JPH11335884A - 水電気分解装置及び水電気分解方法 - Google Patents

水電気分解装置及び水電気分解方法

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JPH11335884A
JPH11335884A JP10145474A JP14547498A JPH11335884A JP H11335884 A JPH11335884 A JP H11335884A JP 10145474 A JP10145474 A JP 10145474A JP 14547498 A JP14547498 A JP 14547498A JP H11335884 A JPH11335884 A JP H11335884A
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electrode
water
sheet
electrolysis
electrode plate
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JP10145474A
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Yoichi Sano
洋一 佐野
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FIRST OCEAN KK
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  • Electrolytic Production Of Non-Metals, Compounds, Apparatuses Therefor (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】遊離塩素を含有し、且つ酸性からアルカリ性ま
で広い範囲で自由にpH値を設定した水を製造する装
置、及びその使用方法を提供する。 【解決手段】二組の電極板(A、B)によって、原水を
電気分解する電解室15、16と電解質水溶液を収納す
る電解質収納室17とに仕切られており、かつ上記の電
解質収納室17内に電極(C)を配置した水電気分解装
置であって、上記の二組の電極板(A、B)は、それぞ
れ、多数の孔を有するシート状の電極とシート状の隔膜
とを積層した電極板であり、該各電極板は隔膜面が電解
質収納室17側になり、電極面が電解室15、16側に
なるように配置されている水電気分解装置である。電極
(C)は省略してもよい。電極板(A、B)の一方のシ
ート状の隔膜を陰イオン交換膜とし、他方のシート状の
隔膜を陽イオン交換膜とするのが好ましい。また、上記
電極板において、上記のシート状の電極とシート状の隔
膜の間に多数の孔を有する非導電性材料を介在させても
よい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気分解により、
遊離塩素を含有する殺菌力の強い酸性水又は中性に近い
水、及びアルカリ性水を製造するための水電気分解装
置、及びこの電気分解装置を用いて水を電気分解する方
法に関する。
【0002】
【従来技術】従来から一般に用いられている水の滅菌や
制菌処理方法としては、処理しようとする水に次亜塩素
酸ソーダを添加する方法、塩素ガスを注入する方法、オ
ゾンガスを注入する方法、紫外線を照射する方法、水を
電気分解する方法などがある。これらの技術のうち、最
も強い殺菌力を示す一般的に広く採用されている方法
は、次亜塩素酸ソーダを添加したり、塩素ガスを注入す
ることにより水中の遊離塩素(残留塩素)濃度を高めて
滅菌する方法で、飲料水、プール、食品、医療用水の滅
菌に用いられているのは周知である。しかし、これらの
方法は大規模な施設で行う場合は問題ないが、家庭や小
規模な施設で行おうとする場合には、次亜塩素酸ソーダ
や塩素ガスの取扱いが危険であること、環境衛生上高濃
度次亜塩素酸を排水することができないこと、原水に連
続的に一定の濃度に添加するのが難しいことなどいろい
ろな問題点がある。
【0003】電気分解によって塩素ガスや次亜塩素酸を
発生させ水中の遊離塩素濃度を高めて滅菌する方法は、
次亜塩素酸ソーダを添加する方法などの方法に比べて簡
便である。水を電気分解して滅菌や制菌する方法にはい
くつかの方法があり、処理水に何も添加しないで電気分
解する方法、処理水に塩素イオンを含む電解質を加えて
電気分解し遊離塩素を発生させる方法、或は強い酸性や
アルカリ性の水を発生させて滅菌や制菌する方法などが
知られている。しかして、水を電気分解して滅菌力の強
い酸性又はアルカリ性水を製造しようとする場合、従来
の電気分解装置の電解槽の構造は、隔膜で仕切って二つ
の部屋を設け、それぞれの部屋に陽極又は陰極を設置
し、予め電解質を添加した水をそれぞれの部屋に供給し
て電気分解する方式であるため、電気分解によって得よ
うとする目的の水例えば酸性水を得る場合にはほぼ同量
のアルカリ性水が発生してしまう。従って従来の水電気
分解装置においては、電解槽の設計上、目的とする水の
倍の電解槽容積が必要であるし、また目的としない水の
排水処理或は利用手段を講じる処理が必要となる問題点
がある。また、水の電気分解に伴う厄介な問題の一つ
に、水中に含有しているカルシウムやマグネシウム分が
スケールとして陰極に付着する問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点を解決すべく、原水を電気分解して、遊離塩素を多量
に含有する酸性水又は中性に近い水、或はアルカリ性水
を、これらの水のみ選択的に製造でき、またスケールの
付着が少ない簡単な水電気分解装置及び水電気分解方法
を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の目的
を達成させるべく、水を電気分解してpHが低く酸性を
呈していて遊離塩素を多量に含有する水、pHは中性に
近くて遊離塩素を多量に含有する水、或はpHが高い値
を示すアルカリ性の水を選択的に製造する装置について
開発研究を進めた結果、特定構造の電極板を特定配置す
