estane(商標))T5410(35重量%)プラス、ジアセチン(30重量%)のTHF溶液であり、その際三構成成分に関する百分率は、溶媒を除いたものである。VPM2及びVPM1溶液の最終濃度は実施例1のものと同じである。
【0130】
コア層のASTM D 570−81による吸水率は、厚さ約100マイクロメートルのフィルム上で測定した場合80%であるが、一方外部層のASTM D 570−81による吸水率は、ペレットの純粋なポリマー上で測定した場合2%である。
【0131】
手袋は実施例1に関して記載したのと同じ方法で測定された次の特性を有する:
全体の厚さ:100マイクロメートル
コア層の厚さ(VPM1溶液から形成された):約97マイクロメートル
VPM2溶液から形成された二層の各々の厚さ:約1.5マイクロメートル
WVTR:3600g/m2・24h
100%伸長での応力:3.6N/インチ(1.4N/cm)
破断時の伸長:930%
実施例1にあるように、上記の手袋はその目的とする使用にあたりよく機能した。
【0132】
(試験及び測定)
複素粘度η*は、レオメトリックス社(Rheometrics Co.)より入手可能なレオメーターRDA−IIを用いて測定される。
【0133】
(吸水率)
純粋な熱可塑性ポリマーまたは熱可塑性組成物による吸水率の相対比の測定は標準試験方法ASTMD 570−81により行われた。ペレット形態の材料(典型的には純粋なポリマー)について吸水率の測定がなされた場合、3〜5mmに分布する直径を有するペレットが試験され、一方フィルム形態の材料(典型的には熱可塑性組成物)について吸水率の測定がなされた場合、3〜4mmに分布する寸法を有するおよそ正方形の断片が選択された厚さのフィルムから切断され、そして試験されたことに注目する必要がある。
【0134】
すべての試験について、23℃での蒸留水中への24時間の浸漬が選択され、及びASTMD 570−81標準に従って吸収された水の百分率が報告された。
【0135】
(水蒸気透過度(MVTR))
すべての試験された試料の水蒸気透過度(MVTR)は、温度38℃で、モコン社(Mocon Inc.)−ミネアポリス(米国)により製造されたモコン・ペルマトラン−W 100K(Mocon Permatran-W 100K)装置を用いて、及び装置マニュアルに記載された手順に従って測定された。値は、g/m2・24hにより表される。本発明の構造体及び関連物品に関するMVTRのいかなる値も、同じ方法で前記装置により測定されることを意図することに注目する必要がある。
【0136】
(多層構造体の厚さ)
多層構造体の合計の厚さ(マイクロメートルで表現される)は、株式会社ミツトヨ(Mitutoyo Corporation)(日本)及びその海外支社より入手可能な低圧ミツトヨ(Mitutoyo)ダイヤルキャリパー、モデル番号7301を用いて測定された。
Claims (13)
- 少なくとも一つの水蒸気透過性、液体不透過性の第一層、及び少なくとも一つの水蒸気透過性、液体不透過性の第二層を含む、水蒸気透過性、液体不透過性多層構造体であって、前記第二層が:
ポリウレタン、ポリ−エーテル−アミドブロックコポリマー、ポリエチレン−アクリル酸コポリマー、ポリエチレンオキシドとそのコポリマー、ポリラクチドとコポリマー、ポリアミド、ポリエステル、コポリエステル、ポリエステルブロックコポリマー、スルホン化ポリエステル、ポリ−エーテル−エステルブロックコポリマー、ポリ−エーテル−エステル−アミドブロックコポリマー、ポリアクリレート、ポリアクリル酸と誘導体、イオノマー、ビニルアセテートの含有量が少なくとも28重量%であるポリエチレン−ビニルアセテート、ポリビニルアルコールとそのコポリマー、ポリビニルエーテルとそのコポリマー、ポリ−2−エチル−オキサゾリンと誘導体、ポリビニルピロリドンとそのコポリマー、熱可塑性セルロース誘導体、及びそれらの混合物から成る群から選択される熱可塑性ポリマーまたはポリマーの混合物
を含み、
その際、前記第二層が、酸、エステル、アミド、アルコール、多価アルコール、またはこれらの混合物から成る群から選択される、好適な相溶性の親水性可塑剤または親水性可塑剤のブレンドを更に含み、