ることによって、この目的を達成し得ることを知り、本
発明を完成した。
【0006】すなわち、本発明は、二組の電極板(A、
B)によって原水を電気分解する電解室と電解質水溶液
を収納する電解質収納室とに仕切られており、かつ上記
の電解質収納室内に電極(C)を配置した水電気分解装
置であって、上記の二組の電極板(A、B)は、それぞ
れ、多数の孔を有するシート状の電極とシート状の隔膜
とを積層した電極板であり、該各電極板は隔膜面が電解
質収納室側になり、電極面が電解室側になるように配置
されていることを特徴とする水電気分解装置である〔請
求項1〕。また本発明は、上記水電気分解装置において
電解質収納室内の電極(C)を省略したもの、すなわ
ち、二組の電極板(A、B)によって原水を電気分解す
る電解室と電解質水溶液を収納する電解質収納室とに仕
切られた水電気分解装置であって、上記の二組の電極板
(A、B)は、それぞれ、多数の孔を有するシート状の
電極とシート状の隔膜とを積層した電極板であり、該各
電極板は隔膜面が電解質収納室側になり、電極面が電解
室側になるように配置されていることを特徴とする水電
気分解装置である〔請求項2〕。
【0007】また本発明は、電極板(A、B)が、多数
の孔を有するシート状の電極、多数の孔を有するシート
状の非導電性材料及びシート状の隔膜を積層配置した電
極板であり、且つシート状の電極とシート状の非導電性
材料とは密着しており、それぞれの孔と孔とは貫通して
いることを特徴とする請求項1又は2記載の水電気分解
装置である〔請求項3〕。また本発明は、電極板(A、
B)の一方のシート状の隔膜を陰イオン交換膜とし、他
方のシート状の隔膜を陽イオン交換膜としたことを特徴
とする請求項1、2又は3記載の水電気分解装置である
〔請求項4〕。
【0008】更に、本発明は上記の水電気分解装置を用
いて水を電気分解する方法に係る。すなわち、請求項
1、3〜4のいずれかに記載の水電気分解装置を用い、
電解室に原水を入れ、電解質収納室に塩素イオンを含有
する電解質水溶液を収納し、そして一方の電極板(A)
のシート状電極を陽極とし、電極(C)を陰極として直
流電圧を印荷させてそれぞれの電極に電流を流し、他方
の電極板(B)のシート状電極には電流を流すことなく
或は陽極として電流を流して水電気分解することを特徴
とする遊離塩素を含有する酸性水の製造方法である〔請
求項5〕。また、請求項1、3〜4のいずれかに記載の
水電気分解装置を用い、電解室に原水を入れ、電解質収
納室に塩素イオンを含有する電解質水溶液を収納し、そ
して一方の電極板(B)のシート状電極を陰極とし、電
極(C)を陽極として直流電圧を印荷させてそれぞれの
電極に電流を流し、他方の電極板(A)のシート状電極
には電流を流すことなく又は陰極として電流を流して水
電気分解することを特徴とする強アルカリ性水の製造方
法である〔請求項6〕。
【0009】また、本発明は、請求項1、3〜4のいず
れかに記載の水電気分解装置を用い、電解室に原水を入
れ、電解質収納室に塩素イオンを含有する電解質水溶液
を収納し、一方の電極板(A)のシート状電極を陽極と
し、他方の電極板(B)のシート状電極及び電極(C)
を共に陰極にして直流電圧を印荷させ、電極板(B)シ
ート状電極と電極(C)に流れる電流の分配比を調節し
て水電気分解することを特徴とするpH値が自由に選択
できる遊離塩素を含有する水の製造方法である〔請求項
7〕。更に本発明は、請求項1、3〜4のいずれかに記
載の水電気分解装置を用い、電解室に原水を入れ、電解
質収納室に塩素イオンを含有する電解質水溶液を収納
し、一方の電極板(A)のシート状電極を陽極とし、他
方の電極板(B)のシート状電極を陰極として直流電圧
を印荷させてそれぞれの電極に電流を流し、電極(C)
には電流を流すことなく水電気分解することを特徴とす
る遊離塩素を含有する中性に近い水の製造方法である
〔請求項8〕。また、本発明は請求項2〜4のいずれか
に記載の水電気分解装置を用い、電解質収納室に塩素イ
オンを含有する電解質水溶液を収納し、一方の電極板
(A)のシート状電極を陽極とし、他方の電極板(B)
のシート状電極を陰極として直流電圧を印荷させてそれ
ぞれの電極に電流を流して電気分解することを特徴とす
る遊離塩素を含有する中性に近い水の製造方法である
〔請求項9〕。
【0010】
【発明の実施の形態】まず、請求項1の発明の水電気分
解装置について説明する。図1及び図2はその1例を示
したもので、図1は縦断面図で、図2はそのX−X線断
面図である。図1において、部品11、部品12及び部
品13を組み合わせて、ボルト孔14、14、………に
ボルトを通しネジ止めすることによって一つの直方体の
槽が形成されるようになっている。まず、部品11と部
品13との間に電極板Aを挿入し、また部品12と部品
13の間に電極板Bを挿入して、ボルト孔14、14、
………にボルトを通しネジ止めする。これによって槽は
3室15、16、17に分割される。ここにおいて、両
端の室15、16は電解室であり、中央の室17は電解
質収納室である。電極板(A、B)は、それぞれ、多数
の孔を有するシート状の電極とシート状の隔膜とを積層
した電極板であり、その隔膜面が電解質収納室17側に
なり、電極面が電解室15又は16側になるように配置
する。また中央の電解質収納室17には電極(C)を設
置する。
【0011】電解室15の外壁には通水用のパイプ1
8、19が取り付けられている。原水は18から入り、
電解室15で電気分解された水は19から排出される。
また電解室16の外壁にも通水用のパイプ20、21が
取り付けられている。原水は20から入り、電解室16
で電気分解された水はパイプ21から排出される。この
際、電解室15で電気分解されてパイプ19から排出さ
れた水を、パイプ20から電解室16に入れ再び電気分
解させるようにしてもよい。また逆に、電解室16で電
気分解させてパイプ21から排出した水をパイプ18か
ら電解室15に入れ再び電気分解してもよい。更に図2
に示すように、電解質収納室17に、電解質水溶液を貯
蔵する貯蔵槽24に接続するパイプ22、23を設け、
電解質収納室の電解質水溶液濃度を長時間維持できるよ
うにしてもよい。パイプ23はガス抜き管の作用もあ
る。上記の例では、電解室及び電解質収納室の形状は直
方体であるが、これらの形状は、円筒形、多角柱など任
意の形状にできる。また、上記の例では電極板(A)と
電極板(B)とを異なる個所の間仕切りに用いて電解室
2室と電解質収納室を形成させたが、電極板(A)と電
極板(B)とを並べて間仕切りに用いて電解室及び電解
質収納室を形成させてもよい。
【0012】次に請求項1の発明の水電気分解装置の電
極板(A、B)について説明する。電極板(A、B)
は、電極板(A)及び電極板(B)の意味であり、これらの
電極板は多数の孔を有するシート状の電極とシート状の
隔膜とを積層したものであって、この電極板(A)及び
電極板(B)は共に材料及び構造が同じでもよく、また
材料及び構造が相互に異なっていてもよい。しかして、
本発明では、この多数の孔を有するシート状の電極とシ
ート状の隔膜とを積層したものを一組の電極板と称して
いる。図3はその一例を示した斜視図であり、1は多数
の孔3を有するシート状の電極(本発明では単に「シー
ト状電極」言うことがある)、2はシート状の隔膜であ
る。本発明の水電気分解装置は、電解質を添加しない原
水を電気分解することができるものである。電解質が添
加されていない原水は電気電導度が低く、そのため効率
良く電気分解するには電極板(A、B)について、その
隔膜と電極との距離を短くする必要がある。そこで本発
明では、隔膜と電極をシート状にして積層し、そして電
極に多数の孔を設け、孔を通じて電子及びイオンを移動
させる方式の電極板を採用した。
【0013】また、この電極板は、多数の孔を有するシ
ート状の電極とシート状の隔膜との間に、多数の孔を有
するシート状の非導電性材料を配置積層したものでもよ
い〔請求項3〕。図4はこの態様の一例の斜視図であ
り、1は多数の孔3を有するシート状の電極、2はシー
ト状の隔膜である。4は多数の孔5を有するシート状の
非導電性材料である。シート状電極の孔3とシート状非
導電性材料5の孔とは同じ大きさ、配置にして、孔同士
が重なり合うようにするのが好ましく、少なくとも両者
を貫通する部分があるようにする。水を電気分解する
と、電気分解によって生成する酸素、水素、或は塩素な
どの気体が気泡を生じ電極1の孔3を閉鎖して電流を低
下させたり、また電気分解によって生成する気体が隔膜
を劣化させ、特に隔膜にイオン交換膜や半透膜を使用し
た場合は膜の劣化防止に配慮する必要があるが、シート
状非導電性材料を設けるとこれらの支障を少なくするこ
とができる。
【0014】電極板(A、B)を構成するシート状の電
極1は、シート状の導電性材料、例えば銅、鉛、ニッケ
ル、クロム、チタン、タンタル、金、白金、酸化鉄、ス
テンレス、炭素繊維やグラファイト等の板である。この
シート状電極の厚さは0.01〜5mmであるが、0.
01〜5mm程度のチタン板に白金属の金属をメッキし
たり、焼き付けたものが好ましい。このシート状の電極
に設けられた多数の貫通する孔3の直径は0.5〜10
mmで、開口率は30〜70%が適当である。また、シ
ート状電極は、上記の導電性材料の線状物をネット状に
編んだり、織ったりしたものでもよい。更に枠体に導電
性材料の線状物をすだれ状に捲回したものでもよい。
【0015】また、シート状の隔膜2は、通常使用され
る隔膜としては、例えばポリ弗化ビニル系繊維、アスベ
スト、グラスウール、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビ
ニリデン繊維、ポリエステル繊維、芳香属ポリアミド繊
維等の不織物である。また、例えば骨材にポリエステル
繊維、ナイロン繊維、ポリエチレン繊維等の不織物ある
いはポリエチレンスクリーンを用い、膜材に塩素化ポリ
エチレン、ポリ塩化ビニル又はポリ弗化ビニリデン或は
これらに酸化チタンを混合したものを用いた隔膜も好ま
しく使用できる。また特殊な隔膜として、セロファン等
の半透膜、更には、陽イオン交換膜又は陰イオン交換膜
も使用できる。イオン交換膜を使用するときは、電極板
(A、B)のうちの一方のシート状の隔膜を陰イオン交
換膜とし、他方のシート状の隔膜を陽イオン交換膜とす
るのが好ましい〔請求項4〕。特に陽極にする電極板の
シート状隔膜を陰イオン交換膜とし、陰極にする電極板
のシート状隔膜を陽イオン交換膜とするのが好ましい。
特に耐食性を必要とする場合にはフッ素系のイオン交換
膜(例えば、アシプレックスF、ナフィオン等の商標名
で市販されているもの)を使用するのが好ましい。ま
た、半透膜と不織布状隔膜、半透膜とイオン交換膜、或
はイオン交換膜と不織布状隔膜というように各種組み合
わせて重ねて使用することによって、強度を高めたり、
酸、アルカリ、生成するガスに対する耐食性を高めた
り、隔膜の透過性を変えたりすることができる。
【0016】また、上記のシート状非導電性材料4は、
例えばフッ素系樹脂(商標名テフロン等)、ABS樹
脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、
ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ナイロン樹
脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹
脂、塩化ビニール樹脂等の合成樹脂あるいは天然ゴム、
SBR、クロロプレンゴム、ポリブタジエン等のエラス
トマー等のシートである。シート状非導電性材料の厚み
は0.01〜3mmが好ましい。孔の直径は0.5〜1
0mmが好ましく、開口率は30〜70%が好ましい。
また、シート状非導電性材料4は、シート状電極1の片
側面(隔膜と接する面)に塗装により形成させた塗膜層
でもよい。この場合は、上記非導電性材料を加熱して溶
融したり、溶剤に溶かしたり、分散液にしたり、粉末に
してシート状電極1に、孔3を塞がないように塗布した
り、電着塗装によって塗膜層を形成してもよい。勿論シ
ート状の電極に塗装膜を形成した後、孔3をあけてもよ
い。
【0017】請求項1発明において、電解質水溶液を収
納する電解質収納室内に設置する電極(C)は、棒状で
も板状でもよい。またこの電極(C)は多数の孔を設け
たシート状にして、隔膜の外側に、隔膜に沿って配置し