前記第一層が前記第二層の吸水率より低い吸水率を有することを特徴とし、前記吸水率が両方共試験方法ASTM D 570−81により測定される、水蒸気透過性、液体不透過性多層構造体。 - 前記水蒸気透過性、液体不透過性の第一層が、ポリウレタン、ポリ−エーテル−アミドブロックコポリマー、ポリエチレン−アクリル酸コポリマー、ポリエチレンオキシドとそのコポリマー、ポリラクチドとコポリマー、ポリアミド、ポリエステル、コポリエステル、ポリエステルブロックコポリマー、スルホン化ポリエステル、ポリ−エーテル−エステルブロックコポリマー、ポリ−エーテル−エステル−アミドブロックコポリマー、ポリアクリレート、ポリアクリル酸と誘導体、イオノマー、ポリエチレン−ビニルアセテート、ポリビニルアルコールとそのコポリマー、ポリビニルエーテルとそのコポリマー、ポリ−2−エチル−オキサゾリンと誘導体、ポリビニルピロリドンとそのコポリマー、熱可塑性セルロース誘導体、及びこれらの混合物から成る群から選択される熱可塑性ポリマーまたはポリマーの混合物を含むことを特徴とする、請求項1に記載の水蒸気透過性、液体不透過性多層構造体。
- 前記水蒸気透過性、液体不透過性の第一層が、酸、エステル、アミド、アルコール、多価アルコール、またはそれらの混合物から成る群から選択される、好適な相溶性の親水性可塑剤または親水性可塑剤のブレンドを更に含み、前記好適な相溶性の親水性可塑剤または前記親水性可塑剤のブレンドが、50重量%以下、好ましく10重量%以下、より好ましくは0重量%の量であることを特徴とする、請求項2に記載の水蒸気透過性、液体不透過性多層構造体。
- 前記第一層が10%未満の、好ましくは5%未満の、及びより好ましくは2%未満のASTM D 570−81による吸水率を有し、及び前記第二層が、少なくとも30%の、好ましくは少なくとも40%の、及びより好ましくは少なくとも50%のASTM D 570−81による吸水率を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水蒸気透過性、液体不透過性多層構造体。
- 少なくとも500g/m2・24h、好ましくは少なくとも1000g/m2・24h、より好ましくは少なくとも1500g/m2・24hの水蒸気透過度(WVTR)を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の多層構造体。
- 水蒸気透過性、液体不透過性物品であって、前記物品が請求項1〜5のいずれか一項に記載の多層構造体を含み、その際好ましくは、前記の少なくとも第一層が、前記物品中の前記構造体の最外層を構成することを特徴とする物品。
- 前記物品が成形された三次元物品であることを特徴とする、請求項6に記載の水蒸気透過性、液体不透過性物品。
- 前記物品が前記多層構造体から製造され、及びその際、前記多層構造体の前記少なくとも第一層が、前記物品の外部層を構成する、請求項6または7に記載の水蒸気透過性、液体不透過性物品。
- 前記物品がハンドカバー物品であることを特徴とする、請求項8に記載の水蒸気透過性、液体不透過性物品。
- 前記物品が手袋であることを特徴とする、請求項9に記載の水蒸気透過性、液体不透過性物品。
- 前記多層構造体の合計の厚さが、約10〜約1000マイクロメートル、好ましくは約20〜約400マイクロメートル、及びより好ましくは約40〜約200マイクロメートルであることを特徴とする、請求項10に記載の手袋。
- 前記多層構造体の前記少なくとも第一層の厚さが、前記合計の厚さの10%以下、好ましくは前記合計の厚さの5%以下、及びより好ましくは前記合計の厚さの3%以下であることを特徴とする、請求項11に記載の手袋。
- 少なくとも500g/m2・24h、好ましくは少なくとも1000g/m2・24h、より好ましくは少なくとも1500g/m2・24hの水蒸気透過度(WVTR)を有することを特徴とする、請求項12に記載の手袋。
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