てもよい。電極(C)に用いる材料は、例えば銅、鉛、
ニッケル、クロム、チタン、タンタル、金、白金、酸化
鉄、ステンレス、炭素繊維やグラファイト等である。ま
たこれらに白金属の金属や金属酸化物ををメッキしたり
焼き付けしたものを用いてもよい。
【0018】また、本発明において、電気分解する原水
としては、水道水、工業用水、河川水、海水、雨水、純
水、超純水などが挙げられる。また、電解質水溶液を収
納する電解質としては塩化ナトリウム、塩化カリウムが
一般に用いられるが、その他に塩素イオンを含む金属塩
や塩酸である。また、塩酸と塩化ナトリウム又は水酸化
ナトリウムと塩化ナトリウムというように酸性物質と
塩、或はアルカリ性物質と塩を組み合わせてもよい。こ
の電解質水溶液の濃度は高濃度にする。すなわち0.1
重量%以上の濃度にする。また濃度の上限は電解質水溶
液が流動性を保ち得る範囲である。そして、電気分解を
行なうことにより電解質収納室中の電解質水溶液の電解
質濃度が経時的に下がり、これにしたがって電解効率が
低下するので、電解質収納室中に電解質を補給したり、
電解質収納室中の電解質水溶液を入れ替えたりする。そ
のため、電解質水溶液を収納する電解質収納室を大きく
したり、この電解質収納室に電解質水溶液を貯蔵した貯
槽を接続したりて、電解質収納室中の電解質水溶液の電
解質濃度を高め、電解質の貯蔵量を大きくするほど、長
時間継続して電気分解を行うことができ、目的の水を得
ることができる。
【0019】本発明では、遊離塩素を含有する水を得る
ためには、塩素イオンを含有する電解質を使用する。そ
して、電気分解に供給する塩素イオンや陽イオンは、電
解質収納室に貯蔵した高濃度の塩素イオンを含有する電
解質水溶液を使用する。そして、請求項1発明において
は、電極板(A)のシート状電極、電極板(B)のシー
ト状電極、及び電極(C)に直流電圧を印荷して電流を
流して電気分解するが、このとき各電極の電流の向きと
強さを適宜に変えることにより、それに応じて電解質収
納室内の電解質中のイオンが移動して電解室に移り、電
極面で電気分解が起こり、塩素ガス、次亜塩素酸イオ
ン、酸素ガス、オゾンガス、水素ガス、水素イオン及び
水酸イオンなどが生成する。
【0020】次に、図1及び図2に示す水電気分解装置
を用いて水を電気分解する方法を説明する。電解質収納
室17に塩素イオンを含む電解質水溶液、例えば塩化ナ
トリウムを満たす。電解室15の排出用パイプ19を電
解室16の導入用パイプ20に接続し、電解室15の導
入用パイプ18から水道水を導入する。導入用パイプ1
8から入った水は電解室15で電気分解され排出パイプ
19から出て、パイプ20を通って電解室16に入り更
に電気分解されて排出パイプ21から排出される。そこ
で各電極に電流を流す。この水電気分解装置には、電極
板(A)のシート状電極と電極板(B)のシート状電極
と電極(C)との3個の電極が存在するので、それぞれ
の電極の極性の選択と電流値の設定や電流の分配率を調
節することにより、各電極表面で行われる電気分解を制
御でき、結果として、次の(i)〜(iii)に述べるよ
うに、製造する水に含まれる遊離塩素濃度、pH値、酸
化還元電位などを目的とする水質にコントロールするこ
とができる。
【0021】(i)一方の電極板(A)のシート状電極
を陽極とし、電極(C)を陰極として直流電圧を印荷さ
せてそれぞれの電極に電流を流し、他方の電極板(B)
のシート状電極には電流を流すことなく或は陽極として
電流を流して水電気分解する場合〔請求項5〕。一方の
電極板(A)のシート状電極及び他方の電極板(B)の
シート状電極を共に陽極とし、電極(C)を陰極として
直流電圧を印荷させてそれぞれの電極に電流を流すとき
には、電解質収納室17内の電解質水溶液中に含まれる
塩素イオンが陽極である電解室15、16に移動し、電
極板(A)及び電極板(B)の各シート電極の表面に酸
素ガスや塩素ガス、次亜塩素ガスや水素イオンが生成し
て、電解室15、16には遊離塩素が混入された酸性水
が生成する。上記は、電極板(A)、電極板(B)の各
シート状隔膜に通常の隔膜を使用した場合であるが、こ
のシート状隔膜にイオン交換膜を使用すると異なる挙動
となり、例えば電極板(A)の隔膜に陰イオン交換膜を
用い、電極板(B)の隔膜に陽イオン交換膜を用いた場
合には、電解室15ではより効率よく酸性水が得られ
る。電解室16では陽イオン交換膜が塩素イオン等を通
さないために、電流は流れにくいが多少は電気分解が行
われる。電極板(A)のシート状電極の表面では酸素ガ
スや塩素ガス、次亜塩素ガスや水素イオンが生成し、水
道水中に遊離塩素が混入された酸性水が得られる。電極
板(B)のシート状電極を陽極にして直流電圧を印荷さ
せることによって、電極板に付着しているスケールを除
去する効果を発揮させることが出来る。電極板(B)の
スケール除去が必要ない場合には電極(B)に電流を流
さなくてもよい。
【0022】そして、これらの場合、電気分解の際の電
流量に比例して、電解質収納室17内の塩化ナトリウム
に含まれている陰イオンすなわち塩素イオンは電解質収
納室17から電解室15及び/又は16に移動する。電
解質収納室17の中では、塩素イオンが減少すると共に
電気分解により水酸イオンが増加し、水酸化ナトリウム
などのアルカリ性物質が増加する。塩素イオンが存在す
る間は電気分解により遊離塩素を含む酸性で酸化還元電
位の高い水を製造することができる。塩素イオンが不足
して来ると、電流を運ぶイオンが不足する結果、電流が
流れにくくなる。そのときには、電解質収納室17内に
塩化ナトリウムを補給するか、電解質収納室17内の塩
化ナトリウムを新しいものに交換する。また、予め塩酸
などの酸性物質を添加した電解質を用いると、電気分解
により精製する水酸イオンが酸によって中和され電解質
収納室17の中を長時間酸性に保つことができる。電解
質収納室17の中を酸性に保つと、電解室内の水から酸
性の水を作り易くなり、また電極(C)にスケールが付
着しにくくなる利点がある。また水酸イオンによるイオ
ン交換膜の劣化を防止できる。本発明では電解質収納室
17を大きくしたり、電解室水溶液貯蔵槽24を設けた
りして、電解質水溶液の電解質濃度を高く維持すること
で、長時間にわたって塩化ナトリウムの補給や交換なし
に電気分解を継続することができる。
【0023】(ii)一方の電極板(B)のシート状電極
を陰極とし、電極(C)を陽極として直流電圧を印荷さ
せてそれぞれの電極に電流を流し、他方の電極板(A)
のシート状電極には電流を流すことなく或は陰極として
電流を流して水電気分解する場合〔請求項6〕。電極板
(B)のシート状電極と電極板(A)のシート状電極と
を共に陰極とし、電極(C)を陽極として直流電圧を印
荷させてそれぞれの電極に電流を流して水電気分解する
場合には、塩化ナトリウム水溶液を収納した電解質収納
室17内の陽イオンすなわちナトリウムイオンが電解室
15、16側に移動して、電解室にはアルカリ性の水が
生成し、よってアルカリ水を得ることができる。このと
き電解質収納室17内は酸性になる。上記は、電極板
(A)、電極板(B)の各シート状隔膜に通常の隔膜を
使用した場合であるが、このシート状隔膜にイオン交換
膜を使用すると異なる挙動となる。例えば、電極板
(B)のシート状隔膜として陽イオン交換膜を用い、一
方電極(A)のシート状隔膜として陰イオン交換膜を用
い、電極板(B)のシート状電極を陰極とし、電極板
(A)のシート状電極を陽極とし、電極(C)を陽極と
して直流電圧を印荷させてそれぞれの電極に電流を流し
た場合には、電解室16では、塩化ナトリウム水溶液を
収納した電解質収納室17内の陽イオンすなわちナトリ
ウムイオンが電解室16側に効率良く移動して、電解室
16にはアルカリ性の水が生成し、よってアルカリ水を
得ることができる。電解室15では陰イオン交換膜が陽
イオンを通さない性質のため、効率は悪いが多少は電気
分解し、アルカリ水を得ることができる。このとき電解
質収納室17内は酸性になる。
【0024】(iii)一方の電極板(A)のシート状電
極を陽極とし、他方の電極板(B)のシート状電極及び
電極(C)を共に陰極にして直流電圧を印荷させ、その
際に電極板(B)のシート状電極と電極(C)に流れる
電流の分配比を調節して水電気分解す場合〔請求項
7〕。この場合には、電気分解に要する合計の電流を調
節した上で、電極板(B)のシート状電極及び電極
(C)に流れる電流の分配比を調節して電気分解するこ
とによって、含有する遊離塩素濃度及び酸性域から中性
域までの間のpH値を自由に選択できる。
【0025】この場合も、電極板(A)のシート状隔
膜、電極板(B)のシート状隔膜にイオン交換膜を用い
ることができる。そして、このイオン交換膜を使いわけ
ることにより、電気分解の性能を高めることが出来る。
電極板(A)のシート状電極を陽極として使用し、隔膜
に陰イオン交換膜を採用すると、効率良く水素イオン濃
度を高めたり、水中に溶解する有効塩素濃度すなわち遊
離塩素濃度を高めたり、オゾンガス濃度を高めたり、酸
化還元電位を高める効果を期待できる。これは、隔膜が
陽イオンの移動を妨げるので、電解室15内で水の電気
分解によって生成する水素イオンや、水素イオンに同伴
する水分子の陰極側すなわち電解質収納室17側への移
動を抑えることができ、また電解質収納室17内のナト
リウムイオンの電解室15への移動を押さえることがで
き、結果として、電気分解効率を高めることができる。
電極板(B)のシート状電極を主に陰極として使用し、
水酸イオン濃度を高めアルカリ度を高くしたい場合に
は、隔膜に陽イオン交換膜を採用すると、隔膜が陰イオ
ンの通過を妨げるので、電解室16内で水の電気分解に
よって生成する水酸イオンの陽極側すなわち電解質収納
室17側への移動を抑えることができ、電解質収納室1
7内の水素イオンや塩素イオンの電解室16への移動を
押さえることができ、結果として、電気分解効率を高め
ることができる。
【0026】図1及び図2に示す水電気分解装置を用い
て水を電気分解する場合、必ずしも処理しようとする原
水の全量をパイプ18から導入する必要はなく、原水の
一部の量、例えば1/3〜1/20の量の水を分取して
パイプ18から導入し、電気分解後の水を再び原水に合
流させてもよい。また、図1の場合は、原水の導入はパ
イプ18からなされ、電解室15で電気分解された水は
パイプ19から出て、パイプ20から電解室16に入る
ようになっているが、原水をパイプ20から電解室16
に導入し、パイプ21から排出し、これをパイプ18か
ら電解室15に導入してもよい。また、原水は予め二つ
に分けてそれぞれ別個に電解室15及び電解室16に導
入し、そこで別個に酸性水とアルカリ水とを製造しても
よい。
【0027】請求項1発明の水電気分解装置の他の例を
図5及び図6に示す。図5はその縦断面図であり、図6
はそのX−X線切断斜視図である。図5において、部品
31と部品32との間に電極板(A)と電極板(B)を
挿入し、ボルト孔34、34、………にボルトを通しネ
ジ止めして接続する。また部品32と部品33とをボル
ト孔34、34、………にボルトを通しネジ止めして接
続する。これによって、電解室35と電解質水溶液を収
納する電解質収納室36が形成され、また電解質水溶液
を貯蔵する貯蔵槽37が接続される。この例において、
電解室35の形状はパイプ型である。電解室35と電解
質収納室36とを仕切る電極板(A)と電極板(B)
は、図6の斜視図に示すように並べて配置する。電極板
(A)及び電極板(B)は、前述した電極板であり、共
にその隔膜面が電解質収納室36側になり、電極面が電
解室35側になるように配置する。この例では、電極板
(A)及び電極板(B)を一組ずつ用いているが、それ
ぞれ複数組を用いてもよい。電極板の強度が不足する場
合には電極板に沿わせるように多数の孔を有する補強用
支持板を用いてもよい。また、電解質収納室36内には
電極(C)を設置する。電気分解によって電解質収納室
内で生成したガスが電解質収納室内に留まらないように
するため必要ならガス抜き管を別に設けてもよい。図7
はこの水電気分解装置の斜視図で、ここで35は電解
室、36は電解質収納室、37は電解質水溶液貯蔵槽で
あり、A、B、Cはそれぞれ電極板(A)、電極板
(B)及び電極(C)である。38は均圧管であり、3
9はガス抜き管である。
【0028】図5、図6に示す水電気分解装置の使用方
法について説明する。この使用例は、電極板(A)の隔
膜に陰イオン交換膜を用い、電極板(B)の隔膜に陽イ
オン交換膜を用いたときの例である。パイプ型の電解室
35の中を原水を通す。この通過する間に原水は電気分
解される。貯蔵槽に電解質水溶液例えば塩化ナトリウム
水溶液を入れ、電解質収納室36の中が電解質水溶液で
満たされた状態にする。そこで各電極に電流を流す。こ
の水電気分解装置には、電極板(A)のシート状電極と
電極板(B)のシート状電極と電極(C)との3個の電
極が存在するので、それぞれの電極の極性の選択によ
り、更には電流値の設定や電流の分配率を調節すること
により、各電極表面で行われる電気分解を制御でき、結
果として、次の(i)〜(v)に述べるように、製造す
る水に含まれる遊離塩素濃度、pH値、酸化還元電位な
どを目的とする水質にコントロールすることができる。
【0029】(i)電極板(A)シート状電極を陽極と
し、電極(C)を陰極として直流電圧を印荷させてそれ
ぞれの電極に電流を流し、電極板(B)のシート状電極
には電流を流さないで電気分解する場合には、電解質収
納室36内の電解質水溶液中に含まれる塩素イオンが陽
極である電解室35に移動し、電極板(A)のシート電
極の表面に酸素ガスや塩素ガス、次亜塩素ガスや水素イ
オンが生成して、水道水中に遊離塩素が混入された酸性
水が得られる。
【0030】(ii)電極板(B)のシート状電極と陰極
とし、電極(C)を陽極として直流電圧を印荷させてそ
れぞれの電極に電流を流し、電極板(A)のシート状電
極電には電流を流さないで電気分解する場合には、塩化
ナトリウム水溶液を収納した電解質収納室36内の陽イ
オンすなわちナトリウムイオンが電解室35側に移動し
て、電解室にはアルカリ性の水が生成し、よってアルカ
リ水を得ることができる。このとき電解質収納室36内
は酸性になる。
【0031】(iii)一方の電極板(A)のシート状電
極を陽極とし、他方の電極板(B)のシート状電極及び
電極(C)を共に陰極にして直流電圧を印荷させてそれ
ぞれの電極に電流を流して電気分解する場合には、電極
板(A)のシート状電極付近では遊離塩素を含有する強
酸性水が生成し、電極板(B)のシート状電極及び電極
(C)付近では強アルカリ性水が生成するので、各電極
の電流量を調整することによって、遊離塩素含有量及び
pHを調整した酸性乃至中性水を製造できる。すなわ
ち、電極板(A)のシート状電極に流れる電流を調節す
ることによって、遊離塩素濃度を調節した遊離塩素含有
酸性水を製造することができる。一方、電極板(B)の
シート状電極に流す電流を制限することによって(換言
すれば、電極板(B)のシート状電極と電極(C)に流
れる電流の分配率を設定することによって)、電極板
(B)のシート状電極付近で生成する水のアルカリ度を
調整できるので、混合水は酸性域から中性域までの間の
pH値に調節することができる。したがって、結論とし
て、酸性から中性に近い範囲まで自由にpH値を設定で
き、且つ遊離塩素含有量を自由に調整した水を製造する
ことが出来る。
【0032】(iv)一方の電極板(A)のシート状電
極及び電極(C)を陽極とし、他方の電極板(B)のシ
ート状電極を陰極にして直流電圧を印荷させてそれぞれ
の電極に電流を流して電気分解する場合には、各電極の
電流量を調整することによって、遊離塩素含有量及びp
Hを調整したアルカリ性乃至中性水を製造できる。すな
わち、電極板(A)のシート状電極に流す電流を調節す
ることによって(換言すれば、電極板(A)のシート状
電極と電極(C)に流れる電流の分配率を設定すること
によって)、遊離塩素濃度を調節した遊離塩素含有酸性
水を製造することができ、同時に、陰極で生成する水の
アルカリ度を調整できるので、混合水はアルカリ性域か
ら中性域までの間のpH値に調節することができる。し
たがって、結論として、遊離塩素含有量を自由に調整し
た、アルカリ性から中性に近い範囲まで自由にpH値を
設定した水を製造することが出来る。
【0033】(v)一方の電極板(A)のシート状電極
を陽極とし、他方の電極板(B)のシート状電極を陰極
とし、電極(C)に電流を流さない場合には、電極板
(A)のシート状電極付近では遊離塩素を含有する強酸
性水が生成し、電極板(B)のシート状電極付近では強
アルカリ性水が生成し、この両者が混合して、遊離塩素
を含有する中性に近い水が製造できる。
【0034】このように、上記の図5、図6に示す水電
気分解装置の例においては、電極板(A)のシート状電
極、電極板(B)のシート状電極、及び電極(C)の極
性及び電流量を、切り替えスイッチなどで変えることに
よって、容易に上記した種々の性質を有する水を製造で
きるので、極めて便利である。また、上述した図1、図
2に示す水電気分解装置の例においても、一方の電極板
(A)のシート状隔膜を陰イオン交換膜とし、他方の電
極板(B)のシート状隔膜を陽イオン交換膜とし、電解
室への原水供給パイプを図1の如く配置することによっ
て、図5、図6に示す水電気分解装置の例で述べたと同
様に電極板(A)のシート状電極、電極板(B)のシー
ト状電極、及び電極(C)の極性及び電流量を、切り替
えスイッチなどで変えることによって、容易に上記
(i)〜(v)に述べた種々の性質を有する水を製造で
きる。
【0035】上記の図5、図6の例において、主として
遊離塩素を含有する中性に近い水だけを製造する場合に
は、上記したごとく、電極(C)を省略することができ
る(請求項2)。図8、図9は電極(C)を省略した場
合の水電気分解装置の一例を示したものである。図8は
その一部切欠き斜視図、図9はその縦断面図である。4
0は水電気分解装置、41は電解室、42は電解質水溶
液を収納する電解質収納室である。この電解室41と電
解質収納室42は電極板(A)と電極板(B)で仕切ら
れている。電極板(A)と電極板(B)は、図8の斜視
図に示すように並べて配置する。電極板(A)及び電極
板(B)は、前述した電極板であり、共にその隔膜面が
電解質収納室42側になり、電極面が電解室41側にな
るように配置する。この例では、電極板(A)及び電極
板(B)を一組ずつ用いているが、それぞれ複数組を用
いてもよい。電極板の強度が不足する場合には電極板に
沿わせるように多数の孔を有する補強用支持板を用いて
もよい。43は電解室41に原水を供給するための導入
用パイプであり、44は電気分解した水を電解室から排
出するための排出用パイプである。また45は電解質収
納室42の蓋である。
【0036】図8、図9の水電気分解装置の使用例を説
明する。電気分解すべき原水を導入用パイプ43から電
解室41に入れ、排出用パイプ44から排出する。ま
た、電解質収納室42に電解質水溶液例えば塩化ナトリ
ウム水溶液を充満させる。次いで、電極板(A)のシー
ト状電極を陽極とし、電極板(B)のシート状電極を陰
極として電流を流す。電極板(A)のシート状電極(陽
極)付近では遊離塩素を含有する強酸性水が生成し、一
方電極板(B)のシート状電極(陰極)付近では強アル
カリ性水が生成する。そして、生成した強酸性水と強ア
ルカリ性水とは電解室内や排出パイプを通過中に混合し
て中和され、そのため遊離塩素を含むほぼ中性の水が得
られる。この水電気分解装置は、例えば便器の流水用水
の処理に有用である。図10はその一例を示したもの
で、46は水道管、47は便器、40は水電気分解装置
である。水道水は、水電気分解装置40を通過する管に
遊離塩素を含む水となって便器に流れる。このように、
遊離塩素を含む水が流水に用いられることによって、便
器の殺菌が良く行える。また、図10では水道管46の
水が全量パイプ43より電解室41に入るようになって
いるが、水道管46の一部を分取して電解室41に導入
し、電気分解後パイプ44の出口を再び水道管46に合
流させてもよい。
【0037】
【実施例】実施例1 図1及び図2に示す水電気分解装置を用いた実施例を説
明する。電解質収納室17は、縦4cm、横9cm、幅
3cmであって、容積は108ccである。その中に設
置した電極(C)はチタン板に白金メッキを施した電極
である。電解質収納室17に接続された貯蔵層24の容
積は250ccである。この実験では、濃度20%の塩
化ナトリウム水溶液を電解質収納室17及び貯蔵層24
に収納した。電解室15及び電解室16の容積はそれぞ
れ18ccである。一方の電極板(A)は、孔径1.5
mm、ピッチ2.0mmの孔を多数設けた厚さ0.2m
mのチタン板に白金とイリジウムの混合物を焼き付け塗
装した電極面積32平方センチメートルのシート状電
極、該シート状電極の裏側に塩化ビニール系塗料を塗布
して設けた絶縁層、この絶縁層の上に積層した陰イオン
交換膜からなっている。また他方の電極板(B)は、孔
径1.5mm、ピッチ2.0mmの孔を多数設けた厚さ
0.2mmのチタン板に白金メッキした電極面積32平
方センチメートルのシート状電極、該シート状電極の裏
側に塩化ビニール系塗料を塗布して設けた絶縁層、この
絶縁層の上に積層した陽イオン交換膜からなっている。
【0038】電気分解処理をさせる原水には水道水を用
いた。原水の供給方式に次の2方式、すなわち、原水の
全量をパイプ20から電解室16に導入し、出口パイプ
21から排出した水を更にパイプ18から電解室15に
導入し、パイプ19から排出させて目的の水を製造する
方式(全量電解方式)、及び原水の4分の1量を分取
し、上記と同様の経路で水を供給して電気分解してから
再び原水と混合して目的の水を製造する方式(4分の1
量電解方式)を採用した。また、直流電源の接続方式に
は次の4種類、すなわち、(1)電極板(A)を陽極と
し、電極(C)を陰極とする方式を(酸性水方式)、
(2)電極(C)を陽極に、電極板(B)を陰極とする
方式(アルカリ性水方式)、(3)電極板(A)を陽極
に、電極板(B)を陰極とする方式(中性水方式)、
(4)電極板(A)を陽極に、電極板(B)と電極
(C)を陰極とし、電極板(B)と電極(C)に流れる
電流の分配率を調節してPH値を目的の値に調節する方
式(PHコントロール方式)を採用した。前述の原水供
給方式と電源接続方式を種々変えて、表1に示す水量、
電圧、電流の下で原水を電気分解し、生成した水につい
てpH、ORP(酸化還元電位)、遊離塩素量を測定し
た。その結果を併せて表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】表1に示す如く、本発明の方式によれば、
電極板(A)、電極板(B)および電極(C)の極性を
選択するなり、電流量を変更するなり、原水の供給量や
供給方法を変更することにより、容易に目的とする水を
製造するかとができる。しかも、本発明の方式では、従
来の方法に比べて電気分解に必要な電気消費量が少なく
て済むし、遊離塩素含有量の高い水を製造することがで
きる。
【0041】
【本発明の効果】本発明の装置で製造される水の水質は
主に3種類で、それらは、遊離塩素を含みpH値が低く
2.7以下で、酸化還元電位が1000mV以上を呈す
る強酸性水、遊離塩素を含みpH値が中性に近い水、及
びpH値が11以上の強アルカリ性水である。遊離塩素
を含有する強酸性水、遊離塩素を含有する中性に近い
水、及び強アルカリ性水はそれぞれ滅菌や制菌力を有す
る。特に、電気分解によって生成する酸化性物質である
塩素ガスや次亜塩素酸イオンや酸素ガス、特に発生期の
酸素やオゾンガス等が混合物は、通常一般に使用されて
いる滅菌や制菌剤である次亜塩素酸ナトリウムや次亜塩
素酸カリウム等に比べて、10倍程度、優れた滅菌力や
制菌力を示すと言われており、したがって本発明で製造
される遊離塩素を含む水は、使用目的に応じて遊離塩素
含有量とpH値を調節して使用することにより、従来の
次亜塩素酸系の滅菌薬品や制菌薬品に代わって使用され
ることが期待できる。
【0042】また高濃度の電解質水溶液を電解質収納室
に蓄え、電気分解時の電流によってイオンが移動するイ
オン輸率に応じて必要なイオンだけを選択的に処理しよ
うとする原水へ移動させ電気分解する方式としたので、
処理しようとする原水に予め電解質を添加する必要が無
い。また従来の水電気分解装置を用いて水を電気分解し
た場合には、酸性水とアルカリ水がほぼ同量生成し、目
的としない水の処置に困ったが、本発明の装置を用いる
と、所望とする性質の水のみを製造できる利点がある。
また、酸性水製造時に、従来の方法では製造しようとす
る酸性水と略同時に大量のアルカリ水を製造することに
なるが、本発明では多量のアルカリ性水を製造する必要
が無いので、原水に含有するカルシウムなどに起因して
陰極に発生するスケール問題を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水電気分解装置の一例の断面図
【図2】図1のX−X線断面図
【図3】本発明の水電気分解装置で用いる電極板の斜視
【図4】本発明の水電気分解装置で用いる電極板の他の
例の断面図
【図5】本発明の水電気分解装置の他の例の断面図
【図6】図5のX−X線断面図
【図7】本発明の水電気分解装置の他の例の斜視図
【図8】本発明の水電気分解装置の他の例の斜視図
【図9】本発明の水電気分解装置の他の例の断面図
【図10】本発明の水電気分解装置の使用例の斜視図
【符号の説明】
A,B 電極板、C 電極、1 シート状電極、2 シ
ート状隔膜、3,5孔、4 シート状非導電性材料、1
5,16,35,41 電解室、17,36,42 電
解質収納室、18,19,20,21,31,43,4
4 パイプ、24,33 貯蔵槽

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】二組の電極板(A、B)によって、原水を
    電気分解する電解室と電解質水溶液を収納する電解質収
    納室とに仕切られており、かつ上記の電解質収納室内に
    電極(C)を配置した水電気分解装置であって、上記の
    二組の電極板(A、B)は、それぞれ、多数の孔を有す
    るシート状の電極とシート状の隔膜とを積層した電極板
    であり、該各電極板は隔膜面が電解質収納室側になり、
    電極面が電解室側になるように配置されていることを特
    徴とする水電気分解装置。
  2. 【請求項2】二組の電極板(A、B)によって、原水を
    電気分解する電解室と電解質水溶液を収納する電解質収
    納室とに仕切られた水電気分解装置であって、上記の二
    組の電極板(A、B)は、それぞれ、多数の孔を有する
    シート状の電極とシート状の隔膜とを積層した電極板で
    あり、該各電極板は隔膜面が電解質収納室側になり、電
    極面が電解室側になるように配置されていることを特徴
    とする水電気分解装置。
  3. 【請求項3】電極板(A、B)が、多数の孔を有するシ
    ート状の電極、多数の孔を有するシート状の非導電性材
    料及びシート状の隔膜を積層配置した電極板であり、且
    つシート状の電極とシート状の非導電性材料とは密着し
    ており、それぞれの孔と孔とは貫通していることを特徴
    とする請求項1又は2記載の水電気分解装置。
  4. 【請求項4】電極板(A、B)の一方のシート状の隔膜
    を陰イオン交換膜とし、他方のシート状の隔膜を陽イオ
    ン交換膜としたことを特徴とする請求項1、2又は3記
    載の水電気分解装置。
  5. 【請求項5】請求項1、3〜4のいずれかに記載の水電
    気分解装置を用い、電解室に原水を入れ、電解質収納室
    に塩素イオンを含有する電解質水溶液を収納し、そして
    一方の電極板(A)のシート状電極を陽極とし、電極
    (C)を陰極として直流電圧を印荷させてそれぞれの電
    極に電流を流し、他方の電極板(B)のシート状電極に
    は電流を流すことなく或は陽極として電流を流して水電
    気分解することを特徴とする遊離塩素を含有する酸性水
    の製造方法。
  6. 【請求項6】請求項1、3〜4のいずれかに記載の水電
    気分解装置を用い、電解室に原水を入れ、電解質収納室
    に塩素イオンを含有する電解質水溶液を収納し、そして
    一方の電極板(B)のシート状電極を陰極とし、電極
    (C)を陽極として直流電圧を印荷させてそれぞれの電
    極に電流を流し、他方の電極板(A)のシート状電極に
    は電流を流すことなく或は陰極として電流を流して水電
    気分解することを特徴とする強アルカリ性水の製造方
    法。
  7. 【請求項7】請求項1、3〜4のいずれかに記載の水電
    気分解装置を用い、電解室に原水を入れ、電解質収納室
    に塩素イオンを含有する電解質水溶液を収納し、一方の
    電極板(A)のシート状電極を陽極とし、他方の電極板
    (B)のシート状電極及び電極(C)を共に陰極にして
    直流電圧を印荷させ、電極板(B)シート状電極と電極
    (C)に流れる電流の分配比を調節して水電気分解する
    ことを特徴とするpH値が自由に選択できる遊離塩素を
    含有する水の製造方法。
  8. 【請求項8】請求項1、3〜4のいずれかに記載の水電
    気分解装置を用い、電解室に原水を入れ、電解質収納室
    に塩素イオンを含有する電解質水溶液を収納し、一方の
    電極板(A)のシート状電極を陽極とし、他方の電極板
    (B)のシート状電極を陰極として直流電圧を印荷させ
    てそれぞれの電極に電流を流し、電極(C)には電流を
    流すことなく水電気分解することを特徴とする遊離塩素
    を含有する中性に近い水の製造方法。
  9. 【請求項9】請求項2〜4のいずれかに記載の水電気分
    解装置を用い、電解室に原水を入れ、電解質収納室に塩
    素イオンを含有する電解質水溶液を収納し、一方の電極
    板(A)のシート状電極を陽極とし、他方の電極板
    (B)のシート状電極を陰極として直流電圧を印荷させ
    てそれぞれの電極に電流を流して電気分解することを特
    徴とする遊離塩素を含有する中性に近い水の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016003391A (ja) * 2014-06-18 2016-01-12 マグ テクノロジー カンパニー,リミテッド 酸性水電解槽及びその酸性水の利用方法
CN105330029A (zh) * 2014-08-07 2016-02-17 青岛海尔智能技术研发有限公司 供水装置及对供水装置进行除垢的方法

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